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特表2024-510540タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品
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  • 特表-タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
B29D30/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540039
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 NL2022050717
(87)【国際公開番号】W WO2023158298
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】2030964
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ヤンゼン,コーネリス ウーテルス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ フルフト ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ヘンドリック ファン デル リー
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AP06
4F215AP11
4F215AQ01
4F215AR07
4F215AR12
4F215VA02
4F215VK01
4F215VQ02
4F215VQ07
4F215VQ08
(57)【要約】
本発明は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出する方法、システムおよびコンピュータプログラム製品に関し、前記方法は、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上の部品の仮想表示を作成する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方について、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変更する工程と、を含む。
本発明はさらに、1つ以上の仮想境界を使用して、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための代替的な方法に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出する方法であって、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方について、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変更する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記スキャンに基づいて前記仮想表示を作成する工程は、前記向きを変更する工程の前に完了する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スキャンを取得する工程は、前記向きを変更する工程の前に完了する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想表示は3次元である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記仮想表示は前記ドラム軸を表す仮想軸を中心に広がっている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記向きを変更する工程は、前記仮想表示および前記タイヤ製造ドラムの一方を、前記仮想軸および前記ドラム軸をそれぞれ中心とする前記仮想表示および前記タイヤ製造ドラムの他方の角度位置の変化に応答して、前記仮想軸および前記ドラム軸をそれぞれ中心として回転させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、
前記仮想軸を中心とする前記仮想表示の複数の仮想角度位置を、前記ドラム軸を中心とする前記タイヤ製造ドラムの現実世界における複数の角度位置にリンクする工程と、
前記仮想角度位置と前記現実世界における角度位置とがリンクされた対に、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムを回転させる工程と、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムは、同じ方向および/または同じ速度で回転する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法はさらに、
前記1つ以上のタイヤ構成部品の現実世界の基準位置を示すために、検査基準を使用する工程と、
前記検査基準により示される現実世界の基準位置に対応する仮想基準位置において前記仮想表示に仮想基準を追加する工程と、を含む、請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記検査基準は投影、特にレーザー投影である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記現実世界の基準位置は固定されている、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法はさらに、
前記スキャンを分析して、前記スキャン内の1つ以上の異常を認識する工程と、
前記仮想表示内に前記1つ以上の異常を表示する工程と、を含む、請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの向きの前記他方の向きの変更は、人間のオペレータによって制御される、請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の異常を示すように、前記仮想表示とタイヤ製造ドラムの前記他方の向きの変更は、自動的に制御される、請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記仮想表示は、電子表示装置上で人間のオペレータに表示される、請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記仮想表示は、拡張現実または複合現実の一部として、前記タイヤ製造ドラムの現実世界の位置で人間のオペレータに表示される、請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法はさらに、
前記ドラム軸に対する人間のオペレータの視野角を示すパラメータを考慮して前記仮想表示を補正する工程を含む、請求項1乃至16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記パラメータは前記人間のオペレータによって入力される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パラメータは、アイレベル、人間の身長および視野角を含むグループのうちの1つである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記スキャンは、前記タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の高さプロファイル情報を含む、請求項1乃至19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記タイヤ製造ドラムの仮想モデルが仮想表示に追加される、請求項1乃至20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記スキャンは、1つ以上のスキャナに対して前記ドラム軸を中心に前記タイヤ製造ドラムを回転させることによって得られる、請求項1乃至21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記タイヤ製造ドラムは、前記スキャンを取得する間に全周にわたって回転される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するためのシステムであって、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品をスキャンするための1つ以上のスキャナと、視覚的ユーザインターフェースと、前記1つ以上のスキャナおよび前記視覚的ユーザインターフェースに動作可能に接続された制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、
