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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】再利用可能なネイルチップ
(51)【国際特許分類】
   A45D 31/00 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
A45D31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565713
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2022013174
(87)【国際公開番号】W WO2023158042
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0020695
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522418808
【氏名又は名称】ミミューズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソ チュン
(72)【発明者】
【氏名】リ、チェ ウ
(57)【要約】
本発明は、再利用可能なネイルチップに関し、具体的には、爪に手軽に付けて一定期間利用した後に除去し、再び再利用が可能なネイルチップに関する。本発明のネイルチップは、弾性が良いTPU素材を用いることによって、使用感が楽であり、維持力に優れ、様々な抗菌及び保湿成分を含む粘着用組成物を用いることによって、副作用及び爪の損傷を最小化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイルボディーと、
前記ネイルボディーの上部に形成されるデザイン層と、
前記ネイルボディーの下部に形成される粘着層とを含むネイルチップであって、
前記ネイルボディーは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)複合体であり、
前記粘着層は、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体、プロピレングリコール、ポリイソブテン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シリカ、及びゼオライトを含む粘着用組成物を含む、ネイルチップ。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリウレタン複合体は、熱可塑性ポリウレタンに酸化亜鉛(ZnO)を導入したものである、請求項1に記載のネイルチップ。
【請求項3】
前記粘着用組成物は、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体25~35重量部、プロピレングリコール15~25重量部、ポリイソブテン10~20重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)5~15重量部、シリカ0.1~1重量部、及びゼオライト0.1~3重量部を含むものである、請求項1に記載のネイルチップ。
【請求項4】
前記粘着用組成物は、抗菌及び抗真菌活性を示すことを特徴とする、請求項1に記載のネイルチップ。
【請求項5】
前記デザイン層はポリプロピレン(PP)フィルムで形成される、請求項1に記載のネイルチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再利用可能なネイルチップに関し、具体的には、爪に手軽に付けて一定期間利用した後に除去し、再び再利用が可能なネイルチップに関する。
【背景技術】
【0002】
全世界のネイル製品の市場規模は毎年成長しており、韓国でもネイル(手足の爪用)製品の市場規模の年平均増加率は19.2%であって、化粧品の中で4位を占めた。ネイル製品は、消費者の美的ニーズに応えて持続的に増加すると見込まれる。ネイルアート(Nail Art)分野では、爪の管理からレベルの高いデザイン、洗練された色、様々な爪の形状を選択して個性を生かし、爪を美的表現手段として積極的に活用して爪の長さを延ばしたり、様々な形状、絵、立体的な表現などを行っている。具体的な方法としては、人工ネイルを付けたり、布を用いたり、長さの延長(extension)、アクリルパウダーまたはリキッドを用いた方法などがある。
【0003】
一方、ネイルチップは、自分の爪のサイズに合わせて人工ネイルを付着して手の美的外観を向上させるネイルアートの方法の一つであり、特に、最近は、COVID-19によるアンタクト(非対面)消費の傾向と噛み合って人気を集めている。ネイルチップの場合、安価であり、1つのネイルチップを付着する時間は10秒程度に過ぎないため、使用が非常に簡単であり、様々なデザインのネイルチップが発売されており、デザイン選択の幅が広いという利点がある。また、セルフネイルケアが可能であるという点で衛生に対する懸念が少ない。このように、ネイルチップは、利点が多いが、ネイルボディーの素材に応じて、最初の使用時の使用感が不便であることがあり、粘着剤によって爪に付着されるため、使用方法に応じて感染性皮膚疾患や爪の損傷などが発生することがある。
【0004】
