IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシーヴ バイオサイエンシズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】融合タンパク質の新規製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20240229BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240229BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240229BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K47/18
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556952
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 IB2022052377
(87)【国際公開番号】W WO2022195505
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202121011096
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520460959
【氏名又は名称】カシーヴ バイオサイエンシズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン,オム
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,タルン クマール
(72)【発明者】
【氏名】アヴァダーニ,キラン スレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,カウシャル
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB11
4C076DD26Z
4C076DD46E
4C076DD51Z
4C076DD67Q
4C076EE23Q
4C076EE39Q
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C076FF15
4C076FF36
4C076FF61
(57)【要約】
本発明は、薬理学的に活性な融合タンパク質を含む新規な液体製剤に関する。本発明は、生成物に関連する不純物を低下させることにより融合タンパク質を安定化させるために、他の賦形剤と組み合わせたヒスチジン緩衝液の使用を開示する。別の局面において本発明は、低粘度の融合タンパク質の製剤を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のaからfを含むことを特徴とする医薬用液体製剤。
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. ヒスチジン緩衝液;
c. 適切なアミノ酸;
d. 安定剤;
e. 界面活性剤および;
f. 約6.5~約7.5から選択されるpH
【請求項2】
前記融合タンパク質の濃度が少なくとも100mg/mlである、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項3】
前記薬理学的に活性な融合タンパク質の濃度が、約50mg/0.4ml、87.5mg/0.7ml、約125mg/mlから選択される、請求項2に記載の医薬用液体製剤。
【請求項4】
前記薬理学的に活性な融合タンパク質が少なくとも約125mg/ml存在する、請求項3に記載の医薬用液体製剤。
【請求項5】
前記ヒスチジン緩衝液が約25mM~約100mM存在する、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項6】
前記ヒスチジン緩衝液が約100mM~約200mM存在する、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項7】
前記ヒスチジン緩衝液が約100mM、約150mMまたは約200mMから選択される、請求項6に記載の医薬用液体製剤。
【請求項8】
前記適切なアミノ酸が、アルギニン、リジン、グリシンまたはプロリンおよびそれらの適切な塩から選択される、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項9】
前記適切なアミノ酸の濃度が約10mM~約200mMである、請求項8に記載の医薬用液体製剤。
【請求項10】
前記アルギニンが約10mM~約100mM存在する、請求項8に記載の医薬用液体製剤。
【請求項11】
前記アルギニンが約50mMである、請求項10に記載の医薬用液体製剤。
【請求項12】
前記リジンが約10mM~約100mM存在する、請求項8に記載の医薬用液体製剤。
【請求項13】
前記リジンが約50mMである、請求項12に記載の医薬用液体製剤。
【請求項14】
前記安定剤が糖またはシクロデキストリンから選択される、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項15】
前記糖の濃度が融合タンパク質の濃度より低い、請求項14に記載の医薬用液体製剤。
【請求項16】
前記糖がスクロースである、請求項14に記載の医薬用液体製剤。
【請求項17】
融合タンパク質とスクロースの比率が、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、1:0.5以下から選択される、請求項16に記載の医薬用液体製剤。
【請求項18】
前記スクロースが約100mg~約110mg存在する、請求項14に記載の医薬用液体製剤。
【請求項19】
前記スクロースが約100mg~約105mg存在する、請求項14に記載の医薬用液体製剤。
【請求項20】
前記界面活性剤がポリソルベートまたはポロキサマー188から選択される、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項21】
前記界面活性剤がポロキサマー188である、請求項20に記載の医薬用液体製剤。
【請求項22】
界面活性剤としての前記ポロキサマー188が約1mg/mL~10mg/mL存在する、請求項21に記載の医薬用液体製剤。
【請求項23】
界面活性剤としての前記ポロキサマー188が約5mg/mL~約8mg/mL存在する、請求項21に記載の医薬用液体製剤。
【請求項24】
前記pHが約7.3±0.2である、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項25】
IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される免疫グロブリンの定常領域と融合したレセプターからなる融合タンパク質を含む、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項26】
IgG1の定常領域と融合したCTLA4、TNFR、VEGF、HER-2、PCSK9から選択される受容体を含む、請求項25に記載の医薬用液体製剤。
【請求項27】
前記融合タンパク質がCTLA4-Ig融合タンパク質である、請求項25に記載の医薬用液体製剤。
【請求項28】
以下のaからfを含む、請求項1に記載の安定な医薬用液体製剤。
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. ヒスチジン緩衝液;
c. アルギニン;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188および;
f. pH約7.3±0.2
【請求項29】
以下のaからfを含む、請求項1に記載の安定な医薬用液体製剤。
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. ヒスチジン緩衝液;
c. リジン;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188および;
f. pH約7.3±0.2
【請求項30】
以下のaからfを含む、請求項1に記載の安定な医薬用液体製剤。
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. ヒスチジン緩衝液;
c. アルギニンとリジン;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188および;
f. pH約7.3±0.2
【請求項31】
以下のaからfを含むことを特徴とする、融合タンパク質の安定な医薬用液体製剤。
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. ヒスチジン緩衝液;
c. 任意に適切なアミノ酸;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188および;
f. pH約7.3±0.2
【請求項32】
請求項1に記載の医薬用液体製剤を含むことを特徴とする薬物送達デバイス。
【請求項33】
動粘度が約10cPs以下である、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項34】
