(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】IL13Rα2を標的とするDNAコード化二重特異性抗体と癌治療における使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20240229BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240229BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240229BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240229BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240229BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240229BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
A61P35/00
A61P25/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557392
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022020918
(87)【国際公開番号】W WO2022198027
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウィーナー
(72)【発明者】
【氏名】プラティック ボージナガルワラ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
(57)【要約】
本明細書では、IL13Rα2を標的とする二重特異性治療抗体、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物と、及び癌を治療するための使用方法とが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性治療抗体又はその結合断片をコードする核酸分子であって、前記1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性免疫細胞エンゲージャーが、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメインと、少なくとも1つの免疫細胞エンゲージングドメインとを含む、上記核酸分子。
【請求項2】
前記免疫細胞エンゲージングドメインが、T細胞、抗原提示細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージからなる群から選択される細胞を標的とする、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記免疫細胞エンゲージングドメインが、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、及びCD95からなる群から選択される少なくとも1つのT細胞特異的受容体分子を標的とする、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記免疫細胞エンゲージングドメインがCD3を標的とする、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
以下からなる群から選択される1つ又はそれ以上の配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子:
a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列;
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列の少なくとも65%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列の結合断片;
c)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列;そして
d)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも65%を含むアミノ酸配列の結合断片。
【請求項6】
前記結合断片が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6個のCDR配列を含む、請求項5に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記結合断片が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の12個のCDR配列を含む、請求項5に記載の核酸分子。
【請求項8】
以下からなる群から選択される、請求項1に記載の核酸分子:
a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列;
b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、核酸配列の少なくとも65%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片:
c)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列;そして
d)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも65%を含むヌクレオチド配列の断片。
【請求項9】
前記断片が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも6個のCDR配列をコードする、請求項8に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記断片が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の12個のCDR配列をコードする、請求項8に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記ヌクレオチド配列が、IgEリーダー配列をコードする核酸配列に作動可能に連結されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記核酸分子が発現ベクターを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの核酸分子を含む組成物。
【請求項14】
医薬的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
被験体における疾患又は障害を予防又は治療する方法であって、請求項1~12のいずれかに記載の核酸分子又は請求項13~14のいずれかに記載の組成物を前記被験体に投与することを含む上記方法。
【請求項16】
前記疾患が、良性腫瘍、癌、及び癌関連疾患からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、IL13Rα2発現に関連する癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患が神経膠芽腫である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は.2021年3月18日に出願された米国仮特許出願第63/162,685号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性治療抗体(dTAB)及びその機能的断片をインビボで生成するための組換え核酸配列を含む組成物、並びに前記組成物を投与することによって被験体における癌を予防及び/又は治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
多形神経膠芽腫は、最も一般的で進行性の悪性脳腫瘍を代表する高悪性度神経膠腫である(Brown et al., 2018, Molecular Therapy, 26(1):31-44)。GBMの標準治療には、手術とそれに続く放射線療法及び化学療法が含まれる(Stupp et al., 2005, The New England Journal of Medicine. 2005;352:987-96)。これらの治療法は短期的な利益をもたらす(Dolecek et al., 2012, Neuro-Oncology, 14(5):v1-v49)が、GBMは最終的には依然として致死性である。現在の治療法による生存率の中央値は15~16か月である(Beroukhim et al., 2014, Neuro-oncology;16(9):159-1160)。これは、GBM患者に対する治療選択肢の改善に対する、満たされていない緊急の大きなニーズがあることを示している。
【0004】
二重特異性T細胞エンゲージャー(T cell engager)は、2つの異なる抗原に同時に結合し、それぞれの抗原を表示する細胞を互いに近づけることができる2つの単鎖可変断片(scFv)で構成される二重特異性抗体である。通常、BTEの一方のアームは腫瘍関連抗原(TAA)に結合し、もう一方の端はT細胞上のCD3イプシロン鎖に結合する。BTEの両アームの結合によりT細胞の活性化が引き起こされ、これが腫瘍細胞の細胞溶解を引き起こす。CD19を標的とするそのようなBTEの1つは、急性リンパ芽球性白血病の治療に関して2014年にFDAの承認を受けた(Jen et al., 2019, Clinical Cancer Research; 25(2):473-7)。CD3ベースの二重特異性抗体は、臨床上の主要な懸念であるサイトカイン放出症候群(CRS)を引き起こすことがあり、これは、臨床的に大きな懸念事項である(Teachy et al., 2013, Blood, 121(26):5154-7)。二重特異性抗体による治療のさらなる課題としては、製造上の限界やインビボの半減期が短いことによる、数週間にわたる持続点滴の必要性とそれに伴うコストの増加が挙げられる(Zhu et al., 2016, Clinical Pharmacokinetics, 55(10):1271-88)。より長いインビボ発現をもたらす送達方法は、より大きな集団に対するこの技術の利用可能性を大幅に改善できるであろう。
【0005】
既に、発現動態が改善された免疫療法用の合成DNA(synDNA)にコード化されたモノクローナル抗体を使用するアプローチが記載されている(Teachy et al., 2013, Blood, 121(26):5154-7; Zhu et al., 2016, Clinical Pharmacokinetics, 55(10):1271-88; (Perales-Puchalt et al., 2019, Journal of Clinical Investigation Insight, 4(8):e126086))。新しいT細胞リダイレクト療法を開発することは、患者にとって並外れた可能性(簡素化された製造スキームにより、患者の経験が向上する一方、インビボの腫瘍制御が改善される)があるため重要である。これに関して、マウスで発現された、DNAによって送り出されたHer2を標的とする二重特異性抗体は、卵巣癌の動物モデルにおいて影響力のある腫瘍制御を示した(Perales-Puchalt et al., 2019, Journal of Clinical Investigation Insight, 4(8):e126086)。
【0006】
インターロイキン13受容体α2(IL13Rα2)はIL13に対する高親和性受容体であり、おとり受容体として機能していると思われ、シグナル伝達能力を欠く非常に短い細胞内部分をもたらす末端切断を含有する(Tabata et al., 2007, Current Allergy and Asthama Reports, 7(5); Hershey, 2003, The Journal of allergy and clinical immunology, 111(4):677-90)。IL13Rα2が、間葉系遺伝子発現シグネチャー、より進行性の疾患、及び患者の予後不良と関連しているという証拠が増えており、このTAA(腫瘍関連抗原)を標的とすることが腫瘍にとってコストがかかることを示唆している(Brown et al., 2013, Plos One, 8(10))。IL13Rα2は、神経膠腫開始細胞上で発現されるため、GBM腫瘍にとって重要となっている(Brown et al., 2012, Clinical Cancer Research, 18(8):2199-209)。これは、GBM患者の約75%の腫瘍で発現され(Mintz et al., 2002, Neoplasia, 4(5):388-99; Thaci et al., 2014, Neuro-oncology, 16(10):1304-12)、腫瘍組織に対する高い特異性と、他の健康な組織における発現が最小限であることを示しており、GBM療法の魅力的な標的となっている(Debinski et al., 1999, International Journal of Oncology, 15(3):481-6)。IL13Rα2を標的とする放射性標識ペプチドは、GBMの動物モデルにおける生存期間中央値を改善することが示された(Sattiraju et al., 2017, oncotarget, 8(26):42997-3007)。IL13Rα2由来のペプチドに対するワクチン接種は、成人及び小児患者において臨床的に有効である(Iwami et al., 2012, Cytotherapy, 14:733-42; Pollack et al., 2014, Journal of Clinical Oncology, 32(19):2050-8)。最後に、IL13Rα2に対してリダイレクトされたCART細胞は、動物モデルでGBM腫瘍を標的とすることが報告されており、臨床で研究されているが、これまでのところ結果はまちまちである(Brown et al., 2018, Molecular Therapy, 26(1):31-44; Yin et al., 2018, Molecular Therapy Oncolytics, 11:20-38; Brown et al., 2016, The New England Journal of Medicine, 375:2561-9; Brown et al., 2015, Clinical Cancer Research, 21(18):4062-72; Pituch et al., 2018, Molecular Therapy, 26(4):986-95)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当技術分野では、高い効力を有する高度に集中したIL13Rα2標的化免疫療法の開発が必要とされている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
1つの実施態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性治療抗体又はその結合断片をコードする核酸分子に関し、ここで前記1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性免疫細胞エンゲージャーは、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメイン及び少なくとも1つの免疫細胞エンゲージングドメインを有する。
【0009】
1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、T細胞、抗原提示細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、又はマクロファージを標的とする。1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、少なくとも1つのT細胞特異的受容体分子を標的とする。1つの実施態様において、T細胞特異的受容体分子は、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、又はCD95である。1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインはCD3を標的とする。
【0010】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に対して、アミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に対して、アミノ酸配列の少なくとも65%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列の結合断片をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の少なくとも65%を含むアミノ酸配列の結合断片をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも6個のCDR配列を含む。1つの実施態様において、結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の12個のCDR配列を含む。
【0011】
1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7に対して、核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7に対して、核酸配列の少なくとも65%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7のヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7のヌクレオチド酸配列の少なくとも65%を含むヌクレオチド配列の断片を含む。1つの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも6個のCDR配列を含む結合断片をコードする。1つの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の12個のCDR配列を含む結合断片をコードする。
【0012】
1つの実施態様において、ヌクレオチド配列は、IgEリーダー配列をコードする核酸配列に作動可能に連結される。
【0013】
1つの実施態様において、核酸分子は発現ベクターを含む。
【0014】
1つの実施態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性治療抗体又はその結合断片をコードする核酸分子を含む組成物に関し、ここで、前記1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性免疫細胞エンゲージャーは、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメイン、及び少なくとも1つの免疫細胞エンゲージングドメインを含む。
【0015】
1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、T細胞、抗原提示細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、又はマクロファージを標的とする。1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、少なくとも1つのT細胞特異的受容体分子を標的とする。1つの実施態様において、T細胞特異的受容体分子は、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、又はCD95である。1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインはCD3を標的とする。
【0016】
1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に対して、アミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に対して、アミノ酸配列の少なくとも65%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列の結合断片をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の少なくとも65%を含むアミノ酸配列の結合断片をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも6個のCDR配列を含む。1つの実施態様において、結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の12個のCDR配列を含む。
【0017】
1つの実施態様において、組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7に対して、核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7に対して、核酸配列の少なくとも65%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7のヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7のヌクレオチド酸配列の少なくとも65%を含むヌクレオチド配列の断片を含む少なくとも1つの核酸分子を含む。1つの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも6個のCDR配列を含む結合断片をコードする。1つの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の12個のCDR配列を含む結合断片をコードする。
【0018】
1つの実施態様において、少なくとも1つのヌクレオチド配列は、IgEリーダー配列をコードする核酸配列に作動可能に連結される。
【0019】
1つの実施態様において、組成物は少なくとも1つの発現ベクターを含む。
【0020】
1つの実施態様において、組成物はさらに、医薬的に許容し得る賦形剤を含む。
【0021】
1つの実施態様において、本発明は、被験体における疾患又は障害を予防又は治療する方法であって、1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性治療抗体又はその結合断片をコードする核酸分子を被験体に投与することを含む方法に関し、ここで、1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性免疫細胞エンゲージャーは、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメイン、及び少なくとも1つの免疫細胞エンゲージメントドメイン、又は1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性治療抗体又はその結合断片をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む組成物を含み、ここで、1つ又はそれ以上の合成DNAコード化二重特異性免疫細胞エンゲージャーは、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメイン、及び少なくとも1つの免疫細胞エンゲージメントドメインを含む。
【0022】
1つの実施態様において、疾患は、良性腫瘍、癌、及び癌関連疾患である。1つの実施態様において、疾患は、IL13Rα2発現に関連する癌である。1つの実施態様において、疾患は神経膠芽腫である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1-1】
図1A~
図1Dは、dBTE発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図1A)IL13Rα2を標的とする4つの異なるdBTEの設計。
図1B及び
図1C)それぞれ初代ヒトT細胞上のCD3及びU87細胞上のIL13Rα2へのdBTEの結合を示すヒストグラムプロット。
図1D)IL13Rα2への4つすべてのdBTEの特異的結合を示す結合ELISA。
【
図1-2】
図1A~
図1Dは、dBTE発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図1A)IL13Rα2を標的とする4つの異なるdBTEの設計。
図1B及び
図1C)それぞれ初代ヒトT細胞上のCD3及びU87細胞上のIL13Rα2へのdBTEの結合を示すヒストグラムプロット。
図1D)IL13Rα2への4つすべてのdBTEの特異的結合を示す結合ELISA。
【
図1-3】
図1A~
図1Dは、dBTE発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図1A)IL13Rα2を標的とする4つの異なるdBTEの設計。
図1B及び
図1C)それぞれ初代ヒトT細胞上のCD3及びU87細胞上のIL13Rα2へのdBTEの結合を示すヒストグラムプロット。
図1D)IL13Rα2への4つすべてのdBTEの特異的結合を示す結合ELISA。
【
図1-4】
図1A~
図1Dは、dBTE発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図1A)IL13Rα2を標的とする4つの異なるdBTEの設計。
図1B及び
図1C)それぞれ初代ヒトT細胞上のCD3及びU87細胞上のIL13Rα2へのdBTEの結合を示すヒストグラムプロット。
図1D)IL13Rα2への4つすべてのdBTEの特異的結合を示す結合ELISA。
【
図2-1】
図2A~
図2Cは、4つすべてのdBTEの発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図2A)4つすべてのdBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞の上清のウェスタンブロット。
図2B)初代ヒトT細胞上のCD3への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。C)U87細胞上のIL13Rα2への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。
【
図2-2】
図2A~
図2Cは、4つすべてのdBTEの発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図2A)4つすべてのdBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞の上清のウェスタンブロット。
図2B)初代ヒトT細胞上のCD3への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。C)U87細胞上のIL13Rα2への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。
【
図2-3】
図2A~
図2Cは、4つすべてのdBTEの発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図2A)4つすべてのdBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞の上清のウェスタンブロット。
図2B)初代ヒトT細胞上のCD3への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。C)U87細胞上のIL13Rα2への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。
【
図2-4】
図2A~
図2Cは、4つすべてのdBTEの発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図2A)4つすべてのdBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞の上清のウェスタンブロット。
図2B)初代ヒトT細胞上のCD3への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。C)U87細胞上のIL13Rα2への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。
【
図2-5】
図2A~
図2Cは、4つすべてのdBTEの発現及び標的への結合を証明する実験データの例を示す。
図2A)4つすべてのdBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞の上清のウェスタンブロット。
図2B)初代ヒトT細胞上のCD3への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。C)U87細胞上のIL13Rα2への4つすべてのdBTEの結合を示すフローサイトメトリープロット。
【
図3-1】
図3A及び
図3Bは、初代ヒトT細胞上のIL13Rα2及びCD3への組換えdBTEの結合を証明する実験データの例を示す。
図3A)ELISAを介する組換えIL13Rα2への異なる濃度の組換えdBTEの結合。表は、各dBTEのIC
50値(ng/ml)を示す。
図3B)ELISAを介する組換えCD3への異なる濃度の組換えdBTEの結合。各dBTEのIC
50値(ng/ml)がそれぞれの曲線の隣に示される。
【
図3-2】
図3A及び
