(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】パワーバンクバッテリ及びそれを用いて充電されるデバイスの容量の統合的監視
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240229BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
H02J7/04 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023549946
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021065143
(87)【国際公開番号】W WO2022191897
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン、トドロフ、ブーリルコフ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ、コロナド、ホルタル
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ、ホセ、レストレポ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ロトンド
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB02
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA08
(57)【要約】
充電式バッテリ及び/又はリモートサーバを含むポータブルパワーバンクが、パワーバンクバッテリにおける容量の損失を検出し得る。パワーバンク及び/又はリモートサーバは、パワーバンクの公称容量、及びパワーバンクの実容量を判定し、実容量は、公称容量よりも小さい。パワーバンク及び/又はリモートサーバは、実容量を公称容量と比較して、パワーバンクバッテリの健全性値を判定する。パワーバンクのバッテリ健全性値が閾値以下であるとき、パワーバンク及び/又はリモートサーバは、健全性値の指標を送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーバンクデバイスであって、
バッテリであって、前記パワーバンクデバイスの外部の充電式デバイスのバッテリに、前記パワーバンクバッテリと充電式デバイスバッテリとの間の電気的接続を介して電荷を供給するためのものであり、前記パワーバンクバッテリが、公称容量を有する、バッテリと、
前記充電式デバイス及びリモートサーバと通信信号を交換するように構成された1つ以上の送受信機と、
1つ以上のプロセッサと、
非一時的メモリであって、前記1つ以上のプロセッサを介して実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記パワーバンクバッテリの前記公称容量を判定することと、
前記パワーバンクバッテリの現在の容量を測定することと、
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を前記パワーバンクバッテリの前記公称容量と比較して、前記パワーバンクバッテリの健全性値を判定することと、
前記健全性値が閾値以下であるときに、前記1つ以上の送受信機を介して、前記リモートサーバに、前記パワーバンクバッテリの前記健全性値の指標を送信することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を記憶する、非一時的メモリと、を備える、パワーバンクデバイス。
【請求項2】
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を判定するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記パワーバンクバッテリの充電に対応する時間間隔中、前記パワーバンクバッテリへの流入電流を監視することと、
前記時間間隔を通した前記監視された流入電流に基づいて、前記パワーバンクバッテリの入力充電容量を計算することと、
前記計算された入力充電容量に基づいて、前記現在の容量を判定することと、を行わせる、請求項1に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項3】
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を判定するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記パワーバンクバッテリから前記充電式デバイスへの電荷の供給に対応する時間間隔中、前記パワーバンクバッテリからの流出電流を監視することと、
前記電荷の供給に対応する前記時間間隔を通した前記監視された流出電流に基づいて、前記パワーバンクバッテリの出力充電容量を計算することと、
前記計算された出力充電容量に基づいて、前記現在の容量を判定することと、を行わせる、請求項1又は2に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項4】
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を判定するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記パワーバンクバッテリの充電に対応する時間間隔中、前記パワーバンクバッテリへの流入電流及び前記パワーバンクバッテリの電圧を監視することと、
前記監視された流入電流及び前記時間間隔を通した前記電圧に基づいて、前記パワーバンクバッテリの入力エネルギー容量を計算することと、
前記計算された入力エネルギー容量に基づいて、前記現在の容量を判定することと、を行わせる、請求項1~3のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項5】
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を判定するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記パワーバンクバッテリから前記充電式デバイスへの電荷の供給に対応する時間間隔中、前記パワーバンクバッテリからの流出電流及び前記パワーバンクバッテリの電圧を監視することと、
前記電荷の供給に対応する前記時間間隔を通した前記監視された流出電流及び前記電圧に基づいて、前記パワーバンクバッテリの出力エネルギー容量を計算することと、
前記計算された出力エネルギー容量に基づいて、前記現在の容量を判定することと、を行わせる、請求項1~4のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項6】
前記健全性値を前記リモートサーバに送信するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記1つ以上の送受信機と前記リモートサーバとの間のワイヤレス接続を介して、前記健全性値を送信させる、請求項1~5のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項7】
前記健全性値を前記リモートサーバに送信するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記1つ以上の送受信機と前記充電式デバイスとの間のワイヤレス接続を介して、前記健全性値を送信することであって、前記健全性値を前記充電式デバイスに送信することが、前記充電式デバイスに前記健全性値を前記リモートサーバに中継させる、送信することを行わせる、請求項1~5のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項8】
前記パワーバンクバッテリと前記充電式デバイスバッテリとの間の前記電気的接続が、前記パワーバンクデバイスと前記充電式デバイスとの間のワイヤレスの電気的接続を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項9】
前記パワーバンクバッテリと前記充電式デバイスバッテリとの間の前記電気的接続が、前記パワーバンクデバイスと前記充電式デバイスとの間の有線の電気的接続を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項10】
前記パワーバンクデバイスの温度を感知するように構成された温度センサを更に備え、
前記メモリが、温度値をそれぞれの温度補正因子と関連付ける1つ以上のルックアップテーブルを記憶するように構成されており、
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を前記パワーバンクバッテリの前記公称容量と比較するために、前記命令が、実行されるときに、前記パワーバンクデバイスに、
前記温度センサから温度値を取得することと、
前記温度値に基づいて、前記1つ以上のルックアップテーブルから、前記それぞれの温度補正因子を取得することと、
調整された現在の容量を、前記温度補正因子を前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量に適用することによって生成することと、
前記調整された現在の容量を前記パワーバンクバッテリの前記公称容量と比較することと、を行わせる、請求項1~9のいずれか一項に記載のパワーバンクデバイス。
【請求項11】
コンピュータ実装方法であって、
パワーバンクデバイスの1つ以上のプロセッサを介して、前記パワーバンクデバイスのバッテリの公称容量を判定することであって、前記パワーバンクバッテリが、前記パワーバンクバッテリと充電式デバイスバッテリとの間の電気的接続を介して、前記パワーバンクデバイスの外部の充電式デバイスに電荷を供給するように構成されている、判定することと、
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記パワーバンクバッテリの現在の容量の測定値を取得することと、
前記1つ以上のプロセッサを介して、前記現在の容量を前記公称容量と比較して、前記パワーバンクのバッテリの健全性値を判定することと、
前記パワーバンクデバイスの1つ以上の送受信機を介して、前記健全性値が閾値以下であるときに、前記パワーバンクバッテリの前記健全性値の指標をリモートサーバに送信することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項12】
システムであって、
パワーバンクデバイス及び1つ以上のパーソナル電子デバイスと通信信号を交換するように構成された1つ以上の送受信機であって、前記パワーバンクデバイスが、前記パワーバンクデバイスの外部の充電式デバイスのバッテリに電荷を供給するためのバッテリを含む、1つ以上の送受信機と、
1つ以上のプロセッサと、
非一時的メモリであって、前記1つ以上のプロセッサを介して実行されるときに、前記システムに、
前記パワーバンクバッテリの公称容量を取得することと、
前記1つ以上の送受信機を介して、前記パワーバンクデバイスから、前記パワーバンクバッテリの現在の容量測定値を受信することと、
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を前記パワーバンクバッテリの前記公称容量と比較して、前記パワーバンクバッテリの健全性値を判定することと、
前記健全性値が閾値以下であるときに、前記1つ以上の送受信機を介して、前記1つ以上のパーソナル電子デバイスに、前記パワーバンクバッテリの前記健全性値の指標を送信することと、を行わせるコンピュータ実行可能命令を記憶する、非一時的メモリと、を備える、システム。
【請求項13】
前記パワーバンクバッテリの前記公称容量を取得するために、前記命令が、実行されるときに、前記システムに、
前記1つ以上の送受信機を介して、前記パワーバンクデバイスからパワーバンク識別子の指標を受信することと、
前記パワーバンク識別子を使用して、データベースに照会して、前記パワーバンクバッテリの前記公称容量を取得することと、を行わせる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記パワーバンクバッテリの前記公称容量を取得するために、前記命令が、実行されるときに、前記システムに、
前記1つ以上の送受信機を介して、前記パワーバンクデバイスから前記パワーバンクバッテリの前記公称容量を受信させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記パワーバンクデバイスと関連付けられたユーザプロファイルを記憶するように構成されたユーザプロファイルデータベースを更に備える、請求項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記命令が、実行されるときに、前記システムに、
前記現在の容量の測定値を前記ユーザプロファイルに記憶させる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記命令が、実行されるときに、前記システムに、
前記1つ以上の送受信機を介して、パーソナル電子デバイスから、前記パワーバンクデバイスと関連付けられたデータを映示する要求を受信することと、
前記ユーザプロファイルに照会して、前記記憶された現在の容量の測定値を取得することと、
前記1つ以上の送受信機を介して、前記パーソナル電子デバイスに前記現在の容量の測定値を送信することと、を行わせる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ユーザプロファイルが、前記パワーバンクデバイスと関連付けられたアラートが受信されるべきことをユーザが示したパーソナル電子デバイスの選択の指標を含み、
前記健全性値の前記指標を送信するために、前記命令が、実行されるときに、前記システムに、
前記ユーザプロファイルに照会して、前記パーソナル電子デバイスの選択を判定することと、
前記1つ以上の送受信機を介して、前記パーソナル電子デバイスに前記健全性値の前記指標を送信することと、を行わせる、請求項15~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記命令が、実行されるときに、前記システムに、
前記1つ以上の送受信機を介して、パーソナル電子デバイスから、前記閾値を定義する指標を受信することを行わせる、請求項12~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記メモリが、温度値をそれぞれの温度補正因子と関連付ける1つ以上のルックアップテーブルを記憶するように構成されており、
前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量を前記パワーバンクバッテリの前記公称容量と比較するために、前記命令が、実行されるときに、前記システに、
前記パワーバンクデバイスから、温度値の指標を受信することと、
前記温度値に基づいて、前記1つ以上のルックアップテーブルから、前記それぞれの温度補正因子を取得することと、
調整された現在の容量を、前記温度補正因子を前記パワーバンクバッテリの前記現在の容量に適用することによって生成することと、
前記調整された現在の容量を前記パワーバンクバッテリの前記公称容量と比較することと、を行わせる、請求項12~19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、パワーバンクバッテリの容量の損失を検出し、より具体的には、パワーバンクバッテリの容量の損失を、パワーバンクのユーザによってアクセス可能なリモートサーバに伝達するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーバンクは、主に、モバイルコンピューティングデバイスなどの1つ以上の充電式デバイスに電気的に接続可能である充電式バッテリを含む、ポータブル電子デバイスである。パワーバンクは、電気的接続を使用して、充電式デバイスのそれぞれのバッテリに電荷を供給する。スマートフォンのユーザは、例えば、スマートフォンのバッテリ充電レベルが低いときに、ユーザが、(例えば、USB又はワイヤレス充電手段によって)スマートフォンをパワーバンクに接続することができるように、パワーバンクを携帯し得る。パワーバンクがスマートフォンのバッテリを部分的に又は完全に再充電すると、ユーザは、ユーザのスマートフォンのバッテリを枯渇させることをあまり心配せずに、スマートフォンを使用し続けることができる。
