(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】電気接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/193 20060101AFI20240301BHJP
F16B 7/14 20060101ALI20240301BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20240301BHJP
H02G 15/08 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H01R13/193
F16B7/14 F
H02G1/14
H02G15/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551169
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2022053766
(87)【国際公開番号】W WO2022179897
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104244.5
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514122166
【氏名又は名称】シャルトバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】弁理士法人MM&A
(72)【発明者】
【氏名】シャームバッハ、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハルテンバッハ、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ハプフェルド、フロリアン
【テーマコード(参考)】
3J039
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
3J039AA06
3J039BB04
3J039DA01
3J039DA04
5G355AA03
5G355BA11
5G355CA02
5G375AA02
5G375BA26
5G375CA19
5G375CB05
5G375DB16
(57)【要約】
本発明は、メス型接触子及びオス型接触子本体を有する電気接続装置に関する。オス型接触子本体は、挿入方向に沿ってメス型接触子に挿入可能である。オス型接触子本体は、オス型接触子本体を貫通するキャビティを有する。キャビティは、オス型接触子本体の内面により区画される。加えて、電気接続装置は、キャビティに挿入された拡開部材を備え、拡開部材は、ロック方向における長手方向軸に沿って先細りする断面を有する。拡開部材がロック方向に沿って解放位置から締付位置に移動することで、オス型接触子本体が拡開し、これにより、メス型接触子とオス型接触子本体との間に接触圧が発生する。製造に際し、キャビティがオス型接触子本体全体を貫通することで、オス型接触子本体に2つの開口部を形成する。本発明によれば、オス型接触子本体の内面は第1ラッチ部を有し、拡開部材の外面は第2ラッチ部を有する。拡開部材が締付位置に固定されているとき、第1ラッチ部が第2ラッチ部とラッチすることで、締付位置において拡開部材が固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メス型接触子及びオス型接触子本体を有する電気接続装置であって、
前記オス型接触子本体は、挿入方向に沿って前記メス型接触子に挿入可能であり、
前記オス型接触子本体は、前記オス型接触子本体を貫通するキャビティを有し、
前記キャビティは、前記オス型接触子本体の内面により区画され、
さらに、前記電気接続装置は、前記キャビティに挿入された拡開部材を備え、前記拡開部材は、ロック方向における長手方向軸に沿って先細りする断面を有し、
前記拡開部材が前記ロック方向に沿って解放位置から締付位置に移動することで、前記オス型接触子本体が拡開し、これにより、前記メス型接触子と前記オス型接触子本体との間に接触圧が発生する
ことを前提とし、
前記電気接続装置は、少なくとも複数の領域において前記オス型接触子本体を取り囲む筐体を有する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続装置において、
前記筐体が前記オス型接触子本体との組立体を構成する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気接続装置において、
前記筐体は、前記メス型接触子が前記オス型接触子本体と筐体部品との間に挿入可能に構成され、
好ましくは、前記筐体部品は、前記オス型接触子本体が拡開している間、前記メス型接触子を外側から安定させる
