(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】太陽エネルギー利用装置
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20240229BHJP
【FI】
H02S40/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558787
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2021085104
(87)【国際公開番号】W WO2022205375
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510010816
【氏名又は名称】ボリーメディアコミュニケーションズ(シンチェン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】BOLY MEDIA COMMUNICATIONS (SHENZHEN)CO., LTD
【住所又は居所原語表記】4&5/F West, 2nd Building, Pengtengda Industrial Park, Huarong Rd., Langkou Community, Dalang Subdistrict, Longhua District Shenzhen, Guangdong 518109 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】フー シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン グォルァン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA23
5F251JA30
(57)【要約】
太陽エネルギー利用装置であって、より多くの太陽光を受光できるように、液体集光装置100の受光面は、第1光エネルギー利用部210及び/又は第2光エネルギー利用部220の幅より大きい。液体集光装置内には透明液体130が充填されており、これにより、太陽光が液体集光装置の透光性キャビティ壁から透明液体内に達して全反射現象を起こすことができる。反射溝300で反射することによって、液体集光装置100からの太陽光は、液体集光装置100内に戻ること、又は光エネルギー利用装置200を照射することができる。全反射現象と反射溝との共同作用によって、より多くの太陽光が光エネルギー利用装置200に集光され、集光効率が向上する。また、液体集光装置は軸対称構造又は回転構造である。当該構造は、太陽光のより大きい角度変化に適応したり、受光面の面積を拡大したりすることができるため、集光率を高めたり、太陽光の東西方向への変化に適応したりすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギー利用装置、液体集光装置及び反射溝を備えた太陽エネルギー利用装置であって、
前記光エネルギー利用装置は、太陽光を受光、変換及び利用できる第1光エネルギー利用部及び第2光エネルギー利用部を有し、前記第1光エネルギー利用部と前記第2光エネルギー利用部とは背中合わせに配置されており、
前記液体集光装置は、軸対称構造又は回転構造であり、前記液体集光装置は、透明液体が充填されたものであってキャビティ壁の少なくとも一部が透光性キャビティ壁である収容キャビティを有し、前記透光性キャビティ壁は、外側から入射した太陽光を受光するための受光面であり、前記光エネルギー利用装置は、前記収容キャビティの中若しくは前記収容キャビティの外に配置されている、又は前記収容キャビティのキャビティ壁を形成しており、前記受光面の幅は前記第1光エネルギー利用部及び/又は前記第2光エネルギー利用部の幅より大きく、
前記反射溝の内壁には反射面が設けられており、前記液体集光装置は前記反射溝内に配置されており、前記第2光エネルギー利用部が、前記反射面に向かって配置されており、太陽光の一部は、前記液体集光装置から前記反射面上に達してから、前記反射面で反射することによって、前記液体集光装置内に戻ること、又は前記光エネルギー利用装置を照射することができ、さらに、前記収容キャビティ内の前記透明液体から前記透光性キャビティ壁への太陽光の一部が全反射現象を起こすことによって、太陽光を前記光エネルギー利用装置上に集光することを特徴とする太陽エネルギー利用装置。
【請求項2】
