(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電池及び電気機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/643 20140101AFI20240229BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240229BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20240229BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240229BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240229BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240229BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20240229BHJP
【FI】
H01M10/643
H01M10/613
H01M10/6551
H01M10/6563
H01M10/625
H01M50/204 401H
B60L58/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567166
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2022096925
(87)【国際公開番号】W WO2023134107
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202220076160.4
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】林 壮壮
(72)【発明者】
【氏名】黄 仰枝
(72)【発明者】
【氏名】季 ▲進▼清
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 建▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲遠▼瞻
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H125
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK01
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT01
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC05
5H040CC20
5H040NN03
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD07
5H125FF24
(57)【要約】
本願は良好な放熱性能を有する電池(10)及び電気機器を提供する。電池(10)は、円筒形である複数の電池セル(20)と、本体(31)及び第1方向(X)に前記本体(31)を貫通する少なくとも1つの通風路(32)を含み、前記第1方向(X)は前記複数の電池セル(20)の軸線方向と平行であり、前記通風路(32)の前記第1方向(X)に垂直な断面をフィン状とする空冷構造(30)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形である複数の電池セル(20)と、
本体(31)及び第1方向(X)に前記本体(31)を貫通する少なくとも1つの通風路(32)を含み、前記第1方向(X)は前記複数の電池セル(20)の軸線方向と平行であり、前記通風路(32)の前記第1方向(X)に垂直な断面をフィン状とする空冷構造(30)と、
を含むことを特徴とする、電池(10)。
【請求項2】
前記複数の電池セル(20)は前記空冷構造(30)を囲むように設置されることを特徴とする、請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記複数の電池セル(20)は熱伝導性構造用接着剤(34)によって前記本体(31)の前記通風路(32)から離れた第1表面(313)に貼り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池(10)。
【請求項4】
前記第1表面(313)における前記複数の電池セル(20)に貼り付けられた領域の輪郭形状は、前記複数の電池セル(20)の表面の輪郭形状とマッチングすることを特徴とする、請求項3に記載の電池(10)。
【請求項5】
前記空冷構造(30)はさらにファン(70)を含み、前記ファン(70)は前記通風路(32)内に風を通して、前記複数の電池セル(20)が生成した熱を排出するために用いられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記電池(10)はさらにボックス(11)を含み、前記ボックス(11)は第1ボックス部(111)及び第2ボックス部(112)を含み、前記第1ボックス部(111)及び前記第2ボックス部(112)は係合して前記空冷構造(30)及び前記複数の電池セル(20)を収容するための収容キャビティを形成し、前記第1ボックス部(111)及び前記第2ボックス部(112)のうちの少なくとも1つは開口を有し、前記開口が位置する平面は前記第1方向(X)と平行であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項7】
前記第1ボックス部(111)の底壁に第1放熱部(1110)が設置されており、前記第1放熱部(1110)における前記複数の電池セル(20)に接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セル(20)の表面の輪郭形状とマッチングすることを特徴とする、請求項6に記載の電池(10)。
【請求項8】
前記第2ボックス部(112)の底壁に第2放熱部(1120)が設置されており、前記第2放熱部(1120)における前記複数の電池セル(20)に接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セル(20)の表面の輪郭形状とマッチングすることを特徴とする、請求項6又は7に記載の電池(10)。
【請求項9】
前記空冷構造(30)はダイカストプロセスによって形成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電池(10)を含む電気機器において、前記電池(10)が前記電気機器に電気エネルギーを供給するために用いられることを特徴とする、電気機器。
【請求項11】
円筒形である複数の電池セル(20)を提供するステップと、
本体(31)及び前記本体(31)を貫通する少なくとも1つの通風路(32)を含む空冷構造(30)を提供するステップと、
少なくとも1つの前記通風路(32)を第1方向(X)に沿って設置し、前記第1方向(X)は前記複数の電池セル(20)の軸線方向と平行であり、前記通風路(32)の前記第1方向(X)に垂直な断面をフィン状とするステップと、
を含む電池(10)の製造方法(300)。
【請求項12】
円筒形である複数の電池セル(20)を提供するための第1提供モジュール(410)と、
本体(31)及び前記本体(31)を貫通する少なくとも1つの通風路(32)を含む空冷構造(30)を提供するための第2提供モジュール(420)と、
少なくとも1つの前記通風路(32)を第1方向(X)に沿って設置し、前記第1方向(X)は前記複数の電池セル(20)の軸線方向と平行であり、前記通風路(32)の前記第1方向(X)に垂直な断面をフィン状とするための組み立てモジュール(430)と、
を含む電池(10)の製造装置(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2022年1月12日に中国国家知識産権局に出願された、出願番号202220076160.4、出願名称が「電池及び電気機器」の実用新案出願の優先権を主張し、その内容全体は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は電池技術分野に関し、特に電池及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー密度が高く、サイクル充電が可能で、安全で環境にやさしいなどの利点を有するため、動力電池は新エネルギー自動車、家庭用電気機器、エネルギー貯蔵システムなどの分野に広く応用されている。
【0004】
しかし動力電池は使用の過程で熱が発生し、動力電池の性能に影響を及ぼし、ひいては深刻な安全上の問題を引き起こす。動力電池の正常な使用を保証するために、動力電池を放熱する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は良好な放熱性能を有する電池及び電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様において、円筒形である複数の電池セルと、本体及び第1方向に前記本体を貫通する少なくとも1つの通風路を含み、前記第1方向は前記複数の電池セルの軸線方向と平行であり、前記通風路の前記第1方向に垂直な断面をフィン状とする空冷構造と、を含む電池を提供する。
【0007】
該技術的解決手段に基づき、電池は空冷構造を採用し、空冷構造は本体及び電池セルの軸線方向に沿って本体を貫通する通風路を含み、通風路内に導入された風により、複数の電池セルが生成する熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有する。且つ通風路の第1方向に垂直な断面の形状をフィン状とするため、このようなフィン状の通風路の断面形状は、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造と電池セルとの間の熱交換面積を増大させ、プロセスの実現可能性も保証することができる。
【0008】
一つの実現可能な形態において、前記複数の電池セルは前記空冷構造を囲むように設置される。円筒形の複数の電池セルが空冷構造を囲むように設置されることにより、通風路内に導入された風が各電池セルの熱を効果的に奪い、全体の放熱効率を向上させることができる。
【0009】
一つの実現可能な形態において、前記複数の電池セルは熱伝導性構造用接着剤で前記本体の前記通風路から離れた第1表面に貼り付けられる。
【0010】
熱伝導性構造用接着剤は電池セルと空冷構造との間の接続を実現するために用いられる。且つ、熱伝導性構造用接着剤は良好な熱伝導性を有するため、熱伝導性構造用接着剤で複数の電池セルを通風路の第1表面に囲んで貼り付けることにより、複数の電池セルが生成した熱を通風路に伝導することに役立ち、放熱効率をさらに向上させる。
【0011】
一つの実現可能な形態において、前記第1表面における前記複数の電池セルに貼り付けられた領域の輪郭形状は、前記複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングする。これにより複数の電池セルの放熱面積を増加させ、放熱効率をさらに向上させる。
【0012】
