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特表2024-510463軌道のバラスト道床をふるい分けする方法
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  • 特表-軌道のバラスト道床をふるい分けする方法 図1
  • 特表-軌道のバラスト道床をふるい分けする方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】軌道のバラスト道床をふるい分けする方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/06 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E01B27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556777
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2022053936
(87)【国際公開番号】W WO2022194481
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】A50182/2021
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール リンツ
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057CB02
2D057CB04
2D057CB07
2D057CB08
(57)【要約】
有軌道機械(8,18,21)を用いて軌道(2)のバラスト道床(4)をふるい分けする方法であって、ふるい分け機械(8)を用いて、軌きょう(5)の下に位置するバラスト(1)をバラスト除去装置(10)により除去し、作業方向(12)に関してその後方で、ふるい分け済みかつ/または新規のバラスト(1)を複数の層で、バラスト導入装置(11)およびバラスト運搬車(15)により軌道(2)に導入し、導入したバラスト(1)を、突固め機(18)と安定化機械(21)とにより締め固め、第1の突固め工程前に、バラスト導入装置(11)およびバラスト運搬車(15)により、新規かつ/またはふるい分け済みのバラスト(1)の全ての層を導入し、第1の突固め工程時に、バラスト道床(4)を、深部突固めユニット(22)により、複数の異なる深層において締め固め、その後、安定化機械(21)により軌道(2)を安定化させ、次いで直ちに、同じまたは別の突固め機(18)により、第2の突固め工程において軌きょう(5)の下を1つの深層においてのみ突き固め、第2の突固め工程後に、同じまたは別の安定化機械(21)により軌道(2)を安定化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有軌道機械(8,18,21)を用いて軌道(2)のバラスト道床(4)をふるい分けする方法であって、ふるい分け機械(8)を用いて、軌きょう(5)の下に位置するバラスト(1)をバラスト除去装置(10)により除去し、作業方向(12)に関してその後方で、ふるい分け済みかつ/または新規のバラスト(1)を複数の層で、バラスト導入装置(11)およびバラスト運搬車(15)により前記軌道(2)に導入し、導入した前記バラスト(1)を、突固め機(18)と安定化機械(21)とにより締め固める、方法において、
第1の突固め工程前に、前記バラスト導入装置(11)および前記バラスト運搬車(15)により、新規かつ/またはふるい分け済みの前記バラスト(1)の全ての層を導入し、前記第1の突固め工程時に、前記バラスト道床(4)を、深部突固めユニット(22)により、複数の異なる深層において締め固め、その後、前記安定化機械(21)により前記軌道(2)を安定化させ、次いで直ちに、同じまたは別の突固め機(18)により、第2の突固め工程において前記軌きょう(5)の下を1つの深層においてのみ突き固め、前記第2の突固め工程後に、同じまたは別の安定化機械(21)により前記軌道(2)を安定化させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも300mmの除去高さ(h1)の前記バラスト道床(4)をふるい分けする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記バラスト導入装置(11)により、少なくとも200mm、特に少なくとも250mmの道床高さ(h2’)にするためのバラスト(1)を導入する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
