(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】パイプを検査するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/90 20210101AFI20240228BHJP
G01N 27/84 20060101ALI20240228BHJP
G01N 21/952 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G01N27/90
G01N27/84
G01N21/952
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557336
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2022056956
(87)【国際公開番号】W WO2022195002
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516242471
【氏名又は名称】テナリス・コネクシヨンズ・ベー・ブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコリーニ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ボナデオ,ニコラス・ヘルナン
(72)【発明者】
【氏名】ソロザノ,ベニート・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】エチェベリー,ハビエル・イグナシオ
【テーマコード(参考)】
2G051
2G053
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AB03
2G051AC22
2G051BA10
2G051CA04
2G051CB01
2G053AA11
2G053AB21
2G053AB22
2G053BA03
2G053BA12
2G053BB04
2G053BB13
2G053BC14
2G053BC20
2G053CA03
2G053CB24
2G053DB07
(57)【要約】
【課題】パイプを非破壊的に検査するための改善された方法及びシステムを提供する。
【解決手段】第1の長さのパイプを含むシステムの構成部品を検査する方法が提供される。本方法は、第1の長さよりも大きい第2の長さのストックパイプを提供するステップと、ストックパイプを第1の長さに切断して切断済パイプを製造するステップと、非破壊的点検技法を用いて切断済パイプを点検するステップと、を含む。非破壊的点検技法は、切断済パイプの内表面に対して第1の非破壊的検査を実行するステップと、切断済パイプの外表面に対して第2の非破壊的検査を実行するステップと、を含む。本方法は、パイプを点検するステップが欠陥を特定した場合に、切断済パイプを不良品として取り除くステップを更に含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の長さのパイプを含むシステムの構成部品を検査する方法であって、前記方法は、
前記第1の長さより大きい第2の長さのストックパイプを提供するステップと、
前記ストックパイプを前記第1の長さに切断して、切断済パイプを製造するステップと、前記切断済パイプを、非破壊的点検技法を用いて点検するステップとを含み、
前記非破壊的点検技法は、
第1の非破壊的検査を前記切断済パイプの内表面に対して実行するステップと、
第2の非破壊的検査を、前記切断済パイプの外表面に対して実行するステップと、
前記パイプを点検する前記ステップが欠陥を特定した場合には、前記切断済パイプを取り除くステップとを含む、
方法。
【請求項2】
前記第1の非破壊的検査及び前記第2の非破壊的検査はともに、渦電流検査又はレーザー視覚検査である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切断済パイプを回転させて、前記第1の非破壊的検査及び前記第2の非破壊的検査が前記切断済パイプの内表面全体及び外表面全体に対して実行されるようにするステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
磁束漏れ検査を実行するステップを更に含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記磁束漏れ検査は、前記第1の非破壊的検査及び前記第2の非破壊的検査の前に実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の非破壊的検査及び前記第2の非破壊的検査はともに、渦電流検査であり、前記方法は、前記磁束漏れ検査と、前記第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査との間に、前記切断済パイプを消磁するステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記切断済パイプの少なくとも内表面に対して、及び好ましくは前記切断済パイプの外表面に対しても、レーザー視覚検査を実行するステップを更に含み、前記レーザー視覚検査は、前記パイプ上にレーザーを投射することと、前記投射されたレーザーの画像をキャプチャすることとを含み、かつ前記第1の非破壊的検査及び前記第2の非破壊的検査の後で実行される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザー視覚検査(複数可)は、前記第1の非破壊的検査及び前記第2の非破壊的検査が欠陥を特定しなかった場合にのみ実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の長さのストックパイプを提供するステップは、前記ストックパイプをダイを通して引き抜き加工して、前記ストックパイプの外径を減少させるステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ストックパイプは、強磁性材料、好ましくは鋼、最も好ましくは炭素鋼、から形成される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記パイプを点検する前記ステップが欠陥を特定した場合に前記切断済パイプを不良品として取り除く前記ステップは、前記切断済パイプの測定値を閾値と比較することを含み、前記閾値は、前記測定値の前記切断済パイプに沿った長手方向の場所に基づいて変化し、好ましくは、前記閾値は、前記パイプの第1の端部及び第2の端部でより低くなっている、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
製造されている前記システムは、車両のエアバッグインフレータである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
パイプの非破壊的検査のための検査装置であって、
前記パイプに対して配置可能な第1の検査配置であって、N極及びS極を備える少なくとも1つの磁石と、前記N極と前記S極との間に配置されて前記パイプからの磁束漏れを検出する用に配置される1つ以上の磁気センサと、を備える第1の検査配置;
前記パイプに対して配置可能な第2の検査配置であって、前記パイプ中の渦電流を感知するための1つ以上の導電性コイルを備える第2の検査配置;
前記パイプに対して配置可能な第3の検査配置であって、前記パイプ上にレーザーを投射するように配置されている第1のレーザー発光器と、前記レーザーが投射されている前記パイプの画像をキャプチャするように配置されているカメラと、を備える第3の検査配置、
を備える検査装置。
【請求項14】
前記1つ以上の導電性コイルは、
前記パイプの内表面に関連付けられた渦電流を感知するように配置された第1の導電性コイルと、
前記パイプの外表面に関連付けられた渦電流を感知するように配置された第2の導電性コイルとを含む、
請求項13に記載の検査装置。
【請求項15】
前記第1のレーザー発光器は、レーザーを前記パイプの内表面上に投射するように配置され、かつ
前記第3の検査配置は、レーザーを前記パイプの外表面上に投射するように配置された第2のレーザー発光器を備える、
請求項13又は14に記載の検査装置。
【請求項16】
前記1つ以上の導電性コイルは、5mm未満のコイル直径を有する、請求項13~15のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項17】
前記1つ以上の導電性コイルは、アレイ状に配置された、複数のコイル、好ましくは少なくとも8個のコイル、より好ましくは少なくとも16個のコイル、を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項18】
前記複数の導電性コイル中の1つ以上の前記コイルは、アレイ中で互いに重なり合うように配置されている、請求項17に記載の検査装置。
