(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】血管内の拡張部位への脈管構造を通っての前進のための自己拡張型医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/91 20130101AFI20240229BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20240229BHJP
A61F 2/01 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61F2/91
A61B17/22 528
A61F2/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551955
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022054500
(87)【国際公開番号】W WO2022180083
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/069623
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517237377
【氏名又は名称】アナコンダ ビオメッド, エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】ANACONDA BIOMED,S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア サビド,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リザラズ ゴンザレス,アン
(72)【発明者】
【氏名】ガルベ ムリーリョ,イナキ
(72)【発明者】
【氏名】アラド ハダル,オフィル
(72)【発明者】
【氏名】ニッスル,トーマス ジェイ.ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス サンチェス,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ハラ ムンス,フランチェスク
(72)【発明者】
【氏名】ペイス,アリゼ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
4C160MM37
4C267AA44
4C267AA53
4C267AA54
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB40
4C267BB47
4C267CC08
(57)【要約】
血管内の拡張部位への脈管構造を通っての前進のための自己拡張型医療デバイスが開示される。本デバイスは、作用部分と、プッシャに接続され得る接続部分とを備える。作用部分は、圧縮形態の直径と拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において外向きの半径方向の力を提供し、2つの近位セルストラット、2つの遠位セルストラット、及び2つの中間セルストラットによって境界付けられた開放領域を備える複数のセルクラウンを備える。近位セルストラットはそれぞれ、共通の近位端から、2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの近位端まで遠位に延在する。遠位セルストラットはそれぞれ、共通の遠位端から、2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの遠位端まで近位に延在する。各中間セルストラットは、それが延在する遠位セルストラット及び近位セルストラットよりも柔軟である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管構造を通っての血管内の拡張部位への前進のための自己拡張型医療デバイスであって、
圧縮形態及び拡張形態を有する作用部分(101)であって、前記拡張形態の直径が前記圧縮形態の直径よりも大きく、前記作用部分(101)は前記圧縮形態の直径と前記拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において外向きの半径方向の力を提供するように構成され、前記作用部分は複数のセル(111)のクラウン(110)を備え、各セルは2つの近位セルストラット(130)、2つの遠位セルストラット(132)及び2つの中間セルストラット(112)によって境界付けられた開放領域を備え、前記近位セルストラット(130)はそれぞれ、共通近位端(134)から前記2つの中間セルストラット(112)のそれぞれの1つの近位端(135)まで遠位に延在し、前記遠位セルストラット(132)はそれぞれ、共通遠位端(136)から前記2つの中間セルストラット(112)のそれぞれの1つの遠位端(133)まで近位に延在し、各クラウン内の各中間セルストラット(112)はそのクラウン内の2つの隣接するセル(111)を境界付け、前記中間セルストラット(112)の各々は、それが延在する前記遠位セルストラット(132)及び近位セルストラット(130)よりも柔軟であるように適合及び構成される、該作用部分と、
前記作用部分(101)の近位端から近位に延在する接続部分(103)であって、前記接続部分(103)は前記脈管構造を通って前記拡張部位まで前記デバイス(1)を前進させるためのプッシャ(200、300)に接続されるように適合されている、該接続部分と、を備えるデバイス。
【請求項2】
前記作用部分(101)は前記作用部分(101)の前記近位端にテーパ部分(102)をさらに備え、前記テーパ部分(102)は複数のテーパ部分ストラットと、前記複数のセル(111)のクラウン(110)のうちの少なくとも1つのセルのクラウンとを備え、前記テーパ部分(102)は近位端において前記作用部分(101)の拡張直径よりも小さい拡張直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記テーパ部分(102)は、閉じた構造を有する円錐台形状を画定する拡張形態を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記テーパ部分(102)はセルのクラウン(150)をさらに備え、各セルは2つの近位セルストラット(130)及び2つの遠位セルストラット(132)によって境界付けられた開放領域を含み、各セルにおいて、前記近位セルストラット(130)がそれぞれ、共通近位端から前記遠位セルストラット(132)の近位端まで遠位に延在し、前記遠位セルストラット(132)がそれぞれ、それらの近位端から共通遠位端まで遠位に延在する、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記テーパ部分(102)が、前記接続部分(103)の遠位端で収束する、請求項2~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記作用部分(101)の前記複数のセル(111)のクラウン(110)は、円筒状に閉じた構造を形成する管状の部分を画定する、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記接続部分(103)は少なくとも1つのセル(121)のクラウン(120)を備え、各セル(121)は2つの近位セルストラット(130)、2つの遠位セルストラット(132)及び2つの中間セルストラット(112)によって境界付けられた開放領域を含み、前記近位セルストラット(130)はそれぞれ、共通近位端から前記2つの中間セルストラット(112)のそれぞれの1つの近位端まで遠位に延在し、前記遠位セルストラット(132)はそれぞれ、共通遠位端から前記2つの中間セルストラット(112)のそれぞれの1つの遠位端まで近位に延在し、各中間セルストラット(112)は2つの半径方向に隣接するセルを境界付け、前記中間セルストラット(112)の各々は、それが延在する前記遠位セルストラット(132)及び近位セルストラット(130)よりも柔軟であるように適合及び構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記接続部分(103)が、円筒状に閉じた構造を形成する管状の部分を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
