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  • 特表-殺生物組成物及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】殺生物組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/80 20060101AFI20240229BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20240229BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240229BHJP
   A01N 55/02 20060101ALI20240229BHJP
   A01N 41/12 20060101ALI20240229BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20240229BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A01N43/80 102
A01P1/00
A01P3/00
A01N55/02
A01N41/12
A01N25/04
A01N43/40 101L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555504
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022020948
(87)【国際公開番号】W WO2022198048
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,266
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520061734
【氏名又は名称】アークサーダ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ARXADA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヤナク,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ウルツ,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ニーリィ,キャスリン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB04
4H011BB09
4H011BB10
4H011BC18
4H011DA14
4H011DF04
(57)【要約】
一般に、本開示は、イソチアゾロン殺生物活性化合物をシスタミン促進剤との組み合わせで含む殺生物組成物に関する。これらの組成物は、低濃度の殺生物活性化合物を使用して、微生物汚染により引き起こされ得る劣化及び腐敗の非常に効果的な阻害を実証することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及びピリチオン殺生物活性化合物のうちの1つ又は両方と;
シスタミン促進剤と
を含む、殺生物組成物。
【請求項2】
前記4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物が、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-3(2H)-イソチアゾロン、ジクロロ-n-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、及び2,2-ジチオビス(N-メチルベンズアミド)のうちの1つ又は複数である、請求項1に記載の殺生物組成物。
【請求項3】
前記4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物が、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及びN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンのうちの1つ又は両方である、請求項1又は2に記載の殺生物組成物。
【請求項4】
前記殺生物組成物中の前記シスタミン促進剤対前記4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の重量比が、約800:1以下及び約1:1以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項5】
前記ピリチオン殺生物活性化合物が、亜鉛ピリチオン、ナトリウムピリチオン、カリウムピリチオン、リチウムピリチオン、アンモニウムピリチオン、カルシウムピリチオン、マグネシウムピリチオン、有機アミンピリチオン、バリウムピリチオン、ストロンチウムピリチオン、銅ピリチオン、及びカドミウムピリチオンのうちの1つ又は複数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項6】
前記ピリチオン殺生物活性化合物がナトリウムピリチオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項7】
前記殺生物組成物中の前記シスタミン促進剤対前記ピリチオン殺生物活性化合物の重量比が、約800:1以下及び約1:1以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項8】
溶媒をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項9】
前記溶媒が水である、請求項8に記載の殺生物組成物。
【請求項10】
前記殺生物組成物が水性分散物であり、前記水性分散物が、前記殺生物組成物の20重量パーセント以上及び95重量パーセント以下の水含量を有する、請求項8に記載の殺生物組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、製品。
【請求項12】
前記4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物が、約1ppm以上及び約400ppm以下の量で存在する、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
前記ピリチオン殺生物活性化合物が、約1ppm以上及び約400ppm以下の量で存在する、請求項11又は12に記載の製品。
【請求項14】
前記4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物が、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及びN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンのうちの1つ又は両方であり;
前記ピリチオン殺生物活性化合物がナトリウムピリチオンである、
