(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電気作動可能な阻止デバイスを有するシートベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/405 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B60R22/405
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556471
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2022056465
(87)【国際公開番号】W WO2022194743
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021106683.2
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リングス,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クンツレー,フロリアン
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018HA02
3D018HC01
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、シートベルトリトラクタであって、
-ベルトシャフトに回転可能に取り付けられた歯付き制御ディスク(21)と、
-電気作動可能な阻止デバイス(100)と、
-直立した第1のリム(16)のピボット軸受内に枢動可能に取り付けられる阻止レバー(2)であって、
-電気作動可能な阻止デバイス(100)が、ベルトシャフトに対して制御ディスク(21)を停止させ、結果としてベルトシャフトが引き出し方向に阻止され、
阻止レバー(2)は、第1のばね(4)が作用するレバーアーム(22)を有し、このばねは、配置された阻止先端部を有し、それによりこの阻止先端部(25)が制御ディスク(21)の歯部(26)に係合する位置に、阻止レバー(2)をプレロードする、阻止レバー(2)と、
-ハウジング(1)内に配置され、力を及ぼす電磁石(3)であって、阻止先端部(25)が制御ディスク(21)の歯部(26)から後退させられる、電磁石(3)と、を有し、
第2のばね(17)が設けられ、阻止レバー(2)が、その位置に関係なく、その阻止アーム(23)を用いて第2のばねに対して静止し、制御ディスク(21)の歯部(26)から出る枢動運動中に、阻止アーム(23)によって負荷をかけられるように配置される、シートベルトリトラクタに関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトリトラクタであって、
-回転可能に取り付けられたベルトシャフトと、
-その上に回転可能に取り付けられた歯付き制御ディスク(21)と、
-電気作動可能な阻止デバイス(100)であって、
-ベースプレート(15)と直立した第1のリム(16)とを有するハウジング(1)と、
-前記直立した第1のリム(16)のピボット軸受内に枢動可能に取り付けられ、スチールプレート(5)を備える阻止レバー(2)であって、
-前記電気作動可能な阻止デバイス(100)は、前記歯部内の前記阻止レバー(2)の係合によって、前記ベルトシャフトに対して前記制御ディスク(21)を停止させ、その結果、阻止爪に、前記車両に固定されたシートベルトリトラクタの歯部に係合する動きを実行させ、前記ベルトシャフトを前記引き出し方向に阻止し、
-前記阻止レバー(2)は、前記第1のリム(16)から外向きに突出するレバーアーム(22)を有し、前記レバーアーム(22)に第1のばね(4)が作用し、前記第1のばね(4)は、前記阻止レバー(2)が、阻止アーム(23)の端部に配置された阻止先端部(25)と、前記制御ディスク(21)の前記歯部(26)内で、係合する位置へと前記阻止レバー(2)をプレロードする、阻止レバー(2)と、
-前記ハウジング(1)内に配置された電磁石(3)であって、通電によって前記阻止レバー(2)に力を及ぼし、この力によって、前記阻止レバーが前記阻止先端部(25)と共に前記制御ディスク(21)の前記歯部(26)から引き出される、電磁石(3)と、を備える、電気作動可能な阻止デバイス(100)と、
