(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】統合バラクター回路を備えたメタサーフェスアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/36 20060101AFI20240229BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01Q3/36
H01Q13/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553250
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2022018174
(87)【国際公開番号】W WO2022187154
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】エスファーラニ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレル カグダス
(72)【発明者】
【氏名】ハサン アバディ サイエド モハマド アミン モメニ
(72)【発明者】
【氏名】ファム トゥン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン ライアン
(72)【発明者】
【氏名】テラー ウィトルト
(72)【発明者】
【氏名】ランジバルニッカー モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン ポール
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021AB05
5J021CA05
5J021DB02
5J021DB03
5J021FA01
5J021FA03
5J021FA06
5J021FA26
5J021GA02
5J021JA09
5J045DA04
5J045FA02
5J045GA07
5J045JA17
(57)【要約】
統合バラクター回路を備えたアンテナが記載される。アンテナは、メタサーフェスアンテナを含むことができる。幾つかの実施形態において、アンテナは、アンテナ素子のアレイを含み、各アンテナ素子は、アイリスと、アイリスの一部にわたって結合された集積回路(IC)チップ上に統合されたバラクターダイオードと、を含む。アンテナはまた、複数のトランジスタを含むことができ、各トランジスタは、アンテナ素子のアレイにおけるバラクターダイオードのうちの個々のバラクターダイオードに結合されて、同調電圧を1つのバラクターダイオードに供給する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
アンテナ素子のアレイであって、各アンテナ素子は、アイリスと、前記アイリスの一部を横切って結合された集積回路(IC)チップ上に統合されたバラクターダイオードと、を含む、アンテナ素子のアレイと、
複数のトランジスタであって、各トランジスタは、前記アンテナ素子のアレイにおける前記バラクターダイオードのうちの異なる1つに結合されて、前記1つのバラクターダイオードに同調電圧を供給する、複数のトランジスタと、
を含む、アンテナ。
【請求項2】
前記ダイオードは、単一接合バラクターダイオードを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記ダイオードは、二重接合バラクターダイオードを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記二重接合バラクターダイオードは、直列の2つの接合キャパシタを含む、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
各アンテナ素子は、前記ダイオードに直列に結合されたキャパシタを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記キャパシタは、前記ICチップの一部である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記各トランジスタは、前記1つのバラクターダイオードを備えた前記ICチップの一部である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記ICチップは更に、前記ICにわたる無線周波数(RF)電流を増幅するための、前記バラクターダイオードに結合された増幅器を含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記ICチップは更に、前記バラクターダイオードで電圧をモニタするセンサを含む、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記センサは、電圧サンプリング回路を含む、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記複数のトランジスタは、マトリクス駆動の一部である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複数のトランジスタは、直接駆動の一部である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
アンテナであって、
複数のアイリスを有するアンテナアパーチャと、
前記複数のアイリスに結合された複数の集積回路(IC)チップであって、各ICは、前記複数のアイリスのうちの1つのアイリスの一部を横切って結合されたバラクターダイオードを有し、無線周波数(RF)端子の間に結合される、複数の集積回路(IC)チップと、
を含み、
前記各ICは更に、
前記バラクターダイオードに同調電圧を供給するように結合されたトランジスタと、
前記RF端子を横切って前記ICを通って伝播するRF信号を増幅するための、前記バラクターダイオードに結合された増幅器と、
を含む、アンテナ。
【請求項14】
前記ダイオードは、単一接合バラクターダイオードを含む、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記ICチップは更に、センサを含む、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記センサは、前記バラクターダイオードで電圧をモニタする、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記センサは、電圧サンプリング回路を含む、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項18】
アンテナであって、
複数のアイリスを有するアンテナアパーチャと、
前記複数のアイリスに結合された複数の集積回路(IC)チップであって、各ICは、前記複数のアイリスのうちの1つのアイリスの一部を横切って結合され且つRF端子の間に結合される二重接合バラクターダイオードを有する、複数の集積回路(IC)チップと、
複数のトランジスタであって、各トランジスタは、前記二重接合バラクターダイオードのうちの異なる1つに結合され、同調電圧を前記1つの二重接合バラクターダイオードに供給する、複数のトランジスタと、
を含む、アンテナ。
【請求項19】
前記二重接合バラクターダイオードは、接合部にて直列に結合された2つの接合キャパシタを含み、前記各トランジスタは、前記同調電圧を前記接合部に供給するよう構成される、請求項18に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記複数のICの各々は更に、前記複数のトランジスタのうちの1つを含む、請求項18に記載のアンテナ。
【請求項21】
前記二重接合バラクターダイオードは、共通カソードを有する、請求項18に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、全体が引用により組み入れられる、「統合バラクター回路を備えたメタサーフェスアンテナ(Metasurface Antenna with Integrated Varactor Circuits)」という名称の2021年3月1日に出願された米国仮特許出願第63/155,152号明細書、及び2022年2月25日に出願された米国非仮特許出願第17/681,375号明細書の非仮出願であり、これらの利益を主張し、これら仮出願は、全体が引用により組み入れられる。
【0002】
本発明の実施形態は、無線通信に関し、詳細には、無線周波数(RF)放射アンテナ素子を同調するバラクターダイオードデバイスを利用した無線通信用のアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
メタサーフェスアンテナは、軽量で低コストの平面物理プラットフォームから誘導される指向性ビームを生成する新しい技術として近年現れてきた。このようなメタサーフェスアンテナは、例えば衛星通信などの幾つかの応用に近年使用されてきている。
【0004】
メタサーフェスアンテナは、通信に用いるために制御することができるビームを生成するために給電波から選択的にエネルギーを結合することのできるメタマテリアルアンテナ素子を含むことができる。これらのアンテナは、安価な製造し易いハードウェアプラットフォームからの位相アレイアンテナに匹敵する性能を達成することができる。
【0005】
フェーズドアレイと比べてより単純な素子を用いることによって、メタサーフェスの動作は容易且つ高速になる。しかしながら、これらの素子は、フェーズドアレイアーキテクチャに共通であるフェーズシフタ及び増幅器によって達成できるのと同じレベルの制御を示すものではない。メタサーフェスベースのアンテナの一部の実施は、アレイにおける各個々の素子の大きさ及び位相の両方の独立した制御を提供することはない。このような制御は、場合によっては必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/155,152号明細書
【特許文献2】米国非仮特許出願第17/681,375号明細書
【特許文献3】米国特許第10,892,553号明細書
【発明の概要】
【0007】
統合バラクター回路を備えたアンテナが記載される。アンテナは、メタサーフェスアンテナを含むことができる。幾つかの実施形態において、アンテナは、アンテナ素子のアレイを含み、各アンテナ素子(antenna element)は、アイリス(iris)とアイリスの一部にわたって結合された集積回路(IC)チップ上に統合された(integrated)バラクターダイオードとを含む。アンテナはまた、複数のトランジスタを含むことができ、各トランジスタは、同調電圧(tuning voltage)を1つのバラクターダイオードに供給する(provide)ためにアンテナ素子のアレイのバラクターダイオードのうちの異なる1つ(distinct one)に結合される。
【0008】
記載される実施形態及びこの利点は、添付の図面に関して取り入れられる以下の説明を参照することによって良く理解することができる。これらの図面は、記載される実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって記載される実施形態に行い得る形態及び詳細における何れの変更も決して制限することはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】単一接合構成の1つの実施形態を示す図である。