このような背景下で、本発明者らは、複数回再利用できる再利用可能なネイルチップであって、使用感及び維持力に優れたネイルボディー素材を含み、粘着層として抗菌及び保湿成分を含むことで、ネイルチップの使用の副作用及び爪の損傷を最小化できるネイルチップを開発することによって本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、ネイルボディーと;前記ネイルボディーの上部に形成されるデザイン層と;前記ネイルボディーの下部に形成される粘着層と;を含むネイルチップであって、前記ネイルボディーは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)複合体であり、前記粘着層は、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体、プロピレングリコール、ポリイソブテン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シリカ、及びゼオライトを含む粘着用組成物を含む、ネイルチップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一つの態様は、ネイルボディーと;前記ネイルボディーの上部に形成されるデザイン層と;前記ネイルボディーの下部に形成される粘着層と;を含むネイルチップであって、前記ネイルボディーは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)複合体であり、前記粘着層は、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体、プロピレングリコール、ポリイソブテン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シリカ、及びゼオライトを含む粘着用組成物を含む、ネイルチップを提供する。
【0007】
本発明の「ネイルチップ」は、ネイルボディーと;前記ネイルボディーの上部に形成されるデザイン層と;前記ネイルボディーの下部に形成される粘着層と;を含む。ネイルチップの場合、自然の爪に直接的に付着して使用されるところ、浮き上がることなく爪に密着しなければならず、除去時には爪の表面に損傷を与えずに容易に剥がれなければならない。
【0008】
前記デザイン層は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)フィルムで形成され、一般の模様、デザイン、カラー、デザイン、グリッター及びコンフェッティなどのような美感効果を与えることができる材料からなる模様及び装飾を含むことができる。
【0009】
前記粘着層は、粘着用組成物で形成され、前記粘着用組成物は、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体、プロピレングリコール、ポリイソブテン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シリカ、及びゼオライトを含むものである。前記粘着用組成物は、具体的に、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体25~35重量部、プロピレングリコール15~25重量部、ポリイソブテン10~20重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)5~15重量部、シリカ0.1~1重量部、及びゼオライト0.1~3重量部を含むものである。
【0010】
本発明のスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体、プロピレングリコール、ポリイソブテン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シリカ、及びゼオライトは、直接合成して使用するか、または市販の製品を購入して使用するなど、その収得方法は制限されない。
【0011】
本発明の粘着層は、ホットメルト(hot-melt)タイプで製造されるものであってもよく、ホットメルトタイプの粘着剤は、無溶剤型で人体に有害な溶媒などを使用しないので、環境に影響を与えず、安全に使用することができる。具体的に、本発明の粘着層は、内部が150~160℃に加熱された撹拌機にスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体30重量部を入れ、粗い粒子を示すまでミキシングした後、ポリイソブテン(polyisobutene)15重量部を添加して、5~15分間均一になるまで混合し、温度を100~110℃に減少させた後、プロピレングリコール(propylene glycol)20重量部、シリカ(silica)0.5重量部、及びゼオライト(zeolite)1重量部を追加して混合する。最後に、カルボキシメチルセルロース(CMC)10重量部を入れて完全に溶解されるまで撹拌した後、塗布及び乾燥して製造することができる。
【0012】
本発明の前記粘着用組成物は、抗菌及び抗真菌活性を示すことを特徴とし、具体的には、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)菌株に対する抗菌及び抗真菌活性を示すものであってもよいが、これに制限されない。
【0013】
本発明の具体的な一具現例では、前記方法により粘着層を製造した実施例1のネイルチップ、プロピレングリコールを含まない粘着層を有する比較例1のネイルチップ、ゼオライトを含まない比較例2のネイルチップ、及び粘着剤として市販のアクリル系粘着剤を用いて製造した比較例3のネイルチップの抗菌及び抗真菌活性を比較評価した(実験例1)。その結果、実施例1の粘着用組成物が、緑膿菌及びカンジダ菌に対する抗菌及び抗真菌活性が最も優れていることを確認した。反面、プロピレングリコール又はゼオライトを含まない比較例1又は比較例2の組成物は、抗菌及び抗真菌活性が多少劣り、市販中の一般のアクリル系粘着剤は、抗菌及び抗真菌活性がほとんどないものと示された。すなわち、本発明の粘着用組成物は、爪に直接的に接触する粘着層に含まれることで、感染性皮膚疾患を起こし得る緑膿菌又はカンジダ菌に対する優れた抑制活性を示すことが分かった。
【0014】
