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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A61M16/16 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556795
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 GB2022000029
(87)【国際公開番号】W WO2022195246
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2103529.0
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509342843
【氏名又は名称】スミスズ メディカル インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ウサマ ハニフ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン マーク タッパー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン ウーズナム
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ベイトマン
(57)【要約】
HME装置は、HME要素(25)を有するハウジング(10)を備える。本発明の装置は、HME要素(25)を介して装置を通過する第1ガス流路と、HME要素をバイパスする第2ガス流路とを備える。流れは、回転可能なノブ(32)によって変位可能な旋回シャッター(30)を使用して第1流路又は第2流路の間で切り替えられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)内にガス処理要素(25,205)を備えるガス処理装置であって、該装置は、
前記ガス処理要素(25,205)を介して前記装置を通過する第1ガス流路と、
前記装置を通過すると共に、前記ガス処理要素をバイパスする第2ガス流路と、
手動変位可能部材(30,201)であり、第1位置においては、前記第2ガス流路を遮断すると共に、前記第1ガス流路を露出させ、これによりガス流の全てが前記ガス処理要素(25,205)を通過し、第2位置においては、前記第1ガス流路を遮断すると共に、前記第2ガス流路を開放し、これによりガス流の全てが前記ガス処理要素(25,205)をバイパスして前記第2ガス流路を通過する、前記手動変位可能部材(30,201)と、
を備えることを特徴とする、ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス処理装置であって、前記ガス処理要素は、HME要素又はフィルタ(25,205)であることを特徴とする、ガス処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス処理装置であって、前記手動変位可能部材は、可動シャッター(30)を含み、該可動シャッター(30)は、その第1位置において前記第2ガス流路を遮断し、その第2位置において前記第1ガス流路を遮断することを特徴とする、ガス処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のガス処理装置であって、前記シャッター(30)は、平面部材(31)を含み、前記平面部材(31)は、該平面部材(31)の平面内で移動可能であることを特徴とする、ガス処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のガス処理装置であって、前記シャッター(30)は、前記平面部材(31)に対して直角な軸線周りで旋回することを特徴とする、ガス処理装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のガス処理装置であって、前記シャッター(30)は、手動回転可能ノブ(32)を含み、該手動回転可能ノブ(32)は、前記平面部材(31)に取り付けられると共に、前記旋回軸線と整列され、これにより前記ノブ(32)を回転させることによって前記シャッター(30)が第1位置と第2位置との間で移動可能であることを特徴とする、ガス処理装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のガス処理装置であって、前記手動変位可能部材(201)は、ガス入口を備える前記装置におけるハウジング(204)の第1部分であり、前記第1部分(204)は、前記第1部分上の前記ガス入口が前記ガス処理要素とガス接続を形成する第1位置と、前記第1部分上の前記ガス入口が前記ガス処理要素(205)をバイパスする前記第2ガス流路とガス接続を形成する第2位置との間で、前記ハウジングにおける第2部分に対して回転可能であることを特徴とする、ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内にガス処理要素を備えるタイプのガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が気管切開チューブ又は気管内チューブなど、気管に挿入されたチューブを通して呼吸する場合、気管支へのガス流は、鼻を通過することによって加温されたり加湿されたりすることはない。ガスが何らかの方法で加温・加湿されなければ、患者の喉に損傷や不快感をもたらす可能性がある。ガスは、換気回路内の加湿器によって調整することができるが、加温・加湿交換装置(HME)の使用が最も便利である。HMEは、吸湿性物質で処理された紙又は発泡体など、1個以上の交換要素を有する小型で軽量の装置である。患者が息を吐くと、ガスは交換要素を通過し、その熱及び水分の大部分が交換要素に与えられる。患者が息を吸い込むと、ガスは、交換要素を逆方向に通過してその交換要素内の熱及び水分の大部分を吸収するので、患者が吸い込んだガスが加温・加湿される。これらHMEは低コストであると共に、1回の使用後に使い捨て可能である。HMEは、呼吸回路内に接続されるか、又は気管チューブの機械側端に接続し、患者が自発呼吸している大気中に開放したままにしておくことができる。HMEは、フェイスマスクなどの他の呼吸装置と共に使用することができる。