第1の持上げ工程において、前記軌きょう(5)を、少なくとも50mm、特に少なくとも70mmだけ持ち上げる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第2の持上げ工程において、前記軌きょう(5)を、15mm~25mmの範囲、特に20mm~25mmの範囲の持上げ量で持ち上げる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の持上げ工程後に前記深部突固めユニット(22)により、前記第1の突固め工程を前記バラスト道床(4)の下部深層において振動・締込み式の突固めピッケル(23)でもって実施し、かつ前記第2の突固め工程を前記バラスト道床(4)の上部深層において同一の突固めピッケル(23)でもって実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第2の持上げ工程後の突固め工程を、多重まくらぎ突固めユニット(20)により実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
突固め作業を、ふるい分け車に組み込まれた突固め機(18)により実施する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有軌道機械を用いて軌道のバラスト道床をふるい分けする方法であって、ふるい分け機械を用いて、軌きょうの下に位置するバラストをバラスト除去装置により除去し、作業方向に関してその後方で、ふるい分け済みかつ/または新規のバラストを複数の層で、バラスト導入装置およびバラスト運搬車により軌道に導入し、導入したバラストを、突固め機と安定化機械とにより締め固める、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト軌道は、確実かつ効率的な鉄道運転を可能にする特性を有している。バラスト軌道に対する主な要求は、静的荷重および動的荷重を吸収することである。このためにバラストは、適切な粒度分布と、個々のバラスト粒子の良好な咬合とに基づき十分な安定性および弾性を有する必要がある。この要求にとって重要なのは、少ない微細粒子および極めて鋭利な縁部である。
【0003】
比較的長い期間にわたり、動的な運転荷重や天候の影響によって、バラストは、そのポジティブな特性を次第に失っていく。無傷のバラスト道床を回復させるには、バラストをふるい分けるか、補充するか、または完全に交換する必要がある。バラストふるい分けを実施する機械は、例えばオーストリア国特許出願公開第520989号明細書から公知である。エンドレスふるい分けチェーンとして形成されたバラスト除去装置により、持ち上げられた軌きょうの下に位置するバラストが連続的に除去され、ふるい分け装置に供給される。その直後に、ふるい分け済みかつ/または新規のバラストが、バラスト導入装置により既存の路床に導入される。
【0004】
Schilling R.著の刊行物:Schotterbettreinigung auf eingleisigen Eisenbahnstrecken.ZEVrail Glasers Annalen 129, Hannover, 10. Oktober 2005, 第414~422頁には、全ての予備作業および主作業によるバラストふるい分け工程が記載されている。ふるい分け後に導入されたバラストを締め固めるためには、いわゆる機械化された保守用車(MDZ)の複数の機械が使用される。このような機械には、突固め機、バラストプラウおよび動的な軌道安定化装置(DGS)が含まれる。
【0005】
従来技術によれば、ふるい分け機械のすぐ後ろで、1回目のバラスト締固めが行われる。その後、バラストセルフ降ろし車から成るバラスト運搬車により、新規バラストが軌きょう上に降ろされる。機械的な保守用車により、軌きょうが持ち上げられ、まくらぎの下の新規バラストが締め固められる。新規バラストを供給し、軌道を持ち上げて締め固めるこの工程は、所望の高さを有するバラスト道床を達成するために繰り返される。
【0006】
