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特表2024-510506導電層相互接続部を備えた光起電デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】導電層相互接続部を備えた光起電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0463 20140101AFI20240229BHJP
【FI】
H01L31/04 532A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557381
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022020720
(87)【国際公開番号】W WO2022197905
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,670
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/278,371
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510328032
【氏名又は名称】ファースト・ソーラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】バンダリ,ニヒル
(72)【発明者】
【氏名】デービス,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,レット
(72)【発明者】
【氏名】ウィッカーシャム,チャールズ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251EA09
5F251EA10
5F251EA11
5F251EA19
(57)【要約】
本明細書に示す実施形態によると、第1の導電層において正則閉形状のアイランドがアブレーションされる。アイランドを位置合わせ基準として使用してアイランドを貫通して相互接続部が形成される。アイランドと相互接続部とが第1の導電層の残存部分から分離される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンタクトの上の半導体スタックと、
前記半導体スタックの上の第1の導電層に形成された導電アイランドと、
前記導電アイランドを貫通して形成された相互接続部とを含む光起電デバイスであって、
前記導電アイランドと前記相互接続部とが前記導電アイランドにおいて前記第1の導電層から分離され、そして
前記相互接続部が前記第1のコンタクトとの電気接続部を形成する、光起電デバイス。
【請求項2】
前記第1の導電層の成形領域が、前記導電アイランドが前記成形領域によって境界が定められるように、前記導電アイランドを形成するためにアブレーションされている、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項3】
前記成形領域が環状スクライブリングを含む、請求項2に記載の光起電デバイス。
【請求項4】
前記第1の導電層の上に形成された誘電体層をさらに含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項5】
前記誘電体層が前記成形領域を少なくとも部分的に充填している、請求項4に記載の光起電デバイス。
【請求項6】
前記誘電体層の上に形成された第2の導電層をさらに含む、請求項4に記載の光起電デバイス。
【請求項7】
前記第2の導電層が前記相互接続部を少なくとも部分的に形成している、請求項6に記載の光起電デバイス。
【請求項8】
導電相互接続部を形成する方法であって、
第1のコンタクトの上に半導体スタックを形成すること、
前記半導体スタックの上に第1の導電層を形成すること、
前記半導体スタックから前記第1の導電層の成形領域をアブレーションすること、ここで導電アイランドが前記第1の導電層から形成され、前記成形領域によって境界が定められる、、
前記第1の導電層の上に誘電体層を形成すること、
前記第1の導電層の前記アイランドを通る通路を形成すること、ここで前記通路が前記誘電体層と前記第1の導電層の前記導電アイランドと前記半導体スタックとを貫通して延びる、ならびに
前記通路を、前記第1のコンタクトとの電気接続部を形成する相互接続部で少なくとも部分的に充填すること
を含む、方法。
【請求項9】
前記アブレーションを環状スクライブリングの形状に行い、それによって前記導電アイランドを前記第1の導電層から離隔し、電気的に分離することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記環状スクライブリングが、焦点レンズと回折アキシコンとを使用して生成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記通路形成ステップの後で前記導電アイランドの一部が残るように前記通路を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記導電アイランド全体が前記通路形成ステップによって除去されるように前記通路を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記成形領域を部分的に充填するように前記誘電体層を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記誘電体層に隣接する第2の導電層を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の導電層が前記相互接続部の少なくとも一部を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
光起電デバイスを形成する方法であって、
透明層と、透明導電酸化物層と、半導体スタックと、第1の導電層とを含む積層デバイスを設けること、
前記半導体スタックまで下方に前記第1の導電層のP2.0レーザーアブレーションを行い、環状スクライブリングを使用してP2.0スクライブを生成して、前記第1の導電層において導電アイランドを画定すること、
前記P2.0スクライブに誘電材料を少なくとも部分的に充填することによって、前記積層デバイスに誘電体層を付加すること、ならびに
前記誘電体層と前記アイランドと前記半導体スタックとのP2.1レーザーアブレーションを行い、前記P2.0スクライブ内にP2.1スクライブを生成すること
を含む、方法。
【請求項17】
前記P2.1スクライブを生成するための位置合わせ基準として前記P2.0スクライブの前記リング形状を使用することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記環状スクライブリングが焦点レンズと回折アキシコンとを使用して生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記P2.1レーザーアブレーションの後に前記積層デバイスに第2の導電層を付加するステップをさらに含み、前記第2の導電層が、透明導電酸化物層への電気接続部を形成する相互接続材料で前記P2.1スクライブを少なくとも部分的に充填する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
導電相互接続部を形成する方法であって、
第1のコンタクトの上に半導体スタックを形成すること、
前記半導体スタックの上に第1の導電層を形成すること、
前記半導体スタックから前記第1の導電層の成形領域を除去すること、ここで導電アイランドが前記第1の導電層から形成され、かつ前記成形領域によって境界が定められる、
前記第1の導電層の前記アイランドを通る通路を形成すること、前記通路が前記第1の導電層の前記導電アイランドと前記半導体スタックとを貫通して延びる、ならびに
前記通路を、前記第1のコンタクトとの電気接続部を形成する相互接続部で少なくとも部分的に充填すること
を含む、方法。
【請求項21】
前記成形領域が環状スクライブリングを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記除去する工程の後で、前記第1の導電層の上に誘電体層を形成することをさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記誘電体層が、前記成形領域を少なくとも部分的に充填するように形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記誘電体層の上に第2の導電層を形成することをさらに含む、請求項22または23に記載の光起電デバイス。
【請求項25】
環状スクライブリングの形状の前記成形領域を除去し、それによって前記第1の導電層から前記導電アイランドを離隔し、かつ電気的に分離することをさらに含む、請求項20および22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記環状スクライブリングが焦点レンズと回折アキシコンとを使用して生成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記導電アイランドの一部が前記通路を形成した後に残るように前記通路を形成することをさらに含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記通路を形成することにより前記導電アイランド全体が除去されるように、前記通路を形成することをさらに含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記成形領域を部分的に充填するように前記誘電体層を形成することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記誘電体層に隣接する第2の導電層を形成することをさらに含む、請求項22または29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の導電層が前記相互接続部の少なくとも一部を形成する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項20から31で定義されている方法のうちのいずれか1つの方法により形成された光起電デバイス。
