(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ライン又はケーブルなどの長手方向に延在する物体を巻回する装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20240228BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B65H75/38 M
B65H75/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557325
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2022056825
(87)【国際公開番号】W WO2022194933
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202021101409.1
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ティーシス
【テーマコード(参考)】
3F058
3F068
【Fターム(参考)】
3F058AA08
3F058AB02
3F058AB03
3F058AC15
3F058BB19
3F058CA06
3F058DA05
3F058DC01
3F068AA11
3F068CA04
3F068DA05
3F068EA01
3F068HA02
3F068JA04
(57)【要約】
長手方向に延在する物体(1)を巻回する装置は、巻回される物体(1)の支持のために周囲にわたって延在する支持面(3)と、支持面の側面又は側方領域にドラム(2)の回転軸から径方向に離れる方向に延在する隆起部分(4)と、を有するドラム(2)を有する。物体(1)の巻線が積み上がるのを防止するデバイス(6)が設けられ、そのデバイスは、雄ネジ部(10)を有するシャフト(9)を含み、シャフトは隆起部分(4)から狭い隙間を介して小さな間隔を空けて支持面(3)上を横断方向に延在し、ドラム(2)の側方に配置された構成要素(12)に実装される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン又はケーブルなどの長手方向に延在する物体(1)を巻回する装置であって、該装置はドラム(2)を有し、該ドラムは、回転軸(d1)周りに回転方向(r1)に回転可能であり、支持面(3)であって巻回される前記物体(1)の支持のために前記ドラム(2)の周囲にわたって延在する支持面(3)と、隆起部分(4)であって前記支持面(3)の側面又は側方領域において前記ドラム(2)の前記回転軸(d1)から径方向に離れる方向に延在するとともに前記巻回される物体(1)のために前記隆起部分の間に配置される受容空間(5)を側方に画定する隆起部分(4)と、を有し、前記装置は、前記物体(1)の巻線が前記支持面(3)の横断範囲の狭い領域に積み上がるのを防止するためのデバイス(6)を含み、
前記物体(1)の巻線が積み上がるのを防止するための前記デバイス(6)はシャフト(9)を有し、該シャフトは、雄ネジ部(10)を有し、前記隆起部分(4)から狭い隙間(11)を介して小さな間隔を空けて前記支持面(3)上に横断方向に延在し、前記ドラム(2)の側方に配置された構成要素(12)においてその回転軸(d2)周りに実装される、装置。
【請求項2】
前記シャフト(9)が、前記ドラム(2)の周囲領域であって該ドラム(2)に対する前記物体(1)の供給部に隣接する周囲領域に配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シャフト(9)が、前記ドラム(2)の前記回転軸(d1)に平行に配置された、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記シャフト(9)の位置で前記ドラム(2)の前記回転方向(r1)に沿って見た場合の前記シャフト(9)の水平視において、前記シャフト(9)は、その左捻れ領域に左ネジ部分(15)を有し、その右捻れ領域に右ネジ部分(16)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記左ネジ部分(15)の右端及び前記右ネジ部分(16)の左端が、相互に直接接続された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記左ネジ部分(15)及び前記右ネジ部分(16)が、前記シャフト(9)の中心で相互に接続された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