(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】隆起したレリーフ固定面を有する地面係合トラックシュー
(51)【国際特許分類】
B62D 55/20 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B62D55/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552536
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022017896
(87)【国際公開番号】W WO2022192008
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
(57)【要約】
地面係合トラックシュー(38)は、リンク側固定面(78、80)、および地面側固定面(82、84)を有するシュープレート(46)を含む。リンク側固定面(78、80)および地面側固定面(82、84)は、リンク対向面(58)および地面対向面(62)それぞれに対して隆起したプロファイルである。固定面(78、80、82、84)は、処理中の支持のために固定具をトラックシュー(38)に締め付けることを可能にして、トラックシュー(38)の部分を平坦に維持すること、および部品ごとのばらつきを低減することにおける改善を可能にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面係合トラックシュー(38、138)であって、
第一の横方向縁部(48)、第二の横方向縁部(50)、前縁部(52、152)、後縁部(54、154)、およびリンク対向面(58)および前記リンク対向面(58)と反対の地面対向面(62)を有する中間プレートセクション(56、156)、を含むシュープレート(46、146)と、
前記中間プレートセクション(56、156)を通って延在する前方ボルト穴セット(74)および後方ボルト穴セット(76)に配置されたボルト穴と、を備え、
前記シュープレート(46、146)が、それぞれ前記前方ボルト穴セット(74)および前記後方ボルト穴セット(76)のうちの一つの前記ボルト穴の周りに円周方向に延在するリンク側固定面(78、80、178、180)、および前記前方ボルト穴セット(74)および前記後方ボルト穴セット(76)のうちの一つの前記ボルト穴の周りに円周方向に延在する地面側固定面(82、84、182、184)をさらに含み、
前記リンク側固定面(78、80、178、180)が、前記リンク対向面(58)に対して前方方向および後方方向の両方において隆起したプロファイルであり、前記地面側固定面(82、84、182、184)が、前記地面対向面(62)に対して前記前方方向および前記後方方向の両方において隆起したプロファイルである、地面係合トラックシュー(38、138)。
【請求項2】
前記シュープレート(46、146)が、前記中間プレートセクション(56、156)から前記前縁部(52、152)へと移行する上向きリップ(66)、前記中間プレートセクション(56,156)から前記後縁部(54、154)へと移行する下向きリップ(68)、およびグラウサー(70)を含み、
前記リンク側固定面(78、80、178、180)および前記地面側固定面(82、84、182、184)が、それぞれ前記第一の横方向縁部(48)から前記第二の横方向縁部(50)へと連続的に延在する二つの固定面を含み、
シュープレートの厚さが、前記リンク側固定面(78、80、178、180)および前記地面側固定面(82、84、182、184)の外側の前記中間プレートセクション(56、156)によって画定され、
前記リンク側固定面(78、80、178、180)および前記地面側固定面(82、84、182、184)のそれぞれの隆起したレリーフ高さが、前記シュープレートの厚さ(94)の2%~13%である、請求項1に記載のトラックシュー(38、138)。
【請求項3】
前記リンク対向面(58)が、前記下向きリップ(68)と前記上向きリップ(66)との間に延在し、前記地面対向面(62)が、前記グラウサー(70)と前記上向きリップ(66)との間に延在し、
前記リンク側固定面(78、80、178、180)の組み合わせた表面積、および前記地面側固定面(82、84、182、184)の組み合わせた表面積が、それぞれ、前記リンク対向面(58)および前記地面対向面(62)の表面積よりも小さく、
前記リンク側固定面(78、80、178、180))が、それぞれ前記地面側固定面(82、84、182、184)のうちの一つと前後に位置合わせされ、
