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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】改善されたオリゴヌクレオチド合成
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/02 20060101AFI20240229BHJP
   C07H 1/00 20060101ALI20240229BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
C07H21/02
C07H1/00
C12N15/09 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556964
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2022057241
(87)【国際公開番号】W WO2022195111
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21163788.9
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518337832
【氏名又は名称】バッヘン・ホールディング・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・アイゼンフート
(72)【発明者】
【氏名】カール・リュディガー・ハウグ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ザムゾン
(72)【発明者】
【氏名】アーネ・ベルテルマン
(72)【発明者】
【氏名】ギード・クロセイン
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA15
4C057BB02
4C057DD03
4C057MM02
(57)【要約】
脱プリン化のレベルを低減する、オリゴヌクレオチドの合成のための改善されたプロトコールが提供される。ヒドロキシル基からのジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断のための液体組成物、およびオリゴヌクレオチドの化学合成におけるその使用が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、使用。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、以下の工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、
方法。
【請求項3】
- 工程c)において使用されるヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分は、リン(III)部分であり;
- 方法は、リン(III)原子をリン(V)原子に酸化または硫化し、それによって、所望の種類のヌクレオシド間連結を作出するさらなる工程d)を含み;
- 工程e)は、場合により、工程b)からd)の順序を反復する工程または工程d)を実行する前に工程b)およびc)の順序を反復する工程のいずれかを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
- 工程a)は、式Iに記載の化合物
【化1】
[式中、
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの繰り返し単位nについて同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み;
- 工程e)は、場合により、一連の工程b)からd)を反復する工程を含む、
請求項2~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックは、式IIに記載の化合物
【化2】
[式中、
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
mは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの位置について同じまたは異なる保護基であり;
およびRは、同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドxm0~xmのそれぞれは、同じまたは異なる]
である、
請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
- 工程a)は、式IIIに記載の化合物
【化3】
[式中、
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、Oであり;
Zは、Hであり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をH-ホスホネートビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み;
- 工程e)は、場合により、工程d)を実行する前に工程b)およびc)の順序を反復することによって、所望のオリゴヌクレオチド配列を構築する工程を含む、
請求項2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程cの後または工程d)の後に、未反応の遊離ヒドロキシル基をブロックする工程g)をさらに含む、請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも工程b)は、バッチ反応器において行われる、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
方法は、カラム反応器において行われ、カラム反応器を通る液体組成物Cの流速は、工程b)の少なくとも1反復において、300cm/時間を下回る、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
合成は、オリゴヌクレオチド生成物100mmol以上のスケールで行われる、請求項2~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
方法は、以下の工程h):
h)支持体を切断されたオリゴヌクレオチドを単離する工程
をさらに含む、請求項2~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、ハロゲン化炭化水素溶媒、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択される、請求項2~11のいずれか1項に記載の方法または請求項1に記載の使用。
【請求項13】
組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されていない、請求項2~12のいずれか1項に記載の方法または請求項1および12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
ヒドロキシル基からのジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断における使用のための液体組成物Cであって、組成物は、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有し、非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されておらず、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択される、液体組成物C。
【請求項15】
組成物Cに含有される塩基は、環状アミンであり、
好ましくは、環状アミンは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、ピリダジン、ピラゾール、およびトリアゾールからなる群から選択される、
請求項2~13のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12もしくは13のいずれか1項に記載の使用、または請求項14に記載の液体組成物。
【請求項16】
組成物Cに含有される塩基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、およびカルボキサミド基からなる群から選択される1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換されているピリジンである、請求項2~13もしくは15のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~15のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項17】
塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2~13もしくは15~16のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~16のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~16のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項18】
組成物Cに含有される強酸は、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2~13もしくは15~17のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~17のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~17のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項19】
組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され、好ましくは、強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2~13もしくは15~18のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~18のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~18のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項20】
組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2~13もしくは15~19のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~19のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~19のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項21】
液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2~13もしくは15~20のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~20のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~20のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項22】
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の60~99%を占め;
- 液体組成物Cに含有されアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の1~40%を占める、
請求項2~13もしくは15~21のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~21のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~21のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項23】
組成物Cにおける前記アルコールのモル濃度は、組成物Cに含有される前記塩基のモル濃度の少なくとも2倍超である、請求項2~13もしくは15~22のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~22のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~22のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項24】
液体組成物Cにおいて、
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して0.80~15.0当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して2.0~100.0当量の範囲内である、
請求項2~13もしくは15~23のいずれか1項に記載の方法、または請求項1、12、13もしくは15~23のいずれか1項に記載の使用、または請求項14~23のいずれか1項に記載の液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、工業スケールまたは実験室スケールでのオリゴヌクレオチド合成の分野に関する。オリゴヌクレオチドの合成のための改善された方法が開示される。本発明は、反復的オリゴヌクレオチド合成の間に、場合により置換されたトリアリールメチル残基、好ましくは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基を含む(一時的)保護基を効率的に除去する方法を対象とする。本発明のさらなる態様は、液体組成物、およびオリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基を除去するためのその使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、化学的オリゴヌクレオチド合成の反復的方法は、通常、鎖伸長に関与しない塩基/塩基アナログおよびリボース/リボースアナログ部分に位置するこれらの官能基のための第1の種類の保護基の使用、ならびに主鎖伸長を制御するための第2の種類の保護基の使用に依拠する。後者の種類は、付加されるビルディングブロックに含まれる一時的保護基である。その機能は、ビルディングブロックの二重挿入および/またはビルディングブロック部分の多量体化を回避することである。第1および第2の種類の保護基は、典型的には、互いに対してオルトゴナルであり、これは、1つの種類が他の種類の保護基に影響を及ぼさない条件下で除去することができることを意味する。
【0003】
通常、第1の種類の保護基は、アルカリ条件下で切断可能であり、鎖構築が終了したらそれらが除去されるだけであるという点で「永久的」であり;第2の種類の一時的保護基は、典型的には、酸性条件下で切断可能であり、合成サイクル毎に1回除去される。トリアリールメチル保護基は、通常、一時的保護のために使用される。したがって、カップリングサイクルは、保護されたビルディングブロックをオリゴヌクレオチド主鎖の未保護末端にカップリングし、それに続いて、その後のカップリングサイクルのために調製するために、このようにして伸長したオリゴヌクレオチドを脱保護する工程を含む。それぞれの工程後の試薬からの分離を容易にするために、成長しているオリゴヌクレオチド鎖は、通常、固体支持体または可溶性修飾タグである支持部分に結合している。
【0004】
ホスホラミダイトオリゴヌクレオチド合成のために、合成サイクルは、通常、リボース部分のヒドロキシル基、例えば、5’-ヒドロキシル基の選択的脱保護によって開始する。次に、成長しているオリゴヌクレオチド鎖は、適切に保護されたヌクレオシドホスホラミダイトおよび活性化試薬とともにインキュベートされる。DMT(ジメトキシトリチル、別名ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル)基は、一時的保護基としてしばしば使用される。カップリング反応から得られる三配位ホスファイトトリエステルは、次いで、酸化または硫化され、ホスフェートトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または混合主鎖構造のルーチン合成を可能にする。任意的なキャッピング工程を使用して、任意の未反応ヒドロキシル基をブロックし、それによって、その後のカップリングラウンドにおいて、単一のヌクレオシドサブユニットのみの非存在によって標的オリゴヌクレオチドとは異なる欠失配列の出現を回避する。
【0005】
ホスホネートオリゴヌクレオチド合成のために、DMTなどの酸感受性一時的保護基を有するヌクレオシドH-ホスホネートモノエステルが使用される。ヌクレオシド間のH-ホスホネートジエステル連結は、典型的には、鎖構築の最後で酸化または硫化される。使用される反応条件に応じて、ホスホジエステル連結、ホスホロチオエート連結、ホスホロセレノエートまたはホスホロアミデートアナログ、および他の誘導体が、この工程において作製される。
【0006】
一時的トリアリールメチル型保護基を除去する工程は、高品質のオリゴヌクレオチドの合成にとって驚くほど困難であることが判明している。トリアリールメチル型保護基、特に、DMT基は、有機合成において、周知であり、よく使用される。さまざまな切断プロトコールが存在し、トリチルアミンの切断のための一例は、特許文献1に記載されている。
【0007】
しかしながら、オリゴヌクレオチド合成の文脈において、DMT切断工程は、酸誘導塩基切断のリスクをもたらす。いずれの反応も酸で触媒されるからである。この副反応は、グアニンおよびアデニン型塩基で特に顕著であり、脱プリン化と称される。脱プリン化を回避するために、さまざまな戦略が探索されている。代替の一時的保護基である塩基性を低減する核酸塩基保護基、ならびにジヌクレオチドおよびトリヌクレオチドを使用するカップリングスキームが試験されているが、これらのアプローチは、ルーチンオリゴヌクレオチド合成のためのその価値を証明していない。加えて、切断反応自体および反応条件が研究されている。非特許文献1は、最初のプロトン化工程に関与すると思われる4,4’-ジメトキシトリチルアミンの脱アミノ化とは対照的に、非水溶液中でのヌクレオチドからのDMT基の切断が、協奏的な一般的な酸触媒機構により起こる可能性があることを実証した。
【0008】
HabusおよびAgarwal(特許文献2)は、2%のジクロロ酢酸(DCA)および0.1%の低級アルコール、例えば、エタノールもしくはメタノール、および/または0.1~1%の1H-ピロールを含む脱トリチル化剤が脱プリン化を抑制することを教示している。非特許文献2および非特許文献3は両方とも、脱トリチル化試薬中のジクロロ酢酸(DCA)の濃度を3%から10%に増加させること、および脱プリン化よりも脱トリチル化に有利に働くように、脱トリチル化剤とオリゴヌクレオチドとの間の接触時間を最小限に保つことを教示している。このアプローチは、原薬(API)として極めて有用なものなどのオリゴヌクレオチドの工業スケールの生産のために依然として使用されている。しかしながら、脱トリチル化試薬とオリゴヌクレオチドとの間の接触時間を制限することで、液体ハンドリングシステムの最大ポンプ能力が制限されるので、プロセスのスケーラビリティを激しく制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8299206号
【特許文献2】WO96/03417号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Russellら(Org.Biomol.Chem.2009、7、52~57頁)
【非特許文献2】Septak(Nucleic Acids Research、1996、第24巻、第15号、3053~3058頁)
【非特許文献3】Cheruvallath(Organic Process Research & Development 2003、7、917~920頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
脱プリン化、すなわち、望まない塩基切断を抑制しながら、成長しているオリゴヌクレオチドの(主鎖関連)ヒドロキシル基を脱保護するための方法であって、スケーラブルでオリゴヌクレオチドの大スケール生産に適している方法の、長期間望まれていた依然として満たされていない必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、この課題に対する解決手段を提供する。
【0013】
一態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基からの場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基の切断のための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール(すなわち、2,2,2-トリフルオロエタノール、TFE)、ヘキサフルオロイソプロパノール(すなわち、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、HFIP)、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpkaを有する、使用を提供する。液体組成物Cは、特に、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基の切断を生じさせながら、酸誘導核酸塩基切断、特に、脱プリン化を抑制するために特に使用される。
【0014】
本明細書において使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、異なって指示されない限り、「1つまたはそれ以上」を意味する。
【0015】
したがって、本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断、特に、脱プリン化を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、使用にも関する。
【0016】
本明細書において使用される場合、「非プロトン性溶媒」は、水素結合供与体ではない溶媒である。そのため、非プロトン性溶媒は、O-HまたはN-H結合なしの溶媒である。
【0017】
本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断、特に、脱プリン化を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、使用に関する。
【0018】
当業者に公知であるように、「核酸塩基切断」は、典型的には、アデニンおよびグアニンなどのプリン型核酸塩基で起こり、これは、「脱プリン化」と称される。アデニンは、特に、脱プリン化する傾向がある。
【0019】
「塩基と強酸の塩」という用語が、前記塩基および前記強酸の分子の集団であって、塩基分子の一部および酸分子の一部が、例えば、静電相互作用によって、互いに会合している、集団を指すことが当業者に理解されるであろう。典型的には、強酸は、プロトンを塩基にプロトンを供与する。しかしながら、これは、液体組成物C内の前記塩基のすべての分子および前記強酸のすべての分子が常に互いと会合していることを意味すると解釈されるべきではない。実際に、当業者に公知であるように、塩の溶液は、溶媒和形態のイオンを含む。加えて、強酸による塩基のプロトン化に、例えば、場合により置換されたトリアリールメチル残基(例えば、DMT基)を含む保護基が除去される酸素原子にプロトンが移動することによって、プロトン化された塩基(すなわち、塩のカチオン)の脱プロトン化が続く。強酸はまた、そもそも塩基とは異なる種をプロトン化し、そのような種との、例えば、オリゴヌクレオチドの核酸塩基との水素結合に関わる。したがって、本文全体を通して使用される場合、「非プロトン性溶媒および塩基と強酸の塩を含む液体組成物であって、塩のカチオンが、1~4の範囲内のpkaを有する」という表現は、「非プロトン性溶媒、そのプロトン化形態が1~4の範囲内のpKaを有する塩基、および強酸を含む液体組成物」という表現と同義である。両方の表現は、本文全体を通して、互換的に使用される。
【0020】
そのため、本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断、特に、脱プリン化を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、そのプロトン化形態が1~4の範囲内のpKaを有する塩基と、1未満のpKaを有する強酸とを含む液体組成物Cの使用に関する。
【0021】
さらに、本発明は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断、特に、脱プリン化を抑制するための、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(別名1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、使用にも関する。
【0022】
