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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】進歩した接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 129/14 20060101AFI20240229BHJP
   C09J 161/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C09J129/14
C09J161/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552534
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022016507
(87)【国際公開番号】W WO2022191964
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/158,427
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】デーニッケ、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ツィーグラー、カイ
(72)【発明者】
【氏名】ズタヴァーン、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】オシチョウ、アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、ゲルト
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DD071
4J040EB051
4J040HB07
4J040HB18
4J040JA02
4J040JB02
4J040KA17
4J040KA23
4J040MA02
4J040MA04
4J040MA10
4J040MB09
(57)【要約】
本発明は、金属をキャスタブルポリウレタン、ポリエステル及び/又はポリアミドに接合するのに特に適した接着剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスタブルポリウレタン及び/又はポリアミドを接合するための接着剤であって、
(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む接着剤。
【請求項2】
前記溶媒又は溶媒混合物は、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記フェノールレゾール樹脂は、以下の特性:
4000±500mPa.sの、DIN EN ISO 12058-1に従った20℃での粘度、
79±2%の、DIN 16916-02-H1、ISO 8618に従った135℃での非揮発性成分、
最大5%の、DIN 16916-02、DIN EN ISO 11402に従った遊離ホルムアルデヒドの含有量、
1.26g/cmの、20℃での比重
を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記接着剤の総重量を基準として5~20重量%でフェノールレゾール樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項5】
前記接着剤の総重量を基準として7~15重量%でフェノール樹脂を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項6】
前記接着剤の総重量を基準として11~12重量%でフェノール樹脂を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項7】
前記PVBは、以下の構造:
【化1】

を有し、前記PVBの総重量を基準として、ポリ酢酸ビニル(l)含有量は、1~8重量%であり、ポリビニルアルコール(m)含有量は、11~27重量%であり、及びアセタール(p)含有量は、65~88重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項8】
アセタールは、以下の構造:
【化2】

を有する、請求項6に記載の接着剤。
【請求項9】
前記PVBは、11~16重量%のポリビニルアルコールの含有量、1~6重量%のポリ酢酸ビニル含有量及び82~88重量%のアセタール含有量を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項10】
前記PVBは、12~16重量%のポリビニルアルコール(m)含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル(l)含有量を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項11】
前記ポリビニルブチラールは、97.5重量%以上の非揮発性物質含有量(DIN 53216に従って測定される)、12~16重量%のポリビニルアルコール含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル含有量、82~88重量%のアセタール含有量、120~280の、20℃で10%エタノール溶液においてDIN 53015に従って測定される動的粘度、65℃の、ISO 11357-1に従ってDSCによって測定されるガラス転移温度、3~5重量%の、20℃で24時間水浸後の水吸収量並びに210g/lの、DIN EN 543に従って測定される嵩密度を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項12】
前記溶媒は、C1~5脂肪族アルコール並びにモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンとの、C1~6アルキル基を有するケトンの混合物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項13】
前記溶媒混合物は、50~90重量%のC1~5脂肪族アルコール並びに5~20重量%のモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンと混合されている、2~10重量%の、C1~6アルキル基を有するケトンを含み、前記重量百分率は、前記溶媒混合物の総重量を基準とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項14】
前記溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレン、トルエン及びエチルベンゼンから選択されるアルキルベンゼンと、C1~4脂肪族アルコールとを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項15】