約7~約9cpsの動粘度を有する、請求項33に記載の医薬用液体製剤。
【請求項35】
浸透圧が約800±50mOsm/キログラムである、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項36】
浸透圧が約780~約825mOsm/キログラムである、請求項35に記載の医薬用液体製剤。
【請求項37】
リン酸緩衝液で製剤化された融合タンパク質と比較して、低分子量(LMW)不純物の量が低減されてなる、請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【請求項38】
ヒスチジンアミノ酸を本質的に含まない請求項1に記載の医薬用液体製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理学的に活性な融合タンパク質を含む新規な液体製剤に関する。本発明は、生成物に関連する不純物を低下させることにより融合タンパク質を安定化させるために、他の賦形剤と組み合わせたヒスチジン緩衝液の使用を開示する。別の局面において本発明は、低粘度の融合タンパク質の製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
以前は、抗体製剤はタンパク質の凍結乾燥によって安定化され、使用前に適切な溶媒系で再構成されていた。しかし、時代とともに、高濃度で安定な液体製剤が求められるようになった。融合蛋白質はあまり安定ではないので、液体製剤中の融合蛋白質の濃度が高いと、融合蛋白質が沈殿し、分解してしまうことが多い。さらに、抗体や融合タンパク質の溶液製剤は、分子間相互作用のためにしばしば非常に粘稠になることも指摘されている。
【0003】
融合タンパク質を含む濃縮液剤の需要の増加に基づき、高濃度の薬理学的融合タンパク質を含む安定な液剤の調製が常に必要とされている。
【0004】
エタネルセプト、アバタセプト、ベラタセプト、アフリベルセプトなどの融合タンパク質の多くはリン酸緩衝液を使用して製剤化されていることが観察される。しかしながら、本発明は、ヒスチジンを緩衝剤、安定化剤、および任意にアミノ酸として使用することにより、高濃度の融合タンパク質を安定化させることができる改良された製剤を提供する。
【0005】
本発明の製剤は、それを必要とする患者への皮下投与に有用である。患者に最大限の治療効果をもたらすためには、皮下(SC)投与用の製剤が高抗体濃度であることが望ましい。しかしながら、高濃度の抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、粘度の増加や生理的浸透圧よりも高い浸透圧による注射性の低下、凝集の増加など、望ましくない製品の他の特性を助長する可能性がある。
【0006】
例えば、アバタセプトの市販製剤は、170mg/ml前後の非常に多量のスクロースを含んでおり、製剤を非常に粘稠なものにしている。したがって、SC投与を意図した抗体製剤は、最高の治療効果をもたらす薬物レベルを維持しながら、濃度の影響をバランスさせることが好ましい。
【0007】
理想的な製品は、高タンパク質濃度、低粘度、生理的条件に近い浸透圧、および一般的な保存条件下での低レベルの凝集からなる。高タンパク濃度で粘度が高くなると、容器からシリンジで製品を取り出すのが困難になるだけでなく、シリンジから患者に必要量を注入するのも困難になる可能性がある(シリンジ操作性)。有利には、本発明の実施形態は、その高濃度融合タンパク質、および皮下送達に許容される粘度レベルを含む製剤を提供する。さらに、本発明の処方物は、高レベルの凝集をもたらさない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質を含む安定な液体製剤およびその調製方法に関する。
【0009】
本発明は、ヒスチジン緩衝液、アミノ酸、安定剤および界面活性剤を含む高濃度の融合タンパク質分子の安定な医薬製剤を開示し、ここで融合タンパク質は、レセプターが免疫グロブリンの定常領域と融合してなる。
【0010】
本発明は、ヒスチジン緩衝液、アミノ酸、安定化剤および界面活性剤を含む高濃度融合タンパク質分子の安定な医薬製剤を開示し、ここで融合タンパク質はCTLA4-Ig分子である。
【0011】
本発明は、融合タンパク質の濃度が100mg/ml以上である高濃度融合タンパク質分子の安定な医薬製剤を開示する。
【0012】
本発明は、ヒスチジン緩衝液、アミノ酸、界面活性剤および安定剤を含む融合タンパク質分子の高濃度の安定な医薬製剤を開示し、ここで融合タンパク質はCTLA4-Ig分子であり;ここで安定剤は、CTLA4-Ig分子よりも低量で存在する糖である。
【0013】
特定の実施形態において、本発明は、高濃度の融合タンパク質と、少なくとも1つのアミノ酸と、適切な賦形剤とを含み、アミノ酸がアルギニン、リジン、プロリン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、およびアスパラギンから選択される、安定な製剤を提供する。
【0014】
特定の実施形態において、本発明の製剤は安定であり、薬理学的に活性な融合タンパク質の沈殿の問題を回避する。
【0015】
一実施形態において、本発明の安定な製剤は、低粘度、低凝集、低浸透圧などの有利な特性を有する。
【0016】
特定の実施形態では、本発明は、プレフィルドシリンジまたは自動注入器で供給することができる。
一実施形態において、本発明は、以下を含む医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHCIを含む適切な緩衝液;
c. アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. 適切な安定剤;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される適切な界面活性剤および;
f. pHは約6.5から約7.5から選択される。
【0017】
一実施形態において、本発明は、以下を含む医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHCIを含む適切な緩衝液;
c. アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. 適切な安定剤;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される少なくとも1つの界面活性剤および;
f. pHは約6.5から約7.5から選択される。
【0018】
一実施形態において、本発明は、以下を含む医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHClを含む適切な緩衝液
c. アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. スクロースまたはシクロデキストリンから選択される適切な安定剤;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される適切な界面活性剤;
f. 約6.5~約7.5から選択されるpH。
【0019】
一実施形態において、本発明は、以下を含む医薬製剤を提供する;
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHCIを含む適切な緩衝液;
c. 適切なアミノ酸はアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. スクロース;
e. 界面活性剤はポロキサマー188である;
f. pH7.3±0.2;
【0020】
一実施形態において、本発明は、以下を含む医薬製剤である;
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHCIを含む適切な緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジン塩酸塩である;
d. スクロース;
e. 界面活性剤はポロキサマー188である;
f. pH7.3±0.2
【0021】
特定の実施形態では、糖濃度は融合タンパク質CTLA4-Igの濃度より低い。特定の実施形態において、融合タンパク質と糖の比率は、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、または1:0.5以下から選択される。
【0022】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHClからなる適切な緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、アルギニンまたはアルギニンHClである;
d. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジンHClである;
e. スクロース;
f. 界面活性剤はポロキサマー188でありそして;
g. pH 7.3±0.2。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩を含む適切な緩衝液;
c. スクロース;
d. 界面活性剤はポロキサマー188とする;
e. pH 7.3±0.2.
