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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】有機電界発光素子及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/30 20230101AFI20240229BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240229BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20240229BHJP
   C07D 455/03 20060101ALI20240229BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240229BHJP
   H10K 101/60 20230101ALN20240229BHJP
【FI】
H10K85/30
H10K50/12
C07F5/02 A
C07D455/03
C07D519/00 311
H10K101:60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556891
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2022107504
(87)【国際公開番号】W WO2023093094
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111423658.X
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(71)【出願人】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】Tsinghua University,Haidian District,Beijing 100084,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】李国孟
(72)【発明者】
【氏名】段煉
(72)【発明者】
【氏名】張躍威
(72)【発明者】
【氏名】張東東
(72)【発明者】
【氏名】蔡明瀚
(72)【発明者】
【氏名】李宝雨
(72)【発明者】
【氏名】李梦真
【テーマコード(参考)】
3K107
4C072
4H048
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD69
3K107FF14
4C072MM02
4C072UU05
4H048AA03
4H048AB90
4H048VA32
4H048VB10
(57)【要約】
本願は、有機電界発光素子及び表示装置を提供し、前記有機電界発光素子は、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は、式(1)又は式(2)で示される構造を有する。本願の有機電界発光素子の発光層における蛍光色素材料と三重項-三重項消滅型ホストとを組み合わせると、素子の電圧を低下し、素子の発光効率を向上させることができる。
【化1】

式(1) 式(2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機電界発光素子であって、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は下記の式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化1】
式(1) 式(2)
式(1)では、X、Xはそれぞれ独立してO、SまたはN(R)と表され、
式(2)では、X、Xはそれぞれ独立してB(R)又はC(=O)と表され、
式(1)又は式(2)では、Aは、置換もしくは無置換のC~C60炭素環基、置換もしくは無置換のC~C60複素環基のいずれかと表され、Aが置換の炭素環基もしくは置換の複素環基であるという表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結せず、
式(1)又は式(2)では、Z-Z10はそれぞれ独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なって現れ、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結し、
は、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
は、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、R、Rに係る置換もしくは無置換という表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない、有機電界発光素子。
【請求項2】
前記蛍光色素材料は、下記の(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)、(1-6)、(2-1)、(2-2)、または(2-3)のいずれかに示す構造を有し、
【化2】
【化3】
【化4】
前記Z-Z10はそれぞれ独立してCRと表される、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結する、請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記Aは置換する下記の(3-1)、(3-2)、(3-3)、(3-4)、(3-5)、(3-6)、(3-7)、(3-8)、または(3-9)のいずれかに示す構造基と表され、
【化5】
【化6】
上記の構造のアスタリスクは、連結可能な部位を表し、前記連結は親核に連結すること及び/又は置換基が連結されていることを表し、「-」で示される環構造の表現は、当該環構造上の任意の結合可能な位置を連結することを意味し、上記の構造式の破線は連結又は非連結と表され、
前記Aが置換する構造基であるという表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを意味し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない、請求項1-3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記Aは下記の構造式のいずれかに示され、
【化7】
【化8】
【化9】
とRはそれぞれ独立して水素、重水素、トリチウム、置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC~C30シクロアルキル、ケイ素基、置換もしくは無置換のC~C30アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表され、
Zは独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なって現れ、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、R、Rに係る置換もしくは無置換という表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない、請求項1-4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記RとRはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC-C30シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表される、請求項5に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記RとRの少なくとも1つは、トリフェニル、ベンゼン三量体、テトラフェニル、フルオレニル、スピロジフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスまたはトランスインデニルフルオレニル、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、イソインドリル、カルバゾリル、インデンカルバゾリル、イソキノリニル、アクリジニル、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリニル、ベンゾ-6,7-キノリニル、ベンゾ-7,8-キノリニル、ベンゾイミダゾリル、ナフトイミダゾリル、フェナントイミダゾリル、ピリジノイミダゾリル、ピラジノイミダゾリル、キノキサリン・イミダゾール、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフトオキサゾリル、アントロオキサゾリル、フェナントロオキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリダジニル、ベンゾピリダジニル、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザプレニル、2,3-ジアザプレニル、1,6-ジアザプレニル、1,8-ジアザプレニル、4,5-ジアザプレニル、4,5,9,10-テトラアザプレニル、フェナジニル、フェノチアジン、アザカルバゾリル、ベンゾカルボリン、フェナントロリニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、テトラゾリル、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン基、プテリジン、インドリジン、ベンゾチアジアゾール、9,9-ジメチルアクリジニル、ジフェニルアミノ、アダマンタン、フルオロフェニル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、シアノフェニル、及びケイ素基という立体障害の大きな基のいずれか1つから選ばれ、または、RとRの少なくとも1つは、上記の立体障害の大きな基のうちの2つ以上の基の組み合わせから選ばれる、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記Rは、水素、重水素、トリチウム、フッ素原子、シアノ、メチル、重水素化メチル、トリチウム化メチル、エチル、重水素化エチル、トリチウム化エチル、イソプロピル、重水素化イソプロピル、トリチウム化イソプロピル、tert-ブチル、重水素化tert-ブチル、トリチウム化tert-ブチル、重水素化シクロペンチル、トリチウム化シクロペンチル、シクロヘキサン、シクロペンチル、アダマンチル、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、N-フェニルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、9,9-ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレン、メチル置換フェニル、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニル、ジフェニルアミノ、ジビフェニルアミド、トリフェニルアミノのいずれか1つと表され、