前記溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレンと、イソ-プロパノールとの混合物である、請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項16】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量を基準として2~10重量%のメチルイソブチルケトン、5~20重量%のキシレン及び50~90重量%のイソ-プロパノールを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項17】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量を基準として5.9重量%のメチルイソブチルケトン、13.61重量%のキシレン及び80.47重量%のイソ-プロパノールである、請求項1~16のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項18】
ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材と、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材とを含むアセンブリを提供するステップであって、前記第1の基材及び前記第2の基材は、それらの間に、(i)フェノールレゾール樹脂と、(ii)ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む接着剤の層を挟んでいる、ステップと、
(2)前記アセンブリを、前記第1の基材と前記第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップと
を含み、前記第1及び第2の基材は、両方とも金属であることはない、方法。
【請求項19】
前記溶媒又は溶媒混合物は、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、キャスタブルポリウレタンである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、ポリアミドである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、ポリエステルである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(2)における前記加熱は、12~24時間にわたって実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(2)における前記加熱は、24~72時間にわたって実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリアミドは、融解形態で例えば射出成形によって塗布される、請求項18~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記フェノールレゾール樹脂は、以下の特性:
4000±500mPa.sの、DIN EN ISO 12058-1に従った20℃での粘度、
79±2%の、DIN 16916-02-H1、ISO 8618に従った135℃での非揮発性成分、
最大5%の、DIN 16916-02、DIN EN ISO 11402に従った遊離ホルムアルデヒドの含有量、
1.26g/cmの、20℃での比重
を有する、請求項18~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記接着剤の総重量を基準として5~20重量%でフェノールレゾール樹脂を含有する、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記接着剤の総重量を基準として7~15重量%でフェノール樹脂を含有する、請求項18~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記接着剤の総重量を基準として11~12重量%でフェノール樹脂を含有する、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記PVBは、以下の構造:
【化3】

を有し、前記PVBの総重量を基準として、ポリ酢酸ビニル(l)含有量は、1~8重量%であり、ポリビニルアルコール(m)含有量は、11~27重量%であり、及びアセタール(p)含有量は、65~88重量%である、請求項18~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
アセタールは、以下の構造:
【化4】

を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記PVBは、11~16重量%のポリビニルアルコールの含有量、1~6重量%のポリ酢酸ビニル含有量及び82~88重量%のアセタール含有量を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項18~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記PVBは、12~16重量%のポリビニルアルコール(m)含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル(l)含有量を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項18~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリビニルブチラールは、97.5重量%以上の非揮発性物質含有量(DIN 53216に従って測定される)、12~16重量%のポリビニルアルコール含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル含有量、82~88重量%のアセタール含有量、120~280の、20℃で10%エタノール溶液においてDIN 53015に従って測定される動的粘度、65℃の、ISO 11357-1に従ってDSCによって測定されるガラス転移温度、3~5重量%の、20℃で24時間水浸後の水吸収量並びに210g/lの、DIN EN 543に従って測定される嵩密度を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項18~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒は、C1~5脂肪族アルコール並びにモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンとの、C1~6アルキル基を有するケトンの混合物である、請求項18~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒混合物は、50~90重量%のC1~5脂肪族アルコール並びに5~20重量%のモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンと混合されている、2~10重量%の、C1~6アルキル基を有するケトンを含み、前記重量百分率は、前記溶媒混合物の総重量を基準とする、請求項18~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレン、トルエン及びエチルベンゼンから選択されるアルキルベンゼンと、C1~4脂肪族アルコールとを含む、請求項18~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレンと、イソ-プロパノールとの混合物である、請求項18~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量を基準として2~10重量%のメチルイソブチルケトン