ここで、ヒスチジン緩衝液の濃度は少なくとも150mMである。
【0024】
特定の実施形態において、安定な医薬製剤は、少なくとも約5cpsの動粘度を有する。特定の実施形態では、製剤は約5cps~約10cpsの粘度を有する。特定の実施形態では、製剤は約7cPs~約10cpsの動粘度を有する。特定の実施形態において、製剤は、約8cPs~約10cpsの動粘度を有する。
好ましい実施形態では、安定な医薬製剤は、約10cps以下の動粘度を有する。
別の好ましい実施形態では、安定な医薬製剤は約7cps~約9cpsの動粘度を有する。
【0025】
特定の実施形態では、安定な医薬製剤は、約700~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。ある特定の実施形態では、安定な医薬製剤は、約730~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。ある特定の実施形態では、安定な医薬製剤は、約750~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。特定の実施形態では、安定な医薬製剤は、約770~約850mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。
【0026】
好ましい実施形態において、安定な医薬製剤は、約800±50mOsm/キログラムの浸透圧を有する。
【0027】
別の好ましい実施形態では、安定な医薬製剤は、約780~約825mOsm/キログラムの浸透圧を有する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用される用語は、一般に、当該技術分野、本発明の文脈内、および各用語が使用される特定の文脈における通常の意味を有する。
【0029】
本発明を説明するために使用される特定の用語は、本発明の説明に関して当業者に追加のガイダンスを提供するために、後述または明細書の他の箇所で説明される。特定の用語の同義語が記載されている。または複数の同義語の記載は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書で議論される任意の用語の例を含む、本明細書のあらゆる箇所における例の使用は、例示に過ぎず、決して本発明または例示される用語の範囲および意味を限定するものではない。本発明は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されるものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先する。
【0030】
「融合タンパク質」とは、もともと別々のタンパク質をコードしていた2つ以上の遺伝子が結合してできたタンパク質を指す。融合タンパク質は組換えDNA技術を用いて作られる。CTLA4、TNFR、VEGF、HER-2、PCSK9から選択されるがこれらに限定されない受容体と、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4から選択される免疫グロブリンの定常領域とが融合した融合タンパク質である。さらに、所望の生物学的活性を得るために、天然アミノ酸において任意の修飾が行われる。
【0031】
用語「CTLA4-lg」または「CTLA4-Ig分子」または「CTLA4Ig分子」は互換的に使用され、少なくともCTLA4細胞外ドメインまたはその一部と免疫グロブリン定数領域またはその一部を有するポリペプチドからなるタンパク質分子を指す。細胞外ドメインおよび免疫グロブリン定数領域は、野生型、変異型または改変型、およびヒトまたはマウスを含む哺乳動物であることができる。ポリペプチドは、さらにタンパク質ドメインを含むことができる。CTLA4-Ig分子は、二量体、四量体、六量体など、ポリペプチドの多量体形態を指すこともある。CTLA4-Ig分子はCD80やCD86とも結合することができる。特定の実施形態では、CTLA4-Igはアバタセプトである。
【0032】
用語「B7-1」はCD80を指し;用語「B7-2」はCD86を指し;用語「B7」はB7-1とB7-2(CD80とCD86)の両方を指す。用語「B7-1-Ig」または「B7-11g」はCD80-Igを指し;用語「B7-2-Ig」または「B7-21g」はCD86-Igを指す。
【0033】
本明細書全体および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数形の参照を含む。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して使用される「本質的に~からなる」、または「~から本質的になる」もしくは「~から本質的になる」のような表現は、任意の引用された要素または要素群を含むこと、および指定された投与レジメン、方法、または製剤の基本的または新規な特性を実質的に変更しない、引用された要素と類似または異なる性質の他の要素を任意に含むことを示す。
【0035】
非限定的な例として、記載されたアミノ酸配列から本質的になる結合化合物は、結合化合物の特性に重大な影響を与えない1つまたは複数のアミノ酸残基の置換を含む1つまたは複数のアミノ酸を含むこともできる。
【0036】
「構成」、「含む」または「で構成される」などの「構成」またはその変形は、明細書および特許請求の範囲全体を通じて、包括的な意味で、すなわち、明示的な文言または必要な暗示により文脈が別段必要としない限り、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の実施形態のいずれかの動作または有用性を実質的に向上させる可能性のあるさらなる特徴の存在または追加を排除しない意味で使用される。
【0037】
「およそ」、「約」、または「おおよそ」という用語は、一般的に、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内または1%以内を意味するものとする。数値はおおよそのものであり、明示されていない場合、「およそ」、「約」、または「おおよそ」という用語は推測できることを意味する。
【0038】
使用されている用語「サイズバリアント」は、LMW、HMWまたは凝集体を指す。
【0039】
使用される用語「低分子量(LMW)種」は、タンパク質の骨格が切断された断片であり、抗体のサイズの不均一性に寄与する製品関連の不純物と考えられている。LMW型は、抗体の単量体型に比べて活性が低いか、実質的に低下していることが多く、免疫原性につながったり、vivoでの薬物動態学的特性に影響を及ぼす可能性がある。その結果、LMW種は重要な品質特性とみなされ、医薬品開発中や製造中の精製製剤の放出試験の一環として日常的にモニターされている。
【0040】
使用される用語「高分子量またはHMW」は、抗体製剤のサイズの不均一性に寄与する製剤関連の不純物である。タンパク質凝集の結果、治療用抗体医薬品内にHMW種が形成されると、医薬品の有効性と安全性の両方が損なわれる可能性がある(例:望ましくない免疫原性反応の誘発)。HMWは重要な品質特性であると考えられており、医薬品開発中や製造中の精製された医薬品の放出試験の一環として、日常的にモニターされている。
【0041】
「凝集体」は、相互作用の種類と溶解度によって分類される。可溶性凝集体は目に見えない粒子であり、フィルターで除去することはできない。不溶性凝集体は濾過によって除去することができ、しばしば人間の目に見える。どちらのタイプの凝集体も、バイオ医薬品開発において問題を引き起こす。共有結合性凝集体は、あるペプチドの複数のモノマー間で共有結合が形成されることによって生じる。遊離チオールのジスルフィド結合形成は共有結合凝集の一般的なメカニズムである。
【0042】
チロシン残基の酸化はビチロシンの形成につながり、しばしば凝集を引き起こす。可逆的なタンパク質の凝集は、通常、二量体、三量体、多量体などの弱いタンパク質相互作用から生じる。
【0043】
「界面活性剤」とは、疎水性部分(例えば、アルキル鎖)と親水性部分(例えば、カルボキシル基やカルボキシレート基)の両方を含む表面活性分子のことである。本発明の製剤には界面活性剤を添加してもよい。本発明の製剤における使用に適した界面活性剤としては、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において「医薬」という用語は、疾患または障害の治療に有用な組成物、例えば水性製剤に関して使用される。
【0045】
「医薬製剤」という用語は、有効成分の生物学的活性が有効であるような形態の製剤を指す、したがって、治療目的で被験者に投与することができる。
【0046】
「安定な」製剤とは、その中に含まれるタンパク質が、保存時に物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を本質的に保持するものである。タンパク質の安定性を測定するための種々の分析技術は、例えば、当該技術分野で利用可能である。一実施形態において、タンパク質の安定性は、分解(例えば、断片化)および/または凝集タンパク質の割合が低い、溶液中のモノマータンパク質の割合に従って決定される。
【0047】