前記Rは、メチル、重水素化メチル、トリチウム化メチル、エチル、重水素化エチル、トリチウム化エチル、イソプロピル、重水素化イソプロピル、トリチウム化イソプロピル、tert-ブチル、重水素化tert-ブチル、トリチウム化tert-ブチル、重水素化シクロペンチル、トリチウム化シクロペンチル、シクロペンチル、アダマンチル、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、N-フェニルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、9,9-ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレン、メチル置換フェニル、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニルのいずれか1つと表され、
前記Rは、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、N-フェニルカルバゾリル、メチル置換フェニル、マイラン、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニルのいずれか1つと表される、請求項1-7のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
式(1)又は式(2)では、前記ZとZ10はいずれもCHである、請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
式(1)又は式(2)では、前記ZとZはいずれもCC(CH)であり、Z、Z-Z、及びZ-Z10はいずれもCHである、請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記蛍光色素材料は、下記の具体的な構造を有する化合物から選ばれる、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【請求項12】
前記三重項-三重項消滅型ホストは、BFH-1~BFH-25の1つ又は複数の組み合わせから選ばれる、請求項1-11のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【化36】
【請求項13】
前記蛍光色素材料が発光層を占める質量割合は0.1%-50%である、請求項1-12のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
前記蛍光色素材料が発光層を占める質量割合は0.5%-20%である、請求項13に記載の有機電界発光素子。
【請求項15】
請求項1―14のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、有機電界発光素子及び表示装置に関し、有機電界発光技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLEDと略称)とは、電流の駆動によって発光の目的を達成するための素子であり、その主な特性はその中の有機発光層に由来し、適切な電圧を印加すると、電子と正孔が有機発光層中で結合して励起子を発生させ、有機発光層の特性に応じて異なる波長の光を発する。
【0003】
現段階では、発光層はホスト材料及び色素材料によって構成されており、色素材料としては伝統的な蛍光材料や伝統的な燐光材料から選ばれることが多い。そのうち、伝統的な燐光材料は、効率は高いが高価で安定性が悪く、従来の蛍光材料は、安価なものの効率は極めて低い。従来の表示素子は、依然として効率が低く駆動電圧が高いなどの問題がある。
【0004】
多重共鳴(MR)材料は近年、高効率と狭いスペクトル発光を有するため、科学研究界及び産業界の大きな注目を集めている。この種の材料は、伝統的な蛍光材料及び伝統的な燐光材料に比べて、素子の性能においてはある程度の促進作用を有している。しかし、この種の材料は、低濃度の条件下でホストとゲストとの間のエネルギーを完全に利用することが困難であり、さらに濃度を増加すると効率が低下するなどの問題があり、蒸着窓が比較的狭く、プロセス要件が複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、高い発光効率と駆動電圧の安定性を有する有機電界発光素子及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、有機電界発光素子を提供し、前記有機電界発光素子は、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は下記の式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化1】
式(1) 式(2)
式(1)では、X、Xはそれぞれ独立してO、SまたはN(R)と表され、
式(2)では、X、Xはそれぞれ独立してB(R)又はC(=O)と表され、
式(1)又は式(2)では、Aは、置換もしくは無置換のC~C60炭素環基、置換もしくは無置換のC~C60複素環基のいずれかと表され、Aが置換の炭素環基もしくは置換の複素環基であるという表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結せず、
式(1)又は式(2)では、Z-Z10はそれぞれ独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なって現れ、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結し、
は、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
は、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、R、Rに係る置換もしくは無置換という表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【0007】
本願は、上記のいずれかの有機電界発光素子を備える表示装置を更に提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願の有機電界発光素子において、発光層は、三重項-三重項-消滅材料及び式(1)又は式(2)で示される構造を有する蛍光色素材料を含む。ここで、三重項消滅の効果を有しかつ三重項のエネルギー準位が低い三重項-三重項-消滅材料と、逆項間交差を示す蛍光色素材料との組み合わせで、体系内の励起子の高効率の利用及び体系内の三重項励起子の濃度の低下を実現し、素子の発光効率及び駆動電圧の改善を実現することができ、効率ロールオフが抑制される。また、本願の蛍光色素材料は、平面型多重共鳴化合物分子間の相互作用を効果的に抑制し、発光層におけるホスト材料とゲスト材料との間のDexterエネルギー移動及び分子間の相互作用の影響を抑制し、素子の発光効率及び駆動電圧の改善をさらに実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、本願の実施例を参照しながら、その技術的解決手段について明瞭、且つ完全に説明し、当然ながら、記載される実施例は本願の実施例の一部にすぎず、そのすべての実施例ではない。当業者によって本願における実施例に基づいて創造的な労働をすることなく獲得されたその他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0010】
本願は、有機電界発光素子を提供し、前記有機電界発光素子は、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は下記の式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化2】
式(1) 式(2)
式(1)では、X、Xはそれぞれ独立してO、SまたはN(R)と表され、
式(2)では、X、Xはそれぞれ独立してB(R)又はC(=O)と表され、
式(1)又は式(2)では、Aは、置換もしくは無置換のC~C60炭素環基、置換もしくは無置換のC~C60複素環基のいずれかと表され、Aが置換の炭素環基もしくは置換の複素環基であるという表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環(すなわち、前述したC~C60炭素環基)又は複素芳香環(すなわち、前述したC~C60複素環基)と環に連結するかまたは環に連結せず、
式(1)又は式(2)では、Z-Z10はそれぞれ独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なって現れ、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結し、
は、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
は、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記の「Rは毎回同じまたは異なって現れる」ということは、Z-Z10のうちの少なくとも2つがCRから選ばれるとき、任意の2つのCRの中のRは同じであってもよいし異なってもよいことを指す。例示的に、Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、R、Rに係る置換もしくは無置換という表現中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【0011】
なお、本願では、C~Cの表現は、当該基が有する炭素原子数がa~bであることを意味し、特に明記されていない限り、当該炭素原子数は、一般的に、置換基の炭素原子数を含まない。本願では、化学元素の表現は、特に明記されていない限り、通常、化学的に同じ性質の同位体の概念を含み、例えば「水素」の表現は、化学的に同じ性質の「重水素」、「トリチウム」の概念も含み、炭素(C)は、12C、13Cなどを含み、ここで繰り返して説明しない。
【0012】
本願に記載される構造式では、「-」で示される環構造の表現は、当該環構造上の任意の結合可能な位置を連結することを意味する。
【0013】
本願におけるいわゆるヘテロアリールとは、ヘテロ原子が含まれる芳香族環状基を指し、いわゆるヘテロ原子は、通常、N、O、S、P、Si、及びSeから選ばれ、好ましくはN、O、Sから選ばれる原子を指す。
【0014】
本願における上記のC~C60アリール、C~C60ヘテロアリールは、特に明記されていない限り、π共役体系を満たす芳香族基であり、いずれも単環と縮合環の場合を含む。いわゆる単環とは、分子には少なくとも1つのフェニルが含まれるが、分子に少なくとも2つのフェニルが含まれる場合、フェニルが互いに独立して、単結合で連結することを指し、例示的に、フェニル、ジフェニル、トリフェニルなどが挙げられ、縮合環とは、分子中には少なくとも2つのベンゼン環が含まれるが、ベンゼン環が互いに独立しておらず、環辺を共有して互いに縮合していくことを指し、例示的に、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられ、単環式ヘテロアリールとは、分子には少なくとも1つのヘテロアリールが含まれるが、分子に1つのヘテロアリール及び他の基(アリール、ヘテロアリール、アルキルなど)が含まれる場合、ヘテロアリール及び他の基は、互いに独立して、単結合で連結することを指し、例示的に、ピリジン、フラン、チオフェンなどが挙げられ、縮合環ヘテロアリールとは、少なくとも1つのフェニル及び少なくとも1つのヘテロアリールが縮合してなるもの、または、少なくとも2種のヘテロアリールが縮合してなるものを指し、例示的に、キノリ、イソキノリン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどが挙げられる。
