(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】過負荷構造体をもつ力及びトルクセンサ並びに製造する方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/26 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G01L1/26 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557319
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CA2022050361
(87)【国際公開番号】W WO2022192993
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523354314
【氏名又は名称】フォーセン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・サンチェス・エンカーリン
(72)【発明者】
【氏名】イ-シャン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジョセフ・ブルックス
(57)【要約】
力/トルクセンサは、外側構体と、内側構体と、外側構造体と内側構造体との間に延びる3つのセンサ構造体とを含む。過負荷構造体はセンサ構造体間に配置される。過負荷構造体は、複数の外側ファセットを有する外側部分と、複数の対応する対向する内側ファセットを有する内側部分とを含む。外側ファセット及び内側ファセットは、中立位置から少なくとも6自由度における、内側構体と外側構体との間の限られた所定量の相対運動を可能にすることと、所定量を超える、内側構体と外側構体との間の相対運動を抑制することとを行うように構成される。過負荷構造体は、随意に単一パスで実行されるワイヤカット放電加工を使用してブリッジを分離することによって形成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側構体と、
内側構体と、
3つのセンサ構造体であって、前記センサ構造体それぞれが前記外側構体と前記内側構体との間に延びる、3つのセンサ構造体と、
3つの過負荷構造体であって、前記過負荷構造体それぞれが3つの前記センサ構造体のうちの2つの前記センサ構造体間に配置される、3つの過負荷構造体と、
を備え、
3つの前記過負荷構造体の各々が、前記外側構体から内側に延びる外側部分と、前記内側構体から外側に延びる内側部分とを含み、
前記外側部分が複数の外側ファセットを有し、前記内側部分が複数の対応する対向する内側ファセットを有し、複数の前記外側ファセット及び複数の前記内側ファセットが、中立位置から少なくとも6自由度における、前記内側構体と前記外側構体との間の限られた所定量の相対運動を可能にし、前記所定量を超える、前記内側構体と前記外側構体との間の相対運動を抑制するように構成されている、力/トルクセンサ。
【請求項2】
3つの前記センサ構造体及び3つの前記過負荷構造体が互いにほぼ等間隔をおいて配置されている、請求項1に記載の力/トルクセンサ。
【請求項3】
前記外側構体及び前記内側構体が前記中立位置にあるとき、複数の前記外側ファセットの各々と、複数の前記内側ファセットのうちの前記対応する1つとの間の間隙が約25ミクロンから0.5mmの間の距離を有する、請求項1又は2に記載の力/トルクセンサ。
【請求項4】
3つの前記センサ構造体の各々が約1mmから25mmの間の幅を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の力/トルクセンサ。
【請求項5】
3つの前記センサ構造体の各々が約2mmから12mmの間の幅を有する、請求項4に記載の力/トルクセンサ。
【請求項6】
3つの前記センサ構造体の各々に固定された歪みセンサをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の力/トルクセンサ。
【請求項7】
前記歪みセンサが金属箔歪みゲージを備える、請求項6に記載の力/トルクセンサ。
【請求項8】
外側構体と、内側構体と、前記外側構体と前記内側構体との間に延びる少なくとも1つのセンサ構造体と、少なくとも1つの過負荷構造体とを備える力/トルク・センサ・フレームを製造する方法であって、
前記方法は、
前記外側構体と、前記内側構体と、前記外側構体と前記内側構体との間に延びる少なくとも1つの前記センサ構造体と、前記外側構体と前記内側構体との間に延びる少なくとも1つの過負荷ブリッジとを備える構体を設けるステップと、
ワイヤカット放電加工によって少なくとも1つの前記過負荷ブリッジを、前記外側構体から延びる外側部分と、前記内側構体から延びる内側部分とに分離するステップであって、前記外側部分が複数の外側ファセットを有し、前記内側部分が複数の対応する対向する内側ファセットを有する、ステップとを含む、方法。