、5~20重量%のキシレン及び50~90重量%のイソ-プロパノールを含む、請求項18~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量を基準として5.9重量%のメチルイソブチルケトン、13.61重量%のキシレン及び80.47重量%のイソ-プロパノールである、請求項18~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、ポリウレタンである、請求項18~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、ポリアミドである、請求項18~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)前記第1の基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を前記第1の基材の表面に塗布するステップであって、前記接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、前記フェノールレゾール樹脂及び前記ポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、前記溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)前記接着剤層を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材と接触して配置して、アセンブリを形成するステップ、
(5)前記アセンブリを、前記第1の基材と前記第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含み、前記第1及び第2の基材は、両方とも金属であることはない、方法。
【請求項44】
前記フェノールレゾール樹脂は、以下の特性:
4000±500mPa.sの、DIN EN ISO 12058-1に従った20℃での粘度、
79±2%の、DIN 16916-02-H1、ISO 8618に従った135℃での非揮発性成分、
最大5%の、DIN 16916-02、DIN EN ISO 11402に従った遊離ホルムアルデヒドの含有量、
1.26g/cmの、20℃での比重
を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記接着剤の総重量を基準として5~20重量%でフェノールレゾール樹脂を含有する、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記接着剤の総重量を基準として7~15重量%でフェノール樹脂を含有する、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記接着剤の総重量を基準として11~12重量%でフェノール樹脂を含有する、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記PVBは、以下の構造:
【化5】

を有し、前記PVBの総重量を基準として、ポリ酢酸ビニル(l)含有量は、1~8重量%であり、ポリビニルアルコール(m)含有量は、11~27重量%であり、及びアセタール(p)含有量は、65~88重量%である、請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
アセタールは、以下の構造:
【化6】

を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記PVBは、11~16重量%のポリビニルアルコールの含有量、1~6重量%のポリ酢酸ビニル含有量及び82~88重量%のアセタール含有量を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項43~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記PVBは、12~16重量%のポリビニルアルコール(m)含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル(l)含有量を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項43~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリビニルブチラールは、97.5重量%以上の非揮発性物質含有量(DIN 53216に従って測定される)、12~16重量%のポリビニルアルコール含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル含有量、82~88重量%のアセタール含有量、120~280の、20℃で10%エタノール溶液においてDIN 53015に従って測定される動的粘度、65℃の、ISO 11357-1に従ってDSCによって測定されるガラス転移温度、3~5重量%の、20℃で24時間水浸後の水吸収量並びに210g/lの、DIN EN 543に従って測定される嵩密度を有し、前記重量百分率は、前記PVBの総重量を基準とする、請求項43~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記溶媒は、C1~5脂肪族アルコール並びにモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンとの、C1~6アルキル基を有するケトンの混合物である、請求項43~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記溶媒混合物は、50~90重量%のC1~5脂肪族アルコール並びに5~20重量%のモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンと混合されている、2~10重量%の、C1~6アルキル基を有するケトンを含み、前記重量百分率は、前記溶媒混合物の総重量を基準とする、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレン、トルエン及びエチルベンゼンから選択されるアルキルベンゼンと、C1~4脂肪族アルコールとを含む、請求項43~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレンと、イソ-プロパノールとの混合物である、請求項43~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量を基準として2~10重量%のメチルイソブチルケトン、5~20重量%のキシレン及び50~90重量%のイソ-プロパノールを含む、請求項43~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量を基準として5.9重量%のメチルイソブチルケトン、13.61重量%のキシレン及び80.47重量%のイソ-プロパノールである、請求項43~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、ポリウレタンである、請求項43~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の基材は、金属であり、及び前記第2の基材は、ポリアミドである、請求項43~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にポリウレタン、ポリエステル及び/又はナイロンの金属への接着のための一液型接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