【0003】
HMEは、英国のケント州アシュフォードにあるSmiths Medical(スミスメディカル)インターナショナルリミテッドからThermovent(スミスメディカルの登録商標)の名称で販売され、Hudson RCI ABからTrachVent(TrachVentは同社の登録商標)の名称で販売され、DAR、Medisize、Intersurgical(インターサージカル)、並びにその他の製造業者から販売されている。HMEの例は、以下に列挙する特許文献1~24に記載されている。スミスメディカル社から販売されている「Thermovent T」HMEは、T字形に構成されると共に、接続ポートの横方向に延在する直線状かつチューブ状のハウジングにおける対向する端部に2個のHME要素が取り付けられており、その接続ポートによって装置が気管切開チューブに装着される。HME要素用のチューブ状ハウジングは、特許文献25(EP1888157)に記載されているように、頸部の解剖学的プロファイルに沿うよう湾曲していてもよい。
【0004】
HMEは、集中治療中の患者のための呼吸回路に使用されることが多く、この場合、肺への噴霧によって薬剤を投与できることが必要な場合がある。HME媒体を介して噴霧薬剤を投与することは、噴霧された薬剤が相互作用したり捕捉されたりして肺に到達する量が減少する可能性があるので、望ましくない。この場合、HMEの効率も低下する。このような状況下においては、HMEを取り外してネブライザを接続するために、呼吸回路の接続を解除しなければならず、従って患者への換気が暫くの間行われないことになる。薬剤が投与された後、HMEは、呼吸回路に再接続されるが、これは患者への換気がやはり暫くの間行われないことを意味する。これは、患者にとって有害であり得るのみならず、臨床医にとって時間がかかる。このことを回避するために、バイパスシステムを使用することができる。この場合、二方弁によって付加的な長さのチューブが呼吸システムに接続されると共に、HME周りで延在しているので、薬剤の投与が必要な時にガスがHMEの代わりにこのチューブを通って流れることができる。しかしながら、これらシステムは、かさばり易く、扱い難く、呼吸回路に重量及びデッドスペースをもたらすことが一般的である。同じ問題は、フィルタなど、他のガス治療装置にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】GB2391816
【特許文献2】WO01/72365
【特許文献3】US5505768
【特許文献4】SE516666
【特許文献5】US3881482
【特許文献6】DE20302580
【特許文献7】DE20114355U
【特許文献8】WO97/01366
【特許文献9】US2002/0157667
【特許文献10】US6422235
【特許文献11】EP1208866
【特許文献12】US4971054
【特許文献13】EP1699515
【特許文献14】US5035236
【特許文献15】EP535016
【特許文献16】US5647344
【特許文献17】GB2267840
【特許文献18】EP856327
【特許文献19】EP1699515
【特許文献20】US7363925
【特許文献21】WO15/107320
【特許文献22】US2008/0099013
【特許文献23】GB2540456
【特許文献24】WO2017/216508
【特許文献25】EP1888157
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、代替的なガス処理装置を提供することである。
【0007】
本発明によれば、上述したタイプのガス処理装置が提供され、この装置は、ガス処理要素を介して装置を通過する第1ガス流路と、装置を通過すると共に、ガス処理要素をバイパスする第2ガス流路と、手動変位可能部材であり、第1位置においては、第2ガス流路を遮断すると共に、第1ガス流路を露出させ、これによりガス流の全てがガス処理要素を通過し、第2位置においては、第1ガス流路を遮断すると共に、第2ガス流路を開放し、これによりガス流の全てがガス処理要素をバイパスして第2ガス流路を通過する、手動変位可能部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
ガス処理要素は、好適には、HME要素又はフィルタである。手動変位可能部材は、可動シャッターを含むことができ、可動シャッターは、その第1位置において第2ガス流路を遮断し、その第2位置において第1ガス流路を遮断する。シャッターは、好適には、平面部材を含み、平面部材は、その平面部材の平面内で移動可能である。シャッターは、平面部材に対して直角な軸線周りで旋回することができる。シャッターは、手動回転可能ノブを含み、手動回転可能ノブは、平面部材に取り付けられると共に、旋回軸線と整列され、これによりノブを回転させることによってシャッターが第1位置と第2位置との間で移動可能である。代替的に、手動変位可能部材は、ガス入口を備える装置におけるハウジングの第1部分であってもよく、第1部分は、第1部分上のガス入口がガス処理要素とガス接続を形成する第1位置と、第1部分上のガス入口がガス処理要素をバイパスする第2ガス流路とガス接続を形成する第2位置との間で、ハウジングにおける第2部分に対して回転可能である。