【請求項33】
基板上の、少なくとも1つの導電層と前記導電層上の少なくとも1つの誘電体層とを含む複数の層、
前記誘電体層上の正則閉形状アイランド、ならびに
横方向に実質的に前記アイランド内に配置され、前記アイランドと前記誘電体層とを実質的に垂直方向に通って前記導電層まで配置された円柱状相互接続部とを含む、デバイス。
【請求項34】
前記アイランドが円柱状であり、前記円柱状アイランドの垂直方向の長さが前記円柱状相互接続部の垂直方向の長さより短い、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記アイランドが前記通路を形成する工程のための位置合わせ基準として使用される、請求項9または21に記載の方法。
【請求項36】
前記アイランドが環状リングの形状である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記位置合わせ基準が2.4mの面積にわたって±20μmの位置合わせ精度を生じさせる、請求項17または35に記載の方法。
【請求項38】
前記焦点レンズと前記回折アキシコンとの間の距離が約1mm~200mmである、請求項10、18または26に記載の方法。
【請求項39】
前記焦点レンズと前記回折アキシコンとが5mm~100mmの範囲の被写界深度を生じさせる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記焦点レンズと前記回折アキシコンとがプラスマイナス900μmの範囲の被写界深度を生じさせる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上に配置された少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの誘電体層とを有する基板、ここで前記導電層と前記誘電体層のうちの一方が中間層を形成するように前記基板の上にあり、前記導電層と前記誘電体層のうちの他方が上部層を形成するように前記中間層の上にある、ならびに
前記上部層上の位置決め基準アイランド、ここで前記アイランドは正則閉形状を有する
を含む、デバイス。
【請求項42】
前記アイランドが、円と楕円と矩形と正方形と多角形とからなる群から選択される形状を有する、請求項3、9、16または21に記載の方法。
【請求項43】
前記アイランドが、円と楕円と矩形と正方形と多角形とからなる群から選択される形状を有する、請求項1、33または41に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書は、一般には、導電層相互接続部を備えた光起電デバイスに関し、より具体的には、光起電デバイスの隣接セル間に電気接続部を形成するための導電層相互接続部を有する光起電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光起電デバイスは、光起電効果を示す半導体材料を使用して光を電気に変換することによって電力を発生する。光起電デバイスは、層の特定の領域の選択的除去によって複数の光起電セルに分割された、いくつかの層を含む。各光起電セルは、太陽光を電力に変換し、1つまたは複数の隣接セルに電気的に接続可能である。このような電気接続部は、除去された領域に導電材料を充填することによって形成することができる。除去された領域と導電材料との寸法は、光起電デバイスの性能と製造容易性とに影響を与え得る。
【0003】
[0003]層の特定の領域の選択的除去は、レーザースクライビングと呼ばれる場合があるレーザーアブレーションプロセスを使用して行うことができる。光起電デバイス基板の上に配置されるスクライブの精度と再現性を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一部の実施形態によると、第1のコンタクトの上の半導体スタックと、半導体スタックの上の第1の導電層に形成された導電アイランドと、導電アイランドを貫通して形成された相互接続部とを有する光起電デバイスであって、導電アイランドと相互接続部とが導電アイランドにおいて第1の導電層から分離され、相互接続部が第1のコンタクトとの電気接続部を形成する、光起電デバイスが提供される。
【0005】
[0005]一部の実施形態によると、少なくとも1つの導電層とその導電層上の少なくとも1つの誘電体層とを含む基板上の複数の層と、誘電体層上の正則閉形状のアイランドと、横方向に実質的にアイランド内に配置され、アイランドと誘電体層とを通って導電層まで実質的に垂直に配置された円柱形状の相互接続部とを有する導電デバイスが提供される。一部の実施形態によると、円形導電アイランドが円柱状であり、円柱状導電アイランドの垂直方向の長さが円柱状相互接続部の垂直方向の長さよりも短い。
【0006】
[0006]一部の実施形態によると、導電相互接続部を形成する方法が提供される。方法は、第1のコンタクトの上に半導体スタック176(図2および図5)を形成することを含む。半導体スタック176の上に第1の導電層180(M1)が形成される。第1の導電層180(M1)の成形領域が半導体スタック176からアブレーションされ、導電アイランド240(図6)が第1の導電層180(M1)から形成され、成形領域(たとえば、それぞれ図10および図11の環状スクライブリング800、900によって作られる形状)によって境界が定められる。第1の導電層180(M1)の上に誘電体層210(図7)が形成され、誘電体層は成形領域を少なくとも部分的に充填する。第1の導電層180(M1)の環状導電アイランド240を貫通して通路(P2.1スクライブ234、図8)が形成され、導電アイランドの残存部分242を残す(図8)。通路は、誘電体層210と、導電アイランドの残存部分242と、半導体スタック176とを貫通して延びる。通路は、第1のコンタクト(TCO層140)との電気接続部を形成する相互接続部で少なくとも部分的に充填される。
【0007】
[0007]本明細書で示される実施形態によると、光起電デバイスが、第1の電気コンタクトの上に形成された半導体スタックを含む。半導体スタックの上に第1の導電層が形成される。半導体スタックの上の第1の導電層に導電アイランドが形成される。導電アイランドを貫通して相互接続部が形成され、導電アイランドと相互接続部とが導電アイランドにおいて第1の導電層から分離される。相互接続部は第1のコンタクトとの電気接続部を形成する。一部の実施形態によると、導電アイランドは環状スクライブを使用して生成される。
【0008】
[0008]さらなる1組の実施形態によると、導電アイランドの一部がアブレーションされ、アイランドの残存部分が残される。アイランドの残存部分を貫通して相互接続部が形成され、アイランドの残存部分と相互接続部とがアイランドの残存部分において第1の導電層から分離される。相互接続部は、第1のコンタクトとの電気接続部を形成する。
【0009】
[0009]一部の実施形態によると、光起電デバイスを形成する方法が提供される。透明層と、透明導電酸化物層と、半導体スタックと、第1の導電層とを含む積層デバイスが提供される。第1の導電層において導電アイランドを画定するために環状スクライブリングを使用してP2.0スクライブを生成するように、第1の導電層上で半導体スタックまで下方にP2.0レーザーアブレーションが行われる。P2.0スクライブに誘電材料を少なくとも部分的に充填することによって、積層デバイスに誘電体層が付加される。P2.0スクライブ内にP2.1スクライブを生成するために、誘電体層とアイランドと半導体スタックの上でP2.1レーザーアブレーションが行われる。一部の実施形態によると、上に配置された少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの誘電体層とを有する基板を有し、導電層と誘電体層とのうちの一方が中間層を形成するように基板の上にあり、導電層と誘電体層のうちの他方が上部層を形成するように中間層の上にあり、上部層上に位置合わせ基準アイランドがあり、位置合わせ基準が正則閉形状を有する、デバイスが提供される。一部の実施形態では、アイランドは、円形、楕円形、矩形、正方形および多角形からなる群から選択される形状を有する。
【0010】
[0010]本明細書に示す実施形態は、導電層相互接続部を備えた光起電デバイスに関する。本明細書に記載の実施形態によって提供される上記および追加の特徴は、以下の詳細な説明を図面と併せて検討すればより完全にわかるであろう。
【0011】
[0011]図面に記載されている実施形態は、説明的で例示的な性質のものであり、特許請求の範囲によって定義されている主題を限定することは意図されていない。例示の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読めば理解することができ、図面中では同様の構造体は同様の参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による光起電デバイスを概略的に示す図である。
図2】[0013]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、図1の光起電デバイスの2-2に沿った断面図を概略的に示す図である。
図3】[0014]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による基板を概略的に示す図である。
図4】[0015]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、位置合わせ方法を使用して光起電デバイスに導電層相互接続部を作製するプロセスを示すフローチャートである。