一つの実現可能な形態において、前記空冷構造はさらにファンを含み、前記ファンは前記通風路内に風を通して、前記複数の電池セルが生成した熱を排出するために用いられる。ファンにより通風路内の風速を増加させ、電池セルの放熱効率を向上させることができる。
【0013】
一つの実現可能な形態において、前記電池はさらにボックスを含み、前記ボックスは第1ボックス部及び第2ボックス部を含み、前記第1ボックス部及び前記第2ボックス部は係合して前記空冷構造及び前記複数の電池セルを収容するための収容キャビティを形成し、前記第1ボックス部及び前記第2ボックス部のうちの少なくとも1つは開口を有し、前記開口が位置する平面は前記第1方向と平行である。
【0014】
ボックスが第1ボックス部及び第2ボックス部を係合させて形成されるように設置することにより、空冷構造及び複数の電池セルのボックス内での組み立てを容易にする。
【0015】
一つの実現可能な形態において、前記第1ボックス部の底壁に第1放熱部が設置されており、前記第1放熱部における前記複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングする。
【0016】
第1放熱部は、第1ボックス部の底壁の一部であってもよく、第1ボックス部の底壁に相対して単独で設けられた構造であってもよい。第1放熱部は倣い設計であり、第1放熱部における複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングするように設計され、これにより複数の電池セルの放熱面積を増加させ、放熱効率をより向上させる。
【0017】
一つの実現可能な形態において、前記第2ボックス部の底壁に第2放熱部が設置されており、前記第2放熱部における前記複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングする。
【0018】
第2放熱部は、第2ボックス部の底壁の一部であってもよく、第2ボックス部の底壁に相対して単独で設けられた構造であってもよい。第2放熱部は倣い設計であり、第2放熱部における複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングするように設計され、これにより複数の電池セルの放熱面積を増加させ、放熱効率をより向上させる。
【0019】
一つの実現可能な形態において、前記空冷構造はダイカストプロセスによって形成され、プロセスが簡単であり、且つ信頼性が高い。
【0020】
第2態様において、上記第1態様又は第1態様における任意の実現可能な形態に記載の電池を含む電気機器において、前記電池は前記電気機器に電気エネルギーを供給するために用いられる電気機器を提供する。
【0021】
以上から分かるように、電池は空冷構造を採用し、空冷構造は本体及び電池セルの軸線方向に沿って本体を貫通する通風路を含み、通風路内に導入された風により、複数の電池セルが生成する熱を奪うことができる。通風路の第1方向に垂直な断面をフィン状とするため、このようなフィン状の通風路の断面形状は、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造と電池セルとの間の熱交換面積を増大させ、プロセスの実現可能性も保証することができる。
【0022】
第3態様において、円筒形である複数の電池セルを提供するステップと、本体及び本体を貫通する少なくとも1つの通風路を含む空冷構造を提供するステップと、少なくとも1つの通風路を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セルの軸線方向と平行であり、通風路の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするステップと、を含む電池の製造方法を提供する。
【0023】
本願の一実施例は、円筒形である複数の電池セルを提供するための第1提供モジュールと、本体及び本体を貫通する少なくとも1つの通風路を含む空冷構造を提供するための第2提供モジュールと、少なくとも1つの通風路を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セルの軸線方向と平行であり、通風路の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするための組み立てモジュールと、を含む電池の製造装置をさらに提供する。
【0024】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、理解すべきことは、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の実施例が適用可能な車両の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例における電池の構造概略図である。
【
図3】本願の実施例における電池の断面概略図である。
【
図4】本願の実施例における電池の放熱の概略図である。
【
図5】本願の実施例における電池の空冷構造のカバープレートの構造概略図である。
【
図6】本願の実施例における電池の立体分解図である。
【
図7】本願の実施例の吹き出し口における電池の断面概略図である。
【
図8】本願の実施例の吸い込み口における電池の断面概略図である。
【
図9】本願の実施例における電池の製造方法の概略フローチャートである。
【
図10】本願の実施例における電池の製造装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面において、図面は実際の比率に従って描かれたものではない。
以下に図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、即ち、本願は記載された実施例に限定されない。
【0027】
本願の記載において説明すべきことは、別途説明されない限り、「複数」の意味は2つ以上であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が指示する方位又は位置関係は、本願の説明を容易にして、説明を簡略化するものであるに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを示す又は暗示するものではなく、従って本願を限定するものと理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明する目的で用いられるに過ぎず、相対的な重要性を示す又は暗示するものとして解釈されるべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
【0028】
以下の説明に出現する方位表現はいずれも図に示す方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の記載においてさらに説明すべきことは、別途明確に規定及び限定されない限り、「取り付ける」、「つながる」、「接続」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながってもよく、中間媒体を介して間接的につながってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0029】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0030】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本願の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願において出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、排他的ではない包含をカバーすることを意図している。本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0031】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各箇所にこの単語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0032】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【0033】
本願において、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができる。電池セルは一般的にセルとも呼ばれる。電池セルは円筒形、扁平体、直方体、又は他の規則的又は不規則な形状であってもよい。本願の実施例の技術的解決手段は如何なる形状の電池セルにも適用できるが、特に、円筒形の電池セルに適し、且つ円筒形の電池セルに対して放熱を行う。
【0034】
本願で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するためのボックスを含む。ボックスは液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止する。
【0035】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータから構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は正極活物質層が塗布された正極集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない正極集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は負極活物質層が塗布された負極集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない負極集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)又はポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願はこれに限定されない。
【0036】
電池のボックス内に、さらに信号伝送アセンブリを含むことができる。信号伝送アセンブリは電池セルの電圧及び/又は温度等の信号を伝送するために用いられる。信号伝送アセンブリは、複数の電池セル間の電気的な接続、例えば、並列接続、直列接続又は直並列接続を実現するためのバスバーを含むことができる。バスバーは電池セルの電極端子を接続することによって、電池セル間の電気的な接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバーは溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。バスバーは電池セルの電圧を伝送し、複数の電池セルが直列接続されると高い電圧が得られ、それに応じて、バスバーが形成する電気的接続は「高圧接続」とも呼ばれる。
【0037】
バスバー以外に、信号伝送アセンブリはさらに電池セルの状態を検知するためのセンサデバイスを含むことができ、例えば、該センサデバイスは電池セルの温度、充電状態などの検知信号を測定及び伝送するために用いることができる。本願において、電池内の電気接続部材は、バスバー及び/又はセンサデバイスを含むことができる。