【
図2】統合静的静電容量を備えた単一接合ダイオードICの幾つかの実施形態を示す図である。
【
図3】統合静的静電容量と統合トランジスタを備えた単一接合部の1つの実施形態を示す図である。
【
図4】二重接合ダイオードの幾つかの実施形態を示す図である。
【
図5】統合バラクター/トランジスタの1つの実施形態を示す図である。
【
図6】統合バラクター/トランジスタ/増幅器の1つの実施形態を示す図である。
【
図7】統合バラクター/トランジスタ/センサ(例えば、電圧サンプリング)の1つの実施形態を示す図である。
【
図8】アンテナ制御ユニット(ACU)の幾つかの実施形態を示す図である。
【
図9】ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続部を示す断面図である。
【
図10】ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続部を示す断面図である。
【
図11】アンテナのアンテナ素子を制御するバラクターダイオードデバイスを使用する処理の幾つかの実施形態を示す流れ図である。
【
図12】円筒状給電ホログラフィック放射アンテナアパーチャの1つの実施形態を示す略図である。
【
図13A】グランドプレーン及び再構成可能共振器層を含むアンテナ素子の1つの行を示す斜視図である。
【
図13B】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態を示す側面図である。
【
図14】射出波を備えたアンテナシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図15】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
【
図16】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
【
図17】同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
集積回路(IC)上に統合されたバラクターダイオードを含むアンテナの方法及びデバイスが本明細書で開示される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるバラクターダイオードは、統合の異なるレベルを備えた集積回路(IC)として考えることができる。幾つかの実施形態において、各々がバラクターダイオードを備える1又は2以上のICが、アンテナ素子(例えば、無線周波数(RF)放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)を備えたアンテナアパーチャ(antenna aperture)を有するメタサーフェスアンテナに統合される。このような場合、ICが、アンテナ素子のRF特性を調整する。幾つかの実施形態において、ICは、バラクターダイオードに同調電圧を印加するスイッチとして動作する1又は2以上のトランジスタを含むことができる。トランジスタを含むことで、スイッチがICに統合される場合に外部トランジスタ(例えば、マトリクス駆動トランジスタ、直接駆動トランジスタ)に対する必要性が排除される。例えば、レジスタ、キャパシタ及びインダクタなどの他の構成要素を、同様にICの一部とすることができる。
【0011】
幾つかの実施形態において、センサは、バラクターの実際の電圧のモニタリングを可能にするためにICに組み込まれる。これは、アンテナ性能の故障発見を助け且つアンテナのフィールド内最適化を向上させる。幾つかの実施形態において、メタサーフェスアレイは、あらゆる単位セルに、又は代わりに、アレイ全体に分散された単位セルのサブセットだけにセンサ機能を備えたダイオードを有する。単位セルのサブセットにセンサ機能を有することによって、同調及びセンサ回路の複雑さを低く維持することができ、同時に所望のパラメータの十分な検知を可能にする。幾つかの実施形態において、センサは、電圧サンプリング回路によって実施される。
【0012】
別の構成において、アクティブメタサーフェスアンテナは、マトリクス駆動のための統合トランジスタだけでなく、RF増幅器として動作するトランジスタ回路も備えたICを使用する。これにより、受信経路における集中化低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)及び送信経路における出力増幅器に対する必要性を無くすアクティブメタサーフェスを生成する。
【0013】
メタサーフェスアンテナのメタサーフェス素子、及び詳細には、メタサーフェス又はメタマテリアルアンテナの同調型構成要素の改良された設計を、様々な実施形態で本明細書に記載される。様々な設計は、基板上のアイリス開口部及び単位セルのアレイ用であり、アイリス開口部の共振周波数を同調するバラクターとしてダイオードを使用する。メタサーフェスアンテナの実施例は、「ブロード同調型帯域幅放射ラインスロットアンテナ」という名称の米国特許第10,892,553号明細書に記載されている。
【0014】
以下の説明では、本発明の完全な解説を提供するために多数の詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。他の事例では、本発明を曖昧にしないために、公知の構造及びデバイスを詳細にではなくブロック図の形式で示す。
【0015】
本明細書に記載される実施形態は、以下に示す詳細な説明から且つ本発明の様々な実施形態の図面から良く理解されるであろうが、これは、特定の実施形態に本発明を制限するものと捉えるべきでなく、解説及び理解のためだけに示される。
【0016】
図1は、単一接合構成の1つの実施形態を示す。
図1を参照すると、この実施形態は、スロットアンテナ素子(スロットアレイアンテナの)に統合されたバラクターダイオード110を使用する。ダイオード110は、集積回路(IC)チップ120の一部であり、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)(図示せず)に取り付けられたアイリス金属層101に接着、又はそうでなければ導電するように取り付けられたRF端子113に結合された1つの端部を有し、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。ダイオード110の他の端部は、同調電圧を印加するためにIC120の外側にある静的キャパシタ111に直列に結合される。1つの実施形態において、静的キャパシタ111は,例えば,金属-絶縁体-金属(MIM)又はインターデジタルキャパシタ(IDC)などの多くの異なる形態の1つで実現される。
【0017】
ダイオード110と静的キャパシタ111の直列回路は、アンテナのアイリススロット102両端のブリッジを形成する。バイアスライン103が、ICチップ120上のパッド115を介してICチップ120に結合され、同調電圧をバラクターダイオード110に印加する。バイアスライン103は、キャパシタ111とダイオード110が接続するパッド115にトランジスタ112から電圧を供給するために結合される。幾つかの実施形態において、電圧は、アンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)に電圧を駆動するために用いられるマトリクス駆動回路の一部であるトランジスタ112によって制御及び切り替えられる。代替として、トランジスタ112は、直接駆動回路の一部である。幾つかの実施形態において、静的キャパシタ111及びトランジスタ112は、駆動回路を包含するバックプレーンの一部である。薄膜トランジスタ(TFT)は、トランジスタ112として使用することができるが、他のタイプのトランジスタ(例えば、シリコントランジスタ、ガリウムヒ素トランジスタなど)を用いることもできる。
【0018】
RFチョーク121は、RF信号からバイアスライン103上のDC電圧を分離する。一部の他の実施形態において、RFチョーク121は、絶縁レジスタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク121は、絶縁インダクタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク121は、ローパスフィルタを含む。
【0019】
図2は、統合静的キャパシタンスを有する単一接合ダイオードICの幾つかの実施形態を示す。この実施形態は、アンテナバックプレーンから静的キャパシタを無くし、静的キャパシタをダイオードに統合する。ダイオードにおける高解像度及び処理精度に起因して、静的キャパシタンスが、製造中の低耐性によって生成されることがある。バイアスラインを介して同調電圧を供給するトランジスタは、バックプレーンの一部のままである。
【0020】
図2を参照すると、ICチップ220は、RF端子213Aと213Bの間で直列に静的キャパシタ211に結合されたバラクターダイオード210を含み、アンテナのアイリススロット102両端のブリッジを形成する。RF端子213A及び213Bは、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)(図示せず)に取り付けられたアイリス金属層101に接着されるか、或いはそうでなければ、導電するように取り付けられ、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。
【0021】
図1と同様に、バイアスライン103は、ICチップ220上のパッド215を介してICチップ220に結合され、同調電圧をバラクターダイオード210に印加する。バイアスライン103は、トランジスタ112からの電圧を、キャパシタ211及びダイオード210が接続しているパッド215に供給するために結合される。幾つかの実施形態において、同調電圧は、アンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)に電圧を駆動するために用いられるマトリクス駆動回路の一部であるトランジスタ112によって制御され且つ切り替えられる。代替として、トランジスタ112は、直接駆動回路の一部である。薄膜トランジスタ(TFT)を、トランジスタ112として使用することができるが、他のタイプのトランジスタ(例えば、シリコントランジスタ、ガリウムヒ素トランジスタなど)を使用することもできる。
【0022】
RFチョーク221は、RF信号からバイアスライン103からのDC電圧を分離する。一部の他の実施形態において、RFチョーク221は、絶縁レジスタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク221は、絶縁インダクタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク221は、ローパスフィルタを含む。
【0023】
図3は、統合静的キャパシタンス及び統合トランジスタを備えた単一接合部の1つの実施形態を示す。実施形態は、
図2の概念を拡張し、トランジスタがバラクターダイオードICチップ上に統合された場合にトランジスタを備えたバックプレーンの必要性を無くす。幾つかの実施形態において、回路は、バラクターに接続するホールドアップキャパシタを含む。1つの実施形態において、抵抗性又は導電性電極は、トランジスタを単一接合回路に接続するために用いられる。