【請求項9】
前記ワイヤカット放電加工が単一パスで実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の前記外側ファセットが前記ワイヤカット放電加工の第1のパス中に形成され、複数の前記内側ファセットが前記ワイヤカット放電加工の第2のパス中に形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記外側構体及び前記内側構体が中立位置にあるとき、複数の前記外側ファセットの各々と、複数の前記内側ファセットのうちの前記対応する1つとの間の間隙が約25ミクロンから0.5mmの間の距離を有する、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、過負荷構造体に関し、より詳細には、多自由度力/トルクセンサとともに使用するための過負荷構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの適用例において、力及び/又はトルクを検出するために、(セラミック歪みゲージとしても知られる)シリコンベースの歪みゲージが使用され得る。一般に、シリコンベースのセンサは比較的小さく、多くの場合手による精密配置を必要とする。セラミック歪みゲージは、一般に高感度であり、したがって、それらのセラミック歪みゲージを使用して、より大きい及び/又はより厚い負荷ビームあるいは他の負荷構造体における撓みを測定することができる。したがって、いくつかの適用例では、別個の指定された過負荷構造体が必要であるとは見なされないことがある。たとえば、セラミック歪みゲージが配置された負荷ビーム(又は他の構造体)は、使用中に予想され得る力及び/又はトルクに応じて永久変形又は他の損傷を受けることを回避するのに十分に堅牢であると考えられ得る。
【0003】
セラミック歪みゲージは、高感度であると特徴づけられることが多いが、それらのセラミック歪ゲージは、一般に、より温度の影響を受けやすく、短期又は長期動作中に、よりドリフトしやすいことがある。その結果、それらのセラミック歪ゲージの収率測定値には著しいヒステリシス及び/又は他のばらつきがあることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下のより詳細な説明を読者に紹介するために以下の紹介を行う。紹介は、クレームされる発明、又はまだクレームされていない発明を限定又は定義するものではない。本文書の特許請求の範囲と図面とを含む本文書の任意の部分において開示される要素又はプロセスステップの任意の組合せ又は部分的組合せの中に、1以上の発明が存在することがある。
【0005】
力及び/又はトルクを測定するために、感知デバイスは、感知デバイスに加えられた正味の力/トルクの結果としてのビームの撓みを測定するための、細長いビーム(又は他の負荷構造体)に固定された1以上の歪みゲージを含むことがある。たとえば、エンドエフェクタにおける力及び/又はトルクを測定するために、ロボットアームとエンドエフェクタとの間に力/トルクセンサが結合されることがある。
【0006】
比較的高い感度をもつ歪みゲージ(たとえばシリコンベースの歪ゲージ)を使用するセンサデバイスでは、細長いビーム中の比較的小さい撓みが検出されることがある。したがって、センサデバイスの耐久性及び/又は最大定格荷重を改善するために、比較的厚い負荷ビームが使用され得る。しかしながら、シリコンベースの歪みゲージは、比較的高い温度感度及び/又は収率ヒステリシスを示す傾向があり得、その結果、経時的に過剰なセンサ「ドリフト」が生じることがある。さらに、高速、高加速度、及び/又は高負荷で動作するロボット適用例では、比較的厚い負荷ビームは、適用されたシリコンベースの歪みゲージへの歪み硬化及び/又は損傷を防止するのに十分に剛性でないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示するように、力/トルクセンサは、1以上の歪みゲージがそれに固定される細長いビーム又は他のセンサ構造体の過剰な撓みを防止する(又は少なくとも抑制する)ための1以上の過負荷構造体を含み得る。撓みを制限するために過負荷構造体を設けることにより、比較的薄いビーム又は他のセンサ構造体の使用が可能になり得、それにより、金属箔歪みゲージの使用が可能になり得る。
【0008】
本開示の1つの広い態様によれば、力/トルクセンサであって、外側構体と、内側構体と、3つのセンサ構造体であって、各センサ構造体が外側構造体と内側構造体との間に延びる、3つのセンサ構造体と、3つの過負荷構造体であって、各過負荷構造体が3つのセンサ構造体のうちの2つのセンサ構造体間に配置され、3つの過負荷構造体の各々が、外側構体から内側に延びる外側部分と、内側構体から外側に延びる内側部分とを含み、外側部分が複数の外側ファセットを有し、内側部分が複数の対応する対向する内側ファセットを有し、複数の外側ファセット及び複数の内側ファセットが、中立位置から少なくとも6自由度における、内側構体と外側構体との間の限られた所定量の相対運動を可能にすることと、所定量を超える、内側構体と外側構体との間の相対運動を抑制することとを行うように構成された、3つの過負荷構造体とを備える、力/トルクセンサが提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、3つのセンサ構造体及び3つの過負荷構造体は互いにほぼ等間隔をおいて配置される。