【0009】
以下、本発明に係るHME装置を、添付図面を参照しつつ例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】HME装置の斜視図である。
図2】HMEの側断面図である。
図3】HMEにおいて、装置を通る代替的なガス流路を示す側断面図である。
図4】ハウジングの機械側端部分が取り外されると共に、HME要素を通ってガス流が通過するよう装置が設定された、HME装置の機械側端から見た状態を示す端面図である。
図5図4と同じ端面図であるが、ガス流がHME要素をバイパスするよう装置が設定された状態を示す端面図である。
図6】ハウジングの機械側端部分及び手動で変位可能な部材が取り外された状態のHME装置の機械側端を示す斜視図である。
図7図6と同じ斜視図であるが、手動で変位可能な部材が交換され、ガス流がHME装置をバイパスする位置にある状態で示す斜視図である。
図8】代替的なHME装置の斜視図である。
図9図8における装置の平断面図である。
図10図8及び図9における装置の機械側端を、手動で変位可能な部材が取り外された状態で示す斜視図である。
図11図10と同じ斜視図であるが、手動で変位可能な部材が存在し、バイパス位置にある状態で示す斜視図である。
図12】ハウジングの機械側端部分が取り外されると共に、HMEモードに設定された装置を示す、図8及び図9における機械側端の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に図1図3を参照すると、HME装置1が示されており、このHME装置は、気管内チューブ又は気管切開チューブなどの呼吸装置(図示せず)の端部における嵌合コネクタに嵌合するよう適合された患者側端カップリング又は入口12を有する円形断面の外側ハウジング10を備える。装置1の反対側の端部においては、機械側端カップリング又は出口11が患者側端カップリング12と軸線方向に整列されている。患者側端カップリング12と機械側端カップリング11との間において、ハウジング10は、機械側端に向かう主要部分14を有する横方向又は半径方向に拡大された段付き中央領域13と、患者側端に向かうより大径の短部分15を含む。ハウジング10は、2個の部分から形成されている。機械側端部分101は、機械側端カップリング11、中央領域13の主要部分14、並びに拡大領域15の一部を形成する内側リング102を含む。ハウジング10の患者側端部分103は、患者側端カップリング12、フレア状又はテーパ状の端壁104、並びに拡大領域15の外側部分105を含む。ハウジング10の患者側端部分103は、端壁104から突出すると共に、装置1の軸線に平行に突出する短いカラー106も含む。カラー106は、以下において詳述する回転可能なモード制御ノブ32を支持している。
【0012】
外側ハウジング10の中央領域13は、外側ハウジング内に同軸配置された円形断面の内側ハウジング20を包囲している。内側ハウジング20は、縮径された機械側端23及び患者側端24に向けてテーパ付けされた中央拡大領域22を有する。中央拡大領域20は、湿気の吸収を促進するために吸湿性塩で処理された段ボール紙のストリップによって提供されたHME要素25の形態のガス処理要素を含み、そのストリップは、円形コイル状に巻かれている。紙ストリップの波形は、装置の軸線と平行に整列されているので、空気がそれら波形に沿って流れることができる。内側ハウジング20は、外側ハウジング10とは別個の構成要素であってもよく、外側ハウジング10に、接着、溶剤、接着剤、又は溶接などの従来の方法で固定することができる。代替的に、図3に示すように、内側ハウジング20は、外側ハウジング10と単一の一体成形品として形成されると共に、半径方向に延在する環状壁26によって外側ハウジング内に支持されている。図6に最も明瞭に示すように、壁26は、内側ハウジング20の機械側端24が開口する中央開口27を除いて中実である。壁は更に、その壁を通ると共に、開口27の中心に配置された円弧周りに湾曲し、約120°にわたって延在するスロット28を有する。内側ハウジング20の外側は、外側ハウジング10の内側から離間しており、これにより内側ハウジングの外側周りに環状バイパスチャネル29が形成されている。壁26におけるスロット28は、バイパスチャネル29内に開口しており、これによりバイパスチャネル29を介して、機械側端カップリング11と患者側端カップリング12との間でガス連通が可能である。
【0013】