この通常の実践を、図1を参照しながら詳細に説明する。この図は、4つの作業段階を有する周知の方法を明示しており、この場合は見やすくするために個々の作業ユニットのみが示されている。これらのユニットは、ふるい分け機械および機械的な保守用車の機械フレーム(図示せず)上に配置されている。
【0007】
一番上の図には、軌きょうの持上げ中の、バラスト掘削およびバラスト導入の第1の作業段階が示されている。持ち上げられた軌きょうの下から、バラストがふるい分けチェーンにより除去される。ふるい分け高さは、通常300mmである。除去された古いバラストは、ふるい分けされ、鋭利にされる。このふるい分けされたバラストの一部は、バラストコンベヤベルトによって軌道中に戻され、プラウによって150mmの最大初期高さに分散させられる。この最大初期高さは、様々な鉄道インフラストラクチャ事業者の規定に基づき、例えばフランスのSNCFによって予め設定されている。規定に従い、その直後に安定化ユニットによりバラスト締固めが行われ、このとき、バラスト道床高さは約130mmに低下する。
【0008】
第2の作業段階において、バラスト運搬車によって新規バラストが導入され、プラウによって分散させられる。次いで、軌きょうを80mmだけ持ち上げると同時に、持ち上げられたまくらぎの下を突き固める。後続の安定化工程により、軌きょうを沈下させる。まくらぎの下のバラスト道床に残された高さは、約205mmである。
【0009】
第3の作業段階は、第2の作業段階の繰り返しであり、引き続き80mmだけ持ち上げて、約280mmに沈下させる。第4の作業段階において最後の突固め工程を実施するためには、通常、軌道内に位置するバラストで十分である。ただし、新規バラストを突固め機の前に降ろすことが必要とされる場合もある。
【0010】
最後の回において、突固め機が、20mm~25mm隆起した軌きょうを、所定の幾何学形状にもたらす。その後の安定化により、約300mmの本来のバラスト道床高さへの沈下を生じさせる。最後の作業ステップにおいて、バラスト道床のプロファイリングと、まくらぎ上に位置するバラスト粒子を除去する清掃工程とが行われる。
【0011】
説明したバラストの多層導入は、長い線路保守間合を必要とする。場合により、作業を複数の線路保守間合に分けねばならず、その間は、鉄道を通行させるために大幅な減速を伴ってしか、軌道を解放することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式の方法を先行技術に比べて改良し、全ての作業を1回の短縮された線路保守間合内に実施することができるようにすることにある。この場合、締め固められたバラスト道床の質は、鉄道インフラストラクチャ事業者の基準値に相応することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、本発明に基づき、独立請求項1記載の特徴によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載されている。
【0014】
この場合、第1の突固め工程前に、バラスト導入装置およびバラスト運搬車により、新規かつ/またはふるい分け済みのバラストの全ての層を導入し、第1の突固め工程時に、バラスト道床を、突固め機に配置された深部突固めユニットにより、複数の異なる深層において締め固め、その後、安定化機械により軌道を安定化させ、次いで直ちに、同じまたは別の突固め機により、第2の突固め工程において軌きょうの下を1つの深層においてのみ突き固め、第2の突固め工程後に、同じまたは別の安定化機械により軌道を安定化させる。このようにして、周知の方法に比べ、別のバラスト運搬車による別個のバラスト導入ならびに引き続く突固め工程および安定化過程が省かれる。
【0015】
所要の線路保守間合の短縮の他に、この新規の方法は、周知の方法に比べて、より多くのふるい分けされたバラストを再使用することができるという利点を有している。このバラストは、バラスト導入装置によってふるい分け直後に軌道に導入され、中間貯蔵される必要がないか、または新規のバラストに交換される必要がない。
【0016】
新規の方法により、ふるい分け工事現場用には1台のバラスト運搬車だけが必要になる。場合により、ふるい分け機械に連結された材料搬送・サイロユニット(MFS)を使用することができ、これにより、追加的な新規バラストを工事現場に導入することができる。従来の方法では、材料搬送・サイロユニットは、工事現場に空の状態で移動させられ、廃物を積載される。
【0017】