前記光エネルギー利用装置は、前記収容キャビティ内に配置されており、前記第1光エネルギー利用部と前記キャビティ壁との間、及び、前記第2光エネルギー利用部と前記キャビティ壁との間には、太陽光を前記第1光エネルギー利用部及び前記第2光エネルギー利用部まで導く前記透明液体を収容するための間隙が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項3】
前記透光性キャビティ壁は、透光性天壁及び透光性底壁を含み、前記光エネルギー利用装置は、前記収容キャビティ内に配置されており、また、前記透光性天壁から入射した太陽光を受光するために、前記第1光エネルギー利用部は前記透光性天壁の内側に貼り付けられており、前記第2光エネルギー利用部と前記透光性底壁との間は、太陽光を前記第2光エネルギー利用部まで導くための前記透明液体を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項4】
前記透光性キャビティ壁は、透光性天壁及び透光性底壁を含み、前記透光性底壁の外側には前記第1光エネルギー利用部が配置されており、前記透明液体によって太陽光は前記第1光エネルギー利用部まで導かれ、前記反射面での反射によって太陽光の少なくとも一部が前記第2光エネルギー利用部上に照射されることを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項5】
前記透光性天壁又は前記透光性底壁は、平面、曲面、折り曲げ面又はフレネルレンズ歯面であることを特徴とする請求項3又は4に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項6】
前記透光性底壁は、V字形構造又は逆V字形構造を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項7】
前記反射面と前記透光性底壁とは離隔して設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項8】
前記透光性底壁の一部と前記反射面の一部とは重なり合っていることを特徴とする請求項3又は4に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項9】
前記透光性底壁は、V字形構造又は逆V字形構造を有し、前記反射溝の底部と、前記V字形構造又は前記逆V字形構造とは、重なり合っていることを特徴とする請求項8に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項10】
前記反射面の少なくとも一部は反射型フレネルレンズであることを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項11】
前記反射溝の底部は、前記液体集光装置に向かって凸となるように設けられた反射構造を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項12】
内部に前記光エネルギー利用装置及び前記液体集光装置が配置されている密閉容器をさらに備えており、前記密閉容器は透光面を有し、これにより、太陽光が前記透光面から前記液体集光装置内に入射することができ、前記密閉容器内には、前記光エネルギー利用装置と接触している作動媒体が設けられており、前記密閉容器は、前記作動媒体を利用するために、前記作動媒体が前記密閉容器に出入りするための第1外部接続口を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【請求項13】
前記液体集光装置及び/又は前記反射溝と接続されており、前記太陽エネルギー利用装置と隣接するもう1つの別の太陽エネルギー利用装置とを接続するための取付部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の太陽エネルギー利用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギー変換及び利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルのコストの低下及び効率の向上に伴い、太陽エネルギーシステムの利用はますます多くなっている。しかしながら、現在の低倍率集光型太陽光発電装置は通常、液冷式ではないため、作動する際の高温により効率が低下する。