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
追加筐体が前記メス型接触子との組立体を構成し、
前記オス型接触子本体との前記組立体をなす前記筐体が、前記追加筐体と前記メス型接触子との間に挿入されるように前記追加筐体が構成される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記オス型接触子本体の内側は、第1ラッチ部を有し、
前記拡開部材の外側は、第2ラッチ部を有し、
前記拡開部材が前記締付位置に到達しているとき、前記第1ラッチ部が前記第2ラッチ部とラッチすることで、前記締付位置において前記拡開部材が固定される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気接続装置において、
前記キャビティが前記ロック方向に向かって先細りとなることで、前記拡開部材が前記締付位置にあるとき、前記オス型接触子本体が拡開して、前記オス型接触子本体の前記内側と前記拡開部材の外面との間で平面状接触部が形成される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電気接続装置において、
前記ロック方向とは反対方向に向かって前記拡開部材に力を付与することにより、前記第1ラッチ部と前記第2ラッチ部との間のラッチが、破壊を伴わずに解除されることを可能にする曲面部を前記第1ラッチ部及び/又は前記第2ラッチ部が有する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記オス型接触子本体は、前記ロック方向とは反対側の軸方向端部にスロットを有し、
前記拡開部材による小さな力の作用下において、前記オス型接触子本体は、前記スロットの存在する領域で拡開可能である
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記キャビティの断面領域及び前記拡開部材の断面領域のそれぞれは、円状の形状、好ましくは円状領域を有する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記拡開部材は、前記拡開部材の外側における周方向突起として前記第2ラッチ部を有し、前記オス型接触子本体は、前記オス型接触子本体の内側における周方向溝として前記第2ラッチ部を有し、
前記周方向突起及び前記周方向溝は、互いに係合する形状である
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気接続装置において、
前記拡開部材に対して前記ロック方向に作用する力又は前記ロック方向とは反対方向に作用する力の作用下において、前記周方向溝の表面から離れて前記周方向突起の表面をスライドさせることにより、前記拡開部材が、破壊を伴わずに前記締付位置に対して進退可能であるように前記周方向突起及び前記周方向溝が構成される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項12】
請求項5~11のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記電気接続装置は、前記拡開部材を移動させる移動機構を備え、
前記拡開部材が前記締付位置にあるとき、前記移動機構がロック可能である
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電気接続装置において、
前記移動機構は、前記オス型接触子本体に対して旋回軸を中心に回転可能に設けられたレバーを有し、
前記レバーの第1脚部は、前記ロック方向において前記オス型接触子本体の前記キャビティの外に延在する前記拡開部材の領域に取り付けられ、
開位置と閉位置との間の前記レバーの移動により、前記拡開部材が前記解放位置と前記締付位置との間を移動する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気接続装置において、
前記レバーは、前記筐体に設けられる
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の電気接続装置において、
前記レバーが前記閉位置に到達すると直ぐに、前記レバーの解放可能な固定部が、前記レバーを前記閉位置にロックする
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電気接続装置において、
前記レバーの前記固定部は、フックの形態であるスナップ部材としてデザインされ、
前記レバーが前記開位置から前記閉位置に移動するとき、前記フックは、前記旋回軸を基準に前記レバーの前記第1脚部の反対側にある前記レバーの第2脚部に引っ掛かる
