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  • 特表-卵の液体物質を検査する光学的方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(54)【発明の名称】卵の液体物質を検査する光学的方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/08 20060101AFI20240229BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01N33/08
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567270
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 IL2022050013
(87)【国際公開番号】W WO2022157760
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】280284
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523273897
【氏名又は名称】ネザー ズヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ネザー ズヴィ
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB11
2G059DD12
2G059EE01
2G059FF04
2G059GG07
2G059JJ03
2G059KK04
2G059MM01
(57)【要約】
卵を照射することによって、卵殻の構造と前記卵の性質との両方に依存して、前記卵の前記卵殻に現れる照射強度分布を得ることで、前記卵の液体内容物を検査する光学的方法は、様々な時間間隔で前記卵殻の表面の画像を照射強度分布とともに取得するステップであって、各時間間隔で、前記卵に作用する力は、前記卵殻に観察可能な影響も何ら与えないが、前記卵の前記液体内容物において、前記液体内容物の全体としての位置又は前記液体内容物内の粒子の位置のいずれかに変化が生じるように変化するため、前記卵殻に現れる照射強度分布が変化する、ステップと、取得した前記卵殻の画像を比較し、照射強度分布の違いを識別することにより、前記卵殻の照射強度分布からの光学的干渉を最小限に抑えながら、卵の液体内容物の光学的検査を可能するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を照射することによって、卵殻の構造と前記卵の性質との両方に依存して、前記卵の前記卵殻に現れる照射強度分布を得ることで、前記卵の液体内容物を検査する光学的方法であって、
a.様々な時間間隔で前記卵殻の表面の画像を照射強度分布とともに取得するステップであって、各時間間隔で、前記卵に作用する力は、前記卵殻に観察可能な影響も何ら与えないが、前記卵の前記液体内容物において、前記液体内容物の全体としての位置又は前記液体内容物内の粒子の位置のいずれかに変化が生じるように変化するため、前記卵殻に現れる照射強度分布が変化する、ステップと、
b.取得した前記卵殻の画像を比較し、照射強度分布の違いを識別することにより、前記卵殻の照射強度分布からの光学的干渉を最小限に抑えながら、卵の液体内容物の光学的検査を可能するステップと、
を含む、光学的方法。
【請求項2】
ある画像における被照射卵の位置は、他の画像における同一の被照射卵の位置と一致せず、また前記画像を操作することにより、前記画像間の位置不一致を最小化又は完全に除去することができる、請求項1に記載の光学的方法。
【請求項3】
前記画像は、複数のカメラにより撮影される、請求項1又は2に記載の光学的方法。
【請求項4】
前記画像は、少なくとも1つの光学フィルタによって撮影される、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学的方法。
【請求項5】
前記卵の内容物は、閃光で照射される、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学的方法。
【請求項6】
複数の卵の画像は、同時に撮影される、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学的方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
卵市場では、卵殻を損傷せずに卵の液体内容物(liquid contents)を検査する必要がある。例えば、卵が受精したか否かを確認する必要があり、また、卵の品質を低下させる卵の不良内容物を識別する必要がある。
【0003】
このような検査の一般的な方法の1つは、強力な懐中電灯で卵を照射し、光が卵の液体内容物を通過することによる卵殻全体にわたる放射線の分布を視覚的に検査することである。
【0004】
このような検査における問題は、卵殻における欠陥の存在、卵殻の凹凸、及び卵殻の色のばらつきであり、これらは、光線が卵の液体内容物を通過することによる卵殻全体にわたる放射線の分布を不明瞭にする可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題のいくつかを解決し、それらの影響を軽減することを目的とする。
【0006】
主に受精卵内の胚を識別するための、主に受精卵の検査の主題に関する多数の特許が公開されている。以下の特許は、卵の照射と卵殻から散乱される放射線の調査に基づくものであるが、卵殻の剛性とは対照的に、卵の液体内容物の物理的特性を利用するものではない。
【0007】
特許文献1は、可視範囲の波長による卵の照射と胎児心拍動の検査に関する。
【0008】
特許文献2は、赤外光源による卵の照射と胎児心臓の検査に関する。
【0009】
特許文献3は、440~570nmの範囲の波長による卵の照射と胎児の毛細血管網を分析するための卵殻の写真撮影に関する。
【0010】
特許文献4は、コンベアベルト上を移動する卵内の心臓活動の遠隔的電磁的感知に関する。
【0011】
特許文献5は、血液によって吸収される波長で被照射卵の写真を撮影し、血液によって吸収されない波長で照射して写真撮影を繰り返すことに関する。2つの写真を比較することにより、卵中の血液の存在を識別することができる。この特許では、写真間の違いが写真を撮影する時の波長にある場合の写真間の比較を用いている。
【0012】