を備え、
-第2のばね(17)が設けられ、前記第2のばね(17)は、前記阻止レバー(2)が、その阻止アーム(23)を用いて、その位置にかかわらず前記第2のばね(17)に対して静止するように配置され、前記制御ディスク(21)の前記歯部(26)からの枢動運動中に前記阻止アーム(23)によって張力をかけられることを特徴とする、シートベルトリトラクタ。
【請求項2】
-前記第2のばね(17)は、前記制御ディスク(21)から離れて面する側で、前記阻止アーム(23)の領域において前記阻止レバー(2)を支持することを特徴とする、請求項1に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項3】
-前記第2のばね(17)は、第1の端部(18)及び第2の端部(19)で固定され、前記阻止レバー(2)は、前記阻止アーム(23)で、前記第2のばね(17)のばね部分(27)に当接し、前記ばね部分(27)は、前記第2のばね(17)の前記第1の端部(18)と前記第2の端部(19)との間に配置される、請求項1又は2に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項4】
-前記阻止アーム(23)は、前記第2のばね(17)に当接するように設けられた前記表面に、前記第2のばね(17)の前記表面に適合されたプロファイル構造(28)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項5】
-前記プロファイル構造(28)は、異なる高さの複数のカム(29、30、31)によって形成され、最大高さの前記カム(29)は中央に配置され、より低い高さの前記カム(30、31)は、最大高さの前記中央カム(29)に対して横方向に対称的に配置される、請求項4に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項6】
前記第2のばね(17)の前記表面は、前記阻止レバーの前記枢動軸に対して垂直に延在する複数の溝(32)からなる構造を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項7】
-前記第2のばね(17)は、コイルばねによって形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項8】
-前記第2のばね(17)は、前記阻止レバー(2)の前記枢動軸に対して5~15度の角度で配置されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項9】
前記阻止レバー(2)の前記枢動運動を制限する衝撃吸収体(33)が、前記阻止レバー(2)及び/又は前記阻止デバイス(100)の固定された対向面に設けられていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項10】
-前記電磁石(3)は、貫通開口部(14)を有するコイル(10)を備え、
-前記貫通開口部(14)内に鉄心(12)が配置され、前記鉄心は、電圧が前記コイル(10)に印加されたときに前記スチールプレート(5)を介して前記阻止レバー(2)に磁力を及ぼし、阻止運動又は阻止解除運動を引き起こすために、前記第1のばね(4)の力に抗して前記阻止レバー(2)を作動させることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項11】
-前記阻止レバー(2)の前記運動は、少なくとも、前記第1の鉄心(12)、前記直立した第1のリム(16)、並びに前記第1の鉄心(12)と前記直立した第1のリム(16)との間の前記ベースプレート(15)及び前記阻止レバー(2)の部分によって形成される第1の磁気回路(I)によって強制されることを特徴とする、請求項10に記載のシートベルトリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブル部分の特徴を有する、電気作動可能な阻止デバイスを有するシートベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
当該タイプの電気作動可能な阻止デバイスは、例えば、英国特許出願公開第2398824(A)号から知られている。
