(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】患者の身体深度情報を取得する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240301BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61B6/03 550F
A61B6/03 573
A61B6/03 560D
A61B5/055 390
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551698
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022054469
(87)【国際公開番号】W WO2022184514
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】フレルキング レナ クリスティナ
(72)【発明者】
【氏名】セネガス ジュリアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】バイストロフ ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA15
4C093EA07
4C093ED01
4C093EE30
4C093FA44
4C093FC30
4C093FF11
4C093FF28
4C093FF37
4C093FF50
4C096AA18
4C096AB36
4C096AD14
4C096AD18
4C096AD19
4C096DC28
4C096DC35
4C096EB01
4C096FC20
(57)【要約】
患者支持部上に横たわっている患者の深度情報を取得する方法が提供される。患者支持部の上面の患者支持部深度マップは患者支持部上の患者の画像及び患者深度マップと同様に、患者なしで得られる。患者のランドマーク体位は、関心領域内の点が識別されるランドマーク体位を使用して、テンプレートの点にマッピングされ得るように、画像から抽出される。テンプレート、それぞれの点に対する深度値、及びそれぞれの点に対する患者支持部深度値を使用して、前記点に対して体厚が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者支持部上に横たわっている患者のための身体深度情報を取得する方法であって、
深度カメラを使用して前記患者を伴わない前記患者支持部の上面の患者支持部深度マップを取得するステップと、
オーバーヘッドカメラを使用して前記患者支持部上に横たわってい患者の画像を取得するステップと、
前記画像からの前記患者のランドマーク体位を識別するステップと、
前記深度カメラを使用して前記患者支持部上の患者の上面の患者深度マップを取得するステップと、
前記識別されるランドマーク体位を使用して、関心領域内の点をテンプレートの点にマッピングするステップと、
前記テンプレート、前記各々の点の患者深度値、及び各々の点についての患者支持部深度値を使用して、前記点の体厚を決定するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記テンプレートは統計モデルを含み、前記モデルは、患者支持部上の患者の履歴測定値に基づいて深度パラメータから厚さ値へのマッピングを可能にする前記点の各々についての関数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テンプレートの点に点をマッピングするステップは、前記テンプレートのランドマーク体位を前記識別されるランドマーク体位にフィッティングすることによって、前記深度マップをワーピングするステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記点についての体厚を決定するステップは、前記テンプレートによって定義される統計モデルを使用するステップを有し、前記モデルは、深度パラメータから厚さ値にマッピングする前記点の各々のための関数を有する、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記統計的モデルは、(i)特定の点における前記患者深度値と前記患者支持部深度値との間の深度差と、(ii)その点における前記患者体厚との間のマッピングを実行する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