【請求項19】
前記パイプを、前記第1の検査配置、前記第2の検査配置、及び前記第3の検査配置の間で輸送するように配置された運搬手段を更に備える、請求項13~18のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項20】
前記第1の検査配置は、前記第2の検査配置よりも前に配置されている、請求項19に記載の検査装置。
【請求項21】
前記パイプが前記第2の検査配置に輸送される前に、前記パイプを消磁するように配置された消磁器を更に備える、請求項20に記載の検査装置。
【請求項22】
前記第3の検査配置は、前記第1の検査配置及び前記第2の検査配置よりも後に配置され
ている、請求項20又は21に記載の検査装置。
【請求項23】
請求項13~22のいずれか一項に記載の前記検査装置と、
第1の長さのストックパイプを受容し、前記ストックパイプを第1の長さに切断して切断済パイプを製造し、前記切断済パイプを前記検査装置に渡す、ように配置された切断装置と、
を備える組み立てライン。
【請求項24】
エアバッグシステム用のパイプを検査する方法であって、前記方法は、欠陥を特定するために前記パイプを点検することを含み、前記方法は、
前記パイプに対して磁束漏れ検査を実行するステップと、
前記パイプに対して渦電流検査を実行するステップと、
前記パイプ上にレーザーを投射し、前記投射したレーザーの画像をキャプチャすることによって、前記パイプに対してレーザー視覚検査を実行するステップと、を含む
方法。
【請求項25】
前記磁束漏れ検査は、前記渦電流検査及び前記レーザー視覚検査より前に実行される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記磁束漏れ検査を実行するステップと前記渦電流検査及び前記レーザー視覚検査を実行するステップとの間に、前記パイプを消磁するステップを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レーザー視覚検査は、前記磁束漏れ検査及び前記渦電流検査より後に実行される、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記渦電流検査及び/又は前記レーザー視覚検査は、前記パイプの内表面及び外表面に対して実行される、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記磁束漏れ検査、前記渦電流検査、及び前記レーザー視覚検査のうちの少なくとも1つからの測定値を、閾値と比較することにより欠陥が特定され、前記閾値は、前記測定値の前記パイプに沿った長手方向の場所に基づいて変化し、かつ好ましくは、前記閾値は、前記パイプの第1の端部及び第2の端部でより低くなっている、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記磁束漏れ検査、前記渦電流検査、及び前記レーザー視覚検査のうちの少なくとも1つの間に、複数の測定値を取ることによって、欠陥が特定され、かつ前記測定値は、第1の解像度で、前記パイプ上の第1の場所で取られ、前記測定値は、前記第1の解像度とは異なる第2の解像度で、前記パイプ上の第2の場所で取られる、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記磁束漏れ検査、前記渦電流検査、及び前記レーザー視覚検査のうちの少なくとも1つの間に、複数の測定値を取り、かつ、前記パイプ上の異なる場所に対して検出感度を変化させることによって、欠陥が検出感度に基づいて特定される、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプを検査するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パイプは、特に、ストックパイプのより長いセクションから切り出されたものであり得る。そのようなパイプは、例えば、自動車のような車両におけるエアバッグ用のインフレータに使用され得る。あるいは、そのようなパイプは、任意の他の自動車用システム、冷却システム、ドリルバー、又は穿孔工具に使用され得る。
【0003】
インフレータは、パイプの短い切断されたセクションから形成される。パイプの切断されたセクションは、圧力をかけた気体が充填され、両端を封止されている。パイプは、壊れやすい要素で封止されており、この要素は、車両の事故又は衝突が起こるとすぐさま破壊されて、圧力のかかった気体が切断されたパイプから漏出し、膨張して、エアバッグを膨らませることができるような仕組みになっている。例えば、車両の事故により誘爆される少量の花火式の爆破薬が、切断されたパイプに入れられていてもよい。この花火式の爆破薬は、圧力のかかった気体の膨張速度を加速させるものである。典型的には、これらのエアバッグパイプは、ストックパイプの長いセクションから形成されるが、この長いセクションは、冷間引き抜きされてもよく、またエアバッグパイプの必要とする長さに切断され、加工処理されてから、車両の製造業者に送られる。製造プロセス中、ストックパイプの長いセクションは、それを点検して、完成したエアバッグパイプの安全性を危うくしかねないどのような不良も発見しようとする、非破壊的検査装置(複数可)によって点検をされる。超音波及び/又は渦電流式の検査スキャンを、長いストックパイプの外表面に対して用いることが知られている。特に、ストックパイプは、6mから14mの間の長さを有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要求されるレベルの生産性を維持しながらパイプの長いセクションを検査するためには、求められる点検速度は、典型的には、毎秒パイプおよそ1.5mであるが、ストックパイプの長いセクションが可撓性を有していると、それだけ点検が複雑なものとなる。これに加えて、内表面における不連続性を明らかにするには、パイプ外表面しかスキャンできない手法では、それに固有の限界がある。これらの問題の各々は、高い不良品除去率及び誤検知率という結果を招く。ストックパイプのセクションに関して実際の欠陥であるとされるのに十分なほどに重大な不連続性が、この検査によって特定された場合には、このセクションは、修理不能として、残りのストックパイプから切り取られる。その周囲の部分があまりにも短くなった(典型的には、3m未満)という場合には、それらは再点検されることができず、後続のプロセス/機械における加工処理を受けることもできないため、それらもまた廃棄されねばならなくなる。その結果、大量の無駄なストックパイプが発生することになる。
【0005】
これらの問題が、これらのエアバッグ用チューブの製造に関連して特に識別されてきた一方で、そのような問題は、ある長さのパイプを形成し、非破壊的に検査する必要があるどのようなプロセスにも、同じように適用可能である。
【0006】
そのため、パイプを非破壊的に検査するための改善された方法及びシステムに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の長さのパイプを含むシステムの構成部品を検査する方法が提供される。本方法は、第1の長さより大きい第2の長さのストックパイプを提供するステップと、ストックパイプを第1の長さに切断して、切断済パイプを製造するステップと、切断済パイプを、非破壊的点検技法を用いて点検するステップとを含み、非破壊的点検技法は、第1の非破壊的検査を切断済パイプの内表面に対して実行するステップと、第2の非破壊的検査を、切断済パイプの外表面に対して実行するステップと、パイプを点検するステップが、欠陥を特定した場合には、切断済パイプを不良品として取り除くステップと、を含む。
【0008】
パイプをある長さに切り、その後、点検を実行することによって、検査方法のある範囲に対して、内部検査及び外部検査の両方が実行され得る。これにより、検査の正確さを改善することができ、不良品として取り除かれる切断済パイプの数が減少する。
【0009】
第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査はともに、渦電流検査であってよく、又はともにレーザー視覚検査(視覚レーザー検査としても知られている)であってもよい。これらの検査の各々は、一度に、パイプの一方の表面に対してのみ実行され得る。最初にパイプを切断することにより、外表面と内表面との両方を検査することができる。
【0010】
本方法は、切断済パイプを回転させて、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査が、切断済パイプの内表面全体若しくは全直径に対して及び外表面全体若しくは全直径に対して実行されるようにするステップを更に含む。
【0011】
本方法は、磁束漏れ検査を実行するステップを更に含む。磁束漏れ検査は、他のタイプの非破壊的検査によって特定されない異なる不連続性及び/又は欠陥を特定し得る。