記左ネジ部分(15)及び前記右ネジ部分(16)が、前記シャフト(9)の前記回転軸(d2)に垂直に接続位置で延在する平面に関して相互に対して鏡像配置された、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記左ネジ部分(15)及び前記右ネジ部分(16)は、前記回転軸(d2)に垂直に延在する平面に関する鏡像配置に対して前記回転軸(d2)周りに180°まで相互に対してずれて配置され、特に前記平面は、一方のネジ部分のネジ山の頂部及び他方のネジ部分のネジ溝を通じた接続位置において延在する、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記シャフト(9)は、該シャフト(9)の位置において前記ドラム(2)の前記回転方向(d1)に見た場合に連続する左ネジ部及び連続する右ネジ部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記シャフト(9)は、中空シャフトの形態であり、前記ドラム(2)の側方に配置された前記構成要素(12)上又は構成要素(12)内に保持されたスピンドルに回転可能に実装される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記シャフト(9)は、その端部において、前記ドラム(2)の側方に配置された前記構成要素上又は構成要素内に軸受実装部内に係合する軸受ジャーナル(19)を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記シャフト(9)には、少なくとも1つのその端部領域において、端部に向く円錐台状の拡大部(18)が設けられ、その最大径は前記シャフト(9)の前記雄ネジ部(10)の外径よりも大きく、前記拡大部(18)と前記支持面(3)の間の間隔は前記支持面(3)上のフランジ(8)の高さ未満である、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記シャフト(9)の前記雄ネジ部(10)の外径は、少なくともその端部領域の一方において、前記端部領域に隣接する前記シャフト(9)の端面に向かう方向に増加する、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ドラム(2)の側方に配置された前記構成要素(12)は前記シャフト(9)を実装するための壁部(17)を有し、該壁部は前記ドラム(2)の隣接する端面に平行に延在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ドラム(2)が、前記壁部(17)に回転可能に実装された、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ドラム(2)に巻回される前記物体(1)のための前記支持面(3)の側方に配置された前記隆起部分(4)の少なくとも一方は、高さを越えて前記支持面(3)から径方向外向きに延在するフランジ(8)の形態であり、前記シャフト(9)は、前記フランジ及び前記支持面(3)上を前記フランジ(8)に対して小さな間隔を空けて延在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記支持面(3)の少なくとも片側において径方向外向きに延在する前記フランジ(8)は、前記ドラム(2)の全周にわたって延在するとともに前記支持面(3)から離れたその外面において前記ドラム(2)の端部領域を形成する円形リングの形状のフランジの形態である、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン又はケーブルなどの長手方向に延在する物体を巻回する装置に関し、その装置はドラムを有し、ドラムは、回転軸周りに回転方向に回転可能であり、支持面であって巻回される物体の支持のためにドラムの周囲にわたって延在する支持面と、隆起部分であって支持面の側面又は側方領域においてドラムの回転軸から径方向に離れる方向に延在するとともに、巻回される物体のために隆起部分間に配置される受容空間を側方に画定する隆起部分と、を有する。装置は、物体の巻線が支持面の横断範囲の狭い領域に積み上がるのを防止するためのデバイスを含む。
【背景技術】
【0002】
巻回される物体のための供給領域がドラムに関連付けられ、供給領域において、物体は、それがドラム上に支持される状態となる前に、特に接線方向に又は略接線方向にドラムに供給される。
【0003】