図3Bは、初代ヒトT細胞上のIL13Rα2及びCD3への組換えdBTEの結合を証明する実験データの例を示す。
図3A)ELISAを介する組換えIL13Rα2への異なる濃度の組換えdBTEの結合。表は、各dBTEのIC
50値(ng/ml)を示す。
図3B)ELISAを介する組換えCD3への異なる濃度の組換えdBTEの結合。各dBTEのIC
50値(ng/ml)がそれぞれの曲線の隣に示される。
【
図4-1】
図4A及び
図4Bは、Ovcar3細胞がIL13Rα2を発現しないことを証明する実験データの例を示す。
図4A)IL13α2に対する市販の抗体を用いたovcar3細胞のフローサイトメトリー染色を示すヒストグラム。
図4B)フローサイトメトリーに基づく、いずれのdBTEもovcar3細胞に結合しないことを示すヒストグラム。
【
図4-2】
図4A及び
図4Bは、Ovcar3細胞がIL13Rα2を発現しないことを証明する実験データの例を示す。
図4A)IL13α2に対する市販の抗体を用いたovcar3細胞のフローサイトメトリー染色を示すヒストグラム。
図4B)フローサイトメトリーに基づく、いずれのdBTEもovcar3細胞に結合しないことを示すヒストグラム。
【
図5-1】
図5A~
図5Cは、T細胞及びIL13Rα2発現腫瘍細胞の存在下でのT細胞活性化を証明する実験データの例を示す。
図5A)dBTEの存在下でU87細胞有り又は無しで24時間及び48時間の共培養後の、T細胞活性化のマーカーとしてのPD-1及びCD69に対して二重陽性のCD4及びCD8ゲート初代ヒトT細胞のパーセントを示すヒストグラムプロット。
図5B)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌されたTh1及びTh2サイトカインの定量。
図5C)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌された示された細胞傷害性分子の定量。Ovcar3細胞を陰性対照細胞株として使用した(最終容量中の上清の濃度は10%であった)。すべての画像は、3つの異なるトランスフェクションと4つの異なるT細胞ドナーからの上清を使用した4つの独立した実験の平均を表す。
【
図5-2】
図5A~
図5Cは、T細胞及びIL13Rα2発現腫瘍細胞の存在下でのT細胞活性化を証明する実験データの例を示す。
図5A)dBTEの存在下でU87細胞有り又は無しで24時間及び48時間の共培養後の、T細胞活性化のマーカーとしてのPD-1及びCD69に対して二重陽性のCD4及びCD8ゲート初代ヒトT細胞のパーセントを示すヒストグラムプロット。
図5B)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌されたTh1及びTh2サイトカインの定量。
図5C)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌された示された細胞傷害性分子の定量。Ovcar3細胞を陰性対照細胞株として使用した(最終容量中の上清の濃度は10%であった)。すべての画像は、3つの異なるトランスフェクションと4つの異なるT細胞ドナーからの上清を使用した4つの独立した実験の平均を表す。
【
図5-3】
図5A~
図5Cは、T細胞及びIL13Rα2発現腫瘍細胞の存在下でのT細胞活性化を証明する実験データの例を示す。
図5A)dBTEの存在下でU87細胞有り又は無しで24時間及び48時間の共培養後の、T細胞活性化のマーカーとしてのPD-1及びCD69に対して二重陽性のCD4及びCD8ゲート初代ヒトT細胞のパーセントを示すヒストグラムプロット。
図5B)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌されたTh1及びTh2サイトカインの定量。
図5C)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌された示された細胞傷害性分子の定量。Ovcar3細胞を陰性対照細胞株として使用した(最終容量中の上清の濃度は10%であった)。すべての画像は、3つの異なるトランスフェクションと4つの異なるT細胞ドナーからの上清を使用した4つの独立した実験の平均を表す。
【
図5-4】
図5A~
図5Cは、T細胞及びIL13Rα2発現腫瘍細胞の存在下でのT細胞活性化を証明する実験データの例を示す。
図5A)dBTEの存在下でU87細胞有り又は無しで24時間及び48時間の共培養後の、T細胞活性化のマーカーとしてのPD-1及びCD69に対して二重陽性のCD4及びCD8ゲート初代ヒトT細胞のパーセントを示すヒストグラムプロット。
図5B)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌されたTh1及びTh2サイトカインの定量。
図5C)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌された示された細胞傷害性分子の定量。Ovcar3細胞を陰性対照細胞株として使用した(最終容量中の上清の濃度は10%であった)。すべての画像は、3つの異なるトランスフェクションと4つの異なるT細胞ドナーからの上清を使用した4つの独立した実験の平均を表す。
【
図5-5】
図5A~
図5Cは、T細胞及びIL13Rα2発現腫瘍細胞の存在下でのT細胞活性化を証明する実験データの例を示す。
図5A)dBTEの存在下でU87細胞有り又は無しで24時間及び48時間の共培養後の、T細胞活性化のマーカーとしてのPD-1及びCD69に対して二重陽性のCD4及びCD8ゲート初代ヒトT細胞のパーセントを示すヒストグラムプロット。
図5B)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌されたTh1及びTh2サイトカインの定量。
図5C)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌された示された細胞傷害性分子の定量。Ovcar3細胞を陰性対照細胞株として使用した(最終容量中の上清の濃度は10%であった)。すべての画像は、3つの異なるトランスフェクションと4つの異なるT細胞ドナーからの上清を使用した4つの独立した実験の平均を表す。
【
図5-6】
図5A~
図5Cは、T細胞及びIL13Rα2発現腫瘍細胞の存在下でのT細胞活性化を証明する実験データの例を示す。
図5A)dBTEの存在下でU87細胞有り又は無しで24時間及び48時間の共培養後の、T細胞活性化のマーカーとしてのPD-1及びCD69に対して二重陽性のCD4及びCD8ゲート初代ヒトT細胞のパーセントを示すヒストグラムプロット。
図5B)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌されたTh1及びTh2サイトカインの定量。
図5C)U87細胞の存在下又は非存在下で、dBTEと初代ヒトT細胞との48時間の共培養後に分泌された示された細胞傷害性分子の定量。Ovcar3細胞を陰性対照細胞株として使用した(最終容量中の上清の濃度は10%であった)。すべての画像は、3つの異なるトランスフェクションと4つの異なるT細胞ドナーからの上清を使用した4つの独立した実験の平均を表す。
【
図6-1】
図6A及び
図6Bは、逆配向のdBTEが、IL13Rα2発現腫瘍並びにより高レベルの非特異的T細胞活性化の存在下で、より高いT細胞活性化を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図6A)U87又はOvcar3腫瘍の存在下で、4つすべてのdBTEと共培養したときの、CD69(左パネル)及びPD-1(右パネル)を発現するCD4+T細胞のパーセントを示す棒グラフ。
図6B)U87又はOvcar3腫瘍の存在下で、4つすべてのdBTEと共培養したときの、CD69(左パネル)及びPD-1(右パネル)を発現するCD8+T細胞のパーセントを示す棒グラフ。
【
図6-2】
図6A及び
図6Bは、逆配向のdBTEが、IL13Rα2発現腫瘍並びにより高レベルの非特異的T細胞活性化の存在下で、より高いT細胞活性化を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図6A)U87又はOvcar3腫瘍の存在下で、4つすべてのdBTEと共培養したときの、CD69(左パネル)及びPD-1(右パネル)を発現するCD4+T細胞のパーセントを示す棒グラフ。
図6B)U87又はOvcar3腫瘍の存在下で、4つすべてのdBTEと共培養したときの、CD69(左パネル)及びPD-1(右パネル)を発現するCD8+T細胞のパーセントを示す棒グラフ。
【
図7】
図7は、IL13Rα2を標的とするdBTEがT細胞をエンゲージし、標的細胞の周囲にクラスターを形成することを証明する例示的な画像を示す。U87-GFP-luc細胞を、初代ヒトT細胞、及びpvax又は4つすべてのdBTEでトランスフェクトしたExpi293F細胞からの上清と共培養したときの、GFP発現(上段)、明視野(中段)、及びマージ(下段)を示す画像。
【
図8-1】
図8A~
図8Dは、dBTE及び初代ヒトT細胞の存在下で標的発現腫瘍細胞の細胞傷害性を証明する実験データの例を示す。
図8A)示されたE:T比及び時点で、dBTE及び初代ヒトT細胞と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%(1:1の比と24時間の時点のpVax対PB02-前(PB02-Forward)のp値は0.051であり、すべてのE:T比と両方の時点での他のすべてのdBTEについて<0.0001)。
図8B)各BTEの示された濃度の組換えBTEと共培養したときの、48時間目にルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。
図8C)U373細胞(左パネル)及びU251細胞(右パネル)のすべてのdBTEによる、用量依存性の死滅を示す正規化された細胞指数プロット。
図8D)示された濃度のグランザイムB阻害剤の存在下で、E:T比5:1でPB01-前(PB01-Forward)と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。すべての図は、3つの異なるT細胞ドナーを用いた3回の別々の実験を表す。
【
図8-2】
図8A~
図8Dは、dBTE及び初代ヒトT細胞の存在下で標的発現腫瘍細胞の細胞傷害性を証明する実験データの例を示す。
図8A)示されたE:T比及び時点で、dBTE及び初代ヒトT細胞と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%(1:1の比と24時間の時点のpVax対PB02-前(PB02-Forward)のp値は0.051であり、すべてのE:T比と両方の時点での他のすべてのdBTEについて<0.0001)。
図8B)各BTEの示された濃度の組換えBTEと共培養したときの、48時間目にルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。
図8C)U373細胞(左パネル)及びU251細胞(右パネル)のすべてのdBTEによる、用量依存性の死滅を示す正規化された細胞指数プロット。
図8D)示された濃度のグランザイムB阻害剤の存在下で、E:T比5:1でPB01-前(PB01-Forward)と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。すべての図は、3つの異なるT細胞ドナーを用いた3回の別々の実験を表す。
【
図8-3】
図8A~
図8Dは、dBTE及び初代ヒトT細胞の存在下で標的発現腫瘍細胞の細胞傷害性を証明する実験データの例を示す。
図8A)示されたE:T比及び時点で、dBTE及び初代ヒトT細胞と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%(1:1の比と24時間の時点のpVax対PB02-前(PB02-Forward)のp値は0.051であり、すべてのE:T比と両方の時点での他のすべてのdBTEについて<0.0001)。
図8B)各BTEの示された濃度の組換えBTEと共培養したときの、48時間目にルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。
図8C)U373細胞(左パネル)及びU251細胞(右パネル)のすべてのdBTEによる、用量依存性の死滅を示す正規化された細胞指数プロット。
図8D)示された濃度のグランザイムB阻害剤の存在下で、E:T比5:1でPB01-前(PB01-Forward)と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。すべての図は、3つの異なるT細胞ドナーを用いた3回の別々の実験を表す。
【
図8-4】
図8A~
図8Dは、dBTE及び初代ヒトT細胞の存在下で標的発現腫瘍細胞の細胞傷害性を証明する実験データの例を示す。
図8A)示されたE:T比及び時点で、dBTE及び初代ヒトT細胞と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%(1:1の比と24時間の時点のpVax対PB02-前(PB02-Forward)のp値は0.051であり、すべてのE:T比と両方の時点での他のすべてのdBTEについて<0.0001)。
図8B)各BTEの示された濃度の組換えBTEと共培養したときの、48時間目にルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。
図8C)U373細胞(左パネル)及びU251細胞(右パネル)のすべてのdBTEによる、用量依存性の死滅を示す正規化された細胞指数プロット。
図8D)示された濃度のグランザイムB阻害剤の存在下で、E:T比5:1でPB01-前(PB01-Forward)と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。すべての図は、3つの異なるT細胞ドナーを用いた3回の別々の実験を表す。
【
図8-5】
図8A~
図8Dは、dBTE及び初代ヒトT細胞の存在下で標的発現腫瘍細胞の細胞傷害性を証明する実験データの例を示す。
図8A)示されたE:T比及び時点で、dBTE及び初代ヒトT細胞と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%(1:1の比と24時間の時点のpVax対PB02-前(PB02-Forward)のp値は0.051であり、すべてのE:T比と両方の時点での他のすべてのdBTEについて<0.0001)。
図8B)各BTEの示された濃度の組換えBTEと共培養したときの、48時間目にルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。
図8C)U373細胞(左パネル)及びU251細胞(右パネル)のすべてのdBTEによる、用量依存性の死滅を示す正規化された細胞指数プロット。
図8D)示された濃度のグランザイムB阻害剤の存在下で、E:T比5:1でPB01-前(PB01-Forward)と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。すべての図は、3つの異なるT細胞ドナーを用いた3回の別々の実験を表す。
【
図8-6】
図8A~
図8Dは、dBTE及び初代ヒトT細胞の存在下で標的発現腫瘍細胞の細胞傷害性を証明する実験データの例を示す。
図8A)示されたE:T比及び時点で、dBTE及び初代ヒトT細胞と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%(1:1の比と24時間の時点のpVax対PB02-前(PB02-Forward)のp値は0.051であり、すべてのE:T比と両方の時点での他のすべてのdBTEについて<0.0001)。
図8B)各BTEの示された濃度の組換えBTEと共培養したときの、48時間目にルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。
図8C)U373細胞(左パネル)及びU251細胞(右パネル)のすべてのdBTEによる、用量依存性の死滅を示す正規化された細胞指数プロット。
図8D)示された濃度のグランザイムB阻害剤の存在下で、E:T比5:1でPB01-前(PB01-Forward)と共培養したときの、ルシフェラーゼ測定によって測定されたU87-GFP-Luc細胞の死滅%。すべての図は、3つの異なるT細胞ドナーを用いた3回の別々の実験を表す。
【
図9-1】
図9は、U373細胞及びU251細胞が、それらの細胞表面上で高レベルのIL13Rα2を発現することを証明するデータを示す。U373細胞及びU251細胞におけるIL13Rα2発現を示すヒストグラムプロット。
【
図9-2】
図9は、U373細胞及びU251細胞が、それらの細胞表面上で高レベルのIL13Rα2を発現することを証明するデータを示す。U373細胞及びU251細胞におけるIL13Rα2発現を示すヒストグラムプロット。
【
図10-1】
図10A及び
図10Bは、PB01-逆(PB01-Reverse)及びPB02-逆(PB02-Reverse)がOvCAR3細胞の高度な非特異的死滅を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図10A)24時間目(左パネル)及び48時間目(右パネル)のU87細胞及びOvcar3細胞のルシフェラーゼに基づく死滅。
図10B)逆配向のdBTEの存在下での、Ovcar3細胞の強力な非特異的死滅を示す正規化された細胞指数。
【
図10-2】
図10A及び
図10Bは、PB01-逆(PB01-Reverse)及びPB02-逆(PB02-Reverse)がOvCAR3細胞の高度な非特異的死滅を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図10A)24時間目(左パネル)及び48時間目(右パネル)のU87細胞及びOvcar3細胞のルシフェラーゼに基づく死滅。
図10B)逆配向のdBTEの存在下での、Ovcar3細胞の強力な非特異的死滅を示す正規化された細胞指数。
【
図11-1】
図11は、IFN-γ、TNF-α、FasL、及びTRAIL阻害が、PB01-前による死滅を減少させないことを証明するデータを示す。示された濃度の、IFN-γ、TNF-α、FasL、及びTRAILに対する中和抗体で培養したときの、PB01-前の存在下の初代ヒトT細胞によるU87-GFP-luc細胞株の死滅パーセントを示す棒グラフ。
【
図11-2】
図11は、IFN-γ、TNF-α、FasL、及びTRAIL阻害が、PB01-前による死滅を減少させないことを証明するデータを示す。示された濃度の、IFN-γ、TNF-α、FasL、及びTRAILに対する中和抗体で培養したときの、PB01-前の存在下の初代ヒトT細胞によるU87-GFP-luc細胞株の死滅パーセントを示す棒グラフ。
【
図12-1】
図12A~
図12Cは、DNAによって送り出されたPB01-前が、組換えPB01-前と比較してインビボ持続性を著しく増強したことを証明する実験データの例を示す。
図12A)組換え体(左)又はDNAによって送り出されたPB01-前のいずれかを注射されたマウスから指定の時点で収集された血清を使用した、U87細胞のXcelligenceベースの死滅アッセイ。
図12B)
図12Aの共培養の48時間目の上清中の、Th1、Th2サイトカイン、及び細胞傷害性分子の定量(すべての値はpg/ml)。
図12C)PB01-前で免疫されたマウス由来で指定の時点で収集された血清及びU87細胞(最終容量中の血清濃度は10%であった)と、48時間インキュベートした後の、CD4及びCD8ゲートT細胞上の%CD69+(左のY軸)及び%PD-1+(右のY軸)。
【
図12-2】
図12A~
図12Cは、DNAによって送り出されたPB01-前が、組換えPB01-前と比較してインビボ持続性を著しく増強したことを証明する実験データの例を示す。
図12A)組換え体(左)又はDNAによって送り出されたPB01-前のいずれかを注射されたマウスから指定の時点で収集された血清を使用した、U87細胞のXcelligenceベースの死滅アッセイ。
図12B)
図12Aの共培養の48時間目の上清中の、Th1、Th2サイトカイン、及び細胞傷害性分子の定量(すべての値はpg/ml)。
図12C)PB01-前で免疫されたマウス由来で指定の時点で収集された血清及びU87細胞(最終容量中の血清濃度は10%であった)と、48時間インキュベートした後の、CD4及びCD8ゲートT細胞上の%CD69+(左のY軸)及び%PD-1+(右のY軸)。
【
図12-3】
図12A~
図12Cは、DNAによって送り出されたPB01-前が、組換えPB01-前と比較してインビボ持続性を著しく増強したことを証明する実験データの例を示す。
図12A)組換え体(左)又はDNAによって送り出されたPB01-前のいずれかを注射されたマウスから指定の時点で収集された血清を使用した、U87細胞のXcelligenceベースの死滅アッセイ。
図12B)
図12Aの共培養の48時間目の上清中の、Th1、Th2サイトカイン、及び細胞傷害性分子の定量(すべての値はpg/ml)。
図12C)PB01-前で免疫されたマウス由来で指定の時点で収集された血清及びU87細胞(最終容量中の血清濃度は10%であった)と、48時間インキュベートした後の、CD4及びCD8ゲートT細胞上の%CD69+(左のY軸)及び%PD-1+(右のY軸)。
【
図12-4】
図12A~
図12Cは、DNAによって送り出されたPB01-前が、組換えPB01-前と比較してインビボ持続性を著しく増強したことを証明する実験データの例を示す。
図12A)組換え体(左)又はDNAによって送り出されたPB01-前のいずれかを注射されたマウスから指定の時点で収集された血清を使用した、U87細胞のXcelligenceベースの死滅アッセイ。
図12B)
図12Aの共培養の48時間目の上清中の、Th1、Th2サイトカイン、及び細胞傷害性分子の定量(すべての値はpg/ml)。
図12C)PB01-前で免疫されたマウス由来で指定の時点で収集された血清及びU87細胞(最終容量中の血清濃度は10%であった)と、48時間インキュベートした後の、CD4及びCD8ゲートT細胞上の%CD69+(左のY軸)及び%PD-1+(右のY軸)。
【
図13-1】
図13A~
図13Cは、PB01-前がヒトT細胞の存在下でDaOY細胞の急速な死滅を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図13A)フローサイトメトリーによるDaOY細胞上のIL13Rα2の発現を示すヒストグラム。
図13B)示された濃度のpVax(青い線)又はPB01-前(緑の線)のいずれかでトランスフェクトされたExpi293F細胞由来の上清の存在下の、初代ヒトT細胞によるDaOY細胞の経時的死滅%。
図13C)
図13Bの実験からのPB01-前のKT50及びKT80値を示す棒グラフ。
【
図13-2】
図13A~
図13Cは、PB01-前がヒトT細胞の存在下でDaOY細胞の急速な死滅を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図13A)フローサイトメトリーによるDaOY細胞上のIL13Rα2の発現を示すヒストグラム。
図13B)示された濃度のpVax(青い線)又はPB01-前(緑の線)のいずれかでトランスフェクトされたExpi293F細胞由来の上清の存在下の、初代ヒトT細胞によるDaOY細胞の経時的死滅%。
図13C)
図13Bの実験からのPB01-前のKT50及びKT80値を示す棒グラフ。
【
図13-3】
図13A~
図13Cは、PB01-前がヒトT細胞の存在下でDaOY細胞の急速な死滅を誘導することを証明する実験データの例を示す。
図13A)フローサイトメトリーによるDaOY細胞上のIL13Rα2の発現を示すヒストグラム。
図13B)示された濃度のpVax(青い線)又はPB01-前(緑の線)のいずれかでトランスフェクトされたExpi293F細胞由来の上清の存在下の、初代ヒトT細胞によるDaOY細胞の経時的死滅%。
図13C)
図13Bの実験からのPB01-前のKT50及びKT80値を示す棒グラフ。
【
図14-1】
図14A~
図14Cは、PB01-前がインビボで腫瘍増殖を制御し、担癌マウスの生存を延長することを証明する実験データの例を示す。
図14A)
図14B及び
図14Cの実験の時間経過を説明する概略図。
図14B)U87細胞を注入され、PB01-前(青色の三角)又はpVax空ベクター対照(緑色の四角)で処理されたマウスの平均腫瘍体積。濃い線は10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスを表し、明るい線は3×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスを示す。
図14C)U87細胞を注入され、PB01-前(青)又はpVax(緑)及び初代ヒトT細胞で処理されたマウスの生存率(n=5匹のマウス/群)。グラフは、2つの異なるT細胞ドナーを使用して行われた2つの別々の実験を表す。
【
図14-2】
図14A~
図14Cは、PB01-前がインビボで腫瘍増殖を制御し、担癌マウスの生存を延長することを証明する実験データの例を示す。
図14A)
図14B及び
図14Cの実験の時間経過を説明する概略図。
図14B)U87細胞を注入され、PB01-前(青色の三角)又はpVax空ベクター対照(緑色の四角)で処理されたマウスの平均腫瘍体積。濃い線は10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスを表し、明るい線は3×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスを示す。
図14C)U87細胞を注入され、PB01-前(青)又はpVax(緑)及び初代ヒトT細胞で処理されたマウスの生存率(n=5匹のマウス/群)。グラフは、2つの異なるT細胞ドナーを使用して行われた2つの別々の実験を表す。
【
図15-1】
図15A~
図15Cは、PB01-前が、NSGマウスの抗原刺激においてDaOY腫瘍の増殖を制御することを証明する実験データの例を示す。
図15A)NSGマウスにおけるDaOY腫瘍の抗原刺激実験の概略図。
図15B)pVax(緑色の四角)又はPB01-前(青色の三角)のいずれかで処理されたマウスにおけるDaOY腫瘍の平均腫瘍サイズ。
図15C)
図15Bの実験からの個々のマウスの腫瘍サイズ。
【
図15-2】
図15A~
図15Cは、PB01-前が、NSGマウスの抗原刺激においてDaOY腫瘍の増殖を制御することを証明する実験データの例を示す。
図15A)NSGマウスにおけるDaOY腫瘍の抗原刺激実験の概略図。
図15B)pVax(緑色の四角)又はPB01-前(青色の三角)のいずれかで処理されたマウスにおけるDaOY腫瘍の平均腫瘍サイズ。
図15C)
図15Bの実験からの個々のマウスの腫瘍サイズ。
【
図16-1】
図16A~
図16Fは、同所性GBMモデルにおいて、PB01-前が血液脳関門を通過し、U87腫瘍を制御することを証明する実験データの例を示す。
図16A)同所性GBMモデルの実験の時間経過を説明する概略図。
図16B)頭蓋内腫瘍インプラントを有し、pVax(黒丸)又はPB01-前(赤四角)のいずれか、及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスの腫瘍量を表す、マウスにおける平均総光束。
図16C)個々のマウスの総光束(
図16Bのような群)。
図16D)U87腫瘍の移植後に、pVax(黒丸)又はPB01-前(赤四角)のいずれか及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理した後のマウスの体重の平均変化。
図16E)pvax又はPB01-前のいずれか及び10×10
6個のT細胞で処理されたマウスの生存の延長を示唆するマウスの生存率(n=8又は9匹のマウス/群)。
図16F)同所性U87腫瘍を移植され、pVax又はPB01-前のいずれかで処理されたマウスにおけるヒトCD45+脾細胞の%(n=3匹のマウス/群)。
【
図16-2】
図16A~
図16Fは、同所性GBMモデルにおいて、PB01-前が血液脳関門を通過し、U87腫瘍を制御することを証明する実験データの例を示す。
図16A)同所性GBMモデルの実験の時間経過を説明する概略図。
図16B)頭蓋内腫瘍インプラントを有し、pVax(黒丸)又はPB01-前(赤四角)のいずれか、及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスの腫瘍量を表す、マウスにおける平均総光束。
図16C)個々のマウスの総光束(
図16Bのような群)。
図16D)U87腫瘍の移植後に、pVax(黒丸)又はPB01-前(赤四角)のいずれか及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理した後のマウスの体重の平均変化。
図16E)pvax又はPB01-前のいずれか及び10×10
6個のT細胞で処理されたマウスの生存の延長を示唆するマウスの生存率(n=8又は9匹のマウス/群)。
図16F)同所性U87腫瘍を移植され、pVax又はPB01-前のいずれかで処理されたマウスにおけるヒトCD45+脾細胞の%(n=3匹のマウス/群)。
【
図16-3】
図16A~
図16Fは、同所性GBMモデルにおいて、PB01-前が血液脳関門を通過し、U87腫瘍を制御することを証明する実験データの例を示す。
図16A)同所性GBMモデルの実験の時間経過を説明する概略図。
図16B)頭蓋内腫瘍インプラントを有し、pVax(黒丸)又はPB01-前(赤四角)のいずれか、及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスの腫瘍量を表す、マウスにおける平均総光束。
図16C)個々のマウスの総光束(
図16Bのような群)。
