(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】洋上蒸気タービン発電機ユニット及び設置方法
(51)【国際特許分類】
F01K 13/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
F01K13/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556472
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022025121
(87)【国際公開番号】W WO2022207144
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000007823
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストラーダ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】バルサリ,ジャコポ
(72)【発明者】
【氏名】ポラッチ,エマヌエル
(72)【発明者】
【氏名】トラディー,アンドレア
(57)【要約】
【解決手段】 蒸気タービン発電機ユニットが開示される。蒸気タービン発電機ユニットは、下部デッキと、上部デッキと、蒸気タービン発電機とを備える。蒸気タービン発電機は、下部デッキ及び上部デッキ上に設置される。蒸気タービン発電機ユニットはまた、少なくとも2つの平行なビームの上に配置されるように意図された、少なくとも3つの継手部材を備える。蒸気タービン発電機ユニットを設置するための方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン発電機ユニット(1)であって、
下部デッキ(2)と、
前記下部デッキ(2)に結合された上部デッキ(3)と、
蒸気タービン発電機(4)であって、前記蒸気タービン発電機(4)の一部分が前記上部デッキ(3)上に設置されている、蒸気タービン発電機(4)と、
ベースプレート(31)の下面(311)に位置合わせされずに位置決めされ、少なくとも2つの平行なビーム(B)の上に配置されるように意図された、少なくとも3つの継手部材(5)と、を備える、蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項2】
前記継手部材(5)は、防振マウント(AVM)及び/又は球面継手である、請求項1に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項3】
前記下部デッキ(2)はフレーム(21)を有し、前記フレーム(21)は複数の直立材(213)を備え、
前記上部デッキ(3)はベースプレート(31)を備え、
前記ベースプレート(31)は、下面(311)及び上面(312)を有し、
前記下部デッキ(2)の前記フレーム(21)の前記直立材(213)の端部は、前記ベースプレート(31)の前記下面(311)に取り外し可能に結合可能であり、
前記蒸気タービン発電機(4)の一部分は、前記下部デッキ(2)の前記フレーム(2)上に設置されており、前記蒸気タービン発電機(4)の他の部分は、前記上部デッキ(3)の前記ベースプレート(31)上に設置されている、請求項1又は2に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項4】
前記下部デッキ(2)は、
互いに平行に配列された2つの主要横材(211)と、
互いに平行に配列されており、前記主要横材(211)に接続された一組の横方向の横材(212)と、を備え、
前記複数の直立材(213)は、前記主要横材(211)又は前記横方向の横材(212)に固定された端部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項5】
前記蒸気タービン発電機(4)は、
前記下部デッキ(2)の前記フレーム(21)上に設置された復水器(41)であって、結合フランジ(412)を有する、復水器(41)と、
同様に第1の前記下部デッキ(2)の前記フレーム(21)上に設置されたグランド蒸気復水器(42)と、を備え、
前記復水器及びグランド蒸気復水器(42)は、前記下部デッキ(2)の前記フレーム(21)上に予め設置されている、請求項4又は5に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項6】
前記蒸気タービン発電機(4)は、
前記ベースプレート(31)の上面(312)上に、前記ベースプレート(31)の上に設置されており、前記復水器(41)に対応して配列された蒸気タービン(44)と、
通気孔(451)を装備した発電機(45)であって、前記ベースプレート(31)の上面(312)に設置されている、発電機(45)と、を備え、