これらの特許及びその他の特許はいずれも、卵内容物の液体特性と、この媒体の光学的特性が機械的影響を用いて分析できるという事実とについて言及したり、それらに基づいたりするものではない。したがって、提案された方法は、進歩性及び実用化の可能性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3540824号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2446258号
【特許文献3】米国特許第8724098号
【特許文献4】米国特許第9395346号
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0252877号
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】卵の液体内容物を検査する実験装置の概略図である。
図2】被照射卵の側面図及び上面図である。
図3】遠心力が加えられた被照射卵の側面図及び上面図である。
図4】増加した遠心力が加えられた被照射卵の側面図及び上面図である。
図5】卵の液体内容物を検査する別の実験装置の概略図である。
図6】卵の液体内容物を検査する別の実験装置の概略図である。
図7】卵の液体内容物を検査する別の実験装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
卵を照射することにより卵の液体内容物を検査する光学的方法が開示されている。卵殻における照射強度の分布は、卵殻の構造と内容物の性質との両方に依存する。卵殻は、様々な時間間隔で撮影され、各間隔で、卵に作用する力は、硬い卵殻に何の影響も与えないが、液体内容物全体の位置又は液体内の粒子の位置のいずれかに変化が生じるように変化する。卵殻の影響が最小化された画像又は写真を比較することにより、液体内容物が卵の中で動き回る場合の光線の強度分布の違いを表示し、これらの内容物を分析することができる。
【0016】
本発明は、卵を照射することによって、卵殻の構造と卵の性質との両方に依存して、卵の卵殻に現れる照射強度分布を得ることで、卵の液体内容物を検査する光学的方法であり、該方法は、様々な時間間隔で卵殻の表面の照射強度分布を有する画像/写真を取得するステップであって、各時間間隔で、卵に作用する力は、卵殻に何の観察可能な影響も与えないが、卵の液体内容物全体の位置又は液体内容物内の粒子の位置のいずれかに変化が生じるように変化するため、卵殻に現れる照射強度分布が変化する、ステップと、取得された卵殻の画像/写真を比較し、照射強度分布の違いを識別することにより、卵殻の照射強度分布に基づいて卵の液体内容物を最小の光学的干渉で光学的に検査することを可能にするステップと、を含む。
【0017】
ある画像における被照射卵の位置が、他の画像における同一の被照射卵の位置と近接するが、一致しない場合に、画像同士を区別するために、画像又は画像データをデジタル操作することにより、画像間の位置不一致を最小化又は完全に除去することができる。
【0018】
図1は、提案された方法を実現する可能な方法を示している。
【0019】
卵(1)をディスク(3)の孔(2)に入れる。
【0020】
ディスクの孔の下にある懐中電灯(4)は、ディスクの孔を通して底部で卵を照射(5)する。
【0021】
カメラ(6)は、常設されており、卵殻の表面を撮影する。
【0022】
第一の画像又は写真は、ディスクがカメラの前に静止しているときに撮影される。
【0023】
モーター(7)は、卵に遠心力をかけて、ある速度でディスクを回転させることにより、卵の液体内容物を回転中心から遠ざける。
【0024】
カメラは、卵が、第一の画像が撮影された位置をちょうど通過するときに、第二の画像を撮影する。また、ディスクが異なる速度で回転するときに追加の画像を撮影することができ、ディスクが異なる速度で回転すると、遠心力が変化し、その結果、卵殻に対する卵の液体内容物の位置が変化する。
【0025】
第二の画像から第一の画像の全ての撮影点を差し引くと、卵殻の表面の全ての欠陥及び凹凸が除去され、また、その色の影響が軽減される。
【0026】
第一の画像から第二の画像を差し引くと、残ったものは、2つの画像の間で位置が変化した卵の液体内容物を通過する放射線の分布の違いのみを強調する。これらの違いから、卵黄の色、卵の液体内容物の不均一性、卵の液体内容物における胚又は欠陥の存在などを推定することができる。
【0027】
図2は、静止している卵を示している。卵殻における放射線分布(8)は、卵殻(9)に対する卵黄(10)の位置によって引き起こされる。カメラは、放射線分布(8)を撮影する。
【0028】
図3は、ディスクが速度V1で回転し、遠心力Fが卵に加えられる場合の卵を示している。卵殻(12)に対する卵黄(13)の位置の変化により、卵殻にわたる放射線分布(11)は、位置が変化する。
【0029】
図4は、ディスクが速度V2で回転し、遠心力F1が卵に加えられる場合の卵を示している。卵殻(15)に対する卵黄(16)の位置の変化により、卵殻にわたる放射線分布(14)は、位置が変化する。
【0030】
卵の第一の画像が撮影された位置の近傍に第二の画像が撮影された場合、卵殻がカメラに対して正確に位置決めされず、このとき、卵の液体内容物のずれに起因する画像間の違いを区別できる方法で、(コンピュータによる画像処理又はその他の既知の技術を用いて)2つの画像の間で調整を行うことができる。
【0031】
図5は、コンベアベルト又は他のタイプの可動面などの可動装置(26)に配置された複数の卵に対する力Fに変化を与える別の方法を示している。力の変化は、可動装置の移動を加速又は減速することにより行われる。卵(17)は、可動装置に載置され、可動装置によって駆動される。卵にかける力を変化させながらカメラ(18)によって卵を撮影し、画像を比較することにより卵の液体内容物を分析することができる。カメラは、異なる波長の通過を可能にする光学フィルタ(19)の有無にかかわらず写真を撮影することができる。撮影性能を向上させるために、一連の光源(20)によって連続的に、又は閃光によって卵を照射することができる。
【0032】
図6は、剛性装置(rigid device)(22)に固定された1つ又は複数の卵(21)に可変力を加える別の方法を示している。カメラ(23)は、光学フィルタ(24)の有無にかかわらず、同じ装置に固定される。撮影を改善できるようにするために、一連の光源(25)もこの装置に固定される。この図は、重力(F)が全ての卵に対して垂直に作用するように装置が位置決めされた第一の撮影モードを示している。
【0033】
図7では、先の方法(図6)で説明した装置全体とそれに固定された全ての物は、卵に作用する重力Fの方向が変化するように、ある角度傾いている。この状態で卵を撮影し、先のステップ(図6)で撮影された画像と比較することで、卵の液体内容物を検査することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】