図5】[0016]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、第1の導電層と複数のP1スクライブとを有する積層デバイスの断面図を概略的に示す図である。
図6】[0017]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、環状スクライブリングを使用してP2.0スクライブを生成するためにP2.0レーザーアブレーションプロセスが行われた後の、図5の積層デバイスを概略的に示す図である。
図7】[0018]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、P1スクライブとP2.0スクライブとを充填するために誘電体層が付加された後の、図6の積層デバイスを概略的に示す図である。
図8】[0019]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、P2.1スクライブを生成するためにP2.1レーザーアブレーションプロセスが行われた後の、図7の積層デバイスを概略的に示す図である。
図9】[0020]本明細書で示され、説明されている1つまたは複数の実施形態による、スタックに第2の導電(M2)層を付加した後の、図9の積層デバイスを概略的に示す図である。
図10】[0021]焦点レンズと回折アキシコンとの間の第1の距離を使用してP2.0レーザーアブレーションスクライブを生成するための環状スクライブリングの一実施形態を示す図である。
図11】[0022]第1の距離より長い焦点レンズと回折アキシコンとの間の第2の距離を使用してP2.0レーザーアブレーションスクライブを生成するための環状スクライブリングの別の実施形態を示す図である。
図12】[0023]図6の線12-12から切り取られた平面図であり、導電層M1内の環状スクライブとしてのP2.0を概略的に示す図である。
図13】[0024]図12に類似しているが、導電層M1内の正方形スクライブとしてのP2.0を概略的に示す図である。
図14】[0025]図12に類似しているが、第1の環状スクライブP2.0の内径が第2のスクライブP2.1の外径よりも小さく、したがって、スクライブP2.0によって形成された導電アイランド全体を実質的にアブレーションする一実施形態を示す図である。
図15】[0026]図12に類似した図であり、P2.0スクライブ内のP2.1アブレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0027]本特許ファイルまたは出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面および/または1つまたは複数の写真を含む。カラー図面付きの本特許公開または特許出願公開のコピーは、要求および必要料金の支払いに応じて米国特許商標庁により提供される。
【0014】
[0028]本明細書では、位置合わせプロセスを使用して光起電デバイスの導電層相互接続部を作製するための実施形態が提示される。光起電デバイスは、層の特定の領域の選択的除去によって複数の光起電セルに分割された、いくつかの層を含む。各光起電セルは、太陽光を電力に変換し、1つまたは複数の隣接セルに電気的に接続可能である。このような電気接続部は、除去された領域に導電材料を充填することによって形成することができる。除去された領域の寸法は、導電材料の寸法を直接制御する。したがって、除去された領域の寸法は、光起電デバイスの性能と製造容易性とに影響を与え得る。層の特定の領域の選択的除去は、レーザースクライビングと呼ばれる場合があるレーザーアブレーションプロセスを使用して行うことができる。
【0015】
[0029]次に図1を参照すると、光起電デバイス100の一実施形態が概略的に図示されている。光起電デバイス100は、光を受光し、光を電気信号に変換するように構成可能であり、たとえば、光から光子が吸収され、光起電効果によって電気信号に変換可能である。したがって、光起電デバイス100は、たとえば太陽などの光源にさらされるように構成された第1の面102を画定することができる。光起電デバイス100は、たとえば複数の金属層によってなど、第1の側102から隔てられた反対側104も画定する。「光」という用語は、電磁スペクトルの紫外線(UV)、赤外線(IR)、および可視部分における波長などであるがこれらには限定されない、電磁スペクトルの様々な波長を指し得ることに留意されたい。本明細書で使用されている「太陽光」とは、太陽によって放出される光を指す。
【0016】
[0030]光起電デバイス100は、第1の側102と反対側104との間に配置された複数の層を含むことができる。本明細書で使用される「層」という用語は、表面上に設けられた材料の厚みを指す。各層は、表面の全部またはいずれかの部分を覆うことができる。実施形態によっては、光起電デバイス100の層は光起電セル200の配列に分割可能である。たとえば、光起電デバイス100は、複数の直列スクライブ202と複数の並列スクライブ204とに従ってスクライブすることができる。直列スクライブ202は、光起電デバイス100の長さYに沿って延び、光起電デバイス100の長さYに沿って光起電セル200の境界を定めることができる。
【0017】
[0031]直列スクライブ202は、光起電セル200の隣接セルを光起電デバイス100の幅Xに沿って直列に接続するように構成可能である。直列スクライブ202は隣接セル、すなわち直列スクライブ202の両側のセルのモノリシック相互接続部を形成することができる。動作時、直列スクライブ202によって直列に接続された光起電セル200を主として幅Xに沿って電流205が流れることができる。動作時、並列スクライブ204が光起電デバイス100の長さYに沿って電流205が流れる能力を制限することができる。並列スクライブ204は任意であり、直列に接続された光起電セル200を長さYに沿って配置されたグループ206に分割するように構成可能である。したがって、直列スクライブ202と並列スクライブ204は、光起電セル200の配列の境界を定めることができる。
【0018】
[0032]図1をさらに参照すると、並列スクライブ204は、直列に接続されている光起電セル200のグループ206を電気的に分離することができる。実施形態によっては、光起電セル200の直列接続されたグループ206を、たとえば電気バス配線を介してなど、互いに並列に接続することができる。任意に、並列スクライブ204の数は、光起電セル200の各グループ206によって発生される最大電流を制限するように構成可能である。実施形態によっては、各グループ206によって発生される最大電流は、約200ミリアンペア(mA)以下であってもよい。
【0019】
[0033]図2を参照すると、光起電デバイス100の層は、光起電デバイス100中への光の透過を容易にするように構成された基板110を含むことができる。基板110は、光起電デバイス100の第1の側102に配置可能である。基板110は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面112と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面114とを有することができる。基板110の第1の面112と第2の面114との間に材料の1つまたは複数の層を配置することができる。
【0020】
[0034]図3を参照すると、基板110は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面122と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面124とを含む透明層120を含むことができる。実施形態によっては、透明層120の第2の面124は、基板110の第2の面114を形成することができる。透明層120は、たとえばガラスなどの実質的に透明な材料からなってもよい。適切なガラスは、ソーダ石灰ガラス、または鉄含量が低減したいずれかのガラスを含み得る。透明層120は、ある実施形態で約250nm~約1,300nm、または他の実施形態で約250nm~約950nmを含む、いずれの適切な透過率でも有することができる。透明層120は、たとえば約50%~90%の間の透過率またはそれ以上の透過率を含む、いずれかの適切な透過百分率を有することができる。任意に、基板110は、透明層120の第1の面122に塗布されたコーティング126を含むことができる。コーティング126は、反射防止コーティング、汚れ防止コーティングまたはこれらの組合せなどであるがこれらには限定されない、光と相互作用するかまたは基板110の耐久性を向上させるように構成可能である。
【0021】
[0035]図2を再び参照すると、光起電デバイス100は、劣化または層間剥離を生じさせる可能性がある、基板110からの汚染物質(たとえばナトリウム)の拡散を軽減するように構成されたバリア層130を含むことができる。バリア層130は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面132と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面134とを有することができる。実施形態によっては、バリア層130は基板110に隣接して設けることができる。たとえば、バリア層130の第1の面132は基板100の第2の面114上に設けることができる。本明細書で使用されている「~に隣接して」という語句は、2つの層が連続して、層の少なくとも一部の間にいかなる介在材料もなく配置されていることを意味し、「~の上に」は、隣接するかまたは何らかの介在層を有することを含み得る、2つの層が互いに固定した関係を有することを意味する。
【0022】
