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特表2024-510412太陽電池及びそれを含む太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】太陽電池及びそれを含む太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/57 20230101AFI20240229BHJP
   H10K 39/12 20230101ALI20240229BHJP
   H10K 39/15 20230101ALI20240229BHJP
   H10K 39/18 20230101ALI20240229BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240229BHJP
   H10K 30/81 20230101ALI20240229BHJP
【FI】
H10K30/57
H10K39/12
H10K39/15
H10K39/18
H10K30/40
H10K30/81
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553259
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 KR2022002523
(87)【国際公開番号】W WO2022186534
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0027224
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522401774
【氏名又は名称】シャンラオ シンユエン ユエドン テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ジョンボム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,イルヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リ,キョンソ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA11
5F251BA12
5F251CB15
5F251CB27
5F251CB29
5F251DA03
5F251DA16
5F251DA18
5F251DA20
5F251EA05
5F251FA02
5F251FA06
5F251FA14
5F251FA15
5F251FA18
5F251FA24
5F251GA04
5F251XA01
5F251XA56
5F251XA61
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】本発明の実施例による太陽電池は、第1光電変換部と、第2光電変換部と、第1電極と、第2電極とを含み、前記第1光電変換部は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、前記光電変換層の一方側に位置する第1輸送層と、前記光電変換層の他方側に位置する第2輸送層とを含み、前記第2光電変換部は、前記第1光電変換部の前記第2輸送層の下部に配置されるとともに、前記第1光電変換部とは異なる物質または構造を有し、前記第1電極は、前記第1光電変換部の受光面となる面において前記第1光電変換部に電気的に接続され、前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部において前記第2光電変換部に電気的に接続され、前記第1電極は、少なくとも2層の積層構造を有し、かつ前記第2電極は、単一層として形成されている。従って、ペロブスカイト化合物を含む光電変換部以外の他の物質や構造を有する他の光電変換部をさらに備えたタンデム型構造を有しつつ、優れた効率及び信頼性を有する太陽電池モジュールを提供できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
第1光電変換部と、第2光電変換部と、第1電極と、第2電極とを含み、
前記第1光電変換部は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、前記光電変換層の一方側に位置する第1輸送層と、前記光電変換層の他方側に位置する第2輸送層とを含み、
前記第2光電変換部は、前記第1光電変換部の前記第2輸送層の下部に配置されるとともに、前記第1光電変換部とは異なる物質または構造を有し、
前記第1電極は、前記第1光電変換部の受光面となる面において前記第1光電変換部に電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部において前記第2光電変換部に電気的に接続され、
前記第1電極は、少なくとも2層の積層構造を有し、かつ前記第2電極は、単一層として形成されている、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1電極は、堆積により形成された第1導電層と、前記第1導電層上にペーストを印刷して焼成することにより形成された第2導電層とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2電極と前記第1電極の前記第1導電層とは、同時に形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部に全体的に形成される、ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2電極と前記第1電極の前記第2導電層とは、同時に形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部にパターニングされる、ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記太陽電池は、縁領域において隣接する太陽電池と重なる重なり部分を有し、前記重なり部分には、前記第1電極に接続された電極部を含み、前記電極部は、前記第1電極の前記第1導電層と同時に形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項8】
太陽電池モジュールであって、
複数の太陽電池と、隣接する前記太陽電池間を接続するための接続部材とを含み、
それぞれの前記太陽電池は、
第1光電変換部と、第2光電変換部と、第1電極と、第2電極とを含み、
前記第1光電変換部は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、前記光電変換層の一方側に位置する第1輸送層と、前記光電変換層の他方側に位置する第2輸送層とを含み、
前記第2光電変換部は、前記第1光電変換部の前記第2輸送層の下部において前記第1光電変換部よりも広い面積を有して端部差領域を構成しかつ前記第1光電変換部とは異なる物質又は構造を有し
前記第1電極は、前記第1光電変換部の受光面となる面において前記第1光電変換部に電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部において前記第2光電変換部に電気的に接続され、
前記第1電極は、少なくとも2層の積層構造を有し、かつ前記第2電極は、単一層として形成されている、ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記接続部材は、前記端部差領域において前記第1電極に接続された電極部を有し、1つの太陽電池の前記第2電極と、隣接する前記太陽電池の前記電極部とは、隣接する前記太陽電池の重なりにより電気的に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記重なり部分は、隣接する上部太陽電池と重なる第1重なり部分と、隣接する下部裏面電極型太陽電池と重なる第2重なり部分とを含み、前記接続部材は、前記上部太陽電池の前記第2重なり部分及び前記下部太陽電池の前記第1重なり部分の端部差領域の間に全体的に配置された導電性接着部を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記電極部と前記導電性接着部とは、互いに接して電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記複数の太陽電池は、互いに離間して配置され、前記接続部材は、1つの太陽電池の前記第1電極と、隣接する1つの太陽電池の前記第2電極とを接続する配線部材を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記接続部材は、前記第1電極と前記配線部材とを接続するための導電性接着フィルムをさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び太陽電池モジュールに関し、特に、ペロブスカイト構造体を含む太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を含む太陽電池は、優れた光電変換効率を有するため、広く用いられている。しかしながら、半導体基板を含む光電変換効率の向上には一定の限界があり、様々な構造の太陽電池が提案されている。
【0003】
一例として、短波長の光を吸収して短波長を用いた光電変換を行う、ペロブスカイト化合物を含む太陽電池が提案されている。しかしながら、このようなペロブスカイト化合物によって光電変換層を形成する際に、有機物と無機物とが化合することによって1つのペロブスカイト化合物層が形成される。
【0004】