第一の低減されたリリーフチャネル(90)が、前記リンク側固定面(78、80、178、180)の間に前後に形成され、第二の低減されたリリーフチャネル(92)が、前記地面側固定面(82、84、182、184)の間に前後に形成される、請求項2に記載のトラックシュー(38、138)。
【請求項4】
地面係合トラックシュー(38、138)であって、
第一の横方向縁部(48)、第二の横方向縁部(50)、前縁部(52、152)、後縁部(54、154)、リンク対向側面(60、158)および前記リンク対向側面(60、158)と反対の地面対向側面(64、162)を有する中間プレートセクション(56、156)、前記中間プレートセクション(56、156)から前記前縁部(52、152)へと移行する上向きリップ(66)、および前記中間プレートセクション(56、156)から前記後縁部(54、154)へと移行する下向きリップ(68)を含む、シュープレート(46、146)と、
前記地面対向側面(64、162)から突出するグラウサー(70)と、を備え、
前記中間プレートセクション(56、156)が、前記リンク対向側面(60、158)および前記地面対向側面(64、162)のそれぞれ上の隆起したレリーフ前方固定面(78、82、178、182)、および前記リンク対向側面(60、158)および前記地面対向側面(64、162)のそれぞれ上の隆起したレリーフ後方固定面(80、180、84、184)を形成するように輪郭付けられ、
前記前方固定面(78、82、178、182)が、前記上向きリップ(66)の後方に位置して前後で互いに位置合わせされ、前記後方固定面(80、180、84、184)が、前記グラウサー(70)の前方に位置して前後で互いに位置合わせされる、地面係合トラックシュー(38、138)。
【請求項5】
前記前方固定面(78、82、178、182)および前記後方固定面(80、180、84、184)のそれぞれが、前記第一の横方向縁部(48)から前記第二の横方向縁部(50)へと連続的に延在し、
前記シュープレート(46、146)が、前記前方固定面(78、82、178、182)および前記後方固定面(80、84、180、184)の外側の前記中間プレートセクション(56、156)のシュープレートの厚さを画定し、前記前方固定面(78、82、178、182)および前記後方固定面(80、84、180、184)のそれぞれの隆起したレリーフ高さが、前記シュープレートの厚さ(94)の2%~13%である、請求項4に記載のトラックシュー(38、138)。
【請求項6】
合計二つの前方固定面(78、82、178、182)、および合計二つの後方固定面(80、180、84、184)を含む、請求項4または5に記載のトラックシュー(38、138)。
【請求項7】
前記前方固定面(78、82、178、182)を通って延在する前方ボルト穴セット(74)、および前記後方固定面(80、84、180、184)を通って延在する後方ボルト穴セット(76)に配置されたボルト穴をさらに備える、請求項4~6のいずれかに記載のトラックシュー(38、138)。
【請求項8】
エンドツーエンド配置で一緒に結合された二つの平行なトラックリンク(32、36)のチェーン(30、34)を含む、トラックチェーンアセンブリ(28)と、
前記トラックチェーンアセンブリ(28)のトラックリンク(32、36)と接触するリンク対向側面(60、158)、および地面接触側面(64、162)、前記リンク対向側面(60、158)および前記地面対向側面(64、162)のそれぞれ上の隆起したレリーフ前方固定面(78、82、178、182)、および前記リンク対向側面(60、158)および前記地面対向側面(64、162)のそれぞれ上の隆起したレリーフ後方固定面(80、84、180、184)を有するトラックシュー(38、138)と、を備え、
前記トラックシュー(38、138)が、前記前方固定面(78、82、178、182)を通って延在する前方ボルト穴セット(74)に配置されたボルト穴、および前記後方固定面(80、84、180、184)を通って延在する後方ボルト穴セット(76)をさらに含み、
ボルト(86)が、前記ボルト穴を通って延在し、前記トラックシュー(38、138)を前記二つの平行なトラックリンク(32、36)のチェーンのトラックリンク(32、36)に締め付ける、トラックジョイントアセンブリ(40)。
【請求項9】