垂直中心位置は、前記体厚の解剖学的構造特定比によって低減される前記患者深度値として、前記点の各々について決定される、請求項2又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記患者深度マップ及び前記患者支持部深度マップから導出される画像、例えば、サジタル画像及び軸交差画像を表示するステップであって、各々は、前記身体の上面及び下面、並びに随意に一つ又はそれより多くの推定垂直中心位置を表す、ステップを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記点についての前記体厚から全体的な垂直身体中心位置を決定するステップを有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記全体的な垂直身体中心位置を決定するステップは、前記点のすべてについての平均身体中心位置、又は前記点のすべてについての加重平均身体中心位置を取得するステップを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記全体的な垂直身体中心位置を決定するステップは、
平行スライスのセットの各々についてスライス中心位置を決定するステップと、
前記全スライスについての平均スライス中心位置として前記全体の垂直身体中心位置を取得するステップと
を有する、請求項8に記載の方法、
【請求項11】
各スライスは前記患者の体軸に垂直であり、前記平均スライス中心位置は、前記体軸方向における複数のスライスについて取られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記点についての体厚を使用して、前記患者の関心領域の体積を取得するステップをさらに有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
プログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法を実行するように適合されるコンピュータプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項14】
患者支持部と、
前記患者支持部上に横たわっている患者をスキャンするためのスキャナと、
深度マップ及びランドマークが識別され得るイメージングシステムから画像データを受信するための入力部と、
請求項13に記載のコンピュータプログラムを実行するように適合されるコントローラと
を有する、スキャンシステム。
【請求項15】
前記コントローラは前記患者支持部の所望の位置を導出し、前記所望の位置を採用するように前記患者支持部の位置を制御するようにさらに適合される、請求項13に記載のスキャンシステム。
【請求項16】
前記患者深度マップ、前記患者支持部深度マップ、及び一つ又はそれより多くの推定垂直中心位置を表す画像を表示するためのディスプレイをさらに備える、請求項13に記載のスキャンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は患者の身体深度情報を取得する方法及び装置に関し、特に医用画像中に使用する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像において、スキャンされる領域の正確な高さ及び厚さに関する知識は、必須の要因である。
【0003】
特に、CT又はPETスキャンにおいて、スキャン領域は、スキャナの中心に位置決めされなければならない。これは、放射線量が適切なスポットに集中することを確実にするために重要である。
【0004】
CTスキャナのボウタイフィルタは、外側領域と比較して中心においてより高い放射線量をもたらす。関心領域が正確に中心にない場合、より大きな線量が周囲の器官に当たる。したがって、関心領域自体はより低い線量を受け、これは画質の低下につながる。関心領域をスキャナの中心に配置するためには、その垂直中心を識別する必要がある。
【0005】
CTスキャナなど、患者支持部の高さが調整され得るスキャンモダリティの場合、この調整は、関心領域及びスキャナの垂直中心が等化されることを可能にする。
【0006】
同様に、MR画像では、適切なスキャン計画のために関心領域の高さを知ることが重要である。この場合、患者支持部高さを変更することはできないが、スキャンプロトコルは磁場が磁気アイソセンタに対して規定される中心ずれを有する所望の解剖学的領域をスキャンするように適合されるように適合され得る。
【0007】
通常の診断用X線アプリケーションでは、身体の厚さの測定も、曝露パラメータ、したがって患者が受ける全体的なX線量を最適化するための重要なパラメータである。
【0008】
したがって、身体の厚さ及び/又は身体の厚さの中心の位置は、様々な異なるタイプの医療用スキャナにとって重要である。
【0009】
スキャン領域の垂直中心は、通常、視覚的外観に基づいて医療技術アシスタント(MTA)によって手動で決定される。さらなる入力がなければ、MTAは中心の位置を単に推測することができ、これは、当然、あまり正確ではない。わずか20mm以上のオフセットは放射線量に重大な影響を及ぼし、また、画質の低下をもたらすことが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、医用スキャンプロシージャのために最適な条件を設定することを可能にするために、身体の厚さ及び/又は垂直中心位置の正確な決定が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、請求項によって規定される。