ことを特徴とする電気接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前提部における電気接続装置に関する。より具体的には、電気接続装置は、複数のバスバーを互いに接続することに用いられる。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気接続装置は、メス型接触子とオス型接触子本体を有し、オス型接触子本体が、挿入方向に沿ってメス型接触子に挿入可能に構成される。オス型接触子本体は、オス型接触子本体を貫通するキャビティを有する。キャビティは、オス型接触子本体の内面によって区画される。また、電気接続装置は、キャビティに挿入された拡開部材を備える。拡開部材は、ロック方向の長手方向軸に沿って先細りの(テーパがある)断面を有する。拡開部材が解放位置から締付位置までロック方向に沿って移動することで、オス型接触子本体が拡開され、それによってメス型接触子とオス型接触子本体との間に接触圧を発生させることが可能となる。この場合、キャビティはオス型接触子本体全体を貫通するため、オス型接触子本体に2つの開口部が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
独立請求項1における電気接続装置は、EP2141719A1により知られている。この電気接続装置は、2つの位置の間を移動可能な断路器である。オス型接触子本体とメス型接触子との間の接触圧の維持は、オス型接触子本体、メス型接触子及び拡開部材の間の摩擦接続によって行われる。このような構成では、電気接続装置の振動のようなある種の外乱の影響下では、接触圧及びその結果としての接触部が確保されない。
【0004】
本発明の目的は、接触圧及びその結果としての接触部をより確保可能に改良された一般的なタイプの電気接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、独立請求項1の特徴部により解決される。従って、独立請求項1の前提部における電気接続装置において、本発明による課題解決手段では、オス型接触子本体の内側が第1ラッチ部を有し、拡開部材の外側が第2ラッチ部を有する。拡開部材が締付位置に到達しているとき、第1ラッチ部が第2ラッチ部とラッチすることで、締付位置における拡開部材の固定が生じることとなる。
【0006】
本発明による解決手段は、ヒューズの製造が簡単且つ安価であるという利点をもたらす。また、本発明に係る電気接続装置では、拡開部材の締付位置及びその結果としての接触圧が第1ラッチ部と第2ラッチ部のラッチによって予め決定されるため、発生する接触圧をデザインによって固定することができる。加えて、使用者が拡開部材を動かすことによってオス型接触子本体を十分に拡開しないことで接触圧が小さくなり過ぎたり、使用者が拡開部材をオス型接触子本体の中に入れ過ぎてオス型接触子本体及び/又はメス型接触子を損傷したりする危険性がなくなる。
【0007】
本発明に係る好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明の好ましい実施形態において、ロック方向に先細り(テーパ)するキャビティが設けられる。キャビティのテーパは、拡開部材が締付位置にあるときに、オス型接触子本体の内面と拡開部材の外面との間の平面状接触部が得られるようにオス型接触子本体が広がるようにされている。平面状接触部により摩擦接続が改善され、第1ラッチ部と第2ラッチ部のラッチに加え、この摩擦接続により接触子本体が締付位置に保持される。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態において、第1ラッチ部及び/又は第2ラッチ部は曲面部を有する。曲面部は、ロック方向とは反対方向に向かって拡開部材に力を付与することにより、第1ラッチ部と第2ラッチ部との間のラッチが、破壊を伴わずに解除可能となるようにするものである。従って、接続部を再利用し、接続部のそれぞれの側に取り付けられた部品を交換することができる。
【0010】
さらに、オス型接触子本体は、ロック方向とは反対側の軸方向端部にスロットを有することが好ましい。これにより、拡開部材による比較的小さな力の作用下において、この領域でオス型接触子本体を広げることができる。これにより、所望の接触圧を発生させるために必要なオス型接触子本体の拡開を生じさせるのに必要な力が軽減される。加えて、これにより、オス型接触子本体の変形を弾性領域内に収めることができるため、再利用性が向上する。
【0011】
挿入方向とロック方向が平行であり且つ反対向きであると特に有利である。これにより、電気接続装置を簡素且つコンパクトにデザインすることができる。
【0012】