前記前方固定面(78、82、178、182)および前記後方固定面(80、84、180、184)が、それぞれ前記トラックシュー(38、138)の第一の横方向縁部(48)から第二の横方向縁部(50)へと連続的に延在する合計二つの固定面を含む、請求項8に記載のトラックジョイントアセンブリ(40)。
【請求項10】
前記シュープレート(46、146)が、前記前方固定面(78、82、178、182)、および前記後方固定面(80、84、180、184)の外側の前記中間プレートセクション(56、156)のシュープレートの厚さを画定し、前記前方固定面(78、82、178、182)および前記後方固定面(80、84、180、184)のそれぞれの隆起したレリーフ高さが、前記シュープレートの厚さの2%~13%である、請求項9に記載のトラックジョイントアセンブリ(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、地面係合トラックシューに関し、より具体的には、処理中に締め付け固定具でトラックシューを保持するための固定面を有するトラックシューに関する。
【背景技術】
【0002】
地面係合トラックシステムは、オフハイウェイ環境において様々な機械で使用される。典型的な用途には、建設、鉱業、林業、埋め立て地、およびその他の様々なものが含まれる。典型的な構成では、複数のトラックリンクは、機械フレームに結合された回転可能なトラック係合要素の周りに延在する取り付けられたトラックシューと無限チェーンを形成する。この性質の地面係合トラックは、典型的には、機械の左側および右側のそれぞれに提供される。トラックは、前方方向に進むことで機械を前方に移動させ、反対方向に進むことで機械を後方に移動させることができ、異なる速度で回転することで機械の向きを変えることができる。
【0003】
トラックタイプの機械が典型的に使用されるオフハイウェイ環境は、硬質の基材、滑りやすい状態および濡れた状態、およびトラックシステムが多様および反復的な高負荷に供される機械活動を含んで、非常に厳しい場合がある。地面係合トラックの耐用寿命の間に、多数のトラックシューは、基材との接触、ならびにねじり荷重、曲げ荷重、およびその他のものからの様々な摩耗現象を経験し得るが、これは材料疲労を早め、故障を引き起こす場合がある。サービス条件に応じて、トラックシューは一般的に、定期的に交換する必要がある。所与の機械に対して何十ものトラックシューを交換することは、労働集約的かつ相対的に費用のかかる試みであり得る。この理由から、トラックシューは、典型的には、大量かつ合理的に実現可能なようできるだけ経済的に製造される。トラックシュー製造における不均一性または誤差は、望ましくない再加工または廃棄を必要とする場合がある。取り付けられたトラックシュー間のばらつきは、取り付けを複雑にする、トラックの耐用寿命を短くする、または性能低下を引き起こす場合がある。
【0004】
一つのトラックシュー製造工程では、細長い圧延された鉄片または鋼片が生成され、セクションに切断されて一貫した交換可能な形態を提供し、これから仕上げ加工されたトラックシューを作製することができる。個々の切断されたセクションは、典型的には、個々のトラックシューの硬度、疲労寿命、および他の特性を増大させるために熱処理および急冷される。トラックシュー製造における効率および一貫性のためには、上述の形状、寸法、または他の特性の誤差は望ましくない。Prestの米国特許出願公開第2014/0332505号は、トラックシューを製造する方法を対象とする。Prestが提案する戦略では、トラックシューロングバーは、複数のトラックシューに対して断面プロファイルを有する。ロングバーの一方の端部は第一のチャックに係合され、第二の端部は第二のチャックに係合される。穴またはノッチのうちの少なくとも一つは、レーザーカッターを使用してロングバーに切断される。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、地面係合トラックシューは、第一の横方向縁部、第二の横方向縁部、前縁部、および後縁部を有するシュープレートを含む。シュープレートは、リンク対向面、およびリンク対向面と反対の地面対向面を有する中間プレートセクションをさらに含む。前方ボルト穴セットおよび後方ボルト穴セットに配置されるボルト穴は、中間プレートセクションを通って延在する。シュープレートは、それぞれ前方ボルト穴セットおよび後方ボルト穴セットのうちの一つのボルト穴の周りに円周方向に延在するリンク側固定面、および前方ボルト穴セットおよび後方ボルト穴セットのうちの一つのボルト穴の周りに円周方向に延在する地面側固定面をさらに含む。リンク側固定面は、リンク対向面に対して前方方向および後方方向の両方において隆起したプロファイルであり、地面側固定面は、地面対向面に対して前方方向および後方方向の両方において隆起したプロファイルである。
