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特表2024-510452スイープアウトダイオードを備える低非線形損失シリコン導波路
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】スイープアウトダイオードを備える低非線形損失シリコン導波路
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G02B6/12 363
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555702
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 US2022020658
(87)【国際公開番号】W WO2022197875
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,994
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519011669
【氏名又は名称】アヤー・ラブス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AYAR LABS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キータ・デレク・エム.
(72)【発明者】
【氏名】キーロ・アナトール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルクリセ・ドリエス
(72)【発明者】
【氏名】サプラ・ニール
(72)【発明者】
【氏名】フィ-ニ・ジョン・エム.
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB36
2H147AC01
2H147BA05
2H147DA08
2H147EA13A
2H147EA13B
2H147GA19
(57)【要約】
【解決手段】光導波路は、光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びているコア領域と、コア領域の第1側に沿って形成されている第1クラッド領域と、コア領域の第2側に沿って形成されている第2クラッド領域と、を備える。光導波路は、コア領域、第1クラッド領域、および、第2クラッド領域のそれぞれの部分を各々備える第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを備える。第2ダイオードセグメントは、第1ダイオードセグメントと連続している。第1ダイオードセグメントは、第1真性電界が、第1方向に第1ダイオードセグメントを横切って伸びるように、光導波路を横切って第1ダイオードを形成第2ダイオードセグメントは、第2真性電界が、第1方向と反対向きの第2方向に第2ダイオードセグメントを横切って伸びるように、光導波路を横切って第2ダイオードを形成する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路であって、
前記光導波路を通る光伝搬方向に対応する前記光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びているコア領域と、
前記コア領域の第1側に沿って形成されている第1クラッド領域と、
前記コア領域の第2側に沿って形成されている第2クラッド領域と、
前記光導波路は、前記コア領域、前記第1クラッド領域、および、前記第2クラッド領域のそれぞれの部分を各々備える第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを備え、前記第2ダイオードセグメントは、前記第1ダイオードセグメントと連続しており、
前記第1ダイオードセグメントは、第1真性電界が、前記光導波路の前記長手方向中心線と実質的に垂直な第1方向に前記第1ダイオードセグメントを横切って伸びるように、前記光導波路を横切って第1ダイオードを形成するよう構成され、前記第2ダイオードセグメントは、第2真性電界が、前記第1方向と反対向きの第2方向に前記第2ダイオードセグメントを横切って伸びるように、前記光導波路を横切って第2ダイオードを形成するよう構成され、
前記コア領域の前記第1側の位置で前記第1ダイオードセグメントおよび前記第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている第1導電体と、
前記コア領域の前記第2側の位置で前記第1ダイオードセグメントおよび前記第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている第2導電体と、
を備える、光導波路。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路であって、前記コア領域、前記第1クラッド領域、および、前記第2クラッド領域は、シリコンで形成されている、光導波路。
【請求項3】
請求項2に記載の光導波路であって、前記コア領域、前記第1クラッド領域、および、前記第2クラッド領域は、モノリシック構造として形成されている、光導波路。
【請求項4】
請求項2に記載の光導波路であって、前記第1導電体は、シリサイドの第1領域として形成され、前記第2導電体は、シリサイドの第2領域として形成されている、光導波路。
【請求項5】
請求項1に記載の光導波路であって、前記第1導電体は、前記第1ダイオードセグメントの第1領域および前記第2ダイオードセグメントの第1領域の両方の上に配置されている第1導電構造として形成され、前記第2導電体は、前記第1ダイオードセグメントの第2領域および前記第2ダイオードセグメントの第2領域の両方の上に配置されている第2導電構造として形成されている、光導波路。
【請求項6】
請求項1に記載の光導波路であって、前記第1ダイオードは、第1PINダイオードであり、前記第2ダイオードは、第2PINダイオードである、光導波路。
【請求項7】
請求項6に記載の光導波路であって、前記第1PINダイオードは、前記コア領域に対して前記第1ダイオードセグメント内の前記第1クラッド領域の外側部分に形成されている第1Pドープ領域と、前記コア領域に対して前記第1ダイオードセグメント内の前記第2クラッド領域の外側部分に形成されている第1Nドープ領域と、前記第1Pドープ領域および前記第1Nドープ領域の間に伸びている第1真性領域と、を備え、
前記第2PINダイオードは、前記コア領域に対して前記第2ダイオードセグメント内の前記第2クラッド領域の外側部分に形成されている第2Pドープ領域と、前記コア領域に対して前記第2ダイオードセグメント内の前記第1クラッド領域の外側部分に形成されている第2Nドープ領域と、前記第2Pドープ領域および前記第2Nドープ領域の間に伸びている第2真性領域と、を備える、光導波路。
【請求項8】
請求項7に記載の光導波路であって、前記第1Pドープ領域は、前記第2Nドープ領域と連続しており、前記第1Nドープ領域は、前記第2Pドープ領域と連続している、光導波路。
【請求項9】
請求項7に記載の光導波路であって、前記第1真性領域は、前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域の全部を含み、前記第1真性領域は、前記コア領域に隣接して前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域の全長に沿って伸びている前記第1クラッド領域の第1部分を含み、前記第1真性領域は、前記コア領域に隣接して前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域の前記全長に沿って伸びている前記第2クラッド領域の第1部分を含み、
前記第2真性領域は、前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域の全部を含み、前記第2真性領域は、前記コア領域に隣接して前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域の全長に沿って伸びている前記第1クラッド領域の第2部分を含み、前記第2真性領域は、前記コア領域に隣接して前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域の前記全長に沿って伸びている前記第2クラッド領域の第2部分を含む、光導波路。
【請求項10】
請求項1に記載の光導波路であって、前記第1ダイオードは、第1PNダイオードであり、前記第2ダイオードは、第2PNダイオードである、光導波路。
【請求項11】
請求項10に記載の光導波路であって、前記第1PNダイオードは、前記第1ダイオードセグメント内の前記光導波路の前半部分内に形成されている第1Pドープ領域を備え、前記光導波路の前記前半部分は、前記光導波路の前記長手方向中心線から前記第1方向へ外向きに伸び、前記第1PNダイオードは、前記第1ダイオードセグメント内の前記光導波路の後半部分内に形成されている第1Nドープ領域を備え、前記光導波路の前記後半部分は、前記光導波路の前記長手方向中心線から前記第2方向へ外向きに伸び、第1空乏領域が、前記第1Pドープ領域と前記第1Nドープ領域との間の界面に沿って前記第1ダイオードセグメント内に存在し、
前記第2PNダイオードは、前記第2ダイオードセグメント内の前記光導波路の前記後半部分内に形成されている第2Pドープ領域を備え、前記第2PNダイオードは、前記第2ダイオードセグメント内の前記光導波路の前記前半部分内に形成されている第2Nドープ領域を備え、第2空乏領域が、前記第2Pドープ領域と前記第2Nドープ領域との間の界面に沿って前記第2ダイオードセグメント内に存在する、光導波路。
【請求項12】
請求項11に記載の光導波路であって、前記第1空乏領域は、前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域の全部を含み、前記第2空乏領域は、前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域の全部を含む、光導波路。
【請求項13】
請求項12に記載の光導波路であって、前記第1空乏領域は、前記コア領域に隣接して前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域の全長に沿って伸びている前記第1クラッド領域の第1部分を含み、前記第1空乏領域は、前記コア領域に隣接して前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域の前記全長に沿って伸びている前記第2クラッド領域の第1部分を含み、
前記第2空乏領域は、前記コア領域に隣接して前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域の全長に沿って伸びている前記第1クラッド領域の第2部分を含み、前記第2空乏領域は、前記コア領域に隣接して前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域の前記全長に沿って伸びている前記第2クラッド領域の第2部分を含む、光導波路。
【請求項14】
請求項11に記載の光導波路であって、前記第1Pドープ領域は、前記第2Nドープ領域と連続しており、前記第1Nドープ領域は、前記第2Pドープ領域と連続している、光導波路。
【請求項15】
請求項1に記載の光導波路であって、前記光導波路は、前記光導波路の長さに沿って前記第1ダイオードセグメントおよび前記第2ダイオードセグメントを繰り返し交互に備える、光導波路。
【請求項16】
請求項1に記載の光導波路であって、前記第1クラッド領域は、第1内側クラッド領域および第1外側クラッド領域を含み、前記第1内側クラッド領域は、前記コア領域と前記第1外側クラッド領域との間に伸びており、前記第1外側クラッド領域の厚さは、前記第1内側クラッド領域の厚さよりも厚く、
前記第2クラッド領域は、第2内側クラッド領域および第2外側クラッド領域を含み、前記第2内側クラッド領域は、前記コア領域と前記第2外側クラッド領域との間に伸びており、前記第2外側クラッド領域の厚さは、前記第2内側クラッド領域の厚さよりも厚い、光導波路。
【請求項17】
請求項16に記載の光導波路であって、前記コア領域の厚さは、前記第1内側クラッド領域の厚さよりも厚く、前記コア領域の厚さは、前記第2内側クラッド領域の厚さよりも厚い、光導波路。
【請求項18】
請求項17に記載の光導波路であって、前記第2内側クラッド領域の厚さは、前記第1内側クラッド領域の厚さと実質的に等しく、前記第2外側クラッド領域の厚さは、前記第1外側クラッド領域の厚さと実質的に等しい、光導波路。
【請求項19】
請求項1に記載の光導波路であって、前記第1ダイオードは、前記光導波路の外部の任意の電気回路に接続されておらず、前記第2ダイオードは、前記光導波路の外部の任意の電気回路に接続されていない、光導波路。
【請求項20】
光導波路であって、
前記光導波路を通る光伝搬方向に対応する前記光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びているコア領域と、
前記コア領域の第1側に沿って形成されている第1クラッド領域と、
前記コア領域の第2側に沿って形成されている第2クラッド領域と、
前記光導波路は、Nドープ領域と、Pドープ領域と、前記Nドープ領域および前記Pドープ領域の間に配置されている真性領域と、を備え、前記Nドープ領域は、前記第1クラッド領域内に形成されている第1長手方向部分と、前記第2クラッド領域内に形成されている第2長手方向部分と、前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分および前記第2長手方向部分の間に伸びるよう形成されている短手方向部分と、を備え、前記Pドープ領域は、前記第2クラッド領域内に形成されている第1長手方向部分と、前記第1クラッド領域内に形成されている第2長手方向部分と、前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分および前記第2長手方向部分の間に伸びるよう形成されている短手方向部分と、を備え、
前記第1クラッド領域の上方の位置で、前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分および前記Pドープ領域の前記第2長手方向部分を電気接続するために配置されている第1導電体と、
前記第2クラッド領域の上方の位置で、前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分および前記Nドープ領域の前記第2長手方向部分を電気接続するために配置されている第2導電体と、
を備え、
前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分、前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分、および、前記真性領域は集合的に、前記光導波路を横切るPINダイオードを形成し、前記第1導電体および前記第2導電体は集合的に、真性電界が前記コア領域を横切って前記Nドープ領域から前記Pドープ領域まで伸びるように、前記Nドープ領域と前記Pドープ領域との間の電気ループを閉じている、光導波路。
【請求項21】
請求項20に記載の光導波路であって、前記コア領域、前記第1クラッド領域、および、前記第2クラッド領域は、シリコンで形成されている、光導波路。
【請求項22】
請求項21に記載の光導波路であって、前記コア領域、前記第1クラッド領域、および、前記第2クラッド領域は、モノリシック構造として形成されている、光導波路。
【請求項23】
請求項21に記載の光導波路であって、前記第1導電体は、シリサイドの第1領域として形成され、前記第2導電体は、シリサイドの第2領域として形成されている、光導波路。
【請求項24】