【0010】
いくつかの実施形態では、外側構体及び内側構体が中立位置にあるとき、複数の外側ファセットの各々と、複数の内側ファセットのうちの対応する1つとの間の間隙が約25ミクロンから0.5mmの間の距離を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、3つのセンサ構造体の各々は約1mmから25mmの間の幅を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、3つのセンサ構造体の各々は約2mmから12mmの間の幅を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、力/トルクセンサは、3つのセンサ構造体の各々に固定された歪みセンサをさらに備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、歪みセンサは金属箔歪みゲージを備える。
【0015】
本明細書で開示するように、過負荷構造体は、ワイヤカット放電加工を使用して形成され得る。たとえば、ワイヤカットEDMを使用して、過負荷ブリッジが過負荷構造体の内側部分と外側部分とに分離され得る。
【0016】
過負荷構造体の内側ファセットと外側ファセットとを設けるためにワイヤカットEDMを使用することには1以上の利点があり得る。たとえば、これにより、過負荷構造体の内側部分と外側部分との間の間隙距離を一定に保つことができる。また、これにより、力/トルクセンサの迅速な、及び/又は費用効果の高い製造を促進することができる。
【0017】
本開示の別の広い態様によれば、外側構体と、内側構体と、外側構造体と内側構造体との間に延びる少なくとも1つのセンサ構造体と、少なくとも1つの過負荷構造体とを備える力/トルク・センサ・フレームを製造する方法であって、本方法は、外側構体と、内側構体と、外側構造体と内側構造体との間に延びる少なくとも1つのセンサ構造体と、外側構造体と内側構造体との間に延びる少なくとも1つの過負荷ブリッジとを備える構体を設けるステップと、ワイヤカット放電加工によって少なくとも1つの過負荷ブリッジを、外側構体から延びる外側部分と、内側構体から延びる内側部分とに分離するステップであって、外側部分が複数の外側ファセットを有し、内側部分が複数の対応する対向する内側ファセットを有する、ステップとを含む方法が提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、ワイヤカット放電加工は単一パスで実行される。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数の外側ファセットはワイヤカット放電加工の第1のパス中に形成され、複数の内側ファセットはワイヤカット放電加工の第2のパス中に形成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、外側構体及び内側構体が中立位置にあるとき、複数の外側ファセットの各々と、複数の内側ファセットのうちの対応する1つとの間の間隙が約25ミクロンから0.5mmの間の距離を有する。
【0021】
本明細書で開示する装置又は方法は、本明細書に含まれている特徴のうちのいずれか1以上を具現化することができること、及び、特徴は任意の特定の組合せ又は部分的組合せで使用され得ることが当業者には理解されよう。
【0022】
様々な実施形態のこれら及び他の態様及び特徴について以下でより詳細に説明する。
【0023】
説明した実施形態のよりよい理解のために、及び、それらがどのように実施され得るかをより明確に示すために、ここで、例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ロボットアーム、エンドエフェクタ、及び力/トルクセンサの部分分解斜視図である。
【
図2】一実施形態による、力/トルクセンサの斜視図である。
【
図3】明快のためにセンサ電子機器が省略されている、
図2の力/トルクセンサの平面図である。
【
図4】
図3の線A-Aに沿った、
図3の力/トルクセンサの断面図である。
【
図5】
図3の線B-Bに沿った、
図3の力/トルクセンサの断面図である。
【
図6】
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の外側部分の斜視図である。
【
図7】
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の内側部分の斜視図である。