また、オス型接触子本体がメス型接触子に挿入されたときに互いに同軸に整列するようにメス型接触子とオス型接触子本体が形成されていると特に有利である。さらに、拡開部材も、オス型接触子本体と同軸に整列するように形成されることが好ましい。こうすることで、簡素な構造と力の均一な分散を実現することができる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、キャビティの断面領域及び拡開部材の断面領域のそれぞれは、円状の形状、好ましくは円状領域を有する。これにより、一方では、キャビティに対する拡開部材の位置合わせが簡単になり、他方では、メス型接触子とオス型接触子本体との間の接触圧の分布がより良好になる。加えて、摩擦接続を生じさせる拡開部材とオス型接触子本体の内側との接触領域が最大化される。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によれば、オス型接触子本体の外側の接触面は、複数の接触部形成凸部(contact-forming elevations)を有する。接触部形成凸部は、曲面部(webs)として形成されることが好ましい。この曲面部は、オス型接触子本体の外側に沿ってロック方向に延びることが好ましい。接触部形成凸部は、オス型接触子本体とメス型接触子との間に複数の接点を生じさせる。これにより、接触抵抗が低減される。加えて、接触部形成凸部は、オス型接触子本体とメス型接触子との間の摩擦抵抗を増加させる。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態において、拡開部材は、その外側に周方向突起としての第2ラッチ部を有する。また、オス型接触子本体は、その内側に周方向溝としての第2ラッチ部を有する。突起と溝とが互いに対して形状的に係合する形で形成される。これにより、第1ラッチ部と第2ラッチ部の確実なラッチが可能になると共に、各構成部品の構造が簡素になる。また、周方向におけるラッチにより、締付位置における各方向からの振動又は衝撃に対する拡開部材の安全性が高まる。
【0016】
拡開部材に対してロック方向に作用する力又はその逆方向に作用する力の作用下において、周方向溝の表面から離れて周方向突起の表面をスライドさせることによって、破壊を伴わずに拡開部材が締付位置に対して進退可能であるように周方向突起と周方向溝が構成されることが好ましい。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態において、オス型接触子本体の外側は第3ラッチ部を含み、メス型接触子の内側が第4ラッチ部を含む。拡開部材が締付位置に達したときに第3ラッチ部が第4ラッチ部と係合することにより、オス型接触子本体とメス型接触子との間の接触部の固定が生じる。この追加的な固定によって、オス型接触子本体とメス型接触子の接触部が、振動に対してさらに確保される。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態において、電気接続装置は、拡開部材を移動させる移動機構を備える。移動機構は、拡開部材が締付位置にあるときにロック可能である。これにより、締付位置で拡開部材を追加的に固定することができ、それにより接触圧が固定される。
【0019】
移動機構は、オス型接触子本体に対して旋回軸を中心に回転可能に取り付けられたレバーを備えることが好ましい。レバーの第1脚部は、ロック方向においてオス型接触子本体のキャビティの外に延在する拡開部材の領域に取り付けられる。この際の取付位置は、開位置と閉位置との間のレバーの移動が、解放位置と締付位置との間の拡開部材の移動を引き起こすものである。移動機構のこの実施形態は、製造の点で安価に実施できる。
【0020】
さらに、レバーの解除可能な固定部は、レバーが閉位置に達すると直ぐにレバーを閉位置にロックすることが好ましい。このようなレバーの解除可能な固定部は、安全で、費用効果が高く、簡単な形態で様々な方法により製造の点で実施することができる。
【0021】
レバーの固定部は、フックの形態であるスナップ部材としてデザインされることが好ましい。これにより、レバーが開位置から閉位置に移動されるとき、フックは、旋回軸を基準にレバーの第1脚部の反対側にあるレバーの第2脚部に引っ掛かる。これにより、レバーを閉位置に固定することが確保される。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態において、電気接続装置は筐体を有する。筐体は、少なくともいくつかの領域においてオス型接触子本体を取り囲むことが好ましい。この点で、筐体は様々な有利な役割を果たすことができる。例えば、筐体は、電気接続部から遠ざけられるべき汚れに対する保護として機能することができる。加えて、筐体は、電気接続装置の構成部品用のサスペンションとして機能し、電気絶縁効果を発揮することができる。
【0023】
筐体は、オス型接触子本体との組立体を構成することが好ましい。従って、筐体はオス型接触子本体と予め組み立てておくことが可能である。
【0024】