各セルを境界付ける前記中間セルストラット(112)は、前記セルを境界付ける前記遠位セルストラット(132)の幅よりも狭く、且つ、前記セルを境界付ける前記近位セルストラット(130)の幅よりも狭い幅を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記中間セルストラット(112)の各々が1つ又は2つのヒンジ部分(140)を備え、各ヒンジ部分が1つ又は2つの屈曲部を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
各中間セルストラット(112)の各ヒンジ部分(140)が、前記中間セルストラット(112)の近位端と遠位端との間に配置される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記接続部分(103)から近位に延在するプッシャ(200、300)をさらに備え、前記接続部分(103)は第一取り付け面(104)を有し、前記プッシャ(200、300)は遠位に延在するプッシャ接続部分を備え、前記プッシャ接続部分はプッシャ取り付け面(204、304)を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記プッシャ(300)がチューブを備え、前記プッシャ取り付け面(304)が、前記第一取り付け面(104)に取り付けられる前記チューブの遠位部分を備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記チューブが、カテーテル(400)又はハイポチューブ(500)である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイス(1)が、凝血塊モビライザー又は漏斗を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、医療デバイスの分野に関する。特に、本発明は、血管内の拡張部位への脈管構造(vasculature)を通っての前進のための自己拡張型(又は、自己拡張可能な/self-expandable)医療デバイスに関する。本発明はまた、そのようなデバイスを作製及び使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
広範な医療デバイスが、患者の体内に挿入され、収縮送達形態で体内の拡張部位に進められ、拡張部位で治療、測定、又は別の介入を行うために展開形態に拡張される。多くのそのようなデバイスは拘束力(constraining force)が取り除かれたときに、展開形態に拡張し得るように、自己拡張可能である。
【0003】
様々な自己拡張型医療デバイスが送達形態に圧縮され、カテーテル(例えば、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、送達カテーテルなど)内に配置されることができ、圧縮されたデバイスを運ぶカテーテルが、進入部位を通して患者の脈管構造に挿入され、介入又は測定の所望の部位まで進められ得る。圧縮されたデバイスに対するカテーテルの相対移動によりデバイスをカテーテルの外側に配置することができ、次いで、デバイスは、その部位で自己拡張し得る。そのような血管内送達される自己拡張型デバイスの例としては、吸引漏斗、ステント、及び血栓可動化器(又は、凝血塊モビライザー、clot mobilizer)が挙げられる。
【0004】
いくつかの場合において、自己拡張型医療デバイスは患者の脈管構造への進入部位において挿入される前に、圧縮され、送達カテーテルの遠位端に装填され、送達カテーテル及び圧縮されたデバイスは、脈管構造を通して、デバイスの拡張部位まで一緒に前進される。場合によっては、圧縮されたデバイスをカテーテルの前進中に送達カテーテル内で近位方向にある距離だけ後退させて、圧縮されたデバイスに対して遠位の送達カテーテルの一部をより柔軟にして、例えば、カテーテルが蛇行する脈管構造をナビゲートすることを可能にし得る。圧縮されたデバイスはその後、送達カテーテルの遠位端まで前進され、及び/又は送達カテーテルが近位に回収され、その結果、圧縮されたデバイスは拡張部位において出現し、自己拡張し得る。圧縮された自己拡張型デバイスによってカテーテルの内壁に加えられる半径方向外向きの力は、自己拡張可能ではないデバイスに必要とされるよりも大きい前進及び後退力を必要とする。
【0005】
他の場合にはカテーテル又はシースが自己拡張型医療デバイスなしで介入又は測定の部位まで前進されることができ、デバイスはその後、カテーテルの近位部分に挿入され、カテーテルを通して介入又は測定の部位まで前進され得る。この場合も、カテーテルの内壁に対するデバイスの半径方向外向きの力は、自己拡張可能ではないデバイスに必要とされるよりも大きな前進力を必要とする。
【0006】
上述のように、圧縮された自己拡張型医療デバイスはデバイスの拡張部位に到達するために、蛇行する脈管構造(例えば、頸動脈サイホン)を通って前進させなければならない場合がある。いくつかの場合において、デバイスは圧縮されたデバイスが装填された送達カテーテルと共に、蛇行する脈管構造を通して前進されてもよい。他の場合には、デバイスが静止している送達カテーテル内で蛇行する脈管構造を通って前進されてもよい。いずれの場合も、圧縮されたデバイス、又は圧縮されたデバイスと送達カテーテルとの組み合わせは、最小限の前進力で蛇行する脈管構造を通って前進可能であるように十分に柔軟であるべきである。
【0007】
血管進入部位における切開部をできるだけ小さくするために、圧縮された自己拡張型医療デバイス及びその送達カテーテルは、できるだけ小さくなければならない。いったん拡張部位に位置すると、デバイスはその圧縮された送達形態から、その所望のサイズ及び形状に拡張しなければならない。加えて、いくつかの自己拡張型医療デバイス(例えば、凝血塊モビライザー及び吸引漏斗など)は拡張部位で自己拡張したときに、十分な半径方向外向きの力を加えることができなければならない。脈管構造内の拡張部位は直径が変化する可能性があり、したがって、自己拡張型医療デバイスはその直径の範囲内のあらゆる直径において、十分な半径方向外向きの力を提供することができなければならない。
【0008】
従来技術は、様々な血管内送達される自己拡張型医療デバイスを記載している。
【0009】
例えば、国際公開第03/075793号パンフレットは、血管内送達される自己拡張型血餅回収器を記載している。概して管状のケージは、半径方向に拘束されていないときに外側方向に拡張するように付勢されたストラット(又は、支柱)のフレームワークを有する。ケージの枠組みは、ワイヤセグメントから形成されてもよく、又はチューブからレーザ切断されてもよい。圧縮されたケージは、マイクロカテーテル内の所望の拡張部位まで前進される。ケージから近位に延びるシャフトとマイクロカテーテルとの間の相対的な移動は、ケージがマイクロカテーテルの遠位端から出て自己拡張することを可能にする。この刊行物はその圧縮及び拡張形態においてケージによって加えられる半径方向外向きの力を開示しておらず、また、マイクロカテーテル内で圧縮されている間に蛇行する脈管構造をナビゲートし、その圧縮及び拡張形態において所望の半径方向外向きの力を加えるケージの能力を維持しながら、ケージの柔軟性を高める構造を記載していない。
【0010】
米国特許出願公開第2017/0020555号明細書は、血管内の血栓を圧縮及び溶解するために自己拡張する足場を有する血管内送達再潅流装置を記載している。足場は、マイクロカテーテル内で血栓部位にその圧縮形態で送達される。スキャフォールドは、スキャフォールドとマイクロカテーテルとの間の相対運動がスキャフォールドをマイクロカテーテルから出現させると、自己拡張する。スキャフォールドの近位端におけるプッシャは、この相対運動を容易にし得る。この刊行物は、柔軟性を高める特徴を有するいくつかのパターンを含む、レーザ切断チューブから形成された複数の足場パターンを開示する。また、拡張直径の範囲(異なる血管直径に対応する)にわたって実質的に一定の半径方向外向きの力を提供するという一般的な概念を論じるが、足場構造のどの態様、又は開示されたパターンのどれが所望の半径方向の力特性を提供するかを説明していない。
【0011】