【0038】
バスバー及びセンサデバイスは絶縁層内にパッケージ化され、信号伝送アセンブリを形成することができる。それに応じて、信号伝送アセンブリは電池セルの電圧及び/又は検知信号を伝送するために用いることができる。信号伝送アセンブリは電池セルの電極端子との接続箇所に絶縁層がなく、即ち、その箇所で絶縁層は開孔を有し、それにより電池セルの電極端子と接続される。
【0039】
電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要がある。また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0040】
動力電池は使用の過程で絶えず熱が発生するため、発熱量が大きすぎると深刻な安全上の問題を引き起こす。動力電池の安全性を確保するために、動力電池を放熱する必要がある。
【0041】
これに鑑みて、本願は技術的解決手段を提供し、空冷構造を設置し、且つ複数の電池セルが空冷構造を囲むように設置されることにより、通風路内に導入された風を効果的に利用して電池セルの熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有する。
【0042】
本願に記載された技術的解決手段は電池を使用する様々な電気機器、例えば車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、宇宙船、電動玩具、電動工具などに適用される。車両はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。電動玩具はゲーム機、電動自動車玩具、電動船舶玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動工具は電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動スクリュードライバ、電動ハンマ、電動インパクトドリル、コンクリートバイブレータ及び電動プレーナー等の金属切削電動工具、研磨電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具を含む。
【0043】
以下では説明の便宜上、電気機器について車両を例として説明する。
【0044】
例えば、
図1は、本願の実施例が適用できる車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ80及び電池10を設置することができ、コントローラ80は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1の給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の作業電力の必要を賄う。いくつかの実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスの代わりに又はそれを部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0045】
様々な使用電力の需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを含むことができ、例えば、複数の円筒形の電池セルを含む。ここで、複数の電池セル間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は直列接続と並列接続の混合を指す。電池は電池パックとも呼ばれる。いくつかの実施例において、複数の電池セルがまず直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池10を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池10を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池10を構成してもよい。
【0046】
例えば、
図2は本願の実施例における電池10の構造概略図を示す。電池10は、複数の電池セル20を含むことができる。電池セル20以外に、電池10はさらにボックス11(又はカバーと呼ばれる)を含むことができ、ボックス11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20はボックス11内に収容することができる。
図2に示すように、ボックス11は2つの部分を含むことができ、ここではそれぞれ第1ボックス部111及び第2ボックス部112と称し、第1ボックス部111と第2ボックス部112は一体に係合される。第1ボックス部111及び第2ボックス部112の形状は、複数の電池セル20が組み合わされた形状によって決定され、第1ボックス部111及び第2ボックス部112のうち少なくとも1つは1つの開口を有する。例えば、第1ボックス部111と第2ボックス部112はいずれも中空の直方体で且つそれぞれ1つの面のみが開口面であり、第1ボックス部111の開口と第2ボックス部112の開口は対向して設置され、且つ第1ボックス部111と第2ボックス部112は互いに係合して閉塞キャビティを有するボックス11を形成してもよい。他の例として、第1部分111と第2部分112のうちの一方だけが開口を有する中空の直方体であり、他方が板状で、開口を覆うものであってもよい。電池セル20の数は、電力の需要に応じて任意の数に設定することができる。複数の電池セル20は、より大きな容量又は電力を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の形態で接続されてもよい。複数の電池セル20を互いに並列接続、直列接続、又は直並列接続して組み合わせた後、第1ボックス部111と第2ボックス部112を係合して形成されたボックス11内に配置する。
【0047】
いくつかの実施例において、電池10はさらに他の構造を含むことができるが、ここで一つ一つ説明することはしない。例えば、電池10は、複数の電池セル20間の電気的な接続を実現するためのバスバーをさらに含んでもよい。具体的には、バスバーは電池セル20の電極端子を接続することにより、電池セル20間の電気的な接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバーは溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構を介してボックスを貫通して引き出されてもよい。該導電機構はバスバーに属してもよい。
【0048】
説明の便宜上、以下では主に
図2に示す円筒形の電池セル20を例に説明する。
【0049】
図3は本願の実施例における電池10の構造概略図である。
図2及び
図3に示すように、電池10は空冷構造30及び複数の電池セル20を含む。複数の電池セル20は円筒形である。
【0050】
ここで、空冷構造30は本体31と、第1方向Xにおいて本体31を貫通する少なくとも1つの通風路32と、を含み、第1方向Xは複数の電池セル20の軸線方向と平行であり、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とする。
【0051】
図2及び
図3に示すように、通風路32内に風が導入されると、風は、空冷構造30を囲む複数の電池セル20で発生した熱を奪うことができる。通風路32の第1方向Xに垂直な断面の形状は電池セル20の放熱効率に関連し、通風路32の断面積が大きいほど、放熱効率が高くなるが、その製造プロセスも複雑になる。プロセスの実現可能性を確保しながら、例えば熱シミュレーション等の方式によって通風路32の断面形状を最適化することができる。
【0052】
本願の実施例において、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とする。ダイカストプロセスを採用して形成された空冷構造30において、フィン状の通風路断面形状を採用することで、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造30と電池セル20との間の熱交換面積を増大させるだけでなく、ダイカストプロセスの実現可能性も有する。
【0053】
空冷構造30はダイカストプロセスなどによって形成することができ、プロセスが簡単であり、且つ信頼性が高い。
【0054】
本願は通風路32の数及び位置を限定せず、
図3においては10個の通風路を例とし、且つ10個の通風路は第2方向Yに沿って配列して設置され、第2方向Yは第1方向Xに垂直である。ここで各通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とする。例えば、
図3における第2方向Yに沿って配列された10個の通風路のうち最も左側に位置する3つの通風路32と、最も右側に位置する3つの通風路32のように、フィンの形状はアルファベットの「E」に類似した形状であってもよい。別の例として、
図3における第2方向に沿って配列された10個の通風路のうち中間に位置する4つの通風路32のように、フィンの形状は2つの「E」を背中合わせにした「王」の字に類似した形状であってもよい。
【0055】
以上から分かるように、電池10は空冷構造30を採用し、空冷構造30は本体31及び電池セル20の軸線方向、すなわち第1方向Xに沿って本体31を貫通する通風路32を含み、通風路32内に導入された風により、複数の電池セル20が生成する熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有し、電池10に高い安全性を持たせる。且つ通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするため、このようなフィン状の通風路断面形状は、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造と電池セルとの間の熱交換面積を増大させるだけでなく、プロセスの実現可能性も保証することができる。
【0056】
図3に電池管理システム(Battery Management System、BMS)のプリント回路基板アセンブリ(Printed Circuit Board Assembly、PCBA)201のボックス11における位置が示されているが、簡潔且つ明瞭にするために、
図3においてその具体的な構造は示されていない。
【0057】
一実現形態において、
図2及び
図3に示すように、複数の電池セル20は空冷構造30を囲むように設置される。円柱形の複数の電池セル20が空冷構造30を囲むように設置されることにより、通風路32内に導入された風が各電池セル20の熱を効果的に奪い、全体の放熱効率を向上させることができる。
【0058】
一実現形態において、
図2及び
図3に示すように、電池10はさらにボックス11を含み、ボックス11は第1ボックス部111及び第2ボックス部112を含み、第1ボックス部111及び第2ボックス部112は係合して空冷構造30及び複数の電池セル20を収容するための収容キャビティを形成し、第1ボックス部111及び第2ボックス部112のうちの少なくとも1つは開口を有し、開口が位置する平面は前記第1方向Xと平行である。ボックス11が第1ボックス部111及び第2ボックス部112を係合させて形成されるように設置することにより、空冷構造30及び複数の電池セル20のボックス内11での組み立てを容易にする。