ほかに液冷を採用した装置はあるが、液体の光学的機能が活用されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は主に、新しい太陽エネルギー利用構造を提示するための新型太陽エネルギー利用装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的に基づき、1つの実施形態として、本発明は、光エネルギー利用装置(light energy utilization unit)、液体集光装置(liquid light-condensing unit)及び反射溝(reflection groove)を備えた太陽エネルギー利用装置(solar energy utilization apparatus)を提供する。前記光エネルギー利用装置は、太陽光を受光、変換及び利用できる第1光エネルギー利用部及び第2光エネルギー利用部を有する。前記第1光エネルギー利用部と前記第2光エネルギー利用部とは背中合わせに配置されている。
【0005】
前記液体集光装置は軸対称構造又は回転構造である。前記液体集光装置は、透明液体が充填されたものであってキャビティ壁の少なくとも一部が透光性キャビティ壁である収容キャビティを有する。前記透光性キャビティ壁は、外側から入射した太陽光を受光するためのものであり、幅が前記第1光エネルギー利用部及び/又は前記第2光エネルギー利用部の幅より大きい受光面である。前記光エネルギー利用装置は、前記収容キャビティの中又は前記収容キャビティの外に配置されていてもよく、前記収容キャビティのキャビティ壁を形成していてもよい。
【0006】
前記反射溝の内壁には反射面が設けられている。前記液体集光装置は前記反射溝内に配置されており、前記第2光エネルギー利用部が、前記反射面に向かって配置されている。太陽光の一部は、前記液体集光装置から前記反射面上に達してから前記反射面で反射することによって、前記液体集光装置内に戻ること、又は前記光エネルギー利用装置を照射することができる。前記収容キャビティ内の前記透明液体から前記透光性キャビティ壁への太陽光の一部が全反射現象を起こすことによって、太陽光を前記光エネルギー利用装置上に集光される。
【0007】
1つの実施形態として、前記光エネルギー利用装置は、前記収容キャビティ内に配置されている。前記第1光エネルギー利用部と前記キャビティ壁との間、及び、前記第2光エネルギー利用部と前記キャビティ壁との間には、太陽光を前記第1光エネルギー利用部及び前記第2光エネルギー利用部まで導く前記透明液体を収容するための間隙が設けられている。
【0008】
1つの実施形態として、前記透光性キャビティ壁は、透光性天壁及び透光性底壁を含む。前記光エネルギー利用装置は、前記収容キャビティ内に配置されている。また、前記透光性天壁から入射した太陽光を受光するために、前記第1光エネルギー利用部は前記透光性天壁の内側に配置されており、前記第2光エネルギー利用部と前記透光性底壁との間は、太陽光を前記第2光エネルギー利用部まで導くための前記透明液体を有する。
【0009】
1つの実施形態として、前記透光性キャビティ壁は、透光性天壁及び透光性底壁を含む。透光性底壁の外側には前記第1光エネルギー利用部が配置されている。前記透明液体によって太陽光は前記第1光エネルギー利用部まで導かれ、前記反射面での反射によって太陽光の少なくとも一部を前記第2光エネルギー利用部上に照射させることができる。
【0010】
1つの実施形態として、前記透光性天壁又は前記透光性底壁は、平面、曲面、折り曲げ面又はフレネルレンズ歯面である。
【0011】
1つの実施形態として、前記透光性底壁は、V字形構造又は逆V字形構造を有する。
【0012】
1つの実施形態として、前記反射面と前記透光性底壁とは離隔して設けられている。
【0013】
1つの実施形態として、前記透光性底壁の一部と前記反射面の一部とは重なり合っている。
【0014】
1つの実施形態として、前記透光性底壁は、V字形構造又は逆V字形構造を有する。前記反射溝の底部と前記V字形構造又は前記逆V字形構造とは重なり合っている。
【0015】
1つの実施形態として、前記反射面の少なくとも一部は、反射型フレネルレンズである。
【0016】
1つの実施形態として、前記反射溝の底部は、前記液体集光装置に向かって凸となるように設けられた反射構造を有する。
【0017】
1つの実施形態として、内部に前記光エネルギー利用装置及び前記液体集光装置が配置されている密閉容器がさらに備えられている。前記密閉容器は透光面を有し、これにより、太陽光が前記透光面から前記液体集光装置内に入射することができる。前記密閉容器内には、前記光エネルギー利用装置と接触している作動媒体が設けられている。前記作動媒体を利用するために、前記密閉容器は、前記作動媒体が前記密閉容器に出入りするための第1外部接続口を有する。
