(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス
(51)【国際特許分類】
B23K 9/18 20060101AFI20240229BHJP
B23K 9/23 20060101ALI20240229BHJP
B23K 35/30 20060101ALI20240229BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B23K9/18 F
B23K9/18 G
B23K9/23 Z
B23K35/30 320F
B23K9/00 501B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552174
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2021110539
(87)【国際公開番号】W WO2022236976
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110520230.0
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519226115
【氏名又は名称】南京鋼鉄股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 一新
(72)【発明者】
【氏名】▲チァオ▼ 明亮
(72)【発明者】
【氏名】劉 涛
(72)【発明者】
【氏名】崔 強
(72)【発明者】
【氏名】王 軍
(72)【発明者】
【氏名】李 松
(72)【発明者】
【氏名】陳 林恒
(72)【発明者】
【氏名】尹 雨群
(72)【発明者】
【氏名】王 紅鴻
【テーマコード(参考)】
4E001
4E081
【Fターム(参考)】
4E001AA02
4E001BB05
4E001CA02
4E001CA07
4E001DC05
4E081YB10
4E081YX02
4E081YX08
4E081YX16
(57)【要約】
本発明は、TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスを開示し、この橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスの技術的障壁を克服し、高性能橋梁鋼に適合する溶接材料及び溶接プロセスパラメータを採用し、大きい入熱条件での厚肉橋梁鋼の溶接継手の低温靱性、強度及び冷間曲げ性能が両立し難い問題を解決し、-40℃での継手の各部の衝撃靱性が60Jよりも高いという高水準の要件を満たし、強度と靭性の適合性及び冷間曲げ成形性能に優れる。本発明は、TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接製造過程において溶接前に低温で予熱することを実現し、溶接後に熱処理プロセスを行う必要がなく、実施過程で溶接継手の優れた性能と溶接継目の好適な成形との両者を両立させる効果を達成することができ、実用性が高く、効率的でエネルギーを節約し、大きい経済的利益をもたらし、大スパン構造の重荷重工事用の高強度・低降伏比橋梁鋼の普及と使用に適する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材の性能に適合する溶接ワイヤ及びフラックスを選択し、前記溶接ワイヤの引張強度は850Mpa以上であり、開先形態は対称V形開先であり、溶接パラメータとしては、溶接前予熱温度を80~100℃に制御し、サブマージアーク溶接フラックスに乾燥処理を行い、裏当て溶接電流を450~460Aとし、アーク電圧を30~32Vとし、溶接速度を540~543mm/minとし、裏当て溶接入熱を15~16kJ/cmとし、充填溶接電流を490~650Aとし、アーク電圧を30~38Vとし、溶接速度を350~353mm/minとし、充填溶接入熱を25~42kJ/cmとし、複合鋼板の突き合せ継手を多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接により溶接し、その溶接継目の層間温度を80~120℃に制御することを特徴とするTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項2】
前記母材の性能としては、降伏強度R
eLが760~780MPaであり、引張強度R
mが870~890MPaであり、伸び率Aが14~16%であり、-40℃での衝撃エネルギーAkv≧200Jであることを特徴とする請求項1に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項3】
前記溶接ワイヤは、モデルがCHW-S80CFであり、直径が4mmであることを特徴とする請求項1に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項4】
前記溶接ワイヤの成分は、質量百分率で、C:0.03~0.06%、Mn:1.0~1.5%、Si:0.2~0.5%、S:≦0.003%、P:≦0.005%、Ni:2.5~4.5%、Mo:0.3~0.6%、Nb:0.01~0.03%、Ti:0.02~0.04%、Alt:0.02~0.04%を含み、残部はFe及び不可避的な不純物を含むことを特徴とする請求項3に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項5】