【0003】
パワーバンクバッテリの容量は、典型的には、電荷の単位(例えば、ミリアンペア時間(mAh))又はエネルギーの単位(例えば、ワット時(Wh))のいずれかで表される。パワーバンクの製造業者は、典型的には、パワーバンクの初期容量、すなわち、パワーバンクが製造された時点で、パワーバンクバッテリが完全な充電で(すなわち、全容量の充電又はエネルギーで)どの程度の充電又はエネルギーを保持することができるかを規定することによって、パワーバンクを公示する。パワーバンクのバッテリのこの規定された初期容量(「公称容量」)は、多くの場合、完全に充電されたパワーバンクが、パワーバンクバッテリが完全に枯渇する前に、充電可能なデバイスに複数の充電を提供することができるように十分に大きい。例として、10000mAhのバッテリ容量を有する完全に充電されたパワーバンクは、パワーバンクが枯渇し、かつ再充電されなければならなくなる前に、約3000mAhのバッテリ容量を有するスマートフォンに複数の完全又は部分的な再充電を提供し得る。
【0004】
しかしながら、パワーバンクバッテリは、経時的に、パワーバンクバッテリの容量の少なくとも一部を失うことが理解される。通常、これらの容量損失は、可逆ではない。容量損失の結果として、例示的なパワーバンクバッテリの実容量は、10000mAhの規定容量を実質的に下回り得る(例えば、9000mAh、8000mAh、7000mAhなどよりも低い)。したがって、パワーバンクバッテリの公称容量は、特に、パワーバンクが長期間所有又は使用されている場合、所与の時間におけるパワーバンクバッテリの実容量を表すものではない場合がある。十分な時間が経過すると、パワーバンクバッテリの容量は、パワーバンクがユーザの充電式デバイスに完全な充電を提供することができないほど著しく低減し得る(例えば、パワーバンクの実容量は、2500mAhに落ち、3000mAhのスマートフォンバッテリを充電するために使用されている)。パワーバンクユーザは、ユーザが期待するよりも実質的に少ない充電を充電式デバイスバッテリに提供した後、ユーザのパワーバンクがバッテリ充電を使い果たしたときに失望し得る。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態は、ポータブルパワーバンクデバイス(「パワーバンク」)を含む。パワーバンクは、パワーバンクの外部の充電式デバイス(例えば、スマートフォン)に電荷を供給するための充電式バッテリを含む。パワーバンクは、一般に、パワーバンクバッテリと充電式デバイスのバッテリとの間の電気的接続を介して、パワーバンクの外部の充電式デバイスに電荷を供給するように構成されている。パワーバンクバッテリは、公称容量を有する。パワーバンクは、通信信号(例えば、高周波数通信信号)をリモートサーバと交換するための1つ以上の送受信機を更に含む。パワーバンクは、1つ以上のプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的メモリと、をなお更に含む。命令は、1つ以上のプロセッサを介して実行されるときに、パワーバンクに、(1)パワーバンクバッテリの公称容量を判定することと、(2)パワーバンクバッテリの現在の容量を測定することと、(3)パワーバンクバッテリの現在の容量をパワーバンクバッテリの公称容量と比較して、パワーバンクバッテリの健全性値を判定することと、(4)健全性値が閾値以下であるときに、1つ以上の送受信機を介して、リモートサーバに、パワーバンクバッテリの健全性値の指標を送信することと、を行わせる。
【0006】
別の実施形態は、パワーバンクを介して実行される方法を含む。この方法は、パワーバンクのプロセッサによって、パワーバンクの充電式バッテリの公称容量を判定することを含む。パワーバンクは、一般に、パワーバンクバッテリと充電式デバイスのバッテリとの間の電気的接続を介して、パワーバンクの外部の充電式デバイスに電荷を供給するように構成されている。この方法は、プロセッサによって、バッテリの現在の容量の測定値を取得することを更に含む。この方法は、現在の容量を公称容量と比較して、パワーバンクバッテリの健全性値を判定することをなお更に含む。追加的に、この方法は、パワーバンクの通信モジュールを介して、健全性値が閾値以下であるときに、リモートサーバに、健全性値の指標を送信することを含む。
【0007】
また別の実施形態は、システム(例えば、リモートサーバ)を含む。システムは、パワーバンクデバイス及び1つ以上のパーソナル電子デバイスと通信信号(例えば、高周波通信信号)を交換するように構成された1つ以上の送受信機を含む。パワーバンクデバイスは、パワーバンクデバイスの外部の充電式デバイスのバッテリに電荷を供給するためのバッテリを含む。システムは、1つ以上のプロセッサ及びコンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的メモリを更に含む。命令は、実行されるときに、システムに、(1)パワーバンクバッテリの公称容量を取得することと、(2)1つ以上の送受信機を介して、パワーバンクバッテリから、パワーバンクバッテリの現在の容量の測定値を受信することと、(3)パワーバンクバッテリの現在の容量をパワーバンクバッテリの公称容量と比較して、パワーバンクバッテリの健全性値を判定することと、(4)健全性値が閾値以下であるときに、1つ以上の送受信機を介して、1つ以上のパーソナル電子デバイスに、パワーバンクバッテリの健全性値の指標を送信することと、を行わせる。
【0008】
本開示の教示によれば、装置又は方法の前述の態様のうちのいずれか1つ以上は、以下の任意選択の形態のうちのいずれか1つ以上を更に含んでもよい。
【0009】
パワーバンクの公称容量が電荷の単位(例えば、ミリアンペア時)で定格される1つの任意選択の形態では、現在の容量を測定することは、パワーバンクバッテリへの流入電流を監視すること(例えば、パワーバンクが充電されているときの時間間隔を通して流入電流を繰り返し測定すること)を含む。この任意選択の形態では、パワーバンクバッテリの入力充電容量は、監視された流入電流に基づいて計算され、現在の容量は、計算された入力充電容量に基づいて判定される。代替的に、パワーバンクの公称容量がエネルギー(例えば、Wh)の単位で評価される別の任意選択の形態では、現在の容量を測定することは、パワーバンクバッテリへの電力入力を監視すること(例えば、パワーバンクバッテリへの流入電流及びパワーバンクバッテリの電圧の測定値に基づいて、この時間間隔を通してパワーバンクバッテリへの電力入力を繰り返し測定すること)を含む。この任意選択の形態では、パワーバンクバッテリの入力エネルギー容量は、監視された電力入力に基づいて計算され、現在の容量は、入力エネルギー容量に基づいて判定される。
【0010】
パワーバンクの公称容量が電荷の単位で定格される別の任意選択の形態では、現在の容量を測定することは、パワーバンクバッテリから充電式デバイスへの電荷の供給中、(例えば、電荷の供給に対応する時間間隔を通して流出電流を繰り返し測定することによって)パワーバンクバッテリからの流出電流を監視することを含む。この任意選択の形態では、パワーバンクバッテリの出力充電容量は、監視された流入電流に基づいて計算され、現在の容量は、計算された出力充電容量に基づいて判定される。代替的に、パワーバンクの公称容量がエネルギーの単位で定格されるまた別の任意選択の形態では、現在の容量を測定することは、パワーバンクバッテリから充電式デバイスへの電荷の供給中、(例えば、電荷の供給に対応する時間間隔を通して、この時間間隔を通したパワーバンクバッテリの電圧及びパワーバンクバッテリからの流出電流の測定値に基づいて、電力出力を繰り返し測定することによって)パワーバンクバッテリからの電力出力を監視することを含む。
【0011】
なお別の任意選択の形態では、パワーバンクは、1つ以上の送受信機とリモートサーバとの間の無線接続を介して、リモートサーバに健全性値の指標を送信する。他の任意選択の形態では、パワーバンクは、充電式デバイスに健全性値の指標を送信し、この指標は、充電式デバイスに健全性値をリモートサーバに中継させる。
【0012】
また別の任意選択の形態では、パワーバンクとモバイルコンピューティングデバイスとの間の電気的接続は、パワーバンクとモバイルコンピューティングデバイスとの間の有線の電気的接続を含む。
【0013】
なお別の任意選択の形態では、パワーバンクとモバイルコンピューティングデバイスとの間の電気的接続は、パワーバンクとモバイルコンピューティングデバイスとの間のワイヤレスの電気的接続を含む。また別の任意選択の形態では、閾値は、パーソナル電子デバイスから受信された値である。
【0014】
別の任意選択の形態では、パワーバンクバッターの公称容量を取得するために、システムは、(1)1つ以上の送受信機を介して、パワーバンクデバイスからパワーバンク識別子の指標を受信し、かつ(2)パワーバンク識別子を使用して、データベースに照会して、パワーバンクバッテリの公称容量を取得するように構成されている。代替的に、システムは、1つ以上の送受信機を介して、パワーバンクデバイスから、パワーバンクバッテリの公称容量を受信するように構成されている。
【0015】
更なる任意選択の形態では、システムは、パワーバンクデバイスと関連付けられたユーザプロファイルを記憶するように構成されたユーザプロファイルデータベースを含む。任意選択の形態では、ユーザプロファイルは、現在の容量の測定値をユーザプロファイルに記憶するように構成されている。また別の任意選択の形態では、システムは、(1)1つ以上の送受信機を介して、パーソナル電子デバイスから、パワーバンクデバイスと関連付けられたデータを映示する要求を受信し、(2)ユーザプロファイルに照会して、記憶された現在の容量の測定値を取得し、かつ(3)1つ以上の送受信機を介して、パーソナル電子デバイスに、現在の容量の測定値を送信するように構成されている。
【0016】
なお別の任意選択の形態では、ユーザプロファイルは、パワーバンクデバイスと関連付けられたアラートを受信すべきことをユーザが示したパーソナル電子デバイス選択の指標を含む。この任意選択の形態では、健全性値の指標を送信するために、システムは、ユーザプロファイルに照会して、パーソナル電子デバイスの選択を判定し、かつ1つ以上の送受信機を介して、パーソナル電子デバイスの選択に対応するパーソナル電子デバイスに、健全性値の指標を送信するように構成されている。
【0017】
また別の任意選択の形態では、システムのメモリは、温度値をそれぞれの温度補正因子と関連付ける1つ以上のルックアップテーブルを記憶するように構成されている。この形態では、パワーバンクバッテリの現在の容量をパワーバンクバッテリの公称容量と比較するために、システムは、(1)パワーバンクデバイスから、温度値(例えば、パワーバンクデバイス及び/又は充電式デバイスによって感知された温度値)の指標を取得し、(2)温度値に基づいて、1つ以上のルックアップテーブルから、それぞれの温度補正因子を取得し、(3)温度補正因子をパワーバンクバッテリの現在の容量に適用することによって、調整された現在の容量を生成し、(4)調整された現在の容量をパワーバンクバッテリの公称容量と比較する。
【0018】
実施形態は、プロセッサに本明細書に記載される装置を介して方法を実行させるコンピュータ実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を更に含んでもよい。
【0019】
例示によって示され、記載されている好ましい実施形態の以下の説明から、当業者には利点がより明らかになるであろう。理解されるように、本実施形態は、他の及び異なる実施形態が可能であり得、それらの詳細は、様々な点での修正が可能である。したがって、図面及び明細書は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下に記載される図は、本明細書に開示されたシステム及び方法の様々な態様を描示している。各図は、開示されたシステム及び方法の特定の態様を描示しており、図の各々は、その可能な態様と一致することが意図されている。更に、可能な限り、以下の説明は、以下の図に含まれる参照番号を参照し、複数の図に描示された特徴は、一貫した参照番号で呼称されている。
【0021】
現在考察されている図配置に示されているが、本実施形態は、示された配置及び手段そのものに限定されない。
【0022】
【
図1A】本開示の一態様による、パワーバンク及びモバイルコンピューティングデバイスを含む例示的なコンピューティング環境を例示するものである。
【
図1B】本開示の一態様による、パワーバンク、充電式デバイス、パーソナル電子デバイス、及びリモートサーバを含む、例示的なコンピューティング環境を例示するものである。
【
図2】本開示の一態様による、
図1のパワーバンク及び充電式デバイスの例示的な構成要素を例示するものである。
【
図3】本開示の一態様による、パワーバンクで測定された電流と関連付けられた例示的なチャートを例示するものである。
【
図4】本開示の一態様による、パワーバンクで測定された電圧と関連付けられた例示的なチャートを例示するものである。
【
図5】本開示の一態様による、例示的なフロー図を例示するものである。
【
図6】本開示の一態様による、例示的なモバイルコンピューティングデバイス通知を例示するものである。
【
図7】本開示の一態様による、パワーバンクと関連付けられた例示的な方法を例示するものである。
【
図8】本開示の一態様による、パワーバンクと関連付けられた別の例示的な方法を例示するものである。
【0023】
図は、例示のみを目的とした好ましい実施形態を描示している。本明細書に例示されたシステム及び方法の代替実施形態を、本明細書に記載される本発明の原理から逸脱することなく採用してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の本文は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を記載するが、本明細書の法的な範囲は、本特許及び均等物の、末尾に記載される特許請求の範囲の文言によって定義されることを理解されたい。詳細な説明は、単に例示的なものとして解釈されるものであり、あらゆる可能な実施形態について記載することは非実用的であろうことから、あらゆる可能な実施形態について記載してはいない。多数の代替的な実施形態が、現在の技術又は本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して実装されてもよく、これらは、依然として特許請求の範囲の範囲内に収まるであろう。
【0025】
本開示の実施形態は、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)又は充電式リチウム若しくはアルカリ消費者バッテリなどの、ポータブルパワーバンクデバイス(「パワーバンク」)及び充電式デバイスを含む。パワーバンク及び充電式デバイスの各々は、それぞれの内部バッテリ(それぞれ「パワーバンクバッテリ」及び「充電式デバイスバッテリ」)を含む。パワーバンクは、パワーバンクのバッテリを使用して、パワーバンクとモバイルコンピューティングデバイスとの間の電気的接続を介して、充電式デバイスバッテリに電荷を供給するように構成されている。電気的接続は、例えば、USB-C接続、マイクロUSB接続、ライトニング充電接続、Qi規格ワイヤレス接続、AirFuelワイヤレス接続など、及び/又は充電式デバイスをパワーバンクに電気的に接続するための別の有線構造又はワイヤレス構造を含み得る。
【0026】
本開示の実施形態は、パワーバンクを介して、パワーバンクバッテリの健全性の状態を監視することを含み、健全性の状態は、パワーバンクバッテリの実容量とパワーバンクバッテリの公称容量との比較に基づく。パワーバンクバッテリの健全性の状態が閾値(例えば、60%)未満に降下すると、パワーバンクバッテリは、パワーバンクと関連付けられたリモートサーバに(例えば、高周波(RF)通信を介して)健全性値の指標を送信する。リモートサーバは、それぞれのパワーバンクユーザの複数のユーザアカウントとそれぞれ関連付けられた複数のユーザデータを記憶するように構成され得る。したがって、リモートサーバは、特定のパワーバンクを、リモートサーバで維持される特定のユーザアカウントと関連付け得る。いくつかの実施形態では、ユーザアカウントはまた、ユーザと関連付けられた充電式デバイスの指標を含む。したがって、ユーザアカウントは、パワーバンク及び1つ以上の充電式デバイスの両方を互いに関連付け得る。