請求項20に記載の光導波路であって、前記第1導電体は、前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分および前記Pドープ領域の前記第2長手方向部分の両方の上に配置されている第1導電構造として形成され、前記第2導電体は、前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分および前記Nドープ領域の前記第2長手方向部分の両方の上に配置されている第2導電構造として形成されている、光導波路。
【請求項25】
請求項20に記載の光導波路であって、前記Nドープ領域の前記短手方向部分は、前記コア領域を横切って伸びており、前記Pドープ領域の前記短手方向部分は、前記コア領域を横切って伸びている、光導波路。
【請求項26】
請求項20に記載の光導波路であって、前記真性領域が、前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分と前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分との間の前記コア領域を含むように、前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分は、前記コア領域に対して前記第1クラッド領域の外側部分に形成され、前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分は、前記コア領域に対して前記第2クラッド領域の外側部分に形成されている、光導波路。
【請求項27】
請求項20に記載の光導波路であって、前記Pドープ領域の前記第2長手方向部分は、前記Nドープ領域の前記第1長手方向部分と連続しており、前記Nドープ領域の前記第2長手方向部分は、前記Pドープ領域の前記第1長手方向部分と連続している、光導波路。
【請求項28】
請求項20に記載の光導波路であって、前記Nドープ領域は、前記光導波路の外部の任意の電気回路に接続されておらず、前記Pドープ領域は、前記光導波路の外部の任意の電気回路に接続されていない、光導波路。
【請求項29】
光導波路内の光損失を低減するための方法であって、
コア領域と、第1クラッド領域と、第2クラッド領域とを備える光導波路を準備し、
前記コア領域は、前記光導波路を通る光伝搬方向に対応する前記光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸び、前記第1クラッド領域は、前記コア領域の第1側に沿って形成され、前記第2クラッド領域は、前記コア領域の第2側に沿って形成され、
前記光導波路は、前記コア領域、前記第1クラッド領域、および、前記第2クラッド領域のそれぞれの部分を各々備える第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを備え、前記第2ダイオードセグメントは、前記第1ダイオードセグメントと連続し、
前記第1ダイオードセグメントは、第1真性電界が、前記光導波路の前記長手方向中心線と実質的に垂直な第1方向に前記第1ダイオードセグメントを横切って伸びるように、前記光導波路を横切って第1ダイオードを形成するよう構成され、前記第2ダイオードセグメントは、第2真性電界が、前記第1方向と反対向きの第2方向に前記第2ダイオードセグメントを横切って伸びるように、前記光導波路を横切って第2ダイオードを形成するよう構成され、
前記光導波路は、前記コア領域の前記第1側の位置で前記第1ダイオードセグメントおよび前記第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている第1導電体を備え、前記光導波路は、前記コア領域の前記第2側の位置で前記第1ダイオードセグメントおよび前記第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている第2導電体を備え、
光の一部が前記コア領域内で自由キャリアを生成するように、前記光導波路の前記コア領域を通して前記光を伝達することを備え、前記生成された自由キャリアは、前記第1真性電界によって前記光導波路の前記第1ダイオードセグメント内の前記コア領域からスイープアウトされ、前記生成された自由キャリアは、前記第2真性電界によって前記光導波路の前記第2ダイオードセグメント内の前記コア領域からスイープアウトされる、方法。
【請求項30】
光伝達デバイスを製造するための方法であって、
コア領域と、第1クラッド領域と、第2クラッド領域とを備える光導波路を形成し、前記コア領域は、前記光導波路を通る光伝搬方向に対応する前記光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸び、前記第1クラッド領域は、前記コア領域の第1側に沿って形成され、前記第2クラッド領域は、前記コア領域の第2側に沿って形成され、
前記光導波路の第1ダイオードセグメント内に第1ダイオードを形成し、前記第1ダイオードセグメントは、前記コア領域の第1部分と、前記第1クラッド領域の第1部分と、前記第2クラッド領域の第1部分と、を備え、前記第1ダイオードは、第1真性電界が、前記光導波路の前記長手方向中心線と実質的に垂直な第1方向に前記コア領域の前記第1部分を通して伸びるように、前記第1クラッド領域の前記第1部分内に形成されているNドープ領域と、前記第2クラッド領域の前記第1部分内に形成されているPドープ領域と、を備え、
前記光導波路の第2ダイオードセグメント内に第2ダイオードを形成し、前記第2ダイオードセグメントは、前記コア領域の第2部分と、前記第1クラッド領域の第2部分と、前記第2クラッド領域の第2部分と、を備え、前記第2ダイオードは、第2真性電界が、前記第1方向と反対向きの第2方向に前記コア領域の前記第2部分を通して伸びるように、前記第1クラッド領域の前記第2部分内に形成されているPドープ領域と、前記第2クラッド領域の前記第2部分内に形成されているNドープ領域と、を備え、
前記第1ダイオードの前記Nドープ領域を前記第2ダイオードの前記Pドープ領域へ電気接続し、
前記第1ダイオードの前記Pドープ領域を前記第2ダイオードの前記Nドープ領域へ電気接続すること、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
【技術分野】
【0002】
開示されている実施形態は、光データ通信に関する。
【0003】
【関連技術】
【0004】
光データ通信システムは、デジタルデータパターンを符号化するためにレーザ光を変調することによって動作する。変調レーザ光は、光データネットワークを通して送信ノードから受信ノードへ送信される。受信ノードに到達した変調レーザ光は、元のデジタルデータパターンを取得するために復調される。したがって、光データ通信システムの実装および動作は、光信号の伝達、光信号の変調、および、光信号の受信のための信頼性の高い効率的なデバイスを有することに依存する。開示されている実施形態は、この文脈で生まれたものである。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態例において、光導波路が開示されている。光導波路は、光導波路を通る光伝搬方向に対応する光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びているコア領域を備える。光導波路は、さらに、コア領域の第1側に沿って形成されている第1クラッド領域を備える。光導波路は、さらに、コア領域の第2側に沿って形成されている第2クラッド領域を備える。光導波路は、コア領域、第1クラッド領域、および、第2クラッド領域のそれぞれの部分を各々備える第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを備える。第2ダイオードセグメントは、第1ダイオードセグメントと連続している。第1ダイオードセグメントは、第1真性電界が、光導波路の長手方向中心線と実質的に垂直な第1方向に第1ダイオードセグメントを横切って伸びるように、光導波路を横切って第1ダイオードを形成するよう構成されている。第2ダイオードセグメントは、第2真性電界が、第1方向と反対向きの第2方向に第2ダイオードセグメントを横切って伸びるように、光導波路を横切って第2ダイオードを形成するよう構成されている。第1導電体が、コア領域の第1側の位置で第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている。第2導電体が、コア領域の第2側の位置で第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている。
【0006】
一実施形態例において、光導波路が開示されている。光導波路は、光導波路を通る光伝搬方向に対応する光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びているコア領域を備える。光導波路は、さらに、コア領域の第1側に沿って形成されている第1クラッド領域を備える。光導波路は、さらに、コア領域の第2側に沿って形成されている第2クラッド領域を備える。光導波路は、Nドープ領域と、Pドープ領域と、Nドープ領域およびPドープ領域の間に配置されている真性領域と、を備える。Nドープ領域は、第1クラッド領域内に形成されている第1長手方向部分と、第2クラッド領域内に形成されている第2長手方向部分と、Nドープ領域の第1長手方向部分および第2長手方向部分の間に伸びるよう形成されている短手方向部分と、を備える。Pドープ領域は、第2クラッド領域内に形成されている第1長手方向部分と、第1クラッド領域内に形成されている第2長手方向部分と、Pドープ領域の第1長手方向部分および第2長手方向部分の間に伸びるよう形成されている短手方向部分と、を備える。第1導体が、第1クラッド領域の上方の位置で、Nドープ領域の第1長手方向部分およびPドープ領域の第2長手方向部分を電気接続するために配置されている。第2導電体が、第2クラッド領域の上方の位置で、Pドープ領域の第1長手方向部分およびNドープ領域の第2長手方向部分を電気接続するために配置されている。Nドープ領域の第1長手方向部分、Pドープ領域の第1長手方向部分、および、真性領域は集合的に、光導波路を横切るPINダイオードを形成している。第1導電体および第2導電体は集合的に、真性電界がコア領域を横切ってNドープ領域からPドープ領域まで伸びるように、Nドープ領域とPドープ領域との間の電気ループを閉じている。
【0007】
一実施形態例において、光導波路内の光損失を低減するための方法が開示されている。方法は、コア領域と、第1クラッド領域と、第2クラッド領域とを備える光導波路を準備することを備える。コア領域は、光導波路を通る光伝搬方向に対応する光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びている。第1クラッド領域は、コア領域の第1側に沿って形成されている。第2クラッド領域は、コア領域の第2側に沿って形成されている。光導波路は、コア領域、第1クラッド領域、および、第2クラッド領域のそれぞれの部分を各々備える第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを備える。第2ダイオードセグメントは、第1ダイオードセグメントと連続している。第1ダイオードセグメントは、第1真性電界が、光導波路の長手方向中心線と実質的に垂直な第1方向に第1ダイオードセグメントを横切って伸びるように、光導波路を横切って第1ダイオードを形成するよう構成されている。第2ダイオードセグメントは、第2真性電界が、第1方向と反対向きの第2方向に第2ダイオードセグメントを横切って伸びるように、光導波路を横切って第2ダイオードを形成するよう構成されている。光導波路は、さらに、コア領域の第1側の位置で第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている第1導電体を備える。光導波路は、さらに、コア領域の第2側の位置で第1ダイオードセグメントおよび第2ダイオードセグメントを電気接続するように配置されている第2導電体を備える。方法は、さらに、光の一部がコア領域内で自由キャリアを生成するように、光導波路のコア領域を通して光を伝達することを備え、生成された自由キャリアは、第1真性電界によって光導波路の第1ダイオードセグメント内のコア領域からスイープアウトされ、生成された自由キャリアは、第2真性電界によって光導波路の第2ダイオードセグメント内のコア領域からスイープアウトされる。
【0008】
一実施形態例において、光伝達デバイスを製造するための方法が開示されている。方法は、コア領域と、第1クラッド領域と、第2クラッド領域とを備える光導波路を形成することを備える。コア領域は、光導波路を通る光伝搬方向に対応する光導波路の長手方向中心線に実質的に沿って伸びている。第1クラッド領域は、コア領域の第1側に沿って形成される。第2クラッド領域は、コア領域の第2側に沿って形成される。方法は、さらに、光導波路の第1ダイオードセグメント内に第1ダイオードを形成することを備える。第1ダイオードセグメントは、コア領域の第1部分と、第1クラッド領域の第1部分と、第2クラッド領域の第1部分と、を備える。第1ダイオードは、第1真性電界が、光導波路の長手方向中心線と実質的に垂直な第1方向にコア領域の第1部分を通して伸びるように、第1クラッド領域の第1部分内に形成されているNドープ領域と、第2クラッド領域の第1部分内に形成されているPドープ領域と、を備える。方法は、さらに、光導波路の第2ダイオードセグメント内に第2ダイオードを形成することを備える。第2ダイオードセグメントは、コア領域の第2部分と、第1クラッド領域の第2部分と、第2クラッド領域の第2部分と、を備える。第2ダイオードは、第2真性電界が、第1方向と反対向きの第2方向にコア領域の第2部分を通して伸びるように、第1クラッド領域の第2部分内に形成されているPドープ領域と、第2クラッド領域の第2部分内に形成されているNドープ領域と、を備える。方法は、さらに、第1ダイオードのNドープ領域を第2ダイオードのPドープ領域へ電気接続することを備える。方法は、さらに、第1ダイオードのPドープ領域を第2ダイオードのNドープ領域へ電気接続することを備える。
【0009】
開示されている実施形態のその他の態様および利点については、開示されている実施形態を例示した添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】いくつかの実施形態に従って、光導波路を示す上面図。
【0011】
図1B】いくつかの実施形態に従って、図1Aの矢視線A-Aにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0012】
図2A】いくつかの実施形態に従って、光導波路を示す上面図。
【0013】
図2B】いくつかの実施形態に従って、図2Aの矢視線A-Aにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0014】
図2C】いくつかの実施形態に従って、図2Aの矢視線B-Bにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0015】
図2D】いくつかの実施形態に従って、自由キャリア(電子(e)およびホール(h))が、第1ダイオードセグメント、第2ダイオードセグメント、第3ダイオードセグメント、および、第4ダイオードセグメントのダイオードによってコア領域から引っ張られ/スイープアウトされる様子と共に、図2Aの光導波路を示す上面図。
【0016】
図2E】いくつかの実施形態に従って、光導波路の湾曲部分を示す図。
【0017】
図2F】いくつかの実施形態に従って、図2Eの矢視線C-Cにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0018】
図2G】いくつかの実施形態に従って、コア領域内での一次光モードと、第2外側クラッド領域の様々な幅に対する第2外側クラッド領域内での一次光モードとについての光導波路の長手方向中心線の曲率半径の関数として、光学角度伝搬定数のプロットを示す図。
【0019】