請求項11から13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項15】
前記シスタミン促進剤が、1ppm以上及び32,000ppm以下の量で存在する、請求項11から13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
塗料、コーティング、シーラント、石膏、デンプン溶液、水性無機スラリー、分散物、コーキング材、着色顔料のスラリー、無機フィラー及び着色顔料のスラリー、建築化学製品、のり又は接着剤、ポリマー分散物、エマルションポリマー、洗剤又は洗浄剤、鉱油又は鉱油製品、冷却潤滑剤、皮革産業及び/又は繊維産業及び/又は光化学産業のための補助剤、化学産業の半製品又は中間体、ワックス、粘土エマルション、インク、又は消毒剤である、請求項11から13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項17】
塗料、コーティング、エマルションポリマー、又は水性無機スラリーである、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
微生物による侵襲、破壊、又は劣化が起こりやすい、対象又は材料の少なくとも部位を保護する方法であって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の殺生物組成物を、前記微生物の増殖又は生存に悪影響を与えるのに有効な量で前記部位中又は前記部位上に組み込むステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2021年3月19日出願の米国仮特許出願第63/163266号に基づいており、またその優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]有害な微生物の増殖を制御し、微生物汚染により引き起こされる劣化及び腐敗、微生物のぬめり堆積物、並びにバイオフィルムを防ぐために、殺生物剤(biocidal agent)が多くの分野で使用されている。本明細書で使用する「殺生物剤(biocide)」という用語は、限定はされないが、殺菌剤、及び殺真菌剤、及び/又は殺藻剤を含むことを意図しており、「殺生物活性」とは、細菌、及び真菌、及び/又は藻類の増殖の排除と阻害の両方を指す。
【0003】
[0003]イソチアゾロン類(4-イソチアゾリン-3-オン類、本明細書において交換可能に使用される用語)は、有効性が高い殺生物剤であり、様々な産業において薬効範囲が広い殺生物剤として広く使用される。最も広く使用されるイソチアゾロン殺生物剤のうちの2つは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(クロロメチルイソチアゾリノン又はCMIT)及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(メチルイソチアゾリノン又はMIT)であり、これらはまた多くの場合3:1混合物(CMIT:MIT)で共に使用される。しかし、MITはアレルゲン性及び細胞毒性であり、これはMITの使用についての何らかの懸念につながる。近年におけるこれらのイソチアゾリノン系保存料の使用の増加に起因して、MIT及びCMITの混合物に対する接触アレルギーの報告発生数の増加が報告されてきた。4-イソチアゾリン-3-オン誘導体、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BIT)は、細菌、真菌、及び酵母に対する広い抗菌活性スペクトルを示し、高度な化学安定性及び熱安定性も示す。しかし、信頼性が高く迅速な殺生物活性のためには最大で500ppmの量が必要とされる。N-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BBIT)は、抗菌特性及び抗真菌特性のためにポリマー、金属切削油、塗料、及びコーティングにおいて広く使用される別の殺生物剤であり、一般的な細菌又は真菌、例えばクロコウジカビ(Aspergillus niger)などに対して十分な耐性を及ぼすのに通常は1.5~2ppmの量を必要とする。
【0004】
[0004]殺生物組成物の有効性を広げるために、イソチアゾロン類はまた様々な他の殺生物剤と組み合わされてきた。例えば、過去にはピリチオン及び2-アルキルイソチアゾリン-3-オンを含む殺生物組成物が広く使用されてきた。ピリチオン亜鉛(ZPT)は薬効範囲が広い抗菌剤及び抗真菌剤である。水中のZPTの溶解性が低いため(中性pHで8ppm)、ピリチオン亜鉛は、屋外の塗料並びに白カビ及び藻類に対する防護性を提供する他の製品での使用に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]イソチアゾロン殺生物活性物質の使用に対する規制による制約が増加しており、このクラスの化合物の使用は将来的にさらに削減されなければならないであろう。同様に、同様の用途で典型的に使用されるピリチオン塩に対する近年の潜在的な規制は、入手可能なピリチオン系殺生物組成物の減少ももたらすことになる。したがって、同等又は改善された性能を提供するが既知の欠点を伴わない殺生物組成物を特定することが必要不可欠となった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一般に、本開示は、細菌及び/又は真菌などの微生物に対する適切な殺生物活性を示す殺生物特性を有する組成物に向けられており、これらの微生物による汚染によって引き起こされる劣化及び腐敗から技術材料(例えば、塗料、コーティング、又は表面)を保護するのに使用することができる。殺生物組成物は、製品における微生物増殖から保護する又は微生物増殖を軽減するために様々な製品中に組み込まれてもよい。このように、本開示の例となる実施は、殺生物組成物、殺生物組成物を組み込んだ殺生物製品、そのような殺生物組成物を使用して材料又は材料の一部を保護する方法を含んでもよい。
【0007】
[0007]例えば、本開示の1つの例となる態様は、4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物、及びシスタミンジヒドロクロリドなどのシスタミン促進剤を含む、殺生物組成物を含んでもよい。結果は、そのような例となるシスタミン促進剤の添加が、既知の殺生物活性化合物の有効性を改善するアジュバント効果をもたらし得るが、一方で単独では有意な殺生物活性を示さないことを実証した。この驚くべき結果は、より少量の3-イソチゾリン-3-オン殺生物活性物質を含む殺生物組成物の配合を可能にし、そのような製品に関連する環境上の懸念の少なくとも一部を軽減する。
【0008】
[0008]別の例として、本開示の1つの例となる態様は、ピリチオン殺生物活性化合物、及びシスタミンジヒドロクロリドなどのシスタミン促進剤を含む、殺生物組成物を含んでもよい。結果は、そのような例となるシスタミン促進剤の添加が、既知の殺生物活性化合物の有効性を改善する増強剤効果をもたらし得るが、一方で単独では有意な殺生物活性を示さないことを実証した。この驚くべき結果は、より少量のピリチオン殺生物活性物質を含む殺生物組成物の配合を可能にし、そのような製品に関連する環境上の懸念の少なくとも一部を軽減する。