前記蒸気タービン(44)及び前記発電機(45)は、下部モジュール(3)の前記ベースプレート(31)上に予め設置されている、請求項3~5のいずれか一項に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項7】
前記蒸気タービン発電機(4)は、
前記復水器(41)の前記結合フランジ(412)に接続された排気ダクト(43A)と、
前記排気ダクト(43A)と前記蒸気タービン(44)との間に接続された伸縮継手(43B)と、を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項8】
前記復水器(41)は、前記フレーム(21)に取り外し可能に固定された少なくとも2つの支持体(411)を備える、請求項3に従属する場合の請求項3~7のいずれか一項に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項9】
前記フレーム(21)は、
2つの固定トラック(215)であって、前記2つの固定トラック(215)に沿って前記復水器(41)を設置することができる、2つの固定トラック(215)と、
前記固定トラック(215)と連続するように設置することができる2つの取り外し可能なトラック(216)と、を備え、
前記復水器(41)は、前記蒸気タービン発電機ユニット(1)の前記下部デッキ(2)に設置されている設置位置から、前記蒸気タービン発電機ユニット(1)の前記下部デッキ(2)から取り出されて保守動作を可能にする取り出し位置まで通過するように適合されている、請求項5~8のいずれか一項に記載の蒸気タービン発電機ユニット(1)。
【請求項10】
蒸気タービン発電機ユニット(1)を設置する方法(7、8)であって、前記蒸気タービン発電機ユニット(1)は、下部デッキ(2)及び上部デッキ(3)を備え、前記方法(7、8)は、
前記下部デッキ(2)を配列するステップ(71、81)と、
前記上部デッキ(3)を下降させるステップ(73)であって、それによって、ベースプレート(31)の前記上部デッキ(3)が少なくとも2つの平行なビーム(B)の上に配置され、前記ベースプレート(31)上に予め設置された前記上部デッキ(3)の継手部材(5)を前記少なくともビーム(B)に結合する、ステップ(73)と、
前記下部デッキ(2)を地面(G)から持ち上げるステップ(74、84)と、
前記下部デッキ(2)を前記上部デッキ(3)に接続するステップ(75、85)と、を含む、方法(7、8)。
【請求項11】
前記下部デッキ(2)を配列する前記ステップ(71)は、前記地面(G)上に配置された一時的な支持体(S)上に前記下部デッキ(2)を下降させる前記ステップ(71)を含み、
前記方法は、少なくとも2つの平行なビーム(B)を実現するステップ(72)を含む、請求項10に記載の方法(7)。
【請求項12】
前記下部デッキ(2)を配列する前記ステップは、前記下部デッキ(2)が少なくとも2つのビーム(B)の下に配列されるように押される、滑り込ませるステップ(81)を含み、
前記方法(8)は、配管バルブ、モノレール、及びラダーなどの、前記下部デッキ(2)の付属部品を設置するステップ(82)を含む、請求項10に記載の方法(8)。
【請求項13】
前記滑り込ませること(81)は、前記下部デッキ(2)を前記ビーム(B)の下の正しい位置に配置するために、キャリッジ(C)によって前記下部デッキ(2)を滑り込ませることによって行われる、請求項12に記載の方法(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洋上設備に設置されるように意図された蒸気タービン発電機ユニット、及び蒸気タービン発電機ユニットを設置するための方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
蒸気タービンは、陸上及び洋上プラットフォームのいずれかに設置され、後者は主に海底下に配置された堆積物からガスを抽出するために使用される。
【0003】
洋上プラットフォームにおける蒸気タービンの設置は、蒸気タービンが配置されなければならない特定の場所に取り付けられて適合される多数のデバイス及び補助構成要素のために、かなりの時間を必要とする。
【0004】
加えて、洋上プラットフォームはスペースの制約があり、通常は設置面積を減らす必要がある。通常、蒸気タービンは、ある量の空間を占有し、したがって、それらの設置面積を減らすことは、当該分野において歓迎されるであろう。
【0005】