図3】いくつかの実施形態に従って、真性領域の幅が変更されている図2A図2Fの光導波路の様々な実施形態について、異なる光パワーでのコア領域における自由キャリア増大のシミュレーション結果を示す図。
【0020】
図4A】いくつかの実施形態に従って、光導波路を示す上面図。
【0021】
図4B】いくつかの実施形態に従って、図4Aの矢視線A-Aにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0022】
図4C】いくつかの実施形態に従って、図4Aの矢視線B-Bにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0023】
図4D】いくつかの実施形態に従って、自由キャリア(電子(e)およびホール(h))が、第1ダイオードセグメント、第2ダイオードセグメント、第3ダイオードセグメント、および、第4ダイオードセグメントのダイオードによってコア領域から引っ張られ/スイープアウトされる様子と共に、図4Aの光導波路を示す上面図。
【0024】
図5A】いくつかの実施形態に従って、光導波路を示す上面図。
【0025】
図5B】いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線A-Aにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0026】
図5C】いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線B-Bにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0027】
図5D】いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線C-Cにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0028】
図5E】いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線D-Dにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0029】
図5F】いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線E-Eにおける光導波路を示す垂直断面図。
【0030】
図5G】いくつかの実施形態に従って、自由キャリア(電子(e)およびホール(h))が、ダイオードセグメントによってコア領域から引っ張られ/スイープアウトされる様子と共に、図5Aの光導波路を示す上面図。
【0031】
図6】いくつかの実施形態に従って、光導波路内の光損失を低減するための方法を示すフローチャート。
【0032】
図7】いくつかの実施形態に従って、光伝達デバイスを製造するための方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、開示されている実施形態を理解できるように、多くの具体的な詳細事項について説明する。ただし、当業者にとって明らかなように、開示されている実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部または全部がなくとも実施可能である。また、開示されている実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略している。
【0034】
シリコンのバンドギャップエネルギは、テレコム周波数では光子よりも大きいので、シリコン光導波路の光学(光)吸収損失は、典型的には無視できるほどである。しかしながら、2つの光子のエネルギは、シリコンのバンドギャップエネルギを超え、シリコン光導波路における二光子吸収(TPA)として知られるものを引き起こしうる。2つの光子がシリコン光導波路内で吸収される可能性は、シリコン光導波路を通して伝搬する光の強度に伴って二次関数的に増大する。したがって、シリコン光導波路におけるTPAは、二次光吸収効果であり、より高い光パワーで顕著である。TPAは、さらなる光学損失項を導入するが、シリコン光導波路における自由キャリア密度生成の増大は、より高い光パワーでシリコン光導波路における線形光損失へのさらに重要な寄与因子となりうる。シリコン光導波路内で生成された自由キャリア(電子およびホール)は、高い自由キャリア光吸収損失を生む。自由キャリア光吸収光損失は、二次過程によって生み出される線形損失であるため、三次効果である。TPAおよび自由キャリア光吸収に起因する光導波路での光吸収損失は、式1で表され、ここで、Iは、光強度であり、zは、光導波路に沿った光伝搬距離であり、α’は、光導波路内の自由キャリアに起因する線形光損失係数であり、τは、光導波路内の自由キャリア寿命であり、β’は、TPA係数である。
【0035】
式1 (I/z)=-α’・τ・β’I
【0036】
光導波路内の自由キャリア寿命τは、主要パラメータであり、これは、様々な方法で短縮されうる。例えば、いくつかの実施形態において、光導波路の加工は、シリコンにおける自由キャリアの再結合速度を増大させ、それに応じてシリコン光導波路内の自由キャリア寿命τを短縮するように、調整される。いくつかの実施形態において、自由キャリアは、電界によって光導波路から除去される。より具体的には、電界が、光導波路にわたって形成され、この電界は、一次光モードが伝搬する光導波路のコア領域から、荷電した自由キャリア(電子およびホール)を引き離すため、その結果、荷電した自由キャリアは、コア領域内で光吸収損失を引き起こしえない。このプロセスは、キャリアスイープアウトとして知られており、自由キャリア濃度に対応する光損失(上述した三次光吸収損失など)を大幅に低減できる。いくつかの実施形態において、逆バイアスモードで動作されるダイオードが、キャリアスイープアウトのために光導波路にわたって電界を生成するために用いられる。
【0037】
図1Aは、いくつかの実施形態に従って、光導波路100を示す上面図である。図1Bは、いくつかの実施形態に従って、図1Aの矢視線A-Aにおける光導波路100を示す垂直断面図である。いくつかの実施形態において、光導波路100は、シリコンで形成されている。いくつかの実施形態において、光導波路100は、光導波路100を形成するために用いられた材料とは異なる光屈折率を有する1または複数の材料によって取り囲まれている。例えば、いくつかの実施形態において、光導波路100は、シリコンで形成され、二酸化シリコンによって取り囲まれている。様々な実施形態において、シリコンで形成されている光導波路100が、シリコンとは異なる光屈折率を有する基本的に任意の光クラッド材料によって取り囲まれうることを理解されたい。
【0038】
光導波路100は、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104を備える。いくつかの実施形態において、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104は、モノリシック構造のそれぞれの部分として形成されている。コア領域103は、光導波路100の幅101の方向において、第1クラッド領域102と第2クラッド領域104との間に形成されている。コア領域103は、光導波路100の長手方向中心線106に実質的に沿って伸びている。光導波路100の長手方向中心線106は、光導波路100を通る光伝搬方向149に対応する。いくつかの実施形態において、第1クラッド領域102は、第1内側クラッド領域105および第1外側クラッド領域109を含む。第1内側クラッド領域105は、コア領域103と第1外側クラッド領域109との間に伸びている。いくつかの実施形態において、第1外側クラッド領域109の厚さ113は、第1内側クラッド領域105の厚さ115よりも厚い。
【0039】
いくつかの実施形態において、第2クラッド領域104は、第2内側クラッド領域107および第2外側クラッド領域111を含む。第2内側クラッド領域107は、コア領域103と第2外側クラッド領域111との間に伸びている。いくつかの実施形態において、第2外側クラッド領域111の厚さ117は、第2内側クラッド領域107の厚さ119よりも厚い。いくつかの実施形態において、コア領域103の厚さ121は、第1内側クラッド領域105の厚さ115よりも厚い。また、いくつかの実施形態において、コア領域103の厚さ121は、第2内側クラッド領域107の厚さ119よりも厚い。いくつかの実施形態において、第2内側クラッド領域107の厚さ119は、第1内側クラッド領域105の厚さ115と実質的に等しい。いくつかの実施形態において、第2外側クラッド領域111の厚さ117は、第1外側クラッド領域109の厚さ113と実質的に等しい。いくつかの実施形態において、光導波路100は、第1内側クラッド領域105の厚さ115および第2内側クラッド領域107の厚さ119が小さくなっていることから、リブ型導波路と呼ばれる。
【0040】
光は、光伝搬方向149に光導波路100のコア領域103を通過する。より高い光パワーレベルで、コア領域103を通過する光は、TPAを引き起こし、TPAは、コア領域103内で自由キャリア(電子(e)およびホール(h))を生成する。次に、コア領域103で生成された自由キャリアは、コア領域103を通過する光の自由キャリア光吸収を引き起こし、これは、光導波路100内での高い光損失につながる。したがって、コア領域103を通過する光の自由キャリア光吸収を低減するために、TPAによって生成された自由キャリアをコア領域103から除去することに関心がある。コア領域103を通過する光の自由キャリア光吸収を低減する目的で、コア領域103内から自由キャリアを引っ張る/スイープアウトするよう機能する真性電界をコア領域103にわたって生成するために、光導波路100を改良するための様々な実施形態が、本明細書で開示されている。
【0041】
図2Aは、いくつかの実施形態に従って、光導波路200を示す上面図である。図2Bは、いくつかの実施形態に従って、図2Aの矢視線A-Aにおける光導波路200を示す垂直断面図である。図2Cは、いくつかの実施形態に従って、図2Aの矢視線B-Bにおける光導波路200を示す垂直断面図である。光導波路200は、光導波路100の改良例である。光導波路200は、図1A図1Bに関して上述したように、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104を備える。第1クラッド領域102は、コア領域103の第1側に沿って形成されている。第2クラッド領域104は、コア領域103の第2側に沿って形成されている。光導波路200は、第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244を備える。第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244の各々は、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104のそれぞれの部分を含む。いくつかの実施形態において、第2ダイオードセグメント242は、第1ダイオードセグメント241および第3ダイオードセグメント243の両方と隣接しており、第4ダイオードセグメント244は、第3ダイオードセグメント243と隣接している。説明を簡単にするために、図2Aは、光導波路200の一部を図示していることを理解されたい。第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244の構成のパターンは、光導波路200の長さに沿って続いている。したがって、様々な実施形態において、光導波路200は、4つのダイオードセグメント241、242、243、および、244だけではなく、それより多くのセグメントを備える。
【0042】
第1ダイオードセグメント241は、第1真性電界E1が、光導波路200の長手方向中心線106と実質的に垂直な第1方向251に第1ダイオードセグメント241を横切って伸びるように、光導波路200を横切って第1ダイオードを形成するよう構成されている。第2ダイオードセグメント242は、第2真性電界E2が、第1方向251と反対向きの第2方向252に第2ダイオードセグメント242を横切って伸びるように、光導波路200を横切って第2ダイオードを形成するよう構成されている。第3ダイオードセグメント243は、第3真性電界E3が、第2方向252と反対向きの第3方向253に第3ダイオードセグメント243を横切って伸びるように、光導波路200を横切って第3ダイオードを形成するよう構成されている。第4ダイオードセグメント244は、第4真性電界E4が、第3方向253と反対向きの第4方向254に第4ダイオードセグメント244を横切って伸びるように、光導波路200を横切って第4ダイオードを形成するよう構成されている。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1導電体229が、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で第1ダイオードセグメント241および第2ダイオードセグメント242を電気接続するように配置されている。また、いくつかの実施形態において、第2導電体231が、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で第1ダイオードセグメント241および第2ダイオードセグメント242を電気接続するように配置されている。いくつかの実施形態において、第1導電体229は、シリサイドの領域として形成され、第2導電体231は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体229は、第1ダイオードセグメント241の領域および第2ダイオードセグメント242の領域の両方の上に配置された導電構造として形成され、第2導電体231は、第1ダイオードセグメント241の領域および第2ダイオードセグメント242の領域の両方の上に配置された導電構造として形成されている。
【0044】
いくつかの実施形態において、第3導電体233が、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で第2ダイオードセグメント242および第3ダイオードセグメント243を電気接続するように配置されている。また、いくつかの実施形態において、第4導電体235が、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で第2ダイオードセグメント242および第3ダイオードセグメント243を電気接続するように配置されている。いくつかの実施形態において、第3導電体233は、シリサイドの領域として形成され、第4導電体235は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第3導電体233は、第2ダイオードセグメント242の領域および第3ダイオードセグメント243の領域の両方の上に配置された導電構造として形成され、第4導電体235は、第2ダイオードセグメント242の領域および第3ダイオードセグメント243の領域の両方の上に配置された導電構造として形成されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、第5導電体237が、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で第3ダイオードセグメント243および第4ダイオードセグメント244を電気接続するように配置されている。また、いくつかの実施形態において、第6導電体239が、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で第3ダイオードセグメント243および第4ダイオードセグメント244を電気接続するように配置されている。いくつかの実施形態において、第5導電体237は、シリサイドの領域として形成され、第6導電体239は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第5導電体237は、第3ダイオードセグメント243の領域および第4ダイオードセグメント244の領域の両方の上に配置された導電構造として形成され、第6導電体239は、第3ダイオードセグメント243の領域および第4ダイオードセグメント244の領域の両方の上に配置された導電構造として形成されている。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1導電体229、第3導電体233、および、第5導電体237は、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で、第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244にわたって連続的に伸びている共通導電体のそれぞれの部分として形成されている。いくつかの実施形態において、第2導電体231、第4導電体235、および、第6導電体239は、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で、第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244にわたって連続的に伸びている別の共通導電体のそれぞれの部分として形成されている。