【0027】
追加的に、充電式デバイスは、例えば、パワーバンクとの通信可能な接続(例えば、確立されたRF通信を有する)によって、かつ/又は(2)パワーバンクの健全性の状態の指標を受信するように手動で割り当てられる(例えば、充電式デバイスのユーザによって手動で構成される)ことによって、パワーバンクと関連付けられてもよい。これらの例では、充電式デバイス(及び/又はそれら上で実行動作するアプリケーション)は、パワーバンクが充電式デバイスを充電するために使用されるときに、充電式デバイスの指標を含むように、パワーバンクと関連付けられたユーザアカウントを更新するように構成され得る。健全性値の閾値状態は、例えば、パワーバンクの製造業者によって設定された値、又は充電式デバイス上で実行動作するアプリケーションを介してパワーバンクのユーザによって設定された値であり得る。いくつかの他の実施形態では、リモートサーバは、ユーザがパーソナル電子デバイス(例えば、デスクトップコンピュータなどの充電式デバイス及び非充電式デバイス)を利用して、パワーバンクデバイスについての健全性値の閾値状態、及び/又はパワーバンクデバイスと充電式デバイスとの間の任意の関連付けを設定し得るインターフェース(例えば、ウェブポータル)を提供する。いずれの場合でも、パワーバンクによってリモートサーバに送信された指標は、充電式デバイス(又は他のパーソナル電子デバイス)に、パワーバンクバッテリの健全性の状態の指標を表示させ得る(例えば、リモートサーバからのプッシュ通知、及び/又はパワーバンクの健全性情報の状態を伝達するパーソナル電子デバイスの画面上に表示された画像を介して)。
【0028】
パワーバンクユーザは、典型的には、パワーバンクバッテリでいつ及びどのように容量損失が発生するかを知らない。パワーバンク容量は、例えば、バッテリが「サイクル」するたびに、例えば、バッテリが特定の量(バッテリの容量の5%、15%、55%、100%など)だけ消耗及び再充電されるたびに、減少し得る。サイクリングに起因する容量の損失そのものは、バッテリのタイプ及びバッテリがどれだけサイクルするかによって異なり得る。いくつかの追加の要因は、バッテリがサイクルしていない場合でも、経時的に容量損失に更に寄与し得る。容量損失は、例えば、バッテリが極端な温度(例えば、25℃を大幅に上回る又は下回る)で保管される場合、又はバッテリが長期間保管される場合に、バッテリの充電レベルに応じて増加し得る。更に、容量損失は、パワーバンクが使用されていない場合でも発生し得るため、ユーザが最初に製造業者又は小売業者からパワーバンクを取得する時点で(例えば、製造から購入までにかなりの時間が経過した場合)、いくらかの容量損失が不可避的にすでに発生している場合がある。ほとんどの消費者電子デバイスは、現在の充電レベルをデバイスバッテリの実容量と比較して測定するため、完全に充電されたパワーバンクは、パワーバンクバッテリによって保持される充電又はエネルギーの実際の量がパワーバンクバッテリの公称容量よりも著しく小さい場合でも、「100%」の充電レベルを示し得る。したがって、パワーバンクのユーザは、一般に、任意の所与の時点で、パワーバンクバッテリの公称容量に対するパワーバンクバッテリの実容量を知らない。結果的に、ユーザは、以前の実際の経験に基づいて、パワーバンクが、パワーバンクが容量損失のために給送することができるよりも多くの充電又はエネルギーを給送することを期待し得る。有利なことにパワーバンクバッテリの健全性の状態の指標をユーザに送信することによって、本明細書に開示されるパワーバンクは、有利なことに、実質的に低減された容量(例えば、公称容量の70%未満)を有し、かつユーザの確立された期待に従って充電を給送することが潜在的にできないパワーバンクを継続して使用するのではなく、消費者がパワーバンクを交換することができるようにする。
【0029】
本明細書に記載される方法及びパワーバンクの使用は、少なくとも、パワーバンクの健全性の状態の指標を受信することにより、ユーザが健全性の状態の情報を考慮し、かつ予想よりも早く意図せずにパワーバンクのバッテリの枯渇を回避することが可能になるため、従来のパワーバンクに対してパワーバンクの有用性を改善し得る。更に、本明細書に記載される方法及びパワーバンクは、少なくとも、パワーバンク状態の信頼できる知識が、ユーザが予期せず充電式デバイスのためのバックアップ充電源がなくなることを回避するのに役立つため、パワーバンクを用いたユーザ体験を改善する。
【0030】
更なる説明の前に、特定の用語の定義が提供され、これらの用語は、この詳細な説明を通して使用される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「パワーバンク」という用語は、1つ以上の充電式デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、及び/又はポータブルメディアプレーヤ若しくはポータブルメディアプレーヤのような、モバイルコンピューティングデバイス、充電式AAAバッテリ、AAバッテリ、Aバッテリなどのような、消費者充電式バッテリによって駆動されるデバイス、又はドアロック、自動トイレ、ペーパータオルディスペンサ、ハンドドライヤなどのような、統合された充電式バッテリを含む充電式産業デバイス)に電荷を供給するために使用可能なポータブル電子デバイスを指す。したがって、「パワーバンク」という用語は、充電式バッテリパック及び使い捨てバッテリパックを含む、充電式デバイスの外部のバッテリパックを包含する。本明細書における「モバイルコンピューティングデバイス」という用語の任意の使用は、他のタイプの「充電式デバイス」の代替的な実装態様を想定していることを理解されたい。パワーバンクは、主に、充電式リチウムイオンバッテリ又はリチウムポリマーバッテリなどの、充電式バッテリ(「パワーバンクバッテリ」)を含む。より具体的には、パワーバンクバッテリは、直列に、並列に配置され得るか、又は代替的な態様では、直列及び並列に配列されたセルを含み得る、1つ以上のセル(例えば、電気化学セル)を含む。パワーバンクは、パワーバンクをモバイルコンピューティングデバイスに電気的に接続するための有線手段(例えば、USB又はライトニングケーブル接続)を介して、かつ/又はそのためのワイヤレス手段(例えば、Qi規格ワイヤレス充電手段、AirFuel規格ワイヤレス充電手段)を介して、モバイルコンピューティングデバイスを充電し(すなわち、モバイルコンピューティングデバイスバッテリに電荷を供給する)得る。パワーバンクを充電式デバイスに電気的に接続するための手段は、本明細書では、パワーバンクバッテリと充電式デバイスバッテリとの間の「電気的接続」と総称される。
【0032】
バッテリ(例えば、充電式パワーバンクバッテリ)の容量は、一般に、バッテリによって保持され得る最大の電荷又はエネルギーを指す。バッテリの測定された容量は、電荷の単位(例えば、アンペア秒、クーロン(C)、ミリアンペア時(mAh)、及び/又は他の好適な単位)で、又はエネルギーの単位(例えば、ワット時(Wh)、ジュール(J)、及び/又は他の好適な単位)で表され得る。「公称容量」は、バッテリの初期の規定容量を指す(例えば、製造業者又は小売業者によって規定され、製造時の最適容量に対応する)。「実容量」は、所与の時間におけるバッテリの「現実の」又は「真の」容量を指し、実容量は、典型的には、公称容量よりも小さくなり、したがって特に一定期間にわたって変動することとなることが理解されよう。実容量は、典型的には、公称容量と同じ単位で測定される(例えば、バッテリの公称容量が電荷の単位で定められる場合、実容量は、同じ単位で測定される)。実容量を特定の時間と組み合わせて使用して、その特定の時間にバッテリによって保持される充電又はエネルギーを伝達し得、したがって、異なる時間に決定された2つの実容量を使用して、一定時間間隔にわたってバッテリによって保持される充電又はエネルギーの分散を伝達し得る。「現在の実容量」(又は単に「現在の容量」)は、現在の(現時点の)時間におけるバッテリの実容量を指す。本明細書で使用されるバッテリの「健全性の状態」は、バッテリの実容量とバッテリの公称容量との比較(例えば、実容量を公称容量で除し、比率又はパーセンテージで表される)である。「寿命パーセンテージ」という用語がまた、バッテリの健全性の状態を指すために使用され得る。電荷の単位で表される容量を有するバッテリに関連する技術が本明細書に記載されている場合、(本明細書に記載する)適切な修正が与えられて、エネルギーの単位で表される容量を有するバッテリに関連する同様の技術が適用され得ることを理解されたい。
【0033】
「フューエルゲージ」は、本明細書では「充電レベル」とも称され、所与の時点でバッテリ(例えば、充電式パワーバンクバッテリ、充電式スマートフォンバッテリなど)によって保持される測定/判定された充電量又はエネルギー量を指す。充電レベルは、パーセンテージ、すなわち、バッテリの容量と比較してバッテリによって保持される充電量のパーセンテージ表現として、表され得る。スマートフォン又は他のモバイルコンピューティングデバイスなどの充電式デバイスは、典型的には、充電式デバイスの充電レベルをパーセンテージ形態(例えば、51%)で表示する。典型的には、バッテリの充電レベルは、バッテリの公称容量ではなく、バッテリの現在の容量を基準にしていることに留意されたい。例えば、所与のデバイスバッテリの現在の容量が、10000mAhの公称容量と比較して8000mAhであり、かつデバイスが「100%」の現在の充電レベルを示す場合、このことは、バッテリが8000mAh(10000mAhではない)の充電を保持することを意味する。
【0034】
本明細書で使用される、所与のデバイスの「充電」又は「再充電」は、デバイスの充電式バッテリへの電荷の供給であり、それによって、デバイスの充電レベルを増加させる。充電は、例えば、デバイス充電レベルを0%~100%、0%~40%、51%~63%、55%~100%などに増加させ得る。経時的な充電の作用は、本明細書では「充電セッション」と称される。逆に、所与のデバイスの(例えば、パワーバンクの)「枯渇」は、デバイスによる電荷の消耗であり、この消耗がデバイスの充電レベルを減少させる。デバイスの枯渇は、例えば、デバイス充電レベルを100%~0%、100%~65%、80%~20%、33%~0%などに低減し得る。
【0035】
「パワーバンク」は、より具体的にはパワーバンクバッテリを指すために本明細書における各箇所で使用され得、したがって、適切なコンテキストが与えられると、これらの用語は、交換可能であるとみなされ得る。例えば、「パワーバンク」という用語が、電気、容量、充電の供給などに関連して記載される場合、この用語は、パワーバンクのバッテリをより具体的に指すものとして理解されるべきである(例えば具体的にはパワーバンクのバッテリを指す、「パワーバンクの容量」、「パワーバンクから充電を受け取る」、「パワーバンクの充電レベル」など)。同様の用語を使用して、パワーバンクによって充電される充電式デバイス又はモバイルコンピューティングデバイス(例えば、パワーバンクによって充電されるスマートフォン)が記載され得る。例えば、「モバイルコンピューティングデバイスを充電する」又は「モバイルコンピューティングデバイスの充電レベル」などの用語は、より具体的には、モバイルコンピューティングデバイスのバッテリを指し得る。
【0036】
本開示によるパワーバンクは、マイクロコントローラ(MCU)を含み得る。非常に高いレベルでは、パワーバンクMCUのコンピューティング機能性は、典型的には、(1)パワーバンクから充電式デバイスへの充電の供給(例えば、充電が供給されることを可能にし、充電の供給を中断するなど)、(2)充電の供給を促進するために使用され得る電気の特性に関連する計算(例えば、電力、エネルギー、電流、電圧、抵抗、及び容量の測定又は計算)、及び/又は(3)計算を他のコンピューティングデバイスに伝達すること、に関連する機能性に限定される。
【0037】
本開示によるパワーバンクは、いくつかの表示能力(例えば、点滅するLEDライト、又はパワーメータメトリックバー、又はパワーバンクバッテリの充電レベルを示す表示グラフィック)を有し得るが、本開示によるパワーバンクは、一般に、実質的なディスプレイを含まない。例えば、パワーバンク表示画面のサイズは、表示画面が25cm2超、及び/又は16cm2超の視認表面積を有さないように制限され得る。追加的又は代替的に、パワーバンク表示画面の機能性は、典型的には、(例えば、スマートフォン、タブレット、ノートブックコンピュータなどに典型的に存在するHD画面機能性がない)単純な数値表示のみに限定される。その結果、本開示によるパワーバンクバッテリからの主電力引き出しは、充電式デバイスの充電である(実質的により小さい電力を必要とする制限されたパワーバンク表示自体の動作ではない)。同様に、本明細書に記載されるパワーバンクは、いくつかの通信能力(例えば、Bluetooth Low Energyなどを介したRF通信)を含み得るが、パワーバンクが通信するデバイスに応じて、異なる有線及び/又は無線通信機能性が利用されてもよい。例えば、充電式デバイスとの通信は、低電力及び/又は低計算通信プロトコル(例えば、Bluetooth Low Energy又はWiFi)を介して実装されてもよい。とは言え、パワーバンクは、リモートサーバとの通信のために、より複雑なプロトコル(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)又は新無線(NR)などのセルラ通信)を実装してもよい。
【0038】
パワーバンクは、典型的には、モバイルコンピューティングデバイスのユーザがパワーバンクを(例えば、ポケット、財布、バックパックなどに)容易に携帯することができるように、物理的なサイズ、重量、及び/又は寸法が制限される。多くの場合、パワーバンクは、スマートフォンのものに匹敵する物理的なサイズ及び重量を有する。しかしながら、他の物理的な形態のパワーバンクが可能である。例えば、いくつかのパワーバンクは、サイズ及び容量が実質的により大きく、したがって、より多くの充電を供給するにはより効果的であり、例えば、より多くの回数、デバイスを充電することが可能であり、ラップトップコンピュータなどのより大きなデバイスを実質的に充電することが可能である(例えば、ラップトップコンピュータバッテリを10%~30%、40%、50%、60%、又はより多く充電するのに十分な充電を提供する)。
【0039】
更に、パワーバンクの機能性が本明細書に記載される機能性に限定される結果として、パワーバンクは、一般に、限定された入力/出力(I/O)機能性を有する。例えば、パワーバンクは、専用のキーボード又はタッチパッドを含まなくてもよい。追加的に、パワーバンクは1つ以上のポート(例えば、充電及び/又はデータ通信を容易にし得る、USBポート、マイクロUSBポートなど)を含み得るが、典型的には、パワーバンクに含まれるいずれのポートも、キーボード、マウス、周辺タッチパッド、モニタ、又は他の周辺I/Oデバイスを受容するようには適合されていない。
【0040】
例示的なコンピューティング環境
図1Aは、本明細書に記載される技法が実装され得る、本開示によるパワーバンク140を例示する例示的なコンピューティング環境100を例示している。環境100は、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルコンピューティングデバイス、ラップトップコンピュータ、及び/又は他の好適なモバイルコンピューティングデバイスであり得る、モバイルコンピューティングデバイス120を含む。別途明示的に開示されない限り、モバイルコンピューティングデバイス120の任意の説明は、充電式デバイスでの説明の代替の実装態様を想定している。環境100は、一般に1つ以上の充電式デバイスに(例えば、モバイルコンピューティングデバイス120に)電荷を供給するように構成される、パワーバンク140を更に含む。
【0041】