「安定剤」という用語は、患者が摂取するまで製品の望ましい特性を維持するために使用される賦形剤を指す。安定剤は糖、ポリマー、塩などであり得る。安定剤は、温度および糖の選択に基づいて、融合タンパク質を少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも12ヶ月安定化させることができる。
【0048】
「糖」という用語は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類を指す。例えば、スクロース、トレハロース、デキストロース、マルトース、ソルビトール、マンニトール、シクロデキストリンなどが挙げられる。最も好ましい実施形態では、糖はスクロースである。
【0049】
「粘度」という用語は、患者への投与時に注射針を通して注入される場合など、液体製剤の流動に対する抵抗のことを指す。タンパク質溶液の粘度は、個体およびタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)の性質に依存する。粒子径や形状などの個々の特性も、一対の相互作用も、製剤中の成分の影響を受ける可能性がある。その結果、製剤が特定の用途や工程(例:注射)に適するように、粘度値を下げることが望まれることが多い。高タンパク濃度で粘度が高くなると、容器からシリンジで製品を取り出すのが困難になるだけでなく、シリンジから患者に必要量を注入するのも困難になる可能性がある(シリンジ注入性パラメーター)。
粘度の増加はまた、製造中の製品の取り扱い(濾過や充填など)を困難にする。
従って、製剤の粘度を低く保つことは、注射器の滑動力と破断力を高めるので望ましい。さらに、粘度が高いと注射時に患者に強い痛みを与えることが知られている。さらに、高粘度は容器の栓に結合しやすいため、製剤のロスを引き起こす。
【0050】
CTLA4-IgG1(アバタセプト)の市販製剤は、スクロース濃度が170mg/mlと高く、製剤を非常に粘稠にしている。
【0051】
粘度の値は、温度、せん断速度、せん断応力など、測定条件によって異なる。見かけの粘度は、せん断応力とせん断速度の比として定義される。見かけの粘度を測定する方法はいくつかある。例えば、適切なコーン・プレート型、平行平板型、その他のタイプの粘度計やレオメーターを用いて粘度を測定することができる。
【0052】
「浸透圧」という用語は、溶液キログラムあたりの溶質のミリモル数として定義される溶質濃度の尺度を指す。所望のレベルの浸透圧は、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、トレハロース、マルトース、マンノースおよび/またはスクロースを含む糖またはポリオールなどの1つまたは複数の安定剤の添加によって達成することができる。
【0053】
本発明は、適切な緩衝液中の高濃度の治療用タンパク質、好ましくは融合タンパク質、1つ以上の適切なアミノ酸、および適切な界面活性剤および安定剤または強壮剤から任意に選択される他の賦形剤からなる、凍結乾燥が可能な安定で改良された液体製剤を提供する。安定な製剤は、望ましい粘度を提供し、タンパク質の凝集体の形成を防止する。
【0054】
特定の実施形態において、本発明の新規製剤は皮下投与に適している。本発明の新規製剤は安定であり、薬理学的に活性な融合タンパク質の沈殿を回避する。
特定の実施形態において、本発明は室温で安定である。特定の実施形態において、本発明の新規製剤は2℃~8℃で安定である。
【0055】
特定の実施形態において、製剤は、融合タンパク質の安定性を少なくとも2週間提供する。ある実施形態では、製剤は少なくとも1カ月、3カ月、6カ月、10カ月、1年または2年間安定である。
特定の実施形態では、本発明の新規製剤は40℃で安定である。
特定の実施形態では、製剤は少なくとも2週間から1ヶ月間、融合タンパク質の安定性を提供する。
【0056】
特定の実施形態において、本発明の新規製剤は、高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質、ヒスチジン緩衝液、アミノ酸、糖および界面活性剤からなる。
【0057】
特定の実施形態において、薬理活性融合タンパク質は、関節炎の治療のためにT細胞の活性化を阻害するためにCD80/86と結合する。特定の実施形態において、薬理学的融合タンパク質は、CTLA4-IgG1(アバタセプト)である。
【0058】
一実施形態において、本発明の新規製剤は、主に、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(pJIA)、移植片対宿主病(GVHD)および乾癬性関節炎(PsA)の治療に有用であるが、これらに限定されない。
【0059】
実施形態において、薬理学的活性融合タンパク質は、少なくとも100mg/mlの高濃度で存在する。特定の実施形態において、薬理学的融合タンパク質は、約100mg/ml~約200mg/mlから選択される高濃度で存在する。特定の実施形態において、薬理学的融合タンパク質は、約125mg/mlの高濃度で存在する。当業者は、例えば87.5mg/0.7mLおよび50mg/0.4mLのタンパク質の濃度を調整することができる。
【0060】
特定の実施形態において、薬理活性融合タンパク質は、125mg/mlから選択される高濃度で存在する。
【0061】
特定の実施形態において、薬理活性融合タンパク質は、87.5mg/0.7mLから選択される高濃度で存在する。
【0062】
特定の実施形態において、薬理学的活性融合タンパク質は、50mg/0.4mLから選択される高濃度で存在する。特定の実施形態において、本発明は、リン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩-クエン酸塩、ヒスチジンおよび酢酸塩ならびにそれらの塩から選択される適切な緩衝液を含む新規安定製剤を提供する。しかしながら、本発明は、ヒスチジンが融合タンパク質の安定化に最も適した緩衝液であることを見出した。
【0063】
特定の実施形態において、本発明は、1つ以上の緩衝剤を含む新規安定製剤を提供する。
【0064】
本発明は、ヒスチジンを緩衝剤として使用することにより、高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質を含む新規な液体製剤を提供する。
本出願人は、ヒスチジンが融合タンパク質に適した緩衝特性を有し、スクロースおよび/またはアミノ酸と界面活性剤との組み合わせでより優れた安定性を提供することを見出した。
【0065】
特定の実施形態では、ヒスチジン緩衝液は、L-ヒスチジンとL-ヒスチジン塩酸塩によって調製される。
【0066】
特定の実施態様において、ヒスチジンはまた、ヒスチジン塩酸塩のようなその塩の形態で使用され得る。
【0067】
特定の実施形態において、緩衝液濃度は、少なくとも約1mg/mlである。特定の実施形態において、緩衝液濃度は、約1mg/ml~約10mg/mlの範囲である。特定の実施形態において、緩衝液濃度は、約1mg/ml~約5mg/mlの範囲内である。特定の実施形態において、緩衝液濃度は、約4mg/mlである。特定の実施形態において、緩衝液濃度は約4.2mg/mlである。
【0068】
特定の実施形態において、緩衝液の濃度は少なくとも約50mMである。特定の実施形態において、緩衝液濃度は約50mM~約200mMの範囲である。
【0069】
特定の実施形態において、緩衝液の濃度は、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM~約60mM、約60mM~約70mM、約70mM~約80mM、約80mM~約90mM、約90mM~約100mM、約100mM~約110mMの範囲である、 約110mM~約120mM、約120mM~約130mM、約130mM~約140mM、約140mM~約150mM、約150mM~約160mM、約160mM~約170mM、約170mM~約180mM、約180mM~約190mM、約195mM、約200mM、約203mM、約205mM。
【0070】
実施形態において、ヒスチジン緩衝液の濃度は、100mM以上である。実施形態において、ヒスチジン緩衝液の濃度は、約125mM、約140mM、約150mM、約170mM、約190mM、約200mM、約203mMおよび約205mMの範囲である。
【0071】
一実施形態では、ヒスチジン緩衝液の濃度は約150mMである。
【0072】
別の実施形態では、ヒスチジン緩衝液の濃度は約100mM以下である。ある実施形態では、ヒスチジン緩衝液の濃度は約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mMである。
【0073】
別の実施形態において、緩衝液濃度を含む製剤は、約200mM~約205mMである。別の好ましい実施形態では、緩衝液濃度は約203mMである。このような実施形態では、緩衝液濃度が約200mM以上の場合、製剤はアミノ酸を減少させるか、または含まない。
【0074】
特定の実施形態では、アミノ酸は、アルギニン、リジン、メチオニン、グリシン、プロリン、アスパラギン、フェニルアラニンおよびそれらの適切な塩から選択される。特定の実施形態において、リジンおよびアルギニンは、塩酸リジンまたは塩酸アルギニンのような塩の形態で使用され得る。
【0075】