【0015】
本願では、置換もしくは無置換のC~C60アリールは、C~C30アリールが好ましく、アリールの炭素数は、C、C、C10、C12、C14、C16、C18、C20、C22、C24、C26、C28などを含むがそれらに限定されなく、例示的に、フェニル、ナフチル、アントラニル、ベンゾアントラニル、フェナントリル、ベンゾフェナントリル、ピレニル、クリセニル、ポルフィリン、フルオランテン、テトラフェニル、ペンタフェニル、ベンゾピレニル、ビフェニル、ジフェニル、トリフェニル、ベンゼン三量体、テトラフェニル、フルオレニル、スピロジフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスまたはトランスインデニルフルオレニル、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセンからなる群の中のアリールとすることが好ましい。具体的には、ビフェニルは、2-ビフェニル、3-ビフェニル、及び4-ビフェニルから選ばれ、トリフェニルは、p-トリフェニル-4-イル、p-トリフェニル-3-イル、p-トリフェニル-2-イル、m-トリフェニル-4-イル、m-トリフェニル-3-イル、及びm-トリフェニル-2-イルを含み、前記ナフチルは、1-ナフチル又は2-ナフチルを含み、アントラニルは、1-アントラニル、2-アントラニル、及び9-アントラニルから選ばれ、前記フルオレニルは、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、及び9-フルオレニルから選ばれ、前記ピレニルは、1-ピレニル、2-ピレニル、及び4-ピレニルから選ばれ、テトラフェニルは、1-テトラフェニル、2-テトラフェニル、及び9-テトラフェニルから選ばれる。本願における芳香環の好ましい例として、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、インデニル、フルオレニル及びその誘導体、フルオランテン、トリフェニレン、ピレニル、ペリレニル、クリセン及びテトラフェニルからなる群の中の基が挙げられる。前記ビフェニルは、2-ビフェニル、3-ビフェニル及び4-ビフェニルから選ばれ、前記トリフェニルは、p-トリフェニル-4-イル、p-トリフェニル-3-イル、p-トリフェニル-2-イル、m-トリフェニル-4-イル、m-トリフェニル-3-イル、及びm-トリフェニル-2-イルを含み、前記ナフチルは、1-ナフチル又は2-ナフチルを含み、前記アントラニルは、1-アントラニル、2-アントラニル、及び9-アントラニルからなる群から選ばれ、前記フルオレニルは、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、及び9-フルオレニルからなる群から選ばれ、前記フルオレニル誘導体は、9,9-ジメチルフルオレン、9,9-スピロジフルオレン、及びベンゾフルオレンからなる群から選ばれ、前記ピレニルは、1-ピレニル、2-ピレニル、及び4-ピレニルからなる群から選ばれ、前記テトラフェニルは、1-テトラフェニル、2-テトラフェニル、及び9-テトラフェニルからなる群から選ばれる。本願のC~C60アリールは、上記の基を単結合で連結してなる基又は/及び縮合で組み合わせてなる基であってもよい。
【0016】
本願では、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールは、C~C30ヘテロアリールが好ましく、本願では、ヘテロアリールの炭素数は、C、C、C、C、C10、C12、C14、C16、C18、C20、C22、C24、C26、C28などを含むがそれらに限定されなく、窒素含有ヘテロアリール、酸素含有ヘテロアリール、硫黄含有ヘテロアリールなどであってもよく、具体的な例として、フラニル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル及びその誘導体、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリニル、ベンゾ-6,7-キノリニル、ベンゾ-7,8-キノリニル、フェノチアジン、フェナジニル、ピラゾリル、インダゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ナフトイミダゾリル、フェナントイミダゾリル、ピリジノイミダゾリル、ピラジノイミダゾリル、キノキサリン・イミダゾール、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフトオキサゾリル、アントロオキサゾリル、フェナントロオキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリダジニル、ベンゾピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾピリミジニル、キノキサリニル、1,5-ジアザアントラニル、2,7-ジアザプレニル、2,3-ジアザプレニル、1,6-ジアザプレニル、1,8-ジアザプレニル、4,5-ジアザプレニル、4,5,9,10-テトラアザプレニル、ピラジニル、フェナジニル、フェノチアジン、ナフチリジニル、アザカルバゾリル、ベンゾカルボリン、フェナントロリニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、テトラゾリル、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン基、プテリジン、インドリジン、ベンゾチアジアゾールなどが挙げられる。本願における複素環の好ましい例として、例えば、フラニル、チエニル、ピロリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフラニル、インドリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル及びその誘導体が挙げられ、そのうち、前記カルバゾリル誘導体は、9-フェニルカルバゾール、9-ナフチルカルバゾールベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、またはインドロカルバゾールが好ましい。本願のC~C60ヘテロアリールは、上記の基を単結合で連結してなる基又は/及び縮合で組み合わせてなる基であってもよい。
【0017】
本願では、アルキルは、特に明記されていない限り、直鎖アルキル及び分岐アルキルを含み、シクロアルキルの概念も含む。アルキルの炭素数は、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C22、C24、C26、C28などを含むがそれらに限定されない。C~C30アルキルとして、C~C20アルキルがさらに好ましく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、アダマンチル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2、2、2-トリフルオロエチルなどが挙げられ、C~C10アルキルがさらに好ましい。
【0018】
本願では、シクロアルキルは、モノシクロアルキル及びポリシクロアルキルを含み、炭素数は、C、C、C、C、C、Cなどを含むがそれらに限定されなく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0019】
本願では、C~C20アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチロキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシなどが挙げられ、ただし、好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、イソペンチルオキシであり、より好ましくはメトキシである。
【0020】
本願では、C~C20シランの例として、上記のC~C20アルキルについて挙げた基で置換されるシリルがあり、具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリルなどの基が挙げられる。
【0021】
本願では、C~C60のアリールオキシとして、上記の置換もしくは無置換C~C60アリールについて挙げた各基を酸素と連結してなる基が挙げられ、具体的な例は、上記の例を参照することができ、ここで繰り返して説明しない。
【0022】
本願では、ハロゲンの例として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
【0023】
本願では、C~C60アリールアミノ及びC~C60ヘテロアリールアミノとは、アミノ-NHの中の1つのH又は2つのHが前に挙げたC~C60アリール又はC~C60ヘテロアリールで置換されてなる基を指す。
【0024】
本願の有機電界発光素子の発光層は、ホスト材料及び蛍光色素材料を含み、ホスト材料は三重項-三重項消滅材料(Triplethora-triplet annihilation、TTAと略称)であり、蛍光色素材料は式(1)又は式(2)で示される逆項間交差の特性が示されているような平面型多重共鳴型化合物である。具体的には、ホスト材料の第1の励起一重項エネルギー準位は蛍光色素材料の第1の励起一重項エネルギー準位より大きく、ホスト材料の第1の励起三重項のエネルギー準位は蛍光色素材料の第1の励起三重項のエネルギー準位より小さい。ホスト材料と蛍光色素材料とは当該エネルギー準位関係を有するため、有機電界発光素子が電気的に励起されると、ホスト材料の第1の励起一重項励起子が低エネルギー準位の蛍光色素材料の第1の励起一重項へFoester遷移を引き起こし、蛍光色素材料は高いエネルギー準位の第1の励起三重項を有するが、逆項間交差の特性のため、蛍光色素材料はアップコンバージョンを発生することになり、蛍光色素材料自身の第1の励起三重項励起子、第1の励起一重項励起子、及びホスト材料からの第1の励起一重項励起子は基底状態へ遷移して蛍光を発する。また、蛍光色素材料の第1の励起三重項のエネルギー準位にある励起子のうち、アップコンバージョンに間に合わない一部の励起子は低エネルギー準位のホスト材料の第1の励起三重項に遷移し、そして、2つずつ消滅して一重項励起子が生成される現象が起こる。当該エネルギー移動中に、本願の有機電界発光素子は、三重項励起子を有効に利用できるだけでなく、体系内の三重項励起子の濃度が低いので、本願の有機電界発光素子は発光効率に優れ、且つ効率ロールオフ及び駆動電圧が低くなる。
【0025】
発明者は、上記の理由に加えて、素子の性能の改善の理由は本願に用いる蛍光色素材料にも関連している可能性があると考えている。一方、式(1)と式(2)の分子構造では、立体障害の大きな基で被覆された、Aで示される炭素環基又は複素環基が導入されており、当該立体障害の大きな基は、親核の発光色及びハーフピーク幅に大きな影響を与えないばかりか、平面型多重共鳴化合物の分子間の相互作用も有効に抑制し、高濃度での化合物の発光効率の低下及びスペクトルの拡がりも有効に抑制することができる。他方、式(1)と式(2)の分子構造は、発光層におけるホストとゲスト材料との間のDexterエネルギー移動及び分子間の相互作用が含まれる影響を効果的に抑制することができ、これによって、素子の発光効率を大幅に向上させて駆動電圧を低下し、効率プロセス窓幅の最適化を達成し、発光効率及び駆動電圧の安定性を高めることができる。また、式(1)と式(2)で示される蛍光色素材料の化学的合成の実行可能性がより高く、且つ様々な異なる機能の修飾が容易であるため、異なる応用ニーズに応じてさらなる構造調整を行うことができる。