別の利点は、突固め工程の減少にあり、これにより、バラストが傷まなくなる。さらに、バラストプラウおよび軌道安定化装置に関しても、1回の作業が省かれる。この作業工程の削減により、軌道において必要とされる人員がより少なくなる。このことは、作業コストを削減すると共に、軌道工事現場の安全に寄与する。
【0018】
全体として、従来は必要とされた複数の機械とバラストセルフ降ろし車とを省くことにより、工事現場の長さが短縮されている。その結果、工事現場の安全確保のためのコストも削減されることになる。必要とされる安全人員および安全装置が、より少なくなる。さらに、隣の軌道における制限走行速度の区間が短縮され、これにより、より多くの列車が工事現場の傍らを通過することができる。
【0019】
有利には、本発明による方法により、少なくとも300mmの除去高さのバラスト道床をふるい分けする。よって、従来の方法に比べて損失が生じることはなく、深部突固め工程により、要求される締固めの質が達成される。
【0020】
1つの別の改良は、バラスト導入装置により、少なくとも200mm、特に少なくとも250mmの道床高さにするためのバラストを導入することを想定している。このようにして、残りの持上げ工程により、締固めの質を損なうことなしに本来のバラスト道床高さが達成されることが保証されている。
【0021】
バラスト運搬車によるバラスト導入後の第1の持上げ工程に関しては、軌きょうを、少なくとも50mm、特に少なくとも70mmだけ持ち上げると有利である。これにより、最後の第2の突固め工程に関して、所定の軌道幾何学形状を形成するために、小さな持上げ量しか必要とされなくなる。
【0022】
この場合、軌きょうは、有利には第2の持上げ工程において15mm~25mmの範囲、特に20mm~25mmの範囲の持上げ量で持ち上げられる。これにより、バラスト道床を不必要に緩めることなしに、所定の軌道幾何学形状を形成するための十分な隙間が存在することになる。
【0023】
本方法は、有利な深部突固め工程により改良され、深部突固め工程では、第1の持上げ工程後に深部突固めユニットにより、第1の突固め工程がバラスト道床の下部深層において振動・締込み式の突固めピッケルでもって実施され、かつ第2の突固め工程がバラスト道床の上部深層において同一の突固めピッケルでもって実施される。この場合、突固め工程中に、軌きょうは持上げユニットによって所定の位置に保たれる。
【0024】
本発明による方法の効率は、第2の持上げ工程後の突固め工程が多重まくらぎ突固めユニットにより実施されると、さらに向上する。このようにして、第2の突固め工程は、増大した作業速度で処理される。
【0025】
突固め作業が、ふるい分け車に組み込まれた突固め機により実施されると、処理速度がさらに増大する。この場合、ふるい分け工程と各締固め工程とは、上位の制御装置によって互いに調整されている。さらに、全てのユニットへの供給は、組み込まれた各機械への最適化されたエネルギ供給と共に、ふるい分け車の共通の駆動車を介して行われる。
【0026】
以下に、例示的に添付の図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来技術による方法を示す図である。
図2】本発明による方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、軌道2への、ふるい分け済みかつ/または新規のバラスト1の層状の導入を含む、冒頭で説明した方法が示されている。路床3上に位置するバラスト1は、まくらぎ6と、その上に取り付けられたレール7とから成る軌きょう5用のバラスト道床4を形成する。バラスト道床4をふるい分けするために、有軌道ふるい分け機械8が使用される。この有軌道ふるい分け機械8は、見やすくするために破線の輪郭線によってのみ示唆されており、レール走行装置に支持された複数の機械フレームを有している。機械フレームには、軌道2を処理する装置およびユニットが配置されている。
【0029】
バラスト除去装置10が、除去高さh1(例えば300mm)のバラスト1を取り出す間、持上げ装置9によって軌きょう5が持ち上げられ、位置が保持される。この所定の除去高さh1は、露出させようとする路床3から、道床4に支持されたまくらぎ6の下縁部まで達している。もちろん、まくらぎ6の間に位置するバラスト1も一緒に拾い上げられる。通常、バラスト除去装置10は、循環式のエンドレスふるい分けチェーンを有しており、エンドレスふるい分けチェーンは、前進走行中にバラスト1を連続的に拾い上げ、ふるい装置に送るための搬送装置へ引き渡す。