【0012】
本発明の一態様による例によれば、患者支持部上に横たわっている患者のための身体深度情報を取得する方法であって、
【0013】
深度カメラを使用して患者を伴わない患者支持部の上面の患者支持部深度マップを得ること、
【0014】
オーバーヘッドカメラを使用して患者支持部上に横たわっている患者の画像を得ること、
【0015】
画像からの患者のランドマーク体位を識別すること、
【0016】
深度カメラを使用して患者支持部上の患者の上面の患者深度マップを取得すること、
【0017】
識別されるランドマーク体位を使用して、テンプレートの点に関心領域内の点をマッピングすること、及び
【0018】
テンプレート、それぞれの点の患者深度値、及びそれぞれの点の患者支持部深度値を使用して、前記点の体厚を決定すること
を有する方法が提供される。
【0019】
この方法は、患者の上面の深度マップを得る(患者が腹臥位、仰臥位、又は臥位である場合に応じて、前方、背面、又は側面であり得る)。この患者深度マップはテンプレートを使用して、特に、キャプチャされる深度情報の点を、同じ身体位置に対応するテンプレートの点にマッピングすることによって処理される。患者の身体位置は、オーバーヘッドカメラ(深度カメラと同じカメラであってもよい)を使用して識別される、患者の識別されるランドマーク体位を使用してテンプレートに照合される。ランドマークを識別するための画像は、同じカメラが使用されるか、又は較正ステップがあるかの何れかの理由で、深度マップカメラにレジストレーションされる。
【0020】
マッピングは患者深度マップ及び患者支持部深度マップの両方をテンプレートにマッピングすること、又は導出される深度値(たとえば、患者深度マップと患者支持部深度マップとの間の深度差)をテンプレートにマッピングすることを伴い得る。いずれの場合も、深度情報が得られる位置情報は、その深度情報の身体位置がテンプレートの身体位置と一致するようにテンプレートにマッピングされる。
【0021】
したがって、テンプレートは、患者深度情報の各点を既知の身体位置にリンクする。
【0022】
次いで、テンプレート、ならびに患者支持部深度及び患者の上面の深度の知識を使用して、各点(又は関心点のセット)における体厚を決定することができる。点のセットは例えば、関心のあるスキャン範囲内にあり、例えば、MR又はCT検査である。
【0023】
特に、テンプレートは統計モデルを含むことができ、前記モデルは、患者支持部上の患者の履歴測定に基づいて深度パラメータから厚さ値へのマッピングを可能にする前記点の各々についての関数を含む。したがって、患者支持部上の患者の履歴測定値を使用する統計的モデリングに基づいて、各身体位置の表面深さを実際の体厚に変換することができ、それによって、特定の点における患者と患者支持部との間の測定されないギャップを考慮に入れる。このギャップは、患者の領域にわたって変化する。加えて、患者深度マップは、患者の身体の上に衣服、ブランケットなども含むので、これも統計的モデリングにおいて考慮に入れることができる。
【0024】
深度情報が得られる地点をテンプレートの地点にマッピングすることは、例えば、テンプレートのランドマーク体位を識別されるランドマーク体位にフィッティングすることによってマスクをワーピングすることを含む。
【0025】
前記点の体厚を決定することは例えば、統計モデルを使用することを含み、前記モデルは深度パラメータから厚さ値にマッピングする前記点の各々の関数を含む。
【0026】
したがって、各点における深度情報は、履歴患者データを使用して構築される統計モデルに基づいて、厚さ値に変換される。統計モデルでは、深度パラメータから厚さ値へのマッピングの関数が任意の特定の患者測定に関連する履歴患者データを使用して、訓練されるニューラルネットワークに基づくことができる。
【0027】
統計モデルは例えば、(i)特定の点における患者深度値と患者支持部深度値との間の深度差と、(ii)その点における患者体厚との間のマッピングを実行する。したがって、この深度差は上述の深度パラメータであり、患者支持部上の高度マップであると考えることができる。このようにして、占有されていない患者支持部からの測定される深さは、体の厚さ(すなわち、測定される深さから患者の下のギャップを減らし、衣類の厚さを減らす)に変換される。
【0028】
垂直中心位置は前記点の各々について、患者の厚さの特定の比によって低下される患者の表面の測定される深さとして、ターゲットの解剖学的構造に依存して、例えば、解剖学的構造が身体セクション全体であるときに半分に決定され得る。したがって、患者の厚さは、標的解剖学的構造の垂直中心の位置が導出されることを可能にする。これは、患者支持部とスキャナとの間に最も適切なアライメントを提供することを可能にし、さもなければ、スキャンパラメータを最も適切な値に設定することを可能にする。