また、上述したように、蒸気タービンでは、多数の補助機器をばらした状態で出荷し、顧客が現場で直接設置することが予想される。通常、蒸気タービンの設置には、パイプライン及びそのような主要部品を接続するための他の要素を除いて、最大10~15個の主要部品を数えることができる。また、蒸気タービンの設置は現場で行う必要がある。これは、複雑さを著しく増大させ、必然的に全体の設置コストを増大させる。タービンを設置するためには、全ての異なる機器を接続することを含めて、かなりの時間が必要であることが分かる。
【0006】
更に、通常、蒸気復水器は主要スキッドの下に設置されるので、蒸気タービンを復水器に接続する排気ダクトは、ダクト自体の過剰設計につながる疲労現象を被る可能性がある。
【0007】
両方のアプローチは、設置活動の運用コストに悪影響を及ぼす。したがって、従来技術の実施の制限を克服することができる改良された小型の蒸気タービンの設置が、当技術分野において歓迎されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本明細書に開示される主題は、好ましくは、下部デッキ及び上部デッキを備える洋上プラットフォーム上に設置されるように意図された、蒸気タービン発電機ユニットを対象とする。上部デッキは、下部デッキに結合される。蒸気タービン発電機は、上部デッキ上に設置されている。
【0009】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、上部デッキの支持体が、防振マウント(Anti Vibrations Mounts、AVM)及び/又は球面継手であってもよく、可能性のある振動を補償及び減衰することもできることである。
【0010】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、蒸気タービンの主要蒸気復水器、グランド蒸気復水器、及び他の補助機器が、下部デッキのフレーム上に予め設置されることである。
【0011】
別の態様では、蒸気タービン発電機は、上部デッキのベースプラットフォーム上に予め設置された蒸気タービン及び発電機を備えることが本明細書で開示される。
【0012】
一態様では、本明細書に開示される主題は、可撓性伸縮継手を介して復水器及び蒸気タービンの結合フランジに接続された、排気ダクトを対象とする。
【0013】
本開示の更なる態様は、蒸気タービン発電機ユニットを設置する方法であって、上部デッキを下降させる前に、下部デッキを設置位置に配列するステップであって、ベースプレートの上部デッキが、上部デッキの3つの継手部材によって、洋上プラットフォームの少なくとも2つのビームの上に3点で配置されるようにする、配列するステップを含む、方法に関する。次に、下部デッキを地面から持ち上げ、下部デッキを上部デッキに接続する。
【0014】
別の態様では、本明細書で開示されるのは、下部デッキが一時的な支持体上に予め下降され、地面に配置され、その後、支持ビームが洋上プラットフォームに実現されることである。
【0015】
更なる態様では、本明細書に開示されるのは、下部デッキが、既に利用可能な洋上プラットフォームの支持ビームの下に滑り込むことができることである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解される際、容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールの斜視図を例解する。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールの側面図を例解する。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールの断面斜視図を例解する。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールのベースプラットフォームの下面の平面図を例解する。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールの第1の斜視図を例解する。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールの第2の斜視図を例解する。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る蒸気タービン発電機モジュールの側面図を例解する。
【
図8】
図8は、復水器が予測される蒸気タービン発電機ユニットの下部デッキを例解する。
【
図11】
図11は、トラック上を復水器が摺動できるようにするためのローラースケートの復水器の下への配置を例解する。
【
図13】
図13は、特定の反対位置における復水器のブロックを例解する。
【
図15】
図15は、固定トラック上への油圧アクチュエータの設置を例解する。
【
図17】
図17は、2つの取り外し可能なトラックの結合を例解する。
【
図18】
図18は、復水器の設置位置及び取り外し位置を例解する。
【
図19】