装置1は、手動で変位可能な部材30によって完成され、この部材により、装置を通るガスは、HME要素25(図3の矢印「H」の経路)又は(図3の矢印「B」の経路を介した)バイパスチャネル29の何れかを通過するよう選択的に導くことができる。図7に最も明瞭に示すように、手動変位可能部材は、プレートから直角に突出した円形ノブ32によって一端が支持された湾曲プレート31を有するシャッター30として構成されている。プレート31は、壁26におけるスロット28と同じ形状であるが、スロットのエッジに位置合わせされたときにスロットのエッジに重なるよう僅かに大きい。ノブ32は、外側ハウジング10の患者端部分103のカラー106内に受け入れられ、従ってシャッター30は、そのプレート31の一方の側が壁26の患者側表面と摺動可能に接触した状態で支持されている。ノブ32は、指と親指の間で把持できるようカラー106の外端から十分な程度に突出している。ノブ32が反時計回りに最大限ひねられると、シャッタープレート31は、壁26の湾曲スロット28上に位置するまでやはり反時計回りに移動する。これにより、スロット28を通るガスの通過が遮断され、従ってバイパスチャネル29に沿う流れが阻止される。この位置におけるシャッタープレート31の形状は、中央開口27が開放されて露出するようになっているので、HME要素25を通過する中央通路に沿うようガスが自由に流れることができる。ノブ32は、視認可能なマーキング41を有し、カラー106は、2つのマーキング42,43を有し、これによりノブの回転範囲が示される。図示の例において、シャッター30がHMEモードにある場合、ノブ32上のマーキング41は、カラー106上の左側のマーキング42と一致している。臨床医がHME25又は他のガス処理要素を流れから逸らしたいときは、ノブ32を時計回りに最大限にひねってノブ上のマーキング41をカラー106上のマーキング43と一致させる。これにより、プレート31は、中央開口27上に位置すると共に、HME要素を通過するガス流が遮断されるまでプレート31が湾曲スロット28から離れるよう時計回りに振られる。シャッタープレート31の動きは、外側ハウジング10の内側との係合によって制限されている。シャッター30、壁26、並びにハウジング10との間の摩擦により、プレート31は、ノブ32が回転されて他の位置に移動するまで移動した位置に留まる。
【0014】
装置1がHMEモードに設定されているときに患者が息を吐くと、暖かく湿った空気が患者側カップリング12を通って前方に流れ、図1図3において、右側から左側の一方向にHME要素25内に流れる。暖かく湿った空気は、HME要素25を通りつつ、波形の周り及びコイルの隣接する巻き部間のスペースに沿って流れる。この場合、空気は、その熱及び水分の大部分をHME要素25に付与する。その後に空気は、壁の中央開口27から流出し、機械側端カップリング11の孔に沿って前方から流出する。
【0015】
患者が吸入するとき、又は空気が人工呼吸器などから逆方向に供給されるとき、空気は装置1を通って同じ経路をたどるが、逆方向にたどる。吸い込まれた空気は、吐き出された空気よりも冷たく乾燥しているので、この空気がHME要素を通過すると、先行する呼気段階において要素に吸収された温かさ及び水分の大部分を取り込み、これにより患者に流れる空気が加温・加湿される。
【0016】
本発明のバイパス構成により、従来のHME要素を使用する場合、小型装置内において噴霧された薬剤を投与する際にHMEを分離する必要性が回避される。
【0017】
HME要素は、波形かつ処理された紙のコイルで構成される必要はなく、発泡体又は中空繊維など、従来のHME要素に使用される他の材料で構成してもよい。HME装置及びHME要素は、楕円形又は矩形など他の形状であってもよいので、断面が円形である必要はないが、円形の形状が最も効率的であることが分かっている。上述したHMEは、入口及び出口が軸線方向に整列された軸線方向形状を有するが、他の構成も想定可能である。
【0018】
図8図12は、HMEを通る流れを阻止又は可能にする手動変位可能部材が矩形プレート201の形態を有する代替的なHME装置200を示す。プレート201は、オフセット開口202を有し、プレートの平面に直交すると共に、HME装置200の軸線と整列された軸線「A」を中心としてその周りで回転可能に取り付けられている。プレート201のエッジ203は、ハウジング204の周りに露出しているので、把持してプレートを2つの異なる位置間で回転させることができる。一方の位置(図12参照)において、開口202は、HME要素205を通る通路と整列しており、従って患者への空気の流れ及び患者からの空気の流れが全てHME要素を通る。他方の位置(図9及び図11参照)において、開口202は、バイパスチャネル206と整列しており、プレート201がHME要素205への通路を遮断している。プレート201のエッジ203は、プレートを把持して回転させることができるよう、ハウジング204の表面から外方に向けて僅かに突出した1つ以上の表面形状(図示せず)を有することができる。
【0019】
他の実施形態において、手動変位可能部材は、回転によって変位させる必要はなく、その代わりに、例えば長手方向における摺動変位によって変位させることができる。
【0020】
代替的な実施形態においては、外側ハウジングの一部自体が、HMEモードとバイパスモードとの間で切り替えるのに変位可能であってもよい。例えば、ハウジングの一端は、中心から外れたカップリング(オフセンターカップリング)を有し、ハウジングのメイン部分に回転可能に取り付けることができる。この場合、HME要素は、ハウジング内に中心から外れて取り付けられるので、ハウジングの回転可能な端部分の1つの位置において、そのカップリングがHME要素と整列する。噴霧又は薬剤送達中にHME要素をバイパスするために、ハウジングの回転可能な部分は、HME要素との整列状態からHME要素周りのバイパスチャネルと整列するようねじられる。
【0021】
本発明は、HME装置に限定されるものではなく、ガス処理要素をバイパス可能であることが望ましい他のガス処理装置にも適用することができる。例えば、フィルタ装置においては、フィルタが物質を捕捉して肺に流れる量が減少するのを回避するために、任意の噴霧物質又は蒸気物質がフィルタ要素をバイパスするのが好適である。また、ガスフィルタの有効性は、液体物質を吸収することによって低下する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】