上述のようなペロブスカイト化合物層を形成するために、韓国公開特許公報第10-2018-0099577号(公開日2018.09.05.)は、有機物と無機物とを混合してペロブスカイト溶液を調製した後、この溶液を基板上に塗布して形成する。
【0005】
上述のように形成されたペロブスカイト太陽電池は、通常、ガラス基板上に形成されたペロブスカイト層を単位電池間の分離プロセスによってマイクロモジュール化する。
【0006】
これに対して、ペロブスカイト太陽電池を大面積化して製造する場合、複数の大面積のペロブスカイトを1つのモジュールにモジュール化する技術が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許公告第10-2018-0099577号(公開日:2018年09月05日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換部以外の他の物質や構造を有する他の光電変換部をさらに備えたタンデム型構造を有しつつ、優れた効率及び信頼性を有する太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、タンデム型構造を有する太陽電池モジュールに用いられる低温プロセスによる最適な電極構造を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、大面積のペロブスカイト化合物を含む太陽電池モジュールにおけるプレート構造と電池の最適な配列を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例による太陽電池は、第1光電変換部と、第2光電変換部と、第1電極と、第2電極とを含み、前記第1光電変換部は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、前記光電変換層の一方側に位置する第1輸送層と、前記光電変換層の他方側に位置する第2輸送層とを含み、前記第2光電変換部は、前記第1光電変換部の前記第2輸送層の下部に配置されるとともに、前記第1光電変換部とは異なる物質または構造を有し、前記第1電極は、前記第1光電変換部の受光面となる面において前記第1光電変換部に電気的に接続され、前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部において前記第2光電変換部に電気的に接続され、前記第1電極は、少なくとも2層の積層構造を有し、かつ前記第2電極は、単一層として形成されている。
【0012】
前記第1電極は、堆積により形成された第1導電層と、前記第1導電層上にペーストを印刷して焼成することにより形成された第2導電層とを含んでもよい。
【0013】
前記第2電極は、前記第1電極の前記第1導電層と同時に形成されてもよい。
【0014】
前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部に全体的に形成されてもよい。
【0015】
前記第2電極は、前記第1電極の前記第2導電層と同時に形成されてもよい。
【0016】
前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部にパターニングされてもよい。
【0017】
前記太陽電池は、縁領域において隣接する太陽電池と重なる重なり部分を有し、前記重なり部分には、前記第1電極に接続された電極部を含み、前記電極部は、前記第1電極の前記第1導電層と同時に形成されてもよい。
【0018】
また、本発明による太陽電池モジュールは、複数の太陽電池と、隣接する前記太陽電池間を接続するための接続部材とを含み、それぞれの前記太陽電池は、第1光電変換部と、第2光電変換部と、第1電極と、第2電極とを含み、前記第1光電変換部は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、前記光電変換層の一方側に位置する第1輸送層と、前記光電変換層の他方側に位置する第2輸送層とを含み、前記第2光電変換部は、前記第1光電変換部の前記第2輸送層の下部において前記第1光電変換部よりも広い面積を有して端部差領域を構成しかつ前記第1光電変換部とは異なる物質又は構造を有し、前記第1電極は、前記第1光電変換部の受光面となる面において前記第1光電変換部に電気的に接続され、前記第2電極は、前記第2光電変換部の下部において前記第2光電変換部に電気的に接続され、前記第1電極は、少なくとも2層の積層構造を有し、前記第2電極は、単一層として形成されている。
【0019】
前記接続部材は、前記端部差領域において前記第1電極に接続された電極部を有し、1つの太陽電池の前記第2電極と、隣接する前記太陽電池の前記電極部とは、隣接する前記太陽電池の重なりにより電気的に接続されてもよい。
【0020】
前記重なり部分は、隣接する上部太陽電池と重なる第1重なり部分と、隣接する下部裏面電極型太陽電池と重なる第2重なり部分とを含み、前記接続部材は、前記上部太陽電池の前記第2重なり部分及び前記下部太陽電池の前記第1重なり部分の端部差領域の間に全体的に配置された導電性接着部を含んでもよい。
【0021】
前記電極部と前記導電性接着部とは、互いに接して電気的に接続されてもよい。
【0022】
前記複数の太陽電池は、互いに離間して配置され、前記接続部材は、1つの太陽電池の前記第1電極と、隣接する1つの太陽電池の前記第2電極とを接続する配線部材を含んでもよい。
【0023】
前記接続部材は、前記第1電極と前記配線部材とを接続するための導電性接着フィルムをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本実施例によれば、ペロブスカイト化合物を含む光電変換部以外の他の物質や構造を有する他の光電変換部をさらに備えたタンデム型構造を有しつつ、優れた効率及び信頼性を有する太陽電池モジュールを提供することができる。
【0025】
また、タンデム型構造を有する太陽電池モジュールにおいて熱プロセスによる劣化を防止できる最適な電極構造を提供することができる。
【0026】
また、大面積のペロブスカイト化合物を含む太陽電池モジュールにおけるプレート構造と電池との間の最適な配列を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例による太陽電池モジュールの平面図である。
図2図1に示す太陽電池モジュールの分解斜視図である。
図3図1に示す太陽電池モジュールの断面図である。
図4図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池をI-I’に沿って切断した断面図である。
図5図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池をII-II’に沿って切断した断面図である。
図6a図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の背面図である。
図6b図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の背面図である。
図7a図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7b図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7c図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7d図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7e図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7f図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7g図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図8】本発明の他の実施例による太陽電池モジュールの平面図である。
図9図8の太陽電池モジュールを2-2’に沿って切断した断面図である。
図10図8に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の平面図である。
図11図10に示す太陽電池モジュールの接続を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、このような実施例に限定されるものではなく、種々の形態に変形可能である。
【0029】
本発明を明確かつ簡略に説明するために、図面において説明に関連しない部分の図示は省略され、明細書全体において同一または極めて類似の部分について同一の符号が用いられる。また、図面は、説明をより明確にするために、厚さや幅などを拡大又は縮小して示すことがあり、本発明の厚さや幅などは、図面に示されるものに限定されるものではない。
【0030】
また、明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」と称される場合、特に反対の記載がない限り、他の部分を除外するものではなく、他の部分を含んでもよい。また、層、膜、領域、プレートなどの部分が他の部分「上」にある場合、他の部分「上」に「直接」ある場合だけでなく、その間に他の部分が位置付けられる場合も含む。層、膜、領域、プレートなどの部分が他の部分「上」に「直接」あると称される場合、その間に他の部分が位置付けられないことを意味する。
【0031】
以下、本発明の実施例による太陽電池および太陽電池の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