[0036]一般に、バリア層130は実質的に透明であり、熱的に安定であり、ピンホール数が少なく、ナトリウムブロッキング能力が高く、および/または優れた接着特性を有することができる。これに代えて、またはこれに加えて、バリア層130は、光に色抑制を加えるように構成可能である。バリア層130は、酸化スズ、二酸化シリコン、アルミニウムドープ酸化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化アルミニウムを含むがこれらには限定されない適切な材料の1つまたは複数の層を含むことができる。バリア層130は、たとえば一実施形態では約100Å超、別の実施形態では約150Å超、またはさらなる実施形態では約200Å未満の、第1の面132と第2の面134とによって境界されたいずれの適切な厚さでも有することができる。
【0023】
[0037]図2をさらに参照すると、光起電デバイス100は、光起電デバイス100の吸収層によって発生された電荷キャリアを移送するための電気コンタクトを提供するように構成された透明導電酸化物(TCO)層140を含むことができる。TCO層140は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面142と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面144とを有することができる。実施形態によっては、TCO層140は、バリア層130に隣接して設けることができる。たとえば、TCO層140の第1の面142はバリア層130の第2の面134上に設けることができる。一般に、TCO層140は、実質的に透明で、広いバンドギャップを有するn型半導体材料の1つまたは複数の層から形成可能である。具体的には、広いバンドギャップは、光の光子のエネルギーよりも大きいエネルギー値を有することができ、これは光の望ましくない吸収を軽減することができる。TCO層140は、二酸化スズ、ドープ二酸化スズ(たとえばF-SnO)、インジウムスズ酸化物、ドープまたは非ドープ酸化亜鉛、またはスズ酸カドミウムを含むがこれらには限定されない適切な材料の1つまたは複数の層を含むことができる。
【0024】
[0038]光起電デバイス100は、TCO層140といずれの隣接半導体層との間に絶縁層を設けるように構成された緩衝層150を含むことができる。緩衝層150は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面152と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面154とを有することができる。実施形態によっては、緩衝層150はTCO層140に隣接して設けることができる。たとえば、緩衝層150の第1の面152は、TCO層140の第2の面144上に設けることができる。緩衝層140は、真性酸化スズ、亜鉛マグネシウム酸化物(たとえばZn1-xMgO)、二酸化スズ(SnO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、亜鉛スズ酸化物、酸化亜鉛、スズシリコン酸化物、またはこれらのいずれかの組合せを含むがこれらには限定されない、TCO層140よりも高い抵抗を有する材料を含んでもよい。実施形態によっては、緩衝層140の材料は、隣接半導体層(たとえば吸収層)のバンドギャップと実質的に合致するように構成可能である。緩衝層150は、たとえば一実施形態では約100Å超、別の実施形態では約100Åと約800Åの間、またはさらなる実施形態では約150Åと約600Åの間を含む、第1の面152と第2の面154との間のいずれかの適切な厚さを有し得る。
【0025】
[0039]図2をさらに参照すると、光起電デバイス100は、別の層と協働し、光起電デバイス100内でp-n接合を形成するように構成された吸収層160を含むことができる。したがって、光の吸収された光子が、吸収層160において電子正孔対を解放することができ、電力を発生させることができるキャリアフローを生じさせることができる。吸収層160は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面162と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面164とを有することができる。第1の面162と第2の面164との間に吸収層の厚さを画定することができる。吸収層160の厚さは、約0.5μmから約10μmの間、たとえば一実施形態では約1μmから約7μmの間、または別の実施形態では約1.5μmから約4μmの間であってもよい。
【0026】
[0040]本明細書に記載の実施形態によると、吸収層160は、過剰正電荷キャリアすなわち空孔またはアクセプタを有するp型半導体材料からなってもよい。吸収層160は、II-VI族半導体などのいずれかの適切なp型半導体材料の1つまたは複数の層を含むことができる。具体的な例には、カドミウム、テルル、セレン、またはこれらのいずれかの組合せを含む半導体材料が含まれるが、これらには限定されない。適切な例には、カドミウムとテルルの二元化合物、カドミウムとセレンとテルルの三元化合物(たとえばCdSeTe1-x)、カドミウムと亜鉛とテルルの三元化合物(たとえばCdZnTe1-x)、カドミウムとセレンとテルルと1つまたは複数の追加の元素とを含む化合物、またはカドミウムと亜鉛とテルルと1つまたは複数の追加の元素とを含む化合物が含まれるが、これらには限定されない。あるいは、吸収層160は、ハロゲン化鉛およびその他のハロゲン化金属ペロブスカイト化合物ABXを含んでもよく、ここでAとBはカチオンであり、Xはハロゲンアニオンである。実施例では、Aサイトは1つまたは複数の有機カチオンまたは無機カチオンによって占められ、Bサイトは鉛(Pb)またはスズ(Sb)などの1つまたは複数の金属によって占められてもよい。
【0027】
[0041]吸収層160がテルルとカドミウムとを含む実施例では、テルルの原子百分率は、約25原子パーセント以上、約50原子パーセント以下であってもよい。吸収層160がセレンとテルルとを含む実施形態では、吸収層160中のセレンの原子百分率は約0原子パーセント超、約25原子パーセント以下であってもよい。上記の実施例では、テルルとカドミウムとセレンのそれぞれの濃度は、吸収層160の厚さを通して異なり得る。たとえば、吸収層160が、モル分率xのセレンとモル分率1-xのテルルを含む化合物(SeTe1-x)を含む場合、xは吸収層160中で吸収層160の第1の面162からの距離とともに変化し得る。
【0028】
[0042]図2を参照すると、吸収層160は、電荷キャリア濃度を操作するように構成されたドーパントでドープすることができる。実施形態によっては、吸収層160は、たとえば銅、ヒ素、リン、アンチモンまたはこれらの組合せなど、I族またはV族ドーパントでドープすることができる。吸収層160内のドーパントの総密度は制御可能である。これに代えて、またはこれに加えて、ドーパントの量は吸収層160の第1の面162からの距離とともに変化し得る。
【0029】
[0043]本明細書で示されている実施形態によると、過剰負電荷キャリア、すなわち電子またはドナーを有する光起電デバイス100の部分に十分に近接して吸収層160を設けることによって、p-n接合を形成することができる。実施形態によっては、吸収層160はn型半導体材料に隣接して設けることができる。あるいは、吸収層160とn型半導体材料との間に1つまたは複数の介在層を設けることができる。実施形態によっては、吸収層160は緩衝層150に隣接して設けることができる。たとえば、吸収層160の第1の面162を緩衝層150の第2の面154上に設けることができる。
【0030】
[0044]光起電デバイス100は、ドーパントの望ましくない変化を軽減するためと、吸収層160から生じた電荷キャリアを移送するように吸収層160への電気接点を設けるために構成されたバックコンタクト層170を含むことができる。バックコンタクト層170は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面172と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面174とを有することができる。第1の面172と第2の面174との間にバックコンタクト層170の厚さを画定することができる。バックコンタクト層170の厚さは、たとえば一実施形態における約10nm~約50nmなど、約5nm~約200nmの間であってもよい。
【0031】
[0045]実施形態によっては、バックコンタクト層170は、吸収層160に隣接して設けることができる。たとえば、バックコンタクト層170の第1の面172を吸収層160の第2の面164上に設けることができる。実施形態によっては、バックコンタクト層170は、たとえば様々な組成で亜鉛、銅、カドミウムおよびテルルを含む1つまたは複数の層など、I族、II族、VI族の材料の二元または三元化合物を含むことができる。他の材料の例には、テルル化銅がドープされたテルル化亜鉛、またはテルル化銅と合金されたテルル化亜鉛が含まれるが、これらには限定されない。説明を簡単にするために、緩衝層150、吸収層160、バックコンタクト層170またはこれらの組合せを含む層のスタックを本明細書では半導体スタック176と呼ぶ場合がある。
【0032】
[0046]光起電デバイス100は、吸収層160および/またはバックコンタクト層170との電気接触を与えるように構成された第1の導電層180を含むことができる。第1の導電層180は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面182と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面184とを有することができる。実施形態によっては、第1の導電層180は、バックコンタクト層170に隣接して設けることができる。たとえば、第1の導電層180の第1の面182をバックコンタクト層170の第2の面174上に設けることができる。第1の導電層180の厚さを第1の面182と第2の面184との間に画定することができる。第1の導電層180の厚さは、たとえば一実施形態では約50nm~約2.5μmまでの間、または別の実施形態では約100nm~約2μmまでの間など、約3μm未満であってもよい。