【0026】
1つの実施形態では、蛍光色素材料は、下記の(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)、(1-6)、(2-1)、(2-2)、または(2-3)のいずれかに示す構造を有する。
【化3】
【0027】
-Z10はそれぞれ独立してCRと表され、前記A、R、R、Rはいずれも式(1)又は式(2)と同様の定義を有し、好ましくは、Rは隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結する。
【0028】
さらに、前述した蛍光色素材料の構造において、Aは置換する下記の(3-1)、(3-2)、(3-3)、(3-4)、(3-5)、(3-6)、(3-7)、(3-8)、または(3-9)のいずれかに示す構造基と表される。
【化4】
【0029】
上記の構造のアスタリスクは、連結可能な部位を表し、当該連結は親核に連結すること及び/又は置換基が連結されていることを表し、「-」で示される環構造の表現は、当該環構造上の任意の結合可能な位置を連結することを意味し、上記の構造式の破線は連結又は非連結と表され、Aが置換する構造基であるという表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【0030】
さらに、Aは下記の構造式のいずれかに示される。
【化5】
【0031】
とRはそれぞれ独立して水素、重水素、トリチウム、置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC~C30シクロアルキル、ケイ素基、置換もしくは無置換のC~C30アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表され、Zは独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なって現れ、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、上記のR、R、Rに係る置換もしくは無置換という表現の中の置換とは、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせによって置換されることを指し、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【0032】
さらに、上記のRとRはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC-C30シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表され、好ましくは、上記のRとRの少なくとも1つは、トリフェニル、ベンゼン三量体、テトラフェニル、フルオレニル、スピロジフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスまたはトランスインデニルフルオレニル、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、イソインドリル、カルバゾリル、インデンカルバゾリル、イソキノリニル、アクリジニル、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリニル、ベンゾ-6,7-キノリニル、ベンゾ-7,8-キノリニル、ベンゾイミダゾリル、ナフトイミダゾリル、フェナントイミダゾリル、ピリジノイミダゾリル、ピラジノイミダゾリル、キノキサリン・イミダゾール、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフトオキサゾリル、アントロオキサゾリル、フェナントロオキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリダジニル、ベンゾピリダジニル、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザプレニル、2,3-ジアザプレニル、1,6-ジアザプレニル、1,8-ジアザプレニル、4,5-ジアザプレニル、4,5,9,10-テトラアザプレニル、フェナジニル、フェノチアジン、アザカルバゾリル、ベンゾカルボリン、フェナントロリニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、テトラゾリル、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン基、プテリジン、インドリジン、ベンゾチアジアゾール、9,9-ジメチルアクリジニル、ジフェニルアミノ、アダマンタン、フルオロフェニル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、シアノフェニル、及びケイ素基という立体障害の大きな基のいずれか1つから選ばれ、または、RとRの少なくとも1つが上記の立体障害の大きな基のうちの2つ以上の基の組み合わせから選ばれる。
【0033】
また、本願の蛍光色素材料において、Rは、水素、重水素、トリチウム、フッ素原子、シアノ、メチル、重水素化メチル、トリチウム化メチル、エチル、重水素化エチル、トリチウム化エチル、イソプロピル、重水素化イソプロピル、トリチウム化イソプロピル、tert-ブチル、重水素化tert-ブチル、トリチウム化tert-ブチル、重水素化シクロペンチル、トリチウム化シクロペンチル、シクロヘキサン、シクロペンチル、アダマンチル、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、N-フェニルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、9,9-ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレン、メチル置換フェニル、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニル、ジフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、トリフェニルアミノのいずれか1つと表される。
【0034】
は、メチル、重水素化メチル、トリチウム化メチル、エチル、重水素化エチル、トリチウム化エチル、イソプロピル、重水素化イソプロピル、トリチウム化イソプロピル、tert-ブチル、重水素化tert-ブチル、トリチウム化tert-ブチル、重水素化シクロペンチル、トリチウム化シクロペンチル、シクロペンチル、アダマンチル、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、N-フェニルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、9,9-ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレン、メチル置換フェニル、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニルのいずれか1つと表される。
【0035】
は、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、N-フェニルカルバゾリル、メチル置換フェニル、アミジン、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニルのいずれか1つと表される。
【0036】
1つの具体的な実施形態では、式(1)又は式(2)では、Z、Z10はいずれもCRであり、且つ当該Rは水素であり、Z-ZはいずれもCRであり、且つ当該Rは式(1)又は式(2)と同様の定義を有する。
【0037】
別の具体的な形態では、式(1)又は式(2)では、Z、ZはいずれもCRであり、且つ当該Rはtert-ブチルであり、Z、Z-Z、及びZ-Z10はいずれもCRであり、且つ当該Rは水素である。
【0038】
より具体的には、本願の蛍光色素材料は、下記の具体的な構造を有する化合物から選ばれる。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【0039】
本願は、発光層におけるTTAホスト材料を特に限定しない。好ましくは、BFH-1~BFH-25に示す構造を有する少なくとも1つの化合物から選ばれる場合、有機電界発光素子の性能はより顕著な改善を見せられる。
【化32】
【0040】
本願の具体的な実施プロセスでは、一般的に、発光層における蛍光色素材料の質量割合を0.1%~50%に制御する。発光層における色素材料の混入量を合理的に制御することは、素子の発光効率の更なる向上に資する。当然ながら、本願に係る有機電界発光素子の発光層におけるホスト材料及び色素材料が異なると、素子の性能に及ぼす影響も異なる。従って、一般的には、異なるホスト材料及び色素材料について、発光層における色素材料の質量割合を0.5%~20%に制御すると、基本的には、優れた発光効率を有する素子を確保することができる。
【0041】
本願に係る有機電界発光素子は、発光層の厚みを特に限定せず、本分野の従来の素子の発光層の厚みと一致することができ、例えば、10-60nmとすることができる。
【0042】
本願の有機電界発光素子は、発光層に加えて、発光層の一方側に位置するアノード及び発光層の他方側に位置するカソードを含み、すなわち、発光層はカソードとアノードとの間に位置する。アノード及びカソードは本分野で一般的に使用されている材料を使用することができる。例えば、アノードは、インジウムスズ酸素(ITO)、インジウム亜鉛酸素(IZO)、二酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの酸化物透明導電材料及びこれらの任意の組み合わせを使用することができ、カソードは、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などの金属又は合金及びこれらの任意の組み合わせを使用することができる。具体的には、カソード又はアノードは、基板上にスパッタリングするかまたは対応する材料として堆積することによって形成することができ、基板は、機械的強度、熱安定性、耐水性、透明性に優れたガラスやポリマー材料である。また、ディスプレイとして使用される基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を搭載することができる。
【0043】
さらに、本願の有機電界発光素子は、カソード、発光層、及びアノードに加えて、キャリア注入及び複合化に有用な他の補助機能領域を含む。例えば、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送領域、カソードと発光層との間に位置する電子輸送領域が挙げられる。
【0044】
具体的には、正孔輸送領域は、1種の化合物のみを含有する単層正孔輸送層と、複数種の化合物を含有する単層正孔輸送層とを含む単層構造の正孔輸送層(HTL)であってもよい。アノードが発光層に向かう方向においては、正孔輸送領域は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子ブロック層(EBL)のうちの少なくとも2層を順次含む多層構造であってもよい。
【0045】