図19は、蒸気タービン発電機モジュールを設置する第1の方法のフローチャートを例解する。
【
図25】
図25は、蒸気タービン発電機モジュールを設置する第2の方法のフローチャートを例解する。
【0017】
様々な図において、同じ要素は同じ参照番号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
洋上プラットフォーム及び陸上サイトでは、エネルギーを発生させるために蒸気タービンが使用される。特に洋上プラットフォームを参照すると、蒸気タービンは、輸送され、次いでプラットフォーム上に設置されなければならない。蒸気タービンは非常に複雑なプラントであり、その設置には多大な時間と技能が必要とされる。一態様によれば、本主題は、蒸気タービンと、蒸気タービンが動作してエネルギーを生成するための全ての機器及び部品とを備え、2つの独立したモジュール又はデッキ、すなわち下部デッキ及び上部デッキに分散された、蒸気タービン発電機ユニットを対象とする。下部デッキ及び上部デッキの両方は、予め取り付けられており、独立して輸送可能である。上部デッキは、蒸気タービンプラントの重い部品が配列される下部デッキが、上部デッキから結合されるか又は吊り下げられるように、少なくとも2つのビームにわたって配置されるように意図された継手部材を有し、したがって、著しい空間の節約を達成する。
【0019】
ここで図面を参照すると、
図1、
図2、及び
図3は、洋上プラットフォーム(図示せず)上に設置されるように意図された、参照符号1で示された蒸気タービン発電機ユニットの斜視図を示す。
【0020】
蒸気タービン発電機ユニット1は、蒸気タービンが動作するために必要な全ての部品を備える。それは、洋上プラットフォーム上の予め設置された機器に容易に接続されるように設計される。換言すれば、蒸気タービン発電機ユニット1は、適切なパイプラインによって接続され、特定の技術的要件又は状況に適合させるための最小限の努力で、直ちに動作可能であるように電力供給されるように設計される。
【0021】
蒸気タービン発電機ユニット1は、上部デッキ3と、上部デッキ3の下方に設置され、結合され得る下部デッキ2とを備えている。
【0022】
下部デッキ2は、フレーム21を備え、フレーム21は、平行に配列された2つの主要横材211と、互いに平行に配列され、主要横材211に接続された一組の横方向の横材212とを含み、一種の底部ベースを形成し、大きな重量であっても支持することができる。また、フレーム21は、横材211又は212に固定又は溶接された端部を有する複数の直立材213を備える。
【0023】
フレームはまた、2つの直立材213の間に接続された棚214を備え、その上に可能なデバイスを設置することができる。
【0024】
参照番号4によって全体的に示される蒸気タービンプラントは、蒸気タービン発電機ユニット1の設置面積を最小化し、同時にその設置を簡略化するために、プラント4の部品を分配して、上記の下部デッキ2及び上部デッキ3上に設置される。
【0025】
より具体的には、下部デッキ2は、第1のデッキ2のフレーム21の横方向の横材212に取り外し可能に固定された少なくとも2つの支持体411を有する復水器41と、結合フランジ412とを備え、その動作については以下で詳しく説明する。復水器41は、その重量及び設置面積のため、蒸気タービン発電機ユニット1の底部に設置されていることが分かる。
【0026】
下部デッキ2はまた、グランド蒸気復水器42を備え、これは、知られているように、グランドの最も外側のリークオフベルトにおいて大気圧未満の圧力を維持し、それによって、グランドからタービンホールへの蒸気の漏れを防止する。
【0027】
また、下部デッキ2には、蒸気タービン発電機4の排気ダクト43A及び可撓性伸縮継手43Bが設置されている。排気ダクト43Aは、フランジ412を介して復水器41に取り外し可能に結合されている。伸縮継手43Bは、以下により詳しく説明するように、排気ダクト43Aと蒸気タービンとを接続する。
【0028】
伸縮継手43Bは、蒸気タービン発電機44と復水器41との間の相対変位を吸収する。蒸気タービン発電機ユニット1のレイアウトは、以下でより詳しく説明するように、移行ダクト43A及び伸縮継手43Bに対する疲労効果も制限する。更に、復水器41は、排気ダクト43Aの接続軸が位置合わせされた状態で、又は適切な移行ダクト(図示せず)で回復することができるオフセットされた状態で設置することができる。伸縮継手43Bは、蒸気タービン発電機ユニット1が洋上プラットフォームに設置されているので、既知の海の誘引の対象となる、海の動きによって引き起こされる可能性がある復水器41と蒸気タービン発電機44との間の起こり得る位置ずれを補償する。また、伸縮継手43Bは、排気ダクト43Aの熱膨張を補償するためのものである。
【0029】
