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特表2024-510378打撃デバイスおよび当該打撃デバイスを制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】打撃デバイスおよび当該打撃デバイスを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B25D 9/26 20060101AFI20240229BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20240229BHJP
   E21B 1/26 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B25D9/26
E02F3/36 A
E21B1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023548269
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022052952
(87)【国際公開番号】W WO2022171595
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21156648.4
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オクスマン, ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ニッシネン, ユルキ
(72)【発明者】
【氏名】レーン, ユハニ
(72)【発明者】
【氏名】グローン, オッシ
【テーマコード(参考)】
2D012
2D058
2D129
【Fターム(参考)】
2D012DA01
2D058AA17
2D058CA03
2D058CB03
2D058CC06
2D058CC07
2D058CC24
2D058CC30
2D129AA04
2D129AB14
2D129BA09
2D129BA19
2D129CA22
2D129CA32
2D129DC13
2D129DC33
(57)【要約】
液圧打撃デバイス、および、打撃ピストンの作業サイクルを制御する方法。岩削機械(1、41)が、作業サイクル(WC)を実行する往復運動ピストン(9)を装備する打撃デバイス(4)を備える。本動作が、液圧システム(HS)の独立して動作可能である供給弁(FV)および放出弁(DV)のための制御信号(CS)を生成する制御ユニット(CU)によって制御される。ピストンの位置が感知デバイス(S)によって検出される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃デバイス(4)であって、フレーム(8)、ならびに、前記フレーム(8)内部に配置構成されたピストン(9)であって、前記打撃デバイス(4)の第1の作業圧力空間(11)および第2の作業圧力空間(12)に供給される液圧流体の圧力による衝撃方向(A)および戻り方向(B)における前記ピストン(9)の往復長手方向移動を含む作業サイクル(WC)を実施するように構成された、ピストン(9)と、
前記フレーム(8)に対する前記ピストン(9)の位置を検出するための少なくとも1つの感知デバイス(S)と、
第1の圧力空間(11)および第2の圧力空間(12)のうちの少なくとも一方の前記液圧流体の供給および放出を制御するための少なくとも1つの供給弁(FV)および少なくとも1つの複数の放出弁(DV)と、
前記少なくとも1つの感知デバイス(S)から受信される感知データ(SD)および制御ユニット(CU)に入力される制御パラメータ(PA)に応答して前記作業サイクル(WC)を実行するために、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット(CU)と、
を備え、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が、共に、閉じている制御状態および開いている制御状態へと制御可能であり、
前記制御ユニット(CU)が少なくとも1つの制御サイクル(CC)を与えられ、言及した前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が独立して制御可能であり、
前記制御サイクル(CC)が少なくとも1つの重複制御の特徴を含み、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に同じ制御状態にあり、
言及した前記重複制御の特徴が、前記制御ユニット(CU)の制御信号(CS)により無段階で独立して制御可能である、
ことを特徴とする打撃デバイス(4)。
【請求項2】
前記言及した重複制御の特徴(OC)が、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に閉じられる、積極的な重複制御の特徴(OC+)、ならびに、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に開いている、消極的な重複制御の特徴(OC-)
を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の打撃デバイス。
【請求項3】
前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けるように、ならびに、前記第1の作業圧力空間(11)および前記第2の作業圧力空間(12)のうちの少なくとも一方を通る液圧流体の自由流れを作り出すように、構成され、前記打撃デバイス(4)の前記作業サイクル(WC)中に液圧流体の圧力を交互にすることが実装される、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の打撃デバイス。
【請求項4】
前記制御ユニット(CU)が、少なくとも前記衝撃方向(A)における前記ピストン(9)の位置を検出するように構成され、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、前記衝撃方向(A)において前記ピストン(9)が前記打撃デバイス(4)のために設計された衝撃ポイントからの所定の距離限界を超えたことの検出に応答して、前記打撃デバイス(4)の前記作業サイクル(WC)の継続を防止するために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項5】
前記制御ユニット(CU)が、液圧システム(HS)から前記打撃デバイス(4)に供給される前記液圧流体の特性に関する感知データ(SD)を提供され、
前記制御ユニット(CU)が、前記液圧流体の少なくとも1つの特性のための限界値(LV)を与えられ、
前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、前記液圧流体の前記特性のうちの少なくとも1つの特性が入力限界値(LV)を超えることを検出することに応答して前記打撃デバイス(4)の前記作業サイクル(WC)の継続を防止するために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項6】