【0009】
[0009]さらに別の例として、本開示の1つの例となる態様は、4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物、ピリチオン殺生物活性化合物、及びシスタミン促進剤を含む、殺生物組成物を含んでもよい。そのような殺生物組成物は有利には上記のアジュバント効果及び増強剤効果などの、上記の利益をもたらし得る。
【0010】
[0010]本開示の別の例となる態様は、殺生物組成物を組み込んだ製品を含んでもよい。製造及び生産において、特定の殺生物組成物は効果的な保護に必要とされるよりも高い濃度で配合されてもよい。殺生物組成物を組み込んだ例となる製品は、効果的な保護を実現するために有効濃度のシスタミン促進剤並びに4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び/又はピリチオン殺生物活性化合物を含んでもよい。さらに、製品が限定的な環境上の又は他の安全上の懸念を示すことになるように、3-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性物質及び/又はピリチオン殺生物活性物質の濃度は低減された濃度で存在し得る。
【0011】
[0011]本開示の1つのさらなる例となる態様は、殺生物組成物を組み込んだ製品を配合する方法を含んでもよい。これらは、本開示の他の特徴及び態様と共に、下記でより詳細に論じられる。
【0012】
[0012]本開示の完全で実施可能な説明は、添付の図の参照を含む、本明細書の残り部分により詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]図1は、本開示の例となる実施による殺生物製品を生産するために製品と組み合わされてもよい、例となる殺生物組成物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0014]本明細書及び図面における参照文字の繰り返しの使用は、本発明の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことが意図される。
【0015】
[0015]本開示は単に例示的な実施形態の説明であり、本開示のより広い態様を限定するものとして意図していないことが当業者によって理解されるべきである。
【0016】
[0016]本開示は一般に、微生物に対する適切な殺生物活性を示す殺生物特性を有する組成物に向けられており、そのような微生物による汚染によって引き起こされる劣化及び/又は腐敗から材料を保護するのに使用されてもよい。例となる実施形態において、殺生物組成物は、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び少なくとも1つのシスタミン促進剤を含んでもよい。別の例となる実施形態において、殺生物組成物は、少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物及び少なくとも1つのシスタミン促進剤を含んでもよい。さらに別の例となる実施形態において、殺生物組成物は、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物、少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物、及び少なくとも1つのシスタミン促進剤を含んでもよい。殺生物製品を生産するために殺生物組成物はキャリアに組み込まれてもよい。例えば、殺生物製品は、有効量の殺生物組成物を組み込んで殺生物製品を生産するために殺生物組成物と混合することができる流体キャリア(例えば、液体、懸濁液、エマルション、又は他の同様の流体)を含んでもよい。さらなる例となる実施形態において、殺生物組成物及び/又は殺生物製品は、劣化及び/又は腐敗から少なくとも材料のある領域を保護するための処理として、材料のその領域に適用されるかあるいは組み込まれてもよい。
【0017】
[0017]本開示による実施において、例となる殺生物組成物は、少なくとも1つの殺生物活性化合物、すなわち少なくとも1つのイソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物の1つ又は両方、並びに化合物Iの構造を有する少なくとも1つのシスタミン促進剤を含んでもよく、化合物Iは、式:
HR1N-(C)-(CH)-S-S-(CH)-(CH)-NR2H
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、R1は、H、C~C30-アルキル、C~C30-アルケニル、C~C30-アルキニル、C~C30-アルキルアリール、又はC~C12-アリールであり;R2は、H、C~C30-アルキル、C~C30-アルケニル、C~C30-アルキニル、C~C30-アルキルアリール、又はC~C12-アリールである)を有する。
【0020】
[0018]本明細書で使用する、化学式の言及は、周期表による標準的な元素記号(例えば、Cは炭素を表し、Nは窒素を表し、Sは硫黄を表すなど)を使用する。さらに、化学式の言及は標準的な結合に基づいているので、別段の指定がない限り炭素は4つの結合を形成することができ、窒素は3つの結合を形成することができる。
【0021】
[0019]一般に、シスタミン化合物は、プロトンドナーと反応して、負電荷を有するアニオンと対になった、正電荷を有するシスタミンカチオンを有する塩を形成することができる。このように、特定の殺生物組成物において、シスタミン促進剤は、化合物Iの塩であってもよい。シスタミン促進剤の塩として含まれていてもよいアニオンのいくつかの例としては、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオンなど)、硝酸イオン、硫酸イオンなどの無機アニオンを挙げることができる。代わりに又はさらに、アニオンとしては、有機アニオン、例えば酢酸アニオン、又はオクタン酸、デカン酸、若しくはドデカン酸などの脂肪酸に由来するカルボン酸アニオンなどを挙げることができる。いくつかの実施において、シスタミン促進剤はシスタミンジヒドロクロリドである。
【0022】
[0020]一般に、本発明の少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物は、殺生物活性を示す当技術分野において既知の任意の4-イソチアゾリン-3-オン誘導体であってもよい。例えば、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物は、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BIT)、N-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BBIT)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン(MTI)、2-オクチル-3(2H)-イソチアゾロン(OIT)、ジクロロ-n-オクチル-2H-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、N-メチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(nMBIT)、及び2,2-ジチオビス(N-メチルベンズアミド)(DTMB)のうちの1つ又は複数であってもよい。
