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特表2024-510392LIDARシステムにおける循環器の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】LIDARシステムにおける循環器の使用
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240229BHJP
   G01S 17/34 20200101ALI20240229BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240229BHJP
   G01S 7/499 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/34
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
G01S7/499
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551085
(86)(22)【出願日】2022-02-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022015391
(87)【国際公開番号】W WO2022197388
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】17/221,770
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/160,796
(32)【優先日】2021-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アスガリ、メヘディ
(72)【発明者】
【氏名】クーナス、プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ファティプール、ヴァラ
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA10
2F112CA12
2F112DA02
2F112DA04
2F112DA08
2F112DA11
2F112DA15
2F112DA17
2F112DA25
2F112DA28
2F112DA32
2F112EA20
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA45
2F112GA01
5J084AA05
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA36
5J084BA38
5J084BA48
5J084BB12
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5J084BB15
5J084BB16
5J084BB19
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5J084BB40
5J084CA08
5J084CA31
5J084CA48
5J084CA49
5J084CA70
5J084EA31
(57)【要約】
LIDARシステムは、複数の異なる出射循環器信号を出力する循環器を有する。該循環器は、複数の異なる循環器復帰信号を受信する。該循環器復帰信号の各々は、前記出射循環器信号の1つに含まれ、前記LIDARシステムの外に位置する1つ以上の物体によって反射された光を含む。前記循環器は、前記循環器復帰信号のうちの1つからの光をそれぞれ含む複数の循環器出力信号を出力するように構成される。前記LIDARシステムは、該循環器出力信号を使用して、1つ以上のLIDARデータの結果を生成する電子機器も含む。該LIDARデータの結果は、前記LIDARシステムと1つ以上の物体との間の距離及び視線速度からなる群から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる出射循環器信号を同時に出力するように構成された循環器;
前記循環器が、複数の異なる循環器復帰信号を受信するように構成され、該循環器復帰信号の各々が、前記出射循環器信号のうちの1つに含まれ、かつ、LIDARシステムの外に位置する1つ以上の物体によって反射された光を含み;また
前記循環器が、複数の循環器出力信号を出力するように構成され、該循環器出力信号の各々が、前記循環器復帰信号のうちの1つからの光を含み;
及び
前記循環器出力信号を使用して、前記LIDARシステムと前記1つ以上の物体との間の距離及び視線速度からなる群から選択された1つ以上のLIDARデータの結果を生成するように構成された電子機器
を含む、LIDARシステム。
【請求項2】
前記循環器出力信号の一部が、第1循環器出力信号であり、前記循環器出力信号の一部が、第2循環器出力信号であり、
該第1循環器出力信号が、主に、第1偏光状態にある1つ以上の物体によって反射された光を含み、
該第2循環器出力信号が、主に、第2偏光状態にある1つ以上の物体によって反射された光を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1偏光状態及び前記第2偏光状態が、直線的な偏光状態である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記循環器出力信号の各々は、前記第1偏光状態及び前記第2偏光状態からなる群から選択された偏光状態にある光から本質的に構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記循環器が、複数の異なる光学部品、前記第1循環器出力信号が通って該循環器から出射する第3ポート、及び前記第2循環器出力信号が通って該循環器から出射する第4ポートを含み、
前記循環器入力信号の各々からの光が、第2ポートから第3ポートまで異なる経路で移動するにつれて、前記循環器復帰信号の各々からの光が、前記光学部品の第1選択によって処理され、
前記循環器入力信号の各々からの光が、第2ポートから第3ポートまで異なる経路で移動するにつれて、前記循環器復帰信号の各々からの光が、前記光学部品の第2選択によって処理され、前記光学部品の第2選択が、前記光学部品の第1選択と異なる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記循環器が、複数の循環器入力信号を受信するように構成され、
前記出射循環器信号の各々が、前記循環器入力信号の異なる1つからの光から本質的に構成され、
前記循環器入力信号の各々が、前記第1偏光状態及び前記第2偏光状態からなる群から選択された偏光状態にある光から本質的に構成される、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記循環器出力信号が、複数のペアを含み、該循環器出力信号の各ペアが、第1循環器出力信号のうちの1つ及び第2循環器出力信号のうちの1つを含み、
各ペアにおける前記第1循環器出力信号及び前記第2循環器出力信号が、主に、同一の循環器復帰信号からの光を含む、
請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記LIDARシステムが、複数のシステム出力信号を出力するように構成され、該システム出力信号の各々が、前記出射循環器信号のうちの1つからの光から本質的に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記異なる出射LIDAR信号の各々が、異なるチャネルを搬送し、該異なるチャネルが、それぞれ異なる波長である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記異なる出射LIDAR信号の各々が、異なるチャネルを搬送し、該異なるチャネルが、それぞれ同じ波長である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記循環器が、複数の循環器入力信号を受信するように構成され、前記出射循環器信号の各々が、該循環器入力信号の異なる1つからの光を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の循環器入力信号が、異なる方向に移動する循環器に入射する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記異なる方向が、非平行である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記循環器が、レンズから前記循環器入力信号を受信する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記循環器入力信号が、前記レンズから離れて異なる非平行な方向へそれぞれ移動する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記循環器が、複数の異なる光学部品、前記循環器入力信号が通って該循環器に入射する第1ポート、及び前記出射循環器信号が通って該循環器から出射する第2ポートを含み;また
前記循環器入力信号の各々からの光が、該第1ポートから該第2ポートまでの異なる経路上で移動するにつれて、該循環器入力信号の各々からの光が、同じ前記光学部品の選択によって処理される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記光学部品が、複数の偏光ビーム分割器及び複数の偏光回転子を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記部品が、偏光ビーム分割器で該部品の第1集合体と該部品の第2集合体との間に配置され、
該第1集合体及び該第2集合体が、同じ構成をそれぞれ有し、かつ交換可能であり、
該第1集合体及び該第2集合体が、偏光ビーム分割器及び偏光回転子をそれぞれ含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記出射循環器信号の各々は、前記循環器から離れて異なる非平行な方向に移動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
以下を含むシステムであって、
システム出力信号を視野内における複数の異なるサンプル領域に誘導するように構成されたLIDARシステム、
該LIDARシステムが、前記システム出力信号からの光を含む光信号を受信するようにそれぞれ構成された複数の導波路を含み、また
前記光信号を受信する導波路が、前記LIDARシステムと前記物体との間の距離の関数であり;
及び
サンプル領域ごとにLIDARデータを生成するように構成された電子機器、
各サンプル領域についてのLIDARデータが、前記LIDARシステムと前記サンプル領域内の物体との間の距離及び/または視線速度を示す、
システム。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2021年3月13日に出願され、「共通循環器において複数のチャネルを処理するLIDARシステム」と題した米国仮特許出願シリアル番号63/160,796の利益を主張する。また、本願は、2021年4月2日に出願され、「LIDARシステムにおける循環器の使用」と題した米国特許出願シリアル番号17/221,770号の継続である。それらのいずれも、全体として本明細書に組み込まれる。
【分野】
【0002】
本発明は、光学装置に関する。特に、本発明は、LIDARシステムに関する。
【背景】
【0003】
LIDARシステムの性能に対する要求が増加している。特に、多くのLIDARシステム用途は、LIDARシステムの分解能及び/または視野の増加を必要とする。これらの要求を満たす1つの方法は、LIDARシステムによって出力されるLIDAR信号の数を増加させることである。しかし、現在のLIDARシステムは、光循環器を利用して入射光信号を出射光信号から分離する。LIDARシステムから出力されるLIDAR信号の数を増加させることは、一般に、循環器の数及び/または循環器の関連要素の数を増加させることを必要とする。望ましくなくことに、循環器及びその関連要素の数を増やすと、LIDARシステムが複雑になり、かつ/またはそのコストが増加し得る。その結果、高性能化の要求を満たせるLIDARシステムが必要とされている。
【概要】
【0004】
LIDARシステムは、複数の異なる出射循環器信号を出力する循環器を有する。該循環器は、複数の異なる循環器復帰信号を受信する。該循環器復帰信号の各々は、前記出射循環器信号のうちの1つに含まれ、前記LIDARシステムの外に位置する1つ以上の物体によって反射された光を含む。前記循環器は、前記循環器復帰信号の1つからの光をそれぞれ含む複数の循環器出力信号を出力するように構成される。前記LIDARシステムはまた、前記循環器出力信号を使用して1つ以上のLIDARデータの結果を生成する電子機器を含む。該LIDARデータの結果は、前記LIDARシステムと1つ以上の物体との間の距離及び視線速度からなる群から選択される。
【0005】
いくつかの例では、前記循環器出力信号の一部は、第1循環器出力信号であり、また、前記循環器出力信号の一部は、第2循環器出力信号である。前記第1循環器出力信号は、主に、第1偏光状態の1つ以上の物体によって反射された光を含む。前記第2循環器出力信号は、主に、第2偏光状態の1つ以上の物体によって反射された光を含む。更に、前記循環器出力信号は、複数のペアを含む。各ペアの循環器出力信号は、第1循環器出力信号のうちの1つ及び第2循環器出力信号のうちの1つを含む。各ペアに含まれる第1循環器出力信号及び第2循環器出力信号は、主に、同じ循環器復帰信号からの光を含む。
【0006】
LIDARシステムの別の実施形態は、システム出力信号を視野内に複数の異なるサンプル領域に誘導するように構成される。該LIDARシステムは、各サンプル領域についてLIDARデータを生成するように構成される。各サンプル領域のLIDARデータは、前記LIDARシステムとサンプル領域内の物体との間の距離及び/または視線速度を示す。該LIDARシステムは、前記システム出力信号からの光を含む光信号を受信するようにそれぞれ構成された複数の導波路を含む。前記光信号を受信する導波路は、前記LIDARシステムと前記物体との間の距離の関数である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、LIDARアダプタに適用したLIDARチップの上面図である。
【0008】
図2は、LIDARアダプタに適用したLIDARチップの上面図である。
【0009】
図3Aは、LIDARチップと光通信するLIDARアダプタを有するLIDARシステムの一部の上面図である。チャネルC2を搬送する光信号が該LIDARチップから、該LIDARアダプタを通って、次いで該LIDARシステムの外へ移動する経路が示されている。
【0010】
図3Bは、図3AのLIDARシステムである。チャネルC2を搬送する光信号が該LIDARシステムの外から、該LIDARアダプタを通って、該LIDARチップに移動する経路が示されている。
【0011】
図3Cは、図3AのLIDARシステムである。チャネルC3を搬送する光信号が該LIDARシステムを通って移動する経路が示されている。
【0012】
図4は、図2のLIDARチップ及び電子機器及び図3のLIDARアダプタを共通の支持体上に含むLIDARシステムの上面図である。
【0013】
図5Aは、図1のLIDARチップに適用した処理要素の例を示す。
【0014】