前記ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成し、前記視覚的ユーザインターフェースを介して人間のオペレータに前記仮想表示を表示する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方の向きを、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変える工程と、
を行うように設定されているシステム。
【請求項25】
前記システムが電子表示装置をさらに備え、前記視覚的ユーザインターフェースは、前記電子表示装置に表示されるように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが拡張現実装置をさらに備え、前記視覚的ユーザインターフェースは、前記拡張現実装置を介して、拡張現実または複合現実の一部として、前記タイヤ製造ドラムの現実世界の位置に前記仮想表示を表示するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
プロセッサによって実行されると、請求項24乃至26の何れか1項に記載のシステムに、請求項1乃至23の何れか1項に記載の方法の工程を実行させる命令を保持する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法であって、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成する工程と、
前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の許容範囲を代表する1つ以上の仮想境界を前記仮想表示に重ねる工程と、
前記スキャンに基づいて、1つ以上の前記タイヤ構成部品が1つ以上の許容範囲のうちの第1の許容範囲から外れている場合に、前記仮想表示にマーキングを提供する工程と、
を含む方法。
【請求項29】
前記1つ以上の仮想境界は、第1の境界線と、前記第1の境界線に平行かつ間隔を隔てた第2の境界線とを含み、それぞれ前記第1の許容範囲の下限と上限を代表する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の仮想境界は、前記第1の境界線および前記第2の境界線に垂直に延びる第3の境界線および第4の境界線を含み、境界ボックスを形成する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第3の境界線および前記第2の境界線は、それぞれ、前記1つ以上の許容範囲の第2の許容範囲の下限および上限を代表する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ以上の仮想境界は箱型の領域を画定し、前記箱型の領域にはパターンまたは透明な塗りつぶしが設けられている、請求項28乃至31の何れか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の許容範囲は、前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の輪郭に適用され、前記マーキングは、前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の輪郭が前記1つ以上の許容範囲から外れている箇所を強調表示する、請求項28乃至32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記マーキングは、前記1つ以上のタイヤ構成部品の前記輪郭の一部をトレースしたものである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記仮想表示は2次元ビューからなり、前記1つ以上の仮想境界は、前記2次元ビューの前記仮想表示上にオーバーレイされる、請求項28乃至34の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記仮想表示は、2次元ビューに関連する3次元ビューを含み、1つ以上の前記仮想境界、前記マーキング、またはその両方が、前記3次元ビューおよび前記2次元ビューにおいて同時に提供される、請求項35に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ構成部品、特に未加硫ゴムのタイヤ層は、グリーンタイヤまたは未加硫タイヤを製造するためタイヤ製造ドラムに巻き付けられる。各プライの後端は、同じプライの前端にスプライスされる。それぞれのスプライスの品質、層の中心位置合わせおよび材料の均一性は、タイヤの全体的な品質に大きく影響する。各グリーンタイヤのスプライスに、オープンスプライスのような欠陥や異常がないか、人間のオペレータが目視で検査することが知られている。目視検査と経験に基づいて、人間のオペレータはグリーンタイヤの承認または不承認を決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の目視検査の欠点は、人間のオペレータが各スプライスを全体的に検査しなければならないことである。したがって、1つ以上のタイヤプライにおける異常の検出および/または評価は、肉眼で見ることができるものに限定され、主観的であり、人為的ミスが生じやすい。
【0004】
本発明の目的は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供することであり、異常の検出および/または評価を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出する方法であって、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上の部品の仮想表示を作成する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方について、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変更する工程と、を含む方法を提供する。
【0006】
前記向きを変更する工程により、人間のオペレータは、仮想表示内の任意の注目する領域の仮想位置を、タイヤ製造ドラムの対応する現実世界の位置に容易に関連付けることができる。言い換えれば、人間のオペレータは、仮想表示を使用して、仮想表示内の任意の異常を分析して決定し、現実世界でタイヤ製造ドラム上の異常を見つけることができる。したがって、人間のオペレータは、1つ以上のタイヤ構成部品の全体に注意を向けるのではなく、仮想表示の注目する領域に基づいて、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の特定の領域に注意を向けることができる。このようにして、異常の検出および/または評価が改善され、人為的ミスの可能性を大幅に減らすことができる。
【0007】
一実施形態では、前記スキャンに基づいて前記仮想表示を作成する工程は、前記向きを変更する工程の前に完了する。別の実施形態では、前記スキャンを取得する工程は、前記向きを変更する工程の前に完了する。言い換えれば、スキャンと仮想表示の作成は、仮想表示のための情報が収集され、仮想表示が作成される準備モードの一部とすることができる。準備モードは自動的に実行することができる。準備モードが完了すると、仮想表示とタイヤ製造ドラムの向きを互いに「そのまま」、すなわち、タイヤ製造ドラム、1つ以上のタイヤ構成部品およびその仮想表示の状態に基づいて、新たなまたはさらなるスキャンを必要とすることなく、および/または当該スキャンからの仮想表示の再作成を必要とすることなく調整することができる、運用モードまたは手動モードに切り替えることができる。特に、1つ以上のタイヤ構成部品の異常を修正するための人間のオペレータの動作は、仮想表示にリアルタイムで反映されないが、方法の後続のサイクルで再度スキャンすることができる。したがって、人間のオペレータは、準備モードの終了時に、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の状態に基づいて、仮想表示における異常を評価することができる。
【0008】