【0023】
[0021]特定の実施において、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物は、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BIT)、N-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BBIT)、又はそれらの混合物である。いくつかの実施において、BITが殺生物組成物中の唯一の4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物である。あるいは、いくつかの実施では、BBITが殺生物組成物中の唯一の4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物である。
【0024】
[0022]一般に、本発明の少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物は、殺生物活性を示す当技術分野において既知の任意のピリチオン誘導体であってもよい。例えば、少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物は、亜鉛ピリチオン、ナトリウムピリチオン、カリウムピリチオン、リチウムピリチオン、アンモニウムピリチオン、カルシウムピリチオン、マグネシウムピリチオン、有機アミンピリチオン、バリウムピリチオン、ストロンチウムピリチオン、銅ピリチオン、及びカドミウムピリチオンのうちの1つ又は複数であってもよい。別の例として、少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物は、ピリチオンのアルカリ金属塩を含んでもよい。特定の実施において、ナトリウムピリチオンは殺生物組成物中の唯一のピリチオン殺生物活性化合物である。
【0025】
[0023]少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び/又は少なくとも1つのピリチオン殺生物活性化合物に加えて、本開示の殺生物組成物は少なくとも1つの化合物Iのシスタミン促進剤を含んでもよい。
【0026】
[0024]本明細書で使用する「補助剤」という用語は、活性化合物と組み合わせて使用されると活性化合物の性能に影響を与え得るが本発明の組成物中でそれ自体は殺生物活性を全く示さない及び/又はそれ自体は有意な殺生物活性を示さない添加剤を指す。1つの特定の理論に拘束はされないが、本発明のシスタミン促進剤は、活性化合物及びジスルフィド結合の反応性が制限されている場合は、求電子性ストレスを与え、細胞内に侵入することにより、殺生物活性化合物の殺生物効力を高めると考えられる。その結果として、所望の殺生物活性を得るのに本発明の殺生物組成物においてより少量のイソチアゾロン類が使用されてもよいので、これらの殺生物組成物は有害な細菌及び真菌から保護される製品又は部位(locus)の強固な保護及び保存をもたらす。
【0027】
[0025]本開示による殺生物組成物において、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び少なくとも1つのシスタミン促進剤の相対量は、例えば、殺生物活性化合物の性質及びシスタミン促進剤の性質に応じて変動してもよい。有利には、しかし、シスタミン促進剤対4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の重量比は、約800:1以下及び約1:1以上、例えば約750:1以下及び約1:1以上、約650:1以下及び約25:1以上、約580:1以下及び50:1以上、又は約400:1以下及び100:1以上などである。
【0028】
[0026]特に、例となる殺生物組成物において、シスタミン促進剤対4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の重量比は、各4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の合計の量、各4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の個々の量、又はその両方に基づいて指定されてもよい。一例として、2種類の4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物(例えば、BIT及びBBIT)を含む実施において、シスタミン促進剤対4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の比は、各4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物について指定されてもよい。さらに又は代わりに、シスタミン促進剤対4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の比は、組成物全体について指定されてもよい。
【0029】
[0027]本明細書で使用する、シスタミン促進剤対4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の重量比は、シスタミン促進剤に基づいて読みとられるべきである。そのため約800:1以下は、4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の1重量単位当たり800重量単位以下のシスタミン促進剤が存在することを示すのに使用される。例示のための別の例として、約1:1以上は、4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の1重量単位当たり1重量単位以上のシスタミン促進剤が存在することを示すのに使用される。
【0030】
[0028]本開示による1つの例となる実施は、BITである4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性物質を有する殺生物組成物を含んでもよく、シスタミン促進剤対BITの重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。別の例となる実施において、殺生物組成物は、BIT及び/又はBBITである4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性物質を含んでもよく、シスタミン促進剤対BIT、BBIT、又はその両方の重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。
【0031】