パワーバンク140からモバイルコンピューティングデバイス120に電荷が供給され得るように電気的に接続されることに加えて、モバイルコンピューティングデバイス120及びパワーバンク140は、1つ以上の通信可能な接続144を介して通信可能に接続されてもよい。1つ以上の通信可能な接続144は、無線高周波(RF)接続(例えば、Bluetooth Low Energy(BLE)、Zigbee、ユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnP)、WiFi低電力、6LoWPAN、LoRa、及び/又は他の好適なプロトコルを介して)を含み得る。追加的又は代替的に、1つ以上の通信可能な接続は、パワーバンク140とモバイルコンピューティングデバイス120との間の有線接続によって(例えば、有線USB又はライトニングケーブル接続を介して)実装されてもよい。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス120とパワーバンク140との間の単一の接続(例えば、USBデータ/充電有線接続)は、パワーバンク140をモバイルコンピューティングデバイス120に電気的及び通信的に接続し、それによって、モバイルコンピューティングデバイス120とパワーバンク140との間の通信能力と充電能力との組み合わせを容易にし得る。
【0042】
モバイルコンピューティングデバイス120は、メモリ152(すなわち、1つ以上のメモリ152、例えば、RAM、ROMなど)を含む。メモリ152は、1つ以上のアプリケーション154(「アプリ」)を記憶するように構成されており、アプリケーション154の各々は、非一時的コンピュータ実行可能命令の1つ以上のセットを含む。特に、1つ以上のアプリケーション154は、パワーバンクアプリケーション156(「PBアプリ」)を含み、パワーバンクアプリケーション156は、例えば、パワーバンク140の健全性の状態の測定及び/又は映示を容易にし得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のアプリケーション154は、モバイルコンピューティングデバイス120の内部回路を介して測定されたモバイルコンピューティングデバイス120の電気特性(例えば、電圧、電流、抵抗など)へのアクセスを提供するアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を使用する。
【0043】
モバイルコンピューティングデバイス120は、メモリ152に含まれる非一時的コンピュータ実行可能命令を実行し得るプロセッサ158(すなわち、1つ以上のプロセッサ、例えば、CPU、GPUなど)を更に含む。モバイルコンピューティングデバイス120は、1つ以上の通信可能な接続144を介してパワーバンク140との通信を確立し、かつパワーバンク140と通信信号を交換し得る、通信モジュール160(「通信モジュール」)を追加的に含む。より具体的には、通信モジュール160は、外部デバイスとの通信接続を介して通信信号を送信及び/又は受信するように構成された1つ以上の送受信機を含む。通信モジュール160への及び/又は通信モジュール160からの通信信号は、無線信号(RF信号)又は有線通信信号(例えば、USBデータ接続を介して)を含み得る。通信モジュール160はまた、1つ以上の送受信機を介して受信/送信される信号と、プロセッサ158及び/又はPBアプリ156によって解釈される信号と、の間で変換するように構成された、1つ以上のモデムを含んでもよい。モバイルコンピューティングデバイス120は、1つ以上の入力デバイス及び/又は1つ以上の出力デバイス(例えば、タッチスクリーンなどの専用ディスプレイ画面)を接続するためのI/O162を追加的に含んでもよい。
【0044】
代替の充電式デバイスは、I/O162を含まなくてもよいことを理解されたい。例えば、充電式デバイス120が消費者用充電式バッテリを含む実施形態では、代わりに、リモートサーバとインターフェース接続するパーソナル電子デバイスのI/Oは、充電式デバイスに関する情報を表示するように構成されてもよい。
【0045】
モバイルコンピューティングデバイス120は、電荷を受け取り、かつ電荷をモバイルコンピューティングデバイス120の充電式バッテリ166(「モバイルコンピューティングデバイスバッテリ166」)に導くように主に構成された、充電モジュール164(例えば、USB充電器)を含む。バッテリ166は、モバイルコンピューティングデバイス120の主電源である。通常、バッテリ166は、モバイルデバイス120の内部にある(例えば、モバイルコンピューティングデバイス120の空洞の内部に固定的又は取り外し可能に置設されている)。
【0046】
モバイルコンピューティングデバイス120の充電モジュール164はまた、充電モジュール164の充電性能を測定及び/又は処理する回路を含んでもよい。例えば、充電モジュールは、モバイルコンピューティングデバイス120における電圧、電流、抵抗、及び/又は他の電気特性のアナログ測定値をデジタル値に変換するように構成された、アナログデジタルコンバータ(ADC)を含んでもよい。デジタル値は、通信モジュール160を介して、1つ以上の通信可能な接続144を介して(例えば、無線RF接続を介して)パワーバンク140に、又は代替の通信可能な接続を介してリモートサーバに送信され得る。
【0047】
充電モジュール164は、充電モジュール164が外部電源(すなわち、電荷の供給源)から電荷を受け取るときに、電荷を受け取り、かつバッテリ166に導くための1つ以上の充電ポート(例えば、USBポート又はライトニングポート)及び/又は追加の回路を含み得る。外部電源は、本開示によるパワーバンク140、及び/又は別の外部電源(例えば、壁コンセント、車両充電ポートなど)であり得る。
【0048】
プロセッサ158の動作は、充電モジュール164を介してバッテリ166への電荷の供給を管理するための動作を含み得る(例えば、スイッチを動作させて、パワーバンク140からバッテリ166への電荷の供給を中断及び/又は再開する)。
【0049】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、充電モジュール164は、電圧レギュレータ(例えば、DC-DC電圧コンバータ)を含む。電圧レギュレータは、例えば、モバイルコンピューティングデバイス120の充電ポートの電圧をバッテリ166の電圧に変換するように構成され得る。例えば、5ボルト(5V)USB充電ポートを介して電力を受け取るように構成されたモバイルコンピューティングデバイス120において、電圧レギュレータは、USB電圧を3.6V又はバッテリ166に対応する別の好適な電圧に低減するように構成されたステップダウンコンバータ(「バックコンバータ」)を含み得る。同様の電圧変換は、(1)使用される充電手段(例えば、ライティング充電、Qi規格ワイヤレス充電手段など)に基づいて変動し得る、充電モジュール164の構成要素の電圧、及び(2)モバイルコンピューティングデバイスバッテリ166の2つの端子間の電圧に基づいて実行され得る。充電モジュール164の構成要素の追加の説明は、
図2に関して提供される。
【0050】
更に
図1Aを参照すると、パワーバンク140は、充電式バッテリ180を含む。パワーバンクバッテリ180は、パワーバンク140自体の主電源であり、パワーバンク140がモバイルコンピューティングデバイスに充電を供給する電源でもある。パワーバンクバッテリ180は、例えば、リチウムイオンバッテリ、リチウムポリマーバッテリ、及び/又は別のタイプの二次バッテリであり得る。パワーバンクバッテリ180は、並列及び/又は直列に接続された1つ以上の電気化学セルを含み得る。
【0051】
パワーバンク140は、少なくとも1つの充電モジュール182(例えば、USB充電器)を含み、充電モジュール182は、一般に、(1)電荷を受け取り、パワーバンクバッテリ180に導き(例えば、AC壁コンセント、車両充電ポートなどから受け取られる充電)、かつ(2)1つ以上のモバイルコンピューティングデバイスに電気的接続を介して電荷を供給するように構成されている。パワーバンク140が3つの充電モジュール182を含む1つの特定の実装態様では、充電モジュール182のうちの1つが、バッテリの再充電を可能にするように構成され得る一方、残りの2つの充電モジュール182が、同時に2つのモバイルコンピューティングデバイス120の充電を可能にするように構成されている。可能な実施形態では、電気的接続は、有線及び/又はワイヤレス手段(例えば、USB充電、ライトニング充電、Qi規格ワイヤレス充電手段、AirFuelワイヤレス充電手段、及び/又は他の好適な手段)を介して実装され得る。
【0052】
充電モジュール182は、電圧レギュレータ183(例えば、DC-DC電圧コンバータ)に結合され得る。電圧レギュレータ183は、例えば、パワーバンク140の電源(例えば、120V AC壁コンセント)と関連付けられた第1の電圧を、パワーバンク140が再充電されている間に、パワーバンクバッテリ180の第2の電圧(例えば、3V、3.6V、又は4.2V)に変換するように構成され得る。追加的又は代替的に、電圧レギュレータ183は、パワーバンク140がモバイルコンピューティングデバイス120に充電を供給している間に、パワーバンクバッテリ180の電圧をモバイルコンピューティングデバイス120への充電接続のなお別の電圧に変換するように構成され得る(例えば、電圧レギュレータは、パワーバンク電圧をUSB充電接続のために5Vに変換するように構成されたステップアップ又は「ブースト」コンバータを含み得る)。パワーバンク140内の電圧変換は、(1)パワーバンクバッテリ180の電圧、及び(2)充電がモバイルコンピューティングデバイス120に提供される充電手段と関連付けられた電圧(例えば、ライティング充電、Qiワイヤレス充電など)に基づいて変動し得る。充電モジュール182の構成要素の追加の説明は、
図2に関して提供される。
【0053】
パワーバンク140は、メモリ186及びプロセッサ188を備えるマイクロコントローラ184(MCU、本明細書では制御モジュールとも称される)を含む。メモリ186(すなわち、1つ以上のメモリ)は、ROM、RAM、及び/又は他の好適なタイプのコンピュータメモリを含み得る。プロセッサ188(すなわち、1つ以上のプロセッサ)は、メモリ186に記憶された非一時的命令を実行するCPU及び/又は他の好適な処理ユニットを含み得る。様々な実施形態では、MCU184は、充電モジュール182を介して電気特性の測定(例えば、バッテリ180の電圧の測定、バッテリ180からの流出電流、及び/又は本明細書に記載される他の測定)を実行し、実行された測定を介して取得された値に基づいて計算を実行する。メモリ186は、環境100及び/又はバッテリ180の温度に基づいて前述の測定値を補正するための1つ以上のルックアップテーブルを記憶するように構成され得る。更に、MCU184は、充電モジュール182の動作を制御し得る(例えば、充電モジュール182中のスイッチを動作させて、外部電源からパワーバンクバッテリ180への電荷の供給、及び/又はパワーバンク140からモバイルコンピューティングデバイスバッテリ166への電荷の供給を中断及び/又は再開し得る)。
【0054】
パワーバンク140は、1つ以上の通信可能な接続144(例えば、Bluetooth Low Energy、WiFi、LoRaなどを使用するRFデジタル通信)を介したモバイルコンピューティングデバイス120との、及び/又は追加の通信可能な接続を介したリモートサーバとの、有線及び/又は無線通信信号を交換するように構成された1つ以上の送受信機を含む、通信モジュール190(「通信モジュール」)を追加的に含む。また、通信可能な接続を介して実装された特定の通信プロトコルに応じて、通信モジュール190は、1つ以上の送受信機を介して受信/送信される信号と、MCU184によって解釈される信号と、の間で変換するように構成された1つ以上のモデムを含んでもよい。パワーバンクメモリ186に記憶された非一時的命令は、プロセッサ188によって実行されるときに、通信モジュール190に、測定された電気特性の指標及び/又はMCU184によって実行された他の計算(例えば、電圧、電流、抵抗などの指標)をモバイルコンピューティングデバイス120及び/又はリモートサーバ(描示せず)に送信させる命令を含み得る。
【0055】
MCU184又は充電モジュール182は、パワーバンク140における電圧及び/又は他の電気特性のアナログ測定値をデジタル値に変換するように構成されたアナログデジタルコンバータ(ADC)を特に含み得る。デジタル値は、通信モジュール190を介して、1つ以上の通信可能な接続144を介して(例えば、無線RF接続を介して)モバイルコンピューティングデバイス120に、又はリモートサーバに送信され得る。
【0056】
任意選択で、パワーバンクは、1つ以上の入力デバイス及び/又は1つ以上の出力デバイスを接続するためのI/O192を含む。特に、I/O192は、パワーバンクバッテリ180からモバイルコンピューティングデバイスのバッテリへの(例えば、モバイルコンピューティングデバイス120のバッテリ166への)充電の供給の中断/再開を制御するパワーボタンを含み得る。いくつかの実施形態では、I/O192は、例えば、パワーバンクバッテリ180の充電レベル及び/又は充電がアクティブに行われているかどうかの指標を提供するアイコンであり得る、1つ以上の発光ダイオード(LED)及び/又は他のグラフィカル出力を含み得る。
【0057】
いくつかの追加の実施形態では、パワーバンク140はまた、環境100及び/又はバッテリ180の温度を感知するように構成された温度センサ187を含む。例えば、温度センサ187は、サーミスタであり得る。MCU184は、温度センサ187から温度の指標を取得するように構成され得る。以下に記載するように、実際のバッテリ容量は、温度に依存する。したがって、MCU184がパワーバンクバッテリ180及び/又はモバイルコンピューティングデバイスバッテリ166と関連付けられた測定値を決定するとき、MCU184は、温度センサ187によって感知された温度に基づいて補正因子を適用し得る。
【0058】
環境100は、様々な実施形態では、追加のコンピューティングデバイス及び/又は構成要素を含み得る。その上、本明細書に記載されるデバイスの構成要素が別個に参照される場合、いくつかの実施形態では、構成要素を組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0059】
図1Bは、パワーバンク140、充電式デバイス120(
図1Aに関して記載されるモバイルコンピューティングデバイス120など)、パーソナル電子デバイス121、及びリモートサーバ130を含む、例示的なコンピューティング環境150を例示している。パワーバンク140、充電式デバイス120、パーソナル電子デバイス121、及びリモートサーバは、1つ以上のネットワーク124を介して通信可能に結合されている。
図1Bは、単一のパワーバンク140、単一の充電式デバイス120、及び単一のパーソナル電子デバイス121のみを描示しているが、環境150は、ネットワーク124を介してリモートサーバ130と通信可能に結合された任意の数のパワーバンク140、充電式デバイス120、及びパーソナル電子デバイス121を含んでもよい。
【0060】
ネットワーク124は、
図1Aの通信可能な接続144を容易にし、1つ以上の長距離通信ネットワーク(例えば、Wi-Fiネットワーク、イーサネットネットワーク、セルラ通信ネットワークなど)及び短距離通信ネットワークを含み得る。この目的のために、いくつかの実施形態では、パワーバンク140は、パワーバンク140と充電式デバイス120との間の通信可能な接続144を利用して、パワーバンク140とリモートサーバ130との間の通信を容易にする。他の実施形態では、パワーバンク140の通信モジュール190は、リモートサーバ130と直接通信することができる1つ以上の送受信機を含むように構成されている。これらの実施形態では、充電式デバイス120がリモートサーバ130と通信することができる送受信機を含まない場合(例えば、充電式デバイス120が消費者用充電式バッテリを含むいくつかの実施形態で)、充電式デバイス120は、通信可能な接続144を利用して、データをリモートサーバ130に中継するパワーバンクデバイス140にデータを送信し得る。
【0061】
パーソナル電子デバイス121は、パワーバンク140のユーザと関連付けられた電子デバイスである。パーソナル電子デバイス121は、スマートテレビ、スマートホームハブ、モバイルコンピューティングデバイス、又は他の好適なタイプのパーソナル電子デバイスであり得る。パーソナル電子デバイス121は、パワーバンク140及び/又は充電式デバイス120の動作に関するアラートをリモートサーバ130から受信するように、かつパワーバンク140充電式デバイス120に関してリモートサーバ130に記憶されたデータを照会するように構成され得る。いくつかの実施形態では、パーソナル電子デバイス121は、充電式デバイス120である。これらの実施形態では、パーソナル電子デバイス121は、パワーバンク140から充電を受け取り、リモートサーバ130からアラートを受信する。