そのようなケーブル又はホースに巻回する装置は、現行技術により知られている。巻線が積み上がるのを防止するためのデバイスは2つのローラー間でケーブル又はホースのガイドを有し、そのガイドは、ケーブル又はホースが巻回されるドラムの支持面の横断範囲にわたる駆動によって往復方向に可動である。このデバイスは、そのサイズに応じた空間を占める供給領域に配置される。
【0004】
そのようなデバイスは、構造的に複雑であるとともに高価であり、ドラム外部の比較的大量の空間を占める。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、巻線が積み上がるのを防止するための構造的に簡素でかつ小型のデバイスを有する、本明細書の序章で説明した種類の、ライン又はホースなどの長手方向に延在する物体を巻回する装置を提供することである。
【0006】
本発明によると、その課題は請求項1の特徴によって達成され、それによると、本明細書の序章において説明した装置において、物体の巻線が積み上がるのを防止するためのデバイスが、雄ネジ部を有するとともに、隆起部分から狭い隙間を介して小さな間隔を空けて支持面上に横断方向に延在し、ドラムの側方に配置された構成要素においてその回転軸周りに搭載されるシャフトを有することが規定される。
【0007】
本発明に係る装置は、物体が供給領域から巻線への移行部に巻回され又は既に巻線に配置されかつ下層の巻線上に載置されつつその上に配置されたシャフトのネジ山の頂部及びネジ溝に接触すると、物体の所定領域が、ネジ部との摩擦係合によってシャフトの回転方向とは反対の回転方向にシャフトの回転をもたらすことを可能とする。この状況において、シャフトのネジ部に接触する物体の領域は、その下層に配置された巻線上を、支持面の周囲方向に対して横断方向に回転するネジ部との積極的ロック又は摩擦係合によって移動する。本発明に係るこの対策は、構造的複雑さ及び支出を低く抑えるとともに省スペースとしつつも、巻回部の巻線が支持面の横断範囲の狭い領域に蓄積するのを防止する。
【0008】
本発明の好適な実施形態では、シャフトは巻回されている物体の領域によってのみ駆動され、その領域はそれぞれの下層の巻線に支持され、下からネジ部に接触し、これはドラムの回転によってもたらされる。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、シャフトは、その長手軸に沿って変位不能に配置される。
【0010】
シャフトは、好ましくは、特に、供給領域がドラムと接線関係にある位置での接線方向又は略接線方向での供給の場合に、物体のための供給領域が終端するドラムの位置に配置される。ただし、シャフトは、ドラムの回転方向においてその位置に隣接する領域に配置されてもよい。
【0011】
水平回転軸を有する縦配置ドラムの場合、シャフトは、好ましくはドラムの上側領域上に配置される。
【0012】
本発明に係る装置の使用時に、ドラムの所与の端部から見たドラムの回転方向は、シャフトのネジ部に接触する物体の領域がその方向のドラムの当該端部からドラムの対向端部に向けてネジ部との積極的ロック(positively locking)及び/又は摩擦係合によって移動されるように選択され得る。この場合、シャフトは、シャフトの位置におけるドラムの回転方向に沿って見た場合にシャフトの水平視において、シャフトがその左捻れ領域において物体に接触している場合には左ネジ部分を、及び/又はシャフトがその右捻れ領域において物体に接触している場合には右ネジ部分を有するように配置される。この場合、ネジ山の頂部及びネジ溝は、左ネジ部分ではシャフトの左捻れ端部から左に向かって延在し、すなわち、反時計回り方向に回転し、右捻れ端部とは逆の右ネジ部分では右に向かって延在し、すなわち、時計回り方向に回転し、それぞれシャフトの対向端部に向かう方向に回転する。各ネジ部分は、ネジ部の長さの一部又は全長にわたって延在し得る。
【0013】
ドラムの周囲にわたって分散された複数のシャフトを設けることが可能である。
【0014】
シャフトのネジ部とドラムの側方隆起部分との間に延在する隙間は、シャフトとドラムの間に接触がない程度に小さくてもよく、それは、巻回される物体がそこを通過できない程度に小さく維持され得る。
【0015】
支持面上に延在するシャフトは、ドラムの回転軸に平行に配置され得る。ただし、支持面上に横断方向に延在するシャフトは、ドラムの回転軸に垂直に配置された平面に関して所定の傾斜角で延在してもよく、その角度は45°未満である。シャフトのネジ部又はネジ部分は、ネジ又はウォームネジの形態であり得る。例示として、鋭利なネジ、丸ネジ又は台形ネジが、本発明のネジ部形状として考えられる。ネジ部は、1条以上を有し得る。2条又は多条ネジは、シャフトに接触する物体の領域が、同じピッチの1条ネジを用いる場合よりも迅速に側方に移動可能となるという有利な効果を有する。