【0003】
このような阻止デバイスは、シートベルトリトラクタのベルトシャフトに回転可能に取り付けられた外歯制御ディスクを、阻止レバーの係合によってベルトシャフトに対して停止させるために使用され、その結果、阻止爪を、車両に固定された歯部への制御運動を実行するように強制し、その結果、ベルトシャフトが引き出し方向に阻止される。
【0004】
従来の機械式阻止デバイスにおいて、不活性質量が接触面上に加えられ、接触面は、所定の車両減速が超えられたとき偏向し、これによって、阻止レバーを偏向させ、阻止レバーを制御ディスクの歯部内に係合させる。このような機械式阻止デバイスは、車両感知式センサデバイスとも呼ばれる。これらの機械式阻止デバイスの1つの問題は、ベルトシャフトが意図せずに阻止されてないように、不活性質量が、シートベルトリトラクタの設置幾何学的形状に関係なく、車両長手方向軸及び車両横軸に対して接触面上に定められた向きで常に位置合わせされている必要があることである。したがって、シートベルトリトラクタは、車両に個別に設計されなければならず、この設計において、接触面の向き及び接触面に加えられる質量は、車両内のシートベルトリトラクタの設置幾何学的形状を考慮して、所定の向きに対応するように、シートベルトリトラクタに対して個別に設計されている。更に、フロントシート内に一体化されたシートベルトリトラクタの場合、例えば、コンバーチブルなどの場合、バックシートにアクセスするために、背もたれの傾斜角度が調節されたとき、又は背もたれが前方に折り曲げられたとき、不活性質量が、意図せずに接触面に反り、結果として、阻止レバーが、意図せずに制御運動のために制御ディスクの外歯部内に押し込まれるという問題がある。したがって、シートベルトリトラクタは、引き出し方向に阻止され、背もたれは、更に枢動することができない、又は乗員は、シートベルトを装着することができない。これを防止するために、追加の接続解除機構又は補償機構が設けられなければならないが、これらの機構は、事故の場合に乗員の拘束がすべての場合において保証されるように、これらの場合にのみ作用することができる。これらの目的が達成される結果として、この種の機械的阻止デバイスは機械的に非常に複雑である。
【0005】
電気作動可能な阻止デバイスの場合、例えば、英国特許出願公開第2398824(A)号から知られているように、対照的に、阻止レバーの運動は電気制御され、この結果として、以前に必要とされた不活性質量が省略されている。これによって、シートベルトリトラクタは、車両内の異なる設置位置において、及び背もたれ内に、変化することなく装着され得る。更に、ベルトシャフトの阻止は、制御デバイスから進行する電気信号によって制御され得る。この場合、信号は、制御デバイスによって生成され得、制御デバイスはまた、他のセンサデバイス又は制御システムに応じて、信号を生成することができる。例えば、動的支援システムが起動されたとき、ベルトシャフトを自動的に阻止することが企図され、動的支援システムは、例えば光センサデバイスの信号に応じて制御される。したがって、電気式阻止デバイスはまた、光センサデバイスの信号に応じて直接的又は間接的に制御される。更に、電気作動可能な阻止デバイスは、慣性力によって作動されず、したがって車両走行方向に対して特定の向きに向けられる必要がないので、任意の向き及び配置で機能する。したがって、好ましくは、少なくとも半自律型車両のシートに配置することもでき、乗員は、他の乗員との改善されたコミュニケーションのために、静止位置での位置合わせのために、又は一般的に、従来の非自律型車両のシートの場合に可能であったよりもかなり広い調整範囲で自律運転によって得られる自由度を利用するために、シートを調整することができる。
【0006】
出願人によって出願人の製品において使用され、英国特許出願公開第2398824(A)号の実施形態に対応する電気作動可能な阻止デバイス100は、
図1及び
図2に示されている。電気作動可能な阻止デバイス100は、基本要素として、ベースプレート15及び第1の直立リム16を備えるL字形の基本構造を有するハウジング1と、ハウジング1の第1の直立リム16上に枢動可能に取り付けられた阻止レバー2と、電磁石3と、ハウジング1の一方の端部によって保持されており、第1の直立リム16から外向きに突出する阻止レバー2のレバーアーム22の他方の端部によって接続された第1のばね4とを備える。第1のばね4は、張力ばねとして設計されており、これにより、第1のばね4は、阻止レバー2が制御ディスク21の歯部26内で阻止先端部25と係合し、これによって、制御ディスク21をベルトシャフト20に対して戻って保持する位置内に、阻止レバー2をプレロードする。歯部26を備える制御ディスク21は、本発明によるシートベルトリトラクタにおいて