【
図8】過負荷構造体が正のZ方向のさらなる動きを抑制している、
図3の線A-Aに沿った、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の断面図である。
【
図9】過負荷構造体が負のZ方向のさらなる動きを抑制している、
図3の線B-Bに沿った、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の断面図である。
【
図10】過負荷構造体がX軸の周りのさらなる正の回転を抑制している、
図3の線A-Aに沿った、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の断面図である。
【
図11】過負荷構造体がX軸の周りのさらなる負の回転を抑制している、
図3の線B-Bに沿った、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の断面図である。
【
図12】過負荷構造体がZ軸の周りのさらなる正の回転を抑制している、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の平面図である。
【
図13】過負荷構造体がZ軸の周りのさらなる負の回転を抑制している、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の平面図である。
【
図14】過負荷構造体が正のX方向のさらなる動きを抑制している、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の平面図である。
【
図15】過負荷構造体が負のX方向のさらなる動きを抑制している、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の平面図である。
【
図16】過負荷構造体が負のY方向のさらなる動きを抑制している、
図3の力/トルクセンサの過負荷構造体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の教示の物品、方法、及び装置の様々な例を示すためのものであり、いかなる形でも教示されるものの範囲を限定するものではない。
【0026】
各クレームされる発明の実施形態の一例を示すために、様々な装置、方法及び構成物について以下で説明する。以下で説明する実施形態は、クレームされる発明を限定するものではなく、特許請求の範囲に記載される発明は、以下で説明する装置及び方法とは異なる装置及び方法を包含することがある。クレームされる発明は、以下で説明するいずれか1つの装置、方法若しくは構成物の特徴のすべてを有する装置、方法及び構成物に、又は、以下で説明する装置、方法若しくは構成物のうちの複数若しくはすべてに共通の特徴に限定されない。以下で説明する装置、方法、又は構成物は、いかなるクレームされる発明の実施形態でもない可能性がある。本文書でクレームされていない以下で説明する装置、方法、又は構成物において開示するいかなる発明も、別の保護手段の、たとえば継続特許出願の主題であり得、出願人、発明者、及び/又は所有者は、本文書におけるそのような発明の開示によってそれを断念、放棄、又は公衆に献呈することを意図していない。
【0027】
さらに、説明を簡単で明快にするために、適切と考えられる場合には、対応する又は類似する要素を示すために図面間で参照番号を繰り返すことができることが理解されよう。さらに、本明細書で説明する例示的な実施形態の十分な理解を与えるために、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、本明細書で説明する例示的な実施形態はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には理解されよう。他の例では、本明細書で説明する例示的な実施形態を不明瞭にしないように、よく知られている方法、手順、及び構成要素については詳細に説明していない。また、説明は、本明細書で説明する例示的な実施形態の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【0028】
本明細書で開示する装置及び方法について、特に、ロボットアーム及びエンドエフェクタと関連して、並びにロボットアーム及びエンドエフェクタとともに使用される際について説明するが、装置及び方法は、他の適用例において力及び/又はトルクを測定するために代替的に使用され得ることが理解されよう。
【0029】
図1は、ロボットアーム10とエンドエフェクタ15との間に配置された力/トルクセンサ100の一例を示す。使用の際に、力/トルクセンサは、ロボットアームに対してエンドエフェクタに作用する力及び/又はトルクを測定することができる。
【0030】
図2~
図16は、全体的に参照符号100で示される力/トルクセンサの例示的な実施形態を示す。図示の例では、力/トルクセンサ100は、6自由度(6DOF)での適用について力及び/又はトルクを測定するように構成される。