【0029】
本方法は、患者深度マップ、患者支持部深度マップ、及び一つ又はそれより多くの推定垂直中心位置から導出される画像を表示することをさらに含むことができる。これは、スキャナ技術者が患者支持部に最も適した高さなどのスキャン条件を設定するために使用することができる。
【0030】
この方法は例えば、矢状画像及び軸交差画像を表示することを含み、各画像は、身体の上面及び下面、並びに随意に一つ又はそれより多くの推定される垂直中心位置を表す。
【0031】
本方法は、任意の領域の全体的な垂直身体中心位置を、前記点の体厚さから決定することを含むことができる。これは、患者支持部高さなどのスキャン条件を設定するために使用され得る。したがって、本方法は例えば、全体の垂直身体中心位置に基づいて患者支持部高さ設定を生成することを含むことができる。
【0032】
全体の垂直身体中心位置を決定することは、前記点のすべてについての平均身体中心位置、又は前記点のすべてについての加重平均身体中心位置を取得することを含み得る。
【0033】
代替的に、全体の垂直身体中心位置を決定することは、所与の領域内の一連の平行スライスの各々についてスライス中心位置を決定することと、考慮される全てのスライスについての平均スライス中心位置として全体の垂直身体中心位置を取得することとを含む。
【0034】
これは、例えば、CTスキャナに適している。
【0035】
各スライスは例えば、患者の体軸に対して垂直であり、平均スライス中心位置は、体軸方向の複数のスライスに対して取られる。
【0036】
本方法は決定される体厚から、特に全体の垂直身体中心位置から、患者支持部の所望の位置を導出することを含むことができる。これは、臨床医によって使用されてもよく、又は患者支持部位置の自動制御の一部であってもよい。
【0037】
本方法は、前記点の体厚を使用して、患者の関心領域の体積を取得することをさらに含むことができる。これは、X線線量を設定するため、又はCTスキャンのSARパラメータを設定するために使用され得る。
【0038】
本発明はまた、上記で定義される方法を実行するために、前記プログラムがコンピュータ上で実行されるときに適合されるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムを提供する。
【0039】
本発明はまた、
【0040】
患者支持部、
【0041】
患者支持部に横たわっている患者をスキャンするためのスキャナ、
【0042】
深度マップ及びランドマークが識別され得るイメージングシステムから画像データを受信するための入力部、及び
【0043】
上記で定義されるコンピュータプログラムを実行するように適合されるコントローラ
を有するスキャンシステムを提供する。
【0044】
コントローラはさらに、患者支持部の所望の位置を(例えば、決定される体厚から、特に垂直中心位置から)導き出し、患者支持部の位置を制御して所望の位置を採用するように適合され得る。
【0045】
これは、臨床医に情報を提示するための、カメラシステム、患者支持部(例えば、患者治療台)、及びディスプレイシステムの完全なシステム統合を可能にする。これにより、患者支持部を操作者に見えるように所望の高さにすることができる。
【0046】
スキャンシステムは、深度マップ、患者支持部、及び一つ又はそれより多くの推定垂直中心位置から導出される画像を表示するためのディスプレイをさらに備えることができる。
【0047】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0048】
本発明をより良く理解し、どのように実施することができるかをより明確に示すために、ここで、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明に従って修正される従来のMRIシステムを示す。
【
図2】本発明に従って修正される従来のCTスキャナシステムを示す。
【
図3】
図1及び
図2のシステムによって採用される方法を示す。
【
図4】頭部、肩及び股関節の位置が画像分析によって識別される2D画像を示す。
【
図5】標準化されるメッシュとの相関を可能にするように再フォーマットされる高度マップと、再フォーマットされる高度マップの厚さマップへの変換とを示す。
【
図6】上の画像において、再フォーマットされる高度マップ上の例示的なメッシュ点を示し、下の画像において、この例示的な点についての高度と厚さとの間の対応を示す。
【
図7】深度マップ、患者支持部、及び身体の垂直中心線の矢状画像を示す。
【
図8】
図7に示されるスライスの軸方向画像を示す。
【
図9】高度マップ(x軸)のみに基づく患者体積推定と、厚さマップ(y軸)に基づく体積との間の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0051】