【0062】
リモートサーバ130は、メモリ134(すなわち、1つ以上のメモリ134、例えば、RAM、ROMなど)を含む。メモリ134は、パワーバンク140及び/又はバッテリ180と関連付けられた温度に基づいて、パワーバンク140及び/又は充電式デバイス120と関連付けられた測定値を補正するための1つ以上のルックアップテーブルを記憶するように構成され得る。追加的に、メモリ134は、非一時的コンピュータ実行可能命令の1つ以上のセットを含む1つ以上のアプリケーション136(「アプリ」)を記憶するように構成されている。特に、1つ以上のアプリケーション136は、パワーバンク140及び/又は充電式デバイス120から受信されたデータを分析するための様々なアプリケーションを含む。例えば、1つ以上のアプリケーション136は、パワーバンク140の健全性の状態を監視するように構成されたアプリケーション、パワーバンクが1つ以上の充電式デバイス120を再充電することができる回数を決定するように構成されたアプリケーション、パワーバンク140が非効率的に動作するときにパワーバンク140を中断するように構成されたアプリケーション、パーソナル電子デバイス121を介してパワーバンク140及び/若しくは充電式デバイスの動作を監視するためのウェブダッシュボードを生成するためのアプリケーション、並びに/又はパワーバンク140及び/若しくは充電式デバイス120から受信されたデータに対して動作するように構成される他のアプリケーションを含み得る。いくつかの実施形態では、アプリケーション136は、それらの間でパワーバンク140に関するデータを交換するために、充電式デバイス120上で実行動作するPBアプリ156とAPIインターフェースを共有するように構成されている。
【0063】
メモリ134はまた、ユーザプロファイルデータ138を含む。この目的のために、リモートサーバ130は、それぞれのパワーバンク140の複数のユーザについてのユーザプロファイルを維持するように構成され得る。したがって、それぞれのパワーバンク140の各ユーザについて、ユーザプロファイルデータ138は、特定のパワーバンク140の識別子、1つ以上の関連付けられた充電式デバイス120の識別子、ユーザがアラートを受信したい1つ以上のパーソナル電子デバイス121の識別子、パワーバンク140及び充電式デバイス120と関連付けられた複数の動作データ(本明細書における他の箇所に記載される動作データを含む)、ユーザプリファレンスデータ(ユーザ定義の閾値を含む)、並びに/又はユーザと関連付けられた他のデータを含み得る。様々な識別子は、それぞれのデバイス(例えば、MACアドレス、シリアル番号、MEID、UICC、又は他の一意の識別子)を一意に識別し得る。いくつかの実施形態では、ユーザプリファレンスデータは、ユーザが充電式デバイス120のPBアプリ156と対話することに基づいて、及び/又はパーソナル電子デバイス121を介してアクセスされるウェブインターフェースを介して、設定される。
【0064】
リモートサーバ130は、メモリ134に含まれる非一時的コンピュータ実行可能命令を実行し得るプロセッサ133(すなわち、1つ以上のプロセッサ、例えば、CPU、GPUなど)を更に含む。いくつかの実施形態では、リモートサーバ130は、クラウドコンピューティング構成で動作する。これらの実施形態では、1つ以上のプロセッサ133及び1つ以上のメモリ134は、異なるハードウェアユニットに物理的に位置し得る。したがって、
図1Bは、リモートサーバ130の様々な構成要素間の論理的関係を表すと理解されたい。
【0065】
リモートサーバ130は、1つ以上のネットワーク124を介して通信を確立し、かつ通信信号を交換し得る、通信モジュール131(「通信モジュール」)を追加的に含む。より具体的には、通信モジュール131は、外部デバイスとの通信接続を介して送信及び/又は受信するように構成された1つ以上の送受信機を含む。通信モジュール131はまた、1つ以上の送受信機を介して受信/送信される信号を、プロセッサ133によって解釈される信号に変換するように構成された1つ以上のモデムを含んでもよい。通信モジュール131は、
図1Bに示されていない追加の又は代替的なデバイスと通信するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、アプリケーション136は、パワーバンク140の動作に関連する1つ以上のアラートを生成するように構成され得る。したがって、通信モジュール131は、プッシュメッセージングプロトコルを介して、充電式デバイス120及び/又はパーソナル電子デバイス121にアラートをプッシュするプッシュサーバにメッセージを送信するように構成され得る。
【0066】
リモートサーバ130は、1つ以上の入力デバイス及び/又は1つ以上の出力デバイス(例えば、リモートサーバ130の監視及び/又は構成を可能にするための、リモートサーバ130の1つ以上の物理ポートに接続されたデバイス)を接続するためのI/O132を追加的に含んでもよい。
【0067】
図2は、本明細書に記載されるポータブルパワーバンクデバイスでの使用に好適な、
図1Bの充電式デバイス120(
図1Aのモバイルデバイス120を含む)及び
図1A~1Bのパワーバンク140の、例示的な従来知られている電気部品を例示している。限られた数の電気部品が
図2に関して記載されているが、これらは、本明細書に記載されるパワーバンク140及び方法の一般の例示のために提供されているに過ぎず、したがって、充電式デバイス120及び/又はパワーバンク140は、様々な実施形態(例えば、他の電気回路、及び/又は
図1A~1Bに関して記載される構成要素のうちのいずれか)において、本明細書に記載されるものに対する追加の、より少ない、及び/又は代替の構成要素を含んでもよいことを理解されたい。したがって、本明細書に一般に記載される電気部品の配置は、
図2に示された配置とは異なり得る。
【0068】
高レベルでは、
図2に描示された電気部品は、パワーバンクバッテリ180と充電式デバイスバッテリ166との間の電気的接続を介して、パワーバンクバッテリ180から充電式デバイスバッテリ166への電荷の供給を容易にする。パワーバンクバッテリ180と充電式デバイスバッテリ166との間の電気的接続は、それらのそれぞれのバッテリを電気的に接続して、パワーバンクバッテリ180からモバイルコンピューティングデバイスバッテリ166への充電の供給を容易にする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される少なくともいくつかの電気部品は、充電式デバイス120における、及び/又はパワーバンク140における1つ以上の集積回路に配設され得る。
【0069】
図2に示された実施形態では、電気的接続210は、パワーバンク140の電気ポート212を充電式デバイス120の電気ポート214に接続する有線の電気的接続(例えば、USB-C充電ケーブル、マイクロUSBケーブル、ライティングケーブル、又は他の物理的接続構造)である。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、電気的接続210は、ワイヤレスの電気的接続(例えば、Qi規格又はAirFuelワイヤレス充電接続)を含んでもよい。その上、いくつかの実施形態では、電気的接続210は、
図1Aに関して記載されるような通信可能な接続144を提供するのと同じ構造によって実装されてもよい。すなわち、充電式デバイス120とパワーバンク140との間の単一の接続(例えば、USB有線データ/充電有線接続)が、充電式デバイス120とパワーバンク140とを電気的にも通信的にも接続し得る。
【0070】
パワーバンクバッテリ180は、パワーバンクバッテリ180から流出する電流を介して電荷を供給する。パワーバンクバッテリ180の電力出力を、流出電流の値にパワーバンクバッテリ180の電圧を乗じることによって、(例えば、パワーバンクMCU184によって)計算することができる。パワーバンクバッテリ180の電圧(例えば、パワーバンクバッテリ180の2つの端子間の電圧)は、例えば、パワーバンクバッテリ180に配設された電圧計を介してMCU184によって測定され得る。流出電流は、パワーバンクバッテリ180と直列に電気的に配置され、かつ既知の抵抗を有する、抵抗器226(例えば、シャント抵抗器)の使用を介してMCU184によって測定され得る。電流が抵抗器226を通過するとき、MCU184は、電圧計228を介して抵抗器226全体にわたる電圧降下を測定する。パワーバンクMCU(例えば、MCU184)におけるADCは、パワーバンク140でのアナログ電圧計測定値をデジタル電圧測定値に変換し得る。MCU184は、抵抗器226全体にわたる電圧降下を抵抗器228の既知の抵抗によって除して、抵抗器226を通過する電流(それゆえ、パワーバンクバッテリ180の流出電流)の値を判定し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、パワーバンクバッテリ180からの電荷の供給の制御は、パワーバンクスイッチ232を介して容易にされる。開放状態(
図2に示されたような)のスイッチ232は、パワーバンクバッテリ180からの電荷の供給を防止するのに対して、閉鎖状態のスイッチ232は、電荷の供給を可能にする。スイッチ232は、例えば、MCU184によって制御され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、スイッチ232は、
図1Bの充電式デバイス120及び/又はリモートサーバ130によってパワーバンク140に送信される通信に基づいて制御されてもよく、その通信は、対応するユーザ入力に基づいてもよい。
【0072】
パワーバンク140は、電圧レギュレータ183a(例えば、
図1に示されたような電圧レギュレータ183、例えば、DC-DC電圧コンバータ)を含む。電圧レギュレータ183aは、パワーバンクバッテリ180の第1の電圧(例えば、3V、3.6V、又は4.2V)を電気的接続210の第2の構成された電圧(例えば、USB充電のための5V)に変換するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、電圧レギュレータ183aは、電圧を増加させるように構成されたステップアップ又は「ブースト」コンバータを含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、電圧レギュレータ183aは、(例えば、パワーバンクバッテリ180の電圧が電気的接続210の電圧よりも大きい場合に)電圧を減少させるためのステップダウン又は「バック」コンバータを含む。実質的には、電圧レギュレータ183aによる電圧調節は、(1)パワーバンクバッテリ180の電圧、及び(2)電気的接続210と関連付けられた電圧に基づいて変動し得る。(例えば、電圧レギュレータ183aを通過した)調節された電流は、パワーバンク電気ポート212を介して電気的接続部210に供給され得る。特に、バッテリ180と電圧レギュレータ183aとの間の流出電流の測定を実行することによって、流出電流測定は、バッテリ180自体からの流出電流(例えば、バッテリ180の端子からの流出電流)を反映し、それによって、エネルギーの損失及び/又は電圧レギュレータ183aで生じる電流の値の変化によって引き起こされ得る不正確さを回避する。
【0073】
パワーバンク140は、パワーバンクバッテリ180への流入電荷の供給を容易にするための第2の別個の電気経路(例えば、AC壁コンセント、車両充電ポート、及び/又はパワーバンク140のための他の充電源からの流入電荷)を追加的に含んでもよい。この第2の経路の要素は、一般に、パワーバンクバッテリ180から流出する電荷を導くための本明細書に記載される要素に類似し得る。したがって、第2の経路は、例えば、電圧レギュレータ183b(例えば、パワーバンク140に充電を供給する電気的接続の第1の電圧を、パワーバンクバッテリ180の第2の電圧に変換するための)を含み得る。電流は、電圧レギュレータ183bを通過すると、抵抗器246(例えば、シャント抵抗器)を通過し得る。抵抗器246を通過する電流は、抵抗器226を通過する流出電流に関して(例えば、電圧計248を介してMCU184によって)本明細書に記載されるものと同様の様式で測定され得る。バッテリ180への流入電荷の供給は、スイッチ252を介して制御されてもよい。特に、バッテリ180と電圧レギュレータ183bとの間の流入電流の測定を実行することによって、流入電流測定値は、バッテリ180自体への流入電流(例えば、バッテリ180の端子に入る電流)を反映し、それによって、電圧レギュレータ183bで生じる電流のエネルギーの潜在的損失及び/又は値の変化を考慮する。パワーバンクバッテリ180への電力入力を、流入電流の値にパワーバンクバッテリ180の電圧(例えば、パワーバンクバッテリの2つの端子間の電圧)を乗じることによって、(例えば、パワーバンクMCU184によって)計算することができる。
【0074】
電流は、充電式デバイスポート214を介して、電気的接続210から充電式デバイス120で受け取られる。受け取られた電流は、充電式デバイス120の電圧レギュレータ262に流れ得る。電圧レギュレータ262は、電気的接続210の電圧(例えば、USB充電のための5V)を、充電式デバイスバッテリ166の別の電圧(例えば、3V、3.6V、又は4.2V)に変換するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、電圧レギュレータ262は、電圧を減少させるように構成されたステップダウンコンバータを含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、電圧レギュレータ262は、電圧を増加させるように構成されたステップアップコンバータを含む。
【0075】
電荷は、流入電流によって充電式デバイスバッテリ166で受け取られる。充電式デバイスバッテリ166の電圧は、例えばバッテリ166における電圧計によって、測定され得る。流入電流の値は、充電式デバイスバッテリ166と電気的に直列に配置され、かつ既知の抵抗を有する、抵抗器270(例えば、シャント抵抗器)を介して測定され得る。電流が抵抗器270を通過するとき、充電式デバイス120は、電圧計272を介して抵抗器270全体にわたる電圧降下を測定する。モバイルコンピューティングデバイスプロセッサにおけるADCは、モバイルコンピューティングデバイス120における電圧のアナログ測定値をデジタル電圧値に変換し得る。充電式デバイスのプロセッサ(例えば、プロセッサ158)は、抵抗器270全体にわたる電圧降下を抵抗器270の既知の抵抗によって除して、抵抗器270を通過する電流の値、それゆえ、モバイルコンピューティングデバイスバッテリ166への流入電流の値を判定し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、充電式デバイスバッテリ166への電荷の供給の制御は、充電式デバイススイッチ276を介して実行される。開放状態(
図2に示されたような)のスイッチ276は、充電式デバイスバッテリ166への電荷の供給を防止するのに対して、閉鎖状態のスイッチ276は、電荷の供給を可能にする。スイッチ276は、例えば、充電式デバイス120のプロセッサ(例えば、プロセッサ158)によって制御され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、スイッチ276は、パワーバンク140及び/又はリモートサーバ130によって充電式デバイス120に送信される通信に基づいて制御されてもよい。
【0077】
パワーバンクバッテリの健全性の状態の測定
一般に、パワーバンクの健全性の状態は、パワーバンクバッテリの公称容量(例えば、比率又はパーセンテージ)と比較したパワーバンクバッテリの実容量を表す値として定義される。この値は、本明細書ではパワーバンクバッテリの「健全性値」と称される。したがって、この詳細な説明では、「健全性の状態」及び「健全性値」は、交換可能に使用される。
【0078】