正孔輸送領域の材料(HIL、HTL、及びEBLを含む)は、CuPcなどのフタロシアニン誘導体、ポリスチレン、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチルジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸塩(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホナート)(Pani/PSS)、芳香族アミン誘導体などの導電性重合体又は導電性ドーパント含有の重合体から選ばれることができるが、これらに限定されない。
【0046】
ただし、正孔輸送補助層の材料は芳香族アミン誘導体である場合、HT-1~HT-34で示される化合物の1つ又は複数とすることができる。
【化33】
【化34】
【0047】
正孔注入層は、アノードと正孔輸送層との間に位置する。正孔注入層は、単一の化合物材料であってもよいし、複数の化合物の組み合わせであってもよい。例えば、正孔注入層は、上記のHT-1~HT-34の1つ又は複数の化合物を使用してもよいし、下記のHI1-HI3の1つ又は複数の化合物を使用してもよいし、HT-1~HT-34の1つ又は複数の化合物に下記のHI1-HI3の1つ又は複数の化合物を混入したものを使用してもよい。
【化35】
【0048】
電子輸送領域は、1種の化合物のみを含有する単層電子輸送層と、複数種の化合物を含有する単層電子輸送層とを含む単層構造の電子輸送層(ETL)であってもよい。カソードが発光層に向かう方向においては、電子輸送領域は、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)、正孔ブロック層(HBL)のうちの少なくとも2層を含む多層構造であってもよい。
【0049】
電子輸送層材料は、以下に列挙するET-1~ET-73の1つ又は複数の組み合わせから選ばれることができるが、これらに限定されない。
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【0050】
正孔ブロック層(HBL)は、電子輸送層と発光層との間に位置する。正孔ブロック層は、上記のET-1~ET-73の1つ又は複数の化合物を使用することができるがそれらに限定されない。
【0051】
電子注入層における電子注入材料は、Liq、LiF、NaCl、CsF、LiO、CsCO、BaO、Na、Li、Ca、Mg、Ag、Ybという化合物のいずれか1つ又は少なくとも2つの組み合わせを含む。
【0052】
素子の効率の向上、光学マイクロキャビティの調整などのために、素子は、カソードの上方に光取出し層(CPL層)を蒸着することができる。
【0053】
上記の各層の厚みは、本分野における従来のこれらの層の厚さを採用することができる。
【0054】
本願は、当該有機電界発光素子の製造方法をさらに提供し、当該方法は、基板上に、アノード、正孔輸送領域、発光層、電子輸送領域、カソードを順次堆積してパッケージすることを含む。発光層を製造するとき、マルチソース蒸発方法を利用して、蛍光色素材料が所定の混入比率に達するようにホスト材料の蒸着速度と蛍光色素材料の蒸着速度を調節し、三重項-三重項消滅材料源と上記のいずれかの蛍光色素材料源との共同蒸着の方法によって発光層を形成する。アノード、正孔輸送領域、電子輸送領域、カソードの堆積方式は本分野の従来方式と同じである。
【0055】
本願の有機電界発光素子は、発光層の特定の材料間の組み合わせ及び特殊な蛍光色素材料の選択により、駆動電圧が低く、効率が高いという利点がある。
【0056】
本願の第2の態様は表示装置をさらに提供し、前記表示装置は、上記のように提供される有機電界発光素子を備える。当該表示装置は、具体的に、OLEDディスプレイなどの表示素子、及び当該表示素子を備えたテレビジョン、デジタルカメラ、携帯電話、タブレットコンピュータなどの表示機能を有する任意の製品又は部品とすることができる。当該表示装置は、上記の有機電界発光素子が従来の技術に対して有する利点と同じであるため、ここで繰り返して説明しない。
【0057】
以下、本願の蛍光色素材料に係る具体的な化合物の製造方法について複数の合成実施例を例にして詳細に説明するが、本願の色素材料の製造方法はこれらの合成実施例に限定されない。
【0058】
合成工程で使用する各化学薬品、例えば、石油エーテル、tert-ブチルベンゼン、酢酸エチル、硫酸ナトリウム、トルエン、ジクロロメタン、炭酸カリウム、三臭化ホウ素、N,N-ジイソプロピルエタナミン、反応中間体などの基礎化学工業原料はすべて上海泰坦科技股▲ふん▼有限公司及びXILONG CHEMICAL CO.,LTD.から購入する。下記の化合物を同定する質量分析計は、ZAB-HS型質量分析計(英Micromass社製)を用いた。
【0059】
以下、本願の色素材料化合物の合成方法について簡単に説明する。まず、n-ブチルリチウム又はtert-ブチルリチウムなどを用いてX、X、X、及びXの間/上の水素、Cl原子をオルトメタル化する。続いて、三臭化ホウ素を添加してリチウム-ホウ素の金属交換を行った後、N,N-ジイソプロピルエチルアミンなどのブレンステッド塩基(Bronsted base)を添加して、これによりタンデムボラ-フリーデル・クラフツ反応(Tandem Bora-Friedel-Crafts Reaction)を行い、目的物を得ることができる。
【化40】
【化41】
【0060】
より具体的には、本願の代表的な具体的な蛍光色素材料化合物の合成方法は以下に示される。
【0061】
合成実施例1、化合物S-7の合成
【0062】
1、化合物S-7-2の合成では、三口フラスコに、窒素ガス通気による保護下で、S-7-1を0.01mol、3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾールを0.025mol、トルエンを150ml加えて撹拌混合し、そして、Pd(dba)を5×10-5mol、tert-ブトキシドナトリウムを0.03mol加えて、12時間還流反応し、スポットプレートをサンプリングし、ブロマイド残留がないことが確認されると、完全に反応したことを意味し、室温まで自然冷却してろ過し、ろ液を留分がなくなるまでロータリーエバポレーションし、中性シリカゲルカラム(展開剤:ジクロロメタン、石油エーテル)を通過させ、目標化合物S-7-2(9.22g、73%収率、HPLCによる分析純度99.56%)を白色粉末で得た。
【化42】
【0063】
2、化合物S-7の合成では、窒素ガス雰囲気下で、0.01molのS-7-2のo-ジクロロベンゼン溶液(100mL)に0.03molのBBr3を加えて、190℃で24時間反応した後停止する。溶媒を真空下でスピンドライし、シリカゲルカラム(展開剤:酢酸エチル:石油エーテル=50:1)を通過させ、目標化合物S-7(0.64g、5%収率、HPLCによる分析純度99.42%)を緑色の固体で得た。MALDI-TOF-MS結果では、分子イオンピーク:1271.55、元素分析結果では、理論値:C、 86.90; H、 7.85; B、 0.85; N、 4.41(%);実験値:C、 86.80; H、 7.85; B、 0.85; N、 4.51(%)。
【化43】
【0064】
合成実施例2:化合物S-13の合成
【0065】
1、化合物S-13-2の合成では、本実施例は、S-7-1を等物質量のS-13-1に置換する必要がある以外、化合物S-7-2の合成と基本的に同じである。目標化合物S-13-2(10.38g、92%収率、HPLCによる分析純度99.37%)は白色の固体である。
【化44】
【0066】
2、化合物S-13の合成では、本実施例は、S-7-2を等物質量のS-13-2に置換する必要がある以外、化合物S-7の合成と基本的に同じである。目標化合物S-13(2.38g、21%収率、HPLCによる分析純度99.33%)は緑色の固体である。MALDI-TOF-MS結果では、分子イオンピーク:1135.62、元素分析結果では、理論値:C、 86.68; H、 6.21; B、 0.95; N、 6.16(%);実験値:C、 86.78; H、 6.31; B、 0.96; N、 6.15(%)。
【化45】
【0067】
合成実施例3:化合物S-52の合成
【0068】
1、化合物S-52-2の合成では、本実施例は、S-7-1を等物質量のS-52-1に置換する必要がある以外、化合物S-7-2の合成と基本的に同じである。目標化合物S-52-2(10.89g、86%収率、HPLCによる分析純度99.53%)は白色の固体である。
【化46】
【0069】
2、化合物S-52の合成では、本実施例は、S-7-2を等物質量のS-52-2に置換する必要がある以外、化合物S-7の合成と基本的に同じである。目標化合物S-52(4.59g、36%収率、HPLCによる分析純度99.23%)は緑色の固体である。MALDI-TOF-MS結果では、分子イオンピーク:1275.02、元素分析結果では、理論値:C、 86.62; H、 8.14; B、 0.85; N、 4.39(%);実験値:C、 86.52; H、 8.24; B、 0.86; N、 4.38(%)。
【化47】
【0070】
合成実施例4:化合物S-244の合成
【0071】
1、本実施例は、S-7-1を等物質量のS-244-1に置換する必要がある以外、化合物S-7-2の合成と基本的に同じである。目標化合物S-244(3.43g、33%収率、HPLCによる分析純度99.39%)は緑色の固体である。MALDI-TOF-MS結果では、分子イオンピーク:1039.62、元素分析結果では、理論値:C、 85.43; H、 7.46; N、 4.04; O、 3.08(%);実験値:C、 85.53; H、 7.36; N、 4.06; O、 3.06(%)。
【化48】
【0072】
また、本願は、得られた他の蛍光色素材料についても質量分析(MALDI-TOF-MS分子イオンピーク)により以下の表1に示すように特徴付けられる。
【表1】
【0073】
以下、本願の有機電界発光素子について具体的な実施例を参照してさらに説明する。
【0074】
実施例1-29
【0075】
実施例1-29はそれぞれ、機電界発光素子を提供し、その構造は、アノード、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子ブロック層(EBL)、発光層(EML)、正孔ブロック層(HBL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、カソード、及び光取出し層(CPL)を順次含む。実施例1を例にして説明すると、具体的な製造方式は以下に示す。
【0076】
(1)ITO/Ag/ITO導電層を塗布したガラス板を業務用洗浄剤で超音波処理して、脱イオン水で洗浄し、アセトン:エタノールの混合溶媒で超音波によって脱油して、清潔な環境下で水分を完全に除去するまで焼き、紫外線とオゾンで洗浄して、低エネルギー陽イオンビームを表面に照射する。
【0077】
(2)上記のアノード付きのガラス基板を真空チャンバー内に置き、1×10-5Paより小さくなるまで真空引きし、上記のアノード層膜上にHT-24とHI-2とを正孔注入層として共蒸着し、HI-2の割合が3%で、HT-24の蒸着速度が0.1nm/sで、蒸着膜厚が10nmである。
【0078】
(3)正孔注入層の上に、0.1nm/sの蒸着速度で蒸着総膜厚が110nmとなるように、正孔輸送層HT-24を真空蒸着する。
【0079】
(4)正孔輸送層の上に、0.1nm/sの蒸着速度で蒸着総膜厚が5nmとなるように、電子ブロック層EB-1を真空蒸着する。
【0080】