詳細な説明及び特定の例は装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解される。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるのであろう。図は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解される。また、同じ又は同様の部分を示すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用されることは理解される。
【0052】
本発明は、患者支持部上に横たわっている患者の深度情報を取得する方法を提供する。患者支持部の上面の深度マップは患者支持部上の患者の腹臥位又は仰臥位の画像及び深度マップと同様に、患者なしで得られる。患者のランドマーク体位は、関心領域内の点が識別されるランドマーク体位を使用して、テンプレートの点にマッピングされ得るように、画像から抽出される。テンプレート、それぞれの点に対する深度値、及びそれぞれの点に対する患者支持部深度値を使用して、前記点に対して体厚が得られる。
【0053】
本発明は、CTスキャナ、MRIスキャナー、又はX線撮像システムなどの任意の撮像技術に適用することができる。
【0054】
例として、
図1は、本発明に従って修正される従来のMRIシステム10を示す。
【0055】
MRIシステム10は、高い静磁場を生成するために使用される超伝導磁石16のボア内の検査領域14における患者12のMRI検査に使用される。検査領域14内に患者12を配置するために、患者12は、超伝導磁石16のボア内で検査領域14の内外に駆動され得る患者支持部18上に配置される。
【0056】
MRIシステム10は、その最も基本的な構成要素と共にのみ示されている。この点において、MRIシステム10は、超伝導磁石16のボア内に勾配コイル20と、RF送信コイル22と、RF受信器コイル24とを備える。RF送信コイル22はRF送信器26から供給されるRFパルスを放出し、超伝導磁石16のボア内に高周波磁場を生成する。
【0057】
コンピューティングシステム30は、MRIシステムを制御するためのオペレータコンソールとして機能する。コンソールは、モニタなどの出力デバイスと、キーボード、マウスなどの入力デバイスとを有する。コンソール30上に常駐するソフトウェアは、オペレータがグラフィカルユーザインタフェース(GUI)又はその他を介してMRIシステム10と対話し、及び/又は操作することを可能にする。
【0058】
当業者にはよく知られているように、超伝導磁石16によって生成される磁場に対して直交偏光を有し、対象の核子のラーモア周波数に一致するRFパルスを送信することによって、核子のスピンを励起して位相にすることができ、超伝導磁石16の磁場の方向からのそれらの正味の磁化の撓みが得られ、正味の磁化の長手方向成分に対する横方向成分が生成される。
【0059】
RFパルスの終了後、正味磁化がその平衡状態に戻るまで、正味磁化の縦成分及び反転成分の緩和プロセスが始まる。歳差磁化によって生成される磁気共鳴シグナルは、RF受信器コイル24によって検出される。
【0060】
受信される磁気共鳴信号は時間ベースの振幅信号であり、それは、周波数ベースの磁気共鳴スペクトル信号にさらにフーリエ変換され、対象の核子の磁気共鳴画像を生成するためにさらに処理される。
【0061】
RF送信器26はRFパルスを生成し、これらのRFパルスをMRIシステム10のRF送信コイル22に転送するためのRF増幅器を備える。さらに、RF送信器26は典型的にはRF増幅器に結合され、電気エネルギーを蓄積し、RFパルスを生成するための電流をRF増幅器に供給するコンデンサバンクを備える。主電源は、コンデンサバンクに結合され、コンデンサバンクを電気エネルギーで充電するための充電電流を生成する。
【0062】
患者12は患者支持部18上に仰臥位で示されているが、患者は同様に、腹臥位又はうつ伏せであってもよい。
【0063】
上述の範囲において、MRIシステムは完全に従来的である。
【0064】
本発明による修正は、そこからランドマークを識別することができる画像を生成するために患者12の上方に設置されるイメージングシステム200と、患者深度マップとを含む。2D画像カメラ及び別個の深度カメラがあってもよく、又は複合イメージングシステムがあってもよい。
【0065】
図2は、本発明に従って修正される従来のCTスキャナシステム100を示す。
【0066】
システム100は、スペクトル(マルチエネルギー)撮像のために構成されるCTスキャナ102を含む。CTスキャナ102は、概して固定のガントリ104と、固定のガントリ104によって回転可能に支持され、z軸を中心に検査領域108の周りを回転する回転ガントリ106とを含む。治療台などの被検体支持部110は、検査領域108内の物体又は被検体を支持する。
【0067】