キャストポリウレタンは、ゴムの弾力性及び柔軟性と併せて、エンジニアリングプラスチック、金属及びセラミックスの性能上の利点のいくつかを兼ね備える、費用効率が高く且つ信頼できるエラストマーである。キャストポリウレタンは、その高い荷重負担能力、高い衝撃強度、高い耐摩耗性、高い復元力並びに優れた耐油性及び耐グリース性に関してよく知られている。ポリウレタンは、多くの場合、滑りの作用への耐性、伸長、耐荷重性、衝撃、切断及び引裂、圧縮、ねじり力、耐老化性及び耐油性が関係する場合に選択される。
【0003】
金属又はプラスチックのような基材へのキャスタブルポリウレタンエラストマーの接合は、接着剤を必要とする。接着剤は、ポリウレタンと同様の特性、特に良好な耐性を示すべきである。キャストポリウレタン/基材部品及びその接合ラインにとって大きい課題は、耐高温性である。
【0004】
軽量設計は、それが車両のエネルギー消費を削減することになる場合に重要な技術の1つである。従来の材料をプラスチックポリマーで置き換えることは、現在、多くの部門においてノルマになっている。自動車、航空宇宙、産業及び家庭機械は、効率的且つ経済的なプロセスを用いて製造される、より軽量でより良好な性能の構成部品の利点から恩恵を受けている。金属置換は、多くの場合、重量、費用及び生産時間を減らすために重要である。金属又はプラスチックポリマーのような基材は、物理的に硬く、破断点歪みに関して比較的低い値と組み合わせて高い引張強度を示す。
【0005】
ポリアミドの固有の耐腐食性は、ガラス繊維強化ポリアミドによって金属を置き換えることへの強い推進力である。金属とプラスチックとのハイブリッド系は、増加した並列性能を有する柔軟な部品設計のために望ましい。これは、適切な接着剤溶液を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャストポリウレタンエラストマーを基材に、且つ強化プラスチック(例えば、ポリエステル及びポリアミド)を金属に接合することができる接着剤が継続的に必要とされている。特に、良好な耐高温性を有するそのような接着剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、
(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む接着剤を提供する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材と、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材とを含むアセンブリを提供するステップであって、第1の基材及び第2の基材は、それらの間に、(i)フェノールレゾール樹脂と、(ii)ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む接着剤の層を挟んでいる、ステップと、
(2)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップと
を含み、第1及び第2の基材は、両方とも金属であることはない、方法を提供する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)接着剤層を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材と接触して配置して、アセンブリを形成するステップ、
(5)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含み、第1及び第2の基材は、両方とも金属であることはない、方法を提供する。
【0010】
第4の態様では、本発明は、接着剤で被覆された金属基材であって、接着剤は、
(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む、金属基材を提供する。
【0011】
第5の態様では、本発明は、金属で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)(i)フェノールレゾール樹脂、(ii)ポリビニルブチラール、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物を含む接着剤で表面上を被覆された金属である第1の基材を提供するステップ、
(2)第1の基材の被覆表面を、キャスタブルポリウレタン及びポリアミドから選択される第2の基材と接触して配置するステップ、
(3)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含む方法を提供する。
【0012】
第6の態様では、本発明は、金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリアミドから選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の金属基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)融解ポリアミドの熱が接着剤を硬化させるように、融解ポリアミドを接着剤に塗布するステップ
を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、意外にも、
(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む接着剤が以下の基材ペア間の優れた接合を提供することを見出した。
【0014】
【表1】
【0015】
定義及び略語
PU ポリウレタン
TDI トルエンジイソシアネート
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
【0016】
本明細書で報告されるようなポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される数又は重量平均分子量としてダルトン(Da)単位で報告される。
【0017】
フェノールレゾール樹脂
本発明の接着剤は、ポリマーがペンダントメチロール基を含有するように、塩基性触媒を使用してホルムアルデヒドをフェノールと反応させることによって製造されたポリマーを意味する、フェノールレゾール樹脂を含む。
【0018】
特に好ましい実施形態では、フェノールレゾール樹脂は、以下の特性を有する:
4000±500mPa.sの、DIN EN ISO 12058-1に従った20℃での粘度、
79±2%の、DIN 16916-02-H1、ISO 8618に従った135℃での非揮発性成分、
最大5%の、DIN 16916-02、DIN EN ISO 11402に従った遊離ホルムアルデヒドの含有量、
1.26g/cmの、20℃での比重。
【0019】
本発明の接着剤は、好ましくは、5~20重量%、より好ましくは7~15重量%、より特に好ましくは8~13重量%、更により特に好ましくは11~12重量%でフェノールレゾール樹脂を含有する。
【0020】
特に好ましい実施形態では、フェノールレゾール樹脂は、8~13重量%、より特に好ましくは11~12重量%で使用され、以下の特性を有する:
4000±500mPa.sの、DIN EN ISO 12058-1に従った20℃での粘度、