【0006】
別の態様では、地面係合トラックシューは、第一の横方向縁部、第二の横方向縁部、前縁部、および後縁部を有するシュープレートを含む。シュープレートは、リンク対向側面およびリンク対向側面と反対の地面対向側面を有する中間プレートセクション、中間プレートセクションから前縁部へと移行する上向きリップ、および中間プレートセクションから後縁部へと移行する下向きリップをさらに含む。グラウサーは、地面対向側面から突出する。中間プレートセクションは、リンク対向側面および地面対向側面のそれぞれ上に隆起したレリーフ前方固定面、およびリンク対向側面および地面対向側面のそれぞれ上に隆起したレリーフ後方固定面を形成するように輪郭付けられる。前方固定面は、上向きリップの後方に位置して前後で互いに位置合わせされ、後方固定面は、グラウサーの前方に位置して前後で互いに位置合わせされる。
【0007】
さらに別の態様では、トラックジョイントアセンブリは、エンドツーエンド配置で一緒に結合された二つの平行なトラックリンクのチェーンを含むトラックチェーンアセンブリを含む。トラックシューは、トラックチェーンアセンブリのトラックリンクと接触するリンク対向側面、および地面接触側面、リンク対向側面および地面対向側面のそれぞれ上の隆起したレリーフ前方固定面、およびリンク対向側面および地面対向側面のそれぞれ上の隆起したレリーフ後方固定面を含む。トラックシューは、前方固定面を通って延在する前方ボルト穴セット、および後方固定面を通って延在する後方ボルト穴セットに配置されたボルト穴、およびボルト穴を通って延在し、トラックシューを二つの平行なトラックリンクのチェーンのトラックリンクに締め付けるボルトをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態による、機械の側面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による、トラックジョイントアセンブリの部分分解図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、トラックシューの斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、トラックシューの断面側面図である。
【
図5】
図5は、別の実施形態による、トラックシューの斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による、トラックシューの作製における加工段階の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、一実施形態による機械10が示される。機械10は、機械フレーム12、および機械フレーム12に結合された地面係合トラックシステム14を含む。トラックシステム14は、回転可能な駆動スプロケット18の周りに延在するトラック16、前方アイドラー20、後方アイドラー22、および複数のトラックローラー24を含む。前方アイドラー20、後方アイドラー22、およびトラックローラー24は、トラックローラーフレーム26によって支持され得る。
図3に見えるものと実質的に同一の別の地面係合トラックおよび関連する構成要素が、典型的には、図では見えない機械フレーム12の反対側に取り付けられる。機械10は、トラックタイプのトラクターの文脈で示される。他の例では、機械10は、ハーフトラック機械、トラックタイプのローダ、ショベル、またはさらに別のものであり得る。トラックシステム14は、いわゆる「ハイドライブ」構成で位置付けられた駆動スプロケット18とともに示される。他の例では、トラックシステム14は、一つの駆動スプロケットおよび一つのアイドラーを有する楕円形トラック構成を有し得る。トラック16は、エンドツーエンド配置で一緒に結合された二つの平行なトラックリンクのチェーンを含むトラックチェーンアセンブリ28を含む。
図1では、トラックチェーンアセンブリ28のトラックチェーン30は、複数のトラックリンク32を有して示される。複数のトラックシュー38は、トラックリンク36に取り付けられ、典型的には、トラックチェーンアセンブリ28の二つの平行なトラックリンクのチェーンのそれぞれのトラックリンクと接触してボルトで固定される。以下の説明からさらに明らかとなるように、トラックシュー38は、より大きな部品ごとの均一性、特定の特徴の平坦性、および製造の容易性のために、独自に構成され得る。
【0010】
また