さらに、本発明は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断、特に、脱プリン化を抑制するための、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒、トリフルオロエタノール、ならびに塩基と強酸の塩を含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、使用にも関する。
【0023】
さらに、本発明は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断を抑制するための、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノール、ならびに塩基と強酸の塩を含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、使用にも関する。
【0024】
DMT(ジメトキシトリチル)は、好ましいトリアリールメチル保護基(またはトリアリールメチル残基)であり、DMT切断のための好ましい塩または強酸および塩基の組合せを、本明細書の以下に詳述する。異なって指示されない限り、ジメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル保護基、ジメトキシトリチル残基、DMT基、およびDMT残基という用語は、互換的に使用され、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基を指す。
【0025】
この文脈において使用される場合、「抑制する」という用語は、(望ましくない)核酸塩基切断(例えば、脱プリン化)の速度を低減するような広い意味で理解される。核酸塩基切断は、トリアリールメチル型保護基、例えば、DMT保護基の切断の際に、完全にまたは部分的に防止される。
【0026】
核酸塩基切断/脱プリン化の度合いを使用して、望ましくない核酸塩基切断に関する異なる脱トリチル化プロトコールが比較される。簡潔には、合成されたオリゴヌクレオチド(支持体が支援する合成が使用される場合に、支持体から切断されたオリゴヌクレオチド)のHPLC-MS分析から得られたクロマトグラムにおいて、核酸塩基切断に由来する/脱プリン化に由来する副生成物のピーク面積を合計して、すべての特定された核酸塩基切断に由来する/脱プリン化に由来する副生成物の合計されたピーク面積を得る。次いで、パーセント(%)での核酸塩基切断/脱プリン化の度合いは、核酸塩基切断に由来する/脱プリン化に由来する副生成物の合計されたピーク面積を、個々のオリゴヌクレオチド合成の生成物(すなわち、標的オリゴヌクレオチド)の面積によって割り、それに続いて100%を掛けて、パーセント(%)での値に達することによって決定される。
【0027】
一部の実施形態において、核酸塩基切断を抑制することは、トルエン中の10%のDCA(v/v)が本発明の液体組成物Cの代わりに使用される点でのみ異なる同等の脱トリチル化工程との比較において、核酸塩基切断の度合いを少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%低減することである。同じように、一部の実施形態において、脱プリン化を抑制することは、トルエン中の10%のDCA(v/v)が本発明の液体組成物Cの代わりに使用される点でのみ異なる同等の脱トリチル化工程との比較において、脱プリン化の度合いを少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%低減することである。
【0028】
この文脈において、「同等の切断工程」および「同等の脱トリチル化工程」という用語は、類似の条件下で、例えば、同じ基質、スケール、温度、時間、および脱トリチル化カクテルの体積で、脱トリチル化カクテルの組成、例えば、トルエン中の10%のDCA(v/v)対本発明の液体組成物Cに関してのみ異なって、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基を除去する工程を指す。
【0029】
「核酸塩基切断の度合いまたは脱プリン化の度合いのこの文脈における「低減する」という用語の意味は、当業者によって理解され、以下の通り例示される:脱トリチル化のために本発明の液体組成物Cを使用する第1の合成Aの脱プリン化の度合いを、脱トリチル化のためにトルエン中の10%のDCA(v/v)を使用する第2の合成Bの脱プリン化の度合いによって割ると、0.95の商を提供する場合、脱プリン化の度合いは、5%低減されると言われる。
【0030】
本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基から、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基の切断を生じさせながら、アデニンまたはグアニン、特に、アデニンの切断を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、使用に関する。
【0031】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基からの場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基の切断における使用のための液体組成物Cであって、組成物は、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、液体組成物Cを提供する。
【0032】
本発明の一態様は、ヒドロキシル基からのジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基の切断における使用のための液体組成物Cであって、組成物は、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有し、非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されておらず、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択される、液体組成物Cに関する。
【0033】
そのため、本発明の一態様は、ヒドロキシル基からのジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基の切断における使用のための液体組成物Cであって、組成物は、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、そのプロトン化形態が1~4の範囲内のpKaを有する塩基と、1未満のpKaを有する強酸とを含み、非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されておらず、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択される、液体組成物Cに関する。
【0034】
本発明の液体組成物Cの一部の実施形態において、前記液体組成物は、ヒドロキシル基からのジ(p-(メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基の切断における使用のためのものであり、ここで、DMT基を持つヌクレオシド部分は、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含む。
【0035】
別の態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドから場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)およびc)の順序を反復する工程;ならびに
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0036】
本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、以下の工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、
方法に関する。
【0037】
そのため、本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、以下の工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、そのプロトン化形態が1~4の範囲内のpKaを有する塩基と、1未満のpKaを有する強酸とを含む、
方法に関する。
【0038】
一部の態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドから、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン(III)部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)リン(III)原子をリン(V)原子に酸化または硫化し、それによって、所望の種類のヌクレオシド間連結を作出する工程;
e)場合により、工程b)からd)の順序を反復する工程または工程d)を実行する前に工程b)およびc)の順序を反復する工程のいずれか;ならびに
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0039】
場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基はまた、トリアリールメチル系残基、トリアリールメチル型基、またはトリチル型残基、トリアリールメチル基、またはトリチル基などと指定される。
【0040】
本発明の一部の実施形態は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、以下の工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン(III)部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)リン(III)原子をリン(V)原子に酸化または硫化し、それによって、所望の種類のヌクレオシド間連結を作出する工程;
e)場合により、工程b)からd)の順序を反復する工程または工程d)を実行する前に工程b)およびc)の順序を反復する工程のいずれか;ならびに
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有し、強酸は、1未満のpKaを有する、
方法に関する。
【0041】
前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程a)の少なくとも一反復では、DMT保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル基は、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含むヌクレオシド部分の一部である。
【0042】
前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程e)は、行われ、工程b)からd)の順序を反復する工程を含む。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程e)は、行われ、4~99回、9~99回、14~99回、19~99回、19~49回、19~29回、4~22回、または4~19回、工程b)からd)の順序を反復する工程を含む。
【0043】
前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程e)は、行われ、4~99回、工程b)からd)の順序を反復する工程を含み、ただし、工程b)の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11反復において、DMT保護基が切断される主鎖ヒドロキシル基は、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含むヌクレオシド部分の一部である。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程e)は、行われ、9~99回、工程b)からd)の順序を反復する工程を含み、ただし、工程b)の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11反復において、DMT保護基が切断される主鎖ヒドロキシル基は、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含むヌクレオシド部分の一部である。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程e)は、行われ、19~99回、工程b)からd)の順序を反復する工程を含み、ただし、工程b)の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11反復において、DMT保護基が切断される主鎖ヒドロキシル基は、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含むヌクレオシド部分の一部である。
【0044】
前述の工程a)からf)を含む方法の一部の実施形態において、
- 工程a)は、式Iに記載の化合物:
【化1】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの繰り返し単位nについて同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み;
- 工程e)は、場合により、一連の工程b)からd)を反復する工程を含む。
【0045】
一部の実施形態において、式Iに記載の化合物は、以下の式I-aの記載の化合物:
【化2】
[式中、
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの繰り返し単位nについて同じまたは異なる保護基であり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分であり;
は、それぞれの出現において同じまたは異なる核酸塩基であり;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-(C~Cアルキル)、-O-(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-O-Si(C~Cアルキル)、および-O-CH-O-Si(C~Cアルキル)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において独立して、Hであるか、またはRIIおよびRは、化学構造+-CH-O-++、+-CH(CH)-O-++、または+-CH-CH-O-++(ここで、+は、4’炭素原子(すなわち、RIIが結合する炭素原子)との結合点であり、++は、2’炭素(すなわち、Rが結合する炭素原子)との結合点である)のメチレンまたはエチレン架橋を一緒に形成する]
である。
【0046】
一部の実施形態において、式IまたはI-aにおけるZは、それぞれの繰り返し単位nについて、Oである。
【0047】
一部の実施形態において、式Iおよび/またはI-aにおけるCAは、単結合である。一部の実施形態において、式Iおよび/またはI-aにおけるLは、単結合である。一部の実施形態において、式Iおよび/またはI-aにおけるCAおよびLは、単結合である。式Iおよび/またはI-aにおけるCAおよびLの両方が単結合である場合、それらは、支持部分をヌクレオシドx0に連結する同じ単結合を一緒に表すことが理解されるであろう。
【0048】
一部の実施形態において、式Iおよび/またはI-aにおける整数nは、0~150、0~100、0~75、0~50、0~35、0~30、0~20、0~10、4~30、9~30、9~25、または9~20の範囲内である。式Iおよび/またはI-aにおける整数nが0である場合、保護基Rは、式Iおよび/またはI-aに記載の化合物に依然として含まれ、nが0ではなかった場合に第1の繰り返し単位nのリン原子への共有結合に関わるであろうヌクレオシドx0の酸素原子に結合することが理解されるであろう。
【0049】
工程a)が式Iおよび/またはI-aに記載の化合物を準備する工程を含む一部の実施形態において、-OR基を持つ末端ヌクレオシドxnは、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含むヌクレオシドである。
【0050】
例えば、一実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドを合成するための方法であって、以下の工程a)からf):
)式Iに記載の化合物
【化3】
[式中:
は、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの繰り返し単位nについて同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合(すなわち、CAは欠けている)であり;
Lは、リンカー部分または単結合(すなわち、Lは欠けている)であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程;
)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、式Iに記載の化合物から、場合により置換されたトリアリールメチル残基R1を含む保護基を切断する工程;
)工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
)前記リン(III)部分をリン(V)部分に酸化または硫化する工程;
)場合により、工程b)からd)の順序のいずれかを反復する工程;および
)リンカー部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法に関する。
【0051】
本明細書に示される工程の順番が変更されてもよいこと、および任意として示される工程が省略されてもよいことに留意すべきである。
【0052】
前述の工程a)からf)を含む方法の一部の実施形態において、
- 工程a)は、式IIIに記載の化合物
【化4】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
Yは、Oであり;
Zは、Hであり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をH-ホスホネートビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み;
- 工程e)は、場合により、工程d)を実行する前に工程b)およびc)の順序を反復することによって、所望のオリゴヌクレオチド配列を構築する工程を含む。
【0053】
一部の実施形態において、式IIIに記載の化合物は、以下の式III-aの記載の化合物:
【化5】
[式中、
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、Oであり;
Zは、Hであり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分であり;
は、それぞれの出現において同じまたは異なる核酸塩基であり;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-(C~Cアルキル)、-O-(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-O-Si(C~Cアルキル)、および-O-CH-O-Si(C~Cアルキル)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において独立して、Hであるか、またはRIIおよびRは、化学構造+-CH-O-++、+-CH(CH)-O-++、または+-CH-CH-O-++(ここで、+は、4’炭素原子(すなわち、RIIが結合する炭素原子)との結合点であり、++は、2’炭素(すなわち、Rが結合する炭素原子)との結合点である)のメチレンまたはエチレン架橋を一緒に形成する]
である。
【0054】
一部の実施形態において、式IIIおよび/またはIII-aにおけるCAは、単結合である。一部の実施形態において、式IIIおよび/またはIII-aにおけるLは、単結合である。一部の実施形態において、式IIIおよび/またはIII-aにおけるCAおよびLは、単結合である。式IIIおよび/またはIII-aにおけるCAおよびLの両方が単結合である場合、それらは、支持部分をヌクレオシドx0に連結する同じ単結合を一緒に表すことが理解されるであろう。
【0055】
一部の実施形態において、式IIIおよび/またはIIIaにおける整数nは、0~150、0~100、0~75、0~50、0~35、0~30、0~20、0~10、4~30、9~30、9~25、または9~20の範囲内である。式IIIおよび/またはIIIaにおける整数nが0である場合、保護基Rは、式IIIおよび/またはIIIaに記載の化合物に依然として含まれ、nが0ではなかった場合に第1の繰り返し単位nのリン原子への共有結合に関わるであろうヌクレオシドx0の酸素原子に結合することが理解されるであろう。
【0056】
工程a)が式IIIおよび/またはIIIaに記載の化合物を準備する工程を含む一部の実施形態において、-OR基を持つ末端ヌクレオシドxnは、プリン型核酸塩基、好ましくは、アデニンおよびグアニンからなる群から選択される核酸塩基、特に、アデニンを含むヌクレオシドである。
【0057】
式I-aおよびIII-aのいずれかにおけるそれぞれの核酸塩基Bは、それぞれの出現において同じまたは異なり、場合により保護されている、すなわち、1つまたはそれ以上の保護基を持つことが理解されるであろう。当業者は、核酸塩基保護基に精通しており、特定の合成のためにそれらを選択する方法を知っている。特に、例えば、アデニン、グアニン、およびシトシンに存在するような、任意の環外アミノ基が保護される。表T-1は、通常使用される保護基の非限定的な概略を示す。
【0058】
一部の実施形態において、式I-aおよび/または式III-aにおいて:
は、それぞれの出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-CH(すなわち、メトキシ)、-O-CH-CH-O-CH(すなわち、2-メトキシエチル-1-オキシ)、-O-Si(CH(すなわち、トリメチルシリルオキシ)、-O-Si(CH(C(CH)(すなわち、tert-ブチル(ジメチル)シリルオキシ)、および-O-CH-O-Si(C(CH(すなわち、((トリイソプロピルシリル)オキシ)-メチルオキシ)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において、Hである。
【0059】
一部の実施形態において、式I-aおよび/またはIII-aにおいて:
は、それぞれの出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-CH(すなわち、メトキシ)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において、Hである。
【0060】
一部の実施形態において、式I-aおよび/またはIII-aにおいて:
は、それぞれの出現において独立して、環外アミノ基がベンゾイル保護されているアデニン、環外アミノ基がイソブチリル保護されているグアニン、環外アミノ基がベンゾイルまたはアセチル保護されているシトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-CH(すなわち、メトキシ)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において、Hである。
【0061】
別の例として、本発明は、オリゴヌクレオチドを合成するための方法であって、以下の工程a)からf):
)式IIIに記載の化合物
【化6】
[式中:
は、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、Oであり、Zは、Hであり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合(すなわち、CAは欠けている)であり;
Lは、リンカー部分または単結合(すなわち、Lは欠けている)であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程;
)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、式IIIに記載の化合物から、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基を切断する工程;
)工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をH-ホスホネートビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
)前記リン(III)部分をリン(V)部分に酸化または硫化する工程;
)場合により、工程d’)の前に、追加のビルディングブロックのその後のカップリングのために、工程b)およびc)を反復する工程;ならびに
)リンカー部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0062】
本明細書において使用される場合、オリゴヌクレオチドという表現は、ホスホジエステル結合によってまたは下記の式Aに示されるアナログ構造によって連結された少なくとも2つのヌクレオシドを含む任意のオリゴマー、およびその任意の異性体形態および立体異性体に関する最も一般的な方法で使用される。好ましい実施形態において、本発明の意味におけるオリゴヌクレオチドは、式Aに記載の構造またはその塩:
【化7】
[ここで、式Aにおいて:
および**は、別のものとはそれぞれ独立して、ヌクレオシド部分のそれぞれとの結合点(すなわち、それぞれ、先行および後のヌクレオシド部分)またはH(すなわち、オリゴヌクレオチドの末端の場合において)を表し;
は、SおよびOから選択され;
は、任意の考えうる安定な原子または官能基であり、好ましくは、-OH、-OR、-NHR、C~C20-(ヘテロ)芳香族部分、-CH、-F、-Cl、-SH、-SeH、および-SRからなる群から選択され、
ここで、Rは、任意の残基、好ましくは、30個超の炭素原子を有さない残基、好ましくは、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルケニル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキニル残基、C~C20アリール残基、C~C19ヘテロアリール残基からなる群から選択される残基であり、前述の残基は、重水素、ハロゲン、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルケニル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキニル残基、C~C20(ヘテロ)シクロアルキル残基、C~C20アリール残基、および/またはC~C19ヘテロアリール残基で場合により置換される]
を含むか、またはそれからなるリンカーを介して互いとコンジュゲートされた2つ以上のヌクレオシド部分を含む。
【0063】
本発明全体を通して使用される場合、「アルキル」、「ヘテロアルキル」という用語は、最も広い意味で理解される。これは、例えば、メチルまたはエチルまたはイソプロピルである。ヘテロアルキルは、例えば、N、O、SまたはPなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含む。これはまた、アルコキシ(例えば、メトキシ(-O-CH、-OMe))および-NHCHもしくは-N(CH、またはその塩などの類似の残基を包含する。好ましくは、アルキルは、重水素、ハロゲン、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルケニル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキニル残基、C~C20(ヘテロ)シクロアルキル残基、C~C20アリール残基、および/またはC~C19ヘテロアリール残基で場合により置換された、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキルである。
【0064】
本発明全体を通して使用される場合、「アルケニル」および「ヘテロアルケニル」という用語は、最も広い意味で理解され、1つ、2つまたはそれ以上の二重結合を有する。ヘテロアルケニルは、例えば、N、O、SまたはPなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含む。好ましくは、アルケニルは、重水素、ハロゲン、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルケニル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキニル残基、C~C20(ヘテロ)シクロアルキル残基、C~C20アリール残基、および/またはC~C19ヘテロアリール残基で場合により置換された、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルケニルである。
【0065】
本発明全体を通して使用される場合、「アルキニル」および「ヘテロアルキニル」という用語は、最も広い意味で理解され、1つ、2つまたはそれ以上の三重結合を有する。ヘテロアルキニルは、例えば、N、O、SまたはPなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含む。好ましくは、アルキニルは、重水素、ハロゲン、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルケニル残基、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキニル残基、C~C20(ヘテロ)シクロアルキル残基、C~C20アリール残基、および/またはC~C19ヘテロアリール残基で場合により置換された、分枝状、非分枝状もしくは環状C~C20(ヘテロ)アルキニルである。
【0066】
本発明全体を通して使用される場合、「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、最も広い意味で理解される。ヘテロアリールは、好ましくは環状構造中に、例えば、N、O、Sおよび/またはPなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含む。
【0067】
ヌクレオシド間の連結の種類は、オリゴヌクレオチドのすべての位置において、必ずしも同じではない。例えば、オリゴヌクレオチド鎖の中央は、ホスホジエステル結合を含み、ホスホロチオエート結合は、鎖の先端に存在する。
【0068】
それぞれのヌクレオシドが、2つのヒドロキシル部分(すなわち、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基に由来する部分、典型的には、式Aの残基をヌクレオチド部分と連結するエステル結合に関与する)を含み、これらが、ヌクレオシド間の連結、すなわち、隣接するヌクレオシドの間に位置するリン(V)部分とのホスホエステル型結合に関与することは式Aから明らかである。ヒドロキシル部分の1つは、先行するヌクレオシドへのヌクレオシド間の連結に関与し、他のヒドロキシル部分は、その後のヌクレオシドへのヌクレオシド間の連結に関与する。したがって、これらのヒドロキシル部分は、本文全体を通して「主鎖ヒドロキシル部分」または「主鎖ヒドロキシル基」と称される。明らかに、最初および最後のヌクレオシド単位は、1つのみのヌクレオシド間の連結に関与する。
【0069】
したがって、それらは、遊離主鎖ヒドロキシル基(例えば、DNAおよびRNAにおいて見出されるようなホスホリボース主鎖の場合において、いわゆる5’OH基および3’OH基)を含むか、またはヒドロキシル部分は、別の部分に、例えば、キャッピング構造に連結される。
【0070】
本明細書において、「ヌクレオシド間の連結」および「ヌクレオシド間連結」という用語は、互換的に使用される。
【0071】
オリゴヌクレオチドは、さまざまな目的のために、追加部分にコンジュゲートされる。コンジュゲーションは、末端主鎖ヒドロキシル基を通してまたはヌクレオシド部分の他の官能基を介してであり、これは、オリゴヌクレオチド鎖の末端またはその中に位置する。例えば、siRNAのアンチセンス鎖の5’OH基は、細胞の分解を阻害し、効力を改善するために、ビニルホスホネートによって修飾される。さらなる例は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)へのコンジュゲーションであり、これは、肝細胞への標的化オリゴヌクレオチド送達のために興味が持たれる。多くの場合に、3または4つのGalNAc部分を収容するように枝分かれしたGalNAc構造は、例えば、オリゴヌクレオチドの5’OH基に(参照、例えば、WO2016055601号)、3’OH基に(参照、例えば、WO2009073809号)コンジュゲートされるか、または一価GalNAc部分は、リンカーを介して、オリゴヌクレオチド鎖内のその後のリボース部分の2’位にコンジュゲートされる(参照、例えば、WO2019075419号)。
【0072】
ヌクレオシド単位は、糖部分、通常、リボース部分、および核酸塩基を含むグリコシルアミンである。本明細書において使用される場合、ヌクレオシドまたはヌクレオシド単位という表現は、天然に存在するヌクレオシド、および非天然化合物を包含し、ここで、リボース部分および/または核酸塩基は、機能的等価物または脱塩基部位によって修飾または置き換えられている。天然ヌクレオシドの例には、限定されるものではないが、アデノシン、グアノシン、シチジン、リボチミジン、ウリジン、デスオキシウリジン、デスオキシチミジン、イノシン、デスオキシアデノシン、デスオキシグアノシン、デスオキシシチジン、およびそのメチル化誘導体が含まれる。さらなる例は、キューオシン、アルカエオシン、ウィブトシン、リシジン、およびN-トレオニルカルバモイルアデノシンである。非天然ヌクレオシドは、変更されたリボース部分を含み、これは、例えば、「ロックド」(すなわち、2’酸素および4’炭素を接続するメチレン架橋を含む)であるか、エチレン架橋を示すか、または-F、-OMe(-O-CH)、および/もしくは2-メトキシエチル-1-オキシ(-O-CH-CH-O-CH、別名MOE、-O-メトキシエチル)置換基を持つ。さらに、リボース部分は、機能的等価体によって、例えば、アラビノースなどの別のペントース、マンノースなどのヘキソース、またはグリセリン部分によって置き換えられる。本明細書において使用される場合、核酸塩基という表現は、非天然核酸塩基、および例えば、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、およびチミンなどの天然に存在する核酸塩基を包含する。
【0073】
非天然核酸塩基は、それらが相補的核酸塩基と特異的相互作用が可能であるという点で天然核酸塩基の機能的等価体である。相補的核酸塩基間の相互作用は、ワトソン-クリック型塩基対形成として公知である水素結合によって媒介される。そのような非天然核酸塩基は、プリンまたはピリミジンの誘導体であり、これらは、別の核酸塩基と特異的相互作用が可能である。本明細書において、プリンに由来する核酸塩基は、プリン型核酸塩とも称され、ピリミジンに由来する核酸塩は、ピリミジン核酸塩基とも称される。アデニンおよびグアニンは、天然に存在するプリン型核酸塩基である。シトシン、チミン、およびウラシルは、天然に存在するピリミジン型核酸塩基である。
【0074】
本明細書において使用される場合、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に理解される。オリゴヌクレオチドの非限定的な例は、デオキシ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ロックド核酸(LNA)、拘束エチル核酸アナログ(cEt)、架橋核酸(BNA)、トリシクロDNA、アンロックド核酸(UNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ギャップマー、グリセリン核酸、オリゴヌクレオチドホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ジアステレオマー的に純粋なホスホロチオエート、ならびにその誘導体およびアナログであることが、上記の説明から得られる。「オリゴヌクレオチド」という表現は、オリゴヌクレオチド部分のペプチド、炭水化物などのような他の部分とのコンジュゲートをさらに含む。オリゴヌクレオチドの特に興味深い例は、修飾リボース部分、例えば、-F、-OMe(-O-CH)、または2-メトキシエチル-1-オキシ(-O-CH-CH-O-CH、別名MOE、-O-メトキシエチル置換基)から選択される2’置換基を有する修飾リボース部分を含むヌクレオシド、および天然標的配列とワトソン-クリック型塩基対形成が可能な核酸塩基からのホスホロチオエートビルトである。当業者は、上記の部分が、多数の立体異性体を有し、そのすべてが上記の定義に包含されるという事実をよく承知している。「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において使用される場合、同じ配列を本質的に有するオリゴヌクレオチド分子の集団であり、これは、多数の別個の立体異性体の混合物であるか、または1つの特定の立体異性体形態が濃縮されているか、または1つの特定の立体異性体形態から本質的になる。
【0075】
オリゴヌクレオチドが、本明細書において使用される場合、場合により、当技術分野において公知の任意の対イオン、例えば、塩化物イオン、アセテートイオン、カーボネートイオン、炭化水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、トリフルオロ酢酸(すなわち、トリフルオロアセテート TFA)イオン、臭化物イオン、過塩素酸イオ、アンモニウムイオンおよび/または保護基の残基のカチオンもしくはアニオンなどのようなアニオンまたはカチオンを持つことが当業者に理解されるであろう。さらに、オリゴヌクレオチドは、場合により、例えば、トリイソプロピルシラン(TIS)、ジチオスレイトール(DTT)、アニソール、チオアニソールまたは1,2-エタンジチオールなどの1つまたはそれ以上の微量のスカベンジャーに共有結合的または非共有結合的に会合している。
【0076】
本明細書において使用される場合、「ヌクレオシドビルディングブロック」という表現は、オリゴヌクレオチド鎖の構築を可能にするモノマーまたはオリゴマービルディングブロックを指す。当業者は、基本的に、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む一時的保護基、好ましくは、DMT保護基の使用に適合した任意のカップリング化学が、本発明の方法において使用されること、およびリン部分の化学的性質が、その結果として変わることを容易に理解するであろう。一部の実施形態において、ビルディングブロックは、H-ホスホネート部分を含む。他の実施形態において、ビルディングブロックは、例えば、WO2019200273号において教示されるようなリンV試薬である。さらに他の実施形態において、ビルディングブロックは、式IIに示される一般構造のホスホラミダイトビルディングブロック:
【化8】
[式中:
は、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基であり;
mは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について(すなわち、末端位置についておよびそれぞれの繰り返し単位mについて)独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの位置について(すなわち、末端位置およびそれぞれの繰り返し単位mについて)同じまたは異なる保護基であり;
およびRは、同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドxm0~xmのそれぞれは、同じまたは異なる]
である。
【0077】
本発明の方法の一部の実施形態において、前記方法は、前述の工程a)からf)を含み、(工程c)の)ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックは、式IIに記載の化合物
【化9】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
mは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について(すなわち、末端位置についておよびそれぞれの繰り返し単位mについて)独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの位置について同じまたは異なる保護基であり;
およびRは、同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドxm0~xmのそれぞれは、同じまたは異なる]
である。
【0078】
モノヌクレオシドホスホラミダイトビルディングブロックの特定の非限定的な例を図1および2に示す。式I、IIおよびIIIにおけるヌクレオシドxm0~xmおよびx0~xnが、リボースまたはリボースアナログ部分(別名リボースサロゲート)の同一性および置換パターンに関して、核酸塩基に関して、および任意の保護基の存在および同一性に関して、互いに異なることに留意すべきである。
【0079】
一部の実施形態において、式IIに記載の化合物は、以下の式II-aの記載の化合物:
【化10】
[式中、
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
mは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの位置について同じまたは異なる保護基であり;
およびRは、同じまたは異なる保護基であり;
は、それぞれの出現において同じまたは異なる核酸塩基であり;
IIIは、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-(C~Cアルキル)、-O-(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-O-Si(C~Cアルキル)、および-O-CH-O-Si(C~Cアルキル)からなる群から選択され;
IVは、それぞれの出現において独立して、Hであるか、またはRIIIおよびRIVは、化学構造+-CH-O-++、+-CH(CH)-O-++、または+-CH-CH-O-++(ここで、+は、4’炭素原子(すなわち、RIVが結合する炭素原子)との結合点であり、++は、2’炭素(すなわち、RIIIが結合する炭素原子)との結合点である)のメチレンまたはエチレン架橋を一緒に形成する]
である。
【0080】
一部の実施形態において、式IIおよび/またはII-aにおけるZは、それぞれの位置について(すなわち、末端位置についておよびそれぞれの繰り返し単位mについて)Oである。
【0081】
一部の実施形態において、異なるカップリング化学を有する異なる種類のビルディングブロックは、異なるカップリングサイクルにおいて使用される。例えば、ホスホロチオエート結合ヌクレオシドは、P(V)化学を使用して導入され、ホスホジエステル結合ヌクレオシドは、P(III)化学を使用して導入される。
【0082】
一部の実施形態において、式IIおよび/またはII-aにおいて、mは、0~2の整数であり、すなわち、ビルディングブロックは、モノヌクレオシド、ジヌクレオチド、またはトリヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックである。式IIおよび/またはII-aにおける整数mが0である場合、保護基Rは、式IIおよび/またはII-aに記載の化合物に依然として含まれ、mが0ではなかった場合に第1の繰り返し単位mのリン原子への共有結合に関わるであろうヌクレオシドxm0の酸素原子に結合することが理解されるであろう。
【0083】
式III-aにおけるそれぞれの核酸塩基BBNは、それぞれの出現において同じまたは異なり、場合により保護されている、すなわち、1つまたはそれ以上の保護基を持つことが理解されるであろう。当業者は、核酸塩基保護基に精通しており、特定の合成のためにそれらを選択する方法が公知である。特に、例えば、アデニン、グアニン、およびシトシンに存在するような、任意の環外アミノ基が保護される。表T-1は、通常使用される保護基の非限定的な概略を示す。
【0084】
一部の実施形態において、式II-aにおいて:
は、それぞれの出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
IIIは、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-CH(すなわち、メトキシ)、-O-CH-CH-O-CH(すなわち、2-メトキシエチル-1-オキシ)、および-O-Si(CH(すなわち、トリメチルシリルオキシ)、-O-Si(CH(C(CH)(すなわち、tert-ブチル(ジメチル)シリルオキシ)、および-O-CH-O-Si(C(CH(すなわち、((トリイソプロピルシリル)オキシ)-メチルオキシ)からなる群から選択され;
IVは、それぞれの出現において、Hである。
【0085】
一部の実施形態において、式II-aにおいて:
は、それぞれの出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
IIIは、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-CH(すなわち、メトキシ)からなる群から選択され;
IVは、それぞれの出現において、Hである。
【0086】
一部の実施形態において、式II-aにおいて:
は、それぞれの出現において独立して、環外アミノ基がベンゾイル保護されているアデニン、環外アミノ基がイソブチリル保護されているグアニン、環外アミノ基がベンゾイルまたはアセチル保護されているシトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
IIIは、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-CH(すなわち、メトキシ)からなる群から選択され;
IVは、それぞれの出現において、Hである。
【0087】
「保護基」という用語は、本明細書において使用される場合、その後のプロセスの工程における反応から基をブロックするために、例えば、オリゴヌクレオチドの主鎖または核酸塩基で副反応を防止するために、官能基の化学修飾によって分子に導入される基として最も広い意味で理解される。式I、I-a、II、およびII-aの好適な保護基Rについての典型的な例は、2-シアノエチル基であり;式IIのRおよびRの両方についての典型的な例は、イソプロピル基である。そのため、一部の好ましい実施形態において、式Iおよび/またはI-aのRは、それぞれの位置において(すなわち、それぞれの繰り返し単位nについて)、2-シアノエチル基である。一部の好ましい実施形態において、式IIおよび/またはII-aのRは、それぞれの位置において(すなわち、それぞれ出現において)、2-シアノエチル基である。一部の好ましい実施形態において、式II/II-aのRおよびRは、互いに独立して、C~Cアルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは両方ともイソプロピル基である。あるいは、式IIおよび/またはII-aに記載の化合物において、RおよびRは、エチレン架橋を形成し、ホスホラミダイトは、式Bのキラル基の形態をとる(ここで、**は、主鎖ヒドロキシル基への結合点を表す)。
【0088】
【化11】
【0089】
本発明の方法において使用されるビルディングブロックは、例えば、副反応から核酸塩基の環外アミノ基をブロックするために、さらなる保護基を示す。好適なヌクレオシド誘導体は、市販されている。表T-1は、ヌクレオシドビルディングブロックのために通常使用される保護基の非限定的な概略を示す。
【0090】
【表1】
【0091】
本発明について特に興味が持たれるのは、場合により置換されたトリアリールメチル残基をそれぞれ含む保護基であり、これらは、同じヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックの多重挿入を回避するために、一時的ヒドロキシル保護基として使用される。当業者は、場合により置換されたトリアリールメチル残基をそれぞれ含むそのような保護基の特性が、それらの置換パターンに応じて変わるという事実をよく承知している。カルボカチオン脱離基を安定化する置換基は、切断を容易にし、その結果、対応する保護基は、あまり酸性ではない条件下で切断される。本発明は、好ましくは、少なくとも1つの置換基を含む場合により置換されたトリアリールメチル残基をそれぞれ含む保護基とともに使用され、これは、例えば、少なくとも1つの置換基において、カルボカチオンを安定化する効果を示し、カルボカチオンを安定化する誘起効果および/またはカルボカチオンを安定化するメソメリー効果を示す。例えば、トリアリールメチル保護基は、メトキシ基およびハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含む。
【0092】
場合により置換されたトリアリールメチル残基をそれぞれ含む好ましい保護基は、p-メトキシフェニルジフェニルメチル(MMT)基、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基、トリ(p-メトキシフェニル)メチルエーテル(TMT)基、4,4’-ジメトキシ-3’’-[N-(イミダゾリルメチル)]トリチル(IDT)基、4,4’-ジメトキシ-3’’-[N-(イミダゾリルエチル)カルバモイル]トリチルエーテル(IET)基、ビス(4-メトキシフェニル)-1’-ピレニルメチル(Bmpm)基、および4-(17-テトラベンゾ[a,c,g,i]フルオレニルメチル)-4’,4’’-ジメトキシトリチル(Tbf-DMT)基を含む。DMT基が特に好ましい。場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基は、本発明による方法において使用される異なるビルディングブロックについて、同じまたは異なる。
【0093】
本明細書において、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基を切断するプロセスは、「脱トリチル化」と称される。
【0094】