(5)電子ブロック層の上に、ホスト材料BFH-4及び蛍光色素材料S-7を含む発光層を真空共蒸着し、マルチソース蒸発方法を使用して、2%の混入比率で色素材料を蒸着し、ホスト蒸着速度が0.1nm/sで、蒸着膜厚が20nmである。
【0081】
(6)発光層の上に、0.1nm/sの蒸着速度で蒸着総膜厚が5nmとなるように、正孔ブロック層HB-1を真空蒸着する。
【0082】
(7)正孔ブロック層の上に、ET-57とET-69とを電子輸送層として真空共蒸着し、ET-57とET-69との比が1:1で、ET-57とET-69との蒸着速度がいずれも0.1nm/sで、蒸着総膜厚が30nmである。
【0083】
(8)電子輸送層の上に、1nm厚みのYbを電子注入層として真空蒸着する。
【0084】
(9)電子注入層の上に、15nm厚みのマグネシウム-銀(Mg-Ag)合金層を素子のカソードとして蒸着し、Mg:Agの比が1:9である。
【0085】
(10)カソードの上に、65nm厚みのC-1を素子の光取出し層として蒸着する。
【0086】
具体的には、当該素子は、トップ発光構造であり、下から上まで、アノード、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、カソード、及び光取出し層を含む。
【化49】
【0087】
実施例2-29により提供される有機電界発光素子において、具体的な製造方法は、ホスト材料と蛍光色素材料の具体的な選択及び発光層における蛍光色素材料の質量割合以外、実施例1と類似する。実施例における素子の蛍光色素材料の一部の関連特性は以下の表1に示す。
【0088】
比較例1-8
【0089】
比較例1-8は、有機電界発光素子を提供し、その構造は、発光層のホスト材料と色素材料が実施例に用いる材料と一致しないかまたは混入濃度が一致しない以外、実施例1-29と一致し、対応する功能層のパラメータは実施例1-29と基本的に一致する。
【化50】
【0090】
実施例1-29と比較例1-8の有機電界発光素子の具体的な組成は表2に示す。
【0091】
実施例と比較例に係る素子について以下のようにテストし、テスト結果を表2に示す。
【0092】
実施例1-29と比較例1-8で製造して得た有機電界発光素子について、その駆動電圧及びBI値を、Keithley K 2400デジタルソーステーブル及びPR 655スペクトル走査輝度計を使用して同一輝度にて測定した。具体的には、1秒あたり0.1Vの速度で電圧を上げ、有機電界発光素子の輝度が1000cd/mに達した時の電圧、すなわち駆動電圧を測定するとともに、このときの電流密度を測定し、輝度と電流密度の比が電流効率であり、1000cd/mときの電流効率をそのときの素子スペクトルのCIEy値で割ると、1000cd/mときの素子のBI値となる。
【0093】
【表2】
【0094】
表2により、
1、本願の実施例1-29の有機電界発光素子は、比較例と比較して、分子構造の中に立体障害の大きな基を有するAで示される炭素環基又は複素環基を導入することにより、駆動電圧を効果的に低下し、発光効率を向上させることができること、
2、本願の実施例1-29における式(1)又は式(2)で示される蛍光色素材料を用いた有機電界発光素子は、比較例1-4と比較して、蛍光色素材料の質量割合への依存度が低く、蛍光色素材料の質量割合の変化に伴う素子の駆動電圧及び発光効率の変動が顕著ではなく、さらに、実施例1-5及び実施例6-9から、蛍光色素材料の質量割合が0.5-20%である場合、素子の性能がより優れていることがわかること、
3、実施例26-27及び実施例28-29から、式(1)又は式(2)で示される蛍光色素材料のZ及びZ10がいずれもCHである場合、素子の駆動電圧の低下及び発光効率の向上により有利であること、及び
4、比較例1-4では、ref-1とref-2分子を色素材料として使用する場合、素子の駆動電圧及び発光効率はいずれも実施例より劣るが、ref1とref2について色素材料の混入濃度を変更した場合、素子の駆動電圧及び発光効率はいずれも大きく変化し、比較例5-8では、他のタイプの非三重項-三重項消滅型ホストref-3とref-4分子を使用した場合、素子の駆動電圧は、実施例と比較して、明らかに向上し且つ発光効率が低下したことから、本願は、三重項-三重項消滅型ホストを使用するとより優れた素子性能を達成することができ、現在のパネル製造会社の高性能材料に対する要求を満たすことができ、良い応用見通しがあること、がわかる。
【0095】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものであって、それを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本願を詳細に説明しているが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。
【0096】
本願は2021年11月26日に中国特許局に提出された、出願番号が202111423658.Xで、出願の名称が「有機電界発光素子及び表示装置」という中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機電界発光素子であって、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は下記の式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化1】
式(1) 式(2)
式(1)では、X、Xはそれぞれ独立してO、SまたはN(R)と表され、
式(2)では、X、Xはそれぞれ独立してB(R)又はC(=O)と表され、
式(1)又は式(2)では、Aは、置換もしくは無置換のC~C60炭素環基、置換もしくは無置換のC~C60複素環基のいずれかと表され、A中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結せず、
式(1)又は式(2)では、Z-Z10はそれぞれ独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なっており、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結し、
は、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
は、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、RR中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない、有機電界発光素子。
【請求項2】
前記蛍光色素材料は、下記の(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)、(1-6)、(2-1)、(2-2)、または(2-3)のいずれかに示す構造を有し、
【化2】
【化3】
【化4】
前記Z-Z10はそれぞれ独立してCRと表される、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結する、請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記Aは置換する下記の(3-1)、(3-2)、(3-3)、(3-4)、(3-5)、(3-6)、(3-7)、(3-8)、または(3-9)のいずれかに示す構造基と表され、
【化5】
【化6】
上記の構造のアスタリスクは、連結可能な部位を表し、前記連結は親核に連結すること及び/又は置換基が連結されていることを表し、「-」で示される環構造の表現は、当該環構造上の任意の結合可能な位置を連結することを意味し、上記の構造式の破線は連結又は非連結と表され、
前記A中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない、請求項1-3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記Aは下記の構造式のいずれかに示され、
【化7】
【化8】
【化9】
とRはそれぞれ独立して水素、重水素、トリチウム、置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC~C30シクロアルキル、ケイ素基、置換もしくは無置換のC~C30アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表され、
Zは独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なっており、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、R の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない、請求項1-のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記RとRはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC-C30シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表される、請求項5に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記RとRの少なくとも1つは、トリフェニル、ベンゼン三量体、テトラフェニル、フルオレニル、スピロジフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスまたはトランスインデニルフルオレニル、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、イソインドリル、カルバゾリル、インデンカルバゾリル、イソキノリニル、アクリジニル、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリニル、ベンゾ-6,7-キノリニル、ベンゾ-7,8-キノリニル、ベンゾイミダゾリル、ナフトイミダゾリル、フェナントイミダゾリル、ピリジノイミダゾリル、ピラジノイミダゾリル、キノキサリン・イミダゾール、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフトオキサゾリル、アントロオキサゾリル、フェナントロオキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリダジニル、ベンゾピリダジニル、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザプレニル、2,3-ジアザプレニル、1,6-ジアザプレニル、1,8-ジアザプレニル、4,5-ジアザプレニル、4,5,9,10-テトラアザプレニル、フェナジニル、フェノチアジン、アザカルバゾリル、ベンゾカルボリン、フェナントロリニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、テトラゾリル、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン基、プテリジン、インドリジン、ベンゾチアジアゾール、9,9-ジメチルアクリジニル、ジフェニルアミノ、アダマンタン、フルオロフェニル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、シアノフェニル、及びケイ素基という立体障害の大きな基のいずれか1つから選ばれ、または、RとRの少なくとも1つは、上記の立体障害の大きな基のうちの2つ以上の基の組み合わせから選ばれる、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記Rは、水素、重水素、トリチウム、フッ素原子、シアノ、メチル、重水素化メチル、トリチウム化メチル、エチル、重水素化エチル、トリチウム化エチル、イソプロピル、重水素化イソプロピル、トリチウム化イソプロピル、tert-ブチル、重水素化tert-ブチル、トリチウム化tert-ブチル、重水素化シクロペンチル、トリチウム化シクロペンチル、シクロヘキサン、シクロペンチル、アダマンチル、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、N-フェニルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、9,9-ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレン、メチル置換フェニル、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニル、ジフェニルアミノ、ジビフェニルアミド、トリフェニルアミノのいずれか1つと表され、