【0031】
図2に示されているように、センサ100は、外側構体120と、内側構体140と、それぞれ、外側構体120と内側構体140との間に延びる3つのセンサ構造体130とを含む。
図1を参照すると、外側構体はロボットアームに結合され得、内側構体はエンドエフェクタに結合され得、又はその逆も同様である。そのような構成では、外側構体120と内側構体140との間の相対運動により、センサ構造体のうちの1以上の撓みが生じる。
【0032】
図示の例では、各センサ構造体130は細長いビーム130の形態である。1以上の代替実施形態では、任意の他の好適な幾何学的形状をもつセンサ構造体が使用され得ることが理解されよう。センサ構造体の寸法は、センサの所望の感度に基づいて選択され得る。たとえば、各ビーム130は、約1mmから25mm、又は約2mmから12mmの幅を有し得る。
【0033】
力及び/又はトルクを測定するために、歪みゲージをセンサ構造体に固定して、センサ100に対する正味の力/トルクの結果としての、センサ構造体の相対的な撓みを測定することができる。図示の例では、3つのセンサ構造体130の各々の撓みを測定するために金属箔歪みゲージが使用される。代替的に、シリコンベースの歪みゲージ、又は他の好適な感知要素が使用され得る。
【0034】
図示の例では、歪みゲージ210は、内側構体140の表面特徴内に嵌合するように寸法決めされた多層膜200に埋め込まれている。歪みゲージ(及びそれらの関連する配線)を多層膜に埋め込むことには1以上の利点があり得る。たとえば、それにより、1以上の歪みゲージの配置をセンサ構造体に対して一定に保つことができる。追加又は代替として、それにより、歪みゲージをセンサ構造体上の所望の位置に配置するために必要とされる労力及び/又は労働技術が削減され得る。例示的な実施形態では、慣性測定ユニット(IMU)215を含むセンサ回路210、アナログデジタル(ADC)回路225、及び回路210を膜200に結合するためのコネクタ220も示されている。
【0035】
図3を見ると、センサ100はまた、それぞれ、全体的に160と称する3つの過負荷構造体を含む。使用の際に、過負荷構造体により、内側構体と外側構体との間の限られた所定量の相対運動が可能になる。また、過負荷構造体により、所定量を超える、内側構体と外側構体との間の相対運動が抑制又は防止され得る。結果として、過負荷構造体は、たとえば、力/トルクセンサ100が比較的高い力及び/又はトルクを受けたときに、3つのセンサ構造体130の全撓みを制限するように働く。3つのセンサ構造体130の全撓みを制限するために「ハードストップ」を設けることによって、過負荷構造体は、センサ構造体130への、及び/又はそれに固定された1つ若しくは複数の歪みゲージ210への損傷を抑制又は防止することができる。
【0036】
図示の例では、3つの過負荷構造体160が設けられており、過負荷構造体160は、隣接するセンサ構造体130間にほぼ等距離に配置されている。また、スロット180が、過負荷構造体160とセンサ構造体130との間で内側構体140と外側構体120との間に延びる。図示のように、センサ構造体130aはスロット180aの一部分とスロット180fの一部分とに接しており、センサ構造体130bはスロット180bの一部分とスロット180cの一部分とに接しており、センサ構造体130cはスロット180dの一部分とスロット180eの一部分とに接している。また、過負荷構造体160aはスロット180aの一部分とスロット180bの一部分とに接しており、過負荷構造体160bはスロット180cの一部分とスロット180dの一部分とに接しており、過負荷構造体160cはスロット180eの一部分とスロット180fの一部分とに接している。
【0037】
図6及び
図7を見ると、過負荷構造体160は、外側構体120から延びる外側部分162と、内側構体140から延びる内側部分164とを含む。外側位置162は複数の外側ファセット21~27を有し、内側部分164は複数の内側ファセット41~47を有する。図示の例では、各外側及び内側ファセットは、対応する対向するファセットを有する。
【0038】
内側構体140及び外側構体120が、3つのセンサ構造体130が著しい撓みを受けない中立位置又は無負荷位置にあるとき(たとえば、センサ100に対する正味の力/トルクが低いとき)、外側ファセットの各々は、それらの対応する対向する内側ファセットから間隙距離だけ離隔している。たとえば、間隙距離は約25ミクロンと0.5mmとの間であり得る。また、中立位置では、内側構体140及び外側構体120は3つのセンサ構造体130を介してのみ互いに接触する。
【0039】
内側構体140及び外側構体120が正味の外力又はトルクを受けると、最初は、過負荷構造体160の内側部分164及び外側部分162は互いに離隔したままであり、それにより、内側構体と外側構体との間の限られた量の相対運動が可能になる。これにより、センサ構造体130をたわませることが可能になり、撓みは、センサ構造体130に取り付けられた1以上の歪みゲージによって測定され、歪み測定値は、センサ100に作用する正味の力及び/又はトルクを決定するために使用される。