図9にのみ見ることができる。このようにして、ベルトシャフト20が引き出し方向に回転すると、阻止爪は車両に固定された歯部に自動的に押し込まれ、ベルトシャフト20はその後、シートベルトの更なる引き出しに対して阻止される。阻止レバー2は、外囲部(contour part)24及びスチールプレート5を備え、スチールプレート5は、電磁石3に面し、このため、電磁石が通電されたとき、阻止レバー2は、電磁石3によって引きつけられ、したがって、制御ディスク21の歯部26から引き出される。結果として、ベルトシャフト20は、その後、引き出し及び引き込み方向に自由に回転可能である。この解決策の利点は、停電又は電磁石3の欠陥の事象においてでも、ベルトシャフト20が引き出し方向に阻止され、この場合においても、乗員が確実に拘束されることである。
【0007】
電磁石3は、柱形状の中央部分7及び2つの半径方向フランジ8を備えるベースコンポーネント6を備え、フランジ8のうちの一方は、各々の場合において、中央部分7の端のうちの一方において半径方向外向きに突出する。電磁石3は、ハウジング1のベースプレート15上にベースコンポーネント6で保持されている。ベースコンポーネント6は、管状貫通部分14を中央部分7内に有し、環状中間空間9を中央部分7上の外側に半径方向に有し、環状中間空間9は、半径方向フランジ8によって端中央部分7に向かって制限されている。更に、電磁石3は、複数の巻線を有するコイル10を備え、コイル10は環状中間空間9内に配置されており、ベースコンポーネント6内に設けられたライン11を介して外部制御デバイスと電気的に接触する。加えて、電磁石3は、第1の鉄心12を備え、第1の鉄心12は、ベースコンポーネント6の管状貫通部分14内に配置されており、自由端が阻止レバー2のスチールプレート5に面する。
【0008】
コイル10が通電されたとき、阻止レバー2は、第1の磁気回路Iを閉じるため引きつけられ、第1の磁気回路Iは、
図2の右図に見られるように、ハウジング1の第1の直立リム16、第1の鉄心12、並びに第1の鉄心12と第1の直立リム16との間にある阻止レバー2及びベースプレート15の部分によって画定される。更に、本質的に柔軟なチューブの形態、例えば短いチューブ片の形態の減衰要素13が設けられ、この要素は、阻止レバー2に面する半径方向フランジ8の2つの延長部の間にその端部でクランプされる。減衰要素13は、阻止レバー2の自由端が反り位置(
図2の左図)において減衰要素13に対して静止せず、引きつけ位置(
図2の右図)においてのみクランプ点間の減衰要素13の中央軟質部分上に静止するように配置される。その結果、阻止レバー2の引きつけ運動は、運動の最終段階で減衰される。この減衰の結果として、柔軟な停止が実現され、妨害的な「ガタガタ音」が、阻止レバー2の引きつけ運動及び起こり得るその後のわずかな運動の間に回避される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、阻止運動に関して改善された電気作動可能な阻止デバイスを備えるシートベルトリトラクタを提供することである。
【0010】
目的を達成するために、請求項1の特徴を有するシートベルトリトラクタが提案されている。更に、本発明の好ましい実施形態は、従属請求項、図、及び関連する説明から得られる。
【0011】
本発明の基本的な考え方によれば、第2のばねが設けられ、この第2のばねは、阻止レバーの阻止アームがその位置に関係なく第2のばねに対して静止するように配置され、当該レバーは、制御ディスクの歯部から出る阻止アームによる枢動運動の場合に張力をかけられることが提案される。
【0012】