【0030】
別の搬送装置が、ふるい分けされたバラスト1をバラスト導入装置11に送る。作業方向12に関して、このバラスト導入装置11により、ふるい分け済みのバラスト1の第1の層が、除去装置10のすぐ後ろで、露出した路床3に導入される。導入されたバラスト1は、プラウ13により、所望の第1の道床高さh2(例えば150mm)を有するように、路床3に分散させられる。
【0031】
この新規に形成されたバラスト道床4上に敷設された軌きょう5は、安定化ユニット14によって荷重を加えられながら振動させられる。この安定化工程により、バラスト道床4の沈下が先取りされる。結果として、低減された第2の道床高さh3(例えば約130mm)が生じることになる。
【0032】
第2の作業段階では、バラスト運搬車15により、別のバラスト層が軌道2に降ろされる。好適には専用の機械として形成されたバラストプラウ16が、調整可能なプラウ板17によりバラスト1を分散させる。これにより、まくらぎ6上およびまくらぎ6間には、第1の突固め工程のために十分なバラスト1が存在することになる。
【0033】
このために設けられた突固め機18は、持上げユニット19と突固めユニット20とを有している。持上げユニット19は、軌きょう5を第1の持上げ量h4(例えば80mm)でもって第3の道床高さh5(例えば210mm)に持ち上げる。その後、動的な軌道安定化装置(DGS)とも呼ばれる安定化機械21が使用される。この安定化装置は、別個の機械として形成されているか、または突固め機18に連結されている。安定化ユニット14の作用により、バラスト道床4は第4の道床高さh6(例えば205mm)に締固められる。
【0034】
第2の作業段階の作業ステップは、第3の作業段階でも繰り返され、このとき、第3のバラスト層が、バラスト運搬車15により軌道2に導入される。次いで、軌きょう5が、まず第2の持上げ量h7(例えば80mm)でもって第5の道床高さ(例えば285mm)に持ち上げられる。突固めユニット20による固定後に再び、安定化ユニット14により第6の道床高さh9(例えば280mm)への僅かな沈下が行われる。
【0035】
次いで、第3の突固め工程において、軌きょう5は第3の持上げ量h10(例えば20mm~25mm)でもって所定の軌道幾何学形状にもたらされる。最終的な軌道位置は、安定化ユニット14による最後の安定化の後に生じる。このようにして更新されたバラスト道床4は、ふるい分け工程前とほぼ同じ高さを有している。この周知の方法における欠点は、層状のバラスト導入に加えバラスト締固めによって必要とされる多数の作業ステップにある。
【0036】
本発明による方法は、ふるい分けされたバラスト道床4の質を低下させることなしに作業ステップを減らす。新たな作業ステップの順序を、図2を参照して説明する。
【0037】
バラスト道床4のふるい分けは、従来と同様に、ふるい分け機械8により開始される。ふるい分け機械8の持上げユニット9により、軌きょう5の処理されるべき区間が持ち上げられる。このために、持上げユニット9はローラキャッチを有しており、ローラキャッチは、レール7の各レール頭部を挟み、ふるい分け機械8の前進走行中にレール7に沿って転動する。
【0038】
持ち上げられた軌きょう区間の下にクロスビームを備えて延在するバラスト除去装置10が、所定の除去高さh1(例えば300mm)のバラスト1を拾い上げる。具体的には、バラストの拾い上げは、軌きょう5を取り囲むエンドレスふるい分けチェーンによって行われる。ふるい分けチェーンは、除去されたバラスト1を、側方通路を介して上方に向かって第1の搬送装置(図示せず)へ送る。このようにしてバラスト1は、ふるい分け機械8に配置されたふるい装置に供給される。
【0039】
ふるい装置において、バラスト1はふるい分けされる。次いで、場合により、インパクトミル内で縁部の鋭利化が行われる。ふるい分けされたバラスト1は、別の搬送装置によりバラスト導入装置11に搬送される。処理されたバラスト1が過度に少ない場合には、新規のバラスト1の補足が行われる。新規のバラスト1は、例えばふるい分け機械8の蓄え器内で共に運ばれる。新規のバラスト1は、いわゆる材料搬送・サイロユニット(MFS)によって共に運ばれてもよい。これらのユニットは、ふるい分け機械8に連結された鉄道車両であり、バラストふるい分けの際に発生する廃物の収容に用いられる。
【0040】
