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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】認知症症状緩和装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240229BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20240229BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61H 99/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61N5/06 A
A61B5/1455
A61M21/00 Z
A61H99/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547538
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 KR2021016765
(87)【国際公開番号】W WO2022108297
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0155260
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523295833
【氏名又は名称】エンサー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502223596
【氏名又は名称】光州科学技術院
【氏名又は名称原語表記】GWANGJU INSTTUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チェ グァン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、チョン テ
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン チュル
【テーマコード(参考)】
4C038
4C046
4C082
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL07
4C046BB10
4C046BB12
4C046EE32
4C082PA01
4C082PC10
4C082PJ11
4C082PL10
(57)【要約】
認知症症状緩和装置を開示する。本実施例の一態様によれば、患者の眼球および前頭葉から予め設定された半径内の位置に装着されて、患者の視神経と前頭葉に予め設定された波長帯域の光を照射して患者の認知症症状を緩和させる光刺激部と、前記光刺激部の動作を制御する制御部とを含むことを特徴とする認知症症状緩和装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼球および前頭葉から予め設定された半径内の位置に装着されて、患者の視神経と前頭葉に予め設定された波長帯域の光を照射して患者の認知症症状を緩和させる光刺激部と、
前記光刺激部の動作を制御する制御部と
を含むことを特徴とする認知症症状緩和装置。
【請求項2】
前記予め設定された波長帯域は、近赤外線波長帯域であることを特徴とする請求項1に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項3】
前記光刺激部は、
730nmを中心として予め設定された範囲内の波長帯域を有する光を照射する第1光刺激部と、850nmを中心として予め設定された範囲内の波長帯域を有する光を照射する第2光刺激部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項4】
前記光刺激部は、
予め設定された周波数帯域の光を照射することを特徴とする請求項1に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項5】
患者に予め設定された周波数帯域の共鳴音を提供する音響刺激部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項6】
前記予め設定された周波数帯域は、
ガンマ周波数帯域であることを特徴とする請求項5に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記光刺激部が照射する光の周波数帯域を第2の予め設定された周波数帯域に可変させることができることを特徴とする請求項4または5に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項8】
前記光刺激部と予め設定された半径内に位置し、前記光刺激部から第2の予め設定された周波数帯域を有して照射されて、患者の皮膚内動脈から反射した光を受光する第1受光部をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1受光部が受光した情報に基づいて患者の心拍数と酸素飽和度を測定することを特徴とする請求項8に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項10】
前記光刺激部と予め設定された半径外に位置し、前記光刺激部から第2の予め設定された周波数帯域を有して照射されて、患者の前頭葉から反射した光を受光する第2受光部をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2受光部が受光した情報に基づいて患者の脳酸素飽和度を測定することを特徴とする請求項10に記載の認知症症状緩和装置。
【請求項12】
前記第2受光部は、