図5Bは、図5Aに従って構成された処理要素に適用した電子機器の概略図を提供する。
【0015】
図5Cは、LIDAR出力信号の周波数対時間のグラフである。
【0016】
図6Aは、LIDARチップの上面図である。
【0017】
図6Bは、図6AのLIDARチップを含むLIDARシステムの上面図である。該LIDARシステムは、光信号を受信するようにそれぞれ構成された複数の導波路を含み、該光信号を受信する導波路は、該LIDARシステムとその外に配置されている物体との間の距離の変化に応答して変化する。
【0018】
図6Cは、LIDARシステムの上面図である。該LIDARシステムは、光信号を受信するようにそれぞれ構成された複数の導波路を含み、該光信号を受信する導波路は、該LIDARシステムとその外に配置されている物体との間の距離の変化に応答して変化する。
【0019】
図7は、シリコン・オン・インシュレータ・ウエハから構築されたチップの一部の断面である。
【説明】
【0020】
LIDARシステムは、異なるチャネルをそれぞれ搬送する複数の異なるシステム出力信号を同時に出力するように構成することができる。前記システム出力信号からの光は、該システムの外に配置された物体によって反射され、システム復帰信号において該LIDARシステムに復帰することができる。前記LIDARシステムは、循環器を含む。前記システム出力信号の光は、該システム出力信号が前記LIDARシステムから出射する前に、該循環器を通過する。更に、前記システム復帰信号の光は、該システム復帰信号が前記LIDARシステムに戻った後に、該循環器を通過する。複数のシステム出力信号の光及び複数のシステム復帰信号の光は、同じ循環器によって処理されるため、前記LIDARシステムから送信されるシステム出力信号の数を増やすには、循環器を追加しなくてもよい。
【0021】
更に、前記循環器は、前記LIDARシステムの外に位置する物体によって反射される光の偏光状態の変化に対応することができる。例えば、第1偏光状態で反射された光を搬送する信号は、1つのポートで前記循環器から出射することができ、第2偏光状態で反射された光を搬送する信号は、もう1つのポートで該循環器から出射することができる。その結果、前記LIDARシステムは、異なる偏光状態の光信号に対応することができる。1つの循環器が、より多くのシステム出力信号を出力しながら、異なる偏光状態にも対応する。この性能によって、LIDARシステムのコストまたは複雑さを実質的に増やすことなく、その性能を向上させることができる。
【0022】
図1は、チップ部品9を含むLIDARチップ8の上面図である。該LIDARチップは、フォトニック集積回路(PIC)を含むことができ、フォトニック集積回路(PIC)チップとすることができる。チップ部品9は、光源出力信号を出力する光源10を含む。該光源出力信号は、それぞれ PCjで表せる1つ以上の予備チャネルとすることができ、ここで、jが整数値1~Nの予備チャネル指数である。該予備チャネル(PCj)の各々は、異なる波長に関連付けられる。
【0023】
前記光源出力信号が1つの予備チャネルを搬送する場合、好適な光源10は、単一チャネル半導体レーザのような単一チャネルレーザを含むが、これに限定されない。前記光源出力信号が複数の予備チャネル(PCj)を搬送する場合、好適な光源10は、波長コームを生成する半導体レーザ等のマルチチャネルレーザを含むが、これに限定されない。あるいは、前記光源出力信号が複数の予備チャネルを搬送する場合、前記光源10は、複数の異なるレーザを含むことができ、該レーザの出力は、前記光源出力信号を形成するように組み合わせることができる。
【0024】
チップ部品9は、光源10からの光源出力信号を受信する光源導波路11を含む。光源導波路11は、前記光源出力信号を分割器12に搬送する。分割器12は、光源出力信号を、異なるユーティリティ導波路13上でそれぞれ受信される複数の異なる出射LIDAR信号に分割するように構成される。ユーティリティ導波路13の各々は、前記出射LIDAR信号のうちの1つを出射ポートに搬送する。そこを通って、出射LIDAR信号が前記LIDARチップから出射し、LIDAR出力信号として機能することができる。好適な出射ポートの例は、ユーティリティ導波路13のファセット等の導波路ファセットを含むが、これに限定されない。
【0025】
分割器12は、波長依存型分割器であり得る。例えば、分割器12は、前記LIDAR出力信号の各々が異なる波長の選択を搬送するように構成することができる。例えば、好適な波長依存型分割器分割器12の例は、アレイ導波路格子、エシェル格子、及びリング共振器ベースの装置等の分波器を含むが、これらに限定されない。従って、光源出力信号は、複数の予備チャネル(PCjのN >2)を搬送する場合、LIDAR出力信号の各々は、Ciで表される異なるチャネルを搬送することができる。ここで、iが整数値1~Mのチャネル指数である。分割器12が波長依存型分割器である場合、分割器12は、チャネルCiにおけるチャネル指数が予備チャネルPCjにおける予備チャネル指数に対応するように構成することができる。例えば、分割器12は、チャネル指数i = チャネル指数jとなるように構成することができる。その結果、予備チャネル(PCj) の各々は、前記LIDAR出力信号の異なる1つによって搬送されるチャネル(Ci)として機能する。
【0026】
図1中の複数の矢印は、それぞれがユーティリティ導波路13から離れるLIDAR出力信号を表している。説明のために、該LIDARシステムは、C1~C3と表記された3つのLIDAR出力信号(N=3)を生成することとして示されている。
【0027】
前記LIDAR出力信号の各々からの光は、該LIDARシステムから出力されるシステム出力信号に含まれ得る。該システム出力信号は、前記LIDARシステムから離れて移動し、それぞれがシステム出力信号の経路内の物体によって反射され得る。反射されたシステム出力信号からの光は、システム復帰信号として該LIDARシステムに戻り得る。
【0028】
前記LIDARチップは、複数の第1入力導波路16を含む。第1入力導波路16の各々は、前記システム復帰信号のうちの1つからの光を含む、またはそれらからなる第1 LIDAR入力信号を受信することができる。該第1 LIDAR入力信号はそれぞれ、チャネル(Ci)のうちの1つを搬送し、FLISiで表すことができ、ここで、iが前記チャネル指数である。チャネルC1を搬送する第1 LIDAR入力信号は、FLISC1と表記され、第1入力導波路16の1つで受信される。チャネルC3を搬送する第1 LIDAR入力信号は、FLISC3と表記され、第1入力導波路16の1つで受信される。
【0029】
前記第1 LIDAR入力信号の各々は、第1入力導波路16の1つに入射し、第1比較信号として機能する。第1入力導波路16の各々は、該第1比較信号のうちの1つを第1処理要素34に搬送する。
【0030】
前記LIDARチップは、複数の第2入力導波路36を含む。第2入力導波路36の各々は、前記システム復帰信号のうちの1つからの光を含む、またはそれらからなる第2 LIDAR入力信号を受信することができる。該第2 LIDAR入力信号の各々は、チャネル(Ci)のうちの1つを搬送し、SLISiで表すことができ、ここで、iが前記チャネル指数である。チャネルC1を搬送する第2 LIDAR入力信号は、SLISc1と表記され、第2入力導波路36の1つで受信される。チャネルC3を搬送する第2 LIDAR入力信号は、SLISC3と表記され、第2入力導波路36の1つで受信される。
【0031】
前記第2 LIDAR入力信号は、第2入力導波路36の1つにそれぞれ入射し、第2比較信号として機能する。第2入力導波路36の各々は、該第2比較信号のうちの1つを第2処理要素40に搬送する。
【0032】
チップ部品9は、光源導波路11からの光源出力信号の一部を中間信号として中間導波路44に移動させるように構成された分割器42を含む。分割器42は、波長非依存型分割器とすることができる。その結果、中間信号は、同一または実質的に同じ波長分布を有することができる。好適な分割器42は、エバネッセント光学結合器、Y接合、及びMMIを含むが、これらに限定されない。
【0033】
前記LIDARチップはまた、前記中間信号を受信し、該中間信号を第1中間導波路49上で受信された第1中間信号及び第2中間導波路50上で受信された第2中間信号に分割するように構成された中間分割器46を含む。該中間分割器46は、波長非依存型分割器であり得る。その結果、前記第1中間信号及び第2中間信号は、同一または実質的に同一の波長分布を有することができる。好適な中間分割器46は、エバネッセント光学結合器、Y接合、及びMMIを含むが、これらに限定されない。
【0034】
第1中間導波路49は、前記第1中間信号を第1チャネル分割器51に搬送する。該第1チャネル分割器51は、前記第1中間信号を、異なる第1参照導波路53でそれぞれ受信された第1参照信号に分割するように構成される。
【0035】
前記第1チャネル分割器51は、波長依存型分割器であり得る。例えば、第1チャネル分割器51は、第1参照信号の各々が異なる波長選択を搬送するように構成することができる。好適な第1チャネル分割器51は、アレイ導波路格子、エシェル格子、及びリング共振器ベースの装置等の分波器を含むが、これらに限定されない。その結果、第1参照信号の各々は、前記予備チャネル(PCj)のうちの異なる1つを搬送することができ、従って、チャネル(Ci)のうちの異なる1つを搬送することができる。例えば、前記第1参照信号は、FRiで表すことができ、ここで、iがチャネルCiからのチャネル指数を表す。従って、同一のチャネル指数を有するFRiで表される第1参照信号及びチャネル(Ci)は、同一のチャネルを搬送する。一例として、FR1と表記された第1参照導波路53は、チャネルC1として機能する予備チャネルPC1を搬送する第1参照信号を導波する。別の例として、FR3と表記された第1参照導波路53は、チャネルC3として機能する予備チャネルPC3を搬送する第1参照信号を導波する。
【0036】
第1参照導波路53の各々は、前記第1参照信号のうちの1つを処理要素34のうちの1つに導波する。第1参照導波路53及び第1入力導波路16は、各処理要素34が同じチャネルを搬送する第1参照信号及び第1 LIDAR入力信号を受信するように配置される。前記LIDARシステムは、処理要素34で受信された第1参照信号及び第1 LIDAR入力信号を用いて、LIDARデータを生成するように構成される。
【0037】
第2中間導波路50は、前記第2中間信号を第2チャネル分割器52に搬送する。該第2チャネル分割器52は、前記第2中間信号を、異なる第2参照導波路54でそれぞれ受信された第2参照信号に分割するように構成される。前記第2チャネル分割器52は、波長依存型分割器であり得る。例えば、第2チャネル分割器52は、第2参照信号の各々が異なる波長選択を搬送するように構成することができる。好適な第2チャネル分割器52は、アレイ導波路格子、エシェル格子、及びリング共振器ベースの装置等の分波器を含むが、これらに限定されない。従って、前記第2参照信号の各々は、前記予備チャネル(PCj)のうちの異なる1つを搬送することができ、従って、チャネル(Ci)のうちの異なる1つを搬送することができる。例えば、前記第2参照信号は、SRiで表すことができ、ここで、iがチャネルCiからのチャネル指数を表す。従って、同一のチャネル指数を有するSRiで表される第2参照信号及びチャネル(Ci)は、同一のチャネルを搬送する。一例として、SR1と表記された第2参照導波路54は、チャネルC1として機能する予備チャネルPC1を搬送する第2参照信号を導波する。別の例として、SR3と表記された第2参照導波路54は、チャネルC3として機能する予備チャネルPC3を搬送する第2参照信号を導波する。
【0038】
第2参照導波路54の各々は、前記第2参照信号のうちの1つを第2処理要素40のうちの1つに導波する。第2参照導波路54及び第2入力導波路36は、各第2処理要素40が前記予備チャネル、従って同一チャネルを搬送する第2参照信号及び第2 LIDAR入力信号を受信するように配置される。前記LIDARシステムは、第2処理要素40で受信された第2参照信号及び第2 LIDAR入力信号を用いて、LIDARデータを生成するように構成される。
【0039】
前記LIDARチップは、光源10の動作を制御するための制御分岐55を含むことができる。該制御分岐55は、光源出力信号の一部を光源導波路11から制御導波路58の上に移動させる方向性結合器56を含む。光源出力信号の結合部分は、タップ信号として機能する。図1は、光源出力信号の一部を制御導波路58の上に移動させる方向性結合器56を示しているが、他の信号タップ構成要素を使用して、光源出力信号の一部をユーティリティ導波路12から制御導波路58の上に移動させることができる。好適な信号タップ構成要素の例には、Y接合及びMMIが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
制御導波路58は、タップ信号を制御要素60に搬送する。該制御要素60は、電子機器62と電気通信することができる。動作中、電子機器62は、前記制御要素からの出力に応じて光源出力信号の周波数を調整することができる。制御要素を構築する好適な一例は、2018年5月11日に出願された米国特許出願シリアル番号15/977,957に記載され、その全体として本明細書に組み込まれる。
【0041】
好適な電子機器62は、アナログ電気回路、デジタル電気回路、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コンピュータ、マイクロコンピュータ、または上記の動作、監視及び制御機能を実行するのに適した組み合わせを含むか、またはそれらから構成される制御器を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、前記制御器は、動作中に制御器によって実行される命令、制御及び監視機能を含むメモリへアクセスする。前記電子機器は、単一の位置における単一の構成要素として図示されているが、該電子機器は、互いに独立し、かつ/または異なる場所に配置された複数の異なる構成要素を含むことができる。また、上記のように、開示された電子機器の全部または一部を前記チップ上に含むことができる。これは、該チップと一体化された電子機器を含む。
【0042】
光源10は、前記LIDARチップ上に配置されているとして示されているが、光源10の全部または一部を前記LIDARチップから外れて配置することができる。
【0043】
光源出力信号が複数の異なる予備チャネル(PCj)を搬送するLIDARシステムの文脈で開示される。しかし、図1のLIDARシステムは、PC1で表され得る単一の予備チャネルを搬送する光源出力信号で動作するように構成することができる。例えば、図1のLIDARチップは、分割器12、第1チャネル分割器51、及び第2チャネル分割器52が、それぞれ、光学結合器、Y接合、MMI、カスケード式エバネッセント光学結合器、またはカスケード式Y接合等の波長非依存型分割器であるように構成することができる。その結果、前記LIDAR出力信号は、それぞれ、同一またはほぼ同一の波長分布を有することができ、前記第1 LIDAR入力信号は、それぞれ、同一またはほぼ同一の波長分布を有し、また、第2 LIDAR入力信号は、それぞれ、同一またはほぼ同一の波長分布を有する。その結果、予備チャネルPCiは、異なるチャネルCiの各々として機能する。従って、チャネルCiの各々は、同一の波長に関連付けられる。
【0044】