さらに好ましい実施形態によれば、筐体は、メス型接触子がオス型接触子本体と筐体部品との間に挿入可能であるように構成される。好ましくは、筐体部品はスリーブとしてデザインされ、さらに好ましくは、オス型接触子本体と同軸に整列される。オス型接触子本体がメス型接触子に挿入されると、メス型接触子の外側が筐体部品の内側に接触することが好ましい。これにより、オス型接触子本体とメス型接触子との位置合わせが簡単になり、オス型接触子本体とメス型接触子との接触面が汚れからさらに保護される。筐体部品は、オス型接触子本体を外側から広げる際に筐体部品がメス型接触子を安定させるように構成されることが好ましい。これにより、メス型接触子の塑性変形が抑制され、筐体部品がメス型接触子を支持するため、例えば、メス型接触子の再利用性が向上する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、レバーは、筐体に取り付けられる。これにより、電気接続装置のコンパクトなデザインが可能になる。スナップ部材は筐体の一部として形成されることが好ましい。これにより、さらにコンパクトな構造が可能になる。
【0026】
別の好ましい実施形態によれば、追加筐体が、メス型接触子との組立体を構成する。追加筐体は、オス型接触子本体との組立体をなす筐体が追加筐体とメス型接触子との間に挿入可能であるように構成される。追加筐体は、好ましくはメス型接触子と同軸に位置合わせされたスリーブとして形成されることが好ましい。オス型接触子本体がメス型接触子に挿入されたとき、筐体の外側が追加筐体の内側に接触することが好ましい。これにより、オス型接触子本体とメス型接触子との間の位置合わせがさらに単純化され、効果的な絶縁と、汚れに対する非常に効果的な保護とが得られる。加えて、オス型接触子本体とメス型接触子の接触面は、人手による接近からしっかりと保護されるため、電気接続装置を使用する際の安全性を向上することができる。
【0027】
別の好ましい実施形態によれば、メス型接触子は、接続部材の第1面に着座される。第1面に対するメス型接触子の軸は、70°と90°との間の角度を含む。接続部材は、第1面上に配置されたセクションを含む。当該セクションの法線ベクトルと第1面の法線ベクトルとの間の交差角は、70°と90°との間である。セクションは、絶縁材料の層で囲まれている。これにより、電気接続装置の省スペース化と、安全な製造とが可能になる。これにより、絶縁層を有するセクションは、オス型接触子本体とメス型接触子との間の接続中に発生する可能性のある火花から、別の部品を保護する。
【0028】
追加筐体は、接続部材の部分の周りの層と同じ絶縁材料で一体的に形成されることが好ましい。さらに好ましくは、接続部材の第1面も絶縁材料で囲まれ、追加筐体は、接続部材の第1面の周囲で絶縁材料と一体的に形成される。さらに好ましくは、追加筐体は、第1面の周囲及び接続部材の部分の周囲における絶縁材料と一体的に形成される。これにより、追加筐体を特に簡単に製造することができ、必要な製造工程の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】メス型接触子無しで前記実施形態を示す断面図である。
【
図3】筐体無しで前記実施形態を示す断面図である。
【
図4】オス型接触子本体、レバー、拡開部材並びに第1及び第2筐体部品を含む前記実施形態の組立体の分解図である。
【
図5】
図5a、
図5b、
図5cは、メス型接触子とオス型接触子本体の接続部を閉じる様々な処理ステップにおいて、メス型接触子周囲の追加筐体を含む前記実施形態の斜視図である。
【
図6】前記追加筐体を含む前記実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0031】
以下の説明において、同一の構成要素には同一の参照符号を付す。図が、当該図に関連して詳細な説明がなされない参照符号を含んでいる場合、それより前又は後の図で説明される。
【0032】
図1~
図4は、本発明の一実施形態の例を示す。ここで、
図1は、電気接続装置1の実施形態の例を斜め上から見た斜視図を示す。
図2は、メス型接触子3無しの電気接続装置1の断面図を示す。また、
図3は、筐体5及びレバー6を省略した電気接続装置1の断面図を示す。最後に、
図4は、オス型接触子本体2、レバー6、拡開部材4及び筐体5を含む組立体の分解図を示す。筐体5は、第1筐体部品11及び第2筐体部品12を有する。
【0033】
電気接続装置1の実施形態の例は、オス型接触子本体2及びメス型接触子3を含む。オス型接触子本体2及びメス型接触子3の間には、電気接続装置による電気的接触部が、特定の接触圧と共に生成される。この目的のため、オス型接触子本体2は、挿入方向15に向かってメス型接触子3内に案内される。そのため、メス型接触子3は、スリーブとしてデザインされる。円錐状のキャビティがオス型接触子本体2の中を延在し、オス型接触子本体2を貫通する。他の実施形態の例において、キャビティは、例えば、円筒状、立方体状、又は三角錐状とすることができる。このキャビティ内には、同様に円錐状の拡開部材4があり、拡開部材4は、ロック方向14への移動により、解放位置から締付位置まで移動させることができる。また、他の実施形態において、拡開部材4も、円錐状以外の形状としてもよい。しかしながら、拡開部材4は、ロック方向14に向かって先細りとなる(テーパした)断面形状でなければならない。ロック方向14に向かって解放位置から締付位置への拡開要素4の移動により、オス型接触子本体2の領域が拡大し、オス型接触子本体2とメス型接触子3との間に接触圧が発生する。この場合、オス型接触子本体2はその外面に複数の隆起部19を有し、隆起部19は、オス型接触子本体2とメス型接触子3との間の接触抵抗を低下させる。