本明細書に記載される方法の工程a)は、支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程を含む。これは、最も広い可能な意味で理解される。例えば、多くの標準的なヌクレオシドのための固体支持体にロードされたヌクレオシドは、数多くの中から、MerckおよびCytivaなどの商業的供給業者から簡単に入手される。あるいは、適切に保護されたヌクレオシドは、所与の支持部分にロードされる。当業者は、この目的のための大量の可能性がある固定化戦略を承知しており、ルーチン的にそれを選択するであろう。一般的に言えば、特定の実施形態の文脈において異なって指示されない限り、第1のヌクレオシド(式IおよびIIIにおいてヌクレオシドx0と称される)は、任意の考えられる方法で支持部分に固定化される。例えば、第1のヌクレオシドは、主鎖ヒドロキシル基の1つを介して、またはリボース/リボースアナログ部分もしくは核酸塩基に位置する別の官能基を介して、共有結合的に連結される。特定の実施形態の文脈において異なって指示されない限り、工程a)が、支持部分に結合したオリゴヌクレオチドを準備する工程を含む場合、これが、オリゴヌクレオチドがその末端ヌクレオシドの1つを介して支持部分に結合する実施形態に限定されないことに留意すべきである。しかしながら、ホスホリボース主鎖の5’末端に次のビルディングブロックの付加を含むオリゴヌクレオチド合成の多くの方法のように、3’末端を介した固定化は、特に一般的である。
【0095】
リンカー部分を使用して、支持部分とヌクレオシドとの間の連結が確立される。本明細書において使用される場合、「リンカー部分」という表現は、少なくとも2つの官能基を示す部分を指し、ここで、前記基の一方は、支持部分上の官能基に結合することができ、他方は、ヌクレオシド上の官能基に結合することができる。一例として、コハク酸リンカーまたはハイドロキノンジアセテートリンカーは、ヌクレオシドのヒドロキシル基(例えば、リボース部分の3’ヒドロキシル基)の支持部分上に存在するアミノ基(例えば、ジビニルベンゼンによるポリ(スチレン)の共重合から得られるポリマー樹脂のアミノメチル基)への連結を媒介する。他の通常使用されるリンカーは、いわゆる、ユニバーサルリンカー、例えば、米国特許第7202264号に記載される「Unylinker」型のものである。前記ユニバーサルリンカーなどのリンカーで修飾された支持部分が使用される場合、本方法の工程a)は、第1のヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを、ユニバーサルリンカーを介して支持部分にロードする工程を含む。
【0096】
鎖構築の最後に、新たに合成されたオリゴヌクレオチドは、支持部分から切断され、すなわち、オリゴヌクレオチドと支持部分との間、または適用可能な場合、オリゴヌクレオチドとリンカーとの間の結合は、オリゴヌクレオチドを遊離させるために破壊される(工程f))。しかしながら、一部の場合において、キャッピング部分を第1のヌクレオシドに付着させることが望ましい。これは、支持部分間、または適用可能な場合、リンカーと第1のヌクレオシドとの間にキャッピング部分を含むことによって達成される。言い換えれば:キャッピング部分は、支持部分からのオリゴヌクレオチドの最終切断の間に、オリゴヌクレオチドから除去されない点で、リンカー部分とは異なる。したがって、本明細書において使用される場合、「キャッピング部分」という表現は、オリゴヌクレオチド鎖の最終ヌクレオシドにコンジュゲートされる任意の部分を指す。キャッピング部分は、最終オリゴヌクレオチド生成物に含まれる。キャッピング部分が第1のヌクレオシドとリンカー部分との間または第1のヌクレオシドと支持部分との間に存在する場合において、これは、オリゴヌクレオチドの3’末端に付着する。そのような戦略についての例は、例えば、WO2009073809号に記載される3’GalNacコンジュゲートの挿入である。
【0097】
当技術分野において公知の任意の支持部分が、本発明で使用される。本明細書において使用される場合、「支持部分」という用語は、合成されるオリゴヌクレオチドが、繋ぎ止められ、合成されたオリゴヌクレオチドの液相からの分離を可能にする、任意の巨視的構造または分子構造を指す。そのため、この用語は、「樹脂」および「[樹脂]」という用語を包含し、これは、固相オリゴヌクレオチド合成のために有用な特定の構造として最も広い意味で理解される。「樹脂」、「固体支持体」および「固相」という用語は、本明細書において互換的に使用される。固相オリゴヌクレオチド合成のために、支持部分は、不溶性の固体またはゲル様基材である。好適な固体支持体の広く使用される例は、コントロールされた多孔質ガラス(CPG)、例えば、長鎖アルキルアミン-CPGビーズ支持体、架橋ポリスチレンビーズ、および架橋ポリスチレン-PEG複合体、例えば、Tentagel(商標)樹脂である。本方法の工程a)は、さまざまな溶媒による洗浄工程によって固体支持体を条件付ける工程を含む。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、支持部分は、固体支持体である(したがって、方法は、オリゴヌクレオチドの固相合成のための方法である)。
【0098】
当業者には、支持体支援合成後に、支持体(すなわち、支持部分)からオリゴヌクレオチド(すなわち、完全に構築されたオリゴヌクレオチド鎖)を切断する方法が公知である。支持体および支持部分という用語は、本明細書において互換的に使用される。典型的には、(本発明の方法の工程f)におけるような)そのような切断は、支持体結合オリゴヌクレオチドを、有機アミンまたは水酸化アルカリなどの塩基で処理することによって達成され、ここで、濃アンモニア水(すなわち、水酸化アンモニウム水溶液)は、最も一般的であり、本明細書において最も好ましい。この塩基(例えば、アンモニア)処理は、室温または加熱下、例えば、40~60℃で、例えば、オートクレーブまたは密閉容器中で行われる。そのようなアルカリ条件下、典型的な核酸塩基保護基は、同様に切断される。通常ではないが、非限定的な例として、グアニンの環外アミノ基から任意のイソブチリル基、アデニンの環外アミノ基から任意のベンゾイル基、およびシトシンの環外アミノ基から任意のベンゾイル基またはアセチル基は、典型的には、そのようなアルカリ条件下で切断される(すなわち、除去される)。式I、I-a、II、およびII-aの保護基Rはまた、典型的には、それらがアルカリ条件下で、したがって、切断工程f)の間に、切断され(すなわち、除去され)るように、選択される。2-シアノエチル保護基であるRは、この戦略のための主要な例である。任意の2-シアノエチル保護基Rは、塩基処理の過程において除去されて、支持体からの切断が生じる。しかしながら、当業者に公知であるように、切断工程f)は、異なる種類の塩基によるその後の処理を含む。最初に、例えば、アセトニトリルなどの好適な溶媒中のジエチルアミンまたはトリメチルアミンなどの有機アミンの溶液を、好ましくは室温で、使用して、2-シアノエチル保護基を除去し、それに続いて、濃アンモニア水による処理を行って、支持体からの切断、および核酸塩基保護基などの塩基に不安定な永久的保護基の除去を生じる。
【0099】
さらに、「支持部分」という用語は、液相からそれが繋ぎ止められた合成されたオリゴヌクレオチドを有するタグの分離を可能にする任意の分子タグを包含する。液相合成のために、支持部分は、例えば、WO2012157723号に開示されているように、溶解性を改変するタグである。そのような支持部分は、偽固相保護基とも称される。それらは、疎水性部分に付着することによって、成長しているオリゴヌクレオチド鎖の溶解性を改変するように本質的に機能する。これは、簡単な沈殿または抽出工程によって、成長しているオリゴヌクレオチド鎖の他の試薬からの分離を可能にする。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、支持部分は、偽固相保護基である(したがって、方法は、オリゴヌクレオチドの液相合成のための方法である)。
【0100】
先述に基づいて、当業者には、「支持部分」という用語が、本明細書において使用される場合、実体の集団、例えば、ビーズ様粒子または分子タグを指し、可読性の目的のためにのみ単数形で使用されることが明らかであろう。
【0101】
方法の工程c)、すなわち、ビルディングブロックの成長しているオリゴヌクレオチド鎖へのカップリング、およびd)、すなわち、リン(III)部分の酸化または硫化は、選択されるカップリング化学に依存し、当業者によってルーチン的に行われる。除去が困難な欠失配列の形成を回避するために、本発明の方法は、工程c)または工程d)の後に、未反応の遊離ヒドロキシル基をブロックする(キャッピングとも称される)さらなる工程を含む。一部の実施形態において、前述の工程a)からf)を含む本発明の方法は、工程c)の後または工程d)の後に、未反応の遊離ヒドロキシル基をブロックする工程g)をさらに含む。これらの実施形態において、工程g)は、工程c)または工程d)の少なくとも1反復後に行われるが、典型的には、同じ伸長サイクル(すなわち、カップリングサイクル)の工程c)および工程d)の両方の後ではない。そのため、一部の実施形態において、さらなる工程g)は、工程c)または工程d)の少なくとも1反復後に行われる。一部の実施形態において、さらなる工程g)は、工程b)~c)またはb)~d)のそれぞれの反復において、少なくとも1回、好ましくは、正確に1回行われる。一部の実施形態において、さらなる工程g)は、工程c)のそれぞれの反復後に行われる。一部の実施形態において、さらなる工程g)は、工程d)のそれぞれの反復後に行われる。異なって指示されない限り、特許請求の範囲および本方法の説明において示される工程の順番は、必ずしも縛られないことに留意すべきである。また、本方法は、さらなる工程を含んでいてもよい。例えば、構築されたオリゴヌクレオチド部分は、本方法の切断工程f)を実行する前に、別の部分にコンジュゲートされる。さらに、当業者は、例えば、溶媒の組成物をプロセスの工程間に変更する場合、または以前の方法の工程から微量の試薬を除去するために、介在する洗浄工程を使用する。別の例として、本発明の方法の工程f)は、最後の(および単離された、すなわち、伸長サイクルの部分ではない)工程b)まで進んで、工程c)の最後の反復のヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックに由来する5’末端ヒドロキシル保護基Rを除去する。この最後のRの除去はまた、工程f)の後に行われてもよい。
【0102】
本明細書において開示される方法の工程b)において、主鎖ヒドロキシル基からの一時的保護基の切断は、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって行われる。本明細書において使用される場合、「組成物C」という表現は、指定の成分を含む切断組成物に関する。参照符号「C」は、可読性を改善するために付加され、任意の限定を意味するものとして解釈されるべきではない。
【0103】
場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む位置次的保護基の切断は、通常、周囲温度、例えば、15~35℃の温度で行われる。しかしながら、反応が、任意の好適な温度、例えば、0℃~90℃の温度で行われてもよいことが理解されるべきである。液体組成物Cとのインキュベーションは、特定の時間的制約はなく、例えば、少なくとも5分間、10分間、20分間、または30分間行われる。インキュベーションは、撹拌床反応器、スパージ床反応器(窒素ガスを反応溶液に通すことによってかき混ぜが達成される)、バッチ反応器において、液体組成物Cを化合物と混合して、脱保護すること、または液体組成物Cを、必要な時間、カラム反応器を通して循環させることを含む。切断工程は、数回、新鮮な組成物Cを用いて反復される。
【0104】
オリゴヌクレオチド合成の方法を、液体ハンドリングシステムの最大流速を増加させる必要性なくスケールアップすることができることが、本発明の特定の利点である。さらにまた、10%のジクロロ酢酸(DCA)を使用する標準的な脱保護プロトコールと比較して、本発明の方法は、液体を供給し、液体を反応容器から排出するための同じ液体ハンドリングシステムを使用しながら、バッチサイズを少なくとも5倍、好ましくは、少なくとも10、20、30または40倍の倍数まで増加することを可能にする。明確性の目的のために、反応容器を、より多くの量の試薬を収容するように変更してもよいことに留意されたい。
【0105】
本出願の方法は、特に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、または35molを上回るスケールで使用される。これは、予想される最終生成物の最大理論量が、1回の単一合成プロセスについて、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、または35molであることを意味する。予想される最終生成物の理論量は、すべてのその後のプロセスの工程が100%の効率である(すなわち、所望の生成物の定量的収率で進行する)という仮定の下で、工程a)において提供される支持部分に結合した出発のヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドのモル量に基づいて計算される。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、合成は、オリゴヌクレオチド生成物100mmol以上のスケールで行われる。
【0106】
固相オリゴヌクレオチド合成は、通常、成長しているオリゴヌクレオチド鎖がそこに繋ぎ止められている固体支持体が充填されたカラム反応器を使用して行われる。カラム反応器は、典型的には、ボトムフリットおよびトップフリットを含み、固体支持体がその間に充填されている。反応容器のサイズおよび直径は、意図される合成のスケールに従って選択される。例えば、5、10、30、40、50、60、70、75、80、90、100、110、120、140、150、160、170、180、200、220、240、260、280、または300リットルの最小内部体積を有するカラム反応器が使用される。ある特定の実施形態において、1~500リットル、5~450リットル、10~400リットル、50~300リットル、または100~300リットルの最大内部体積を有するカラム反応器が使用される。本発明者らは、驚くべきことに、カラム反応器を通る液体組成物Cの流速が、場合により、むしろ低い、例えば、300cm/時間より低い、290cm/時間より低い、280cm/時間より低い、270cm/時間より低い、260cm/時間より低い、250cm/時間より低い、240cm/時間より低い、230cm/時間より低い、220cm/時間より低い、210cm/時間より低い、200cm/時間より低い、190cm/時間より低い、180cm/時間より低い、または160cm/時間より低いことを見出した。これは、プロセスのスケーラビリティを劇的に増加させる。そのため、前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、前記方法は、カラム反応器において行われ、カラム反応器を通る液体組成物Cの流速は、工程b)の少なくとも1反復において、300cm/時間より低い。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、前記方法は、カラム反応器において行われ、カラム反応器を通る液体組成物Cの流速は、工程b)のそれぞれの反復において、300cm/時間より低い。
【0107】
代替として、本発明者らは、バッチ反応器が本発明の方法で使用されることを見出した。一実施形態において、バッチ反応器は、撹拌床反応器である。そのような反応器は、混合デバイス、ならびに例えば、溶媒および溶解した構成要素を排出する場合に、反応器の内側で支持体を保持するためのボトムフリットまたは濾布を含む。さらなる例として、1~1000リットル、5~650リットル、5~300リットル、10~600リットル、50~500リットル、または1000リットル超の最大内部体積を有するバッチ反応器が使用される。さらなる例として、5、10、30、40、50、60、70、75、80、90、100、150、200、250、300、450、600、650、700、750、または800リットルの最小内部体積を有するバッチ反応器が使用される。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程b)の少なくとも1反復は、バッチ反応器において行われる。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、少なくとも工程b)は、バッチ反応器において行われる。前述の工程a)からf)を含む本発明の方法の一部の実施形態において、工程b)のそれぞれの反復は、バッチ反応器において行われる。
【0108】
好ましい実施形態において、組成物C(場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT保護基を切断するための組成物として使用できる)と支持部分(例えば、反応器における固相)に結合したオリゴヌクレオチドとの間の接触時間は、少なくとも5分、少なくとも6分、少なくとも7分、少なくとも8分、少なくとも9分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも30分、またはさらに1時間超である。
【0109】
そのような同等の長い時間間隔は、同等の大きなサイズの反応器(例えば、カラム反応器またはバッチ反応器)のために、中程度のポンプ流量を有する標準的なポンプの使用を可能にする。そのような長い接触時間は、例えば、本発明において定義される塩基およびアルコールなしのジクロロ酢酸(DCA)などのより多くの含有量の酸を含有する切断溶液などの当技術分野において通常使用される切断溶液のために使用される場合、望ましくない核酸塩基の切断、特に、脱プリン化をもたらす。
【0110】
当業者に公知であるように、オリゴヌクレオチド合成(支持体が使用される場合、支持体からの切断を含む)に、典型的には、オリゴヌクレオチドを単離する工程が続く。
【0111】
そのため、一部の実施形態において、前述の工程a)からf)を含む本発明の方法は、以下の工程h):
h)支持体を切断されたオリゴヌクレオチドを単離する工程
をさらに含む。
【0112】
化学オリゴヌクレオチド合成の際にオリゴヌクレオチドを単離する手段は、当業者の通常の知識の部分を形成する。典型的には、オリゴヌクレオチドを単離するそのような工程は、1つまたはそれ以上の精製工程、および1つまたはそれ以上の固体形態のオリゴヌクレオチドを得るのを支援する工程を含む。オリゴヌクレオチド精製のために、典型的には、クロマトグラフ法、特に、イオン交換(特に、陰イオン交換)クロマトグラフィー、および例えば、疎水性相互作用HPLCの形態の逆相(RP)HPLCが使用される。これらの技法は、当業者に公知である。加えて、オリゴヌクレオチドを単離する工程は、限外濾過および/または脱塩工程を含む。例えば、支持体支援オリゴヌクレオチド合成において支持体からオリゴヌクレオチドを切断した後に得られる溶液は、限外濾過および/または脱塩、イオン交換クロマトグラフィー、ならびに限外濾過および/または脱塩の別のラウンドに提供される。あるいは、支持体を切断されたオリゴヌクレオチドは、例えば、疎水性相互作用HPLCの形態の逆相(RP)HPLCに提供される。後者の方法は、好ましくは、オリゴヌクレオチドが、5’末端ヒドロキシル保護基、例えば、DMT基を依然として持つ場合に、行われる。前記5’保護基は、酸性溶液をカラムに通過させることによって、RP-HPLCカラムにおいてさらに除去される。5’末端保護基が、精製の前に、例えば、オリゴヌクレオチドが支持体から切断される前に除去されている場合、イオン交換クロマトグラフィーが好ましい。精製には、典型的には、固体形態のオリゴヌクレオチドを得るのを支援する1つまたはそれ以上の工程が続く。例えば、凍結乾燥および噴霧乾燥が、使用される。一部の場合において、ある特定の対イオンとの塩の形態のオリゴヌクレオチドを得ることが望ましい。そのような場合において、典型的には、凍結乾燥または噴霧乾燥の前に、塩交換が行われる。
【0113】
好ましくは、液体組成物Cに含まれる塩は、非常に吸湿性ではなく、切断組成物C(すなわち、液体組成物C)中に存在する有機溶媒の混合物に可溶性である。そのような塩は、弱塩基と強酸の反応から得られる。当業者は、酸および塩基が塩を形成する方法、および塩形成が、典型的には、含まれるイオンの電荷に応じてある特定の化学量論で起こることを承知している。単一の酸性官能基を有し、したがって、単一のプロトンを供与する酸は、一塩基酸と称され、そのコンジュゲート塩基(すなわち、脱プロトン化形態)は、単一の負電荷を有する。そのような一塩基酸、例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)またはメタンスルホン酸(MSA)の分子が、プロトンを、単一の塩基性官能基を有する(プロトン化の際に単一の正電荷をもたらす)塩基、例えば、ピリジン誘導体などに供与する場合に、塩形成は、典型的には、前記酸および前記塩基の1:1の化学量論で起こる。前記塩が、上記に示したように、本発明の液体組成物Cに溶解することが理解される。
【0114】
液体組成物Cに含まれる塩基は、強酸を脱プロトン化するように機能し、強酸よりも酸性が低い塩基のプロトン化形態(すなわち、塩のカチオン)をもたらす(下記を参照)。液体組成物Cに含まれる塩基の総モル量が、強酸の総モル量に等しいまたはそれ以上であることが好ましい。
【0115】
一部の好ましい実施形態において、液体組成物Cにおいて、前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に等しいまたはそれ以上である。一部の実施形態において、液体組成物Cにおいて、前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して、1.0~3.0、1.0~2.0、1.00~1.50、1.00~1.40、1.00~1.30、1.00~1.20、1.00~1.10、またはさらに1.000~1.050当量の範囲内である。塩基の総モル量が、前記液体組成物Cに添加される塩基の総モル量を指し、塩基のプロトン化分子と非プロトン化分子との間を区別しないことが理解されるであろう。同様に、強酸のモル量が、前記液体組成物Cに添加される強酸の総モル量を指し、強酸のプロトン化分子と非プロトン化分子との間を区別しないことが理解されるであろう。組成物Cの塩基、強酸、または少なくとも1種のアルコールなどのある特定の種の「総モル量」という用語は、2種以上の塩基または酸またはアルコールのモル量の合計を指す。例えば、組成物Cに含有される塩基が、4-シアノピリジンおよび3-シアノピリジンの混合物である場合、前記塩基の総モル量は、4-シアノピリジンおよび3-シアノピリジンのモル量の合計である。同じ理論は、例えば、前記強酸および前記アルコールに適用される。
【0116】
本出願の文脈において、弱塩基は、そのコンジュゲートされた酸が1~4のpKaを有する塩基である。同様に、本出願の文脈において、強酸は、1未満のpKaを有する酸である。本明細書において使用される場合、異なって指示されない限り、pKaは、25℃で、水(すなわち、水溶液)中でそのように決定可能である。酸または塩基のpKa値を決定する手段は、当業者に公知であり、最も一般的な酸および塩基について、pKa値は、文献から容易に利用可能である。例えば、本明細書で参照する液体組成物Cの塩基、特に、芳香族環状アミン塩基(例えば、ピリジン誘導体)のpKa値は、A.Fischer、W.J.Galloway、J.Vaughan、Journal of the Chemical Society 1964、3591~3596頁から取得されるか、またはそこに開示される手順に従って決定される。
【0117】
好ましい酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、およびスルホン酸を含む。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される強酸は、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され、好ましくは、強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸である。
【0118】
好ましい塩基は、環状アミンおよび複素環アミンを含む。塩基は、ピリミジン、ピリジン、ピラジン、チアゾール、ピリダジン、ピラゾールまたはトリアゾールからなる群から選択され、これは、場合により、電子供与性基または電子求引性基で置換される。例えば、塩基は、1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換された、ピリミジン、ピリジン、チアゾール、ピリダジン、ピラゾール、および1,2,4-トリアゾールである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、環状アミンであり、好ましくは、環状アミンは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、ピリダジン、ピラゾール、およびトリアゾールからなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、環状アミンであり、好ましくは、環状アミンは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、ピリダジン、ピラゾール、およびトリアゾールからなる群から選択され、これは、場合により、電子供与性置換基または電子求引性置換基で置換される。本明細書において、「基」、「残基」、「部分」、および「置換基」という用語は、互換的に使用され、その結果、例えば、「電子求引性基」および「電子求引性置換基」という用語は、互換的に使用される。電子求引性置換基は、塩素、フッ素、もしくは臭素原子などのハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、またはカルボキサミド基からなる群から選択される。別の例として、塩基は、1つまたはそれ以上の電子供与性置換基で置換されたピリミジンまたはピラジンである。電子供与性置換基は、メトキシ基である。本明細書において、残基(すなわち、置換基または基)は、それらの全名称、例えば、塩素原子もしくはシアノ基、または例えば、Cl(塩素の代わり)または-CN(シアノ基の代わり)の形態によって互換的に表される。そのような場合において、特に、2個以上の原子が残基に含まれる場合、ハイフンを使用して、前記残基がコア構造に結合する原子、例えば、シアノ基の炭素原子が示される。