一実施形態では、前記仮想表示は3次元である。仮想表示は、1つ以上の構成部品を幅、高さ、奥行きの3次元で表現するという意味で3次元である。仮想表示は、ディスプレイのような2次元の視覚的ユーザインターフェース上に表示されている場合でも、3次元とみなされる。
【0009】
別の実施形態では、前記仮想表示は前記ドラム軸を表す仮想軸を中心に広がっている。したがって、人間のオペレータは、仮想軸を現実世界のドラム軸に視覚的に関連付けることができ、その逆もまた同様である。
【0010】
好ましくは、前記向きを変更する工程は、前記仮想表示および前記タイヤ製造ドラムの一方を、前記仮想軸および前記ドラム軸をそれぞれ中心とする前記仮想表示および前記タイヤ製造ドラムの他方の角度位置の変化に応答して、前記仮想軸および前記ドラム軸をそれぞれ中心として回転させることを含む。人間のオペレータは、仮想的な回転を現実世界におけるタイヤ製造ドラムの回転に視覚的に関連付けることができ、および/またはその逆も同様である。
【0011】
より好ましくは、前記方法はさらに、
前記仮想軸を中心とする前記仮想表示の複数の仮想角度位置を、前記ドラム軸を中心とする前記タイヤ製造ドラムの現実世界における複数の角度位置にリンクする工程と、
前記仮想角度位置と前記現実世界における角度位置とがリンクされた対に、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムを回転させる工程と、を含む。リンクされた対は、仮想表示がタイヤ製造ドラムの各現実世界における角度位置に対して同じ仮想角度位置にあることを保証することができる。特に、リンクされた対は、人間のオペレータの視点から、任意の瞬間に人間のオペレータに面する仮想表示の側面が、同じ瞬間に人間のオペレータに面するタイヤ製造ドラムの側面に対応するように選択することができる。
【0012】
さらなる実施形態では、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムは、同じ方向および/または同じ速度で回転する。したがって、人間のオペレータは、仮想表示の動きを現実世界におけるタイヤ製造ドラムの動きに関連付けることができ、その逆も同様である。
【0013】
別の実施形態では、前記方法はさらに、
前記1つ以上のタイヤ構成部品の現実世界の基準位置を示すために、検査基準、より詳細にはレーザー投影を使用する工程と、
前記検査基準により示される現実世界の基準位置に対応する仮想基準位置において前記仮想表示に仮想基準を追加する工程と、を含む。人間のオペレータは、当該基準に対して任意の注目する領域をより容易に位置決めするために、検査基準を仮想基準に関連付けることができ、その逆も同様である。
【0014】
好ましくは、前記現実世界の基準位置は固定されている。したがって、人間の操作者は、現実世界の基準位置が常に同じ場所にあることを信頼することができる。
【0015】
別の実施形態では、前記方法はさらに、
前記スキャンを分析して、前記スキャン内の1つ以上の異常を認識する工程と、
前記仮想表示内に前記1つ以上の異常を表示する工程と、を含む。仮想表示内に1つ以上の異常を示すことにより、人間のオペレータは、それらの1つ以上の異常の仮想位置を、タイヤ製造ドラム上の対応する現実世界の位置に関連付けることができる。人間のオペレータは、1つ以上のタイヤ構成部品を全体として検査する代わりに、これらの現実世界の位置に集中することができる。
【0016】
別の実施形態では、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの向きの前記他方の向きの変更は、人間のオペレータによって制御される。したがって、オペレータ自身が、注目する領域を有する側が人間のオペレータ側を向くように、仮想表示またはタイヤ製造ドラムの向きを変えることができる。
【0017】
あるいは、1つ以上の異常を示すように、前記仮想表示とタイヤ製造ドラムの前記他方の向きの変更は、自動的に制御される。このようにして、仮想表示またはタイヤ製造ドラムを、特定された異常を検査するのに最適な向きにすることができる。複数の異常がある場合は、段階的に向きを変えることができ、各段階の間に検査のための時間を設けたり、次の段階に進む前にユーザの確認を待ったりすることができる。
【0018】
別の実施形態では、前記仮想表示は、電子表示装置上で人間のオペレータに表示される。電子表示装置は、人間のオペレータが専用の視点から、仮想表示とタイヤ製造ドラムの両方を容易に観察し、それらの間の情報および/または位置を関連付けることができる、タイヤ製造ドラムの近くの位置に配置することができる。
【0019】
あるいは、前記仮想表示は、拡張現実または複合現実の一部として、前記タイヤ製造ドラムの現実世界の位置で人間のオペレータに表示される。このように、仮想表示は、現実世界と直接的な関係にあるオーバーレイとして人間のオペレータに提示することができ、その結果、人間のオペレータは、仮想表示に示された情報および/または位置を現実世界と関連付けることが容易になる。
【0020】
別の実施形態では、前記方法はさらに、
前記ドラム軸に対する人間のオペレータの視野角を示すパラメータを考慮して前記仮想表示を補正する工程を含む。例えば、人間のオペレータがドラム軸に対して下向きの視野角を有する場合、仮想表示の向きは、仮想表示が人間のオペレータがタイヤ製造ドラムに対して有する視野によりよく一致するように、前記下向きの視野角を考慮して補正またはオフセットされることができる。
【0021】
好ましくは、前記パラメータは前記人間のオペレータによって入力される。したがって、人間のオペレータは、仮想表示の補正された向きがタイヤ製造ドラム上の人間オペレータの視界に対応するかどうかを試行錯誤してチェックするために、以前に入力されたパラメータを入力、調整、または上書きしてもよい。
【0022】
さらなる実施形態では、前記パラメータは、アイレベル、人間の身長および視野角を含むグループのうちの1つである。この種のパラメータは、特定のパラメータを考慮するために仮想表示をどのようにまたはどの程度補正すべきかを予測または計算するために使用することができる。
【0023】
別の実施形態では、前記スキャンは、前記タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の高さプロファイル情報を含んでいる。高さプロファイル情報は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の外表面の正確な仮想表示を作成するために使用することができる。
【0024】
別の実施形態では、前記タイヤ製造ドラムの仮想モデルが仮想表示に追加される。したがって、1つまたは複数のタイヤ構成部品は空中に浮いているようには見えない。その代わりに、タイヤ構成部品は、あたかもタイヤ製造ドラムの仮想モデル上に支持されているかのように表示され、仮想表示をより現実的に、および/または、より現実世界と関連付けやすくすることができる。
【0025】
別の実施形態では、前記スキャンは、1つ以上のスキャナに対して前記ドラム軸を中心に前記タイヤ製造ドラムを回転させることによって得られる。タイヤ製造ドラムは、タイヤ製造作業の一部としてすでに回転している。したがって、スキャンを得るために、タイヤ製造ドラムを少なくとも1回転させるだけでよい。スキャン装置、例えば1つ以上のカメラは、固定された現実世界に対して固定された位置に、信頼できる方法で配置することができる。あるいは、信頼性の低い解決策として、タイヤ製造ドラムを静止させ、スキャン装置をタイヤ製造ドラムの周囲で移動させてもよい。
【0026】
好ましくは、前記タイヤ製造ドラムは、前記スキャンを取得する間に全周にわたって回転される。したがって、1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンは、タイヤ製造ドラムの全周に沿って取得することができ、その結果、全周にわたる仮想表示の作成が容易になる。
【0027】
第2の態様によれば、本発明は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するためのシステムであって、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品をスキャンするための1つ以上のスキャナと、視覚的ユーザインターフェースと、前記1つ以上のスキャナおよび前記視覚的ユーザインターフェースに動作可能に接続された制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、