前記フラックスのモデルはCHF606であることを特徴とする請求項1に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項6】
前記対称V形開先の表面開先及び裏面開先の角度は45~60°であり、根元部に3~5mmの鈍端が残されていることを特徴とする請求項1に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項7】
前記対称V形開先の表面開先及び裏面開先の角度は60°であり、根元部に4mmの鈍端が残されていることを特徴とする請求項6に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【請求項8】
溶接後に溶接継手の性能を試験したところ、引張強度R
m≧870MPaであり、継手の引張破断位置は母材にあり、継手の側曲げd=3aであり、180°の場合に合格し、鋼板の表層及び1/2厚さの位置の溶接継目、ボンド部及びボンド部から1mm、2mmから離れた箇所の-40℃での衝撃エネルギーAkv≧60Jであることを特徴とする請求項1に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁鋼の技術分野に属し、具体的には、TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
経済の迅速な発展及び内需の牽引に伴い、インフラ投資が大幅に増加し、大スパン・多車線の重荷重に耐える橋梁工事も明らかに増えている。現在、橋梁用鋼は、高強度、高靱性、低降伏比及び高溶接性の方向へ発展しつつあり、高強度・高溶接性の橋梁用鋼の大量使用は、中国の鋼構造橋梁業界の迅速な高度化と飛躍的な発展を実現する重要なシンボルであり、中国の鋼構造橋梁業界が世界トップレベルにある重要な指標である。
【0003】
溶接は、橋梁用鋼の適用価値を実現するための最も重要な加工手段であり、溶接性能も高強度・高靱性橋梁用鋼の最も重要な使用性能の1つである。鋼材の強度の高まりにつれて、鋼材の溶接品質要求も高くなり、継手の品質が橋梁の使用上の安全性と信頼性に直接影響を与える。継手の強度と靱性は、母材の化学成分、製造プロセス及び溶接熱サイクルなどの様々な条件によって決定され、異なる溶接プロセスによって溶接継目及び熱影響領域に異なる組織が生じることになり、溶接入熱は、溶接継手の衝撃靱性と強度に影響を与えるキーポイントである。厚肉橋梁鋼の実際な適用において、溶接効率を高めるために、通常、入熱量を可能な限り大きくして溶接するが、溶接熱サイクルの過程でピーク温度が高いため、溶接金属に粗大な初析フェライトが生じやすく、特に板厚が大きい場合、高温での滞留時間が長く、粗粒の熱影響領域に一層粗大なラスベイナイト及び粒状ベイナイトが生じやすく、これによって継手が脆化し、継手の性能を保証し難いことに留意されたい。同時に、実際の工事用途では、690MPa級の建設機械、海洋土木及び構造鋼の出荷状態は、主にQT状態であるが、このような鋼板は、製造周期が長く、工程が複雑であり、プロセスコストが高いだけでなく、調質処理後の焼戻しソルバイト組織の発生によって降伏比が高くなり(>0.93)、耐震性能を保証し難い。TMCP状態の鋼材は、その製造プロセスが相対的に簡単であり、制御圧延・制御冷却により組織を調整することで降伏比を低下可能であるなどの利点を有するため、新時代の橋梁鋼の発展方向となっているが、TMCP状態の鋼材はQT状態に比べて組織の均一性が悪く応力が大きいなどの問題があるため、橋梁鋼の溶接施工が困難となる。
【0004】
TMCP状態の高強度・低降伏比橋梁鋼の溶接品質を保証すると同時に、継手の機械的特性(低温靱性、強度など)と冷間曲げ性能を両立させるために、高性能・低降伏比橋梁鋼を開発し、溶接材料を合理的に適合させ、溶接プロセスパラメータを選択することは、技術上のキーポイントである。そのために、南京鋼鉄聯合有限公司は、低炭素、Nb-Cr-Ni-Moなどの多元素(マイクロ)合金化技術を採用し、析出強化、固溶強化及び細粒強化の効果を利用し、強度と靱性に優れ、冷間曲げ性能が良好である厚肉橋梁用鋼を開発して製造し、実際のレベルは、降伏強度ReL≧690MPa、引張強度Rm≧770MPa、降伏比YR≦0.86、伸び率A≧14%、-40℃での衝撃エネルギーAkv≧200Jであり、同時に継手の強度が母材を下回らず、継手の各部位(WM、FL、FL+1、FL+2)の-40℃での低温衝撃靱性Akv≧60Jであり、冷間曲げ性能が合格することを保証し、この技術要件は、現段階で中国の690MPa級の橋梁鋼の中で最も厳しく、世界トップレベルでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における欠陥を克服するために、本発明は、TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼の溶接継手の強度、低温靱性と冷間曲げ成形性能を同時に保証するTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスは、母材の性能に適合する溶接ワイヤ及びフラックスを選択し、前記溶接ワイヤの引張強度は850Mpa以上であり、開先形態は対称V形開先であり、溶接パラメータとしては、溶接前予熱温度を80~100℃に制御し、サブマージアーク溶接フラックスに乾燥処理を行い、裏当て溶接電流を450~460Aとし、アーク電圧を30~32Vとし、溶接速度を540~543mm/minとし、裏当て溶接入熱を15~16kJ/cmとし、充填溶接電流を490~650Aとし、アーク電圧を30~38Vとし、溶接速度を350~353mm/minとし、充填溶接入熱を25~42kJ/cmとし、複合鋼板の突き合せ継手を多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接により溶接し、その溶接継目の層間温度を80~120℃に制御する。
【0007】
このプロセスのメカニズムは以下の通りである。
【0008】
(1)溶接材料
溶接材料を選択する際に、まず溶接金属の強度及び-40℃での衝撃靱性が母材に可能な限り適合することを考慮し、前記母材は厚板であり、その性能は、降伏強度ReLが760~780MPaであり、引張強度Rmが870~890MPaであり、伸び率Aが14~16%であり、-40℃での衝撃エネルギーAkv≧200Jであるため、選択されるサブマージアーク溶接ワイヤの引張強度Rm≧850MPaであり、溶接ワイヤは、モデルがCHW-S80CFであり、直径が4mmである。使用される溶接ワイヤの成分は、重量百分率で、C:0.03~0.06%、Mn:1.0~1.5%、Si:0.2~0.5%、S:≦0.003%、P:≦0.005%、Ni:2.5~4.5%、Mo:0.3~0.6%、Nb:0.01~0.03%、Ti:0.02~0.04%、Alt:0.02~0.04%を含み、残部はFe及び不可避的な不純物を含む。モデルCHF606のフラックスを溶接材料とし、形成された溶接金属が高純度であり、且つ溶接継目組織は主に微細な針状フェライトであり、強度と靱性を兼ね備える。
【0009】
(2)溶接予熱温度
本発明は、鋼材溶接熱影響領域の水素誘起割れ感受性を評価するために、EN10225-2009付録G規格の規定に従って制御可能な熱拘束(CTS)試験を行い、突き合せ継手の溶接熱影響領域の根元部の割れ感受性を評価するために、API RP 2Z-2005規格に従って溶接割れ試験を行い、鋼材溶接の冷間割れ傾向を評価するために、EN10225-2009付録F規格の規定に従って表面肉盛溶接硬度試験を行う。異なる溶接前予熱温度試験により、使用されるTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接では高拘束条件で80~100℃の低温予熱を行うべきであることを判定した。
【0010】
(3)溶接入熱
溶接入熱がコストに直接影響を与え、特に厚肉鋼材の場合、入熱量が低ければ、多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接の効率を大幅に低下させてコストを増やすため、現段階で橋梁鋼の実際サブマージアーク溶接に採用される入熱量は25kJ/cm程度であり、本発明は、25~42kJ/cmの入熱量でTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接継手の組織性能を研究し、継手の室温引張性能及び高温引張性能、各部の-40℃でのV形切欠きのシャルピー衝撃エネルギー及び継手の冷間曲げ性能を測定する。
【0011】
溶接後に溶接継手の性能を試験したところ、引張強度Rm≧870MPaであり、継手の引張破断位置は母材にあり、継手の側曲げd=3aであり、180°の場合に合格し、鋼板の表層及び1/2厚さの位置の溶接継目、ボンド部及びボンド部から1mm、2mmから離れた箇所の-40℃での衝撃エネルギーAkv≧60Jである。
【発明の効果】
【0012】
従来技術に比べ、本発明は、TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスの技術的障壁を克服し、高性能橋梁鋼に適合する溶接材料及び溶接プロセスパラメータを採用し、大きい入熱条件での厚肉橋梁鋼の溶接継手の低温靱性、強度及び冷間曲げ性能が両立し難い問題を解決し、-40℃での継手の各部の衝撃靱性が60Jよりも高いという高水準の要件を満たし、強度と靭性の適合性及び冷間曲げ成形性能に優れる。本発明は、TMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接製造過程において溶接前に低温で予熱することを実現し、溶接後に熱処理プロセスを行う必要がなく、実施過程で溶接継手の優れた性能と溶接継目の好適な成形との両者を両立させる効果を達成することができ、実用性が高く、効率的でエネルギーを節約し、大きい経済的利益をもたらし、大スパン構造の重荷重工事用の高強度・低降伏比橋梁鋼の普及と使用に適する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例において採用される対称V形開先のパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例1は、本発明のTMCP状態の厚肉・高強度・低降伏比橋梁鋼のサブマージアーク溶接プロセスを採用し、具体的に以下のステップを含む。