本発明に基づき、ふるい分け機械8のバラスト導入装置11により、従来よりも大幅に多量のバラスト1が軌道2に導入される。ふるい分け機械8のプラウ13で平滑化されたバラスト層は、有利には、露出した路床3からまくらぎ6の下縁部までを測定した、250mmの第1の道床高さh2’を有している。ふるい分け機械8に組み込まれた安定化ユニット14により、バラスト道床4は第2の道床高さh3’(約230mm)に締め固められる。
【0041】
第2の作業段階では、バラスト運搬車15によって新規のバラスト1が軌道2に投下される。このバラスト1を、バラストプラウ16が、後続の突固め工程のために分散させる。このとき、突固め機18の持上げユニット19は、軌きょう5を第1の持上げ量h4’でもって、有利には70mmだけ持ち上げる。これにより、約300mmの第3の道床高さh5’が達成される。
【0042】
本発明に相応して、この持ち上げられた位置での軌きょう5の固定が、深部突固めユニット22によって2つのステップで行われる。このようなユニット22は、同一出願人のオーストリア国特許出願公開第522237号明細書に開示されている。従来の突固めユニット20に比べ、深部突固めユニット22は、ツール支持体のより大きな鉛直方向運動範囲を有している。さらに、より長い突固めピッケル23が使用される。
【0043】
第1のステップにおいて、深部突固めユニット22の突固めピッケル23が、バラスト道床4の下部深層内に侵入し、そこで振動しながら締め込まれる。このとき、突固めピッケル端部に位置するピッケルプレートの上縁部は、まくらぎ6の下縁部の少なくとも100mm下に位置している。有利には、振動は、液圧式の締込みシリンダが接続された回転式の偏心体軸によって発生させられる。締込み動作および振動は、各液圧シリンダ内で重畳されてもよく、この場合、組み込まれた距離測定手段による相応の制御を想定することができる。
【0044】
所定の締込み力および締込み時間を達成するためには、深部突固め時に、締込みシリンダへの適合された圧力供給を考慮する必要がある。圧力調整は、深部突固めにおいて後続の通常の突固めの場合と同じ力と時間とが達成されるように適合されねばならない。場合により、第1の締固めステップにおいて突固めピッケル23を単に振動させるだけに過ぎないと、締固め結果に、全体的にポジティブな影響が及ぼされる。この場合、締込み工程は省かれる。
【0045】
次いで、直ちに、突固めピッケル23の、バラスト道床4の上部深層内への降下が行われる第2の締固めステップが行われる。そこでは締込み工程が振動供給下で実施される。この上部深層は、事前に締め固められた下部深層と、まくらぎ6の下縁部との間に位置している。このようにしてバラスト道床4は、深部突固めユニット22により、道床高さh5’全体にわたり締め固められる。その後、安定化機械21により安定化工程が行われ、これにより、僅かに低下した道床高さh6’(約295mm)が生じることになる。
【0046】
軌道2の最終的な幾何学形状は、最後の作業段階で形成される。この場合、軌道2は、同じまたは別の突固め機18によって処理される。持上げ/整正ユニット19が、所定の軌道幾何学形状に対して僅かなカントを付けて、軌きょう5を持ち上げる。これにより、後続の安定化における軌道沈下が考慮される。この第2の持上げ量h7’は、20mm~25mmの範囲内であり、ひいては第1の持上げ量h4’よりも大幅に小さくなっている。追加的に、軌きょう5の横方向の整正が行われる。
【0047】
複数のまくらぎ6の下を同時に突き固める突固めユニット20は、この作業段階の処理時間を短縮する。この突固めユニット20は、同じ突固め機18の深部突固めユニット22に追加して配置されているか、または別個の突固め機18に配置されている。最初のケースでは、同じ持上げ/整正ユニット19が、有利には全ての持上げステップに使用される。最後に、安定化工程が安定化ユニット14により行われる。この安定化ユニットは、別個の安定化機械21に配置されているか、または突固め機18に連結された機械フレームに配置されている。
【0048】
この新規の作業方法は、例示した線路ふるい分け法には限定されない。特に、本発明による方法は、突固め機18と、安定化機械21と、場合によりプラウ板17とが組み込まれたふるい分け車に適用可能である。分岐器クリーニング時または分岐器交換時にも、この方法を使用することができる。ここでも、バラストが、250mmの道床高さh2’まで一度に導入され、次の回で深部突固め、標準突固めおよび安定化が行われて締め固められる。
図1
図2
【国際調査報告】