79±2%の、DIN 16916-02-H1、ISO 8618に従った135℃での非揮発性成分、
最大5%の、DIN 16916-02、DIN EN ISO 11402に従った遊離ホルムアルデヒドの含有量、
1.26g/cmの、20℃での比重。
【0021】
ポリビニルブチラール
本発明の接着剤は、ポリビニルブチラール(PVB)を含む。好ましい実施形態では、PVBは、以下の構造:
【化1】

を有し、ポリ酢酸ビニル(l)含有量は、1~8重量%であり、ポリビニルアルコール(m)含有量は、11~27重量%であり、及びアセタール(p)含有量は、65~88重量%である。
【0022】
特に好ましくは、アセタールは、以下の構造:
【化2】

を有する。
【0023】
好ましくは、ポリビニルアルコールの含有量は、11~16重量%である。好ましくは、ポリ酢酸ビニル含有量は、1~6重量%である。好ましくは、アセタール含有量は、82~88重量%である。特に好ましい実施形態では、ポリビニルアルコールは、11~16重量%であり、ポリ酢酸ビニル含有量は、1~6重量%であり、及びアセタール含有量は、82~88重量%である。これらの重量百分率は、PVBの総重量を基準とする。
【0024】
より好ましくは、ポリビニルアルコールの含有量は、12~16重量%である。好ましくは、ポリ酢酸ビニル含有量は、1~4重量%である。好ましくは、アセタール含有量は、82~88重量%である。特に好ましい実施形態では、ポリビニルアルコールは、12~16重量%であり、ポリ酢酸ビニル含有量は、1~4重量%であり、及びアセタール含有量は、82~88重量%である。これらの重量百分率は、PVBの総重量を基準とする。
【0025】
特に好ましい実施形態では、ポリビニルブチラールは、97.5重量%以上の非揮発性物質含有量(DIN 53216に従って測定される)、12~16重量%のポリビニルアルコール含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル含有量、82~88重量%のアセタール含有量、120~280の、20℃で10%エタノール溶液においてDIN 53015に従って測定される動的粘度、65℃の、ISO 11357-1に従ってDSCによって測定されるガラス転移温度、3~5重量%の、20℃で24時間水浸後の水吸収量並びに210g/lの、DIN EN 543に従って測定される嵩密度を有する。重量百分率は、PVBの総重量を基準とする。
【0026】
本発明の接着剤は、接着剤の総重量を基準として好ましくは5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、特により好ましくは10~11重量%でPVBを含有する。
【0027】
特に好ましい実施形態では、PVBは、接着剤の総重量を基準として8~12重量%で存在し、以下の構造:
【化3】

を有し、ポリ酢酸ビニル(l)含有量は、1~8重量%であり、ポリビニルアルコール(m)含有量は、11~27重量%であり、且つアセタール(p)含有量は、65~88重量%であり、及びアセタールは、以下の構造:
【化4】

を有する。
【0028】
溶媒
本発明の接着剤は、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物を含む。例えば、適切な溶媒及び溶媒混合物は、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有するものである。
【0029】
適切な溶媒混合物の例は、C1~5脂肪族アルコール及びベンゼン並びに/又はモノ-及び/若しくはジ-C1~3-アルキルベンゼンとの、C1~6アルキル基を有するケトン、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンの混合物である。
【0030】
好ましくは、溶媒混合物は、50~90重量%のC1~5脂肪族アルコール並びに5~20重量%のモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンと混合されている、2~10重量%の、C1~6アルキル基を有するケトン(例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン)を含む。これらの重量百分率は、溶媒混合物の総重量を基準とする。
【0031】
例えば、適切な溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレン、トルエン及びエチルベンゼンから選択されるアルキルベンゼンと、C1~4脂肪族アルコールとを含む。
【0032】
メチルイソブチルケトンと、キシレンと、イソ-プロパノールとの混合物がより好ましい。特に好ましくは、溶媒混合物は、溶媒混合物の総重量を基準として2~10重量%のメチルイソブチルケトン、5~20重量%のキシレン及び50~90重量%のイソ-プロパノールを含む。
【0033】
特に好ましい溶媒混合物は、溶媒混合物の総重量を基準として5.9重量%のメチルイソブチルケトン、13.61重量%のキシレン及び80.47重量%のイソ-プロパノールである。
【0034】
他の成分
本発明の接着剤は、例えば、塗布のエリアを識別できるような染料などの他の成分を更に含み得る。染料の強度は、フィルム厚さの指標を与える。NOVOLAC樹脂は、フィルム形成を改善することができる。使用される場合、NOVOLAC樹脂は、好ましくは、接着剤の総重量を基準として1~15重量%、より好ましくは2~5重量%で存在する。
【0035】
製造方法
本発明の接着剤組成物は、成分が溶解するまで成分を混合することによって製造される。
【0036】
使用方法
本発明の接着剤組成物は、キャスタブルポリウレタン及びポリアミドを互いに、しかし特にアルミニウム及び/又は鋼などの金属に接着するのに特に適している。
【0037】
本発明は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)接着剤層を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材と接触して配置して、アセンブリを形成するステップ、
(5)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含む方法を提供する。
【0038】
基材の以下のペアが特に好ましい。
【0039】
【表2】
【0040】
金属基材は、本発明の接着剤を塗布する前に処理され得る。例えば、金属表面は、塵埃並びに/又は油及び/若しくはグリースを除去するために、水性洗剤溶液及び/又は有機溶媒を使用して清浄にされ得る。金属表面はまた、グリットブラストされ得る。
【0041】
キャスタブルポリウレタンは、通常、使用の直前に配合され、限られた時間流動性を有する形態にとどまる。流動性を有するポリウレタンは、流し込み又は他の手段によって他の基材に塗布され得る。
【0042】
ポリアミドは、通常、射出成形、ブロー成形又は押出によって形成されて固形である。代わりに、ポリアミドは、特に射出成形により、融解形態で接着剤被覆の基材に塗布され得る。
【0043】
接着剤は、一方又は両方の基材に塗布される。多くの場合、1つの基材(例えば、金属)は、硬く、第2の基材は、接着接合を形成する時点で流体、例えば融解プラスチック(例えば、融解ポリエステル若しくはポリアミド)又は流体状態であるために十分に硬化していないプラスチック(例えば、キャスタブルポリウレタン)である。そのような場合、接着剤は、硬い基材に塗布され、流体プラスチックは、接着剤に塗布される。