前記制御ユニット(CU)が液圧ウォームアップ構造部を装備し、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、液圧流体の流れから前記打撃デバイス(4)まで熱エネルギーを伝達することを目的として少なくとも1つの作業圧力空間(11、12)を前記液圧流体の自由流れが通るのを可能にするために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項7】
前記制御ユニット(CU)が遮断構造部を装備し、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を閉じるように、ならびに、前記少なくとも1つの制御される作業圧力空間(11、12)を通る液圧流体の流れを防止するために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に閉じた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項8】
前記制御ユニット(CU)が、前記ピストン(9)の位置を検出するために前記少なくとも1つの感知デバイス(S)から受信した検出データに応答して、ツール(6)に対する前記ピストン(9)の打撃動作後のリバウンドの大きさを検出するように構成され、
前記制御ユニット(CU)が、前記重複制御の特徴(OC)の大きさを調整するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項9】
前記制御ユニット(CU)が液圧短絡構造部を備え、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、戻り方向の移動(B)から衝撃方向の移動(A)へとピストン移動が変わるときの前記ピストン(9)の前記作業サイクル(WC)のターニングポイントにおいてまたは前記ターニングポイントの近くにおいて前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開いた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項10】
前記制御ユニット(CU)が停止構造部を備え、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を閉じるように、ならびに、戻り方向の移動(B)から衝撃方向の移動(A)へと前記ピストン移動が変わるときの前記ピストン(9)の前記作業サイクル(WC)の死点においてまたはこの死点の近くにおいて前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に閉じた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項11】
前記制御ユニット(CU)が、前記ピストン(9)を前記戻り方向(B)に移動させるために、実質的に一定の液圧流体圧力を第1の作業圧力空間(11)へと誘導するように構成され、前記第2の作業圧力空間(12)へおよび前記第2の作業圧力空間(12)から液圧流体圧力を供給および放出するようにひいてはそれにより前記作業サイクル(WC)中の前記ピストン(9)の往復移動を制御するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項12】
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が、共に、直接に電気的に制御される、オン/オフで動作可能である弁である、
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項13】
前記供給弁(FV)が、パイロット供給弁(PFV)から受信される圧力信号により制御される主供給弁(MFV)を備え、
前記放出弁(DV)が、パイロット放出弁(PDV)から受信される圧力信号により制御される主放出弁(MDV)を備え、
前記パイロット供給弁(PFV)および前記パイロット放出弁(PDV)が、前記制御ユニット(CU)により独立して制御される、
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項14】
液圧打撃デバイス(4)を備える粉砕ハンマー(1)であって
前記打撃デバイス(4)が請求項1から13のいずれか一項に記載される、
ことを特徴とする粉砕ハンマー(1)。
【請求項15】
液圧打撃デバイス(4)を備える岩削機械(41)であって、
前記打撃デバイス(4)が請求項1から13のいずれか一項に記載される、
ことを特徴とする岩削機械(41)。
【請求項16】
液圧打撃デバイス(4)の動作を制御する方法であって、
少なくとも1つの感知デバイス(S)によりピストン(9)の位置を検出して、前記感知デバイス(S)によって集められる感知データ(SD)を少なくとも1つの制御ユニット(CU)に提供することと、
前記制御ユニット(CU)の制御下で少なくとも1つの供給弁(FV)および少なくとも1つの放出弁(DV)を制御して、受信される前記感知データ(SD)および前記制御ユニット(CU)に入力される制御パラメータ(PA)に応答してピストン(9)の作業サイクル(WC)を実行するために打撃デバイス(4)の第1の圧力空間(11)および第2の圧力空間(12)のうちの少なくとも一方の液圧流体の供給および放出を制御することと、
を含み、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が、共に、前記作業サイクル(WC)中に閉じている制御状態または開いている制御状態になるように制御され、
前記作業サイクル(WC)中に前記制御ユニット(CU)の制御下で前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を互いに独立して制御すること、
言及した弁の制御サイクル(CC)において少なくとも1つの重複制御の特徴(OC)を実装することであって、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に同じ制御状態にある、少なくとも1つの重複制御の特徴(OC)を実装すること、ならびに、
前記重複制御の特徴(OC)に従って前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を無段階に互いに独立して制御するための制御信号(CS)を前記制御ユニット(CU)内で生成すること、
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリングにより打撃デバイスのフレーム内部で軸方向に移動可能に支持された打撃ピストン(percussion piston)を装備する打撃デバイス(percussion device)に関する。
【0002】
本発明はさらに、打撃デバイスのピストンの作業サイクル(working cycle)を制御する方法に関する。