【0018】
1つの実施形態として、前記液体集光装置及び/又は前記反射溝と接続されており、前記太陽エネルギー利用装置と隣接するもう1つの別の太陽エネルギー利用装置とを接続するための取付部材がさらに備えられている。
【発明の効果】
【0019】
上記の実施形態に係る太陽エネルギー利用装置であって、光エネルギー利用装置、液体集光装置及び反射溝を備えている。より多くの太陽光を受光できるように、前記液体集光装置の受光面は、第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部の幅より大きい。前記液体集光装置内には透明液体が充填されており、これにより、太陽光が前記液体集光装置の透光性キャビティ壁から前記透明液体内に達して全反射現象を起こすことができる。前記液体集光装置を透過した太陽光は、前記反射溝によって、反射して前記液体集光装置内に戻ること、又は反射して前記光エネルギー利用装置を照射することができる。
【0020】
全反射現象と前記反射溝との共同作用によって、より多くの太陽光が前記光エネルギー利用装置に集光され、集光効率が向上する。また、前記液体集光装置は軸対称構造又は回転構造である。当該構造は、太陽光のより大きい角度変化(angle deflection)に適応したり、受光面の面積を拡大したりすることができるため、集光率(focusing ratio)を高めたり、太陽光の東西方向への変化に適応したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態1に係る太陽エネルギー利用装置の概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係る太陽エネルギー利用装置の概略断面図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係る太陽エネルギー利用装置の概略分解図である。
【
図4】本発明の実施形態4に係る太陽エネルギー利用装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体的な実施形態を介して図面と併せて本発明について詳細に説明する。異なる実施形態における同様の部品に関しては、関連する同様の部品符号が採用されている。以下の実施形態における多くの詳細な説明は、本発明をよりよく理解できるためのものである。しかしながら、当業者は、特徴の一部について異なる状況で省略できること、又は他の部品、材料及び方法によって置換できることを容易に認識することができる。本発明のコアな部分が過剰な記載によって埋もれてしまうことを回避するために、本発明に係る一部の操作について明細書に示していない、又は説明していない場合がある。当業者にとって、これらの関連する操作について詳細に説明する必要がなく、当業者は、本明細書の記載及び当該分野における一般的な技術知識に従って、関連する操作を十分に理解することができる。
【0023】
なお、本明細書に記載された特性、操作又は特徴は、任意の適切な方法で組み合わせて様々な実施形態を形成することができる。また、方法の記載における各ステップ又は動作についても、当業者にとって明らかな方法で順序交替又は調整することができる。したがって、明細書及び図面における各順序は、1つの実施形態を明確に説明するためだけにすぎず、特定の順序に従わなければならないことを特に明記していない限り、必須の順序を意味するものではない。
【0024】
「第1」、「第2」などのような本明細書における部品の番号自体は、記載された対象を区別するためにのみ使用されており、いかなる順序又は技術的な意味を有さない。なお、本発明に記載の「接続」は、特別な説明がない限り、直接的及び間接的な接続を含む。
【0025】
本実施形態は、太陽光を受光且つ利用してエネルギー変換を行い、人々が利用できるように、太陽光を電気エネルギー、熱エネルギー及びほかの形式のエネルギーに変換するために用いられる太陽エネルギー利用装置を提供する。
【0026】
当該太陽エネルギー利用装置は、少なくとも1つの光エネルギー利用装置、少なくとも1つの液体集光装置及び反射溝を備えている。当該光エネルギー利用装置は、太陽光を受光、変換及び利用できる第1光エネルギー利用部及び第2光エネルギー利用部を有する。第1光エネルギー利用部と第2光エネルギー利用部とは背中合わせに配置されている。1つの実施形態として、当該第1光エネルギー利用部及び第2光エネルギー利用部は、太陽電池パネル、光熱利用装置、光電及び熱エネルギー総合利用装置、及び集光型光エネルギー利用装置の1つ以上であってよい。当該太陽電池パネルは一般的に、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する装置全般をいい、各種半導体太陽電池パネル、フィルム型太陽電池、量子ドット光電変換素子などを含む。ほかの実施形態では、当該第1光エネルギー利用部及び第2光エネルギー利用部は、ほかの形式の太陽光利用変換構造であってもよい。