図2は、PCiで表され得る単一の予備チャネルを搬送する光源出力信号で動作するように構成されたLIDARチップの一例を示す。分割器12は、エバネッセント光学結合器、Y接合、MMI、カスケード式エバネッセント光学結合器、またはカスケード式Y接合等の波長非依存型分割器である。波長非依存型分割器は、前記(Ciと表記される)LIDAR出力信号に、互いと同一またはほぼ同一の波長分布を提供することができ、また、PC1で表され得る予備チャネルと同一またはほぼ同一の波長分布も提供することもできる。その結果、予備チャネルPC1は、前記(Ciと表記される)LIDAR出力信号との異なるチャネルCiの各々として機能することができる。従って、チャネルCiの各々を同一の波長に関連付けることができる。
【0045】
図2において、中間分割器46は、図1の中間分割器46、第1チャネル分割器51、及び第2チャネル分割器52に置き換えられている。この例では、中間分割器46は、中間導波路44から中間信号を受信し、該中間信号をFRiで表される第1参照信号及びSRiで表される第2参照信号に分割するように構成されている。中間分割器46は、光学結合器、Y接合、MMI、カスケード式エバネッセント光学結合器、またはカスケード式Y接合等の波長非依存型分割器である。波長非依存型分割器は、第1参照信号(FRi)及び第2参照信号(SRi)に、互いと同一またはほぼ同一の波長分布を提供することができ、また、前記中間信号と同一またはほぼ同一の波長分布を提供することもできる。前記中間信号は、PC1で表される予備チャネルを搬送する光源出力信号のサンプルであるため、該予備チャネルPC1は、第1参照信号(FRi)及び第2参照信号(SRi)によって搬送されるチャネルとして機能することができる。従って、第1参照信号(FRi)及び第2参照信号(SRi)によって搬送されるチャネルの各々は、同一の波長に関連付けることができる。
【0046】
前記LIDARチップは、LIDARアダプタと組み合わせて使用することができる。いくつかの例では、前記LIDARアダプタは、該LIDARチップと1つ以上の反射物体との間に、かつ/またはLIDAR出力信号がLIDARチップから視野まで移動する光路がLIDARアダプタを通過する視野に光学的に配置することができる。また、前記LIDARアダプタは、LIDAR出力信号、第1 LIDAR入力信号、及び第2 LIDAR入力信号が、該LIDARアダプタと反射物体との間の異なる光路上で移動するように構成することができる。
【0047】
図1及び図2のLIDARチップに適用したLIDARアダプタの一例を図3A及び図3Bに示す。チャネルC2を搬送する光信号の経路が図3A及び図3Bに示されている。図3Aに示される経路は、LIDARチップから前記アダプタを通って移動するチャネルC2を搬送するLIDAR出力信号からの光を、システム出力信号としてLIDARシステムから出射するまで追跡する。対照的に、図3Bに示される経路は、前記アダプタを通って移動するチャネルC2を搬送するシステム復帰信号からの光を、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号において前記LIDARチップに入射するまで追跡する。
【0048】
LIDARアダプタ98は、基部100上に配置された複数のアダプタ要素99を含む。アダプタ要素99は、前記LIDARチップからチャネルC2を搬送するLIDAR出力信号を受信し、循環器入力信号を出力するように配置されたプレ循環器要素102を含む。以下でより詳細に説明されるように、アダプタ要素99は、循環器104を含むことができ、プレ循環器要素102は、互いに異なる非平行な方向に移動し、循環器に入射する複数の循環器入力信号を出力するように構成することができる。更にまたは代替的に、プレ循環器要素102は、前記循環器入力信号が所望の位置で集束または視準されるように構成することができる。例えば、プレ循環器要素102は、循環器104上の所望の位置で前記循環器入力信号を集束または視準するように構成することができる。図示されたプレ循環器要素102は、レンズである。
【0049】
循環器104は、循環器入力信号を受信する第1偏光ビーム分割器106を含むことができる。第1偏光ビーム分割器106は、前記循環器入力信号を、第1偏光状態の光信号及び第2偏光状態の光信号に分割するように構成される。前記第1偏光状態及び第2偏光状態は、直線的な偏光状態であり得、前記第2偏光状態は、前記第1偏光状態とは異なる。例えば、前記第1偏光状態はTEであり得、前記第2偏光状態はTMであり得、あるいは、前記第1偏光状態はTMであり得、前記第2偏光状態はTEであり得る。
【0050】
光源10は、光源出力信号のソースとして1つ以上のレーザを含むことが多いため、光源出力信号を直線的に偏光させることができる。前記光源出力信号は、循環器入力信号のソースであるため、第1偏光ビーム分割器106によって受信される循環器入力信号も直線的に偏光させることができる。図3A及び図3Bにおいて、第1偏光状態の光信号は、縦の双方向の矢印で表記され、第2偏光状態の光信号は、黒い丸で表記されている。以下の説明のために、前記循環器入力信号は、第1偏光状態にあるものと仮定するが、第2偏光状態の循環器入力信号もあり得る。前記循環器入力信号は、第1偏光状態にあるものと仮定するため、該循環器入力信号は、縦の矢印で表記される。
【0051】
前記循環器入力信号は、第1偏光状態にあるものと仮定するため、第1偏光ビーム分割器106は、第1偏光状態の第1偏光状態信号を出力することが示されている。しかし、第1偏光ビーム分割器106は、第2偏光状態の循環器入力信号の実質量が少ないため、第2偏光状態の光信号を出力することは示されていない。
【0052】
循環器104は、第1偏光状態信号を受信する第2偏光ビーム分割器108を含むことができる。第2偏光ビーム分割器108は、第1偏光状態信号を、第1偏光信号及び第2偏光信号に分割し、ここで、該第1偏光信号が、第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有しないか、または実質的に有していなく、また、該第2偏光信号が、第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有しないか、または実質的に有していない。第2偏光ビーム分割器108によって受信される第1偏光状態信号は、第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有しないか、または実質的に有していないため、第2偏光ビーム分割器108は、第1偏光信号を出力するが、第2偏光信号を実質的に出力しない。第1偏光ビーム分割器106及び第2偏光ビーム分割器108は、循環器入力信号からの偏光状態のうちの1つをフィルタリングする複合効果を有することができる。
【0053】
循環器104は、第1偏光信号を受信し、第1回転信号を出力する非相反偏光回転子110を含むことができる。いくつかの例では、非相反偏光回転子110は、第1偏光信号の偏光状態をn * 90°+ 45°回転させるように構成され、ここで、nが0または偶数の整数である。その結果、第1回転信号の偏光状態は、第1偏光信号の偏光状態から45°回転される。好適な非相反偏光回転子110は、ファラデー回転子等の非相反偏光回転子を含むが、これに限定されない。
【0054】
循環器104は、前記第1回転信号を受信し、第2回転信号を出力する45°偏光回転子112を含むことができる。いくつかの例では、45°偏光回転子112は、前記第1回転信号の偏光状態をm * 90°+ 45°回転させるように構成され、ここで、m が0または偶数の整数である。その結果、前記第2回転信号の偏光状態は、前記第1回転信号の偏光状態から45°回転される。非相反偏光回転子110及び45°偏光回転子112が提供する偏光状態回転の複合効果として、前記第2回転信号の偏光状態は、前記第1偏光信号の偏光状態に対して90°回転される。従って、図示の例では、該第2回転信号は、第2偏光状態を有する。好適な45°偏光回転子112は、半波長板等の相反偏光回転子を含むが、これに限定されない。
【0055】
循環器104は、45°偏光回転子112から第2回転信号を受信する第3偏光ビーム分割器114を含むことができる。第3偏光ビーム分割器114は、前記第2回転信号を第1偏光状態の光信号及び第2偏光状態信号の光信号に分割するように構成される。前記第2回転信号が第2偏光状態にあるため、第3偏光ビーム分割器108は、第2回転信号を出力するが、第1偏光状態の信号を実質的に出力しない。
【0056】
図3Aから明らかなように、第1偏光ビーム分割器106、第2偏光ビーム分割器108、非相反偏光回転子110、及び45°偏光回転子112を1つの構成要素集合体116に含めることができる。構成要素集合体116は、一体化したブロックとして構築することができ、ブロック内でその構成要素を一緒に結合することができる。いくつかの例では、構成要素集合体116は、立方体、直方体、正方形の直方体、または矩形の直方体の幾何学的形状を有する。
【0057】
循環器104は、第2構成要素集合体118を含むことができる。いくつかの例では、第2構成要素集合体118は、構成要素集合体116と同じ構成を有する。その結果、構成要素集合体116は、第2構成要素集合体118としても機能することができる。第2構成要素集合体118は、第3偏光ビーム分割器108から第2回転信号を受信することができる。特に、第2構成要素集合体118内の45°偏光回転子112は、第3偏光ビーム分割器108から第2回転信号を受信し、第3回転信号を出力することができる。いくつかの例では、45°偏光回転子112は、第2回転信号の偏光状態をm * 90°+ 45°回転させるように構成され、ここで、mが0または偶数の整数である。その結果、第3回転信号の偏光状態は、第2回転信号の偏光状態から45°回転される。好適な45°偏光回転子112は、半波長板等の相反偏光回転子を含むが、これに限定されない。
【0058】
第2構成要素集合体118は、第3回転信号を受信し、第4回転信号を出力する非相反偏光回転子110を含むことができる。いくつかの例では、非相反偏光回転子110は、第3偏光信号の偏光状態をn * 90°+ 45°回転させるように構成され、ここで、nが0または偶数の整数である。その結果、第4回転信号の偏光状態は、第3偏光信号の偏光状態から45°回転される。好適な非相反偏光回転子110は、ファラデー回転子等の非相反偏光回転子を含むが、これに限定されない。
【0059】
第2構成要素集合体118内の非相反偏光回転子110及び45°偏光回転子112が提供する偏光状態回転の複合効果として、前記第4回転信号の偏光状態は、前記第2偏光信号の偏光状態に対して90°回転される。従って、図示の例では、該第4回転信号は、第1偏光状態を有する。
【0060】
第1構成要素集合体116における非相反偏光回転子110及び第2構成要素集合体118における非相反偏光回転子110は、それぞれファラデー回転子である。アダプタ要素99は、所望の機能を備えたファラデー回転子を提供する磁場を提供するように配置された磁石120を含むことができる。
【0061】
第2構成要素集合体118は、第4回転信号を受信し、第5回転信号を出力する90°偏光回転子122を含むことができる。いくつかの例では、90°偏光回転子122は、第1回転信号の偏光状態をn * 90°+ 90°回転させるように構成され、ここで、nが0または偶数の整数である。その結果、前記第5回転信号の偏光状態は、前記第4回転信号の偏光状態から90°回転される。非相反偏光回転子110、45°偏光回転子112、及び90°偏光回転子122が提供する偏光状態回転の複合効果として、前記第5回転信号の偏光状態は、前記第2回転信号の偏光状態に対して0°回転される。従って、図示の例では、該第5回転信号は、第2偏光状態を有する。好適な90°偏光回転子122は、半波長板等の相反偏光回転子を含むが、これに限定されない。
【0062】
第2構成要素集合体118が構成要素集合体116と同じ構成を有する場合、90°偏光回転子122も構成要素集合体116の中に存在してもよい。
【0063】
構成要素集合体116内の第1偏光ビーム分割器106は、第5回転信号を受信する。第1偏光ビーム分割器106は、受信した光信号を、第1偏光状態の光信号及び第2偏光状態の光信号に分割するように構成される。第5回転信号は、第2偏光状態にあり、かつ第1偏光状態の構成要素を有さず、または実質的に有さないため、第1偏光ビーム分割器106は、第2偏光状態の出射循環器信号を出力する。図3Aに示されるように、該出射循環器信号は、循環器から出射する。
【0064】
アダプタ要素99は、前記出射循環器信号を受信するように配置されたビーム成形器124を含む。いくつかの例では、ビーム成形器124は、前記出射循環器信号の幅を拡大するように構成される。好適なビーム成形器124は、凹レンズ、凸レンズ、ピアノ凹レンズ、及びピアノ凸レンズを含むが、これらに限定されない。
【0065】
アダプタ要素99は、整形された出射循環器信号を受信し、視準された出射循環器信号を出力する照準器126を含む。好適な照準器126は、凸レンズ及びGRINレンズを含むが、これらに限定されない。
【0066】
図3AのLIDARシステムは、照準器126から視準された出射循環器信号を受信し、チャネルC2を搬送するシステム出力信号を出力する1つ以上のビーム操縦要素128を任意に含むことができる。チャネルC2を搬送するシステム出力信号がLIDARシステムから離れて移動する方向は、図3Aにおいてd2と表記されている。前記電子機器は、1つ以上のビーム操縦要素128を操作して、それによって、システム出力信号を異なるサンプル領域129に操縦することができる。前記サンプル領域は、LIDARシステムから離れて、LIDARシステムが信頼できるLIDARデータを提供するように構成される最大距離まで伸展することができる。前記サンプル領域は、互いに縫合され、視野を画定することができる。例えば、LIDARシステムの視野は、サンプル領域の組み合わせによって占有される空間を含むか、またはそれから構成される。
【0067】
好適なビーム操縦要素128は、可動ミラー、MEMSミラー、光学位相配列(OPA)、光学格子、及び作動光学格子を含むが、これらに限定されない。
【0068】
図3Bは、チャネルC2を搬送するシステム復帰信号からの光が図3Aのアダプタを通って移動し、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号においてLIDARチップに入射するまでの経路を示す。
【0069】
前記システム復帰信号は、1つ以上のビーム操縦要素128によって受信される。該1つ以上のビーム操縦要素128は、ビーム成形器124に向けられた、操縦された復帰信号を出力する。ビーム成形器124が前記出射循環器信号の幅を拡大するように構成される場合、該ビーム成形器124は、前記操縦された復帰信号の幅を縮小する。
【0070】
ビーム成形器124は、発振器が受信した循環器復帰信号を出力する。特に、前記循環器復帰信号は、第2構成要素集合体118内の第1偏光ビーム分割器106によって受信される。上記のように、1つ以上のレーザを使用する可能な結果は、前記システム出力信号が直線的に偏光される光源10である。例えば、前記システム出力信号によって搬送される光は、全てまたは実質的に全て、第1偏光状態または第2偏光状態である。物体による前記システム出力信号の反射は、該システム出力信号内の光の全部または一部の偏光状態を変化させ得る。従って、前記システム復帰信号は、異なる直線的な偏光状態の光を含むことができる。例えば、前記システム復帰信号は、第1偏光状態の光からの第1寄与及び第2偏光状態の光からの第2寄与を有することができる。第1偏光ビーム分割器106は、該第1寄与と第2寄与とを分離するように構成することができる。例えば、第1偏光ビーム分割器106は、第1偏光状態の光を搬送する第1分離信号128及び第2偏光状態の光を搬送する第2分離信号130を出力するように構成することができる。