【0119】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、およびカルボキサミド基からなる群から選択される1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換されているピリジンである。
【0120】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基が、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンである。
【0121】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、および3-クロロピリジンからなる群から選択される。
【0122】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基が、-CN、Cl、Br、F、およびIからなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基が、-CN、Cl、Br、およびFからなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基が、-CN、Cl、およびBrからなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基が、-CNおよびClからなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基が、-CNによって置換されているピリジンである。
【0123】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、3-シアノピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、4-クロロピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、3-クロロピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、4-ブロモピリジンである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、3-ブロモピリジンである。
【0124】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、式S-1の環状アミン:
【化12】
[ここで、式S-1において:
は、NまたはC-Rであり;
は、NまたはC-Rであり;
は、NまたはC-Rであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して、H、C~Cアルキル基、および電子求引性置換基からなる群から選択され;
ただし、Q、Q、およびQが、Nではない場合、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基は、電子求引性置換基であり;およびさらに、Q、Q、およびQの1つだけが、Nである]
である。
【0125】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、式S-1の環状アミンであり、ここで:
は、NまたはC-Rであり;
は、NまたはC-Rであり;
は、NまたはC-Rであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して、H、C~Cアルキル基、ならびに-CN、Cl、Br、およびFからなる群から選択される電子求引性置換基からなる群から選択され;
ただし、Q、Q、およびQが、Nではない場合、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基は、電子求引性置換基であり;およびさらに、Q、Q、およびQの1つだけが、Nである。
【0126】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、式S-1の環状アミンであり、ここで:
は、C-Rであり;
は、C-Rであり;
は、C-Rであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して、H、ならびに-CN、Cl、Br、およびFからなる群から選択される電子求引性置換基からなる群から選択され;
ただし、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは正確に1つの置換基は、電子求引性置換基である。
【0127】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、式S-1の環状アミンであり、ここで:
は、C-Rであり;
は、C-Rであり;
は、C-Rであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して、H、ならびに-CN、Cl、およびBrからなる群から選択される電子求引性置換基からなる群から選択され;
ただし、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは正確に1つの置換基は、電子求引性置換基である。
【0128】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される塩基は、式S-1の環状アミンであり、ここで:
は、C-Rであり;
は、C-Rであり;
は、C-Rであり;
、R、R、R、およびRは、互いに独立して、H、ならびに-CNおよびClからなる群から選択される電子求引性置換基からなる群から選択され;
ただし、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは正確に1つの置換基は、電子求引性置換基である。
【0129】
本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基からジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって;
- 塩基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、およびカルボキサミド基からなる群から選択される1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換されているピリジンであり;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、
使用に関する。
【0130】
本発明の一態様は、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、ヒドロキシル基からジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断を生じさせながら、核酸塩基切断を抑制するための、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含む液体組成物Cの使用であって;
- 塩基は、正確に1つの水素残基がシアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンであり、より好ましくは、塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、
使用に関する。
【0131】
本発明のさらなる態様は、ヒドロキシル基からのジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断における使用のための液体組成物Cであって、組成物は、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、ここで:
- 非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されておらず、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、またはアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択され;
- 塩基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、およびカルボキサミド基からなる群から選択される1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換されているピリジンであり;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、およびスルホン酸からなる群から選択される、
液体組成物Cに関する。
【0132】
本発明のさらなる態様は、ヒドロキシル基からのジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基の切断における使用のための液体組成物Cであって、組成物は、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、ここで:
- 非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されておらず、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択され;
- 塩基は、正確に1つの水素残基がシアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンであり、より好ましくは、塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、
液体組成物Cに関する。
【0133】
本発明のさらなる態様は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、以下の工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、ここで:
- 塩基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、およびカルボキサミド基からなる群から選択される1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換されているピリジンであり;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、
方法に関する。
【0134】
本発明のさらなる態様は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、以下の工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、ここで:
- 塩基は、正確に1つの水素残基がシアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンであり、より好ましくは、塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される、
方法に関する。
【0135】
切断組成物に含まれる塩は、脱保護反応において、プロトン供与体として作用する。したがって、当業者は、そのプロトン化されたカチオンのpKaが、切断されるトリアリールメチル基の性質に対応するように、塩を選択する。例えば、2つのメトキシ置換基を有する場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基の切断のために、例えば、ジメトキシトリチル(DMT、好ましくは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル)基の切断のために使用される塩は、好ましくは、1~2.5のpKa、好ましくは、1~2のpKaを有するプロトン化されたカチオンを含む。一部の実施形態において、液体組成物Cに含有される塩基のプロトン化形態(すなわち、塩のカチオン)は、1~4、1~3.5、1~3、1~2.5、または1~2の範囲内のpKaを有する。例は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、ピリミジン、2-メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、および3-ブロモピリジンのコンジュゲートされた酸である。好ましくは、本発明の切断組成物は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、4-シアノピリジニウムクロリド、4-シアノピリジニウムスルホン酸塩、例えば、4-シアノピリジニウムアルキルスルホン酸塩または4-シアノピリジニウムp-トルエンスルホン酸塩、3-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-シアノピリジニウムクロリド、3-シアノピリジニウムスルホン酸塩、例えば、3-シアノピリジニウムアルキルスルホン酸塩または3-シアノピリジニウムp-トルエンスルホン酸塩、ピリミジニウムトリフルオロ酢酸塩、ピリミジニウムクロリド、ピリミジニウムスルホン酸塩、例えば、ピリミジニウムアルキルスルホン酸塩またはピリミジニウムp-トルエンスルホン酸塩、2-メチルピラジニウムトリフルオロ酢酸塩、2-メチルピラジニウムクロリド、2-メチルピラジニウムスルホン酸塩、例えば、2-メチルピラジニウムアルキルスルホン酸塩または2-メチルピラジニウムp-トルエンスルホン酸塩、2,5-ジメチルピラジニウムトリフルオロ酢酸塩、2,5-ジメチルピラジニウムクロリド、および2,5-ジメチルピラジニウムスルホン酸塩、例えば、2,5-ジメチルピラジニウムアルキルスルホン酸塩または2,5-ジメチルピラジニウムp-トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される塩を含む。4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩が特に好ましい。
【0136】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、塩基と強酸の塩は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-クロロピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、および4-クロロピリジニウム塩酸塩からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、塩基と強酸の塩は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、および3-クロロピリジニウムトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、塩基と強酸の塩は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩である。
【0137】
組成物Cは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコール、またはその混合物を含む。トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、またはその混合物の使用が特に好ましい。
【0138】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノールである。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、ヘキサフルオロイソプロパノールである。
【0139】
切断組成物中の前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総量よりも少なくとも2、5、10、20、40、60、70、80、または100倍高い。
【0140】
一部の実施形態において、組成物C中の前記アルコールのモル濃度は、組成物Cに含有される前記塩のカチオンのモル濃度よりも少なくとも2倍である。実施形態において、組成物Cが、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールの2つ以上を含み、組成物C中の前記アルコールのモル濃度は、組成物Cの液体体積によって割ったアルコールのそれぞれのモル量の合計として計算されることが理解されるべきである。一部の実施形態において、組成物C中の前記アルコールのモル濃度は、組成物Cに含有される前記塩のカチオンのモル濃度よりも少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、30、40、または50倍である。
【0141】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物C中の前記アルコールのモル濃度は、組成物Cに含有される前記塩基のモル濃度よりも少なくとも2倍である。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物C中の前記アルコールのモル濃度は、組成物Cに含有される前記塩基のモル濃度よりも少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、30、40、または50倍である。「前記アルコール」という用語は、そのような混合物が液体組成物C中に存在する場合、アルコールの混合物、例えば、TFEおよびHFIPの混合物を包含する。同様に、「前記塩基」という用語は、そのような混合物が液体組成物C中に存在する場合、塩基、例えば、4-シアノピリジンおよび3-シアノピリジンの混合物を包含する。
【0142】
一部の実施形態において、組成物Cは、カルボカチオンスカベンジャーをさらに含む。本明細書において使用される場合、「カルボカチオンスカベンジャー」という表現は、形成されたカルボカチオンに結合し、それによって、カルボカチオンの望まない副反応を防止するために使用される求核性化合物、または水素化物アニオンの形式的な供与によってカルボカチオンを消費する化合物に関する。カルボカチオンスカベンジャーの例は、アルコールおよびフェノール[例えば、メタノール、エタノール、フェノール、クレゾール、水]、フェノールエーテル[例えば、アニソール、1,3-ジメトキシベンゼン(ジメチルアニソール)、1,3,5-トリメトキシベンゼン];チオエーテル[例えば、ジメチルスルフィド、メチルエチルスルフィド、チオアニソール-、シラン-例えば、トリイソプロピルシラン(TIS)、トリエチルシラン(TES)]、N-複素環[例えば、ピロール、3-メチルピロール、2,4-ジメチルピロール、インドール、2-メチルインドール、スクシンイミド、フタルイミド]、チオールおよびチオフェノール[例えば、1,2-エタンジチオール(EDT)、1,4-ジチオエリスロール(DTE)、1,4-ジチオスレイトール(DTT)、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)、1,4-ベンゼンジメタンチオール(BDMT)、1,4-ブタンジチオール、2-メルカプトエタノール、システイン、チオフェノール、p-チオクレゾール]、およびポリアルキルベンゼン[例えば、1,3,5-トリメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン]である。
【0143】
組成物Cに含まれる非プロトン性溶媒は、好ましくは、ハロゲン化されていない。
【0144】
好適な溶媒は、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、または(ヘテロ)芳香族エーテルからなる群から選択され、好ましくは、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、およびジフェニルエーテルからなる群から選択される。組成物Cは、非プロトン性のハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族溶媒、ならびトリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールの群から選択されるアルコールに加えてさらなるハロゲン化溶媒を含む。
【0145】
本発明の使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、ハロゲン化炭化水素溶媒、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択される。
【0146】
ハロゲン化炭化水素溶媒の非限定的な例は、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン、およびクロロホルムを含む。(ヘテロ)芳香族溶媒の非限定的な例は、ベンゼンである。アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒の非限定的な例は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、およびメシチレンである。(ヘテロ)芳香族エーテルの非限定的な例は、ジフェニルエーテルである。アルキル(ヘテロ)アリールエーテルの非限定的な例は、アニソールである。
【0147】
本発明の使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択される。
【0148】
本発明の使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、ハロゲン化されていない(すなわち、その化学構造中に任意のハロゲン原子を含まない)。本発明の使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択される。
【0149】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択される。
【0150】
本発明の液体組成物Cの一部の実施形態において、非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の液体組成物Cの一部の実施形態において、非プロトン性溶媒は、トルエンである。本発明の液体組成物Cの一部の実施形態において、非プロトン性溶媒は、アニソールである。
【0151】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の60~99%、70~98%、80~98%、81~98%、または81~95%を占める。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の1~40%、2~30%、2~20%、2~19%、または5~19%を占める。
【0152】
「液体組成物Cの体積全体」という用語は、アルコール、非プロトン性溶媒、および液体組成物Cを形成するために組み合わされる任意の他の液体構成要素の体積の組合せを指す。塩基のような固体構成要素を溶解することによる体積全体の変化は、それが室温で固体である場合、前記「液体組成物Cの体積全体」について考慮されない。同様に、オリゴヌクレオチドおよび支持体の体積は、前記「液体組成物Cの体積全体」の一部と考慮されない。例えば、液体組成物Cが、TFE(アルコールとして)、トルエン(非プロトン性溶媒として)、TFA(強酸として)、および4-シアノピリジン(塩基として)からなる場合、「液体組成物Cの体積全体」は、TFE、トルエン、およびTFAの体積の組合せである。「総体積」という用語は、例えば、アルコールが、実際には、アルコールの混合物、例えば、TFEおよびHFIPの混合物である場合、前記「総体積」は、アルコール、例えば、TFEおよびHFIPの体積の合計を指すことを表すために使用される。同じ論理は、プロトン性溶媒の「総体積」に適用される。
【0153】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において:
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の60~99%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の1~40%を占める。
【0154】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において:
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の70~98%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の2~30%を占める。
【0155】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において:
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の81~98%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の2~19%を占める。
【0156】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において:
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の81~95%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の5~19%を占める。