下部デッキ3は、ベースプレート31を備え、ベースプレート31は、本実施形態ではステンレス鋼で作られているが、同様の機械的特性を有する他の金属又は材料で作ることもできる。ベースプレート31は、主要横材211及び横方向の横材212に面する下面311と、下面311に対向する上面312とを有し、この上に、以下でより詳しく説明するように、蒸気タービンプラント4のいくつかの構成要素が設置される。ベースプレート31は、下部デッキ2のフレーム21の直立材213の端部に固定される。
【0030】
また、蒸気タービン発電機ユニット1は、ベースプレート31の下面311上に配置されて設置され、下部モジュール3と、ベースプレート31の下方に配置された下部デッキ2とを支持可能な3つの継手部材5を備える。3つの継手部材5は、上に蒸気タービン発電機ユニット1が設置されている洋上プラットフォームの自然な動きに起因して、起こり得る振動を軽減及び減衰する機能も有する。
【0031】
3つの継手部材5は位置合わせされておらず、ベースプレート31が平行なビームBの上に配置されるように、洋上プラットフォームの一部分である少なくとも1対の平行なビームBの上に配置されるように意図されている。次いで、下部デッキ2は、2つのビームBの下に、すなわちビームBによって形成されるプランの下に懸架されたままである。より具体的には、2つのビームBは、下部デッキ2と上部デッキ3との間を通過し、蒸気タービン発電機ユニット1全体の重量を支持し、蒸気タービン発電機ユニット1は、3つの継手部材5の上に支持されることになる。この位置決めにより、特に洋上プラットフォーム上で、大幅なスペースと障害物を節約できる。
【0032】
また、この構成は、単一リフト配列(モジュールレイアウトによって可能であれば)、又は現場で下部デッキ2に直接接続される下部デッキ3の別個の設置に適している。
【0033】
更に
図1、
図2、及び
図3を参照すると、2つの防振マウント5のみを見ることができる。問題の実施形態では、3つの継手部材は、防振マウント(AVM)5である。他の実施形態では、継手部材5は、球面継手であってもよい。
【0034】
図4を参照すると、3点(アイソスタティック)構成を得るために、3つの継手部材5がベースプレート31の下面311上にどのように分配されるかを見ることができる。この実施形態では、3つの継手部材5が三角形を形成するように配列されている。
図4では、2つの継手部材5が第1のビームB(ビームは破線で描かれている)上に載置され、第3の継手部材5が他方の平行なビームB上に載置されている。この構成によって、蒸気タービン発電機ユニット1は、2つのビームB上にしっかりと位置決めされる。当然ながら、平行なビームBに対してシステムの安定性を増加させるように、異なる数の継手部材5を予測することができる。3点変位により、上述したように、3点アイソスタティック構成を達成することを可能にし、すなわち、機械システムは、その自由度の数に等しい拘束度の数を有する。図示のレイアウトは、蒸気タービン発電機ユニット1の最適な保守も可能にする。
【0035】
引き続き
図1、
図2及び
図3を参照すると、蒸気タービンプラント4はまた、ベースプレート31の上に、特にベースプレート31の上面312に設置された蒸気タービン44を備える。蒸気タービン44は、伸縮継手43B及び排気ダクト43Aに接続されており、排気ダクト43Aを介して復水器41に接続されている。蒸気タービンプラントはまた、蒸気ガスタービン44に近接して、同様にベースプレート31の上面312に設置されており、蒸気ガスタービン44に接続された冷却器(空気又は水冷却器)451を装備した発電機45を含む。
【0036】
蒸気タービンプラント4はまた、同様にベースプレート31の上面312上に設置されており、ここでは具体的に説明しない配管及び弁によって蒸気ガスタービン44に接続された潤滑油コンソール46を装備している。排気ダクト43Aは、復水器41と蒸気ガスタービン44との間の接続部に適合するように設計される。このようにして、下部モジュール3が下部デッキ2の上方に設置されるとき、排気ダクト43Aは直ちに接続され、設置手順においてかなりの時間の浪費をしばしば伴う適合問題を回避する。
【0037】
蒸気タービン発電機ユニット1の上部デッキ3及び下部デッキ2は、2つの予め取り付けられたサブユニットを形成し、これらのサブユニットは、独立して輸送され、自律的に設置及び接続されることができる。より具体的には、ベースプレート31の下面に固定された、蒸気タービン44、発電機45、潤滑油コンソール46、及び3つの継手部材5から構成される上部デッキ3は、第1又は上部の予め取り付けられたモジュールを形成し、これは、洋上プラットフォーム上で輸送され得る。
【0038】