【0071】
第2構成要素集合体118内の第2偏光ビーム分割器108は、前記第1分離信号を受信し、該第1分離信号を反射する。第2構成要素集合体118内の非相反偏光回転子110は、前記第1分離信号を受信し、第1 FPSS信号を出力する。該FPSSは、第1偏光状態源を表し、物体によって反射された後の第1偏光状態にあった光が前記第1 FPSS信号のための光源であったことを示す。
【0072】
前記第1分離信号は、非相反偏光回転子110を通って前記第3回転信号とは逆方向に移動する。その結果、非相反偏光回転子110は、該第1分離信号の偏光状態を-n * 90°- 45°回転させるように構成される。従って、前記第1 FPSS信号の偏光状態は、前記第1分離信号の偏光状態から-45°回転される。
【0073】
第2要素構成集合体118内の45°偏光回転子112は、前記第1 FPSS信号を受信し、第2 FPSS信号を出力する。45°偏光回転子112が相反偏光回転子であるため、45°偏光回転子112は、前記第1 FPSS信号の偏光状態をm * 90°+ 45°回転させるように構成され、ここで、mが0または偶数の整数である。その結果、前記第2 FPSS信号の偏光状態は、前記第1 FPSS信号の偏光状態から45°回転される。第2構成要素集合体118内の非相反偏光回転子110及び45°偏光回転子112が提供する偏光状態回転の複合効果として、前記第2 FPSS信号は、前記第1分離信号の偏光状態から0°回転されている。その結果、該第2 FPSS信号は、第1偏光状態を有する。
【0074】
前記第2 FPSS信号は、第3偏光ビーム分割器114で受信される。第3偏光ビーム分割器114は、該第2 FPSS信号を反射し、該第2 FPSS信号は、循環器104を出射する。循環器104を出射した後、該第2 FPSS信号は、その進行方向を変更するように構成された第1ビーム操縦要素132で受信される。好適な第1ビーム操縦要素132は、ミラー及び直角プリズム反射鏡を含むが、これらに限定されない。
【0075】
前記第2 FPSS信号は、第1ビーム操縦要素132から第2レンズ134まで移動する。第2レンズ134は、FLIS2で表される第1 LIDAR入力信号を出力するように構成される。また、第2レンズ134は、前記第1 LIDAR入力信号(FLIS2)を所望の位置に集束または視準するように構成される。例えば、第2レンズ134は、前記第1 LIDAR入力信号(FLIS2)を1つの第1入力導波路16の上の出射ポートに集束するように構成することができる。例えば、図3Aに示されるように、第2レンズ134は、前記第1 LIDAR入力信号(FLIS2)を1つの第1入力導波路16のファセットに集束するように構成することができる。
【0076】
図1A及び図1Bに関連して説明されるように、前記第1 LIDAR入力信号(FLIS2)は、1つの第1入力導波路16に入射し、第1処理要素34のうちの1つに誘導される第1比較信号として機能する。
【0077】
第2構成要素集合体118内の90°偏光回転子122は、前記第2分離信号130を受信し、第1 SPSS信号を出力する。該SPSSは、第2偏光状態源を表し、物体によって反射された後の第2偏光状態にあった光が前記第1 SPSS信号のための光源であったことを示す。90°偏光回転子122が相反偏光回転子であるため、90°偏光回転子122は、前記第2分離信号130の偏光状態をn * 90°+ 90°回転させるように構成され、ここで、nが0または偶数の整数である。その結果、前記第1 SPSS信号の偏光状態は、前記第2分離信号130の偏光状態から90°回転される。従って、図示の例では、前記第1 SPSS信号は、第1偏光状態を有する。
【0078】
第2構成要素集合体118内の非相反偏光回転子110は、前記第1 SPSS信号を受信し、第2 SPSS信号を出力する。該第1 SPSS信号は、非相反偏光回転子110を通って前記第3回転信号とは逆方向に移動する。その結果、非相反偏光回転子110は、該第1 SPSS信号の偏光状態を-n * 90°- 45°回転させるように構成される。従って、前記第2 SPSS信号の偏光状態は、前記第1 SPSS信号の偏光状態から-45°回転される。
【0079】
第2構成要素集合体118内の45°偏光回転子112は、前記第2 SPSS信号を受信し、第3 FPSS信号を出力する。45°偏光回転子112が相反偏光回転子であるため、45°偏光回転子112は、該第2 SPSS信号の偏光状態をm * 90°+ 45°回転させるように構成され、ここで、mが0または偶数の整数である。その結果、前記第3 SPSS信号の偏光状態は、第2 FPSS信号の偏光状態から45°回転される。第2構成要素集合体118内の非相反偏光回転子110及び45°偏光回転子112が提供する偏光状態回転の複合効果として、前記第3 SPSS信号は、第1 SPSS信号の偏光状態から0°回転されている。また、第2構成要素集合体118内の非相反偏光回転子110、45°偏光回転子112、及び90°偏光回転子122が提供する偏光状態回転の複合効果として、前記第3 SPSS信号が、前記第2分離信号130の偏光状態から90°回転されている。従って、図示の例では、前記第3 SPSS信号は、第1偏光状態で示されている。
【0080】
前記第3 SPSS信号は、第3偏光ビーム分割器114で受信される。第3偏光ビーム分割器114は、該第3 SPSS信号を反射し、それにより、第3 SPSS信号は、循環器104を出射する。循環器104を出射した後、該第3 SPSS信号は、その進行方向を変更するように構成された第2ビーム操縦要素136で受信される。好適な第2ビーム操縦要素136は、ミラー及び直角プリズム反射鏡を含むが、これらに限定されない。
【0081】
第3 SPSS信号は、第1ビーム操縦要素132から第3レンズ138まで移動する。第3レンズ138は、SLIS2で表される第2 LIDAR入力信号を出力するように構成される。また、第3レンズ138は、前記第2 LIDAR入力信号(SLIS2)を所望の位置に集束または視準するように構成される。例えば、第3レンズ138は、前記第2 LIDAR入力信号(SLIS2)を1つの第2入力導波路36の上の出射ポートに集束するように構成することができる。例えば、図3Aに示されるように、第3レンズ138は、前記第2 LIDAR入力信号(SLIS2)を1つの第2入力導波路36のファセットに集束するように構成することができる。
【0082】
図1A及び図1Bに関連して説明されるように、前記第2 LIDAR入力信号(SLIS 2)は、1つの第2入力導波路36に入射し、第2処理要素40のうちの1つに誘導される第2比較信号として機能する。
【0083】
図3Cは、チャネルC3を搬送するLIDAR出力信号からの光がLIDARシステムを通って移動する経路を示す。プレ循環器要素102は、異なるLIDAR出力信号からの光が循環器を通って異なる経路で移動するように構成することができる。例えば、プレ循環器要素102は、異なる循環器入力信号からの光が循環器を通って非平行な経路で移動するように構成することができる。いくつかの例では、プレ循環器要素102は、異なる循環器入力信号が循環器104の第1ポートに異なる方向で入射するように構成される。例えば、図示されたプレ循環器要素102は、LIDAR出力信号を受信するレンズである。異なるLIDAR出力信号のレンズへの入射角は、異なっていてもよい。例えば、図3Cにおいて、チャネルC3を搬送するLIDAR出力信号の第1レンズ102への入射角が、チャネルC2を搬送するLIDAR出力信号のそれと異なっている。その結果、チャネルC3を搬送する循環器入力信号とチャネルC2を搬送する循環器入力信号とが、レンズから離れて異なる方向に移動する。異なる循環器入力信号がプレ循環器要素102から離れて異なる方向に移動するため、LIDAR出力信号は、異なる方向に移動する循環器104の第1ポート140に入射する。
【0084】
異なる循環器入力信号は、異なる方向に移動する循環器104に入射するが、異なる循環器入力信号からの光は、同一の順序で同一の循環器要素の選択によって処理される。例えば、異なる循環器入力信号からの光は、図3A及び図3Bの文脈において開示された順序で構成要素を通って移動する。その結果、異なる循環器入力信号からの光は、第2ポート142において循環器から出射する。例えば、循環器を通ってチャネルC3を搬送する循環器入力信号からの光の経路は、第2ポート142において循環器から出射する出射循環器信号を示す。また、チャネルC3を搬送する循環器復帰信号からの光は、第2ポート142において循環器に入射する。同様に、図3A及び図3Bに関連して説明されるように、チャネルC2を搬送する循環器入力信号からの光は、第2ポート142において循環器に入射し、そこから出射する。
【0085】
図3A図3Bとの比較は、出射循環器信号が異なる方向から第2ポート142に接近し、異なる方向に循環器から離れて移動することを示す。この出射循環器信号の方向の違いにより、循環器入力信号が、異なる方向から循環器に入射し得る。
【0086】
図3Cは、チャネルC3を搬送する出射循環器信号からの光が、チャネルC3を搬送するシステム出力信号としてLIDARシステムから出射することを示す。図3Cにおいて、チャネルC3を搬送するシステム出力信号がLIDARシステムから離れて移動する方向は、d3と表記されている。図3Cは、図3Aからの表記d2も含む。該表記d2は、チャネルC2を搬送するシステム出力信号がLIDARシステムから離れて移動する方向を示す。表記d2及び表記d3の比較は、チャネルC2及びチャネルC3を搬送するシステム出力信号がLIDARシステムから離れて異なる方向に移動することを示す。その結果、異なるシステム出力信号は、異なるサンプル領域を同時に照射することができる。LIDARデータは、LIDARシステムによって同時に照射される異なるサンプル領域の各々について生成することができる。
【0087】
チャネルC2を搬送するシステム復帰信号は、d2と表記された矢印の逆方向、または実質的にd2と表記された矢印の逆方向にLIDARシステムに復帰する。また、チャネルC3を搬送するシステム復帰信号は、d3と表記された矢印の逆方向、または実質的にd3と表記された矢印の逆方向にLIDARシステムに復帰する。その結果、異なるシステム復帰信号は、異なる方向からLIDARシステムに復帰する。異なるシステム復帰信号からの光は、図3A及び図3Bの文脈において開示された同じ順序でLIDARシステムの連続した構成要素を通って移動する。
【0088】
循環器復帰信号の各々は、前記システム復帰信号のうちの異なる1つからの光を搬送する。前記循環器復帰信号は、異なる方向に移動する第2ポート142にそれぞれ入射する。従って、前記循環器復帰信号からの光は、循環器を通って異なる経路でそれぞれ移動することができる。
【0089】
物体で反射された後に第1偏光状態にあった異なる循環器復帰信号中の光(第1偏光状態源、FPSS)は、第3ポート144において循環器104から出射する。例えば、図3Cは、第3ポート144において循環器から出射する第2 FPSS信号(チャネルC3を搬送するシステム復帰信号からの光を含む)を示す。同様に、図3A及び図3Bに関連して説明されるように、チャネルC2を搬送するシステム復帰信号からの光を含む第2 FPSS信号も、第3ポート144において循環器から出射する。
【0090】
異なる第2 FPSS信号は、循環器から離れて異なる方向に移動する。その結果、LIDARチップ上の異なる第1入力導波路16は、異なる第2 FPSS信号を受信するように配置される。例えば、チャネルC3を搬送する第2 FPSS信号からの光は、FLIS3と表記された第1 LIDAR入力信号に含まれ、チャネルC2を搬送する第2 FPSS信号からの光は、FLIS2と表記された第1 LIDAR入力信号に含まれる。FLIS3と表記された第1 LIDAR入力信号及びFLIS2と表記された第1 LIDAR入力信号は、異なる第1入力導波路16で受信される。循環器から離れて異なる方向に移動する異なる第2 FPSS信号は、循環器入力信号が異なる方向から循環器に入射する結果であり得る。従って、LIDARシステムは、循環器入力信号が、第2 FPSS信号を循環器から離れて異なる非平行な方向に移動させる方向に移動する循環器に入射するように構成することができる。
【0091】
物体で反射された後に第2偏光状態にあった循環器復帰信号中の光(第1偏光状態源、FPSS)は、第4ポート146において循環器104から出射する。例えば、図3Cは、第4ポート146において循環器をから出射する第3 SPSS信号(チャネルC3を搬送するシステム復帰信号からの光を含む)を示す。同様に、図3A及び図3Bに関連して説明されるように、チャネルC2を搬送するシステム復帰信号からの光を含む第3 SPSS信号も、第4ポート146において循環器から出射する。
【0092】
異なる第3 SPSS信号は、循環器から離れて異なる方向に移動する。その結果、異なる第3 SPSS信号からの光は、LIDARチップ上の異なる第2入力導波路36で受信される。例えば、チャネルC3を搬送する第3 SPSS信号からの光がSLIS3と表記された第2 LIDAR入力信号に含まれ、チャネルC2を搬送する第3 SPSS信号からの光がSLIS2と表記された第2 LIDAR入力信号に含まれる。SLIS3と表記された第2 LIDAR入力信号及びSLIS2と表記された第2 LIDAR入力信号は、異なる第1入力導波路16で受信される。循環器から離れて異なる方向に移動する異なる第3 SPSS信号は、循環器入力信号が異なる方向から循環器に入射する結果であり得る。従って、LIDARシステムは、循環器入力信号が、第3 SPSS信号を循環器から離れて異なる非平行な方向に移動させる方向に移動する循環器に入射するように構成することができる。
【0093】
第2 LIDAR入力信号(SLISi)の各々は、第2入力導波路36のうちの1つに入射し、第2処理要素40のうちの1つに誘導される第2比較信号として機能する。第2 LIDAR入力信号の各々が物体によって反射された後に第2偏光状態にあった光(第2偏光状態源、SPSS)を搬送するため、第2処理要素40から生成されたデータは、該物体が第2偏光状態で反射した光からのLIDARデータである。対照的に、第1 LIDAR入力信号(FLISi)の各々は、第1入力導波路16のうちの1つに入射し、第1処理要素34のうちの1つに誘導される第1比較信号として機能する。第1 LIDAR入力信号の各々が物体によって反射された後に第1偏光状態にあった光(第1偏光状態源、FPSS)を搬送するため、第1処理要素34から生成されたデータは、該物体が第1偏光状態で反射した光からLIDARデータである。
【0094】
第2 FPSS信号及び第3 SPSS信号は、循環器出力信号として機能することができる。該循環器出力信号は、第1循環器出力信号及び第2循環器出力信号を含むことができる。第2 FPSS信号の各々は、第1循環器出力信号の1つとして機能することができる。その結果、第1循環器出力信号の各々は、LIDARシステムの外の物体によって反射されたときに第1偏光状態にあった光(FPSS)を含むか、主に含むか、本質的に構成されるか、及び/または構成されることができる。第3 SPSS信号の各々は、第2循環器出力信号の1つとして機能することができる。その結果、第2循環器出力信号の各々は、LIDARシステムの外の物体によって反射されたときに第1偏光状態にあった光(SPSS) を含むか、主に含むか、本質的に構成されるか、及び/または構成されることができる。