【0024】
図3を参照すると、ICチップ320は、RF端子313Aと313Bの間に直列に静的キャパシタ311に結合されたバラクターダイオード310を含み、アンテナのアイリススロット102の両端にブリッジを形成する。RF端子313A及び313Bは、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)(図示せず)に取り付けられたアイリス金属層101に接着されるか、或いはそうでなければ導電するように取り付けられ、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。
【0025】
ICチップ320は、ICチップ320上のパッド315を介してバイアスライン103に結合されるトランジスタ312を含む。トランジスタ312は、バイアスライン103から同調電圧を受け取り、キャパシタ311とダイオード310が接続されている接合部(junction)に同調電圧を供給する。薄膜トランジスタ(TFT)は、トランジスタ312として使用することができるが、他のタイプのトランジスタ(例えば、シリコントランジスタ、ガリウムヒ素トランジスタなど)も使用することができ、ICチップ320の半導体処理に基づく。従って、トランジスタ312は、マトリクス駆動回路の一部として又はアンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)に電圧を駆動する直接駆動回路の一部として動作することができる。
【0026】
RFチョーク321は、バイアスライン103からのDC電圧をRF信号から分離する。一部の他の実施形態において、RFチョーク321は、絶縁レジスタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク321は、絶縁インダクタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク321は、ローパスフィルタを含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、単一接合方式の代わりに二重接合/共通カソード方式が用いられる。このような場合、適正な接合設計によって、この構成は、単一接合方式に起こることがある非直線性を完全に無くすことができる。
図4及び5は、このタイプの二重接合/共通カソード方式の実施例である。
【0028】
図4は、二重接合ダイオードの幾つかの実施形態を示している。
図4を参照すると、幾つかの実施形態において、ICチップ420は、2つのダイオードを有するバラクターダイオードデバイス410を含み、ブリッジアイリススロット102に直列の2つの接合キャパシタを統合して、アンテナを同調させるための同調型キャパシタを生成する。1つの実施形態において、ダイオードは、共通カソード(common cathode)を共有する。ICチップ420は、統合キャパシタとの2つのダイオードの直列接続部に結合された2つのRF端子413A及び413Bを含み、アンテナのアイリススロット102両端のRF電流のためのブリッジを形成する。RF端子413A及び413Bは、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)(図示せず)に取り付けられたアイリス金属層101に接着されるか、或いはそうでなければ、導電するように取り付けられ、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。2つの接合部の間の接続ポイントで同調電圧を挿入する第3端子、パッド414が、含まれる。幾つかの実施形態において、電圧は、バックプレーン及び駆動回路(例えば、マトリクス駆動回路、直接駆動回路など)の一部であるトランジスタ112によって制御及び切り替えられる。
【0029】
幾つかの実施形態において、ホールドアップキャパシタ(
図4に図示せず)が、アンテナのバックプレーンの一部としてトランジスタ112に加えて用いられる。これは、アイリス基板のアイリス金属層に結合することができる。1つの実施形態において、トランジスタ112は、TFTである。二重接合キャパシタを備えたアイリスは、更に低キャパシタンス同調比を有するダイオードを必要とする。単一接合部は、Ku帯域又はKa帯域アンテナの同調帯域幅をカバーするために約1:8のキャパシタンス比を必要とするが、二重接合の実施形態は、1:2から1:3の範囲のキャパシタンス比を用いる。同調比における低減は、ダイオードのQファクタが劇的に増加することを可能にし、これによってアンテナ放射効率を向上させる。
【0030】
図5は、統合バラクター/トランジスタの1つの実施形態を示している。この実施形態は、
図4で上述した二重接合回路を拡張し、ダイオードのスイッチとして動作するトランジスタをチップに統合する。トランジスタ回路を設計する様々な方法が存在する。実施例を
図5に示している。この概念は、トランジスタがバラクターダイオードチップに統合される場合に同調電圧を駆動するためのトランジスタを備えたバックプレーンの必要性を無くす。1つの実施形態において、回路は、バラクターに接続するホールドアップキャパシタを含む。幾つかの実施形態において、抵抗性又は導電性電極が、トランジスタを二重接合回路に接続するために用いられる。
【0031】
図5を参照すると、1つの実施形態において、ICチップ520は、2つのダイオードを有し、アイリススロット102をブリッジするために直列の2つの接合キャパシタを統合し、アンテナを同調する同調型キャパシタを生成するバラクターダイオードデバイス510を含む。1つの実施形態において、ダイオードは、共通カソードを共有する。ICチップ520は、統合キャパシタを備えた2つのダイオードの直列接続部に結合された2つのRF端子513A及び513Bも含み、アンテナのアイリススロット102両端のRF電流のブリッジを形成する。RF端子513A及び513Bは、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)に取り付けられたアイリス金属層101に接着されるか、又はそうでなければ、導電するように取り付けられ、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。ICチップ520の一部でもあるトランジスタ512のゲートに同調電圧を印加する第3端子、パッド514Aが含まれる。幾つかの実施形態において、同調電圧は、バックプレーン及び駆動回路(例えば、マトリクス駆動回路、直接駆動回路など)の一部であるバイアスライン103を介してトランジスタ512のゲートに印加される。別の端子、パッド514Bは、トランジスタ512のソースを
図15の列コントローラ1502に結合する。トランジスタ512のドレインは、キャパシタ及びRFチョーク521に直列に接続される。RFチョーク521の端部は、RF端子513Aに接続される。
【0032】
RFチョーク521は、バイアスライン103からのDC電圧をRF信号から分離する。一部の他の実施形態において、RFチョーク521は、絶縁レジスタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク521は、絶縁インダクタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク521は、ローパスフィルタを含む。
【0033】
図6は、統合バラクター/トランジスタ/増幅器の1つの実施形態を示している。この実施形態は、バラクターダイオード及びトランジスタ回路との接合部で、RF増幅器をダイオードチップに統合する。増幅器は、スロットアンテナ素子を介して受信又は送信される信号を増幅する役割をする。電波がスロットアンテナ素子に結合したら、電流及び電圧が、スロットアンテナ素子で誘導され、電流及び電圧が、通過する前に増幅される。バラクターダイオードは、スロットアンテナ素子の共振周波数の同調である上述と同じ機能を有する。このような実施形態を用いると、アクティブメタサーフェスアンテナは、RFチェーンに増幅器を有する必要がない。更にまた、増幅器の統合は、バラクターによって調整される位相とは関係なく送信出力の振幅の制御を可能にする。これは、アンテナの高性能を結果としてもたらすか、又はアレイの密度を低下させることができる。
【0034】
図6を参照すると、ICチップ620は、RF端子613Aと613Bの間に直列に増幅器617に結合されたバラクターダイオード610を含み、アンテナのアイリススロット102両端のブリッジを形成する。RF端子613A及び613Bは、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)(図示せず)に取り付けられたアイリス金属層101に接着されるか、或いはそうでなければ導電するように取り付けられ、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。
【0035】
ICチップ620は、ICチップ620上のパッド614を介してバイアスライン103に結合されるトランジスタ612を含む。トランジスタ612は、バイアスライン103からの同調電圧を受け取り、増幅器617及びダイオード610が接続している接合部に同調電圧を供給する。薄膜トランジスタ(TFT)は、トランジスタ612として使用することができるが、他のタイプのトランジスタ(例えば、シリコントランジスタ、ガリウムヒ素トランジスタなど)を使用することもでき、他のタイプのトランジスタは、ICチップ620の半導体処理に基づく。従って、トランジスタ612は、アンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)に電圧を駆動するマトリクス駆動回路の一部として又は直接駆動回路の一部として動作することができる。
【0036】
RFチョーク621は、トランジスタ612とダイオード610と増幅器617との接続部との間に結合される。RFチョーク621は、バイアスライン103からのDC電圧をRF信号から分離する。一部の他の実施形態において、RFチョーク521は、絶縁レジスタを含む。幾つかの実施形態において、RFチョーク521は、絶縁インダクタを含む。一部の他の実施形態において、RFチョーク521は、ローパスフィルタを含む。
【0037】
複合受信/送信アパーチャ(例えば、送信及び受信の両方のアンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)を有するアパーチャ)では、使用ケースに応じて、受信と送信の両方のため、又は受信と送信の一方だけのための何れかで、メタサーフェスに増幅器を統合することができる。
【0038】
ネガティブインピーダンスコンバータを含む様々な増幅器クラス及びアーキテクチャを、このカテゴリで想起し実施することができる。
【0039】
図7は、統合バラクター/トランジスタ/センサ(例えば、電圧サンプリング)の1つの実施形態を示している。この実施形態は、センサ(例えば、電圧サンプリング回路など)をトランジスタと共にダイオードチップに統合して、ダイオードの電圧を読み取る。これは、環境的変化又はデバイス特性における変動に基づく駆動電圧のフィールド内較正を可能にする。バラクター、トランジスタ、及び増幅器を統合するダイオードチップ用のセンサ/電圧サンプリング回路の統合を
図7に示している。しかしながら、これはまた、上述の