【0044】
一実施形態では、接着剤は、金属基材に塗布され、キャスタブルポリウレタンは、それに塗布される。
【0045】
第2の実施形態では、接着剤は、金属基材に塗布され、基材は、モールド内に配置され、ポリアミドは、接着剤被覆表面にわたって射出される。
【0046】
第3の実施形態では、接着剤は、金属基材に塗布され、基材は、モールド内に配置され、ポリエステルは、接着剤被覆表面にわたって射出される。
【0047】
接着剤は、典型的には、20~120ミクロン、より好ましくは20~80ミクロン又は20~60ミクロンの厚さに塗布される。最適な厚さは、表面粗さに依存する。20ミクロン未満の厚さでは、接着は、多くの場合に損なわれる。120ミクロン超の厚さでは、接着破壊が衝撃又は過大荷重下で観察され得る。
【0048】
接着剤は、例えば、噴霧、はけ塗り、布での塗布、浸漬、ステンシルを用いることなど、印刷プロセスによって塗布することができる。好ましい実施形態では、接着剤は、好ましくは、噴霧及びはけ塗りによって金属基材に塗布される。
【0049】
塗布後、溶媒又は溶媒混合物は、単に基材を周囲条件下で放置することによって蒸発され得る。必要に応じて、蒸発は、空気を表面に流し、且つ/又は基材を真空に曝すことによって早めることができる。
【0050】
いくつかの状況では、本発明の接着剤は、基材に塗布され、溶媒は、蒸発され得、接着剤で被覆された基材は、後に使用するために貯蔵され得るか又は別のアセンブラに移され得、アセンブラは、その後、それを第2の基材に接合するために使用され得る。理想的には、第2の基材への接合は、接着剤の塗布の6~8週間以内に実施される。
【0051】
接着剤の硬化は、90~200℃に加熱することによって実施される。加熱は、例えば、IR、対流又は放射加熱によってオーブン中で起こり得る。硬化温度は、基材の溶融温度を超えてはならない。ポリウレタンにとっての好ましい温度は、90~130℃、より好ましくは90~110℃である。ポリアミドにとって好ましい温度範囲は、100~160℃である。
【0052】
融解ポリマー、例えばポリアミドが接着剤に直接塗布される場合、追加の硬化を実施することは、必要ではなく、融解ポリマーの熱が接着剤を硬化させるのに十分である。
【0053】
硬化時間は、基材及び接合条件に依存する。例えば、キャスタブルポリウレタンが接合される場合、硬化時間は、典型的には、12~20時間、更に16時間である。ポリアミドが接合される場合、硬化時間は、典型的には、16~72時間、より好ましくは24~72時間である。ポリエステルが接合される場合、硬化時間は、典型的には、16~72時間、より好ましくは24~72時間である。
【0054】
ポリマー、例えばポリアミドが接着剤に直接塗布される場合、硬化は、数分、例えば5~10分以内に起こる。
【0055】
好ましい実施形態では、固体ポリアミドは、特に金属に接合され、硬化は、100~160℃で24~72時間にわたって実施される。
【0056】
別の好ましい実施形態では、キャスタブルポリウレタンは、特に金属に接合され、硬化は、90~110℃で12~24時間、より好ましくは16時間にわたって実施される。
【0057】
別の好ましい実施形態では、融解ポリアミドは、接着剤で被覆された基材、特に金属基材に塗布され、硬化は、融解ポリアミドの熱によって達成される。
【0058】
特に好ましい実施形態
以下は、本発明の接着剤組成物の特に好ましい実施形態である:
1.キャスタブルポリウレタンでできている第1の基材を、金属でできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)キャスタブルポリウレタンで実質的にできている第1の基材と、金属で実質的にできている第2の基材とを含むアセンブリを提供するステップであって、第1の基材及び第2の基材は、それらの間に、(i)フェノールレゾール樹脂と、(ii)ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む接着剤の層を挟んでいる、ステップと、
(2)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップと
を含む方法。
2.ステップ(2)における加熱は、12~24時間、特に16時間にわたって実施される、実施形態1による方法。
3.ポリアミドでできている第1の基材を、金属でできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)ポリアミドで実質的にできている第1の基材と、金属で実質的にできている第2の基材とを含むアセンブリを提供するステップであって、第1の基材及び第2の基材は、それらの間に、(i)フェノールレゾール樹脂と、(ii)ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む接着剤の層を挟んでいる、ステップと、
(2)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップと
を含む方法。
4.ステップ(2)における加熱は、24~72時間にわたって実施される、実施形態3による方法。
5.金属で実質的にできている第1の基材を、キャスタブルポリウレタンで実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)接着剤層を、キャスタブルポリウレタンでできている第2の基材と接触して配置して、アセンブリを形成するステップ、
(5)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含む方法。
6.ステップ(5)における加熱は12~24時間、特に16時間にわたって実施される、請求項5の方法。
7.金属で実質的にできている第1の基材を、ポリアミドで実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)接着剤層を、ポリアミドでできている第2の基材と接触して配置して、アセンブリを形成するステップ、
(5)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含む方法。
8.ステップ(5)における加熱は、24~72時間にわたって実施される、請求項7の方法。
9.金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリアミドから選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の金属基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)融解ポリアミドの熱が接着剤を硬化させるように、融解ポリアミドを接着剤に塗布するステップ
を含む方法。
10.溶媒又は溶媒混合物は、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、実施形態9による方法。
11.ポリアミドは、射出成形によって塗布される、実施形態9及び/又は10による方法。
12.接着剤で被覆された金属基材であって、接着剤は、
(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む、金属基材。