[0029]別の例となる実施において、殺生物組成物は、シスタミンジヒドロクロリドであるシスタミン促進剤、及びBITである4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよい。殺生物組成物において、シスタミン促進剤対BITの重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。
【0032】
[0030]別の例となる実施として、殺生物組成物は、シスタミンジヒドロクロリドであるシスタミン促進剤、並びにBBITである4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよい。例となる殺生物組成物において、シスタミン促進剤対BBITの重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。
【0033】
[0031]さらなる例となる実施において、殺生物組成物は、BIT及びBBITの混合物である4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよく、シスタミン促進剤はシスタミンジヒドロクロリドである。
【0034】
[0032]本開示による殺生物組成物において、少なくともピリチオン殺生物活性化合物及び少なくとも1つのシスタミン促進剤の相対量は、例えば、殺生物活性化合物の性質及びシスタミン促進剤の性質に応じて変動してもよい。有利には、しかし、シスタミン促進剤対ピリチオン殺生物活性化合物の重量比は、約800:1以下及び約1:1以上、例えば約750:1以下及び約1:1以上、約650:1以下及び約25:1以上、約580:1以下及び50:1以上、又は約400:1以下及び100:1以上などである。
【0035】
[0033]特に、例となる殺生物組成物において、シスタミン促進剤対ピリチオン殺生物活性化合物の重量比は、各ピリチオン殺生物活性化合物の合計の量、各ピリチオン殺生物活性化合物の個々の量、又はその両方に基づいて指定されてもよい。一例として、2種類のピリチオン殺生物活性化合物(例えば、ナトリウムピリチオン及び亜鉛ピリチオン)を含む実施において、シスタミン促進剤対ピリチオン殺生物活性化合物の比は、各ピリチオン殺生物活性化合物について指定されてもよい。さらに又は代わりに、シスタミン促進剤対ピリチオン殺生物活性化合物の比は、組成物全体について指定されてもよい。
【0036】
[0034]本明細書で使用する、シスタミン促進剤対ピリチオン殺生物活性化合物の重量比は、シスタミン促進剤に基づいて読みとられるべきである。そのため約800:1以下は、ピリチオン殺生物活性化合物の1重量単位当たり800重量単位以下のシスタミン促進剤が存在することを示すのに使用される。例示のための別の例として、約1:1以上は、ピリチオン殺生物活性化合物の1重量単位当たり1重量単位以上のシスタミン促進剤が存在することを示すのに使用される。
【0037】
[0035]本開示による1つの例となる実施は、ナトリウムピリチオンであるピリチオン殺生物活性物質を有する殺生物組成物を含んでもよく、シスタミン促進剤対ナトリウムピリチオンの重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。別の例となる実施において、殺生物組成物はナトリウムピリチオン及び/又は亜鉛ピリチオンであるピリチオン殺生物活性物質を含んでもよく、シスタミン促進剤対ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、又はその両方の重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。
【0038】
[0036]別の例となる実施において、殺生物組成物は、シスタミンジヒドロクロリドであるシスタミン促進剤、及びナトリウムピリチオンであるピリチオン殺生物活性化合物を含んでもよい。殺生物組成物において、シスタミン促進剤対ナトリウムピリチオンの重量比は約800:1以下及び約1:1以上である。
【0039】
[0037]さらなる例となる実施において、殺生物組成物は、ナトリウムピリチオン及び亜鉛ピリチオンの混合物である4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよく、シスタミン促進剤はシスタミンジヒドロクロリドである。
【0040】
[0038]本明細書で使用する、相対比又は重量比は重量/重量(w/w)比を指す。w/w比がシスタミン塩などの塩に関して本明細書で開示される場合、遊離塩基に関して、例えば、シスタミン塩のシスタミン部分に関して計算される。このことは、相対比が計算される場合にシスタミンカチオンに対する対イオンの分子量が考慮されないことを意味する。本明細書で使用する百万分率(ppm)は、同様に重量/重量比を指し、すなわち、1ppmは重量当たり1×10-6、又は0.000001、又は0.0001重量%を意味する。
【0041】
[0039]本発明の殺生物組成物は細菌及び/又は真菌に対して特に有効である。例示的な微生物としては、以下の群の1つ又は両方に属する1つ又は複数の種を挙げることができる。
【0042】
[0040]細菌:アルカリゲネス属(Alcaligenes)、例えばアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)など、アシネトバクター属(Acinetobacter)、例えばアシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)など、バチルス属(Bacillus)、例えば枯草菌(Bacillus subtilis)など、シトロバクター属(Citrobacter)、例えばシクロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)など、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、例えばコリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)など、エンテロバクター属(Enterobacter)、例えばエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)又はエンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)など、エンテロコッカス属(Enterococcus)、例えばエンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)など、エシェリキア属(Escherichia)、例えば大腸菌(Escherichia coli)など、プロテウス属(Proteus)、例えばプロテウス・ハウセリ(Proteus hauseri)など、シュードモナス属(Pseudomonas)、例えばシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、又はシュードモナス・スツッツェリ(Pseudomonas stutzeri)など、サルモネラ属(Salmonella)、例えばサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)など、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、例えば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)など;