図1-6に示した他の構成の全てにも統合することができる。
【0040】
図7を参照すると、ICチップ720は、RF端子713Aと713Bの間で直列に増幅器717に結合されたバラクターダイオード710を含み、アンテナのアイリススロット102両端のブリッジを形成する。RF端子713A及び713Bは、アイリス基板(例えば、ガラス基板など)(図示せず)に取り付けられたアイリス金属層101に接着されるか、或いはそうでなければ導電するように取り付けられ、RF電流をアイリススロット102の1つの側からアイリススロット102のもう片方の側に流す。
【0041】
ICチップ720は、ICチップ720上のパッド714を介してバイアスライン103に結合されるトランジスタ712を含む。トランジスタ712は、バイアスライン103から同調電圧を受け取り、増幅器717とダイオード710が接続される接合部に同調電圧を供給する。薄膜トランジスタ(TFT)は、トランジスタ712として使用することができるが、他のタイプのトランジスタ(例えば、シリコントランジスタ、ガリウムヒ素トランジスタなど)も使用することができ、これはICチップ720の半導体処理に基づく。従って、トランジスタ712は、アンテナ素子(例えば、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子など)に電圧を駆動するマトリクス駆動回路の一部として又は直接駆動回路の一部として動作することができる。
【0042】
電圧サンプリング回路の形態のセンサ718は、パッド715とトランジスタ712の出力部との間に結合され、トランジスタ712から出力される電圧をサンプリングする。幾つかの実施形態において、検知された電圧は、パッド715を介して、同調電圧を較正する場合に用いるアンテナ制御ユニット(ACU)に送られる。例えば、バイアスライン103を介してダイオード710に印加される同調電圧が、10Vになり、トランジスタ712の出力が、9.8Vである場合、駆動回路からの電圧を調整して、トランジスタ712から出力される電圧が10Vになるようにできる。
【0043】
図8は、アンテナ制御ユニット(ACU)の幾つかの実施形態を示す。
図8を参照すると、ACU801は、ICチップ、例えば、アンテナ素子を同調するバラクターダイオードを包含するICチップなどのICチップ上のセンサによって読み取られる同調電圧読み取り値を含むフィードバック810を受け取る。フィードバック810に応答して、ACU801は、アンテナ素子を同調する場合に用いるアンテナ素子駆動電圧又はこれらの電圧の指示811を生成する。電圧指示の場合、ACU801は、これらを駆動回路(例えば、マトリクス駆動回路、直接駆動回路など)に提供することができ、駆動回路がこの指示を用いて、アンテナ素子への同調電圧を生成し駆動する。これらの電圧の生成は、アンテナ素子を制御するために生成される制御パターンに基づいて及び/又はこれに協調して行うことができる。
【0044】
図9は、ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続部の断面図である。1つの実施形態において、製造は、ガラス基板910上にTFTマトリクスを生成することから始まる。例証として、多種多様なTFT製造技術の何れか1つを利用することができる。TFTマトリクス製造に用いられる層は、典型的には、電気接続のための複数の金属層とパッシベーションのための複数の誘電体層を含む。この方法では、TFTアレイ製造は、TFTマトリクスをカバーするパッシベーション層912によって終わる。アイリス相互接続エリアにアラインする開口部は、バラクターダイオードIC906が後でTFTマトリクスに接続されるこのパッシベーション層912に生成される。加えて、パッシベーション層912の開口部及びアイリス相互接続部にアラインする金属トレース916は、TFTマトリクスとの接続部を作るためにパターンで並べられる。TFTマトリクス製造での金属層の1つ(例えば、ゲート金属、ソース金属)を、この接続部に用いることができる。
【0045】
1つの実施形態において、アイリス金属904層は、数マイクロメートルの厚みであり、例えば、スパッタリング、電気メッキ又は電子ビーム蒸着、又は考案できる他の処理を用いて、ガラス基板910上に堆積される。この金属層は、後でエッチング加工され、アイリススロット、又は開口部を生成して、ここでアイリス開口部エリアの金属の全てが取り除かれる。例証として、アイリス金属は、前もってTFTマトリクスをパターン形成されているガラス基板910上に堆積される。加えて、一般的にはアイリス相互接続部と呼ばれるアイリス金属層の一部分が、バラクターダイオードIC906とTFTマトリクスの間の電気接続のために確保される。アイリス金属904及びアイリス相互接続部は、誘電体層(例えば、SiNx)であるアイリスパッシベーション層902によって保護される。
【0046】
また更に、開口部は、バラクターダイオードIC906をそれぞれの素子接着パッド908を介してアイリス金属904及びアイリス相互接続部に接続するアイリスパッシベーション層に生成される。バラクターダイオードIC906の接着部又は接着パッド908とのこの接続は、ソルダ914を用いて行うことができる。代替として、この及び他の開示する実施形態における同調型素子とアイリス金属の接着パッド間のこのような接続は、ソルダの代わりに、導電性ペースト、導電性ポリマー、導電性エポキシ、銀エポキシなどによって行うことができる。限定ではないが、ピック・アンド・プレース、自己組み立てなどの様々な方法を用いて、個々の部品をこの基板に組み立てることができる。
【0047】
バラクターダイオードIC906は、長方形の形状にすることができる。しかしながら、当業者であれば、本出願の態様が長方形の個々の素子に制限されないことを理解するであろう。これらは、例えば、円形、三角形などの異なる形状を有することができる。バラクターダイオードIC906上の接着パッドを異なる面に存在させることもできる。例えば、接着パッドは、上部表面上に存在させることができ、別の接着パッドを、底部表面に存在させることができる。接着パッドは、表面の一部又は表面全体をカバーすることができる。この場合、第1電気接続は、導電性ペースト又は上述の方法のようなソルダによって行われ、第2電気接続は、上部電極をアイリスに接続するための追加金属層の堆積によって達成される。
【0048】
図10は、ダイオード-TFTアレイ-アイリス接続部の断面図である。幾つかの実施形態において、製造は、ガラス基板1010上にTFTマトリクスを生成することによって始まる。例証として、多種多様なTFT製造技術の何れか1つを利用することができる。TFTマトリクス製造に用いられる層は、典型的には、電気接続のための複数の金属層とパッシベーションのための複数の誘電体層を含む。この方法では、TFTアレイ製造は、TFTマトリクスをカバーするパッシベーション層1041によって終わる。開口部が、TFTアレイをアイリス金属1006に接続するvia構造部にアラインするパッシベーション層1040に生成される。アイリス金属1006は、アイリス金属層とは分離した金属層上に形成される。アイリス開口部から分離している、アイリス金属層内の開口部は、位置を介してTFTアレイ・ツー・アイリス金属1006に生成される。このvia構造は
図10には示していない。各TFTをドライバICに接続する金属トレース、すなわちTFTマトリクスにおける行トレースと列トレースは、TFTマトリクスのための金属層を用いてアイリス金属の下、又は追加の金属層を用いてアイリス金属の上の何れかに製造することができる。
【0049】
幾つかの実施形態において、アイリス金属層1004(すなわち、アイリス開口部が形成される金属層)は、数マイクロメートルの厚みであり、スパッタリング、電気メッキ又は電子ビーム蒸着を用いて、ガラス基板1010上に堆積される。この金属層は、後でエッチング加工され、アイリススロット、又は開口部、1004を生成し、ここでアイリス開口部エリアの金属の全てが取り除かれる。例証として、アイリス金属は、前もってTFTマトリクスをパターン形成されているガラス基板1010上に堆積される。アイリス開口部1004が形成されるアイリス金属層は、幾つかの実施形態においては、例えば、誘電体層(例えば、SiNx)であるアイリスパッシベーション層1031によって保護される。他の実施形態において、TFTマトリクス(例えば、薄膜トランジスタを備えた回路)は、アイリス金属の上方に、例えばアイリスパッシベーション層1031の上部に堆積される。
【0050】
また更に、開口部は、アイリス金属層1006上のパッド1012を他のアイリス金属に接続するアイリスパッシベーション層に生成される。via1010を含む追加の開口部が、アイリス金属層1006をカバーするパッシベーション層1031に生成され、アイリス金属層1010及びパッド1012をそれぞれの素子接着パッド1012を介してバラクターダイオードIC1008に接続する。バラクターダイオードIC1008の接着部又は接着パッド1012とのこの接続は、ソルダ1030を用いて行うことができる。代替として、この及び他の開示する実施形態における同調型素子とアイリス金属の接着パッド間のこのような接続は、ソルダの代わりに、導電性ペースト、ポリマー、導電性エポキシ、銀エポキシなどによって行うことができる。限定ではないが、ピック・アンド・プレース、自己組み立てなどの様々な方法を用いてこの基板に個々の部品を組み立てることができる。
【0051】
バラクターダイオードIC1008は、
図10に長方形形状で示されている。しかしながら、当業者であれば、本出願の態様が長方形の個々の素子に制限されないことを理解するであろう。これらは、例えば,円形、三角形などの様々な形状を有することができる。バラクターダイオードIC1008上の接着パッドを、異なる面上に存在させることもできる。例えば、接着パッドは、上部表面に存在させることができ、別の接着パッドを、底部表面に存在させることができる。接着パッドは、表面の一部又は表面全体をカバーすることができる。この場合、第1電気接続は、上述の方法のような導電性ペースト又はソルダによって行うことができ、第2電気接続は、上部電極をアイリスに接続する追加の金属層の堆積によって達成される。
【0052】
図11は、アンテナのアンテナ素子を制御するバラクターダイオードデバイスを使用する処理の幾つかの実施形態の流れ図である。アンテナ素子は、RF放射アンテナ素子、表面散乱メタマテリアルアンテナ素子などとすることができ、アンテナは、衛星端末の衛星通信アンテナ又は他の無線デバイスアンテナとすることができる。
【0053】
図11を参照すると、処理は、トランジスタからバラクターダイオードデバイスを有するICチップ上の同調電圧を受け取ることによって開始する(1101)。バラクターダイオードデバイスは、本明細書で開示されるように、単一バラクターダイオード、DCブロックとしてキャパシタを有する単一バラクターダイオード、バラクターダイオードのペア、又はICチップ内の別の同調デバイスとすることができる。トランジスタは、本明細書で開示するようなICチップ上にないトランジスタ又はICチップ上のトランジスタとすることができる。
【0054】
処理はまた、同調電圧をバラクターダイオードに印加することによってICチップに結合されたアンテナ素子のRF特性を調整するステップ(1102)を含む。例えば、アンテナ素子のRF特性は、アンテナ素子を同調するためにバラクターダイオードに印加された同調電圧に基づいて変化させることができる。