図1~
図4では、拡開部材4が締付位置にあり、オス型接触子本体2がメス型接触子3に挿入された状態でそれぞれ示されていることに留意されたい。従って、様々な構成要素の移動方向を表す矢印は、そのような移動の一般的な方向を表しているに過ぎない。
【0034】
従って、拡開部材4の移動により拡開されるオス型接触子本体2の領域において、オス型接触子本体2には複数のスリット18が形成されるので、より柔軟なフィンガー(把持部)13が形成され、拡開部は弾性変形する。オス型接触子本体2のこの領域には、円錐状のキャビティを取り囲むオス型接触子本体2の内側で円周方向に形成された円周溝9の形態の第1ラッチ部9も設けられている。拡開部材の外側には第2ラッチ部10が存在し、この第2ラッチ部10は、ビード10の形態の突起として形成されており、ビード10の形状は、円周溝9との形状的な係合を可能にする。拡開部材が締付位置に案内されると直ぐにビード10が円周溝9と係合するため、第1ラッチ部9と第2ラッチ部10は、拡開部材を締付位置で固定することになる。これにより、拡開部材4の締付位置、及びその結果としてのオス型接触子本体2とメス型接触子3との間の接触圧を固定することができる。また、これにより、接触圧の仕様を設定することが可能になる。なぜならば、第1ラッチ部9に対する第2ラッチ部10のラッチにより、拡開部材4が所望の最終位置に達したことを使用者に知らせるためである。一方、ビード10の形状と円周溝9の形状との組合せにより、第1ラッチ部9に対する第2ラッチ部10の非破壊ラッチが可能になる。なぜならば、2つの曲面部が互いにスライドできるためである。さらに、ロック方向14とは反対方向に向かって拡開部材4に十分な力が作用すると、第1ラッチ部9に対する第2ラッチ部10の係合は破壊を伴わずに解除することも可能になる。
【0035】
ロック方向14に向かう及びロック方向14とは反対に向かう拡開部材4の移動は、拡開部材4の移動機構の一部としてのレバー6を介して行われる。レバー6は、サスペンション7を介してオス型接触子本体2に対して回転可能に支持されている。レバー6の第1脚部は、オス型接触子本体2からロック方向14に突出する拡開部材4の部分に形成された拡開部材4の凹部16に係合する。レバー6は、開位置と閉位置との間で移動可能であり、拡開部材4を解放位置と締付位置との間で移動させる。この点に関し、レバーには開口部がある。レバー6が閉位置に達すると、オス型接触子本体2に取り付けられたフック8は、開口部を介して所定の位置にスナップされる(はめ込まれる)。これにより、レバー6が閉位置にロックされ、拡開部材4が締付位置から離れることができなくなる。これにより、拡開部材4が締付位置にさらに固定され、従って、オス型接触子本体2とメス型接触子3との間の接触圧がさらに固定される。そのため、フック8は、レバー6を閉位置から開位置に移動させる際に、レバー6との係合を手動で解除できるように形成される。
【0036】
図示の実施形態において、筐体5がオス型接触子本体2をある領域で取り囲むことで、筐体5は、オス型接触子本体2、レバー6及び拡開部材4との組立体を構成する。この場合において、筐体5は、第1筐体部品11及び第2筐体部品12を有する。
【0037】
第1筐体部品11は、サスペンション7及びフック8を形成する。加えて、第1筐体部品11は、オス型接触子本体2からロック方向14に延びる拡開部材4の領域を囲うキャップ17を形成する。キャップ17は、レバー6が拡開部材の凹部16に係合できるように、レバー6の方向に開口部を有する。従って、キャップ17は、防塵の役割を果たすと共に、ロック方向14とは反対方向に向かう拡開部材4への力の影響(レバー6の動きによって生じるのではない)に対する保護の役割を果たす。
【0038】
第2筐体部品12は、メス型接触子3に案内される領域において一定の距離をおいてオス型接触子本体2を囲む。そのため、第2筐体部品は主にスリーブとして形成される。この距離は、メス型接触子本体が第2筐体部品12とオス型接触子本体2との間に挿入できるように選択される。これにより、メス型接触子3へのオス型接触子本体2の配置が容易になり、2つの接触子の効果的な防塵が実現する。第2筐体部品12は、オス型接触子本体2の拡開中に、締付位置への拡開部材4の移動によってメス型接触子が外側から安定するようにデザインされており、従って、メス型接触子3の変形が打ち消される。