【0157】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cの体積全体は、切断される(すなわち、除去される)場合により置換されたトリアリールメチル残基を含むヒドロキシル保護基、好ましくは、DMT基1ミリモル(mmol)あたり5~100mL、10~90mL、10~80mL、20~75mL、10~70mL、10~60mL、20~50mL、20~40mL、または25~37.5mLの範囲内である。
【0158】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cにおいて、強酸の総モル量は、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基の総モル量に対して、0.80~15.0、1.0~13.0、2.0~12.50、または2.30~12.50当量の範囲内である。DMT基などの保護基を指す場合の「総モル量」という用語は、これらの化合物の1分子あたりの前記保護基の量を掛けた、個々の保護基を持つ化合物の総モル量を指す。例えば、組成物Cが、1分子あたり正確に1つのDMT基を有する化合物1モルを含む場合、組成物CにおけるDMT基の総モル量は、前記化合物の総モル量に等しく、この例においても1モルであろう。
【0159】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cにおいて、前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して、2.0~150.0、2.0~120.0、2.0~100.0、2.0~95.0、2.5~95.0、3.0~95.0、3.0~90.0、3.0~85.0、3.0~80.0、3.0~75.0、3.0~70.0、または3.0~65.0当量の範囲内である。「核酸塩基の総モル量」という用語は、液体組成物Cに含まれるすべての核酸塩基のモル量全体を指す。本質的にすべて、または少なくともほとんどが、オリゴヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド分子)のヌクレオシド単位の部分である核酸塩基が、場合により置換されたトリアリールメチル残基を含む保護基、好ましくは、DMT基から、切断されることが理解される。例えば、組成物Cが、その分子がそれぞれ5つの核酸塩基を含む化合物1モルを含む場合、前記組成物C中の核酸塩基の総モル量は、5モルである。
【0160】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cにおいて:
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基の総モル量に対して0.80~15.0当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して2.0~150.0当量の範囲内である。
【0161】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cにおいて:
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基の総モル量に対して1.0~13.0当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して2.0~100.0当量の範囲内である。
【0162】
本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、液体組成物Cにおいて:
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基の総モル量に対して2.0~12.5当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して3.0~95.0当量の範囲内である。
【0163】
一部の好ましい実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからDMT基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、DMT基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0164】
一部の好ましい実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからDMT基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、DMT基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒と、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、およびノナフルオロ第三級ブチルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと、塩基と強酸の塩とを含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0165】
一部の好ましい実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからDMT基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、DMT基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒、トリフルオロエタノール、ならびに塩基と強酸の塩を含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0166】
一部の好ましい実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法であって、工程a)からf):
a)支持部分に結合したヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドを準備する工程であって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMT)基によって保護されている主鎖ヒドロキシル部分を含む、工程;
b)前記化合物を液体組成物Cとともにインキュベートすることによって、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドからDMT基を切断し、それによって、遊離主鎖ヒドロキシル部分を作製する工程;
c)工程b)から得られる遊離主鎖ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドビルディングブロックのリン部分と反応させる工程であって、ビルディングブロックは、DMT基によって保護されたヒドロキシル基をさらに含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン原子との間の共有結合的連結を生成する、工程;
d)場合により、リン部分を修飾する工程;
e)場合により、工程b)~c)またはb)~d)の順序を反復する工程;および
f)支持部分からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を含み、
液体組成物Cは、ハロゲン化されていないおよび/または(ヘテロ)芳香族非プロトン性溶媒、ヘキサフルオロイソプロパノール、ならびに塩基と強酸の塩を含み、塩のカチオンは、1~4の範囲内のpKaを有する、
方法を提供する。
【0167】
上記の実施形態における塩は、例えば、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、4-シアノピリジニウムクロリド、4-シアノピリジニウムスルホン酸塩、例えば、4-シアノピリジニウムアルキルスルホン酸塩または4-シアノピリジニウムp-トルエンスルホン酸塩、3-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-シアノピリジニウムクロリド、3-シアノピリジニウムスルホン酸塩、例えば、3-シアノピリジニウムアルキルスルホン酸塩または3-シアノピリジニウムp-トルエンスルホン酸塩、ピリミジニウムトリフルオロ酢酸塩、ピリミジニウムクロリド、ピリミジニウムスルホン酸塩、例えば、ピリミジニウムアルキルスルホン酸塩またはピリミジニウムp-トルエンスルホン酸塩、2-メチル-ピラジニウムトリフルオロ酢酸塩、2-メチル-ピラジニウムクロリド、a 2-メチル-ピラジニウムスルホン酸塩、例えば、2-メチル-ピラジニウムアルキルスルホン酸塩または2-メチル-ピラジニウムp-トルエンスルホン酸塩、2,5-ジメチル-ピラジニウムトリフルオロ酢酸塩、2,5-ジメチル-ピラジニウムクロリド、および2,5-ジメチル-ピラジニウムスルホン酸塩、例えば、2,5-ジメチル-ピラジニウムアルキルスルホン酸塩または2,5-ジメチル-ピラジニウムp-トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される。4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩が特に好ましい。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、塩基と強酸の塩は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、4-シアノピリジニウムメタンスルホン酸塩、4-シアノピリジニウム塩酸塩、3-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-シアノピリジニウムメタンスルホン酸塩、3-シアノピリジニウム塩酸塩、4-クロロピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、4-クロロピリジニウムメタンスルホン酸塩、4-クロロピリジニウム塩酸塩、3-クロロピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、3-クロロピリジニウムメタンスルホン酸塩、および3-クロロピリジニウム塩酸塩からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、塩基と強酸の塩は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、4-シアノピリジニウムメタンスルホン酸塩、3-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、4-クロロピリジニウム塩酸塩、および3-クロロピリジニウムトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択される。本発明の液体組成物C、その使用および方法の一部の実施形態において、塩基と強酸の塩は、4-シアノピリジニウムトリフルオロ酢酸塩である。
【0168】
本発明の方法に関して本明細書において説明された説明および詳細は、異なって指示されない限り、本発明による液体組成物Cの使用および液体組成物自体に同様に適用可能である。
【0169】
本発明の使用および/または方法の一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、ハロゲン化炭化水素溶媒、(ヘテロ)芳香族溶媒、アルキル(ヘテロ)芳香族溶媒、(ヘテロ)芳香族エーテル、およびアルキル(ヘテロ)アリールエーテルからなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボキシエステル基、およびカルボキサミド基からなる群から選択される1つまたはそれ以上の電子求引性置換基で置換されているピリジンであり;
- 組成物Cに含有される強酸は、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。
【0170】
本発明の使用および/または方法の一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基がシアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンであり;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。
【0171】
本発明の使用および/または方法の一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基がシアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンであり:
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の60~99%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の1~40%を占め;
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して0.80~15.0当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して2.0~150.0当量の範囲内であり;
- 前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して1.0~3.0当量の範囲内である。
【0172】
本発明の使用および/または方法および/または液体組成物Cの一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、正確に1つの水素残基がシアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される電子求引性置換基によって置換されているピリジンであり:
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、スルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の60~99%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の1~40%を占め;
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して0.80~15.0当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して2.0~150.0当量の範囲内であり;
- 前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して1.0~3.0当量の範囲内である。
【0173】
本発明の使用および/または方法および/または液体組成物Cの一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。
【0174】
本発明の使用および/または方法および/または液体組成物Cの一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され:
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の70~98%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の2~30%を占め;
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して1.0~13.0当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して2.0~100.0当量の範囲内であり;
- 前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して1.0~2.0当量の範囲内である。
【0175】
本発明の使用および/または方法および/または液体組成物Cの一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され:
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の70~98%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の2~30%を占め;
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して2.0~12.5当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して3.0~95.0当量の範囲内であり;
- 前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して1.00~1.50当量の範囲内である。
【0176】
本発明の使用および/または方法の一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。
【0177】
本発明の使用および/または方法の一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、ジクロロメタン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され:
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の81~98%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の2~19%を占め;
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して2.0~12.5当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して3.0~95.0当量の範囲内であり;
- 前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して1.000~1.050当量の範囲内である。
【0178】
本発明の使用および/または方法および/または液体組成物Cの一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択される。
【0179】
本発明の使用および/または方法および/または液体組成物Cの一部の実施形態において:
- 組成物Cに含有される非プロトン性溶媒は、トルエン、アニソール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される少なくとも1種のアルコールは、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびその混合物からなる群から選択され;
- 組成物Cに含有される塩基は、4-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-クロロピリジン、3-クロロピリジン、およびその混合物からなる群から選択され:
- 組成物Cに含有される強酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、およびその混合物からなる群から選択され;
- 液体組成物Cに含有される非プロトン性溶媒の総体積は、液体組成物Cの体積全体の81~98%を占め;
- 液体組成物Cに含有されるアルコールの総体積は、液体組成物Cの体積全体の2~19%を占め;
- 前記強酸の総モル量は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル基の総モル量に対して2.0~12.5当量の範囲内であり;
- 前記アルコールの総モル量は、核酸塩基の総モル量に対して3.0~95.0当量の範囲内であり;
- 前記塩基の総モル量は、前記強酸の総モル量に対して1.000~1.050当量の範囲内である。
【0180】
本発明の方法の一部の実施形態において、
- 工程a)は、式Iに記載の化合物
【化13】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの繰り返し単位nについて同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドx0~xnのそれぞれは、同じまたは異なり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分である]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み、ここで;
ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックは、式IIに記載の化合物:
【化14】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
mは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの位置について同じまたは異なる保護基であり;
およびRは、同じまたは異なる保護基であり;
ヌクレオシドxm0~xmのそれぞれは、同じまたは異なる]
であり;
- 工程e)は、場合により、一連の工程b)からd)を反復する工程を含む。
【0181】
本発明の方法の一部の実施形態において、
- 工程a)は、式I-aに記載の化合物
【化15】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの繰り返し単位nについて同じまたは異なる保護基であり;
CAは、キャッピング部分または単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分であり;
は、それぞれの出現において同じまたは異なる核酸塩基であり;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-(C~Cアルキル)、-O-(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-O-Si(C~Cアルキル)、および-O-CH-O-Si(C~Cアルキル)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において独立して、Hであるか、またはRIIおよびRは、化学構造+-CH-O-++、+-CH(CH)-O-++、または+-CH-CH-O-++(ここで、+は、4’炭素原子(すなわち、RIIが結合する炭素原子)との結合点であり、++は、2’炭素(すなわち、Rが結合する炭素原子)との結合点である)のメチレンまたはエチレン架橋を一緒に形成する]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み、ここで;
ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックは、式II-aに記載の化合物:
【化16】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
mは、0以上の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について独立して、OおよびSからなる群から選択され;
は、それぞれの位置について同じまたは異なる保護基であり;
およびRは、同じまたは異なる保護基であり;
は、それぞれの出現において同じまたは異なる核酸塩基であり;
IIIは、それぞれの出現において独立して、H、F、-O-(C~Cアルキル)、-O-(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-O-Si(C~Cアルキル)、および-O-CH-O-Si(C~Cアルキル)からなる群から選択され;
IVは、それぞれの出現において独立して、Hであるか、またはRIIIおよびRIVは、化学構造+-CH-O-++、+-CH(CH)-O-++、または+-CH-CH-O-++(ここで、+は、4’炭素原子(すなわち、RIVが結合する炭素原子)との結合点であり、++は、2’炭素(すなわち、RIIIが結合する炭素原子)との結合点である)のメチレンまたはエチレン架橋を一緒に形成する]
であり;
- 工程e)は、場合により、一連の工程b)からd)を反復する工程を含む。
【0182】
本発明の方法の一部の実施形態において、
- 工程a)は、式I-aに記載の化合物
【化17】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
nは、0~150の範囲内の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位nについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの繰り返し単位nについて、Oであり;
は、それぞれの出現において2-シアノエチル基であり;
CAは、単結合であり;
Lは、リンカー部分または単結合であり;
SMは、支持部分であり;
は、それぞれの出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
は、それぞれの出現において独立して、H、F、および-O-CH(すなわち、メトキシ)からなる群から選択され;
IIは、それぞれの出現において、Hである]
を準備する工程を含み;
- 工程c)は、工程b)から得られる遊離ヒドロキシル基をヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックと反応させる工程であって、ビルディングブロックは、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基によって保護された主鎖ヒドロキシル部分を含み、それによって、前記遊離ヒドロキシル基の酸素原子と前記ビルディングブロックのリン(III)原子との間の共有結合的連結を生成する工程を含み、ここで;
ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドホスホラミダイトビルディングブロックは、式II-aに記載の化合物:
【化18】
[式中:
は、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル保護基であり;
mは、0~2の範囲内の整数であり;
Yは、それぞれの繰り返し単位mについて独立して、SおよびOからなる群から選択され;
Zは、それぞれの位置について、Oであり;
は、それぞれの出現において、2-シアノエチル基であり;
およびRは両方とも、イソプロピル基であり;
は、それぞれの出現において独立して、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、およびウラシルからなる群から選択され;
IIIは、それぞれの出現において独立して、H、F、および-O-CH(すなわち、メトキシ)からなる群から選択され;
IVは、それぞれの出現において、Hである]
であり;
- 工程e)は、場合により、一連の工程b)からd)を反復する工程を含む。
【0183】
実施される実験および達成される結果を含む以下の図面および実施例は、例示的な目的のためだけに提供され、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0184】
図1】ホスホリボース主鎖を有するオリゴヌクレオチドの合成に好適なビルディングブロックの非限定的な例。(a)ホスホラミダイトアプローチによるDNAの合成のためのビルディングブロック;(b)ホスホラミダイトアプローチによるRNAの合成のためのビルディングブロック(「Dmt」および「DMT」という用語は、本明細書において互換的に使用される);(c)2’-O-メチルリボースを有するホスホラミダイトビルディングブロック;(d)2’-O-(2-メトキシエチル)リボースを有するホスホラミダイトビルディングブロック;(e)2’-フルオロリボースを有するホスホラミダイトビルディングブロック。
図2】リボースサロゲート(a)アラビノース核酸(ANA)を得るための保護されたビルディングブロック、(b)2’-フルオロアラビノース核酸(FANA)を得るためのビルディングブロック、(c)トレオース核酸(TNA)を得るためのビルディングブロックを含有する、オリゴヌクレオチドアナログの合成のためのホスホラミダイトビルディングブロックを示す。以下の種類のビルディングブロックは、立体異性体として得られ、示された構造は、これらの化合物の1つ:(d)1’,3’-アンヒドロトレイトール核酸(HNA)を得るためのビルディングブロック、(e)ロックド核酸(LNA)を得るためのビルディングブロック、(f)エチレン架橋核酸(ENA)を得るためのビルディングブロック、(g)三環式核酸(tc-DNA)を得るためのビルディングブロック、(h)シクロヘキサン核酸(CeNA)を得るためのビルディングブロックを表し、(i)は、リボースがグリセリンによって置き換えられている(GNA)ビルディングブロックを示す。アンロックド核酸(UNA)を得るための保護されたビルディングブロック(j)は、リボースの酸化的環切断によって得られる。
図3】粗5’-TTT TAT TTT T-3’(配列番号1)の分析的HPLCトレース。破線 - EOP4149994/02:トルエン中の10%DCAを使用するDMT脱保護(2×10分);純度(HPLC):89%。 実線 - EOP4149994/01:切断カクテルを使用するDMT脱保護(2×10分);純度(HPLC):93%。キャッピングは、カップリングサイクルのそれぞれにおいて行わなかった。
図4】粗5’-ATA CCG ATT AAG CGA AGT TT-3’(配列番号2)の分析的HPLCトレース。破線 - EOP4149467/22:トルエン中の10%DCAを使用するDMT脱保護(2×10分);純度(HPLC):50%。 実線 - EOP4149467/24:切断カクテルを使用するDMT脱保護(2×10分);純度(HPLC):64%。キャッピングは、カップリングサイクルのそれぞれにおいて行わなかった。
図5】粗5’-ATA CCG ATT AAG CGA AGT TT-3’(配列番号2)の分析的HPLCトレース。破線 - EOP4149467/01:トルエン中の10%DCAを使用するDMT脱保護(1×1分);純度(HPLC):68%。 実線 - EOP4149467/02:切断カクテルを使用するDMT脱保護(2×10分);純度(HPLC):79%。 図5bは、図5aの拡大図であり、両方の試料に対応するトレースを重ね合わせている。
図6】粗5’-AAA AT-3’の分析的HPLCトレース。実線 - EOP4153156/03-5:DCM中の2.0%DCA、0.1%エタノール(v/v)を使用するDMT脱保護(5+20分);純度(HPLC-MS UVトレース):91%。破線 - EOP4153156/04-5:本発明の切断カクテルを使用するDMT脱保護(5+20分);純度(HPLC-MS UVトレース):94%。 図6bは、図6aの拡大図であり、ピークは、表B.1およびB.2にリストされるように、ピークIDが割り当てられている。
図7】粗5’-[mAs][fCs][mA][fA][fA][fA][mG][fC][mA][fA][mA][mA][mC][fA][mG][fG][mU][fC][mU][mA][mGs][mAs][mA]-3’の分析的HPLCトレース。実線 - EOP4150430/28-1:最後のサイクルにおける本発明の切断カクテルを使用するDMT脱保護(5+5+5+20分);純度(HPLC-MS UVトレース):78%。破線 - EOP4150430/36-1:最後のサイクルにおけるトルエン中の10%のDCAを使用するDMT脱保護(5+5+5+20分);純度(HPLC-MS UVトレース):50%。 図7bは、図7aの拡大図であり、表C.1およびC.2に記載される脱プリン化生成物を含有する標的生成物およびピーク範囲にマークする。
【0185】
本発明を、実施例、図面および特許請求の範囲によって説明する。
【実施例
【0186】
一般的な方法
1.重量増加および収率の決定
理論的重量増加を決定するために、ジメトキシトリチル基の質量を、合成のスケールに従って、出発樹脂の量から減算した。塩基保護核酸塩基のβ-シアノエチルホスフェートトリエステルの合計を、配列について適用されるカップリングサイクルに従って追加した。実験的重量増加を、乾燥樹脂の決定された質量マイナス出発樹脂の質量の間の相違として計算し、ここで、ジメトキシトリチル基は、すでに減算された。収率は、実験的重量増加と理論的重量増加との間の比としてパーセントで与えられる。
【0187】
より詳細に、実験的重量増加は、すべての伸長サイクルおよび最終ジメトキシトリチル除去工程の終了後の乾燥した樹脂上のオリゴヌクレオチドの質量から固体支持体の質量を減算することによって決定した。固体支持体の質量を決定するために、ジメトキシトリチル基の質量を、合成のスケールおよびジメトキシトリチル基の分子量に従って、出発樹脂(ジメトキシトリチル基を有する固体支持体からなる)の質量から減算した。理論的最大重量増加を、すべての工程において定量的収率と仮定して、配列に適用されたカップリングサイクルに従って、核酸塩基保護ヌクレオシドのβ-シアノエチル保護ホスフェートトリエステルの合計として決定した。異なって指示されない限り、収率は、パーセント(%)で与え、実験的重量増加を理論的最大重量増加によって割り、それに続いて100%を掛けて、パーセントの値にすることによって得た。
【0188】
2.純度の決定
異なって指示されない限り、オリゴヌクレオチドの純度を、C18固定相を使用する分析的逆相HPLCによって決定し、溶出は、グラジエントによってもたらされた(溶出液A:HFIP/TEA/HO;溶出液B:メタノール)。検出波長は260nmであった。他に指定されない限り、報告されるパーセント(%)でのオリゴヌクレオチド純度は、標的オリゴヌクレオチドのピーク下面積を、すべての意味があるピークの面積の合計によって割り、それに続いて100%を掛けて、パーセント(%)の値にすることによって得た。異なって指示されない限り、UVトレースは、0.05%の最小相対面積閾値を適用して、積分した。異なって指示されない限り、純度の決定は、支持体を切断されたオリゴヌクレオチドを使用して行った。異なって指示されない限り、そのような支持体を切断されたオリゴヌクレオチドは、セクション「3.オリゴヌクレオチドの合成」において述べたようにして得た。
【0189】
脱プリン化アッセイ
AおよびGの脱プリン化に対する長い接触時間の影響を、トルエン中の10%のジクロロ酢酸(DCA)を有する脱トリチル化カクテル、および2×10分の切断時間を比較することによって評価した。アデノシンは、最も脱プリン化しやすいので、以下の配列を選択した。
【0190】
キャッピング工程を、すべての合成サイクルにおいて省略した。したがって、任意の観察された鎖破壊は、異なる脱トリチル化プロトコールの結果であると予想される。
【0191】
脱保護カクテルの優位性は、標準的な条件であるトルエン中の10%のDCAおよび2×10分の切断時間との比較によって示される。配列5’-TTT TAT TTT T-3’(配列番号1)について、4%の純度の増加が観察された(参照、図3)。10%のDCAプロトコールの場合において、1537Da[M-H]の種が、LC-MSによって検出された。この種は、5’-リン酸化-TTT TT-3’配列に割り当てられた。この種は、脱プリン化の結果であると考えられる。
【0192】
より困難な20mereの5’-ATA CCG ATT AAG CGA AGT TT-3’(配列番号2)について、14%の純度の増加が観察された(参照、図4)。
【0193】
3.オリゴヌクレオチドの合成
一般的なプロトコール(GP)A:ホスホラミダイト溶液の調製
ベンゾイル保護アデノシン(ABz)、ベンゾイル保護シチジン(CBz)[または、具体的に示される場合、アセチル保護シチジン(CAc)]、イソブチリル保護グアノシン(GiBu)、チミジン(T)、およびウリジン(U)の任意の2’-修飾(2’-デオキシ、2’-フルオロまたは2’-O-メチル、すなわち、2’-メトキシ)を有する5’-DMT保護ヌクレオシドホスホラミダイト誘導体を、典型的には、乾燥アセトニトリル、または乾燥アセトニトリルおよびN,N-ジメチルホルムアミドの組合せに、0.2Mの濃度で溶解した。モレキュラーシーブ(3Å)を添加し、ヘッドスペースに窒素を流した。次いで、溶液を、最低12時間乾燥させた。
【0194】
一般的なプロトコール(GP)B:アミン塩を使用する脱トリチル化
脱トリチル化カクテルを、典型的には、塩基および強酸、または塩基および強酸から構成される事前に形成された塩を、示された非プロトン性溶媒、フッ素化アルコール、および適切な場合、追加のカルボカチオンスカベンジャーの混合物に溶解することによって調製した。個々の脱トリチル化カクテルにおけるこれらの構成要素の比を、以下の表において編集されたそれぞれの合成例について示す。
【0195】
脱トリチル化カクテルを、典型的には、以下の通り混合した:塩基(0.75~1.6%、w/v)および強酸(0.5~1.0%、v/v)、または代替的に事前に形成された塩形態(5.0%、w/v)を、フッ素化アルコールの溶液(2~19%、v/v)、および場合により、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、またはアニソール中のカルボカチオンスカベンジャー(76~96%、v/v)に添加した。以下の塩基を使用した:4-シアノピリジン(0.75~1.0%、w/v)、3-シアノピリジン(1.0%、w/v)、3-クロロピリジン(1.6%、w/v)。以下の強酸を使用した:トリフルオロ酢酸(TFA)(0.5~1.0%、v/v)、メタンスルホン酸(0.8%、w/v)。塩基と強酸の以下の事前に形成された塩を使用した:4-クロロピリジニウム塩酸塩(5.0%、w/v)。フッ素化アルコール2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)(5~19%、v/v)または1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(2~5%、v/v)を使用した。以下のカルボカチオンスカベンジャーを使用した:エタンジチオール(EDT)(1.4%、v/v)、1,8-オクタンジチオール(DODT)(2.7%、v/v)、1,4-ジチオエリスロール(DTE)(2.3%、w/v)、1,4-ベンゼンジメタンチオール(BDMT)(2.5%、w/v)、HO(1%、v/v)、およびトリエチルシラン(TES)(1.9%、v/v)。
【0196】
例として、「1.0:0.7:19:80、4-シアノピリジン:TFA.TFE:トルエン、m:v:v:v」と記載される脱トリチル化カクテルは、TFE(19%(v/v))、TFA(0.7%(v/v))、およびトルエン(80.3%(v/v))の混合物に4-シアノピリジン(1.0%(m/v))を溶解して得られる溶液を指す。異なって指示されない限り、「m:v:v:v」と書かれる比は、質量gの体積mLに対する比を指す。
【0197】
本明細書において、「m:v」および「w:v」という表現は、互換的に使用され、異なって指示されない限り、mおよびwは、質量(g)を指し、vは、体積(mL)を指す。同じように、「m/v」および「w/v」という表現は、本明細書において、互換的に使用され、ここで再び、異なって指示されない限り、mおよびwは、質量(g)を指し、vは、体積(mL)を指す。
【0198】
脱トリチル化の前に、樹脂を、典型的には、溶媒、例えば、DCMまたはトルエンで洗浄した。脱トリチル化を、脱トリチル化カクテルを使用して行った、上記参照。樹脂上の保護されたオリゴヌクレオチドを、1~4回または2~3回、典型的にはそれぞれ5~20分間、およびUnyLinker(商標)がロードされた固体支持体について、典型的には、それぞれ30~70分間、脱保護した。次いで、樹脂を、典型的には、アセトニトリルで洗浄した。
【0199】
一般的なプロトコール(GP)C:トルエン中の10%のジクロロ酢酸(DCA)(v/v)を使用する脱トリチル化
脱トリチル化を、典型的には、市販のトルエン中の10%のDCA(v/v)を使用して1分間の1工程、または2×10分間の2工程(すなわち、それぞれ10分で2反復)を行った。次いで、樹脂を、典型的には、アセトニトリルで洗浄した。
【0200】
一般的なプロトコール(GP)D:ジクロロメタン(DCM)中の2%のDCAおよび0.1%のエタノール(v/v)を使用する脱トリチル化
脱トリチル化を、典型的には、310秒の接触時間で1回、または10+10分、5+5分、5+10分、もしくは5+20分の2工程(すなわち、2反復)で行った。次いで、樹脂を、典型的には、アセトニトリルで洗浄した。
【0201】
一般的なプロトコール(GP)E:トルエン中の10%のDCA(v/v)を使用する脱トリチル化
トルエン中の10%のDCA(v/v)を用いるトリチル化を、典型的には、2~4工程(すなわち、2~4反復)で行った。脱トリチル化の時間は、典型的には、反復あたり5~20分であった。UnyLinker(商標)がロードされた固体支持体について、脱トリチル化時間は、典型的には、反復あたり5+5+20分であり、これは、脱トリチル化溶液を、第1および第2の工程において、それぞれ5分間、ならびに第3の工程において、20分間、樹脂と接触させる3工程(すなわち、反復)を示す。樹脂を、典型的には、脱トリチル化手順の終了後に、アセトニトリルで洗浄した。
【0202】
オリゴヌクレオチドの合成のための標準的なプロトコール:
異なって指示されない限り、合成を、3’から5’の方向で所望の順序に従って、3’-ホスホラミダイトヌクレオシドを使用して、10mLのシリンジ反応器において手動で(R-1)、1Lの撹拌床反応器において手動で(R-2)、または25mLのスパージ床反応器(Nガスをフィルター反応器にバブリングすることによるかき混ぜ)において自動で(R-3)行った。すべての反応器の種類は、反応器において樹脂を保持する、ならびに溶媒および試薬を排出するための、フィルター、フリット、または適切なポアサイズの膜を備えていた。
【0203】
合成を、典型的には、樹脂の重量および置換(およそ、0.34~0.41mmol/gまたは0.2~0.4mmol/g)に基づいて、40μmol、2.5mmol、または0.04~5.0mmolのスケールで実行した。市販のDMT保護ポリスチレン出発樹脂(第1のヌクレオシドまたはUnyLinker(商標)のいずれかで官能化)を、典型的には、使用した。市販の出発樹脂のヌクレオシドおよびUnyLinker(商標)の群を、典型的には、コハク酸エステルまたはアミドによって、ポリスチレン支持体に連結した。
【0204】
第1のカップリングサイクルの前に、樹脂を、反応器に移し、アセトニトリル(ACN、40~50mL/g)で10分間洗浄した。添加されるヌクレオシドホスホラミダイトのそれぞれについて、異なって指示されない限り、表1による1回のカップリングサイクルを行った。
【0205】
【表2】
【0206】
脱トリチル化を、典型的には、GP Bに記載される脱トリチル化カクテルを用いて、GP Cのトルエン中の10%(v/v)のDCA、GP Dに示されるDCM中の2%(v/v)のDCAおよび0.1%(v/v)のエタノール、またはGP Eのトルエン中の10%のDCA(v/v)を使用して行った。
【0207】
カップリングを、典型的には、GP Aで調製された溶液中のホスホラミダイトを使用し、5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール活性化剤(ETT、0.5M)を添加して、行った。
【0208】
酸化を、典型的には、水およびピリジン(1:9、v/v)溶液の混合物中のヨウ素溶液(50mM)を使用して行った。実施例において、25mLのスパージ床反応器(R-3)を使用した場合、樹脂質量あたりの酸化体積は、17.7mL/gであった。
【0209】
チオール化(すなわち、硫化)を、典型的には、ピリジン中0.2Mのキサンタン水素化物溶液を使用して、またはアセトニトリルおよびピリジンの混合物(1:1、v/v)中0.1Mのキサンタン水素化物溶液を使用して、行った。実施例において、25mLのスパージ床反応器(R-3)を使用した場合、樹脂質量あたりのチオール化体積は、17.7mL/gであった。
【0210】
典型的な合成サイクル(すなわち、カップリングサイクル)が、酸化またはチオール化のいずれかを含むことに留意すべきである。両方の場合において、リン(III)連結基は、リン(V)連結基に変換される。
【0211】
キャッピングを、典型的には、Cap A(アセトニトリル中の20%の無水酢酸、v/v)およびCap B(N-メチルイミダゾール、2,6-ルチジン、アセトニトリル、20:30:50、v/v/v)の混合物(1:1、v/v)を用いて行った。実施例において、25mLのスパージ床反応器(R-3)を使用した場合、樹脂質量あたりのキャッピング体積は、8.7mL/gであった。
【0212】
洗浄工程を、典型的には、アセトニトリルを使用して行った。脱トリチル化の前にのみ、DCM(例えば、脱トリチル化カクテルの溶媒としてDCMを使用する場合)またはトルエン(例えば、脱トリチル化カクテルのための溶媒としてトルエンまたはアニソールを使用する場合)を、洗浄工程のために使用した。実施例において、25mLのスパージ床反応器(R-3)を使用した場合、脱トリチル化前のDCMおよびトルエン洗浄体積は、14mL/gであり、樹脂質量あたりのACN洗浄体積は、44mL/gであった。活性化剤洗浄は、場合によってのみ行った。異なって指示されない限り、活性化剤洗浄を行った。この用語は、カップリング工程のために指定されたアセトニトリルおよび活性化剤の溶液を使用する洗浄工程を指す(すなわち、アセトニトリル中の0.5MのETT)。
【0213】
異なって指示されない限り、典型的なカップリングサイクルのそれぞれの工程は、撹拌(撹拌床反応器)または振とう(シリンジ反応器)または窒素バブリングによるかき混ぜ(スパージ床反応器)下で、示された時間、成長しているオリゴヌクレオチド鎖を持つ固体支持体を個々の試薬溶液(例えば、脱トリチル化工程のための脱トリチル化カクテルまたは洗浄工程のためのニート溶液)と接触させる工程、それに続いて、反応器の内側で支持体に結合した成長しているオリゴヌクレオチドを保持するように、個々の溶液をフィルターに通して排出する工程を含んでいた。典型的なカップリングサイクルの工程、例えば、脱トリチル化工程を、1回またはそれ以上の回数、反復する。そのような場合において、前述の手順は、単純に反復され、すなわち、試薬溶液を、反応器から排出し、樹脂上のオリゴヌクレオチドを、個々の溶液の別のバッチで処理し、それに続いて、溶液を排出する。実施例1~10において、それぞれの脱トリチル化工程の反復の数、および反復あたりの脱トリチル化カクテルとの接触時間を、表形式で具体的に示す。例えば、それぞれ10分の接触時間での2反復は、2×10分または10+10分と称される。
【0214】
異なって指示されない限り、合成は、22℃で行った。
【0215】
合成サイクルを、適切なヌクレオシドホスホラミダイトを使用して、順序に従って反復した。
【0216】
最後の5’-DMT脱トリチル化を、洗浄工程を含む以前のサイクルにおいて使用されたものと同じ手順を使用して行った。次いで、樹脂を、最低16時間、減圧下で乾燥した。
【0217】
すべてのカップリングサイクルおよび最後の脱トリチル化工程の終了後、樹脂を秤量し、試料のトライアル切断および脱保護を行った。この目的のために、典型的には、10~50mgの乾燥樹脂を、好適な反応容器(例えば、2mLのPPチューブ)に秤量した。水酸化アンモニウム水溶液(すなわち、アンモニア水溶液、25~28%(w/v)、1~2mL)を添加した。チューブを、閉じ、シールし、振とうし、オリゴヌクレオチドの長さおよび配列に応じて、45~55℃に2~20時間加熱した。場合により、アセトニトリル中のジエチルアミン(DEA)による処理は、アンモニア水による処理の前に行われる。上清を、典型的には、シリンジを使用して除去し、第2のチューブ(2~5mL)に移した。アンモニアを、典型的には、真空遠心分離を使用して、または窒素ガスのわずかな流れを用いて除去した。次いで、溶液(支持体を切断されたオリゴヌクレオチドを含有する)を、所望の濃度までHOで希釈し、それに続いて、HPLCまたはHPLC-MSを介して分析した。
【0218】
4.脱プリン化アッセイ
アッセイ方法A:
AおよびGの脱プリン化に対する長くした(すなわち、延長した)接触時間の影響を、2×10分の切断時間を使用して、個々の脱トリチル化カクテル(GP Bによる)を標準的な脱トリチル化カクテル(トルエン中の10%(v/v)のジクロロ酢酸(DCA)、GP C)と比較することによって、評価した。アデノシンは、最も脱プリン化しやすいので、好適な配列を選択した。
【0219】
アッセイ方法Aを使用する脱プリン化アッセイの合成および結果を、下記に実施例5としてリストする。
【0220】
アッセイ方法B:
脱トリチル化プロトコールGP Bを、脱プリン化を低減または排除するのを特異的に支援する脱トリチル化プロトコールを記載する先行技術(WO9603417A1号)と比較した。この先行技術から、DCM中の2%(v/v)のDCAおよび0.1%(v/v)のエタノールからなる脱トリチル化混合物を、比較のために選択した(GP D)。5merのDNA 5’-AAA AT-3’を、標的オリゴヌクレオチドとして選択した。
【0221】
脱プリン化副生成物を、25~28%(w/v)のアンモニア水による標準的な切断および脱保護の間の、脱プリン化脱塩基部位に対応する質量を有する生成物および脱プリン化脱塩基部位の分解反応の結果として生成した副生成物として、支持体を切断されたオリゴヌクレオチドのHPLC-MS分析によって特定した(例えば:S.Pourshahianら、Mass Spectrometry Reviews 2021、40、75~109頁を参照されたい)。多数の異なる脱プリン化生成物が観察されたので、HPLC-MS測定のUVトレースを、最小相対面積閾値を適用することなく、積分した。これは、それらの個々の質量に従って、脱プリン化関連副生成物に関するより小さなピークの排除を回避する。
【0222】
アッセイ方法Bを使用する脱プリン化アッセイの合成および結果を、下記に実施例7としてリストする。これらの分析のクロマトグラムを、図6aおよび6bとして示す。これらのクロマトグラムにおいて、ピークは、ピークIDが割り当てられた。以下の表B.1において、これらのピークIDは、質量分析データに基づいてオリゴヌクレオチドまたは断片に割り当てられる(計算および検出されたモノアイソトピック質量を提供した)。これは、これらのオリゴヌクレオチドまたは断片の推定構造を示す表B.2に続く。個々のHPLC-MS測定のUVトレースから、すべての特定された脱プリン化生成物のピーク面積の合計を、生成物(すなわち、標的オリゴヌクレオチド、全長生成物とも称される)のピーク面積によって割り、それに続いて100%を掛けて、パーセント(%)の値にすることによって、脱プリン化の度合いを、決定した。
【0223】
【表3】
【0224】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【0225】
アッセイ方法C:
脱トリチル化プロトコールGP BおよびGP Eを、2’位に電子求引性置換基を有するオリゴヌクレオチドの合成に適用した(例えば、2’-O-メチルリボース、2’-F-デオキシリボース)。
【0226】