複数個含まれることを特徴とする請求項10に記載の認知症症状緩和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の認知症症状を緩和させることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述された内容は単に本実施例に関する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
認知症は、脳機能の低下によって血管の弾性を低下させたりホルモン上の問題を誘発する疾患である。前述した問題によって、認知症患者は記憶力が減退したり、知能、学習または言語などの認知機能が低下する。
【0004】
このような認知症症状を緩和させるべく、従来は患者が服用可能な薬剤形態で緩和剤が開発されてきている。認知症を誘発することが知られたベータアミロイドタンパク質などを標的としてこれらを減少させるための薬剤が開発された。しかし、従来のこのような薬剤は認知症症状を緩和させるのに限界があり、認知症患者の症状を緩和するのに十分な役割を果たしていない。
【0005】
そこで、認知症患者の症状を緩和すべく、多様なデジタル装置が登場した。患者に装着されて脳機能を向上させることにより、認知症症状を緩和しようとした。しかし、患者が当該装置を装着していなければならず、装置が提供する出力画面などを持続的に見なければならないので、認知症患者が治療効果をみるための環境を維持することが非常に難しかった。この問題によって、従来は認知症症状を緩和させるための方法が存在していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施例は、患者に不都合なく装着されて患者の認知症症状を緩和させることができる認知症症状緩和装置を提供することを、一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、患者の眼球および前頭葉から予め設定された半径内の位置に装着されて、患者の視神経と前頭葉に予め設定された波長帯域の光を照射して患者の認知症症状を緩和させる光刺激部と、前記光刺激部の動作を制御する制御部とを含むことを特徴とする認知症症状緩和装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記予め設定された波長帯域は、近赤外線波長帯域であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記光刺激部は、730nmを中心として予め設定された範囲内の波長帯域を有する光を照射する第1光刺激部と、850nmを中心として予め設定された範囲内の波長帯域を有する光を照射する第2光刺激部とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記光刺激部は、予め設定された周波数帯域の光を照射することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記認知症症状緩和装置は、患者に予め設定された周波数帯域の共鳴音を提供する音響刺激部をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記予め設定された周波数帯域は、ガンマ周波数帯域であることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記制御部は、前記光刺激部が照射する光の周波数帯域を第2の予め設定された周波数帯域に可変させることができることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記認知症症状緩和装置は、前記光刺激部と予め設定された半径内に位置し、前記光刺激部から第2の予め設定された周波数帯域を有して照射されて、患者の皮膚内動脈から反射した光を受光する第1受光部をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記制御部は、前記第1受光部が受光した情報に基づいて患者の心拍数と酸素飽和度を測定することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記認知症症状緩和装置は、前記光刺激部と予め設定された半径外に位置し、前記光刺激部から第2の予め設定された周波数帯域を有して照射されて、患者の前頭葉から反射した光を受光する第2受光部をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記制御部は、前記第2受光部が受光した情報に基づいて患者の脳酸素飽和度を測定することを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記第2受光部は、複数個含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の一態様によれば、患者に不都合なく装着可能で、所望の時間だけ患者に装着されて症状緩和効果をもたらすことができるというメリットがある。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、光と音響の両方で患者を刺激して優れた認知症症状緩和効果を有することができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施例による認知症症状緩和装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施例による認知症症状緩和装置の例示図である。
図3】本発明の第2実施例による認知症症状緩和装置の構成を示す図である。
図4】本発明の第2実施例による光刺激部および受光部の例示図である。