本発明の他の具体的な一具現例では、実施例及び比較例のネイルチップを直接付着及び使用し、除去した後の保湿及び栄養感に対する主観的な選好度を比較評価した(実験例2)。その結果、プロピレングリコールを含まない粘着用組成物を使用した比較例1のネイルチップ、及び一般のアクリル系粘着剤を使用した比較例3のネイルチップは、保湿感に対する評価が実施例1のネイルチップに比べて否定的であることを確認した。すなわち、本発明の粘着用組成物は、保湿成分であるプロピレングリコールをさらに含むことで、ネイルチップの使用時の爪の損傷を最小化できることが分かった。
【0015】
再利用可能なネイルチップの場合、爪に手軽に付けて一定期間利用した後に除去し、再び粘着剤を付けて再利用が可能な製品である。したがって、ネイルボディーが硬すぎたり、弾力性がなければ、爪に密着しにくく、それによって、爪に付いている維持力が低下したり、着用感が低下することがある。すなわち、弾性が良いネイルボディーの素材を使用することが重要である。
【0016】
前記ネイルボディーは、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)複合体であり、前記熱可塑性ポリウレタン複合体は、熱可塑性ポリウレタンに酸化亜鉛(ZnO)を導入したものである。具体的に、前記熱可塑性ポリウレタン複合体は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)135重量部に酸化亜鉛(ZnO)0.5重量部、及び1,4-ブタン-ジオール15重量部を投入した後、HAAKE rheocordを使用して160℃で10分間混合して熱可塑性ポリウレタン複合体を準備し、射出温度は160~180℃として射出工程を通じて製造されたものであってもよい。
【0017】
本発明の熱可塑性ポリウレタン複合体は、酸化亜鉛を含むことによって熱可塑性ポリウレタンの物性を高めることができ、抗菌活性を示すことができる。
【0018】
本発明の具体的な一具現例では、ネイルボディーの素材としてTPU複合体を使用した実施例1のネイルチップ、及びABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂を使用した比較例4のネイルチップの使用感を比較評価した結果(実験例2)、比較例4のネイルチップは、弾性がほとんどなく硬い感じであるところ、使用時の利便性及び付着している間の使用感が否定的に示された。本発明の他の具体的な一具現例では、前記実施例1及び比較例4のネイルチップの反発弾性を比較した結果(実験例3)、実施例1のネイルチップの弾性率が、比較例4のネイルチップに比べて著しく高いところ、本発明のネイルチップは、柔軟なTPU素材を使用することによって、爪に浮き上がることなく密着し、使用感及び維持力に優れることを予測できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のネイルチップは、弾性が良いTPU素材を用いることによって、使用感が楽であり、維持力に優れ、様々な抗菌及び保湿成分を含む粘着用組成物を用いることによって、副作用及び爪の損傷を最小化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
製造例1.再利用可能なネイルチップの製造
製造例1-1.実施例1のネイルチップの製造
本発明のネイルチップの粘着層は、ホットメルト(hot-melt)タイプで製造した。具体的には、内部が150~160℃に加熱された撹拌機にスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体30重量部を入れ、粗い粒子を示すまでミキシングした。その後、ポリイソブテン(polyisobutene)15重量部を添加して、5~15分間均一になるまで混合し、温度を100~110℃に減少させた後、プロピレングリコール(propylene glycol)20重量部、シリカ(silica)0.5重量部、及びゼオライト(zeolite)1重量部を追加して混合する。最後に、カルボキシメチルセルロース(CMC)10重量部を入れて完全に溶解されるまで撹拌して粘着用組成物を製造した。
【0022】
次に、本発明のネイルチップのネイルボディーは、熱可塑性ポリウレタン複合体を用いた。具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)135重量部に酸化亜鉛(ZnO)0.5重量部、及び1,4-ブタン-ジオール15重量部を投入した後、HAAKE rheocordを使用して160℃で10分間混合して熱可塑性ポリウレタン複合体を準備し、射出温度は160~180℃として射出工程を通じてネイルボディー試験片を製造した。
【0023】
その後、前記粘着用組成物を前記ネイルボディーの下端に300~350μmの厚さで塗布した後、乾燥させて粘着層を形成することによって、本発明の実施例1のネイルチップを完成した。
【0024】
製造例1-2.比較例1のネイルチップの製造
前記製造例1-1の粘着用組成物成分のうちのプロピレングリコールを除いて粘着用組成物を製造した後、それ以外は実施例1のネイルチップと同様の方法で比較例1のネイルチップを作製した。
【0025】
製造例1-3.比較例2のネイルチップの製造
前記製造例1-1の粘着用組成物成分のうちのゼオライトを除いて粘着用組成物を製造した後、それ以外は実施例1のネイルチップと同様の方法で比較例2のネイルチップを作製した。
【0026】
製造例1-4.比較例3のネイルチップの製造
粘着層の材料として、前記製造例1-1の粘着用組成物ではなく、人工ネイルに一般に使用され、市販されているアクリル系粘着剤を用いた点を除いては、実施例1のネイルチップと同様の方法で比較例3のネイルチップを作製した。
【0027】
製造例1-5.比較例4のネイルチップの製造
