(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】モバイル端末の選択的機能制限
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559031
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 AU2022050260
(87)【国際公開番号】W WO2022198268
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523365538
【氏名又は名称】アンバック、トレバー ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】UMBACK,Trevor J.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アンバック、トレバー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC27
5H181DD07
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF33
(57)【要約】
モバイル端末MT(111)の機能を選択的に制限する方法(400)。方法は、モバイル端末MT(111)のモバイル端末位置MTL(522)を決定するステップ(401)と、モバイル端末MT(111)の位置MTL(522)における危険度を決定するステップ(605)と、決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合に、モバイル端末MT(111)が全機能モードで動作することを可能にするステップと、決定された危険度が許容可能なレベルを上回る場合に、モバイル端末MT(111)が制限機能モードで動作することを可能にするステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する方法であって、
前記モバイル端末(MT)のモバイル端末位置(MTL)を決定するステップと、
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップと、
決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合、前記モバイル端末(MT)が全機能モードで動作することを可能にするステップと、
前記決定された危険度が前記許容可能なレベルを上回る場合、前記モバイル端末(MT)が制限機能モードで動作することを可能にするステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記モバイル端末(MT)のモバイル端末位置(MTL)を決定するステップは、地図データベースからマップオーバーレイを要求するステップをさらに含んでおり、
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップは、危険データベースから危険オーバーレイを要求するステップをさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップは、
前記モバイル端末(MT)に最も近い固有危険エリア(IHA)を識別するステップと、
前記モバイル端末の位置(MTL)が識別された固有危険エリア(IHA)内にある場合、前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を前記許容可能なレベルを上回るように指定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップは、
前記モバイル端末(MT)に最も近い固有危険エリア(IHA)を識別するステップと、
識別された固有危険エリア(IHA)の前記モバイル端末位置(MTL)に最も近いポイントの位置を決定するステップと、
前記固有危険エリアの前記モバイル端末位置(MTL)に最も近いポイントの前記位置における固有危険度(IHR)を決定するステップと、
前記固有危険エリアの前記モバイル端末位置(MTL)に最も近いポイントの前記位置に向かう前記モバイル端末(MT)のモバイル端末危険速度(MTHV)を決定するステップと、
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)及び前記モバイル端末(MT)の前記モバイル端末危険速度(MTV)に応じて、前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限するステップは、(i)前記モバイル端末(MT)の動作中に継続的に動作するように前記モバイル端末にハード配線接続されるか、または(ii)モバイル端末機能制限モジュールが前記モバイル端末に一体化されるか、または関連するように配置されて、前記モバイル端末(MT)が動作可能であるときに前記モバイル端末機能制限モジュールが方法ステップの動作を実行するようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限することは、前記モバイル端末(MT)が車両通信システムに接続されているとき、および/または前記モバイル端末(MT)が車両モバイル端末マウント、キャディ、またはクレードルに配置され、かつ車両モバイル端末マウント、キャディ、もしくはクレードルを介して前記車両通信システムに接続されているときに解除されるように構成される、請求項1または5に記載の方法。
【請求項7】
前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限するステップは、車両の制御において車両オペレータの車両通信システムからの通信に応答して設定され、前記モバイル端末(MT)は、モバイル端末マウント、キャディ、またはクレードルに配置されていること、前記車両通信システムに接続されていることのいずれかでもなく、または両方でもない、請求項1または5に記載の方法。
【請求項8】
前記モバイル端末(MT)が通信ネットワークを介してサーバとの通信を失ったか、または通信していないとき、前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限するステップは、前記モバイル端末(MT)の現在位置に基づいて、または前記モバイル端末(MT)の予測位置に基づいて、設定または解除するように構成される、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モバイル端末(MT)の前記予測位置は、予め決定されるか、又は前記モバイル端末(MT)の導出された位置履歴に基づく、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モバイル端末の機能は、電話の発信、メッセージング、電子メール、前記モバイル端末(MT)にロードされた1つまたは複数の所定のアプリケーションソフトウェアプログラムを含む、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限するためのシステムであって、
コンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを実行するためのプロセッサを有するサーバと、
コンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを実行するためのプロセッサをそれぞれが有する1つまたは複数のモバイル端末(MT)と、を備え、
前記サーバおよび前記1つまたは複数のモバイル端末(MT)は通信ネットワークを介して通信し、前記サーバおよび前記1つまたは複数のモバイル端末(MT)は、通信ネットワークを介して通信して、前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する方法を実行し、前記方法は、
前記モバイル端末(MT)のモバイル端末位置(MTL)を決定するステップと、
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップと、
決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合、前記モバイル端末(MT)が全機能モードで動作することを可能にするステップと、
前記決定された危険度が前記許容可能なレベルを上回る場合、前記モバイル端末(MT)が制限機能モードで動作することを可能にするステップと、を含むシステム。
【請求項12】
前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する前記方法は、(i)前記モバイル端末(MT)の動作中に継続的に動作するように前記モバイル端末にハード配線接続されるか、または(ii)モバイル端末機能制限モジュールが前記モバイル端末に一体化されるか、または関連するように配置されて、前記モバイル端末(MT)が動作可能であるときに前記モバイル端末機能制限モジュールが方法ステップの動作を実行するようにする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する前記方法は、前記モバイル端末(MT)が車両通信システムに接続されているとき、および/または前記モバイル端末(MT)が車両モバイル端末マウント、キャディ、もしくはクレードルに配置され、かつ車両モバイル端末マウント、キャディ、もしくはクレードルを介して前記車両通信システムに接続されているときに解除されるように構成される、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する前記方法は、車両の制御において車両オペレータの車両通信システムからの通信に応答して設定され、前記モバイル端末(MT)は、モバイル端末マウント、キャディ、またはクレードルに配置されていること、前記車両通信システムに接続されていることのいずれかでもなく、または両方でもない、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項15】