13.ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)(i)フェノールレゾール樹脂、(ii)ポリビニルブチラール、大気圧で除去されるのに十分に揮発性である一方、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物を含む接着剤で表面上を被覆された金属である第1の基材を提供するステップ、
(2)第1の基材の被覆表面を、キャスタブルポリウレタン及びポリアミドから選択される第2の基材と接触して配置するステップ、
(3)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含む方法。
14.(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む接着剤。
15.ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材と、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材とを含むアセンブリを提供するステップであって、第1の基材及び第2の基材は、それらの間に、(i)フェノールレゾール樹脂と、(ii)ポリビニルブチラールと、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む接着剤の層を挟んでいる、ステップと、
(2)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップと
を含み、第1及び第2の基材は、両方とも金属であることはない、方法。
16.ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)第1の基材を提供するステップ、
(2)接着剤の層を第1の基材の表面に塗布するステップであって、接着剤は、フェノールレゾール樹脂と、ポリビニルブチラールと、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、フェノールレゾール樹脂及びポリビニルブチラールを溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物とを含む、ステップ、
(3)任意選択的に、溶媒又は溶媒混合物を蒸発によって除去するステップ、
(4)接着剤層を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料でできている第2の基材と接触して配置して、アセンブリを形成するステップ、
(5)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含み、第1及び第2の基材は、両方とも金属であることはない、方法。
17.接着剤で被覆された金属基材であって、接着剤は、
(1)フェノールレゾール樹脂、
(2)ポリビニルブチラール、
(3)20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、成分(1)及び(2)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物
を含む、金属基材。
18.接着剤は、20~120ミクロン、より好ましくは20~80ミクロン又は20~60ミクロンの厚さを有する、実施形態14による金属基材。
19.金属で実質的にできている第1の基材を、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド及び金属から選択される材料で実質的にできている第2の基材に接着する方法であって、
(1)(i)フェノールレゾール樹脂、(ii)ポリビニルブチラール、20℃で少なくとも5hPA、より好ましくは少なくとも10hPA、特に好ましくは少なくとも20hPaの蒸気圧を有する、成分(i)及び(ii)を溶媒和することができる溶媒又は溶媒混合物を含む接着剤で表面上を被覆された金属である第1の基材を提供するステップ、
(2)第1の基材の被覆表面を、キャスタブルポリウレタン及びポリアミドから選択される第2の基材と接触して配置するステップ、
(3)アセンブリを、第1の基材と第2の基材との間に接着接合を形成するのに十分な時間にわたって90~200℃に加熱するステップ
を含む方法。
20.フェノールレゾール樹脂は、以下の特性:
4000±500mPa.sの、DIN EN ISO 12058-1に従った20℃での粘度、
79±2%の、DIN 16916-02-H1、ISO 8618に従った135℃での非揮発性成分、
最大5%の、DIN 16916-02、DIN EN ISO 11402に従った遊離ホルムアルデヒドの含有量、
1.26g/cmの、20℃での比重
を有する、実施形態1~19のいずれか。
21.接着剤は、接着剤の総重量を基準として5~20重量%、より好ましくは7~15重量%、より特に好ましくは8~13重量%、更により特に好ましくは11~12重量%でフェノールレゾール樹脂を含有する、実施形態1~20のいずれか。
22.PVBは、以下の構造:
【化5】

を有し、PVBの総重量を基準として、ポリ酢酸ビニル(l)含有量は、1~8重量%であり、ポリビニルアルコール(m)含有量は、11~27重量%であり、及びアセタール(p)含有量は、65~88重量%である、実施形態1~21のいずれか。
23.アセタールは、以下の構造:
【化6】

を有する、実施形態22。
24.PVBにおいて、ポリビニルアルコールの含有量は、PVBの総重量を基準として11~16重量%である、実施形態1~23のいずれか。
25.PVBにおいて、ポリ酢酸ビニルの含有量は、PVBの総重量を基準として1~6重量%である、実施形態1~24のいずれか。
26.PVBにおいて、アセタール含有量は、82~88重量%である、実施形態1~25のいずれか。特に好ましい実施形態では、ポリビニルアルコールは、11~16重量%であり、ポリ酢酸ビニル含有量は、1~6重量%であり、及びアセタール含有量は、82~88重量%である。これらの重量百分率は、PVBの総重量を基準とする。
27.PVBは、97.5重量%以上の非揮発性物質含有量(DIN 53216に従って測定される)、12~16重量%のポリビニルアルコール含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル含有量、82~88重量%のアセタール含有量、120~280の、20℃で10%エタノール溶液においてDIN 53015に従って測定される動的粘度、65℃の、ISO 11357-1に従ってDSCによって測定されるガラス転移温度、3~5重量%の、20℃で24時間水浸後の水吸収量並びに210g/lの、DIN EN 543に従って測定される嵩密度を有し、重量百分率は、PVBの総重量を基準とする、実施形態1~26のいずれか。
28.接着剤は、接着剤の総重量を基準として5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは10~11重量%でPVBを含有する、実施形態1~27のいずれか。
29.溶媒は、C1~5脂肪族アルコール並びにモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンとの、C1~6アルキル基を有するケトン、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンの混合物である、実施形態1~28のいずれか。