米国特許第9,700,331号明細書は、塞栓性閉塞物を捕捉して除去するための自己拡張型血管治療デバイスを記載している。この特許は、拡張可能部材のための複数のセルパターンを開示している。例えば、蛇行する血管の解剖学的構造を介した送達中に圧縮された拡張可能部材の柔軟性を高める曲線状のセルパターンが記載されている。本発明はまた、一般に、拡張直径の所望の範囲と、その拡張直径の範囲にわたって拡張可能部材によって加えられる外向きの半径方向の力とを論じる。しかしながら、この特許は拡張可能部材の所望の外向きの半径方向特性をその拡張直径の範囲にわたって維持しながら、その圧縮形態における拡張可能部材の柔軟性を高めるセル構造を記載していない。
【0012】
国際公開第2019/05311号パンフレットはデバイスを伸張及び/又は後退させることによって加えられる応力に応答して、突起(例えば、アンカー)を伸張及び/又は後退させるように動作可能な医療デバイスを記載する。いくつかの実施形態では、デバイスが自己拡張可能であり、血管内送達され得る。この刊行物はその圧縮及び拡張形態においてケージによって加えられる半径方向外向きの力を開示しておらず、また、マイクロカテーテル内で圧縮されている間に蛇行する脈管構造をナビゲートし、その圧縮及び拡張形態において所望の半径方向外向きの力を加えるケージの能力を維持しながら、ケージの柔軟性を高める構造を記載していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、血管内の拡張部位において拡張されて適切な外向きの半径方向の力を及ぼすために、適切な押し込み性(又は、プッシャビリティ/pushability)及び柔軟性を有する、脈管構造をナビゲートし、脈管構造を通って前進させられ得る、新規で改善された自己拡張型医療デバイスが、必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。実施形態は、従属請求項に記載される。
【0015】
一態様によれば、本発明は、異なるサイズ、形状、及び寸法の脈管構造を通っての血管内の拡張部位への前進のための自己拡張型医療デバイスを提供する。本願の自己拡張型医療デバイスは作用部分と、作用部分の近位端から近位に延在する接続部分とを備え、接続部分は脈管構造を通して拡張部位までデバイスを前進させるためのプッシャに接続されるように適合される。作用部分は圧縮形態及び拡張形態を含み、拡張形態の直径は圧縮形態の直径よりも大きく、作用部分は圧縮形態の直径と拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において外向きの半径方向の力(又は、ラジアルフォース/radial force)を提供するように構成され、作用部分は複数のセルクラウン(又は、セルのクラウン/crown of cells)を備え、各セルは2つの近位セルストラット、2つの遠位セルストラット、及び2つの中間セルストラットによって境界付けられた開放領域(又は、開口領域/open area)を備え、近位セルストラットはそれぞれ、共通の近位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの近位端まで遠位に延在し、遠位セルストラットはそれぞれ、共通の遠位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの遠位端まで近位に延在し、各クラウン内の各中間セルストラットはそのクラウン内の2つの隣接するセルを境界付け、中間セルストラットの各々はそれが延在する遠位セルストラット及び近位セルストラットよりも柔軟であるように適合及び構成される。
【0016】
別の態様によれば、本発明はまた、異なるサイズ、形状及び寸法の、脈管構造を通っての血管内の拡張部位への前進のための自己拡張型医療デバイスであって、複数のセルクラウンを含む作用部分を備え、各セルが2つの近位セルストラット、2つの遠位セルストラット、及び2つの中間セルストラットによって境界付けられた開放領域を含み、各セルを境界付ける中間セルストラットは、各セルを境界付ける遠位セルストラットの幅よりも狭く、且つ、そのセルを境界付ける近位セルストラットの幅よりも狭い幅を有し、近位セルストラットはそれぞれ共通の近位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの近位端まで遠位に延び、遠位セルストラットはそれぞれ共通の遠位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの遠位端まで近位に延び、各クラウン内の各中間セルストラットはそのクラウン内の2つの隣接セルを境界付ける、自己拡張型医療デバイスを提供する。本医療デバイスはまた、作用部分の近位端から近位に延在する接続部分を備え、接続部分は、脈管構造を通して拡張部位までデバイスを前進させるためのプッシャに接続されるように適合される。
【0017】
本発明は、その拡張形態でデバイスによって及ぼされる外向きの半径方向の力を損なうことなく、自己拡張型医療デバイスの圧縮形態への柔軟性を提供する。これは、その作用部分が拡張直径の範囲にわたって拡張形態において実質的な外向きの半径方向の力を加えるように設計されている自己拡張型医療デバイスに特に有用である。
【0018】
一実施形態では、作用部分はまた、作用部分の近位端にテーパ部分を含む。テーパ部分は、複数のテーパ部分ストラットを備えることができる。テーパ部分は、近位端において、作用部分の拡張直径よりも小さい拡張直径を有する。
【0019】
一実施形態では、テーパ部分が複数のセルクラウンのうちの少なくとも1つのセルクラウンを備える。
【0020】
一実施形態では、テーパ部分が閉じた構造を有する切頭円錐形状を画定する拡張形態を有する。
【0021】
一実施形態では、テーパ部分はセルクラウンをさらに備え、各セルが2つの近位セルストラット及び2つの遠位セルストラットによって境界付けられた開放領域を含み、各セルにおいて、近位セルストラットはそれぞれ、共通の近位端から遠位セルストラットの近位端まで遠位に延在し、遠位セルストラットはそれぞれ、それらの近位端から共通の遠位端まで遠位に延在する。
【0022】
一実施形態では、テーパ部分が接続部分の遠位端で収束する。
【0023】
一実施形態では、作用部分の複数のセルクラウンが、円筒状に閉じた構造を形成する管状の部分を画定する。代替的に又は相補的に、一実施形態では、接続部分が円筒状に閉じられた構造を形成する管状の部分を備える。
【0024】
一実施形態では、接続部分が少なくとも1つのセルクラウンを含み、各セルは2つの近位セルストラット、2つの遠位セルストラット、及び2つの中間セルストラットによって境界付けられた開放領域を含み、近位セルストラットはそれぞれ、共通の近位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの近位端まで遠位に延在し、遠位セルストラットはそれぞれ、共通の遠位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの遠位端まで近位に延在し、各中間セルストラットは2つの半径方向に隣接するセルを境界付け、中間セルストラットの各々は、それが延在する遠位セルストラット及び近位セルストラットよりも柔軟であるように適合及び構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスは、接続部分から近位に延在するプッシャを備える。この場合、特に、接続部分は第一取り付け面を有し、プッシャは遠位に延在するプッシャ接続部分を備え、プッシャ接続部分はプッシャ取り付け面を有する。
【0026】
さらに、いくつかの実施形態ではプッシャがチューブを備えることができ、プッシャ取り付け面は接続部分の第一取り付け面に取り付けられるチューブの遠位部分を備える。チューブは、カテーテル又はハイポチューブとし得る。他の実施形態ではプッシャがプッシャワイヤを備えることができ、プッシャ取り付け面は接続部分の第一取り付け面に取り付けられるプッシャワイヤの遠位部分を備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスがその要素(すなわち、自己拡張型医療デバイス及びそのプッシャ、例えば、カテーテル)の改良された取り付けを含み得る。本デバイスは、カテーテルジャケットと、カテーテルジャケットによって囲まれた内側カテーテル要素と、カテーテルジャケットの遠位端を越えて遠位に延びる内側カテーテル要素の延長部分を含む遠位接続部分(すなわち、プッシャ接続部分)とを備えるカテーテルプッシャと、カテーテルプッシャの遠位接続部分に取り付けられ、そこから延在するデバイス(例えば、漏斗又は凝血塊モビライザー)であって、近位接続部分を備えるデバイスと、デバイスをカテーテルプッシャに接続された状態に保つように適合された、デバイス近位接続部分とプッシャカテーテル遠位接続部分との間のアタッチメントであって、プッシャカテーテルの外径と実質的に等しい外径を有するアタッチメントとを含む。