【0016】
シャフトは、シャフトの位置におけるドラムの回転方向に沿って見た場合にシャフトの水平視において、その左捻れ領域に左ネジ部分及びその右捻れ領域に右ネジ部分を有していてもよく、これらの部分は接続位置において相互に隣接する。
【0017】
この場合、左ネジ部分の右捻れ端部及び右ネジ部分の左捻れ端部は相互に直接接続されることが規定され得る。
【0018】
特に、左ネジ部分及び右ネジ部分は、中心領域において、特にシャフトの中心において相互に接続され得る。
【0019】
左ネジ部分及び右ネジ部分の相互の接続は、両ネジ部分がシャフトの回転軸に対して垂直に接続位置において延在する鏡平面に関して相互に鏡像関係で配置されるような性質のものであり得る。この場合、鏡平面は、相互に隣接するネジ部分のネジ山の頂部及びネジ溝を介して延在し得る。
【0020】
代替の構成では、その接続は、シャフトの回転軸に垂直に延在する平面に関して鏡像配置の関係で、左ネジ部分及び右ネジ部分が所与の角度、特に180°まで相互に対してずらして配置されるようなものとなり得る。この場合、接続位置における平面は、一方のネジ部分のネジ山の頂部及び他方のネジ部分のネジ溝を介して延在し得る。ネジ部分の鏡像配置との関係において、例えば、180°までずらした配置は、巻回されている物体の2つのネジ部分間を通る巻線が、鏡面対称配置の場合ほどには、ジャミング作用を受けにくいという有利な効果を有する。
【0021】
左ネジ部分及び右ネジ部分を有するシャフトの上述した構成は、特に、その回転軸は水平に延びる縦配置ドラムの場合、又は鉛直に対してわずかにのみ傾斜したドラムの場合、この場合には、巻回されている物体の領域であって左又は右ネジ挿入部分に接触する領域がシャフトの中心に向かう方向に移動可能となるので、有利となる。
【0022】
本発明の代替の構成では、シャフトは、連続する左ネジ部又は連続する右ネジ部を有し得る。
【0023】
この構成は、特に、鉛直方向に延びる回転軸を有する水平配置ドラムの場合又は水平配置に対して傾斜したドラムの場合に有利となる。そのように配置されたドラムの場合、巻回されている物体の巻線の重力が、ドラムの各下側端部に向かう方向において、少なくとも1つの構成要素とともに作用する。重力に反して作用し、ドラムに巻回される物体の巻線が、ドラムの下側端面に隣接する受容空間の領域に蓄積するのを防止する力を生成するために、シャフトは、ドラムの下側端部を下から見てそれが反時計回り方向に回転する場合には連続する左ネジ部を有し、ドラムの下側端部を下から見てそれが時計回り方向に回転する場合には右ネジ部を有する。これは、ドラムに巻回されている物体の巻線が、横置き姿勢においてドラムの受容空間の下側領域に蓄積するのを防止する。
【0024】
少なくともその端部領域の一方において、シャフトには、その端面に向く円錐台状の拡大部が設けられてもよく、その最大径はシャフトのネジ部の外径(公称径)よりも大きい。円錐台状の拡大部は、巻回される物体のためのドラムの支持面上で隆起部分の側方に配置されてもよく、ドラムに巻回される物体のための受容空間内に係合してもよい。
【0025】
代替の構成では、シャフトのネジ部の外径(公称径)は、少なくともその端部領域の一方において、端部領域に隣接するドラムの端面に向かう方向に増加してもよい。
【0026】
シャフトは、ドラムの側方に配置された構成要素上又は構成要素内に保持されたスピンドルに回転可能に実装された中空シャフトの形態であり得る。
【0027】
他の実施形態によると、シャフトは、その端部に、ドラムの側方に配置された構成要素上又は構成要素内に軸受実装部に係合する軸受ジャーナルを有していてもよい。
【0028】
本発明の好適な構成では、ドラムは、ドラムの側方に配置された構成要素において回転可能に実装される。
【0029】
ドラムの側方に配置され、シャフトが回転可能に実装される構成要素は、ドラムの回転軸からシャフトの回転軸の間隔を調整可能とするデバイスを有し得る。そのデバイスによって、ドラムの外径の差及び支持面を側方に画定する隆起部分の高さの差が補償可能となる。
【0030】
ドラムの側方に配置された構成要素は、シャフトを実装するための、ドラムの隣接端面に平行に延在する壁部を有し得る。ドラムも、その壁部上又は壁部内に回転可能に実装され得る。特に、その構成要素は、シャフト及び/又はドラムを実装するための、ドラムのそれぞれ隣接する端面に平行に延在する2つの壁部を有し得る。中空シャフトの形態であるシャフトを実装するためのスピンドルの端部領域が構成要素の壁部上又は壁部内に配置可能であってもよいし、シャフトの端部において配置された軸受ジャーナルが軸受実装部に係合可能であってもよい。