【0033】
[0047]第1の導電層180は、0.5Ω/sqと10Ω/sqの間のシート抵抗を有する任意の適切な導電材料を含むことができる。適切な例には、金属の1つまたは複数の層、窒素含有金属の1つまたは複数の層、1つまたは複数の導電性酸化物、またはこれらのいずれかの組合せが含まれる。これに代えて、またはこれに加えて、第1の導電層180は、透明であるかまたは特定の波長の光を透過させることができる。実施形態によっては、第1の導電層180は、導電材料の層の組合せを含むことができる。各層は、導電材料の層のスタックが所望の性能特性を有するように構造特性または電気特性に寄与することができる。適切な材料には、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、パラジウム、クロム、モリブデン、金またはこれらの組合せが含まれるが、これらには限定されない。窒素含有金属の適切な例には、窒化アルミニウム、窒化ニッケル、窒化チタン、窒化タングステン、窒化セレン、窒化タンタル、または窒化バナジウムが含まれるが、これらには限定されない。
【0034】
[0048]光起電デバイス100は、光起電デバイス100の1つまたは複数の層を電気的に分離するように構成された誘電体層190を含むことができる。たとえば、セル200内で、誘電体層190は、第1の導電層180を第2の導電層210から電気的に分離することができる。誘電体層190は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面192と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面194とを有することができる。実施形態によっては、誘電体層190は、第1の導電層180に隣接して設けることができる。たとえば、誘電体層190の第1の面192を第1の導電層180の第2の面184上に設けることができる。誘電体層190の厚さを第1の面192と第2の面194との間に画定することができる。誘電体層190の厚さは、たとえば一実施形態では約20μm未満など、約30μm未満であってもよい。一般に、誘電体層190の厚さは、たとえば一実施形態では第1の導電層180の厚さの約25倍など、第1の導電層180の厚さより少なくとも1桁大きい。
【0035】
[0049]誘電体層190は、たとえばフォトレジスト材料または非導電性ポリマーなどの誘電材料を含むことができる。適切な誘電材料の例には、さらに、エポキシ、アクリル、フェノール類、ポリイミドなどが含まれ得る。実施形態によっては、誘電材料は、レーザーアブレーションのための使用に適する光の波長に対する約10%超の透過率を有することができ、すなわち波長範囲は固体レーザー波長に関連付けられ得る。たとえば、波長範囲は約300nmと約1,100nmの間であってもよい。
【0036】
[0050]図2をさらに参照すると、光起電デバイス100は、TCO層140または隣接セル200の第1の導電層180あるいはその両方との電気接触を設けるように構成された第2の導電層210を含むことができる。第2の導電層210は、光起電デバイス100の第1の側102に実質的に対向する第1の面212と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に対向する第2の面214とを有することができる。実施形態によっては、第2の導電層210は、誘電体層190に隣接して設けることができる。たとえば、第2の導電層210の第1の面212を誘電体層190の第2の面194上に設けることができる。第2の導電層210の厚さを第1の面212と第2の面214との間に画定することができる。第2の導電層210の厚さは、約3μm未満、たとえば一実施形態では約50nm~約2.5μmの間、または別の実施形態では約100nm~約2μmの間であってもよい。第2の導電層210は、0.5Ω/sqと10Ω/sqの間のシート抵抗を有するいずれかの適切な導電材料を含むことができる。適切な例には、第1の導電層180に関して上述したような金属の1つまたは複数の層または窒素含有金属の1つまたは複数の層、あるいはその両方が含まれる。これに代えて、またはこれに加えて、第2の導電層190は、透明であるかまたは光の特定の波長を透過させることができる。実施形態によっては、第2の導電層210は、第1の導電層180とは異なる材料組成を有することができる。これに代えて、またはこれに加えて、第1の導電層180または第2の導電層190あるいはその両方が、たとえば酸化物などの非金属材料を含むことができる。
【0037】
[0051]光起電デバイス100は、光起電デバイス100のハウジングを形成するために基板110と協働するように構成されたバックサポート216を含むことができる。バックサポート216は、光起電デバイス100の反対側104に配置することができる。たとえば、バックサポート216は、第2の導電層210の上に形成することができる。バックサポート216は、たとえばガラス(たとえばソーダ石灰ガラス)を含む、いずれかの適切な材料を含むことができる。
【0038】
[0052]図2を参照すると、光起電デバイス100の製造は、一般に、スパッタリング、スプレー、蒸着、分子ビーム堆積、熱分解、閉空間昇華(CSS)、パルスレーザー堆積(PLD)、化学気相堆積(CVD)、電気化学堆積(ECD)、原子層堆積(ALD)、または蒸気輸送堆積(VTD)を含むがこれらには限定されない、1つまたは複数の薄膜堆積プロセスによって層の「スタック」の状態で機能層または層前駆体を順次配置することを含む。実施形態によっては、スループット品質がより高い点で、VTDが好ましい場合がある。
【0039】
[0053]光起電デバイス100の製造は、光起電デバイス100を複数の光起電セル200に分割するために、層のスタックの特定の領域の選択的除去、すなわちスクライビングまたはアブレーションをさらに含むことができる。たとえば、直列スクライブ202は、P1スクライブ222と呼ばれる第1の分離スクライブと、P3スクライブ224と呼ばれる第2の分離スクライブとを含むことができる。P1スクライブ222は、TCO層140が隣接セル200間で電気的に確実に分離されるように形成することができる。具体的には、P1スクライブ222は、光起電デバイス100のTCO層140と緩衝層150と吸収層160とを貫通して形成することができる。P3スクライブ224は、導電層180を個別セル200に分離するように形成可能である。P3スクライブ224は、第2の導電層210を貫通して形成可能である。P1スクライブ222またはP3スクライブ224あるいはその両方に誘電材料を充填することができる。誘電材料は、誘電体層190の材料などであるがこれには限定されない、非導電性材料で形成可能である。
【0040】
[0054]図1図2を併せて参照すると、光起電セル200の層を電気的に接続するために第1の導電層相互接続部226を形成することができる。導電層相互接続部226は、TCO層140を第2の導電層210に電気的に接続するように構成可能である。本明細書に記載のように、実施形態によっては、導電層相互接続部226は、相互接続部226を第1の導電層180から、導電層のこれらのそれぞれの部分間に形成された間隙によって分離するように、後述する位置合わせプロセスを使用して形成することができる。実施形態によっては、相互接続部226は、半導体スタック176の一部または全部を貫通し、半導体スタック176の一部または全部から電気的に分離されるように形成可能である。相互接続部226は、第2の導電層210の材料などであるがこれには限定されない導電材料で形成可能である。
【0041】
[0055]実施形態によっては、光起電セル200は、それぞれが第2の導電層210とTCO層140との間に所望の量の電流が流れることを可能にするように構成された複数の導電層相互接続部226(その一部が図1に概略的に示されている)を含むことができる。たとえば、各セル200内の導電層相互接続部226の数と、導電層接続部226のそれぞれを流れる電流の所望の量とは、直列に接続された光起電セル200のグループ206によって発生される電流205に対応し得る。したがって、導電層相互接続部226の数は、光起電セル200のグループ206によって発生される電流205に応じて増減させることができる。
【0042】
[0056]図1図2を併せて参照すると、光起電セル200の層を電気的に接続するために第2の導電層相互接続部230を形成することができる。導電層接続部230は、第1の導電層180を第2の導電層210に電気的に接続するように構成可能である。具体的には、導電層相互接続部230は、第1の導電層180と第2の導電層210の大部分が誘電体層190によって電気的に分離された状態で、第1の導電層180と第2の導電層210との間に電気接続の選択的な点を形成するように構成可能である。導電層相互接続部230は、0.5Ω/sqと10Ω/sqの間のシート抵抗を有する導電材料で形成可能である。適切な導電材料については第1の導電層180に関連して上述している。実施形態によっては、導電層相互接続部230は、第1の導電層180とは異種の1つまたは複数の材料を含むことができる。たとえば、導電層相互接続部230は、第1の導電層180には存在しない導電材料を含むことができる。
【0043】
[0057]実施形態によっては、光起電セル200は、それぞれが第1の導電層180と第2の導電層210との間に所望の量の電流が流れることを可能にするように構成された、複数の導電層相互接続部230(図1にその一部が概略的に示されている)を含むことができる。たとえば、導電層相互接続部226について上述したように、各セル200内の導電層相互接続部230の数と、導電層相互接続部230のそれぞれを流れる所望電流量とは、直列に接続された光起電セル200のグループ206によって発生される電流205に対応し得る。