本発明の一実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100は、複数のタンデム型太陽電池10を階段状に重ねて積層するとともに、隣接する上部タンデム型太陽電池10の下部電極と下部タンデム型太陽電池10の上部電極とを導電性接着部14a及び電極部14bを介して電気的に接続することにより、構造及び製造工程を簡略化することができるとともに、光損失を最小化することができ、さらに太陽電池の効率を極大化することができる。
【0033】
本発明において、タンデム型太陽電池モジュール100は、太陽電池を階段状に互いに重ねるように配置しているため、電気的な短絡や漏れ(leakage)を防止するための太陽電池間の離間スペースを形成する必要がなく、受光面積の極大化による太陽電池効率を向上させることができるとともに、隣接する太陽電池が重なり部分OPに配置された導電性接着部14aと電極部14bとによって電気的に結合されているため、プロセスや構造が簡単であり、これによって生産性や生産コストに有利となり、さらにプロセス上の不良率を低減することもできる。
【0034】
以下、本発明の実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100及びタンデム型太陽電池10の特徴的な内容について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
まず、図4図6を参照して、本発明の一実施例によるタンデム型太陽電池10について説明する。
【0036】
図4は、本発明の一実施例による太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の断面図であり、図5は、図2に示す太陽電池モジュールにおける太陽電池をII-II’に沿って切断した断面図であり、図6は、図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の背面図である。
【0037】
本発明の一実施例による太陽電池モジュール100の1つの太陽電池10は、タンデム型太陽電池10として、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層112を含む第1光電変換部110と、それと電気的に接続された第1電極42及び第2電極44とを含んでよい。ここで、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層112は、所定の厚さ以上の厚さを有する厚膜として形成されてよく、積層方向に均一な組成を有するように形成されてよい。また、本実施例による太陽電池10は、第1光電変換部110とは異なる物質または構造を有する第2光電変換部120をさらに含むタンデム型構造を有していてもよい。また、本実施例による太陽電池10は、大面積の太陽電池として、直径10cm~20cm、好ましくは直径12cm~17cmの大面積ペロブスカイト型太陽電池10とすることができる。
【0038】
本実施例による太陽電池10において、第2光電変換部120は、半導体基板122を含むpn接合(junction)構造を有していてよい。一例として、第2光電変換部120は、半導体基板122と、半導体基板122内または半導体基板122上に形成された導電領域124、126とを含んでよい。導電領域124、126は、第1導電型を有する第1導電領域124と、第2導電型を有する第2導電領域126とを含んでよい。
【0039】
半導体基板122は、単一の半導体物質(一例として、第4族元素)を含む結晶半導体(例えば、単結晶または多結晶半導体、一例として、単結晶または多結晶シリコン)で構成されてよい。そして、第2光電変換部120は、結晶性が高く欠陥の少ない半導体基板122に基づくものであるため、優れた電気特性を有することができる。第2光電変換部120は、一例として、結晶シリコン太陽電池構造を有していてもよい。
【0040】
本実施例では、半導体基板122は、第1導電型又は第2導電型ドーパントを第1導電領域124又は第2導電領域126よりも低いドーピング濃度でドーピングすることにより、第1導電型又は第2導電型を有するベース領域として構成されてよい。すなわち、半導体基板122は、ベース領域にドーパントを追加的にドーピングして形成されたドーピング領域が設けられず、ベース領域のみが設けられてよい。
【0041】
半導体基板122の表面には、第1パッシベーション膜122aが形成され、半導体基板122の裏面には、第2パッシベーション膜122bが形成されている。
【0042】
第1パッシベーション膜122a上には、第1導電型を有する第1導電領域124が形成(一例として、接触)されていてよい。また、第2パッシベーション膜122bには、第1導電型とは逆の第2導電型を有する第2導電領域126が位置づけられてよい(一例として、接触)。
【0043】
第1導電領域124は、第1導電型ドーパントを含み、第1導電型を有する領域であってよい。また、第2導電領域126は、第2導電型ドーパントを含み、第2導電型を有する領域であってもよい。
【0044】
本実施例では、半導体基板122(又はベース領域)が第1導電型を有する場合、第2導電領域126は、半導体基板122とpn接合を形成するエミッタ領域を構成してよい。第1導電領域124は、表面電界(front surface field)を形成して再結合を防止する表面電界領域を構成してよい。そして、光電変換に直接関与するエミッタ領域が裏面に位置するため、エミッタ領域を十分な厚さ(一例として、表面電界領域よりも厚く形成する)で形成して光電変換効率をより向上させることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。したがって、半導体基板122が第2導電型を有するため、第1導電領域124がエミッタ領域を構成し、かつ、第2導電領域126が裏面電界領域を構成してもよい。
【0045】
本実施例では、第1導電領域124及び半導体基板122はn型を有していてよく、第2導電領域126はp型を有していてよい。そして、第2光電変換部120上に位置する第1光電変換部110において、上部に位置する第1輸送層114は、電子を輸送可能であり、かつ、下部に位置する第2輸送層116は、正孔を輸送可能である。この場合、その逆の場合に比べて、第1光電変換部110は、優れた効果を有することができる。また、半導体基板122をn型とすることで、キャリアの使用寿命(life time)を向上させることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、半導体基板122は、第1導電型および第2導電型のいずれかの導電型を有したり、n型およびp型のいずれかの導電型を有したりするなど、多様な変形が可能である。
【0046】
接合層(トンネル接合層)110aは、第2光電変換部120の表面(前面)上に位置して、第2光電変換部120とその上に位置する第1光電変換部110とを接続する。図面では、接合層110aがそれぞれ第1導電領域124及び第1光電変換部110に直接接触していることを示しているが、本発明は、これに限定されない。このような接合層110aは、薄い厚さを有してもよく、一例として、キャリアのトンネルが円滑に行われるように、第1電極層420、440の厚さよりも薄い厚さを有してもよい。
【0047】
接合層110aは、第2光電変換部120の面積よりも小さい面積を有するように形成され、その上に形成される第1光電変換部110の面積も接合層110aの面積と同じである。
【0048】
そのため、第2光電変換部120と第1光電変換部110との面積差によって第1光電変換部110の周辺に端部差が形成され、これによって下部の第2光電変換部120が露出する端部差領域が形成される。
【0049】
上述したような端部差領域は、第2光電変換部120を囲み、かつ額縁形態に形成されていてよいが、これに限定されず、プレートが形成された側面部のみに形成されていてもよい。
【0050】
接合層110aは、第1光電変換部110と第2光電変換部120とを電気的に接続可能であり、第1光電変換部110で用いられる光(一例として、長波長の光)を透過させる物質を含んでよい。一例として、接合層110aは、透明導電性物質(一例として、透明導電性酸化物)、導電性炭素物質、導電性高分子、n型またはp型非晶質シリコンなどの複数の物質のうちの少なくとも1つを含んでもよい。或いは、接合層110aは、互いに屈折率の異なるシリコン層を交互に積層した構造とすることができ、これによって、第2光電変換部120で用いられる光(一例として、短波長の光)が第2光電変換部120で反射可能であり、第1光電変換部110で用いられる光(一例として、長波長の光)が透過して第1光電変換部110に供給可能である。
【0051】
接合層110aの上には、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層112を含む第1光電変換部110が位置づけられてよい。より具体的には、第1光電変換部110は、光電変換層112と、光電変換層112の一方側において接合層110aと光電変換層112との間に位置する第2輸送層(第2キャリア輸送層)116と、光電変換層112の他方側において光電変換層112と第1電極42との間に位置する第1輸送層(第1キャリア輸送層)114とを含んでよい。
【0052】
接合層110a上に位置する第2輸送層116は、光電変換層112とのバンドギャップ関係から第2キャリア(一例として、正孔)を取り出して輸送する層である。一例として、第2輸送層116によって輸送された第2キャリアは、接合層110aを通って第1光電変換部110に移動することができる。
【0053】