フレーム21と、復水器41と、グランド蒸気復水器42と、排気ダクト43Aとから構成される下部デッキ2は、第2又は下部の予め取り付けられたモジュールを形成し、これは、第1又は上部の予め取り付けられたモジュールとは独立して洋上プラットフォーム上で輸送され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、復水器41は、この構成要素の重荷及び重量を考慮して、下部デッキ2の他の部品とは独立して輸送されてもよい。蒸気タービン発電機ユニット1、次いで蒸気タービンプラント4の輸送及び設置に関するモードの詳細を以下に示す。
【0040】
一般的には、次いで、上部デッキ3が、海洋プラットフォームの構造の一部分である一対の平行なビームB上に配置され、2つの継手部材5が第1のビームB上に配置され、他方の継手部材5が他方のビームB上に配置される。次いで、上部デッキ3と下部デッキ2とが接続され、その後、伸縮継手43Bが排気ダクト43Aと蒸気タービン発電機44とを接続する。
【0041】
最後に、蒸気タービンプラント4の動作に必要な配管、弁、他の電気接続部、及び他の補助構成要素が接続され、試験される。
【0042】
蒸気タービン発電機ユニット1の取り付けが容易であることは明らかであり、蒸気タービンプラント4を動作させるために、2つのデッキを上下に組み合わせ、残りの部品を接続するだけである。下部デッキ2、特に復水器41は、次いで、上部デッキ3の下に吊り下げられる。次いで、上部デッキ3は、ビームBによって支持される。
【0043】
この解決策は、下部デッキ2上での保守を可能にし、その結果、主要なアイテムは、オーバーヘッドモノレール、ダビットを使用して、又は機器の下に設置された摺動構造を用いて行うことができる。
【0044】
平行なビームBに対するシステムの安定性を増大させるために、異なる数の継手部材5が予想され得る。
【0045】
また、レイアウトは、コンパクトであることに加えて、蒸気タービン発電機ユニット1の最適な保守を可能にすることも示す。
【0046】
ここで
図5、
図6、及び
図7を参照すると、蒸気タービン発電機ユニット1の第2の実施形態が例解されており、特に復水器41の設置を見ることができる。より具体的には、この実施形態では、フレーム21は、復水器41が設置される2つの固定トラック215と、2つの取り外し可能なトラック216とを備える。
【0047】
図5、
図6、及び
図7の復水器41は、2つの異なる位置、すなわち、復水器が参照番号41’で示され、復水器に対して任意の保守作業を行うことが可能な取り出し位置と、復水器が参照番号41で示される設置位置とで図示されている。復水器41が取り出し位置から設置位置まで通過すると、排気ダクト43Aが復水器41に接続され、復水器41が伸縮継手43Bを介して蒸気ガス発生器44に流体力学的に接続されるようになる。また、設置位置から取り出し位置まで通過ために、復水器41は、以下により詳細に説明するように、固定トラック215及び取り外し可能なトラック216上を移動することができる。取り外し可能なトラック216の取り外しは、既に設置されたデッキの全体的な設置面積を減少させる。
【0048】
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図15、
図16、
図17及び
図18を参照すると、復水器41の取り出し手順が図示されている。より具体的には、
図8及び
図9は、支持体411の各々が、端部にサドル4111を備え、それによって、それがトラック215上に載置され、シリンダ41が正しい位置に到達すると定位置にブロックするブロッキングブラケット4112を備えることを示す。
【0049】
復水器41を取り出すためには、復水器41を最初に持ち上げなければならず、したがって、支持体411と固定トラック215との間に油圧シリンダジャッキを設置することが予想される。このようにして、復水器41は摺動サドル側から持ち上げられる。
【0050】
次に、
図11、
図12A、
図12B、及び
図12Cに見られるように、ローラースケート4113が復水器41の下に取り付けられ、固定トラック215上を滑動できるようになっている。ローラースケート4113は、大きな重量を支持することができるローラーデバイスであり、それらが摺動することを可能にする。その後(
図13及び
図14参照)、復水器41は、ローラースケート4113が固定トラック215及び前後の長手方向係止ブラケット414に接触して復水器41を定位置に保持するまで下降される。長手方向係止ブラケット414はそれぞれ、ボルトによって、固定トラック215に接続されるか、又は取り出し手順中の復水器の位置に応じて、取り外し可能なトラック216に接続される。
【0051】
図15を参照すると、油圧アクチュエータ413が固定トラック215上に設置され、支持体411に接続されている。油圧アクチュエータ413を作動させることによって、復水器41は、矢印A(