【0031】
支持面の少なくとも片側において、物体がドラムに巻回される支持面の側方に配置された隆起部分は、高さを越えて支持面から径方向外向きに延在するフランジを有し得る。この場合、シャフトは、フランジ及び支持面上をフランジに対して小さな間隔を空けて延在し得る。
【0032】
その端部領域の一方において又はその端部領域の両方において、シャフトが各端部を向く円錐台状の拡大部を有する場合には、その円錐台状の拡大部は支持面上にフランジの側方に配置されてもよく、その場合、拡大部と支持面の間の間隔は支持面上のフランジの高さ未満である。
【0033】
好適な実施形態では、支持面の少なくとも片側において径方向外向きに延在するフランジは、ドラムの全周にわたって延在する円形リングの形状のフランジの形態である。支持面とは逆を向くその外面において、フランジは、ドラムの端部領域を形成し得る。
【0034】
前述の説明は、長手方向に延在する物体の巻回の、記載した特徴を有する対応の方法、及び長手方向に延在する物体の巻回のための、記載した特徴を有する本発明に係る装置の使用を説明するものであり、それらも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、ドラムの端面を見た縦配置ドラムでの実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図2は、シャフトの位置におけるドラムの回転方向にかつ回転軸に垂直に見た実施形態の図を示す。
【
図6】
図6は、ドラムを更に約20°まで回転させた際の
図1の実施形態の側面図を示す。
【
図7】
図7は、ドラムを更に約20°まで回転させた際の
図2の実施形態の図を示す。
【
図9】
図9は、ドラムを更に約20°まで回転させた際の実施形態の斜視図を示す。
【
図11】
図11は、ドラムの上側端面を見て横置き姿勢にあるドラムでの実施形態の平面図を示す。
【
図12】
図12は、シャフトの位置におけるドラムの回転方向にかつ回転軸に垂直に見た
図11の実施形態の図を示す。
【
図17】
図17は、シャフトの第1の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図20】
図20は、シャフトの第2の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図23】
図23は、シャフトの第3の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図26】
図26は、シャフトの第4の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図29】
図29は、シャフトの第5の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図32】
図32は、シャフトの第6の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図35】
図35は、シャフトの第7の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【
図38】
図38は、シャフトの第8の実施形態の側面図をシャフトの回転軸に垂直に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の例示としての多数の実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。
【0037】
ライン又はケーブルなどの長手方向に延在する物体1を巻回するための
図1~10に示す装置はドラムを有し、そのドラムは回転軸d1周りに回転方向r1に回転可能であり、巻回される物体1の支持のためのドラム2の周囲にわたって延在する支持面3を有する。支持面3の側面には隆起部分4が設けられ、それら隆起部分4は、ドラムの回転軸d1から径方向に離れる方向に延在し、巻回される物体1を受容するためにそれらの間に配置された受容空間5を側方に画定する。隆起部分4はリング状のフランジ8の形態であり、それは径方向外向きに高さにわたって支持面3の両側に延在し、支持面3とは逆を向くそれらの面において、ドラム2の端部領域を形成する。
【0038】
さらに、装置は、物体1の巻線7が、支持面3の横断範囲の狭い領域に積み上がるのを防止するためのデバイス6を含む。巻線7が積み上がるのを防止するためのデバイス6はシャフト9を有し、シャフト9は、ドラム2のフランジ8から狭い隙間11を介して支持面3及びフランジ8上に横断方向に延在し、ドラム2の側方に配置された構成要素12においてその回転軸d2周りに回転可能に実装される雄ネジ部(ネジ部)10を有する。