例えば、10000mAhの公称容量と比較して8400mAhの現在の容量を有するパワーバンクバッテリにおいて、パワーバンクの健全性値は、0.84又は84%として表され得、すなわち、パワーバンクバッテリがパワーバンクバッテリの公称容量の84%である現在の容量を有することを示す。本明細書に記載される技法によれば、パワーバンクがパワーバンクの健全性値を判定すると、パワーバンクは、健全性値の指標をリモートサーバ(例えば、
図1Bのリモートサーバ130)に、リモートサーバにおけるそれぞれのユーザプロファイルでの記憶のために送信する。健全性値が所定の閾値以下に降下すると、パワーバンク(例えば、
図1A、1B、及び2のパワーバンク140)又はリモートサーバは、健全性値の指標を、ユーザのパーソナル電子デバイス(例えば、
図1Bのパーソナル電子デバイス121)及び/又は充電式デバイスのうちの少なくとも1つに送信し得る。この目的のために、ユーザプロファイル138は、ユーザが通知を受信することを好む特定のデバイスの指標を記憶し得る。したがって、リモートサーバ131は、ユーザプロファイルに照会して、健全性値を示す通知が送信される特定のパーソナル電子デバイス及び/又は充電式デバイスを判定し得る。ユーザプロファイルを確立すると、リモートサーバ131は、指示が送信されるデバイスとしてプロファイルに登録された第1のパーソナル電子デバイスをデフォルトで使用し得る。次いで、リモートサーバ131は、指標を受信することとなるデバイスをユーザが設定することができるインターフェースを提供し得る。いくつかの充電式デバイス120について、リモートサーバ131は、最初に指標をパワーバンク140に送信し、次いで、パワーバンク140が通信可能な接続144を介して充電式デバイス120に指標を中継することによって、指標を充電式デバイスに送信する。
【0079】
指標は、ユーザプロファイルによって示されたデバイスによって受信されると、デバイスに、健全性値の指標(例えば、プッシュ通知、及び/又はデバイスでのアプリケーションの画面に表示される画像)を表示させる。デバイスにおけるディスプレイは、パワーバンクの健全性の状態を示し、それによって、ユーザに、自分のデバイスを充電するときに健全性の状態を考慮する機会(例えば、パワーバンクがユーザの設定された事前の期待に基づいて、不注意かつ不都合に枯渇しないことを確実にするために、パワーバンクをより頻繁に充電する)、又はパワーバンクを交換する機会を提供し得る。以下に記載するように、様々な技法を利用して、パワーバンクバッテリの公称容量、実容量、及び健全性値を判定し得る。
【0080】
第1に、パワーバンクバッテリの健全性の状態を判定することは、パワーバンクバッテリの公称容量を判定することを含む。典型的には、パワーバンクは、パワーバンク自体の公称容量を認識している(例えば、公称容量は、製造時に非一時的パワーバンクメモリ186に記憶される)。いくつかの実施形態では、パワーバンクバッテリの公称容量は、各々が個々の容量を有する、パワーバンクバッテリの2つ以上のセル(例えば、電気化学セル)のマルチセル構成に基づく複合容量である。いずれの場合でも、パワーバンクバッテリの公称容量を、単一の値、すなわち、パワーバンクバッテリにおける1つ以上のセル(例えば、5000mAh、10000mAh、22000mAhなど)の公称結合容量として表すことができる。
【0081】
第2に、パワーバンクバッテリの健全性の状態を判定することは、パワーバンクバッテリの実容量を判定すること(例えば、現在の実容量を判定すること)を含む。以下に記載するように、パワーバンクバッテリの実容量を判定するための複数の技法が可能である。いくつかの実施形態では、パワーバンクは、公称容量及び実容量(並びに/又は公称容量及び実容量が基づく特定の測定値)をリモートサーバに送信するように構成されており、次いで、リモートサーバは、パワーバンクの健全性の状態を計算する。他の実施形態では、パワーバンクは、パワーバンクの健全性の状態を計算し、かつ健全性の状態の指標をリモートサーバに送信するように構成されている。
【0082】
パワーバンクバッテリの実容量の判定
可能な一実施形態では、パワーバンクバッテリの容量が電荷の単位で定格されている場合、「クーロンカウンティング」技法は、パワーバンクバッテリの充電及び/又は放出中のパワーバンクバッテリの電圧の測定値と組み合わせて使用される。一般に、クーロンカウンティングは、一定時間間隔を通して、パワーバンクバッテリからの流出電流及び/又はパワーバンクバッテリへの流入電流を測定することを含む。パワーバンクからの流出電流(すなわち、例えば
図2に関して記載されるようにパワーバンクの回路を介して、パワーバンクバッテリから外へ電荷を搬送する)は、例えばパワーバンクが1つ以上のモバイルコンピューティングデバイスに充電を供給している間、測定され得る。流入電流(すなわち、パワーバンクバッテリ内に電荷を搬送すること)は、例えばパワーバンクがAC壁コンセント、車両充電ポート、及び/又はパワーバンクのための他の充電源から充電を受け取っている間、測定され得る。測定された流入電流又は流出電流を、一定時間間隔を通して積分して、この時間間隔を通した流入電荷又は流出電荷の合計を判定することができる。いくつかの状況では、測定された電流が一定時間間隔を通して一定である場合(又は変動する電流がこの時間間隔を通して平均される場合)、一定の電流又は平均電流に、この時間間隔の持続時間を乗じて、この時間間隔を通した総電流(流入又は流出)を判定し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、パワーバンクMCUは、パワーバンクバッテリと電気的に直列に配置された抵抗器(例えば、流出電流を測定するためのシャント抵抗器226、又は、
図2に関して記載されるように、流入電流を測定するための同様に配置された別のシャント抵抗器)の使用を介して、流出電流及び/又は流入電流を測定する。抵抗器は、既知の電気抵抗(例えば、0.01オーム(Ω))を有し、抵抗器の電気抵抗は、パワーバンクMCUのメモリに含まれている。パワーバンクMCUは、抵抗器全体にわたる電圧降下を測定する。例えば、0.01Ωシャント抵抗器について、MCUは、シャント抵抗器全体にわたって20ミリボルト(mV)の降下を測定し得る。MCUは、電圧降下を抵抗器の既知の抵抗で除して、抵抗器を通過する電流(それゆえ、パワーバンクバッテリに又はパワーバンクバッテリから流れる電流)を判定する)。例えば、MCUが0.01Ωシャント抵抗器全体にわたって20mVの降下を測定する場合、MCUは、2Aの電流を判定する。MCUは、(シャント抵抗器全体にわたる電圧降下の継続的な測定を介して)一定時間間隔を通して電流を時間の関数として監視し続ける。監視された電流を、この時間間隔を通して積分又は積算して、この時間間隔を通した流入電荷又は流出電荷の総量を判定する。MCUは、判定された量の流入電荷又は流出電荷をリモートサーバに、リモートサーバでの監視のために送信し得る。
【0084】
好ましくは、総充電が計算される時間間隔は、(1)パワーバンクバッテリの完全な充電(すなわち、壁コンセント又は他の供給源から充電することによる、約0%フューエルゲージから約100%フューエルゲージへの)、及び/又は(2)パワーバンクバッテリの完全な放出(すなわち、1つ以上のモバイルコンピューティングデバイスの充電時における、約100%フューエルゲージから0%フューエルゲージへの)のうちの少なくとも1つに対応する。以下に記載するように、パワーバンクバッテリの完全な充電及び/又は完全な放出は、パワーバンクバッテリでの電圧及び/又は電流の監視によって検出される。
【0085】
パワーバンクバッテリの完全な充電(0%~100%)を監視することは、典型的には、パワーバンクバッテリの「定電流/定電圧」(CC/CV)充電を監視することを伴う。パワーバンクバッテリのCC/CV充電を、パワーバンクバッテリへの流入電流を充電中のパワーバンクバッテリのフューエルゲージの関数として(それゆえ、時間の関数として)図示する
図3から理解することができる。
【0086】
図3に示される第1の「定電流」(CC)充電フェーズでは、完全に枯渇したパワーバンクが外部電源(図示せず)に接続されているとき、パワーバンクバッテリは、実質的に一定の大きさ(例えば、2.5A)の流入電流を受け取り、パワーバンクバッテリの内部電圧は、最小定格電圧(例えば、多くのリチウムイオンバッテリの場合、0%フューエルゲージで3V)から最大定格電圧(例えば、リチウムイオンバッテリの場合、4.2V)まで増加する。パワーバンクバッテリの最大電圧は、例えばパワーバンクバッテリが50%バッテリフューエルゲージ、60%フューエルゲージ、70%、80%、又は別の充電レベルにあるときに、達成され得る。いずれの場合でも、パワーバンクバッテリが最大電圧に達すると、
図4に示される第2の「定電圧」(CV)充電フェーズが始まる。CVフェーズでは、パワーバンクバッテリの最大電圧は、流入電流が初期値(例えば、CC充電からCV充電へのクロスオーバ直後の瞬間における2.5A)から、パワーバンクフューエルゲージが100%に近付くにつれてほぼゼロの流入電流まで減少する間、パワーバンクバッテリの最大電圧が維持される。流入電流が、充電が十分に先細りしたことを示す所定の閾値(例えば、0.05A)以下である場合、パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、フューエルゲージが約100%であると判定し、第2かつ最終の充電フェーズが完了する。結果的に、MCU及び/又はリモートサーバは、(例えば、パワーバンクにおけるスイッチを介して、又はパワーバンクの電源における充電アダプタにおいて)パワーバンクへの充電の供給の遮断を引き起こす。
【0087】
パワーバンクバッテリの「入力充電容量」は、パワーバンクのCC/CVの完全な充電の第1及び第2のフェーズを通して流入電流を監視することを介して判定される。特に、流入電流は、0%~100%へのパワーバンクの完全な充電の持続時間(例えば、連続的であっても非連続的であってもよい80分)を通して積分される。経時的な流入電流の積分は、充電セッションの持続時間を通してパワーバンクバッテリに流入する総電荷を生成する。例として、10000mAhの公称容量を有するパワーバンクにおいて、パワーバンクMCUは、パワーバンクバッテリが、0%フューエルゲージから100%フューエルゲージに完全に充電するために7400mAhのみを受け取ったと判定し得る。したがって、この例では、MCUは、パワーバンクの入力容量が7400mAhであると判定する。MCUは、そこで監視するために、入力容量をリモートサーバに、リモートサーバでの監視のために送信するように構成され得る。
【0088】
逆に、パワーバンクMCUは、パワーバンクのバッテリの完全な放出(100%フューエルゲージから0%フューエルゲージへの)中に、パワーバンクバッテリ電圧及び流出電流を監視することによって、実容量を決定し得る一方、パワーバンクは、1つ以上のモバイルコンピューティングデバイスに電荷を供給する。特に、パワーバンクMCUは、パワーバンクバッテリと直列のシャント抵抗器全体にわたる電圧降下を測定することによって、パワーバンクバッテリからの流出電流を監視し得る。放出中の流出電流の値は、一般に、例えばパワーバンクが充電を供給しているデバイスのフューエルゲージを含む、様々な要因に基づいて変動し得る。
【0089】
パワーバンクバッテリの電圧の挙動を、(例えば、1つ以上のモバイルコンピューティングデバイスを充電している間に)パワーバンクバッテリが経時的に放出するにつれて、パワーバンクバッテリの電圧をパワーバンクバッテリのフューエルゲージの関数として図示する
図4から理解することができる。パワーバンクバッテリが放出するにつれて、パワーバンクバッテリ電圧は、パワーバンクバッテリ電圧の最大電圧(例えば、
図4に示されるように、4.2V)からパワーバンクバッテリ電圧の最小電圧(例えば、3V)に向かって減少する。パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンク電圧が、パワーバンクバッテリフューエルゲージが0%に等しいか又は非常に近いことを示す最小電圧に等しくなるか又はほぼ等しくなるまで、電流及び/又は電圧を監視する。
【0090】
パワーバンクバッテリの「出力充電容量」は、パワーバンクバッテリが充電を供給した(例えば、100%フューエルゲージから0%フューエルゲージまで放出した)期間を通して流出電流を積分することによって判定される。例として、10000mAhの公称容量を有するパワーバンクにおいて、パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリが100%フューエルゲージから0%フューエルゲージまで放出するために7000mAhのみを放出したと判定し得る。したがって、MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクの「出力容量」が7000mAhであると判定する。
【0091】
入力充電容量及び出力充電容量の判定は、好ましくは、パワーバンクバッテリの公称容量が電荷の単位(例えば、mAh)で表される場合に使用される。すなわち、実容量は、公称容量のものと同等の単位で測定される。したがって、パワーバンクバッテリの公称容量がエネルギーの単位(例えば、Wh)で定格される実施形態では、実容量は、同様に、(上に記載されるクーロンカウンティング技法を介して達成されるような、充電の単位ではなく)エネルギーの単位で測定されるべきである。
【0092】
したがって、パワーバンクバッテリの公称容量がエネルギーの単位で表される実施形態では、「エネルギーカウンティング」技法を使用して、実容量を測定する。パワーバンクMCUは、一定時間間隔にわたって、パワーバンクからの流出電流及び/又はパワーバンクへの流入電流を、パワーバンクバッテリの電圧と組み合わせて測定し得る。本明細書に記載されるようなクーロンカウンティングと同様に、この時間間隔は、好ましくは、パワーバンクバッテリの完全な充電又はパワーバンクバッテリの完全な放出(
図3及び4に関して上に記載されるのと同じ方法で検出され得る)のうちの少なくとも1つに対応する。MCU及び/又はリモートサーバは、測定された流出電流又は流入電流に、対応する電圧(すなわち、同時のパワーバンクバッテリの電圧)を乗じて、この時間間隔中の所与の時間におけるパワーバンクバッテリへの電力入力又はパワーバンクバッテリの電力出力を判定し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、この時間間隔を通した流出電流又は流入電流の全ての測定値に、パワーバンクのバッテリの同じ「平均電圧」(例えば、バッテリの公称電圧)を乗じ得る。
【0093】
パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、この時間間隔を通して測定された電力入力又は電力出力を積分して、この時間間隔を通したパワーバンクバッテリへの総流入エネルギー、又はこの時間間隔を通したパワーバンクバッテリからの総流出エネルギーを判定し得る。MCUは、実質的に0%フューエルゲージから実質的に100%フューエルゲージへのパワーバンクの完全な充電を通して、パワーバンクバッテリへの流入エネルギーを監視することによって、パワーバンクバッテリの「入力エネルギー容量」を測定し得る。例えば、50Whの公称容量を有するパワーバンクにおいて、パワーバンクMCUは、パワーバンクバッテリが0%~100%に充電するために40Whのみを受け取ったと判定し得る。追加的又は代替的に、パワーバンクMCUは、100%フューエルゲージから0%フューエルゲージへのパワーバンクの完全な放出を通してパワーバンクバッテリからの流出エネルギーを監視することによって、パワーバンクバッテリの「出力エネルギー容量」を測定し得る。例えば、50Whの公称容量を有するパワーバンクにおいて、パワーバンクMCUは、パワーバンクバッテリが、実質的に100%フューエルゲージから実質的に0%フューエルゲージまで放出するために38Whのみを放出したと判定し得る。
【0094】