第2輸送層116上に位置する光電変換層112は、ペロブスカイト構造を有するペロブスカイト化合物から構成されてよく、光励起によりキャリア(電子及び正孔)を形成可能な光活性層であってよい。一例として、ペロブスカイト構造は、AMX(ここで、Aは一価の有機アンモニウムカチオン又は金属カチオンであり;Mは二価の金属カチオンであり;Xはハロゲンアニオンを意味する)の化学式を有していてよい。このような光電変換層112は、AMXとして、CHNHPbI、CHNHPbICl(3-x)、CHNHPbIBr(3-x)、CHNHPbClBr(3-x)、HC(NHPbI、HC(NHPbICl(3-x)、HC(NHPbIBr(3-x)、HC(NHPbClBr(3-x)などを含んでよく、或いはAMXのAに部分的にCsがドーピングされた化合物を含んでよい。しかしながら、本発明は、これに限定されず、複数の物質は、光電変換層112として用いることができる。
【0054】
ペロブスカイト化合物からなる光電変換層112は、所定の厚さ以上の厚さを有し、かつ、第1導電性領域124よりも大きい厚さを有していてよい。
【0055】
一例として、光電変換層112の所定の厚さは、400nm~800nm以上とすることができるが、これに限定されない。
【0056】
しかしながら、光電変換層112が所定の厚さd1以上の厚膜を有するように形成されると、光電効率を向上させることができるとともに、積層方向に光電変換層112を伝達する際に、積層方向にペロブスカイト化合物の組成を保ちつつ、第2輸送層116に接する領域から第1輸送層114に接する領域までペロブスカイト構造を有するように形成することができる。
【0057】
したがって、第1輸送層114に接する領域または第2輸送層116に接する領域となる境界領域には、ペロブスカイト化合物を形成するための基本物質層が残留しないため、基本物質層の残留によるキャリアブロッキングの問題が除去され、光電効率を保ちつつ大面積の厚膜を形成することができる。
【0058】
光電変換層112上に位置する第1輸送層114は、光電変換層112とのバンドギャップ関係から第1キャリア(一例として、電子)を取り出して輸送する層である。
【0059】
第1電極42は、第1光電変換部110(一例として、その表面に位置する第1輸送層114)上に位置し、かつ、第2電極44は、第2光電変換部120(一例として、裏面に位置する第2導電領域126)上に位置してよい。すなわち、本実施例による太陽電池10は、単一の半導体物質(一例として、シリコン)による第2光電変換部120とペロブスカイト化合物による第1光電変換部110とが接合層110aにより接合されたタンデム型構造を有していてよい。
【0060】
本実施例では、第1光電変換部110は、第2光電変換部120よりも大きいバンドギャップを有する。すなわち、第1光電変換部110は、比較的大きなバンドギャップを有して比較的小さな波長を有する短波長を吸収し、それを用いて光電変換を生じさせ、第2光電変換部120は、第1光電変換部110よりも小さなバンドギャップを有して第1光電変換部110で用いられる光よりも大きな波長を有する長波長を効率的に吸収し、それを用いて光電変換を生じさせる。
【0061】
より詳細には、光が太陽電池10の表面を通過して入射すると、第1光電変換部110は、短波長を吸収して、光電変換により電子および正孔を発生させる。このとき、第1キャリア(一例として、電子)は、第1電極42側に移動して収集され、第2キャリア(一例として、正孔)は、第1光電変換部110および第2光電変換部120を通過して第2電極420側に移動して収集される。第1光電変換部110で使用されずにそれを通過した長波長が第2光電変換部120に到達すると、第2光電変換部120で吸収され、光電変換により電子と正孔が発生する。このとき、第1キャリア(一例として、電子)が第1光電変換部110を介して第1電極42側に移動して収集され、第2キャリア(一例として、正孔)が第2電極44側に移動して収集される。
【0062】
上述したように、本実施例では、複数の波長を有する光は、いずれも複数の光電変換部110、120に用いることができるため、太陽電池10の効率を大幅に向上させることができる。特に、本実施例では、ペロブスカイト化合物による第1光電変換部110と、ヘテロ接合構造を有する第2光電変換部120とを含むことで、種々の特性を向上させることができる。すなわち、上述した第1光電変換部110と第2光電変換部120は、いずれも低温プロセスで形成することができ、プロセス温度が類似して温度範囲を調整しやすいため、プロセス整合性がある。また、上述した第1光電変換部110と第2光電変換部120は、それぞれ優れた開放電圧を有するため、タンデム型構造の太陽電池10の効率を大幅に向上させることができる。第2光電変換部120としては、様々な構成を適用可能であり、それ以外にも種々の変形が可能である。
【0063】
本実施例では、第1光電変換部110は、低温プロセス(一例として、200℃以下の低温プロセス)、一例として、室温から150℃以下の温度、より具体的には、室温(例えば、20℃よりも高く150℃以下の温度)で形成することができる。
【0064】
第1電極42は、光電変換部110、120上に順に積層された第1電極層420及び第2電極層422を含んでよい。第1電極層420は、一例として、第1光電変換部110(より具体的には、第1輸送層114)上に全体的に形成(一例として、接触)されていてよい。なお、全体的に形成されているとは、空白スペースまたは空白領域がなく第1光電変換部110の全体を覆っている場合だけでなく、不可避的に一部の領域が形成されていない場合も含む。上述したように、第1電極層420が第1導電領域124上に全体的に形成されている場合、キャリアが容易に第1電極層420を通って第2電極層422に到達することができ、水平方向の抵抗を低減することができる。
【0065】
上述したように、第1電極層420は、第1光電変換部110上に全体的に形成されているため、光を透過することが可能な物質(透光性物質)で構成することができる。すなわち、第1電極層420は、光を透過するとともにキャリアが移動しやすくするように、透明導電性物質で構成される。これにより、第1電極層420は、第1光電部110上に全体的に形成され、光の透過を遮断しない。一例として、第1電極層420は、透明導電性物質(例えば、透明導電性酸化物、一例として、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)など)、カーボンナノチューブ(carbon nano tube、CNT)などを含んでよい。しかしながら、本発明は、これに限定されず、第1電極層420は、これ以外の種々の物質を含んでも良い。
【0066】
第2電極層422は、第1電極層420上に形成(一例として、接触)されていてよい。第2電極層422は、第1電極層420よりも優れた電気伝導率を有する物質で構成されていてもよい。これにより、第2電極層422によるキャリア収集効率、抵抗低減などの特性をより向上させることができる。一例として、第2電極層422は、優れた電気伝導率を有する不透明な金属、または第1電極層420よりも低い透明度(透明度)を有する金属で構成されてよい。
【0067】
上述したように、第2電極層422は、不透明または低い透明度(透明度)になることによって光の入射が妨害されるため、遮光ロス(shading loss)を極力小さくするために所定のパターンを有していてもよい。これにより、第2電極層422が形成されていない部分に光を入射させることができる。
【0068】
本実施例では、第2電極層422は、金属を含む第1導電層422aと、少なくとも第1導電層422a上に形成され、第1導電層422aよりも大きい密度を有する第2導電層422bとを有していてよい。
【0069】
一例として、第1導電層422aは、Ag、Cu、Al、Mo、Ti、Pd、W、Ptのうちの少なくとも1つを有する合金から形成され、かつ堆積プロセスによって形成されてもよい。
【0070】
第1導電層422aを形成する堆積プロセスは、真空堆積、スパッタリング又は電気めっきにより形成することができる。
【0071】
このとき、堆積により形成される第1導電層422aは、5μm以下の厚さに形成されてよい。
【0072】
また、図5に示すように、第1導電層422aは、端部差領域において、プレートを構成する電極部14bを形成する。
【0073】
すなわち、図5に示すように、第1光電変換部110の上部に延在する第1導電層422aが端部差領域まで堆積して電極部14bが形成される。
【0074】
このとき、電極部14bは、第2導電層422bが形成されていない第1導電層422aのみで形成される。
【0075】
また、第2導電層422bは、第1導電層422a上に、所定の金属化合物(一例として、酸素を含む酸化物、炭素を含む炭化物、硫黄を含む硫化物)などからなるガラスフリット(glass frit)を設けず、金属及び樹脂(接着剤、硬化剤、添加剤)のみを含んで形成されていてよい。これは、ガラスフリットを設けずに低温でも焼成しやすくするためである。本実施例では、第2電極層422が第1電極層420に接触して形成されているため、絶縁膜などを貫通するファイヤースルー(fire-through)が不要である。これにより、ガラスフリットが設けられていない低温焼成ペーストを使用し、上述したように、第2導電層422bは、ガラスフリットが設けられずに樹脂のみが設けられているため、伝導性物質が焼結(sintering)可能となるとともに、互いに接続することなく互いに接触して重合(aggregation)して伝導性を有する。より詳細には、第2導電層422bは、複数の金属粒子と樹脂とを含むペーストを焼成または硬化することにより形成することができ、本実施例では、従来の低温プロセスで用いられる温度よりも低い温度(一例として、200℃以下、好ましくは、150℃以下)においても焼成することが可能となる。
【0076】