【0012】
磁束漏れ検査は、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査より前に実行され得る。渦電流検査において生成される磁場は、相当な時間にわたって残留し得るので、磁束漏れ検査の結果に干渉し得る。それゆえに、磁束漏れ検査は、渦電流検査より前に実行することが好ましい。
【0013】
第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査はともに、渦電流検査であってよく、方法は、磁束漏れ検査と、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査との間に、切断済パイプを消磁するステップを更に含んでいてよい。切断済パイプを消磁することにより、各々の検査が、先行する検査からの干渉を受けないということが保証される。
【0014】
方法は、切断済パイプの少なくとも内表面に対して、及び好ましくは切断済パイプの外表面に対してもレーザー視覚検査を実行するステップを更に含み得るが、レーザー視覚検査は、パイプ上にレーザーを投射することと、投射されたレーザーの画像をキャプチャすることとを含み、かつ第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査の後で実行される。レーザー視覚検査は、渦電流検査又は磁束漏れ検査とは異なる不連続性及び/又は欠陥を特定し得る。
【0015】
好ましくは、レーザー視覚検査(複数可)は、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査が、欠陥を特定しなかった場合にのみ実行される。レーザー視覚検査は、他のタイプの非破壊的検査と比べて、遅い。そのため、レーザー視覚検査は、好ましくは最後に実行される。この遅い検査が、先行する検査をパスしてきたパイプに対してのみ実行されるならば、システムにおける非効率性が低減され得る。
【0016】
第2の長さのストックパイプを提供するステップは、ストックパイプを、ダイを通して引き抜き加工して、ストックパイプの外径を減少させるステップを含み得る。これは、ス
トックパイプをある長さに切断する前に調製する、効果的な方法である。ストックパイプは、ダイを通して冷間引き抜き加工され得る。
【0017】
ストックパイプは、鋼から形成され得る。鋼は、このような切断済パイプ(例えば、車両のエアバッグにおいて使用する切断済パイプ)において使用するのに特に効果的な金属である。
【0018】
パイプを点検するステップが欠陥を特定した場合に、切断済パイプを不良品として取り除くステップは、切断済パイプの測定値を閾値と比較することを含み、閾値は、測定値の切断済パイプに沿った長手方向の場所に基づいて変化する。パイプの異なるエリアは、使用中に、異なる力を受ける可能性がある。検査が、予め、最終製品において使用される長さに実質的に切断されたパイプに対して実行されるので、ストックパイプ(いずれの部分も、最終製品を形成するように切断可能である)と比べて、パイプのどの領域が、異なる力を受けるのかを知ることが可能になる。これが意味するのは、異なる不連続性が、異なる領域で許容され得るということである。例えば、より小さい力を受ける領域は、より大きい力を受ける領域よりも、より大きい不連続性に対応することが可能であり得る。これにより、不良品として取り除かれる割合が、更に低下する。
【0019】
閾値は、パイプの第1の端部及び第2の端部で、より低い値であってよい。車両用エアバッグのようなある実施形態では、パイプの端部には、パイプの中央付近のセクションに比べて、エアバッグの展開中により大きな力がかかり得る。
【0020】
本方法は、切断済パイプが不良品として取り除かれなかった場合に、切断済パイプを製造中のシステム内に組み込むステップを更に含み得る。パイプに欠陥がなければ、製造システムに使用することが可能である。
【0021】
第1の長さは、3mより大きくてよく、特に、6mと14mとの間であり得る。そのような長さは、製造されたストックパイプとしては典型的である。
【0022】
第2の長さは、0.5m未満であり得る。この長さのパイプは、エアバッグインフレータのような工業製品に使用され得る。
【0023】
製造されているシステムは、車両用エアバッグのインフレータであり得る。エアバッグのインフレータは、典型的には、本方法を用いて検査され得るパイプを組み込んでいる。
【0024】
本方法は、切断済パイプに圧力のかかった気体を充填し、例えば、壊れやすい構成部品を用いてパイプの少なくとも1つの端部を封止することによってパイプを閉じることと、パイプを、車両の事故に応答して壊れやすい構成部品を破壊して、切断済パイプから圧力のかかった気体を放出するように構成されている作動メカニズムとともに組み立てることと、を更に含む。これにより、車両のエアバッグに使用される、閉じたパイプが製造される。
【0025】
パイプの非破壊的検査のための検査装置が提供される。検査装置は、前記パイプに対して配置可能な第1の検査配置であって、N極及びS極を備える少なくとも1つの磁石と、N極とS極との間に配置され、パイプからの磁束漏れを検出する用に配置される1つ以上の磁気センサと、を備える第1の検査配置;パイプに対して配置可能な第2の検査配置であって、パイプ中の渦電流を感知するための1つ以上の導電性コイルを備える第2の検査配置;及びパイプに対して配置可能な第3の検査配置であって、パイプ上にレーザーを投射するように配置されている第1のレーザーと、レーザーが投射されているパイプの画像をキャプチャするように配置されているカメラと、を備える第3の検査配置を備える。
【0026】
これらの3つの検査方法を組み込んだ装置は、パイプに対する非破壊的検査を、包括的に実行し得る。
【0027】
1つ以上の導電性コイルは、パイプの内表面に関連付けられた渦電流を感知するように配置された第1の導電性コイルと、パイプの外表面に関連付けられた渦電流を検知/感知するように配置された第2の導電性コイルとを含み得る。渦電流検査は、典型的には、センサが隣接して配置されているパイプの表面上の不連続性を検出することが可能であるのみであるが、それゆえに、パイプの外表面と内表面と両方を検査することは、有益である。
【0028】
第1のレーザーは、レーザーを、パイプの内表面上に投射するように配置されてよく、かつ第3の検査配置は、レーザーを、パイプの外表面上に投射するように配置された第2のレーザーを備えていてよい。レーザー視覚検査は、典型的には、パイプの1つの表面上の不連続性を検出することが可能であるのみであるが、それゆえに、パイプの外表面と内表面と両方を、レーザー視覚検査を用いて検査することは、有益である。
【0029】
1つ以上の導電性コイルは、5mm未満のコイル直径を有し得る。コイル直径は、渦電流検査の解像度を効果的に規定する。すなわち、より小さいコイルは、パイプ内の、より小さい不連続性、したがって欠陥を検出することができる。
【0030】
1つ以上の導電性コイルは、アレイ状に配置された、複数のコイル、好ましくは少なくとも8個のコイル、より好ましくは少なくとも16個のコイルを含み得る。アレイは、パイプのより広いエリアを一度に検査するのを可能にする。
【0031】
複数の導電性コイル中の1つ以上のコイルは、アレイ中で、互いに重なり合うように配置され得る。このように配置されるコイルのアレイは、一般的なノイズを排除するように、ノイズ比を上昇させ得る。
【0032】
検査装置は、パイプを、第1の検査配置、第2の検査配置、及び第3の検査配置の間で輸送するように配置された運搬手段を更に備え得る。運搬手段は、装置を自動化して、パイプが非破壊的検査の全てを迅速に受けることができるようにする助けとなる。検査機器を動かすよりも、切断済パイプを動かす方が好ましい。
【0033】
運搬手段は、回転可能なターンテーブルであってよく、第1の検査配置、第2の検査配置、及び第3の検査配置が、ターンテーブルの周りに円周状に配置されていてよい。これは、非破壊的検査動詞の間をパイプが簡単に移動するのを可能にする、運搬手段にとって効果的な配置である。
【0034】
第1の検査配置は、第2の検査配置より前に配置され得る。第2の検査配置の渦電流検査は、パイプ内に磁場を誘導することができ、この磁場は、第1の検査配置の磁束検査と干渉し得る。それゆえ、そのような干渉を回避するためには、磁束検査をまず実行することが好ましい。
【0035】
検査装置は、パイプが第2の検査配置に輸送される前に、パイプを消磁するように配置された消磁器を更に備え得る。これは、どのようななかなか消えない磁場をも取り除いて、電磁石による測定を含む、後続の非破壊的検査ステップの正確さを改善させるために用いられ得る。
【0036】
第3の検査配置は、第1の検査配置及び第2の検査配置より後に配置され得る。第3の