図16D)U87腫瘍の移植後に、pVax(黒丸)又はPB01-前(赤四角)のいずれか及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理した後のマウスの体重の平均変化。
図16E)pvax又はPB01-前のいずれか及び10×10
6個のT細胞で処理されたマウスの生存の延長を示唆するマウスの生存率(n=8又は9匹のマウス/群)。
図16F)同所性U87腫瘍を移植され、pVax又はPB01-前のいずれかで処理されたマウスにおけるヒトCD45+脾細胞の%(n=3匹のマウス/群)。
【
図17-1】
図17は、PB01-前が、NSGマウス抗原刺激において同所移植されたU87腫瘍の増殖を制御することを証明するデータを示す。画像は、頭蓋内腫瘍移植を受け、pVax又はPB01-前のいずれか及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスの腫瘍量の経時的変化を表す。13、17、21、24日目に、スケールは5×10
5個~2×10
7個の写真である。D28以降は、より見やすくするためにスケールを5×10
6個~2×10
7個に調整された。
【
図17-2】
図17は、PB01-前が、NSGマウス抗原刺激において同所移植されたU87腫瘍の増殖を制御することを証明するデータを示す。画像は、頭蓋内腫瘍移植を受け、pVax又はPB01-前のいずれか及び10×10
6個の初代ヒトT細胞で処理されたマウスの腫瘍量の経時的変化を表す。13、17、21、24日目に、スケールは5×10
5個~2×10
7個の写真である。D28以降は、より見やすくするためにスケールを5×10
6個~2×10
7個に調整された。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本発明は、IL13Rα2を標的とする二重特異性治療抗体(dTAB)、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。1つの実施態様において、本発明のdTABは、免疫細胞エンゲージング治療抗体である。組成物は、インビボでのdTABの発現及び生成を促進するために、それを必要とする被験体に投与することができる。
【0025】
1つの実施態様において、IL13Rα2 dTABは、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメイン、及び少なくとも1つの免疫細胞エンゲージングドメインを含む。1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、免疫細胞の表面に発現される抗原に特異的である。免疫細胞には、限定されるものではないが、T細胞、抗原提示細胞、NK細胞、好中球、及びマクロファージが含まれる。
【0026】
様々な実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、免疫細胞特異的受容体分子への結合に特異的な抗体、その断片、又はその変種をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、免疫細胞特異的受容体分子はT細胞表面抗原である。1つの実施態様において、T細胞特異的受容体分子は、CD3、TCR、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、及びCD95のうちの1つである。
【0027】
様々な実施態様において、抗原結合ドメインは、IL13Rα2への結合に特異的な抗体、その断片、又はその変種をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、抗体又はその断片は、DNAコード化モノクローナル抗体(DMAb)、又はその断片若しくは変種である。
【0028】
1つの実施態様において、二重特異性dTABは、IL13Rα2への結合、及びIL13Rα2を発現する細胞へのT細胞の動員について特異的である。いくつかの実施態様において、IL13Rα2を発現する細胞は癌細胞である。いくつかの実施態様において、IL13Rα2を発現する細胞は神経膠芽腫細胞である。従って、1つの実施態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の二重特異性IL13Rα2 dTABを含む組成物、及び被験体における癌(例えば、神経膠芽腫)、又は癌(例えば、神経膠芽腫)に関連する疾患若しくは障害の治療又は予防に使用するための方法を提供する。
【0029】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む本文書が優先される。好適な方法及び材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができる。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が取り込まれる。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的とするものであり、限定することを意図したものではない。
【0030】
本明細書で使用される用語「含む(comprises))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」、及びこれらの変形は、制限のない移行的な句、用語、又は単語であることを意図しており、追加の行為や構造の可能性を妨げない。単数形「1つ(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」には、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の参照が含まれる。本開示はまた、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本明細書に提示される実施態様又は要素を「含む」、「からなる」、及び「本質的にからなる」他の実施態様も企図する。
【0031】
「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgD、若しくはIgEクラスの抗体、又はその断片、断片若しくは誘導体(Fab、F(ab’)2、Fd、及び単鎖抗体、並びにこれらの誘導体を含む)を意味し得る。抗体は、所望のエピトープ又はそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を示す、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、又はこれらの混合物であり得る。
【0032】
本明細書において互換的に使用される「抗体断片」又は「抗体の断片」は、抗原結合部位又は可変領域を含む完全な抗体の一部を指す。この部分には、完全な抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じてCH2、CH3、又はCH4)は含まれない。抗体断片の例には、限定されるものではないが、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、単鎖Fv(scFv)分子、軽鎖可変ドメインを1つだけ含む単鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含む単鎖ポリペプチド、重鎖可変領域を1つだけ含む単鎖ポリペプチド、及び重鎖可変ドメインの3つのCDRを含む単鎖ポリペプチドが含まれる。
【0033】
「抗原」とは、宿主において免疫応答を生成する能力を有するタンパク質を指す。抗原は抗体によって認識され、結合され得る。抗原は体内又は外部環境に由来する場合がある。
【0034】
本明細書で使用される「コード配列」又は「コード核酸」は、本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNA又はDNA分子)を指すことを意味し得る。コード配列はさらに、調節要素に作動可能に連結された開始及び終結シグナルを含むことができ、調節要素には、核酸が投与される個体又は哺乳動物の細胞における発現を指示できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルが含まれる。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含むことができる。
【0035】
本明細書で使用される「相補体」又は「相補的」は、核酸を意味する場合があり、核酸分子のヌクレオチド又はヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック(Watson-Crick)塩基対合(例えば、A-T/U及びC-G)又はフーグスティーン(Hoogsteen)塩基対合を意味する場合がある。
【0036】
本明細書で使用される「定電流」は、同じ組織に送達される電気パルスの継続時間にわたって、組織又は前記組織を定義する細胞によって受け取られるか又は経験される電流を定義するために使用される。電気パルスは、本明細書に記載の電気穿孔装置から送達される。本明細書で提供される電気穿孔装置はフィードバック要素を有し、好ましくは瞬間的フィードバックを有するため、この電流は、電気パルスの寿命にわたって前記組織内で一定のアンペア数に留まる。フィードバック要素は、パルスの持続時間全体を通じて組織(又は細胞)の抵抗を測定し、電気穿孔装置にその電気エネルギー出力を変更(例えば、電圧を増加)させることができるため、同じ組織内の電流は、電気パルス(マイクロ秒のオーダー)全体にわたって及びパルスからパルスまで一定に保たれる。いくつかの実施態様において、フィードバック要素はコントローラーを備える。
【0037】
本明細書で使用される「電流フィードバック」又は「フィードバック」は互換的に使用することができ、提供される電気穿孔装置の能動的応答を意味することができ、これは、電極間の組織内の電流を測定し、それに応じてEP装置によって送達されるエネルギー出力を変更して、電流を一定レベルに維持することを含む。この一定レベルは、パルスシーケンス又は電気的処理の開始前にユーザーによって事前設定される。
フィードバックは、電気穿孔法構成要素、例えばコントローラーによって達成することができ、その中の電気回路は、電極間の組織内の電流を継続的にモニターし、そのモニターされた電流(又は組織内の電流)を事前設定された電流と比較し、そしてエネルギー出力を継続的に調整して、モニターされる電流を事前設定レベルに維持することができる。フィードバックループはアナログ閉ループフィードバックであるため、瞬間的なものになる可能性がある。
【0038】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書に記載の電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味することができ、このパターンは、電気穿孔されている組織の任意の領域に対する電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限に抑えるか又は好ましくは排除する。
【0039】
本明細書において互換的に使用される「電気穿孔法」、「電気透過化」、又は「動電的増強」(「EP」)は、生体膜内に微細な経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を指し得る。これらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、水などの生体分子が、細胞膜の一方の側からもう一方の側に通過することを可能にする。
【0040】
本明細書で使用される「内因性抗体」とは、体液性免疫応答の誘導のために有効量の抗原を投与された被験体において生成される抗体を指し得る。
【0041】
本明細書で使用される「フィードバック機構」はソフトウェア又はハードウェア(又はファームウェア)のいずれかによって実行されるプロセスを指すことができ、このプロセスは、所望の組織のインピーダンス(エネルギーパルスの送達前、送達中、及び/又は送達後)を受信して、事前設定値、好ましくは電流と比較して、送達されたエネルギーパルスを調整して事前設定値を達成する。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実行されてもよい。
【0042】
「断片」は、機能する抗体、すなわち所望の標的に結合し、全長抗体と同じ意図された作用を有することができる抗体のポリペプチド断片を意味し得る。抗体の断片は、N末端及び/又はC末端から少なくとも1つのアミノ酸が欠落していることを除いて、全長と100%同一でもよく、それぞれの場合に、1位にシグナルペプチド及び/又はメチオニンがあってもなくてもよい。断片は、特定の完全長抗体の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上を含み得るが、添加される異種シグナルペプチドは除外される。断片は、抗体と95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上同一であるポリペプチドの断片を含んでもよく、さらに同一性パーセントの計算には含まれないN末端メチオニン又は異種シグナルペプチドを含み得る。断片はさらに、N末端メチオニン及び/又は免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、例えばIgE又はIgGシグナルペプチドを含み得る。N末端メチオニン及び/又はシグナルペプチドは、抗体の断片に連結され得る。
【0043】
抗体をコードする核酸配列の断片は、5’末端及び/又は3’末端から少なくとも1つのヌクレオチドが欠落していることを除いて、全長と100%同一でもよく、それぞれの場合に、1位にシグナルペプチド及び/又はメチオニンをコードする配列があってもなくてもよい。断片は、特定の完全長コード配列の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上を含み得るが、添加される異種シグナルペプチドは除外される。断片は、抗体と95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上同一であるポリペプチドをコードする断片を含んでもよく、さらに任意選択的に、同一性パーセントの計算には含まれないN末端メチオニン又は異種シグナルペプチドをコードする配列を含み得る。断片はさらに、N末端メチオニン及び/又は免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、例えばIgE又はIgGシグナルペプチドのコード配列を含み得る。N末端メチオニン及び/又はシグナルペプチドをコードする配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0044】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」は、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA又はRNA分子を指す。コード配列は、調節要素に作動可能に連結された開始及び終結シグナルを含み、調節要素には、核酸分子が投与される個体の細胞における発現を指示できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルが含まれる。本明細書で使用される用途「発現可能な形態」は、個体の細胞内に存在する場合にコード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された必要な調節要素を含む遺伝子構築物を指す。
【0045】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列に関して本明細書で使用される「同一の」又は「同一性」は、配列が特定の領域にわたって同一である残基の特定のパーセントを有することを意味し得る。パーセントは、2つの配列を最適に整列させ、特定の領域にわたって2つの配列を比較し、両方の配列で同一の残基が存在する位置の数を決定して、一致する位置の数を得て、一致する位置の数を特定の領域内の位置の総数で割り、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセントを算出して計算することができる。2つの配列の長さが異なる場合、又はアライメントによって1つ又はそれ以上の付着端が生成され、指定された比較領域に単一の配列のみが含まれる場合、単一の配列の残基は計算の分母には含まれるが、分子には含まれない。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)とウラシル(U)は同等であると考えることができる。同一性判定は手動で実行することも、BLASTやBLAST2.0などのコンピューター配列アルゴリズムを使用して実行することもできる。
【0046】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を議論するときに使用することができ、オームの法則に従って電流値に変換できるため、事前設定電流との比較が可能になる。
【0047】
本明細書で使用される「免疫応答」は、1つ又はそれ以上の核酸及び/又はペプチドの導入に応答した、宿主の免疫系、例えば哺乳類の免疫系の活性化を意味し得る。免疫応答は、細胞性応答又は体液性応答、あるいはその両方の形態であり得る。
【0048】
本明細書で使用される「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、互いに共有的の連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。単鎖の記載は相補鎖の配列も定義する。すなわち核酸はまた、記載された単鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くの変種は、特定の核酸と同じ目的に使用することができる。すなわち核酸はまた、実質的に同一の核酸及びその相補体を包含し得る。単鎖は、厳密性ハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得るプローブを提供する。すなわち核酸はまた、厳密性ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含し得る。
【0049】
核酸は単鎖でも二本鎖でもよく、あるいは二本鎖と単鎖の両方の配列の一部を含み得る。核酸は、DNA、ゲノムDNAとcDNAの両方、RNA、又はハイブリッドであってもよく、ここで核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの組み合わせ、及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の組合わせを含み得る。核酸は、化学合成法又は組換え法によって得ることができる。
【0050】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」とは、遺伝子の発現が、それが空間的に連結されているプロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)又は3’(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、そのプロモーターが由来する遺伝子においてそのプロモーターが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであってもよい。当技術分野で知られているように、この距離の変動は、プロモーター機能を失うことなく適応され得る。
【0051】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、又は「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味することができ、天然、合成、又は天然と合成の修飾若しくは組み合わせであり得る。
【0052】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞内の核酸の発現を付与、活性化、又は増強することができる合成又は天然由来の分子を意味し得る。プロモーターは、発現をさらに増強するため、及び/又はその空間的発現及び/又は時間的発現を変化させるための、1つ又はそれ以上の特異的な転写調節配列を含み得る。プロモーターはまた、遠位のエンハンサー又はリプレッサー要素を含むことができ、これらは転写開始部位から数千塩基対も離れたところに位置してもよい。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む供給源に由来してもよい。プロモーターは、遺伝子成分の発現を構成的に、又は発現が起きる細胞、組織、若しくは器官に関して、又は発現が起きる発達段階に関して、又は生理的ストレス、病原体、金属イオン、若しくは誘発物質などの外部刺激に応答して、示差的に調節することができる。プロモーターの代表的な例には、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、又はSV40後期プロモーター、及びCMVIEプロモーターが含まれる。
【0053】
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書では互換的に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端に連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は通常、タンパク質の局在化を指示する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくはタンパク質が産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、細胞から分泌されると、成熟タンパク質と呼ばれるタンパク質の残りの部分から切断される。シグナルペプチド/リーダー配列はタンパク質のN末端に連結している。
【0054】
本明細書で使用される「厳密性ハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複雑な混合物などのように、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味し得る。厳密性条件は配列に依存し、状況によって異なる。厳密性条件は、規定のイオン強度pHにおける特定の配列の熱融解温度(Tm)より約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、平衡状態で(標的配列が過剰に存在するため、Tmでは、プローブの50%は平衡状態で占有される)、標的に相補的なプローブの50%が標的配列にハイブリダイズする温度である(規定のイオン強度、pH、及び核酸濃度で)。厳密性条件は、pH7.0~8.3で塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、例えば約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)の場合は少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチドを超える)の場合は少なくとも約60℃である条件であり得る。厳密性条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加することによって達成することもできる。選択的又は特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルはバックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍である可能性がある。例示的な厳密性ハイブリダイゼーション条件には、以下が含まれる:50%ホルムアミド、5×SSC、及び1%SDS、42℃、又は5xSSC、1%SDSでインキュベート、65℃でインキュベート、0.2×SSC及び0.1%SDS(65℃)で洗浄。
【0055】
本明細書で使用される「被験体」及び「患者」は交換可能に、限定されるものではないが、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル又はアカゲザルなどのサル、チンパンジーなど)、及びヒト)を含む任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施態様において、被験体はヒト又は非ヒトであり得る。被験体又は患者は、他の形態の治療を受けていてもよい。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に相補的」とは、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、若しくはそれ以上のヌクレオチド若しくはアミノ酸にわたって、第2の配列の相補体と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であること、又は2つの配列が厳密性ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0057】
本明細書で使用される「実質的に同一」とは、第1及び第2の配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、又はそれ以上のヌクレオチド若しくはアミノ酸にわたって、あるいは、第1の配列が第2の配列の相補体に対して実質的に相補的である場合、核酸について、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であることを意味する。
【0058】
本明細書で使用される「合成抗体」は、本明細書に記載の組換え核酸配列によってコードされ、被験体内で生成される抗体を指す。
【0059】
本明細書で使用される「治療」又は「治療すること」は、疾患を予防、抑制、制圧、又は完全に除去することによって、被験体を疾患から防御することを意味し得る。疾患の予防には、疾患の発症前に被験体に本発明の抗体を投与することが含まれる。疾患の抑制には、疾患の誘発後であるが臨床的出現の前に、被験体に本発明の抗体を投与することが含まれる。疾患の制圧には、疾患の臨床的出現後に被験体に本発明の抗体を投与することが含まれる。
【0060】
核酸に関して本明細書で使用される「変種」は、(i)参照されるヌクレオチド配列の一部又は断片;(ii)参照されるヌクレオチド配列又はその一部の相補体;(iii)参照される核酸又はその相補体と実質的に同一である核酸;又は(iv)参照される核酸、その相補体、又はそれと実質的に同一の配列に厳密性条件下でハイブリダイズする核酸、を意味し得る。
【0061】
ペプチド又はポリペプチドに関して「変種」とは、アミノ酸の挿入、欠失、又は保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているものを意味する。変種はまた、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する場合もある。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を同様の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度と分布)を有する異なるアミノ酸で置換することは、典型的には軽微な変更を伴うものとして当技術分野において認識されている。これらの小さな変化は、一部は、当技術分野で理解されているように、アミノ酸の疎水性指数を考慮することによって部分的に特定することができる。Kyte et al., J. Mol. Biol. 157:105-132 (1982)。アミノ酸の疎水性指数は、その疎水性と電荷の考慮に基づいている。同様のハイドロパシー指数のアミノ酸を置換してもタンパク質の機能を保持できることは当技術分野で知られている。1つの態様において、±2のハイドロパシー指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を利用して、タンパク質が生物学的機能を保持する置換を明らかにすることもできる。ペプチドとの関連でアミノ酸の親水性を考慮すると、そのペプチドの最大局所平均親水性の計算が可能になり、これは、抗原性及び免疫原性とよく相関することが報告されている有用な尺度である。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号。当技術分野で理解されているように、同様の親水性値を有するアミノ酸の置換により、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性指数と親水性値は両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。その観察と一致して、生物学的機能と適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、及び他の特性によって証明されるように、アミノ酸、特にこれらのアミノ酸の側鎖の相対的な類似性に依存すると理解される。
【0062】
変種は、完全な遺伝子配列の全長又はその断片にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列の全長又はその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であり得る。変種は、アミノ酸配列の全長又はその断片にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の全長又はその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であり得る。