前記ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成し、前記視覚的ユーザインターフェースを介して人間のオペレータに前記仮想表示を表示する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方の向きを、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変える工程と、
を行うように設定されているシステムを提供する。
【0028】
本発明の第2の態様によるシステムは、本発明の第1の態様による方法を実際に実施するために使用され、したがって、以下では繰り返さないが、同じ技術的利点を有する。さらに、このシステムは、特に、本発明の第1の態様による方法の前述の実施形態のいずれか1つを実施するために使用することができるが、これらに限定されない。
【0029】
前記システムが電子表示装置をさらに備える第1の実施形態であって、前記視覚的ユーザインターフェースは、前記電子表示装置に表示されるように構成される。
【0030】
前記システムが拡張現実装置をさらに備える第2の実施形態であって、前記視覚的ユーザインターフェースは、前記拡張現実装置を介して、拡張現実または複合現実の一部として、前記タイヤ製造ドラムの現実世界の位置に前記仮想表示を表示するように構成される。
【0031】
第3の態様によれば、本発明は、プロセッサによって実行されると、本発明の第2の態様による実施形態のいずれか1つによるシステムに、本発明の第1の態様による方法の工程を実行させる命令を保持する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0032】
コンピュータプログラム製品は、前述の機能を前記システムに構成、アップグレード、および/またはインストールするために、システムとは別に提供することができ、その結果、前述の技術的利点が得られる。
【0033】
第4の態様によれば、本発明は、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法であって、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上の部品の仮想表示を作成する工程と、
前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の許容範囲を代表する1つ以上の仮想境界を前記仮想表示に重ねる工程と、
前記スキャンに基づいて、1つ以上の前記タイヤ構成部品が1つ以上の許容範囲のうちの第1の許容範囲から外れている場合に、前記仮想表示にマーキングを提供する工程と、
を含む方法を提供する。
【0034】
本発明の第4の態様による方法は、本発明の第1の態様による方法の実施形態のいずれかと組み合わせて、またはそれとは独立して適用してもよい。
【0035】
異常を示すマーキングを設けることは知られているが、マーキングそのものは、例えば公差範囲の超過といった異常の理由やその深刻度を正確に評価するための有用な情報を提供しない。また、マーキングは、どのように異常を修正するか、例えば、1つ以上のタイヤ構成部品をどの方向に再配置すれば関連する許容範囲内に収まるか、といった情報も提供しない。
【0036】
本発明の第4の態様による方法は、1つ以上のタイヤ構成部品が許容範囲外である仮想表示にマーキングを付することに加えて、同じ仮想表示が、関連する許容範囲を視覚的境界線で視覚化することによって、1つ以上のタイヤ構成部品が許容範囲外である理由も示すという技術的利点を有する。したがって、人間のオペレータは、マーキングの理由、および1つ以上の仮想境界に対する許容範囲の超過の重大度をより正確に評価することができる。視覚的境界線を用いた許容範囲の視覚化は、例えば、タイヤ構成部品が関連する許容範囲内に収まるように再配置されるべき方向を決定することによって、異常を修正するための最良の方法を決定する際に、人間のオペレータを支援することができる。また、人間のオペレータは、経験に基づいて、公差の超過がわずかである場合、および/または輪郭の軌跡が主に関連する許容範囲内にあり、ごく局所的にしか仮想境界から外れていない場合には、許容範囲からの超過を無視することができる。
【0037】
好ましい実施形態では、前記1つ以上の仮想境界は、第1の境界線と、前記第1の境界線に平行かつ間隔を隔てた第2の境界線とを含み、それぞれ前記第1の許容範囲の下限と上限を代表する。第1の許容範囲の下限と上限を視覚化することにより、人間のオペレータは、下限と上限の間の領域の外側に延びるタイヤ構成部品の一部が許容範囲外であるとマークされる理由を理解することができる。
【0038】
さらなる実施形態では、前記1つ以上の仮想境界は、前記第1の境界線および前記第2の境界線に垂直に延びる第3の境界線および第4の境界線を含み、境界ボックスを形成する。境界ボックスを設けることにより、境界線間のボックス状領域を視覚的により容易に把握することができる。
【0039】
好ましくは、前記第3の境界線および前記第2の境界線は、それぞれ、前記1つ以上の許容範囲の第2の許容範囲の下限および上限を代表する。したがって、境界ボックスは、一度に2つの許容範囲、すなわち2つの直交する方向の2つの許容範囲を視覚化することができる。例えば、境界ボックスは、第1の境界線と第2の境界線との間の高さの許容範囲を視覚化する一方で、第3の境界線と第4の境界線との間の幅の許容範囲を視覚化することができる。
【0040】
別の実施形態では、前記1つ以上の仮想境界は箱型の領域を画定し、前記箱型の領域にはパターンまたは透明な塗りつぶしが設けられている。したがって、箱型の領域は、1つ以上のタイヤ構成部品の基本的な特徴を視認可能な状態に保ちながら、視覚的により容易に確認することができる。
【0041】
別の実施形態では、前記1つ以上の許容範囲は、前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の輪郭に適用され、前記マーキングは、前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の輪郭が前記1つ以上の許容範囲から外れている箇所を強調表示する。したがって、前記輪郭の一部が前記第1の許容範囲から外れているとしてマーキングされている理由を視覚的に判断することができる。
【0042】
好ましくは、前記マーキングは、前記1つ以上のタイヤ構成部品の前記輪郭の一部をトレースしたものである。したがって、輪郭のどの部分が第1の許容範囲から外れているかを正確に視覚化することができる。
【0043】
別の実施形態では、前記仮想表示は2次元ビューからなり、前記1つ以上の仮想境界は、前記2次元ビューの前記仮想表示上にオーバーレイされる。2次元ビューでは、マーキングと視覚的境界線との間の関係をより容易に決定することができる。
【0044】
好ましくは、前記仮想表示は、2次元ビューに関連する3次元ビューを含み、1つ以上の前記仮想境界、前記マーキング、またはその両方が、前記3次元ビューおよび前記2次元ビューにおいて同時に提供される。2次元ビューと3次元ビューの両方で同時に視覚化されることにより、人間の操作者は、2つのビューの一方におけるマーキングおよび/または仮想境界と、2つのビューの他方におけるものとを関連付けることができる。
【0045】
本明細書に記載され図示された様々な態様および特徴は、可能な限り個別に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載された態様および特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
【0046】
本発明は、添付の概略図に示される例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の第1の例示的な実施形態による、1つ以上のタイヤ構成部品と、前記1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するためのシステムとを備えたタイヤ製造ドラムの透視図である。
図2】タイヤ製造ドラムが異なる角度位置まで回転した後の、図1によるタイヤ製造ドラムとシステムの透視図である。
図3図1および図2によるシステムを使用して、タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出する方法の工程を示すフローチャートである。
図4図1のタイヤ製造ドラムおよび本発明の第2の例示的実施形態による代替的なシステムの透視図である。
図5図1のタイヤ製造ドラムおよび本発明の第3の例示的実施形態によるさらなる代替的なシステムの透視図である。