【0003】
本発明の分野は、より詳細には、独立請求項のプリアンブルで定義される。
【背景技術】
【0004】
粉砕ハンマーが、岩石、コンクリートなどの硬い物質を粉砕するのに使用される。粉砕ハンマーは、粉砕ハンマーに接続可能である粉砕ツールに対して衝撃パルスを生成するための打撃デバイスを備える。打撃デバイスはピストンを備え、ピストンは打撃デバイスのフレーム内部に軸方向に移動可能に配置構成される。ピストンは衝撃方向および戻り方向に移動し、それにより打撃の動作中に作業サイクルを実行する。作業サイクルは、打撃デバイスの作業圧力空間内に広く行き渡る加圧された液圧流体を供給および放出するように構成された弁により制御される。しかし、ピストンの作業サイクルを制御するための既知の解決策はいくつかの欠点を呈している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、新規性のある改善された打撃デバイスおよびその動作を制御するための方法を提供することである。
【0006】
本発明による打撃デバイスは、独立装置クレームの特性を示す特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による方法は、独立方法クレームの特性を示された特徴によって特徴付けられる。
【0008】
開示される解決策の概念は、制御ユニットの制御下で打撃デバイスの作業サイクルを制御することである。打撃デバイスの液圧システムが、互いに独立して制御され得る1つまたは複数の供給弁および1つまたは複数の放出弁を備え、さらに制御が無段階で実装され得る。弁の制御が重複制御の特徴を含み、ここでは、供給弁および放出弁が同じ制御状態でいることができ、つまり、供給弁および放出弁が同時に共に開いていることができるかまたは別法として閉じていることができる。打撃デバイスが岩石粉砕機械のために設計され、採掘現場および建設現場においてこのような機械内に実装される。
【0009】
より詳説すると、本解決策の概念は、液圧打撃デバイス(hydraulic percussion device)が、フレームと、フレーム内部に配置構成されたピストンであって、打撃デバイスの第1および第2の作業圧力空間に供給される液圧流体の圧力による衝撃方向および戻り方向におけるピストンの往復長手方向移動を含む作業サイクルを実施するように構成された、ピストンと、を備えることである。フレームに対するピストンの位置を検出するための1つまたは複数の感知デバイスが存在する。1つまたは複数の制御ユニットが、少なくとも1つの感知デバイスから受信される感知データおよび制御ユニットに入力される制御パラメータに応答して作業サイクルを実行するために、第1および第2の圧力空間のうちの少なくとも一方の液圧流体の供給および放出を制御するための1つまたは複数の供給弁および1つまたは複数の放出弁を制御するように構成される。供給弁および放出弁が閉じている制御状態および開いている制御状態へと制御可能である。さらに、制御ユニットが少なくとも1つの制御サイクルを与えられ、ここでは、言及した供給弁および放出弁が独立して制御可能である。制御サイクルが少なくとも1つの重複制御の特徴を含み、ここでは、供給弁および放出弁が同時に同じ制御状態にある。さらに、言及した重複制御の特徴が、制御ユニットの制御信号により無段階で独立して制御可能である。
【0010】
開示される解決策の利点は、打撃デバイスの作業サイクルの動作が制御弁を閉じるおよび開けるための固定のタイミングのみに限定されないことである。代わりに、開示される制御システムは多様な状況および環境を考慮することができる。言い換えると、開示される制御は柔軟性および適応性を有する。さらに、実装される制御パラメータを変化させることによりおよび制御ソフトウェアを更新することにより制御サイクルを更新することが容易である。開示される新しい制御原理は多種多様な異なる有用な実装形態および使用事例を実現する。さらに、開示される解決策は、多様な岩石粉砕機械内に実装することが比較的容易である。
【0011】
一実施形態によれば、言及される重複制御の特徴が積極的な重複制御の特徴を含み、ここでは、供給弁および放出弁が同時に閉じられる。重複制御の特徴は消極的な重複制御の特徴をさらに含み、ここでは、供給弁および放出弁が同時に開いている。言い換えると、積極的な重複とは、液圧流体回路への接続が閉じられ、制御される作業圧力空間と液圧システムとの間に液圧流体の流れが存在しないことを意味する。さらに、消極的な重複とは、液圧回路の液圧流体の自由流れが、供給弁および放出弁によって制御される作業圧力空間を通過するように構成されることを意味する。
【0012】
一実施形態によれば、言及される積極的な重複および消極的な重複が共に無段階に調整可能である。
【0013】
一実施形態によれば、制御ユニットが、供給弁および放出弁を同時に開けるように、ならびに、第1および第2の圧力空間のうちの少なくとも一方を通る液圧流体の自由流れを作り出すように構成され、ここでは、打撃デバイスの作業サイクル中に液圧流体の圧力を交互にすることが実装される。
【0014】
一実施形態によれば、制御ユニットが、少なくとも衝撃方向におけるピストンの位置を検出するように構成され、供給弁および放出弁を開けるように、ならびに、衝撃方向においてピストンが衝撃デバイスのために設計された衝撃ポイントからの所定の距離限界を超えたことの検出に応答して、打撃デバイスの作業サイクルの継続を防止するために供給弁および放出弁を同時に開けた状態で維持するように、構成される。言い換えると、制御ユニットが、例えば岩石粉砕機械が岩石に対する十分な力を供給されないかまたは十分な力により岩石に対して押圧されない場合の有害な空転打撃動作(empty strike)から打撃デバイスを保護することができる。
【0015】
この実施形態では、制御ユニットが空転防止構造部を装備し、空転防止構造部が、粉砕すべき標的に対して岩石粉砕機械が適切に押し込まれない場合に作業サイクルの開始を防止することができ、他方で、制御デバイスが、衝撃方向において設計された衝撃ポイントからピストンが前方に移動させられる場合に動作中に作業サイクルを停止することができる。
【0016】
一実施形態によれば、ピストンの位置が、言及される感知デバイスとして機能するオン/オフタイプのスイッチによって検出される。スイッチが、ピストン上のショルダ、縁部、溝、または任意の他の不連続部を検出するように構成され得る。
【0017】
一実施形態によれば、ピストンが、スイッチまたは任意の他の種類の感知デバイスの検出のために設計された特別なショルダ、縁部、または溝を装備することができる。
【0018】
一実施形態によれば、感知デバイスが、作業サイクル中の全ストローク長、ピストンの位置を継続的に検出するように構成される。
【0019】
一実施形態によれば、ピストンの位置が非接触感知デバイスによって検出される。感知デバイスは、誘導型近接センサ、光学センサ、電気送信機/受信機であってよいか、あるいは、感知デバイスは、磁気、レーザ、無線信号、電磁気力、または、任意の他の物理現象に基づくものであってもよい。
【0020】