ネイルボディーの材料として、前記製造例1-1の熱可塑性ポリウレタン複合体ではなく、人工ネイルに一般に使用されるABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂を用いた点を除いては、実施例1のネイルチップと同様の方法で比較例4のネイルチップを作製した。
【0028】
前記実施例1及び比較例1~4のネイルチップの成分及び材質をまとめると、次の表1の通りである。
【0029】
【表1】
【0030】
実験例1.粘着用組成物の抗菌及び抗真菌活性の評価
爪に付けて使用するネイルチップの場合、推奨使用期間を遵守しないか、または水に長時間さらされるなどの湿った環境は、爪とネイルチップとの間が広がるようにしながら細菌やカビの繁殖が増加することがあり、それによって、感染性皮膚疾患が発生する可能性がある。そのため、実施例1及び比較例1~3の粘着用組成物の抗菌及び抗真菌活性を評価した。
【0031】
具体的には、爪に皮膚炎を起こす最も代表的な細菌であるシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、及び真菌としてカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対する各組成物の抗菌及び抗真菌活性は、標準培地連続希釈方法(standard broth serial dilution method)を用いてMIC値を測定した。各組成物は蒸留水に希釈して使用した。
【0032】
【表2】
【0033】
その結果、前記表2に示されたように、実施例1の粘着用組成物が、緑膿菌及びカンジダ菌に対する抗菌及び抗真菌活性が最も優れていることを確認した。反面、プロピレングリコール又はゼオライトを含まない比較例1又は比較例2の組成物は、抗菌及び抗真菌活性が多少劣り、市販中の一般のアクリル系粘着剤は、抗菌及び抗真菌活性がほとんどないものと示された。すなわち、本発明の粘着用組成物は、爪に直接的に接触する粘着層に含まれることで、感染性皮膚疾患を起こし得る緑膿菌又はカンジダ菌に対する優れた抑制活性を示すことが分かった。
【0034】
実験例2.ネイルチップの使用感の評価
実施例及び比較例のネイルチップを直接使用する場合の主観的な満足度を確認するために、成人女性20人を対象として比較評価を行った。具体的には、実施例1及び比較例1~4のネイルチップを爪にそれぞれ付着した後、5日後に除去し、使用の利便性、付着している間の使用感、及び除去した後の保湿並びに栄養感に対して主観的に評価した。評点は9点評点法を用い、選好度/満足感が高いほど高い点数を付与するようにした。
【0035】
【表3】
【0036】
その結果、前記表3に示されたように、実施例1のネイルチップは、使用の利便性、付着している間の使用感、及び除去した後の保湿並びに栄養感の全ての項目において主観的な満足度が高いことを確認した。特に、SIS共重合体、プロピレングリコール、ポリイソブテン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シリカ、及びゼオライトを含む粘着用組成物を使用した実施例1及び比較例4のネイルチップの場合、除去した後の保湿感に対する評価が優れるところ、本発明の粘着用組成物は、人工ネイルの使用時の爪の損傷を最小化できることが分かった。それに反して、プロピレングリコールを含まない粘着用組成物を使用した比較例1のネイルチップ、及び一般のアクリル系粘着剤を使用した比較例3のネイルチップは、保湿感に対する評価が低かった。また、ネイルボディーの素材として、本発明のTPUではなくABSを用いた比較例4のネイルチップの場合、弾性がほとんどなく硬い感じであるところ、使用時の利便性及び付着している間の使用感が否定的に示された。すなわち、本発明のネイルチップは、爪に保湿及び栄養感を付与できる粘着層を含むと共に、ネイルボディーがTPU素材でソフトであるので、その主観的な使用感が優れることが分かった。
【0037】
実験例3.ネイルチップの物性評価
再利用可能なネイルチップの場合、爪に手軽に付けて一定期間利用した後に除去し、再び粘着剤を付けて再利用が可能な製品である。したがって、ネイルボディーが硬すぎたり、弾力性がなければ、爪に密着しにくく、それによって、爪に付いている維持力が低下したり、着用感が低下することがある。そのため、互いに異なる素材を用いた実施例1のネイルチップ及び比較例4のネイルチップの反発弾性を比較した。具体的には、ボール反発弾性試験機(Hildebrand Ball Rebound Tester)を用いて、ASTM D3574-17規格に従って3回測定した後、平均して求めた。
【0038】
【表4】
【0039】
その結果、前記表4に示されたように、ネイルボディーの素材としてTPU複合体を使用した実施例1のネイルチップの反発値が、人工ネイルに一般に使用されるABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂を用いた比較例4のネイルチップに比べて著しく高いところ、これは、実施例1のネイルチップが弾性率が著しく優れることを意味する。すなわち、本発明のネイルチップは、弾性率が良いので、しわくちゃにした後に広げても原状復旧されるソフトな性質を示し、それによって、爪に浮き上がることなく密着し、使用感及び維持力に優れる。また、抗真菌及び保湿活性を示す粘着層を含むので、ネイルチップの使用の副作用及び爪の損傷を防止することができる。
【0040】
以上の説明から、本発明の属する技術分野における当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施可能であるということを理解できるであろう。これと関連して、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その等価概念から導かれるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【国際調査報告】