【0028】
カテーテルジャケットは任意の適切な熱可塑性材料又はエラストマー材料(elastomeric/elastomer material)、例えば、ショア25、35、40、55、63又は72Dを有するポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標))から作製し得る。特定の実施形態では、カテーテルジャケットが熱可塑性材料、より具体的にはPEBAX(登録商標)40Dから作製される。
【0029】
一実施形態では、内側カテーテル要素は、カテーテルジャケット内に配置された内側ライナ(又は、インナーライナ/inner liner)を備える。一実施形態では、内側ライナがとりわけ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリマー材料を含む。
【0030】
一実施形態では、内側カテーテル要素がカテーテルジャケット内に配置された編組層(braided layer)をさらに備える。特に、編組層は、カテーテルジャケット内に同心円状に配置される。編組層は例えば、ステンレス鋼、ニチノール、液晶ポリマー(LCP)などから作製し得る。特に、それはニチノールでできている。
【0031】
一実施形態では、アタッチメントがデバイスの近位接続部分とカテーテルプッシャの遠位接続部分との間に延在する熱可塑性材料を含む。別の実施形態では、アタッチメントがデバイスの近位接続部分上及びカテーテルプッシャの遠位接続部分上に延在する熱可塑性材料を含む。熱可塑性材料は、近位接続部分と遠位接続部分との間及び/又はその上に延在し得る。
【0032】
前述の実施形態では、プッシャが熱収縮プロセスによって、熱融解又は熱融着によって、化学プロセスによって、又は任意の他の機械的プロセスによって、結合されるか、又は機械的に保持されるスリーブによって、自己拡張型医療デバイスの近位接続部分に取り付けることができる。
【0033】
一実施形態によると、各セルを境界付ける中間セルストラットの幅は、そのセルを境界付ける遠位セルストラットの幅より小さく、かつそのセルを境界付ける近位セルストラットの幅より小さい。
【0034】
一実施形態では、遠位セルストラットはそれぞれ、0.08mm以上0.20mm以下、特に0.08mm~0.10mmの範囲、例えば0.09mmの幅を有する。一実施形態では、近位セルストラットはそれぞれ、0.08mm以上0.20mm以下、特に0.08mm~0.10mmの範囲、例えば0.09mmの幅を有する。一実施形態では、中間セルストラットはそれぞれ、0.05mm以上0.15mm以下、特に0.06mm~0.10mmの範囲、例えば0.075mmの幅を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、遠位セルストラット及び近位セルストラットが実質的に同じ幅を有する。
【0036】
一実施形態では、作用部分が少なくとも3つのセルクラウンを備える。他の実施形態では、作用部分が4つ、5つ、6つ(又はより多く)のセルクラウンを含む。これらの実施形態のいずれかにおいて、各セルクラウンは、少なくとも4つのセルを含む。
【0037】
一実施形態では、中間セルストラットの各々は、ヒンジ部分を含む。別の実施形態では、中間セルストラットの各々が2つのヒンジ部分を含む。これらの実施形態のいずれにおいても、各中間セルストラットの各ヒンジ部分は、中間セルストラットの近位端と遠位端との間に配置される。
【0038】
一実施形態では、ヒンジ部分は、中間セルストラットの中央部分か、又は中間セルストラットの一方の端よりも中間セルストラットの他方の端に近接させて配置され得る屈曲部を含む。他の実施形態では、ヒンジ部分が2つの屈曲部を備える。
【0039】
一実施形態では、ヒンジ部分が増大した曲率の部分を備える。
【0040】
一実施形態では、ヒンジ部分が中間セルストラットと一体化される。
【0041】
一実施形態では、作用部分の各セルクラウンにおいて、遠位セルストラットは自己拡張型医療デバイスの長手軸に沿った等しい遠位セルストラット位置で遠位セルストラットリングに配置され、近位セルストラットはデバイスの長手軸に沿った等しい近位セルストラット位置で近位セルストラットリングに配置され、遠位セルストラットリングの共通の遠位端は近位セルストラットリングの共通の近位端から円周方向にオフセットされている(offset)。
【0042】
一実施形態では、作用部分の複数のセルクラウンの各セルクラウンの遠位セルストラットリングの共通の近位端がそのセルクラウンの近位セルストラットリングの共通の遠位端から、1つの円周方向で円周方向にオフセットされる。
【0043】
一実施態様において、作用部分の複数のセルクラウンのうちの1つのセルクラウンの遠位セルストラットリングの共通の近位端は第一円周方向におけるセルクラウンの近位セルストラットリングの共通の遠位端からオフセットされ、作用部分の複数のセルクラウンの隣接するセルクラウンのセルストラットリングの遠位セルストラットリングの共通の近位端は第一円周方向と反対の第二円周方向におけるセルクラウンの近位セルストラットリングの共通の遠位端からオフセットされる。
【0044】
いくつかの実施態様において、作用部分の複数のセルクラウンのうちの第二のセルクラウンの中間セルストラットは、作用部分の複数のセルクラウンのうちの第一のセルクラウンの遠位セルストラットの共通の遠位端から、作用部分の複数のセルクラウンのうちの第三のセルクラウンの近位セルストラットの共通の近位端まで遠位に延在し、作用部分の第三のセルクラウンの中間セルストラットは、作用部分の第二のセルクラウンの遠位セルストラットの共通の遠位端から、作用部分の複数のセルクラウンのうちの第四のセルクラウンの近位セルストラットの共通の近位端まで遠位に延在する。なお、上記の「第一の」、「第二の」、「第三の」、「第四の」は参照要素として理解されるべきであり、配置要素(すなわち、特定の順序に従う)として理解されるべきではない。すなわち、この特定の実施形態では、「第一のセルクラウン」への指示が必ずしも近位部分から遠位部分への第一のクラウンを指すわけではなく、第一の参照要素を指す。
【0045】
いくつかの実施形態では、各セルクラウン内の各セルの遠位セルストラットが(後/後続の)隣接するセルクラウン内のセルの近位セルストラットを含み得る。
【0046】
代替的に又は相補的に、いくつかの実施形態では、各セルクラウン内の各セルの近位セルストラットが(前/前の)隣接するセルクラウン内のセルの遠位セルストラットを含み得る。
【0047】
一実施形態では、作用部分が少なくとも1つの中間セルクラウン(又は、中間セルのクラウン/crown of intermediate cells)をさらに備える。各中間セルは、2つの遠位セルストラットと交差する2つの近位セルストラットによって境界付けられた開放領域を含む。
【0048】
一実施形態では、少なくとも1つの中間セルクラウン内の各セルの遠位セルストラットが隣接するセルクラウン内のセルの近位セルストラットを含む。
【0049】
一実施形態では、少なくとも1つの中間セルクラウン内の各セルの近位セルストラットが隣接するセルクラウン内のセルの遠位セルストラットを含む。
【0050】
一実施形態では、作用部分が、圧縮形態から2.0mm~5.0mmの直径を有する拡張形態に拡張し、0N~3.5N、例えば0.5N~3.5Nの外向きの半径方向の力を及ぼすように構成される。一実施形態では、作用部分が、圧縮形態から3.0mm~4.5mmの直径を有する拡張形態に拡張し、1N~2Nの外向きの半径方向の力を及ぼすように構成される。
【0051】
一実施形態では、作用部分が2.0mm未満の直径を有する圧縮形態から、少なくとも4.5mmの直径を有する拡張形態に拡張し、圧縮形態の直径と拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において、0.5N~3.5Nの外向きの半径方向の力を及ぼすように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスが漏斗を含む。他の実施形態では、自己拡張型医療デバイスが凝血塊モビライザーを含む。これらの他の実施形態では、凝血塊モビライザーがステント又はステント回収器を含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスがコーティングを含み得る。一実施形態では、デバイスが少なくともテーパ部分又はその一部の上にコーティングを含む。一実施形態では、デバイスが作用部分上にコーティングを含む。一実施形態では、デバイスが接続部分上にコーティングを含む。さらに別の実施形態では、デバイスがテーパ部分、作用部分、及び接続部分のすべて又は一部の上にコーティングを含む。