図5】本発明の一実施例による認知症症状緩和装置から出力される光信号および音響信号を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は多様な変更が加えられて様々な実施例を有することができるが、特定の実施例を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。各図面を説明するにあたり、類似の参照符号を類似の構成要素について使用した。
【0023】
第1、第2、A、Bなどの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲で第1構成要素は第2構成要素と名付けられ、同じく、第2構成要素も第1構成要素と名付けられてもよい。および/または、という用語は、複数の関連する記載項目の組み合わせまたは複数の関連する記載項目のいずれかの項目を含む。
【0024】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり、「接続されて」いると言及された時は、その他の構成要素に直接的に連結されていたり、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいことが理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いたり、「直接接続されて」いると言及された時において、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。
【0025】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0026】
他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。
【0027】
一般的に使われる事前に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0028】
また、本発明の各実施例に含まれている各構成、過程、工程または方法などは、技術的に相互矛盾しない範囲内で共有できる。
【0029】
図1は、本発明の第1実施例による認知症症状緩和装置の構成を示す図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の第1実施例による認知症症状緩和装置100は、光刺激部110と、音響刺激部120と、制御部130とを含む。さらに、認知症症状緩和装置100は、バッテリ140をさらに含むことができる。
【0031】
認知症症状緩和装置100は、認知症患者に装着されて、光信号と音響信号を提供し、患者の認知症症状を緩和させる。脳、特に、前頭葉が特定の周波数帯域の音や光によって刺激を受けると、脳の認知機能が向上するという研究結果が存在する。このため、認知症症状緩和装置100は、患者に装着されて、光信号で前頭葉と視神経を刺激し、これと同時に、音響信号で患者の脳を刺激することにより、患者の認知機能を向上させて認知症症状を緩和することができる。
【0032】
光刺激部110は、近赤外線波長帯域の光を照射して患者の視神経と前頭葉を刺激する。光刺激部110は、患者の視神経と前頭葉の両方から予め設定された半径内に装着されて、近赤外線波長帯域の光を患者に加える。例えば、光刺激部110が配置される位置は、患者の視神経と前頭葉の両方から予め設定された半径内の眉間や眉間の隣接部位であってもよい。光刺激部110は、当該部位に装着されて、近赤外線波長帯域の光を照射する。近赤外線波長帯域の光は、皮膚内の視神経や皮膚越しの前頭葉まで到達できるので、患者が光刺激部110や光刺激部110から照射される光を見る必要がない。患者が目を閉じていても、光刺激部110は、患者の視神経と前頭葉を刺激することができる。
【0033】
光刺激部110は、患者の視神経と前頭葉を刺激するために近赤外線波長帯域の光を照射する。光刺激部110は、2つまたはそれ以上の光源を含むことができる。視神経を刺激する波長帯域は、730nm付近であり、前頭葉を刺激する波長帯域は、850nm付近である。両方をすべて刺激するために、光刺激部110は、2つまたはそれ以上の光源を含めて、730nm付近の光と850nm付近の光をすべて照射する。
【0034】
光刺激部110は、制御部130の制御によって、近赤外線波長帯域の光を予め設定された周波数で照射する。ここで、予め設定された周波数は、ガンマ周波数帯域、すなわち、30~50Hzであってもよい。ガンマ周波数帯域の光と音響は、認知症症状に関連のあるベータアミロイドタンパク質を減少させる。特に、ガンマ周波数帯域の光は、このようなベータアミロイドタンパク質を減少させる細胞であるミクログリアを増加させる。光刺激部110は、当該周波数の光を視神経と前頭葉に照射することにより、(ミクログリアの増加を誘導して)ベータアミロイドを減少させて患者の認知機能を向上させることができる。
【0035】
音響刺激部120は、予め設定された周波数を有する共鳴音を出力して患者の脳を刺激する。音響刺激部120は、光刺激部110と同じく、ガンマ周波数帯域(30~50Hz)の共鳴音を照射する。このため、音響刺激部120は、ベータアミロイドタンパク質を減少させて認知症症状を緩和させることができる。
【0036】
制御部130は、光刺激部110と音響刺激部120の動作を制御する。
【0037】
制御部130は、光刺激部110が光信号を、音響刺激部120が音響信号を出力するように制御する。この時、周波数変調によって光刺激部110と音響刺激部120ともが予め設定された周波数帯域(ガンマ周波数帯域)の周波数を有する信号を出力するように、制御部130は、光刺激部110と音響刺激部120を制御する。
【0038】