提案された解決策は、いくつかの利点を有する。第1の利点は、第2のばねが、制御ディスクの歯部から出る阻止レバーの枢動運動によって張力をかけられ、制御ディスクの歯部への枢動運動中の阻止レバーの阻止運動が、第1のばねによって加えられる力に加えて、弛緩中に第2のばねによって加えられる力によって補助されることである。その結果、制御ディスクを阻止するために必要な時間、したがってベルトシャフトを阻止するための時間も、例えば4ms未満の値に減少させることができる。別の利点は、阻止レバーがその位置に関係なく第2のばねに対して静止しているので、第1に、阻止レバーの運動が直接開始され、第2に、望ましくないがたつき音が阻止レバーの位置に関係なく恒久的に防止されることである。更に、阻止レバーは、その位置に関係なく、第2のばねへの恒久的な隣接によって所定の位置に固定され、阻止レバーの不都合な動きを防止することができる。
【0013】
更に、第2のばねが、阻止アームの領域において、制御ディスクとは反対の側で阻止レバーを支持することが提案される。提案された発展形態により、阻止レバーは、第2のばね上の単純な支持によって、圧力によって作用され得る。これにより、阻止レバーと第2のばねとの追加の接続を省略することができる。更に、阻止レバーは、好ましくは、阻止アームを用いて第2のばね上に静止し、その結果、阻止レバーは、そのピボット軸受の両側の2つの相互に離間した位置において、レバーアームによって、阻止アームを介して引張力及び圧縮力で2つの側に作用される。
【0014】
更に、第2のばねが第1の端部及び第2の端部によって固定され、阻止レバーが阻止アームによって、ばねの第1の端部と第2の端部との間に配置された第2のばねのばね部分に対して静止することが提案される。第2のばねは、その2つの端部によって阻止デバイスに固定されることによって、当接部の形態で阻止レバーに対して固定され、2つの固定端部の間に設けられたばね部分と共に、阻止レバーのための弾性接触面を同時に形成する。この場合、第2のばねの2つの端部は、阻止レバーの引きつけ運動中にばね部分の領域で引っ張られ、その過程でばねに発生した締め付け力が2つの固定端部を介して阻止デバイスによって吸収されるように、引張抵抗方式で阻止デバイスに固定される。
【0015】
更に、阻止アームは、好ましくは、第2のばねに接触するように設けられた表面上に、ばねの表面に適合されたプロファイル構造を有することができる。阻止レバーと第2のばねとの間の接触面は、この適合されたプロファイル又は表面構造によって増大され得る。この場合、この適合されたプロファイル構造は、張力がかかった状態及び/又は弛緩状態の第2のばねの形状に適合されるように成形され得る。この場合、第2のばねの長手方向の方向及び第2のばねの横方向における阻止レバーの表面の成形は、表面構造を成形するために利用可能である。この場合、プロファイル構造は、例えば、阻止レバーの表面に意図的に設計された1つ又は2つの湾曲の形態で実現することができ、すなわち、意図的に不均一に設計することができる。
【0016】
プロファイル構造は、好ましくは、異なる高さの複数のカムによって形成することができ、最大高さのカムは中央に配置され、より低い高さのカムは、最大高さの中央カムに対して横方向に対称的に配置されることが分かっている。提案されたプロファイル構造の成形の結果として、阻止レバーの接触面は、第2のばねの締め付け中に、最初のより小さい接触面からより大きい接触面へと連続的に増加し、その結果、ばね力の増加と共にばねの張力を実現することができ、その結果、阻止レバーに作用する制動力も増加する。
【0017】
更に、第2のばねの表面は、阻止レバーの枢動軸に対して垂直に延びる複数の溝からなる構造を有することができる。提案されたプロファイリングは、阻止レバーが第2のばねに対する横方向の変位に対して改善された方法で溝によって固定されるという利点を有する。
【0018】
更に、第2のばねがコイルばねによって形成されることが提案される。コイルばねは、大量生産において非常に費用効果的に製造することができ、完成部品として調達及び設置することができる。この場合、それらはまた、巻線に起因して、それらが既に溝を有するプロファイル表面構造を有しており、上述したように、阻止レバーを所定の位置に横方向に固定するために使用することができるという利点を有する。
【0019】
更に、第2のばねが、阻止レバーの枢動軸に対して5~15度の角度で配置されていることが提案されており、これによって、第2のばねの長さが、同じ設置空間幅で延長され、これによってばね特性を改善することができる。コイルばねが設けられる場合、巻線のピッチは、コイルばねが巻線のピッチと反対に、対応する方法で同じ角度で配置されるという点で、提案された配置によって更に補償され得る。したがって、第2のばねは、巻線間の溝が阻止レバーの枢動軸に対して垂直に配置されるように配置することができる。