検査配置のレーザー視覚検査は、計算的に高価であり、かつ遅い。したがって、第1の検査配置又は第2の検査配置が欠陥を特定した場合に、パイプが不良品として取り除かれるということを意味するため、本検査を最後の検査とすることは有益である。そのように特定された欠陥を有するどのようなパイプにとっても、レーザー視覚検査を実行することは必要ではなく、検査装置のスピードを上げ、効率性を上昇させることができる。
【0037】
組み立てラインが提供される。組み立てラインは、まずパイプを、より長いストックパイプから切断して、それからこのパイプを、既に論じた検査装置へと渡す。組み立てラインは、既に論じたような検査装置と、第1の長さのストックパイプを受容し、ストックパイプを第1の長さに切断して切断済パイプを製造し、切断済パイプを検査装置に渡すように配置されている切断装置とを、備える。
【0038】
エアバッグシステム用のパイプを検査する方法が提供される。本方法は、パイプに対して磁束漏れ検査を実行するステップと、パイプに対して渦電流検査を実行するステップと、パイプ上にレーザーを投射し、投射したレーザーの画像をキャプチャすることによって、パイプに対してレーザー視覚検査を実行するステップと、を含む。3つのタイプの非破壊的検査を実行することにより、エアバッグシステム用のパイプに対する効果的かつ効率的な点検が可能になり、不良品として取り除かれるパイプも少なくなる。
【0039】
磁束漏れ検査は、渦電流検査及びレーザー視覚検査より前に実行される。渦電流検査は、磁束検査と干渉し得る磁場をパイプ内に誘導し得る。それゆえ、エラーを回避するためには、磁束検査をまず実行することが好ましい。
【0040】
方法は、磁束漏れ検査を実行するステップと、渦電流検査及びレーザー視覚検査を実行するステップとの間に、前記パイプを消磁するステップを更に含み得る。これは、どのようななかなか消えない磁場をも取り除いて、それによって、非破壊的検査の正確性を改善するために用いられ得る。
【0041】
レーザー視覚検査は、磁束漏れ検査及び渦電流検査よりも後に実行され得る。レーザー視覚検査は遅い。したがって、磁束検査又は渦電流検査が欠陥を特定した場合に、パイプが不良品として取り除かれ得るということを意味するので、この検査を最後の検査とすることは有益である。そのように特定された欠陥を有するどのようなパイプにとっても、レーザー視覚検査を実行することは必要ではなく、検査装置のスピードを上げ、効率性を上昇させることができる。
【0042】
渦電流検査及び/又はレーザー視覚検査は、パイプの内表面/内径及び外表面/外径に対して実行され得る。これらの検査の各々は、検査されている表面上の不連続性及び/又は欠陥を特定するのみである。それゆえ、パイプの外表面と内表面と両方を検査することが好ましい。
【0043】
欠陥は、磁束漏れ検査、渦電流検査、及びレーザー視覚検査のうちの少なくとも1つからの測定値(又は測定値から導出された変数)を、測定値の切断済パイプに沿った長手方向の場所に基いて変化する閾値と比較することによって特定され得る。パイプの使用中、パイプの異なるセクションは、異なる力を受ける可能性がある。それゆえ、それらは、不連続性が、実際の欠陥になる(パイプが不良品として取り除かれる必要がある)前に、異なる重大生の不連続性に適合することが可能であり得る。
【0044】
パイプの第1の端部及び第2の端部では、閾値が異なり、点検中の装置は、パイプの両端部では、不連続性及び/又は欠陥に対してより感度が高くなっている。典型的なエアバッグ用パイプは、パイプの両端で、最大の力を受ける。それゆえ、これらの端部は、パイ
プの中央付近のセクションよりも、強度が高い必要がある。このように、パイプの両端部は、パイプの中央付近のセクションよりも、より小さい不連続性に適応し得る。
【0045】
欠陥は、磁束漏れ検査、渦電流検査、及びレーザー視覚検査のうちの少なくとも1つの間に、複数の測定値を取ることによって欠陥が特定され、かつ測定値は、第1の解像度で、前記パイプ上の第1の場所で取られ、測定値は、第1の解像度とは異なる第2の解像度で、パイプ上の第2の場所で取られる。第1の場所及び第2の場所は、使用中に異なる力を受け得るが、その結果、異なるサイズの欠陥が特定されねばならない。より小さい力を受けるセクションでは、より大きな不連続性は、パイプが不良品として取り除かれることが必要な実際の欠陥として不連続性が分類される前に、容認され得る。それゆえ、このエリアにおける検査の解像度は、より小さいものとなり得るが、その結果、この検査は、そのような小さな不連続性を特定することができないであろう。より大きな力を受けるパイプ上の別の位置では、同じサイズの不連続性が、実際の欠陥になり得る。この別の位置では、そのような小さな不連続性が特定されるように、より高い解像度が用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明は、あくまでも例としてではあるが、以下の添付の図面を参照して説明される。
【
図2A-2B】磁束による検査配置の概略図である。
【
図3A-3B】渦電流による検査配置の概略図である。
【
図3C】2つの渦電流検査で測定されたインピーダンスをプロットした図である。
【
図4A】レーザー視覚検査配置で検査されているパイプにおける不連続性を示す概略図である。
【
図4B】
図4Aの検査において記録された画像をプロットした図である。
【
図5】パイプを検査する方法のフローチャートである。
【
図6】パイプを検査する方法の更なるフローチャートである。
【
図8】エアバッグ用のパイプの概略的断面図である。
【
図9】パイプを許容誤差レベルとともに示す概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本開示による検査装置100を示す。検査装置100は、ある数の検査配置1、2、3から形成される。特に、検査装置100は、第1の検査配置1、第2の検査配置2、及び第3の検査配置3(各々は、検査装置、検査アセンブリとも称される)を含み得る。
【0048】
検査配置1、2、3は、自らに供給された切断済パイプ8に対して、異なる非破壊的検査を実施する。検査配置は、第1の検査配置、第2の検査配置、及び第3の検査配置と記載されるが、それらの検査装置は、それぞれの非破壊的検査を切断済パイプ8に対して、任意の順序で実行し得る。特定の実施形態では、非破壊的検査の順序は指定され得る。
【0049】
上記の長さの切断済パイプ8は、より長いストックパイプ(不図示)から切り出されたものであり得る。各々の長さの切断済パイプ8は、特定の用途に応じてその長さに切断され得る。例えば、各々の長さの切断済パイプ8は、車両のエアバッグシステム内のパイプとして使用され得る(それについては後述する)。上記のより長いストックパイプは、より大径のパイプをダイを通して引き抜き加工、例えば冷間引き抜き加工することによって形成されたものであってよい。ストックパイプは、鋼、例えば炭素鋼から形成され得る。一般に、ストックパイプは、その内部に渦電流が誘導され得る任意の材料、例えば強磁性材料であり得る。
【0050】
切断済パイプ8は、0.5m未満の長さを有し得る。特に、切断済パイプ8は、0.15mと0.4mとの間の長さを有し得る。各々の切断済パイプ8は、切断済パイプ8の長さに沿って軸線方向に延びる長手方向を画定する。切断済パイプ8は、外表面8A及び内表面8Bを有する。内表面8Bは、切断済パイプ8を貫いて形成される孔を画定する。
【0051】
図示されている実施形態では、切断済パイプ8は、コンベアベルト4を介して検査装置100に送達される。しかしながら、切断済パイプ8は、製造プロセスにおいて好適な任意の方法を介して輸送され得る。
【0052】
第1の検査配置1は、切断済パイプ8に対して、第1の非破壊的検査を実行するように構成され得る。第1の非破壊的検査は、磁束漏れ検査であり得る。磁束漏れ検査の基本的概略図が、
図2A及び2Bに図示されている。
【0053】
第1の検査配置1は、少なくとも1つの磁石12を備え得る。磁石12は、適宜、永久磁石又は電磁石であり得る。磁石12は、N極及びS極を有する。第1の検査配置1は、磁石12が切断済パイプ8に隣接するように、切断済パイプ8に対して配置され得る。特に、磁石12のN極及びS極は、切断済パイプ8の長手方向に沿って、互いから離間していてよい。
【0054】
磁石12は、磁場12Aを生成する。この磁場12Aは、切断済パイプ8を貫通する。1つ以上の磁気センサ14が、磁石12のN極とS極との間に配置されている。磁気センサ14は、切断済パイプ8からのいかなる磁束漏れ12Bをも検出するように動作可能である。
【0055】
図2Aは、何らの不連続性及び/又は実際の欠陥を有しない切断済パイプ8のセクションを検査している際の、第1の検査配置1の概略図を示す。磁束12Aは、切断済パイプ8からは漏れていないか、又は少なくとも、同程度には漏れていない。したがって、磁気センサ14は、何らの又は同等の量の磁束漏れ12Bを検出はしない。切断済パイプ8は完璧なものではないので、おそらくある程度の磁束漏れ12Bは存在するであろう。この漏れ12Bのレベルは、磁気センサ14の感度に基けば、磁気センサに記録されるには、低すぎるレベルであり得る。