【0015】
(1)熱機械制御圧延(TMCP)により製造した強度と靱性に優れた厚さ50mmの橋梁用鋼を採用し、溶接試験板の組み合わせは50mm+50mmであり、試験板のサイズは800mm(長さ)×200mm(幅)×50mm(厚さ)である。
【0016】
(2)適合する溶接材料:溶接ワイヤの化学成分及び重量百分率は、C:0.03~0.06%、Mn:1.0~1.5%、Si:0.2~0.5%、S:≦0.003%、P:≦0.005%、Ni:2.5~4.5%、Mo:0.3~0.6%、Nb:0.01~0.03%、Ti:0.02~0.04%、Alt:0.02~0.04%であり、残部はFe及び不可避的な不純物であり、溶接ワイヤは、モデルがCHW-S80CFであり、直径Φが4mmであり、引張強度≧850MPaであり、フラックスのモデルはCHF606である。
【0017】
(3)サブマージアーク溶接開先:
図1に示される対称V形開先を採用し、表面開先及び裏面開先の角度はいずれも60°であり、根元部に4mmの鈍端が残されている。
【0018】
(4)溶接プロセスパラメータ:溶接前予熱温度は80~100℃であり、サブマージアーク溶接フラックスを200~300℃で2h乾燥処理し、裏当て溶接電流は450~460Aであり、アーク電圧は30~32Vであり、溶接速度は540~543mm/minであり、裏当て溶接入熱は15~16kJ/cmであり、充填溶接電流は490~500Aであり、アーク電圧は30~32Vであり、溶接速度は350~353mm/minであり、充填溶接入熱は25~27kJ/cmである。厚さが50mm+50mmの複合鋼板の突き合せ継手を多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接により溶接し、その溶接継目の層間温度を80~120℃に制御する。
【0019】
実施例2~4は、実施例1と殆ど同じであり、相違点は以下の通りである。
【0020】
実施例2のステップ(4)の溶接プロセスパラメータについて、溶接前予熱温度は80~100℃であり、サブマージアーク溶接フラックスを200~300℃で2h処理し、裏当て溶接電流は450~460Aであり、アーク電圧は30~32Vであり、溶接速度は540~543mm/minであり、裏当て溶接入熱は15~16kJ/cmであり、充填溶接電流は545~555Aであり、アーク電圧は32~34Vであり、溶接速度は350~353mm/minであり、充填溶接入熱は30~32kJ/cmである。厚さが50mm+50mmの複合鋼板の突き合せ継手を多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接により溶接し、その溶接継目の層間温度を80~120℃に制御する。
【0021】
実施例3のステップ(4)の溶接プロセスパラメータについて、溶接前予熱温度は80~100℃であり、サブマージアーク溶接フラックスを200~300℃で2h処理し、裏当て溶接電流は450~460Aであり、アーク電圧は30~32Vであり、溶接速度は540~543mm/minであり、裏当て溶接入熱は15~16kJ/cmであり、充填溶接電流は600~610Aであり、アーク電圧は34~36Vであり、溶接速度は350~353mm/minであり、充填溶接入熱は35~37kJ/cmである。厚さが50mm+50mmの複合鋼板の突き合せ継手を多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接により溶接し、その溶接継目の層間温度を80~120℃に制御する。
【0022】
実施例4のステップ(4)の溶接プロセスパラメータについて、溶接前予熱温度は80~100℃であり、サブマージアーク溶接フラックスを200~300℃で2h処理し、裏当て溶接電流は450~460Aであり、アーク電圧は30~32Vであり、溶接速度は540~543mm/minであり、裏当て溶接入熱は15~16kJ/cmであり、充填溶接電流は640~650Aであり、アーク電圧は36~38Vであり、溶接速度は350~353mm/minであり、充填溶接入熱は40~42kJ/cmである。厚さが50mm+50mmの複合鋼板の突き合せ継手を多層マルチチャンネルサブマージアーク溶接により溶接し、その溶接継目の層間温度を80~120℃に制御する。
【0023】
上記実施例1~4の溶接方法により厚さ50mmのTMCP状態の高強度・低降伏比橋梁鋼Q690qEにサブマージアーク溶接を行った後、溶接継手の性能を検出した。継手の引張性能及び冷間曲げ性能は表1に示され、-40℃での衝撃性能は表2に示される。
【0024】
【0025】
【0026】
上記実施例1~4で得られた溶接継手は、総合的な機械的特性に優れ、室温で良好な強度と靭性の適合性を有し、冷間曲げ成形性能が合格することが分かる。継手の室温での引張強度Rm≧870MPaであり、破断位置は母材にあり、継手のWM、FL、FL+1、FL+2箇所の-40℃での衝撃エネルギーの平均値Akv≧60Jである。
【国際調査報告】