一実施形態によれば、制御ユニットが、液圧システムから打撃デバイスまで供給される液圧流体の特性に関する感知データを提供される。制御ユニットがさらに、液圧流体の少なくとも1つの特性のための限界値を与えられる。さらに、制御ユニットが、供給弁および放出弁を開けるように、ならびに、液圧流体の特性のうちの少なくとも1つの特性が入力限界値を超えることを検出することに応答して打撃デバイスの作業サイクルの継続を防止するために供給弁および放出弁を同時に開けた状態で維持するように、構成される。言い換えると、制御ユニットが、基本機械の液圧システムから岩石粉砕機械まで供給される液圧流体の過度の圧力およびオーバーフローから打撃デバイスを保護するための過負荷防止構造部を装備することができる。別法としてまたは加えて、制御ユニットが、不十分な流れおよび/または圧力ための防止構造部を装備することができる。この場合、例えば、キャビテーションが防止され得る。別の追加の監視される特徴または代替の監視される特徴が液圧システムの液圧流体の温度であってもよい。過度に低温または高温である圧力流体が検出されると、制御ユニットが、その温度を許容される温度範囲に設定するための所定の制御措置を実装する。
【0021】
一実施形態によれば、制御ユニットが液圧ウォームアップ構造部を装備し、ここでは、制御デバイスが、供給弁および放出弁を開けるように、ならびに、液圧流体の流れから打撃デバイスまで熱エネルギーを伝達することを目的として少なくとも1つの作業圧力空間を液圧流体の自由流れが通るのを可能にするために供給弁および放出弁を同時に開けた状態で維持するように、構成される。制御モードのウォームアップ制御の特徴の利点は、岩石粉砕機械が最初の使用準備時に適切に動作することになり、さらに、特に低温環境における作業時の摩耗および損傷が防止され得ることである。
【0022】
一実施形態によれば、制御ユニットが液圧ウォームアップ構造部を装備し、ここでは、制御デバイスが、液圧システム内の圧力を増大させてその温度を上昇させて最終的に作業機械の圧力安全弁を通してタンクまで放出することになるように、供給弁または放出弁のいずれかを閉じるように構成される。作業機械の液圧流体が十分に温められると、作業圧力空間を通って流れることが可能となる。したがって、制御ユニットは、液圧流体が十分に温められる場合にのみ供給弁および放出弁を開ける。これは2段階ウォームアップ制御モード(two-phase warm-up control mode)と呼ぶことができる。
【0023】
一実施形態によれば、制御ユニットが遮断構造部を装備し、ここでは、制御デバイスが、供給弁および放出弁を閉じるように、ならびに、少なくとも1つの制御される作業圧力空間を通る液圧流体の流れを防止するために供給弁および放出弁を同時に閉じた状態で維持するように、構成される。
【0024】
一実施形態によれば、制御ユニットが、ピストンの位置を検出するために少なくとも1つの感知デバイスから受信した検出データに応答して、ツールに対するピストンの打撃動作後のリバウンドの大きさを検出するように構成される。さらに、制御ユニットが、リバウンドに関する検出データに応答して重複制御の特徴の大きさを調整するように構成される。
【0025】
一実施形態によれば、制御ユニットが、リバウンド比を決定するように構成される。リバウンド比は、戻り方向におけるピストンリバウンド速度に対して衝撃方向におけるピストン衝撃速度を比較することによって決定される。衝撃速度およびリバウンド速度は、1つまたは複数のセンサあるいは位置感知手段に基づく位置検出データに応答して、制御デバイス内で決定され得る。制御ユニットが、重複を増大させるまたは減少させることにより供給弁および放出弁の重複を調整することができる。ストロークの下側端部において、つまりピストン移動が衝撃方向の移動から戻り方向の移動へと変わるときに、処理される岩石が硬い場合には弁の重複が増大され得、それによりリバウンド速度が低下され得、液圧エネルギーが回復され得る。処理される岩石物質が柔らかい場合、重複の調整が、供給弁および放出弁の重複を減少させることを含む。これは、リバウンドによる戻り方向におけるピストン移動が、リバウンド速度が上がる硬い岩石を処理する場合のようには重複によって制限されないため有益である。
【0026】
一実施形態によれば、制御ユニットが、重複の継続期間を増大させるかまたは減少させることにより重複の特徴または制御を調整するように構成される。
【0027】
一実施形態によれば、制御ユニットが、重複の開始のタイミングを調整することにより重複の特徴または制御を調整するように構成される。
【0028】
一実施形態によれば、リバウンドを引き起こす岩石から粉砕ハンマーに戻る跳ね返りの衝撃エネルギーが回復されて岩石粉砕機械の少なくとも1つの圧力アキュムレータに保存される。次いで、供給弁および放出弁の両方が閉じられ、圧力流体の増大圧力が岩石粉砕機械から逃げることが防止される。
【0029】
一実施形態によれば、制御ユニットが、検出位置データに応答して、上で言及したリバウンド比を決定するように構成される。制御ユニットがピストンのリバウンドエネルギーを計算することができ、リバウンドの検出データに応答して岩石の硬さを決定することができる。衝撃方向におけるピストン速度と比較して戻り方向におけるピストンのリバウンド速度が高いことは岩石が硬いことを意味し、対して衝撃速度に対してリバウンド速度が低いことは岩石が比較的柔らかいことを意味する。岩石物質の硬さに関する集められたデータが制御ユニットに保存され得、1つまたは複数の外部電気デバイスに送信され得、多用途に利用され得る。岩石物質に関するデータは、打撃デバイスの動作の制御、予防的保守管理、および、使用される岩石粉砕機械が本作業に良好に適することの保証、のために使用され得る。
【0030】
一実施形態によれば、制御ユニットが液圧短絡(hydraulic short-circuit)構造部を備え、ここでは、制御デバイスが、供給弁および放出弁を開けるように、ならびに、戻り方向の移動から衝撃方向の移動へとピストン移動が変わるときのピストンの作業サイクルのターニングポイントにおいてまたはこのターニングポイントの近くにおいて供給弁および放出弁を同時に開いた状態で維持するように、構成される。言い換えると、液圧短絡構造部により液圧流体がタンクまで誘導され得、それにより制御される作業圧力空間内での過度の圧力が防止され得る。この構造部は過負荷防止構造部として実装され得る。
【0031】
一実施形態によれば、制御ユニットが停止構造部を備え、ここでは、制御ユニットが、供給弁および放出弁を閉じるように、ならびに、戻り方向の移動から衝撃方向の移動へとピストン移動が変わるときのピストンの作業サイクルの死点においてまたはこの死点の近くにおいて供給弁および放出弁を同時に閉じた状態で維持するように、構成される。言い換えると、停止構造部により、制御される作業圧力空間へのおよび制御される圧力空間からの液圧流体が遮断され得、この構造部が移動長さを制御するのに使用され得る。
【0032】