【0063】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製開始点を含む核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、又は酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAベクター又はRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製する染色体外ベクターであっても、又は宿主ゲノムに組み込まれるベクターであってもよい。
【0064】
本明細書における数値範囲の記載に関して、これらの同程度の精度の介在する各数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6と9に加えて7と8が企図され、6.0~7.0の範囲では、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0が明示的に企図される。
【0065】
組成物
1つの実施態様において、本発明は、IL13Rα2への結合に特異的な抗原結合ドメインを含む二重特異性治療抗体(dTAB)、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。組成物は、それを必要とする被験体に投与されると、被験体において合成二重特異性IL13Rα2抗体の生成をもたらし得る。
【0066】
1つの実施態様において、二重特異性IL13Rα2 dTABは、IL13Rα2への結合に特異的な少なくとも1つの抗原結合ドメイン、及び少なくとも1つの免疫細胞エンゲージングドメインを含む。1つの実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、免疫細胞の表面に発現される抗原に特異的である。免疫細胞には、限定されるものではないが、T細胞、抗原提示細胞、NK細胞、好中球、及びマクロファージが含まれる。
【0067】
様々な実施態様において、免疫細胞エンゲージングドメインは、免疫細胞特異的受容体分子への結合に特異的な抗体、その断片、又はその変種をコードするヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様において、免疫細胞特異的受容体分子はT細胞表面抗原である。1つの実施態様において、T細胞特異的受容体分子は、CD3、TCR、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、及びCD95のうちの1つである。
【0068】
様々な実施態様において、抗原結合ドメインは、IL13Rα2への結合に特異的な抗体、その断片、又はその変種を含む。
【0069】
1つの実施態様において、IL13Rα2 dTABをコードするヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも1つのアミノ酸配列、又はその断片若しくは変種をコードする。1つの実施態様において、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、又は12個すべてのCDR配列を含む結合断片である。いくつかの実施態様において、結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも3個のCDR配列を含む。いくつかの実施態様において、結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも6個のCDR配列を含む。
【0070】
1つの実施態様において、IL13Rα2 dTABをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の少なくとも1つのヌクレオチド配列、又はその断片若しくは変種を含む。1つの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、本発明のdTABの結合断片をコードし、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、又は12個すべてのCDR配列をコードする、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、又は12個すべてのCDRコード配列を含む。いくつかの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも3個のCDR配列を含む本発明のdTABの結合断片をコードする。いくつかの実施態様において、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の少なくとも6個のCDR配列を含む本発明のdTABの結合断片をコードする。
【0071】
特定の実施態様において、組成物は、IL13Rα2の発現に関連する疾患又は障害を治療、予防、及び/又は防御することができる。1つの実施態様において、本発明の組成物は、IL13Rα2の発現に関連する任意の疾患、障害、又は状態を治療、予防、及び/又は防御することができる。特定の実施態様において、組成物は、癌を治療、予防、及び/又は防御することができる。1つの実施態様において、組成物は、神経膠芽腫を治療、予防、及び/又は防御することができる。
【0072】
合成抗体(例えば、dTAB)は、組成物を投与された被験体において、疾患を治療、予防、及び/又は疾患に対する防御をすることができる。合成抗体(例えば、dTAB)は、組成物を投与された被験体において、疾患からの生存を促進することができる。合成抗体(例えば、dTAB)は、組成物を投与された被験体において、疾患からの少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の生存を提供することができる。他の実施態様において、合成抗体(例えば、dTAB)は、組成物を投与された被験体において、疾患からの少なくとも約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%の生存を提供することができる。。
【0073】
組成物は、被験体への組成物の投与の少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、又は60時間以内に、被験体における合成抗体(例えば、dTAB)の生成をもたらし得る。組成物は、被験体への組成物の投与の少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、又は10日以内に、被験体における合成抗体(例えば、dTAB)の生成をもたらし得る。組成物は、被験体への組成物の投与の約1時間~約6日、約1時間~約5日、約1時間~約4日、約1時間~約3日、約1時間~約2日、約1時間~約1日、約1時間~約72時間、約1時間~約60時間、約1時間~約48時間、約1時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、又は約1時間~約6時間以内に、被験体における合成抗体(例えば、dTAB)の生成をもたらし得る。
【0074】
組成物は、それを必要とする被験体に投与されると、その被験体において、体液性免疫応答を誘導する抗原を投与された被験体における内因性抗体の生成よりも速く、合成抗体(例えば、dTAB)の生成をもたらされ得る。組成物は、体液性免疫応答を誘導する抗原を投与された被験体における内因性抗体の生成より、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、又は10日前に、合成抗体(例えば、dTAB)の生成をもたらされ得る。
【0075】
本発明の組成物は、安全であるため病気や死亡を引き起こさないこと、病気に対して防御的であること、並びに投与が容易で、副作用が少なく、生物学的安定性があり、及び用量当たりのコストが低いことなどの、有効な組成物に求められる特徴を備えることができる。
【0076】
組換え核酸配列
上述したように、組成物は組換え核酸配列を含み得る。組換え核酸配列は、合成抗体(例えば、dTAB)、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードすることができる。抗体は以下でさらに詳しく説明される。
【0077】
組換え核酸配列は、異種核酸配列であり得る。組換え核酸配列は、少なくとも1つの異種核酸配列又は1つ又はそれ以上の異種核酸配列を含み得る。
【0078】
組換え核酸配列は、最適化された核酸配列であり得る。このような最適化により、抗体の免疫原性を上昇させるか又は改変することができる。最適化は転写や翻訳も改善することができる。最適化は以下の1つ又はそれ以上を含み得る:転写を増加させるためのGC含量の低いリーダー配列;mRNAの安定性とコドンの最適化;翻訳を上昇させるためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加;シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列の追加;及び、可能性のあるシス作用性配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の可能な限りの排除。
【0079】
組換え核酸配列は、1つ又はそれ以上の組換え核酸配列構築物を含み得る。組換え核酸配列構築物は、以下により詳細に説明される1つ又はそれ以上の成分を含み得る。
【0080】
組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列構築物はまた、プロテアーゼ又はペプチダーゼ切断部位をコードする異種核酸配列も含むことができる。組換え核酸配列構築物はまた、内部リボソーム侵入部位(IRES)をコードする異種核酸配列も含むことができる。IRESは、ウイルスIRES又は真核生物IRESのいずれかであり得る。組換え核酸配列構築物は、各リーダー配列がシグナルペプチドをコードする1つ又はそれ以上のリーダー配列を含み得る。組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上のプロモーター、1つ又はそれ以上のイントロン、1つ又はそれ以上の転写終結領域、1つ又はそれ以上の開始コドン、1つ又はそれ以上の終結コドン又は終止コドン、及び/又は1つ又はそれ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。組換え核酸配列構築物はまた、1つ又はそれ以上のリンカー配列又はタグ配列を含むこともできる。タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードすることができる。
【0081】
重鎖ポリペプチド
組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする異種核酸を含み得る。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域及び/又は少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含み得る。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、及び定常重鎖領域3(CH3)、及び/又はヒンジ領域を含み得る。
【0082】
いくつかの実施態様において、重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含み得る。他の実施態様において、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含み得る。
【0083】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖ポリペプチドのN末端から始まり、これらのCDRはそれぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と記載される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及びCDR3は、抗原の結合又は認識に寄与することができる。
【0084】
軽鎖ポリペプチド
組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域及び/又は定常軽鎖(CL)領域を含み得る。
【0085】
軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含み得る。軽鎖ポリペプチドのN末端から始まり、これらのCDRはそれぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と記載される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及びCDR3は、抗原の結合又は認識に寄与することができる。
【0086】
プロテアーゼ切断部位
組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列を含み得る。プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼ又はペプチダーゼによって認識され得る。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼ又はエンドプロテアーゼ、例えば、限定されるものではないが、フリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン、及びペプシンであり得る。プロテアーゼはフリンであり得る。他の実施態様において、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、又は内部ペプチド結合を切断する(すなわち、N末端又はC末端ペプチド結合を切断しない)任意のプロテアーゼであり得る。
【0087】
プロテアーゼ切断部位は、切断効率を促進又は上昇させる1つ又はそれ以上のアミノ酸配列を含み得る。1つ又はそれ以上のアミノ酸配列は、別個のポリペプチドの形成又は生成の効率を促進又は上昇させることができる。1つ又はそれ以上のアミノ酸配列は、2Aペプチド配列を含み得る。
【0088】
リンカー配列
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上のリンカー配列を含み得る。リンカー配列は、本明細書に記載される1つ又はそれ以上の成分を空間的に分離又は連結することができる。他の実施態様において、リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に分離するか又は連結するアミノ酸配列をコードすることができる。1つの実施態様において、リンカー配列は、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号9)のアミノ酸配列を有するG4Sリンカー配列である。
【0089】
プロモーター
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上のプロモーターを含み得る。1つ又はそれ以上のプロモーターは、遺伝子発現を駆動し、遺伝子発現を調節することができる任意のプロモーターであり得る。このようなプロモーターは、DNA依存性RNAポリメラーゼを介する転写に必要なシス作用性配列要素である。遺伝子発現を指示するために使用されるプロモーターの選択は、具体的な用途によって異なる。プロモーターは、自然環境における転写開始部位からの距離とほぼ同じ距離で、組換え核酸配列構築物中の転写開始点からの距離に位置し得る。ただし、この距離の変動はプロモーター機能を失うことなく対応できる可能性がある。
【0090】
プロモーターは、重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に作動可能に連結され得る。プロモーターは、真核細胞における発現に有効であることが示されているプロモーターであり得る。コード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、CMVプロモーター、シミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーター、例えばSV40初期プロモーター及びSV40後期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えばウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、鳥白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばCMV前初期プロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、又はラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、ヒトポリヘドリン、又はヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子に由来するプロモーターであり得る。
【0091】
プロモーターは、宿主細胞が何らかの特定の外部刺激にさらされた場合にのみ転写を開始する、構成性プロモーター又は誘導性プロモーターであり得る。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織、器官、又は発達段階に特異的であり得る。プロモーターはまた、組織特異的プロモーター、例えば天然又は合成の筋肉又は皮膚特異的プロモーターであってもよい。このようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第20040175727号に記載されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0092】
プロモーターはエンハンサーと結合することができる。エンハンサーはコード配列の上流に位置することができる。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はウイルスエンハンサー、例えばCMV、FMDV、RSV、若しくはEBV由来のものであってもよい。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、第5,962,428号、及び国際公開第94/016737号に記載されており、それぞれの内容は参照により完全に組み込まれる。
【0093】
転写終結領域
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上の転写終結領域を含み得る。転写終結領域は、効率的な終結を提供するためにコード配列の下流にあり得る。転写終結領域は、上記プロモーターと同じ遺伝子から得ることもできるし、1つ又はそれ以上の異なる遺伝子から得ることもできる。
【0094】
開始コドン
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上の開始コドンを含み得る。開始コドンは、コード配列の上流に位置することができる。開始コドンはコード配列とインフレームにあってもよい。開始コドンは、効率的な翻訳開始に必要な1つ又はそれ以上のシグナル、例えば、限定されるものではないが、リボソーム結合部位に関連付けることができる。
【0095】
終結コドン
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上の終結コドン又は終止コドンを含み得る。終結コドンはコード配列の下流にあってもよい。終結コドンはコード配列とインフレームにあってもよい。終結コドンは、効率的な翻訳終結に必要な1つ又はそれ以上のシグナルと関連付けることができる。
【0096】
ポリアデニル化シグナル
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルには、転写物の効率的なポリアデニル化に必要な1つ又はそれ以上のシグナルが含まれ得る。ポリアデニル化シグナルは、コード配列の下流に位置することができる。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、又はヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen, San Diego, CA)からのポリアデニル化シグナルであってもよい。
【0097】
リーダー配列
組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上のリーダー配列を含み得る。リーダー配列はシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチド、例えば、限定されるものではないが、IgGシグナルペプチド及びIgEシグナルペプチドであり得る。
【0098】
組換え核酸配列構築物からの発現
上述したように、組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上の成分の中の、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列及び/又は軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み得る。従って、組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。
【0099】
上述の構成1を利用すると、第1の組換え核酸配列構築物は重鎖ポリペプチドの発現を促進することができ、第2の組換え核酸配列構築物は軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。上述の構成2を利用すると、組換え核酸配列構築物は重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。
【0100】
例えば、限定されるものではないが、細胞、生物、又は哺乳動物内で発現されると、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは集合して合成抗体(例えば、dTAB)になることができる。特に、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは相互作用して、集合の結果、抗原に結合できる合成抗体(例えば、dTAB)が得られる。他の実施態様において、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは相互作用して、集合の結果、本明細書に記載のように集合されなかった抗体と比較して、免疫原性がより高い合成抗体(例えば、dTAB)が得られる。さらに他の実施態様において、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは相互作用して、集合の結果、抗原に対する免疫応答を誘発又は誘導することができる合成抗体(例えば、dTAB)が得られる。
【0101】
ベクター
上述の組換え核酸配列構築物は、1つ又はそれ以上のベクター中に配置することができる。1つ又はそれ以上のベクターは複製開始点を含み得る。1つ又はそれ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、又は酵母人工染色体であり得る。1つ又はそれ以上のベクターは、自己複製染色体外ベクター、又は宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0102】
1つ又はそれ以上のベクターは、異種発現構築物であってもよく、これは一般に、標的細胞に特定の遺伝子を導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内に入ると、組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドが、細胞転写及び翻訳機構のリボソーム複合体によって生成される。1つ又はそれ以上のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、従ってタンパク質を発現することができる。
【0103】
発現ベクター
1つ又はそれ以上のベクターは、環状プラスミド又は線状核酸であり得る。環状プラスミド及び線状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指示することができる。組換え核酸配列構築物を含む1つ又はそれ以上のベクターはキメラであってもよく、これはその成分の少なくとも1つが、他の成分の少なくとも1つに関して異種であることを意味する。
【0104】
プラスミド
1つ又はそれ以上のベクターはプラスミドであり得る。このプラスミドは、細胞に組換え核酸配列構築物をトランスフェクトするのに有用であり得る。プラスミドは、組換え核酸配列構築物を被験体に導入するのに有用であり得る。プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現によく適している可能性がある調節配列を含み得る。
【0105】
プラスミドはまた、プラスミドを染色体外に維持し、細胞内でプラスミドの複数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製開始点を含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego, CA)のpVAX1、pCEP4、又はpREP4でもよく、これらは、エプスタインバーウイルスの複製開始点及び核抗原EBNA-1コード領域を含むことができ、これは、組込みなしで高コピーのエピソーム複製を生成し得る。プラスミドの骨格はpAV0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0106】
プラスミドはpSE420(Invitrogen, San Diego, Calif.)であってもよく、これは大腸菌(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pYES2(Invitrogen, SanDiego, CA)であってもよく、これは、酵母のサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)株におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen, SanDiego, CA)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA1又はpcDNA3(Invitrogen, SanDiego, CA)であってもよく、これは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。
【0107】
RNA
1つの実施態様において、核酸はRNA分子である。1つの実施態様において、RNA分子はDNA配列から転写される。従って1つの実施態様において、本発明は、本発明の合成抗体の1つ又はそれ以上をコードするRNA分子を提供する。RNAはプラス鎖であってもよい。従っていくつかの実施態様において、RNA分子は、逆転写などの介在する複製工程を必要とせずに、細胞によって翻訳され得る。本発明で有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有していてもよい。このキャップは、RNAのインビボ翻訳を増強する。本発明で有用なRNA分子の5’ヌクレオチドは、5’三リン酸基を有し得る。キャップ付きRNAでは、これは5’-to-5’架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は3’ポリAテールを有し得る。また、その3’末端近くにポリAポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を有し得る。本発明で有用なRNA分子は単鎖であってもよい。本発明で有用なRNA分子は、合成RNAを含み得る。いくつかの実施態様において、RNA分子は裸のRNA分子である。1つの実施態様において、RNA分子はベクター内に含まれる。
【0108】
1つの実施態様において、RNAは5’UTR及び3’UTRを有する。1つの実施態様において、5’UTRの長さは0~3000ヌクレオチドである。コード領域に付加される5’及び3’UTR配列の長さは、限定されるものではないが、UTRの異なる領域にアニーリングするPCR用のプライマーを設計するなどのさまざまな方法によって変更することができる。このアプローチを使用して当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するために必要な5’及び3’UTRの長さを変更することができる。
【0109】
5’及び3’UTRは、目的の遺伝子の天然に存在する内因性5’及び3’UTRであり得る。あるいは、UTR配列を前進プライマー及び逆進プライマーに組み込むことによって、又は鋳型のその他の修飾によって、目的の遺伝子にとって内因性ではないUTR配列を付加することもできる。目的の遺伝子に対して内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性及び/又は翻訳効率を変更するのに有用となり得る。例えば、3’UTR配列内のAUに富む要素がRNAの安定性を低下させる可能性があることが知られている。従って、3’UTRは、当技術分野でよく知られているUTRの特性に基づいて、転写されたRNAの安定性を高めるように選択又は設計することができる。
【0110】
1つの実施態様において、5’UTRは、内因性遺伝子のコザック配列を含み得る。あるいは、上記のように目的の遺伝子に内因性ではない5’UTRがPCRによって付加されている場合、5’UTR配列を付加することによってコンセンサスコザック配列を再設計することができる。コザック配列は一部のRNA転写物の翻訳効率を高めることができるが、効率的な翻訳を可能にするためにすべてのRNAに必須ということではないようである。多くのRNAについてコザック配列が必要であることは当技術分野で知られている。他の実施態様において、5’UTRは、そのRNAゲノムが細胞内で安定しているRNAウイルスに由来することができる。他の実施態様において、RNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げるために、3’又は5’UTRにおいて様々なヌクレオチド類似体を使用することができる。