図6】本発明の第4の例示的な実施形態による、図1のタイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を識別するための代替的な視覚的ユーザインターフェースの画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1および図2は、タイヤ製造ドラムD上の1つ以上のタイヤ構成部品Tの異常Xを検出するための、本発明の第1の例示的な実施形態によるシステム1を示す。タイヤ製造ドラムDは、1つ以上のタイヤ構成部品Tを受け取り、製造し、成形し、および/または移送するためにタイヤ製造プロセスで使用される任意のドラムまたはホイールであってもよい。1つ以上のタイヤ構成部品Tは、グリーンまたは未加硫タイヤを製造するために使用される。1つ以上のタイヤ構成部品Tは、例えばインナーライナー、サイドウォール、ブレーカ、トレッド、キャップストリップ、ガムストリップ、またはそれらの組み合わせなどの、層、プライ、ストリップなどを有してもよい。
【0049】
タイヤ製造ドラムDは、ドラム軸A1を中心に回転可能な円筒状の支持面を備える。システム1は、ドラム軸A1を中心とするタイヤ製造ドラムDの回転を駆動するための駆動装置2を備える。タイヤ製造ドラムD上に1つ以上のタイヤ構成部品Tを載置する間、ドラム軸A1を中心とするタイヤ製造ドラムDの回転は自動的に制御される。しかし、システム1は、例えば検査目的やメンテナンスのために、人間のオペレータHがドラム軸A1を中心とするタイヤ製造ドラムDの回転を手動で制御するための手動制御装置3を備えてもよい。
【0050】
1つ以上のタイヤ構成部品Tは、1つ以上のタイヤ構成部品Tの予め形成された層をタイヤ製造ドラムDに巻き付けることによって円筒状の支持面に載置されるか、またはストリップ巻取りのような付加的なプロセスを用いて連続ストリップの形態で載置されてもよい。1つ以上のタイヤ構成部品Tは、いわゆる「パッケージ」または「アセンブリ」を形成してもよい。特に、1つ以上のタイヤ構成部品Tは、インナーライナー、ボディプライおよび/またはサイドウォールの「プレアセンブリ」、またはベルトとトレッドの「パッケージ」を形成してもよい。
【0051】
1つ以上のタイヤ構成部材Tは、典型的には、1つのプライの先端側端部が同じプライまたは別のプライの後端側端部に接合、縫合またはスプライスされる1つ以上のスプライスSを有している。スプライスSは、1つ以上のタイヤ構成部品Tの端部を重ね合わせる、いわゆる「オーバーラップスプライス」、または1つ以上のタイヤ構成部品Tの端部を突き合わせる、いわゆる「バットスプライス」によって形成することができる。スプライス時によくある欠陥は、1つ以上のタイヤ構成部品Tの端部がスプライスSに沿って完全に接合されていない、いわゆる「オープンスプライス」、または「バットスプライス」を形成するときに端部が重なることである。このような欠陥については、スプライスSを手作業で検査することが知られている。
【0052】
図1に示されるシステム1は、タイヤ製造ドラムD上の1つ以上のタイヤ構成部品Tの高さプロファイル情報、画像、スキャンを得るための、1つ以上のイメージング装置またはスキャナ4を備えている。この例では、各スキャナ4は、タイヤ製造ドラムDの少なくとも一部に向けられるか、または少なくとも一部を覆う視野を有する光学カメラを備える。光学カメラは、レーザーラインに沿って1つ以上のタイヤ構成部品Tの高さプロファイル情報を得るためにレーザーと協働することができる。この特定の場合では、システム1は、それぞれが独自の視野を有し、タイヤ製造ドラムDの全幅、または少なくとも1つ以上のタイヤ構成部品Tによって覆われる領域の幅を共にカバーする、並べて配置された複数のスキャナ4を備えている。
【0053】
この例では、1つ以上のスキャナ4は固定された世界に対して静止位置にある。言い換えれば、タイヤ製造ドラムDは、1つ以上のスキャナ4に対してドラム軸A1を中心に回転可能である。あるいは、タイヤ製造ドラムDは、固定された世界に対して相対的に静止した状態で保持され、1つ以上のスキャナ4は、当該静止したタイヤ製造ドラムDの周りを移動可能であってもよい。
【0054】
システム1はさらに、1つ以上の現実世界の基準R1を、現実世界の基準位置においてタイヤ製造ドラムDおよび/または1つ以上のタイヤ構成部品Tに投影するための1つ以上のプロジェクタ5を備える。この例では、現実世界の基準位置は、固定された世界および/またはドラム軸A1に対して固定された位置にある。言い換えれば、タイヤ製造ドラムDは、固定された角度位置に留まる1つ以上の現実世界の基準R1に対してドラム軸A1を中心に回転可能である。
【0055】
システム1はさらに、人間のオペレータHに視覚的ユーザインターフェース6を表示するための電子表示装置60、例えばテレビ画面を備える。
【0056】
システム1は、ドラム駆動装置2、手動制御装置3、1つ以上のスキャナ4、プロジェクタ5および電子表示装置60に電子的、機能的、および/または動作的に接続される制御ユニット7をさらに備える。制御ユニット7は、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、システム1を以下により詳細に説明されるような方法で動作させる命令を保持するためのメモリ、特に非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体とを備える。
【0057】
図1に示すように、システム1は、タイヤ製造ドラムDの角度位置を示す信号を検出して生成するためのエンコーダ8、特にロータリーエンコーダをさらに備える。
【0058】
次に、前述のシステム1を用いて、タイヤ製造ドラムD上の1つ以上のタイヤ構成部品Tの異常Xを検出する方法を、図1図2および図3を参照して明らかにする。
【0059】
図3のフローチャートに示すように、本方法は、特にドラム軸A1を中心としてタイヤ製造ドラムDを回転させることによって、ドラム軸A1を中心としてタイヤ製造ドラムDと1つ以上のスキャナ4との間に相対的な回転を発生させること(工程S1)から開始し、一方、1つ以上のスキャナ4は、ドラム軸A1を中心としたタイヤ製造ドラムDの複数の角度位置P1において、タイヤ製造ドラムD上の1つ以上の構成部品Tのスキャンを取得する(工程S2)。スキャンは、好ましくは、ドラム軸A1を中心とするタイヤ製造ドラムDの全回転または完全回転の間、例えば、少なくとも360度の回転にわたって取得される。あるいは、スキャンは、タイヤ製造ドラムDの円周の特定の範囲に限定されてもよく、全回転未満であってもよい。各スキャンは、メモリまたはデータベースに記憶され、図1のエンコーダ8から受信した信号に基づいて、それぞれのスキャンが行われたタイヤ製造ドラムDの角度位置P1にリンクされる(工程S3)。
【0060】
制御ユニット7は、スキャンを処理し、当該スキャンに基づいて1つ以上の構成部品Tの仮想表示Vを作成するように配置、プログラムおよび/または構成されている(工程S4)。制御ユニット7は、さらに、1つ以上のタイヤ構成部品Tに対するタイヤ製造ドラムDの現実世界の位置に対応する1つ以上のタイヤ構成部品Tの仮想表示に対する相対位置で、タイヤ製造ドラムDの仮想モデルMを仮想表示Vに追加するように配置され、プログラムされ、および/または構成されてもよい。
【0061】
この例では、仮想表示Vは3次元であるか、または3次元に見える。特に、仮想表示Vは、ドラム軸A1を表す仮想軸A2を中心に延びている。より詳細には、仮想表示Vは仮想軸A2を中心に仮想的に回転可能である。仮想軸A2を中心とする仮想表示Vの各仮想角度位置P2は、図3の表Lに示すように、ドラム軸A1を中心としたタイヤ製造ドラムDの各現実世界の角度位置P1にリンクされている。
【0062】
この例では、仮想角度位置P2は、エンコーダ8によって検出される現実世界の角度位置に対して、図1に示すような人間のオペレータHの視野角Bを示すパラメータKで、図3にデルタ記号で模式的に示すようにオフセットされる。パラメータKは、仮想表示Vが人間のオペレータHがタイヤ製造ドラムDを見る視界によりよく一致するように、仮想表示Vの向きを補正するために使用することができる。典型的には、視野角Bは、人間の身長、特に人間のオペレータHの目の高さに応じて、40度から60度の間である。オフセットパラメータHは、各人間のオペレータH毎に異なる場合があり、ユーザの好みに左右される場合もあるため、人間のオペレータHが手動で入力または調整することができる。図3の表Lでは、仮想角度位置P2の全ての値が、現実世界の角度位置P1に対してパラメータKの値で45度オフセットされている。
【0063】