【0044】
[0058]図2を参照すると、誘電体層190は第1の導電層180よりも有意に厚くすることができる。誘電体層190と第1の導電層180の平均厚さはセル200レベルで決定可能である。
【0045】
[0059]図4は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、位置合わせプロセスを使用した導電層相互接続部226を作製するプロセスを示すフローチャートである。図4について、図5図9とともに説明する。図5は、第1の導電層と複数のP1スクライブ222とを有する積層デバイスの断面図を概略的に示す。図4のプロセスは、積層デバイス310(図5)が用意されるブロック901から始まる。積層デバイス310は、透明層120と、透明導電酸化物(TCO)層140と、半導体スタック176と、一部の図面ではM1としても示されている第1の導電層180とを含むことができる。第1の導電層180と吸収層160とTCO層140とを貫通して1つまたは複数のP1スクライブ222を形成することができる。
【0046】
[0060]次に、図4のブロック903で、第1の導電層180(M1)を貫通するP2.0スクライブ232を生成するために積層デバイス310(図5)に対してP2.0レーザーアブレーションプロセスが行われる。一般に、P2.0スクライブ232は実質的に管状とみなすことができ、すなわち、第1の導電層180から管状の部分を除去することができる。たとえば、後述するように、環状リング形状を有するP2.0スクライブ232を形成するために、上面から見て環状のスクライブリング800(図10)または900(図11)が使用されてもよい。P2.0スクライブ232の一部の実施形態は本明細書では環状のスクライブリングによって形成されるが、他の形状も企図される。たとえば、P2.0スクライブ232はいずれかの正則閉形状または反復可能形状であってもよく、その一例が図13に正方形スクライブ232aとして示されている。また、P2.0スクライブ232の一部の実施形態は所与の間隙幅G(図6)で形成されるが、(以下で詳述するように)有効なスクライブを生じさせるいずれかの間隙幅が企図される。たとえば、図14のP2.0スクライブ232aを参照されたい。図6に、ブロック903(図4)のP2.0レーザーアブレーションプロセス後の図5の積層デバイス310に相当する積層デバイス320を概略的に図示する。P2.0スクライブ232を生成するために、半導体スタック176まで下方に第1の導電層180(図6)のレーザーアブレーションが行われる。
【0047】
[0061]P2.0スクライブ232は、第1の導電層180(M1)に残る導電アイランド240(図6)を画定するために環状スクライブリング800または900(それぞれ図10または図11)を使用して生成することができる。したがって、導電アイランド240は、第1の導電層180(M1)と同じ材料から形成される。第1の導電層180(M1)の導電アイランド240は、半導体スタック176から離れる方向に突出するいずれかの正則形状または幾何学的形状に形成された突起であってもよい。導電アイランド240は、第1の導電層180(M1)の選択的除去によって形成可能である。一般に、(図6および図12の間隙Gによって画定される)除去される材料の量は、導電アイランド240と第1の導電層180(M1)の残存部分との間に十分な電気的分離を生じさせるような量である。たとえば、間隙Gは、10マイクロメートルから50マイクロメートルの範囲、好ましくは15マイクロメートルから25マイクロメートルであってもよい。
【0048】
[0062]導電アイランド240は、このスクライビング操作後に残り、第1の導電層180(M1)からアブレーションされる材料の量は、P2.0スクライブの外壁233内の第1の導電層180(M1)の全部を完全に除去するのに必要になる量よりも少ないことに留意されたい。言い換えると、ある直径の環状スクライブリング内のアブレーションされる材料の量は、その環状スクライブリングと同じ全径を有する円内からアブレーションされる必要があることになる材料の量よりもはるかに少ない。アブレーションされる材料のこのより少ない量は、アブレーションプロセスに要するレーザーのパルスエネルギーを低減するのに役立つ。たとえば、レーザーの1秒当たりの所要ジュールを軽減することができ、実施形態によっては50%超削減される。ある実施形態によると、所要J/秒は20J/秒から200J/秒の範囲である。他の実施形態によると、所要J/秒は、30J/秒から130J/秒の範囲である。この要素は、レーザーシステムの選択可能な選択肢を増やし、全体的なスループットも向上させる。
【0049】
[0063]図4のプロセスはブロック905に進み、図7に示すような積層デバイス330を作製するために、図6の積層デバイス320に誘電体層が付加される。積層デバイス330(図7)は、P1スクライブ222とP2.0スクライブ232とを充填するために付加された誘電体層210を含む。
【0050】
[0064]次に、ブロック907で、図4のプロセスは、P2.0スクライブのリンク形状をP2.1アブレーションのための位置合わせ基準として使用して、P2.1スクライブを生成するようにP2.1レーザーアブレーションを行う。したがって、以下でさらに詳述するように、位置合わせ基準を必要とするアブレーションシステムのために、P2.0スクライブ232は、アブレーションツール位置合わせシステムが検出し、位置合わせ基準として使用するのに十分な大きさであってもよい。
【0051】
[0065]図12図14に、スクライブ232と、導電アイランド240と、スクライブP2.1の対象領域との幾何形状の3つの異なる実施形態を示す。図はすべて、図6の表面部分12-12から切り取られた第1の導電層180の面184の平面図である。
【0052】
[0066]図12では、スクライブP2.0の結果として、対応する同心の円形導電アイランド240を画定する幅(または間隙)Gを有する環状スクライブ232ができる。導電アイランド240を「円形」と呼んでいるが、実施形態によっては、第1の導電層180と同じ厚さを有するため、円柱状であってもよい。後続のスクライブP2.1の対象となる領域が、円形導電アイランド240より小さい(同心の)網掛け円形領域として示されている。間隙Gは、以下で詳述するように、スクライブ操作のパラメータに応じて調整可能であることを理解されたい。また、スクライブP2.1の対象領域の直径が、円形導電アイランド240の直径の約3分の1であるように示されているが、実際には、P2.1スクライブの直径がP2.0スクライブの直径より小さく、それによって完全に円形導電アイランド240内にある開口が生じる限り、直径の差はどのような差異であってもよい。言い換えると、図12に示すような実施形態では、円形導電アイランド232の外側部分がスクライブP2.1後に残る。これを、図8に導電アイランド240の残存部分242として示す。
【0053】
[0067]図13では、スクライブP2.0の結果、対応する同心の正方形導電アイランド240aを画定する幅(または間隙)Gを有する正方形スクライブ232aができる。後続のスクライブP2.1の対象となる領域が、正方形の導電アイランド240より小さい(同心の)網掛け円形領域として示されている。この場合も、スクライブP2.1の対象領域の幅が正方形導電アイランド240の幅の約3分の1であるように示されているが、実際には、P2.1スクライブの幅がP2.0スクライブの幅よりも狭く、その結果として完全に正方形導電アイランド240内にある開口が生じる限り、この差異は異なっていてもよい。図12に示す実施形態と同様に、図13に示すような実施形態では、スクライブP2.1を行った後に正方形導電アイランド232aの外側部分が残る。
【0054】
[0068]図14は、スクライブP2.0の結果、対応する同心の円形導電アイランド240bを画定する環状スクライブ232bができる点が図12と類似している。しかし、図12および図13に示す実施形態とは異なり、この実施形態では、後続のスクライブP2.1の対象となる領域が、円形導電アイランド240より大きい(同心の)網掛けされた円形領域として示されている。スクライブP2.1の対象領域の直径は円形導電アイランド240bの直径よりわずかに大きいものとして示されているが、実際には、P2.1スクライブの結果として完全に円形導電アイランド240bの外部にある開口ができる限り、直径の差はどのような差異であってもよい。言い換えると、図14に示すような実施形態では、円形導電アイランド232は、スクライブP2.1後に導電アイランド240の(図8に示すものと他の点では同じ断面において)残存部分がないように、スクライブP2.1時に実質的にアブレーションされる。
【0055】
[0069]図8に、図12および図13に示すものなどの実施形態による、P2.1レーザーアブレーションプロセスステップ907(図4)が行われた後の図7の積層デバイス330に相当する積層デバイス340を概略的に示す。図8を参照すると、P2.1レーザーアブレーションは、ガラス120とTCO層140にレーザーを通し(これらの層のアブレーションを生じさせないレーザー周波数で)、次に半導体スタック176と第1の導電層180(M1)と誘電体210内にレーザーを通すことによってガラス側からアブレーションされ、それによってこれらの層をアブレーションし、P2.1スクライブ234を生成する。あるいは、P2.1アブレーションは誘電体側から行われてもよい。
【0056】
[0070]上述のレーザースクライビング操作は、(基本的に、スキャンされる被加工物表面に沿って基準が配置されることになる場所を予測または「推定」する予測ソフトウェアを実行することにより)推定マーカを使用することによって位置合わせ基準の位置を見つける。P2.0スクライブ232のための推定マーカは、推定円C1として示されている。推定円C1が、検出されたスクライブ232と相関づけられると、次に位置合わせシステムは、単一の線d1によって表された1つまたは複数の寸法長さによって推定円C1を参照マークRと相関させることによって、スクライブ234の位置を判定する。次に、参照マークRおよび同様の寸法長さd1を使用してP2.1スクライブの推定円C2を判定することができる。したがって、P2.0スクライブ232のリング形状をアブレーションP2.1のための位置合わせ基準として使用してP2.1スクライブ234が生成される。