【0054】
本発明において、最大拡張形態における作用部分の直径は、目的とする血管直径に応じて選択し得る。したがって、いくつかの実施形態では、特に自己拡張型医療デバイスが凝血塊モビライザーを含む場合、そのような直径は2mm以上6mm以下であり得る。漏斗を含む自己拡張型医療デバイスの場合、そのような直径は、4mm以上8mm以下、例えば5.2mm又は6.6mmであり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスが金属、金属合金、又はニチノール又はニチノール/プラチナを含む複合材料から作製し得る。特に、ニチノール材料は、ASTM(American Society of Testing and Materials)F2063(Standard Specification for Wrought Nickel-Titanium Shape Memory Alloys for Medical Devices and Surgical Implants)に準拠している。ニチノールは、その形状記憶特性のおかげで、自己拡張型構造における用途でよく知られている。しかしながら、他の種類の金属又は他の種類の材料、例えば、コバルトクロム合金又は鉄合金、例えば、ステンレス鋼又はばね鋼も使用することができ、形状記憶特性を有する他の材料、例えば、銅又はマグネシウム合金も使用し得る。形状記憶特性及びその構造的形態のおかげで、デバイスはその形状及びその長さを、周囲の管腔(例えば、周囲のキャリア、カテーテル又は血管)に適合させることができ、また、周囲の管腔を通過しながら、デバイスが狭くなり、長くなり、任意の閉塞材料を内部に保持することを可能にする。
【0056】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスが放射線不透過性マーカーを含み得る。一実施形態では、放射線不透過性マーカーが作用部分に含まれる。他の実施形態では、放射線不透過性マーカーが接続部分に含まれる。さらに別の実施形態では、放射線不透過性マーカーがプッシャを有するデバイスの取り付け手段に含まれる。
【0057】
一実施形態では、自己拡張型医療デバイスが、チューブを提供し、それを通る長手方向軸を有し、固定のレーザ放射源を提供し、レーザ放射源を使用してレーザ放射のビームを生成し、チューブの所望の領域にわたってビームを走査することによってチューブ内に所望のパターンを切断することによって製造される。自己拡張型医療デバイスが凝血塊モビライザー(例えば、ステント回収器)である別の実施形態では、自己拡張型医療デバイスが、ワイヤを提供し、それを通る長手方向軸を有し、ステントの所定の形を生成するために、超短パルスレーザーによってワイヤの断面の所定のカットを生成することによって製造される。例えば、使用し得る適切な製造方法は、US10434605B2に記載されている。
【0058】
本発明の別の態様は、本発明の前述の態様の自己拡張型医療デバイスを含む血栓除去装置、及びその特定の実施形態に関する。
【0059】
本発明のさらに別の態様は、患者の血管内の拡張部位に脈管構造を通して自己拡張型医療デバイスを前進させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法が、送達カテーテルを通して送達形態にて血管内の拡張部位まで自己拡張可能医療デバイスを前進させるステップであって、前記デバイスは作用部分と、作用部分の近位端から近位に延びる接続部分とを含み、前記接続部分は脈管構造を通して拡張部位までデバイスを前進させるためのプッシャに接続されるように適合され、前記作用部分は圧縮形態及び拡張形態を含み、拡張形態の直径は圧縮形態の直径よりも大きく、前記作用部分は圧縮形態の直径と拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において外向きの半径方向の力を提供するように構成され、前記作用部分は複数のセルクラウンを備え、各セルは2つの近位セルストラット、2つの遠位セルストラット、及び2つの中間セルストラットによって境界付けられた開放領域を備え、近位セルストラットはそれぞれ、共通の近位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの近位端まで遠位に延在し、遠位セルストラットはそれぞれ、共通の遠位端から2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの遠位端まで近位に延在し、各クラウン内の各中間セルストラットはそのクラウン内の2つの隣接するセルを境界付け、中間セルストラットの各々はそれが延在する遠位セルストラット及び近位セルストラットよりも柔軟であるように適合及び構成される、該ステップと、近位血流を低減(すなわち、部分的又は完全に停止)するのに十分な外向きの半径方向の力を用いて(with)、前記作用部分を拡張部位内の血管の内壁と圧着状態の展開形態(すなわち、拡張形態)に拡張するステップと、デバイス内に閉塞材料(例えば、血栓)を吸引し、捕捉するステップと、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態は拡張ステップの後に、自己拡張型医療デバイスの形状及び長さを周囲の血管に適合させるステップを含み得る。いくつかの他の実施形態は脈管構造内でデバイスを移動させるステップであって、デバイスは血管直径に適合し、閉塞材料をデバイス内に保持するように細くなるにつれて伸長する、該ステップを含むことができる。
【0061】
自己拡張型医療デバイスはコーティングを含むことができ、その場合、上記方法は、血液がコーティングの穴を通って流れることを可能にするステップを含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態は、吸引ステップの後、デバイスを展開形態から回収形態に移動させて(すなわち、閉塞材料が内側にあるとき)、デバイスを患者の体外に引き抜くステップを含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、自己拡張型医療デバイスが接続部分の近位端に取り付けられたプッシャ(例えば、ハイポチューブ又はカテーテル)を含み、その場合、吸引ステップはカテーテルを通して作用部分の内部空間に真空を適用するステップを含むこともできる。
【0064】
その構造及び本明細書に記載されるパラメータから導出される自己拡張型医療デバイスの利点は、以下のように要約し得る:
-圧縮形態で前進させ、拡張部位で拡張させるのに十分な半径方向の力。本デバイスは、安全窓を出ることなく、小さい直径ではより小さい半径方向の力を、大きい直径ではより大きい半径方向の力を可能にする。その結果、外向きの半径方向の力は、異なる直径を有する広範囲の血管に対して維持され、より良好な押し込み性が達成され、血管を損傷するリスクが低減される。また、テーパ部分は、作用部分によって提供される外向きの半径方向の力を増強/強化する。
-「チャイニーズ・フィンガー・トラップ(Chinese finger trap)」効果:この現象はデバイスを後方に引っ張ることによって軸方向の力が加えられるとき、又はデバイスが容器に接触してデバイスが保持又は制動されるときに発生する。内部に物体(例えば、血栓)がある場合、デバイスは長くなる傾向があり、したがって、その直径が減少し、デバイス内部に物体を保持するのに役立つ圧縮を引き起こす。
-押し込み性:メッシュがキャリア内で圧縮されるとき、複数のセルクラウンの構成は、圧縮されるときに適切な適応性及び移動を可能にする。また、テーパ部分は座屈及びねじれを最小限に抑えながら、脈管構造(例えば、神経解剖学的構造)を通してナビゲートされるデバイスに押し込み性を提供する。
-血管内部の適合性は、主に近位、遠位、及び中間のセルストラットの構造によって達成される。これらの特徴は血管の湾曲に対する作用部分の適合を可能にし、デバイスのねじれを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