30.溶媒混合物は、50~90重量%のC1~5脂肪族アルコール並びに5~20重量%のモノ-及び/又はジ-C1~3-アルキルベンゼンと混合されている、2~10重量%の、C1~6アルキル基を有するケトン(例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン)を含み、重量百分率は、溶媒混合物の総重量を基準とする、実施形態1~29のいずれか。
31.溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレン、トルエン及びエチルベンゼンから選択されるアルキルベンゼンと、C1~4脂肪族アルコールとを含む、実施形態1~30のいずれか。
32.溶媒混合物は、メチルイソブチルケトンと、キシレンと、イソ-プロパノールとの混合物である、実施形態1~31のいずれか。
33.溶媒混合物は、溶媒混合物の総重量を基準として2~10重量%のメチルイソブチルケトン、5~20重量%のキシレン及び50~90重量%のイソ-プロパノールを含む、実施形態1~32のいずれか。
34.溶媒混合物は、溶媒混合物の総重量を基準として5.9重量%のメチルイソブチルケトン、13.61重量%のキシレン及び80.47重量%のイソ-プロパノールである、実施形態1~33のいずれか。
35.金属基材は、塵埃並びに/又は油及び/若しくはグリースを除去するために、水性洗剤溶液及び/又は有機溶媒を使用するクリーニングにより、本発明の接着剤を塗布する前に処理され、且つ/又は金属表面は、グリットブラストされる、実施形態1~34のいずれか。
36.キャスタブルポリウレタンは、通常、使用の直前に配合され、限られた時間流動性を有する形態にとどまる、実施形態1~35のいずれか。流動性を有するポリウレタンは、流し込み又は他の手段によって他の基材に塗布され得る。
37.塗布後、溶媒又は溶媒混合物は、基材を周囲条件下に放置し、且つ/又は空気を表面に流し、且つ/又は基材を真空に曝すことによって蒸発される、実施形態1~36のいずれか。
38.接着剤は、基材に塗布され、溶媒は、蒸発され、接着剤で被覆された基材は、後に使用するために貯蔵される、実施形態1~37のいずれか。
39.硬化は、90~200℃、好ましくは110~130℃に加熱することによって実施される、実施形態1~38のいずれか。
40.接着剤は、NOVOLAC樹脂を更に含む、実施形態1~39のいずれか。
41.接着剤は、接着剤の総重量を基準として1~15重量%、2~15重量%又は2~5重量%でNOVOLAC樹脂を更に含む、実施形態1~40のいずれか。
【実施例
【0059】
【表3】
【0060】
ポリビニルブチラール
使用されたポリビニルブチラールは、97.5重量%以上の非揮発性物質含有量(DIN 53216に従って測定される)を有した。それは、構造:
【化7】

を有し、12~16重量%のポリビニルアルコール(m)含有量及び1~4重量%のポリ酢酸ビニル(l)含有量であり、及びアセタールは、以下の構造:
【化8】

を有する。
【0061】
それは、120~280の、20℃で10%エタノール溶液においてDIN 53015に従って測定される動的粘度を有した。それは、65℃の、ISO 11357-1に従ってDSCによって測定されるガラス転移温度、3~5重量%の、20℃で24時間水浸後の水吸収量並びに210g/lの、DIN EN 543に従って測定される嵩密度を有した。
【0062】
接着剤
表2に列挙された成分を混ぜ合わせ、成分が全て溶解するまで2時間撹拌した。染料(ceresrot)を被覆部分及び非被覆部分の視覚区別のために使用した。キャストポリウレタンと金属とを接合するために従来使用された2つの接着剤(Thixon 409及びThixon 422)を比較目的のために使用した。
【0063】
【表4】
【0064】
基材
接合性能を以下のとおり評価した:剥離試験を行うために使用した接合部品のサンプルを以下のとおり調製した:鋼ストリップ(DIN ISO813)幅25mm±0.5mm及び長さ60mm±1mm;25mm×25mmの接合エリアを清浄にし、グリットブラストした。接着剤(実施例1)を金属表面上に噴霧することによって塗布して、約20μm~30μmの接着剤厚さを得た。金属表面上の接着剤層を室温で5時間乾燥させた。次いで、被覆鋼部品を140℃において10分間オーブン中で加熱した(プリベーク)。他の被覆部品は、乾燥直後に使用した。全ての調製された被覆鋼ストリップを100℃で30分間加熱した。次いで、加熱した被覆鋼ストリップをキャスタブルポリウレタンエラストマーに100℃で16時間接合した。キャスタブルポリウレタンエラストマー調製のために、トルエンジイソシアネート(TDI)末端ポリエーテルプレポリマー(キャスタブルポリウレタンの総重量を基準として87.3重量%)及びジメチルチオトルエンジアミン(キャスタブルポリウレタンの総重量を基準として12.6重量%)を100℃において30分間オーブン中で別々に加熱した。両方の加熱された材料を最大60秒間混ぜ合わせ、被覆金属部品にわたって100℃で直ちに注いだ。
【0065】
試験片を室温に冷却し、その後、破壊まで引っ張った。本発明の接合システムを使用した接合部品を、ASTM試験D429 - 方法Bに記載されている剥離試験手順に従い、硬化後に破壊まで引っ張る。
【0066】
キャストポリウレタンエラストマー及び金属接合の標準剥離試験における、実施例1並びに比較サンプルThixon 409及びThixon 422の接合結果を表3に示す。破損モードは、キャスタブルポリウレタン又はポリアミドで起こる破損の百分率を意味する%Rとして報告する。
【0067】
447N/cmの高い剥離強度は、追加のプリベーキングなし及び35μmのフィルム厚さの実施例1に関して観察された。被覆金属部品の140℃で10分間の追加の予熱は、23~29μmの低いフィルム厚さで509N/cmまでの接合強度の著しい増加をもたらした。98%までのゴム保持率が観察された。
【0068】
対照的に、Thixon 402及びThixon 422を使用する比較例は、はるかにより高い接着剤厚さ(200ミクロン)でそれぞれ326及び329N/cmの接合強度を示した。
【0069】
金属への強化プラスチックの更なる接合を、実施例1の接着剤を用いて試験した。
【0070】
それら自体及び/又は金属への強化プラスチックの接合のための接着剤を、ASTM試験D5868-01(2014)に記載されているラップせん断試験手順に従って試験した。
【0071】
剥離試験を行うために使用した接合部品のサンプルを以下のとおり調製した:鋼ストリップ(DIN ISO813)幅25mm±0.5mm及び長さ60mm±1mm;25mm×30mmの接合エリアを清浄にし、グリットブラストした。接着剤(実施例1)を金属表面上に噴霧することによって塗布して、約20μm~30μmの厚さをもたらした。金属表面上の接着剤層を室温で乾燥させた。ガラス強化ポリアミド66(PA66)ストリップ(幅25mm±0.5mm及び長さ60mm±1mm)をアルコールで清浄にし、室温で乾燥させた。被覆鋼部品を、25×30mmの重なりありで圧力を加えながらポリアミドストリップに押し付けた。試験片を120℃で58時間硬化させた。試験片を室温に冷却し、その後、破壊まで引っ張った。本発明の接着剤を使用して接合された検体を、ASTM試験D5868-01に記載されている剥離試験手順に従って硬化後に破壊まで引っ張った。
【0072】
実施例1の接着剤を用いてグリットブラスト鋼に接合されたPA66に関するラップせん断接合強度は、8.6N/mmであった。実施例1の接着剤を用いてグリットブラストアルミニウムに接合されたPA66に関するラップせん断接合強度は、6.1N/mmであった。
【0073】
【表5】
【国際調査報告】