【0056】
あるいは、磁束漏れ12Bの測定値を切断済パイプ8に関する特定の閾値と比較することによって、実際の欠陥が検出されたと決定するようになっていてもよい。後ほどより詳細に論じるように、閾値は、複数の検査の結果を考慮に入れるハイブリッドの閾値であってよい。あるいは、又は追加的に、閾値は、切断済パイプ8に沿った長手方向の測定位置に基づいて、変化するようになっていてもよい。いずれにしても、第1の検査配置1は、
図2Aの検査は、切断済パイプ8に欠陥を特定することがなく、したがって検査装置100が、切断済パイプ8を不良品として取り除くことはないということを一般的に示している。
【0057】
図2Bは、不連続性8Cが存在する切断済パイプ8の更なるセクションを示す。図示されている不連続性8Cは、切断済パイプ8における凹みであるが、これは、例えば切り欠け、隆起、又は他の製造中に生じた不連続性など、任意の不連続性8Cであってよい。
【0058】
不連続性8Cにより、切断済パイプ8を貫通する磁場12Aは、磁束漏れ12Bを発生させる結果となる。この磁束漏れ12Bは、磁気センサ14により検出される。したがって、上記のことが意味するのは、第1の検査配置1により不連続性8Cが特定されて、かつ切断済パイプ8が、不良品として取り除かれ得るということである。上述のように、不
連続性8Cのサイズを決定するために、磁気センサ14からの信号を閾値と比較してもよい。これは、不連続性8Dが欠陥であるので、切断済パイプ8が、不良品として取り除かれるための閾値を、不連続性8Cが満たすかどうかを示すために用いられてもよい。すなわち、不連続性8Cの重大性が、閾値を超える信号を発生させるには大きすぎない場合、切断済パイプ8は、不良品として取り除かれなくてもよい。
【0059】
磁束漏れの感知の解像度は、磁気センサ12のコイルのサイズによって規定されてもよい。本実施形態では、15mm未満のコイルが使用され得る。コイルのサイズは、求められるサイズの不連続性を検出するため、具体的な使用事例に対して選択される。
【0060】
磁束漏れ検査の性質上、不連続性8Dを検出するには、不連続性8Dが、切断済パイプ8の外表面8A上若しくは切断済パイプ8の内表面8B上、又はそれらの間のどこかのうちのいずれに形成されているかに関わらず、切断済パイプ8の外表面8Aに対して検査をすれば十分であり得る。中実のロッドの場合(すなわち、パイプではない場合)には、いかなる磁束漏れ検査を行っても、表面破損不連続性以外のものしか検出することはできないであろう。
【0061】
切断済パイプ8の内表面8B及び外表面8Aの全体が検査され得るように、切断済パイプ8は、第1の検査配置1で回転されてもよい。すなわち、切断済パイプ8をその場で回転するために、第1の検査配置1に、又は第1の検査配置1の一部として、回転装置が存在してもよい。これは、切断済パイプ8に影響を及ぼす1つ以上のホイールなどの回転部材であってもよい。もちろん、他の任意の好適な装置もまた提供され得る。
【0062】
第2の検査配置2の動作について、
図3A及び
図3Bを参照しつつ説明する。第2の検査配置2は、渦電流検査であり得る。これをその最も簡略化された形態で、
図3A及び3Bに示す。
【0063】
1つ以上の導電性コイル21が提供されている。特に、これらの導電性コイル21は、巻線状にされた導電性ワイヤから形成され得る。交流の電流(AC)が、導電性コイル21を通って流れる。その結果、導電性コイル21は、自身の周りに交流磁場を発生させる。生成される磁場は、AC電流と同じ周波数で交替する。
【0064】
第2の検査配置2は、導電性コイル21が、切断済パイプ8に対して概ね隣接し、かつ切断済パイプ8の内部に渦電流23を誘導するように、切断済パイプ8に対して配置される。
【0065】
切断済パイプ8の内部に生成された渦電流23は、導電性コイル21の内部に生成された渦電流23と逆向きである。切断済パイプ8におけるいかなる不連続性8Cの存在も、誘導される渦電流23における変化をもたらす結果となる。これらの変化は、誘導された渦電流23の振幅及び/又はパターンの中断又は変化を含み得る。
【0066】
渦電流23における変化は、導電性コイル21における電子の移動に影響を及ぼし、それによって、導電性コイル21のインピーダンスを変化させる。導電性コイル21のインピーダンスの変化は、切断済パイプ8における不連続性8Dを特定するために使用することができる。
【0067】
図3Aは、なんらの不連続性8Dもない切断済パイプ8のセクションに対して、第2の検査配置2によって実行されている渦電流検査を示す。図からわかるように、渦電流23は、規則正しくかつ中断されていない。このことが意味するのは、導電性コイル21のインピーダンスは、基準値Zrからそれほど逸脱しないということである。この逸脱がない
ことは、切断済パイプ8が、その検査された領域において、不連続性8Cを有しておらず、したがって不良品として取り除かれるべきではないということを示す。ここでも、第1の検査ステーション1の場合と同様に、不連続性8Cが欠陥であり、それゆえ、切断済パイプ8を不良品として取り除く正当な根拠となるのに十分名程度に重大であるかどうかを考慮するために、測定されるインピーダンスを閾値と比較してもよい。例えば、閾値は、基準インピーダンスZrからの特定の逸脱に基づいてもよい。これは、測定されるインピーダンスの大きさ及び/又は位相特性に基くことも可能である。
【0068】
図3Bは、不連続性8Cを有する切断済パイプ8のセクションに対して、第2の検査配置2によって実行されている渦電流検査を示す。AC電流が、
図3Aの場合と同様に、導電性コイル21に印加され、それに関連する渦電流23が切断済パイプ8のセクションに誘導されている。しかしながら、切断済パイプ8は不連続性8Cを有しているので、誘導される渦電流23は、その不連続性8Cによってゆがめられている。これは単純に、
図3Bにおいて、不連続性8Cの形状に従う渦電流23として反映されている。
【0069】
不連続性8Cによって渦電流23がゆがめられている結果として、ゆがめられた渦電流23は、導電性コイル21内の電子の流れに影響を及ぼし、それによりそのインピーダンスを変化させる。このように、導電性コイル21の測定されるインピーダンスが変化する。
【0070】
図3Cは、
図3Bにおいて測定されるインピーダンス(符号Zfで表される)が、基準インピーダンスZrとどのように異なっているかを示す。特に、この測定されるインピーダンスZfは、基準インピーダンスZrと比較した場合に、異なる大きさ及び/又は異なる位相を有し得る。測定されるインピーダンスZfと基準インピーダンスZrとの間の差は、切断済パイプ8のセクションにおける不連続性8Cを特定するのに使用することが可能であり、かつ不連続性が実際の欠陥であるかどうかを判定するのに使用可能である。
【0071】
渦電流検査を行う際の解像度は、導電性コイル21のコイルサイズによって本質的に規定される。本実施形態では、コイルサイズは5mm未満であり得る。
【0072】
切断済パイプ8の広いエリアにわたって不連続性8Cを検出するために、導電性コイル21は、アレイ状に配置され得る。特に、アレイは、少なくとも8個又は16個の導電性コイル21を含み得る。アレイ内の導電性コイル21は、互いに重なり合うように配置され得る。
【0073】
このような渦電流検査は、典型的には、導電性コイル21がそこに隣接して配置される表面上の不連続性を検出するのみである。このように渦電流検査は、典型的には、導電性コイル21が、切断済パイプ8外表面8A又は外表面8Bのうちのどちらの表面に隣接して配置されるかに応じて、外表面8A又は外表面8Bに特有のものとなる。
【0074】
第2の検査配置2は、切断済パイプ8の外表面8Aと内表面8Bとの両方に対して、渦電流検査を実行し得る。これは、多くの方法で実現し得る。例えば、導電性コイル21は、切断済パイプ8の外表面8A隣接して配置される第1の位置と切断済パイプ8の内表面8Bとの間を移動することができる、関節型構成部品上に配置され得る。例えば、関節型構成部品は、切断済パイプ8の孔内に挿入可能なアームとして形成され得る。
【0075】
あるいは、第2の検査配置2は、第1の検査ステーション及び第2の検査ステーションを含み得る。第1の検査ステーションは、切断済パイプ8の外表面8Aに隣接して配置され得る、少なくとも1つの導電性コイル21を含み得る。第2の検査ステーションは、切断済パイプ8の内表面8Bに隣接して配置され得る、少なくとも1つの導電性コイル21
を含み得る。
【0076】
切断済パイプ8は、外表面8A及び/又は内表面8Bの全体が検査され得るように、第2の検査配置2で回転されてもよい。すなわち、切断済パイプ8をその場で回転するために、第2の検査配置1に、又は第2の検査配置2の一部として、回転装置が存在してもよい。これは、切断済パイプ8に影響を及ぼす1つ以上のホイールなどの回転部材であってもよい。もちろん、他の任意の好適な装置もまた提供され得る。