【0047】
第1ダイオードセグメント241の第1ダイオードは、光導波路200を横切る第1PINダイオードとして構成されている。第1ダイオードセグメント241は、第1クラッド領域102の外側部分に形成されているNドープ領域213と、第2クラッド領域104の外側部分に形成されているPドープ領域215と、Nドープ領域213およびPドープ領域215の間の真性領域214と、を備える。Nドープ領域213およびPドープ領域215によって提供される第1ダイオードセグメント241の第1ダイオードのビルトイン電圧は、第1ダイオードセグメント241を横切り、特に、第1ダイオードセグメント241内のコア領域103を横切る第1真性電界E1を確立する。いくつかの実施形態において、真性領域214は、第1ダイオードセグメント241内のコア領域103の全部、第1ダイオードセグメント241内の第1クラッド領域102の一部、および、第1ダイオードセグメント241内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第1真性電界E1が高い真性領域214に存在することを理解されたい。真性領域214の幅は、光導波路200内でのNドープ領域213およびPドープ領域215の重なりを避けるために、十分に広く作られている。Nドープ領域213、Pドープ領域215、および、真性領域214は、第1ダイオードセグメント241内のコア領域103の全長に沿って伸びている。
【0048】
第2ダイオードセグメント242の第2ダイオードは、光導波路200を横切る第2PINダイオードとして構成されている。第2ダイオードセグメント242は、第1クラッド領域102の外側部分に形成されているPドープ領域217と、第2クラッド領域104の外側部分に形成されているNドープ領域219と、Pドープ領域217およびNドープ領域219の間の真性領域218と、を備える。Pドープ領域217およびNドープ領域219によって提供される第2ダイオードセグメント242の第2ダイオードのビルトイン電圧は、第2ダイオードセグメント242を横切り、特に、第2ダイオードセグメント242内のコア領域103を横切る第2真性電界E2を確立する。いくつかの実施形態において、真性領域218は、第2ダイオードセグメント242内のコア領域103の全部、第2ダイオードセグメント242内の第1クラッド領域102の一部、および、第2ダイオードセグメント242内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第2真性電界E2が高い真性領域218に存在することを理解されたい。真性領域218の幅は、光導波路200内でのPドープ領域217およびNドープ領域219の重なりを避けるために、十分に広く作られている。Pドープ領域217、Nドープ領域219、および、真性領域218は、第2ダイオードセグメント242内のコア領域103の全長に沿って伸びている。第2ダイオードセグメント242の第2ダイオードは、方向252および251によって示されるように、第2真性電界E2が第1真性電界E1に対して逆の方向性を有するように、第1ダイオードセグメント241の第1ダイオードに対して逆の方向性を有することを理解されたい。
【0049】
第3ダイオードセグメント243の第3ダイオードは、光導波路200を横切る第3PINダイオードとして構成されている。第3ダイオードセグメント243は、第1クラッド領域102の外側部分に形成されているNドープ領域221と、第2クラッド領域104の外側部分に形成されているPドープ領域223と、Nドープ領域221およびPドープ領域223の間の真性領域222と、を備える。Nドープ領域221およびPドープ領域223によって提供される第3ダイオードセグメント243の第3ダイオードのビルトイン電圧は、第3ダイオードセグメント243を横切り、特に、第3ダイオードセグメント243内のコア領域103を横切る第3真性電界E3を確立する。いくつかの実施形態において、真性領域222は、第3ダイオードセグメント243内のコア領域103の全部、第3ダイオードセグメント243内の第1クラッド領域102の一部、および、第3ダイオードセグメント243内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第3真性電界E3が高い真性領域222に存在することを理解されたい。真性領域222の幅は、光導波路200内でのNドープ領域221およびPドープ領域223の重なりを避けるために、十分に広く作られている。Nドープ領域221、Pドープ領域223、および、真性領域222は、第3ダイオードセグメント243内のコア領域103の全長に沿って伸びている。第3ダイオードセグメント243の第3ダイオードは、方向253および252によって示されるように、第3真性電界E3が第2真性電界E2に対して逆の方向性を有するように、第2ダイオードセグメント242の第2ダイオードに対して逆の方向性を有することを理解されたい。
【0050】
第4ダイオードセグメント244の第4ダイオードは、光導波路200を横切る第4PINダイオードとして構成されている。第4セグメント244は、第1クラッド領域102の外側部分に形成されているPドープ領域225と、第2クラッド領域104の外側部分に形成されているNドープ領域227と、Pドープ領域225およびNドープ領域227の間の真性領域226と、を備える。Pドープ領域225およびNドープ領域227によって提供される第4ダイオードセグメント244の第4ダイオードのビルトイン電圧は、第4ダイオードセグメント244を横切り、特に、第4ダイオードセグメント244内のコア領域103を横切る第4真性電界E4を確立する。いくつかの実施形態において、真性領域226は、第4ダイオードセグメント244内のコア領域103の全部、第4ダイオードセグメント244内の第1クラッド領域102の一部、および、第4ダイオードセグメント244内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第4真性電界E4が高い真性領域226に存在することを理解されたい。真性領域226の幅は、光導波路200内でのPドープ領域225およびNドープ領域227の重なりを避けるために、十分に広く作られている。Pドープ領域225、Nドープ領域227、および、真性領域226は、第4ダイオードセグメント244内のコア領域103の全長に沿って伸びている。第4ダイオードセグメント244の第4ダイオードは、方向254および253によって示されるように、第4真性電界E4が第3真性電界E3に対して逆の方向性を有するように、第3ダイオードセグメント243の第3ダイオードに対して逆の方向性を有することを理解されたい。
【0051】
第1ダイオードセグメント241および第3ダイオードセグメント243は、同じように構成されていることを理解されたい。また、第2ダイオードセグメント242および第4ダイオードセグメント244は、同じように構成されている。このように、第1ダイオードセグメント241および第2ダイオードセグメント242の構成は、図2Aに明示的には示されていない光導波路200の長さに沿うなど、光導波路200の長さに沿って、連続的に繰り返される。したがって、光導波路200は、光導波路200の長さに沿って第1ダイオードセグメント241および第2ダイオードセグメント242を繰り返し備える。第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244が、説明の目的で図2Aに示されているが、光導波路200は、交互の方向を有する4つのダイオードセグメントに限定されないことを理解されたい。様々な実施形態において、光導波路200は、光導波路200の長さに沿って交互に繰り返されている第1ダイオードセグメント241の構成および第2ダイオードセグメント242の構成を多くの数備える。いくつかの実施形態において、交互の方向性を有する隣接するダイオードセグメント(241/242、242/243、243/244、など)は、光導波路200の長手方向で互いに連続している。例えば、第2ダイオードセグメント242は、Pドープ領域217がNドープ領域213と連続し、Nドープ領域219がPドープ領域215と連続するように、光導波路200の長手方向で第1ダイオードセグメント241と連続している。また、第3ダイオードセグメント243は、Nドープ領域221がPドープ領域217と連続し、Pドープ領域223がNドープ領域219と連続するように、光導波路200の長手方向で第2ダイオードセグメント242と連続している。また、第4ダイオードセグメント244は、Pドープ領域225がNドープ領域221と連続し、Nドープ領域227がPドープ領域223と連続するように、光導波路200の長手方向で第3ダイオードセグメント243と連続している。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1導電体229、第2導電体231、第3導電体233、第4導電体235、第5導電体237、および、第6導電体239の各々は、シリコン内に低抵抗電気接点を形成するために用いられる材料から形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体229、第2導電体231、第3導電体233、第4導電体235、第5導電体237、および、第6導電体239の各々は、光導波路200の実質的に外側に形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体229、第2導電体231、第3導電体233、第4導電体235、第5導電体237、および、第6導電体239の各々は、それが電気接続されているドープ領域の各々と実質的に重なるように形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体229、第3導電体233、および、第5導電体237は、Nドープ領域213、Pドープ領域217、Nドープ領域221、および、Pドープ領域225の上で連続的に伸びているシリサイドの層に置き換えられる。同様に、いくつかの実施形態において、第2導電体231、第4導電体235、および、第6導電体239は、Pドープ領域215、Nドープ領域219、Pドープ領域223、および、Nドープ領域227の上で連続的に伸びているシリサイドの層に置き換えられる。
【0053】
図2Dは、いくつかの実施形態に従って、自由キャリア(電子(e)およびホール(h))が、第1ダイオードセグメント241、第2ダイオードセグメント242、第3ダイオードセグメント243、および、第4ダイオードセグメント244のダイオードによってコア領域103から引っ張られ/スイープアウトされる様子と共に、図2Aの光導波路200を示す上面図である。第1ダイオードセグメント241における第1真性電界E1は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域213へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域215へ引っ張る。第2ダイオードセグメント242における第2真性電界E2は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域219へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域217へ引っ張る。第3ダイオードセグメント243における第3真性電界E3は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域221へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域223へ引っ張る。第4ダイオードセグメント244における第4真性電界E4は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域227へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域225へ引っ張る。第1導電体229および第2導電体231は、第1ダイオードセグメント241と第2ダイオードセグメント242との間の電気回路の完成を容易にする。第2導電体233および第3導電体235は、第2ダイオードセグメント242と第3ダイオードセグメント243との間の電気回路の完成を容易にする。第5導電体237および第6導電体239は、第3ダイオードセグメント243と第4ダイオードセグメント244との間の電気回路の完成を容易にする。
【0054】
光導波路200を横切る真性電界E1~E4は、TPAによってコア領域103内で生成された自由キャリアをスイープアウトする。これらの自由キャリアをコア領域103から除去することにより、コア領域103内の自由キャリア濃度は低いままになり、これは、自由キャリア吸収に起因するコア領域103内での光損失を最小化する。第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント241、242、243、244の(光導波路200の長手方向中心線106と垂直な)方向性は、コア領域103からの自由キャリアスイープアウトによって生成される電流ループを閉じるために交互になっている。第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント241、242、243、244の内の隣接するセグメントの方向性を交互にしなければ、コア領域103からTPAで生じた自由キャリアのスイープアウトによって生成された電流は、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント241、242、243、244のビルトイン電圧を弱め、それに対応して、コア領域103からの自由キャリアスイープアウトを停止/妨害する電荷蓄積を光導波路200の両側で生み出すことを理解されたい。したがって、光導波路200の長さに沿って、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント241、242、243、244の方向性を交互にすることにより、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント241、242、243、244の内の所与の1つにおいて自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、隣接するダイオードセグメントにおいて生成される電流によってバランスが取られる。
【0055】