前記モバイル端末が通信ネットワークを介して前記サーバと通信を失ったか、または通信していないとき、前記モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する前記方法は、前記モバイル端末の現在位置に基づいて、または前記モバイル端末の予測位置に基づいて、設定または解除されるように構成される、請求項11乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記モバイル端末(MT)の前記予測位置は、予め決定されるか、または前記モバイル端末(MT)の導出された位置履歴に基づく、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記モバイル端末の機能は、電話の発信、メッセージング、電子メール、前記モバイル端末(MT)にロードされた1つまたは複数の所定のアプリケーションソフトウェアプログラムを含む、請求項11乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
モバイル端末(MT)の機能を選択的に制限する方法を実行するように1つまたは複数のプロセッサに指示するためのコンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムであって、前記方法は、
前記モバイル端末(MT)のモバイル端末位置(MTL)を決定するステップと、
前記モバイル端末(MT)の位置(MTL)における危険度を決定するステップと、
決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合、前記モバイル端末(MT)が全機能モードで動作することを可能にするステップと、
前記決定された危険度が前記許容可能なレベルを上回る場合、前記モバイル端末(MT)が制限機能モードで動作することを可能にするステップと、を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、無線通信に関し、特に、ある条件下でモバイル通信端末の機能を選択的に制限することに関する。本発明はまた、モバイル通信端末の機能を選択的に制限するための方法および装置、ならびにモバイル通信端末の機能を選択的に制限するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品に関する。本発明は、主に自動車と歩行者との間の衝突を防止するためのシステムおよび方法に関して開発されたものであり、本出願を参照して以下に説明される。しかしながら、本発明はこの特定の使用分野に制限されないことが理解されるであろう。
【背景技術】
【0002】
(スマート)フォン、タブレット、ラップトップ、および他のものなどのモバイル通信端末は、世界の多くの地域に偏在しており、そのようなデバイス(以下、総称して「フォン」と呼ぶ)の使用は増加し続けている。このようなフォンの使用は、多くの状況において非常に便利である。しかしながら、例えば混雑した道路を横断するときなど、特定の状況下でのフォンの使用は、フォンのユーザ及び周囲の人々の両方にとって重大な危険をもたらす。
【0003】
フォンの使用を伴う危険な行動を抑制する現在の試みには、ハンズフリーフォン装置なしで運転するときなど、人が特に危険な状態でフォンを使用する場合に警察によって課される罰金などの法的制裁がある。そのような行動の検出は完全に有効ではないことが多いため、そのような対策は部分的にのみ有効である。そのような対策は、運転中にフォンを大腿部の間に保持することによってフォンを覆い隠そうとする人を助長して、車両の制御を低下させることにつながるため、リスクをさらに悪化させる可能性さえある。
【0004】
人がフォンを使用することに夢中になっている間に運転することは、明らかに非常に危険である。しかしながら、歩きながらフォンを使用することは、おそらくあまり危険性はないかもしれないが、(例えば、目に見えない障害物につまずくことによって、または状況に気付かずに交通量のあるところにまぎれて歩いたりすることによって)フォンのユーザにも、歩行者および運転者といった他者にも重大な危険をもたらす。
【0005】
状況によっては、例えば、歩行者が携帯電話またはスマートフォンなどのユーザ端末に気を取られながら車両の進路の近くを移動した結果、事故が発生する可能性があることが理解されよう。歩行者の例では、歩行者としての法律上の義務を無視するか、または軽視する人もいれば、注意散漫になり、車両に衝突される事故を直接引き起こす人もいる。低速であっても、歩行者に重大な被害が生じる可能性がある。このような場合、例えば、事故の目撃者またはビデオ映像が存在しない場合、車両の運転者に少なくとも部分的に事故責任があるとみなされることも少なくない。人が負傷した事故や、事故の際に運転者が被った損害において、罪のない運転者はショックを受けるにもかかわらず、運転者は、不当に金銭的なペナルティを受け、場合によっては交通違反で罰せられることもある。これは明らかに、保険の公正性および関連する責任問題にとっても問題である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、既存の構成の1つまたは複数の欠点を実質的に克服するか、または少なくとも改善するか、または有用な代替案を提供することである。
モバイル通信の選択的制限(SLMC:Selective Limitation of Mobile Communication)構成と呼ばれる構成が開示され、この構成は、モバイル端末(MT)が危険エリアで使用されるとき、好ましくは危険エリアに近づいているユーザによって使用されるときに、MTの機能を制限することによって上記の問題に対処しようとするものである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、モバイル端末MTの機能を選択的に制限する方法が提供され、この方法は、モバイル端末MTのモバイル端末位置MTLを決定するステップと、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップと、決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合にモバイル端末MTが全機能モードで動作することを可能にするステップと、決定された危険度が許容可能なレベルを上回る場合にモバイル端末MTが制限機能モードで動作することを可能にするステップとを含む。
【0008】
好ましくは、上記の方法において、モバイル端末MTのモバイル端末位置MTLを決定するステップは、地図データベースからマップオーバーレイ(map overlay)を要求するステップをさらに含み、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップは、危険データベースから危険オーバーレイを要求するステップをさらに含む。
【0009】
任意選択的に、上記の方法において、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップは、モバイル端末MTに最も近い固有危険エリアIHAを識別するステップと、モバイル端末の位置MTLが識別された固有危険エリアIHA内にある場合、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を許容可能なレベルを上回るように指定するステップとを含む。
【0010】
任意選択的に、上記の方法において、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップは、モバイル端末MTに最も近い固有危険エリアIHAを識別するステップと、識別された固有危険エリアIHAのモバイル端末位置(MTL)に最も近いポイントの位置を決定するステップと、固有危険エリアのモバイル端末位置(MTL)に最も近いポイントの位置における固有危険度IHRを決定するステップと、固有危険エリアのモバイル端末位置(MTL)に最も近いポイントの位置に向かうモバイル端末MTのモバイル端末危険速度(MTV)を決定するステップと、モバイル端末MTの位置MTLおよびモバイル端末MTのモバイル端末危険速度(MTV)に応じて、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップとを含む。
【0011】
本発明の別の態様によれば、モバイル端末MTの機能を選択的に制限するためのシステムが提供され、このシステムは、コンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを実行するためのプロセッサを有するサーバと、コンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを実行するためのプロセッサをそれぞれが有する1つまたは複数のモバイル端末MTとを備え、サーバおよび1つまたは複数のモバイル端末MTは、通信ネットワークを介して通信し、サーバおよび1つまたは複数のモバイル端末MTは、通信ネットワークを介して通信して、モバイル端末MTの機能を選択的に制限する方法を実行し、この方法は、モバイル端末MTのモバイル端末位置MTLを決定するステップと、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップと、決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合にモバイル端末MTが全機能モードで動作することを可能にするステップと、決定された危険度が許容可能なレベルを上回る場合にモバイル端末MTが制限機能モードで動作することを可能にするステップとを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、モバイル端末MTの機能を選択的に制限する方法を実行するように1つまたは複数のプロセッサに指示するコンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムが提供され、方法は、モバイル端末MTのモバイル端末位置MTLを決定するステップと、モバイル端末MTの位置MTLにおける危険度を決定するステップと、決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合、モバイル端末MTが全機能モードで動作することを可能にするステップと、決定された危険度が許容可能なレベルを上回る場合、モバイル端末MTが制限機能モードで動作することを可能にするステップと、を含む。