【0055】
同調電圧を受け取り同時に同調電圧をバラクターダイオードに印加した後に、処理は、ICチップ上のセンサ(例えば、電圧サンプリング回路)を用いてバラクターダイオードデバイスに印加される同調電圧を検知して、その後にICチップ上にない制御ユニットに検知結果(例えば、検知された電圧、検知された電圧の指示)を戻す(1103)。幾つかの実施形態において、センサは、ICチップ上に電圧サンプリング回路を含む。幾つかの実施形態において、センサは、アンテナ制御ユニット(ACU)に検知された電圧を戻す。一部の他の実施形態において、センサは、検知された電圧の指示をACUに戻す。ACUは、検知の結果を使用して、アンテナ素子に又はアンテナにおける他のアンテナ素子に印加される同調電圧を調整することができる。後のケースは、アンテナ素子の一部だけが、同調のためにバラクターダイオードに印加される電圧を測定するセンサを有するときに起こる。
【0056】
幾つかの実施形態において、処理は、ICチップ上の増幅器を用いてアンテナ素子のアイリススロットを介して受信又は送信されるRF信号を増幅するステップ(1104)を含む。換言すると、アンテナ素子のアイリススロットが、RF信号を受信するために使用される場合、RF信号は、RF信号の受信中にICチップ上の増幅器によって増幅され、アンテナ素子のアイリススロットが、RF信号を送信するために使用される場合は、RF信号は、RF信号の送信中にICチップ上の増幅器によって増幅される。
【0057】
アンテナ実施形態の実施例
上述の技術は、平面衛星アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態では、アンテナアパーチャは、例えば、以下に記載されるアンテナアパーチャなどのメタサーフェスアンテナアパーチャである。1つの実施形態において、アンテナ素子は、上述などのダイオード及びバラクターを含む。1つの実施形態において、平面アンテナは、行及び列に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定して駆動するためのマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、素子は、リング状に配置される。
【0058】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、互に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合されたときに、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0059】
図12は、円筒状給電ホログラフィック放射状アパーチャアンテナの1つの実施形態の略図を示す。
図12を参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部1202の周りの同心円リングに配置されたアンテナ素子1203の1又は2以上のアレイ1201を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子1203は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子1203は、アンテナアパーチャの表面全体にインターリーブ及び分散されるRx及びTxアイリス両方を含む。このようなRx及びTxアイリス、又はスロットは、3又は4以上のセットのグループとすることができ、ここで各セットは、別々に及び同時に制御される帯域のためである。アイリスを備えたこのようなアンテナ素子の実施例を以下に詳しく記載する。本明細書に記載されるRF共振器は、円筒状給電を含まないアンテナに用いることができる点に留意されたい。
【0060】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部1202を介した円筒状電波給電を提供するために用いられる同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒状電波給電アーキテクチャは、給電ポイントから円筒状方式で外向きに拡大する励起によって中心ポイントからアンテナに給電する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進行する同心円給電波を生成する。だとしても、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、四角、又は何れの形状にもすることができる。別の実施形態において、円筒状給電アンテナは、内向きに進行する給電波を生成する。このような場合、給電波の多くが、当然ながら円形構造から発生する。
【0061】
1つの実施形態において、アンテナ素子1203は、アイリス(アイリス開口部)を含み、
図12のアパーチャアンテナは、同調型ダイオード及び/又はバラクターを介してアイリス開口部に放射する円筒状給電波からの励起を用いることによって形作られるメインビームを生成するために用いられる。1つの実施形態において、アンテナは、所望の走査角度の水平又は垂直偏波電界を放射するために励起することができる。
【0062】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、上述のように単位セルの一部である。1つの実施形態において、単位セルは、上述の直接駆動実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、各単位セルのダイオード/バラクターは、同調電極(例えばアイリス金属)に関連付けられる上部コンダクタからアイリススロットに関連付けられる下部コンダクタを有する。ダイオード/バラクターを制御して、アイリス開口部とパッチ電極の間のバイアス電圧を調節することができる。この特性を用いて、1つの実施形態において、ダイオード/バラクターは、導波から単位セルへのエネルギーの伝達のためのオン/オフスイッチを統合する。スイッチオンされたときに、ユニットは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を発する。本明細書の技術は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する単位セルを有することに制限されない点に留意されたい。
【0063】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1つの波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0064】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/-45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0065】
各単位セルからの放射出力の量は、コントローラを使用してパッチ電極に電圧を印加することによって制御される。各パッチ電極へのトレースは、パッチ電極に電圧を供給するのに使用される。この電圧は、静電容量及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を実現するのに使用される。必要な電圧は、使用されるダイオード/バラクターに依存する。
【0066】
1つの実施形態において、上記で検討したように、マトリクス駆動回路は、セルごとに別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、パッチ電極に電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0067】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要コンポーネントを含み、アンテナシステム用の駆動電子機器を含むアンテナアレイコントローラは、本明細書に記載されるような表面散乱アンテナ素子の波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整し、商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0068】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の他のシステム及び/又はアンテナシステムの一部でなくてもよい他のシステムによってプロセッサに提供することができる。
【0069】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0070】
送信については、コントローラが、RFパッチに一連の電圧信号を供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に同調するようになる。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する、可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0071】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波とは異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔をあけて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0072】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。このように、どのメタマテリアル単位セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0073】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームと、ダウンリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用して、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0074】
図13Aは、グランドプレーン1345及び再構成可能な共振器層1330を含むアンテナ素子の1つの行の斜視図を示している。再構成可能共振器層1330は、同調型スロット1310のアレイ1312を含む。同調型スロット1310のアレイ1312は、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。同調型スロット1310の各々は、バラクターダイオードの静電容量を変化させ、放射アンテナ素子の振幅及び位相を変化させる周波数シフトを生じることによって同調/調整することができる。アレイ状のアンテナ素子の適正な位相及び振幅の調整は、ビーム形成及びビーム誘導性を結果として生じることになる。
【0075】
制御モジュール1380、又はコントローラは、再構成可能共振器層1330に結合され、ダイオード/バラクターへの電圧を変化させることによって同調型スロット1310のアレイ1312を変調する。制御モジュール1380は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1380は、同調型スロット1310のアレイ1312を駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1380は、同調型スロット1310のアレイ1312上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていないが、制御モジュール1380と同様の制御モジュールは、本開示の様々な実施形態に記載された同調型スロットの各アレイを駆動することができる。