【0111】
1つの実施態様において、RNAは、細胞内でのRNAのリボソーム結合、翻訳の開始、及び安定性を決定する5’末端のキャップと3’ポリ(A)テールの両方を有する。
【0112】
1つの実施態様において、RNAはヌクレオシド修飾されたRNAである。ヌクレオシド修飾されたRNAは、非修飾RNAに比べて、安定性の向上、自然免疫原性の低下又は欠如、及び翻訳の増強などの具体的な利点を有する。
【0113】
環状ベクター及び線状ベクター
1つ又はそれ以上のベクターは環状プラスミドでもよく、これは、細胞ゲノムへの組み込みによって標的細胞を形質転換するか、又は染色体外に存在することができる(例えば、複製開始点を有する自律複製プラスミド)。ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、若しくはprovax、又は組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドを発現できる他の任意の発現ベクターであり得る。
【0114】
また本明細書では、電気穿孔法を介して被験体に効率的に送達され、組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドを発現することができる線状核酸又は線状発現カセット(「LEC」)も提供される。LECは、リン酸骨格を持たない任意の直鎖状DNAであり得る。LECは、抗生物質耐性遺伝子及び/又はリン酸骨格を含まない場合がある。LECは、目的の遺伝子発現に関係のない他の核酸配列を含まない場合がある。
【0115】
LECは、線状化可能な任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドを発現することができ得る。プラスミドは、pNP(プエルトリコ/34)又はpM2(ニューカレドニア/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、若しくはprovax、又は組換え核酸配列構築物によってコードされる重鎖ポリペプチド及び/又は軽鎖ポリペプチドを発現することができる他の任意の発現ベクターであり得る。
【0116】
LECはpcrM2であり得る。LECはpcrNPであり得る。pcrNP及びpcrMRは、それぞれpNP(プエルトリコ/34)及びpM2(ニューカレドニア/99)に由来し得る。
【0117】
ベクターの作製方法
本明細書では、組換え核酸配列構築物が配置された1つ又はそれ以上のベクターを調製する方法が提供される。最終的なサブクローニング工程の後、当技術分野で既知の方法を使用することにより、ベクターを使用して大規模発酵タンク内の細胞培養物に接種することができる。
【0118】
他の実施態様において、最終サブクローニング工程後に、ベクターを1つ又はそれ以上の電気穿孔(EP)装置とともに使用することができる。EP装置については、以下でさらに詳しく説明される。
【0119】
1つ又はそれ以上のベクターは、既知の装置及び技術の組み合わせを使用して配合又は製造することができるが、好ましくはこれらは、認可された同時係属中の米国仮出願である米国特許出願第60/939,792号(これは、2007年5月23に出願された)に記載されているプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、本明細書に記載のDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で配合することができる。製造技術はまた、米国特許出願第60/939,792号に記載されているものに加えて、ライセンスされた特許である米国特許第7,238,522号(2007年7月3日に発行)に記載されたものを含む、当業者に一般に知られている様々な装置及びププロトコールを含むか組み込んでいる。上記で参照された出願及び及び特許である米国特許出願第60/939,792号及び米国特許第7,238,522号は、それぞれその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
抗体
いくつかの実施態様において、本発明は、抗体、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列に関する。抗体は抗原に結合又は反応することができ、これについては以下でより詳細に説明される。いくつかの実施態様において、抗体は、DNAコード化モノクローナル抗体(DMAb)、その断片、又はその変種である。いくつかの実施態様において、断片はScFv断片である。いくつかの実施態様において、抗体は、DNAコード化二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、その断片、又はその変種である。
【0121】
いくつかの実施態様において、抗体は、重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができ、これらはそれぞれ、CDRにサポートを提供し、CDRの相互の空間的関係を定義する重鎖及び軽鎖フレームワーク(「FR」)セットとの間に挿入される重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、重鎖又は軽鎖V領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖又は軽鎖のN末端から始まるこれらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と表示される。従って抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖のV領域のそれぞれからのCDRセットを含む6個のCDRを含み得る。
【0122】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断していくつかの断片を生成し、そのうちの2つ(F(ab)断片)はそれぞれ、完全な抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を構成する。酵素ペプシンはIgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含むいくつかの断片を提供することができる。従って、抗体はFab又はF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域及びCL領域を含み得る。
【0123】
抗体は免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及びIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域及びCL領域を含み得る。
【0124】
抗体はポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、単鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ又はそれ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種由来の抗体であり得る。
【0125】
抗体は、以下により詳細に説明されるように、二重特異性抗体であり得る。抗体は、以下により詳細に説明されるように、二官能性抗体であり得る。
【0126】
上述したように、組成物を被験体に投与すると、被験体内で抗体が生成され得る。抗体は被験体内で半減期を有し得る。いくつかの実施態様において、抗体は、被験体内での半減期を延長又は短縮するように修飾され得る。このような修飾については、以下でより詳細に説明される。
【0127】
抗体は、以下でより詳細に説明されるように脱フコシル化することができる。
【0128】
ScFv抗体
1つの実施態様において、本発明のdTABはScFv dTABである。1つの実施態様において、ScFv dTABは、CH1領域及びCL領域を含まないFab断片に関する。従って1つの実施態様において、ScFv dTABは、VH及びVLを含むFab断片dTABに関する。1つの実施態様において、ScFv dTABは、VHとVLとの間にリンカーを含む。1つの実施態様において、ScFv dTABはScFv-Fc dTABである。1つの実施態様において、ScFv-Fc dTABは、VH、VL、並びにCH2及びCH3領域を含む。1つの実施態様において、ScFv-Fc dTABは、VHとVLとの間にリンカーを含む。1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABと比較して、改変された発現、安定性、半減期、抗原結合、重鎖-軽鎖対合、組織浸透、又はこれらの組み合わせを有する。
【0129】
1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、又はそれ以上高い発現を有する。
【0130】
1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、又はそれ以上高い抗原結合を有する。
【0131】
1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、又はそれ以上長い半減期を有する。
【0132】
1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、又はそれ以上高い安定性を有する。
【0133】
1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、又はそれ以上高い組織貫通性を有する。
【0134】
1つの実施態様において、本発明のScFv dTABは、親dTABよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、又はそれ以上大きい重鎖-軽鎖対合を有する。
【0135】
1つの実施態様において、抗HER2 scFv抗体は、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列、又は配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2 scFv抗体は、配列番号66のアミノ酸、又は配列番号66のアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、HER2 scFv抗体は、配列番号65によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列、又は配列番号65の1つによってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2 scFv抗体は、配列番号65によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号65によってコードされるアミノ酸配列の断片を含む。
【0136】
モノクローナル抗体
1つの実施態様において、本発明は抗HER2抗体を提供する。抗体は、完全なモノクローナル抗体、及び免疫学的に活性な断片(例えば、Fab又は(Fab)2断片)、モノクローナル抗体重鎖、又はモノクローナル抗体軽鎖であり得る。
【0137】
抗体は、重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができ、これらはそれぞれ、CDRにサポートを提供しCDRの相互の空間的関係を定義する重鎖と軽鎖フレームワーク(「FR」)セットとの間に挿入される。CDRセットには、重鎖又は軽鎖V領域の3個の超可変領域が含まれ得る。重鎖又は軽鎖のN末端から始まるこれらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と記載される。従って、抗原結合部位には、重鎖及び軽鎖のV領域のそれぞれからのCDRセットを含む6個のCDRが含まれ得る。
【0138】
抗体は免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及びIgGであり得る。免疫グロブリンには、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドが含まれ得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドには、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域が含まれ得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドには、VL領域及びCL領域が含まれ得る。
【0139】
1つの実施態様において、抗HER2抗体はヒトでの発現のために最適化される。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列、又は配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号62のアミノ酸、又は配列番号62のアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号61によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列、又は配列番号61の1つによってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号61によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号61によってコードされるアミノ酸配列の断片を含む。
【0140】
1つの実施態様において、抗HER2抗体はマウスでの発現のために最適化される。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列、又は配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号64のアミノ酸、又は配列番号64のアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号61によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列、又は配列番号63の1つによってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%相同的なアミノ酸配列の断片を含む。1つの実施態様において、抗HER2抗体は、配列番号63によってコードされるアミノ酸配列、又は配列番号63によってコードされるアミノ酸配列の断片を含む。
【0141】
二重特異性T細胞エンゲージャー
上述したように、組換え核酸配列は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードすることができる。BiTEの抗原標的化ドメインは、抗原に結合又は反応することができ、これは以下でより詳細に説明される。
【0142】
BiTEの抗原標的化ドメインは、抗体、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせを含み得る。BiTEの抗原標的化ドメインはそれぞれ、CDRにサポートを提供し、CDRの相互の空間的関係を定義する重鎖と軽鎖フレームワーク(「FR」)セットとの間に挿入される重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、重鎖又は軽鎖V領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖又は軽鎖のN末端から始まるこれらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と表示される。従って抗原結合ドメインは、重鎖及び軽鎖のV領域のそれぞれからのCDRセットを含む6個のCDRを含み得る。
【0143】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断していくつかの断片を生成し、そのうちの2つ(F(ab)断片)はそれぞれ、完全なの抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を構成する。酵素ペプシンはIgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含むいくつかの断片を提供することができる。従って、BiTEの抗原標的化ドメインはFab又はF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域及びCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域及びCL領域を含み得る。
【0144】
BiTEの抗原標的化ドメインは免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及びIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域及びCL領域を含み得る。
【0145】
BiTEの抗原標的化ドメインはポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、単鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ又はそれ以上の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種由来の抗体であり得る。
【0146】
1つの実施態様において、本発明のDBiTEの抗原結合ドメイン及び免疫細胞エンゲージングドメインの少なくとも1つは、上で詳細に記載したScFv DNAコード化モノクローナル抗体(ScFv dTAB)である。
【0147】
二重特異性抗体
組換え核酸配列は、二重特異性抗体、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードすることができる。二重特異性抗体は、2つの抗原、例えば、以下でより詳細に説明される抗原のうちの2つと結合又は反応することができる。二重特異性抗体は、本明細書に記載される抗体のうちの2つの断片から構成されてもよく、それにより、二重特異性抗体が、以下により詳細に記載される抗原、受容体のリガンドを含むリガンド、受容体上のリガンド結合部位を含む受容体、リガンド-受容体複合体、及びマーカーを含み得る2つの所望の標的分子と結合又は反応することが可能になる。
【0148】
本発明は、第1の標的に特異的に結合する第1の抗原結合部位と、第2の標的に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含み、有利な特性、例えば、生産性、安定性、結合親和性、生物学的活性、特定のT細胞の特異的標的化、標的化効率、及び低毒性を有する、新規二重特異性抗体を提供する。場合によっては、高い親和性で第1の標的に結合し、低い親和性で第2の標的に結合する二重特異性抗体が存在する。他の例では、低い親和性で第1の標的に結合し、高い親和性で第2の標的に結合する二重特異性抗体がある。他の例では、所望の親和性で第1の標的に結合し、所望の親和性で第2の標的に結合する二重特異性抗体がある。
【0149】
1つの実施態様において、二重特異性抗体は、a)第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖と第1の重鎖、及びb)第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖と第2の重鎖を含む二価抗体である。
【0150】
本発明による二重特異性抗体分子は、任意の所望の特異性を有する2つの結合部位を有し得る。いくつかの実施態様において、結合部位の1つは腫瘍抗原であることができる。いくつかの実施態様において、Fab断片に含まれる結合部位は、腫瘍抗原に特異的な結合部位である。いくつかの実施態様において、単鎖Fv断片に含まれる結合部位は、腫瘍抗原、例えばCD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に特異的な結合部位である。
【0151】
いくつかの実施態様において、本発明による抗体分子の結合部位の1つは、T細胞特異的受容体分子及び/又はナチュラルキラー細胞(NK細胞)特異的受容体分子に結合することができる。T細胞特異的受容体は、いわゆる「T細胞受容体」(TCR)であり、これは、T細胞が、抗原提示細胞又はAPCと呼ばれる別の細胞によって提示されるエピトープ/抗原に結合し、及び追加のシグナルが存在する場合には、前記エピトープ/抗原により活性化され、及びこれに応答することを可能にする。T細胞受容体は、天然に存在する免疫グロブリンのFab断片に似ていることが知られている。それは一般に一価であり、α鎖及びβ鎖を包含し、いくつかの実施態様において、γ鎖及びδ鎖を包含する(前述)。従って、いくつかの実施態様において、TCRはTCR(アルファ/ベータ)であり、及びいくつかの実施態様において、それはTCR(ガンマ/デルタ)である。T細胞受容体は、CD3T細胞共受容体と複合体を形成する。CD3はタンパク質複合体であり、4つの異なる鎖で構成されている。哺乳動物では、この複合体は、CD3γ鎖、CD36鎖、及び2つのCD3E鎖を含有する。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)及びζ鎖として知られる分子と関連して、Tリンパ球内で活性化シグナルを生成する。従って、いくつかの実施態様において、T細胞特異的受容体はCD3T細胞共受容体である。いくつかの実施態様において、T細胞特異的受容体は、T細胞上でも発現されるタンパク質であるCD28である。CD28は、T細胞の活性化に必要な共刺激シグナルを提供することができる。CD28は、T細胞の増殖と生存、サイトカイン産生、及びTヘルパー2型の成長において重要な役割を果たす。T細胞特異的受容体のさらに別の例は、Ox40とも呼ばれるCD134である。CD134/OX40は活性化の24~72時間後に発現され、二次共刺激分子を定義するために利用することができる。T細胞受容体の別の例は、抗原提示細胞(APC)上の4-1BB-リガンドに結合することができる4-1BBであり、これにより、T細胞に対する共刺激シグナルが生成される。主にT細胞上に見られる受容体の別の例はCD5であり、これはB細胞にも低レベルで見られる。T細胞機能を修飾する受容体のさらなる例は、Fas受容体としても知られるCD95であり、これは、他の細胞の表面に発現されるFasリガンドによるアポトーシスシグナル伝達を媒介する。CD95は、休止Tリンパ球におけるTCR/CD3駆動シグナル伝達経路を調節することが報告されている。
【0152】
NK細胞特異的受容体分子の例は、CD16、低親和性Fc受容体、及びNKG2Dである。T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞の両方の表面に存在する受容体分子の例は、CD2、及びCD2スーパーファミリーのさらなるメンバーである。CD2は、T細胞及びNK細胞に対して共刺激分子として作用することができる。
【0153】
いくつかの実施態様において、抗体分子の第1の結合部位は腫瘍抗原に結合し、第2の結合部位はT細胞特異的受容体分子及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合する。
【0154】
いくつかの実施態様において、抗体分子の第1の結合部位は、CD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に結合し、第2の結合部位は、T細胞特異的受容体分子及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合する。いくつかの実施態様において、抗体分子の第1の結合部位は、CD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に結合し、第2の結合部位は、CD3、TCR、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、及びCD95の1つに結合する。いくつかの実施態様において、抗体分子の第1の結合部位は、CD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に結合し、第2の結合部位はCD3に結合する。
【0155】
いくつかの実施態様において、抗体分子の第1の結合部位は、T細胞特異的受容体分子及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子と結合し、第2の結合部位は腫瘍抗原と結合する。いくつかの実施態様において、抗体の第1の結合部位は、T細胞特異的受容体分子及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合し、第2の結合部位は、CD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に結合する。いくつかの実施態様において、抗体の第1の結合部位は、CD3、TCR、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、及びCD95の1つに結合し、第2の結合部位は、CD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に結合する。いくつかの実施態様において、抗体の第1の結合部位はCD3に結合し、第2の結合部位はCD19、BCMA、CD33、FAP、FSHR、EGFR、PSMA、CD123、又はHer2に結合する。
【0156】
1つの実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、本明細書に記載の1つ又はそれ以上のscFv抗体断片を含むDBiTEを含み、これによりDBiTEが所望の標的分子と結合又は反応することが可能になる。
【0157】
1つの実施態様において、DBiTEは、T細胞特異的受容体分子への結合に特異的な第2のscFvに連結された標的疾患特異的抗原への結合に特異的な第1のscFvをコードする核酸分子を含む。この連結は、第1及び第2のドメインを任意の順序で配置することができ、例えば、1つの実施態様において、標的疾患特異的抗原への結合に特異的なscFvをコードするヌクレオチド配列は、T細胞特異的受容体分子への結合に特異的なscFvをコードするヌクレオチド配列の5’(又は上流)に配向される。別の実施態様において、標的疾患特異的抗原への結合に特異的なscFvをコードするヌクレオチド配列は、T細胞特異的受容体分子への結合に特異的なscFvをコードするヌクレオチド配列の3’(又は下流)に配向される。
【0158】
二官能性抗体
組換え核酸配列は、二官能性抗体、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードすることができる。二官能性抗体は、以下に記載される抗原と結合又は反応することができる。二官能性抗体を修飾して、抗原の認識及び抗原への結合を超えて、追加の官能性を抗体に付与することができる。このような修飾には、限定されるものではないが、H因子又はその断片への結合が含まれる。H因子は補体活性化の可溶性調節因子であるため、補体媒介溶解(CML)を介して免疫応答に寄与することができる。
【0159】
抗体の半減期の延長
上述したように、合成抗体(例えば、dTAB、ScFv抗体断片、dTAB)を修飾して、被験体における抗体の半減期を延長又は短縮することができる。この修飾により、被験体の血清中の抗体の半減期を延長又は短縮することができる。
【0160】
修飾は抗体の定常領域に存在してもよい。修飾は、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換を含まない抗体の半減期と比較して、抗体の半減期を延長する、抗体の定常領域における1つ又はそれ以上のアミノ酸置換であり得る。修飾は、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換を含まない抗体の半減期と比較して、抗体の半減期を延長する抗体のCH2ドメインにおける1つ又はそれ以上のアミノ酸置換であり得る。
【0161】
いくつかの実施態様において、定常領域における1つ又はそれ以上のアミノ酸置換は、定常領域のメチオニン残基をチロシン残基で置換すること、定常領域のセリン残基をスレオニン残基で置換すること、定常領域のスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができ、これにより抗体の半減期が延長される。
【0162】
他の実施態様において、定常領域における1つ又はそれ以上のアミノ酸置換は、CH2ドメインのメチオニン残基をチロシン残基で、CH2ドメインのセリン残基をスレオニン残基で、CH2ドメインのスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができ、これにより抗体の半減期が延長される。
【0163】
脱フコシル化
組換え核酸配列は、フコシル化されていない抗体(すなわち、脱フコシル化抗体又は非フコシル化抗体)、その断片、その変種、又はそれらの組み合わせをコードすることができる。フコシル化には、分子への糖フコースの付加、例えば、N-グリカン、O-グリカン、及び糖脂質へのフコースの付着が含まれる。従って、脱フコシル化抗体では、定常領域の糖鎖にフコースが結合していない。次に、このフコシル化の欠如により、フコシル化抗体と比較して、抗体によるFcγRIIIa結合及び抗体指向性細胞傷害(ADCC)活性が改善される可能性がある。従って、いくつかの実施態様において、非フコシル化抗体は、フコシル化抗体と比較して上昇したADCC活性を示し得る。