前記Rは、メチル、重水素化メチル、トリチウム化メチル、エチル、重水素化エチル、トリチウム化エチル、イソプロピル、重水素化イソプロピル、トリチウム化イソプロピル、tert-ブチル、重水素化tert-ブチル、トリチウム化tert-ブチル、重水素化シクロペンチル、トリチウム化シクロペンチル、シクロペンチル、アダマンチル、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、フラニル、チエニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、N-フェニルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、9,9-ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレン、メチル置換フェニル、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニルのいずれか1つと表され、
前記Rは、フェニル、重水素化フェニル、トリチウム化フェニル、ジフェニル、重水素化ジフェニル、トリチウム化ジフェニル、重水素化トリフェニル、トリチウム化トリフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、ピリジニル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、N-フェニルカルバゾリル、メチル置換フェニル、マイラン、エチル置換フェニル、イソプロピル置換フェニル、tert-ブチル置換フェニル、メチル置換ジフェニル、エチル置換ジフェニル、イソプロピル置換ジフェニル、tert-ブチル置換ジフェニル、重水素化メチル置換フェニル、重水素化エチル置換フェニル、重水素化イソプロピル置換フェニル、重水素化tert-ブチル置換フェニル、重水素化メチル置換ジフェニル、重水素化エチル置換ジフェニル、重水素化イソプロピル置換ジフェニル、重水素化tert-ブチル置換ジフェニル、トリチウム化メチル置換フェニル、トリチウム化エチル置換フェニル、トリチウム化イソプロピル置換フェニル、トリチウム化tert-ブチル置換フェニル、トリチウム化メチル置換ジフェニル、トリチウム化エチル置換ジフェニル、トリチウム化イソプロピル置換ジフェニル、トリチウム化tert-ブチル置換ジフェニルのいずれか1つと表される、請求項1-のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
式(1)又は式(2)では、前記ZとZ10はいずれもCHである、請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
式(1)又は式(2)では、前記ZとZはいずれもCC(CH)であり、Z、Z-Z、及びZ-Z10はいずれもCHである、請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記蛍光色素材料は、下記の具体的な構造を有する化合物から選ばれる、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【請求項12】
前記三重項-三重項消滅型ホストは、BFH-1~BFH-25の1つ又は複数の組み合わせから選ばれる、請求項1-のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【化36】
【請求項13】
前記蛍光色素材料が発光層を占める質量割合は0.1%-50%である、請求項1-のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
前記蛍光色素材料が発光層を占める質量割合は0.5%-20%である、請求項13に記載の有機電界発光素子。
【請求項15】
請求項1―のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を備える表示装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本願は、有機電界発光素子を提供し、前記有機電界発光素子は、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は下記の式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化1】
式(1) 式(2)
式(1)では、X、Xはそれぞれ独立してO、SまたはN(R)と表され、
式(2)では、X、Xはそれぞれ独立してB(R)又はC(=O)と表され、
式(1)又は式(2)では、Aは、置換もしくは無置換のC~C60炭素環基、置換もしくは無置換のC~C60複素環基のいずれかと表され、A中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結せず、
式(1)又は式(2)では、Z-Z10はそれぞれ独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なっており、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結し、
は、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
は、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、RR中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本願は、有機電界発光素子を提供し、前記有機電界発光素子は、三重項-三重項消滅型ホスト及び蛍光色素材料を含む発光層を含み、前記蛍光色素材料は下記の式(1)又は式(2)で示される構造を有し、
【化2】
式(1) 式(2)
式(1)では、X、Xはそれぞれ独立してO、SまたはN(R)と表され、
式(2)では、X、Xはそれぞれ独立してB(R)又はC(=O)と表され、
式(1)又は式(2)では、Aは、置換もしくは無置換のC~C60炭素環基、置換もしくは無置換のC~C60複素環基のいずれかと表され、A中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環(すなわち、前述したC~C60炭素環基)又は複素芳香環(すなわち、前述したC~C60複素環基)と環に連結するかまたは環に連結せず、
式(1)又は式(2)では、Z-Z10はそれぞれ独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なっており、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、
は隣接するRと単結合で連結し、Rは隣接するRと単結合で連結し、
は、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC-C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
は、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記の「Rは毎回同じまたは異なっている」ということは、Z-Z10のうちの少なくとも2つがCRから選ばれるとき、任意の2つのCRの中のRは同じまたは異なっていることを指す。例示的に、Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、
上記のR、RR中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本願では、置換もしくは無置換のC~C60アリールは、C~C30アリールが好ましく、アリールの炭素数は、C、C、C10、C12、C14、C16、C18、C20、C22、C24、C26、C28などを含むがそれらに限定されなく、例示的に、フェニル、ナフチル、アントラニル、ベンゾアントラニル、フェナントリル、ベンゾフェナントリル、ピレニル、クリセニル、ポルフィリン、フルオランテン、テトラフェニル、ペンタフェニル、ベンゾピレニル、ビフェニル、ジフェニル、トリフェニル、ベンゼン三量体、テトラフェニル、フルオレニル、スピロジフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスまたはトランスインデニルフルオレニル、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセンからなる群の中のアリールとすることが好ましい。具体的には、ビフェニルは、2-ビフェニル、3-ビフェニル、及び4-ビフェニルから選ばれ、トリフェニルは、p-トリフェニル-4-イル、p-トリフェニル-3-イル、p-トリフェニル-2-イル、m-トリフェニル-4-イル、m-トリフェニル-3-イル、及びm-トリフェニル-2-イルを含み、前記ナフチルは、1-ナフチル及び2-ナフチルを含み、アントラニルは、1-アントラニル、2-アントラニル、及び9-アントラニルから選ばれ、前記フルオレニルは、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、及び9-フルオレニルから選ばれ、前記ピレニルは、1-ピレニル、2-ピレニル、及び4-ピレニルから選ばれ、テトラフェニルは、1-テトラフェニル、2-テトラフェニル、及び9-テトラフェニルから選ばれる。本願における芳香環の好ましい例として、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル、インデニル、フルオレニル及びその誘導体、フルオランテン、トリフェニレン、ピレニル、ペリレニル、クリセン及びテトラフェニルからなる群の中の基が挙げられる。前記ビフェニルは、2-ビフェニル、3-ビフェニル及び4-ビフェニルから選ばれ、前記トリフェニルは、p-トリフェニル-4-イル、p-トリフェニル-3-イル、p-トリフェニル-2-イル、m-トリフェニル-4-イル、m-トリフェニル-3-イル、及びm-トリフェニル-2-イルを含み、前記ナフチルは、1-ナフチル又は2-ナフチルを含み、前記アントラニルは、1-アントラニル、2-アントラニル、及び9-アントラニルからなる群から選ばれ、前記フルオレニルは、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、及び9-フルオレニルからなる群から選ばれ、前記フルオレニル誘導体は、9,9-ジメチルフルオレン、9,9-スピロジフルオレン、及びベンゾフルオレンからなる群から選ばれ、前記ピレニルは、1-ピレニル、2-ピレニル、及び4-ピレニルからなる群から選ばれ、前記テトラフェニルは、1-テトラフェニル、2-テトラフェニル、及び9-テトラフェニルからなる群から選ばれる。