【0020】
更に、阻止レバーの枢動運動を制限する衝撃ダンパが、阻止レバー及び/又は阻止デバイスの固定された対向面に設けられることが提案される。最終段階における阻止レバーの運動は、衝撃ダンパによって更に減衰させることができる。この場合、第2のばね上に静止しているにも関わらず、阻止レバーが接触した場合に起こり得る騒音発生は、衝撃ダンパの減衰特性によって更に低減することができる。この目的のために、衝撃ダンパは、例えば、低い硬度を有するプラスチック材料から、又はエラストマーから形成することができる。
【0021】
この場合、電磁石の特に好ましい設計は、電磁石が貫通開口部を備えるコイルを有し、鉄心が電磁石に配置され、鉄心は、コイルに電圧が印加されたときにスチールプレートを介して阻止レバーに磁力を及ぼし、阻止運動又は阻止解除運動を引き起こすために第1のばねの力に対抗して当該阻止レバーを作動させることで実現することができる。
【0022】
更に、この場合、阻止レバーの運動は、少なくとも、第1の鉄心、直立した第1のリム、並びに第1の鉄心と直立した第1のリムとの間のベースプレート及び阻止レバーの部分によって形成される第1の磁気回路によって強制されることが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明について、添付の図を参照して好ましい実施形態に基づいて以下に説明する。
【
図1】
図1は、従来技術による電気作動可能な阻止デバイスの分解図である。
【
図2】
図2は、2つの異なる位置にある阻止レバーを有する、従来技術による電気作動可能な阻止デバイスの断面図である。
【
図3】
図3は、展開された電気作動可能な阻止デバイスを異なる図で示す。
【
図4】
図4は、展開された電気作動可能な阻止デバイスの異なる拡大詳細図である。
【
図5】
図5は、展開された電気作動可能な阻止デバイスの異なる拡大詳細図である。
【
図6】
図6は、展開された電気作動可能な阻止デバイスの異なる拡大詳細図である。
【
図7】
図7は、展開された電気作動可能な阻止デバイスの異なる拡大詳細図である。
【
図8】
図8は、展開された電気作動可能な阻止デバイスの異なる拡大詳細図である。
【
図9】
図9は、2つの異なる位置にある阻止レバーを有する展開された阻止デバイスを備える本発明によるシートベルトリトラクタの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図3は、本発明による展開された電気作動可能な阻止デバイス100を示しており、この阻止デバイス100は、従来技術において知られているシートベルトリトラクタにおいて概念的に使用され、
図1及び
図2における阻止デバイス100に取って代わる。開発された阻止デバイス100は、その基本構造において、
図1及び
図2を参照して説明され、従来技術において知られている阻止デバイス100に対応するため、この点に関しては、本記載の導入部における説明が参照され、それとは異なる開発された阻止デバイス100の構造的特徴、及び開発された阻止デバイス100から生じる利点のみが以下に説明される。
【0025】
図3は、
図2の左側の図に見られる阻止デバイス100の位置に対応する、反った阻止レバー2を有する位置にある展開された阻止デバイス100を示す。
図9の左側の図では、同じ展開された阻止デバイス100が、反った阻止レバー2を備える本発明によるシートベルトリトラクタ上に見られ、一方、反っていない非反り阻止レバー2を備える同じ阻止デバイス100が右側の図で見られる。阻止位置では、阻止レバー2は、制御ディスク21の歯部26内の阻止先端部25と係合し、その結果、制御ディスク21はベルトシャフト20に対して阻止され、その結果、阻止爪は、車両に固定されたシートベルトリトラクタの歯部内への制御運動のためにベルトシャフト20を引き出し方向に阻止するように強制される。そして、ベルトシャフト20は、その上に巻き付けられたシートベルトの引き出し方向が阻止される。
【0026】
先に設けられた減衰要素13(
図1及び