このとき、第2導電層422bは、金属粒子がAg、Cu、Alを含み、かつ30μm以下の厚さに形成されてよい。
【0077】
上述したように、第2電極層422を2重層に形成するとともに、下部層を堆積により形成しかつ上部層をペーストによる印刷及び硬化により形成することで、下部の第1電極層420との接続特性を向上させつつ、接触抵抗を低減することができ、かつ導電性を確保することもできる。
【0078】
本実施例では、第2導電層422bの比抵抗は、第1導電層422aの比抵抗よりも小さくてもよく、同じであってもよく、大きくてもよい。従来では、下部におおむね位置する導電層(シード層)よりも上方に位置する導電層は、低抵抗を有するが、本実施例では、第2導電層422bは、第1導電層422aの比抵抗と同じかそれよりも大きい物質で形成されていてもよい。第2導電層422bは、コンタクト抵抗を高めるための補助層として形成されるからである。
【0079】
第2電極44は、第2光電変換部120上に位置し、図5に示すように、第1電極層440と第2電極層442との2重層構造を有していてもよい。
【0080】
第1電極層440とは役割、物質、形状などが同様または類似であるため、その説明をそのまま適用することができる。
【0081】
また、第1電極層440上の第2電極層442は、図6a又は図6bの構造を有してもよい。
【0082】
図6aを参照し、図4及び図5に示すように、第2電極44は、第1電極42と異なり、第2電極層442が単一層に形成されている。
【0083】
このとき、第2電極層442は、図6aに示すようにパターニングされた第1電極42の第2導電層422bとして構成されてよい。
【0084】
第2電極層442の役割、物質、形状などは、第1電極42の第2導電層422bと同様または類似であるため、その説明をそのまま適用することができる。
【0085】
上述した第1電極42及び第2電極44の第2電極層422、442は、様々な平面形状を有していてよい。
【0086】
一例として、図2及び図6aに示すように、第2電極層422、442は、それぞれ、一定のピッチを有しながら互いに離間する複数のフィンガー電極42a、44aに含まれてよい。図面では、フィンガー電極42a、44aが互いに平行であるとともに、光電変換部110、120(一例として、半導体基板122)の縁と平行である例を示したが、本発明は、これに限定されない。そして、第2電極層422、442は、フィンガー電極42a、44aと交差する方向に形成されつつ、フィンガー電極42a、44aを接続する他のフィンガー電極に含まれてもよい。
【0087】
また、図6bに示すように、第2電極44は、第2電極層442が第1導電層442cのみからなるように形成されてもよい。
【0088】
このように、第2電極層442が第1導電層442cのみで構成される場合、第1導電層442cは、表面に形成されず、第1電極層440の全体を覆うようにパターニングされる。上述したような太陽電池は、図7の製造方法により製造することができる。
【0089】
図7を参照し、本実施例による太陽電池100の製造方法は、第2光電変換部120を形成するステップと、保護層(第2電極44の第1電極層440)を形成するステップと、接合層110aを形成するステップと、第1光電変換部110を形成するステップと、第1電極42の第1電極層420を形成するステップと、第2電極層422を形成するステップとを含む。ここで、第2電極層422を形成するステップは、第1導電層422aを形成するステップと、ペーストを塗布するステップと、焼成または硬化により第2導電層422aを形成するステップと、第2導電層422bを形成するステップとを含むことができる。これについてはより詳細に説明する。
【0090】
図7(a)に示すように、第2光電変換部120を形成するステップでは、半導体基板122、第1導電領域124および第2導電領域126などを含む第2光電変換部120を形成する。
【0091】
まず、第1または第2導電型ドーパントのベース領域を有するように構成される半導体基板122を作製する。このとき、半導体基板122の表面及び裏面の少なくとも一方は、凹凸を有して反射防止構造を有するようにテクスチャリングされてよい。半導体基板122の面のテクスチャリングとしては、湿式または乾式テクスチャリングが用いられる。湿式テクスチャリングは、テクスチャリング溶液に半導体基板122を浸漬することで行うことができ、プロセス時間が短いという利点がある。乾式テクスチャリングは、ダイヤモンドグリッドやレーザなどで半導体基板122の面を切断するものであり、均一に凹凸を形成することはできるが、プロセス時間が長く、半導体基板122に損傷を与えるおそれがある。また、反応性イオンエッチング(RIE)などにより、半導体基板122をテクスチャリングしてもよい。上述したように、本発明では、複数の方法によって半導体基板122をテクスチャリングすることができる。
【0092】
次に、半導体基板122の面に導電領域124、126を形成する。より具体的には、半導体基板122の表面上に第1パッシベーション膜及び第1導電領域124を形成し、かつ半導体基板122の裏面上に第2パッシベーション膜及び第2導電領域126を形成する。
【0093】
導電領域20及び30は、熱成長法、堆積法(例えば、化学気相成長法(PECVD)、原子層堆積法(ALD))、低圧化学気相成長法(LPCVD)などによって形成することができる。しかしながら、本発明は、これに限定されない。
【0094】
第1または第2導電型ドーパントは、導電領域124、126を形成する半導体層を成長させるプロセスにおいて一緒に含まれていてもよいし、半導体層を形成した後にイオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などによってドーピングされてもよい。しかしながら、本発明は、これに限定されず、導電領域124、126は、種々の方法で形成することができる。
【0095】
次に、図7(b)に示すように、保護層(第2電極44の第1電極層440)を形成するステップにおいては、第2導電領域126上に保護層を形成する。このとき、本実施例では、第2導電領域126上に第2電極44の第1電極層440を保護層として形成することができる。このような第1電極層440は、製造プロセスにおいて第2導電領域126上で第2導電領域126を保護する役割を果たす保護層として機能し、かつそのまま残して第1電極層440として機能することができる。すなわち、本実施例では、第1光電変換部110を形成する前に、第2電極44の第1電極層440を形成して保護層とすることによって、プロセスを簡略化することができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、第1電極層440とは異なる保護層を個別で形成し、それを除去又は除去しない状態で第1電極層440を形成してもよい。
【0096】
一例として、第2電極44の第1電極層440は、スパッタリングにより形成することができる。スパッタリングプロセスは、低温で実行することができ、第2電極44の第1電極層440は、片面である裏面のみに形成することができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、塗布法などの種々の方法を適用することができる。
【0097】
次に、図7(c)に示すように、接合層110aを形成するステップでは、第2光電変換部120上に接合層110aを形成する。より具体的には、第2光電変換部120において保護層が形成されていない部分、すなわち第1導電領域124上に接合層110aを形成してもよい。接合層110aは、一例として、スパッタリングにより形成することができる。スパッタリングプロセスは、低温で実行することができ、片面プロセスとしては、第2導電性領域124上にのみ接合層110aを形成することができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、塗布法などの種々の方法を適用することができる。
【0098】
次に、図7(d)に示すように、第1光電変換部110を形成するステップでは、接合層110a上に第1光電変換部110を形成する。より具体的には、接合層110a上に第2輸送層116、光電変換層112及び第1輸送層114を順に形成することができる。
【0099】
第2輸送層116、光電変換層112及び第1輸送層114は、種々の方法で形成することができるが、一例として、蒸着(例えば、物理蒸着法、化学蒸着法など)や印刷法などによって形成することができる。ここで、印刷法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、スプレーコーティング、ドクターブレード、バーコーティング、グラビア塗布、刷毛塗り、スロットダイ塗布などが含まれてよい。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0100】
次に、図7eに示すように、第1電極42の第1電極層420を形成するステップにおいて、第1光電変換部110上に第1電極42の第1電極層420を形成してもよい。より具体的には、第1輸送層114上に第1電極44の第1電極層420を形成してもよい。
【0101】
一例として、第1電極42の第1電極層420は、スパッタリングにより形成することができる。スパッタリング法は、低温で行うことができ、第1電極42の第1電極層420は、片面である表面のみに形成することができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、塗布法などの種々の方法を適用することができる。
【0102】