いずれの場合でも、パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、計算された入力容量(例えば、入力充電容量又は入力エネルギー容量)又は計算された出力容量(例えば、出力充電容量又は出力エネルギー容量)のいずれかに基づいて、パワーバンクバッテリの実容量を判定し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、MCUは、パワーバンクバッテリの「完全なサイクル」(すなわち、完全な充電と、それに続くパワーバンクバッテリの完全な放出、又はその逆)に基づいて、実容量を計算する。これらの実施形態では、完全な充電及び完全な放出の検出時に、MCUは、計算された入力容量及び計算された出力容量を平均して、パワーバンクバッテリの実容量を判定し得る。例えば、本明細書における10000mAhのパワーバンクの例に続いて、7400mAhの入力充電容量及び7000mAhの出力充電容量を平均して、パワーバンクのバッテリの7200mAhの実際の充電容量を判定する。
【0095】
いくつかの実施形態では、パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクデバイスの温度センサによって感知された温度レベルに基づいて、判定された実容量に温度補正因子を適用する。一般に、バッテリ容量は、温度が上昇するにつれて増加する。とは言え、閾値温度(約45℃)の後に、バッテリ劣化と関連付けられた内部抵抗の上昇に起因して、追加の充電が失われて熱になり、充電容量を一般に減少させる。したがって、パワーバンクデバイス及び/又はリモートサーバのメモリは、温度レベル(又は温度レベルの範囲)を、上の実容量の判定に適用するための特定の温度補正因子と関連付けるルックアップテーブルを記憶し得る。温度補正因子は、測定/観測される温度での調整された実容量を生成するために、実容量値に乗じられる値(例えば、0.0~2.0の値)であり得る。いくつかの実施形態では、パワーバンク及び/又はリモートサーバのメモリは、異なるバッテリタイプにそれぞれ対応する複数のルックアップテーブルを記憶している。したがって、これらの実施形態では、パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクデバイスの温度センサから温度値を取得して、適切なルックアップテーブルから温度補正値を取得し、判定された実容量に適用して、調整された実容量を生成し得る。
【0096】
パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、判定された実容量及びパワーバンクバッテリの公称容量(例えば、比率又はパーセンテージとして)に基づいて、パワーバンクバッテリの健全性値を計算する。例えば、10000mAhの公称容量と比較した7200mAhの実容量を有するパワーバンクにおいて、パワーバンクの健全性値は、0.72又は72%として表される。温度補正因子を適用して、判定された実容量を調整する実施形態では、健全性の状態の値は、判定された実容量ではなく、調整された実容量を使用して計算され得る。
【0097】
パワーバンクの健全性値は、一般に、経時的に減少する。したがって、様々な実施形態では、パワーバンクは、本明細書に記載される技法を断続的に又は連続的に適用して、パワーバンクバッテリの健全性を監視してもよい。例えば、MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリの充電及び放出を連続的に監視し、パワーバンクバッテリが0%~100%に完全に充電されるか、又は100%~0%に完全に放出される任意のときに、実容量を計算し得てもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリが部分的に充電される(例えば、0%フューエルゲージから48%フューエルゲージ、15%~67%、38%~100%などへの)と、又はパワーバンクのバッテリが部分的に放出される(例えば、100%フューエルゲージから63%、48%~17%、61%~0%などへの)と、実容量を測定し得る。これらの実施形態では、部分的な充電又は部分的な放出の間、監視された流入充電若しくは流出充電又は流入エネルギー若しくは流出エネルギーは、完全な充電又は完全な放出から生じるであろう流入充電若しくは流出充電又は流入エネルギー若しくは流出エネルギーの量を判定するために外挿される。例えば、パワーバンクバッテリが3500mAhを放出して67%フューエルゲージから17%フューエルゲージに放出する(すなわち、50%を放出する)場合、MCUは、測定された3500mAhの放出を2倍にして、パワーバンクバッテリは7000mAhを放出して完全に放出することになると推定し、それによって、実容量の推定値を提供する。別の例として、パワーバンクバッテリが1600mAhを充電して0%フューエルゲージから20%フューエルゲージに充電する場合、MCUは、測定された1600mAhの充電を外挿して、パワーバンクバッテリは8000mAhを充電して完全に充電することになると推定する。実容量の外挿計算は、信頼性が低い場合があり、したがって、MCU及び/又はリモートサーバは、好ましくは、実質的に0%フューエルゲージから実質的に100%フューエルゲージへの完全な充電、及び/又は実質的に100%から実質的に0%への完全な放出に基づいて、実容量を計算する。
【0099】
判定された健全性値が閾値(例えば、70%、60%、50%、40%など)以下である場合、パワーバンク及び/又はリモートサーバは、リモートサーバでのユーザプロファイルによって示されるデバイスに健全性値の指標を自動的に送信する。いくつかの実施形態では、閾値は、パワーバンクMCUのメモリ及び/又はリモートサーバ(例えば、デフォルト値は、リモートサーバへの登録時に設定される)によって記憶された所定の値(例えば、パワーバンクの製造時に設定される)である。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、閾値は、ウェブポータル又はパーソナル電子デバイスで実行動作する専用ソフトウェアアプリケーションを介してパーソナル電子デバイスのユーザによって設定された値である。これらの実施形態では、パーソナル電子デバイスは、パワーバンクメモリ及び/又はリモートサーバにおけるユーザプロファイルに記憶された値を設定するための、ユーザ設定閾値の指標を、パワーバンク及び/又はリモートサーバに送信する。
【0100】
代替の実施形態では、実容量及び健全性の状態を判定するためのなお他の技法が可能であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、パワーバンクは、インピーダンス検査を使用して、やはり健全性の状態を示すパワーバンクバッテリの内部抵抗を判定する。具体的には、パワーバンクは、1つ以上の短い定電流パルス(例えば、2A)をパワーバンクバッテリの内部に印加する。パワーバンクは、パルスの印加時にバッテリにおける電圧降下(例えば、30mV、60mV、200mVなど)を測定する。電圧降下は、パワーバンクバッテリにおける内部抵抗によって引き起こされる。内部抵抗はパワーバンクの寿命を通して増加するため、定電流パルスによって引き起こされる電圧降下は、比例して増加する。パワーバンクは、抵抗又は電圧降下を測定し、抵抗又は電圧降下を閾値(例えば、200mΩ又は400mV)と比較し得る。別の例として、パワーバンクは、バッテリに高周波AC電流(例えば、1000Hz)を印加し、閾値との比較のためにバッテリの電圧降下又はインピーダンスを測定し得る。これらの実施形態では、パワーバンクは、測定された抵抗電圧降下をリモートサーバに、リモートサーバでの監視のために送信し得る。判定された電圧降下若しくは抵抗の値が閾値以上である場合、リモートサーバは、パワーバンクと関連付けられたパーソナル電子デバイスに値の指標を送信する。
【0101】
バッテリの内部抵抗は温度に基づいて変動することを理解されたい。一般に、温度が上昇するにつれて、バッテリの内部抵抗が減少する。したがって、閾値電圧降下又は抵抗/インピーダンスは、パワーバンク温度センサによって感知される温度値に応じて変動し得る。したがって、パワーバンク及び/又はリモートサーバのメモリは、温度値(又は温度値の範囲)を閾値電圧降下又は抵抗/インピーダンス値と関連付けるルックアップテーブルを記憶し得る。これらの実施形態では、パワーバンクバッテリの測定された電圧降下又は抵抗/インピーダンスを閾値と比較する前に、パワーバンクMCU又はリモートサーバは、パワーバンク温度センサから温度値を取得して、適切な閾値を取得し得る。
【0102】
例示的なフロー図
図5は、パワーバンクの(例えば、
図1A、1B、及び2に描示されるようなパワーバンク140の)バッテリの健全性の状態を監視することと関連付けられたフロー
図500を描示している。本明細書に記載されるように、フロー
図500に表されるアクションは、例えば、リモートサーバ(例えば、
図1Bのリモートサーバ131)と連携したパワーバンクのマイクロコントローラ(MCU)によって実行され得る。フロー図に表されるアクションは、パワーバンクと、パワーバンクの外部の充電式デバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなどのモバイルコンピューティングデバイス)及び/又はリモートサーバと、の間の有線通信及び/又は無線通信を含み得る。
【0103】
MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリの公称容量を判定する(502)。公称容量は、パワーバンクバッテリの公称充電容量又は公称エネルギー容量であり得る。好ましくは、MCUは、MCUのメモリから公称容量を示す値を取り出すことによって公称容量を判定する(又は、公称容量を示す値、例えば、パワーバンクバッテリの1つ以上のセルの構成情報を取り出す)。したがって、MCUは、リモートサーバへの初期登録時に、この値をリモートサーバに送信し得る。代替的に、MCUは、有線通信及び/又は無線通信を介して(例えば、リモートサーバとインターフェースするようにパーソナル電子デバイス上で実行動作する専用ソフトウェアアプリケーションから(このアプリケーションは、様々なパワーバンクモデルの公称容量を列挙したルックアップテーブルをダウンロードする))パワーバンクバッテリの公称容量の指標を受信することによって、公称容量を判定する。なお他の実施形態では、リモートサーバは、パワーバンクに対応する識別子(例えば、モデル番号)の指標をMCUから受信することによって、パワーバンクバッテリの公称容量を判定する。次いで、リモートサーバは、受信された識別子を使用してデータベースに照会して、データベースから公称容量の指標を取得し得る。
【0104】
追加的に、MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリの現在又は実容量を判定する(504)。実容量は、(公称容量の測定の単位に従う)実際の充電容量又は実際のエネルギー容量であり得る。具体的には、MCUは、前述の内容に記載されるように(例えば、入力容量及び/又は出力容量に基づいて)、クーロンカウンティング技法(又はエネルギーの単位で測定される容量を有するパワーバンクバッテリの場合には、エネルギーカウンティング技法)を適用することによって、実容量を判定し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、MCUは、本明細書に記載されるような1つ以上のインピーダンス検査を介して、パワーバンクバッテリの実容量を判定する。技法にかかわらず、MCUは、判定された現在の容量をリモートサーバに送信するように構成され得る。応答して、リモートサーバは、ユーザプロファイルを、現在の容量をパワーバンクと関連付けるように更新する。いくつかの実施形態では、ユーザプロファイルを現在の容量で更新する前に、MCU及び/又はリモートサーバは、温度補正因子を現在の容量に適用して、調整された現在の容量を生成してもよいことを理解されたい。これらの実施形態では、リモートサーバは、ユーザプロファイルを、調整された現在の容量をパワーバンクと関連付けるように更新し得る。
【0105】
MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリの実容量をパワーバンクバッテリの公称容量と比較して、公称容量及び実容量に基づいてパワーバンクバッテリの健全性値を判定する(506)。具体的には、いくつかの実施形態では、健全性値は、実容量を公称容量で除したもの(例えば、比率又はパーセンテージとして表される)に対応する。
【0106】
MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクの健全性値が所定の閾値以下であるかどうかを判定する(508)。いくつかの実施形態では、所定の閾値は、リモートサーバで維持されるユーザプロファイルの一部として記憶されている。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、ユーザ構成閾値の指標を受信する。ユーザ構成閾値は、例えばパワーバンクバッテリと関連付けられたソフトウェアアプリケーションを介して、パーソナル電子デバイスのユーザによって設定され得る。これらの実施形態では、リモートサーバは、有線通信及び/又は無線通信を介してパーソナル電子デバイスからユーザ構成閾値を受信する。
【0107】
判定された健全度値が閾値以下である場合、MCU及び/又はリモートサーバは、健全度値の指標をパワーバンクのユーザのパーソナル電子デバイスに送信する(510)。いくつかの実施形態では、健全性値が閾値を下回っていると判定すると、MCUは、指標をリモートサーバに送信する。応答して、リモートサーバは、ユーザプロファイルに照会して、指標を受信すべきであることをユーザプロファイルが示す1つ以上のパーソナル電子デバイス及び/又は充電式デバイスを識別し得る。リモートサーバは、識別されたパーソナル電子デバイス及び/又は充電式デバイスを介して、有線通信及び/又は無線通信を介して指標を送信する。送信された健全性値の指標は、パーソナル電子デバイス及び/又は充電式デバイスに、パワーバンクバッテリの健全性の状態の指標(例えば、プッシュ通知、及び/又はパワーバンクの健全性の状態の情報を伝達するアプリケーションの画面上に表示される画像)を表示させる。
【0108】
いくつかの実施形態では、パワーバンクの電力の指標は、健全性値そのものを含む。追加的又は代替的に、パワーバンク健全性の指標は、単にユーザがパワーバンクを交換すべきか否かを示してもよい(例えば、健全性値が閾値を上回っているか、閾値に等しいか、又は閾値を下回っているかに基づいて)。
【0109】
判定された健全度値が閾値を上回っている場合、健全度値の指標の送信は、生じ得ない。代替的に、いくつかの実施形態では、リモートサーバは、健全性値が判定される任意のときに健全性値を送信し、それによって、パーソナル電子デバイス及び/又は充電式デバイスのユーザは、ユーザのパワーバンクのステータスを監視することが可能になる。いくつかの追加の実施形態では、健全性値は、パワーバンクと関連付けられた情報を表示するように構成されたユーザインターフェースに(例えば、ウェブポータルを介して、又は専用アプリケーションを介して)ユーザがアクセスすることに応答して送信される。より具体的には、リモートサーバは、パーソナル電子デバイスからの、パワーバンクデバイスと関連付けられたデータを映示する要求を受信し、ユーザプロファイルに照会して、要求されたデータを取得し、取得データをパーソナル電子デバイスに送信し得る。いずれの場合でも、パワーバンクMCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリの容量を監視し続ける(512)。例えば、MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクでの流入電流及び/又は流出電流を連続的に監視し得、MCU及び/又はリモートサーバがパワーバンクのバッテリの完全な充電又は完全な放出が生じたと判定するたびに、現在の容量を判定し得る。したがって、アクション504~508が繰り返され、パワーバンクバッテリ健全性値がそれ以来閾値まで降下したか、又は閾値を下回ったかの検出が可能になる。
【0110】
フロー
図500のアクションの順序は、異なってもよい。例えば、MCU及び/又はリモートサーバは、パワーバンクバッテリの公称容量を取得する前に、パワーバンクバッテリの実容量を判定してもよい。
【0111】
例示的なグラフィカルユーザインターフェース
図6は、パーソナル電子デバイス(例えば、同じユーザによって所有される)を含むユーザプロファイルと関連付けられたパワーバンクの健全性の状態に基づいて、パーソナル電子デバイス610に表示され得る例示的な通知を例示している。より具体的には、