制御部130は、光刺激部110と音響刺激部120の信号出力タイミングを制御する。制御部130は、光刺激部110から視神経を刺激する光信号(730nm付近の光信号)と前頭葉を刺激する光信号(850nm付近の光信号)とが交互に出力されるようにする。これと同時に、制御部130は、視神経を刺激する光信号の出力される時点から前頭葉を刺激する光信号の出力される時点までの任意の時点に同期化して、音響信号を共に出力する。光信号と音響信号が同期化されて共に患者に加えられることにより、認知症症状緩和効果により優れることができる。制御部130によって出力タイミングが制御される光信号と音響信号は、図5に示されている。
【0039】
図5は、本発明の一実施例による認知症症状緩和装置から出力される光信号および音響信号を示すグラフである。
【0040】
図5(a)を参照すれば、光刺激部110は、視神経刺激信号510と前頭葉刺激信号520とを交互に出力し、各信号510、520は、ガンマ周波数帯域を有して出力される。
【0041】
図5(b)を参照すれば、光信号と同時に、音響刺激部120は、ガンマ周波数帯域を有する音響信号を出力する。音響信号は、制御部130の制御によって位相が90度内で調整可能である。すなわち、音響信号の正のピーク点が視神経刺激信号510と同期化される位相を有してもよく、前頭葉刺激信号520と同期化される位相を有してもよいし、その間の位相を有してもよい。ここで、制御される音響信号の位相は、患者に現れる認知症症状の様相に応じて異なる。
【0042】
再び図1を参照すれば、バッテリ140は、認知症症状緩和装置100内の各構成が動作できるようにする電源を提供する。認知症症状緩和装置100は、バッテリ140を含まず、商用電源に電気的に連結される(有線)プラグ(図示せず)を含むことができる。ただし、認知症症状緩和装置100がプラグを含む場合、認知症患者の挙動に制約が発生する余地が存在する。このため、バッテリ140が認知症症状緩和装置100に含まれて、電源を供給することができる。
【0043】
図2は、本発明の第1実施例による認知症症状緩和装置の例示図である。
【0044】
認知症症状緩和装置100は、図2に示されるように、患者の額と耳にかけて装着されるヘッドセット形態で実現できる。装置が患者に装着される場合、眉間や眉間部と接触する部分には光刺激部110a、110bが位置して、患者の視神経と前頭葉にそれぞれ光信号を出力する。別途に患者が光刺激部110a、110bなどを見る必要なく装着しさえすれば光信号を受けて症状緩和効果をみることができる。
【0045】
一方、装置が患者に装着される場合、音響刺激部120は、患者の耳や耳周辺部に位置して、患者に音響信号を提供する。音響刺激部120は、イヤホンで実現できるが、イヤホンは、患者の耳の穴の中に装着されなければならず、認知症患者につけ心地の悪い着用感を提供することがある。このため、音響刺激部120は、骨伝導イヤホンで実現されて耳周辺に装着されてもよいし、ヘッドホン形態で実現されてもよい。
【0046】
認知症症状緩和装置100は、着用による不便さを最小化すると同時に、患者の格別の行為要求なしに着用するだけでも認知症を効果的に緩和させることができる。
【0047】
図3は、本発明の第2実施例による認知症症状緩和装置の構成を示す図である。
【0048】
図3を参照すれば、本発明の第2実施例による認知症症状緩和装置300は、認知症症状緩和装置100の構成に、追加的に、第2光刺激部310と、受光部320とをさらに含む。
【0049】
第2光刺激部310は、第1光刺激部110と同じく、患者の眉間または眉間付近に付着して、光を患者の視神経と前頭葉に照射する。患者の組織活性度などを正確に把握すべく、第2光刺激部310は、患者の眉間の間に付着して、患者の体内に光を照射する。
【0050】
第2光刺激部310は、近赤外線波長帯域の光を照射する。近赤外線波長帯域の光はヘモグロビンに吸収される性質を有するが、前頭葉にヘモグロビンが多く含まれていれば、近赤外光の吸収量が多くて、前頭葉から反射する光量は少なくなる。ヘモグロビンは、特別な事情(一酸化炭素中毒など)がない限り、酸素運搬体であるので、特定組織の活性化のためには、必ずヘモグロビンが当該組織に移動しなければならない。したがって、第2光刺激部310は、患者の心拍数や酸素飽和度を測定するために光を照射する。
【0051】
第2光刺激部310は、第1光刺激部110と同じく、互いに異なる波長の近赤外光を照射する。第2光刺激部310も、2つまたはそれ以上の光源を含み、いずれか1つは730nm帯域付近の光を照射し、他の1つは850nm帯域付近の光を照射する。前頭葉に移動するヘモグロビンの種類としては、前頭葉に酸素を提供するためのオキシヘモグロビン(Oxy Hb)と、前頭葉に酸素をすでに提供したデオキシヘモグロビン(Deoxy Hb)とが存在する。 制御部130が両ヘモグロビンの濃度をそれぞれ導出できるように、少なくとも2つの第2光刺激部310は、互いに異なる波長の近赤外光を照射する。
【0052】
また、第2光刺激部310は、10~20Hzの周波数を有する光を照射する。第1光刺激部110は、症状緩和の目的によって予め設定された周波数帯域(ガンマ周波数帯域)の光を照射したが、第2光刺激部310は、受光部320が反射光を受光して制御部130が酸素飽和度などを分析できるようにすることが、光の照射目的である。このため、受光部320が円滑に受光できる周波数の光を照射しなければならない。これにより、第2光刺激部310は、ガンマ周波数帯域ではない10~20Hzの周波数で光を照射する。
【0053】
受光部320は、複数個が第2光刺激部310と一定の距離だけ離れて配置されて、皮膚内動脈や前頭葉から反射した反射光を受光する。
【0054】
受光部320は、第2光刺激部310から予め設定された半径(例えば、数cm)内に配置され、予め設定された半径外に複数個配置されてもよい。光源と受光部との間の距離は、光源が照射する光の透過程度に比例する。受光部320が第2光刺激部310から予め設定された半径内に配置される場合、患者の前頭葉まで入射した光ではない皮膚内動脈などから反射した光が受光される。逆に、受光部320が第2光刺激部310から予め設定された半径外に配置される場合、患者の前頭葉まで入射した後、反射して出る光が受光できる。このため、受光部320は、酸素飽和度を測定しようとする対象によって互いに異なる位置に配置される。