【0013】
他の態様も開示されており、本発明の好ましい実施形態は、位置およびエリアに関連付けられた所定の危険度に応じてモバイル端末の機能を選択的に制限するための方法、システムおよび装置を有利に提供することが分かる。さらに、このシステムおよび方法は、モバイル端末の位置および/または危険度を条件として、特定のまたは完全なモバイル端末機能に設定することができ、モバイル端末がホルダに固定されているか否かにかかわらず、車両内にあるときにモバイル端末の機能を制御することもできる。さらに、モバイル端末は、距離および/または時間に応じた第1の態様の方法の動作を含むモバイル端末の機能の記録またはログを含み、事故または交通違反の場合に有用な法的記録を提供することが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】開示されたSLMC構成が防止または少なくとも改善することを目的とする危険状況を示す図である。
【
図2A】説明したSLMC構成を実施することができる汎用コンピュータシステムの概略的なブロック図である。
【
図2B】説明したSLMC構成を実施することができる汎用コンピュータシステムの概略的なブロック図である。
【
図3】本開示による第1のSLMS構成を実行するサーバ中心の方法の一例のフロー図である。
【
図4】本開示による第1のSLMS構成を実行するモバイル端末中心の方法の一例のフロー図である。
【
図5A】開示されたSLMC構成がモバイル端末の機能を制御するために使用され得る領域を示すマップオーバーレイの一例を示す。
【
図5B】多数のモバイル端末およびバッファ距離マーキングがオーバーレイされた
図5Aのマップオーバーレイを示す図である。
【
図6】
図3のステップ317および
図4のステップ417を実行するための方法の一例のフローチャートである。
【
図7】危険度およびバッファ距離がオーバーレイされた
図5のマップオーバーレイを示す図である。
【
図8】本開示による第2のSLMS構成を実行するモバイル端末中心の方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、例示的に説明する。
添付の図面のいずれか1つまたは複数において、同じ参照番号を有するステップおよび/または特徴が参照される場合、これらのステップおよび/または特徴は、反対の意図がない限り、本明細書において同じ機能(複数可)または動作(複数可)を有する。誤解を避けるために、同様の参照番号は、同様の構成要素および/またはステップを示すために使用される。
【0016】
「背景技術」の欄および従来技術の構成に関する上記の欄に含まれる説明は、それらの使用を通して公知となり得る構成の説明に関することに留意されたい。そのような説明は、発明者または特許出願人が、そのような構成が何らかの形で当技術分野における共通の一般的な知識の一部を形成していると表明していると解釈されるべきではない。
【0017】
用語説明
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
上述したように、開示されたSLMC構成は、人々が「通行可能ゾーン」を含む危険エリア(固有危険エリアIHAおよび近隣危険エリアNHAの両方を含む)に位置している間(またはその近くに位置している間)に、スマートフォンおよび他のモバイルコンピューティングデバイス(モバイル端末またはMTと呼ばれる)の「注意散漫」を制限し、除去するか、または少なくとも低減する、一般公衆のための広範囲の安全システムである。
【0023】
開示されたSLMC構成では、MTは、全機能モード(FFM)または制限機能モード(LFM)で動作することができる。SLMC構成は、MTのユーザおよび/または他のユーザに対する決定されたリスクに基づいて、モバイル端末の機能を制限する(MTをFFMからLFMに移行させる)ことによって、注意散漫を低減または排除する。このリスクは、MTの地理的位置(MTL)、その時間(リアルタイムまたはスケジュール)におけるその特定の地理的位置に割り当てられた危険度(IHR、NHR)、およびMTが移動していることが検出されたかどうかを含む、いくつかの要因に基づいて決定される。リスクが所定の閾値(ANHR)よりも大きい場合、リスクが所定のリスク閾値(ANHR)を下回るまで、(MTをFFMからLFMに移行させることによって)一部のモバイル端末機能が無効にされる。
【0024】
SLMC構成は、特に以下の情報であって、
a.モバイル端末の地理的位置(MTL)、
b.固有危険エリア/通行可能エリア(IHA)および近隣危険エリア(NHA)を特定するマップデータ、
c.特定の時間における固有危険エリアの危険度(IHR)および近隣危険エリアの危険度(NHR)、
d.モバイル端末の移動が所定の時間期間(PT)にわたって所定の距離(PD)を超えて検出されるかどうかの情報を使用する。例えば、GPSのみを使用する地理的位置の精度は、(GPS信号を反射し、影になったりする可能性がある)建物の影響を受けるため、より大きな移動閾値(即ち、より大きなPTにわたって測定されたより大きなPD)が、都市内の建築環境内で必要であり得る。
【0025】
危険エリア/通行可能エリアのメタ層「マップ」の作成および維持は、地方自治体および/または他の責任ある事業体との協議によって実行される。任意の時間に特定の地理的位置に割り当てられる危険度(IHR、NHR)は、例えば、共有使用ゾーンの場合はスケジュールされた交通量に従って、または夜間は危険の増加に従って予めプログラムされ得る。代替的に、地理的位置に対する危険度(IHR、NHR)は、(例えば、車両センサ、歩行者カウンタ、または環境センサからの)リアルタイムデータに基づいて割り当てられ得る。モバイル端末の地理的位置(MTL)は常に監視されているため、モバイル端末が固有危険エリア(IHA)内にあるか、またはそれに近すぎていると検出された場合、モバイル端末は自動的に「制限機能」モードに設定される。この所定の制限機能モードは、重要なデバイスの安全関連機能を保持しながら、ユーザがモバイル端末を見ていること、および/またはモバイル端末とインタラクションすることによる注意散漫を制限することによって、安全性を高める効果がある。
【0026】
SLMC構成の実装は、モバイル端末MTのオペレーティングシステムが、リモートサーバおよびリモートデータベースに保存された適切なメタ層マップ(
図1を参照して以下でより詳細に説明される)と連携することによって、最良に実現される。モバイル端末のオペレーティングシステムは、モバイル端末上で実行されるソフトウェアアプリケーションの制御を制限しているため、サードパーティのアプリケーションがモバイル端末の全機能を再有効化することはできない。モバイル端末オペレーティングシステムの動作は、通常、アップル(Apple(登録商標))(iOS(商標))およびグーグル(Google(登録商標))(Android(登録商標))によって制御される。
【0027】
図1は、開示されたSLMC構成が防止または少なくとも改善することを目的とする危険な状況を示す。人107が、自身のMT111を見ながら歩道108を歩いている(明細書全体を通して「モバイル端末」という用語が使用されているが、開示されたSLMC構成は、人がスマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットなどを含む任意のタイプのモバイル端末デバイスを使用している場合に動作することができる)。人107は、(近隣危険エリアNHAである)歩道108から(固有危険エリアIHAである)道路109に降りようとしており、対向車両110に気付いていない。この非常に一般的な状況は、人107および/または車両110の運転者112および/または周囲の他の人(図示せず)にとって深刻な傷害またはそれ以上の事態につながる可能性がある。
【0028】
開示されたSLMC構成は、人107が道路109などの「通行可能ゾーン」を含む固有危険エリアIHA内(またはその近く)に位置している間に、MT111によって提示される「注意散漫」を制限および除去することによって、リスクを排除するか、または少なくとも改善することを目的とする。より詳細には、開示されたSLMC構成では、MT111が、動作中に、固有危険エリアIHA109内またはその付近にあることが検出された場合、MT111は、(a)SLMCサーバ103、(b)1つまたは複数のデータベース101内の関連情報、および(c)通信ネットワーク105と共に動作するMT111のオペレーティングシステム268の制御下で、より安全な「制限機能」モードLFMに自動的に入る。この制限機能モードは、重要なデバイスの安全関連機能を保持しながら、ユーザ107がMT111を見ていること、および/またはMT111とインタラクションすることによる注意散漫を制限することによって、安全性を高める効果がある。
【0029】
MT111のオペレーティングシステム268は、破線106、104によって示されるように、通信ネットワーク105を介してサーバ103と通信する。サーバ103は、破線104、102で示すように、通信ネットワーク105を介してデータベース101と通信する。
【0030】
モバイル端末111のオペレーティングシステム268は、モバイル端末MT111の位置MTL(例えば、
図5Bの522を参照)を常に監視して、位置MTLを危険エリアのマップ(
図5A、
図5B、および
図7を参照して以下でより詳細に説明する)と比較する。モバイル端末MTが固有危険エリアIHA内にある場合(例えば、
図5Bの523を参照)、モバイル端末111のオペレーティングシステム268は、制限機能モードLFMに入り、それによって、ユーザおよび他者の両方を、危険に対する注意散漫および不注意による潜在的な危害から保護する。モバイル端末111が近隣危険エリアNHA内にあり、近隣危険度NHRが所定の許容可能近隣危険度ANHRを超える場合、モバイル端末111のオペレーティングシステム268は、制限機能モードLFMに入り、それによって、ユーザおよび他者の両方を、危険に対する注意散漫および不注意による潜在的な害から保護する。