【0059】
複数の電池セル20は第1ボックス部111及び第2ボックス部112を係合させて形成される収容空間内に収容されるため、一実現形態において、第1ボックス部111と第2ボックス部112はさらに複数の電池セル20の放熱に用いることができる。
【0060】
例として、第1ボックス部111の底壁に第1放熱部1110が設置され、第1放熱部1110における複数の電池セル20に接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングする。
【0061】
ここで、第1放熱部1110は倣い設計であり、それが複数の電池セル20と接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングするように設計される。第1放熱部1110は、第1ボックス部111の底壁の一部であってもよく、又は第1ボックス部111に相対して第1ボックス部111の底壁に単独で設けられた構造であってもよい。
図4に示すように、第1放熱部1110は第1ボックス部111の底壁に設置された熱伝導板であり、熱伝導板の表面における複数の電池セル20と接触する領域の輪郭は円弧状であり、その曲率は電池セル20の表面に対応する位置の円弧曲率と同じである。これにより電池セル20の放熱面積を増加させる。
図4における黒破線矢印は複数の電池セル20の放熱方向を示し、第2方向Yにおいて両端に位置する電池セル20以外に、他の電池セル20が放出する熱は、通風路32内に導入された風によって奪われるだけでなく、第1ボックス部111の底壁によっても奪われて、放熱効率をさらに向上させる。
【0062】
他の例として、第2ボックス部112の底壁に第2放熱部1120が設置され、第2放熱部1120における複数の電池セル20に接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングする。
【0063】
ここで、第2放熱部1120は倣い設計であり、それが複数の電池セル20と接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングするように設計される。第2放熱部1120は、第2ボックス部112の底壁の一部であってもよく、又は第2ボックス部112に相対して第2ボックス部112の底壁に単独で設けられた構造であってもよい。
図4に示すように、第2ボックス部112の底壁を電池セル20の表面に向けて、第2放熱部1120とする。第2放熱部1120における複数の電池セル20と接触する領域の輪郭は円弧状であり、その曲率は電池セル20の表面に対応する位置の円弧曲率と同じであり、これにより電池セル20の放熱面積を増加させる。
図4における黒破線矢印は複数の電池セル20の放熱方向を示し、第2方向Yにおいて両端に位置する電池セル20以外に、他の電池セル20が放出する熱は、通風路32内に導入された風によって奪われるだけでなく、第2ボックス部112の底壁によっても奪われて、放熱効率をさらに向上させる。
【0064】
一実現形態において、
図3及び
図4に示すように、複数の電池セル20は熱伝導性構造用接着剤34によって本体31の通風路32から離れた第1表面313に貼り付けられる。
【0065】
熱伝導性構造用接着剤34は電池セル20と空冷構造30との間の接続を実現するために用いられる。且つ、熱伝導性構造用接着剤34は良好な熱伝導性を有するため、熱伝導性構造用接着剤34で複数の電池セル20を通風路32の第1表面313に囲んで貼り付けることにより、複数の電池セル20が生成した熱を通風路32に伝導することに役立ち、放熱効率をさらに向上させる。
【0066】
一実現形態において、本体31の第1表面313における複数の電池セル20に貼り付けられた領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングする。
【0067】
例えば、
図3から
図5に示すように、本体31の第1表面313における複数の電池セル20に貼り付けられた領域の輪郭は円弧状であり、その曲率は電池セル20の表面に対応する位置の円弧曲率と同じであり、これにより電池セル20と第1表面313との間の接触面積が増加し、複数の電池セル20の放熱面積を増加させて、放熱効率をさらに向上させる。
【0068】
一実現形態において、
図3から
図5に示すように、本体31の第1表面313における複数の電池セル20に貼り付けられていない領域に重量低減溝312が設けられている。
【0069】
空冷構造30の本体31は、一般的にアルミニウム材等の金属材料で製造され、大きな重量を有するため、本体31の電池セル20と接触しない非放熱領域に重量低減溝312を設けることにより、空冷構造30の重量を減らすことができる。本願は重量低減溝312の数及びサイズを限定しておらず、
図3から
図5では8つの重量低減溝を示す。
【0070】
一実現形態において、空冷構造30はカバープレート33をさらに含む。ここで、カバープレート33と本体32の第1端部311との間は第1ボルト41を介して固定される。第1端部311は第1方向Xにおける通風路32の吹き出し口が位置する端部であり、空冷構造30の後部とも呼ばれる。
【0071】
図7及び
図8に示すように、空冷構造30及び複数の電池セル20はボックス11内に収容され、空冷構造10の吹き出し口が位置する端部にカバープレート33が設置され、且つ第1ボルト41を介してカバープレート33と空冷構造30の本体31が一体に組み立てられる。空冷構造30と複数の電池セル20との間を熱伝導性構造用接着剤34で接続してモジュールを形成してから、該モジュールを第2ボックス部112の開口からボックス11に入れ、さらに第1ボルト41を介してカバープレート33を本体31の第1端部311に固定することができる。これにより電池10の組み立ての要件を満たすだけでなく、空冷構造30と複数の電池セル20のケース11内での組み立てを実現し、さらにカバープレート33によって複数の電池セル20を密閉することができる。
【0072】
一実現形態において、
図7に示すように、カバープレート33と本体31の第1端部311との間に第1シール部材51が設置されている。第1シール部材51により、吹き出し口の箇所においてカバープレート33と本体31との間のシールを実現して、電池セル20を密閉空間内に置き、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0073】
一実現形態において、
図7に示すように、カバープレート33とボックス11との間に第2シール部材52が設置されている。第2シール部材52により、吹き出し口の箇所においてカバープレート33とボックス11との間のシールを実現して、電池セル20を密閉空間内に置き、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0074】
以上から分かるように、吹き出し口の箇所において、第1シール部材51によってカバープレート33と空冷構造30との間を密封し、第2シール部材52によってカバープレート33とボックス11との間を密封することにより、複数の電池セル20が空冷構造30を囲むように設置された後にケース11とカバープレート33と空冷構造30で形成された密閉空間内に置かれ、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0075】
一実現形態では、
図7に示すように、カバープレート33と複数の電池セル20の端面との間に隙間60を有する。カバープレート33と電池セル20の端面との間の隙間60は組み立て要件に応じて設計することができ、該隙間60は電池10の自動組み立ての十分な空間を残すために用いられる。
【0076】
一実現形態において、空冷構造30の本体32の第2端部312とボックス11との間は、第2ボルト42を介して固定される。ここで、第2端部312は第1方向Xにおける通風路の吸い込み口が位置する端部であり、空冷構造の前部とも呼ばれる。
【0077】
図6及び
図8に示すように、空冷構造30及び複数の電池セル20はボックス11内に収容され、第2ボルト42を介してボックス11と空冷構造30の本体31が一体に組み立てられる。空冷構造30と複数の電池セル20との間を熱伝導性構造用接着剤34で接続してモジュールを形成してから、該モジュールを第2ボックス部112の開口からボックス11に入れ、さらに第2ボルト42を介して本体31の第2端部312とボックス11との間を固定することができる。これにより電池10の組み立ての要件を満たすだけでなく、空冷構造30と複数の電池セル20のケース11内での組み立てを実現し、さらに複数の電池セル20の密閉を実現することができる。
【0078】
一実現形態において、
図8に示すように、本体31の第2端部312とボックス11との間に第3シール部材53が設置されている。第3シール部材53により、吸い込み口の箇所においてボックス11と空冷構造30との間のシールを実現して、電池セル20を密閉空間内に置き、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0079】
一実現形態において、空冷構造30はさらにファン70を含み、ファン70は通風路32内に風を通して、複数の電池セル20が生成した熱を排出することに用いられる。ファン70により通風路32内の風速を増加させ、電池セル20の放熱効率を向上させることができる。
【0080】
図8に示すように、吸い込み口にファン70が設置され、ファン70は例えば軸流ファンであり、第1方向Xに沿う冷風を生成するために用いられ、冷風が通風路32を通過すると、電池セル20が生成する熱を電池10の内部から排出して、それにより電池10の温度を低下させることができる。
【0081】
本願の一実施例は電気機器をさらに提供し、該電気機器は、それに電気エネルギーを供給するために用いられるように、前記各実施例における電池10を含むことができる。
【0082】
電気機器に前記実施例の電池10が設置され、ここで、電池10においては、円筒形の複数の電池セル20が空冷構造30を囲むように設置され、且つ空冷構造30は本体31及び電池セルの軸線方向、すなわち第1方向Xに沿って本体31を貫通する通風路32を含み、通風路内に導入された風により、複数の電池セル20が生成する熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有し、電池10に高い安全性を持たせて、電気機器の普及及び使用に役立つ。
【0083】
以上は本願の実施例の電池10及び電気機器1を説明した。以下では本願の実施例の電池10の製造方法300及び製造装置400を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0084】
図9は本願の実施例における電池10の製造方法300の概略フローチャートを示す。
図9に示すように、製造方法300は、円筒形である複数の電池セル20を提供するステップ310と、本体31及び本体31を貫通する少なくとも1つの通風路32を含む空冷構造30を提供するステップ320と、少なくとも1つの通風路32を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セル20の軸線方向と平行であり、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするステップ330と、を含む。