あるいは、仮想表示Vの座標系は、タイヤ製造ドラムDの座標系に対して同じパラメータKでオフセットすることができ、この場合、現実世界の角度位置P1と仮想角度位置P2の値は同じに保つことができる。
【0064】
制御ユニット7はさらに、スキャンを分析し、当該スキャンにおける1つ以上の異常Xを認識するために配置され、プログラムされ、および/または構成される(工程S5)。仮想ポインタ、マーカーまたはインジケータは、図2に四角形のマーカーで模式的に示すように、1つ以上のタイヤ構成部品Tにおけるそれぞれの異常Xの現実世界の位置に対応する仮想位置で仮想表示Vに追加される。マーカーは一般的に注目する領域を示すこともあれば、異常Xの輪郭を特に強調したりトレースしたり、あるいは異常Xの位置を正確にピンポイントで示すこともある。
【0065】
この例では、工程S1からS5は、方法の次の工程に進む前に完了する準備モードの一部とすることができる。工程S1からS5は自動的に実行されてもよい。制御ユニット7は、準備モードと手動モードまたは操作モードとを切り替えるように構成されている。操作モードでは、人間のオペレータHは、仮想表示Vおよび/またはタイヤ製造ドラムDを手動で制御する。
【0066】
操作モードでは、マークされた異常Xを含む仮想表示Vは、視覚的ユーザインターフェース6を介して人間のオペレータHに表示されるように、電子表示装置60に送られる(工程S6)。仮想表示Vは、人間のオペレータHの視点から見て、人間のオペレータHに面する仮想表示Vの側面が、現在人間のオペレータHに面しているタイヤ製造ドラムDの側面に対応するように表示される。
【0067】
仮想表示Vが人間のオペレータHに表示されている間、制御ユニット7はさらに、タイヤ製造ドラムDと仮想表示Vのうちの一方の角度向きを監視するように配置、構成および/またはプログラムされる(工程S7)。制御ユニット7は、角度向きが変化したか否かを継続的に監視する(工程S8)。向きの変化が検出されない場合、「N」ループがアクティブになる。
【0068】
向きの変化が検出されると、制御ユニット7は、矢印「Y」で示すように、次の工程に進む。この次の工程において、制御ユニット7は、タイヤ製造ドラムDおよび表Lの仮想表示Vの一方の新しい角度位置P1、P2にリンクされた角度位置P1、P2を取得するように配置、構成および/またはプログラムされる(工程S9)。
【0069】
最後の工程(工程S10)において、制御ユニット7は、仮想表示Vおよびタイヤ製造ドラムDの他方の向きの変化に応答して、仮想表示Vおよびタイヤ製造ドラムDの一方をリンクされた角度位置P1、P2に向きを変えるように配置され、プログラムされおよび/または構成される。仮想表示Vとタイヤ製造ドラムDは、同じ方向および/または同じ速度で回転される。その結果、人間のオペレータHは、仮想表示Vの動きを現実世界におけるタイヤ製造ドラムDの動きに関連付けることができ、その逆も同様である。より詳細には、工程S7、S8、S9およびS10は、仮想表示Vとタイヤ製造ドラムDの動きが同時または同期しているように見えるほど迅速に実行される。
【0070】
この例では、タイヤ製造ドラムDの回転は、手動制御装置3を介して人間のオペレータHによって制御され、仮想表示Vは、タイヤ製造ドラムDの角度向きの変化に受動的に追従するように構成されている。更新された仮想表示Vは、視覚的ユーザインターフェース60に送信され、これを介して表示される。代替的に、人間のオペレータHは、例えば、視覚的ユーザインターフェース6の制御を介して、仮想表示Vの角度向きを変更することができ、この場合、タイヤ製造ドラムDは、仮想表示Vの角度向きの変化に受動的に追従するように制御されてもよい。
【0071】
あるいは、制御ユニット7は、仮想表示Vおよび/またはタイヤ製造ドラムDの向きを、1つ以上の異常Xを示すように自動的に制御するように配置、プログラムおよび/または構成されている。このようにして、仮想表示Vおよび/またはタイヤ製造ドラムDを、特定された異常Xを検査するのに最適な向きにすることができる。1つ以上の異常Xがある場合、向きが段階的に変えられることで、各段階の間に検査時間を設けたり、次の段階に進む前にユーザの確認を待ったりすることもできる。
【0072】
本方法の前述の工程の間、1つ以上のプロジェクタ5は、図1および図2に示すように、1つ以上の現実世界の基準R1を、現実世界の基準位置においてタイヤ製造ドラムDおよび/または1つ以上のタイヤ構成部品Tに投影するように制御される。制御ユニット7はさらに、1つ以上の基準R1によって示される現実世界の基準位置に対応する仮想基準位置において、1つ以上の仮想基準R2を仮想表示Vに追加するように配置され、プログラムされ、および/または構成されている。この例では、1つ以上の現実世界の基準R1は、1つ以上のタイヤ構成部品Tの反対側の同じ角度位置でタイヤ製造ドラムD上に投影される2つの三角形のポインタによって形成される。仮想基準R2は、現実世界の基準R1と同様の形状を有し、したがって、前記現実世界の基準R1に容易に関連付けることができる。
【0073】
1つ以上の現実世界の基準R1は、仮想表示Vにおいて1つ以上の仮想基準R2によって示される線または領域に対応するタイヤ製造ドラムD上の線または領域を示し、逆もまた同様である。特に、1つ以上の現実世界の基準R1と1つ以上の仮想基準R2の角度位置P1、P2は、図3の表Kでリンクされている。
【0074】
仮想表示Vとタイヤ製造ドラムDとの角度位置P1、P2間の関係を理解する上で人間のオペレータHをさらに支援するために、制御ユニット7は、図1および図2に示すように、方位ビューCを視覚的ユーザインターフェース6に追加するようにさらに配置、プログラムおよび/または構成されてもよい。方位ビューCは、仮想表示Vおよび/またはタイヤ製造ドラムDのうち、人間のオペレータHに現在向けられている角度位置P1、P2を示すコンパスとして機能してもよい。方位ビューCは、当該現在の角度位置P1、P2における前述の仮想基準R2をさらに示してもよい。
【0075】
図4は、本発明の第2の例示的な実施形態による代替的なシステム101を示しており、仮想表示Vが、複合現実または拡張現実ARの一部として、タイヤ製造ドラムDの現実世界の位置に仮想表示Vを表示することができる複合現実装置または拡張現実装置160を介して、人間のオペレータHに示される点で、前述のシステム1とは異なっている。この特定の実施例では、拡張現実装置160は、拡張現実眼鏡161を備えるウェアラブル装置であり、この眼鏡を通して、人間のオペレータHは、任意の視野角で現実世界のタイヤ製造ドラムDを観察することができる。拡張現実装置160は、好ましくは無線接続Wを介して、制御ユニット7に電子的、機能的および/または操作的に接続され、制御ユニット7および/または拡張現実装置160によって、タイヤ製造ドラムDに対する人間のオペレータHの現在の視角に合わせて常に更新される仮想表示Vを受信する。仮想表示Vは、拡張現実眼鏡161を介して、タイヤ製造ドラムDに重なる視覚的ユーザインターフェース106の一部として、人間のオペレータHに示される。
【0076】
図5は、本発明の第3の例示的な実施形態によるさらなる代替的なシステム201を示し、この代替的なシステム201は、複合現実装置または拡張現実装置260が、スクリーン261と、任意の視角からタイヤ製造ドラムDを撮影するためのカメラ262とを備えた、例えばタブレットまたはスマートフォンなどの携帯型装置である点で、図4の代替的なシステム101とは異なる。カメラ262によって撮影されたタイヤ製造ドラムDは、スクリーン261上の視覚的ユーザインターフェース206を介してリアルタイムで表示される。前述の拡張現実装置160と同様に、図5の拡張現実装置260は、制御ユニット7に接続され、制御ユニット7および/または拡張現実装置260によって、タイヤ製造ドラムDに対するカメラ262の現在の視野角に合わせて常に更新される仮想表示Vを受信する。仮想表示Vは、スクリーン261上の視覚的ユーザインターフェース206に追加される。
【0077】
図6は、図1のタイヤ製造ドラムD上の1つ以上のタイヤ構成部品Tの異常Xを識別するための代替的な視覚的ユーザインターフェース306を示す。代替的な視覚的ユーザインターフェース306は、3次元ビューV0および5つの2次元ビューV1~V5を含む複数のビューを有する点で、前述の視覚的ユーザインターフェース6、106、206とは異なる。
【0078】