【0077】
このように、第2の検査配置2は、切断済パイプ8の外表面8Aと内表面8Bとの両方に対して、渦電流検査を実行し得る。
【0078】
渦電流検査を実行すると、切断済パイプ8内に磁場が生成される。そのため、第1の検査アセンブリ1の磁束漏れ検査を、第2の検査配置2の渦電流検査より前に実行することは有益である。そうでなければ、切断済パイプ8内に、なかなか消えない渦電流23が存在すると、磁束漏れ検査に干渉し得る磁場が発生し得る。
【0079】
渦電流検査を実行する前には、切断済パイプ8を消磁することが有益である。特定の実施形態では、第1の検査配置1の磁束漏れ検査と、第2の検査配置2の渦電流検査との間に、消磁(排磁としても知られる)ステップが実行される。
【0080】
この消磁は、第1の検査配置1内で、切断済パイプ8が、第2の検査配置2に、渦電流検査のために移送される前に実行され得る。特に、消磁は、切断済パイプ8に、磁気ヒステリシス曲線にしたがって切断済パイプ8を消磁する電流を印加することによって実行され得る。
【0081】
第3の検査配置3の動作について、
図4、4A、及び4Bを参照しつつ説明する。
【0082】
第3の検査配置3は、レーザー視覚検査(視覚レーザー検査としても知られる)を実行し得る。この検査を実行するために、レーザー発光器32が、レーザービーム34を発するように配置され得る。レーザービーム34は、特に、扇状ビームであり得る。あるいは、レーザービーム34は、レーザー視覚検査を実行するために好適な任意のビームであってよい。レーザービーム34は、投射線36を形成するために、切断済パイプ8上に投射される。投射線36は、一般に、切断済パイプ8の長手方向に沿って示されるが、この投射線36は、同様に任意の他の方向(例えば、長手方向と直角な方向など)に投射され得る。
【0083】
切断済パイプ8の外表面8A全体を検査するために、投射線36が、実質的に、切断済パイプの外表面8Aの全面上に投射されるように、切断済パイプ8を回転させてもよい。例えば、投射線36が切断済パイプ8の長手方向に沿っている場合には、切断済パイプ8を、その長手方向中央軸線周りに回転させてもよい。すなわち、切断済パイプ8をその場で回転するために、第3の検査配置3に、又は第3の検査配置3の一部として、回転装置が存在してもよい。これは、切断済パイプ8に影響を及ぼす1つ以上のホイールなどの回転部材であってもよい。もちろん、他の任意の好適な装置もまた提供され得る。
【0084】
一般にレーザービーム34を横切る視野を有するカメラ38が、提供される。特定の実施形態では、カメラ38の視野は、レーザービーム34と概ね直交し得る。
【0085】
カメラ38は、投射線36の画像をキャプチャして、かつその画像を用いて、切断済パイプ8に沿ってなんらかの不連続性8Cがあるかどうかを決定する。
図4は、切断済パイプ8の外表面8Aに向けられたレーザー発光器32及びカメラ38を示しているが、本方
法は、切断済パイプ8の内表面8Bにも同様に適用可能である。
【0086】
切断済パイプ8の内表面8Bを検査するために、検査プローブが、切断済パイプ8の中に挿入されてもよい。検査プローブは、投射線36が切断済パイプ8の内表面8Bを回って円周状になるように、レーザービーム34を発し得る。カメラ38は、検査プローブの構成部品として提供されてもよく、又は切断済パイプ8の反対側の端部から投射線36を見るようになっていてもよい。検査プローブは、切断済パイプ8の孔内に漸次挿入され、全長が、その内部から視覚的に点検され得るようになっている。
【0087】
特定の配置では、検査プローブは、一回につき、切断済パイプ8の特定の部分についてのみその内表面8Bを視覚的に点検するのを可能にする視野を有し得る。内表面8B全体を検査するために、検査プローブを静止させた状態に保ちつつ、切断済パイプ8が回転されてもよい。例えば、検査プローブは、内表面8Bの第1の部分を検査するために、切断済パイプ8の全長に沿って、第1の方向に挿入されてもよい。ひとたび切断済パイプ8の全長が、この部分に沿って検査されたならば、切断済パイプ8を回転し、かつ検査プローブを装置から、第1の方向とは反対の第2の方向に取り出してもよい。検査プローブが取り出されつつある間に、検査プローブは、切断済パイプ8の第2の部分を検査することも可能である。これらのステップは、切断済パイプ8の内表面8B全体を視覚的に点検するために必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0088】
特定の配置では、検査プローブは、切断済パイプ8の内表面8Bの周りで互いに180°離間した、2本のレーザービーム34を発し得る。すなわち、各々のレーザービーム34は、互いに逆方向になっている。これらのレーザービーム34は、約100°の内周にわたって、カメラ38によって通常測定され得る投射線36を投射し得る。それゆえ、そのようなプローブによって画定される第1のセクションは、約200°又は切断済パイプ8の内表面8Bの55%をカバーするであろう。そのような検査プローブが、切断済パイプ8の全長を移動した後で、切断済パイプ8は、その長手方向軸線の周りに90°回転されてもよい。その後、検査プローブは、切断済パイプ8から取り出されることができ、かつそれが取り出される間に、切断済パイプ8の内表面8Bの第2の部分を検査することができる。第1のセクションと第2のセクションとの間には、ある程度の重なり合いが存在して、切断済パイプ8の内表面8B全体が、検査プローブの挿入と取り出しとによって検査されるようになっている。もちろん、検査プローブの他の配置も可能である。
【0089】
カメラ38によりキャプチャされた投射線36の可増のプロファイルは、切断済パイプ8のセクション上のいかなる不連続性8Cの存在をも示す。切断済パイプ8に、概ねなんらの不連続性8Cもないという場合には、投射線36のプロファイルは概ね直線的なものとなる。いかなる不連続性8Cも、投射線36のプロファイルにおいて、対応する逸脱(これを特定することは可能である)を導入することになる。ここでも、逸脱を閾値と比較して、逸脱が閾値を超えている(その場合には、切断済パイプ8が、不良であるとして取り除かれる結果となる)かどうかを考慮してもよい。
【0090】
図4A及び
図4Bは、不連続性8Cを有する切断済パイプ8のセクションに対して使用されている第3の検査配置3のレーザー視覚検査を示す。投射線36は、レーザー発光器32から、切断済パイプ8のセクションを横切る投射である。切り欠けという形態の不連続性8Cが存在するので、投射線36は、不連続性8Cの形状に沿っている。
図4Bは、カメラ38によって検出される、投射線36の画像36Aを示す。
【0091】
投射線36の画像36Aは、完全にまっすぐな線からの逸脱36Cを含む。この逸脱36Cは、切断済パイプ8における不連続性8Cの形状に対応する。画像36Aのプロファイルは、切断済パイプ8内の不連続性8Cを特定するために吟味され、かつ切断済パイプ
8を不良品として取り除くという決定をするために使用され得る。例えば、これは、画像解析ソフトウェアを用いて実行されてよい。このようなレーザー視覚検査は、切断済パイプ8内の凹みを特定するのに特に効果的である。
【0092】
第2の検査配置2の渦電流検査と同様に、第3の検査配置3のレーザー視覚検査は、レーザー発光器32が投射線36を投射している切断済パイプ8の表面に特異的なものである。図示されている例では、これは外表面8Aである。しかしながら、これはまた、切断済パイプ8の内表面8Bに適用することも可能である。
【0093】
特定の実施形態では、第3の検査配置3は、切断済パイプ8の外表面8Aと内表面8Bと両方に対してレーザー視覚検査を実行するように構成され得る。ここでも、これは、外表面8A及び内表面8Bを点検するための位置から位置へと移動され得るように、それぞれ対応する関節型構成部品上に配置されたレーザー発光器32及びカメラ38によって行われ得る。あるいは、第3の検査配置3は、第1の検査ステーション及び第2の検査ステーションを含み得る。第1の検査ステーションは、投射線36を、切断済パイプ8の外表面8A上に、対応する第1のカメラ38を用いて投射するように配置された第1のレーザー発光器32を含み得る。第2の検査ステーションは、投射線36を、切断済パイプ8の内表面8B上に、対応する第2のカメラ38を用いて投射するように配置された第2のレーザー発光器32を含み得る。第1のレーザー発光器32及び第2のレーザー発光器32、並びに/又はカメラ38は、例えば、対応する位置に移動されることによって、2つの検査ステーションどうしの間で、同じものであってもよくかつ共有されてもよい。
【0094】