図2を参照すると、トラックチェーン30の一部、および第二の平行なトラックチェーン34の一部を含む、トラックジョイントアセンブリ40が示される。トラックチェーン34は、複数のトラックリンク36を含む。以下、単数形において時々言及される、複数のトラックシュー38は、トラックチェーン30およびトラックチェーン34のトラックリンク32およびトラックリンク36にそれぞれボルトで固定されるように構造化される。トラックチェーン30および34は、複数のトラックピン42によって一緒に結合される。トラックピン42は、締り嵌めによって、ポジティブピン保持によって、または任意の他の適切な戦略など、任意の適切な様式でトラックチェーン30および34に結合させることができる。トラックピン42は、ブッシングを備えてもよく、またはむき出しであってもよい。本明細書でさらに論じるように、トラックシュー38は、それぞれのトラックシュー34のボルト穴を通って延在する複数のボルト86によって、トラックリンク32およびトラックリンク36にボルトで固定されてもよい。例えば、トラックリンクのナットシート窓に位置付けることができるナット88が、トラックリンク32または36のうちの一つにおいてトラックシュー38を通過するボルト86と係合する。
【0011】
また
図3を参照すると、トラックシュー38は、第一の横方向縁部48、第二の横方向縁部50、前縁部52、および後縁部54を有するシュープレート46を含む。シュープレート46は、リンク対向側面60上にリンク対向面58、およびリンク対向面58と反対の地面対向側面64上に地面対向面62を有する中間プレートセクション56さらに含む。ボルト穴は、前方ボルト穴セット74および後方ボルト穴セット76に配置される。前方ボルト穴セット74および後方ボルト穴セット76のボルト穴は、中間プレートセクション56を通って延在する。リンク対向面58および地面対向面62は、本明細書でさらに論じる隆起したレリーフ部分を除いて平面であり得る。シュープレート46は、それぞれ前方ボルト穴セット74および後方ボルト穴セット76のうちの一つのボルト穴の周りに円周方向に延在するリンク側固定面78および80をさらに含む。シュープレート46は、前方ボルト穴セット74および後方ボルト穴セット76のうちの一つのボルト穴の周りに円周方向に延在する地面側固定面82および84をさらに含む。それぞれのリンク側および地面側固定面はすべて平面であってもよく、それぞれが、各々のリンク対向側面60および地面対向側面64上に共通平面を画定する。
【0012】
リンク側固定面78および80は、リンク対向面58に対して前方方向および後方方向の両方において隆起したプロファイルである。地面側固定面82および84は、地面対向面62に対して前方方向および後方方向の両方において隆起したプロファイルである。別の言い方をすると、リンク側固定面78および80、および地面側固定面82および84は、前縁部38に近いそれぞれのリンク対向面58および地面対向面62の部分に対して、および後縁部54に近い部分に対しても高いプロファイルを有する。従って、中間プレートセクション56もまた、リンク対向側面60および地面対向側面64のそれぞれ上に隆起したレリーフ前方固定面82および78を形成するように輪郭付けられ、またリンク対向側面60および地面対向側面62のそれぞれ上に隆起したレリーフ後方固定面84および80を形成するように形状付けられるものと理解され得る。前方ボルト穴セット74は、前方固定面78および82を通って延在してもよく、後方ボルト穴セット76は、後方固定面80および84を通って延在してもよい。本明細書でさらに論じるように、リンク対向側面60および地面対向側面64上のシュープレート46のプロファイルは、特定の従来の戦略と比較して、制御する必要がある総面積を小さく処理するための、トラックシュー38の締め付けおよび位置付けを提供する。
【0013】
トラックシュー38は、シュープレート46が、中間プレートセクション56から前縁部52へと移行する上向きリップ66、および中間プレートセクション56から後縁部54へと移行する下向きリップ68を含むようにさらに構造化されてもよい。グラウサー70は、地面対向側面64上に位置し、垂直方向に突出する。前方固定面78および82は、前後方向に互いに位置合わせされ、上向きリップ66の後方に位置し得る。後方固定面80および84は、前後方向に互いに位置合わせされ、グラウサー70の前方に位置し得る。複数の切欠き72は、