【0027】
液体集光装置は、複数のキャビティ壁を有する。これらのキャビティ壁によって、透明液体が充填されている収容キャビティが形成される。光エネルギー利用装置は、収容キャビティの中又は収容キャビティの外に配置されてもよく、収容キャビティのキャビティ壁を形成してもよい。これらのキャビティ壁の少なくとも一部は、透光性キャビティ壁であり、例えば、キャビティ壁のすべてが透光性キャビティ壁であってもよい。当該透光性キャビティ壁は、実際のニーズに応じて収容キャビティの底壁、側壁、又は天壁として設計されてよい。透光性キャビティ壁のすべてが透光性材料で構成されており、これによって、太陽光は透光性キャビティ壁を透過して透明液体に達することができる。少なくとも1つの透光性キャビティ壁は、外側から入射した太陽光を受光するための受光面である。天壁が受光面として用いられるのは通常ではあるが、当然のことながら、受光面は天壁に限定されるものではない。
【0028】
当該液体集光装置の構造は以下のように設定されている。透明液体から透光性キャビティ壁への太陽光の一部は、全反射(又は全内部反射)現象を起こす。すなわち、透明液体内に達した太陽光は、全反射の作用によって液体集光装置内で伝播し続けて、最終的に第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部に集光される。第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部の配置位置によって、全反射現象を起こすことができる透光性キャビティ壁が異なる。
【0029】
当該反射溝の内壁は、太陽光を第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部に向けて反射させるための反射面を有する。当該液体集光装置は反射溝内に配置されている。1つの実施形態として、第2光エネルギー利用部は反射面に向かって配置されている。太陽光の一部は、液体集光装置を透過してから反射面上に達し、反射面で反射することによって、液体集光装置内に戻ること、又は第2光エネルギー利用部を照射することができる。液体集光装置に戻った太陽光の少なくとも一部は、全反射現象によって第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部に集光され続ける。
【0030】
当該実施形態において、より多くの太陽光を受光できるように、当該液体集光装置の受光面は、第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部の幅より大きい。太陽光は液体集光装置の透光性キャビティ壁を透過して透明液体内に達して全反射現象を起こすことができる。当該反射溝で反射することによって、液体集光装置を透過した太陽光は、液体集光装置内に戻ること、又は光エネルギー利用装置を照射することができる。全反射現象と反射溝との共同作用によって、より多くの太陽光は光エネルギー利用装置に集光され得る。これらの太陽光をよりよく利用するために、本実施形態は、対向するように配置された両面受光構造(第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部)を採用している。これによって、背中合わせの2つの方向(例えば太陽へ向かう方向及び太陽に背く方向の相反する2方向)からこれらの太陽光を吸収することで集光効率が向上する。
【0031】