【0076】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波1305などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信の何れかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「誘導される」ように、同調型スロット1310のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としての
及び射出波上の波動方程式としての
を用いて、
によって計算される。
【0077】
パッチ電極とアイリス開口部との間の電圧は、アンテナ素子(例えば、同調型共振器/スロット)を同調するように変調することができる。電圧を調整すると、スロット(例えば、同調形共振器/スロット)の静電容量が変化する。従って、スロット(例えば、同調形共振器/スロット)のリアクタンスは、静電容量を変化させることによって変えることができる。また、スロットの共振周波数は、式
に従って変化し、ここで、fは、スロットの共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロットのインダクタンス及び静電容量である。スロットの共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波1305から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1305が20GHzである場合には、スロット1310の共振周波数は、17GHzに調整(静電容量を調整することによって)されて、スロット1310が、給電波1305からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット1310の共振周波数は、20GHzに調整されて、スロット1310が、給電波1305からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及びひいてはスロット1310の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各スロット1310から放射されるエネルギーを精密に制御して、同調型スロットのアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0078】
1つの実施形態において、行における同調型スロットは、互いにλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる行における共通して配向された同調型スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各同調型スロットは、隣接する行における最も近い同調型スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0079】
図13Bは、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの層の給電構造)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行構造を使用することができる。1つの実施形態において、
図13Bのアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日に出願された「誘導可能円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国公表第2015/0236412号に記載されるような同軸給電部を含む。
【0080】
図13Bを参照すると、同軸ピン1301は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1301は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1301は、導電性グランドプレーン1302であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0081】
内部導体である間隙導体1303は、導電性グランドプレーン1302から離隔される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1302及び間隙導体1303は互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1302と間隙導体1303との間の距離は、0.1インチ~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0082】
グランドプレーン1302は、スペーサ1304を介して間隙導体1303から離隔される。1つの実施形態において、スペーサ1304は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1304は、プラスチックスペーサを含む。
【0083】
間隙導体1303の上部には、誘電体層1305がある。1つの実施形態において、誘電体層1305はプラスチックである。誘電体層1305の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層1305は、自由空間に対して30%進行波を減速する。1つの実施形態において、ビーム形成に好適な屈折率の範囲は、1.2~1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を誘電体層1305として使用することができる。
【0084】
RFアレイ1306は誘電体層1305の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体1303とRFアレイ1306との間の距離は、0.1~0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλeff/2とすることができ、ここでλeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0085】
アンテナは、側面1307及び1308を含む。側面1307及び1308は、同軸ピン1301からの進行波給電が反射によって間隙導体1303の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体1303の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。1つの実施形態において、側面1307及び1308の角度は45度の角度である。代替の実施形態において、側面1307及び1308は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。
図13Bは、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何れかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0086】
動作中、給電波が同軸ピン1301から供給されると、この給電波は、グランドプレーン1302と間隙導体1303との間の領域で同軸ピン1301から同心円状に外向きに進む。同心円状射出波は、側部1307及び1308により反射され、間隙導体1303とRFアレイ1306との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1305によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1306の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0087】
進行波を終了させるため、アンテナの幾何学的中心で終端部1309がアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1309は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部1309は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ1306の上部で使用することができる。
【0088】
図14は、アンテナシステムの別の実施形態を射出波と共に示している。
図14を参照すると、2つのグランドプレーン1410及び1411は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーン1410、1411の間に誘電体層1412(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1419(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1410及び1411を共に結合する。同軸ピン1415(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1416は、誘電体層1412及びグランドプレーン1411の上部に存在する。
【0089】
動作中、給電波は、同軸ピン1415を介して供給され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1416の素子と相互作用をする。
【0090】
図13B及び
図14の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45° Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25° EI)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何れかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0091】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、及びひいては全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波を動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0092】
波散乱素子のアレイ
図13BのRFアレイ1306及び
図14のRFアレイ1416は、放射体として機能する1つのグループのパッチアンテナ(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0093】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、単位セル素子を、給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決め可能にする。この素子の位置により、素子から生成され又は素子によって受け取られる自由空間波の偏波の制御が可能になる。1つの実施形態において、単位セルは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合、30GHzの送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0094】