図2参照)の代わりに、ここでは第2のばね17が設けられており、第2のばね17は、その2つの端部18及び19によって、阻止レバー2に面する半径方向フランジ8の対向する延長部上に保持されている。第2のばね17は、複数の巻線と、表面上の当該巻線の間に配置された溝33とを有するコイルばねとして設計され、2つの端部の間に設けられたばね部分27を有する。第2のばね17は、阻止アーム23の下側に設けられたプロファイル構造28上のばね部分27で阻止レバー2を支持するように配置される。したがって、阻止レバー2はまた、反り位置において第2のばね17上に静止し、それを弾性当接部として使用し、その結果、阻止レバー2はまた、反り位置において定位置に固定され、すなわち、第2のばね17によって及ぼされるばね力に起因して歯部からの意図しない枢動に対して固定される。第2のばね17は、ここでは、阻止レバー2の枢動軸に対して5~15度の角度で、すなわち、それに対してわずかに斜めに配置され、その結果、同じ設置幅でばね長さを増加させることができる。更に、第2のばね17の向きがコイルばねの巻線のピッチと反対である場合、巻線間の溝32が阻止レバーの枢動軸に対して垂直に向けられるように、巻線のピッチを補償することができる。ここで、それらの間に形成された溝33を有する巻線は、第2のばね17に対する横方向の滑りに対して阻止レバー2を固定する表面構造を形成する。第2のばね17がコイルばねとして、例えば板ばねとして設計されていない場合、この表面構造は、第2のばね17の凹部の形態で形成することもできる。第2のばね17は、好ましくは金属製であり、その結果、プラスチックばねの使用と比較して、その特性に関して温度依存性が少なく、経年変化に対してより耐性がある。
【0027】
更に、第1の直立リム16に加えて、第1のリム16に対向する第2の直立リム35がベースプレート15上に設けられ、この第2のリムを介して、電磁石3の引きつけ力を増加させるために第2の磁気回路を閉じることができる。更に、第2のリム35は、上部半径方向フランジ8を支持する役割を果たすこともでき、あるいは第2のばね17を保持する役割を果たすこともできる。しかしながら、第2のばね17を電磁石3の半径方向フランジ8に取り付けることは、この場合、電磁石3が通電されたときに阻止レバー2に引きつけ力を及ぼす部分に第2のばね17が配置されるので、電磁石3が通電されたときの阻止レバー2の動きが直接緩衝されるという点で有利である。
【0028】
阻止デバイス100をシートベルトリトラクタ、特にシートベルトリトラクタのハウジングに固定するためのスロット34が、
図6の拡大図にも見られるように、第2のリム35に設けられている。同じスロット34を第1の直立リム16に追加的に設けることもでき、その結果、阻止デバイス100を両側で保持することもできる。
【0029】
更に、衝撃ダンパ33が、半径方向フランジ8に面するスチールプレート5の側で、阻止レバー2の下側に設けられる。ライン11は、ここでは、
図5にも見られるように、寸法的に安定した金属ピンの形態で垂直に下方に案内される接触ピンとして設計される。
【0030】
電磁石3が通電されると、阻止レバー2は、電磁石3によってスチールプレート5に及ぼされる磁力によって引きつけられ、それによって阻止先端部25が制御ディスク21の歯部26から外れるように旋回する。その結果、制御ディスク21は解放され、そのばね荷重のために、小さい回転角度だけベルトシャフト20に対して逆回転し、それによって、阻止爪を車両に固定された歯部から引き出し、その結果、ベルトシャフト20は、引き出し及び引き込み方向に自由に回転することができる。同時に、第1のばね4及び第2のばね17は、阻止レバー2の引きつけ運動によって引っ張られる。この場合、阻止レバー2は、引張力を加えながら、レバーアーム22を介して第1のばね4を締め付ける。同時に、阻止レバー2は、阻止アーム23によって、その下側に静止している第2のばね17に圧力を加え、それによって、第2のばね17は、ベースプレート15の方向に円弧状に変形する。阻止レバー2の阻止アーム23は、その下側に、