例えば、図2Dの例において、第1ダイオードセグメント241において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第2ダイオードセグメント242において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。第1導電体229および第2導電体231は、第1ダイオードセグメント241と第2ダイオードセグメント242との間で電流のバランスを取るのを容易にする。また、第2ダイオードセグメント242において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第1ダイオードセグメント241および第3ダイオードセグメント243において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。第3導電体233および第4導電体235は、第2ダイオードセグメント242と第3ダイオードセグメント243との間で電流のバランスを取ることを容易にする。また、第3ダイオードセグメント243において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第2ダイオードセグメント242および第4ダイオードセグメント244において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。第5導電体237および第6導電体239は、第3ダイオードセグメント243と第4ダイオードセグメント244との間の電流のバランスを取るのを容易にする。また、第4ダイオードセグメント244において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第3ダイオードセグメント243において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。
【0056】
図2Eは、いくつかの実施形態に従って、光導波路200の湾曲部分を示す。図2Fは、いくつかの実施形態に従って、図2Eの矢視線C-Cにおける光導波路200を示す垂直断面図である。いくつかの実施形態において、光導波路200の湾曲部分は、全厚121のコア領域103と、部分厚115の第1内側クラッド領域105、部分厚119の第2内側クラッド領域107と、全厚113の第1外側クラッド領域109と、全厚117の第2外側クラッド領域111と、を有する。あるいは、光導波路200の湾曲部分のいくつかの実施形態において、第1外側クラッド領域109の厚さ113は、第1内側クラッド領域105の部分厚115と実質的に等しい。また、光導波路200の湾曲部分のいくつかの実施形態において、第2外側クラッド領域111の厚さ117は、第2内側クラッド領域107の部分厚119と実質的に等しい。
【0057】
図2Eの例は、ダイオードセグメント261~267を示している。光導波路200を横切るダイオードセグメント261~267の方向性は、光導波路200の湾曲部分に沿って交互になっている。いくつかの実施形態において、光導波路200の長手方向中心線106は、点290を中心とした曲率半径291を有する。このように、光導波路200の湾曲部分の内側298は、光導波路200の長手方向中心線106に沿った所与の位置において、光導波路200の湾曲部分の対応する外側299よりも小さい曲率半径を点290に関して有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、連続導電体295が、光導波路200の湾曲部分の内側298に沿って第1外側クラッド領域109上に形成されている。また、いくつかの実施形態において、連続導電体296が、光導波路200の湾曲部分の外側299に沿って第2外側クラッド領域111上に形成されている。いくつかの実施形態において、連続導電体295および296は、それぞれのシリサイド領域として形成されている。いくつかの実施形態において、連続導電体295および296は、光導波路200と電気接触して配置されたそれぞれの導電構造として形成されている。いくつかの実施形態において、連続導電体295および296を有するのではなく、光導波路200の湾曲部分は、導電体229、231、233、235、237、および、239に関して上述したものなど、光導波路200の隣接するNドープ領域およびPドープ領域を接続するようにそれぞれ配置された個別の導電体を有するよう形成される。
【0059】
ダイオードセグメント261は、Nドープ領域271と、Pドープ領域273と、Nドープ領域271およびPドープ領域273の間に伸びている真性領域272と、を備える。ダイオードセグメント261は、Nドープ領域271からPドープ領域273までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E5を有する。ダイオードセグメント261は、Nドープ領域271がPドープ領域225と連続し、Pドープ領域273がNドープ領域227と連続し、真性領域272が真性領域226と連続するように、ダイオードセグメント244と連続している。
【0060】
次のダイオードセグメント262は、Pドープ領域274と、Nドープ領域276と、Pドープ領域274およびNドープ領域276の間に伸びている真性領域275と、を備える。ダイオードセグメント262は、Nドープ領域276からPドープ領域274までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E6を有する。ダイオードセグメント262は、Pドープ領域274がN領域271と連続し、Nドープ領域276がPドープ領域273と連続し、真性領域275が真性領域272と連続するように、ダイオードセグメント261と連続している。
【0061】
次のダイオードセグメント263は、Nドープ領域277と、Pドープ領域279と、Nドープ領域277およびPドープ領域279の間に伸びている真性領域278と、を備える。ダイオードセグメント263は、Nドープ領域277からPドープ領域279までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E7を有する。ダイオードセグメント263は、Nドープ領域277がPドープ領域274と連続し、Pドープ領域279がNドープ領域276と連続し、真性領域278が真性領域275と連続するように、ダイオードセグメント262と連続している。
【0062】
次のダイオードセグメント264は、Pドープ領域280と、Nドープ領域282と、Pドープ領域280およびNドープ領域282の間に伸びている真性領域281と、を備える。ダイオードセグメント264は、Nドープ領域282からPドープ領域280までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E8を有する。ダイオードセグメント264は、Pドープ領域280がN領域277と連続し、Nドープ領域282がPドープ領域279と連続し、真性領域281が真性領域278と連続するように、ダイオードセグメント263と連続している。
【0063】
次のダイオードセグメント265は、Nドープ領域283と、Pドープ領域285と、Nドープ領域283およびPドープ領域285の間に伸びている真性領域284と、を備える。ダイオードセグメント265は、Nドープ領域283からPドープ領域285までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E9を有する。ダイオードセグメント265は、Nドープ領域283がPドープ領域280と連続し、Pドープ領域285がNドープ領域282と連続し、真性領域284が真性領域281と連続するように、ダイオードセグメント264と連続している。
【0064】
次のダイオードセグメント266は、Pドープ領域286と、Nドープ領域288と、Pドープ領域286およびNドープ領域288の間に伸びている真性領域287と、を備える。ダイオードセグメント266は、Nドープ領域288からPドープ領域286までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E10を有する。ダイオードセグメント266は、Pドープ領域286がN領域283と連続し、Nドープ領域288がPドープ領域285と連続し、真性領域287が真性領域284と連続するように、ダイオードセグメント265と連続している。
【0065】
次のダイオードセグメント267は、Nドープ領域289と、Pドープ領域291と、Nドープ領域289およびPドープ領域291の間に伸びている真性領域290と、を備える。ダイオードセグメント267は、Nドープ領域289からPドープ領域291までコア領域103を横切って伸びる真性(ビルトイン)電界E11を有する。ダイオードセグメント267は、Nドープ領域289がPドープ領域286と連続し、Pドープ領域291がNドープ領域288と連続し、真性領域290が真性領域287と連続するように、ダイオードセグメント266と連続している。
【0066】
図2Gは、いくつかの実施形態に従って、コア領域103内での一次光モードと、第2外側クラッド領域111の様々な幅(300ナノメートル(nm)、200nm、150nm)に対する第2外側クラッド領域111内での一次光モードとについて、点290を中心とした光導波路200の長手方向中心線106の曲率半径291の関数として、光学角度伝搬定数(optical angular propagation constant)のプロットを示す。第2外側クラッド領域111の幅118は、図2Fに示されている。図2Gは、第2外側クラッド領域111の幅118が減少するのに伴って、第2外側クラッド領域111内の一次光モードの光学角度伝搬定数が小さくなり、その逆も成り立つことを示している。図2Gにおける300nm幅の外側クラッド領域の曲線は、光導波路200の曲率半径291と第2外側クラッド領域111の幅118との特定の組みあわせでは、第2外側クラッド領域111内の一次光モードの光学角度伝搬定数がコア領域103内の一次光モードの光学角度伝搬定数と実質的に一致することを示している。いくつかの実施形態において、第2外側クラッド領域111の幅118は、コア領域103の一次光モードで導かれる光と、第2外側クラッド領域111の光モードで導かれる光との間の光位相整合共振を回避するために十分に小さく設定されている。光位相整合共振条件は、光導波路200の長手方向中心線106の曲率半径291を考慮に入れ、これは、第2外側クラッド領域111の光モードの有効光屈折率を効果的に高める。いくつかの実施形態において、光位相整合共振条件は、光学角度伝搬定数に関して決定される。光導波路200の湾曲部分が、湾曲部の内側の第1外側クラッド領域109および湾曲部の外側の第2外側クラッド領域111の両方を有するいくつかの実施形態において、有効光屈折率補正は、第1外側クラッド領域109および第2外側クラッド領域111について逆になる。
【0067】
光導波路200の長さに沿ったダイオードセグメント(241~244および261~267など)の交互の方向性は、光導波路200の周りにさらなる電気相互接続構造を有する必要性を回避する。光導波路200において、コア領域103からの自由キャリアのスイープアウトに用いられる電界は、ダイオードセグメント(241~244および261~267など)の各々の中のダイオード接合の真性(ビルトイン)電界である。いくつかの実施形態において、コア領域103内でのTPAによって生成された電流は、自由キャリアスイープアウト効果を打ち消す傾向がある光導波路200での電圧降下をもたらすので、光導波路200に沿ったダイオードセグメント(241~244および261~267など)のそれぞれの長さは、光導波路200を横切る方向性が逆向きであるダイオードセグメント(241~244および261~267など)の内の隣接するセグメントの間で電流のバランス取るのを強化するために、より小さくなっている。また、いくつかの実施形態において、光導波路200に沿った異なるダイオードセグメント(241~244および261~267など)のいくつかは、異なる長さ(光導波路200の長手方向中心線106に沿って測定した長さ)を有する。いくつかの実施形態において、光導波路200に沿った異なるダイオードセグメント(241~244および261~267など)の異なる長さは、異なるダイオードセグメント(241~244および261~267など)の間の電流密度のアンバランスを補償するように規定される。
【0068】
いくつかの実施形態において、光導波路200に沿った光学減衰は、TPA電流発生に影響し、第1クラッド領域102と第2クラッド領域104との間の光導波路200において小さい電圧降下をもたらす電流アンバランスを生み出す。いくつかの実施形態において、光導波路200に沿った異なるダイオードセグメント(241~244および261~267など)の長さは、TPA電流発生への光学減衰効果によって引き起こされる光導波路200に沿った電流密度の差(アンバランス)を補償するように規定される。したがって、いくつかの実施形態において、光導波路200に沿った異なるダイオードセグメント(241~244および261~267など)の長さは、光導波路200の長さに沿った電流バランスを改善するように規定され、これは、光導波路200の長さに沿った第1クラッド領域102および第2クラッド領域104の間の電圧上昇の低減を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態において、光導波路200は、高い光パワーでのTPA駆動光パワー損失を低減されたシリコン光導波路構造を提供することを理解されたい。図2A図2Fに関して上述したように、いくつかの実施形態において、光導波路200は、光導波路200の長さに沿って交互の方向性の複数のダイオード構造を生成するために各側でドープされたリブ型光導波路構造である。また、いくつかの実施形態において、光導波路200は、光導波路200の近くまたは上に追加の電気相互接続構造を最低限だけ備えまたは全く備えずに構築され、これは、少なくとも、かかる追加の電気相互接続構造が光導波路200を通過する光と潜在的に光学干渉しうるので、有益であることを理解されたい。特に、いくつかの実施形態において、光導波路200は、光導波路200の長さに沿ったダイオードセグメント(241~244および261~267など)のダイオード端子を短絡するために、コア領域103上に金属トレースをルーティングすることを必要としない。いくつかの実施形態において、光導波路200のダイオードセグメント(241~244および261~267など)の各々は、光導波路200の外部の任意の電気回路に接続されていない。
【0070】
図3は、いくつかの実施形態に従って、真性領域214、218、222、226の幅が変更されている光導波路200の様々な実施形態について、異なる光パワーでのコア領域103における自由キャリア増大のシミュレーション結果を示す。より具体的には、図3は、光導波路200を通して伝送される光の光パワーの関数として、コア領域103における平均ホール濃度を示している。曲線401は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が2マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線402は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が1.8マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線403は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が1.6マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線404は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が1.4マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線405は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が1.2マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線406は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が1.0マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線407は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が0.8マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線408は、真性領域214、218、222、226の各々の幅(長手方向中心線106に垂直に測定した幅)が0.6マイクロメートルである光導波路200について、コア領域103における平均ホール濃度を光パワーの関数として示している。曲線401~408は、真性領域214、218、222、226の幅が光導波路200において小さくなるのにつれて、それに応じて、コア領域103内の自由キャリアの濃度が低減されることを示している。