各ビューV0~V5は、前述の方法で得られたスキャンに基づいて、1つ以上のタイヤ構成部品Tの仮想表示Vを示している。3次元ビューV0では、適切なポインタ、インジケータまたはマーカーZ1、Z2を使用して、異常Xが識別される。マーカーZ1、Z2は、一般的に関心のある領域を示すこともあれば、異常Xの輪郭を特に強調したりトレースしたり、あるいは異常Xの位置を正確にピンポイントで示すこともある。この例では、異常XはスプライスSの一部で検出され、当該部分には、例えば異常Xの原因である関連する輪郭のトレースなどの第1のマーキングZ1が施される。別の異常は、第2のマーカーZ2で強調表示されるように、ビードのうちの1つの横方向の位置で検出される。図6では、第1のマーキングZ1がスプライスSの太い線部分として示されていることに注意されたい。あるいは、第1のマーキングZ1は、スプライスSと同じ線の太さを有しながら、異なる色を有していてもよい。
【0079】
5つの2次元ビューV1~V5は、スプライスSの第1の輪郭G1をより詳細に示す第1の2次元ビューV1を含む。特に、第1の2次元ビューV1は、スプライスSの幅に沿って撮影され、タイヤ製造ドラムDの軸に垂直な方向におけるスプライスSの高さプロファイルを示している。第1の輪郭G1から、スプライスSの形状、高さおよび/または幅を導出することができる。
【0080】
第1の2次元ビューV1では、3次元ビューV0と同じ第1のマーカーZ1が設けられ、3次元ビューV0におけるマーカーZの位置に対応する位置の異常Xを強調する。さらに、第1の2次元ビューV1は、仮想表示Vに追加され、重ね合わされ、またはオーバーレイされる、破線で示される1つ以上の仮想境界R1~R5を含む。より具体的には、この例では、スプライスSはいくつかのエリアに分割され、それぞれは異なる仮想境界R1~R5によって反映されるように、独自の許容範囲を持つ。これらの領域は、別個の領域として示されてもよいし、単一の領域に組み合わされてもよい。
【0081】
他の2次元ビューV2~V5は、垂直軸上の値0、+180および-180によって反映されるように、タイヤ製造ドラムDを中心とする周方向にとられた1つ以上のタイヤ構成部品Tの円柱投影図である。その結果、他の2次元ビューV2~V5は、1つ以上のタイヤ構成部品Tの異なるタイヤ関連の特徴、例えば、ライナ、ボディプライ、ブレーカプライ、ビード、サイドウォール、プレアセンブリ、チェーファー、キャップストリップまたはトレッドのさらなる輪郭G2~G5を示すことができる。具体的には、これらの輪郭G2~G5は、サイドエッジ、スプライス、ジョイントなどの横方向の位置決めおよび/または位置合わせを決定するために使用することができる。他の2次元ビューV2~V5には、図示のように輪郭G2~G5に関連する1つ以上の許容範囲を代表する更なる仮想境界R6~R9が設けられている。さらなる仮想境界R6~R9の外側の限界は破線で示されている。
【0082】
仮想境界R1~R5のうちの第1の仮想境界R1について、以下でさらに詳細に説明する。しかしながら、他の仮想境界R2~R5についても同様に準用されることが理解されよう。
【0083】
図6に示すように、第1の仮想境界R1は、第1の許容範囲の下限と上限をそれぞれ代表する、第1の境界線E1と、第1の境界線E1に平行でこれから間隔をあけて延びる第2の境界線E2を含む。この例では、第1の仮想境界R1は、境界ボックスEを形成するために、第1の境界線E1および第2の境界線E2に垂直に延びる第3の境界線E3および第4の境界線E4をさらに備える。境界ボックスEは、長方形、正方形または箱型の領域を画定する。好ましくは、箱型の領域は、当該箱型の領域をそれぞれのビューV1の残りの部分から視覚的に区別するために、パターン、例えばハッチパターン、または透明な塗りつぶしで提供される。
【0084】
第3の境界線E3および第2の境界線E4は、箱型の領域を閉じるためにのみ使用することができる。しかしながら、追加の境界線E3、E4はまた、1つ以上の許容範囲の第2の許容範囲の下限および上限をそれぞれ代表するものであってもよい。例えば、第1の境界線E1および第2の境界線E2は、第1の方向、例えば高さ方向における第1の許容範囲を規定することができ、一方、第3の境界線E3および第4の境界線E4は、第1の方向に垂直な第2の方向、例えば幅方向における第2の許容範囲を代表することができる。
【0085】
仮想境界R1~R9は必ずしも閉じている必要はないことが理解されよう。また、必ずしも直線や矩形である必要もない。場合によっては、角度、曲率、または別のパラメータに許容範囲が適用され、本発明の範囲内にある別の種類の視覚化が必要とされることもある。
【0086】
なお、第1のマーキングZ1は、スキャンに基づいて、1つ以上のタイヤ構成部品Tが第1の仮想境界R1によって表される第1の許容範囲から外れている第1の2次元ビューV1に設けられる。特に、前述の制御ユニット7は、スプライスSの検出された輪郭G1のどの部分が許容範囲から外れているのかを決定または計算するために使用される。この情報は、輪郭G1のどの部分に第1のマーキングZ1をマークするかを決定するために使用される。
【0087】
第1のマーキングZ1および第1の仮想境界R1の両方によって提供される情報に基づいて、人間のオペレータは、第1の仮想境界R1に対する公差超過の重大度と同様に、マーキングの理由をより正確に評価することができる。
【0088】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を説明するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解されたい。上記の議論から、本発明の範囲にさらに包含される多くの変形が当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0089】
1 システム
2 駆動装置
3 手動制御装置
4 スキャナ
5 プロジェクタ
6 視覚的ユーザインターフェース
60 電子表示装置
7 制御ユニット
8 エンコーダ
101 代替的なシステム
106 視覚的ユーザインターフェース
160 拡張現実装置
161 眼鏡
201 更なる代替的なシステム
206 視覚的ユーザインターフェース
260 拡張現実装置
261 スクリーン
262 カメラ
306 視覚的ユーザインターフェース
A1 ドラム軸
A2 仮想軸
AR 拡張現実
B 視野角
C 方位ビュー
D タイヤ製造ドラム
E1 第1の境界線
E2 第2の境界線
G1 第1の輪郭
G2 第2の輪郭
G3 第3の輪郭
G4 第4の輪郭
G5 第5の輪郭
I スキャン
K オフセット
L 表
M 仮想モデル
P1 現実世界の角度位置
P2 仮想角度位置
R1 第1の現実世界の基準
R2 第2の現実世界の基準
R3 第3の現実世界の基準
R4 第4の現実世界の基準
R5 第5の現実世界の基準
R6 第6の現実世界の基準
R7 第7の現実世界の基準
R8 第8の現実世界の基準
R9 第9の現実世界の基準
S スプライス
T タイヤのプライ
V 仮想表示
V0 3次元ビュー
V1 第1の2次元ビュー
V2 第2の2次元ビュー
V3 第3の2次元ビュー
W 無線接続
X 異常
Z1 第1のマーキング
Z2 第2のマーキング


図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出する方法であって、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方について、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変更する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記スキャンに基づいて前記仮想表示を作成する工程は、前記向きを変更する工程の前に完了する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スキャンを取得する工程は、前記向きを変更する工程の前に完了する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想表示は3次元である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記仮想表示は前記ドラム軸を表す仮想軸を中心に広がっている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記向きを変更する工程は、前記仮想表示および前記タイヤ製造ドラムの一方を、前記仮想軸および前記ドラム軸をそれぞれ中心とする前記仮想表示および前記タイヤ製造ドラムの他方の角度位置の変化に応答して、前記仮想軸および前記ドラム軸をそれぞれ中心として回転させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、