【0040】
センサ100に作用する正味の力及び/又はトルクが十分である場合、内側構体140及び外側構体120が互いに動かされた際に、初期量の相対運動の後に、過負荷構造体160の内側部分164及び外側部分162の少なくとも一対の内側ファセットと外側ファセットとが互いに当接し、それによって内側構体と外側構体との間のさらなる相対運動が抑制又は防止され得る。
【0041】
図示の例では、外側位置162は、ファセット21及び24を含む第1のセグメントと、ファセット25、22、及び27を含む第2のセグメントと、ファセット26及び26を含む第3のセグメントとを有すると特徴づけられ得る。同様に、図示の内側部分164は、ファセット41及び45を含む第1のセグメントと、ファセット44、42、及び46を含む第2のセグメントと、ファセット47及び43を含む第3のセグメントとを有すると特徴づけられ得る。1以上の代替実施形態では、2つのセグメントのみを含む、外側部分と内側部分とをもつ過負荷構造体が、6自由度での使用について内側構体140と外側構体120との間の望ましくない相対運動を抑制し得る。たとえば、図示の例では、ファセット21、25、24、及び22(及び相補的なファセット41、45、44、及び42)は、6DOFでの過負荷保護を与えるのに十分であり得る。
【0042】
図8~
図16は、センサ100に加えられる様々な力及び/又はトルクにより生じる動きを抑制する過負荷構造体160の例を示す。
【0043】
図8に示す例では、ファセット22とファセット42とが互いに当接し、それにより、正のZ方向の外力に応じた内側構体140及び外側構体120のさらなる相対変位が防止される。
【0044】
図9に示す例では、ファセット21とファセット41と、及び/又はファセット23とファセット43とが互いに当接し、それにより、負のZ方向の外力に応じた内側構体140及び外側構体120のさらなる相対変位が防止される。
【0045】
図10に示す例では、ファセット22とファセット42とが互いに当接し、それにより、X軸の周りの(すなわち外部トルクに応じた)正の方向の内側構体140及び外側構体120のさらなる相対回転が防止される。
【0046】
図11に示す例では、ファセット21とファセット41と、及び/又はファセット23とファセット43とが互いに当接し、それにより、X軸の周りの(すなわち外部トルクに応じた)負の方向の内側構体140及び外側構体120のさらなる相対回転が防止される。
【0047】
図12に示す例では、ファセット24とファセット44と、及び/又はファセット27とファセット47とが互いに当接し、それにより、Z軸の周りの(すなわち外部トルクに応じた)正の方向の内側構体140及び外側構体120のさらなる相対回転が防止される。
【0048】
図13に示す例では、ファセット25とファセット45と、及び/又はファセット26とファセット46とが互いに当接し、それにより、Z軸の周りの(すなわち外部トルクに応じた)負の方向の内側構体140及び外側構体120のさらなる相対回転が防止される。
【0049】
図14に示す例では、ファセット24とファセット44と、及び/又はファセット27とファセット47とが互いに当接し、それにより、正のX方向の外力に応じた内側構体140及び外側構体120のさらなる相対変位が防止される。
【0050】
図15に示す例では、ファセット25とファセット45と、及び/又はファセット26とファセット46とが互いに当接し、それにより、負のX方向の外力に応じた内側構体140及び外側構体120のさらなる相対変位が防止される。
【0051】
図16に示す例では、ファセット21とファセット41と、及び/又はファセット22とファセット42と、及び/又はファセット23とファセット43とが互いに当接し、それにより、負のY方向の外力に応じた内側構体140及び外側構体120のさらなる相対変位が防止される。図示の過負荷構造体160から約±120°離れて位置する他の2つの過負荷構造体160によって、正のY方向の過剰変位が与えられる。
【0052】
センサ100は、任意の好適な製造方法を使用して形成され得る。たとえば、外側構体120及び内側構体140は金属の単一のブランクから形成され得、スロット180はブランクから機械加工され得、それによってセンサ構造体130が形成される。
【0053】
過負荷構造体160は、任意の好適な方法を使用して形成され得る。たとえば、ファセット21~27及び41~47は、Avonisys AG of Zug、Switzerlandから、又はSYNOVA S.A.of Nyon、Switzerlandから入手可能であるような水ジェット誘導レーザ技術を使用して切断され得る。水ジェット誘導レーザ技術は、過負荷構造体の内側ファセットと外側ファセットとの間に極めて薄い間隙距離を設けるのに特に好適であり得る。