セル配置
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。
図15は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。
図15を参照すると、行コントローラ1501は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1511及び1512に結合され、列コントローラ1502は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1511及び1512に結合される。また、トランジスタ1511は、ダイオードへの接続1531を介してアンテナ素子1521に結合され、トランジスタ1512は、ダイオードへの接続1532を介してアンテナ素子1522に結合される。
【0095】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0096】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。これにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0097】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0098】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。
図16は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。
図16を参照すると、TFT及び保持キャパシタ1603が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1601に接続された2つの入力ポートと、トレース1602に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用してTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることがある。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0099】
全二重通信システムの例
別の実施形態において、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。
図17は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つよりも多い送信経路及び/又は1つより多い受信経路を含むことができる。
【0100】
図17を参照すると、アンテナ1701は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1701は、ダイプレクサ1745に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1745は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1701とダイプレクサ1745の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0101】
ダイプレクサ1745は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1727に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1727は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1727は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1727は、コンピューティングシステム1740(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1760に結合される。
【0102】
モデム1760は、アナログデジタル変換器(ADC)1722を含み、このADCは、LNB1727に結合されて、ダイプレクサ1745から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1723によって復調されて、復号器1724によって復号されて、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1725に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1740に送る。
【0103】
モデム1760は更に、コンピューティングシステム1740から送信されたデータを符号化するエンコーダ1730を含む。符号化されたデータは、変調器1731によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1732によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1733によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1745の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1733は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0104】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1745は、伝送のため送信信号をアンテナ1701に供給する。
【0105】
コントローラ1750は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1701を制御する。
【0106】
通信システムは、上述のコンバイナ/アービターを含むよう修正される。このような場合、コンバイナ/アービターはモデムの後であるがBUC及びLNBの前である。
【0107】
図17に示した全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェアアップデートを含む)などを含む幾つかの応用を有する点に留意されたい。
【0108】
図1-17に関して、他の同調型コンデンサ、同調型静電容量ダイ、パッケージ化ダイ、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、又は他の同調型静電容量デバイスを、本明細書に記載される実施形態、他の実施形態のバリエーションでアパーチャ又はその他に配置できることを理解されたい。電子的走査アレイ、及び、様々な他の電気、電子及び電気機械デバイスのための様々な基板への、様々なダイ、パッケージ化ダイ又はMEMSデバイスの配置を含むマス転送の技術は、他の実施形態にも応用できる。
【0109】
本明細書に記載される幾つかの例示的実施形態が存在する。
【0110】
実施例1は、アンテナ素子のアレイであって、各アンテナ素子は、アイリスと、アイリスの一部を横切って結合された集積回路(IC)チップ上に統合されたバラクターダイオードと、を含む、アンテナ素子のアレイと、複数のトランジスタであって、各トランジスタは、アンテナ素子のアレイにおけるバラクターダイオードのうちの異なる1つに結合されて、1つのバラクターダイオードに同調電圧を供給する、複数のトランジスタとを含む、アンテナである。
【0111】
実施例2は、ダイオードが、単一接合バラクターダイオード(single junction varactor)を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0112】
実施例3は、ダイオードが、二重接合バラクターダイオード(dual junction varactor diode)を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0113】
実施例4は、二重接合バラクターダイオードが、直列の2つの接合キャパシタを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例3のアンテナである。
【0114】
実施例5は、各アンテナ素子が、ダイオードに直列に結合されたキャパシタを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0115】
実施例6は、キャパシタが、ICチップの一部である、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0116】
実施例7は、各トランジスタが、1つのバラクターダイオードを備えたICチップの一部である、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0117】
実施例8は、ICチップが更に、ICにわたる無線周波数(RF)電流を増幅するための、バラクターダイオードに結合された増幅器を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0118】
実施例9は、ICチップが更に、バラクターダイオードで電圧をモニタする(monitor)ためのセンサを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0119】
実施例10は、センサが、電圧サンプリング回路を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例9のアンテナである。
【0120】
実施例11は、複数のトランジスタが、マトリクス駆動の一部である、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0121】
実施例12は、複数のトランジスタが、直接駆動の一部である、ことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナである。
【0122】
実施例13は、複数のアイリスを有するアンテナアパーチャと、複数のアイリスに結合された複数の集積回路(IC)チップであって、各ICは、複数のアイリスのうちの1つのアイリスの一部を横切って結合されたバラクターダイオードを有し、無線周波数(RF)端子の間に結合される、複数の集積回路(IC)チップと、を含み、前記各ICは更に、バラクターダイオードに同調電圧を供給するように結合されたトランジスタと、RF端子を横切ってICを通って伝播するRF信号を増幅するための、バラクターダイオードに結合された増幅器と、を含む、アンテナである。
【0123】
実施例14は、ダイオードが、単一接合バラクターダイオードを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0124】