【0031】
図2Aおよび
図2Bは、説明したSLMC構成を実施することができる汎用コンピュータシステムの概略ブロック図を形成する。
図2Aおよび
図2Bは、説明した様々な構成を実施することができる汎用コンピュータシステム200を示す。以下の詳細な説明は、主にサーバ103に関するが、必要な変更を加えて、モバイル端末(複数可)111の動作に適用される。
【0032】
図2Aに見られるように、コンピュータシステム200は、サーバ103であるコンピュータモジュールと、キーボード202、マウスポインタデバイス203、スキャナ226、カメラ227、およびマイクロフォン280などの入力デバイスと、プリンタ215、ディスプレイデバイス214、およびスピーカ217を含む出力デバイスとを含む。外部変調器-復調器(モデム)トランシーバデバイス216は、接続221を介して通信ネットワーク105上でモバイル端末111およびリモートデータベース101と通信するために、コンピュータモジュール103によって使用され得る。通信ネットワーク105は、インターネット、セルラー電気通信ネットワーク、またはプライベートWANなどのワイドエリアネットワーク(WAN)であり得る。接続221が電話回線である場合、モデム216は従来の「ダイヤルアップ」モデムであり得る。代替的に、接続221が大容量(例えば、ケーブル)接続である場合、モデム216はブロードバンドモデムであり得る。また、無線モデムが通信ネットワーク105への無線接続のために使用され得る。
【0033】
コンピュータモジュール103は、通常、少なくとも1つのプロセッサユニット205と、メモリユニット206とを含む。例えば、メモリユニット206は、半導体ランダムアクセスメモリ(RAM)および半導体読み出し専用メモリ(ROM)を有し得る。また、コンピュータモジュール103は、ビデオディスプレイ214、スピーカ217、およびマイクロフォン280に接続されるオーディオビデオインタフェース207と、キーボード202、マウス203、スキャナ226、カメラ227、および任意選択でジョイスティックまたは他のヒューマンインタフェースデバイス(図示せず)に接続されるI/Oインタフェース213と、外部モデム216およびプリンタ215のためのインタフェース208とを含む、多数の入出力(I/O)インタフェースを含む。いくつかの実装形態では、モデム216は、コンピュータモジュール103内に、例えばインタフェース208内に組み込まれ得る。コンピュータモジュール103は、ローカルエリアネットワーク(LAN)として知られるローカルエリア通信ネットワーク222への接続223を介してコンピュータシステム200の接続を可能にするローカルネットワークインタフェース211をも有する。
図2Aに示すように、ローカル通信ネットワーク222は、接続224を介してワイドネットワーク105に接続し得、これは、通常、いわゆる「ファイアウォール」デバイスまたは同様の機能のデバイスを含む。ローカルネットワークインタフェース211は、イーサネット(登録商標)回路カード、Bluetooth(登録商標)無線構成、またはIEEE802.11無線構成を備え得るが、多数の他のタイプのインタフェースが、インタフェース211のために実施され得る。
【0034】
I/Oインタフェース208および213は、シリアル接続性およびパラレル接続性のいずれかまたは両方を提供することができ、前者は、通常、ユニバーサルシリアルバス(USB)規格に従って実装され、かつ対応するUSBコネクタ(図示せず)を有する。典型的にはハードディスクドライブ(HDD)210を含むストレージデバイス209が設けられている。フロッピー(登録商標)ディスクドライブおよび磁気テープドライブ(図示せず)などの他のストレージデバイスを使用することもできる。光ディスクドライブ212は、通常、不揮発性データソースとして機能するように提供される。システム200へのデータの適切なソースとして、例えば、光ディスク(例えば、CDROM、DVD-R、ブルーレイディスク(商標))、USB-RAM、ポータブル外部ハードドライブ、およびフロッピー(登録商標)ディスクなどのポータブルメモリデバイスが使用され得る。
【0035】
コンピュータモジュール103のコンポーネント205~213は、通常、相互接続されたバス204を介して、当業者に既知のコンピュータシステム200の従来の動作モードをもたらす方法で通信する。例えば、プロセッサ205は、接続218を使用してシステムバス204に接続される。同様に、メモリ206および光ディスクドライブ212は、接続219によってシステムバス204に接続される。説明した構成を実施することができるコンピュータの例には、IBM-PCおよびその互換機、サン・スパークステーション(Sun Sparcstations)、アップル・マック(Apple Mac(商標))または類似のコンピュータシステムが含まれる。
【0036】
SLMC方法は、コンピュータシステム200を使用して実装され得、説明される
図3、
図4、
図6、および
図8のプロセスは、コンピュータシステム200内で実行可能な1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションプログラム233、268として実装され得る。特に、SLMC方法のステップは、コンピュータシステム200内で実行されるソフトウェア233、268内の命令231(
図2B参照)によって実行される。ソフトウェア命令231は、1つまたは複数の特定のタスクを各々が実行するための1つまたは複数のコードモジュールとして形成され得る。また、ソフトウェアは、2つの別個の部分に分割され得、第1の部分および対応するコードモジュールは、SLMC方法を実行し、第2の部分および対応するコードモジュールは、第1の部分とユーザとの間のユーザインタフェースを管理する。
【0037】
ソフトウェアは、例えば以下に説明するストレージデバイスを含むコンピュータ可読媒体に保存され得る。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体からコンピュータシステム200にロードされ、次いで、コンピュータシステム200によって実行される。コンピュータ可読媒体上に記録されたそのようなソフトウェアまたはコンピュータプログラムを有するコンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品である。コンピュータシステム200におけるコンピュータプログラム製品の使用は、好ましくは、有利なSLMC装置を実現する。
【0038】
ソフトウェア233、268は、通常、サーバ103内のHDD210またはメモリ206、およびモバイル端末111内のメモリモジュール270に保存される。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体からコンピュータシステム200にロードされ、コンピュータシステム200によって実行される。従って、例えば、ソフトウェア233、268は、光ディスクドライブ212によって読み取られる光学的に読み取り可能なディスク記憶媒体(例えば、CD-ROM)225に保存され得る。そのようなソフトウェアまたはコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品である。コンピュータシステム200におけるコンピュータプログラム製品の使用は、好ましくは、SLMC装置を実現する。
【0039】
場合によっては、アプリケーションプログラム233、268は、1つまたは複数のCD-ROM225上に符号化されてユーザに供給され、対応するドライブ212を介して読み取られるか、またはネットワーク105または222からユーザによって読み取られ得る。さらに、ソフトウェアは、他のコンピュータ可読媒体からコンピュータシステム200にロードされ得る。コンピュータ可読記憶媒体は、実行および/または処理のために記録された命令および/またはデータをコンピュータシステム200に提供する任意の非一時的な有形記憶媒体を指す。そのような記憶媒体の例は、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD-ROM、DVD、ブルーレイ(Blu-ray(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、ROMもしくは集積回路、USBメモリ、光磁気ディスク、またはPCMCIAカードなどのコンピュータ可読カードなどを含み、そのようなデバイスがコンピュータモジュール103の内部にあるか外部にあるかは問わない。コンピュータモジュール103へのソフトウェア、アプリケーションプログラム、命令および/またはデータの提供にも関与し得る一時的または無形のコンピュータ可読伝送媒体の例は、無線または赤外線伝送チャネル、ならびに別のコンピュータまたはネットワーク化デバイスへのネットワーク接続、ならびに電子メール伝送およびウェブサイトなどに記録された情報を含むインターネットまたはイントラネットを含む。
【0040】
アプリケーションプログラム233、268の第2の部分および上述した対応するコードモジュールは、サーバのディスプレイ214およびモバイル端末111の対応するディスプレイ271上にレンダリングされるかまたは他の方法で表示される1つまたは複数のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を実装するために実行され得る。典型的にはキーボード202およびマウス203、ならびにモバイル端末111のユーザインタフェースの操作を通して、コンピュータシステム200およびアプリケーションのユーザは、GUIに関連付けられたアプリケーションに制御コマンドおよび/または入力を提供するように、機能的に適応可能な方法でインタフェースを操作し得る。スピーカ217を介して出力される音声プロンプトおよびマイクロフォン280を介して入力されるユーザ音声コマンドを利用するオーディオインタフェースなど、他の形態の機能的に適応可能なユーザインタフェースを実装され得る。