また、本実施例では、第1光電変換部110の形成前に第2電極44の第1電極層440を形成し、かつ第1光電変換部110の形成後に第1電極42の第1電極層420を形成する例を示した。しかしながら、本発明は、これに限定されず、第1光電変換部110の形成後に第2電極44の第1電極層440を形成してもよい。このとき、第2電極44の第1電極層440は、第1電極42の第1電極層420と共に形成してもよく、かつ第1電極42の第1電極層440を形成する前又は後に形成してもよい。これ以外の種々の変形が可能である。
【0103】
次に、図7f~図7gに示すように、第2電極層422を形成するステップでは、第1電極42及び第2電極44の第2電極層422、442を形成する。以下、第1電極42の第2電極層422は、第1導電層422aと第2導電層402bとが設けられ、かつ第2電極44の第2電極層442は、第1導電層422a又は第2導電層402bが設けられた単一層として形成される。
【0104】
このとき、第2電極44の第2電極層442が第1導電層422aからなる場合には、第1電極42及び第2電極44の第1導電層422aが同時に形成され、第2電極44の第2電極層442が第2導電層442bからなる場合には、第1電極42及び第2電極44の第2導電層422bが同時に形成されるとともに同時に焼成される。
【0105】
まず、図7fに示すように、第1電極の第2電極層の第1導電層を形成するために、堆積プロセスによって第1導電層を形成する。
【0106】
このとき、堆積プロセスとしては、スパッタリング、真空蒸着又はめっき(電気めっき)を種々の態様で適用することができる。
【0107】
一例として、スパッタリングにより形成されたスパッタリング層を形成するときには、第2電極層422を形成するプロセスの温度は、150℃以下(一例として、100℃~145℃)であってよく、第2電極層422、442が所望のパターンを有するように、マスク又はマスク層を設けた状態でスパッタリングにより第2電極層422を形成してもよい。また、第2電極層422は、スパッタリングにより形成されたスパッタリング層上に、スパッタリング又は電気めっき(一例として、電解めっき)により形成された追加導電層をさらに含んでもよい。また、本実施例による第1又は第2電極44の第2電極層422、442は、150℃以下で行う多様なプロセスによって形成することができる。
【0108】
このとき、図6bに示すように、第2電極の第2電極層が第1導電層で形成される場合には、第1電極の第1導電層と同じ堆積プロセスで形成することができる。
【0109】
次に、第1電極の第1導電層上に第2導電層を形成する。
【0110】
第2導電層が第1電極42の第1電極層420上に第1ペーストを塗布するとともに、第2電極が図6aに示すようにパターニングされる場合には、第2電極44の第1電極層440上に第2ペーストを塗布する。第1ペーストおよび第2ペーストは、それぞれ、複数の金属粒子MP、樹脂RS及び溶剤Sを含んでよい。樹脂RSとしては、セルロース基やフェノール基などの接着剤、アミン基などの硬化剤などが含まれてよい。溶剤Sとしては、種々のものを用いることができるが、一例として、エーテル系溶剤を用いることができる。また、種々の添加剤、分散剤等を含んでもよい。
【0111】
このとき、第1ペーストと第2ペーストとは、互いに同じ物質、組成または厚さを有していてもよく、第1ペーストと第2ペーストとは、互いに異なる物質、組成または厚さを有していてもよい。
【0112】
第1ペースト又は第2ペーストは、印刷(一例として、スクリーン印刷、インクジェット印刷など)により形成することができるので、室温でプロセスを実行することができるため、低温プロセスに適する。また、第1ペーストまたは第2ペーストを薄くかつ高く形成することによって、アスペクト比を高くすることで微細線幅を実現することができる。
【0113】
次に、第1ペースト及び第2ペーストを焼成又は硬化により焼成又は硬化して、第1電極42及び第2電極44の第2導電層422b、442を形成する。上述した焼成又は硬化プロセスは、熱を与える熱硬化又は紫外線を照射する紫外線硬化などによって実行することができる。本実施例では、プロセスを簡略化するために第1ペーストと第2ペーストを同時に焼成する例を示したが、本発明は、これに限定されない。
【0114】
このような焼成や硬化プロセスにおいて、溶剤Sなどを除去してペーストの体積を減少させるシュリンク(shrink)現象が発生して、複数の金属粒子MPが互いに繋がったり、樹脂RSを介して繋がったりする。このとき、本実施例では、樹脂の硬化温度よりも低い温度で焼成または硬化プロセスを実行する。例えば、樹脂の硬化温度は、150℃を超えるが、本実施例では、焼成又は硬化温度は、150℃以下(例えば、120℃~145℃)とすることができる。焼成または硬化温度が150℃を超えると、ペロブスカイト化合物が劣化するため、第1光電変換部110による光電変換が困難になったり、第1光電変換部110に十分な特性を持たせることができなくなったりするおそれがある。焼成または硬化温度が120℃未満であると、ペーストがほとんど焼成されないため、電気特性を低下させるおそれがある。
【0115】
本実施例では、ペロブスカイト化合物を含む第1光電変換部110を備える太陽電池100において、第1電極42及び第2電極44を低温(すなわち、150℃以下)で形成することができる具体的なプロセスを提案している。すなわち、堆積プロセスにより第1導電層を形成した後、その上に第2導電層として電極層を印刷により形成することで、充填率(充填率)と優れた効率と信頼性を確保することができる。
【0116】
また、上述したように、本実施例によるタンデム型太陽電池10は、対向する端部差領域に重なり部分OPを含み、かつ重なり部分OPに電極部14bをプレートとして形成することができる。
【0117】
具体的には、重なり部分OPは、隣接するタンデム型太陽電池10が重なるように後述するタンデム型太陽電池モジュール100を形成するときに重なる区間に対応するタンデム型太陽電池10の端部差領域となり、タンデム型太陽電池10の各々は、隣接する上部タンデム型太陽電池10と重なる第1重なり部分OP1と、隣接する下部タンデム型太陽電池10と重なる第2重なり部分OP2とを含んでよい。
【0118】
例えば、複数のタンデム型太陽電池10を配列方向に階段状に重ねて積層した構成であれば、特定の1つのタンデム型太陽電池10が、隣接する上部タンデム型太陽電池10と隣接する下部タンデム型太陽電池10とに重なって第1重なり部分OP1と第2重なり部分OP2とを含み、第1重なり部分OP1と第2重なり部分OP2が、それぞれ、タンデム型太陽電池10の両側の端部差領域において、配列方向に互いに対向するように配置される。
【0119】
本実施例による重なり部分OPは、タンデム型太陽電池10の形状に応じて、矩形や幾何学的な多角形などとすることができる。しかしながら、重なり部分OPの形状は、上述の記載又は図面に限定されるものではなく、当業者が容易に変更可能な重なり部分の形状の範囲に含まれる。端部差領域の幅は、約1mmを超えかつ約15mm未満であってよく、より具体的には、約1mmを超えかつ約5mm以下であってよい。
【0120】
本実施例では、端部差領域の幅を前記範囲とすることで、後にタンデム型太陽電池モジュール100を形成する際に安定したモジュール化を可能としつつ、多くの受光面積を確保して、優れた太陽電池出力を生産することができる。重なり部分OPの幅が1mm未満である場合に、モジュール化の過程で、隣接するタンデム型太陽電池10の結合安定性が低下する恐れがある。重なり部分OPの幅が15mmを超える場合に、タンデム型太陽電池10の受光面積を下げすぎて、かえって太陽電池出力を小さくするおそれがある。
【0121】
端部差領域の第1重なり部分OP1及び第2重なり部分OP2の幅は、同じでも異なってもよく、幅が異なる場合であっても、約1mm~約15mmの範囲内では、第1重なり部分OP1と第2重なり部分OP2の幅が異なってよい。
【0122】
本実施例によるタンデム型太陽電池10は、第1重なり部分OP1の電極部14bを第1電極42のみに接続するように制御することで、シャントなどを防止し、安定した太陽電池出力を実現することができる。
【0123】
本発明の一実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100は、前述したタンデム型太陽電池10を用いて太陽電池モジュールを実現するものであり、以下、図1図3を参照しながら、タンデム型太陽電池モジュール100について詳細に説明する。
【0124】
本発明の一実施例による太陽電池モジュール100は、前述した複数のタンデム型太陽電池10を階段状に重ねて積層したものである。例えば、基準タンデム型太陽電池10に対しては、隣接する上部タンデム型太陽電池モジュール100及び隣接する下部タンデム型太陽電池モジュール100が基準タンデム型太陽電池10と部分的に重なり、上部タンデム型太陽電池10が基準タンデム型太陽電池10の上部において部分的に重なり、下部タンデム型太陽電池10が基準タンデム型太陽電池10の下部において部分的に重なるように積層される。具体的には、基準タンデム型太陽電池10の第1重なり部分OP1と上タンデム型太陽電池10の第2重なり部分OP2とが互いに重なり、基準タンデム型太陽電池10の第2重なり部分OP2と下タンデム型太陽電池10の第1重なり部分OP1とが互いに重なることによって、階段状に積層される。
【0125】
すなわち、図1を参照し、本発明では、複数のタンデム型太陽電池10を互いに離間するように配列させることではなく、タンデム型太陽電池10の一部を重ねて連続的に積層させることにより、電気的短絡やリーク(leakage)などを防止するための面積がなく、所定面積のタンデム型太陽電池モジュール100内で受光面積を極大化することができ、その結果、太陽電池モジュールの生産出力を向上させることができる。
【0126】