【0095】
図3A図3Cとの比較は、循環器入力信号の各々からの光が、第1ポート140から第2ポート142に移動するときに循環器要素の同じ選択(第1選択)によって動作されることを示す。例えば、循環器入力信号の各々からの光は、第1偏光ビーム分割器106、第2偏光ビーム分割器108、非相反偏光回転子110、及び構成要素集合体116からの45°偏光回転子112によって、また、第3偏光ビーム分割器114にもよって、また、45°偏光回転子112、非相反偏光回転子110、第2偏光ビーム分割器108、及び第2構成要素集合体118から第1偏光ビーム分割器106にもよって動作される。しかし、図3A及び図3Cは、循環器入力信号の各々からの光が、循環器を通って異なる経路で移動できることも示している。図3B図3Cとの比較は、第1循環器出力信号の各々の光が、第2ポート142から第3ポートに移動するときに循環器要素の同じ選択(第2選択)によって動作されることを示す。しかし、図3B及び図3Cは、第1循環器出力信号の各々からの光が、循環器を通って異なる経路で移動できることも示している。図3B図3Cとの比較は、第2循環器出力信号の各々の光が、第2ポート142から第3ポートに移動するときに循環器要素の同じ選択(第3選択)によって動作されることを示す。しかし、図3B及び図3Cは、第2循環器出力信号の各々からの光が、循環器を通って異なる経路で移動できることも示している。図3A図3Cから明らかなように、構成要素の第1選択、構成要素の第2選択、及び構成要素の第3選択は、異なってもよい。
【0096】
前記出射循環器信号は、前記循環器入力信号のうちの1つからの光をそれぞれ含むか、主に含むか、本質的に構成されるか、及び/または構成されることができる。また、前記循環器復帰信号は、前記循環器入力信号のうちの1つ及び出射循環器信号のうちの1つからの光をそれぞれ含むか、主に含むか、本質的に構成されるか、及び/または構成されることができる。更に、循環器出力信号は、循環器復帰信号のうちの1つ、出射循環器信号のうちの1つ、及び循環器入力信号のうちの1つからの光をそれぞれ含むか、主に含むか、本質的に構成されるか、及び/または構成されることができる。
【0097】
図3A図3Cに示される偏光ビーム分割器は、キューブ型ビーム分割器またはウォラストンプリズムの構造を有することができる。その結果、ビーム分割器として説明される構成要素は、コーティング、プレート、フィルム、またはガラス、結晶、複屈折結晶、またはプリズム等の光透過性材料150の間の界面等のビーム分割要素を表すことができる。光透過性材料150は、所望に応じて配置された1種以上のコーティングを含むことができる。光透過性材料150の好適なコーティングの例は、反射防止コーティングを含むが、これに限定されない。いくつかの例では、第1ポート140、第2ポート142、第3ポート144、及び第4ポート146からなる群から選択された1つ、2つ、3つ、または4つのポートは、循環器の表面の全部または一部である。例えば、図3A及び図3Bに示されるように、第1ポート140、第2ポート142、第3ポート144、及び第4ポート146からなる群から選択された1つ、2つ、3つ、または4つのポートは、それぞれ、光透過性材料150の表面の全部または一部であってもよい。ポートとして機能する循環器または光透過性材料150の表面は、1種以上のコーティングを含むことができる。
【0098】
いくつかの例では、構成要素集合体116の構成要素、第2構成要素集合体118、及び/または循環器104は、接着剤、エポキシまたははんだ等の1種以上の結合媒体を用いて、互いに対して固定される。いくつかの例では、構成要素集合体116の構成要素及び/または第2構成要素集合体118は、循環器104に含まれる前に、互いに対して固定される。循環器104を組み立てる前に、構成要素集合体116及びこれらの構成要素集合体の構成要素を固定することと同じ構成を有する第2構成要素集合体118を使用することで、循環器の製作を簡略化することができる。
【0099】
LIDARシステムは、構成要素集合体116及び同じ構成を有する第2構成要素集合体118を有するものとして開示されているが、構成要素集合体116と第2構成要素集合体118とは、異なる構造を有してもよい。例えば、構成要素集合体116は、LIDARシステムの動作中に使用されない90°偏光回転子122を含むことができる。その結果、構成要素集合体116は、90°偏光回転子122を除外することができる。別の例として、構成要素集合体116は、非相反偏光回転子110及び45°偏光回転子112を含むか、または構成されることができる。この例では、非相反偏光回転子110または45°偏光回転子112は、循環器入力信号をプレ循環器要素102から直接に受信することができる。その結果、構成要素集合体116は、第1偏光ビーム分割器106、第2偏光ビーム分割器108、関連の光透過性材料150、及び90°偏光回転子122を除外することができる。
【0100】
また、アダプタ要素99は、再配置することができ、かつ/または任意である。例えば、第1ビーム操縦要素132及び第2ビーム操縦要素132等のビーム操縦構成要素は、任意に選択でき、また、第2レンズ134、第3レンズ138等のビーム成形要素も任意に選択できる。別の例として、プレ循環器要素102は、任意に選択できる。例えば、LIDARシステムは、プレ循環器要素102を除外することができ、また、ユーティリティ導波路13は、異なる循環器入力信号が第1ポート140に入射し、所望の方向に移動するように配置かつ/または構成することができる。
【0101】
LIDARチップは、1つ以上の光信号の光路を制約する1つ以上の導波路を含む。LIDARアダプタは、導波路を含むことができるが、信号がLIDARアダプタ上の構成要素の間及び/またはLIDARチップ及びLIDARアダプタ上の構成要素の間で移動する光路は、空白な空間であり得る。例えば、信号は、LIDARアダプタ上の異なる構成要素の間及び/またはLIDARアダプタ及びLIDARチップ上の構成要素の間で移動するときに、LIDARチップ、LIDARアダプタ、及び/または基部102が配置された空間を通って移動することができる。その結果、アダプタ上の構成要素は、基部102に取り付けられた別個の光学部品とすることができる。
【0102】
LIDARチップ、電子機器、及びLIDARアダプタは、共通マウントの上に配置することができる。好適な共通マウントは、ガラス板、金属板、シリコン板、及びセラミック板を含むが、これらに限定されない。一例として、図4は、共通支持体160の上に、図2のLIDARチップ及び電子機器62、及び図3CのLIDARアダプタを含むLIDAR集合体の上面図である。電子機器62は、共通支持体の上に配置されているように図示されるが、電子機器の全部または一部は、該共通支持体から外れて配置することができる。LIDARチップ、電子機器、及び/またはLIDARアダプタを共通支持体の上に実装するのに適したアプローチとして、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。ビーム成形器124、照準器126、及び1つ以上の操縦要素128は、共通支持体160の上に配置されて示されているが、ビーム成形器124、照準器126、及び1つ以上の操縦要素128からなる群から選択された1つ以上の構成要素を共通支持体160から外れて配置することができる。
【0103】
図5A図5Bは、第1処理要素34及び/または第2処理要素40に適用した処理要素の一例を示す。図1に関連して説明されるように、各処理要素は、第2入力導波路36及び第2参照導波路54からまたは第1入力導波路16及び第1参照導波路から比較信号及び参照信号を受信する。図5Aの処理要素は、第1入力導波路16または第2入力導波路36に担持された比較信号を第1比較導波路204及び第2比較導波路206に分割する第1分割器200を含む。第1比較導波路204は、前記比較信号の第1部分を光結合要素211に搬送する。第2比較導波路206は、前記比較信号の第2部分を第2光結合要素212に搬送する。
【0104】
図5Aの処理要素はまた、第1参照導波路53または第2参照導波路54に担持された参照信号を第1参照導波路210及び第2参照導波路208上に分割する第2分割器202を含む。第1参照導波路210は、前記参照信号の第1部分を光結合要素211に搬送する。第2参照導波路208は、前記参照信号の第2部分を第2光結合要素212に搬送する。
【0105】
第2光結合要素212は、比較信号の第2部分と参照信号の第2部分とを第2複合信号に組み合わせる。比較信号の第2部分と参照信号の第2部分との間の周波数の差に起因して、第2複合信号は、比較信号の第2部分と参照信号の第2部分との間で拍動している。
【0106】
第2光結合要素212はまた、結果として生じる第2複合信号を第1補助検出器導波路214及び第2補助検出器導波路216に分割する。第1補助検出器導波路214は、第2複合信号の第1部分を第1補助光センサ218に搬送し、第1補助光センサ218は、第2複合信号の第1部分を第1補助電気信号に変換する。第2補助検出器導波路216は、第2複合信号の第2部分を第2補助光センサ220に搬送し、第2補助光センサ220は、第2複合信号の第2部分を第2補助電気信号に変換する。好適な光センサの例は、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)を含む。
【0107】
いくつかの例では、第2光結合要素212は、次になるように第2複合信号を分割する:第2複合信号の第1部分に含まれる比較信号の部分(即ち、比較信号の第2部分の一部)は、第2複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、比較信号の第2部分の一部)に対して180°位相シフトされるが、第2複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第2部分の一部)は、第2複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第2部分の一部)に対して位相シフトされない。あるいは、第2光結合要素212は、次になるように第2複合信号を分割する:第2複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第2部分の一部)は、第2複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第2部分の一部)に対して180°位相シフトされるが、第2複合信号の第1部分における比較信号の部分(即ち、比較信号の第2部分の一部)は、第2複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、比較信号の第2部分の一部)に対して位相シフトされない。好適な光センサの例は、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)を含む。
【0108】
第1光結合要素211は、比較信号の第1部分と参照信号の第1部分とを第1複合信号に組み合わせる。比較信号の第1部分と参照信号の第1部分との間の周波数の差に起因して、第1複合信号は、比較信号の第1部分と参照信号の第1部分との間で拍動している。
【0109】
光結合要素211はまた、第1複合信号を第1検出器導波路221及び第2検出器導波路222に分割する。第1検出器導波路221は、第1複合信号の第1部分を第1光センサ223に搬送し、第1光センサ223は、第2複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する。第2検出器導波路222は、第2複合信号の第2部分を第2補助光センサ224に搬送し、第2補助光センサ224は、第2複合信号の第2部分を第2電気信号に変換する。好適な光センサの例は、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)を含む。
【0110】
いくつかの例では、光結合要素211は、次になるように第1複合信号を分割する:該複合信号の第1部分に含まれる比較信号の部分(即ち、比較信号の第1部分の一部)は、該複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、比較信号の第1部分の一部)に対して180°位相シフトされるが、該複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第1部分の一部)は、該複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第1部分の一部)に対して位相シフトされない。あるいは、光結合要素211は、次になるように該複合信号を分割する:該複合信号の第1部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第1部分の一部)は、該複合信号の第2部分における参照信号の部分(即ち、参照信号の第1部分の一部)に対して180°位相シフトされるが、該複合信号の第1部分における比較信号の部分(即ち、比較信号の第1部分の一部)は、該複合信号の第2部分における比較信号の部分(即ち、比較信号の第1部分の一部)に対して位相シフトされない。
【0111】
第2光結合要素212は、第2複合信号の第1部分における比較信号の部分が、第2複合信号の第2部分における比較信号の部分に対して180°位相シフトされるように、第2複合信号を分割するとき、光結合要素211も、該複合信号の第1部分における比較信号の部分が、該複合信号の第2部分における比較信号の部分に対して180°位相シフトされるように、該複合信号を分割する。第2光結合要素212は、第2複合信号の第1部分における参照信号の部分が、第2複合信号の第2部分における参照信号の部分に対して180°位相シフトされるように、第2複合信号を分割するとき、光結合要素211も、該複合信号の第1部分における参照信号の部分が、該複合信号の第2部分における参照信号の部分に対して180°位相シフトされるように、該複合信号を分割する。
【0112】
第1参照導波路210及び第2参照導波路208は、参照信号の第1部分と参照信号の第2部分との間に位相シフトを提供するように構成される。例えば、第1参照導波路210及び第2参照導波路208は、参照信号の第1部分と参照信号の第2部分との間に90°の位相シフトを提供するように構成することができる。一例として、1つの参照信号部分を同相成分とし、また、他の部分を直交成分とすることができる。従って、参照信号部分の1つを正弦関数とし、また、他方の参照信号部分を余弦関数とすることができる。一例では、第1参照導波路210及び第2参照導波路208は、第1参照信号部分が余弦関数であり、第2参照信号部分が正弦関数であるように構築される。従って、第2複合信号における参照信号の部分は、第1複合信号における参照信号の部分に対して位相シフトされるが、第1複合信号における比較信号の部分は、第2複合信号における比較信号の部分に対して位相シフトされない。
【0113】
第1光センサ223と第2光センサ224とを平衡検出器として接続することができ、第1補助光センサ218と第2補助光センサ220とを平衡検出器として接続することもできる。例えば、図5Bは、電子機器、第1光センサ223、第2光センサ224、第1補助光センサ218、及び第2補助光センサ220の間の関係の概要を示す。フォトダイオードの記号は、第1光センサ223、第2光センサ224、第1補助光センサ218、及び第2補助光センサ220を表すために用いられるが、これらのセンサのうちの1つ以上は、他の構成を有することができる。いくつかの例では、図5Bの概略図に示される全ての構成要素がLIDARチップ上に含まれる。いくつかの例では、図5Bの概略図に示される構成要素は、LIDARチップと該LIDARチップから外れた電子機器との間に分配される。