【0055】
受光部320は、反射光を時間あたり予め設定された回数だけ受光する。受光部320は、第2光刺激部310から照射された近赤外光のうちヘモグロビンに吸収されずに反射した反射光を受光する。各受光部320は、センシングした反射光量情報を制御部130に伝達することにより、制御部130が反射光量に基づいてヘモグロビンの濃度(酸素飽和度)を導出できるようにする。この時、各受光部320は、一定時間あたり予め設定された回数だけ受光することができる。例えば、各受光部320は、1秒あたり20回だけ反射光を受光することができる。
【0056】
また、前頭葉からの反射光を受光するための受光部320は、それぞれ左脳と右脳ともに対向するように配置される。当該受光部320は、額付近(光源と一定距離離れた位置)にランダムに配置されるのではなく、一定数の受光部は左脳を、残りの受光部は右脳に対向するように配置される。当該受光部320は、このように配置されて、左脳と右脳の両方から反射する反射光を受光することができる。当該受光部320が受光したデータに基づいて、制御部130は、代謝の活性度や酸素飽和度のような組織活性度を導出できるだけでなく、左脳と右脳との間の連結性も共に確認可能で、認知症の診断においてより高い正確性を確保することができる。
【0057】
制御部130は、第1光刺激部110、音響刺激部120、第2光刺激部310および受光部320の動作を制御する。制御部130は、第1光刺激部110および音響刺激部120については、認知症症状緩和装置100内の制御部130と同一に制御する。
【0058】
制御部130は、第2光刺激部310の動作を制御する。制御部130は、第2光刺激部310が10~20Hzの光を照射するように制御する。制御部130は、第2光刺激部310の動作を制御するにあたり、第1光刺激部110の動作と重ならないように第1光刺激部110が動作しない期間に動作するようにする。第2光刺激部310は、受光部320と共に、酸素飽和度などの測定を目的とする点から、主に、第1光刺激部110の動作前に動作することができる。
【0059】
制御部130は、受光部320が受光した反射光量に基づいて、患者から酸素飽和度などを測定する。第2光刺激部310から予め設定された半径内に位置した受光部320が受光した反射光量値に基づいて、制御部130は、患者の皮膚内動脈から心拍数や酸素飽和度を測定する。一方、第2光刺激部310から予め設定された半径外に位置した受光部320が受光した反射光量値に基づいて、制御部130は、患者の脳酸素飽和度を測定する。
【0060】
これによって、認知症症状緩和装置300は、認知症症状の緩和だけでなく、患者の脳や動脈での酸素飽和度を測定することができる。
【0061】
図3には、第2光刺激部310がさらに含まれていることが示されているが、これに限定するものではなく、制御部130の制御によって光刺激部110が出力する信号の周波数を変化することにより、第2光刺激部310が代替されていてもよい。
【0062】
図4は、本発明の第2実施例による光刺激部および受光部の例示図である。
【0063】
認知症症状緩和装置300は、認知症症状緩和装置100と同一の形態で実現できる。ただし、認知症症状緩和装置100は、患者の眉間または眉間付近に光刺激部110だけが配置されるのに対し、認知症症状緩和装置300は、当該位置に図4に示された光刺激部110、310および受光部320が位置する。
【0064】
第1光刺激部110と第2光刺激部310が患者の眉間や眉間付近に配置され、各光刺激部110、310から予め設定された半径内に受光部320bが配置される。受光部320bは、図4に示されるように、1つだけ配置されてもよく、それ以上配置されてもよい。
【0065】
一方、各光刺激部110、310から予め設定された半径外に受光部320aが配置される。前述したように、受光部320aは、左脳部分と右脳部分ともに配置され、複数個配置されてもよい。特に、制御部130が脳の血中酸素飽和度をより正確に測定できるように、受光部320aは、計6個またはそれ以上配置されてもよい。
【0066】
また、図4には、光刺激部および受光部が「T」字状に配置されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。受光部320aが光刺激部110、310を中心として同一の半径内に扇形状に配置されるなど予め設定された半径外に多様な形態で配置可能である。
【0067】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例として説明したに過ぎないものであって、本実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本実施例は本実施例の技術思想を限定するためではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等範囲内にあるすべての技術思想は本実施例の権利範囲に含まれると解釈されなければならない。
【0068】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2020年11月19日付で韓国に出願した特許出願番号第10-2020-0155260号について、米国特許法119(a)条(35U.S.C§119(a))により優先権主張し、そのすべての内容は参照文献として本特許出願に組み込まれる。これと共に、本特許出願は米国以外の国に対しても上記同様の理由で優先権主張し、そのすべての内容は参照文献として本特許出願に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】