【0085】
図10は本願の実施例における電池10の製造装置400の概略ブロック図である。
図10に示すように、製造装置400は、円筒形である複数の電池セル20を提供するための第1提供モジュール410と、本体31及び本体31を貫通する少なくとも1つの通風路32を含む空冷構造30を提供するための第2提供モジュール420と、少なくとも1つの通風路32を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セル20の軸線方向と平行であり、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするための組み立てモジュール430と、を含む。
【0086】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
10 電池
11 ボックス
20 電池セル
30 空冷構造
31 本体
32 通風路
33 カバープレート
34 熱伝導性構造用接着剤
40 モータ
41 第1ボルト
42 第2ボルト
51 第1シール部材
52 第2シール部材
53 第3シール部材
60 隙間
70 ファン
80 コントローラ
111 第1ボックス部
112 第2ボックス部
201 プリント回路基板アセンブリ
311 第1端部
312 第2端部
313 第1表面
314 重量低減溝
400 製造装置
410 第1提供モジュール
420 第2提供モジュール
430 組み立てモジュール
1110 第1放熱部
1120 第2放熱部
【手続補正書】
【提出日】2022-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形である複数の電池セ
ルと、
本
体及び第1方
向に前記本
体を貫通する少なくとも1つの通風
路を含み、前記第1方
向は前記複数の電池セ
ルの軸線方向と平行であり、前記通風
路の前記第1方
向に垂直な断面をフィン状とする空冷構
造と、
を含む、電池。
【請求項2】
前記複数の電池セ
ルは前記空冷構
造を囲むように設置される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記複数の電池セ
ルは熱伝導性構造用接着
剤によって前記本
体の前記通風
路から離れた第1表
面に貼り付けられる、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1表
面における前記複数の電池セ
ルに貼り付けられた領域の輪郭形状は、前記複数の電池セ
ルの表面の輪郭形状とマッチングする、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記空冷構
造はさらにファ
ンを含み、前記ファ
ンは前記通風
路内に風を通して、前記複数の電池セ
ルが生成した熱を排出するために用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記電池はさらにボック
スを含み、前記ボック
スは第1ボックス
部及び第2ボックス
部を含み、前記第1ボックス
部及び前記第2ボックス
部は係合して前記空冷構
造及び前記複数の電池セ
ルを収容するための収容キャビティを形成し、前記第1ボックス
部及び前記第2ボックス
部のうちの少なくとも1つは開口を有し、前記開口が位置する平面は前記第1方
向と平行である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記第1ボックス
部の底壁に第1放熱
部が設置されており、前記第1放熱
部における前記複数の電池セ
ルに接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セ
ルの表面の輪郭形状とマッチングする、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記第2ボックス
部の底壁に第2放熱
部が設置されており、前記第2放熱
部における前記複数の電池セ
ルに接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セ
ルの表面の輪郭形状とマッチングする、請求項6又は7に記載の電池。
【請求項9】
前記空冷構
造はダイカストプロセスによって形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電池を含む電気機器において、前記電池が前記電気機器に電気エネルギーを供給するために用いられる、電気機器。
【請求項11】
円筒形である複数の電池セ
ルを提供するステップと、
本
体及び前記本
体を貫通する少なくとも1つの通風
路を含む空冷構
造を提供するステップと、
前記少なくとも1つの通風
路を第1方
向に沿って設置し、前記第1方
向は前記複数の電池セ
ルの軸線方向と平行であり、前記通風
路の前記第1方
向に垂直な断面をフィン状とするステップと、
を含む電池の製造方法。
【請求項12】
円筒形である複数の電池セ
ルを提供するための第1提供モジュー
ルと、
本
体及び前記本
体を貫通する少なくとも1つの通風
路を含む空冷構
造を提供するための第2提供モジュー
ルと、
前記少なくとも1つの通風
路を第1方
向に沿って設置し、前記第1方
向は前記複数の電池セ
ルの軸線方向と平行であり、前記通風
路の前記第1方
向に垂直な断面をフィン状とするための組み立てモジュー
ルと、
を含む電池の製造装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2022年1月12日に中国国家知識産権局に出願された、出願番号202220076160.4、出願名称が「電池及び電気機器」の実用新案出願の優先権を主張し、その内容全体は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は電池技術分野に関し、特に電池及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー密度が高く、サイクル充電が可能で、安全で環境にやさしいなどの利点を有するため、動力電池は新エネルギー自動車、家庭用電気機器、エネルギー貯蔵システムなどの分野に広く応用されている。
【0004】
しかし動力電池は使用の過程で熱が発生し、動力電池の性能に影響を及ぼし、ひいては深刻な安全上の問題を引き起こす。動力電池の正常な使用を保証するために、動力電池を放熱する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は良好な放熱性能を有する電池及び電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様において、円筒形である複数の電池セルと、本体及び第1方向に前記本体を貫通する少なくとも1つの通風路を含み、前記第1方向は前記複数の電池セルの軸線方向と平行であり、前記通風路の前記第1方向に垂直な断面をフィン状とする空冷構造と、を含む電池を提供する。
【0007】
該技術的解決手段に基づき、電池は空冷構造を採用し、空冷構造は本体及び電池セルの軸線方向に沿って本体を貫通する通風路を含み、通風路内に導入された風により、複数の電池セルが生成する熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有する。且つ通風路の第1方向に垂直な断面の形状をフィン状とするため、このようなフィン状の通風路の断面形状は、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造と電池セルとの間の熱交換面積を増大させ、プロセスの実現可能性も保証することができる。
【0008】
一つの実現可能な形態において、前記複数の電池セルは前記空冷構造を囲むように設置される。円筒形の複数の電池セルが空冷構造を囲むように設置されることにより、通風路内に導入された風が各電池セルの熱を効果的に奪い、全体の放熱効率を向上させることができる。
【0009】
一つの実現可能な形態において、前記複数の電池セルは熱伝導性構造用接着剤で前記本体の前記通風路から離れた第1表面に貼り付けられる。
【0010】
熱伝導性構造用接着剤は電池セルと空冷構造との間の接続を実現するために用いられる。且つ、熱伝導性構造用接着剤は良好な熱伝導性を有するため、熱伝導性構造用接着剤で複数の電池セルを通風路の第1表面に囲んで貼り付けることにより、複数の電池セルが生成した熱を通風路に伝導することに役立ち、放熱効率をさらに向上させる。
【0011】
一つの実現可能な形態において、前記第1表面における前記複数の電池セルに貼り付けられた領域の輪郭形状は、前記複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングする。これにより複数の電池セルの放熱面積を増加させ、放熱効率をさらに向上させる。
【0012】
一つの実現可能な形態において、前記空冷構造はさらにファンを含み、前記ファンは前記通風路内に風を通して、前記複数の電池セルが生成した熱を排出するために用いられる。ファンにより通風路内の風速を増加させ、電池セルの放熱効率を向上させることができる。
【0013】
一つの実現可能な形態において、前記電池はさらにボックスを含み、前記ボックスは第1ボックス部及び第2ボックス部を含み、前記第1ボックス部及び前記第2ボックス部は係合して前記空冷構造及び前記複数の電池セルを収容するための収容キャビティを形成し、前記第1ボックス部及び前記第2ボックス部のうちの少なくとも1つは開口を有し、前記開口が位置する平面は前記第1方向と平行である。
【0014】
ボックスが第1ボックス部及び第2ボックス部を係合させて形成されるように設置することにより、空冷構造及び複数の電池セルのボックス内での組み立てを容易にする。
【0015】
一つの実現可能な形態において、前記第1ボックス部の底壁に第1放熱部が設置されており、前記第1放熱部における前記複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングする。
【0016】
第1放熱部は、第1ボックス部の底壁の一部であってもよく、第1ボックス部の底壁に相対して単独で設けられた構造であってもよい。第1放熱部は倣い設計であり、第1放熱部における複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングするように設計され、これにより複数の電池セルの放熱面積を増加させ、放熱効率をより向上させる。
【0017】
一つの実現可能な形態において、前記第2ボックス部の底壁に第2放熱部が設置されており、前記第2放熱部における前記複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、前記複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングする。
【0018】
第2放熱部は、第2ボックス部の底壁の一部であってもよく、第2ボックス部の底壁に相対して単独で設けられた構造であってもよい。第2放熱部は倣い設計であり、第2放熱部における複数の電池セルに接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セルの表面の輪郭形状とマッチングするように設計され、これにより複数の電池セルの放熱面積を増加させ、放熱効率をより向上させる。