特定の実施形態では、第3の検査配置3のレーザー視覚検査は、実行される最後の非破壊的検査であり得る。すなわち、切断済パイプ8は、まず第1の検査配置1の磁束漏れ検査にかけられてよく、かつ/又は適宜、第2の検査配置2の渦電流検査にかけられてよい。レーザー視覚検査は、投射線36の画像36Aを検出するために、画像解析を要する。これは、比較的プロセッサ集約的なものである。それゆえ、他の非破壊的検査を、有効なファーストパス検査として用いることが有益であり得る。先行する非破壊的検査が、切断済パイプ8内に、実際の欠陥である不連続性8Cを特定した(これは、その切断済パイプ8は不良品として取り除かれねばならないということを意味する)場合、レーザー視覚検査は、すでに不良品として取り除かれるものとして既にマーク済みのその特定のパイプ8に対して実行されなくてもよい。
【0095】
これが意味するのは、プロセッサ集約的レーザー視覚検査は、第1の検査配置1及び/又は第2の検査配置2が、既に実際の欠陥を特定しているパイプ8に対しては実行されないということである。これは、比較的遅いレーザー視覚検査を、これらの先行する検査をパスした切断済パイプ8にのみ実行することにより、検査装置100のスピードを高める助けとなることが可能である。
【0096】
検査装置100は、切断済パイプ8を、第1の検査配置1、第2の検査配置2、及び第3の検査配置3の間で輸送するための運搬手段を更に備え得る。これは、検査配置1、2、3の順序が決定される方法であり得る。特定の実施形態では、運搬手段は、回転可能なターンテーブル15であり得る。第1の検査配置1、第2の検査配置2、及び第3の検査配置3の各々は、ターンテーブル15の周りの、周方向に分布した場所として配置され得る。したがって、ターンテーブル15が回転すると、切断済パイプ8は、検査配置1、2、3の間を移動する。もちろん、例えば、リニアコンベア、ロボットアーム、又は任意の他の好適な手段のような、任意の他の好適な運搬手段を使用してもよい。
【0097】
ひとたび切断済パイプ8が検査されたならば、切断済パイプ8は、例えば、出口コンベア17を介して、検査装置100から取り出され得る。容認されない欠陥8Cを有すると
決定されたいかなる切断済パイプ8も、不良品として取り除かれて、切断済パイプ8が組み込まれるいかなるシステムを製造するためであっても使用されない。
【0098】
既に記したように、検査配置1、2、3のうちの1つ以上が、必要とされる特定の検査レジームに基いて、省略されてもよい。同様に、検査配置1、2、3は、任意の好適な順序で配置され得る。これまでの説明は、特に切断済パイプ8に関するものであったが、検査装置100は、代替的方法を介して適切な長さに形成されたものを含む、他のタイプのパイプに適用され得るということに留意されたい。
【0099】
検査配置1、2、3に対するハイブリッドの閾値について、既に完結に言及した。これらは、組み合わせた値を、複数の非破壊的検査方法の結果に対して採用することを、本質的に可能にするものである。この組み合わせた値は次に、なんらかの不連続性8Cが、パイプ8を不良品として取り除くことを要する実際の欠陥となるかどうかを決定するために、組み合わされた閾値と比較され得る。組み合わせた値は、単純な合算か、又はより複雑な式によって計算され得る。特定の実施形態では、組み合わせた値の計算において、異なるタイプの非破壊的検査の結果に重みづけをしてもよい。
【0100】
この意味で、所与の非破壊的検査に対して個々には許容可能であり得る測定値であっても、累積的には、実際の許容されない欠陥8Cがパイプ8に存在する(そのため、そのパイプ8は不良品として取り除かれねばならない)ということを特定するために用いられてもよい。
【0101】
ここで、本開示による方法を、
図5及び
図6について説明する。これらの方法は、
図1の検査装置100で実行され得る。あるいは、これらの方法は、任意の好適な装置又は任意の好適な装置の組み合わせを用いて実行され得る。
【0102】
図5は、第1の長さのパイプを含むシステム用の構成部品を検査する方法を示す。第1の長さよりも長い第2の長さを有するストックパイプが提供される。既に論じたように、これは、例えば、冷間引き抜き加工のようにより大径のパイプをダイを通して引き抜き加工することのような任意の好適な方法によって提供され得る。
【0103】
次にストックパイプが、第1の長さに切断されて、切断済パイプ8が製造される。切断は、任意の好適な方法を介して行われ得る。
【0104】
次に切断済パイプ8が、非破壊的点検技法を用いて点検される。この点検は、切断済パイプ8の外表面8A及び内表面8Bに対してそれぞれ実行される2つのステップを含む。フローチャートには、外表面8Aに対する第1の非破壊的検査の後に、内表面8Aに対する第2の非破壊的検査が続くように図示されているが、これは本方法に必ずしも必要というわけではない。実際、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査の順序は逆であってもよく、又は両者は同時であってもよい。
【0105】
第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査の各々は、切断済パイプ8における、実際の欠陥である不連続性8Cを特定し得る。「実際の欠陥(『欠陥』と短縮される場合もある)」という用語は、切断済パイプ8が不満足なものであるのに十分な不連続性8Cを意味する。すなわち、完璧である切断済パイプ8なるものは存在せず、すべての切断済パイプ8がなんらかの不連続性を有するであろうということを理解されたい。しかしながら、非破壊的検査は、特定の感度で、不連続性を特定し得る。このように、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査は、切断済パイプ8が特定の所与の規格を満たすのを妨げ、それゆえに実際の欠陥である不連続性8Cを特定するに過ぎない。不連続性8C又は欠陥に対するいかなる言及も、この文脈において理解されねばならない。
【0106】
第1の非破壊的検査及び/又は第2の非破壊的検査により、実際の欠陥となる不連続性8Cが特定され、その切断済パイプは、不良品として取り除かれる。不良品として取り除かれることで、その切断済パイプ8は、切断済パイプ8を組み込んだシステムの将来の製造から撤収される。不良品として取り除かれた切断済パイプ8は、適宜スクラップに回されるか、リサイクルされてよい。不良品として取り除かれた切断済パイプ8は、それでもなおその切断済パイプ8が満たすより厳しくない許容誤差を有するシステムに、適宜組み込まれてもよい。
【0107】
フローチャートは、この不良品として取り除くことを、単一の意思決定ステップとして図示しているが、本方法は、それぞれが各非破壊的検査の後に実行される、2つの別々の意思決定を実行してもよいということに留意されたい。すなわち、切断済パイプ8が、第1の非破壊的検査をパスできない場合には、第2の非破壊的検査を実行することなく、即座に不良品として取り除かれてもよい。このことは、第2の非破壊的検査が最初に実行される場合においても、適用可能である。
【0108】
第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査で、実際の欠陥であるなんらの不連続性8Cも特定できなかった場合には、その切断済パイプ8は合格とされ、かつ引き続き製造プロセスで使用されて、その切断済パイプ8を組み込んだ製品が製造される。
【0109】
第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査は、
図3A~3Cに関連した既に説明したように、渦電流検査であり得る。あるいは、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査は、
図4~4Bに関連して既に説明したように、レーザー視覚検査であり得る。
【0110】
本方法は、
図2A又は
図2Bに関連して既に説明したように、磁束漏れ検査を実行するステップを更に含み得る。そのような磁束漏れ検査は、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査の後に実行され得る。すなわち、本システムは、磁束漏れ検査を実行し、かつその後第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査を実行してもよい。
【0111】
既に論じたように、先行する磁束漏れ検査を伴う、第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査が渦電流検査である実施形態では、切断済パイプ8を消磁することが必要となり得る。切断済パイプ8は、磁束漏れ検査を実行した後かつ第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査を含む非破壊的点検技法を実行する前に消磁され得る。
【0112】
既に
図4~
図4Bに関連して論じたように、レーザー視覚検査も、切断済パイプ8に対して実行され得る。特に、このレーザー視覚検査は、切断済パイプ8の外表面8Aと内表面8Bとの両方に対して実行され得る。レーザー視覚検査は、磁束漏れ検査並びに第1の非破壊的検査及び第2の非破壊的検査を適宜実行した後に、切断済パイプ8に対して実行される最後の検査であり得る。レーザー視覚検査は、先行する検査が、切断済パイプ8における実際の欠陥となる不連続性8Cを特定しなかった場合にのみ実行されてよい。