図3に示すように、下向きリップ68内に形成され、後縁部54から内側に延在する。前方、後方、横方向、垂直またはこれに類する方向表示の用語は、本明細書では純粋に利便性のために使用され、トラックシステム14の部品の任意の特定の位置決め、または配置または機能を必要とすると理解されるべきではない。図示した実施形態では、リンク側固定面78および80は、それぞれ地面側固定面82および84のうちの一つと前後に位置合わせされていると理解され得る。リンク側固定面78および80、および地面側固定面82および84は、それぞれ第一の横方向縁部48から第二の横方向縁部50へと連続的に延在する二つの固定面を含み得る。上述のように、リンク側固定面78および80は、前方ボルト穴セット74および後方ボルト穴セット76のうちの一つのボルト穴の周りに円周方向に延在する。図示した実施形態では、前方ボルト穴セット74のボルト穴のそれぞれは、リンク側固定面82および地面側固定面78によって囲まれ、後方ボルト穴セット76のボルト穴のそれぞれは、リンク側固定面80および地面側固定面84によって囲まれる。また図示した実施形態では、ボルト穴74および76は、台形パターンで配置される。他の実施形態では、ボルト穴74および76は、正方形パターン、長方形パターン、またはさらに別のパターンを形成し得る。
【0014】
リンク対向面58および地面対向面62は各々、それぞれの固定面によって分離された表面の別個のセクションであるものと理解され得ることに留意されたい。リンク対向面58は、下向きリップ68で発生/終結する、および上向きリップ66で発生/終結する、従って、下向きリップ68と上向きリップ66との間に前後に延在するものと理解され得る。地面対向面62は、グラウサー70で発生/終結する、および上向きリップ66で発生/終結する、従って、グラウサー70と上向きリップ66との間に前後に延在するものと理解され得る。一実施形態では、リンク側固定面78および80の組み合わせた表面積、および地面側固定面82および84の組み合わせた表面積は、それぞれ、リンク対向面58および地面対向面62の表面積よりも小さい。第一の低減されたリリーフチャネル90は、リンク側固定面78と80の前後方向の間に形成され得る。第二の低減されたリリーフチャネル92は、地面側固定面82と84の前後方向の間に形成され得る。
【0015】
また
図4を参照すると、寸法および比例属性を含むトラックシュー30の追加の特徴がさらに詳細に示される。シュープレートの厚さ94は、前方ボルト穴セット74と後方ボルト穴セット76との間など、リンク側固定面78および80の外側、および地面側固定面82および84の外側の位置に画定される。リンク側固定面78および80、および地面側固定面82および84のそれぞれの隆起したレリーフ高さ96は、シュープレートの厚さ94の2%~13%であり得る。精密には、隆起したレリーフ高さ96は、シュープレートの厚さ94の2.3%~12.5%である。シュープレートの厚さ94はまた、前方固定面78および82の前方の位置、後方固定面80および84の後方の位置、および、およそ
図4に図示する位置である前方固定面78と82との間、および後方固定面80と84との間に画定され得る。シュープレート46の全厚98は、位置合わせされた前方固定面78および82の位置、または位置合わせされた後方固定面80および84の位置における垂直方向の厚さとして画定され得る。全厚98は、シュープレートの厚さ94の104%~138%であり得る。一部の例では、シュープレートの厚さ94は、約8ミリメートル~約22ミリメートルの範囲であり得る。隆起したレリーフ高さ96は、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルの範囲であり得る。約とは、測定誤差内、または下部走行体の当業者によって習慣的に指定され得る別の公差内であることを意味する。本明細書に記載する比率および寸法は、例示に過ぎず、本明細書でさらに論じるように、取り付けパターン、重量要件に対応またはこれを維持し、処理中の締め付けおよび制御の改善を可能にする、トラックシュー構造のための実用的な実装戦略を提供する。
【0016】
ここで