一実施形態によれば、制御ユニットが、ピストンを戻り方向に移動させるために、実質的に一定の液圧流体圧力を第1の作業圧力空間へと誘導するように構成され、第2の作業圧力空間へおよび第2の作業圧力空間から液圧流体圧力を供給および放出するようにひいてはそれにより作業サイクル(work cycle)中のピストンの往復移動を制御するように構成される。言い換えると、打撃デバイスが、ピストンの衝撃方向側において交互の圧力コンディション(高い圧力-タンク圧力)を有する。
【0033】
一実施形態によれば、打撃デバイスの動作原理が、上記の前の実施形態で開示される動作原理とは異なる。打撃デバイスが、別法として、ピストンの戻り方向の移動において有効となる交互の高い圧力-タンク圧力のコンディションを有することができ、さらに、ピストンを衝撃方向に押す実質的に一定の高い圧力コンディションを有することができる。別の代替形態は、作業サイクル中に高い圧力-タンク圧力である交互の圧力コンディションが制御されるような解決策である。
【0034】
一実施形態によれば、供給弁および放出弁が、共に、直接に電気的に制御される、オン/オフで動作可能である弁である。言い換えると、開示される弁構成が直接の電気的な制御を含む。
【0035】
一実施形態によれば、供給弁が、パイロット供給弁から受信される圧力信号により制御される主供給弁を備える。それに対応して、放出弁が、パイロット放出弁から受信される圧力信号により制御される主放出弁を備える。さらに、パイロット供給弁およびパイロット放出弁が、制御ユニットにより独立して制御される。言い換えると、開示される弁構成はパイロット制御システムを実装する。
【0036】
一実施形態によれば、本解決策は、液圧打撃デバイスの動作を制御する方法に関する。本方法が、1つまたは複数の感知デバイスによりピストンの位置を検出することと、感知デバイスによって集められる感知データを1つまたは複数の制御ユニットに提供することと、を含む。本方法が、制御ユニットの制御下で少なくとも1つの供給弁および少なくとも1つの放出弁を制御することと、受信される感知データおよび制御ユニットに入力される制御パラメータに応答してピストンの作業サイクルを実行するために、岩石粉砕機械の打撃デバイスの第1および第2の圧力空間のうちの少なくとも一方の液圧流体の供給および放出を制御することと、をさらに含む。供給弁および放出弁が、共に、作業サイクル中に閉じている制御状態および開いている制御状態になるように制御される。さらに、供給弁および放出弁が互いに独立して制御され、制御が作業サイクル中に制御ユニットによって実行される。本方法が、言及した弁の制御サイクルにおいて少なくとも1つの重複制御の特徴を実装することをさらに含み、ここでは、供給弁および放出弁が同時に同じ制御状態にあり、つまり、供給弁および放出弁の両方が同時に開いているかまたは同時に閉じられる。制御ユニットが、重複制御の特徴に従って供給弁および放出弁を無段階に互いに独立して制御するための制御信号を生成する。
【0037】
一実施形態によれば、本解決策は、開示される打撃デバイスを装備する液圧岩石粉砕ハンマーに関する。言い換えると、言及される岩石粉砕機械が岩石粉砕ハンマーである。
【0038】
一実施形態によれば、本解決策は、開示される打撃デバイスを装備する液圧岩削機械に関する。言い換えると、言及される岩石粉砕機械が岩削機械である。岩削機械がいわゆるトップハンマー掘削機械またはダウンホール(DTH:down-the-hole)掘削機械であってよい。
【0039】
上で開示される実施形態が、開示される必要な特徴を装備する所望の解決策を形成するために組み合わされ得る。
【0040】
添付図面でいくつかの実施形態がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】粉砕ハンマーを装備する掘削機を示す概略側面図である。
図2】開示される打撃デバイスおよびその制御の特徴に関連するいくつかの事柄を示す概略図である。
図3】岩石粉砕機械の液圧式打撃デバイスを示す概略側断面図である。
図4】打撃ピストンの一部および打撃ピストンの移動を監視するように構成された感知デバイスを示す概略側面図である。
図5】液圧岩石粉砕機械の制御システムおよび制御ユニットに関連するいくつかの特徴を示す概略図である。
図6】重複制御の特徴を利用するいくつかの制御モードを示す概略図である。
図7】パイロット制御弁システムを装備する液圧打撃デバイスを示す概略図である。
図8】開示される解決策による打撃デバイスを装備する液圧岩削機械を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
分かり易いように、これらの図は開示される解決策のいくつかの実施形態を単純な手法で示す。図では、同様の参照符号が同様の要素を示す。
【0043】
図1は、掘削機などの作業機械3のブーム2の自由端に配置構成された粉砕ハンマー1を示す。別法として、ブーム2が例えば破砕装置の任意の可動台または固定されたプラットフォームに配置構成され得る。岩石粉砕機械の1つの種類である粉砕ハンマー1が、衝撃パルスを生成するための打撃デバイス4を備える。打撃デバイス1が粉砕すべき物質5に対してブーム2によって押圧され得、同時に、粉砕ハンマー1に接続されたツール6に対して打撃デバイス4を用いて衝撃が生成される。ツール6が粉砕すべき物質5に衝撃パルスを伝達する。打撃デバイス4が液圧式であり、したがって、打撃デバイス4が作業機械2の液圧システムに接続される。液圧流体の影響下で衝撃方向Aおよび戻り方向Bに前後に移動させられる打撃ピストンにより打撃デバイス4内で衝撃パルスが生成される。さらに、打撃ハンマー1が保護ケーシング7を備えることができ、保護ケーシング7の内部に打撃デバイス4が位置することができる。打撃デバイス4が、本文献で開示される解決策に従うことができる。
【0044】
図2は、液圧粉砕デバイス1の打撃デバイス4の打撃ピストン9が作業サイクルWCに従って衝撃方向Aおよび戻り方向Bに往復動させられることを開示する。ピストン9の移動および位置が1つまたは複数の感知デバイスSまたはセンサによって検出される。作業サイクルWCが、1つまたは複数の供給弁FVおよび1つまたは複数の放出弁DVを制御するように構成された制御ユニットCUによって制御される。供給弁および放出弁の両方が、開いている制御状態および閉じている制御状態である2つの制御状態を有する。弁が直接に電気的に動作可能である弁であってよいか、または別法として、後で図3および7で開示されるように、弁がパイロット制御弁であってもよい。
【0045】
制御ユニットCUが、弁FVおよびDVを制御するための、ならびに、弁の制御状態を変化させることを目的として必要である制御信号を生成するための、1つまたは複数の制御サイクルCCを備える。弁FVおよびDVが制御ユニットCUによって制御されることを理由として、および、それらの制御が物理的な制約または接続によって制限されないことを理由として、弁FVおよびDVがそれらの制御状態のうちのいずれかの制御状態となるように独立して制御可能である。さらに、制御ユニットCUの制御サイクルCCのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの重複制御の特徴OCを含む。重複制御OCは、弁FVおよびDVが同じ制御状態(開いているFV+開いているDV=消極的な重複;閉じているFV+閉じているDV=積極的な重複)にあることを意味する。制御ユニットCUが所望の重複の特徴OCを選択することができ、検出される感知データおよび入力される制御原理に応答して調整を行うことができる。