【0019】
一つの実現可能な形態において、前記空冷構造はダイカストプロセスによって形成され、プロセスが簡単であり、且つ信頼性が高い。
【0020】
第2態様において、上記第1態様又は第1態様における任意の実現可能な形態に記載の電池を含む電気機器において、前記電池は前記電気機器に電気エネルギーを供給するために用いられる電気機器を提供する。
【0021】
以上から分かるように、電池は空冷構造を採用し、空冷構造は本体及び電池セルの軸線方向に沿って本体を貫通する通風路を含み、通風路内に導入された風により、複数の電池セルが生成する熱を奪うことができる。通風路の第1方向に垂直な断面をフィン状とするため、このようなフィン状の通風路の断面形状は、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造と電池セルとの間の熱交換面積を増大させ、プロセスの実現可能性も保証することができる。
【0022】
第3態様において、円筒形である複数の電池セルを提供するステップと、本体及び本体を貫通する少なくとも1つの通風路を含む空冷構造を提供するステップと、少なくとも1つの通風路を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セルの軸線方向と平行であり、通風路の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするステップと、を含む電池の製造方法を提供する。
【0023】
本願の一実施例は、円筒形である複数の電池セルを提供するための第1提供モジュールと、本体及び本体を貫通する少なくとも1つの通風路を含む空冷構造を提供するための第2提供モジュールと、少なくとも1つの通風路を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セルの軸線方向と平行であり、通風路の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするための組み立てモジュールと、を含む電池の製造装置をさらに提供する。
【0024】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、理解すべきことは、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の実施例が適用可能な車両の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例における電池の構造概略図である。
【
図3】本願の実施例における電池の断面概略図である。
【
図4】本願の実施例における電池の放熱の概略図である。
【
図5】本願の実施例における電池の空冷構造のカバープレートの構造概略図である。
【
図6】本願の実施例における電池の立体分解図である。
【
図7】本願の実施例の吹き出し口における電池の断面概略図である。
【
図8】本願の実施例の吸い込み口における電池の断面概略図である。
【
図9】本願の実施例における電池の製造方法の概略フローチャートである。
【
図10】本願の実施例における電池の製造装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面において、図面は実際の比率に従って描かれたものではない。
以下に図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、即ち、本願は記載された実施例に限定されない。
【0027】
本願の記載において説明すべきことは、別途説明されない限り、「複数」の意味は2つ以上であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が指示する方位又は位置関係は、本願の説明を容易にして、説明を簡略化するものであるに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを示す又は暗示するものではなく、従って本願を限定するものと理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明する目的で用いられるに過ぎず、相対的な重要性を示す又は暗示するものとして解釈されるべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にあるものである。
【0028】
以下の説明に出現する方位表現はいずれも図に示す方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の記載においてさらに説明すべきことは、別途明確に規定及び限定されない限り、「取り付ける」、「つながる」、「接続」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながってもよく、中間媒体を介して間接的につながってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0029】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0030】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本願の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願において出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、排他的ではない包含をカバーすることを意図している。本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0031】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各箇所にこの単語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0032】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【0033】
本願において、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができる。電池セルは一般的にセルとも呼ばれる。電池セルは円筒形、扁平体、直方体、又は他の規則的又は不規則な形状であってもよい。本願の実施例の技術的解決手段は如何なる形状の電池セルにも適用できるが、特に、円筒形の電池セルに適し、且つ円筒形の電池セルに対して放熱を行う。
【0034】
本願で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するためのボックスを含む。ボックスは液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止する。
【0035】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータから構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は正極活物質層が塗布された正極集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない正極集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は負極活物質層が塗布された負極集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない負極集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)又はポリエチレン(polyethylene、PE)等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願はこれに限定されない。
【0036】
電池のボックス内に、さらに信号伝送アセンブリを含むことができる。信号伝送アセンブリは電池セルの電圧及び/又は温度等の信号を伝送するために用いられる。信号伝送アセンブリは、複数の電池セル間の電気的な接続、例えば、並列接続、直列接続又は直並列接続を実現するためのバスバーを含むことができる。バスバーは電池セルの電極端子を接続することによって、電池セル間の電気的な接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバーは溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。バスバーは電池セルの電圧を伝送し、複数の電池セルが直列接続されると高い電圧が得られ、それに応じて、バスバーが形成する電気的接続は「高圧接続」とも呼ばれる。
【0037】
バスバー以外に、信号伝送アセンブリはさらに電池セルの状態を検知するためのセンサデバイスを含むことができ、例えば、該センサデバイスは電池セルの温度、充電状態などの検知信号を測定及び伝送するために用いることができる。本願において、電池内の電気接続部材は、バスバー及び/又はセンサデバイスを含むことができる。
【0038】
バスバー及びセンサデバイスは絶縁層内にパッケージ化され、信号伝送アセンブリを形成することができる。それに応じて、信号伝送アセンブリは電池セルの電圧及び/又は検知信号を伝送するために用いることができる。信号伝送アセンブリは電池セルの電極端子との接続箇所に絶縁層がなく、即ち、その箇所で絶縁層は開孔を有し、それにより電池セルの電極端子と接続される。
【0039】
電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要がある。また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0040】
動力電池は使用の過程で絶えず熱が発生するため、発熱量が大きすぎると深刻な安全上の問題を引き起こす。動力電池の安全性を確保するために、動力電池を放熱する必要がある。
【0041】
これに鑑みて、本願は技術的解決手段を提供し、空冷構造を設置し、且つ複数の電池セルが空冷構造を囲むように設置されることにより、通風路内に導入された風を効果的に利用して電池セルの熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有する。
【0042】
本願に記載された技術的解決手段は電池を使用する様々な電気機器、例えば車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、宇宙船、電動玩具、電動工具などに適用される。車両はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。電動玩具はゲーム機、電動自動車玩具、電動船舶玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動工具は電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動スクリュードライバ、電動ハンマ、電動インパクトドリル、コンクリートバイブレータ及び電動プレーナー等の金属切削電動工具、研磨電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具を含む。