また、当該液体集光装置は、軸対称構造(1つ若しくは2つの対称軸を含む。)又は回転構造である。軸対称とは、軸線に垂直な特定しない平面に沿って切断された断面の形状同士がほぼ同じであって、大きさは同じであっても異なっていてもよいことを意味する。1つの実施形態として、当該軸対称構造は、1つの対称軸を有する単軸対称構造であってよい。又は、2つ以上の対称軸を有する双軸対称構造であってもよい。すなわち、当該液体集光装置において、方向が異なり且つ互いに平行でない2つ以上の平面に沿って切断することで得られたそれぞれの断面同士が、異なる方向に軸対称構造を形成してよい。例えば、正方形の構造体を複数の異なる方向から切断して異なる断面を得ることができるが、これらの断面自体が軸対称構造となっている。回転構造とは、弧状面、折り曲げ面、又は弧状面と折り曲げ面との組合せなどで1つの中心線を取りこむように設けられた構造を指し、1つの回転中心線を中心に回転することで形成された3次元回転構造のほか、3次元回転構造の弧状面を折り曲げ面又は折り曲げ面と弧状面との組合せで代替することで形成された類似構造をも含む。回転構造において、外壁は中心を取り囲むように設けられている。具体的には、3次元回転構造において、回転中心線を通過した任意の平面で切断すると、当該回転中心線を対称軸とする同じ断面が得られる。3次元回転構造に類似する他の構造では、回転体の弧状面の代わりに折り曲げ面を使用していることによって、その中心線を通過したすべての平面で切断した場合に同じ且つ対称な断面を確実に得ることができない場合があるが、所定の角度でその中心線を通過したいくつかの平面で切断することによって得られた断面は同じ且つ対称な形状でもあり得る。当該軸対称構造又は回転構造は、太陽光のより大きな角度変化に対応したり、受光面の面積を拡大したりすることができるため、集光率を高めたり太陽光の東西方向への変化に対応したりするのに用いることができる。
【0032】
1つの実施形態として、当該透明液体は、純水(水)、不凍液(水とエチレングリコールとの混合液)、又はほかの環境に優しい透明液体(例えば、水とグリセリンとの混合液)であってよい。また、当該透明液体は、第1光エネルギー利用部及び/又は第2光エネルギー利用部と直接的又は間接的に伝熱構造を形成することができる。これにより、第1光エネルギー利用部に対する冷却効果又は吸熱効果が果たされ、光エネルギー利用率が向上する。
【0033】
さらに、当該光エネルギー利用装置は、収容キャビティの中又は収容キャビティの外に配置されていてもよく、収容キャビティのキャビティ壁を形成していてもよい。1つの実施形態として、光エネルギー利用装置は、収容キャビティ内に配置されており、第1光エネルギー利用部と収容キャビティとの間、及び、第2光エネルギー利用部と収容キャビティとの間には、太陽光を第1光エネルギー利用部及び第2光エネルギー利用部まで導く透明液体を収容するための間隙が設けられている。
【0034】
1つの実施形態として、透光性キャビティ壁は、透光性天壁及び透光性底壁を含む。光エネルギー利用装置は、収容キャビティに配置されている。また、透光性天壁から入射した太陽光を受けるために、第1光エネルギー利用部は透光性天壁の内側また外側に貼り付けられている。第2光エネルギー利用部と透光性底壁との間は、太陽光を第2光エネルギー利用部まで導くための透明液体を有する。
【0035】
1つの実施形態として、透光性キャビティ壁は、透光性天壁及び透光性底壁を含む。第1光エネルギー利用部は、透光性底壁の外側又は内側に配置されており、透明液体によって太陽光は第1光エネルギー利用部まで導かれ、反射面によって太陽光の一部は第2光エネルギー利用部まで反射することができる。
【0036】
上記の発明概念に基づき、本願の発明をよりよく示すために、いくつかの異なる実施形態を通じて以下にさらに説明する。
【0037】
<実施形態1>
図1を参照されたい。実施形態1における太陽エネルギー利用装置は、液体集光装置100、光エネルギー利用装置200及び反射溝300を備えている。液体集光装置100は、透明液体130が満杯に充填されており、密閉状態の収容キャビティとして形成された密閉構造となっている。当該収容キャビティは、透光性天壁110及び透光性底壁120を有する。光エネルギー利用装置200は、透明液体130内に浸漬されており、太陽光を受光して変換及び利用できる、上向きの第1光エネルギー利用部210及び下向きの第2光エネルギー利用部220を有する。第1光エネルギー利用部210と収容キャビティのキャビティ壁との間、及び、第2光エネルギー利用部220とキャビティ壁との間には、太陽光を第1光エネルギー利用部210及び第2光エネルギー利用部220まで導く透明液体130を収容するための間隙が設けられている。液体集光装置100及び光エネルギー利用装置200は、反射面を有する反射溝300の溝内に配置されている。
【0038】
もちろん、ほかの実施形態では、光エネルギー利用装置200は、液体集光装置100の透光性天壁110又は透光性底壁120の内表面又は外表面に配置されていてもよい。
【0039】