さらに、本発明による実施例では、プレートは、モジュール化過程のときに重なる第1重なり部分OP1に形成されるため、太陽電池の出力に寄与することができる。すなわち、第1重なり部分OP1は、モジュール化過程で上部タンデム型太陽電池10に重ねられずに受光面として露出するため、太陽電池のプレート形成による出力が低下するとともに、かえって所定面積の太陽電池モジュール内で受光面積を極大化することができる。
【0127】
本明細書において、上述したように、上部タンデム型太陽電池10と下部タンデム型太陽電池10はそれぞれ、階段状に一部が重なって配列された複数のタンデム型太陽電池10のうちいずれか1つのタンデム型太陽電池10を基準として相対的に下部に配置されたタンデム型太陽電池10と、相対的に上部に配置されたタンデム型太陽電池10とを意味し、かつ基準となるタンデム型太陽電池10に応じて、同一のタンデム型太陽電池10が上部タンデム型太陽電池10または下部タンデム型太陽電池10となりうる。
【0128】
本発明の一実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100では、隣接する上部タンデム型太陽電池10の第2重なり部分OP2と下部タンデム型太陽電池10の第1重なり部分OP1との間に接続部材14が配置されることにより、隣接するタンデム型太陽電池10を電気的および物理的に結合することができる。
【0129】
具体的には、図2及び図3を参照し、接続部材14は、導電性接着部14aと電極部14bとを含み、導電性接着部14aは、隣接する2つのタンデム型太陽電池10を基準として、上部タンデム型太陽電池10の第2重なり部分OP2と下部タンデム型太陽電池10の第1重なり部分OP1との間に全体的に配置されてもよい。本明細書において、全体的に配置されるとは、物理的に完全にその領域や空間に配置される場合だけでなく、不可避的に一部が排除される場合も含む。導電性接着部14aは、フッ素エポキシ、シリコン、ポリアミドなどのポリマーブレンドを含んで接着特性を有するため、隣接するタンデム型太陽電池10を物理的に安定して結合するとともに導電特性を有して、隣接するタンデム型太陽電池10を電気的に接続する機能を果たすことができる。導電性接着部14aとしては、複数の物質から構成されてよいが、一例として、導電性接着剤(electrical conductive adhesive,ECA)などから構成されてよい。しかしながら、導電性接着部14aの種類は、記載された内容に限定されるものではなく、隣接するタンデム型太陽電池10を物理的及び電気的に接続できるものであれば、当業者が容易に選択できる範囲に含まれる。
【0130】
このとき、電極部14bは、第1電極42に接続されるプレートとして、端部差領域である第1重なり部分OP1の一面に全体的に配置することができる。第1重なり部分OP1の一面に全体的に配置された電極部14bは、第1電極42を構成する第1導電層422aから延在するように形成されてよい。
【0131】
上述したように、上部タンデム型太陽電池10の第2重なり部分OP2に形成された第2電極44と、下部タンデム型太陽電池10の第1重なり部分OP1に形成された電極部14bとが導電性接着部14aによって電気的に接続されることにより、隣接する2つの太陽電池10の電気的接続が構成される。
【0132】
すなわち、上部タンデム型太陽電池10の第2電極44と電気的に接続される導電性接着部14aと、下部タンデム型太陽電池10の第1電極42と電気的に接続される電極部14bとが接することによって、上部タンデム型太陽電池10と下部タンデム型太陽電池10とを電気的および物理的に接続することができる。
【0133】
そこで、上述したように、本発明の一実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100は、接続部材14により複数のタンデム型太陽電池10を階段状に重ねて積層するように形成することで、生産性を向上させるとともに不良率を低減することができる。
【0134】
以下、図87図110を参照しながら、本発明の他の実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100について説明する。
【0135】
図87は、本発明の他の実施例による太陽電池モジュールの平面図であり、図89は、図87のIV-IV’線に沿って切断した断面図であり、図109は、図87に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の平面図であり、図110は、図109に示す太陽電池モジュールの接続を示す断面図である。
【0136】
図87図98を参照し、本発明の他の実施例による太陽電池モジュール100では、複数のタンデム型太陽電池10が配線20によってマトリクス配列をなして構成され、互いに電気的に接続されている。
【0137】
複数のタンデム型太陽電池10は、配線20によって行方向に接続されてストリングを構成し、複数のストリングは、互いに接続されて太陽電池モジュール100を構成する。
【0138】
隣接するタンデム型太陽電池10同士を接続する配線20は、電極と配線との接合性、電荷の収集効率などを考慮すると、太陽電池の発電効率を最適化できるように10本から25本用いることができる。
【0139】
配線20は、隣接する2つのタンデム型太陽電池のうち、第1太陽電池の表面に形成された第1電極42に接するとともに、第1太陽電池に隣接する第2太陽電池の裏面に形成された第2電極44に接している。同様に、他方の配線20は、第2太陽電池の第1電極42に接するとともに、第2太陽電池に隣接する第3太陽電池の第2電極44に接している。これにより、1つのストリングに配列された太陽電池が配線20によって直列に接続される。
【0140】
そして、シンブルロッド21は、1行のストリングの一端に接続された配線20と、2行のストリングの一端に接続された配線20とを接続する。同様に、他方のシンブルロッド21は、2行のストリングの他端に接続された配線を、3行のストリングの他端に接続された配線20に接続する。これに対して、太陽電池モジュール100を構成する全てのタンデム型太陽電池10は、互いに直列に接続される。このように接続された太陽電池モジュール100は、表面パッケージ30及び裏面パッケージ40によって封止(sealing)されて保護され、かつ表面基板50と裏面基板60との間に配置された状態でそれらに積層されて一体化される。
【0141】
表面基板50は、太陽電池10の表面(光が入射する受光面)に位置し、衝撃保護のために可撓性のない硬い材質からなる。この表面基板50は、一例として、透過率が高く、破損防止機能に優れた強化ガラスなどで形成することができる。
【0142】
裏面基板60は、太陽電池の裏面(光が入射しない非受光面)に位置し、表面基板50とは異なり、可撓性を有する材質からなる。この裏面基板60は、裏面からの水分の浸入を防止し、太陽電池を外部環境から保護する。裏面基板40は、水分や酸素の透過を防止する層、化学的腐食を防止する層などの多層構造を有していてよく、フッ素系ポリマー(FP,fluoropolymer)、ポリエステル(PE,polyeaster)、フッ素系ポリマー(FP,fluoropolymer)などの絶縁性物質からなるシートとして構成されている。
【0143】
表面パッケージ30は、硬い表面基板50が配線20によって物理的衝撃を受けないように、配線20を完全に埋め込む厚さを有するように製造される。
【0144】
裏面パッケージ40は、裏面基板60と太陽電池10の裏面との間に位置し、光を透過する透明な物質からなる。この裏面パッケージ40にも、太陽電池への水分の浸入を防止し、太陽電池を衝撃から保護するために、エチレンビニルアセテート(EVA,ethylene vinyl acetate)などの衝撃を吸収可能な樹脂製品が用いられる。また、裏面パッケージ40は、劣化を防止するために紫外線を吸収する物質を含んで構成され、逆に、表面パッケージ30は、タンデム型太陽電池10の発電効率が良好となるように、全ての光を透過させるために紫外線吸収剤を含まない。
【0145】
上述したように形成されたタンデム型太陽電池モジュールの複数のタンデム型太陽電池は、図910及び図110と同様の構成とすることができる。
【0146】
図110を参照し、タンデム型太陽電池10について説明すると、タンデム型太陽電池は、図4のタンデム型太陽電池と同様の層状構造を有する。
【0147】
すなわち、本発明の他の適用例による量子ドット型太陽電池10は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層112を含む第1光電変換部110と、第1光電変換部110とは異なる物質または構造を有する第2光電変換部130とをさらに含むタンデム型構造を有していてよい。本実施例による太陽電池10も、大面積の太陽電池として、直径10~20cm、好ましくは直径12~17cmの大面積ペロブスカイト型太陽電池10を形成することができる。
【0148】
その詳細な層構造は、図4と同様であるため、省略される。
【0149】
特に、接合層110a上には、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層112を含む第1光電変換部110が位置してよい。第1光電変換部110は、光電変換層112と、光電変換層112の一方側において接合層110aと光電変換層112との間に位置する第2輸送層(第2キャリア輸送層)116と、光電変換層112の他方側において光電変換層112と第1電極42との間に位置する第1輸送層(第1キャリア輸送層)114とを含んでよい。
【0150】