【0113】
切断済パイプ8に適用される検査の各々は、切断済パイプ8内の、実際の欠陥となる(それが意味するのは、その切断済パイプ8が不良品として取り除かれねばならないということである)不連続性8Cを特定するためのものである。この分析は、検査中に取られた切断済パイプ8の不連続性8Cの測定値を、閾値と比較することによって実行され得る。測定値が閾値を超えた(又は適宜、閾値未満である)場合には、不連続性8Cが実際の欠陥であるため、その切断済パイプ8は、不良品として取り除かれ得る。
【0114】
多くの用途において、使用中、切断済パイプ8の異なるエリアが異なる応力を受ける場合があり得る。これが意味するのは、切断済パイプ8の異なるエリアは、異なる力に耐え
ることが求められ得るということである。より小さい力に耐える必要のある切断済パイプのエリアは、より大きい力に耐える必要があるエリアにおいては実際の欠陥となるであろう不連続性8Cを、組み込むことが可能であり得る。例えば、切断済パイプ8にあるより深い切り欠け(それゆえ不連続性)は、比較的小さい力に耐えればよい領域においては許容可能であり得る。同じ切り欠けの深さ(それゆえ、不連続性)は、より大きい力に耐える必要がある切断済パイプ8の領域では許容不可能であり得る。それゆえ、不連続性8Cが実際の欠陥であるか否かを特定するために使用される閾値は、切断済パイプ8上のどこで測定値を取るかに基づいて変動し得る。例えば、閾値は、長手方向及び/又は周方向の測定場所に基いて、変動し得る。同様に、閾値は、切断済パイプ8の外表面8A及び内表面8Bに対して異なるものであり得る。エアバッグ用の切断済パイプ8に関連するこれの特定の用途は、
図9に関連して後で説明する。
【0115】
既に述べたように、
図5の方法は、
図1の検査装置100の適切な要素又は任意の好適な装置を用いて実行され得る。
【0116】
更なる方法が
図6に示されている。この方法は、エアバッグシステムに用いるのに好適なパイプ8を検査するためのものである。特に、背景のセクションに記載されているように、エアバッグシステムにおいて使用するためにパイプ8を調製するためには、パイプ8は、検査プロセス後に更なるステップを受ける場合があり得る。
【0117】
パイプ8が提供される。パイプ8は、より長いストックパイプから切断済パイプ8が切断される先行する開示にしたがって提供され得る。あるいは、パイプ8は、その目的に照らして好適なサイズで、任意の好適な方法を通して提供されてもよい。
【0118】
3つの別々の非破壊的検査方法(磁束漏れ検査、渦電流検査、及びレーザー視覚検査)が、パイプ8に適用される。これらの検査は、
図1の検査装置100を用いて又は任意の好適な装置を用いて、実行され得る。
図6は、特定順序の3つの検査を示しているが、これは必ずしもそうであるというわけではなく、検査は、適宜任意の順序でかつ/又は同時に実行され得る。
【0119】
本方法の特定の実施形態は、ステップのある順序を含む。特に、磁束漏れ検査は、渦電流検査及びレーザー視覚検査より前に実行され得る。任意選択的に、パイプ8は、磁束漏れ検査後であってかつ渦電流検査前に消磁され得る。
【0120】
更なる実施形態では、レーザー視覚検査が最後に実施され得る。レーザー視覚検査は、既に
図4~
図4Bに関連して述べたように、レーザーの投射及びレーザーの画像のキャプチャを伴う。
【0121】
図6は、検査が、パイプ8における実際の欠陥を特定したかどうかを考慮するために、検査の各々の後に行われる意思決定を示す。パイプ8において欠陥が特定された場合には、パイプ8は不良品として取り除かれ、かつエアバッグの製造においては使用されない。これは、既に論じた欠陥特定方法のいずれかにしたがって実行され得る。本方法が、この意思決定を各検査の後に含む必要はない。その代わりに、これらの意思決定のうち1つ以上は、複数の検査が実行された後で行われる合同の意思決定に統合され得る。例えば、本方法は、同時に、磁束漏れ検査及び/又は渦電流検査が欠陥を特定したか否かをチェックし得る。
【0122】
検査のうちのいずれかが欠陥を特定した場合には、パイプ8は即座に、不良品として取り除かれてよく、かつそれ以上の検査を実行しなくてもよい。これは特に、レーザー視覚検査について該当し得る。
図4~4Bに関連して既に論じたように、本検査は、比較的プ
ロセッサ集約的でありかつ速度が遅いものである。したがって、既に磁束漏れ検査又は渦電流検査などの先行する検査において欠陥が特定されることによって、先行する検査を不合格となったパイプ8に対して、この検査を実行しないことは好ましい場合があり得る。
【0123】
既に論じたように、渦電流検査及び/又はレーザー視覚検査は、パイプ8の外表面8Aと内表面8Bとの両方に対して実行され得る。
【0124】
この方法にしたがってもパイプ8に、実際の欠陥が一つも特定されない場合には、パイプ8は、エアバッグを膨張させるためのエアバッグパイプ70を製造するために使用され得る。
【0125】
エアバッグパイプ70が、
図7及び
図8に図示されている。エアバッグパイプ70は、上記の方法のうちのいずれかにかけられたパイプ8から形成される。パイプ8には、加圧された気体72が充填されている。この加圧された気体72は、例えば、完全に又は部分的に、ヘリウム、アルゴン、酸素、及び一酸化二窒素の混合物であり得る。次にパイプ8は、提供される壊れやすい要素で封止される。壊れやすい要素は、エアバッグパイプ70の端部のうちの一方を、実質的に形成し得る。壊れやすい要素は、車両の事故に続いて破壊されるように配置され、加圧された気体72を放出し、エアバッグを膨張させるようになっている。
【0126】
壊れやすい要素の破壊は、例えば、少量の花火式の爆破薬74及び点火器76で誘爆され得る。花火式の爆破薬74は、例えば、シリコン系バインダと、過塩素酸アンモニウム及び硝酸ナトリウムに基いた酸化爆破薬とを有する複合推進薬を含み得る。万一車両の衝突が発生した場合、点火器76が花火式の爆破薬に点火して、壊れやすい要素を破壊し、かつ加圧された気体72を放出させてエアバッグを膨張させる。もちろん、壊れやすい要素は、衝突中に、任意の好適な様式で破壊されてもよく、その様式には、例えば、花火式の爆破薬74を用いないシステムが含まれてもよい。
【0127】
既に論じたように、本検査方法は、切断済パイプ8における不連続性8Cが実際の欠陥であるか否かを決定するために、測定値を閾値と比較してもよい。この閾値は、測定の場所に基いて異なってもよい。例えば、エアバッグパイプ70において、最大の力がかかるのは、エアバッグパイプ70の両端部である。したがって、エアバッグパイプ70の両端部に対する閾値は、より低くてもよい。
【0128】
これは、エアバッグパイプ70を形成するためのパイプ8の概略図を示す
図9に図示されている。パイプ8の第1の端部及び第2の端部では、より低い閾値が、非破壊的検査のために適用されている。このように、同じ不連続性8Cであっても、それが、中央付近のセクションに存在する場合には閾値を超えず、そのためこの中央付近のセクションにおいては、実際の欠陥とはならないということが起こり得る。他方で、その不連続性8Cは、第1の端部又は第2の端部に存在する場合には、そのより低い閾値を超えてしまい、これらの端部においては、実際の欠陥となってしまう。
【0129】
エアバッグパイプ70においては、2つの端部どうしも互いに異なる閾値を有し得るということも更に留意されたい。使用中、展開の最中には、一方の端部は、より大きな応力を受けることがあり得る。検査中、パイプ8の一方の端部は、後で識別可能なように、マーキングされてもよい。これが意味するのは、パイプ8の各々の端部に対して異なる閾値が適用されてもよいということである。
【0130】
パイプの異なる領域において、異なるサイズの不連続性が許容可能であり得るので、非破壊的検査は、異なる領域において異なる解像度で実行され得る。例えば、より小さい不
連続性8Cが実際の欠陥であると分類される、エアバッグパイプ70の端部領域では、エアバッグパイプ70の中央付近のセクションで使用される検査装置と比べて、より高解像度の検査装置が使用され得る。例えば、渦電流検査は、アレイ状に配置された多くの導電性コイル21を含み得るが、導電性コイル21の第1のサブセットが、エアバッグパイプ70の一端部に隣接して配置され、導電性コイル21の第2のサブセットが、エアバッグパイプ70の中央付近のセクションに隣接して配置される。導電性コイル21の解像度は、導電性コイル21の第1のサブセットが、導電性コイル21の第2のサブセットよりもより高い解像度を有するように、コイルサイズを調整することによって変化させてもよい。こうして、導電性コイル21の第1のサブセットは、導電性コイル21の第2のサブセットよりも、より小さい不連続性8Cを特定することが可能である。
【国際調査報告】