【0039】
図1~10に示す実施形態は、長手方向に延在する物体1を巻回する装置の構成を示し、ドラム2は縦方向に配置される。
図1及び6に示す側面図では、ドラムの回転方向r1は時計回り方向に延び、それにより、ドラムに巻回される物体1は、特に
図1及び6に示す接線方向の供給領域13によって矢印aの方向に移動される。そのネジ部10を有するシャフト9は、供給領域13に隣接するドラム2の周囲領域に配置される。
【0040】
図1~5は、第1の回転位置にあるドラムを示す。供給領域13に沿って延在する物体1の領域が、
図1~10における所与の位置で切り取られて示されている。
【0041】
特に
図3及び5から分かるように、巻回される物体1の領域14は、供給領域13からドラム2に供給されるとともに1本以上の下層の巻線7上に配置され、受容空間5の左手領域において、シャフト9のネジ部10のネジ溝に係合し、ネジ部10との摩擦係合によって、ドラム2の回転方向r1と反対の回転方向r2にシャフト9の回転をもたらす。
【0042】
図6~10は、
図1~5に示す実施形態を、第1の回転位置に対して回転方向r1に約20°まで(時計回り方向に)回転されたドラム2の第2の回転位置で示し、
図6に示すように平面図ではその回転方向r2(反時計回り方向)におけるシャフト9の対応する回転を示す。この場合、供給領域13において巻回される物体1の切取り端部から分かるように、物体1は、対応する長さに更に巻回されている。物体1の領域14の積極的ロック及び摩擦係合によって、当該領域は供給領域13からドラム2に供給されて1本以上の下層の巻線7に当接し、シャフト9のネジ部10及びそれによってもたらされる
図1~5に示す第1の回転位置から第2の回転位置へのシャフト9の約20°までの更なる回転があると、巻回される物体1の領域14は、巻線が巻線7の領域に積み上がらないようにするように、その中心に向かう支持面3の横断方向において下層に隣接する巻線7から離れる方向に移動されている。
【0043】
図3及び8において左に配置されたシャフト9の端部に対する平面視において、シャフト9は、その左捻れ領域には左ネジ部分15を有し(シャフト9の左捻れ端部に対する平面視において、時計回り方向の当該ネジ部分の回転に対して、物体1のネジ領域に係合する領域14はシャフト9の中心に向かって右向きに移動する)、その右捻れ領域には右ネジ部分16を有する(シャフト9の左捻れ端部に対する平面視において、時計回り方向の当該ネジ部分の回転に対して、巻回されている物体1の当該ネジ領域に係合する領域はシャフト9の中心に向かって左向きに移動する)。
【0044】
図11~16に示す実施形態では、ドラム2は、鉛直方向に延在する回転軸d1を有して水平配置される。シャフト9の回転軸d2は、鉛直にも配向され、
図1~10に示す第1の実施形態に関して前述したように、ドラム2及びシャフト9は相互に対してそのように配置される。
【0045】
水平巻回動作を伴う水平配置ドラム2によると、巻回されている物体1の巻線の重力は、ドラム2の下端に向かう方向に作用する。重力に反して作用し、ドラム2に巻回されている物体1の巻線が、ドラム2の下向き端面に隣接する受容空間5の一領域に蓄積することを防止する力を生成するために、その下向き端部に対する下側平面視において、シャフト9は、特に
図13から分かるように、連続する左ネジ部を有する。このように、供給領域13からドラム2に供給される物体1の領域14であって、そこでのその重力によって受容空間5の下側領域に堆積される傾向にあるとともにシャフト9の左ネジ部に接触する領域14は、それを下層の巻線7の上方に上昇させる上向きの動作を受ける。
【0046】
上記実施形態の
図1~16から分かるように、ドラム2の側方に配置され、ドラム2の回転動作に対して静止している構成要素12は、シャフト9を実装するために、ドラム2の隣接端面に平行に延在する壁部17を有する。ドラム2も、壁部17に回転可能に実装される。
【0047】
図17~19に示すシャフト9の実施形態は、
図17に示す水平視において、その左捻れ領域に左ネジ部分15を有し、その右捻れ領域に右ネジ部分16を有する。これに関して、
図18に示すように、その左捻れ端面に対する平面視において、シャフト9は時計回り方向に回転するものとする。2つのネジ部分は、それぞれ1条ネジであり、シャフト9の回転軸d2に垂直に接続位置において延在する鏡平面に関して相互に対して鏡像関係で配置されるように、シャフトの中心で相互接続される。特に