前述及び他の利点及び特徴は添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろうが、図面は例示的かつ非限定的な方法で考慮されなければならない:
【
図1】
図1A及び1Bは、提案された自己拡張型医療デバイスの2つの異なる実施形態を示す2D図である。
【
図2】
図2A及び2Bは、それぞれ、
図1A及び
図1Bに示される提案される自己拡張型医療デバイスの2D実施形態の3D図である。
【
図3】
図3A及び3Bは、それぞれ、
図1A及び
図1Bに示される提案される自己拡張型医療デバイスの2D実施形態の3D図である。この場合、
図2A及び
図2B図とは異なり、自己拡張型医療デバイスは、コーティングを含む。
【
図4】
図4は、自己拡張型医療デバイスを脈管構造を通して拡張部位まで前進させるために使用し得るプッシャ要素の様々な例を示す。
【
図5】
図5A及び5Bは、提案された自己拡張型医療デバイスの他の実施形態を示す。
【
図6】
図6A~6Bは、いくつかの実施形態による、第一取り付け面及びプッシャ取り付け面の断面図の幾何学的形状を概略的に示す。
【
図7】
図7A~7Bは、他の実施形態による、第一取り付け面及びプッシャ取り付け面の断面図の幾何学的形状を概略的に示す。
【
図8】
図8は実施例1で説明されるように、提案される自己拡張型医療デバイスの異なる実施形態間の比較(半径方向外向き力対直径)をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1A及び
図1B(提案された自己拡張型医療デバイス1、又は単にデバイス1を作製するために中実管から切断されるパターンを示す)を参照すると、血管内の拡張部位への脈管構造を通っての前進のための、デバイス1の2つの異なる実施形態が示されている。これらの実施形態のいずれにおいても、漏斗(又は、ファネル/funnel)又は凝血塊モビライザーであり得るデバイス1は、作用部分(又は、作動部分/working portion)101と、作用部分101の近位端から近位に延在する接続部分103とを有し、この接続部分は、接続部分から近位に延在するプッシャ200、300に接続され得る。
【0067】
本明細書中に記載される作用部分101は、作用部分101の圧縮形態の直径と作用部分101の拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において外向きの半径方向力を提供するように配置され、構成される。いくつかの実施形態では、作用部分101が2.0mm未満の直径を有する圧縮形態から、少なくとも4.0mmの直径を有する拡張形態に拡張することができ、圧縮形態の直径と拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において、0.5N~3.5Nの外向き半径方向力を及ぼすことができる。他の実施形態では、作用部分101が3.0mm未満の直径を有する圧縮形態から、少なくとも4.5mmである直径を有する拡張形態に拡張することができ、圧縮形態の直径と拡張形態の直径とを含むそれらの間のあらゆる直径において、1.0N~2.0Nの外向き半径方向力を及ぼすことができる。
【0068】
図1A及び
図1Bの実施形態では、作用部分101は、円筒状に閉じた構造を形成する管状の部分を形成する複数のセル111のクラウン110を備える。接続部分103も、特に、円筒状に閉じた構造を形成する管状の部分を有する。より具体的には
図1Aの実施形態では作用部分101は5つのセル111のクラウン110を有し、一方、
図1Bの実施形態では作用部分101は4つのセル111のクラウン110を有する。これは限定的ではないが、他の実施形態ではこの場合、図示されていないが、作用部分101は単に各々が(少なくとも)4つのセルを有する(少なくとも)3つのセルクラウンを備える必要がある。
【0069】
作用部分101のセルの各々は、2つの近位セルストラット130、2つの遠位セルストラット132、及び2つの中間セルストラット112によって境界付けられた開放領域を有する。近位セルストラット130はそれぞれ、共通近位端134から2つの中間セルストラット112のそれぞれの1つの近位端135まで遠位に延在し、遠位セルストラット132はそれぞれ、共通遠位端136から2つの中間セルストラット112のそれぞれの1つの遠位端133まで近位に延在する。各クラウン内の各中間セルストラット112はそのクラウン内の2つの隣接するセル111に接し、それが延在する遠位セルストラット132及び近位セルストラット130よりも柔軟であるように適合及び構成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、各セルクラウン内の各セル111の遠位セルストラット132が(後の/後続の)隣接するセルクラウン内のセル111の近位セルストラット130を備えることができる。代替的又は相補的に、いくつかの実施形態では、各セルクラウン内の各セル111の近位セルストラット130が(前の/先の)隣接するセルクラウン内のセル111の遠位セルストラット132を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、各セル111に隣接する中間セルストラット112がセル111に隣接する遠位セルストラット132の幅よりも小さく、セル111に隣接する近位セルストラット130の幅よりも小さい幅を有し得る。より具体的には、中間セルストラット112はそれぞれ、0.05mm以上0.15mm以下、例えば0.075mmの幅を有することができ、遠位セルストラット132はそれぞれ、0.08mm以上0.20mm以下、例えば0.09mmの幅を有することができ、近位セルストラット130はそれぞれ、0.08mm以上0.20mm以下、例えば0.09mmの幅を有し得る。さらにいくつかの実施形態では、遠位セルストラット132及び近位セルストラット130が実質的に同じ幅を有し得る。
【0072】
図に見られるように、中間セルストラット112は増加した曲率の部分を有する1つ又は2つのヒンジ部分140を一体化し、これ(これら)は、中間セルストラット112の近位端と遠位端との間に配置/配列される。
図1Bでは、各ヒンジ部分140が中間セルストラット112の中央部分に配置され得るか、又は中間セルストラット112の一方の端部よりも中間セルストラット112の他方の端部の近くに配置され得る屈曲部をさらに含む。他の実施形態では、ヒンジ部分140が2つの屈曲部を備える。
【0073】
作用部分101の各セル111のクラウン110において、遠位セルストラット132はデバイス1の長手方向軸に沿った等しい遠位セルストラット位置で遠位セルストラットリング114に配置され、近位セルストラット130はデバイス1の長手方向軸に沿った等しい近位セルストラット位置で近位セルストラットリング113に配置され、遠位セルストラットリング114の共通の遠位端は、近位セルストラットリング113の共通の近位端から円周方向にオフセットされ、特に1つ(
図1A又は2Aを参照)又は2つ以上(
図1B又は2Bを参照)の円周方向にオフセットされる。
【0074】
いくつかの実施形態では作用部分101はまた、少なくとも1つの中間セルクラウンを含むことができ、各中間セルは2つの遠位セルストラットと交差する2つの近位セルストラットによって境界付けられた開放領域を含む。少なくとも1つの中間セルクラウン内の各セルの遠位セルストラットは、隣接するセルクラウン内のセルの近位セルストラットを含み得る。同様に、少なくとも1つの中間セルクラウン内の各セルの近位セルストラットは、隣接するセルクラウン内のセルの遠位セルストラットを含み得る。
【0075】
図から分かるように。
図1A及び
図1Bを参照すると、特に、作用部分101は、その近位端にテーパ部分102も含む。テーパ部分102は、複数のテーパ部分ストラットを備え、近位端において、作用部分101の拡張直径よりも小さい拡張直径を有する。これらの実施形態では、テーパ部分102は閉じた構造を有する円錐台形状を画定する拡張形態を有する。さらに、テーパ部分102は、複数のセル111のクラウン110のうちの1つ又は複数のセルクラウンを含む。テーパ部分102は、接続部分103の遠位端で収束する。
【0076】
図1Aの実施形態ではテーパ部分102はまた、セルクラウン150を含み、各セルは2つの近位セルストラット及び2つの遠位セルストラットによって境界付けられた開放領域を含む。各セルにおいて、近位セルストラットは各々、共通の近位端から遠位セルストラットの近位端まで遠位に延在し、遠位のセルストラットは各々、それらの近位端から共通の遠位端まで遠位に延在する。