【0046】
図2に開示される特徴は多様な種類の岩削機械でも実装され得る。
【0047】
図3は、岩石粉砕ハンマーまたは岩削機械などの、岩石粉砕機械の打撃デバイス4の基本構造を開示する。打撃デバイス4がフレーム8を備え、フレーム8の内部に、衝撃方向Aおよび戻り方向Bに移動させられるように打撃ピストン9が配置構成される。ピストン9がピストン9の中間セクションのところに作業カラー10を備える。カラー10の衝撃方向Aの側に第1の作業圧力空間11が存在し、戻り方向Bの側に第2の作業圧力空間12が存在し、これらの内部で液圧流体の圧力が制御ユニットCUによって制御される。作業圧力空間11、12がカラー密閉要素13により互いから分離される。クリアランス14または環状の隙間が作業カラー10を囲み、このクリアランス14がカラー密閉要素13によって密閉される。
【0048】
ピストン9が、ピストン9を戻り方向Bに移動させるための第1の作業圧力面15と、ピストン9を衝撃方向Aに移動させるための第2の作業圧力面16と、を備える。制御ユニットCUが、第2の圧力空間をタンクTまたは圧力源PSに接続することにより第2の作業圧力空間12内の圧力を交互にすることができる。制御ユニットCUが、作業サイクルの継続時間にわたって第1の作業圧力空間11を圧力源に接続することができる。第2の作業圧力面16の有効面積が第1の作業圧力面15の有効面積より大きいことを理由として、第2の作業圧力空間12に高い圧力が供給される場合にピストンが衝撃方向Aに移動する。圧力流の制御および作業圧力面の有効面積が本文献において上で既に触れたように他の手法で構成されて寸法決めされてもよいことに言及しておく。
【0049】
打撃ピストン9が第1のピストンベアリング17および第2のピストンベアリング18によりフレーム8に対して支持される。第1のピストンベアリング17および第2のピストンベアリング18は別個のスリーブ状のピストンベアリング要素19、20であり、ピストンベアリング要素19、20がフレーム8の中央貫通開口部21の内に軸方向に設置され得る。第1のピストンベアリング要素19が打撃デバイス4の下側端部分のところでピストン9を支持し、第2のピストンベアリング要素20が上側端部分のところで支持する。ピストンベアリング要素19、20またはブッシングが、ピストンベアリング要素19、20の開口部内径をピストン9の外径に対して密閉するための1つまたは複数の液圧シール22、23を装備する。これらのシールおよび密閉セクションに加えて、ピストンベアリング要素19、20が、ピストン9の両端部分を摺動可能に支承するためのベアリング部分24、25を備える。ピストンベアリング要素19、20が、衝撃方向Aおよび戻り方向Bにおいてピストンがピストンの公称ストローク長を超える場合に作業圧力面15、16を用いて閉じた圧力空間を形成する端部緩衝空間26、27をさらに備えることができる。見られ得るように、第2の作業圧力空間12がピストン9と第2のピストンベアリング要素20との間に画定され得る。第2のベアリング要素20のベアリング部分25が、摺動ベアリング面のための潤滑液源Lからの潤滑を実現するための専用の潤滑チャネル28を装備することができる。ピストンベアリング要素19、20が、両方、タンクTに接続された、スロットルデバイス31を装備する専用のタンクチャネル29、30を備えることができる。
【0050】
打撃ピストン9が、ツールに対して打撃動作を行うように構成された、衝撃方向Aの方を向く衝撃面32を備える。ピストン9の後面33が戻り方向Bの方を向き、直接に作動する圧力アキュムレータ35のガス空間34の内部を移動するように構成される。第2のピストン要素20の密閉セクションの端部分のところに、ベアリング部分25およびガス空間34を互いから液密的に分離するためのガス密閉要素36が存在する。
【0051】
打撃ピストン9の位置が感知デバイスSによって検出され得る。集められた感知データが制御ユニットCUに送信される。制御ユニットCUがさらに、例えば液圧流体の特性を検出するように構成され得る1つまたは複数の検出デバイスDから感知データを受信することができる。操作者OPがユーザーインターフェースUIを介して制御ユニットCUと通信することができ、それにより、制御パラメータ、制御コマンド、および更新されたコンピュータプログラムを制御ユニットCUに入力することができる。制御ユニットCUが、液圧システムHSに接続された1つまたは複数の供給弁FVおよび1つまたは複数の放出弁DVのための制御コマンドを生成するように配置構成される。図3では、弁FVおよびDVが電気的に動作可能である制御弁であり、制御ユニットCUの直接の制御下にある。弁FVおよびDVが単純なオン/オフタイプの弁であってよい。通常、液圧流体の大量の流れが作業サイクル中に制御されることを理由として、迅速な制御措置を保証するために、2つ以上の平行な供給弁FVおよび2つ以上の平行な放出弁DVを配置構成することが可能である。
【0052】
図4は、2つの感知ユニットS1およびS2を備えることができる感知デバイスSを開示する。第1の感知ユニットS1がピストン9の下死点を監視するように配置構成され得、2つの感知スイッチSaおよびSbを備えることができ、対して第2の感知ユニットS2がピストンの上死点を監視するように配置構成され得、2つの感知スイッチScおよびSdを備えることができる。別法として、下側スイッチSa、Sbおよび上側スイッチSc、Sdから受信される感知データに応答して、制御サイクルの必要なタイミング測定が制御ユニット内で計算され得る。単純な感知スイッチSa~Sdを使用することは、例えば、それらの小さいサイズと、耐久性と、安価さとを理由として、有利である。
【0053】
ピストン9が専用の感知カラー37を装備することができ、専用の感知カラー37の位置が感知デバイスSによって検出される。
【0054】
図5は、開示される制御システムに関連するいくつかの特徴を開示する。制御ユニットCUが、1つまたは複数のプロセッサP、1つまたは複数のメモリデバイスM、ならびに1つまたは複数の入力・出力デバイス38を備える。1つまたは複数の制御プログラムCPが制御ユニットCUにロードされ得る。制御プラグラムCPがメモリデバイスMに保存され得、プロセッサP内で処理され得る。制御ユニットCUが、位置感知デバイスSおよび検出デバイスDから感知データSDを受信することができる。制御パラメータPAおよび多様な限界値LVがさらに制御ユニットCUに入力され得る。
【0055】
図6は、開示される重複制御の特徴のいくつかの可能性のある使用事例を列記する図を開示する。これらの制御状況および使用事例は本文献では既に考察している。
【0056】