【0043】
以下では説明の便宜上、電気機器について車両を例として説明する。
【0044】
例えば、
図1は、本願の実施例が適用できる車両1の構造概略図を示し、車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ80及び電池10を設置することができ、コントローラ80は電池10を制御してモータ40に給電するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前側又は後側に電池10を設置することができる。電池10は車両1の給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用いることができ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の作業電力の必要を賄う。いくつかの実施例において、電池10は車両1の動作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスの代わりに又はそれを部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0045】
様々な使用電力の需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを含むことができ、例えば、複数の円筒形の電池セルを含む。ここで、複数の電池セル間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は直列接続と並列接続の混合を指す。電池は電池パックとも呼ばれる。いくつかの実施例において、複数の電池セルがまず直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続、並列接続又は直並列接続されて電池10を構成してもよい。すなわち、複数の電池セルが電池10を直接構成してもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池10を構成してもよい。
【0046】
例えば、
図2は本願の実施例における電池10の構造概略図を示す。電池10は、複数の電池セル20を含むことができる。電池セル20以外に、電池10はさらにボックス11(又はカバーと呼ばれる)を含むことができ、ボックス11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20はボックス11内に収容することができる。
図2に示すように、ボックス11は2つの部分を含むことができ、ここではそれぞれ第1ボックス部111及び第2ボックス部112と称し、第1ボックス部111と第2ボックス部112は一体に係合される。第1ボックス部111及び第2ボックス部112の形状は、複数の電池セル20が組み合わされた形状によって決定され、第1ボックス部111及び第2ボックス部112のうち少なくとも1つは1つの開口を有する。例えば、第1ボックス部111と第2ボックス部112はいずれも中空の直方体で且つそれぞれ1つの面のみが開口面であり、第1ボックス部111の開口と第2ボックス部112の開口は対向して設置され、且つ第1ボックス部111と第2ボックス部112は互いに係合して閉塞キャビティを有するボックス11を形成してもよい。他の例として、
第1ボックス部111と
第2ボックス部112のうちの一方だけが開口を有する中空の直方体であり、他方が板状で、開口を覆うものであってもよい。電池セル20の数は、電力の需要に応じて任意の数に設定することができる。複数の電池セル20は、より大きな容量又は電力を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の形態で接続されてもよい。複数の電池セル20を互いに並列接続、直列接続、又は直並列接続して組み合わせた後、第1ボックス部111と第2ボックス部112を係合して形成されたボックス11内に配置する。
【0047】
いくつかの実施例において、電池10はさらに他の構造を含むことができるが、ここで一つ一つ説明することはしない。例えば、電池10は、複数の電池セル20間の電気的な接続を実現するためのバスバーをさらに含んでもよい。具体的には、バスバーは電池セル20の電極端子を接続することにより、電池セル20間の電気的な接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバーは溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構を介してボックスを貫通して引き出されてもよい。該導電機構はバスバーに属してもよい。
【0048】
説明の便宜上、以下では主に
図2に示す円筒形の電池セル20を例に説明する。
【0049】
図3は本願の実施例における電池10の構造概略図である。
図2及び
図3に示すように、電池10は空冷構造30及び複数の電池セル20を含む。複数の電池セル20は円筒形である。
【0050】
ここで、空冷構造30は本体31と、第1方向Xにおいて本体31を貫通する少なくとも1つの通風路32と、を含み、第1方向Xは複数の電池セル20の軸線方向と平行であり、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とする。
【0051】
図2及び
図3に示すように、通風路32内に風が導入されると、風は、空冷構造30を囲む複数の電池セル20で発生した熱を奪うことができる。通風路32の第1方向Xに垂直な断面の形状は電池セル20の放熱効率に関連し、通風路32の断面積が大きいほど、放熱効率が高くなるが、その製造プロセスも複雑になる。プロセスの実現可能性を確保しながら、例えば熱シミュレーション等の方式によって通風路32の断面形状を最適化することができる。
【0052】
本願の実施例において、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とする。ダイカストプロセスを採用して形成された空冷構造30において、フィン状の通風路断面形状を採用することで、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造30と電池セル20との間の熱交換面積を増大させるだけでなく、ダイカストプロセスの実現可能性も有する。
【0053】
空冷構造30はダイカストプロセスなどによって形成することができ、プロセスが簡単であり、且つ信頼性が高い。
【0054】
本願は通風路32の数及び位置を限定せず、
図3においては10個の通風路を例とし、且つ10個の通風路は第2方向Yに沿って配列して設置され、第2方向Yは第1方向Xに垂直である。ここで各通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とする。例えば、
図3における第2方向Yに沿って配列された10個の通風路のうち最も左側に位置する3つの通風路32と、最も右側に位置する3つの通風路32のように、フィンの形状はアルファベットの「E」に類似した形状であってもよい。別の例として、
図3における第2方向に沿って配列された10個の通風路のうち中間に位置する4つの通風路32のように、フィンの形状は2つの「E」を背中合わせにした「王」の字に類似した形状であってもよい。
【0055】
以上から分かるように、電池10は空冷構造30を採用し、空冷構造30は本体31及び電池セル20の軸線方向、すなわち第1方向Xに沿って本体31を貫通する通風路32を含み、通風路32内に導入された風により、複数の電池セル20が生成する熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有し、電池10に高い安全性を持たせる。且つ通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするため、このようなフィン状の通風路断面形状は、放熱効率とプロセスの実現可能性を兼ね備えており、空冷構造と電池セルとの間の熱交換面積を増大させるだけでなく、プロセスの実現可能性も保証することができる。
【0056】
図3に電池管理システム(Battery Management System、BMS)のプリント回路基板アセンブリ(Printed Circuit Board Assembly、PCBA)201のボックス11における位置が示されているが、簡潔且つ明瞭にするために、
図3においてその具体的な構造は示されていない。
【0057】
一実現形態において、
図2及び
図3に示すように、複数の電池セル20は空冷構造30を囲むように設置される。円柱形の複数の電池セル20が空冷構造30を囲むように設置されることにより、通風路32内に導入された風が各電池セル20の熱を効果的に奪い、全体の放熱効率を向上させることができる。
【0058】
一実現形態において、
図2及び
図3に示すように、電池10はさらにボックス11を含み、ボックス11は第1ボックス部111及び第2ボックス部112を含み、第1ボックス部111及び第2ボックス部112は係合して空冷構造30及び複数の電池セル20を収容するための収容キャビティを形成し、第1ボックス部111及び第2ボックス部112のうちの少なくとも1つは開口を有し、開口が位置する平面は前記第1方向Xと平行である。ボックス11が第1ボックス部111及び第2ボックス部112を係合させて形成されるように設置することにより、空冷構造30及び複数の電池セル20のボックス内11での組み立てを容易にする。
【0059】
複数の電池セル20は第1ボックス部111及び第2ボックス部112を係合させて形成される収容空間内に収容されるため、一実現形態において、第1ボックス部111と第2ボックス部112はさらに複数の電池セル20の放熱に用いることができる。
【0060】
例として、第1ボックス部111の底壁に第1放熱部1110が設置され、第1放熱部1110における複数の電池セル20に接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングする。
【0061】
ここで、第1放熱部1110は倣い設計であり、それが複数の電池セル20と接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングするように設計される。第1放熱部1110は、第1ボックス部111の底壁の一部であってもよく、又は第1ボックス部111に相対して第1ボックス部111の底壁に単独で設けられた構造であってもよい。
図4に示すように、第1放熱部1110は第1ボックス部111の底壁に設置された熱伝導板であり、熱伝導板の表面における複数の電池セル20と接触する領域の輪郭は円弧状であり、その曲率は電池セル20の表面に対応する位置の円弧曲率と同じである。これにより電池セル20の放熱面積を増加させる。
図4における黒破線矢印は複数の電池セル20の放熱方向を示し、第2方向Yにおいて両端に位置する電池セル20以外に、他の電池セル20が放出する熱は、通風路32内に導入された風によって奪われるだけでなく、第1ボックス部111の底壁によっても奪われて、放熱効率をさらに向上させる。
【0062】