【0054】
好ましくは、過負荷構造体は、(ワイヤカットEDM又はWEDMとしても知られる)ワイヤカット放電加工を使用して形成され得る。たとえば、外側構体120と、内側構体140と、センサ構造体130とを備える構体は、外側構体120と内側構体140との間に延びる過負荷ブリッジを含むこともある。そのような過負荷ブリッジは、ワイヤカットEDMを使用して過負荷構造体160の内側部分164と外側部分162とに分離され得る。
【0055】
過負荷構造体160の内側ファセットと外側ファセットとを設けるためにワイヤカットEDMを使用することには1以上の利点があり得る。たとえば、対向する内側ファセットと外側ファセットとの間の間隙距離はEDMワイヤの直径によって決定され得る。その結果、(対向するファセットが当接する前にセンサ構造化130のより大きい撓みを可能にする)より大きい間隙距離をもつセンサ100が、より大きいカーフ幅を有するEDMワイヤを使用して製造され得、より小さい間隙距離をもつセンサ100が、より小さいカーフ幅を有するEDMワイヤを使用して同じ構体から形成され得る。これにより、EDMワイヤの直径の選択によってセンサ100を「調整」することが可能になり得る。
【0056】
別の例として、(ファセット21~27とファセット41~47とを含む過負荷構造体の図示の設計は、ワイヤが後戻りすること(backtracking)なしに単一の経路をたどるワイヤカットEDMプロセスを使用して「切断」され得る。たとえば、
図3を参照すると、EDMワイヤをスロット180dに通し、ほぼ横方向に移動して過負荷構造体160bのファセット21及び41を形成し、枢動してファセット24、25、44、及び45を形成し、ほぼ横方向に移動してファセット22及び42を形成し、枢動してファセット26、27、46、及び47を形成し、ほぼ横方向に移動してファセット23及び43を形成することができる。
【0057】
単一のワイヤカットEDMパスを使用してファセットのすべてが切断され得る過負荷構造体を設けることには1以上の利点があり得る。たとえば、これにより、過負荷構造体160の内側部分162と外側部分164との間の間隙距離を一定に保つことができる。この点において、複数パスは機械加工作業中にヒステリシス誤差をもたらすことがあるので、「単一パス」設計が寸法公差を改善していることが期待され得る。また、単一パス作業を使用することにより過負荷構造体の機械加工がより速くなり得、たとえば、ワイヤの通し直しが必要でない場合がある。また、「単一パス」設計により、上記で説明したように、EDMワイヤの直径を変更することによってセンサ100を「調整」することが可能になり得る。
【0058】
本明細書で使用する際、「及び/又は」という用語は、包括的な-又は-を表すものとする。すなわち、「X及び/又はY」は、たとえば、X又はY、あるいはその両方を意味するものとする。さらなる例として、「X、Y、及び/又はZ」は、X又はY又はZ、あるいはそれらの任意の組合せを意味するものとする。
【0059】
上記の説明は例示的な実施形態の特徴について説明しているが、説明した実施形態のいくつかの特徴及び/又は機能は、説明した実施形態の動作の趣旨及び原理から逸脱することなく改変が可能であることが理解されよう。たとえば、示された実施形態又は例によって説明された様々な特性は互いに選択的に組み合わせられ得る。したがって、上記で説明したことは、クレームされる概念を例示するものであり、非限定的である。当業者なら、本明細書に添付された特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、他の変形及び改変が行われ得ることを理解するであろう。特許請求の範囲は、好ましい実施形態及び例によって限定されるべきでなく、全体として説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【符号の説明】
【0060】
10 ロボットアーム、15 エンドエフェクタ、21 ファセット、22 ファセット、23 ファセット、24 ファセット、25 ファセット、26 ファセット、27 ファセット、41 ファセット、42 ファセット、43 ファセット、44 ファセット、45 ファセット、46 ファセット、47 ファセット、100 力/トルクセンサ、120 外側構体、130 センサ構造体、ビーム、130a センサ構造体、130b センサ構造体、130c センサ構造体、140 内側構体、160 過負荷構造体、160a 過負荷構造体、160b 過負荷構造体、160c 過負荷構造体、162 外側部分、164 内側部分、180 スロット、180a スロット、180b スロット、180c スロット、180d スロット、180e スロット、180f スロット、200 多層膜、210 歪みゲージ、210 センサ回路、215 慣性測定ユニット(IMU)、220 コネクタ、225 アナログデジタル(ADC)回路
【国際調査報告】