【0041】
開示されたSLMC構成は、大部分が自動的に動作し、通常、モバイル端末のユーザは、表示色などの表面的な制御のみ可能である。モバイル端末111のユーザは、通常、SLMC機能を無効にすることができない。
【0042】
図2Bは、プロセッサ205および「メモリ」234の詳細な概略ブロック図である。メモリ234は、
図2Aのコンピュータモジュール103によってアクセスされ得る全てのメモリモジュール(HDD209および半導体メモリ206を含む)の論理集合体を表す。
【0043】
コンピュータモジュール103が最初に電源投入されると、パワーオンセルフテスト(POST)プログラム250が実行される。POSTプログラム250は、通常、
図2Aの半導体メモリ206のROM249に保存される。ソフトウェアを保存するROM249などのハードウェアデバイスは、ファームウェアと呼ばれることがある。POSTプログラム250は、適切な機能を保証するためにコンピュータモジュール103内のハードウェアを検査し、通常は、プロセッサ205、メモリ234(209、206)、および通常はROM249に保存されている基本入出力システムソフトウェア(BIOS)モジュール251を、正しい動作に関してチェックする。POSTプログラム250が正常に実行されると、BIOS251は
図2Aのハードディスクドライブ210を起動する。ハードディスクドライブ210の起動により、ハードディスクドライブ210上に常駐するブートストラップローダプログラム252がプロセッサ205を介して実行される。これにより、オペレーティングシステム253、268がRAMメモリ206にロードされ、オペレーティングシステム253、268が動作を開始する。オペレーティングシステム253、268は、プロセッサ管理、メモリ管理、デバイス管理、ストレージ管理、ソフトウェアアプリケーションインタフェース、汎用ユーザインタフェース、およびSLMC構成を含む様々な高レベル機能を果たすためにプロセッサ205、269によって実行可能なシステムレベルアプリケーションである。
【0044】
オペレーティングシステム253は、コンピュータモジュール103上で実行される各プロセスまたはアプリケーションが、別のプロセスに割り振られたメモリと衝突することなく実行するのに十分なメモリを有することを保証するようにメモリ234(209、206)を管理する。さらに、
図2Aのシステム200において利用可能な異なるタイプのメモリは、各プロセスが効果的に実行できるように適切に使用される必要がある。従って、集約メモリ234は、メモリの特定のセグメントがどのように割り振られるかを示すことを意図するものではなく(別段の記載がない限り)、コンピュータシステム200によってアクセス可能なメモリの一般的なビュー、およびそのようなものがどのように使用されるかを提供することを意図するものである。
【0045】
図2Bに示されるように、プロセッサ205は、制御ユニット239、算術論理演算ユニット(ALU)240、およびキャッシュメモリと呼ばれることもあるローカルまたは内部メモリ248を含むいくつかの機能モジュールを含む。キャッシュメモリ248は、通常、レジスタセクション内にいくつかのストレージレジスタ244~246を含む。1つまたは複数の内部バス241は、これらの機能モジュールを機能的に相互接続する。プロセッサ205は、通常、接続218を使用してシステムバス204を介して外部デバイスと通信するための1つまたは複数のインタフェース242をも有する。メモリ234は、接続219を使用してバス204に接続される。
【0046】
アプリケーションプログラム233、268は、条件付き分岐命令およびループ命令を含み得る一連の命令231を含む。また、プログラム233は、プログラム233の実行において使用されるデータ232を含み得る。命令231およびデータ232は、それぞれメモリロケーション228、229、230および235、236、237に保存される。命令231およびメモリロケーション228~230の相対的なサイズに応じて、メモリロケーション230に示される命令によって示されるように、特定の命令が単一のメモリロケーションに保存され得る。代替的に、メモリロケーション228および229に示される命令セグメントによって示されるように、命令は、別個のメモリロケーションに各々が保存されるいくつかの部分にセグメント化され得る。
【0047】
一般に、プロセッサ205には、プロセッサ205内で実行される命令のセットが与えられる。プロセッサ205は、後続の入力を待ち、プロセッサ205はその入力に対して別の命令セットを実行することによって反応する。各入力は、入力デバイス202、203のうちの1つまたは複数によって生成されたデータ、ネットワーク105、202のうちの1つを介して外部ソースから受信されたデータ、ストレージデバイス206、209のうちの1つから取り出されたデータ、または対応するリーダ212に挿入された記憶媒体225から取り出されたデータ(全て
図2Aに示されている)を含む、いくつかのソースのうちの1つまたは複数から提供され得る。命令のセットの実行は、場合によっては、データの出力をもたらし得る。また、実行は、データまたは変数をメモリ234に保存することを含み得る。
【0048】
開示されたSLMC構成は、入力変数254を使用し、これらは、メモリ234内の対応するメモリロケーション255、256、257に保存される。SLMC構成は出力変数261を生成し、これらはメモリ234内の対応するメモリロケーション262、263、264に保存される。中間変数258は、メモリロケーション259、260、266および267に保存され得る。
【0049】
図2Bのプロセッサ205を参照すると、レジスタ244、245、246、算術論理演算ユニット(ALU)240、および制御ユニット239は、協働して、プログラム233を構成する命令セット内の全ての命令に対して「フェッチ、デコード、および実行」サイクルを実行するために必要とされるマイクロ動作のシーケンスを実行する。各フェッチ、デコード、および実行サイクルは、
・メモリロケーション228、229、230から命令231をフェッチまたは読み出すフェッチ動作と、
・どの命令がフェッチされたかを制御ユニット239が決定するデコード動作と、
・制御ユニット239および/またはALU240が命令を実行する実行動作と、を含む。
【0050】
その後、次の命令のためのさらなるフェッチ、デコード、および実行サイクルが実行され得る。同様に、制御ユニット239がメモリロケーション232に値を保存または書き込む保存サイクルが実行され得る。
【0051】
図3、
図4、
図6および
図8のプロセスにおける各ステップまたはサブプロセスは、プログラム233、268の1つまたは複数のセグメントに関連付けられており、かつプログラム233の示されたセグメントに対する命令セット内の全ての命令に対するフェッチ、デコード、および実行サイクルを実行するために協働するプロセッサ205(ならびにモバイル端末111のプロセッサ269、オペレーティングシステム268、およびメモリ270)内のレジスタセクション244、245、247、ALU240、および制御ユニット239によって実行される。
【0052】
固有危険エリアIHA内で静止または移動している間、モバイル端末MTの機能は、制限機能モードLFMに入るように制御され、制限機能モードLFMでは、MTは、安全関連機能および通知ならびに緊急サービスへの発信などの事前定義された機能に制限される。
【0053】
いくつかのモード移行例を以下の表に詳述する。
モード移行例
【0054】
【0055】
【0056】
図3は、本開示による第1のSLMS構成を実行するサーバ中心の方法300の一例のフロー図である。このプロセスのためのかなりの量の処理およびストレージリソースが、モバイル端末111ではなくサーバ103によって提供される。プロセス300は、ステップ301(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)において現在のポーリングサイクルを開始し、ステップ301は、例えば、全地球測位システム衛星と通信するためのオンボードGPSチップセット272を使用してモバイル端末位置(MTL)を決定し、このMTLをデータ要求と共にSGSサーバ103に伝達する。次に、制御は、矢印302に従って、ステップ301からステップ303(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)に進む。ステップ303(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、MTLおよびデータ要求を受信し、次いで、制御は、矢印304に従って、ステップ303からステップ305に進む。
【0057】
ステップ305(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、矢印306によって示されるように、データベース101からマップオーバーレイ(
図5を参照して以下により詳細に説明される)を要求する。次に、データベース101は、矢印308で示すように、要求されたマップオーバーレイをステップ309に送る。ステップ309(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、マップオーバーレイを受信し、次いで、制御は、矢印310に従って、ステップ309からステップ311に進む。ステップ311(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、矢印312によって示されるように、データベース101から危険オーバーレイ(
図7を参照して以下でより詳細に説明される)を要求する。次に、データベース101は、矢印314で示すように、要求された危険オーバーレイをステップ315に送る。ステップ315(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、危険オーバーレイを受信し、次いで、制御は、矢印316に従って、ステップ315からステップ317に進む。