【0164】
抗体を修飾して、抗体のフコシル化を防止又は阻害することができる。いくつかの実施態様において、このような修飾抗体は、非修飾抗体と比較して上昇したADCC活性を示し得る。修飾は、重鎖、軽鎖、又はこれらの組み合わせにあり得る。修飾は、重鎖における1つ又はそれ以上のアミノ酸置換、軽鎖における1つ又はそれ以上のアミノ酸置換、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0165】
CAR分子
1つの実施態様において、本発明は、本発明のIL13Rα2抗体を含む結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。1つの実施態様において、CARは抗原結合ドメインを含む。1つの実施態様において、抗原結合ドメインは標的化ドメインであり、ここで標的化ドメインは、CARを発現するT細胞をIL13Rα2発現細胞に向ける。例えば、1つの実施態様において、標的化ドメインは、IL13Rα2に特異的に結合する抗体、抗体断片、又はペプチドを含む。
【0166】
様々な実施態様において、CARは、「第1世代」、「第2世代」、「第3世代」、「第4世代」、又は「第5世代」のCARであり得る(例えば、Sadelain et al., Cancer Discov. 3(4):388-398 (2013); Jensen et al., Immunol. Rev. 257:127-133 (2014); Sharpe et al., Dis. Model Mech. 8(4):337-350 (2015); Brentjens et al., Clin. Cancer Res. 13:5426-5435 (2007); Gade et al., Cancer Res. 65:9080-9088 (2005); Maher et al., Nat. Biotechnol. 20:70-75 (2002); Kershaw et al., J. Immunol. 173:2143-2150 (2004); Sadelain et al., Curr. Opin. Immunol. (2009); Hollyman et al., J. Immunother. 32:169-180 (2009)を参照)。
【0167】
本発明で使用される「第1世代」CARは、抗原結合ドメイン、例えば、T細胞受容体鎖の細胞質/細胞内ドメインに融合された膜貫通ドメインに融合された単鎖可変断片(scFv)を含む。「第1世代」CARは通常、内因性T細胞受容体(TCR)からのシグナルの主な伝達物質であるCD3ζ鎖の細胞内ドメインを有する。「第1世代」CARは新規の抗原認識を提供することができ、HLA媒介抗原提示からは独立して、単一融合分子内のCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを介して、CD4+及びCD8+T細胞の両方の活性化を引き起こすことができる。
【0168】
本発明で使用される「第2世代」CARは、抗原結合ドメイン、例えば、T細胞を活性化することができる細胞内シグナル伝達ドメイン並びにT細胞の力価及び持続性を増強するように設計された共刺激ドメインに融合された単鎖可変断片(scFv)を含む(Sadelain et al., Cancer Discov. 3:388-398 (2013))。従って、CAR設計では、抗原認識とシグナル伝達、つまり2つの別個の複合体(TCRヘテロ二量体とCD3複合体)によって生理学的に担われる2つの機能を組み合わせることができる。「第2世代」CARには、CARの細胞質尾部にさまざまな共刺激分子、例えばCD28、4-1BB、ICOS、OX40などの細胞内ドメインが含まれており、細胞に追加のシグナルを提供する。
【0169】
「第2世代」CARは、例えばCD28又は4-1BBドメインによる共刺激と、例えばCD3ζシグナル伝達ドメインによる活性化の両方を提供する。前臨床試験では、「第2世代」CARがT細胞の抗腫瘍活性を改善できることが示されている。例えば、「第2世代」CAR修飾T細胞の強力な有効性は、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者においてCD19分子を標的とする臨床試験で証明された(Davila et al., Oncoimmunol. 1(9):1577-1583 (2012))。
【0170】
「第3世代」CARは、例えばCD28ドメインと4-1BBドメインの両方を含むことによる複数の共刺激と、例えばCD3ζ活性化ドメインを含むことによる活性化とを提供する。
【0171】
「第4世代」CARは、例えばCD28又は4-1BBドメインによる共刺激と、構成的又は誘導性ケモカイン成分に加えて、例えばCD3ζシグナル伝達ドメインによる活性化とを提供する。
【0172】
「第5世代」CARは、例えばCD28又は4-1BBドメインによる共刺激と、例えばCD3ζシグナル伝達ドメイン、構成的又は誘導性ケモカイン成分、及びサイトカイン受容体、例えばIL-2Rβの細胞内ドメインによる活性化とを提供する。
【0173】
様々な実施態様において、CARは、多価CARシステム、例えば二重CAR又は「タンデムCAR」システムに含まれ得る。多価CARシステムには、複数のCARを含むシステム又は細胞、及び2つ以上の抗原を標的とする二価/二重特異性CARを含むシステム又は細胞が含まれる。
【0174】
本明細書に開示される実施態様において、CARは、一般に、上記のように、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含む。特定の非限定的な実施態様において、抗原結合ドメインは、本発明のIL13Rα2抗体又はその変種、例えば、IL13Rα2への結合に特異的な本発明のIL13Rα2抗体のscFV断片である。
【0175】
抗原
1つの実施態様において、合成抗体(例えば、dTAB、ScFv抗体断片、dTAB)は、IL13Rα2又はその断片若しくは変種を対象とする。抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、多糖、又はこれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、これらの変種、これらの断片、又はこれらの組み合わせであり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、これらの変種、これらの断片、又はこれらの組み合わせであり得る。多糖は、核酸によってコードされた多糖であり得る。
【0176】
1つの実施態様において、本発明の合成DNAコード化二重特異性免疫細胞エンゲージャーは、2つ以上の抗原を標的とする。1つの実施態様において、二重特異性抗体の少なくとも1つの抗原はIL13Rα2である。1つの実施態様において、二重特異性抗体の少なくとも1つの抗原は、T細胞活性化抗原である。
【0177】
T細胞特異的受容体
1つの実施態様において、本発明の二重特異性dTABは、T細胞特異的受容体のscFvを含む。T細胞特異的受容体には、限定されるものではないが、CD3、TCR、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、CD40、FcgR、FceR、FcaR、及びCD95が含まれる。
【0178】
組成物の賦形剤及びその他の成分
組成物はさらに、医薬的に許容し得る賦形剤を含み得る。医薬的に許容し得る賦形剤は、ビヒクル、担体、又は希釈剤などの機能性分子であり得る。医薬的に許容し得る賦形剤は、トランスフェクション促進剤でもよく、これは、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、若しくはナノ粒子、又は他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。
【0179】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含むポリカチオン、又は脂質である。トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタミン酸であり、ポリ-L-グルタミン酸は6mg/ml未満の濃度で組成物中に存在し得る。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞を含むことができ、ヒアルロン酸も組成物と併用して投与され得る。組成物はまた、脂質、リポソーム(DNA-リポソーム混合物(例えば、WO9324640を参照)として、レシチンリポソーム又は当技術分野で公知の他のリポソームを含む)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、若しくはナノ粒子、又は他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含む)、又は脂質である。組成物中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、又は0.010mg/ml未満である。
【0180】
組成物は、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号(その全体が参照により組み込まれる)に記載されているような遺伝促進剤(genetic facilitator)をさらに含み得る。
【0181】
組成物は、DNAを約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、又は好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、又はより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含み得る。いくつかの好適な実施態様において、本発明による組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好適な実施態様において、組成物は約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含み得る。いくつかの好適な実施態様において、組成物は約0.1~約500マイクログラムのDNAを含み得る。いくつかの好適な実施態様において、組成物は約1~約350マイクログラムのDNAを含み得る。いくつかの好適な実施態様において、組成物は約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100から約200マイクログラムのDNAを含み得る。
【0182】
組成物は、使用される投与様式に従って製剤化することができる。注射可能な医薬組成物は、無菌、発熱物質不含、及び微粒子不含であり得る。等張製剤又は溶液を使用することができる。等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、乳糖を含み得る。組成物は血管収縮剤を含み得る。等張溶液はリン酸緩衝化生理食塩水を含み得る。組成物は、ゼラチン及びアルブミンを含む安定剤をさらに含むことができる。安定剤は、製剤が周囲温度で長期間安定であることを可能にし、LGS、ポリカチオン、又はポリアニオンを含む。
【0183】
合成抗体の生成方法
本発明はまた、合成治療抗体を生成する方法にも関する。本方法は、以下により詳細に記載される送達方法を使用することによって、それを必要とする被験体に組成物を投与することを含み得る。従って、合成抗体は、被験体内で、又は組成物を被験体に投与するとインビボで生成される。
【0184】
本方法はまた、組成物を1つ又はそれ以上の細胞に導入することを含むことができ、従って、合成抗体は1つ又はそれ以上の細胞内で生成又は産生され得る。本方法はさらに、1つ又はそれ以上の組織、例えば、限定されるものではないが、皮膚及び筋肉に組成物を導入することを含むことができ、従って、合成抗体は1つ又はそれ以上の組織内で生成又は産生され得る。
【0185】
組成物の送達方法
本発明はまた、組成物をそれを必要とする被験体に送達する方法にも関する。送達方法は、被験体に組成物を投与することが含み得る。投与は、限定されるものではないが、インビボ電気穿孔法を伴うか又は伴わないDNA注入、リポソーム媒介送達、及びナノ粒子促進送達を含み得る。
【0186】
組成物の送達を受ける哺乳動物は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、ウシ(cow)、ウシ(cattle)、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、水牛、バイソン、ウシ属動物、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、及びニワトリであり得る。
【0187】
組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔投与、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、くも膜下腔内、及び関節内、又はこれらの組み合わせを含む異なる経路によって投与され得る。獣医学的使用の場合、組成物は、通常の獣医学的実践に従って、適切に許容される製剤として投与され得る。獣医師は、特定の動物に最も適した投与計画と投与経路を容易に決定することができる。組成物は、従来の注射器、無針注射器具、「微量注入衝撃遺伝子銃」、又は他の物理的方法、例えば電気穿孔法(「EP」)、「流体力学的方法」、若しくは超音波によって投与され得る。
【0188】
電気穿孔法
電気穿孔法による組成物の投与は、細胞膜に可逆性細孔を形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成できる、電気穿孔装置を使用して実施することができ、好ましくはエネルギーのパルスは、ユーザーが入力したプリセット電流と同様の定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔法構成要素及び電極アセンブリ又はハンドルアセンブリを備え得る。電気穿孔法構成要素は、以下を含む電気泳動装置の種々の要素の1つ又はそれ以上を含み組み込み得る:コントローラー、電流波形発生器、インピーダンステスター、波形ロガー、入力要素、状態報告要素、通信ポート、メモリコンポーネント、電源、及び電源スイッチ。電気穿孔法は、インビボ電気穿孔装置、例えばCELLECTRA EP システム(Inovio Pharmaceuticals, Plymouth Meeting, PA)又は Elgen 電気穿孔装置(Inovio Pharmaceuticals, Plymouth Meeting, PA)を使用して実施することができ、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを促進する。
【0189】
電気穿孔法構成要素は電気穿孔法装置の1つの要素として機能することができ、他の要素は電気穿孔法構成要素と通信する別個の要素(又は構成要素)である。電気穿孔法構成要素は、電気穿孔法装置の2つ以上の要素として機能することができ、これは電気穿孔法構成要素とは別の電気穿孔法装置のさらに別の要素と通信することができる。1つの電気機械的又は機械的装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素は、要素が1つの装置として又は互いに通信する別個の要素として機能できるため、限定されない。電気穿孔法構成要素は、所望の組織内に定電流を生成するエネルギーパルスを送達することができ、及びフィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間配置で複数の電極を有する電極アレイを含んでもよく、ここで、電極アセンブリは、電気穿孔法構成要素からエネルギーパルスを受け取り、これを電極を通じて所望の組織に送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達中にニュートラルであり、所望の組織内のインピーダンスを測定し、そのインピーダンスを電気穿孔法構成要素に伝達する。フィードバック機構は測定されたインピーダンスを受け取り、電気穿孔法構成要素によって送達されるエネルギーのパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0190】
複数の電極が、エネルギーのパルスを分散パターンで送達することができる。複数の電極は、プログラムされたシーケンスの下で電極の制御を通じて分散パターンでエネルギーのパルスを送達することができ、プログラムされたシーケンスはユーザーによって電気穿孔法構成要素に入力される。プログラムされたシーケンスは、順番に送達される複数のパルスを含むことができ、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を備えた少なくとも2つの能動電極によって送達され、複数のパルスの後続のパルスは、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を備えた少なくとも2つの能動電極の異なる1つにより送達される。
【0191】
フィードバック機構はハードウェア又はソフトウェアのいずれかによって実行できる。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実行されてもよい。フィードバックは50μs、20μs、10μs、又は1μsごとに発生するが、リアルタイムフィードバック又は瞬間的(すなわち、応答時間を決定するための利用可能な技術によって決定されるように実質的に瞬間的)であることが好ましい。ニュートラル電極は、所望の組織内のインピーダンスを測定し、そのインピーダンスをフィードバック機構に伝達することができ、フィードバック機構は、インピーダンスに応答して、エネルギーのパルスを調整して、定電流を事前設定電流と同様の値に維持する。フィードバック機構は、エネルギーパルスの送出中、継続的かつ瞬間的に定電流を維持することができる。
【0192】
本発明の組成物の送達を促進し得る電気穿孔装置及び電気穿孔法の例としては、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開公報第2001/0052630号に記載されているものが挙げられ、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。組成物の送達を促進するために使用され得る他の電気穿孔装置及び電気穿孔法としては、2007年10月17日に出願された同時係属及び共同所有の米国特許出願第11/874072号で提供されるものが挙げられ、これは、USC119(e)の下で米国仮出願60/852,149号(2006年10月17日出願)及び60/978,982号(2007年10月10日出願)(これらはすべて、その全体が本明細書に組み込まれる)の利益を主張している。
【0193】
Dragia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、身体又は植物の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのモジュール式電極システムとその使用について説明している。モジュール式電極システムは、複数の針電極、皮下注射針、プログラム可能な定電流パルスコントローラーから複数の針電極への導電リンクを提供する電気コネクター、及び電源を備えていてもよい。操作者は、支持構造に取り付けられた複数の針電極を掴み、これらを身体又は植物の選択された組織にしっかり挿入することができる。次に、生体分子は皮下注射針を介して選択された組織に送達される。プログラム可能な定電流パルスコントローラーが起動され、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
Smithらによって提出された米国特許公開公報2005/0052630は、身体又は植物の選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に促進するために使用できる電気穿孔装置を記載している。電気穿孔装置は、その動作がソフトウェア又はファームウェアによって指定される動電装置(「EKD装置」)を備える。EKD装置は、パルスパラメータのユーザー制御と入力に基づいて、一連のプログラム可能な定電流パルスパターンをアレイ内の電極間に生成し、電流波形データの保存と取得を可能にする。電気穿孔装置はまた、針電極のアレイを有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注入チャネル、及び着脱式ガイドディスクも備える。米国特許公開公報第2005/0052630号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0195】
米国特許第7,245,963号及び米国特許公開公報第2005/0052630号に記載されている電極アレイ及び方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織又は器官にも深く浸透するように適合させることができる。電極アレイの構成により、(選択した生体分子を送達するための)注射針も標的臓器に完全に挿入され、注射針は、あらかじめ電極により輪郭が描かれた領域の標的部位に対して直角に投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許公開公報第2005/005263号に記載されている電極は、長さ20mm及びゲージ21であることが好ましい。
【0196】
さらに、電気穿孔装置及びその使用を組み込むいくつかの実施態様において企図されるものには、以下の特許に記載されている電気穿孔装置がある:1993年12月28日発行の米国特許第5,273,525号、2000年8月29日発行の米国特許第6,110,161号、2001年7月17日発行の第6,261,281号、2005年10月25日発行の第6,958,060号、及び2005年9月6日発行の第6,939,862号。さらに、様々な装置のいずれかを使用するDNAの送達に関する2004年2月24日発行の米国特許第6,697,669号、及びDNA注入方法に関する2008年2月5日発行の米国特許第7,328,064号に提供される主題をカバーする特許が、本明細書で企図される。上記特許は、その全体が参照により組み込まれる。
【0197】
方法
1つの実施態様において、本発明は、合成抗体(例えば、二重特異性dTAB)を、それを必要とする被験体に投与する方法を提供する。また本明細書では、それを必要とする被験体で合成抗体(例えば、二重特異性dTAB)を生成することによって、被験体の疾患を治療、防御、及び/又は予防する方法も提供される。本方法は、被験体に組成物を投与することを含み得る。被験体への組成物の投与は、上記の送達方法を使用して行うことができる。
【0198】
特定の実施態様において、本発明は、癌を治療し、癌から防御し、及び/又は癌を予防する方法を提供する。1つの実施態様において、本方法は、腫瘍の増殖を治療、防御、及び/又は予防する。1つの実施態様において、本方法は、癌の進行を治療し、癌の進行に対して防御し、及び/又は癌の進行を予防する。1つの実施態様において、本方法は、癌転移を治療し、癌転移を防御し、及び/又は癌転移を予防する。
【0199】
1つの実施態様において、本発明は、限定されるものではないが、子宮筋腫などの良性腫瘍の増殖を予防する方法を提供する。本方法は、良性腫瘍と診断された被験体に1つ又はそれ以上の本発明の組成物の有効量を投与することを含む。
【0200】
被験体において合成抗体(例えば、dTAB)が生成されると、合成抗体(例えば、dTAB)は抗原に結合又は反応することができる。このような結合は、抗原を中和し、別の分子、例えばタンパク質又は核酸による抗原の認識をブロックし、そして抗原に対する免疫応答を誘発又は誘導し、これにより被験体における抗原に関連する疾患を治療、防御、及び/又は予防することができる。
【0201】
組成物の用量は、1μg~10mg活性成分/kg体重/時間でもよく、20μg~10mg成分/kg体重/時間であり得る。組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31日ごとに投与することができる。効果的な治療のための組成物の投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回であり得る。
【0202】
癌治療
本発明は、癌を治療若しくは予防する方法、又は腫瘍の増殖若しくは転移を治療及び予防する方法を提供する。本発明の関連する態様は、個体における過形成細胞又は腫瘍細胞の転移を予防する、予防を補助する、及び/又は低減する方法を提供する。
【0203】
本発明の一態様は、それを必要とする個体における転移を阻害する方法を提供し、本方法は、本発明の組成物の有効量を個体に投与することを含む。本発明はさらに、それを必要とする個体における転移を阻害する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載の組成物のいずれか1つの有効な転移阻害量を個体に投与することを含む。
【0204】
それを必要とする個体における癌を治療若しくは予防するか、又は腫瘍の転移を治療及び予防するいくつかの実施態様において、抗腫瘍剤などの第2の薬剤が個体に投与される。いくつかの実施態様において、第2の薬剤は、プラスミノーゲンアンタゴニスト又はアデノシンデアミナーゼアンタゴニストなどの第2の転移阻害剤を含む。他の実施態様において、第2の薬剤は血管新生阻害剤である。
【0205】
本発明の組成物は、ヒト及び動物における癌を予防、軽減、最小化、制御、及び/又は軽減するために使用することができる。本発明の組成物はまた、原発腫瘍の増殖速度を遅らせるために使用することもできる。本発明の組成物は、治療を必要とする被験体に投与される場合、癌細胞の拡散を止めるために使用することができる。従って、本発明の組成物は、1つ又はそれ以上の薬物又は他の薬剤との併用療法の一部として投与することができる。併用療法の一部として使用される場合、本発明の組成物によってもたらされる転移の減少及び原発腫瘍増殖の低下により、患者の治療に使用される任意の薬剤又は薬物療法のより効果的かつ効率的な使用が可能になる。さらに、本発明の組成物による転移の制御により、被験体が疾患を一箇所に集中させる能力がさらに高まる。
【0206】
1つの実施態様において、本発明は、悪性腫瘍又は他の癌性細胞の転移を予防する方法、並びに腫瘍増殖速度を低下させる方法を提供する。本方法は、悪性腫瘍若しくは癌性細胞を有すると診断された被験体、又は腫瘍若しくは癌性細胞を有する被験体に、本発明の組成物の1つ又はそれ以上の有効量を投与することを含む。
【0207】
以下は、本発明の方法及び組成物によって治療できる癌の非限定的な例である:急性リンパ芽球性白血球;急性骨髄性白血病;副腎皮質癌;副腎皮質癌、小児期;虫垂癌;基底細胞癌;胆管癌、肝外;膀胱癌;骨癌;骨肉腫及び悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小児期;脳腫瘍、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児期;中枢神経系胎児性腫瘍;小脳星状細胞腫;大脳星細胞/悪性神経膠腫;頭蓋咽頭腫;上衣芽腫;上衣腫;髄芽腫;髄上皮腫;中間分化の松果体実質腫瘍;テント上原始神経外胚葉腫瘍及び松果体芽腫;視覚経路と視床下部神経膠腫;脳腫瘍及び脊髄腫瘍;乳癌;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍;カルチノイド腫瘍、胃腸;中枢神経系の非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫;小脳星細胞腫大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児期;子宮頸癌;脊索腫、小児期;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性疾患;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;食道癌;ユーイング家系腫瘍;性腺外生殖細胞腫瘍;肝外胆管癌;眼癌、眼内黒色腫;眼癌、網膜芽細胞腫;胆嚢癌;胃(胃)癌;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST);生殖細胞腫瘍、頭蓋外;生殖細胞腫瘍、性腺外;生殖細胞腫瘍、卵巣;妊娠性絨毛性腫瘍;神経膠腫;神経膠腫、小児脳幹;神経膠腫、小児脳星状細胞腫;神経膠腫、小児視覚経路及び視床下部性;有毛細胞白血病;頭頸部癌;肝細胞(肝臓)癌;組織球症、ランゲルハンス細胞;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視覚経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞腫瘍;腎臓(腎細胞)癌;ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;白血病、急性リンパ芽球性;白血病、急性骨髄性;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、有毛細胞;唇癌と口腔癌;肝臓癌;肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、エイズ関連;リンパ腫、バーキット;リンパ腫、皮膚T細胞;リンパ腫、ホジキン;リンパ腫、非ホジキン;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストローム;骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫;髄芽腫;黒色腫;黒色腫、眼内(目);メルケル細胞癌;中皮腫;原発性潜伏性の転移性頸部扁平上皮癌;口癌;多発性内分泌腫瘍症候群(小児期);多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;真菌症;息肉症;骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖性疾患、慢性;鼻腔癌及び副鼻腔癌;上咽頭癌;神経芽細胞腫;非小細胞肺癌;口腔癌(Oral Cancer);口腔癌(Oral Cavity Cancer);中咽頭癌;骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣の悪性度の低い腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞腫瘍;乳頭腫症;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果芽腫及びテント上原始神経外胚葉腫瘍;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞(腎臓)癌;腎盂及び尿管、移行上皮癌;第15染色体上のNUT遺伝子を伴う気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;唾液腺癌;肉腫、ユーイング家系腫瘍;肉腫、カポジ;肉腫、軟部組織;肉腫、子宮;セザリー症候群;皮膚癌(非黒色腫);皮膚癌(黒色腫);皮膚癌、メルケル細胞;小細胞肺癌;小腸癌、軟組織肉腫;扁平上皮癌、原発性潜伏性扁平頸部癌、転移性;胃(胃)癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚;精巣癌;咽喉癌;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;腎盂及び尿管の移行細胞癌;絨毛性腫瘍、妊娠性;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;ワルデンストレームマクログロブリン血症;及びウィルムス腫瘍。1つの実施態様において、癌はIL13Rα2の発現に関連している、1つの実施態様において、癌は神経膠芽腫である。