【0039】
筐体5が2つの部品(部分)で構成されているため、筐体5の組立てが簡素化されると共に、筐体5、レバー6及び拡開部材の組立て全体も簡素化される。加えて、2つの筐体部品11、12の特性をそれぞれの使用目的にさらに適合させるために、2つの筐体部品11、12を異なる材料で作ることもできる。
【0040】
図5a、
図5b及び
図5cは、電気接続装置の実施形態を組み立てる方法を示しており、ここでは、メス型接触子3は、階段状接続部材20に取り付けられている。これにより、メス型接触子3は、階段状接続部材20の下面に着座され、これと一体的に製造することもできる。階段状接続部材20は、下面の領域とその上に配置されたセクションにおいて絶縁材料21によって囲まれている。絶縁材料からメス型接触子3の周囲に追加筐体22が形成されている。
【0041】
ここで、追加筐体22とメス型接触子3との間には、オス型接触子本体2をメス型接触子3に挿入する際に、オス型接触子本体2との組立体をなす筐体5を挿入することができる空間がある。ここで、追加筐体22、筐体5、メス型接触子3及び拡開部材4は、互いに同軸に位置決めされている。オス型接触子本体2をメス型接触子内で拡張するために、レバー6は、
図5bの開位置から、
図5cの閉位置に移動する。これにより、ロック方向14に向かって拡開部材4をオス型接触子本体2内に移動させ、オス型接触子本体2を拡開させることができる。
図5cにおいて、フック8がレバー6にスナップし(嵌め込まれ)、レバー6を閉位置に固定している様子がわかる。メス型接触子3に対するオス型接触子本体2の配置と、レバー6を閉位置に移動させることによる接触部の閉動作は、このデザインにより非常に簡単で、わずかな作業ステップしか必要とせず、ロボットにより容易に自動化することができる。
【0042】
図6は、
図5cの配置における電気接続装置1の断面図である。筐体5及び追加筐体22におけるオス型接触子本体2及びメス型接触子3の配置のため、オス型接触子本体2とメス型接触子3との間の電気的接続部は非常に良好に絶縁され、汚れからも良好に保護される。
【符号の説明】
【0043】
1 電気接続装置
2 オス型接触子本体
3 メス型接触子
4 拡開部材
5 筐体
6 レバー
7 サスペンション
8 フック
9 第1ラッチ部/溝
10 第2ラッチ部/ビード
11 第1筐体部品
12 第2筐体部品
13 フィンガー
14 ロック方向
15 挿入方向
16 凹部
17 キャップ
18 スロット
19 ブリッジ
20 階段状接続部材
21 絶縁材料
22 追加筐体
【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メス型接触子及びオス型接触子本体を有する電気接続装置であって、
前記オス型接触子本体は、挿入方向に沿って前記メス型接触子に挿入可能であり、
前記オス型接触子本体は、前記オス型接触子本体を貫通するキャビティを有し、
前記キャビティは、前記オス型接触子本体の内面により区画され、
さらに、前記電気接続装置は、前記キャビティに挿入された拡開部材を備え、前記拡開部材は、ロック方向における長手方向軸に沿って先細りする断面を有し、
前記拡開部材が前記ロック方向に沿って解放位置から締付位置に移動することで、前記オス型接触子本体が拡開し、これにより、前記メス型接触子と前記オス型接触子本体との間に接触圧が発生
し、
前記電気接続装置は、少なくとも複数の領域において前記オス型接触子本体を取り囲む筐体を有
し、
前記筐体が前記オス型接触子本体との組立体を構成する
ことを前提とし、
追加筐体が前記メス型接触子との組立体を構成し、
前記オス型接触子本体との前記組立体をなす前記筐体が、前記追加筐体と前記メス型接触子との間に挿入されるように前記追加筐体が構成される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の電気接続装置において、
前記筐体は、前記メス型接触子が前記オス型接触子本体と筐体部品との間に挿入可能に構成され、
前記筐体部品は、前記オス型接触子本体が拡開している間、前記メス型接触子を外側から安定させる
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の電気接続装置において、
前記オス型接触子本体の内側は、第1ラッチ部を有し、
前記拡開部材の外側は、第2ラッチ部を有し、
前記拡開部材が前記締付位置に到達しているとき、前記第1ラッチ部が前記第2ラッチ部とラッチすることで、前記締付位置において前記拡開部材が固定される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の電気接続装置において、