図5を参照すると、別の実施形態による地面係合トラックシュー138が示される。トラックシュー138は、トラックシュー38との特定の類似点を有するが、特定の差異も有する。トラックシュー138は、前縁部152および後縁部154を有するシュープレート146を含む。後方グラウサーは170で示され、前方グラウサーは171で示される。シュープレート146の中間プレートセクション156は、リンク対向側面上にリンク対向面158、および地面対向側面上に地面対向面162を含む。前述の実施形態のものと類似し、かつ潜在的に実質的に同一である隆起したレリーフリンク側固定面は、178および180で示される。地面側固定面182および184は、同じく前述の実施形態と類似し、または実質的に同一である地面対向面162に対してレリーフ状に隆起している。トラックシュー138の厚さ、相対厚さ、レリーフ高さ、レリーフ相対高さ、および全厚を含む寸法および比率は、前述の実施形態に関連して論じたものと実質的に同一であり得る。トラックシュー138は、地面係合トラックのマスタートラックリンクと結合するよう構造化されたマスターシューであってもよい。サービスウィンドウ191は、リンク対向面158と地面対向面162との間に中間プレートセクション156を通って延在する。固定面178、180、182、184は、それぞれトラックシュー138の横方向の全幅に延在し得るが、サービスウィンドウ191と交差する場合がある。本明細書で意図されるマスターシューは、単一のグラウサートラックシューであり得ることが理解されよう。さらに、本明細書で意図されるマルチグラウサートラックシューは、マスターシューではなく、サービスウィンドウなしで構造化されてもよい。本明細書の任意の一つの実施形態の説明、考察、または図解は、別途指示がある、または文脈から明白な場合を除き、他の実施形態に類推適用されるものと理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
ここで図面全般、および
図6も参照すると、熱処理炉200内で少なくとも一つの処理段階にある、および噴射器204による噴水のために位置付けられる別の処理段階にあるトラックシュー38が示される。前述したように、トラックシュー間の部品ごとのばらつきを制限することが望ましい。炉処理後の噴水冷却プロセス中に、トラックシューが、シューごとに変化する様式で変形を経験することがあり得ることが観察された。適切な取り付け、およびサービス中の性能を可能にするには、ボルト固定領域を可能な限り完全に平坦に近づけて維持することが非常に望ましい。中間プレートセクションの両側上に理想的には均一に平坦なトラックシューを用いる以前の戦略によれば、一般的に、地面対向側面およびリンク対向側面の露出面の全体に前後リップ部分間で固定具を締め付ける必要があった。
【0018】
図6の右側の画像では、固定具201は、固定具アクチュエータ202によって、固定面78、80、82、84と接触して締め付けられている。実際に固定具201と接触しているトラックシュー38の表面積は、それぞれの固定面によって提供される隆起したレリーフがない場合に必要とされるであろう締め付けまたは接触面積と比較して、比較的小さいことが観察され得る。比較的小さな締め付けまたは固定表面積により、正確に制御する必要がある面積が比較的少ないため、概して、しっかりかつ確実にトラックシュー38を締め付けることが容易になる。また、
図6に、質量集中210の例を示す。従来の戦略によれば、トラックシュー38の地面対向側面およびリンク対向側面上に提供されるプロファイルがなければ、少なくとも一部の例では、トラックシューは、噴水で冷却されるときに質量集中の周りでわずかにカールし、いわゆる「プリングリング(pringling)」または「ポテトチッピング」現象を示すことが予想される。トラックシュー38が質量集中210の周りでカールする傾向を低減または除去することによって、より高品質な製品、および部品間のばらつきを修正するための再加工がより少なくなることが予想される。
【0019】
本明細書は、例示目的のみとし、本開示の範囲をいかなる形でも狭めるように解釈されるべきではない。従って、当業者は、本開示の完全および公正な範囲および趣旨から逸脱することなく、本開示の実施形態にさまざまな修正を行うことができることを理解するであろう。その他の態様、特徴および利点は、添付図面および添付の特許請求の範囲を検討の上で明らかになるであろう。本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、一つまたは複数の品目を含むことが意図されており、「一つまたは複数(one or more)」と交換可能に使用され得る。一つの項目のみが意図される場合、「一つの」または類似の言い回しが使用される。また、本明細書で使用される「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」またはこれに類する用語は、非限定な用語であることが意図される。さらに、「に基づく」という語句は、別段の明示がない限り、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
【国際調査報告】