x線管などの放射線源112は回転ガントリ106によって回転可能に支持され、回転ガントリ106とともに回転し、検査領域108を横断する放射線を放出する。放射線源112はスキャン中に少なくとも2つの異なる放出電圧(例えば、80 kVp及び140 kVp)を切り替えるように構成される単一の広域スペクトルx線管又は単一のx線管を含むことができる。異なる平均スペクトルを有する放射線を放出するように構成される2つ以上のx線管があってもよい。
【0068】
放射線感受性検出器アレイ114は、検査領域108を横切って放射線源112の反対側の角度弧の範囲を定める。放射線感受性検出器アレイ114は検査領域108を横断する放射線を検出し、それを示す電気信号(複数可)(投影データ)を生成する。放射線源112が単一の広域スペクトルx線管を含む場合、放射線感受性検出器アレイ112はエネルギー分解検出器(例えば、直接変換光子計数検出器、異なるスペクトル感度(マルチ)を有するシンチレータの少なくとも2つのセットなど)を含む。kVpスイッチング及びマルチチューブ構成では、検出器アレイ114が単層検出器、直接変換光子計数検出器、及び/又は多層検出器を含むことができる。直接変換光子計数検出器は、CdTe、CdZnTe、Si、Ge、GaAs、又は他の直接変換材料などの変換材料を含むことができる。
【0069】
再構成器116は検出器アレイ114からスペクトル投影データを受け取り、sCCTA画像データ、高エネルギー画像、低エネルギー画像、光電画像、コンプトン散乱画像、ヨウ素画像、カルシウム画像、仮想非コントラスト画像、骨画像、軟組織画像、及び/又は他の基礎材料画像などのスペクトル体積画像データを再構成する。再構成器116は例えば、スペクトル投影データ及び/又はスペクトル体積画像データを組み合わせることによって、非スペクトル体積画像データを再構成することもできる。一般に、スペクトル投影データ及び/又はスペクトル体積画像データは、少なくとも2つの異なるエネルギー及び/又はエネルギー範囲のデータを含む。
【0070】
図1のMRIシステムに関して、コンピューティングシステム118は、オペレータコンソールとして機能する。コンソール118は、モニタ等の出力装置と、キーボード、マウス等の入力装置とを有する。コンソール118上に常駐するソフトウェアは、オペレータがグラフィカルユーザインタフェース(GUI)又はその他を介してスキャナ102と対話し、及び/又はそれを操作することを可能にする。コンソール118は、少なくとも生物物理学的シミュレータ126のための命令124を含むコンピュータ可読記憶媒体122を含むプロセッサ120をさらに含む。
【0071】
生物物理学的シミュレータ126は、少なくとも、再構成器116及び/又は他のイメージングシステムによって生成されるスペクトル体積画像データを処理して、生物物理学的シミュレーションを実行するように構成される。
【0072】
上述の範囲において、CTスキャナシステムは完全に従来的である。
【0073】
本発明による修正は、ここでもまた、ランドマークを識別することができる画像を生成するために患者支持部110の上方に設置されるイメージングシステム200と、患者深度マップとを含む。また、2D画像カメラ及び別個の深度カメラがあってもよく、又は、組み合わせられた撮像システムがあってもよい。
【0074】
ここで、本発明の修正をより詳細に説明し、以下の説明は、本発明の実施に任意のスキャンモダリティに等しく適用される。
【0075】
深度カメラ及び2D撮像カメラの視野(それらが別個のハードウェア構成要素である場合)は、互いに位置合わせ又は較正され、その結果、撮像カメラの視野と深度カメラとの間の対応が知られる。ほとんどの3Dカメラでは、深度センサ及び2D(色)センサが対応するレンズ及び光学中心が互いに対してわずかにシフト及び傾斜されるように、物理的に分離される。しかしながら、システムを較正し、各センサに取り付けられた座標系間の回転及び並進行列を計算することが可能である。この変換行列に基づいて、深度画像はレジストレーションされる深度画像及びカラー画像が同じサイズ、解像度、及び基準座標系を有するように、2D画像にレジストレーションされ得る。
【0076】
さらに、カメラ較正情報を使用して、検出されるランドマークならびにすべての深度画像ピクセルが、カメラ座標からワールド座標にマッピングされ得る。ワールド座標系は、あらかじめ定義される位置に取り付けられ、スキャナ座標系と完全に位置合わせされる仮想センサに対して定義される。スキャナ座標系では、軸も患者支持部と位置合わせされる。
【0077】
深度カメラによって収集される深度マップは、患者支持部(MRテーブル18又はCT治療台110)の上方のあらゆる位置における患者の全表面高度に関する情報を与える。深度マップは2D画像からなり、ピクセル強度は、カメラの光学中心と物体との間の光軸に沿った距離をコードする。
【0078】