図16参照)の方向に従って、2つの固定トラック215上を摺動することができる。また、取り外し可能なトラック215が追加され(
図17参照)、その結果、復水器41は、
図17の設置位置から
図18の取り出し位置まで通過することができる。
【0052】
特に、復水器41の取り出しは、以下の手順に従って行われる。
-取り外し可能なトラック216を設置する;
-全ての長手方向係止ブラケット414から接続ボルトを取り外す;
-並進速度が5m/分を超えないように、通常約250mmのストロークで、油圧アクチュエータ413を作動させる;
-ストロークが完了すると、各係止ブラケット414に対して4つのボルトを再びねじ込む。
【0053】
この手順は、復水器41が取り外し可能なトラック216上の所望の位置に到達するまで繰り返される。取り出し位置から設置位置まで通過させる手順は同じであり、これらのステップを逆にする。
【0054】
更に
図5、
図6及び
図7を参照すると、蒸気タービン発電機ユニット1の下部デッキ2のフレーム21は、真空グループ47が設置される追加の棚217を備える。
【0055】
また、復水器41は冷却管61に接続され、蒸気タービン44は抽出管62に接続されており、抽出管62はベースプレート31の下方で下部デッキ2を貫通しており、したがって空間が節約されていることが分かる。
【0056】
また、3つの継手部材5のうちの1つを見ることができ、この継手部材5は、ビームBのうちの1つの上に配置されている。
【0057】
開示された蒸気タービン発電機ユニット1の構造は、下部デッキの横滑りを必要とする状況又は必要としない状況に適合させることができるので、その設置の柔軟性のために特に便利である。
【0058】
【0059】
上述したように、上部デッキ3及び下部デッキ2は、予め設置されており、すなわち、工場で実現されて組み立てられ、独立して輸送される。特に、復水器41は、下部デッキ2上に設置されており、蒸気タービンプラント4の他の全ての部品も、下部デッキ2だけでなく上部デッキ3に既に設置されている。これにより、上部デッキ3及び下部デッキ2が工場で準備される。
【0060】
また、第1の設置方法7は、特に、蒸気タービン発電機ユニット1が配列されなければならないビームBがまだ利用可能でない場合に使用される。
【0061】
設置方法7は、一時的支持体が地面Gと下部デッキ2との間に位置するように、地面G上に配置された一時的な支持体S上に下部デッキ2を下降させるステップ71を含む(
図20参照)。排気ダクト43A及び伸縮継手43Bも設置されている。
【0062】
次いで、2つ(又はそれ以上)の平行なビームBが構築される(ステップ72、
図21)。
図21から分かるように、平行なビームBは、下部デッキ2の体積の一部を占める。
【0063】
次に、このステップでは上部デッキ3を下降させ(ステップ73、
図23)、ベースプレート31を2本の平行なビームBの上に配置する。具体的には、ベースプレート31上に予め設置された継手部材5をビームBに結合する。
【0064】
持ち上げるステップ74では、通常、ジャッキ(図示せず)によって、下部デッキ2を地面Gから持ち上げ、接続するステップ75では、下部デッキ2を上部デッキ3に接続する。
【0065】
ビームBが既に利用可能である場合、わずかに異なる設置方法を行うことができる。
図25は、蒸気タービン発電機ユニット1の第2の設置方法8を示す。
【0066】
この場合、設置方法8の第1の滑り込ませるステップ81が行われ、下部デッキ2が押されてビームBの下に配列される。特に、下部デッキ2はキャリッジCによって滑り込み、
図26に見られるように、下部デッキ2をビームBの下の正しい位置に配置する。
【0067】
設置するステップ82では、
図27に例解するように、例えば、配管バルブ、モノレール、及びラダー等の下部デッキ2の付属部品を設置する。
【0068】
次に、第1の設置方法7のステップ73と同様に、上部デッキ3を下降させる(
図28、ステップ83)。このステップでは、平行な2本のビームB上にベースプレート31を配置する。具体的には、ベースプレート31上に予め設置された継手部材5をビームBに結合する。
【0069】
次に、持ち上げるステップ84において、通常、ジャッキ(図示せず)によって、下部デッキ2を地面Gから持ち上げ(
図29参照)、接続するステップ85(
図30参照)において下部デッキ2を上部デッキ3に接続する。
【0070】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0071】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0072】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【国際調査報告】