【0071】
図3は、光導波路200内に存在するような、ダイオードセグメント241、242、243、244などを備えていない図1Aの非ドープ光導波路100について、光パワーの関数としてコア領域103における平均ホール濃度をプロットした曲線409も示している。図3は、ストリップ型光導波路がその長さに沿って実質的に均一な垂直厚さを有する非ドープストリップ型光導波路内の光パワーの関数として平均ホール濃度をプロットした曲線410も示している。曲線410に関連するストリップ型光導波路は、第1外側クラッド領域109の厚さ113、第1内側クラッド領域105の厚さ115、コア領域103の厚さ121、第2内側クラッド領域107の厚さ119、および、第2外側クラッド領域111の厚さ117の各々について実質的に等しいサイズであることを除けば、図1Aの光導波路100と同様である。図3は、光導波路200が、ストリップ型光導波路と比べて、約30ミリワットでのコア領域103における自由キャリア濃度で3桁低下することを示している。
【0072】
図4Aは、いくつかの実施形態に従って、光導波路300を示す上面図である。図4Bは、いくつかの実施形態に従って、図4Aの矢視線A-Aにおける光導波路300を示す垂直断面図である。図4Cは、いくつかの実施形態に従って、図4Aの矢視線B-Bにおける光導波路300を示す垂直断面図である。光導波路400は、図1A図1Bの光導波路100の改良例である。光導波路300は、図1A図1Bに関して上述したように、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104を備える。光導波路300は、第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344を備える。第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344の各々は、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104のそれぞれの部分を含む。いくつかの実施形態において、第2ダイオードセグメント342は、第1ダイオードセグメント341および第3ダイオードセグメント343の両方と隣接しており、第4ダイオードセグメント344は、第3ダイオードセグメント343と隣接している。説明を簡単にするために、図4Aは、光導波路300の一部を図示していることを理解されたい。第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344の構成のパターンは、光導波路300の長さに沿って続いている。したがって、様々な実施形態において、光導波路300は、4つのダイオードセグメント341、342、343、および、344だけではなく、それより多くのセグメントを備える。
【0073】
第1ダイオードセグメント341は、第1真性電界E1が、光導波路300の長手方向中心線106と実質的に垂直な第1方向351に第1ダイオードセグメント341を横切って伸びるように、光導波路300を横切って第1PNダイオードを形成するよう構成されている。第1ダイオードセグメント341は、光導波路300の前半部分を横切って形成されている第1Nドープ領域313と、光導波路300の後半部分を横切って形成されている第1Pドープ領域315と、を備える。第1Nドープ領域313は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第1クラッド領域102を横切って伸びている。第1Pドープ領域315は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第2クラッド領域104を横切って伸びている。第1空乏領域314が、第1Nドープ領域313と第1Pドープ領域315との間の界面に沿って第1ダイオードセグメント341内に存在する。第1Nドープ領域313、第1Pドープ領域315、および、関連する第1空乏領域314は、第1ダイオードセグメント341内のコア領域103の全長に沿って伸びている。
【0074】
第1Nドープ領域313および第1Pドープ領域315によって提供される第1ダイオードセグメント341の第1PNダイオードのビルトイン電圧は、第1ダイオードセグメント341を横切り、特に、第1ダイオードセグメント341内のコア領域103を横切る第1真性電界E1を確立する。いくつかの実施形態において、第1空乏領域314は、第1ダイオードセグメント341内のコア領域103の全部、第1ダイオードセグメント341内の第1クラッド領域102の一部、および、第1ダイオードセグメント341内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第1真性電界E1が高い第1空乏領域314に存在することを理解されたい。いくつかの実施形態において、第1Nドープ領域313および第1Pドープ領域315のそれぞれのドープレベルは、第1ダイオードセグメント341内のコア領域103を含むのに十分に広い幅を有する第1空乏領域314を提供し、それに応じて、コア領域103と第1Nドープ領域313および第1Pドープ領域315との重なりによって引き起こされる光損失を低減するのに、十分低い。
【0075】
第2ダイオードセグメント342は、第2真性電界E2が、光導波路300の長手方向中心線106と実質的に垂直な第2方向352に第2ダイオードセグメント342を横切って伸びるように、光導波路300を横切って第2PNダイオードを形成するよう構成されている。第2ダイオードセグメント342は、光導波路300の前半部分を横切って形成されている第2Pドープ領域317と、光導波路300の後半部分を横切って形成されている第2Nドープ領域319と、を備える。第2Pドープ領域317は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第1クラッド領域102を横切って伸びている。第2Nドープ領域319は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第2クラッド領域104を横切って伸びている。第2空乏領域318が、第2Pドープ領域317と第2Nドープ領域319との間の界面に沿って第2ダイオードセグメント342内に存在する。第2Pドープ領域317、第2Nドープ領域319、および、関連する第2空乏領域318は、第2ダイオードセグメント342内のコア領域103の全長に沿って伸びている。
【0076】
第2Pドープ領域317および第2Nドープ領域319によって提供される第2ダイオードセグメント342の第2PNダイオードのビルトイン電圧は、第2ダイオードセグメント342を横切り、特に、第2ダイオードセグメント342内のコア領域103を横切る第2真性電界E2を確立する。いくつかの実施形態において、第2空乏領域318は、第2ダイオードセグメント342内のコア領域103の全部、第2ダイオードセグメント342内の第1クラッド領域102の一部、および、第2ダイオードセグメント342内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第2真性電界E2が高い第2空乏領域318に存在することを理解されたい。いくつかの実施形態において、第2Pドープ領域317および第2Nドープ領域319のそれぞれのドープレベルは、第2ダイオードセグメント342内のコア領域103を含むのに十分に広い幅を有する第2空乏領域318を提供し、それに応じて、コア領域103と第2Pドープ領域317および第2Nドープ領域319との重なりによって引き起こされる光損失を低減するのに、十分低い。第2ダイオードセグメント342の第2PNダイオードは、方向352および351によって示されるように、第2真性電界E2が第1真性電界E1に対して逆の方向性を有するように、第1ダイオードセグメント341の第1PNダイオードに対して逆の方向性を有することを理解されたい。
【0077】
第3ダイオードセグメント343は、第3真性電界E3が、光導波路300の長手方向中心線106と実質的に垂直な第3方向353に第3ダイオードセグメント343を横切って伸びるように、光導波路300を横切って第3PNダイオードを形成するよう構成されている。第3ダイオードセグメント343は、光導波路300の前半部分を横切って形成されている第3Nドープ領域321と、光導波路300の後半部分を横切って形成されている第3Pドープ領域323と、を備える。第3Nドープ領域321は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第1クラッド領域102を横切って伸びている。第3Pドープ領域323は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第2クラッド領域104を横切って伸びている。第3空乏領域322が、第3Nドープ領域321と第3Pドープ領域323との間の界面に沿って第3ダイオードセグメント343内に存在する。第3Nドープ領域321、第3Pドープ領域323、および、関連する第3空乏領域322は、第3ダイオードセグメント343内のコア領域103の全長に沿って伸びている。
【0078】
第3Nドープ領域321および第3Pドープ領域323によって提供される第3ダイオードセグメント343の第3PNダイオードのビルトイン電圧は、第3ダイオードセグメント343を横切り、特に、第3ダイオードセグメント343内のコア領域103を横切る第3真性電界E3を確立する。いくつかの実施形態において、第3空乏領域322は、第3ダイオードセグメント343内のコア領域103の全部、第3ダイオードセグメント343内の第1クラッド領域102の一部、および、第3ダイオードセグメント343内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第3真性電界E3が高い第3空乏領域322に存在することを理解されたい。いくつかの実施形態において、第3Nドープ領域321および第3Pドープ領域323のそれぞれのドープレベルは、第3ダイオードセグメント343内のコア領域103を含むのに十分に広い幅を有する第3空乏領域322を提供し、それに応じて、コア領域103と第3Nドープ領域321および第3Pドープ領域323との重なりによって引き起こされる光損失を低減するのに、十分低い。第3ダイオードセグメント343の第3PNダイオードは、方向353および352によって示されるように、第3真性電界E3が第2真性電界E2に対して逆の方向性を有するように、第2ダイオードセグメント342の第2PNダイオードに対して逆の方向性を有することを理解されたい。
【0079】
第4ダイオードセグメント344は、第4真性電界E4が、光導波路300の長手方向中心線106と実質的に垂直な第4方向354に第4ダイオードセグメント344を横切って伸びるように、光導波路300を横切って第4PNダイオードを形成するよう構成されている。第4ダイオードセグメント344は、光導波路300の前半部分を横切って形成されている第4Pドープ領域325と、光導波路300の後半部分を横切って形成されている第4Nドープ領域327と、を備える。第4Pドープ領域325は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第1クラッド領域102を横切って伸びている。第4Nドープ領域327は、光導波路300の長手方向中心線106から外向きに第2クラッド領域104を横切って伸びている。第4空乏領域326が、第4Pドープ領域325と第4Nドープ領域327との間の界面に沿って第4ダイオードセグメント344内に存在する。第4Pドープ領域325、第4Nドープ領域327、および、関連する第4空乏領域326は、第4ダイオードセグメント344内のコア領域103の全長に沿って伸びている。
【0080】
第4Pドープ領域325および第4Nドープ領域327によって提供される第4ダイオードセグメント344の第4PNダイオードのビルトイン電圧は、第4ダイオードセグメント344を横切り、特に、第4ダイオードセグメント344内のコア領域103を横切る第4真性電界E4を確立する。いくつかの実施形態において、第4空乏領域326は、第4ダイオードセグメント344内のコア領域103の全部、第4ダイオードセグメント344内の第1クラッド領域102の一部、および、第4ダイオードセグメント344内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、第4真性電界E4が高い第4空乏領域326に存在することを理解されたい。いくつかの実施形態において、第4Pドープ領域325および第4Nドープ領域327のそれぞれのドープレベルは、第4ダイオードセグメント344内のコア領域103を含むのに十分に広い幅を有する第4空乏領域326を提供し、それに応じて、コア領域103と第4Pドープ領域325および第4Nドープ領域327との重なりによって引き起こされる光損失を低減するのに、十分低い。第4ダイオードセグメント344の第4PNダイオードは、方向354および353によって示されるように、第4真性電界E4が第3真性電界E3に対して逆の方向性を有するように、第3ダイオードセグメント343の第3PNダイオードに対して逆の方向性を有することを理解されたい。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1導電体329が、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で第1ダイオードセグメント341および第2ダイオードセグメント342を電気接続するように配置されている。また、いくつかの実施形態において、第2導電体331が、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で第1ダイオードセグメント341および第2ダイオードセグメント342を電気接続するように配置されている。いくつかの実施形態において、第1導電体329は、シリサイドの領域として形成され、第2導電体331は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体329は、第1ダイオードセグメント341の領域および第2ダイオードセグメント342の領域の両方の上に配置された導電構造として形成され、第2導電体331は、第1ダイオードセグメント341の領域および第2ダイオードセグメント342の領域の両方の上に配置された導電構造として形成されている。
【0082】