好ましい実施形態では、製剤はアミノ酸としてヒスチジンを含まないが、本製剤は緩衝剤としてヒスチジンのみを使用する。別の好ましい実施形態では、本製剤は、ヒスチジン緩衝剤と、アルギニン、リジン、メチオニン、グリシン、プロリン、アスパラギン、フェニルアラニンおよびそれらの適当な塩から選択されるアミノ酸と、適当な安定剤および界面活性剤とを含む。この製剤は、アミノ酸としてヒスチジンを本質的に含まない。
【0076】
特定の実施形態では、アミノ酸は、少なくとも約1mg/mlの濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸は、約1mg/ml~約75mg/mlの範囲で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸は、約5mg/ml~約50mg/mlの範囲で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸は、約9mg/ml~約50mg/mlの範囲で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸は、約9mg/ml~約20mg/mlの範囲で存在する。
【0077】
特定の実施形態において、アミノ酸アルギニンは、約7mg/ml~約25mg/mlの濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸アルギニンは、約15mg/ml~約21mg/mlの濃度で存在する。
【0078】
別の態様では、製剤は低濃度のアルギニンで最適化される。特定の実施形態では、アミノ酸アルギニンは約7mg/ml~約14mg/mlの濃度で存在する。好ましい実施形態では、アルギニン濃度は約9mg/ml~約11mg/mlである。別の好ましい実施形態では、アルギニン濃度は約10.5mg/ml~約11mg/mlである。
【0079】
特定の実施形態において、アミノ酸リジンは、約7mg/ml~約20mg/mlの濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸リジンは、約11mg/ml~約13.70mg/mlの濃度で存在する。
【0080】
別の側面では、低濃度のリジンで製剤を最適化することができる。
【0081】
特定の実施形態において、アミノ酸リジンは、約7mg/ml~約13mg/mlの濃度で提示する。好ましい実施形態では、リジン濃度は約9mg/ml~約11mg/mlである。別の好ましい実施形態では、リジン濃度は約9.3mg/ml~約10mg/mlである。
【0082】
別の実施形態では、製剤はアルギニンまたはリジン、あるいはその両方を含む。
【0083】
特定の実施形態において、アミノ酸は、少なくとも約50mMの濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸は、約50mM~約60mM、約60mM~約70mM、約70mM~約80mM、約80mM~約90mM、約90mM~約100mM、約100mM~約110mM、約110mM~約120mM、約120mM~約130mM、約130mM~約140mM、および約140mM~約150mMの範囲で存在する。
【0084】
特定の実施形態では、アミノ酸アルギニンは約50mMを超える濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸アルギニンは、約50mM~約150mMの濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸アルギニンは、約80mM~約125mMの濃度で存在する。好ましい実施形態では、アミノ酸アルギニンは約100mM~約110mMの濃度で存在する。
【0085】
別の態様では、製剤は低濃度のアルギニンで最適化することができる。特定の実施形態では、アミノ酸アルギニンは約25mM~約50mMの濃度で存在する。好ましい実施形態では、アルギニン濃度は約30mM~約50mMである。別の好ましい実施形態では、アルギニン濃度は約40mM~約50mMである。
【0086】
特定の実施形態において、アミノ酸リジンは、約50mMを超える濃度で存在する。特定の実施形態において、アミノ酸リジンは、約50mM~約100mMの濃度で存在する。好ましい実施形態では、アミノ酸リジンは、約75mM~約80mMの濃度で存在する。
【0087】
別の態様では、製剤は低濃度のリジンで最適化することができる。特定の実施形態では、アミノ酸リジンは約25mM~約50mMの濃度で存在する。好ましい実施形態では、リジン濃度は約30mM~約50mMである。別の好ましい実施形態では、リジン濃度は約40mM~約50mMである。特定の実施形態において、糖類から選択される安定剤である。
【0088】
特定の実施形態では、安定剤はスクロースまたはシクロデキストリンから選択される。
【0089】
好ましい実施形態では、安定剤はスクロースである。
【0090】
特定の実施形態において、糖濃度は融合タンパク質の濃度より低い。特定の実施形態において、融合タンパク質と糖の比率は、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、または1:0.5以下から選択される。
【0091】
特定の実施形態において、スクロース濃度は融合タンパク質の濃度より低い。特定の実施形態において、融合タンパク質とスクロースの比率は、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、または1:0.5以下から選択される。
【0092】
特定の実施形態において、スクロースは、少なくとも約50g/Lの濃度で存在する。特定の実施形態では、スクロースは、約50g/L~約60g/L、約60g/L~約70g/L、約70g/L~約80g/L、約80g/L~約90g/L、約90g/L~約100g/L、および約110g/L~約120g/Lの範囲で存在する。
【0093】
一実施形態において、スクロースは、約100g/L、約101g/L、約102g/L、約103g/L、約104g/L、約105g/L、約106g/L、約107g/L、約108g/L、約109g/Lおよび約110g/Lの濃度で存在する。
【0094】
特定の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベートおよびポロキサマー188から選択される。特定の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188またはそれらの混合物のような異なるグレードのポリソルベートから選択されるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、界面活性剤はポロキサマー188である。
【0095】
特定の実施形態において、界面活性剤は、少なくとも約1mg/mlの濃度で存在する。特定の実施形態において、界面活性剤は、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、および約15mg/mlの量で存在する。
【0096】
好ましい実施形態では、界面活性剤は約8mg/mlの濃度で存在する。
【0097】
特定の実施形態において、本発明の新規配合物は、約pH6.0~約pH7.5を有する。特定の実施形態において、本発明の新規配合物は、約pH6.5~約pH7.5を有する。ある実施形態において、本発明の新規製剤は、約pH6.5、約pH6.6、約pH6.7、約pH6.8、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、約pH7.4、および約pH7.5を有する。
【0098】
好ましい実施形態では、pHは7.3±0.2である。
【0099】
特定の実施形態では、新規製剤は少なくとも約5cpsの粘度を有する。特定の実施形態では、製剤は約5cps~約15cpsの粘度を有する。特定の実施形態において、製剤は約7cps~約15cpsの粘度を有する。特定の実施形態では、製剤は約9cps~約15cpsの粘度を有する。
【0100】
そのような実施形態の一態様において、新規製剤の粘度は、約5cps、約6cps、約7cps、約scps、約9cps、約10cps、約11cps、約12cps、約13cps、約14cpsおよび約15cpsである。
好ましい実施形態では、新規製剤は約10cps以下の動粘度を有する。
【0101】
別の好ましい実施形態では、新規製剤は約7cps~約9cpsの動粘度を有する。
【0102】
特定の実施形態において、本発明は、融合タンパク質CTLA4-Igをアルギニンまたはリジンを含むヒスチジン緩衝液にスクロースおよび界面活性剤と組み合わせて製剤化した場合、約7cps~約9cpsの望ましい粘度を開示する。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、融合タンパク質CTLA4-Igを、アルギニンまたはリジンを含むヒスチジン緩衝液に、スクロースおよび界面活性剤と組み合わせて製剤化した場合、約8cps~約10cpsの望ましい粘度を開示する。
【0104】