【0208】
1つの実施態様において、本発明は、本発明の組成物による治療の前、それと同時、又はその後に、癌の補完療法、例えば手術、化学療法、化学療法剤、放射線療法、若しくはホルモン療法、又はこれらの組み合わせで被験体を治療することを含む、癌転移を治療する方法を提供する。
【0209】
化学療法剤には、細胞傷害剤(例えば、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキセート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、オキソルビシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、シタラビンUSP、シクロホスファミド、エストラムシンリン酸ナトリウム、アルトレタミン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シクロホスファミド、ミトキサントロン、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロンアルファ-2a組換え体、パクリタキセル、テニポシド、及びストレプトゾシン)、細胞傷害性アルキル化剤(例えば、ブスルファン、クロランブシル、シクロホスファミド、メルファラン、又はエチルスルホン酸)、アルキル化剤(例えば、アサリー、AZQ、BCNU、ブスルファン、ビスルファン、カルボキシフタラート白金、CBDCA、CCNU、CHIP、クロラムブシル、クロロゾトシン、シス白金、クロメゾン、シアノモルホリノドキソルビシン、シクロジゾン、シクロホスファミド、ジアンヒドロガラクチトール、フルオロドパン、ヘプスルファム、ヒカントン、イホスファミド、メルファラン、メチルCCNU、マイトマイシンC、ミトゾラミド、ナイトロジェンマスタード、PCNU、ピペラジン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ポルフィロマイシン、スピロヒダントインマスタード、ストレプトゾトシン、テロキシロン、テトラプラチン、チオテパ、トリエチレンメラミン、ウラシルナイトロジェンマスタード、及びYoshi-864)、抗有糸分裂剤(例えば、アロコルヒチン、ハリコンドリンM、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドラスタチン10、メイタンシン、リゾキシン、パクリタキセル誘導体、パクリタキセル、チオコルヒチン、トリチルシステイン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン)、植物アルカロイド(例えば、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、L-アスパラギナーゼ、イダルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ダウノルビシン、VP-16-213、VM-26、ナベルビン、及びタキソテール)、生物学的製剤(例えば、αインターフェロン、BCG、G-CSF、GM-CSF、及びインターロイキン-2)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、カンプトテシン誘導体、及びモルホリノドキソルビシン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ミトキサントロン、アモナフィド、m-AMSA、アントラピラゾール誘導体、ピラゾロアクリジン、ビサントレンHCL、ダウノルビシン、デオキシドキソルビシン、メノガリル、N,N-ジベンジルダウノマイシン、オキサントラゾール、ルビダゾン、VM-26、及びVP-16)、及び合成物質(例えば、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、o,p’-DDD、ダカルバジン、CCNU、BCNU、cis-ジアンミンジクロロ白金、ミトキサントロン、CBDCA、レバミゾール、ヘキサメチルメラミン、オールトランスレチノイン酸、グリアデル、及びポルフィマーナトリウム)が含まれる。
【0210】
抗増殖剤は、細胞の増殖を減少させる化合物である。抗増殖剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、酵素、生体応答調節物質、さまざまな薬剤、ホルモン及びアンタゴニスト、アンドロゲン阻害剤(例えば、酢酸フルタミド及び酢酸ロイプロリド)、抗エストロゲン剤(例えば、クエン酸タモキシフェン及びその類似体、トレミフェン、ドロロキシフェン、及びロロキシフェン)が含まれる。特定の抗増殖剤の例としては、限定されるものではないが、レバミゾール、硝酸ガリウム、グラニセトロン、サルグラモスチムストロンチウム-89クロリド、フィルグラスチム、ピロカルピン、デクスラゾキサン、及びオンダンセトロンが挙げられる。
【0211】
本発明の化合物は、単独で、又は細胞傷害剤/抗腫瘍剤及び抗血管新生剤を含む他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与することができる。細胞傷害剤/抗腫瘍剤は、癌細胞を攻撃して殺す薬剤として定義される。一部の細胞傷害剤/抗腫瘍剤は、腫瘍細胞内の遺伝物質をアルキル化するアルキル化剤であり、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、トリメチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ブスルファン、クロランブシル、ベルスチン、ウラシルマスタード、クロマファジン、及びダカバジンである。他の細胞傷害剤/抗腫瘍剤は、腫瘍細胞の代謝拮抗剤、例えば、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキセート、メルカプトプリリン、アザチオプリム、プロカルバジンである。他の細胞傷害剤/抗腫瘍剤は、抗生物質、例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、マイトマイシンC、及びダウノマイシンである。これらの化合物用に多数のリポソーム製剤が市販されている。さらに他の細胞傷害剤/抗腫瘍剤は、有糸分裂阻害剤(ビンカアルカロイド)である。これらには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシドが含まれる。その他の細胞傷害剤/抗腫瘍剤には、タキソールとその誘導体、L-アスパラギナーゼ、抗腫瘍抗体、ダカルバジン、アザシチジン、アムサクリン、メルファラン、VM-26、イフォスファミド、ミトキサントロン、ビンデシンが含まれる。
【0212】
抗血管新生剤は当業者にはよく知られている。本発明の方法及び組成物での使用に適した抗血管新生剤には、ヒト化抗体及びキメラ抗体を含む抗VEGF抗体、抗VEGFアプタマー、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。他の既知の血管新生阻害剤には、アンギオスタチン、エンドスタチン、インターフェロン、インターロイキン1(アルファ及びベータを含む)、インターロイキン12、レチノイン酸、及びメタロプロテイナーゼ1及び2の組織阻害剤(TIMP-1及び-2)が含まれる。抗血管新生活性を有するトポイソメラーゼII阻害剤であるラゾキサンなどのトポイソメラーゼを含む小分子も使用することができる。
【0213】
本発明の組成物と組み合わせて使用できる他の抗癌剤としては、限定されるものではないが、以下が含まれる:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスパーリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベタイマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴル;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンロプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組換えインターロイキンII、又はrIL2を含む)、インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n1;インターフェロンアルファ-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンガンマ-Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコル;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドマイド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガス;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴル;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパーソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌール;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸チューブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;塩酸ジノスタチン;ゾルビシン。他の抗癌剤には、限定されるものではないが、以下が含まれる:20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗ネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調節因子;アポトーシス調節因子;アプリン酸;アラ-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキナスタチン1;アキナスタチン2;アキナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;ベータアレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシイミン;カルシポトリオール;カルフォスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;カレストM3;カーン700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン類;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シスポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタントアラキノン類;シクロプラタム;シペマイシン;オクホス酸シタラビン;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール、9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテファー;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメクス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン類;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン類;インターロイキン類;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリンアミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン;マノスタチンA;マリマスタット;マソプロコル;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバローネ;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスティム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン線維芽細胞成長因子サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロフィン;モノホスホリルリピドA+マイコバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑制因子1に基づく治療;マスタード抗癌剤;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスティップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン;O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガス;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;パーフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAベースの免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、小型藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン類;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;ラスファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴル;セントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム
;Sdi1模倣物;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン;ソブゾキサン;ボロカプト酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン類;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物;チマルファシン;チモポエチン受容体作動薬;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルフォスチン類;UBC阻害剤;ウベニメクス;泌尿生殖洞由来の成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクターシステム、赤血球遺伝子治療;ベラレソル;ベラミン;ヴァーディン類;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスティマラマー。1つの実施態様において、抗癌剤は、5-フルオロウラシル、タキソール、又はロイコボリンである。
【0214】
ナノ粒子製剤
1つの実施態様において、本発明の免疫原性組成物は、限定されるものではないが、本発明のIL13Rα2抗体を含む脂質ナノ粒子(LNP)又は本発明のIL13Rα2抗体をコードする核酸を含むLNPを含む、ナノ粒子を含み得る。いくつかの実施態様において、組成物は、本発明のIL13Rα2結合分子又はその免疫原性機能的同等物の全部又は一部を含むか又はコードする。いくつかの実施態様において、組成物は、本発明のIL13Rα2結合分子の全部又は一部をコードするmRNA分子を含む。
【0215】
1つの実施態様において、LNPは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、若しくは配列番号8の少なくとも1つのアミノ酸配列、又はその断片若しくは変種をコードするRNA分子を含むか、又は封入している。
【0216】
1つの実施態様において、組成物は、1つ又はそれ以上の追加の免疫刺激剤をさらに含む。免疫刺激剤は、限定されるものではないが、追加の抗原若しくは抗原結合分子、免疫調節剤、又はアジュバントを含む。
【0217】
インビトロ及びエクスビボでの合成抗体の生成
1つの実施態様において、合成抗体(例えば、二重特異性dTAB)は、インビトロ又はエクスビボで生成される。例えば、1つの実施態様において、合成抗体(例えば、二重特異性dTAB)をコードする核酸をインビトロ又はエクスビボで細胞に導入し発現させることができる。遺伝子を細胞に導入し発現させる方法は当技術分野で知られている。発現ベクターの場合、ベクターは、当技術分野の任意の方法によって、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主細胞に移すことができる。
【0218】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、微量注入法、電気穿孔法などが含まれる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生する方法は、当技術分野でよく知られている。例えば、Sambrook et al. (2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)を参照されたい。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための好適な方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
【0219】
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法には、DNAベクター及びRNAベクターの使用が含まれる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するために最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号及び第5,585,362号を参照されたい。
【0220】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系、並びに水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベースの系が含まれる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用される例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0221】
非ウイルス送達システムが利用される場合、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。脂質製剤の使用は、宿主細胞への核酸の導入(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)で企図される。別の態様では、核酸は脂質と結合していてもよい。脂質に結合した核酸は、リポソームの水性内部に封入され、リポソームの脂質二重層内に分散され、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方に結合した連結分子を介してリポソームに結合され、リポソームに捕捉され、リポソームと複合体を形成し、脂質を含む溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と一緒にされ、脂質中に懸濁液として含有され、ミセルに含まれるか複合体が形成され、又はその他の方法で脂質と結合される。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクターに結合した組成物は、溶液中のいかなる特定の構造にも限定されない。例えば、これらは二重層構造中で、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で存在し得る。また、これらは単に溶液中に分散しているだけであり、おそらくサイズや形状が均一ではない凝集体を形成しているであろう。脂質は脂肪物質であり、天然に存在する脂質でも合成脂質であり得る。例えば、脂質には、細胞質内に天然に存在する脂肪滴のほか、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、アルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素とこれらの誘導体を含む化合物のクラスが含まれる。
【実施例】
【0222】
本発明は以下の実施例でさらに説明される。これらの実施例は本発明の好適な実施態様を示しているが、例示のみを目的として与えられていることを理解すべきである。上記の議論及びこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更及び修正を加えて、本発明を様々な用途及び条件に適合させることができる。すなわち、本明細書に示され説明したものに加えて、前述の説明から本発明の様々な変更が当業者には明らかとなるであろう。このような変更も、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0223】
実施例1
二重特異性抗体は一部の血液癌において顕著な効果を示しており、ALL治療のための新しい治療法のFDAによる承認をもたらしている(Jen et al., 2019, Clinical Cancer Research, 25(2):473-7)。転移性非小細胞肺癌の治療に対する二重特異性抗体が最近承認されたことは、固形腫瘍に対しても潜在的な治療介入法としての二重特異性抗体の重要性が高まっていることを示唆している(Janssen Biotech, Inc. and Janssen Research & Development LLC, 2021, RYBREVANT(商標) (amivantamab-vmjw) は、EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺癌患者に対する初の標的化治療法としてFDAの承認を取得する[プレスリリース])。ただし、この分野では非常に多くの研究が行われてきたが、現在承認されている二重特異性物質はほとんどない。過剰なサイトカイン分泌によって引き起こされる非特異的オフターゲット結合及びCRSは、依然としてCD3エンゲージング二重特異性抗体にとって主要な課題の一つである(Teachy et al., 2013, Blood, 121(26):5154-7)。
【0224】
この研究では、すべてのdBTEがIL13Rα2に特異的に結合したが、組換え型でも腫瘍細胞上で発現した場合でも、IL13Rα1への結合は観察されなかった。機能的には、4つのdBTEはすべて、U87細胞の存在下でCD4及びCD8T細胞の両方を活性化したが、逆配向のdBTEもovcar3細胞の存在下でT細胞の活性化を誘導した。逆配向のdBTEはまた、一般に、U87細胞の存在下でより高レベルのサイトカインと細胞傷害性顆粒分泌を誘導した。しかし、ovcar3細胞の存在下では、逆配向のdBTEは、有意に高レベルの非特異的サイトカイン分泌、特にIFN-γ、IL6、及びIL10を誘導した。これらはまた、ovcar3細胞の存在下では、前配向のdBTEと比較して、有意に高レベルのパーフォリン(Perforin)及びグランザイムB(Granzyme B)を誘導した。分泌されたパーフォリン/グランザイムBのレベルは、観察された細胞傷害性のレベルと正相関していた。U87、U251、又はU373細胞の特異的死滅に差異は観察されなかったが、逆配向のdBTEはovcar3細胞の強力な非特異的死滅を誘導した。中間レベルのパーフォリンを誘導したPB02-前は、遅発的ではあるがovcar3細胞を有意に非特異的に死滅させた。重要なことに、グランザイムB/パーフォリンの非特異的分泌を誘導しなかったPB01-前は、ovcar3細胞の死滅も誘導しなかった。PB01-前も最小量のサイトカイン分泌(特異的及び非特異的の両方)しか誘導しなかったという事実は、この標的についても、CRSに対して最もリスクが低いdBTEである可能性が高いことを示唆している。特定の理論に拘束されるつもりは無いが、逆配向のdBTEのCD3に対するより高い親和性により、T細胞の活性化が容易になり、これがグランザイムB分泌の増加とovcar3細胞死滅の増強をもたらしたと考えられた。対照的に、前配向のdBTEのCD3親和性が低いため、dBTEが腫瘍上のIL13Rα2にもエンゲージすることへのT細胞の活性化が制限されるため、グランザイムBの分泌が制限され、ovcar3細胞の死滅が減少するか又はまったく死滅されない。
【0225】
dBTEによって誘発されるサイトカイン分泌と細胞傷害性には、複数の要因が影響を与えることが報告されている。Bortolettoらは、低CD3親和性二重特異性抗体が、低いT細胞活性化と低い標的細胞死滅をもたらすことを示した(Bortoletto et al., 2002, European Journal of Immunology, 32:3102-7)。いくつかのグループが、二重特異性抗体について低CD3親和性の利点を報告しており、彼らは、腫瘍を制御する能力を損なうことなく、インビボのより低いサイトカイン分泌を観察した(Haber et al., 2021, Scientific Reports, 11; Poussin et al., 2021, Journal for Immunotherapy of Cancer, 9; Staflin et al., 2020, Journal of Clinical Investigation Insight, 5(7))。本研究はこの一連の研究に追加され、CD3への結合親和性が二重特異性抗体によって誘導される非特異的毒性に大きな影響を与える可能性がある一方、二重特異性抗体によって誘導される特異的死滅への影響は最小限であることを示している。これは、CD3に対する結合親和性の影響と、二重特異性抗体によって誘導される特異的及び非特異的毒性に対するscFvの重鎖及び軽鎖の配向の役割とを比較する最初の研究である。グランザイムB/パーフォリンの分泌で観察された強い相関関係は、これが二重特異性抗体やCART細胞などの抗体ベースの治療によって誘導される非特異的毒性を調べるために、そのような生物製剤の将来のスクリーニングのための有用なツールとなり得ることを示唆している。
【0226】
二重特異性抗体療法の開発を制限するもう1つの問題は、その短い半減期が数日間にわたる継続的なIV注入を必要とすることである(Zhu et al., 2016, Clinical Pharmacokinetics, 55(10):1271-88)。より優れた薬物動態を有する簡素化された送達システムにより、二重特異性抗体技術の使用可能性が向上し、より広い患者グループへの利用が可能になると思われる。DNAコード化モノクローナル抗体は、魅力的な生物学的特性を備えた新しい技術である。最近の刊行物では、疾患、すなわち腫瘍や感染性の抗原刺激に影響を与える発現について記載されている(Perales-Puchalt et al., 2019, Oncotarget, 10(1):13-6; Duperret et al., 2018, Cancer Research, 78(22):6363-70; Patel et al., 2018, Cell Reports, 25:1982-93)。DNAにコードされた二重特異性抗体は、インビボで数か月間発現されることが示されており、卵巣癌の動物モデルにおいて腫瘍制御が示されている(Perales-Puchalt et al., 2019, Journal of Clinical Investigation Insight, 4(8):e126086)。Pituchらは、修飾された神経幹細胞(NSC)をBiTE分泌物として使用することにより、半減期の短さに対処しようと試みた。彼らは、IL13Rα2を標的とするBiTEを分泌するようにNSCを改変することにより、担癌マウスの生存を1週間改善することができた。しかし、NSCは急速に除去され、持続的な治療効果を確認するには反復投与が必要であることが示唆された(Pituch et al., 2021, PNAS, 118(9))。これはまた、GBMの同所性モデルにおける動物の生存を改善するために毎日の投与を必要とする、EGFRviiiを標的とするBiTEを使用した別のグループでも見られた(Sternjak et al., 2021, Molecular Cancer Therapeutics, 20(5):925-33)。本研究では、PB01-前の1回のDNA注入により、組換えPB01-前と比較して長期発現が得られた。さらに、全身に送達されたdBTEは血液脳関門を通過することができ、同所性環境でGBM腫瘍の増殖を大幅に制御した。