図6は、パーソナル電子デバイス610の画面612を例示しており、画面612は、パワーバンクの健全性の状態を示すグラフィカルユーザインターフェース620を表示する。パーソナル電子デバイス610は、例えば、(
図1A又は2のモバイルコンピューティングデバイス120を含む)
図1Bに関して記載される任意のパーソナル電子デバイス121であり得る。いくつかの実施形態では、
図6のグラフィカルユーザインターフェース620は、パーソナル電子デバイス610で実行動作する専用のパワーバンクアプリケーション(例えば、
図1のパワーバンクアプリケーション156)を介して表示される。
【0112】
グラフィカルユーザインターフェース620は、パワーバンクの健全性の状態の指標(
図6では「寿命パーセンテージ」と称される)を表示する。具体的には、グラフィカルユーザインターフェース620は、現在の容量パワーバンクがパワーバンクの公称容量の70%未満であることを示しており、デバイスを充電するパワーバンクの能力が低減され得ることをパーソナル電子デバイス610のユーザに忠告する。
【0113】
様々な実施形態では、異なる健全性値閾値が想定されてもよい。更に、様々な実施形態では、追加的又は代替的なグラフィカルユーザインターフェースが可能である。例えば、
図6の通知は、パーソナル電子デバイス610で実行動作するパワーバンクアプリケーションの他の画面(例えば、フルスクリーンディスプレイ)で置き換えられてもよく、又は補完されてもよい。追加又は代替のユーザインターフェースは、
図6に示されるものと同様の情報を提供してもよく、かつ/又は本明細書に記載される他の充電関連情報を提供してもよい。更に、様々な実施形態では、音声プッシュ通知を伝達するために、パーソナル電子デバイス610のマイクロフォン及び/又はスピーカを介した音声入力/出力を使用するユーザインターフェース技法が実装されてもよい。
【0114】
例示的なフロー図
図7は、パワーバンクの(例えば、
図1に描示されるようなパワーバンク140の)バッテリの健全性の状態を判定することと関連付けられた例示的な方法700に対応するブロック図を描示している。方法700の少なくともいくつかのアクションは、
図5のフロー
図500におけるアクションに対応し得る。
【0115】
方法700は、パワーバンクバッテリの公称容量(例えば、公称充電容量又は公称エネルギー容量)を判定する(702)ことを含む。具体的には、
図5を参照して本明細書で説明されるように、パワーバンクのマイクロコントローラ(MCU)は、パワーバンクにおけるメモリから公称容量を取り出すことによって、公称容量を判定する。方法700は、パワーバンクの実容量を決定する(704、例えば、本明細書に記載されるようなクーロンカウンティング、エネルギーカウンティング、又はインピーダンス検査を介して)ことを更に含む。追加的に、方法700は、パワーバンクの実容量をパワーバンクの公称容量と比較して、パワーバンクの健全性値を判定する(706)ことを含む。方法700は、健全性値が閾値以下である場合、健全性値の指標をリモートサーバに送信する(708)ことを含む。
【0116】
方法700は、様々な実施形態では、追加のアクション、より少ないアクション、又は代替のアクションを含み得る。
【0117】
図8は、パワーバンクの(例えば、
図1に描示されるようなパワーバンク140の)バッテリの健全性の状態を判定することと関連付けられた例示的な方法800に対応するブロック図を描示している。方法800の少なくともいくつかのアクションは、
図5のフロー
図500におけるアクションに対応し得る。
【0118】
方法800は、パワーバンクバッテリの公称容量(例えば、公称充電容量又は公称エネルギー容量)を取得する(802)ことを含む。具体的には、リモートサーバは、
図5を参照して本明細書で説明されるように、パワーバンク識別子、又はパワーバンクにおけるメモリから取り出された公称容量、の指標を受信することによって、公称容量を取得する。方法800は、パワーバンクデバイスからパワーバンクの現在の容量の測定値を受信する(804)ことを更に含む。追加的に、方法800は、パワーバンクの現在の容量をパワーバンクの公称容量と比較して、パワーバンクの健全性値を判定する(806)ことを含む。方法800は、健全性値が閾値以下である場合、健全性値の指標をパーソナル電子デバイスに送信する(808)ことを含む。
【0119】
方法800は、様々な実施形態では、追加のアクション、より少ないアクション、又は代替のアクションを含み得る。
【0120】
追加の考慮事項
前述のコンピュータシステムの全ては、本明細書で考察されるものを含む、追加の機能性、より少ない機能性、又は代替の機能性を含み得る。コンピュータ実装方法の全ては、本明細書で考察されるものを含む、追加のアクション、より少ないアクション、又は代替のアクションを含み得、1つ以上のローカルプロセッサ若しくはリモートプロセッサ及び/又は送受信機を介して、並びに/又は1つ以上のコンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータ実行可能命令を介して実装され得る。
【0121】
本明細書で考察されるプロセッサ、送受信機、モバイルデバイス、及び/又は他のコンピューティングデバイスは、無線通信ネットワーク又は電子通信ネットワークを介して各々と通信し得る。例えば、コンピューティングデバイス間の通信は、1つ以上の無線リンク、又は無線通信チャネル若しくはデジタル通信チャネルを介した無線通信若しくはデータ伝送であり得る。
【0122】
前述の考察には、以下の追加の考慮事項が適用される。本明細書を通して、複数のインスタンスが、単一のインスタンスとして記載される構成要素、動作、又は構造を実装し得る。1つ以上の方法の個々の動作が別個の動作として例示及び記載されているが、個々の動作のうちの1つ以上が同時に実行されてもよく、動作が例示される順序で実行されることは必要とされない。例示的な構成において別個の構成要素として提示される構造及び機能性は、組み合わされた構造又は構成要素として実装され得る。同様に、単一の構成要素として提示される構造及び機能性は、別個の構成要素として実装され得る。これら及び他の変形、修正、追加、及び改善は、本明細書における主題の範囲内に入る。
【0123】
追加的に、特定の実施形態が、論理、又はいくつかのルーチン、サブルーチン、アプリケーション、若しくは命令を含むものとして本明細書に記載される。これらは、ソフトウェア(例えば、機械可読媒体上又は伝送信号に具現化されたコード)又はハードウェアのいずれかを構成し得る。ハードウェアでは、ルーチンなどは、特定の動作を実行することができる有形のユニットであり、特定の様式で構成又は配置され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアント又はサーバコンピュータシステム)又はコンピュータシステムの1つ以上のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサ又はプロセッサのグループ)は、本明細書に記載されるように特定の動作を実行するように動作するハードウェアモジュールとしてソフトウェア(例えば、アプリケーション又はアプリケーション部分)によって構成され得る。
【0124】
様々な実施形態では、ハードウェアモジュールは、機械的又は電子的に実装され得る。例えば、ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行するように(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの特殊目的プロセッサとして)恒久的に構成された専用回路又はロジックを含み得る。ハードウェアモジュールはまた、特定の動作を実行するためのソフトウェアによって一時的に構成される(例えば、汎用プロセッサ又は他のプログラマブルプロセッサ内に包含される)プログラム可能なロジック又は回路を含んでもよい。ハードウェアモジュールを機械的に、専用の恒久的に構成された回路で、又は一時的に構成された回路で(例えば、ソフトウェアによって構成された)実装するための決定は、コスト及び時間の考慮によって推進され得ることが理解されよう。
【0125】
したがって、「ハードウェアモジュール」という用語は、特定の様式で動作するように、又は本明細書に記載される特定の動作を実行するように物理的に構築される、恒久的に構成される(例えば、ハードワイヤードの)、又は一時的に構成される(例えば、プログラムされた)エンティティである有形のエンティティを包含すると理解されたい。ハードウェアモジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされた)実施形態を考慮すると、ハードウェアモジュールの各々は、時間的に任意の1つのインスタンスで構成又はインスタンス化される必要はない。例えば、ハードウェアモジュールがソフトウェアを使用して構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは、異なる時間にそれぞれ異なるハードウェアモジュールとして構成され得る。ソフトウェアは、例えば、特定のハードウェアモジュールを1つの時間のインスタンスで構成するように、かつ異なるハードウェアモジュールを異なる時間のインスタンスで構成するようにプロセッサを相応に構成し得る。
【0126】
ハードウェアモジュールは、他のハードウェアモジュールに情報を提供し、他のハードウェアモジュールから情報を受信し得る。したがって、記載されるハードウェアモジュールは、通信可能に結合されているとみなされ得る。複数のそのようなハードウェアモジュールが同時に存在する場合、通信は、ハードウェアモジュールを接続する信号伝送を通じて(例えば、適切な回路及びバスを介して)達成され得る。複数のハードウェアモジュールが異なる時間に構成又はインスタンス化される実施形態では、そのようなハードウェアモジュール間の通信は、例えば複数のハードウェアモジュールがアクセスするメモリ構造における情報の記憶及び取り出しを通じて、達成され得る。例えば、1つのハードウェアモジュールが、動作を実行し、その動作の出力を、それが通信可能に結合されたメモリデバイスに記憶してもよい。次いで、更なるハードウェアモジュールは、後で、メモリデバイスにアクセスして、記憶された出力を取り出し及び処理し得る。ハードウェアモジュールはまた、入力デバイス又は出力デバイスとの通信を開始してもよく、リソース(例えば、情報の集合)に対して動作してもよい。
【0127】
本明細書に記載される例示的な方法の様々な動作は、少なくとも部分的に、関連する動作を実行するように一時的に構成される(例えば、ソフトウェアによって)か、又は恒久的に構成された1つ以上のプロセッサによって、実行され得る。一時的に構成されるか、又は恒久的に構成されているかにかかわらず、そのようなプロセッサは、1つ以上の動作又は機能を実行するように動作するプロセッサ実装モジュールを構成し得る。本明細書で言及されるモジュールは、いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ実装モジュールを含み得る。
【0128】
同様に、本明細書に記載される方法又はルーチンは、少なくとも部分的にプロセッサ実装され得る。例えば、方法の動作のうちの少なくともいくつかは、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサ実装ハードウェアモジュールによって実行され得る。特定の動作の性能は、単一の機械内に存在するだけでなく、いくつかの機械にわたって展開された1つ以上のプロセッサ間に分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサは、単一の場所に(例えば、家庭環境内に、オフィス環境内に、又はサーバファームとして)位置してもよい一方、他の実施形態では、プロセッサは、いくつかの場所にわたって分散されてもよい。
【0129】
特定の動作の性能は、単一の機械内に存在するだけでなく、いくつかの機械にわたって展開された1つ以上のプロセッサ間に分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールは、単一の地理的場所に(例えば、家庭環境内に、オフィス環境内に、又はサーバファーム内に)位置してもよい。他の例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールは、いくつかの地理的場所にわたって分散されてもよい。
【0130】
別段断らない限り、「処理する」、「コンピュータ処理する」、「計算する」、「決定する/判定する」、「提示する」、「表示する」などの語を使用する本明細書における考察は、1つ以上のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はこれらの組み合わせ)、レジスタ、又は情報を受信、記憶、送信、又は表示する他の機械構成要素内で、物理的(例えば、電子的、磁気的、又は光学的)量として表されるデータを操作又は変換する、機械(例えば、コンピュータ)のアクション又はプロセスを指し得る。
【0131】
本明細書で使用される場合、「一実施形態」又は「実施形態」への任意の言及は、実施形態に関連して記載される特定の要素、特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0132】
いくつかの実施形態は、「結合された」及び「接続された」という表現をそれらの派生語とともに使用して記載され得る。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が直接の物理的接触又は電気的接触にあることを示すために「結合された」という用語を使用して記載され得る。しかしながら、「結合された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも互いに協働又は相互作用することも意味し得る。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0133】
本明細書で使用される場合、「含む/備える(comprises)」、「含む/備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はそれらの任意の他の変化形は、非排他的包含に及ぶ。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に明示的にリストされていない、又は固有の他の要素を含み得る。更に、明示的に打ち消さない限り、「又は」は、包含的な又は、を指し、排他的な又は、ではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(又は存在する)であり、かつBは偽(又は存在しない)である、Aは偽(又は存在しない)であり、かつBは真(又は存在する)である、並びにA及びBの両方が真(又は存在する)である。
【0134】
加えて、「a」又は「an」の使用は、本明細書における実施形態の要素及び構成要素について記載するために採用される。このことは、単に、便宜上、及び本明細書の一般的な意味を与えるために行われる。本明細書及びそれに続く特許請求の範囲は、1つ又は少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、単数形は、それが別様の意味であることが自明でない限り、複数形も含む。
【0135】
本特許出願の末尾の特許請求の範囲は、請求項に明示的に記載されている「ための手段」又は「ためのステップ」という言い回しなどの慣例のミーンズプラスファンクションの言い回しが明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の下で解釈されることを意図していない。
【0136】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、コンピュータ機能性の改善を対象とし、従来のコンピュータの機能性を改善する。
【0137】
この詳細な説明は、単に例示的なものとして解釈されるものであり、あらゆる可能な実施形態について記載することは、不可能ではないにしても、非実用的であろうことから、あらゆる可能な実施形態について記載してはいない。現在の技術又は本出願の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替の実施形態を実装してもよい。
【国際調査報告】