特定の実施形態において、安定な医薬新規液体製剤は、約700~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。特定の実施形態において、安定な医薬新規液体製剤は、約730~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。特定の実施形態では、安定な医薬新規液体製剤は、約750~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。
【0105】
特定の実施形態では、安定な医薬新規液体製剤は、約770~約900mOsm/キログラムから選択される浸透圧を有する。
【0106】
そのような実施形態の1つの態様において、新規製剤の浸透圧は、約700mOsm/キログラム、約710mOsm/キログラム、約720mOsm/キログラム、約730mOsm/キログラム、約740mOsm/キログラム、約750mOsm/キログラム、約760mOsm/キログラム、約770mOsm/キログラム 約780mOsm/キログラム、約790mOsm/キログラム、約800mOsm/キログラム、約810mOsm/キログラム、約820mOsm/キログラム、約830mOsm/キログラム、約840mOsm/キログラム、約850mOsm/キログラム、約860mOsm/キログラム、約870mOsm/キログラム、約890mOsm/キログラム、および約900mOsm/キログラムである。
【0107】
特定の態様において、本発明は、融合タンパク質CTLA4-Igを、アルギニンまたはリジンを含むヒスチジン緩衝液中でスクロースおよび界面活性剤と組み合わせて製剤化した場合、約750mOsm/キログラム~約850mOsm/キログラムの望ましい粘度を開示する。
【0108】
好ましい実施形態では、新規製剤は約800+50mOsm/キログラムの浸透圧を有する。
【0109】
別の好ましい実施形態では、新規製剤は約780~約825mOsm/キログラムの浸透圧を有する。
【0110】
別の実施態様において、本発明は、融合タンパク質CTLA4-Igを、アルギニンまたはリジンを含むヒスチジン緩衝液中でスクロースおよび界面活性剤と組み合わせて製剤化した場合、約780mOsm/キログラム~約825mOsm/キログラムの望ましい粘度を開示する。
【0111】
一実施形態において、本発明は、ヒスチジン緩衝液、アミノ酸、安定化剤および界面活性剤を含む融合タンパク質分子の安定な医薬製剤を開示し、融合タンパク質は、レセプターが免疫グロブリンの定常領域と融合してなる。
【0112】
一実施形態において、本発明は、ヒスチジン緩衝液、アミノ酸、安定剤および界面活性剤を含む融合タンパク質分子の安定な医薬製剤を開示し、ここで融合タンパク質はCTLA4-Ig分子である。
【0113】
一実施形態において、本発明は、緩衝液、アミノ酸、界面活性剤および安定剤を含む融合タンパク質分子の安定な医薬製剤を開示し、ここで融合タンパク質はCTLA4-Ig分子であり;ここで安定剤は、CTLA4-IgGよりも低量で存在する糖である。
【0114】
特定の実施形態において、本発明は、高濃度の融合タンパク質と、少なくとも1つの適切な凝集阻害剤と、適切な賦形剤とを含み、適切な凝集阻害剤が、アルギニン、リジン、プロリン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、およびアスパラギンから選択されるアミノ酸である、新規な安定な製剤を提供する。
【0115】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 高濃度の薬理学的に活性な融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. 適切な安定剤;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される適切な界面活性剤、および
f. pHは約6.5から約7.5から選択される。
【0116】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. 適切な安定剤;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される少なくとも1種の界面活性剤および;
f. pHは約6.5から約7.5から選択される。
【0117】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. 適切な安定剤はスクロースである;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される適切な界面活性剤および;
f. pHは約6.5から約7.5から選択される。
【0118】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c.アルギニン、リジン、グリシン、プロリン、メチオニンおよびそれらの組み合わせから選択される適切なアミノ酸;
d. 適切な安定剤はシクロデキストリンである;
e. ポリソルベート20、ポリソルベート80またはポロキサマー188から選択される適切な界面活性剤および;
f. pHは約6.5から約7.5から選択される。
【0119】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. 適切なアミノ酸はアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188および;
f. pH7.3±0.2である。
【0120】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩を含む適切な緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジンHCIである;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188および;
f. pH7.3±0.2である。
特定の実施形態において、スクロース濃度は融合タンパク質の濃度より低い。特定の実施形態において、融合タンパク質とスクロースの比率は、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、または1:0.5以下から選択される。
【0121】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. 適切なアミノ酸はアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジンHCIである;
e. スクロース;
f. ポロキサマー188および;
g. pH7.3±0.2である。
CD80およびCD86分子に結合する薬理学的に活性な融合タンパク質はアバタセプトまたはベラタセプトである。
このような実施形態の別の態様では、製剤は高いモノマーと低い凝集、またはHMW%とLMW%を有する。
【0122】
特定の実施形態において、製剤は、SEC-HPLCまたはCE-SDSで分析した25℃で2週間保存した場合に、10%以下、または9%以下、または8%以下、または7%以下、または6%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下のHMW%を提供する。
【0123】
特定の実施形態では、製剤は、SEC-HPLCまたはCE-SDSで分析した25℃で2週間保存した場合に、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下のLMW%を提供する。
【0124】
特定の実施形態では、製剤は、SEC-HPLCまたはCE-SDSで分析した25℃で4週間保存した場合に、10%以下、または9%以下、または8%以下、または7%以下、または6%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下のHMW%を提供する。
【0125】
特定の実施形態では、製剤は、SEC-HPLCまたはCE-SDSで分析した25℃で4週間保存した場合、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下のLMW%を提供する。
【0126】
特定の実施形態において、製剤は90%以上のモノマーを提供する。特定の実施形態において、製剤は、SEC-HPLCまたはCE-SDSによって分析された95%、96%、97%、98%以上のモノマーを提供する。
【0127】
特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも2週間安定である。特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも4週間安定である。特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも8週間安定である。特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも12週間安定である。特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも16週間安定である。特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも20週間安定である。特定の実施形態において、製剤は25℃で少なくとも24週間安定である。
【0128】