光が太陽電池10の表面を透過して入射すると、第1光電変換部110は、短波長を吸収して、光電変換により電子と正孔を発生させる。このとき、第1キャリア(一例として、電子)は、第1電極42側に移動して収集され、第2キャリア(一例として、正孔)は、第1光電変換部110及び第2光電変換部130を通過して第2電極44に移動して収集される。第1光電変換部110で使用されずにそれを通過した長波長が第2光電変換部130に到達すると、第2光電変換部130で吸収され、光電変換により電子と正孔が発生する。このとき、第1キャリア(一例として、電子)が第1光電変換部110を介して第1電極42側に移動して収集され、第2キャリア(一例として、正孔)が第2電極44側に移動して収集される。
【0151】
上述したように、本適用例では、複数の波長を有する光は、いずれも複数の光電変換部110、120に用いることができるため、太陽電池10の効率を大幅に向上させることができる。特に、本実施例では、ペロブスカイト化合物による第1光電変換部110と、ヘテロ接合構造を有する第2光電変換部130とを含むことで、種々の特性を向上させることができる。上述した第1光電変換部110と第2光電変換部130は、それぞれ優れた開放電圧を有するため、タンデム型構造の太陽電池10の効率を大幅に向上させることができる。第2光電変換部130として様々な構成を適用可能であり、第2光電変換部120を設けずに第1光電変換部110のみを設けてもよい。これ以外にも種々の変形が可能である。
【0152】
第1電極42は、光電変換部110上に順に積層された第1電極層420及び第2電極層422を含んでよく、かつこの配置は、図1と同様に、堆積による第1導電層422aと印刷による第2導電層422bとの2重層構造を有する。
【0153】
また、第2電極44は、第2光電変換部130に開口部を形成し、第2導電領域20に接触してよい。
【0154】
上述した第1電極42及び第2電極44は、様々な平面形状を有してよい。一例として、図9に示すような形状も可能であるが、これに限定されない。
【0155】
第1電極42及び第2電極44は、第2電極層422及び442がそれぞれ所定のピッチを有しながら互いに離間して配置された複数のバスバー電極42a及び44aを含んでよい。図では、バスバー電極42a、44aが互いに平行であり、かつ光電変換部110、120(一例として、半導体基板122)の縁に平行である例を示したが、本発明は、これに限定されない。そして、第2電極層422、442は、バスバー電極42a、44aと交差する方向に形成されるとともに、バスバー電極42a、44aを接続するフィンガー電極42b、44bに含まれてもよい。
【0156】
配線20は、複数のバスバー電極42a、44a上を通過し、バスバー電極42a、44aと電気的に接触する。
【0157】
このとき、配線20がバスバー電極42a、44aに接触するように導電性接着フィルム15を配置してもよい。
【0158】
導電性接着フィルム15は、フッ素エポキシ、シリコン、ポリアミドなどのポリマーブレンドを含んで接着特性を有するため、隣接するタンデム型太陽電池10を物理的に安定して結合するとともに導電特性を有し、隣接するタンデム型太陽電池10を電気的に接続する機能を果たすことができる。導電性接着フィルム15としては、複数の物質から構成されていてもよく、一例として、導電性接着剤(electrical conductive adhesive,ECA)などから構成されてよい。しかしながら、導電性接着フィルム15の種類は、記載された内容に限定されるものではなく、隣接するタンデム型太陽電池10を物理的及び電気的に接続できるものであれば、当業者が容易に選択できる範囲に含まれる。
【0159】
バスバー電極42a、44aは、フィンガー電極42b、44bのピッチよりも大きいピッチを有しつつ複数設けられてもよい。このとき、バスバー電極42a、44aの幅は、フィンガー電極42b、44bの幅よりも大きくてもよいが、本発明は、これに限定されない。
【0160】
第1電極42及び第2電極44の第2電極層422、442は、互いに同一の平面形状を有してもよいし、互いに異なる平面形状を有してもよい。
【0161】
上記した本発明の他の実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100は、複数のタンデム型太陽電池10を配線20によって簡単に取り付けることができるので、製造工程が簡単であり、生産性を向上させることができ、さらに、モジュールに必要な構成を削減することができるため、製造コストを低減することができる。
【0162】
上述した特徴、構成、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれるものであり、必ずしも一実施例に限定されるものではない。また、各実施例で示された特徴、構成、効果などは、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者により、その他の実施例に対して組み合わせや変形を加えて実施することもできる。したがって、このような組み合わせ及び変形に関する内容は、本発明の範囲内に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0163】
100:太陽電池モジュール
10:太陽電池
20:配線
110:第1光電変換部
120:第2光電変換部
110a:接合層
42:第1電極
44:第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図1】本発明の一実施例による太陽電池モジュールの平面図である。
図2図1に示す太陽電池モジュールの分解斜視図である。
図3図1に示す太陽電池モジュールの断面図である。
図4図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池をI-I’に沿って切断した断面図である。
図5図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池をII-II’に沿って切断した断面図である。
図6a図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の背面図である。
図6b図2に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の背面図である。
図7a図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7b図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7c図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7d図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7e図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7f図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図7g図5及び図6の太陽電池を製造するためのシーケンス図である。
図8】本発明の他の実施例による太陽電池モジュールの平面図である。
図9図8の太陽電池モジュールをIV-IV’に沿って切断した断面図である。
図10図8に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の平面図である。
図11図10に示す太陽電池モジュールの接続を拡大した断面図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
次に、図7f~図7gに示すように、第2電極層422を形成するステップでは、第1電極42及び第2電極44の第2電極層422、442を形成する。以下、第1電極42の第2電極層422は、第1導電層422aと第2導電層42bとが設けられ、かつ第2電極44の第2電極層442は、第1導電層422a又は第2導電層42bが設けられた単一層として形成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
以下、図8~図11を参照しながら、本発明の他の実施例によるタンデム型太陽電池モジュール100について説明する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
8は、本発明の他の実施例による太陽電池モジュールの平面図であり、図9は、図8のIV-IV’線に沿って切断した断面図であり、図10は、図8に示す太陽電池モジュールにおける1つの太陽電池の平面図であり、図11は図10に示す太陽電池モジュールの接続を示す断面図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
8~9を参照し、本発明の他の実施例による太陽電池モジュール100では、複数のタンデム型太陽電池10が配線20によってマトリクス配列をなして構成され、互いに電気的に接続されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0145
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0145】
上述したように形成されたタンデム型太陽電池モジュールの複数のタンデム型太陽電池は、図9及図11と同様の構成とすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0146
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0146】
図11を参照し、タンデム型太陽電池10について説明すると、タンデム型太陽電池は、図4のタンデム型太陽電池と同様の層状構造を有する。
【国際調査報告】