2’-Fおよび2’-OMeヌクレオシドの両方、ならびにホスホジエステル(PO)およびホスホロチオエート(PS)が混合した主鎖を有する23merのオリゴヌクレオチド5’-[mAs][fCs][mA][fA][fA][fA][mG][fC][mA][fA][mA][mA][mC][fA][mG][fG][mU][fC][mU][mA][mGs][mAs][mA]-3’を、標的オリゴヌクレオチドとして選択した。この標的オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド原薬(API)において通常見出されるビルディングブロックを表す。以下の表記法を使用した:「m」は、個々のヌクレオシドサブユニットのリボース部分が2’-O-Me基を持つことを示し;「f」は、個々のヌクレオシドサブユニットのリボース部分が2’-F(フルオロ)置換基を持つことを示し:「s」は、個々のヌクレオシドサブユニットの3’位のヌクレオシド間連結基がホスホジエステル基の代わりにホスホロチオエート基であることを示す。
【0227】
脱トリチル化性能を評価するために、全体的な純度を使用した。脱プリン化の度合いを具体的に決定するために、アデニン核酸塩基が欠けている脱塩基部位の量を、HPLC-MSによって定量した。アンモニア処理の間の2’-F/2’-OMeオリゴヌクレオチドの脱塩基部位の安定性に起因して、脱塩基部位を使用して、脱プリン化を直接定量した。脱塩基副生成物が他の副生成物と同時溶出するので、問題のピークを、UVトレース(HPLC-MS)において積分し、異なる脱塩基副生成物の相対量を、最大エントロピーアルゴリズムを使用するBrukerデータ分析ソフトウェアにおける電荷解析を適用した後に質量トレースの積分によって決定した。
【0228】
アッセイ方法Cを使用する脱プリン化アッセイの合成および結果を、下記に実施例8としてリストする。これらの分析のクロマトグラムを、図7aおよび7bとして示す。これらのクロマトグラムにおいて、ピークは、ピークIDが割り当てられた。以下の表C.1において、これらのピークIDは、質量分析データに基づいてオリゴヌクレオチドまたは断片に割り当てられる(計算および検出されたモノアイソトピック質量を提供した)。これは、これらのオリゴヌクレオチドまたは断片の推定構造を示す表C.2に続く。
【0229】
脱プリン化の度合いを決定するための、質量トレースにおけるC.1-2の相対含有量を、C.1-2を含有するピークについて決定し、UVトレースにおける個々のピークの相対面積を掛けた。脱プリン化の度合いを、UVトレースにおけるC.1-2のそのようにして得られた補正面積を、UVトレースにおける生成物(すなわち、標的オリゴヌクレオチドまたは全長生成物)の面積によって割り、それに続いて100%を掛けて、パーセント(%)の値にすることによって、得た。
【0230】
【表5】
【0231】
【表6】
【0232】
実施例1:比較例-トルエン中の10%のDCA(v/v)を用いる脱トリチル化。
【0233】
【表7】
【0234】
合成EOP4148503/34、37、70、73および4149467/01、21を、GP Cに従って実施した。
【0235】
2つの異なるモデル配列を、先行技術の標準的な脱トリチル化カクテルを使用して合成した。2つまたは4つの合成を、それぞれのモデル配列について行った。GP Cを、1×1分または2×10分の脱保護時間で、脱トリチル化のために使用した。両方の合成のプロトコールは、脱保護時間に関してのみ異なり、すべての他の合成パラメーターは、一定に保った。比較は、先行技術において使用された標準的な脱トリチル化カクテル(トルエン中の10%のDCA、v/v)が、脱トリチル化カクテルとオリゴヌクレオチドとのより長い接触時間が生じた場合に、不利であることを実証する。
【0236】
実施例2:本発明による組成物を用いる脱トリチル化
【0237】
【表8】
【0238】
合成EOP 4148503/35、41、48および4149467/02を、GP Bを使用して、上記に記載されたようにして行った。
【0239】
EOP4148503/35および4149467/02について、TFE(19mL)、EDT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(79mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0240】
EOP 4148503/48について、TFE(19mL)、EDT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(79mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0241】
EOP4148503/41について、TFE(0.23L)、EDT(17mL)、4-シアノピリジン(12g、96mM)、TFA(8.4mL、92mM)をDCM(0.95L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0242】
2つの異なるモデル配列を、本発明による脱トリチル化プロトコールを使用して合成した。脱トリチル化プロトコールGP Cを、2×10分の脱トリチル化時間でのGP Bによって置き換えたという事実を除き、それぞれの配列についての合成パラメーターは、実施例1と同一であった。実施例1の結果との比較(EOP 4148503/48対EOP 4148503/34;EOP 4149467/02対EOP 4149467/01;EOP 4148503/41対EOP 4148503/37を比較する)は、本発明による液体組成物Cが、従来技術の標準的な脱トリチル化方法、すなわち、1×1分の脱保護時間でトルエン中の10%(v/v)のDCAと比較して、改善された重量増加および純度を提供することを実証する。この効果は、より厳しい20mer配列(EOP 4149467/02対EOP 4149467/01)のために特に顕著である:本発明により合成された試料は、全体的により明確な不純物プロファイルを示し;全体的な純度は11%増加した。対応する分析的クロマトグラムを図5に示す。これらの観察は、本発明による脱保護方法および組成物が、不純物形成を抑制しながら、保護基の改善された除去を可能にすることを示唆する。本発明のプロトコールと比較して従来技術のプロトコールの不利な点は、より長い接触時間を回避できない場合に、さらにより明白である(EOP 4148503/48対EOP 4148503/70;EOP 4149467/02対EOP 4149467/21;EOP 4148503/41対EOP 4148503/73を比較する)。
【0243】
EOP 4149467/02において、脱トリチル化溶液の体積は、反復あたり2.5mL/100μmolの出発材料(すなわち、出発樹脂上に100μmolのDMT保護OH基)であった。40μmolの合成スケールのために、脱トリチル化体積は、1.0mLであった。これは、反復あたり92μmolの酸を含有し、これは、最後の脱トリチル化工程の間に、DMT基に対して2.3当量、および核酸塩基に対して0.12当量を表す。脱トリチル化カクテルは、反復あたり2.6mmolのTFEを含有し、これは、第1のサイクルにおける核酸塩基に対して66当量のTFE、および5merのオリゴヌクレオチドが終了した時に核酸塩基に対して3.3当量のTFEと等しい。
【0244】
実施例3:本発明による組成物を用いる脱トリチル化-さまざまなカルボカチオンスカベンジャーの使用
【0245】
【表9-1】
【表9-2】
【0246】
合成を、GP Bを使用して、上記に記載されたようにして行った。
【0247】
EOP4148503/53について、TFE(19mL)、DODT(2.7mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(77.6mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0248】
EOP4148503/50について、TFE(19mL)、DTE(2.3g)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.70%(v/v)、0.7mL、92mM)をDCM(78mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0249】
EOP4148503/52について、TFE(19mL)、BDMT(2.5g)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(78mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0250】
EOP4148503/55について、TFE(19mL)、TES(1.9mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(78mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0251】
EOP4148503/54について、TFE(19mL)、水(1.0mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(79mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0252】
EOP4149467/07について、TFE(19mL)、水(1.0mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(79mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0253】
EOP4148503/51について、TFE(19mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(80mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0254】
EOP4149467/06について、TFE(19mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(80mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0255】
この実施例は、シラン[例えば、トリエチルシラン(TES)]、チオールまたはチオフェノール[例えば、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)、1,4-ジチオエリスロール(DTE)、1,4-ベンゼンジメタンチオール(BDMT)]などのさまざまな種類の通常のカルボカチオンスカベンジャーおよび水を、例えば、使用することができることを示す。
【0256】
実施例4:本発明による組成物を用いる脱トリチル化-異なるフッ素化アルコールの使用
【0257】
【表10】
【0258】
合成を、脱トリチル化のためにGP Bを使用して、上記に記載されたようにして行った。
【0259】
EOP4148503/63について、HFIP(5mL)、EDT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(93mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0260】
EOP4148503/66について、TFE(5mL)、EDT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(93mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0261】
EOP4148503/67について、HFIP(2mL)、EDT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(96mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0262】
この実施例は、脱トリチル化カクテル中のフッ素化アルコールの濃度を変更することができること、およびTFE以外のフッ素化アルコールを使用することができることを示す。
【0263】
実施例5:脱プリン化に対する効果(脱プリン化アッセイ、アッセイ方法A)
【0264】
【表11】
【0265】
脱トリチル化のために使用されるGP B対GP C:EOP4149994/01、EOP4149994/02、EOP4149467/22について2×10分、およびEOP4149467/24について3×10分で、実験を、一般的なプロトコール「脱プリン化アッセイ、アッセイ方法A」において説明されたようにして、キャッピングなしで行った。
【0266】
EOP 4149994/01および4149467/24について、TFE(19mL)、DODT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をトルエン(77.6mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0267】
本発明の脱トリチル化カクテルの利益は、標準的な条件、すなわち、トルエン中の10%のDCA(v/v)、および2×10分の脱トリチル化時間との比較によって示される。配列5’-TTT TAT TTT T-3’(配列番号1)について、4%の純度の増加が観察された(参照、図3)。10%のDCAプロトコールの場合において、1537Da[M-H]の種が、LC-MSによって検出された。より困難な20merのDNA 5’-ATA CCG ATT AAG CGA AGT TT-3’(配列番号2)について、14%の純度の増加が観察された(参照、図4)。
【0268】
実施例6:2’位に電子求引性置換基を有するオリゴヌクレオチドの合成(例えば、RNA合成、GP Bを脱トリチル化のために使用した)
【0269】
【表12】
【0270】
合成EOP 4149469/01およびEOP 4149468/01を、GP Bを使用して、上記に記載されたようにして行った。
【0271】
TFE(19mL)、EDT(1.4mL)、4-シアノピリジン(1.0g、96mM)、TFA(0.7mL、92mM)をDCM(79mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0272】
両方の合成は、2’-Fおよび2’-OMe置換を有するオリゴヌクレオチドへのGP Bの適用性を示す。さらにまた、EOP 4149469/01は、ホスホジエステル(PO)およびホスホロチオエート(PS)が混合した主鎖を有するオリゴヌクレオチドへの適用性を実証する。
【0273】
実施例7:脱プリン化アッセイ(アッセイ方法B)
【0274】
【表13-1】
【表13-2】
【0275】
実施例7における合成(表E.7.1において編集された通り)を、GP B、GP D、またはフッ素化アルコールをエタノールに置き換えたGP Bに類似のプロトコールのいずれかを使用して、セクション「3.オリゴヌクレオチドの合成」、特に、表1に示される通り、0.10mmolスケールで行った。
【0276】
合成EOP4153156/03-1~-5を、低減された脱プリン化を伴う脱トリチル化を記載する先行技術(WO96/03417号)に対する参照として、異なる脱トリチル化時間を用いるGP Dに従って実施した。DCA(9.0mL、0.24M)、エタノール(0.45mL、17mM)をDCM(441mL)に溶解することによって、脱トリチル化混合物を調製した。脱トリチル化溶液の体積は、反復あたり3.75mL/100μmolの出発材料(すなわち、出発樹脂上に100μmolのDMT保護OH基)であった。この体積は、反復あたり0.90mmolの酸を含有し、これは、最後の脱トリチル化工程の間に、DMT基に対して9.0当量、および核酸塩基に対して1.8当量を表す。
【0277】
合成EOP 4153156/04-1~-5を、GP Bに従って実施した。TFE(85.5mL)、4-シアノピリジン(4.50g、96mM)、TFA(3.2mL、92mM)をDCM(361mL)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。脱トリチル化溶液の体積は、反復あたり3.75mL/100μmolの出発材料(すなわち、出発樹脂上に100μmolのDMT保護OH基)であった。この体積は、反復あたり0.35mmolの酸を含有し、これは、最後の脱トリチル化工程の間に、DMT基に対して3.50当量、および核酸塩基に対して0.70当量を表す。DCMを、先行技術との良好な比較可能性を確実にし、溶媒効果を排除するために、非プロトン性溶媒として選択した。一般的な合成条件および脱トリチル化時間は、EOP 4153156/03-1~-5に記載される脱トリチル化カクテルを用いて実施された合成と同等であった。
【0278】
310秒の最も短い脱トリチル化時間を、先行技術(WO96/03417号)を考慮して選択し、ここで、310秒は、フロースループロトコールにおいて好ましい脱トリチル化時間である。バッチ反応器のセットアップについて、この脱トリチル化時間は、不完全な脱トリチル化、したがって低い純度(それぞれ、EOP 4153156/03-1、純度35%、およびEOP 4153156/04-1、純度51%)をもたらす。本発明の脱トリチル化カクテルは、恐らくより速い脱トリチル化の結果として、より高い純度をもたらす。2つの脱トリチル化工程(すなわち、2反復)(10+10分、5+5分、5+10分、5+20分)を伴う延長された脱トリチル化手順もすべて、本発明の脱トリチル化カクテルにより、より高い純度をもたらす。
【0279】
本発明の脱トリチル化カクテルにより達成される改善された純度が、より高いアルコール濃度の単なる結果ではないことを実証するために、19%(v/v)のエタノールを用いる追加の合成を実施した(合成EOP 4153156/20-1~-5)。エタノール(86mL)、4-シアノピリジン(4.5g、96mM)、TFA(3.2mL、92mM)をトルエン(0.36L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。脱トリチル化溶液の体積は、脱トリチル化の反復あたり3.75mL/100μmolの出発材料(すなわち、出発樹脂上に100μmolのDMT保護OH基)であった。すべての場合において、脱トリチル化が、19%(v/v)のエタノールの存在によって著しく妨害されたので、全長生成物はほとんど観察されなかった。DCMおよびトルエンは、GP B(例えば、実施例2、4、および5を参照されたい)を使用する脱トリチル化反応に両方とも好適であることが示されたので、EOP 4153156/20-1~-5においてTFEをエタノールで置き換える場合に得られた非常に不十分な結果は、このアルコールの変更に主に寄与する。
【0280】
次に、脱トリチル化の度合いを、表E.7.1にリストされたすべての合成についてHPLC-MS(図6.a、6.b)によって決定し、結果を、表E.7.2において編集する。この目的のために、すべての特定された脱プリン化生成物(表B.1およびB.2を参照されたい)のピーク面積を合計し、生成物(すなわち、標的オリゴヌクレオチド、全長生成物とも称される)のピーク面積によって割り、それに続いて100%を掛けて、パーセント(%)の値にした。
【0281】
【表14】
【0282】
すべての脱トリチル化時間について、本発明の組成物/方法は、WO96/03417号の組成物/方法よりも低い脱プリン化の度合いを与えた。EOP4153156/03-5およびEOP4153156/04-5のクロマトグラムを、図6に提供する。
【0283】
実施例8:2’位に電子求引性置換基を有するオリゴヌクレオチドの合成(脱プリン化アッセイ、アッセイ方法C)
【0284】
【表15】
【0285】
合成EOP4150430/28-1を、脱トリチル化のためにGP Bを使用して、0.1mmolスケールで実施した。TFE(0.46L)、4-シアノピリジン(24g、96mM)、TFA(17mL、92mM)をトルエン(1.9L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0286】
合成EOP4150430-36-1を、脱トリチル化のためにGP Eを使用して、0.1mmolスケールで実施した。DCA(0.30L)をトルエン(2.7L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0287】
表E.8から結論付けられるように、脱トリチル化のためにGP Bを使用する合成(EOP4150430/28-1)において得られた純度は、より高く、脱プリン化の度合いは、GP Eの通常の脱トリチル化溶液のトルエン中の10%のDCA(v/v)(EOP4150430/36-1)によるよりも低い。トルエン中の10%のDCA(v/v)で、脱トリチル化は、一部の工程において不完全であり、標的生成物の前に短く溶出する多くの量の副生成物をもたらす(図7a、7b)。
【0288】
実施例9:本発明による組成物を用いる脱トリチル化-異なるハロゲン化されていない非プロトン性溶媒の使用
【0289】
【表16-1】
【表16-2】
【0290】
合成EOP 4153156/05-1、3、4および4153156/12-2、5、ならびにEOP 4153156/15-1~-5を、脱トリチル化カクテル中のDCMをトルエンまたはアニソールのいずれかで置き換える以外は、実施例7のEOP 4153156/04-1~-5と同じ条件下(表E.7.1を参照されたい)で実施した。脱トリチル化溶液の体積は、脱トリチル化の反復あたり3.75mL/100μmolの出発材料(すなわち、出発樹脂上に100μmolのDMT保護OH基)であった。これは、反復あたり0.35mmolの酸を含有し、この体積は、最後の脱トリチル化工程の間に、DMT基に対して3.50当量、および核酸塩基に対して0.70当量を表す。脱トリチル化カクテルは、反復あたり9.9mmolのTFEを含有し、これは、第1のサイクルにおける核酸塩基に対して99当量のTFE、および5merのオリゴヌクレオチドが終了した時に核酸塩基に対して20当量のTFEと等しい。
【0291】
TFE(86mL)、4-シアノピリジン(4.5g、96mM)、TFA(3.2mL、92mM)をトルエン(0.36L)に溶解することによって、合成EOP 4153156/05-1、3、4および4153156/12-2、5の脱トリチル化カクテルを調製した。同様に、TFE(86mL)、4-シアノピリジン(4.5g、96mM)、TFA(3.2mL、92mM)をアニソール(0.36L)に溶解することによって、EOP 4153156/15-1~-5の脱トリチル化カクテルを調製した。
【0292】
表E.9にリストされる例は、トルエンを含む脱トリチル化カクテル、およびアニソールを含む脱トリチル化カクテルの両方が、脱トリチル化手順GP Bに従って、5merのDNA 5’-AAA AT3’の合成の成功をもたらすことを示す。ハロゲン化されていない溶媒の使用は、工業スケールの合成のために大きな環境的利益を提示する。
【0293】
実施例10:本発明による組成物を用いる脱トリチル化-異なる塩基および強酸の使用
【0294】
【表17-1】
【表17-2】
【表17-3】
【0295】
合成EOP 4153156/06-1~-5を、GP Bに従って、0.1mmolスケールで実施した。TFE(86mL)、3-クロロピリジン(7.0g、0.14M)、TFA(4.5mL、0.13M)をトルエン(0.36L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0296】
合成EOP 4153156/11-1~-5を、GP Bに従って、0.1mmolスケールで実施した。TFE(86mL)、3-シアノピリジン(4.5g、96mM)、TFA(3.2mL、92mM)をトルエン(0.36L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0297】
合成EOP4153156/13-1~-5を、GP Bに従って、0.1mmolスケールで実施した。TFE(86mL)、4-シアノピリジン(4.5g、96mM)、メタンスルホン酸(MSA)(2.7mL、92mM)をトルエン(0.36L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0298】
合成EOP4153156/14-1~-3を、GP Bに従って、0.1mmolスケールで実施した。TFE(49mL)、4-クロロピリジン-HCl(13g、0.33M)をトルエン(0.20L)に溶解することによって、脱トリチル化カクテルを調製した。
【0299】
5merのDNA 5’-AAA AT-3’を、この実施例に記載されるすべての脱トリチル化カクテルを用いて成功裏に合成し、本発明の方法が、塩基および強酸の良好な変動性を可能にすることを示す。用いられたピリジン塩基のプロトン化形態(すなわち、ピリジニウムイオン/塩のカチオン)のpKa値は、文献(Fischer,A.、Galloway,W.J.、Vaughan,J.、Journal of the Chemical Society(要約)1964、3591~3596頁)から取得することができる:3-シアノピリジン(プロトン化形態:pKa=1.35)、4-シアノピリジン(プロトン化形態:pKa=1.86)、3-クロロピリジン(プロトン化形態:pKa=2.81)、4-クロロピリジン(プロトン化形態:pKa=3.83)。そのため、ピリジニウムイオンのpKa値は、1.35~3.83のpKa値の範囲をカバーする。同様に、用いられた強酸は、広い範囲の酸のクラスをカバーする:TFAは、カルボン酸であり、MSAは、スルホン酸であり、HCl(事前に形成されたHCl塩の形態で使用される)は、鉱酸である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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【国際調査報告】