【0057】
[0071]図15は、図12に類似しており、P2.0スクライブ内のP2.1アブレーションを示す図である。図15に示すように、スクライブP2.0と内側の導電アイランドとの間にコントラストがあるため、P2.0スクライブのリングまたは閉じた面がP2.1アブレーション後のドーナッツ状リングの容易な検出を可能にする。それに対して、内側導電アイランドがない完全なアブレーションされた円だけがあったとすれば、コントラストは存在しないことになる。
【0058】
[0072]さらに、ある実施形態では、P2.2スクライブ236を生成するために、スクライブが第1の導電層180まで下方に行われる(図8)。図8を参照しながら上述したようにP2.1スクライブがP2.0スクライブを基準にしたのと同様にして、このP2.2スクライブも参照マークRとd1とは異なる寸法長さとを用いてP2.0スクライブを基準にしてもよい。
【0059】
[0073]図4を参照すると、ブロック911で、導電層相互接続部226を形成するように図9に示すような積層デバイス350を作製するために、図8の積層デバイス340に第2の導電層220(M2)が付加される。積層デバイス350(図10)は、P2.0スクライブ232とP2.1スクライブ234と新たなP3スクライブ224(これは、図8を参照しながら上述したようにP2.1スクライブがP2.0スクライブを基準にした方式と同様の方式で、参照マークRと、d1とは異なる寸法長さとを用いて位置づけ可能である)とを含む。図9に示すように、P2.1スクライブ234内に配置された第2の導電層220の一部が、層140までの円柱形状の相互接続部を形成する。第2の導電層220のこの部分は、実質的に円形導電アイランド240(図9では円形導電アイランド240の残存部分242として図示されている)内に配置され、それを通って延び、誘電体層210と半導体スタック176の両方を通ってTCO140まで延びる。したがって、この円柱形状の相互接続部は、横方向に実質的に導電アイランド内に配置され、実質的に垂直方向に導電アイランドと誘電体層220とを通ってTCO140まで配置され、円形導電アイランド240の直径より小さい直径を有する。前述のように、円形導電アイランド240は、導電アイランド240がそこから形成された第1の導電層180の厚さに起因して形状が円柱状となり得る。このような実施形態では、円柱状導電アイランド240の長さは円柱状相互接続部の長さより短い。
【0060】
[0074]一部の実施形態によると、P2.0アブレーションの形状は、環状(リング状)ビームである。ビームの断面は、第1の同心円リングと第2の同心円リングとの間の領域として画定され、第1の同心円リングは第2の同心円リングより大きい直径を有し、第1の同心円リングと第2の同心円リングはそれぞれ実質的に円形の形状である。図10は、焦点レンズと回折アキシコン(DA)との間の第1の距離を使用して生成された環状スクライブリング800の図である。同様に、図11は、焦点レンズとDAとの間の第2の距離を使用して生成された環状スクライブリング900の図であり、第2の距離は第1の距離よりも長い。
【0061】
[0075]回折アキシコンは、尖った先端を有する第1のアキシコンレンズと、尖った先端を有する第2のアキシコンレンズと、入射ビームを焦点面で集束させる集束レンズとを含む。「尖った先端」とは、丸みのあるレンズ中央とは異なり、レンズの中央において鋭角を形成する放射レンズ面を指す。放射レンズ面の固有角度は(たとえば、レンズサイズ、組成、放射面の数、および研磨に応じて)異なり、本明細書に記載の結像が生成されるいずれかの角度であってもよい。別の実施形態では、2枚のアキシコンレンズの代わりに、単一のバイナリ回折アキシコンレンズが使用されてもよい。さらに別の実施形態では、単一のアキシコンレンズが使用されてもよい。DAは、ベッセルプロファイルを生成するために使用され、ベッセルプロファイルは焦点面においてリングとなる。一般に、DAは鏡筒内に収まり、保持リングを用いて自動位置合わせが容易である。代替実施形態では、DA位置合わせは保持リングの使用を必要としない。ビームはリングに集束し、すなわち、ビームが環状プロファイルを有する場合に最高フルエンスが生じる。
【0062】
[0076]焦点において環状(リング状)ビームプロファイルを形成するレーザー光学部品の使用により、ガウスレーザービームをデフォーカスしようと試みるときに生じる問題の多くを克服または回避することができる。それぞれ図10および図11の環状スクライブリング800、900は、通常の平凸焦点レンズとともに回折型の適切なアキシコン(軸対称円錐形)光学部品を使用して生成されてもよい。
【0063】
[0077]環状スクライブリング800(図10)は、外径802と内径804を有する。同様に、環状スクライブリング900(図11)は、外径902と内径904を有する。環状スクライブリング800、900のそれぞれ内径および外径804、904および802、902は、焦点レンズの後にDAを配置し、次に焦点レンズからのDAの距離Lを変化させることによって調整可能である。内径および外径804、904および802、902は、DAと焦点レンズとの間の距離が大きくなるにつれて実質的に直線的に小さくなる。環状スクライブリング800、900の厚さは、外径(802または902)の2分の1と内径(804または904)の2分の1との差と定義することができ、外径の2分の1は外半径を含み、内径の2分の1は内半径を含む。各スクライブの厚さは、入射ビーム径を変化させることによって調整可能である。入射ビームが大きいほど薄いリングが生じ、その逆も同様である。実施形態によっては、外径802、902は110μm以上である。他の実施形態では、外径802、902は100μmから250μmの間である。
【0064】
[0078]予想外なことに、本発明人らは環状スクライブリング800、900の厚さは、焦点レンズからのDAの距離Lの関数として変化することも発見した。Lが増大するにつれて、リング全径が小さくなるが、リング厚さは増大する。1組の実施例によると、Lが8mmの場合、リング厚さは約17mmである。この環状リングを図15に示す。Lが35mmに増大すると、リング厚さは約20mmになる。図11に示すように、Lを62mmに設定すると、リング厚さ(902~904間)は約26mmであり、40μJのパルスエネルギーで28nsの期間だけアブレーションする場合、リング径は約150umである。次に、図10に示すように、Lを86mmに増大させると、リング厚さ(802-804間)は35mmに増大し、45μJのパルスエネルギーで28nsの期間だけアブレーションした場合、リング径は約100umである。リング厚さとLとの関係は、コリメーションおよび/または位置合わせによっても影響され得る。また、ビームは、ガウスの外縁がより多くのフルエンスを有するように、より小さい面積に集束させることができる。
【0065】
[0079]環状スクライブリング800、900(図10および図11)を画定する2つの同心リングのそれぞれは、実質的に環状の形状とされ、それによって環状のビームプロファイルを生じさせる。実施形態によっては、環状ビームプロファイルは、完全または完全に近い円であってもよい。他の実施形態では、環状ビームプロファイルは、同心楕円、同心矩形、同心正方形、または同心多角形の形状であってもよい。実施形態によっては、環状ビームプロファイルの周縁厚さは、積層デバイスの表面との交差点において、10μmから50μmの間である。実施形態によっては、周縁厚さは、積層デバイス350(図9)との交差点において、環状ビームプロファイルの外径または外側最大幅の10%~30%である。
【0066】
[0080]それぞれ図10および図11の環状スクライブリング800、900を生成するために使用されるパルスエネルギーは、総アブレーション面積が円形領域の全径のアブレーションに対して相対的により小さい(この応用例では、環状形状に起因して>50%減少)ため、「全円」のアブレーション(すなわち、導電アイランドがない)から有意に低下させられる。一実施例によると、デフォーカスガウスビームを使用して約150μmのP2.0円形アブレーションを形成するために、約150μJのパルスエネルギーが使用される。他の実施例では、同じレーザーを使用するが、円の代わりに環状リングを形成するために回折アキシコン(DA)を組み込んで、約30μJから40μJ、または最大約50μJが使用される。他の実施例によると、500Hzから3000Hzのパルス繰り返し数で、5mmから10mmの焦点レンズからのDAの距離Lで、約80μJから130μJが使用される。
【0067】
[0081](図10および図11に示すものを含む)他の実施例によると、焦点レンズからのDAの距離Lは、1mmから20mmの範囲、または5mmから100mmの範囲、または8mmから50mmの範囲の値に設定することができる。実施形態によっては、被写界深度(DoF)はプラスマイナス900μmの範囲である。他の実施形態では、DoFはプラスマイナス600μmの範囲である。さらに他の実施形態では、DoFはプラスマイナス400μmの範囲である。
【0068】
[0082]生成されたレーザービームが環状スクライブリング800、900(それぞれ図10および図11)の形状のアブレーションを生じさせるか、または正則(すなわち完全または完全に近い)閉形状(円など)のP2.0アブレーションを生じさせる実施形態では、この機構は、環状スクライブリングの中心を見つけるコンピュータパターン認識ソフトウェアの能力を大幅に向上させる。同様の手法を、楕円、矩形、正方形または多角形など他の正則閉形状アブレーションの形状のビームにも採用することができる。パターン認識ソフトウェアを使用することができることは、参照される形状が実質的に厳密で容易に画定される中心を有するため、P2.1アブレーションの配置の±20umの精度要件を満たすのを容易で信頼性のあるものにすることができる。しかし、他の実施形態では、環状ビームパターンは、P2.1アブレーションを行うことに加えてまたはその代わりとして、いずれかの他の機構の位置合わせのための基準として使用することができる。