他の例として、第2ボックス部112の底壁に第2放熱部1120が設置され、第2放熱部1120における複数の電池セル20に接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングする。
【0063】
ここで、第2放熱部1120は倣い設計であり、それが複数の電池セル20と接触する領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングするように設計される。第2放熱部1120は、第2ボックス部112の底壁の一部であってもよく、又は第2ボックス部112に相対して第2ボックス部112の底壁に単独で設けられた構造であってもよい。
図4に示すように、第2ボックス部112の底壁を電池セル20の表面に向けて、第2放熱部1120とする。第2放熱部1120における複数の電池セル20と接触する領域の輪郭は円弧状であり、その曲率は電池セル20の表面に対応する位置の円弧曲率と同じであり、これにより電池セル20の放熱面積を増加させる。
図4における黒破線矢印は複数の電池セル20の放熱方向を示し、第2方向Yにおいて両端に位置する電池セル20以外に、他の電池セル20が放出する熱は、通風路32内に導入された風によって奪われるだけでなく、第2ボックス部112の底壁によっても奪われて、放熱効率をさらに向上させる。
【0064】
一実現形態において、
図3及び
図4に示すように、複数の電池セル20は熱伝導性構造用接着剤34によって本体31の通風路32から離れた第1表面313に貼り付けられる。
【0065】
熱伝導性構造用接着剤34は電池セル20と空冷構造30との間の接続を実現するために用いられる。且つ、熱伝導性構造用接着剤34は良好な熱伝導性を有するため、熱伝導性構造用接着剤34で複数の電池セル20を通風路32の第1表面313に囲んで貼り付けることにより、複数の電池セル20が生成した熱を通風路32に伝導することに役立ち、放熱効率をさらに向上させる。
【0066】
一実現形態において、本体31の第1表面313における複数の電池セル20に貼り付けられた領域の輪郭形状は、複数の電池セル20の表面の輪郭形状とマッチングする。
【0067】
例えば、
図3から
図5に示すように、本体31の第1表面313における複数の電池セル20に貼り付けられた領域の輪郭は円弧状であり、その曲率は電池セル20の表面に対応する位置の円弧曲率と同じであり、これにより電池セル20と第1表面313との間の接触面積が増加し、複数の電池セル20の放熱面積を増加させて、放熱効率をさらに向上させる。
【0068】
一実現形態において、
図3から
図5に示すように、本体31の第1表面313における複数の電池セル20に貼り付けられていない領域に重量低減溝
314が設けられている。
【0069】
空冷構造30の本体31は、一般的にアルミニウム材等の金属材料で製造され、大きな重量を有するため、本体31の電池セル20と接触しない非放熱領域に重量低減溝
314を設けることにより、空冷構造30の重量を減らすことができる。本願は重量低減溝
314の数及びサイズを限定しておらず、
図3から
図5では8つの重量低減溝を示す。
【0070】
一実現形態において、空冷構造30はカバープレート33をさらに含む。ここで、カバープレート33と本体31の第1端部311との間は第1ボルト41を介して固定される。第1端部311は第1方向Xにおける通風路32の吹き出し口が位置する端部であり、空冷構造30の後部とも呼ばれる。
【0071】
図7及び
図8に示すように、空冷構造30及び複数の電池セル20はボックス11内に収容され、空冷構造
30の吹き出し口が位置する端部にカバープレート33が設置され、且つ第1ボルト41を介してカバープレート33と空冷構造30の本体31が一体に組み立てられる。空冷構造30と複数の電池セル20との間を熱伝導性構造用接着剤34で接続してモジュールを形成してから、該モジュールを第2ボックス部112の開口からボックス11に入れ、さらに第1ボルト41を介してカバープレート33を本体31の第1端部311に固定することができる。これにより電池10の組み立ての要件を満たすだけでなく、空冷構造30と複数の電池セル20の
ボックス11内での組み立てを実現し、さらにカバープレート33によって複数の電池セル20を密閉することができる。
【0072】
一実現形態において、
図7に示すように、カバープレート33と本体31の第1端部311との間に第1シール部材51が設置されている。第1シール部材51により、吹き出し口の箇所においてカバープレート33と本体31との間のシールを実現して、電池セル20を密閉空間内に置き、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0073】
一実現形態において、
図7に示すように、カバープレート33とボックス11との間に第2シール部材52が設置されている。第2シール部材52により、吹き出し口の箇所においてカバープレート33とボックス11との間のシールを実現して、電池セル20を密閉空間内に置き、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0074】
以上から分かるように、吹き出し口の箇所において、第1シール部材51によってカバープレート33と空冷構造30との間を密封し、第2シール部材52によってカバープレート33とボックス11との間を密封することにより、複数の電池セル20が空冷構造30を囲むように設置された後にボックス11とカバープレート33と空冷構造30で形成された密閉空間内に置かれ、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0075】
一実現形態では、
図7に示すように、カバープレート33と複数の電池セル20の端面との間に隙間60を有する。カバープレート33と電池セル20の端面との間の隙間60は組み立て要件に応じて設計することができ、該隙間60は電池10の自動組み立ての十分な空間を残すために用いられる。
【0076】
一実現形態において、空冷構造30の本体31の第2端部312とボックス11との間は、第2ボルト42を介して固定される。ここで、第2端部312は第1方向Xにおける通風路32の吸い込み口が位置する端部であり、空冷構造の前部とも呼ばれる。
【0077】
図6及び
図8に示すように、空冷構造30及び複数の電池セル20はボックス11内に収容され、第2ボルト42を介してボックス11と空冷構造30の本体31が一体に組み立てられる。空冷構造30と複数の電池セル20との間を熱伝導性構造用接着剤34で接続してモジュールを形成してから、該モジュールを第2ボックス部112の開口からボックス11に入れ、さらに第2ボルト42を介して本体31の第2端部312とボックス11との間を固定することができる。これにより電池10の組み立ての要件を満たすだけでなく、空冷構造30と複数の電池セル20の
ボックス11内での組み立てを実現し、さらに複数の電池セル20の密閉を実現することができる。
【0078】
一実現形態において、
図8に示すように、本体31の第2端部312とボックス11との間に第3シール部材53が設置されている。第3シール部材53により、吸い込み口の箇所においてボックス11と空冷構造30との間のシールを実現して、電池セル20を密閉空間内に置き、電池セル20の気密性に対する要件を保証することができる。
【0079】
一実現形態において、空冷構造30はさらにファン70を含み、ファン70は通風路32内に風を通して、複数の電池セル20が生成した熱を排出することに用いられる。ファン70により通風路32内の風速を増加させ、電池セル20の放熱効率を向上させることができる。
【0080】
図8に示すように、吸い込み口にファン70が設置され、ファン70は例えば軸流ファンであり、第1方向Xに沿う冷風を生成するために用いられ、冷風が通風路32を通過すると、電池セル20が生成する熱を電池10の内部から排出して、それにより電池10の温度を低下させることができる。
【0081】
本願の一実施例は電気機器をさらに提供し、該電気機器は、それに電気エネルギーを供給するために用いられるように、前記各実施例における電池10を含むことができる。
【0082】
電気機器に前記実施例の電池10が設置され、ここで、電池10においては、円筒形の複数の電池セル20が空冷構造30を囲むように設置され、且つ空冷構造30は本体31及び電池セルの軸線方向、すなわち第1方向Xに沿って本体31を貫通する通風路32を含み、通風路32内に導入された風により、複数の電池セル20が生成する熱を奪うことができ、良好な放熱性能を有し、電池10に高い安全性を持たせて、電気機器の普及及び使用に役立つ。
【0083】
以上は本願の実施例の電池10及び電気機器1を説明した。以下では本願の実施例の電池10の製造方法300及び製造装置400を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0084】
図9は本願の実施例における電池10の製造方法300の概略フローチャートを示す。
図9に示すように、製造方法300は、円筒形である複数の電池セル20を提供するステップ310と、本体31及び本体31を貫通する少なくとも1つの通風路32を含む空冷構造30を提供するステップ320と、少なくとも1つの通風路32を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セル20の軸線方向と平行であり、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするステップ330と、を含む。
【0085】
図10は本願の実施例における電池10の製造装置400の概略ブロック図である。
図10に示すように、製造装置400は、円筒形である複数の電池セル20を提供するための第1提供モジュール410と、本体31及び本体31を貫通する少なくとも1つの通風路32を含む空冷構造30を提供するための第2提供モジュール420と、少なくとも1つの通風路32を第1方向Xに沿って設置し、第1方向Xは複数の電池セル20の軸線方向と平行であり、通風路32の第1方向Xに垂直な断面をフィン状とするための組み立てモジュール430と、を含む。
【0086】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行い、その構成要素を等価物に置換することができる。特に、各実施例で言及した各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、いずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
10 電池
11 ボックス
20 電池セル
30 空冷構造
31 本体
32 通風路
33 カバープレート
34 熱伝導性構造用接着剤
40 モータ
41 第1ボルト
42 第2ボルト
51 第1シール部材
52 第2シール部材
53 第3シール部材
60 隙間
70 ファン
80 コントローラ
111 第1ボックス部
112 第2ボックス部
201 プリント回路基板アセンブリ
311 第1端部
312 第2端部
313 第1表面
314 重量低減溝
400 製造装置
410 第1提供モジュール
420 第2提供モジュール
430 組み立てモジュール
1110 第1放熱部
1120 第2放熱部
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】