いくつかの実施形態において、第3導電体333が、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で第2ダイオードセグメント342および第3ダイオードセグメント343を電気接続するように配置されている。また、いくつかの実施形態において、第4導電体335が、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で第2ダイオードセグメント342および第3ダイオードセグメント343を電気接続するように配置されている。いくつかの実施形態において、第3導電体333は、シリサイドの領域として形成され、第4導電体335は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第3導電体333は、第2ダイオードセグメント342の領域および第3ダイオードセグメント343の領域の両方の上に配置された導電構造として形成され、第4導電体335は、第2ダイオードセグメント342の領域および第3ダイオードセグメント343の領域の両方の上に配置された導電構造として形成されている。
【0083】
いくつかの実施形態において、第5導電体337が、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で第3ダイオードセグメント343および第4ダイオードセグメント344を電気接続するように配置されている。また、いくつかの実施形態において、第6導電体339が、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で第3ダイオードセグメント343および第4ダイオードセグメント344を電気接続するように配置されている。いくつかの実施形態において、第5導電体337は、シリサイドの領域として形成され、第6導電体339は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第5導電体337は、第3ダイオードセグメント343の領域および第4ダイオードセグメント344の領域の両方の上に配置された導電構造として形成され、第6導電体339は、第3ダイオードセグメント343の領域および第4ダイオードセグメント344の領域の両方の上に配置された導電構造として形成されている。
【0084】
いくつかの実施形態において、第1導電体329、第3導電体333、および、第5導電体337は、コア領域103の第1側の第1クラッド領域102の上の位置で、第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344にわたって連続的に伸びている共通導電体のそれぞれの部分として形成されている。いくつかの実施形態において、第2導電体331、第4導電体335、および、第6導電体339は、コア領域103の第2側の第2クラッド領域104の上の位置で、第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344にわたって連続的に伸びている別の共通導電体のそれぞれの部分として形成されている。
【0085】
第1ダイオードセグメント341および第3ダイオードセグメント343は、同じように構成されていることを理解されたい。また、第2ダイオードセグメント342および第4ダイオードセグメント344は、同じように構成されている。このように、第1ダイオードセグメント341および第2ダイオードセグメント342の構成は、図4Aに明示的には示されていない光導波路300の長さに沿うなど、光導波路300の長さに沿って、連続的に繰り返される。したがって、光導波路300は、光導波路300の長さに沿って第1ダイオードセグメント341および第2ダイオードセグメント342を繰り返し備える。第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344が、説明の目的で図4Aに示されているが、光導波路300は、交互の方向を有する4つのダイオードセグメントに限定されないことを理解されたい。様々な実施形態において、光導波路300は、光導波路300の長さに沿って交互に繰り返されている第1ダイオードセグメント341の構成および第2ダイオードセグメント342の構成を多くの数備える。いくつかの実施形態において、交互の方向性を有する隣接するダイオードセグメント(341/342、342/343、343/344、など)は、光導波路300の長手方向で互いに連続している。例えば、第2ダイオードセグメント342は、Pドープ領域317がNドープ領域313と連続し、Nドープ領域319がPドープ領域315と連続するように、光導波路300の長手方向で第1ダイオードセグメント341と連続している。また、第3ダイオードセグメント343は、Nドープ領域321がPドープ領域317と連続し、Pドープ領域323がNドープ領域319と連続するように、光導波路300の長手方向で第2ダイオードセグメント342と連続している。また、第4ダイオードセグメント344は、Pドープ領域325がNドープ領域321と連続し、Nドープ領域327がPドープ領域323と連続するように、光導波路300の長手方向で第3ダイオードセグメント343と連続している。
【0086】
いくつかの実施形態において、第1導電体329、第2導電体331、第3導電体333、第4導電体335、第5導電体337、および、第6導電体339の各々は、シリコン内に低抵抗電気接点を形成するために用いられる材料から形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体329、第2導電体331、第3導電体333、第4導電体335、第5導電体337、および、第6導電体339の各々は、光導波路300の実質的に外側に形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体329、第2導電体331、第3導電体333、第4導電体335、第5導電体337、および、第6導電体339の各々は、それが電気接続されているドープ領域の各々と実質的に重なるように形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体329、第3導電体333、および、第5導電体337は、Nドープ領域313、Pドープ領域317、Nドープ領域321、および、Pドープ領域325の上で連続的に伸びているシリサイドの層に置き換えられる。同様に、いくつかの実施形態において、第2導電体331、第4導電体335、および、第6導電体339は、Pドープ領域315、Nドープ領域319、Pドープ領域323、および、Nドープ領域327の上で連続的に伸びているシリサイドの層に置き換えられる。
【0087】
図4Dは、いくつかの実施形態に従って、自由キャリア(電子(e)およびホール(h))が、第1ダイオードセグメント341、第2ダイオードセグメント342、第3ダイオードセグメント343、および、第4ダイオードセグメント344のダイオードによってコア領域103から引っ張られ/スイープアウトされる様子と共に、図4Aの光導波路300を示す上面図である。第1ダイオードセグメント341における第1真性電界E1は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域313へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域315へ引っ張る。第2ダイオードセグメント342における第2真性電界E2は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域319へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域317へ引っ張る。第3ダイオードセグメント343における第3真性電界E3は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域321へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域323へ引っ張る。第4ダイオードセグメント344における第4真性電界E4は、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域327へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域325へ引っ張る。第1導電体329および第2導電体331は、第1ダイオードセグメント341と第2ダイオードセグメント342との間の電気回路の完成を容易にする。第2導電体333および第3導電体335は、第2ダイオードセグメント342と第3ダイオードセグメント343との間の電気回路の完成を容易にする。第5導電体337および第6導電体339は、第3ダイオードセグメント343と第4ダイオードセグメント344との間の電気回路の完成を容易にする。
【0088】
光導波路300を横切る真性電界E1~E4は、TPAによってコア領域103内で生成された自由キャリアをスイープアウトする。これらの自由キャリアをコア領域103から除去することにより、コア領域103内の自由キャリア濃度は低いままになり、これは、自由キャリア吸収に起因するコア領域103内での光損失を最小化する。第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344の(光導波路300の長手方向中心線106と垂直な)方向性は、コア領域103からの自由キャリアスイープアウトによって生成される電流ループを閉じるために交互になっている。第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344の内の隣接するセグメントの方向性を交互にしなければ、コア領域103からTPAで生じた自由キャリアのスイープアウトによって生成された電流は、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344のビルトイン電圧を弱め、それに対応して、コア領域103からの自由キャリアスイープアウトを停止/妨害する電荷蓄積を光導波路300の両側で生み出すことを理解されたい。したがって、光導波路300の長さに沿って、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344の方向性を交互にすることにより、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344の内の所与の1つにおいて自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、隣接するダイオードセグメントにおいて生成される電流によってバランスが取られる。
【0089】
例えば、図4Dの例において、第1ダイオードセグメント341において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第2ダイオードセグメント342において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。第1導電体329および第2導電体331は、第1ダイオードセグメント341と第2ダイオードセグメント342との間で電流のバランスを取るのを容易にする。また、第2ダイオードセグメント342において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第1ダイオードセグメント341および第3ダイオードセグメント343において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。第3導電体333および第4導電体335は、第2ダイオードセグメント342と第3ダイオードセグメント343との間で電流のバランスを取ることを容易にする。また、第3ダイオードセグメント343において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第2ダイオードセグメント342および第4ダイオードセグメント344において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。第5導電体337および第6導電体339は、第3ダイオードセグメント343と第4ダイオードセグメント344との間の電流のバランスを取るのを容易にする。また、第4ダイオードセグメント344において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流は、第3ダイオードセグメント343において自由キャリアスイープアウトによって生成される電流によってバランスを取られる。
【0090】
光導波路300の長さに沿った第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344の交互の方向性は、光導波路300の周りにさらなる電気相互接続構造を有する必要性を回避する。光導波路300において、コア領域103からの自由キャリアのスイープアウトに用いられる電界は、第1、第2、第3、および、第4ダイオードセグメント341、342、343、344の各々の中のPNダイオード接合の真性(ビルトイン)電界である。いくつかの実施形態において、コア領域103内でのTPAによって生成された電流は、自由キャリアスイープアウト効果を打ち消す傾向がある光導波路300での電圧降下をもたらすので、光導波路300に沿ったダイオードセグメント341、342、343、344などのそれぞれの長さは、光導波路300を横切る方向性が逆向きであるダイオードセグメント341、342、343、344などの内の隣接するセグメントの間で電流のバランス取るのを強化するために、より小さくなっている。また、いくつかの実施形態において、光導波路300に沿った異なるダイオードセグメント341、342、343、344などのいくつかは、異なる長さ(光導波路300の長手方向中心線106と平行に測定した長さ)を有する。いくつかの実施形態において、光導波路300に沿った異なるダイオードセグメント341、342、343、344などの異なる長さは、異なるダイオードセグメント341、342、343、344などの間の電流密度のアンバランスを補償するように規定される。
【0091】
いくつかの実施形態において、光導波路300に沿った光学減衰は、TPA電流発生に影響し、第1クラッド領域102と第2クラッド領域104との間の光導波路300において小さい電圧降下をもたらす電流アンバランスを生み出す。いくつかの実施形態において、光導波路300に沿った異なるダイオードセグメント341、342、343、344などの長さは、TPA電流発生への光学減衰効果によって引き起こされる光導波路300に沿った電流密度の差(アンバランス)を補償するように規定される。したがって、いくつかの実施形態において、光導波路300に沿った異なるダイオードセグメント341、342、343、344などの長さは、光導波路300の長さに沿った電流バランスを改善するように規定され、これは、光導波路300の長さに沿った第1クラッド領域102および第2クラッド領域104の間の電圧上昇の低減を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態において、光導波路300は、高い光パワーでのTPA駆動光パワー損失を低減されたシリコン光導波路構造を提供することを理解されたい。図4A図4Dに関して上述したように、いくつかの実施形態において、光導波路300は、光導波路300の長さに沿って交互の方向性の複数のダイオード構造を生成するために各側でドープされたリブ型光導波路構造である。また、いくつかの実施形態において、光導波路300は、光導波路300の近くまたは上に追加の電気相互接続構造を最低限だけ備えまたは全く備えずに構築され、これは、少なくとも、かかる追加の電気相互接続構造が光導波路300を通過する光と潜在的に光学干渉しうるので、有益であることを理解されたい。特に、いくつかの実施形態において、光導波路300は、光導波路300の長さに沿ったダイオードセグメント341、342、343、344などのダイオード端子を短絡するために、コア領域103上に金属トレースをルーティングすることを必要としない。いくつかの実施形態において、光導波路300のダイオードセグメント341、342、343、344などの各々は、光導波路300の外部の任意の電気回路に接続されていない。