【0114】
前記電子機器は、第1光センサ223と第2光センサ224とを第1平衡検出器225として接続し、第1補助光センサ218及び第2補助光センサ220を第2平衡検出器226として接続する。特に、第1光センサ223と第2光センサ224とは直列に接続される。また、第1補助光センサ218と第2補助光センサ220とは直列に接続される。第1平衡検出器における直列の接続は、第1平衡検出器からの出力を第1データ信号として搬送する第1データ線228と通信する。第2平衡検出器における直列の接続は、第2平衡検出器からの出力を第2データ信号として搬送する第2データ線232と通信する。第1データ信号は、第1複合信号の電気的表現であり、第2データ信号は、第2複合信号の電気的表現である。従って、第1データ信号は、第1波形及び第2波形からの寄与を含み、第2データ信号は、第1波形及び第2波形の複合である。第1データ信号における第1波形の部分は、第1データ信号における第1波形の部分に対して位相シフトされるが、第1データ信号における第2波形の部分は、第1データ信号における第2波形の部分に対して同相である。例えば、第2データ信号は、第1データ信号に含まれる参照信号の異なる部分に対して位相シフトされた参照信号の部分を含む。また、第2データ信号は、第1データ信号に含まれる比較信号の異なる部分と同相の比較信号の部分を含む。比較信号と参照信号との間の拍動、即ち、第1複合信号及び第2複合信号における拍動の結果として、第1データ信号及び第2データ信号は、拍動している。
【0115】
電子機器62は、第1データ信号及び第2データ信号について数学的変換を実行するように構成された変換機構238を含む。例えば、該数学的変換は、第1データ信号及び第2データ信号を入力とする複合フーリエ変換であってもよい。第1データ信号が同相成分であり、また、第2データ信号が直交成分であるため、第1データ信号及び第2データ信号は、共に、複合データ信号として作用し、該複合データ信号において、第1データ信号が実数成分であり、また、第2データ信号が入力の虚数成分である。
【0116】
変換機構238は、第1データ線228から第1データ信号を受信する第1アナログ-デジタル変換器(ADC)264を含む。第1アナログ-デジタル変換器(ADC)264は、第1データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、第1デジタルデータ信号を出力する。変換機構238は、第2データ線232から第2データ信号を受信する第2アナログ-デジタル変換器(ADC)266を含む。第2アナログ-デジタル変換器(ADC)266は、第2データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、第2デジタルデータ信号を出力する。第1デジタルデータ信号は、第1データ信号のデジタル表現であり、また、第2デジタルデータ信号は、第2データ信号のデジタル表現である。従って、第1デジタルデータ信号及び第2デジタルデータ信号は、共に、複合データ信号として作用し、該複合データ信号において、第1デジタルデータ信号が複合データ信号の実数成分として作用し、第2デジタルデータ信号が複合データ信号の虚数成分として作用する。
【0117】
変換機構238は、前記複合データ信号を受信する変換要素268を含む。例えば、変換要素268は、第1アナログ-デジタル変換器(ADC)264から第1デジタルデータ信号を入力として受信し、また、第2アナログ-デジタル変換器(ADC)266から第2デジタルデータ信号を受信する。変換要素268は、時間領域から周波数領域に変換するために、前記複合信号について数学的変換を実行するように構成することができる。前記数学的変換は、複合高速フーリエ変換(FFT)等の複合変換であってもよい。該複合高速フーリエ変換(FFT)等の複合変換は、比較信号のシステム出力信号に対する周波数のシフトの明確な解答を提供する。
【0118】
前記電子機器は、変換要素268から出力を受信し、LIDARデータ(反射物体とLIDARチップまたはLIDARシステムとの間の距離及び/または視線速度)を生成するために、該出力を変換要素268から処理するLIDARデータ生成器270を含む。該LIDARデータ生成器は、ビート周波数における1つ以上のピークを識別するために、変換要素268の出力上にピークを発見する。
【0119】
前記電子機器は、LIDARデータ(反射物体とLIDARチップまたはLIDARシステムとの間の距離及び/または視線速度)を生成するために、1つ以上の周波数ピークを更なる処理のために使用する。変換要素268は、ファームウェア、ハードウェア、またはソフトウェア、またはそれらの組み合わせを用いて、帰属される機能を実行することができる。
【0120】
図5Cは、システム出力信号の周波数、時間、サイクル、及びデータ期間の間の関係の一例を示す。図5Cは、1つのチャネルのみについての周波数対時間を示しているが、図示された周波数対時間のパターンは、チャネルごとの周波数対時間を表すことができる。システム出力信号のベース周波数(f0)は、サイクル開始時のシステム出力信号の周波数とすることができる。
【0121】
図5Cは、サイクルj及びサイクルj +1と表記された2つのサイクルのシーケンスについての周波数対時間を示す。いくつかの例では、図5Cに示されるように、前記周波数対時間のパターンは、各サイクルにおいて繰り返される。図示されたサイクルには、再配置期間が含まれておらず、かつ/または再配置期間がサイクル間に配置されていない。その結果、図5Cは、システム出力信号の操縦が連続している連続走査の結果を示す。
【0122】
各サイクルは、期間指数kにそれぞれ関連付けられた、Kのデータ期間を含み、DPKで表記される。図5Cの例では、各サイクルは、DPK(k=1、2、及び3)と表記された3つのデータ期間を含む。いくつかの例では、周波数対時間のパターンは、図5Cに示されるように、異なるサイクルで互いに対応するデータ期間について同じである。対応するデータ期間は、同じ周期指数を有するデータ期間である。その結果、各データ期間DP1は、対応するデータ期間とみなすことができ、また、関連の周波数対時間のパターンは、図5Cにおいて同じである。サイクルの終わりに、電子機器は、周波数を、前のサイクルを開始するのと同じ周波数レベルに戻す。
【0123】
データ期間DP1及びデータ期間DP2において、電子機器は、システム出力信号の周波数が線形的な速度αで変化するように光源を動作させる。データ期間DP1における周波数変化の方向は、データ期間DP2における周波数変化の方向とは逆である。
【0124】
図5Cは、それぞれがサンプル領域指数kに関連付けられ、Rnkで表記されたサンプル領域を表記する。図5Cは、サンプル領域Rnk及びRnk+1を表記する。各サンプル領域は、図5Cがサンプル領域に関連付けられると示すデータ期間中にシステム出力信号によって照射される。例えば、DP1~DP3で表記されたデータ期間中に、サンプル領域Rnkがシステム出力信号によって照射される。サンプル領域指数kは、時間に対して割り当てることができる。例えば、サンプル領域は、指数kが示すシーケンスにおいて、システム出力信号によって照射されることができる。その結果、サンプル領域Rn10は、サンプル領域Rn9の後かつRn11の前に照射されることができる。
【0125】
LIDARシステムは、典型的には、物体が該LIDARシステムからの動作距離範囲内にあるとき、信頼性のあるLIDARデータを提供するように構成される。前記動作距離範囲は、最小動作距離から最大動作距離まで延長することができる。最大往復時間は、システム出力信号がLIDARシステムを出射し、物体まで最大動作距離を移動し、そしてLIDARシステムに復帰するのに必要な時間であり得、図5CにおいてτMと表記される。
【0126】
システム出力信号が送信されてLIDARシステムに復帰するまでの間に遅延があるため、複合信号は、システム復帰信号がLIDARシステムに復帰した後まで、LIDAR信号からの寄与を含まない。複合信号は、LIDARビート周波数があるためにシステム復帰信号からの寄与を必要とする。電子機器は、データ期間中のデータウィンドウの間にLIDARシステムに復帰するシステム復帰信号に起因するLIDARビート周波数を測定する。図5Cでは、前記データウィンドウはWと表記される。LIDAR信号から複合信号への寄与は、最大動作時間遅延(τM)よりも大きい時間で存在する。その結果、データウィンドウは、最大動作時間遅延(τM)からデータ期間の終了まで延長するように示されている。
【0127】
複合フーリエ変換の出力における周波数ピークは、参照信号に対する比較信号の拍動を含む複合信号のビート周波数を表す。2つ以上の異なるデータ期間からのビート周波数を組み合わせて、LIDARデータを生成することができる。例えば、図5CにおいてDP1から測定されたビート周波数を、図5CにおいてDP2から測定されたビート周波数と組み合わせて、LIDARデータを測定することができる。一例として、図5Cのデータ期間DP1において発生するようなデータ期間中に電子機器が出射LIDAR信号の周波数を増加させるデータ期間中に、次の式:fub = -fd +ατ が適用され、ここで、fubが変換要素によって提供される周波数(fLDP、この場合ではDP1から測定される)であり、fdがドップラシフト(fd = 2vfc/c)を表し、ここで、fdが光学周波数(f0)を表し、cが光の速度を表し、vが反射物体と反射物体からチップに向かう方向が正方向と仮定されるLIDARシステムとの間の視線速度であり、τが、システム出力信号からの光が物体まで移動してLIDARシステムに復帰するまでの時間(往復時間)であり、また、cが光の速度である。電子機器が、図5Cのデータ期間DP2において発生するような出射LIDAR信号の周波数を減少させるデータ期間中に、次の式:fdb = -fd -ατが適用され、ここで、fdbが変換要素によって提供される周波数(fi、この場合ではDP2から測定される)である。これらの2つの式において、fd及びτが未知数である。電子機器は、該2つの方程式を該2つの未知数について解く。次に、サンプル領域の視線速度は、ドップラシフト(v= c*fd/(2fc))から測定し、かつ/または該サンプル領域についての分離距離は、c*τ/2から測定することができる。LIDARデータは、変換によって出力される対応する周波数ペアごとに生成できるため、サンプル領域内の物体ごとに個別のLIDARデータを生成することができる。従って、電子機器は、視野内の1つのサンプル領域の1回のサンプリングから、1つ以上の視線速度及び/または1つ以上の視線分離距離を測定することができる。
【0128】
図5CにおいてDP3と表記されたデータ期間は、任意である。上述したように、1つ以上の物体がサンプル領域に存在する状況がある。例えば、サイクル2のDP1におけるフィードバック期間においても、サイクル2のDP2におけるフィードバック期間においても、1つ以上の周波数ペアを一致させることができる。これらの状況では、DP2からのどの周波数ピークがDP1からのどの周波数ピークに対応するかは、不明確であり得る。その結果、サンプル領域内の物体のためのLIDARデータを生成するために、どの周波数を一緒に使用する必要があるかは、不明確であり得る。その結果、対応する周波数を識別する必要がある。対応する周波数の識別は、対応する周波数が、同じサンプル領域内の同じ反射物体からの周波数であるように行うことができる。DP3と表記されたデータ期間は、対応する周波数を発見するために使用することができる。LIDARデータは、対応する周波数のペアごとに生成することができ、サンプル領域内の異なる反射物体のLIDARデータとして考慮及び/または処理することができる。
【0129】
対応する周波数の識別の例では、図5Cに示されるように、サイクルが3つのデータ期間(DP1、DP2、及びDP3)を含むLIDARシステムが使用される。LIDAR出力信号によって照射されたサンプル領域内に2つの物体が存在する場合、変換要素は、DP1中にfubに対して2つの異なる周波数:fu1及びfu2を出力し、DP2中にfdbに対して他の2つの異なる周波数、fd1及びfd2を出力する。この例では、可能な周波数ペアリングは、(fd1, fu1)、(fd1, fu2)、(fd2, fu1)、及び(fd2, fdu2)である。fd及びτの値は、該可能な周波数ペアごとに算出することができる。fd及びτの各ペアの値は、f3=-fd+α3τ0に代入し、各々の可能な周波数ペアリングについて理論上のf3を生成することができる。α3の値は、DP1及びDP2で使用される値とは異なる。図5Cでは、α3の値は、ゼロである。この場合、変換要素はまた、サンプル領域内の物体の1つにそれぞれ関連付けられたf3に関する2つの値を出力する。実際のf3値のそれぞれに最も近い理論上のf3値を有する周波数ペアは、対応するペアとみなされる。上述したように、LIDARデータを対応するペアのそれぞれに対して生成することができ、かつ/またはサンプル領域内の異なる1つの反射物体のLIDARデータとして考慮及び/または処理される。対応する周波数の各セットを上記の式に使用して、LIDARデータを生成することができる。生成されたLIDARデータは、サンプル領域内の1つの物体のものになるであろう。その結果、異なる LIDAR データ値の各々がサンプル領域内の物体の異なる1つに対応するサンプル領域について複数の異なるLIDARデータ値を生成することができる。
【0130】
図5A図5Cの文脈で説明されたLIDARデータの結果は、単一の処理要素によって生成される。従って、図5A図5Cの文脈で説明されたLIDARデータの結果は、処理要素34または第2処理要素40によって生成される。しかし、上記の議論から明らかなように、LIDARチップは、複数の処理要素を含むことができ、異なる処理要素は、LIDARシステムの外に位置する物体によって反射された後に異なる偏光状態にあった光を含む比較信号を受信する。例えば、図3A図3Cに示されるようにLIDARアダプタが構成される場合、第1処理要素34は、物体(FPSS)に反射された後に第1偏光状態にあった光を含む第1比較信号を受信する。一方、第2処理要素40は、物体(SPSS)に反射された後に第2偏光状態にあった光を含む第2比較信号を受信する。その結果、処理要素34から生成されたLIDAR結果は、第2処理要素40から生成されたLIDAR結果とは異なる偏光状態に関連付けられる。
【0131】
チャネルiを搬送する第1比較信号を受信する処理要素34は、同じチャネルiを搬送する第2比較信号を受信する第2処理要素40と関連付けられる。LIDARデータの結果を、1つの処理要素34及び関連付けられた第2処理要素40から生成することができるため、複数のLIDARデータの結果は、異なるチャネル及びそれに応じて異なるサンプル領域について生成されることが可能である。チャネル及び/またはそれに応じてサンプル領域について生成される異なるLIDARデータの結果は、同一か、実質的に同一か、または異なっていてもよい。
【0132】
いくつかの例では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、電子機器が異なる関連の処理要素からLIDARデータを組み合わせることを含む。LIDARデータを組み合わせることは、関連の処理要素から生成されたLIDARデータの平均、中央値、または最頻値をとることを含むことができる。例えば、電子機器は、関連の処理要素から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の距離を平均し、かつ/または電子機器は、関連の処理要素から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の視線速度を平均することができる。