【0058】
ステップ317(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、
図6を参照してより詳細に説明するが、モバイル端末危険速度(MTHV)およびモバイル端末位置(MTL)における危険度を決定し、制御は、次に矢印318に従って、ステップ317からステップ319に進む。ステップ319(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、「静的リスクバッファ距離(SRBD)の決定」という小見出しでより詳細に説明するが、モバイル端末111の静的リスクバッファ距離(SRBD)を決定し、制御は、次に矢印320に従ってステップ321に進む。ステップ321(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、「動的リスクバッファ距離(MRBD)の決定」という小見出しでより詳細に説明するが、モバイル端末111に関する動的リスクバッファ距離(DRBD)を決定し、制御は、次に矢印322に従ってステップ323に進む。
【0059】
ステップ323(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、「機能モード制御信号(FMCS)」を決定し、その信号をモバイル端末に送信し、制御は、次に矢印324に従ってステップ325に進む。MTのMTLが、近隣危険エリアと固有危険エリアとの間の境界から、静的リスクバッファ距離(SRBD)よりも大きく、かつ動的リスクバッファ距離(MRBD)よりも大きい距離にある場合、ステップ323は、MTの機能を全機能モード(FFM)に設定するための機能モード制御信号(FMCS)をMTに送信する。しかしながら、MTのMTLが、近隣危険エリアと固有危険エリアとの間の境界から、静的リスクバッファ距離(SRBD)よりも小さく、かつ動的リスクバッファ距離(MRBD)よりも小さい距離にある場合、ステップ323は、MTの機能を制限機能モード(LFM)に設定するための機能モード制御信号(FMCS)をMTに送信する。
【0060】
ステップ325(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)、機能モード制御信号(FMCS)を受信し、制御は、次に矢印326に従ってステップ327に進む。ステップ327(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、モバイル端末のオペレーティングシステム268に、適切な機能モード、即ち、全機能モード(FFM)または制限機能モード(LFM)のいずれかを採用するように指示する。次に、制御は、矢印328に従ってステップ301に戻り、サイクル全体を完了するために平均ポーリングサイクル時間(PCT)をとって現在のポーリングサイクルを完了する。
【0061】
図4は、本開示による第1のSLMS構成を実行するモバイル端末中心の方法の一例のフロー図である。このプロセスのためのより多くの処理およびストレージリソースが、
図3のプロセス300ではなくモバイル端末111によって提供される。プロセス400は、ステップ401(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)において現在のポーリングサイクルを開始し、ステップ401は、例えば、全地球測位システム衛星と通信するためのオンボードGPSチップセット272を使用してモバイル端末位置(MTL)を決定し、このMTLをデータ要求と共にSGSサーバ103に通信する。次に、制御は、矢印402に従って、ステップ401からステップ403(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)に進む。ステップ403(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、MTLおよびデータ要求を受信し、次いで、制御は、矢印404に従って、ステップ403からステップ405に進む。
【0062】
ステップ405(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、矢印406によって示されるように、データベース101からマップオーバーレイ(
図5を参照して以下により詳細に説明される)を要求する。次に、データベース101は、矢印408で示すように、要求されたマップオーバーレイをステップ409に送る。ステップ409(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、マップオーバーレイを受信し、次いで、制御は、矢印410に従って、ステップ409からステップ411に進む。ステップ411(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、矢印412によって示されるように、危険データベース290から危険オーバーレイ(
図7を参照して以下でより詳細に説明される)を要求する。次に、データベース101は、矢印414で示すように、要求された危険オーバーレイをステップ415に送る。ステップ415(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、危険オーバーレイを受信し、次いで、制御は、矢印416に従って、ステップ415からステップ417に進む。
【0063】
ステップ417(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、
図6を参照してより詳細に説明するが、モバイル端末危険速度(MTHV)およびモバイル端末位置(MTL)における危険度を決定し、制御は、次に矢印418に従って、ステップ417からステップ419に進む。ステップ419(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、「静的リスクバッファ距離(SRBD)の決定」という小見出しでより詳細に説明するが、モバイル端末111の静的リスクバッファ距離(SRBD)を決定し、制御は、次に矢印420に従ってステップ421に進む。ステップ421(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、「動的リスクバッファ距離(MRBD)の決定」という小見出しでより詳細に説明するが、モバイル端末111に関する動的リスクバッファ距離(DRBD)を決定し、制御は、次に矢印422に従ってステップ423に進む。
【0064】
ステップ423(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、機能モード制御信号(FMCS)を決定し、その信号をモバイル端末に送信し、制御は、次に矢印424に従ってステップ425に進む。MTのMTLが、近隣危険エリアと固有危険エリアとの間の境界から、静的リスクバッファ距離(SRBD)よりも大きく、かつ動的リスクバッファ距離(MRBD)よりも大きい距離にある場合、ステップ423は、MTの機能を全機能モード(FFM)に設定するための機能モード制御信号(FMCS)をMTに送信する。しかしながら、MTのMTLが、近隣危険エリアと固有危険エリアとの間の境界から、静的リスクバッファ距離(SRBD)よりも小さく、かつ動的リスクバッファ距離(MRBD)よりも小さい距離にある場合、ステップ423は、MTの機能を制限機能モード(LFM)に設定するための機能モード制御信号(FMCS)をMTに送信する。
【0065】
ステップ425(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、モバイル端末のオペレーティングシステム268に、適切な機能モード、即ち、全機能モード(FFM)または制限機能モード(LFM)のいずれかを採用するように指示する。次に、制御は、矢印426に従ってステップ401に戻り、サイクル全体を完了するために平均ポーリングサイクル時間(PCT)をとって現在のポーリングサイクルを完了する。
【0066】
図5Aは、開示されたSLMC構成がモバイル端末の機能を制御するために使用され得る領域を示すマップオーバーレイ500の一例を示す。マップオーバーレイ500は、2つの側部502、504および2つの端部505、505によって境界付けられた道路506のセグメントを示す。歩道509は、道路506の左側に接している。歩道510は、道路506の右側に接している。
【0067】
図7は、例示のために、例示的な危険度およびバッファ距離がオーバーレイされた
図5のマップオーバーレイを示す。点線の楕円703は、第1の一連の危険度10.0、9.0、8.1、7.3、6.6を含む。危険度「10」は、道路506である固有危険エリア(IHA)内で評価「10」が示される位置に関連する危険の定量的尺度である固有危険度(IHR)である。
【0068】
危険度9.0、8.1、7.3、6.6は、歩道509である近隣危険エリア(NHA)内で評価「9.0、8.1、7.3、6.6」が示される位置に関連する危険の定量的尺度である近隣危険度(NHR)である。例として、10%の近隣危険度減衰係数(NHRAF)の効果が、危険度10.0、9.0、8.1、7.3、6.6で示されており、これら危険度は、歩道509である近隣危険エリア(NHA)と道路506である固有危険エリア(IHA)との間の境界502からの距離Dhが増加するにつれて、10%刻みで減少していることが分かる。従って、点線の楕円703に関して、MTのモバイル端末位置(MTL)が境界502から距離Dh1(点線の境界706によって示される)にあるときに9.0のNHRが適用され、MTのMTLが境界502から距離Dh2(点線の境界705によって示される)にあるときに8.1のNHRが適用され、MTのMTLが境界502から距離Dh3(点線の境界704によって示される)にあるときに7.3のNHRが適用され、MTのMTLが境界502から距離Dh4(境界508によって示される)にあるときに6.6のNHRが適用される。
【0069】