【0093】
図5Aは、いくつかの実施形態に従って、光導波路500を示す上面図である。図5Bは、いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線A-Aにおける光導波路500を示す垂直断面図である。図5Cは、いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線B-Bにおける光導波路500を示す垂直断面図である。図5Dは、いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線C-Cにおける光導波路500を示す垂直断面図である。図5Eは、いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線D-Dにおける光導波路500を示す垂直断面図である。図5Fは、いくつかの実施形態に従って、図5Aの矢視線E-Eにおける光導波路500を示す垂直断面図である。
【0094】
光導波路500は、図1A図1Bの光導波路100の改良例である。光導波路500は、図1A図1Bに関して上述したように、コア領域103、第1クラッド領域102、および、第2クラッド領域104を備える。第1クラッド領域102は、コア領域103の第1側に沿って形成されている。第2クラッド領域104は、コア領域103の第2側に沿って形成されている。光導波路500は、コア領域103の一部と、第1クラッド領域102の一部と、第2クラッド領域104の一部とを含むダイオードセグメント517を備える。説明を簡単にするために、図5Aは、光導波路500の一部を図示していることを理解されたい。いくつかの実施形態において、複数のダイオードセグメント517が、光導波路500の長さに沿って形成される。
【0095】
光導波路500は、Nドープ領域501と、Pドープ領域507と、Nドープ領域501およびPドープ領域507の間に配置されている真性領域502と、を備える。Nドープ領域501は、第1クラッド領域102内に形成されている第1長手方向部分501Aと、第2クラッド領域104内に形成されている第2長手方向部分501Bと、Nドープ領域501の第1長手方向部分501Aおよび第2長手方向部分501Bの間に伸びるよう形成されている短手方向部分501Cと、を備える。Pドープ領域507は、第2クラッド領域104内に形成されている第1長手方向部分507Aと、第1クラッド領域102内に形成されている第2長手方向部分507Bと、Pドープ領域507の第1長手方向部分507Aおよび第2長手方向部分507Bの間に伸びるよう形成されている短手方向部分507Cと、を備える。第1導電体503が、第1クラッド領域102の上方の位置で、Nドープ領域501の第1長手方向部分501AおよびPドープ領域507の第2長手方向部分507Bを電気接続するために配置されている。第2導電体509が、第2クラッド領域104の上方の位置で、Pドープ領域507の第1長手方向部分507AおよびNドープ領域501の第2長手方向部分501Bを電気接続するために配置されている。Nドープ領域501の第1長手方向部分501A、Pドープ領域507の第1長手方向部分507A、および、真性領域502は集合的に、光導波路500を横切るPINダイオードを形成している。
【0096】
第1導電体503および第2導電体509は集合的に、Nドープ領域501とPドープ領域507との間の電気回路を閉じている。いくつかの実施形態において、第1導電体503は、シリサイドの領域として形成され、第2導電体509は、シリサイドの別の領域として形成されている。いくつかの実施形態において、第1導電体503は、第1クラッド領域102の外側部分に配置された導電構造として形成され、第2導電体509は、第2クラッド領域104の外側部分に配置された導電構造として形成されている。ダイオードセグメント517は、真性電界Eが、光導波路500の長手方向中心線106と実質的に垂直な方向551にダイオードセグメント517を横切ってNドープ領域501からPドープ領域507まで伸びるように、光導波路500を横切るダイオードを形成するよう構成されている。Nドープ領域501およびPドープ領域507によって提供されるダイオードセグメント517のビルトイン電圧は、ダイオードセグメント517を横切り、特に、ダイオードセグメント517内のコア領域103を横切る真性電界Eを確立する。いくつかの実施形態において、真性領域502は、ダイオードセグメント517内のコア領域103の全部、ダイオードセグメント517内の第1クラッド領域102の一部、および、ダイオードセグメント517内の第2クラッド領域104の一部を含む。コア領域103は、真性電界Eが高い真性領域502に存在することを理解されたい。真性領域502の幅は、光導波路500内でのNドープ領域501およびPドープ領域507の重なりを避けるために、十分に広く作られている。
【0097】
図5Gは、いくつかの実施形態に従って、自由キャリア(電子(e)およびホール(h))が、ダイオードセグメント517によってコア領域103から引っ張られ/スイープアウトされる様子と共に、図5Aの光導波路500を示す上面図である。ダイオードセグメント517における真性電界Eは、自由キャリア電子(e)をコア領域103からNドープ領域501へ引っ張り、自由キャリアホール(h)をコア領域103からPドープ領域507へ引っ張る。光導波路500を横切る真性電界Eは、TPAによってコア領域103内で生成された自由キャリアをスイープアウトする。これらの自由キャリアをコア領域103から除去することにより、コア領域103内の自由キャリア濃度は低いままになり、これは、自由キャリア吸収に起因するコア領域103内での光損失を最小化する。第1導電体503および第2導電体509は、コア領域103からTPAで生じた自由キャリアのスイープアウトによって生成された電流が、ダイオードセグメント517のビルトイン電圧を弱め、それに対応して、コア領域103からの自由キャリアのスイープアウトを停止/妨害する電荷蓄積を光導波路500の両側で生み出さないように、ダイオードセグメント517内の電流ループの完成を容易にする。
【0098】
また、ダイオードセグメント517内の電流ループは、Nドープ領域501の短手方向部分501CおよびPドープ領域507の短手方向部分507Cを用いて閉じられていることを理解されたい。いくつかの実施形態において、短手方向部分501Cおよび短手方向部分507Cの各々は、光導波路500のコア領域103を横切る希薄ドープ領域導電チャネルとして形成されている。いくつかの実施形態(図5A~5Gに示したものなど)において、短手方向部分501Cおよび短手方向部分507Cは、ダイオードセグメント517の反対側に配置されている。様々な実施形態において、短手方向部分501Cおよび507Cを有する代わりに、短手方向部分501、507Cのような1または複数の希薄ドープ領域導電チャネルが、導波路構造500に沿って異なる位置に配置されてもよく、ここで、希薄ドープ領域導電チャネルは、PドープまたはNドープである。いくつかの実施形態において、短手方向部分501Cおよび短手方向部分507Cの両方を有する代わりに、1つの希薄ドープ領域導電チャネルが、ダイオードセグメント517の片側に配置される。いくつかの実施形態において、短手方向部分501Cおよび507Cを有する代わりに、1つの希薄ドープ領域導電チャネルが、ダイオードセグメント517の実質的に中心に配置される。また、いくつかの実施形態において、複数の希薄ドープ領域導電チャネルが、ダイオードセグメント517に沿って周期的に配置される。
【0099】
いくつかの実施形態において、光導波路500は、高い光パワーでのTPA駆動光パワー損失を低減されたシリコン光導波路構造を提供することを理解されたい。いくつかの実施形態において、光導波路500は、光導波路500の近くまたは上に追加の電気相互接続構造を最低限だけ備えまたは全く備えずに構築され、これは、少なくとも、かかる追加の電気相互接続構造が光導波路500を通過する光と潜在的に光学干渉しうるので、有益であることを理解されたい。特に、いくつかの実施形態において、光導波路500は、ダイオードセグメント517のダイオード端子を短絡するために、コア領域103上に金属トレースをルーティングすることを必要としない。いくつかの実施形態において、光導波路500のダイオードセグメント517は、光導波路500の外部の任意の電気回路に接続されていない。
【0100】
図6は、いくつかの実施形態に従って、光導波路(200、300)内の光損失を低減するための方法を示すフローチャートである。方法は、コア領域(103)と、第1クラッド領域(102)と、第2クラッド領域(104)とを備える光導波路(200、300)を準備する工程601を備える。コア領域103は、光導波路(200、300)を通る光伝搬方向(149)に対応する光導波路(200、300)の長手方向中心線(106)に実質的に沿って伸びている。第1クラッド領域(102)は、コア領域(103)の第1側部に沿って形成されている。第2クラッド領域(104)は、コア領域(103)の第2側部に沿って形成されている。光導波路(200、300)は、コア領域(103)、第1クラッド領域(102)、および、第2クラッド領域(104)のそれぞれの部分を各々備える第1ダイオードセグメント(241、341)および第2ダイオードセグメント(242、342)を備える。第2ダイオードセグメント(242、342)は、第1ダイオードセグメント(241、341)と連続している。第1ダイオードセグメント(241、341)は、第1真性電界(E1)が、光導波路(200、300)の長手方向中心線(106)と実質的に垂直な第1方向に第1ダイオードセグメント(241、341)を横切って伸びるように、光導波路(200、300)を横切って第1ダイオードを形成するよう構成されている。第2ダイオードセグメント(242、342)は、第2真性電界(E2)が、第1方向と反対向きの第2方向に第2ダイオードセグメント(242、342)を横切って伸びるように、光導波路(200、300)を横切って第2ダイオードを形成するよう構成されている。光導波路(200、300)は、コア領域(103)の第1側の位置で第1ダイオードセグメント(241、341)および第2ダイオードセグメント(242、342)を電気接続するように配置されている第1導電体(229、329)を備える。光導波路(200、300)は、コア領域(103)の第2側の位置で第1ダイオードセグメント(241、341)および第2ダイオードセグメント(242、342)を電気接続するように配置されている第2導電体(231、331)を備える。方法は、さらに、光の一部がコア領域(103)内で自由キャリア(電子およびホール)を生成するように、光導波路(200、300)のコア領域(103)を通して光を伝達する工程603を備え、ここで、生成された自由キャリアは、第1真性電界(E1)によって光導波路(200、300)の第1ダイオードセグメント(241、341)内のコア領域(103)からスイープアウトされ、生成された自由キャリアは、第2真性電界(E2)によって光導波路(200、300)の第2ダイオードセグメント(242、342)内のコア領域(103)からスイープアウトされる。図6の方法は、さらに、本明細書に記載されている光導波路200および300の動作および利用に対応する任意のさらなる工程を備えることを理解されたい。
【0101】
図7は、いくつかの実施形態に従って、光伝達デバイスを製造するための方法を示すフローチャートである。方法は、コア領域(103)と、第1クラッド領域(102)と、第2クラッド領域(104)とを備える光導波路(200、300)を形成する工程701を備える。コア領域(103)は、光導波路(200、300)を通る光伝搬方向(149)に対応する光導波路(200、300)の長手方向中心線(106)に実質的に沿って伸びている。第1クラッド領域(102)は、コア領域(103)の第1側部に沿って形成される。第2クラッド領域(104)は、コア領域(103)の第2側部に沿って形成される。方法は、さらに、光導波路(200、300)の第1ダイオードセグメント(241、341)内に第1ダイオードを形成する工程703を備える。第1ダイオードセグメント(241、341)は、コア領域(103)の第1部分と、第1クラッド領域(102)の第1部分と、第2クラッド領域(104)の第1部分と、を備える。第1ダイオードは、第1真性電界(E1)が、光導波路(200、300)の長手方向中心線(106)と実質的に垂直な第1方向にコア領域(103)の第1部分を通して伸びるように、第1クラッド領域(102)の第1部分内に形成されているNドープ領域(213、313)と、第2クラッド領域(104)の第1部分内に形成されているPドープ領域(215、315)と、を備える。方法は、さらに、光導波路(200、300)の第2ダイオードセグメント(242、342)内に第2ダイオードを形成する工程705を備える。第2ダイオードセグメント(242、342)は、コア領域(103)の第2部分と、第1クラッド領域(102)の第2部分と、第2クラッド領域(104)の第2部分と、を備える。第2ダイオードは、第2真性電界(E2)が、第1方向と反対向きの第2方向にコア領域(103)の第2部分を通して伸びるように、第1クラッド領域(102)の第2部分内に形成されているPドープ領域(217、317)と、第2クラッド領域(104)の第2部分内に形成されているNドープ領域(219、319)と、を備える。方法は、さらに、第1ダイオードのNドープ領域(213、313)を第2ダイオードのPドープ領域(217、317)へ電気接続する工程707を備える。方法は、さらに、第1ダイオードのPドープ領域(215、315)を第2ダイオードのNドープ領域(219、319)へ電気接続する工程709を備える。図7の方法は、さらに、本明細書に記載されている光導波路200および300の製造に対応する任意のさらなる工程を備えることを理解されたい。
【0102】
以上の実施形態の記載は、例示および説明を目的としたものであり、包括的であることも限定的であることも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能であれば、置き換え可能であり、特に図示も記載もない限りは、選択された実施形態で利用できる。このように、本明細書で開示されている1または複数の実施形態からの1または複数の特徴を、本明細書で開示されている1または複数の他の実施形態からの1または複数の特徴と組み合わせることで、本明細書で明示的に開示されていないが本明細書で暗示的に開示されている別の実施形態を形成することができる。この他の実施形態も、多くの方法で変形されてよい。かかる実施形態の変形例は、本開示からの逸脱と見なされず、すべてのかかる実施形態の変形例および変更例が、本明細書で提供されている開示の範囲内に含まれると意図されている。
【0103】
いくつかの方法工程は、本明細書で具体的な順序で記載されている場合があるが、方法工程の処理が、方法の実施が成功するような方法で実行される限りは、他のハウスキーピング工程が、方法工程の合間に実行されてもよく、および/または、方法工程が、若干異なる時刻または同時に実行されるように調整されてもよく、または、処理に関連する様々な間隔で処理工程が実行されることを許容するシステムに分配されてもよいことを理解されたい。
【0104】
本実施形態は、理解しやすいように、或る程度詳しく説明されているが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本明細書で開示されている実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、そのため、本明細書に示した詳細のみに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲および等価物の中で変形されてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
【国際調査報告】