図17から分かるように、鏡平面は、相互に隣接するネジ部分のネジ山の頂部及びネジ溝を通じて延在する。
【0048】
図20~22に示すシャフト9の実施形態は、2つのネジ部分が
図17~19に示す鏡像配置に対して180°までの角度で相互に対してずれて配置されている点で、
図17~19に示す実施形態と相違する。その中心でシャフト9の回転軸に垂直に配置された接続位置における平面は、一方のネジ部分のネジ山の頂部及び他方のネジ部分のネジ溝を通じて延在する。
【0049】
図23~25に示すシャフト9の実施形態は、シャフト9が各ネジ部分において2条ネジを有する点で、
図17~19に示す実施形態と相違する。
【0050】
図26~28に示すシャフト9の実施形態も、2つのネジ部分が2条構成のものである点で、
図20~22に示す実施形態と相違する。
【0051】
この実施形態は、
図1~10に示す実施形態で用いるシャフト9の構成に対応する。
【0052】
図29~31は、
図17~19に示す実施例と同様に、シャフト9の回転軸d2に垂直な中心平面に関して鏡面対称関係のネジ部が左ネジ部分15及び右ネジ部分16を有するシャフト9を示す。2つの端面に向くその端部において、シャフト9には、当該ネジ部分に直接隣接してその最大径が2つのネジ部分の外径(公称径)よりも大きな円錐台状の拡大部18がそれぞれ設けられる。長手方向に延在する物体を巻回する装置の
図1~10に示す実施形態においてこのシャフトを用いる場合、円錐台状の拡大部18は、巻回される物体のためのドラム2の支持面3上に隆起部分4の側方に配置可能であり、物体1のための受容空間5内に係合可能である。
【0053】
図29~31に示すシャフト9における円錐台状の拡大部18は隆起部分4の内部においてドラム2の受容空間5内に突出するので、これは、シャフト9の回転軸d2に関して同心円状に配置されたスペーサリング20によって、拡大部18と構成要素12の間の接触を回避する。
【0054】
拡大部18は、巻線が隆起部分4に隣接するドラム2の受容空間5において積み上がるのを防止するために、拡大部18に接触する巻回されている物体1の領域14がシャフト9のネジ領域に向かって逸らされることを規定する。
【0055】
上記に対する代替例としてのシャフト9の実施形態を
図32~34に示す。ここでは、シャフト9の各ネジ部分の外径(公称径)は、その2つの端部領域において、各端部領域に隣接するシャフト9の端面に向かう方向に増加する。この対策は、ドラム2の受容空間5の中心に向かって、その高さの増加とともに、巻回されている物体1の巻線の具体的に意図された配置に備えるものである。
【0056】
図17~34に示す実施形態では、シャフト9は、いずれも、回転可能なドラム2に対して静止している構成要素12上又は構成要素12内に回転可能に実装されたスピンドル(不図示)上に回転可能に実装された中空シャフトの形態である。
【0057】
中空シャフトの代わりに、構成要素12が、
図35~37に例示として示すように、その端部において外向きに突出する軸受ジャーナル19を用いてシャフト9を実装することもできる。この例では、シャフト9には、
図26~28に示す実施形態に係る左ネジ部分15及び右ネジ部分16が設けられる。2つのネジ部分間の接続部も、
図26~28に示すように設けられる。
【0058】
図35~37に示すシャフト9を実装するために、ここに例示として説明した他の実施形態と同様に、好ましくは、構成要素12の2つの壁部17が設けられ、その壁部17はドラム2の側方に延在し、壁部17上又は壁部17内にシャフト9が実装可能である。特に、シャフト9に対する2つの端部軸受ジャーナル19は、軸受受容手段(不図示)内に係合可能である。
【0059】
図38~40に示す実施形態では、シャフト9には、連続する2条ネジが設けられる。シャフト9は、ここでも中空シャフトの形態である。
【0060】
長手方向に延在する物体を巻回する装置の
図11~16に示す実施形態において当該シャフトを用いる場合、
図38~40に示すシャフト9が、特に
図13に示すとともにより詳細を前述したように、左ネジ構成で設置可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 物体
2 ドラム
3 支持面
4 隆起部分
5 受容空間
6 デバイス
7 巻線
8 フランジ
9 シャフト
10 ネジ部
11 隙間
12 構成要素
13 供給領域
14 領域
15 左ネジ部分
16 右ネジ部分
17 壁部
18 隆起部分(拡大部)
19 軸受ジャーナル
d1 回転軸
d2 回転軸
r1 回転方向
r2 回転方向
a 矢印
【国際調査報告】