点線の楕円702は、第2の一連の危険度5.0、4.5、4.1、3.7、3.3を含む。危険度「5」は、道路506である固有危険エリア(IHA)内で評価「5」が示される場所に関連する危険の定量的尺度である固有危険度(IHR)である。従って、点線の楕円702に関して、MTのMTLが境界502から距離Dh1(点線の境界706によって示される)にあるときに4.5のNHRが適用され、MTのMTLが境界502から距離Dh2(点線の境界705によって示される)にあるときに4.1のNHRが適用され、MTのMTLが境界502から距離Dh4(点線の境界704によって示される)にあるときに3.7のNHRが適用され、MTのMTLが境界502から距離Dh4(境界508によって示される)にあるときに3.3のNHRが適用される。
【0070】
危険度4.5、4.1、3.7、3.3は、歩道509である近隣危険エリア(NHA)内で評価「4.5、4.1、3.7、3.3」が示される位置に関連する危険の定量的尺度である近隣危険度(NHR)である。例として、10%の近隣危険度減衰係数(NHRAF)の効果が、危険度5.0、4.5、4.1、3.7、3.3に示されており、これら危険度は、歩道509である近隣危険エリア(NHA)と道路506である固有危険エリア(IHA)との間の境界502からの距離Dhが増加するにつれて、10%刻みで減少していることが分かる。
【0071】
図5Bは、モバイル端末およびバッファ距離マーキングがオーバーレイされた
図5Aのマップオーバーレイを示す。道路506は固有危険エリア(IHA)であり、歩道509、510は近隣危険エリア(NHA)である。
【0072】
モバイル端末は、参照番号516(モバイル端末速度(MTV)517を有する)、523(モバイル端末速度(MTV)0に等しい、即ち、このモバイル端末は静止している)、518(モバイル端末速度(MTV)519を有する)、514(モバイル端末速度(MTV)515を有する)、520(モバイル端末速度(MTV)521を有する)、および522(モバイル端末速度(MTV)0に等しい)によって示されるように配置されている。
【0073】
MT516は、矢印517によって示されるモバイル端末速度(MTV)を有する。このベクトルは、(i)関連する固有危険エリア(IHA)506に向かう矢印517によって示されるモバイル端末速度(MTV)の成分であるモバイル端末危険速度(MTV)529と、(ii)固有危険エリア(IHA)506と近隣危険エリア(NHA)510との間の境界504に実質的に平行な速度成分528とに分解される。モバイル端末危険速度(MTHV)529は、端末516が固有危険エリア(IHA)506にどれだけ速く接近しているかを示す。
【0074】
近隣危険エリア(NHA)509と固有危険エリア(IHA)506との間の境界502からMT522の位置までの距離である、MT522のモバイル端末危険距離(MTHD)は、固有危険エリア(IHA)506の境界502に対して点530において接する、MT522のモバイル端末位置(MTL)を中心とする円527を描くことによって確立され得る。MT522のモバイル端末位置(MTL)522およびMT522自体は、522において共配置されている。この円527の半径は、モバイル端末危険距離(MTHD)である。接線の位置530は、MT522のモバイル端末位置(MTL)に最も近い固有危険エリア(IHA)506の位置である。
【0075】
静的リスクバッファ距離(SRBD)の決定
点線矢印525、525’によって示される静的リスクバッファ距離(SRBD)512は、MTを全機能モードにするのに十分安全であるとみなされるために、静止したMTが近隣危険エリア(NHA)と固有危険エリア(IHA)との間の境界から離れなければならない最小距離(モバイル端末危険距離(MTHD))である。この静的リスクバッファ距離(SRBD)は、近隣危険度(NHR)がMTに完全な機能を提供するのに十分安全であるとみなされる許容可能なレベルである許容可能近隣危険度(ANHR)よりも小さくなるような距離Dhを決定することによって決定される。ANHRは、典型的には、モバイル端末によって引き起こされるインシデントの数の削減に基づいて経験的に決定される。許容可能近隣危険度(ANHR)が指定されると、静的リスクバッファ距離(SRBD)は、
図7に示すような位置ベースの危険度を含むルックアップテーブルから簡単に読み出すことができる。
【0076】
動的リスクバッファ距離(DRBD)の決定
点線矢印524、524’によって示される動的リスクバッファ距離(DRBD)513は、MTを全機能モードにするのに十分安全であるとみなされるために、移動中のMTが(モバイル端末危険速度(MTV)で固有危険エリアに向かって移動している間に)近隣危険エリア(NHA)と固有危険エリア(IHA)との間の境界から離れなければならない最小距離(モバイル端末危険距離(MTHD))である。1つの考慮事項は、SLMCシステムが各ポーリングサイクル時間(PCT)ごとにモバイル端末の機能モードを更新することである。従って、動的リスクバッファ距離(DRBD)は、MTの位置が依然として許容可能近隣危険度(ANHR)よりも小さい近隣危険度(NHR)を有する間に制限機能モード(LFM)への移行を可能にするために、移動するMTが、少なくとも1回、好ましくは2回以上のポーリングサイクル時間(PCT)の間、MTを全機能モードにするのに十分に安全であることを保証するのに十分であるべきである。従って、動的リスクバッファ距離(DRBD)は、(a)N回のポーリングサイクル時間(PCT)(N≧2)の間にモバイル端末危険速度(MTV)で移動するMTが移動した距離であるモバイル端末危険速度距離(MTHVD)を決定し、これを静的リスクバッファ距離(SRBD)に加算することによって決定され得る。
【0077】
図6は、
図3のステップ317または
図4のステップ417を実行するための方法600の一例のフローチャートである。制御は、矢印416に従って、
図4のステップ415からステップ601に進む。プロセス600は、ステップ601(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)で開始し、ステップ601は、最も近い固有危険エリア(IHA)(例えば、
図5Aの道路506)を識別する。次に、制御は、矢印602に従ってステップ603に進む。ステップ603(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、モバイル端末位置(MTL)に最も近い識別された固有危険エリア(IHA)のポイントの位置を決定する。
図5Bに関して前述したように、これは、固有危険エリア(IHA)506の境界502に接するMT522のモバイル端末位置(MTL)を中心とする円527を描くことによって行われる。この円の半径は、モバイル端末危険距離(MTHD)である。接線の位置は、MT527のモバイル端末位置(MTL)に最も近い固有危険エリア(IHA)506の点の位置である。
【0078】
次に、制御は、矢印604に従ってステップ603からステップ605に進む。ステップ605(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、MT527のモバイル端末位置(MTL)に最も近い固有危険エリア(IHA)506の位置における固有危険度(IHR)を決定する。次に、制御は、矢印606に従って、ステップ605からステップ607に進む。ステップ607(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、MT527のモバイル端末位置(MTL)に最も近い固有危険エリア(IHA)506の位置に向かうMTのモバイル端末危険速度(MTV)を決定する。次に、制御は、矢印608に従って、ステップ607からステップ609に進む。ステップ609(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、MT527のモバイル端末位置(MTL)に最も近い固有危険エリア(IHA)506の位置におけるモバイル端末危険速度(MTV)および固有危険度(IHR)をMTに伝達する。次に、制御は、矢印418に従って、ステップ609から
図4のステップ419に進む。
【0079】
図8は、本開示による第2のSLMS構成を実行するモバイル端末中心の方法の一例のフロー図である。プロセス800は、ステップ801(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)において現在のポーリングサイクルを開始し、ステップ801は、例えば、全地球測位システム衛星と通信するためにオンボードGPSチップセット272を使用してモバイル端末位置(MTL)を決定し、このMTLをデータ要求と共にSGSサーバ103に伝達する。次に、制御は、矢印802に従って、ステップ801からステップ803(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)に進む。ステップ803(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、MTLおよびデータ要求を受信し、次いで、制御は、矢印804に従って、ステップ803からステップ805に進む。
【0080】
ステップ805(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、矢印806によって示されるように、データベース101からマップオーバーレイ(
図5を参照して以下により詳細に説明される)を要求する。次に、データベース101は、矢印808で示すように、要求されたマップオーバーレイをステップ809に送る。ステップ809(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、マップオーバーレイを受信し、次いで、制御は、矢印810に従って、ステップ809からステップ811に進む。ステップ811(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、矢印812によって示されるように、データベース101から危険オーバーレイ(