前記キャビティが前記ロック方向に向かって先細りとなることで、前記拡開部材が前記締付位置にあるとき、前記オス型接触子本体が拡開して、前記オス型接触子本体の前記内側と前記拡開部材の外面との間で平面状接触部が形成される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項5】
請求項
3又は4に記載の電気接続装置において、
前記ロック方向とは反対方向に向かって前記拡開部材に力を付与することにより、前記第1ラッチ部と前記第2ラッチ部との間のラッチが、破壊を伴わずに解除されることを可能にする曲面部を前記第1ラッチ部及び/又は前記第2ラッチ部が有する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項6】
請求項
3~5のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記オス型接触子本体は、前記ロック方向とは反対側の軸方向端部にスロットを有し、
前記拡開部材による
力の作用下において、前記オス型接触子本体は、前記スロットの存在する領域で拡開可能である
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項7】
請求項
3~6のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記キャビティの断面領域及び前記拡開部材の断面領域のそれぞれは、円状の形
状を有する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項8】
請求項
3~7のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記拡開部材は、前記拡開部材の外側における周方向突起として前記第2ラッチ部を有し、前記オス型接触子本体は、前記オス型接触子本体の内側における周方向溝として前記
第1ラッチ部を有し、
前記周方向突起及び前記周方向溝は、互いに係合する形状である
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の電気接続装置において、
前記拡開部材に対して前記ロック方向に作用する力又は前記ロック方向とは反対方向に作用する力の作用下において、前記周方向溝の表面から離れて前記周方向突起の表面をスライドさせることにより、前記拡開部材が、破壊を伴わずに前記締付位置に対して進退可能であるように前記周方向突起及び前記周方向溝が構成される
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項10】
請求項
3~9のいずれか1項に記載の電気接続装置において、
前記電気接続装置は、前記拡開部材を移動させる移動機構を備え、
前記拡開部材が前記締付位置にあるとき、前記移動機構がロック可能である
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の電気接続装置において、
前記移動機構は、前記オス型接触子本体に対して旋回軸を中心に回転可能に設けられたレバーを有し、
前記レバーの第1脚部は、前記ロック方向において前記オス型接触子本体の前記キャビティの外に延在する前記拡開部材の領域に取り付けられ、
開位置と閉位置との間の前記レバーの移動により、前記拡開部材が前記解放位置と前記締付位置との間を移動する
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の電気接続装置において、
前記レバーは、前記筐体に設けられる
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項13】
請求項
11又は12に記載の電気接続装置において、
前記レバーが前記閉位置に到達すると直ぐに、前記レバーの解放可能な固定部が、前記レバーを前記閉位置にロックする
ことを特徴とする電気接続装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の電気接続装置において、
前記レバーの前記固定部は、フックの形態であるスナップ部材としてデザインされ、
前記レバーが前記開位置から前記閉位置に移動するとき、前記フックは、前記旋回軸を基準に前記レバーの前記第1脚部の反対側にある前記レバーの第2脚部に引っ掛かる
ことを特徴とする電気接続装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態において、拡開部材は、その外側に周方向突起としての第2ラッチ部を有する。また、オス型接触子本体は、その内側に周方向溝としての第1ラッチ部を有する。突起と溝とが互いに対して形状的に係合する形で形成される。これにより、第1ラッチ部と第2ラッチ部の確実なラッチが可能になると共に、各構成部品の構造が簡素になる。また、周方向におけるラッチにより、締付位置における各方向からの振動又は衝撃に対する拡開部材の安全性が高まる。
【国際調査報告】