図1は、入射光Lの一部が液体集光装置100によって屈折して、反射溝300によって反射されて、再び液体集光装置100によって屈折し、そして光エネルギー利用装置200に達するまで全反射される過程を示している。一方で、図示されていない太陽光は、反射溝300による反射を経ずに、液体集光装置100から第1光エネルギー利用部210に達するまで直接照射及び/又は全反射される場合もある。すなわち、液体集光装置100内における透明液体130の全反射現象及び反射溝300の反射作用を十分に利用することによって、より大きな角度での太陽光収束及び集光機能が実現される。
【0040】
1つの実施形態として、反射溝300の反射面の少なくとも一部は、反射型フレネルレンズ又はほかの形式の反射構造である。
【0041】
1つの実施形態として、透明液体130は、光エネルギー利用装置200に対して冷却又は吸熱を行い、光エネルギー利用装置200の光エネルギー利用率を向上させるためにも用いられる。すなわち、一部の透光性側壁(例えば透光性天壁110)は、以下の2つの機能を有する。まず一箇所の表面を介して外部からの入射光を透過させて、次に当該一箇所の表面において透明液体130からの光を全反射する。ほかの実施形態では、透光性底壁120(少なくとも一部)も、透過性及び全反射性の両方の機能を有する。
【0042】
図1を参照されたい。実施形態1において、液体集光装置100は、回転構造であり、具体的には3次元回転構造であり、Cはその回転中心線である。
図1に示されているのは、回転中心線Cを含む垂直平面に沿って切断した後の液体集光装置100の断面(cross section)である。3次元空間内での液体集光装置100の形状は、当該断面が
図1における破線Aで示した方向に沿って回転中心線Cを中心に回転することによって形成されるべきである。
図1において、遠近法を考慮して当該破線Aは楕円形として示されているが、実際には、回転中心線Cを中心に回転する当該断面の軌道は円形である。
図1に示されている断面は、五角形の折り曲げ面であり、透光性底壁120は4つの折り曲げ面を結合することによって形成されている。ほかの実施形態では、液体集光装置100のキャビティ壁は、曲面又はフレネルレンズの歯面であってもよい。例えば、透光性天壁110又は透光性底壁120は、平面、曲面、折り曲げ面又はフレネルレンズ歯面であってよい。液体集光装置100の断面は、四面体、七面体など他の形状であってもよい。
【0043】
引き続き
図1を参照されたい。実施形態1において、透光性底壁120は、透光性底壁120の垂直方向における深さを拡大するために、V字形構造121(又は逆V字形構造)を有する。反射溝300の底部は、液体集光装置100へ向かって凸となるように設けられた反射構造310を有してもよい。
図1に示されているV字形に突起した反射構造310と透光性底壁120のV字形構造121とは向かい合っており、これによって、より多くの太陽光が第2光エネルギー利用部220上に照射され、第2光エネルギー利用部220による太陽光の利用率が増加し、光エネルギー利用装置の全体的な効率が向上する。
【0044】
1つの実施形態として、当該反射面と透光性底壁120とは、互いに接触することなく離隔して設けられている。又は、放熱を良くするために、透光性底壁120の一部は、反射面と接触していてもよく重なり合っていてもよい。当該接触は、点接触でもよく、線接触又は面接触でもよい。透光性底壁120と反射面との重なり合いは、当該2つを一体化した構造であってもよい。例えば、反射溝300の底部と、V字形構造121又は逆V字形構造とは、接触していてもよく、重なり合っていてもよい。
【0045】
<実施形態2>
図2を参照されたい。実施形態2に係る太陽エネルギー利用装置は、液体集光装置100、光エネルギー利用装置200及び反射溝300を備えている。
図2は、実施形態2おける太陽エネルギー利用装置の断面を示している。液体集光装置100及び反射溝300は、いずれも単軸対称な細長形状を有しており、当該断面は軸対称構造となっている。
【0046】
実施形態2における太陽エネルギー利用装置と実施形態1との違いは、実施形態2における透光性底壁120が6つの平面で構成されている点である。透光性底壁120は、透光性底壁120の垂直方向における深さを拡大するために、V字形構造121(又は逆V字形構造)をも有する。しかし異なる点として、実施形態2における反射溝300の中央部分は、直線状反射型フレネルレンズである。太陽光の反射経路を増加させるために、反射溝300の反射面(例えば、底部の直線状反射型フレネルレンズ320)と透光性底壁120とは、離隔して設けられている。
【0047】
<実施形態3>