図7を参照して以下でより詳細に説明される)を要求する。次に、データベース101は、矢印814で示すように、要求された危険オーバーレイをステップ815に送る。ステップ815(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、危険オーバーレイを受信し、制御は、矢印816に従って、ステップ815からステップ817に進む。
【0081】
ステップ817(SLMCソフトウェアアプリケーション233を実行するサーバ103のプロセッサ205によって実行される)は、
図6を参照してより詳細に説明するが、モバイル端末危険速度(MTV)およびモバイル端末位置における危険度(MTL)を決定し、制御は、次に矢印818に従って、ステップ817からステップ819に進む。ステップ819(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、MT527のモバイル端末位置(MTL)に最も近い固有危険エリア(IHA)506のポイントの位置における固有危険度(IHR)を決定する。次に、制御は、矢印820に従ってステップ821に進む。ステップ821(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、例えば、モバイル端末位置(MTL)によってインデックス付けされた
図7に示すような位置ベースの危険度を含むルックアップテーブルを使用して、近隣危険度(NHR)を決定する。
【0082】
次に、制御は、矢印822に従ってステップ823に進む。ステップ823(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、機能モード制御信号(FMCS)を決定する。MTのMTLが、近隣危険度(NHR)が許容可能近隣危険度(ANHR)未満であるような近隣危険エリアと固有危険エリアとの間の境界からの距離にある場合、ステップ823は、MTの機能を全機能モード(FFM)に設定するための機能モード制御信号(FMCS)をMTに送信する。しかしながら、MTのMTLが、近隣危険度(NHR)が許容可能近隣危険度(ANHR)よりも大きくなるような近隣危険エリアと固有危険エリアとの間の境界からの距離にある場合、ステップ823は、MTの機能を制限機能モード(LFM)に設定するための機能モード制御信号(FMCS)をMTに送信する。
【0083】
次に、制御は、矢印824に従ってステップ825に進む。ステップ825(オペレーティングシステム268を実行するモバイル端末111のプロセッサ269によって実行される)は、モバイル端末のオペレーティングシステム268に、適切な機能モード、即ち、全機能モード(FFM)または制限機能モード(LFM)のいずれかを採用するように指示する。次に、制御は、矢印826に従ってステップ801に戻り、サイクル全体を完了するために平均ポーリングサイクル時間(PCT)をとって現在のポーリングサイクルを完了する。
【0084】
SLMC構成の別の好ましい実施形態では、システムは、アンドロイド(Android(登録商標))またはiOS(商標)などの何らかのオペレーティングシステムを有するスマートフォンの形態のモバイル端末の機能を選択的に制限するように構成される。モバイル端末MTは、電話の着信または発信、テキストメッセージの送受信、非常に多くの他のものの中でもソーシャルメディアアプリまたはインターネットブラウザなどのローカルまたは接続されたアプリケーションソフトウェアの動作、GPS位置特定ハードウェアおよびソフトウェアを含み得る様々な機能を有する。端末111などのモバイル端末の動作は、スマートフォンオペレーティングシステム(例えば、268)によって制御される。
【0085】
また、この実施形態のSLMC構成は、コンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを実行するためのプロセッサを有するサーバ103と、コンピュータ実行可能ソフトウェアプログラムを実行するためのプロセッサをそれぞれが有する1つまたは複数のモバイル端末MT111とを含む。サーバ103および1つまたは複数のモバイル端末MT111は、上述のように通信ネットワークを介して通信し、サーバ103および1つまたは複数のモバイル端末MT111は、例えば携帯電話ネットワークなどの通信ネットワークを介して通信する。
【0086】
動作において、モバイル端末111は、モバイル端末MT111のモバイル端末位置MTLおよびモバイル端末MT111の位置MTLにおける危険度を決定することによってモバイル端末MT111の機能を選択的に制限するように構成され、それによって、決定された危険度が許容可能なレベル以下である場合、モバイル端末MT111は全機能モードで動作することが可能になり、決定された危険度が許容可能なレベルを上回る場合、モバイル端末MT111は制限機能モードで動作することが可能になる。
【0087】
さらに、この好ましい実施形態では、モバイル端末MTの機能を選択的に制限することは、モバイル端末MT111の動作中にモバイル端末111のオペレーティングシステム268が継続的に動作するようにハード配線接続することによって達成され、これは、好ましくはオペレーティングシステムOEMレベルで達成される。即ち、モバイル端末111の動作中にSLMCを無効にすることはできない。スマートフォン111は、スマートフォン111のオペレーティングシステム268を更新するときに本方法を動作させるように構成され得ることが理解されよう。代替的に、モバイル端末MTの機能を選択的に制限することは、モバイル端末MTが動作可能であるときにモバイル端末機能制限モジュールがSLMCの動作を実行するように、モバイル端末機能制限モジュール285をモバイル端末に一体化されるように物理的に取り付けるか、またはモバイル端末と関連するように無線で接続することによって達成される。モジュール285は、スマートフォン111内に一体化され得るか、またはそうでなければスマートフォン111に接続され得るように
図1において、システムへの追加として示されており、それによって、好ましい実施形態の方法がハード配線接続方式で常に設定される。
【0088】
スマートフォン111上のSLMCの動作において、スマートフォン111が車両通信システムに接続され、モバイル端末MTが車両モバイル端末マウント、キャディ、またはクレードルに配置されるときに、モバイル端末MTの機能を選択的に制限することは解除される。このようにして、運転者がスマートフォン111を保持していないことをある程度保証することができる。シート荷重センサまたはドアセンサなどの追加の車両センサの状態もSLMCに関与させて、ドアセンサまたはシートセンサ(例えば、光学式運転者センサまたは監視デバイスも含み得る)が運転者が車両内にいることを示すことに応答して、SLMCは、スマートフォン111が車両通信システムと通信し(例えば、有線または無線によって)、かつマウントデバイス内に物理的に配置されるまで、スマートフォン111の完全な機能を許可にしないようにすることができる。この最後の条件は、必要に応じて任意とすることができる。
【0089】
SLMCは、スマートフォン111が通信ネットワークを介してサーバ103との通信を失ったか、または通信していない状況で動作するようにさらに構成され得る。そのような場合、モバイル端末MT111の機能の選択的な制限は、危険または危険ゾーンに対するモバイル端末の現在位置に基づいて、または例えばスマートフォン111の導出された位置履歴(空間位置、進行方向、および速度を含む)に基づくモバイル端末の予測位置に基づいて設定または解除するように構成される。例えば、ユーザが作業ルーチンにいる時間、及び歩行者又は車両のデンジャーゾーン又は危険ゾーンを含む典型的なおおよその位置に基づいて、特に、モバイル端末位置(セルラー電話トランシーバ、GPS装置、ローカルWi-Fi又は他のソースによって導出される)に対応する現在の交通状態(例えば、グーグルマップ(Google Maps(商標)データを使用して)からルートを予測することができる。さらに、モバイル端末が危険エリアまたは危険ゾーンに入るおよび/または出ることを示すために、メッセージングを所定のアドレスに自動的に行うことができる。
【0090】
スマートフォン111または他のモバイル端末にハード配線接続することができる(即ち、ユーザによって無効にすることができない)システム、方法、および装置が有利に提供され、それにより、場所などの危険条件下で機能が無効にされ、最も有利には、モバイル端末の速度に依存して、必要に応じて、システムは、モバイル端末の位置および/または危険度に応じて、特定のまたは完全なモバイル端末機能を設定することができることがわかる。このシステムは、歩行者及び自転車に乗る人にも適しており、後者は速度に依存する危険性を有するが、いずれの場合も、モバイル端末の機能は、危険又は危険エリア/ゾーンから所定の距離内にある場合に制限され得る。重要なことに、サーバ103および/またはモバイル端末111は、事故または交通違反が発生した場合、または他の理由で使用された場合に正確な記録を提供する動作を含むモバイル端末の機能の記録またはログを含むことができる。さらに、システムは、危険ゾーンから出るとき、または危険ゾーンに入るときに、それぞれ、モバイル端末機能を再開または制限することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
説明された構成は、コンピュータおよびデータ処理産業、特にモバイル通信に関連する産業に適用可能である。
上述したのは本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく修正および/または変更を加えることができ、実施形態は例示であって制限的なものではない。
【0092】
本明細書の文脈において、用語「備えている(comprising)」は、「主に含むが必ずしも単独ではない」または「有している(having)」または「含んでいる(including)」を意味し、「のみからなる(consisting only of)」ということを意味しない。「備える(comprise)」および「備える(comprises)」などの単語「含んでいる(comprising)」の変形は、それに対応して様々な意味を有する。
【国際調査報告】