本願のC~C60アリールは、上記の基を単結合で連結してなる基又は/及び縮合で組み合わせてなる基であってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本願では、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールは、C~C30ヘテロアリールが好ましく、本願では、ヘテロアリールの炭素数は、C、C、C、C、C10、C12、C14、C16、C18、C20、C22、C24、C26、C28などを含むがそれらに限定されなく、窒素含有ヘテロアリール、酸素含有ヘテロアリール、硫黄含有ヘテロアリールなどであってもよく、具体的な例として、フラニル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル及びその誘導体、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリニル、ベンゾ-6,7-キノリニル、ベンゾ-7,8-キノリニル、フェノチアジン、フェナジニル、ピラゾリル、インダゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ナフトイミダゾリル、フェナントイミダゾリル、ピリジノイミダゾリル、ピラジノイミダゾリル、キノキサリン・イミダゾール、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ナフトオキサゾリル、アントロオキサゾリル、フェナントロオキサゾリル、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリダジニル、ベンゾピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾピリミジニル、キノキサリニル、1,5-ジアザアントラニル、2,7-ジアザプレニル、2,3-ジアザプレニル、1,6-ジアザプレニル、1,8-ジアザプレニル、4,5-ジアザプレニル、4,5,9,10-テトラアザプレニル、ピラジニル、フェナジニル、フェノチアジン、ナフチリジニル、アザカルバゾリル、ベンゾカルボリン、フェナントロリニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、テトラゾリル、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン基、プテリジン、インドリジン、ベンゾチアジアゾールなどが挙げられる。本願における複素環の好ましい例として、例えば、フラニル、チエニル、ピロリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフラニル、インドリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル及びその誘導体が挙げられ、そのうち、前記カルバゾリル誘導体は、9-フェニルカルバゾール、9-ナフチルベンゾカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾール、またはインドロカルバゾールが好ましい。本願のC~C60ヘテロアリールは、上記の基を単結合で連結してなる基又は/及び縮合で組み合わせてなる基であってもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
発明者は、上記の理由に加えて、素子の性能の改善の理由は本願に用いる蛍光色素材料にも関連している可能性があると考えている。一方、式(1)と式(2)の分子構造では、立体障害の大きな基で被覆された、Aで示される炭素環基又は複素環基が導入されており、当該立体障害の大きな基は、親核の発光色及び親核のハーフピーク幅に大きな影響を与えないばかりか、平面型多重共鳴化合物の分子間の相互作用も有効に抑制し、高濃度での化合物の発光効率の低下及びスペクトルの拡がりも有効に抑制することができる。他方、式(1)と式(2)の分子構造は、発光層におけるホストとゲスト材料との間のDexterエネルギー移動及び分子間の相互作用が含まれる影響を効果的に抑制することができ、これによって、素子の発光効率を大幅に向上させて駆動電圧を低下し、効率プロセス窓幅の最適化を達成し、発光効率及び駆動電圧の安定性を高めることができる。また、式(1)と式(2)で示される蛍光色素材料の化学的合成の実行可能性がより高く、且つ様々な異なる機能の修飾が容易であるため、異なる応用ニーズに応じてさらなる構造調整を行うことができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
上記の構造のアスタリスクは、連結可能な部位を表し、当該連結は親核に連結すること及び/又は置換基が連結されていることを表し、「-」で示される環構造の表現は、当該環構造上の任意の結合可能な位置を連結することを意味し、上記の構造式の破線は連結又は非連結と表され、A中の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
とRはそれぞれ独立して水素、重水素、トリチウム、置換もしくは無置換のC~C30アルキル、置換もしくは無置換のC~C30シクロアルキル、ケイ素基、置換もしくは無置換のC~C30アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C60アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C60アリール、置換もしくは無置換のC~C60ヘテロアリールのいずれか1つと表され、Zは独立してN又はCRと表され、Rは毎回同じまたは異なっており、隣接する2つのRは互いに結合して環を形成することができ、Rは、水素、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、置換もしくは無置換のC~C10アルキル、置換もしくは無置換のC~C10シクロアルキル、置換もしくは無置換のC~C10アルコキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールオキシ、置換もしくは無置換のC~C30アリールアミン、置換もしくは無置換のC~C30アリール、置換もしくは無置換のC~C30ヘテロアリールのいずれかと表され、上記のR、R の置換は、重水素、トリチウム、シアノ、ハロゲン、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、ケイ素基、C~C30アリールアミン、C~C30アリール、C~C30ヘテロアリールから選ばれる1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、当該置換基は、独立して、互いに連結した芳香環又は複素芳香環と環に連結するかまたは環に連結しない。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
1、化合物S-7-2の合成では、三口フラスコに、窒素ガス通気による保護下で、S-7-1を0.01mol、3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾールを0.025mol、トルエンを150ml加えて撹拌混合し、そして、Pd(dba)を5×10-5mol、tert-ブトキシドナトリウムを0.03mol加えて、12時間還流反応し、スポットプレートをサンプリングし、ブロマイド残留がないことが確認されると、完全に反応したことを意味し、得られた反応生成物を室温まで自然冷却してろ過し、ろ液を留分がなくなるまでロータリーエバポレーションし、中性シリカゲルカラム(展開剤:ジクロロメタン、石油エーテル)を通過させ、目標化合物S-7-2(9.22g、73%収率、HPLCによる分析純度99.56%)を白色粉末で得た。
【化42】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
(2)上記のアノード付きのガラスを真空チャンバー内に置き、1×10-5Paより小さくなるまで真空引きし、上記のアノード層膜上にHT-24とHI-2とを正孔注入層として共蒸着し、HI-2の割合が3%で、HT-24の蒸着速度が0.1nm/sで、蒸着膜厚が10nmである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
(7)正孔ブロック層の上に、ET-57とET-69とを電子輸送層として真空共蒸着し、ET-57とET-69との質量比が1:1で、ET-57とET-69との蒸着速度がいずれも0.1nm/sで、蒸着総膜厚が30nmである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
(9)電子注入層の上に、15nm厚みのマグネシウム-銀(Mg-Ag)合金層を素子のカソードとして蒸着し、Mg:Agの質量比が1:9である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
実施例2-29により提供される有機電界発光素子において、具体的な製造方法は、ホスト材料と蛍光色素材料の具体的な選択及び発光層における蛍光色素材料の質量割合以外、実施例1と類似する。実施例における素子の蛍光色素材料の一部の関連特性は以下の表2に示す。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
【表2】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
表2により、
1、本願の実施例1-29の有機電界発光素子は、比較例と比較して、分子構造の中に立体障害の大きな基を有するAで示される炭素環基又は複素環基を導入することにより、駆動電圧を効果的に低下し、発光効率を向上させることができること、
2、本願の実施例1-29における式(1)又は式(2)で示される蛍光色素材料を用いた有機電界発光素子は、比較例1-4と比較して、蛍光色素材料の質量割合への依存度が低く、蛍光色素材料の質量割合の変化に伴う素子の駆動電圧及び発光効率の変動が顕著ではなく、さらに、実施例1-5及び実施例6-9から、蛍光色素材料の質量割合が0.5-20%である場合、素子の性能がより優れていることがわかること、
3、実施例26-27及び実施例28-29から、式(1)又は式(2)で示される蛍光色素材料のZ及びZ10がいずれもCHである場合、素子の駆動電圧の低下及び発光効率の向上により有利であること、及び
4、比較例1-4では、ref-1とref-2によって示された分子を色素材料として使用する場合、素子の駆動電圧及び発光効率はいずれも実施例より劣るが、ref1とref2について色素材料の混入濃度を変更した場合、素子の駆動電圧及び発光効率はいずれも大きく変化し、比較例5-8では、他のタイプの非三重項-三重項消滅型ホストref-3とref-4分子を使用した場合、素子の駆動電圧は、実施例と比較して、明らかに向上し且つ発光効率が低下したことから、本願は、三重項-三重項消滅型ホストを使用するとより優れた素子性能を達成することができ、現在のパネル製造会社の高性能材料に対する要求を満たすことができ、良い応用見通しがあること、がわかる。
【国際調査報告】