空の患者支持部の深度マップ(「患者支持部深度マップ」)を取得することによって、患者をテーブル上に配置する前に取得され、患者深度マップから患者支持部深度マップを減算することによって、患者、衣類、装置、及び潜在的にブランケットを含むテーブルの上の高さを表す「高度マップ」が作成される。
【0079】
患者の正確な厚さは知られておらず、患者支持部上に横たわっている被検体の側面が空の患者支持部の外面に正確に適合しないため、この高度とは異なる。さらに、ソフトマットレス又はクッションが使用されるとき、それらは横たわっている被検体によって圧縮される可能性が高く、これは計算される高度と真の患者の厚さとの間の差の別の理由である。
【0080】
それぞれの場合において、コントローラ202は真の患者深度を得るために、以下に詳細に説明される方法で2Dカメラ画像及び深度カメラ画像を処理する。ディスプレイ204は以下にも説明されるように、患者の垂直深さに関する情報を表示するために提供される。このディスプレイは、オペレータコンソール30又は118の既存のディスプレイであってもよく、又は追加のディスプレイであってもよい。
【0081】
コントローラ202はまた、システムコントローラ(すなわち、コンソール30又は118)への直接接続を有し、患者の深さ情報、例えば、決定される垂直中心(後述するように)をオペレータに提供する。これは、オペレータに、システムを手動で調整し、また、それぞれのパラメータ、例えば、CTスキャンのためのテーブル高度を自動的に設定する可能性を与える。
【0082】
真の患者の深さは、真の厚さを測定しようとするのではなく、基準厚さデータを使用して取得される。この基準データは、上述のような高度と患者支持部上に横たわる被検体の厚さとを関連付ける統計モデルを生成するために使用される。この統計モデルは、高度マップを処理するために使用されるテンプレートの一部を形成する。
【0083】
基準データは例えば、CT又はMRスキャナを用いて取得される、医学的検査の断層撮影スキャンを用いて取得されてもよい。したがって、医用イメージングスキャンを使用して、グラウンドトゥルースを生成することができる。この過去の患者データを用いて、被検体の身体輪郭をセグメント化することが可能であり、したがって、身体の異なる位置について厚さマップを計算することが可能である。これらの基準スキャンの対応する高度マップは同時に取得される深度データから、又は3D断層撮影データから深度マップをシミュレートすることによって、取得することができる。
【0084】
代替例では、深度パラメータから厚さ値へのマッピングの関数が特定の患者測定に関連する過去の患者データを使用して、訓練されるニューラルネットワークから導出される結果に基づくこともできる。
【0085】
図3は、
図1又は
図2のシステムによって使用される方法を示す。この方法は一般に、患者支持部18、110上に横たわっている(既知の身体方向を有する)患者の身体深度情報を取得するためのものである。
【0086】
ステップ300では、深度カメラを使用して、患者がいない患者支持部の上面の患者支持部深度マップが取得される。
【0087】
ステップ302では、オーバーヘッドカメラを使用して、患者支持部上に横たわっている患者の2人D画像が取得される。
【0088】
ステップ304において、患者のランドマーク体位が、適切な画像処理によって画像から抽出される。
【0089】
ステップ306において、深度カメラを使用して、患者の上面の患者深度マップが取得される。
【0090】
2D画像及び深度マップは2D画像内の識別される特徴の位置(すなわち、ランドマーク体位)が深度カメラの視野内で知られるように、ハードウェア又はソフトウェア較正の何れかによって互いにレジストレーションされる。画像は例えば、ノイズ低減のため、及び欠落した深度値の補間のために処理される。
【0091】
ランドマーク体位の目的は多数の患者の適切な身体位置が互いにリンクされることを可能にすることであり、特に、患者支持部の上方の測定される高度と患者の身体の実際の厚さとの間の相関の統計的分析を導出することができる。
【0092】
カラー画像は例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用してランドマーク体位を検出するために使用される。ランドマークは例えば、頭部、肩、肘、手首、股関節(大腿骨頭のほぼ位置)、膝及び足首の中心である。頭部ランドマークとは別に、CNNは、すべてのランドマークについて左右を区別する。そのようなランドマーク体位を識別するためのアルゴリズムが知られている。
【0093】
識別されるランドマーク位置をワールド座標系にマッピングした後、3Dランドマーク座標に基づいて3D境界ボックスを計算することができる。バウンディングボックスは例えば、上方向(天井に向かって)に200mm、下方向(床に向かって)に300mm拡大される。他のすべての方向(左、右、足、頭)では、3D境界ボックスは150mm拡大される。このバウンディングボックスは、その後の計算のための3D関心領域(ROI)を定義する。
【0094】