[0041]真菌:アクレモニウム属(Acremonium)、例えばアクレモニウム・ストリクトゥム(Acremonium strictum)など、アルテルナリア属(Alternaria)、例えばアルテルナリア・テニウス(Alternaria tenuis)又はアルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)など、アスペルギルス属(Aspergillus)、例えばクロコウジカビ(Aspergillus niger)又はアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)など、カンジダ属(Candida)、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)など、ケトミウム属(Chaetomium)、例えばケトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum)など、フザリウム属(Fusarium)、例えばフザリウム・ソラニ(Fusarium solani)など、ゲオトリクム属(Geotrichum)、例えばゲオトリクム・カンジドゥム(Geotrichum candidum)など、レンチヌス属(Lentinus)、例えばレンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)など、ペニシリウム属(Penicillium)、例えばアオカビ(Penicillium glaucum)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、又はペニシリウム・ピノフィラム(Penicillium pinophilum)など、ロドトルラ属(Rhodotorula)、例えばロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)又はロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)など、スタキボトリス属(Stachybotrys)、例えばクロカビ(Stachybotrys chartarum)など、トリコデルマ属(Trichoderma)、例えばトリコデルマ・ビレンス(Trichoderma virens)など。
【0043】
[0042]本開示の殺生物組成物は、さらなる殺生物活性化合物を含んでもよい。そのようなさらなる殺生物活性化合物の例は、ブロノポール、ベンジルヘミホルマール、テトラメチルアゾジカルボキサミド(TMAD)、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン(DMDMH)、tris-ヒドロキシメチルニトロメタン(THNM)、ジメチルオキサゾリジン(DMO)、p-クロロ-m-クレゾール、ジメチロール尿素、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオン酸アミド、グルタルジアルデヒド、エチレングリコールヘミホルマール、エチレングリコール-ビス-ヘミホルマール、N-メチロール尿素、ビス(テトラキスヒドロキシメチル)ホスホニウムスルフェート(THPS)、チアベンダゾール、カルベンダジム、2-フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、o-フェニル-フェノール、ベンジルアルコール、ナトリウムジチオカルバメート、クロロフェン、四級アンモニウム塩、例えばN-アルキル-N,N-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリド、又はトリ-n-ブチルテトラデシルホスホニウムクロリド、C~C16アルキルアミンなど、並びに有機酸、例えば安息香酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、サリチル酸などである。
【0044】
[0043]しかし、本開示のいくつかの実施において、殺生物組成物及び/又は殺生物製品は、4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物のみを含み記載されたようなさらなる殺生物活性化合物を含まないように限定されてもよい。特に、本開示の例となる殺生物組成物は、上記で記載されたようなピリチオン又はピリチオン塩を採用することなく防腐効果の要件を満たすことができる。しかし、本開示のいくつかの実施において、殺生物組成物及び/又は殺生物製品は、ピリチオン殺生物活性化合物のみを含み記載されたようなさらなる殺生物活性化合物を含まないように限定されてもよい。別の例として、いくつかの実施は、システアミン、ジチオサリチル酸、及びシスチンのうちの1つ又は複数を本質的に含まない殺生物組成物を含んでもよい。
【0045】
[0044]本発明の殺生物組成物は多くの用途があり、任意の適切な産業又は分野で使用されてもよい。本発明の殺生物組成物は、溶液、エマルション、懸濁液、粉塵、粉末、泡状物質、ペースト、粒状材料、樹脂、又はポリマー材料中にマイクロカプセル化された形態であってもよい。配合物のタイプは特定の意図する目的によって決まり、一般に、本発明による殺生物組成物の微細かつ均一な分布を確実にするべきである。
【0046】
[0045]例えば、殺生物組成物は、塗料及びコーティング産業、建築化学分野、ポリマー化学分野、鉱油産業、繊維産業、又は光化学産業などにおいて使用されてもよい。本発明の殺生物組成物の殺生物活性化合物において見られる殺生物活性の増加の度合いはまた、殺生物組成物を消毒剤として潜在的に有用なものにする。殺生物組成物は、缶内又はドライフィルムの保存、又は工業プロセス水の処理に特に有用である。
【0047】
[0046]より詳細には、本開示の殺生物組成物は、殺生物組成物の成分を分散させるための溶媒を含んでもよい。溶媒は、溶媒の全体に成分を分散させるように作用することができるので、任意の体積の溶媒は殺生物組成物中に含まれる各成分(例えば、シスタミン促進剤)の実質的に等しい濃度を有することになる。1つの例となる実施において、溶媒は水を含んでもよいが、他の溶媒又は当技術分野において既知の溶媒の混合物が殺生物組成物中に組み込まれていてもよい。
【0048】
[0047]いくつかの実施において、溶媒は殺生物組成物のすべての成分をはっきりと分かるほど溶解させなくてもよい。これらの組成物において、分散物を生産するために界面活性剤又は他の相安定化剤が使用されてもよい。例えば、いくつかの例となる実施は、水性分散物である殺生物組成物を含んでもよい。水性分散物は、殺生物組成物の重量を基準として95%以下及び20%以上である水含量によって特徴づけられてもよい。したがって、本開示の例となる実施は、シスタミン促進剤、並びに4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び/又はピリチオン殺生物活性化合物を含む水性分散物である殺生物組成物を含んでもよい。