前記仮想軸を中心とする前記仮想表示の複数の仮想角度位置を、前記ドラム軸を中心とする前記タイヤ製造ドラムの現実世界における複数の角度位置にリンクする工程と、
前記仮想角度位置と前記現実世界における角度位置とがリンクされた対に、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムを回転させる工程と、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムは、同じ方向または同じ速度で回転する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記方法はさらに、
前記1つ以上のタイヤ構成部品の現実世界の基準位置を示すために、検査基準を使用する工程と、
前記検査基準により示される現実世界の基準位置に対応する仮想基準位置において前記仮想表示に仮想基準を追加する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検査基準は投影である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記現実世界の基準位置は固定されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記方法はさらに、
前記スキャンを分析して、前記スキャン内の1つ以上の異常を認識する工程と、
前記仮想表示内に前記1つ以上の異常を表示する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの向きの前記他方の向きの変更は、人間のオペレータによって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の異常を示すように、前記仮想表示とタイヤ製造ドラムの前記他方の向きの変更は、自動的に制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記仮想表示は、電子表示装置上で人間のオペレータに表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記仮想表示は、拡張現実または複合現実の一部として、前記タイヤ製造ドラムの現実世界の位置で人間のオペレータに表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記方法はさらに、
前記ドラム軸に対する人間のオペレータの視野角を示すパラメータを考慮して前記仮想表示を補正する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記パラメータは前記人間のオペレータによって入力される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パラメータは、アイレベル、人間の身長および視野角を含むグループのうちの1つである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記スキャンは、前記タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の高さプロファイル情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記タイヤ製造ドラムの仮想モデルが仮想表示に追加される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記スキャンは、1つ以上のスキャナに対して前記ドラム軸を中心に前記タイヤ製造ドラムを回転させることによって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記タイヤ製造ドラムは、前記スキャンを取得する間に全周にわたって回転される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するためのシステムであって、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品をスキャンするための1つ以上のスキャナと、視覚的ユーザインターフェースと、前記1つ以上のスキャナおよび前記視覚的ユーザインターフェースに動作可能に接続された制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、
前記ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成し、前記視覚的ユーザインターフェースを介して人間のオペレータに前記仮想表示を表示する工程と、
前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの一方の向きを、前記仮想表示と前記タイヤ製造ドラムの他方の向きの変化に応じて向きを変える工程と、
を行うように設定されているシステム。
【請求項25】
前記システムが電子表示装置をさらに備え、前記視覚的ユーザインターフェースは、前記電子表示装置に表示されるように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが拡張現実装置をさらに備え、前記視覚的ユーザインターフェースは、前記拡張現実装置を介して、拡張現実または複合現実の一部として、前記タイヤ製造ドラムの現実世界の位置に前記仮想表示を表示するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
プロセッサによって実行されると、請求項24に記載のシステムに、請求項1に記載の方法の工程を実行させる命令を保持する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
タイヤ製造ドラム上の1つ以上のタイヤ構成部品の異常を検出するための方法であって、
ドラム軸を中心とした前記タイヤ製造ドラムの複数の角度位置において、前記タイヤ製造ドラム上の前記1つ以上のタイヤ構成部品のスキャンを取得する工程と、
前記スキャンに基づいて前記1つ以上のタイヤ構成部品の仮想表示を作成する工程と、
前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の許容範囲を代表する1つ以上の仮想境界を前記仮想表示に重ねる工程と、
前記スキャンに基づいて、1つ以上の前記タイヤ構成部品が1つ以上の許容範囲のうちの第1の許容範囲から外れている場合に、前記仮想表示にマーキングを提供する工程と、
を含む方法。
【請求項29】
前記1つ以上の仮想境界は、第1の境界線と、前記第1の境界線に平行かつ間隔を隔てた第2の境界線とを含み、それぞれ前記第1の許容範囲の下限と上限を代表する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の仮想境界は、前記第1の境界線および前記第2の境界線に垂直に延びる第3の境界線および第4の境界線を含み、境界ボックスを形成する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第3の境界線および前記第2の境界線は、それぞれ、前記1つ以上の許容範囲の第2の許容範囲の下限および上限を代表する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ以上の仮想境界は箱型の領域を画定し、前記箱型の領域にはパターンまたは透明な塗りつぶしが設けられている、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の許容範囲は、前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の輪郭に適用され、前記マーキングは、前記1つ以上のタイヤ構成部品の1つ以上の輪郭が前記1つ以上の許容範囲から外れている箇所を強調表示する、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記マーキングは、前記1つ以上のタイヤ構成部品の前記輪郭の一部をトレースしたものである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記仮想表示は2次元ビューからなり、前記1つ以上の仮想境界は、前記2次元ビューの前記仮想表示上にオーバーレイされる、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記仮想表示は、2次元ビューに関連する3次元ビューを含み、1つ以上の前記仮想境界、前記マーキング、またはその両方が、前記3次元ビューおよび前記2次元ビューにおいて同時に提供される、請求項35に記載の方法。
【国際調査報告】