図7は、図3に提示される直接に制御される供給弁および放出弁のシステムに対する代替形態の単純化された説明図である。本文献では、液圧システムHSが、パイロット供給弁PFVによって制御される主供給弁MFVと、パイロット放出弁PDVによって制御される対応する主放出弁MDVと、を備える。制御ユニットCUがパイロット制御弁PFVおよびPDVのための電気制御を実現し、パイロット制御弁PFVおよびPDVが主制御弁MFVおよびMDVのための液圧制御信号を提供する。
【0057】
何らかの理由で所望される場合、図3に開示される直接の制御システムおよび図7に開示されるパイロット制御システムを組み合わせること、ならびに、それにより直接の制御を用いる1つの弁およびパイロット制御を用いる1つの弁を提供することも可能となり得る。
【0058】
図8は、フィードビーム42上に移動可能に配置構成された岩削機械41を備える岩削ユニット40を開示する。岩削機械41が、ツール6により岩石表面に伝達される衝撃パルスを生成するための液圧打撃デバイス4を備える。ツール6が、1つまたは複数の掘削管または掘削棒、および、ツール6の遠位端のところにあるドリルビット43を備えることができる。回転デバイス44が、ツール6の長手方向軸を中心としてツール6を回転させるように配置構成される。岩削機械41のボディ45の前方端部のところに、掘削破片を取り除くために掘削穴までツール6を介してフラッシング流体を供給するためのフラッシング液ハウジング46が存在することができる。打撃デバイス4が、少なくとも1つの制御ユニットCUの制御下で制御される、制御構造部および本文献で開示される構成要素を備える液圧システムHSに接続される。制御ユニットCUが、ユーザーインターフェースUI、センサS、および検出装置Dと通信することができ、本文献で開示される手法で液圧システムHSの制御弁のための必要である電気制御信号を提供する。
【0059】
図8ではトップハンマータイプの掘削機械が開示されることに言及しておく。しかし、本解決策はDTHタイプの岩削機械にも実装され得、ここでは、打撃デバイスがツールのドリルビット側の端部のところに位置する。
【0060】
図面および関連の記述は本発明の概念を説明することのみを意図する。本発明は、細部において、特許請求の範囲内で変化することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃デバイス(4)であって、フレーム(8)、ならびに、前記フレーム(8)内部に配置構成されたピストン(9)であって、前記打撃デバイス(4)の第1の作業圧力空間(11)および第2の作業圧力空間(12)に供給される液圧流体の圧力による衝撃方向(A)および戻り方向(B)における前記ピストン(9)の往復長手方向移動を含む作業サイクル(WC)を実施するように構成された、ピストン(9)と、
前記フレーム(8)に対する前記ピストン(9)の位置を検出するための少なくとも1つの感知デバイス(S)と、
第1の圧力空間(11)および第2の圧力空間(12)のうちの少なくとも一方の前記液圧流体の供給および放出を制御するための少なくとも1つの供給弁(FV)および少なくとも1つの放出弁(DV)と、
前記少なくとも1つの感知デバイス(S)から受信される感知データ(SD)および制御ユニット(CU)に入力される制御パラメータ(PA)に応答して前記作業サイクル(WC)を実行するために、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット(CU)と、
を備え、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が、共に、閉じている制御状態および開いている制御状態へと制御可能であり、
前記制御ユニット(CU)が少なくとも1つの制御サイクル(CC)を与えられ、言及した前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が独立して制御可能であり、
前記制御サイクル(CC)が少なくとも1つの重複制御の特徴を含み、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に同じ制御状態にあり、
言及した前記重複制御の特徴が、前記制御ユニット(CU)の制御信号(CS)により無段階で独立して制御可能であり、
前記制御ユニット(CU)が、前記少なくとも1つの感知デバイス(S)から受信される検出位置データに応答して、戻り方向におけるピストンリバウンド速度に対して衝撃方向におけるピストン衝撃速度を比較することにより、リバウンド比を決定するように構成され、
前記制御ユニット(CU)が、決定された前記リバウンド比に応答して前記重複制御の特徴を制御するように構成される、
ことを特徴とする打撃デバイス(4)。
【請求項2】
前記言及した重複制御の特徴(OC)が、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に閉じられる、積極的な重複制御の特徴(OC+)、ならびに、
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に開いている、消極的な重複制御の特徴(OC-)
を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の打撃デバイス。
【請求項3】
前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けるように、ならびに、前記第1の作業圧力空間(11)および前記第2の作業圧力空間(12)のうちの少なくとも一方を通る液圧流体の自由流れを作り出すように、構成され、前記打撃デバイス(4)の前記作業サイクル(WC)中に液圧流体の圧力を交互にすることが実装される、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の打撃デバイス。
【請求項4】
前記制御ユニット(CU)が、少なくとも前記衝撃方向(A)における前記ピストン(9)の位置を検出するように構成され、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、前記衝撃方向(A)において前記ピストン(9)が前記打撃デバイス(4)のために設計された衝撃ポイントからの所定の距離限界を超えたことの検出に応答して、前記打撃デバイス(4)の前記作業サイクル(WC)の継続を防止するために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項5】
前記制御ユニット(CU)が、液圧システム(HS)から前記打撃デバイス(4)に供給される前記液圧流体の特性に関する感知データ(SD)を提供され、
前記制御ユニット(CU)が、前記液圧流体の少なくとも1つの特性のための限界値(LV)を与えられ、
前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、前記液圧流体の前記特性のうちの少なくとも1つの特性が入力限界値(LV)を超えることを検出することに応答して前記打撃デバイス(4)の前記作業サイクル(WC)の継続を防止するために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項6】