図4に見られるように、異なる高さの3つのカム29、30及び31からなるプロファイル構造28を有する。最も高いカム29は、より低い同じ高さの2つのカム30及び31の間の中央に配置される。更に、より低い同じ高さの2つのカム30及び31は、より高い高さの中央カム29に対して対称に、すなわち、そこから同じ距離に配置される。したがって、阻止レバー2の引きつけ運動中、第2のばね17は、最初に中央カム29によって引っ張られ、より低い高さの2つのカム30及び31は、後にのみ、好ましくは同時に第2のばね17上に静止するようになる。このようにして、第2のばね17は、カム29、30、31によって連続的に引っ張られ、阻止レバー2の締め付け運動は、上昇するばね力によってその端部まで減速される。したがって、カム29、30、31は、それらの端面の最も高い点又は線に関連して、張力をかけられた第2のばね17の曲率に適合された表面を形成する。もちろん、カム29、30、31は、更に、その長手方向の延長において凹状に湾曲し、その断面において第2のばね17の曲率に適合された表面を有することもでき、その結果、カム29、30、31は、周囲のより広い領域にわたって第2のばね17に対して静止する。
【0031】
更に、衝撃ダンパ33が、阻止レバー2の阻止アーム23の下側に設けられ、この衝撃ダンパは、電磁石3の半径方向フランジ8の上側の方向に面し、
図7に見られるように、最も好ましくない状況下であっても、阻止レバー2がそのスチールプレート5によって半径方向フランジ8と直接接触することを防止する。衝撃ダンパ33は先端部を有し、この先端部によって、衝撃ダンパ33は最初に半径方向フランジ8の表面に静止し、この先端部は、その形状に起因して、引きつけ運動中に阻止レバー2の減衰を増大させる。衝撃ダンパ33は、例えば、低い硬度のプラスチック材料から、エラストマーなどによって形成することができる。
【0032】
図8は、直立した第1のリム16への阻止レバー2の取り付けを示す。阻止レバー2には、側方に突出するアームが設けられており、中間空間2bを形成している。第1のリム16には、そこから上方に突出するアーム16aが設けられ、アーム16aは中間空間2bに係合する。したがって、阻止レバー2は、直立リム16に対して横方向に取り付けられる。更に、中間空間2bは、直立リム16の方向への阻止レバー2の動きを制限するための停止部を同時に形成する。
【0033】
第2のばね17は、阻止レバー2の長手方向軸に対して90度に等しくない角度で、好ましくは阻止レバー2の枢動軸に対して5~15度の角度で斜めに配置され、その結果、阻止デバイス100と同じ幅で、対応してより柔軟なばね特性を有するより長い第2のばね17を使用することができる。第2のばね17がコイルばねとして設計される場合、巻線のピッチは、溝33が阻止レバー2の枢動軸に対してほぼ垂直に配向される程度まで、第2のばね17の配置によって補償することができる。その結果、阻止レバー2は、プロファイル構造28によってばね17上に改善された保持を有し、第2のばね17上で横方向の滑りに対して改善された方法で固定される。
【0034】
引きつけ運動の緩衝に加えて、第2のばね17の利点は、第2のばね17が、電磁石3が非アクティブ化されたときに、張力がかけられた位置で阻止レバー2の阻止運動を支持し、第1のばね4に加えて、阻止レバー2を制御ディスク21の歯部26に更に押し込むことであると更に考えることができる。その結果、引き出し方向における制御ディスク21の阻止、したがってベルトシャフト20の阻止の時間を短縮することができる。したがって、阻止レバー2は、第1のばね4によって加えられる引張力及び第2のばね17によって加えられる圧縮力の両方によって、ロックに必要な枢動運動に対して駆動される。
【0035】
全体として、阻止レバー2の運動は、阻止デバイス100に向かう引きつけ運動中及び制御ディスク21の歯部26へのロック運動中の両方において、設けられた第2のばね17及び当該ばねを介して加えられる圧力によって、1つのみの第1のばね4を備える従来技術において以前から知られている解決策において可能であったよりも、実質的により低い自然な運動で、したがって実質的により制御された方法で実施することができる。特に、設けられた第2のばね17により、阻止レバー2は、ロック動作中に2つの側から枢動運動を実行させられ、第1のばね4及び第2のばね17によって阻止レバー2に及ぼされるトルクが互いに加えられる。本発明の更なる利点は、第1のばね4が何らかの理由で阻止レバー2にばね力を及ぼさないか、又はより低いばね力しか及ぼさない場合でも、阻止レバー2は第2のばね17によってロック運動を実行させられるので、阻止レバー2が依然としてロック運動を実行させられることであると考えられる。
【国際調査報告】