特定の実施形態において、製剤は30℃で少なくとも1週間安定である。特定の実施形態において、製剤は30℃で少なくとも2週間安定である。特定の実施形態において、製剤は2℃~8℃で少なくとも8週間安定である。
【0129】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質の高濃度;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. 適切なアミノ酸はアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. スクロース;
e. ポリソルベート20および;
f. pH7.3±0.2である。
【0130】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質の高濃度;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジン塩酸塩である;
d. スクロース;
e. ポリソルベート20および;
f. pH7.3±0.2である。
本発明は、ヒスチジン緩衝液を約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mMおよび約200mM以上の高濃度で使用する場合、安定な製剤を調製するためにアミノ酸の使用を低減または回避できることを開示する。
【0131】
別の実施形態では、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. スクロース;
d. アルギニン、グリシンまたはリジンおよびそれらの塩から選択される、任意に適切な凝集阻害剤およびその塩から選択される;
e. ポロキサマー188および;
f. pHは約7.1~約7.4から選択される。
ここで、ヒスチジン緩衝液濃度は約150mM~約200mMである
【0132】
別の実施形態では、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. 適切なアミノ酸はアルギニン、またはアルギニンHCI、アルギニンクエン酸塩、アルギニンコハク酸塩、アルギニンリン酸塩、アルギニン硫酸塩から選択されるその塩である;
d. スクロース;
e. ポロキサマー188;
f. pHは約7.1~約7.4から選択される。
【0133】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 約25mM~80mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、アルギニンまたはアルギニン塩酸塩であり、その量は約50mM~125mmである;
d. 約100g/L~130g/Lのスクロース;
e. 約1g/L~10g/Lの量のポロキサマー188 および;
f. pH7.3±0.2である。
【0134】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 約25mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、約125mMのアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. 約110g/Lのスクロース;
e. 約8g/Lの量のポロキサマー188および;
f. pH7.3±0.2である。
このような実施形態では、粘度は8.41CPs、浸透圧は856mOsm/キログラムである。
【0135】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHCIを約100mM~200mmの量で緩衝化する;
c. 適切なアミノ酸は、アルギニンまたはアルギニン塩酸塩で、その量は約10mM~80mMである;
d. 約100g/L~110g/Lのスクロース;
e. 約1g/L~10g/Lの量のポロキサマー188および;
f. pH7.3±0.2である。
【0136】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 150mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 適切なアミノ酸アルギニンまたはアルギニン塩酸塩を50mm量;
d. 110g/Lのスクロース;
e. 8g/Lの量のポロキサマー188および;
f. pH7.3±0.2である。
このような実施形態では、粘度は8.09CPsであり、浸透圧は785mOsm/キログラムである。
【0137】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 約100mM~200mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩の緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジン塩酸塩で、その量は約10mM~80mMである;
d. 約100g/L~110g/Lのスクロース;
e. 約1g/L~10g/Lの量のポロキサマー188および;
f. pH7.3±0.2である。
【0138】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4 Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 150mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 50mMの適切なアミノ酸リジンまたはリジン塩酸塩;
d. 110g/Lのスクロース;
e. 8g/Lの量のポロキサマー188 および;
f. pH7.3±0.2である。
このような実施形態では、粘度は8.74cPs、浸透圧は818mOsm/キログラムである。
【0139】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4-Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. 適切なアミノ酸はアルギニンまたはアルギニンHC1である;
d. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジンHCIである;
e. スクロース;
f. ポロキサマー188と;
g. pH7.3+0.2である。
【0140】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 約125mg/mlの高濃度の薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質;
b. 約10mM~80mmのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、約50mMから140mMのアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジンHCIであり、その量は約20mM~100mMである;
e. 約100g/L~110g/Lのスクロース;
f. 約1g/L~10g/Lの量のポロキサマー188および;
g. pH7.3+0.2である。
【0141】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 25mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、100mMのアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. 適切なアミノ酸は、75mMのリジンまたはリジン塩酸塩である;
e. 100g/Lの量のスクロース;
f. 8g/Lの量のポロキサマー188および;
g. pH7.3±0.2である。
このような実施形態では、粘度は7.51cPs、浸透圧は846mOsm/キログラムである。
【0142】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質を=125mg/mlの高濃度で含む;
b. 約10mM~100mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩の緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、アルギニンまたはアルギニン塩酸塩で、その量は約50mMから100mMである;
d. 適切なアミノ酸は、約50mMから100mMの量のリジンまたはリジン塩酸塩である;
e. 約100g/L~110g/Lのスクロース;
f.約1g/L~10g/Lの量のポロキサマー188および;
g. pH7.3±0.2である。
【0143】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 100mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 適切なアミノ酸は、50mMのアルギニンまたはアルギニン塩酸塩である;
d. 適切なアミノ酸は、リジンまたはリジン塩酸塩であり、その量は50mmである;
e. 110g/Lのスクロース;
f. 8g/Lの量のポロキサマー188と;
g. pH7.3±0.2.