【0069】
[0083]図10および図11にそれぞれ示すような環状スクライブリング800、900の使用により、デバイス基板の上に配置されるスクライブの精度と再現性が向上する。より具体的には、完全な(または完全に近い)円形P2.0アブレーションを生成する能力は、ビームが厳密な中心を備えた形状を有するため、2.4mの面積にわたって±20μmの精度内でレーザービームを基板上の同じ領域に2回照射するのを容易にする。別の実施形態によると、精度は2.4mの面積にわたって±50μmの範囲内である。さらに別の実施形態によると、精度は1.0mの面積にわたって±20μmの範囲内である。さらに別の実施形態によると、精度は5.0mの面積にわたって±20μmの範囲内である。実施形態によっては、このプロセスはP2.0アブレーションを行うことから開始する。図8を参照しながら前述したように、P2.1アブレーションが行われる前に、たとえばパターン認識を使用して、P2.0アブレーションの中心の位置が参照される。この位置情報は、P2.1アブレーションを完全にP2.0アブレーションの境界内に正確に配置するために使用される。また、所要パルスエネルギーの大幅な減少は、より高いレーザー繰り返し数の使用を可能にすることによって、P2.0アブレーションに要する処理時間を向上させることができる。たとえば、所要パルスエネルギーは50%以上減少し得る。
【0070】
[0084]実施形態によっては、光起電モジュールのより広い面積にわたってP2.0-P2.1間位置合わせをよりよく最適化する環状スクライブリング800、900(図10および図11)の使用により、相互接続部電流収集効率が向上し、その結果としてモジュールワット数がより高くなる。この手法は、さらに、通常であればスケールアップのために必要なスクライブ位置合わせ許容差に起因して制限されることになる光起電セルの製造技術および精密工学技術の実現への道を開く。実施形態によっては、環状スクライブリングを使用する手法は、いずれかの薄膜デバイスまたはプリント回路板(PCB)製造プロセスに適用可能である。
【0071】
[0085]実施形態によっては、積層デバイス350は光起電デバイスを提供するために使用される。積層デバイス350は、半導体スタック176を含む。半導体スタック176は、TCO層140などの第1の電気コンタクトの上に形成される。半導体スタック176の上に第1の導電層180(M1)が形成される。半導体スタック176の上の第1の導電層180(M1)に導電アイランド240が形成される。導電アイランド240を貫通して相互接続部226が形成され、導電アイランド240と相互接続部とは導電アイランド240において第1の導電層180(M1)から分離される。相互接続部は第1のコンタクト(TCO層140など)との電気接続部を形成する。
【0072】
[0086]さらなる1組の実施形態によると、導電アイランド240の一部がアブレーションされ、導電アイランドの残存部分242を残す。導電アイランドの残存部分242を貫通して相互接続部が形成され、導電アイランドの残存部分242と相互接続部は導電アイランドの残存部分242において第1の導電層180(M1)から分離される。相互接続部は第1のコンタクト(TCO層140など)との電気接続部を形成する。
【0073】
[0087]実施形態によっては、第1のコンタクトの上の半導体スタックと、半導体スタックの上の第1の導電層内に形成された導電アイランドと、導電アイランドを貫通して形成された相互接続部とを有し、導電アイランドと相互接続部とが導電アイランドにおいて第1の導電層から分離され、相互接続部が第1のコンタクトとの電気接続部を形成する、光起電デバイスが提供される。
【0074】
[0088]実施形態によっては、少なくとも1つの導電層と、導電層上の少なくとも1つの誘電体層と、誘電体層上の正則閉形状のアイランドと、横方向に実質的にアイランド内に配置され、アイランドと誘電体層とを実質的に垂直方向に導電層まで貫通して配置された円柱状の相互接続部とを含む、基板上の複数の層を有する導電デバイスが提供される。一部の実施形態によると、正則アイランドは円柱状であり、円柱状導電アイランドの垂直方向の長さは円柱状相互接続部の垂直方向の長さより短い。
【0075】
[0089]一部の実施形態によると、導電相互接続部を形成する方法が提供される。方法は、第1のコンタクトの上に半導体スタック176(図2および図5)を形成することを含む。半導体スタック176の上に第1の導電層180(M1)が形成される。第1の導電層180(M1)の成形領域が半導体スタック176からアブレーションされ、導電アイランド240(図6)が第1の導電層180(M1)から形成され、成形領域(たとえば、それぞれ図10および図11の環状スクライブリング800、900によって作られる形状)によって境界が定められる。第1の導電層180(M1)の上に誘電体層210(図7)が形成され、誘電体層は成形領域を少なくとも部分的に充填する。第1の導電層180(M1)の環状導電アイランド240を貫通して通路(P2.1スクライブ234、図8)が形成され、導電アイランドの残存部分242を残す(図8)。通路は、誘電体層210と、導電アイランドの残存部分242と、半導体スタック176とを貫通して延びる。通路は、第1のコンタクト(TCO層140)との電気接続部を形成する相互接続部で少なくとも部分的に充填される。
【0076】
[0090]本明細書で示される実施形態によると、光起電デバイスが、第1の電気コンタクトの上に形成された半導体スタックを含む。半導体スタックの上に第1の導電層が形成される。半導体スタックの上の第1の導電層に導電アイランドが形成される。導電アイランドを貫通して相互接続部が形成され、導電アイランドと相互接続部とが導電アイランドにおいて第1の導電層から分離される。相互接続部は第1のコンタクトとの電気接続部を形成する。一部の実施形態によると、導電アイランドは環状スクライブを使用して生成される。
【0077】
[0091]さらなる1組の実施形態によると、導電アイランドの一部がアブレーションされ、アイランドの残存部分が残される。アイランドの残存部分を貫通して相互接続部が形成され、アイランドの残存部分と相互接続部とがアイランドの残存部分において第1の導電層から分離される。相互接続部は、第1のコンタクトとの電気接続部を形成する。
【0078】
[0092]一部の実施形態によると、導電相互接続部を形成する方法が提供される。方法は、第1のコンタクトの上に半導体スタック176を形成することを含む。半導体スタックの上に第1の導電層が形成される。半導体スタックから第1の導電層の成形領域がアブレーションされ、導電アイランドが第1の導電層から形成され、成形領域によって境界が定められる(たとえば、成形領域は環状スクライブリングによって生成されてもよい)。第1の導電層の上に誘電体層210が形成され、誘電体層は成形領域を少なくとも部分的に充填する。第1の導電層の導電アイランドを貫通して通路が形成され、アイランドの残存部分を残す。通路は、誘電体層と、導電アイランドの残存部分242と、半導体スタックとを通って延びる。通路は、第1のコンタクトとの電気接続部を形成する相互接続部で少なくとも部分的に充填される。
【0079】
[0093]一部の実施形態によると、光起電デバイスを形成する方法が提供される。透明層と、透明導電酸化物層と、半導体スタックと、第1の導電層とを含む積層デバイスが用意される。第1の導電層において導電アイランドを画定するために環状スクライブリングを使用してP2.0スクライブを生成するように第1の導電層上で半導体スタックまで下方にP2.0レーザーアブレーションが行われる。P2.0スクライブに誘電材料を少なくとも部分的に充填することによって、積層デバイスに誘電体層が付加される。P2.0スクライブ内にP2.1スクライブを生成するために、誘電体層とアイランドと半導体スタックの上でP2.1レーザーアブレーションが行われる。
【0080】
[0094]一部の実施形態によると、その上に配置された少なくとも1つの導電層と少なくとも1つの誘電体層とを有する基板を有し、導電層と誘電体層とのうちの一方が中間層を形成するように基板の上にあり、導電層と誘電体層のうちの他方が上部層を形成するように中間層の上にあり、上部層上に位置合わせ基準アイランドがあり、位置合わせ基準が正則閉形状を有する、デバイスが提供される。一部の実施形態では、アイランドは、円形、楕円形、矩形、正方形および多角形からなる群から選択される形状を有する。
【0081】
[0095]「実質的に」および「約」という用語は、本明細書ではいずれかの定量的比較、値、測定またはその他の表現によって生じ得る固有の不確実性の度合いを表すために使用されている場合があることに留意されたい。これらの用語は、本明細書では、定量的表現が、扱われている主題の基本機能に変化を生じさせずに、記載されている基準から変動し得る度合いを表すためにも使用されている。
【0082】
[0096]本明細書では特定の実施形態について図示し、説明したが、特許請求される主題の思想および範囲から逸脱することなく様々な他の変更および修正が加えられてもよいことを理解されたい。また、本明細書では、特許請求されている主題の様々な態様について説明したが、このような態様は組合せて使用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求されている主題の範囲内のすべてのそのような変更および修正を対象として含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】