【0049】
[0048]本発明の殺生物組成物は、微生物を制御しようとする製品又は部位へ加えられてもよい。殺生物活性化合物及びシスタミン促進剤は、必須の原料、すなわち、化合物Iの少なくとも1つのシスタミン促進剤に加えて少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び/又はピリチオン殺生物活性化合物を含む濃縮物(「殺生物濃縮物」)の形態であってもよく、これは次に前記製品へ加えられてもよい。濃縮物はまた、製品へ加えられる前に適切な溶媒若しくはキャリアにより希釈されるか、又は適切な溶媒中若しくはキャリア中に懸濁、溶解、若しくは乳化されてもよい。殺生物製品を生産するために、保護される製品への殺生物組成物の添加が使用されてもよい。
【0050】
[0049]したがって、本開示は、本開示による殺生物組成物を含む殺生物製品をさらに意図する。
【0051】
[0050]殺生物製品において、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び/又はピリチオン殺生物活性化合物、並びに少なくとも1つのシスタミン促進剤は殺生物有効量で存在する。殺生物製品中の少なくとも1つのシスタミン促進剤に加えて少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物及び/又はピリチオン殺生物活性化合物の量は、殺生物活性化合物又はシスタミン促進剤などの様々な要因に基づいて変動し得る。
【0052】
[0051]殺生物製品の例となる実施において、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物が、約1ppm以上から約500ppm以下、例えば約400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、150ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、又は25ppm以下などの濃度で殺生物製品中に存在するように、殺生物製品は本開示の様々な実施による一定量の殺生物組成物を含んでもよい。
【0053】
[0052]例えば、殺生物製品は、本開示で提供される殺生物組成物を含んでもよい。殺生物組成物は、BIT、BBIT、又はそれらの混合物である少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよい。BITは1ppm以上及び100ppm以下の量で殺生物製品中に存在してもよく、及び/又はBBITは約1ppm以上及び約130ppm以下の量で殺生物製品中に存在してもよい。例えば、BBITは、約1ppm以上及び約130ppm以下、例えば90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、又は60ppm以下など(例えば、約10ppm、約20ppm、約30ppm、約40ppm、約50ppmなど)の量で殺生物製品中に存在してもよい。さらに又は代わりに、BITは、約10ppm以上及び約130ppm以下、例えば約20ppm以上及び約120ppm以下、約30ppm以上及び約110ppm以下、約40ppm以上及び約100ppm以下、約50ppm以上及び約100ppm以下、約60ppm以上及び約100ppm以下、約70ppm以上及び約100ppm以下、約80ppm以上及び約100ppm以下、又は約90ppm以上及び約100ppm以下など(例えば、約25ppm、約40ppm、約50ppm、約60ppm、約70ppm、約80ppm、約90ppm、約100ppm、又は約110ppm)の量で殺生物製品中に存在してもよい。
【0054】
[0053]より詳細には、例となる殺生物製品は、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及びN-(n-ブチル)-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンのうちの1つ又は両方である4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよい。BITは、20ppm以上及び60ppm以下の量で例となる殺生物製品中に存在してもよく、BBITは、40ppm以上及び100ppm以下の量で例となる殺生物製品中に存在してもよく、又はその両方であってもよい。
【0055】
[0054]理解されるべきであるように、殺生物組成物を製品に添加して殺生物製品を生産することにより、一般に、殺生物製品中の少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物の比及び少なくとも1つのシスタミン促進剤の比は、本開示による殺生物組成物中のこれらの成分の比とおよそ同じである。
【0056】
[0055]したがって、シスタミン促進剤は、約1ppm以上及び約40,000ppm以下、例えば約38,000ppm以下、約36,000ppm以下、約34,000ppm以下、約32,000ppm以下、約30,000ppm以下、又は約25,000ppm以下など(例えば、約15,000ppm、約16,000ppm、約18,000ppm、約20,000ppm、約22,000ppm、約24,000ppm、約26,000ppm、約28,000ppm、約30,000ppm、約32,000ppm、約34,000ppm、約36,000ppm、約37,000ppm、約38,000ppm、約39,000ppm、約39,500ppm、約39,600ppm、約39,700ppm、又は約39,800ppm)の量で前記殺生物製品中に存在してもよい。
【0057】
[0056]特に、例となる殺生物製品は、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンである4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物を含んでもよく、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンは10ppm以上及び90ppm以下の量で製品中に存在する。例となる殺生物製品はまた、シスタミンジヒドロクロリドであるシスタミン促進剤を含んでもよく、シスタミン促進剤は、500ppm以上及び7,000ppm以下の量で製品中に存在する。
【0058】
[0057]1つの例となる実施において、殺生物製品は、以下の、塗料、コーティング、シーラント、石膏、デンプン溶液、水性無機スラリー、分散物、コーキング材、着色顔料のスラリー、無機フィラー及び着色顔料のスラリー、建築化学製品、のり又は接着剤、ポリマー分散物、エマルションポリマー、洗剤又は洗浄剤、鉱油又は鉱油製品、冷却潤滑剤、皮革産業及び/又は繊維産業及び/又は光化学産業のための補助剤、化学産業の半製品又は中間体、ワックス及び/又は粘土エマルション、インク、洗浄薬、並びに消毒剤のうちの1つ又は複数などの、製品中に組み込まれた殺生物組成物を含んでもよい。