図3を参照されたい。実施形態3に係る太陽エネルギー利用装置は、液体集光装置100、光エネルギー利用装置200及び反射溝300を備えている。実施形態3における液体集光装置100及び反射溝300は、いずれも2つの対称軸を有する双軸対称構造であり、当該双軸対称構造では、異なる2つの方向から切断されることによって、それぞれ軸対称な断面が得られる。
図3は、太陽エネルギー利用装置の分解立体構造図であり、液体集光装置100は、具体的に逆四角錐台の形状であってよい。実施形態3は、太陽光追尾システムと共に使用するのに適している。
【0048】
実施形態3と実施形態1との主な相違点は、透光性キャビティ壁が透光性天壁110及び透光性底壁120を含み、第1光エネルギー利用部210が透光性底壁120の外側に配置されている点である。例えば、液体集光装置100の底面の中央部分は平坦であり、この平坦部分の下には光エネルギー利用装置200が配置されている。透明液体130によって、太陽光は第1光エネルギー利用部210まで導かれ、反射面での反射によって、太陽光の少なくとも一部を第2光エネルギー利用部220に照射することができる。
【0049】
1つの実施形態として、放熱を良くするために、反射溝300における突起した反射構造310は、透光性底壁120と点、線又は面接触してよい。
【0050】
さらに、実施形態3において、液体集光装置100及び/又は反射溝300と接続されている取付部材がさらに備えられている。当該取付部材は、太陽エネルギー利用装置をほかの装置に接続するために用いられる。
図3を参照されたい。より具体的な実施形態として、当該取付部材は太陽エネルギー利用装置を取り付けるための透明な掛け具111である。例えば、掛け具111を介して太陽エネルギー利用装置全体を別の物体又は別の太陽エネルギー利用装置に掛けるために用いられる。
【0051】
<実施形態4>
図4を参照されたい。実施形態4に係る太陽エネルギー利用装置は、液体集光装置100、光エネルギー利用装置200及び反射溝300を備えている。実施形態4おける液体集光装置100及び反射溝300は、いずれも単軸対称な細長形状を有しており、対称軸に対する断面は軸対称構造となっている。
【0052】
当該透光性キャビティ壁は、透光性天壁110及び透光性底壁120を含む。光エネルギー利用装置は、収容キャビティ内に配置されており、また、透光性天壁110から入射した太陽光を受光するために、第1光エネルギー利用部210は透光性天壁110の内側に貼り付けられている。第2光エネルギー利用部220と透光性底壁120との間は、太陽光を第2光エネルギー利用部220まで導くための透明液体130を有する。たとえば、透明液体130は全反射現象によってできるだけ多くの太陽光を第2光エネルギー利用部220まで導くために用いられる。
【0053】
また、当該太陽エネルギー利用装置は、内部に光エネルギー利用装置200及び液体集光装置100が配置されている密閉容器400をさらに備えている。太陽光が透光面から液体集光装置100内に入射できるように、密閉容器400は透光面を有する。当該透光面は、密閉容器400の上面又はほかの面であってよい。密閉容器400内には、光エネルギー利用装置200及び/又は反射溝300と接触している作動媒体420が設けられている。作動媒体420を利用するために、密閉容器400は、作動媒体420が密閉容器400に出入りするための第1外部接続口410を有する。
【0054】
具体的には
図4を参照されたい。より具体的な実施形態として、密閉容器400は、反射溝300の下に配置されており、且つ液体集光装置100及び/又は反射溝300と熱接触している。太陽光の入射に用いるために、密閉容器400の一部の表面(例えば上面)は、液体集光装置100又は反射溝300の一部の表面と重なり合っていてもよく、共用してもよい。密閉容器400内には、作動媒体420及び、外部熱利用装置と熱交換するための第1外部接続口410が設けられている。
【0055】
実施形態4において、液体透明レンズの透明液体130と密閉容器400内の作動媒体420との熱交換を促進するために、透光性底壁120の中央部分は逆V字形であり、反射溝300における凸状の反射構造310と重なり合い、この部分は密閉容器400の作動媒体420に浸漬されている。
【0056】
以上、具体的な例を用いて本発明について詳述したが、上記の実施形態は、本発明の理解を深めるためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の思想に基づいて、上記の具体的な実施形態を変更することができる。
【国際調査報告】