【0227】
GBMに加えて、IL13Rα2もまた、他の種類の癌、例えば髄芽腫、進行性黒色腫、頭頸部癌、並びに卵巣癌でも上方制御されている(Stastny et al., 2007, Journal of Pediatric Hematology/ Oncology, 29(10):669-77; Kawakami et al., 2003, Clinical Cancer Research, 9(17):6381-8; Kioi et al., 2006, Cancer, 107(6):1407-18; Beard et al., 2013, Clinical Cancer Research, 19(18):4941-50)。研究では、dBTEが髄芽腫の治療に効果的であることが証明されている。これらのデータは、dBTEが、GBMに対してだけでなく、さまざまな癌の治療選択肢を強化する免疫療法のツールボックスへの貴重な追加となり得ることを支持している。IL13Rα2はまた、腎明細胞癌におけるスニチニブ耐性にも関与しているとされており(Shibasaki et al., 2015, Plos One, 10(6))、このことは、この新規なdBTEが、スニチニブ治療に応答しないか又は最終的に進行するかのどちらかである患者に臨床的利益を提供するツールとして、さらに研究される可能性があることを示唆している。最も効果的かつ特異的な前向きの設計方向は、他の癌や感染症に対する同様の試薬の開発において重要である可能性がある。機能に及ぼす重鎖と軽鎖の配置の影響の研究は、CART細胞や他の生物製剤などの他の標的化免疫療法にとって、潜在的に注目すべき重要な分野であると思われる。GBMに対するこれらの新しい治療の開発と最適化の可能性については、さらなる研究が必要であろう。
【0228】
ここで、材料と方法について説明する。
【0229】
動物と細胞株:
NSGマウスは、Wistar Institute Animal施設から購入した。U87及びDaOY細胞株は、ATCCから購入した。U373及びU251細胞株はSigma-Aldrichから購入した。Ovcar3細胞は、Conejo-Garcia博士(Department of Immunology, Moffit Cancer Center, Tampa, Florida)から提供された。初代ヒトT細胞は、ペンシルバニア大学のHuman Immunology Core によって健康なドナーから採取された。すべての動物実験は、Wistar Instituteの施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)の承認を得て行われた。
【0230】
dBTE設計:
重鎖及び軽鎖の配列は、(Yin et al., 2018, Molecular Therapy Oncolytics, 11:20-38)に記載されているように、ヒト化抗体から得た。IL13Rα2標的化抗体の重鎖及び軽鎖を、GSリンカーを介して修飾UCHT1抗体の重鎖及び軽鎖に融合した。すべての配列はコドン最適化され、非複製pVaxベクターにコード化された(
図1A、表1)。
【0231】
免疫ブロッティング:
変性及びウェスタンブロッティングは、既に記載されているように行った(Perales-Puchalt et al., 2019, Journal of Clinical Investigation Insight, 4(8):e126086)。Expi293F細胞からの上清をdBTEコード化DNAでトランスフェクトし、ゲル上で泳動した。ヤギ抗ヒトfab断片特異抗体(Jackson Immunoresearch)を使用してdBTEを検出し、抗ヤギ抗体(Licor Biosciences)を二次抗体として使用した。画像は、Odyssey-Clx(Licor Biosciences)を使用して撮影された。
【0232】
フローサイトメトリー:
腫瘍細胞上のIL13Rα2発現は、市販の抗体(Biolegend、カタログ番号354404)を使用してチェックした。IL13Rα2及びCD3へのdBTEの結合を検出するために、Expi293Fトランスフェクト細胞からの上清を、それぞれU87細胞及び初代ヒトT細胞とインキュベートした。蛍光物質結合ヤギ抗ヒトfab断片特異抗体(Jackson Immunoresearch)を二次抗体として使用した。データはLSR Fortessa(BDbiosciences)で取得された。画像は4つの独立したトランスフェクションの代表である。T細胞活性化アッセイには、BiolegendのCD4(OKT4)、CD8(SK1)、CD69(FN50)、及びPD-1(EH12.2H7)(これらはすべてBiolegendから得た)を使用した。死細胞は、生死生存率色素(Invitrogen)を使用して除外された。
【0233】
結合ELISA:
ELISAプレートを、IL13Rα2/IL13Rα1(Sino biological、1μg/ml)又はCD3(Acrobiosystems、1μg/ml)のいずれかで4℃で一晩コーティングした。ブロッキングはPBST-10%FBSで1時間行った。一次抗体として、dBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞の上清を使用するか、又は陰性対照として異なる希釈度のpVaxを使用した。細胞を室温で1時間インキュベートした。二次抗体は、ヤギ抗ヒトfab断片特異的HRP結合体であった(Jackson immunoresearch)。1時間のインキュベーション後、ブロットをTMB溶液で発色させ、450nmでODを読み取った。結合動態を決定するために、組換えBTEを指定の濃度で一次抗体として使用し、HRP結合抗Hisタグ抗体(Biolegend)又はヤギ抗マウスfab断片特異抗体を二次抗体として使用した。
【0234】
サイトカインの分泌:
U87又はovcar3腫瘍の存在下で、初代ヒトT細胞及びdBTEとの共培養からの上清を収集した。別の実験では、U87細胞をPB01-前及び初代ヒトT細胞で免疫したマウスの血清と共培養し、48時間後に上清を収集した。サイトカインは、製造元の指示に従ってBiolegend Legendplex(商標)アッセイを使用して定量した。すべての条件を二重で試験し、平均サイトカイン濃度が報告される。サイトカインの評価にはヒトCD8/NKパネルを使用した。
【0235】
細胞傷害性アッセイ:
U87細胞をレンチウイルスでトランスフェクトして、GFPとルシフェラーゼ(U87-GFP-Luc)を発現するようにした。U87-GFP-luc細胞株を、指定の比率のdBTEトランスフェクトExpi293F細胞と初代ヒトT細胞からの上清と、共培養した。アッセイ中のdBTE上清の最終濃度は10%であった。24時間又は48時間のインキュベーション後、細胞を溶解し、CytoTox Glo(Promega)を使用してルシフェラーゼ発現を測定した。細胞傷害性は(最大生存率対照-個々のウェル)/(最大生存率対照-最大死亡率対照)×100パーセントとして計算された。すべての実験は3重測定で行われ、図は4つの異なるT細胞ドナーを用いた4回の独立した実験の平均である。死滅速度を決定するために、示された濃度の組換えdBTEを使用した。
【0236】
細胞傷害性のメカニズムを決定するために、IFN-γ(506532)、TNF-α(502805)、TRAIL(208213)(すべてBiolegend製)、及びFasL(556317、BD Pharmingen製)に対する中和抗体を指定の濃度で添加した。グランザイムB活性は、示された濃度のグランザイムB阻害剤1(Millipore Sigma)を使用して阻害された。
【0237】
Xcelligence死滅アッセイ:
標的細胞の細胞傷害性は、xcelligence Real-Time Cell Analyzer System(ACEABiosciences)を使用して評価した。腫瘍細胞を播種した(1×104個の細胞/ウェル)。翌日、T細胞、及びdBTEでトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を、示されたE:T比及びdBTE上清濃度で加えた。細胞指数を20分ごとに追跡し、T細胞添加の直前に最大細胞指数値に正規化した。細胞傷害性%並びにKT50及びKT80値は、RTCA免疫療法ソフトウェアを使用して計算された。一部の実験では、PB01-前をコードする100μgのDNAと40Uのヒアルロニダーゼを注射し、注射後のさまざまな時点で収集したNSGマウスの血清を、dBTE上清の代わりに使用した。
【0238】
皮下の腫瘍のインビボ抗原刺激:
1×105個のU87細胞をNSGマウスの右脇腹に注射した。24日後、マウスの前脛骨筋(TA)にPB01-前をコードする100μgのDNAと40Uのヒアルロニダーゼを注射し、続いてCELLECTRA装置(Inovio)を用いて電気穿孔を行った。これらにはまた、10×106個又は3×106個の初代ヒトT細胞も、腹腔内注射により投与された。マウスにPB01-前をコードする100μgのDNAと40Uのヒアルロニダーゼを再注射し、38日目に電気穿孔を行った。腫瘍サイズはノギスを使用して測定し、腫瘍体積は、式V=((長さ×幅2)×3.14)/2を使用して計算し、ここで、幅は測定値が小さい側とみなされる。マウスは、IACUCプロトコールに従って所定のエンドポイント値に達したときに殺処分された。図は、2つの異なるT細胞ドナーを使用して行われた2つの独立した実験の代表である。
【0239】
DaOY腫瘍の抗原刺激では、5×106個のDaOY細胞をNSGマウスの右脇腹に注射した。腫瘍移植の2週間後、マウスにPB01-前をコードする100μgのDNAと40Uのヒアルロニダーゼを注射し、続いて電気穿孔を行った。彼らにはまた、腹腔内注射により10×106個の初代ヒトT細胞も投与した。
【0240】
同所性腫瘍の抗原刺激:
同所性脳腫瘍モデルを作成するために、NSGマウスにU87-Luc細胞を外科的に移植した。細胞を2μL PBSで100,000細胞の濃度にした。手術のためにケタミン/キシラジンカクテルを使用してマウスを麻酔した。正中線頭皮切開を行い、ブレグマの後方1mm及び正中線の側方2mmに穿頭孔を開けた。2μLのハミルトンシリンジを2.5mmの深さまで下げ、マウス定位固定フレームに取り付けられた自動シリンジポンプを使用して2μLの細胞溶液を2分間かけて注入した。次いで、注射器を10分間かけてゆっくり引き抜いた。切開部を縫合し、抗生物質クリームと鎮痛剤ブプレノルフィンを塗布した。腫瘍移植の3日後、マウスのTA筋にPB01-前をコードする100μgのDNAと40Uのヒアルロニダーゼを注射し、その後電気穿孔を行った。マウスにはまた、10×106個の初代ヒトT細胞を腹腔内注射によって投与した。IVISを使用するインビボイメージングを使用して、腫瘍の増殖を経時的に追跡した。マウスを所定の実験エンドポイントで殺処分した。脾臓の分析のために、1群3匹のマウスを殺処分し、これらの脾細胞を単離した。脾細胞をヒトCD45+細胞で染色して、これらのマウスのT細胞レベルを測定した。
【0241】
インビボ発光イメージング:
200μLのPBS中の3mgのD-ルシフェリンをマウスに腹腔内注射した。10分後、Xenogen IVIS Spectrum CTでマウスの発光を画像化した。すべてのマウスについて、すべての設定はすべての時点で一定に保たれた。腫瘍シグナルの定量化は、LivingImageソフトウェアを使用して、脳腫瘍周囲の目的の領域を規定し、総光束を測定することによって実行された。
【0242】
統計:
24時間及び48時間でのインビトロ細胞傷害性を、ダネットの多重比較検定を使用する二元配置分散分析を使用して比較した。特に指示がない限り、各実験は3重で行い、エラーバーはSEMを表す。腫瘍サイズは二元配置分散分析を使用して比較し、エラーバーはSEMを表す。動物の生存率は対数順位検定を使用して比較した。
【0243】
免疫したマウスの血清を使用する細胞傷害性:
NSGマウスのTA筋に、PB01-前をコードする100μgのDNAと40Uのヒアルロニダーゼを注射し、続いて電気穿孔法を行い、示された時点で血清を収集した。1×104個のU87-GFP-Luc細胞を esight プレート(Agilent)に播種した。一晩インキュベートした後、さまざまな時点で収集した血清を、初代ヒトT細胞とともにE:T比5:1で細胞に添加した。e-カスパーゼ-3 nucview 405(Agilent)をウェルに添加して、死細胞を青色に標識した。画像は、xCelligence esightを使用して3時間間隔で合計81時間撮影された。エフェクター細胞の添加直前から実験終了までの画像を使用して、xCelligence esightデータ解析ソフトウェア(Agilent)を使用してビデオを作成した。組換えBTEとの比較のために、MSGマウスに組換えPB01-前(0.5mg/kg)を単回静脈内注射した。この用量は、同様の同所性GBMモデルで使用された組換えEGFRviiiBTEの最高用量に基づいて選択された(Sternjak et al., 2021, Molecular Cancer Therapeutics, 20(5):925-33)。
【0244】
次に実験結果について説明する
dBTEの設計と発現:
既に記載されているIL13Rα2モノクローナル抗体の2つのクローンが同定された(Yin et al., 2018, Molecular Therapy Oncolytics, 11:20-38)。配列は再設計され、BTE発現カセット用に開発された。IL13Rα2標的化scFvのこれらの設計配列を利用し、グリシン-セリンリンカーを含めて、最適化された抗CD3(UCHT1から改変)をコードする配列のscFvにフレーム内で融合させて、完全なdBTEを再構築した(Perales-Puchalt et al., 2019, Journal of Clinical Investigation Insight, 4(8):e126086)。記載されているように(Perales-Puchalt et al., 2019, Journal of Clinical Investigation Insight, 4(8):e126086)、より優れたdBTE発現を可能にする新規リーダー配列が追加され、これによりインビボで生成される産物の分泌も促進される。さらに、すべての完全な構築物は、DNA工学並びにRNA及びコドンの最適化を通じて、DNAコード化プラスミドとして発現するための二重特異性分子として設計された。構築物設計の配向が重要なため、両方のscFvの重鎖と軽鎖の配向を変更して生成し、合計4つの異なるdBTE(2つはIL13Rα2の1つのエピトープを標的とし、2つは異なるエピトープを標的とする)を得た。これらは、PB01-前(PB07-2134とも呼ばれる)、PB01-逆(PB07-1243とも呼ばれる)、PB02-前(PB08-2134とも呼ばれる)、及びPB02-逆(PB02-1243とも呼ばれる)と命名した。配列情報を表1に示す。VL-VH-VH-VLフォーマットのdBTEは前配向として命名され、VH-VL-VL-VHフォーマットのdBTEは逆配向として命名される(
図1A)。Expi293F細胞をトランスフェクトして、4dBTEのインビトロ発現を試験した。これらの構築されたdBTEは、ウェスタンブロットによるトランスフェクション上清での検出によって証明されるように、同様のレベルで発現された(
図2A)。前配向のdBTEと逆配向のdBTEは両方とも、ヒトT細胞上のCD3及びIL13Rα2を発現するU87細胞に結合した(
図1B、
図1C、
図2B、及び
図2C)。結合ELISAにより、前配向及び逆配向のdBTEはIL13Rα2に特異的に結合するが、IL13Rα1には結合しないことが確認された(
図1D)。dBTEの結合動態は、BTEの組換え精製バージョンを使用して結合ELISAを実行することによってさらに評価された。前配向の2つのdBTEと逆配向の2つのdBTEは、IL13Rα2に、4.2ng/ml(PB02-前)~21.2ng/ml(PB01-前)の範囲のIC50値の高い親和性で結合した(
図3A)。驚くべきことに、組換えCD3タンパク質への結合において有意差が観察され、前配向のBTEは、逆配向のBTEと比較して、CD3に対してより低い親和性を示すことが観察された(
図3B)。
【0245】
前配向のdBTEは、U87細胞の存在下でインビトロでT細胞を特異的に活性化する:
これらの機能を試験するために、IL13Ra2を発現するU87細胞とヒトT細胞を、E:T比10:1でトランスフェクション上清の存在下で共培養した。活性化の特異性のために、T細胞はまた、IL13Rα2を発現しないovcar3細胞とともに培養された(
図4)。フローサイトメトリーを使用して、共培養後24時間及び48時間のCD69及びPD-1の発現に基づいて、T細胞の活性化を測定した。
【0246】
各時点で、U87細胞の存在下では、逆配向のdBTEは前配向のdBTEと比較して、より高いT細胞活性化を誘導した(
図5A、
図6A、及び
図6B)。興味深いことに、ovcar3細胞の存在下でも、逆配向のdBTEによって高レベルのT細胞活性化が誘導された。PB02-前は、ovcar3細胞の存在下でもCD4+T細胞の活性化を誘導した。ただし、これは逆配向のdBTEによって引き起こされる値よりも低かった。PB01-前は、U87細胞の存在下でのみT細胞活性化を誘導し、このdBTEに対する高度な特異性を示している。データは、インビボで潜在的な非特異的毒性を引き起こす可能性がある逆配向のdBTEによって誘導される非特異的T細胞活性が存在することを支持している。
【0247】
dBTEの存在下でのT細胞応答をさらに特性解析するために、前の実験からの共培養の24時間目に収集された上清でサイトカインプロフィールを分析した。すべてのdBTEは、U87細胞の存在下で、IFN-γ、IL2、及びTNF-αなどのTh1サイトカイン、並びにIL4、IL6、及びIL10などのTh2サイトカインの量を増加させた(
図5B)。U87細胞の存在下で、逆配向のdBTEによって誘導されるサイトカイン分泌のレベルは、前配向のdBTEによって誘導されるサイトカイン分泌レベルよりも低かった。多様な細胞傷害性顆粒sFasL、パーフォリン、グランザイムA、及びグランザイムBの分泌も、U87腫瘍細胞の存在下でdBTEによって活性化されたT細胞によって観察された(
図5C)。逆配向のdBTEは、U87細胞の存在下でほとんどの細胞傷害性分子を高レベルで誘導したが、4つのdBTEの間でグランザイムBのレベルに有意差はなかった。フローサイトメトリーベースのアッセイと同様に、逆配向のdBTEは、ovcar3細胞の存在下で前配向に組織化されたdBTEと比較して、一部のサイトカイン及び細胞傷害性分子を高レベルで誘発した。
【0248】
PB02-前 dBTEでは、特にIFN-γ、IL6、及びパーフォリンについて、低レベルの非特異的なサイトカイン分泌が観察された。ただし、T細胞からの最も少ないサイトカインの発現又は細胞傷害性分子の分泌は、PB01-前細胞及びovcar3細胞で培養した場合に観察された。
【0249】
dBTEは、T細胞の存在下でインビトロで標的発現腫瘍の死滅を駆動する:
腫瘍の死滅を追跡するために、U87細胞にGFPとホタルルシフェラーゼをトランスフェクトして、U87-GFP-luc系統を作成した。U87-GFP-luc細胞を、個々のdBTE及びT細胞と示されたE:T比で共培養した。共培養の48時間後の蛍光画像は、pVaxトランスフェクト細胞の上清と共培養した細胞と比較して、4つのdBTEすべてと共培養したU87-GFP-luc細胞のGFPシグナルが大幅に減少していることを示した。追加の指標として、dBTEトランスフェクト細胞の上清の存在下で、GFP陽性腫瘍細胞の周囲にT細胞のクラスター化が観察された。pVax上清を含むウェル内のT細胞はウェル全体にランダムに広がっており、標的細胞の周囲のT細胞のクラスター化がdBTEの存在に依存していることを示していた(
図7)。dBTEはまた、U87-GFP-luc細胞の用量依存性及び時間依存性の両方の溶解を示した。4つのdBTEはすべて、U87-GFP-luc細胞の同等レベルの細胞傷害性を誘導した(
図8A)。dBTEの死滅能力をさらに特性解析するために、U87-GFP-Luc細胞を用いた48時間の死滅アッセイで、組換えBTEを試験した。低用量の各dBTEで、U87-GFP-luc細胞の強力な死滅が観察された。各dBTEのEC50値は約100pg/mlであった(
図8B)。
【0250】
IL13Rα2を高レベルで発現する他の2つのGBM細胞株U373とU251の死滅(
図9)を、数時間にわたる細胞傷害性のリアルタイムの追跡を可能にする Xcelligence システムのアッセイを使用して評価した。前配向のdBTEと逆配向のdBTEの両方が、両方の細胞株の急速な死滅を誘導し、U373細胞のEC50値は3~8ng/mlであり、U251細胞株のEC50値は600~900pg/mlであることが観察された(
図8C)。
【0251】
標的特異的な細胞傷害性を確認するために、ovcar3細胞株を使用して死滅アッセイを実行した。ovcar3細胞の強力な死滅はdBTE PB01-逆及びPB02-逆で観察され、一方、遅発的ではあるが有意な死滅がPB02-前でも同様に観察された(
図10A及び
図10B)。グランザイムBの分泌レベルと観察された細胞傷害性の間には強い相関関係が観察された。U87細胞と共培養した場合、すべてのdBTEは同様のレベルのグランザイムBを誘導し、すべてのdBTEはU87細胞と同等の細胞傷害性を誘導した。非特異的ovcar3細胞の場合、逆配向のdBTEは、前配向のdBTEと比較して、有意に高レベルのグランザイムBを誘導した。同様に、逆配向のdBTEはovcar3細胞を強力に死滅させ、及びPB02-前はある程度の遅延死滅を誘導したが、PB01-前はovcar3細胞の死滅を誘導しなかった。これらのデータは、PB01-前がオフターゲット活性なしで、高い特異性と厳密性を示すことを支持している。
【0252】
これらのデータに基づいて、PB01-前がリード構築物として選択され、その細胞傷害性のメカニズムをさらに評価することが決定された。PB01-前を使用して死滅アッセイを繰り返したが、IFN-γ、TNF-α、FasL、TRAIL、又はグランザイムBの阻害剤を指定の濃度で追加した。24時間目でも48時間目でもIFN-γ、TNF-α、FasL、又はTRAIL阻害剤の効果は観察されなかったが、グランザイムB阻害は、24時間目と48時間目に用量依存的な細胞傷害性の低下を有した(
図8D及び
図11)。これらのデータは、PB01-前によって誘導される細胞傷害性がパーフォリン/グランザイム経路に依存していることを支持している。
【0253】
DNAによって送り出されたBTEは、組換えBTEと比較して大幅に増強されたインビボの持続性を有する:
インビボのdBTEの半減期を試験するために、免疫不全NSGマウスに、電気穿孔法が後続するDNAコード化PB01-前の注射、又は組換えタンパク質PB01-前の注射を行った。示された時点で血清を収集し、血清中のBTEレベルの読み取り値として死滅活性を測定した。組換えBTEによる死滅は3日目にピークに達し、5日目までに血清から急速に除去されることが判明した。対照的に、DNAによって送り出されたPB01-前による死滅は7日目にピークに達し、13日目まで死滅が続くことが観察された。さらに、dBTEによる死滅は、組換えBTEと比較してはるかに多かった(
図12A)。これは、DNA送達がインビボでの長期発現につながるだけでなく、組換えBTEと比較して達成できるBTEの絶対レベルも上昇することを支持している。別の実験では、フローサイトメトリーに基づくT細胞活性化アッセイを使用して、dBTEの薬物動態プロフィールをさらに特性解析した。T細胞活性化は、早くも注射後1日目には観察され、活性化は5日目にピークに達し、発現は19日目まで継続した(
図12B)。ヒトT細胞と、異なる時点の血清及びU87細胞との共培養時のサイトカイン分泌も、同様のPKプロフィールを明らかにした。測定されたすべてのサイトカインは、血清と共培養した場合に5日目からピーク発現を示し、19日目までサイトカインが検出された(
図12C)。同様に、1、4、及び8日目に分析した血清では、U87細胞の100%の死滅が観察された。15日目からの血清では死滅が減少し、22日目までに死滅能力が完全に失われ、PB01-前の独特のPKプロフィールが示された。別の実験では、U87-GFP-luc細胞が、E:T比10:1でPB01-前と初代ヒトT細胞の注射後の指定された日に収集された血清を用いて培養された。死細胞を青色に標識するe-カスパーゼ-3nucview405色素を添加して、U87細胞の死滅を追跡した。dBTE注射(D0)前に収集された血清は、U87細胞の死滅に影響を及ぼさないことが観察された。対照的に、注射後8日目と10日目に収集された血清は、培養物中の青色細胞の急速な存在によって証明されるように、強力かつ急速な死滅を誘発した。
【0254】
異なる腫瘍モデルにおけるPB01-前の有効性を検証するために、PB01-前でトランスフェクトされたExpi293F細胞からの上清を、DaOY細胞(IL13Rα2も発現するヒト神経芽腫細胞株、
図13A)及びヒトT細胞と共培養した。培養上清の濃度が増加するにつれて、DaOY細胞の細胞傷害性の用量依存的な増加が観察された(
図13B)。PB01-前は、共培養の48時間以内にDaOY細胞の80%超を死滅させることができたため、DaOY細胞の急速な死滅を誘導した(
図13C)。また、インビトロ死滅アッセイにおいて、PB01-前を注射されたマウスの血清がDaOY細胞の急速な死滅を誘導することも観察された。
【0255】
PB01-前は、インビボの皮下U87腫瘍の増殖に影響を与える:
インビボでのPB01-前の有効性を調べるために、U87細胞をNSGマウスの右脇腹に注射した。腫瘍注射の24日後、マウスにEPを含むPB01-前 DNAを注射した。24日目に、3×10
6個又は10×10
6個の初代ヒトT細胞もマウスの腹腔に注射した。腫瘍注射後38日目に、マウスに別の用量のPB01-前 DNAを投与した(
図14A)。10×10
6個のT細胞を投与されたマウスの100%が、pVax対照DNAを投与されたマウスと比較して、PB01-前の存在下で腫瘍増殖を拒絶することが観察された。3×10
6個のT細胞を投与されたマウスの60%も、PB01-前の存在下で腫瘍増殖を拒絶した(
図14B)。この処理により、3×10
6個のT細胞を投与されたか10×10
6個のT細胞を投与されたかに関係なく、PB01-前を投与されたマウスの生存率が劇的に改善された(
図14B)。
【0256】
NSG腫瘍の抗原刺激をDaOY細胞で繰り返した(
図15A)。PB01-前の単回注射は側腹部におけるDaOY腫瘍の増殖を制御し、複数の異なるタイプの脳腫瘍の動物モデルにおけるこのリードdBTEの有効性を証明した(
図15B及び
図15C)。
【0257】
末梢に送達されたPB01-前は血液脳関門を通過し、GBMの頭蓋内モデルにおけるU87腫瘍の増殖に影響を与える:
より臨床的に関連性の高いモデルにおけるPB01-前の有効性を調べるために、同所性GBMモデル(
図16A)を使用した。腫瘍移植の3日後、マウスにPB01-前 DNAと10×10
6個のT細胞を注射した。インビボでの腫瘍増殖を追跡するために、IVISベースのイメージングを実行した。PB01-前DNAの単回注射により、9匹中5匹のマウスでU87腫瘍の完全な除去が観察され、残りの4匹のマウスでは腫瘍の増殖が遅くなった(
図16B、
図16C、及び
図17)。この処理は、pVax処理されたマウスと比較して、PB01-前で処理されたマウスにおける総光束の有意な減少を示した。疾患の進行の尺度として、体重を経時的に追跡した。pVaxで処理されたマウスでは、PB01-前で処理されたマウスと比較して、はるかに速く体重が減少した(
図16D)。この治療はまた、同所性に移植された腫瘍を有するマウスの生存を有意に延長した(
図16E)。1群あたり3匹のマウスからなる別のコホートでは、マウスを28日目に殺処分し、その脾細胞を調べた。PB01-前を投与されたマウスでは、pVax処理マウスと比較して、ヒトCD45+細胞の有意に高い頻度が観察され、これらのマウスにおけるヒトT細胞のBTE媒介拡張が示唆された。全体として、これらのデータは、このモデルでは、末梢に送達されたdBTEが血液脳関門を通過し、脳内の腫瘍増殖に直接影響を与える可能性があることを支持している。
【0258】
【0259】
前述の詳細な説明及び付随する実施例は単なる例示であり、添付の特許請求の範囲及びその同等物によってのみ定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0260】
開示された実施態様に対する様々な変更及び修正は、当業者には明らかであろう。限定されるものではないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、又は使用方法に関するものを含む前記変更及び修正は、その精神及び範囲から逸脱することなく実施することができる。
【配列表】
【国際調査報告】