【0077】
接続部分103に関して、後者は少なくとも1つのセル121のクラウン120を含み、ここで、各セル121は、2つの近位セルストラット、2つの遠位セルストラット、及び2つの中間セルストラットによって境界付けられた開放領域を有する。近位セルストラットは各々、共通の近位端から、2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの近位端まで遠位に延びる。遠位セルストラットは各々、共通の遠位端から、2つの中間セルストラットのそれぞれの1つの遠位端まで近位に延びる。各中間セルストラットは2つの半径方向に隣接する(radially adjacent)セルを境界付けており、それが伸長する遠位セルストラット及び近位セルストラットよりも柔軟であるように構成されている。接続部分103はプッシャ200、300に接続される取り付け面104(又は第一取り付け面)を有する(そのさらなる詳細については
図6A~
図6B及び
図7A~
図7Bを参照されたい)。
【0078】
デバイス1は、金属、金属合金、又はニチノール又はニチノール/白金を含む複合材料から作製し得る。しかしながら、他の種類の金属又は他の種類の材料、例えば、コバルトクロム合金又は鉄合金、例えば、ステンレス鋼又はばね鋼も使用することができ、形状記憶特性を有する他の材料、例えば、銅又はマグネシウム合金も使用し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、
図3A及び
図3Bに例示されるように、デバイス1は例えば、ポリマー材料で完全にコーティングされている。いくつかの実施形態では、コーティングが親水性又は疎水性材料である。いくつかの実施形態では、コーティングが非透過性コーティングであり得る。代替的に又は補完的に、コーティングは、とりわけ、ポリウレタン又はシリコーンなどのエラストマー又は熱可塑性エラストマー材料を含み得る。
図3A及び3Bの実施形態ではコーティングがデバイス1の表面全体にわたって配置されるが、図示されない他の実施形態ではコーティングが作用部分101、テーパ部分102、又は接続部分103のうちの少なくとも1つを単に覆うことができる。
【0080】
コーティングは非外傷性である(すなわち、血管壁の損傷を回避する)ので、コーティングは、血管内の標的部位から血栓などの閉塞物質を安全に回収/抽出することを可能にする。さらに、コーティングは適切な抽出/回収のために、閉塞材料とのデバイス1の相互作用を増加させ得る。また、コーティングは、デバイス1によって周囲の血管に加えられる半径方向外向きの力を増加させ得る。最後に、少なくともテーパ部分102における非透過性被覆はデバイス1が血流を減少させる(すなわち、部分的に、又は完全に停止させる)ことを可能にする。
【0081】
ここで
図4を参照すると、接続部分103に取り付けることができる様々なプッシャ要素200、300が示されている。プッシャ要素200、300は遠位に延在するプッシャ接続部分と、プッシャ取り付け面204、304とを有する(そのさらなる詳細については
図6A~6B及び
図7A~7Bを参照されたい)。
図4に示すように、プッシャ300はカテーテル400又はハイポチューブ500のいずれかを含むが、これらに限定されない。プッシャ200は、プッシャワイヤ(200)を備えることができる。
【0082】
図5A~5Bを参照すると、デバイス1の別の実施形態が示されている。この場合、前述の実施形態とは異なり、作用部分101及びテーパ部分102もチューブから切断されるが、接続部分103は円筒状に閉じた構造を形成する管状の部分を含まない。図に示されるように、近位セルストラットリング113、遠位セルストラットリング114、及び中間セルストラット112によって画定されるセル110のクラウンを有する作用部分101は、近位セルストラット130の共通遠位端136と遠位セルストラット132の共通近位端134との間に延在する。クラウンの遠位セルストラット132はデバイス1の長手軸に沿った等しい遠位セルストラット位置で遠位セルストラットリング114に配置され、そして、前記クラウン110の近位セルストラット130はデバイス1の長手軸に沿った等しい位置で近位セルストラットリング113に配置される。
【0083】
特に、
図5Aの平坦化された図(これは、デバイス1を作製するために中実管から切断されるパターンを示す)に示されるように、中間セルストラット112はそれぞれ、近位セルストラット130の幅及び遠位セルストラット132の幅よりも小さい幅を有し、それによって、中間セルストラット112を、近位セルストラット130及び遠位セルストラット132よりも柔軟にする。いくつかの実施形態では、遠位セルストラット132及び近位セルストラット130が実質的に同じ幅を有し得る。
【0084】
図5A~5Bの実施形態では、複数のセルクラウンのうちの第一のセルクラウンの遠位セルストラットリング114の共通の近位端(すなわち、中間セルストラット112の近位端)は第一円周方向に、第一のセルクラウンの近位セルストラットリング113の共通の遠位端(すなわち、中間セルストラット112の遠位端からオフセットされ(又は、ずらされ/offset)、複数のセルクラウンのうちの第二のセルクラウンの遠位セルストラットリング114の共通の近位端(すなわち、中間セルストラット112の近位端は第一円周方向とは反対の第二円周方向に、第二のセルクラウンの近位セルストラットリング113の共通の遠位端(すなわち、中間セルストラット112の遠位端からオフセットされる。このパターンは、後続のセルクラウンについて(又は、後続のセルクラウンと共に)、各連続するセルクラウンにおいて近位セルストラットリングの共通の遠位端が第一円周方向及び第二円周方向に交互にオフセットされるように、繰り返される。したがって、クラウンは、ジグザグパターンで互いに対して構成される。(
図1Aに見られるような)他の実施形態では、クラウンが1つの円周方向にのみ配置されることができ、螺旋パターンで互いに対して構成される。
【0085】
図5A~
図5Bの実施形態におけるテーパ部分102は、4つのテーパ部分ストラットと放射線不透過性マーカー107とを含む。追加の放射線不透過性マーカー107もまた、作用部分101の遠位端に配置される。ユーザのニーズに応じて、追加の放射線不透過性マーカー107をデバイス1の他の部分に含めることができる。
【0086】
図6A~6B及び図を参照する。7A-7B,これらの図は、接続部分103の第一取り付け面104の断面形状、及びプッシャ200、300のプッシャ取り付け面204、304の断面形状、及びそれらの対応する配置の複数の実施形態を示す。
【0087】
図6A~6Bは、プッシャ200がプッシャワイヤである2つの実施形態を示す。プッシャ接続部分204と接続部分103の第一取り付け面104とは、同軸に配置されている。
図6Aでは、接続部分103が環の一部の断面形状を含む。
図6Bでは、接続部分103が円形の断面形状を含む。
【0088】
ここで、
図7A及び
図7Bに関して、プッシャ300は特に、チューブを備える。チューブは、カテーテル400又はハイポチューブ500とし得る。両方の図は、プッシャ接続部分304と接続部分103の第一取り付け面104との間の同軸配置を示す。
図7Aでは、プッシャ接続部分304が接続部分103の取り付け面104の上を覆って同軸に(すなわち、同軸外側に)配置される。
図7Bでは、接続部分103の取り付け面104がプッシャ接続部分304の上を覆って同軸に(すなわち、同軸外側に)配置される。
【0089】
実施例1:本発明の自己拡張型医療デバイスと対照デバイスとの間の半径方向の力の比較
<イントロダクション>
この試験は、血管の管腔直径に応じて、本発明の自己拡張型医療デバイス(
図1A、2A-コーティングされていないもの-及び3A-コーティングされたもの-の実施形態に記載されている)によって生成される外向きの半径方向の力(壁圧着/wall apposition)を比較するために開発された。データを抽出した後、対照デバイス(対照、コーティング及び非コーティング)に対して試験したデバイス(試料1、コーティング及び非コーティング)を比較するグラフ記述(外向き半径方向の力対血管径)を生成した。
【0090】
<方法>