前記制御ユニット(CU)が液圧ウォームアップ構造部を装備し、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、液圧流体の流れから前記打撃デバイス(4)まで熱エネルギーを伝達することを目的として少なくとも1つの作業圧力空間(11、12)を前記液圧流体の自由流れが通るのを可能にするために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開けた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項7】
前記制御ユニット(CU)が遮断構造部を装備し、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を閉じるように、ならびに、前記少なくとも1つの制御される作業圧力空間(11、12)を通る液圧流体の流れを防止するために前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に閉じた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項8】
前記制御ユニット(CU)が、前記ピストン(9)の位置を検出するために前記少なくとも1つの感知デバイス(S)から受信した検出データに応答して、ツール(6)に対する前記ピストン(9)の打撃動作後のリバウンドの大きさを検出するように構成され、
前記制御ユニット(CU)が、前記重複制御の特徴(OC)の大きさを調整するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項9】
前記制御ユニット(CU)が液圧短絡構造部を備え、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を開けるように、ならびに、戻り方向の移動(B)から衝撃方向の移動(A)へとピストン移動が変わるときの前記ピストン(9)の前記作業サイクル(WC)のターニングポイントにおいてまたは前記ターニングポイントの近くにおいて前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に開いた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項10】
前記制御ユニット(CU)が停止構造部を備え、前記制御ユニット(CU)が、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を閉じるように、ならびに、戻り方向の移動(B)から衝撃方向の移動(A)へと前記ピストン移動が変わるときの前記ピストン(9)の前記作業サイクル(WC)の死点においてまたはこの死点の近くにおいて前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を同時に閉じた状態で維持するように、構成される、
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項11】
前記制御ユニット(CU)が、前記ピストン(9)を前記戻り方向(B)に移動させるために、実質的に一定の液圧流体圧力を第1の作業圧力空間(11)へと誘導するように構成され、前記第2の作業圧力空間(12)へおよび前記第2の作業圧力空間(12)から液圧流体圧力を供給および放出するようにひいてはそれにより前記作業サイクル(WC)中の前記ピストン(9)の往復移動を制御するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項12】
前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が、共に、直接に電気的に制御される、オン/オフで動作可能である弁である、
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項13】
前記供給弁(FV)が、パイロット供給弁(PFV)から受信される圧力信号により制御される主供給弁(MFV)を備え、
前記放出弁(DV)が、パイロット放出弁(PDV)から受信される圧力信号により制御される主放出弁(MDV)を備え、
前記パイロット供給弁(PFV)および前記パイロット放出弁(PDV)が、前記制御ユニット(CU)により独立して制御される、
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の打撃デバイス。
【請求項14】
液圧打撃デバイス(4)を備える粉砕ハンマー(1)であって
前記打撃デバイス(4)が請求項1から13のいずれか一項に記載される、
ことを特徴とする粉砕ハンマー(1)。
【請求項15】
液圧打撃デバイス(4)を備える岩削機械(41)であって、
前記打撃デバイス(4)が請求項1から13のいずれか一項に記載される、
ことを特徴とする岩削機械(41)。
【請求項16】
液圧打撃デバイス(4)の動作を制御する方法であって、
少なくとも1つの感知デバイス(S)によりピストン(9)の位置を検出して、前記感知デバイス(S)によって集められる感知データ(SD)を少なくとも1つの制御ユニット(CU)に提供することと、
前記制御ユニット(CU)の制御下で少なくとも1つの供給弁(FV)および少なくとも1つの放出弁(DV)を制御して、受信される前記感知データ(SD)および前記制御ユニット(CU)に入力される制御パラメータ(PA)に応答してピストン(9)の作業サイクル(WC)を実行するために打撃デバイス(4)の第1の圧力空間(11)および第2の圧力空間(12)のうちの少なくとも一方の液圧流体の供給および放出を制御することであって、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が、共に、前記作業サイクル(WC)中に閉じている制御状態または開いている制御状態になるように制御される、液圧流体の供給および放出を制御することと、
前記作業サイクル(WC)中に前記制御ユニット(CU)の制御下で前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を互いに独立して制御することと、
言及した弁の制御サイクル(CC)において少なくとも1つの重複制御の特徴(OC)を実装することであって、前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)が同時に同じ制御状態にある、少なくとも1つの重複制御の特徴(OC)を実装することと、
前記重複制御の特徴(OC)に従って前記供給弁(FV)および前記放出弁(DV)を無段階に互いに独立して制御するための制御信号(CS)を前記制御ユニット(CU)内で生成することと、
を含み、
前記方法が、
前記少なくとも1つの感知デバイス(S)から受信される検出位置データに応答して、戻り方向におけるピストンリバウンド速度に対して衝撃方向におけるピストン衝撃速度を比較することにより、リバウンド比を決定すること、および、
決定された前記リバウンド比に応答して前記重複制御の特徴を制御すること、
をさらに含む、ことを特徴とする方法。
【国際調査報告】