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 高濃度の薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質;
b. 適切な緩衝液 L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸塩;
c. スクロース;
d. ポロキサマー188および;
e. pH7.3±0.2である。
このような実施形態の一態様では、製剤はアミノ酸またはその適当な塩を含まない。
【0144】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する;
a. 約125mg/mlの高濃度の薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質;
b. 約150mM~約200mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液:
c. 約100g/L~110g/Lのスクロース;
d. 約8g/Lの量のポロキサマー188、および
e. pH7.3±0.2である。
【0145】
一実施形態において、本発明は、以下を含む安定な医薬製剤を提供する:
a. 薬理学的に活性なCTLA4Ig融合タンパク質を125mg/mlの量で高濃度に含有する;
b. 200mMのL-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン塩酸緩衝液;
c. 110g/Lの量のスクロース;
d. 8g/Lの量のポロキサマー188および;
e. pH7.3±0.2である。
このような実施形態では、粘度は7.84cPs、浸透圧は736mOsm/キログラムである。
【0146】
一実施形態において、ヒスチジン緩衝液を用いた本製剤は、リン酸緩衝液を用いた融合タンパク質と比較して、低分子量(LMW)不純物の量が減少している。
【0147】
本発明は、例示の目的で以下の実施例を提供するものであり、本発明の範囲は例示の実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例はすべて25℃で行った。
【0148】
例1
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化された。
【0149】
20mMのリン酸緩衝液、110g/Lのショ糖、150mMのアルギニン塩酸塩およびポロキサマー(8mg/mL)を添加してpH7.3±0.2の製剤(F1)を調製した。DS溶液を0.2μmのフィルターでろ過し、ろ過液を得、ろ過液1mLを1mLのガラスPFSに充填した。製剤(F1)の組成を以下に示す:
【表1】
【表2】
F1は、他の製剤F3~F7(ヒスチジン緩衝液)と比較して、14日目に最も高いHMW%およびLMW%を示した。F1製剤は、他のF3~F7製剤(ヒスチジン緩衝液)と比較して、0日目でも高いHMW%とLMW%を示していることも重要である。
【0150】
例2
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化された。
【0151】
20mMのリン酸緩衝液、110g/Lのショ糖、150mMのリジン塩酸塩およびポロキサマー(8mg/mL)を添加し、pH7.3±0.2の製剤(F2)を調製した。DS溶液を0.2μmのフィルターでろ過し、ろ過液を得、ろ過液1mLを1mLのガラスPFSに充填した。製剤(F2)の組成を以下に示す:
【表3】
【表4】
F2は、他の製剤F3~F7(ヒスチジン緩衝液)と比較して、14日目に最も高いHMW%およびLMW%を示した。また、F2製剤は、他の製剤F3~F7(ヒスチジン緩衝液)と比較して、0日目でも高いHMW%およびLMW%を示していることも重要である。
【0152】
例3
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化された。
25mMのヒスチジン緩衝液、125g/Lのショ糖、125mMのアルギニン塩酸塩、およびpH7.3±0.2のポロキサマー(8mg/mL)を添加して製剤(F3)を調製した。この原液を0.2μmのフィルターで濾過して濾液を得、濾液1mLを1mLのガラス製PFSに充填した。製剤(F3)の組成を以下に示す:
【表5】
【表6】
【0153】
原薬CTLA-4IgG1を製剤賦形剤に添加したS01(INN PFS)との比較を以下に示す:
【表7】
【表8】
F3は、F1、F2およびS01製剤と比較して、HMW%をコントロールする必要があるが、それでもLMW%を効果的にコントロールできることを示している。さらに、S01は28日目に非常に高いLMW%を示した。したがって、ヒスチジンがLMW%を効果的にコントロールすることを示している。
F3の粘度は8.41CPs、浸透圧は856mOsm/キログラムである。
【0154】
例4
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化された。
【0155】
25mMのヒスチジン緩衝液、100g/Lのショ糖、75mMのリジン塩酸塩、100mMのアルギニン塩酸塩およびポロキサマー(8mg/mL)を加え、pH7.3±0.2の製剤(F4)を調製した。原液を0.2μmのフィルターでろ過してろ液を得、ろ液1mLを1mLのガラス製PFSに充填した。製剤(F4)の組成を以下に示す:
【表9】
【表10】
【0156】
原薬CTLA-4IgG1を製剤賦形剤に添加したS01(INN PFS)との比較を以下に示す:
【表11】
【表12】
F4は、F1、F2およびS01製剤と比較して、HMW%をコントロールする必要があるが、依然としてLMW%を効果的にコントロールできることを示している。さらに、S01は28日目に非常に高いLMW%を示した。したがって、ヒスチジン緩衝液はLMW%を効果的にコントロールするのに非常に有効であることを示している。
F4の粘度は7.51cPs、浸透圧は846mOsm/キログラムである。
【0157】
例5
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化された。
【0158】
200mMのヒスチジン緩衝液、110g/Lのショ糖、ポロキサマー(8mg/mL)を添加し、pH7.3±0.2の製剤を調製した(F5)。この原液を0.2μmのフィルターで濾過して濾液を得、濾液1mLを1mLのガラス製PFSに充填した。製剤(F5)の組成を以下に示す:
【表13】
【表14】
【0159】
原薬CTLA-4IgG1を製剤賦形剤に添加したS01(INN PFS)との比較を以下に示す:
【表15】
【表16】
F5は、製剤F1、F2およびS01と比較して、アミノ酸を含まない高濃度のヒスチジン緩衝液がHMW%およびLMW%を制御できることを示している。
【0160】
F5の粘度は7.84cPs、浸透圧は736mOsm/キログラムである。
【0161】
例6
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化されている。
【0162】
150mMのヒスチジン緩衝液、110g/Lのショ糖、50mMのアルギニン塩酸塩およびポロキサマー(8mg/mL)を添加し、pH7.3±0.2の製剤(F6)を調製した。
0.2μmフィルターで濾過し、濾液1mLを1mLガラスPFSに充填した。製剤組成(F6)の組成を以下に示す:
【表17】
【表18】
【0163】
原薬CTLA-4IgG1を製剤賦形剤に添加したS01(INN PFS)との比較を以下に示す:
【表19】
【表20】
F6は、ショ糖およびアミノ酸と組み合わせた高濃度のヒスチジン150mMが、製剤F1、F2およびS01と比較して、HMW%およびLMW%を効果的に制御していることを示している。また、S01リン酸緩衝液ではLMW%が著しく高いのに対し、F6ではLMW%が非常に低く、安定性が向上していることがわかる。
【0164】
F6の粘度は8.09cPs、浸透圧は785 mOsm/キログラムである。
【0165】
例7
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化されている。
【0166】
150mMのヒスチジン緩衝液、110g/Lのショ糖、50mMのリジン塩酸塩およびポロキサマー(8mg/mL)を加え、pH7.3±0.2の製剤(F7)を調製する。バルク溶液を0.2μmフィルターで濾過し、1mLのガラスPFSに充填した。製剤(F7)の組成を以下に示す:
【表21】
【表22】
【0167】
原薬CTLA-4IgG1を製剤賦形剤に添加したS01(INN PFS)との比較を以下に示す:
【表23】
【表24】
F7は、ショ糖およびアミノ酸と組み合わせた高濃度のヒスチジン150mMが、製剤F1、F2およびS01と比較して、HMW%およびLMW%を効果的に制御していることを示している。また、S01リン酸緩衝液ではLMW%が著しく高いのに対し、F6ではLMW%が非常に低く、安定性が向上していることがわかる。
F7の粘度は8.74cPs、浸透圧は818mOsm/キログラムである。
【0168】
例8
CTLA-4IgG1融合蛋白注射用製剤は、皮下投与用に125mg/mLの濃度で製剤化されている。
【0169】
100mMのヒスチジン緩衝液、110g/Lのショ糖、50mMのアルギニン、50mMのリジンおよびポロキサマー(8mg/mL)を加え、pH7.3±0.2の製剤(F8)を調製した。バルク溶液を0.2μmのフィルターでろ過し、1mLのガラス製PFSに充填した。製剤(F8)の組成を以下に示す:
【表25】
【表26】
【0170】
原薬CTLA-4IgG1を製剤賦形剤に添加したS01(INN PFS)との比較を以下に示す:
【表27】
【表28】
S01製剤は、製剤(F7)と比較して、HMW%とLMW%が非常に高いことがわかる。
【国際調査報告】