試料1及び対照の両方を、コーティングの有無に関わらず、半径方向の力(RF)測定について試験した。Machine Solutions Inc.製のRX550を用いて、試料1及び対照のRF及び直径の両方を測定した。ヘッド(12個のセグメント)の特定の幾何学的形状は、非常に低い摩擦力で、試験されるデバイスを均一に圧縮することを可能にする。RX550温度を規定の試験温度に設定した。試料をヘッドに導入し、プロファイル(profile)を開始した:RXベンチは、指定されたプロファイルに従って直径を減少及び/又は増加させ、RF及び直径を記録した。試験の終了時、RX550ヘッドを開き、試験されたデバイスをRX550から取り出し、次いで、その対応する容器内に配置した。最後に、血管の直径に対する個々のRFを示す
図8をプロットした。
【0091】
試験された自己拡張型医療デバイスの意図された使用は特に、2.0mm~5.0mmである。しかしながら、より大きな血管直径(例えば、6.0mm)を意図する他の自己拡張型医療デバイスは以下に説明するように、同じ要件に従うべきであり、したがって、フラット・カーブ(又は、平坦な曲線/flat-curve)挙動を示す。
【0092】
RF安全限界は、対照の2N±1.5N付近の値を考慮して、3.5N(すなわち、安全上限)未満の値を有するべき2.0mmの血管径から開始して定義した。この値は内皮損傷がないことを保証し、したがって、最大値として設定された。一方、最小値は血管径5.0mmで終わるように定義し、脈管構造標的部位に到達し、最適条件で血栓を抽出するための最小値である0N(安全下限)より大きい値を有するべきであると定義され、対照によれば、0.5N付近の値が最適である。神経血管介入のほとんどは3.0mm~4.5mmの範囲の直径を有する血管において行われ、したがって、これらの直径における1N~2Nの半径方向力値は介入を成功させるのに最適である。
【0093】
2つの対照を試験した:1つはコーティングされておらず、もう1つはシリコーンポリマーコーティングでコーティングされている。同様に、2つの試料1を試験した:1つはコーティングされておらず、もう1つはシリコーンポリマーコーティングでコーティングされている。コーティングは非外傷性であり(すなわち、血管の損傷を低減し)、脈管構造を通って、又はキャリアの内部を移動するときにデバイスの潤滑性を改善し、デバイスが拡張形態での血流を低減することを可能にする。さらに、コーティングの追加はデバイスによって周囲の管腔(例えば、血管又はキャリア)に加えられる半径方向外向きの力を増加させる。
【0094】
<結果>
図8に示すように、2つの試験されたデバイス(試料1)によって生成されたRFの値は血管直径に関して、最大限界3.5Nと最小限界0.5Nとの間であり、結果は、血管直径の最適範囲(2.0mm~5.0mm)内に刻まれ、広範囲の血管について平坦な曲線を生成した。したがって、提案されたデバイス1によって提供される曲線は小さい直径の下側RF(安全上限、すなわち、3.5Nよりも)及び大きい直径の上側RF(安全下限、すなわち、0.5Nよりも大きい)が許容され、したがって、制限された安全ウィンドウを残すような方法をもたらした。注目すべきことに、小さい直径において安全上限よりも低いRF値を有するという事実により、血管を損傷する危険性が低減される。また、3.0mmと4.5mm付近の共通範囲内の直径の外向き半径方向力を1~2Nの最適範囲内に刻み、介入成功を証明した。
【0095】
したがって、自己拡張型医療デバイスの外向きの半径方向の力は、異なる直径を有する広範囲の血管に対して維持され、血管を損傷するリスクが低減される。結論として、提案された医療デバイスは異なる直径の血管において使用可能であり、それらの柔軟性及び押し込み性は、標的位置において拡張されるように脈管構造を通る適切なナビゲーション可能性を証明する。
【0096】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という用語及び「含む(comprising)」などのその変形は、他の技術的特徴、構成要素、ステップ、動作、及び/又はそれらのグループを排除することを意図するものではない。本発明のさらなる目的、利点、及び特徴は、説明を検討することによって当業者に明らかになるか、又は本発明を実施することによって知ることができる。さらに、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態の全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、様々な説明された方法ステップが実行される順序は代替実施形態ではしばしば変更されることができ、他の代替実施形態では1つ又は複数の方法ステップが完全にスキップされ得る。様々なデバイス及びシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態には含まれなくてもよい。したがって、前述の説明は主に例示目的のために提供され、特許請求の範囲に記載されるように、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0097】
さらに、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明らかに別異のことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。しかし、用語「第一」、「第二」は。「第三」、「第四」などは、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために本明細書で使用されることができ、これらの特徴/要素は文脈が別異のことを示さない限り、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用され得る。したがって、以下で論じられる第一特徴/要素は第二特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下で論じられる第二特徴/要素は、本発明の教示から逸脱することなく、第一特徴/要素と呼ぶことができる。
【0098】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される測定値、条件などを表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の主題によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。「約」又は「およそ」という語句は、説明される値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために、大きさ及び/又は位置を説明するときに使用され得る。例えば、数値は、記載された値の±0.1%(又は値の範囲)、記載された値の±1%(又は値の範囲)、記載された値の±2%(又は値の範囲)、記載された値の±5%(又は値の範囲)、記載された値の±10%(又は値の範囲)などの値を有し得る。本明細書に与えられる任意の数値はまた、文脈が別異のことを示さない限り、その値について又はおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、「10」という数値が記載されている場合、「10」そのものと「約10」が記載されていると考える。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことが意図される。当業者によって適切に理解されるように、値が開示される場合、値「以下」、「値以上」、及び値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。また、本出願を通して、データは多数の異なるフォーマットで提供され、このデータは終点及び開始点、ならびにデータ点の任意の組合せの範囲を表すことも理解されたい。例えば、「10」というデータと「15」というデータが記載されている場合、これら数値より大きいもの、これら数値以上のもの、これら数値より小さいもの、これら数値以下のもの、及びこれら数値そのものが記載されていると考えると共に、これら数値同士の間の範囲(10から15まで)も記載されていると考える。さらに、2つの値の間の一単位も記載されていると考える。例えば、「10」と「15」が記載されている場合、それらの間の一単位である「11」、「12」、「13」、「14」も全て記載されていると考える。
【0099】
本開示及び/又はいくつかの他の例を上記で説明した。上記の説明によれば、様々な変更を行うことができる。特許請求の範囲において保護されることが必要とされるすべての適用、修正、及び変更は、本開示の保護範囲内であり得る。
【0100】
本発明の範囲は、以下の請求項のセットにおいて定義される。
【国際調査報告】