実施例15は、ICチップが更に、センサを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例13のアンテナである。
【0125】
実施例16は、センサが、バラクターダイオードで電圧をモニタする、ことを任意選択的に含むことができる実施例15のアンテナである。
【0126】
実施例17は、センサが、電圧サンプリング回路を含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例15のアンテナである。
【0127】
実施例18は、複数のアイリスと、複数のアイリスに結合された複数の集積回路(IC)チップであって、各ICは、複数のアイリスのうちの1つのアイリスの一部を横切って結合され且つRF端子の間に結合される二重接合バラクターダイオードを有する、複数の集積回路(IC)チップと、複数のトランジスタであって、各トランジスタは、二重接合バラクターダイオードのうちの異なる1つに結合され、同調電圧を1つの二重接合バラクターダイオードに供給する、複数のトランジスタとを含むアンテナである。
【0128】
実施例19は、二重接合バラクターダイオードが、接合部で直列に結合された2つの接合キャパシタを含み、前記各トランジスタが、接合部に同調電圧を供給するよう構成される、ことを任意選択的に含むことができる実施例18のアンテナである。
【0129】
実施例20は、複数のICの各々が更に、複数のトランジスタのうちの1つを含む、ことを任意選択的に含むことができる実施例18のアンテナである。
【0130】
実施例21は、二重接合バラクターダイオードが、共通カソードを有する、ことを任意選択的に含むことができる実施例18のアンテナである。
【0131】
本明細書に記載される方法及びタスクの全ては、コンピュータシステムによって実行し且つ完全に自動化することができる。コンピュータシステムは、場合によっては、ネットワークを通じて通信し相互運用する複数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理的サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティング資源など)を含み、記載した機能を実行することができる。各々のこのようなコンピューティングデバイスは、典型的には、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体又はデバイス(例えば、固体ストレージデバイス、ディスクドライブなど)に格納されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を含む。本明細書で開示する様々な機能は、このようなプログラム命令で実施することができるか、又はコンピュータシステムの特定用途向け集積回路(例えば、ASIC又はFPGA)で実施することができる。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一場所に位置付けることができるが、必須ではない。開示する方法及びタスクの結果は、固体メモリチップ又は磁気ディスクなどの物理的ストレージデバイスを異なる状態に変換することによって持続的に格納することができる。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、処理資源が複数の別個のビジネスエンティティ又は他のユーザによって共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムとすることができる。
【0132】
実施形態に応じて、本明細書に記載される処理又はアルゴリズムの何れかの一定の動作、事象、又は機能を、異なるシーケンスで実行し、追加、統合、又は共に除外することができる(例えば、記載した動作又は事象の全てがアルゴリズムの実施に必要であることはない)。更にまた、一定の実施形態において、動作又は事象は、同時に、例えば、連続ではなく、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコア又は他の並行アーキテクチャによって実行することができる。
【0133】
本明細書に開示する実施形態に関して記載した様々な例証の論理的ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア(例えば、ASIC又はFPGAデバイス)、コンピュータハードウェアで実行されるコンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実施することができる。更にまた、本明細書で開示する実施形態に関して記載した様々な例証の論理的ブロック及びモジュールは、プロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、離散的ゲート又はトランジスタ論理、離散的ハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するよう設計されたこれらの何れかの組み合わせなどの機械によって実施又は実行することができる。プロセッサデバイスは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替では、プロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、同様の組み合わせなどとすることができる。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理するよう構成された電子回路を含むことができる。別の実施形態において、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理動作を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサデバイスは、コンピュータデバイスの組み合わせとして、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動した1又は2以上のマイクロプロセッサ、又は何れかの他のこのような構成として実施することもできる。本明細書ではデジタル技術に関して主に説明してきたが、プロセッサデバイスは、主としてアナログの構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書に記載される表示される技術の一部又は全部を、アナログ回路又はアナログとデジタルを混合した回路で実施することができる。コンピューティング環境は、限定ではないが、例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯式コンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は機器内のコンピュータエンジンに基づくコンピュータシステムを含むコンピュータシステムの何れのタイプも含むことができる。
【0134】
本明細書で開示する実施形態に関して記載した方法、処理、ルーチン、又はアルゴリズムの要素は、ハードウェアで直接、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュールで、又は両方の組み合わせで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD-ROM、又は非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体の何れかの他の形態に常駐させることができる。例示的ストレージ媒体は、プロセッサデバイスが、ストレージ媒体から情報を読み取り且つストレージ媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサデバイスに結合することができる。代替では、ストレージ媒体は、プロセッサデバイスに一体化させることができる。プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ASICに常駐させることができる。ASICは、ユーザ端末に常駐させることができる。代替では、プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ユーザ端末の離散的な構成要素として常駐させることができる。
【0135】
とりわけ、「can(できる)」、「could(できた)」、「might(可能性があった)」、「may(可能性がある)」、「e.g.,(例えば)」などの本明細書で用いる条件言語は、他に明示的に示されない限り、又は使用される文脈内でこれ以外に理解されない限り、一般的には、一定の実施形態が、一定の特徴、要素又はステップを含み、他の実施形態は含まないことを伝えるものとする。従って、このような条件言語は、一般的には、特徴、要素又はステップが、1又は2以上の実施形態に多少なりとも必要である、或いは、これらの特徴、要素又はステップが、何れかの特定の実施形態に含まれるか又は何れかの特定の実施形態で実行されるべきであるかどうかを、他の入力又は指示のあり又はなしで決定する論理を必ず含むことを意味するものではない。「comprising(含む)」、「including(内包する)」、「having(有する)」などの語は、同義であり、包含的に、制約のない方式で用いられ、追加の要素、特徴、動作、作動などを除外するものではない。また、「or」という語は、例えば使用されたときに、要素のリストを繋げるためであり、「or(又は)」という語は、リストにある要素の1つ、一部、又は全部を意味するような包含的な意味で(排他的な意味でなく)用いられる。
【0136】
「X、Y、又はZの少なくとも1つ」という句などの離接的言語は、他に明示的に示されない限り、項目、項などが、X、Y、又はZの何れか、又はこの何れかの組み合わせ(例えば、X、Y、又はZ)とすることができることを示すために一般的に用いられる文脈によって他の意味に理解される。従って、このような離接的言語は、一般的には、一定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つが各々存在することを必要とすることを意図せず、且つ意図すべきでない。
【0137】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に加えられる新しい特徴を示し、記載し、指摘しており、例証するデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更が、本開示の精神から逸脱することなく行い得ることを理解できる。認識されるように、一部の特徴が、他の特徴とは別に使用又は実施することができるので、本明細書に記載される一定の実施形態は、本明細書に示した特徴及び利点の全てを提供しない形態内で実施することができる。本明細書で開示する一定の実施形態の範囲は、前述の説明によってではなく添付の請求項によって示される。請求項の等価性の意味及び範囲内で生じる全ての変更は、これらの範囲内に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0138】
101 アイリス金属
102 アイリススロット
103 バイアスライン
710 バラクターダイオード
712 トランジスタ
713A 713B RF端子
714 パッド
715 パッド
717 増幅器
718 センサ
720 IC
730 電圧出力インジケーション
【国際調査報告】