【0133】
いくつかの例では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、電子機器が関連の処理要素のうちの1つ(即ち、処理要素34または関連の第2処理要素40)を、現実を最もよく表すLIDARデータ(LIDAR代表データ)のソースとして識別することを含む。次いで、電子機器は、該識別された処理要素からのLIDARデータを、追加の処理に使用されるLIDAR代表データとして使用することができる。例えば、電子機器は、いくつかの関連の処理要素のうち最大振幅の複合信号を生成したものはどれか、または、いくつかの関連の処理要素のうち最高振幅を有する周波数ピークを出力する変換要素268を有するものはどれかを識別することができる。電子機器は、識別された処理要素のLIDARデータを、LIDAR代表データを有するものとして選択することができ、また、特定された信号からLIDARデータをLIDARシステムによる更なる処理に使用することができる。いくつかの例では、電子機器は、LIDAR代表データを提供した処理要素を識別することを異なる処理要素からのLIDARデータを組み合わせることと組み合わせる。例えば、電子機器は、複数の関連の処理要素からのどの処理要素が、LIDAR代表データを有するように、振幅閾値を超える振幅の複合信号を有するかを識別することができ、3つ以上の複合信号が代表的なLIDARデータを有すると識別された場合、電子機器は、識別された処理要素の各々からLIDARデータを組み合わせることができる。1つの処理要素がLIDAR代表データを有するものとして識別される場合、電子機器は、その処理要素からのLIDARデータをLIDAR代表データとして使用することができる。どの処理要素もLIDAR代表データを提供しないと識別される場合、電子機器は、それらの処理要素に関連付けられたサンプル領域のLIDARデータを破棄することができる。
【0134】
より広い距離範囲で動作できるLIDARシステムの需要が増加している。上記のLIDARシステムを用いて、広い距離範囲で動作するように構成されたLIDARシステムの課題を克服することができる。広い距離範囲にわたってLIDARシステムを操作するための課題の1つとして、システム出力信号からの光がLIDARシステムから物体に移動し、そしてシステム復帰信号としてLIDARシステムに復帰する間に、1つ以上のビーム操縦要素128がシステム出力信号を操縦し続ける。上述したように、1つ以上のビーム操縦要素128は、システム復帰信号を受信し、操縦された復帰信号を出力する。システム出力信号の操縦はまた、1つ以上のビーム操縦要素128によって出力される操縦された復帰信号の方向を操縦することにもなる。その結果、操縦された復帰信号が1つ以上のビーム操縦要素128から離れて移動する方向は、光が往復時間(τ)で物体へ及び物体から移動している間に生じるシステム出力信号の操縦に応答して変化する。
【0135】
1つ以上のビーム操縦要素128が1つ以上のビーム操縦要素128から離れる方向を変更するために利用可能な時間の量は、往復時間(τ)の増加と共に増加する。往復時間(τ)は、LIDARシステムからの物体の距離が増加するにつれて増加する。その結果、LIDARシステムからの物体の距離を増加させると、1つ以上のビーム操縦要素128がより多くの時間が提供され、システム復帰信号が操縦される方向を変更する。従って、操縦された復帰信号が1つ以上のビーム操縦要素128から離れて移動する方向に生じる変化量は、LIDARシステムからの物体の距離が増加するにつれて増加する。操縦された復帰信号が1つ以上のビーム操縦要素128から離れて移動する該方向の変化により、システム復帰信号からの光が部分的または完全に復帰導波路を見逃し得る。操縦された復帰信号が1つ以上のビーム操縦要素128から離れて移動する該方向の変化により、循環器を通る操縦された復帰信号の経路が変化する。循環器を通る経路のこの変化は、結果として生じる、誘導された第1 LIDAR入力信号の全部または一部が第1入力導波路16を見逃すのに十分であり得る。その結果、LIDARシステムから一定の距離にある物体についてのLIDARデータを生成することが困難または不可能となり得る。
【0136】
上記LIDARシステムは、広い動作距離範囲を有する異なる場所での物体についてLIDARデータを確実に生成するために使用することができる。例えば、図6Aは、光源導波路11が、出射LIDAR信号を出射ポートに搬送するユーティリティ導波路13として機能するように、図2のLIDARチップを改変したものを図示している。ここで、出射LIDAR信号が、該出射ポートを通って、LIDAR チップから出射し、LIDAR 出力信号として機能する。
【0137】
LIDARチップは、1つ以上の第1入力導波路16を含む。第1入力導波路16の各々は、物体によるLIDAR出力信号の反射から由来のシステム復帰信号からの光を含むか、またはその光から構成される第1 LIDAR入力信号を受信することができる。該第1 LIDAR入力信号は、FLISDiで表すことができ、ここで、Diが距離指数iを有する距離を表し、距離指数iが異なると、Diの値が異なる。従って、D1、D2、D3等は、それぞれ異なる距離を表す。表記D1、D2、及びD3等は、D3 > D2 > D1となるように割り当てることができる。第1 LIDAR入力信号が距離Diに位置する物体によって反射された光を搬送するとき、第1 LIDAR入力信号は、FLISDiと表記され、第1入力導波路16のうちの1つで受信される。従って、第1入力信号は、LIDARシステムから異なる距離に配置されている物体に応答して異なるように表記されることができる。第1 LIDAR入力信号は、第1入力導波路16のうちの1つ以上に入射する。第1 LIDAR入力信号を受信する1つ以上の第1入力導波路16は、LIDARシステムからの物体の距離の関数である。第1入力導波路16に入射する第1 LIDAR入力信号の部分は、第1比較信号として機能する。第1比較信号を受信する第1入力導波路16は、第1比較信号を第1処理要素34に搬送する。
【0138】
LIDARチップは、1つ以上の第2入力導波路36を含む。第2入力導波路36の各々は、システム出力信号の反射によって生じるシステム復帰信号からの光を含むかまたは構成される第2 LIDAR入力信号を受信することができる。該第2 LIDAR入力信号は、SLISDiで表すことができ、ここで、Diが距離指数iを有する距離を表す。従って、第2 LIDAR入力信号は、LIDARシステムから異なる距離に配置されている物体に応答して異なるように表記することができる。第2 LIDAR入力信号は、1つ以上の第2入力導波路36に入射する。第2 LIDAR入力信号を受信する第2入力導波路36は、LIDARシステムからの物体の距離の関数である。第2入力導波路36に入射する第2 LIDAR入力信号の部分は、第2比較信号として機能する。該第2比較信号を受信する第2入力導波路36は、第2比較信号を第2処理要素40に搬送する 。
【0139】
図6B及び図6Cは、図6AのLIDARチップと共に使用するために改変された図3AのLIDARシステムをそれぞれ示す。LIDARシステムは、プレ循環器要素102と共に示されているが、プレ循環器要素102が任意である。LIDAR出力信号からの光は、LIDARチップからアダプタを通って、チャネルC2を搬送するLIDAR出力信号が図3Aのアダプタを通って移動する経路と同一または実質的に同一の経路上のシステム出力信号としてLIDARシステムから出射するまで、移動する。その結果、図6B及び図6Cは、システム復帰信号からの光がアダプタを通って、
第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号におけるLIDARチップに入射するまで移動する経路をそれぞれ示す。
【0140】
図6B及び図6Cは、システム出力信号によって走査されるサンプル領域の一部(Rni~Rni+2と表記される)をそれぞれ示す。電子機器は、システム出力信号がAと表記される矢印の方向に走査されるように、1つ以上のビーム操縦要素128を動作させる。その結果、サンプル領域は、Rni、Rni+1、及びRni+2の順序で走査される。
【0141】
図6Bでは、物体は、LIDARシステムから距離D1に位置している。対照的に、図6Cは、図6BのLIDARシステムであるが、LIDARシステムから距離D3に位置する物体を示す。距離Dl、D2、及びD3は、D3 > D2 > D1となるように配置されている。その結果、図6Bの物体は、図6Cの物体よりもLIDARシステムに近い。物体とLIDARシステムとの間の距離を変化させると、システム出力信号が1つ以上のビーム操縦要素128に復帰する前に、1つ以上のビーム操縦要素128がシステム出力信号を操縦する必要がある時間の量を変化させる。例えば、物体がLIDARシステムから更に遠く移動するとき、ビーム操縦要素128は、システム出力信号が1つ以上のビーム操縦要素128に復帰する前に、システム出力信号を操縦するためにより多くの時間を有する。この原理は、図6Cにおいてθと表記された往復遅延角度によって示されている。θと表記される角度は、往復時間τ(1つ以上のビーム操縦要素128から出力されているシステム出力信号と、1つ以上のビーム操縦要素128に復帰しているシステム復帰信号との間の時間)の間に生じる1つ以上のビーム操縦要素128における移動量を表す。往復時間τは、物体とLIDARシステムとの間の距離が増加するにつれて増加するので、往復遅延角度θの値は、実質的であり、図6Cにおいて明確である。対照的に、往復遅延角度θは、物体とLIDARシステムとの近接によって、図6Bにおいては明確ではない。
【0142】
距離の増加による往復遅延角度θへの変化は、操縦された復帰信号が1つ以上のビーム操縦要素128から離れて移動する経路を変化させる。例えば、物体が距離D1に位置するときに操縦された復帰信号が移動する経路は、図6B及び図6CにおいてP1と表記される。物体が距離D3に位置するときに操縦された復帰信号が移動する経路は、図6B及び図6CにおいてP3と表記される。図6B図6Cとの比較、及び/または図3A図3Cの説明から明らかなように、異なる経路によって、操縦された復帰信号からの光が、異なる方向で移動する循環器の第2ポート142に入射する。操縦された復帰信号からの光が、異なる方向に移動する循環器の第2ポート142に入射するため、操縦された復帰信号からの光は、図3B及び図3Cの文脈で開示されているように、循環器を通って異なる経路で移動する。例えば、図6Bの操縦された復帰信号からの光が循環器を通って移動する経路は、図3Bの操縦された復帰信号からの光が循環器を通って移動する経路と比較することができる。また、図6Cの操縦された復帰信号からの光が循環器を通って移動する経路は、図3Cの操縦された復帰信号からの光が循環器を通って移動する経路と比較することができる。従って、物体がLIDARシステムから異なる距離にあるとき、結果として生じるシステム復帰信号からの光は、循環器を通って異なる経路で移動する。その結果、物体とLIDARシステムとの間の距離を変化させることは、結果として生じるシステム復帰信号からの光が循環器を通って移動する経路を変化させる。
【0143】
第1入力導波路16は、LIDARシステムから異なる距離にある物体から生じる第1 LIDAR入力信号を受信するように配置される。例えば、図6Cは、LIDARシステムから距離D1に配置された物体から生じる第1 LIDAR入力信号を受信するように配置された第1入力導波路16のうちの1つ(FLISD1と表記される)、LIDARシステムから距離D2に配置された物体から生じる第1 LIDAR入力信号を受信するように配置された別の第1入力導波路16(FLISD2と表記される)、及びLIDARシステムから距離D3に配置された物体から生じる第1 LIDAR入力信号を受信するように配置された別の第1入力導波路16(FLISD3と表記される)を示している。
【0144】
LIDARシステムからDl、D2、及びD3以外の距離に物体を配置することができる。その結果、いくつかの距離において、第1 LIDAR入力信号は、1つ以上の第1入力導波路16によって受信されることができる。例えば、物体がDlとD2との間に配置される場合、結果として生じる第1 LIDAR入力信号は、2つの第1入力導波路16によって受信されることができる。いくつかの例では、物体がLIDARシステムからDl、D2、及びD3の位置に、またはその間、またはそれ以上に配置されるとき、第1 LIDAR入力信号は、1つ以上の第1入力導波路16によって受信される。
【0145】
第2入力導波路36は、LIDARシステムから異なる距離にある物体から生じる第2 LIDAR入力信号を受信するように配置することができる。例えば、図6Cは、LIDARシステムから距離D1に配置された物体から生じる第2 LIDAR入力信号を受信するように配置された第2入力導波路36のうちの1つ(SLISD1と表記される)、LIDARシステムから距離D2に配置された物体から生じる第2 LIDAR入力信号を受信するように配置された別の第2入力導波路36(SLISD2と表記される)、及びLIDARシステムから距離D3に配置された物体から生じる第2 LIDAR入力信号を受信するように配置された別の第2入力導波路36(SLISD3と表記される)を示している。
【0146】
LIDARシステムからDl、D2、及びD3以外の距離に物体を配置することができる。その結果、いくつかの距離において、第2 LIDAR入力信号は、1つ以上の第2入力導波路36によって受信されることができる。例えば、物体がDlとD2との間に配置される場合、結果として生じる第2 LIDAR入力信号は、2つの第2入力導波路36によって受信されることができる。いくつかの例では、物体がLIDARシステムからDl、D2、及びD3の位置に、またはその間、またはそれ以上に配置されるとき、第2 LIDAR入力信号は、1つ以上の第2入力導波路36によって受信される。
【0147】
第1入力導波路16は、第1 LIDAR入力信号が通って第1入力導波路16に入射できる第1ポートをそれぞれ有する。例えば、第1入力導波路16は、第1 LIDAR入力信号が通って第1入力導波路16に入射するファセットでそれぞれ終端することができる。第1ポート間の距離(一例は図6Bではdlと表記されている)は、第1入力信号が、LIDARシステムの動作距離範囲内の異なる位置にある物体に応答して異なる第1入力導波路16のポートに入射するように選択される。ポート間の距離(dl) の例は、0 μm、1 μm、2 μm、または3 μmより長く、かつ/または5 μm、10 μm、15 μm、または150 μm未満の距離を含むが、これらに限定されない。
【0148】
第2入力導波路36は、第2 LIDAR入力信号が通って第2入力導波路36に入射できるポートをそれぞれ有する。例えば、第2入力導波路36は、第2 LIDAR入力信号が通って第2入力導波路36に入射するファセットでそれぞれ終端することができる。第2ポート間の距離(一例は図6Bではd2と表記されている)は、第2入力信号が、LIDARシステムの動作距離範囲内の異なる位置にある物体に応答して異なる第2入力導波路36のポートに入射するように選択される。ポート間の距離(d2)の例は、0 μm、1 μm、2 μm、または3 μmより長く、かつ/または5 μm、10 μm、15 μm、または150 μm未満の距離を含むが、これらに限定されない。