【0059】
[0058]本発明の殺生物組成物は、水性溶媒系において改善された殺生物効力を実証し得る。したがって、例となる実施の1つの態様は、殺生物組成物のpH又は殺生物製品のpHを含んでもよい。
【0060】
[0059]本発明の殺生物組成物のpH又は殺生物製品のpHは、かなりの範囲にわたって様々であってもよい。好ましくは、本発明の殺生物組成物のpH並びに殺生物製品のpHは、約5.0を超える、約5.5を超える、約6.0を超える、約6.5を超える、約7.0を超える、約7.5を超える、約8.0を超える、約8.5を超える、約9.0を超える、約9.5を超える、又は約10.0を超える。より好ましくは、pHは、約8.0以上及び約10.0以下である。最も好ましくは、pHは約9.0である。特定の実施において、殺生物組成物又は殺生物製品は緩衝剤を含んでもよい。適切な緩衝剤の例は当技術分野において知られている。
【0061】
[0060]本発明の殺生物組成物のpH又は殺生物製品のpHは、シスタミン促進剤の抗菌活性を高めるように選択されてもよい。例えば、シスタミン促進剤の抗菌活性は、例えば、特に約7以上及び約9以下のpHで劇的に向上することが観測される。抗菌活性のそのような向上にもかかわらず、単独のシスタミン促進剤は、殺生物組成物中又は殺生物製品で使用されるシスタミン促進剤の選択される量によっては、細菌及び真菌の増殖に悪影響を与えるのに有効ではないことがある。しかし、シスタミン促進剤の活性は、単独では細菌及び真菌の増殖に悪影響を与えるのに有効とならない量において、少なくとも1つの4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物などの別の殺生物活性化合物をやはり増強し得る。
【0062】
[0001]本開示の別の例となる実施は、細菌及び真菌による汚染にさらされ得る又は汚染が起こりやすい部位において細菌及び真菌の増殖を阻害する方法を含んでもよい。一例として、この方法は、本開示による殺生物組成物を細菌及び真菌の増殖に悪影響を与えるのに有効である量でその部位に組み込むステップを含んでもよい。一般に、この部位は場所若しくは現場、表面、材料、工場、又は設備であってもよい。
【0063】
[0002]前述の説明は本来例示的なものであり、本開示の範囲、適用性、又は構成を限定することは決して意図されない。本開示の範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に対する様々な変更が本明細書に記載の要素の機能及び配置において行われてもよい。
【0064】
[0003]この明細書及び特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明確に指示されない限り複数形を含む。さらに、「含む(includes)」という用語は「含む(comprises)」を意味する。本開示の方法及び組成物は、それらの成分を含み、本明細書に記載の実施形態の必須の要素及び制限、並びに本明細書に記載されるあるいは栄養組成物において有用である任意の追加若しくは任意選択の原料、成分、又は制限を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になっていてもよい。
【0065】
[0004]別段の指定がない限り、本明細書又は特許請求の範囲で使用される、原料の量、特性を表すあらゆる数、例えば分子量、パーセンテージなどは、「約」という用語で修飾されると理解されるべきである。したがって、暗に又は明確に別段の指定がない限り、示される数値パラメーターは、求められる所望の特性、及び/又は標準的試験条件/方法のもとでの検出限界によって決まり得る見積もり値である。実施形態と述べられた先行技術とを直接及び明確に区別する場合、実施形態の数は「約」という語が列挙されない限り見積もり値ではない。
【0066】
[0005]本明細書で使用する、「約」、「およそ」、又は「概ね」という用語は、値を修飾するのに使用される場合、その値が10%上昇又は低下されてもよく、例えば7.5%など、5%など、4%など、3%など、2%など、1%など、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値で上昇又は低下されてもよく、依然として開示される態様の範囲内にとどまることを示す。さらに、「実質的に含まない」という用語は、材料中の物質の量を述べるのに使用される場合、全く又は完全に含まないことに限定されるべきではなく、材料中に認識可能な又は検出可能な量の列挙される物質が存在しないことに相当し得る。したがって、例えば、材料中の物質の量が、材料中の物質の量を測定するための工業的に許容される装置又は試験の精度未満である場合、材料は物質を「実質的に含まない」。特定の例となる実施形態において、材料中の物質の量が材料の10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満である場合、材料は物質を「実質的に含まない」としてよい。
【0067】
[0006]本明細書で使用する、「任意選択の」又は「任意選択により」とは、続いて記載される材料、事象、又は環境が、存在若しくは発生してもよく、又はしなくてもよいこと、その記述が、材料、事象、又は環境が存在若しくは発生する事例と、存在若しくは発生しない事例とを含むことを意味する。本明細書で使用する、「w/w%」及び「wt%」は、総重量のパーセンテージとしての重量又は組成物中の別の成分に対する重量を意味する。
【0068】
[0007]「有効量」という言い回しは、特定の病気若しくは疾患、又は病気若しくは疾患の特定の症状への応答を促進、改善、刺激する、又は働きかける化合物の量を意味する。
【0069】
[0008]図面を参照すると、図1は本開示のいくつかの例となる態様を示す。示されるように、例となる殺生物組成物10は、4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物12及びシスタミン促進剤14を含んでもよい。いくつかの例となる実施において、殺生物組成物10は製品20(例えば、塗料、コーティング、又はキャリア)と組み合わされるか又は製品20に組み込まれて殺生物製品30を生産することができる。殺生物製品30は、有効量の4-イソチアゾリン-3-オン殺生物活性化合物12及び本開示の例となる実施によるシスタミン促進剤14を含んでもよい。
【0070】
[0009]添付の特許請求の範囲により詳細に示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示のこれらの及び他の修正形態及び変形形態は当業者により実施されて得る。さらに、様々な実施形態の態様が全体的に又は部分的の両方で交換されてもよいことが理解されるべきである。さらに、当業者は、前述の説明が単に例としてのものでありかかる添付の特許請求の範囲でさらに説明される本発明を限定することが意図されないことを理解することになる。
図1
【国際調査報告】