【0149】
FLISD1を受信する第1入力導波路16及びSLISD1を受信する第2入力導波路36は、最も低い近接導波路である。なぜなら、これらは、物体がLIDARシステムに最も接近し、かつLIDARシステムの動作距離範囲内にあるいときに生成されるLIDAR入力信号を受信するからである。システム出力信号が矢印Aの方向に走査され、物体とLIDARシステムとの間の距離が増大するときに、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号は、最も低い近接導波路から離れて図6Cにおいて矢印Bの方向に移動する。その結果、LIDARシステムの最大動作距離が増加するにつれて、追加の第1入力導波路16及び/または第2入力導波路36を矢印Bの方向に追加することができる。
【0150】
視野内のサンプル領域が所望のように走査された場合、一般に視野内の該サンプル領域の走査を繰り返すことが望ましい。該走査は、システム出力信号をサンプル領域の順序で第1サンプル領域に復帰させ、同じ順序で該サンプル領域を走査することによって繰り返すことができる。システム出力信号は、該システム出力信号を順序的に最後のサンプル領域から順序的に最初のサンプル領域に戻して操縦することによって、第1サンプル領域に復帰されることができる。あるいは、1つ以上のビーム操縦要素128は、第1サンプル領域でシステム出力信号を再設定するプリズムミラーであり得る。代替として、視野内のサンプル領域が所望のように走査された場合、逆の順序でサンプル領域を走査することによって、視野の走査を繰り返すことができる。
【0151】
サンプル領域の走査によって、システム出力信号が、図6CにおいてAと表記される方向かつ/またはCと表記される矢印によって示されるその逆方向に移動されることができる。サンプル領域の走査によってシステム出力信号がCと表記される矢印によって示される逆方向に移動した場合、物体とLIDARシステムとの間の距離を増加させることは、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号を最も低い近接導波路から離れて図6CにおいてDと表記される矢印の方向に移動させる。その結果、最も低い近接導波路から離れてDと表記される矢印の方向に移動する追加の第1入力導波路16及び/または第2入力導波路36を追加することができる。例えば、破線で示される第1入力導波路16及び第2入力導波路36を追加することができる。その結果、LIDARチップは、最も低い近接導波路として機能する第1入力導波路16の一方または両方の側に1つ以上の第1入力導波路16を含むことができる。更にまたは代替的に、LIDARチップは、最も低い近接導波路として機能する第2入力導波路36の一方または両方の側に1つ以上の第2入力導波路36を含むことができる。
【0152】
複数の第1入力導波路16の存在によって、LIDARシステムと物体との間の距離は、第1 LIDAR入力信号が最も低い近接導波路から離れるのに十分に増加しても、第1 LIDAR入力信号を収集することを可能になる。同様に、複数の第2入力導波路36の存在によって、LIDARシステムと物体との間の距離は、第1 LIDAR入力信号が最も低い近接導波路から離れるのに十分に増加しても、第2 LIDAR入力信号を収集することを可能になる。大きな分離距離においてもLIDAR入力信号の収集を継続することができるため、動作距離範囲が大きいLIDARシステムでも、信頼できるLIDARデータの生成は可能となる。
【0153】
上述したように、1つ以上の第1入力導波路16は、第1 LIDAR入力信号の少なくとも一部を受信する。その結果、同じサンプル領域についてのLIDARデータの結果を1つ以上の第1処理要素34で生成することができる。電子機器は、現実を最もよく表すLIDARデータ(第1 LIDAR代表データ)の供給源である第1処理要素34を識別するように構成することができる。例えば、電子機器は、いくつかの第1処理要素34のうちのどれが、最大振幅を有する複合信号を生成したか、または、いくつかの第1処理要素34のうちのどれが、最も高い振幅を有する周波数ピークを出力する変換要素268を有するかを識別することができる。電子機器は、第1 LIDAR代表データを有するLIDARデータの結果を特定された処理要素から選択することができ、また、該第1 LIDAR代表データをLIDARシステムによるさらなる処理に使用することができる。
【0154】
また、1つ以上の第2入力導波路36は、第2 LIDAR入力信号の少なくとも一部を受信する。その結果、同じサンプル領域についてのLIDARデータの結果を1つ以上の第2処理要素40で生成することができる。電子機器は、現実を最もよく表すLIDARデータ(第2 LIDAR代表データ)の供給源である第2処理要素40を識別するように構成することができる。例えば、電子機器は、いくつかの第2処理要素40のうちのどれが、最大振幅を有する複合信号を生成したか、または、いくつかの第2処理要素40のうちのどれが、最も高い振幅を有する周波数ピークを出力する変換要素268を有するかを識別することができる。電子機器は、第2 LIDAR代表データを有するLIDARデータの結果を特定された第2処理要素40から選択することができ、また、該第2 LIDAR代表データをLIDARシステムによるさらなる処理に使用することができる。
【0155】
第1 LIDAR代表データを生成した第1処理要素34を識別する代替として、第1処理要素34は、第1 LIDAR代表データの結果を生成するように組み合わせることができる。例えば、第1処理要素34における変換要素268の出力を追加することができ、また、ピークファインダをその結果に適用されることができる。上述したようにLIDARデータを生成するために、ピークファインダの結果を使用することができ、結果として生じるLIDARデータは、第1 LIDAR代表データとして機能することができる。別の例として、第1処理要素34の各々で生成されたLIDARデータを平均化して、第1 LIDAR代表データを生成することができる。
【0156】
第2 LIDAR代表データを生成した第2処理要素40を識別する代替として、第2処理要素40は、第2 LIDAR代表データの結果を生成するように組み合わせることができる。例えば、第2処理要素34における変換要素268の出力を追加することができ、また、ピークファインダをその結果に適用されることができる。上述したようにLIDARデータを生成するために、ピークファインダの結果を使用することができ、結果として生じるLIDARデータは、第2 LIDAR代表データとして機能することができる。別の例として、第2処理要素40の各々で生成されたLIDARデータを平均化して、第2 LIDAR代表データを生成することができる。
【0157】
LIDARシステムが第1 LIDAR代表データを生成するが、第2 LIDAR代表データを生成しない場合、第1 LIDAR代表データは、LIDAR代表データとして機能することができる。LIDARシステムが第2 LIDAR代表データを生成するが、第1 LIDAR代表データを生成しない場合、第2 LIDAR代表データは、LIDAR代表データとして機能することができる。
【0158】
LIDARシステムが第1 LIDAR代表データ及び第2 LIDAR代表データを生成する場合、電子機器は、第1 LIDAR代表データまたは第2 LIDAR代表データが現実を最もよく表す (即ち、LIDAR代表データとして機能する) かを識別することができる。次いで、電子機器は、該LIDAR代表データを追加の処理に使用することができる。例えば、電子機器は、第1処理要素34または第2処理要素40が最大振幅を有する複合信号を生成したか、あるいは、第1処理要素34または第2処理要素34が最も高い振幅を有する周波数ピークを出力する変換要素268を有するかを識別することができる。電子機器は、特定された処理要素からのLIDARデータの結果を、LIDAR代表データを有するものとして選択することができ、特定された信号からのLIDARデータをLIDARシステムによるさらなる処理に使用することができる。例えば、電子機器が第1処理要素34を識別する場合、該電子機器は、第1 LIDAR代表データをLIDAR代表データとして使用することができる。電子機器が第1処理要素34を識別する場合、該電子機器は、第1 LIDAR代表データをLIDAR代表データとして使用することができる。いくつかの例では、電子機器は、第1 LIDAR代表データと第2 LIDAR代表データとを組み合わせる。例えば、第1 LIDAR代表データ及び第2 LIDAR代表データの平均は、LIDAR代表データとして機能することができる。
【0159】
また、LIDARデータを生成する他に、またはその代わりに、LIDARシステムを使用して、システム出力信号を反射する物体の異なる特性を測定することができる。なぜなら、TE偏光状態とTM偏光状態との相対比率が反射時に変化することがあり、その変化量が材料の組成及び表面の品質を含む性質に依存するからである。例えば、異なる偏光状態に関連する信号は、材料の種類、表面の粗さ、または表面コーティングまたは汚染物質の存在を示すことができる。従って、いくつかの例では、電子機器は、表面粗さ等の材料特性、または表面コーティングまたは汚染物質の存在を識別するために、1つ以上の信号特徴の比率を使用して、材料の特徴(例えば、表面の粗さ、または表面コーティングまたは汚染物質の存在)を識別することができる。例えば、電子機器は、信号特徴の比率を、比率閾値等の1つ以上の基準と比較することができる。電子機器は、材料特性の値を測定または近似し、材料特性の有無及び/または1つ以上の比率を基準と比較した結果に応答して材料の有無を判定することができる。信号特徴の比率の例は、同じサンプル領域からの光を含むが、異なる偏光状態に関連付けられている複合信号の複合信号振幅の比、同じサンプル領域からの光を含むが、異なる偏光状態に関連付けられている比較信号の比較信号振幅の比、同じサンプル領域からの光を含むが、異なる偏光状態に関連付けられているLIDAR入力信号のLIDAR入力信号振幅の比を含むが、これらに限定されない。
【0160】
図6A図6BのLIDARシステムは、3つの第1入力導波路16を有するものとして開示されているが、LIDARシステムは、2つ以上の第1入力導波路16を有することができる。更にまたは代替的に、図6A図6BのLIDARシステムは、3つの第2入力導波路36を有するものとして開示されているが、LIDARシステムは、2つ以上の第2入力導波路36を有することができる。
【0161】
図6A図6CのLIDARシステムは、例示を簡略化するために、単一のチャネルを出力するものとして図示されている。しかし、図6A図6CのLIDARシステムは、図1図5Cの文脈で開示されるような複数のチャネルと共に使用するために改変することができる。
【0162】
LIDARチップのための好適なプラットフォームは、シリカ、リン化インジウム、及びシリコン・オン・インシュレータ・ウエハを含むが、これらに限定されない。図7は、シリコン・オン・インシュレータ・ウエハから構成されたチップの一部の断面図である。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウエハは、基板292と光透過媒体294との間に埋め込み層290を含む。シリコン・オン・インシュレータ・ウエハにおいて、埋め込み層は、シリカであり、一方、基板及び光透過媒体は、シリコンである。SOIウエハ等の光学プラットフォームの基板は、チップ全体の基部として機能することができる。例えば、図1に示される光学部品は、基板の上部または上端及び/または側方に配置することができる。
【0163】
図7に示されるチップの一部は、シリコン・オン・インシュレータ・ウエハから構成されるチップに適用した導波路構造を含む。光透過媒体のリッジ296は、該光透過媒体のスラブ領域298から離れて延伸している。光信号は、リッジの端部と埋め込み酸化物層との間に束縛される。
【0164】
図7にリッジ導波路の寸法が表記されている。例えば、該リッジは、wと表記された幅及びhと表記された高さを有する。スラブ領域の厚さは、Tと表記される。LIDAR用途では、これらの寸法は、他の寸法よりも重要であり得る。なぜなら、他の用途で使用されるよりも高いレベルの光パワーを使用する必要があるからである。リッジ幅(wと表記される)は、1 μm超かつ4 μm未満であり、リッジ高さ(hと表記される)は、1 μm超かつ4 μm未満であり、スラブ領域の厚さは、0.5 μm超かつ3 μm未満である。これらの寸法は、導波路の直線部分または実質的な直線部分、導波路の湾曲部分、及び導波路のテーパ部分に適用することができる。従って、導波路のこれらの部分は、シングルモードとなる。しかし、いくつかの例では、これらの寸法は、導波路の直線部分または実質的な直線部分に適用される。更にまたは代替的に、 導波路の湾曲部における光損失を低減するために、導波路の湾曲部のスラブ厚を薄くすることができる。例えば、導波路の湾曲部分は、0.0 μm以上かつ0.5 μm未満の厚さでスラブ領域から離れるように延伸するリッジを有することができる。上記の寸法は、一般に、シングルモード構造を有する導波路の直線部分または実質的な直線部分を提供するが、それらは、マルチモードであるテーパ部分及び/または湾曲部分をもたらすことができる。シングルモードの幾何学形状とマルチモードの幾何学形状との結合は、高次モードを実質的に励起しないテーパを使用して行うことができる。従って、導波路内で搬送される信号が、マルチモードの寸法を有する導波路の部分で搬送されるときでも、シングルモードで搬送されるように導波路を構築することができる。図7の導波路構造は、図1~4に従って構築されたLIDARチップ上の導波路の全部または一部に適している。
【0165】
LIDARシステムは、2つの異なる偏光状態を有する光信号を処理するものとして開示されているが、いくつかの例では、LIDARシステムは、1つのみの偏光状態にある物体によって反射された光信号を処理するように構成された、開示の循環器104を含む。その結果、第1偏光状態にある物体で反射された光を含む光信号を処理する構成要素は、任意であってもよい。あるいは、第2偏光状態にある物体で反射された光を含む光信号を処理する構成要素は、任意であってもよい。一例として、LIDARシステムは、第1偏光状態にあるが、第2偏光状態にはない物体によって反射された光を含む光信号を処理するように改変することができる。例えば、LIDARシステムは、第2ビーム操縦要素136、第3レンズ138、第2入力導波路36、第2処理要素40、第2中間導波路50、及び第2チャネル分割器52を除外するように改変することができる。別の例では、LIDARシステムは、第2偏光状態にあるが、第1偏光状態にない物体によって反射された光を含む光信号を処理するように改変される。
【0166】
第1、第2、及び第3等の数字表記は、異なる特徴及び構成要素を区別するために使用され、より小さい数値で標記されたものの順序または存在を示していない。例えば、第1構成要素がなくても、第2構成要素が存在することができ、かつ/または第3ステップが第1ステップの前に実施することができる。
【0167】
当業者は、本教示を考慮して、本発明の他の実施形態、組み合わせ及び改変を容易に行われるであろう。従って、本発明は、上記の明細書及び添付図面と併せて見たときに、全てのそのような実施形態及び改変を含む次の請求項のみによって限定される。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
【国際調査報告】