元の深度マップにおける雑音及び異常値に関するアルゴリズムのロバスト性を高めるために、フィルタリングステップが実行されて、異常値の深度値が拒絶される。未定義の値は、近傍の最も近い明確に定義される値を使用して埋めることができる。
【0095】
図4は、頭部、肩及び股関節の位置が画像分析によって識別される2D画像を示す。これらの身体位置は例えば、患者の腹部を撮像するのに適している。もちろん、より多くのランドマークが使用されてもよいし、異なるランドマークのセットが使用されてもよい。
【0096】
次いで、全ての格子点が患者の身体の特定の部分に対応するように、これらのランドマークに基づいて点の2Dメッシュを生成することができる。メッシュは、標準化されるメッシュ、すなわちテンプレートに再フォーマットされ、その結果、複数の高度マップの格子点を互いに相関させることができる。
【0097】
胴体領域のコーナーは、肩及び股関節によって画定される。これらのランドマークの間には、例えば80×40点の双線形グリッドが生成される。肩と腰との間の中間点はまた、頭部及び骨盤領域にメッシュを画定するために使用されてもよい。骨盤メッシュは、例えば40×40メッシュポイントのサイズを有する胴体メッシュの垂直な連続である。頭部領域は、40×40メッシュポイントのサイズを有することもできる。
【0098】
図3に戻ると、ステップ308において、上述の高度マップ(又は、患者深度マップ及び患者支持部深度マップ)がこの標準化されるテンプレートにマッピングされる。これは、識別されるランドマーク体位を使用して、深度マップの関心領域内の点をテンプレートの点にマッピングすることを伴う。したがって、測定される深度マップは、ランドマーク体位を整列させることによって、標準化されるメッシュに適合するようにワープされる。
【0099】
標準化されるテンプレートは、測定される高度値を各点のグラウンドトゥルース厚さに変換するために使用することができる関数を定義する。
【0100】
図5の上部は標準化されるメッシュとの相関を可能にするように再フォーマットされる高度マップを表し、
図5の下部は、再フォーマットされる高度マップの、各点における実際の患者の厚さを表す厚さマップへの変換を表す。この変換は、参照データから導出される統計モデルに基づく。
【0101】
したがって、メッシュの使用は識別されるランドマーク体位を使用して、深度マップ(特に、高度マップ)の点、又は高度マップの関心領域のみを、標準化されるメッシュであるテンプレートの点にマッピングすることを含む。したがって、高度マップは、識別されるランドマークをテンプレートに適合させるために効果的にワーピングされる。
【0102】
図3に示されるように、方法はステップ310において、テンプレート、及び高度マップ(それ自体は患者深度値及び患者支持部深度値に基づく)を使用して、前記点の体厚を決定することを含む。
【0103】
十分な数の履歴データセットを評価することによって、それらの履歴スキャンにおける測定される高度に基づいて、各格子点の厚さを予測する統計モデルを開発することが可能である。
【0104】
図6は、再フォーマットされる高度マップ上のメッシュポイントの例を上部画像に示している。
【0105】
下の画像は57の履歴データサンプルからの、この例示的な点についての高度(すなわち、空の患者支持部の上の高さ)と体厚との間の対応を示す。
【0106】
これは、測定される高度と身体の厚さとの間の明確な直線的な関係を示す。これは当然予想される。線形関係は傾きによって定義され、(例えば、y軸と)交差する。したがって、テンプレートの各メッシュポイントは、傾き及び交差値を割り当てられ得、次いで、それを使用して、測定される高度をそのポイントにおける真の体厚に変換することができる。
【0107】
統計モデルはまた、高度と厚さとの間の関係に影響を及ぼし得る、患者支持部上に横たわるマトラスのタイプ、又は患者が着用している衣服のタイプなどの追加の事前情報を考慮に入れることができる。したがって、異なる状態(マットレスタイプ、衣服バルクなど)に対する交差勾配値の複数の対が存在し得る。異なる典型的な身体形状を表すために、異なる患者タイプ(男性、女性、年齢範囲など)に対して異なる機能もあり得、これは、患者支持部上の患者の下にどのようにギャップが形成されるかに影響を及ぼす。
【0108】
図6に示す関数はメッシュポイントのうちの1つの関数であり、深度値(特に高度)から体厚値までマッピングする。傾斜及び交差は線形回帰、すなわち、最良適合の線を形成する。したがって、各点における深さは、過去の患者データに基づいて、厚さ値に変換される。
【0109】
サポートベクターマシンのような、より複雑な統計モデルを代替的に使用することができる。機械学習アルゴリズムが代わりに使用されてもよい。
【0110】
統計モデルによって得られる厚さマップは所与のスキャン範囲(例えば、頭部、腹部など)について全体的な垂直中心を計算することを可能にする。
【0111】
各単一点について、垂直中心は例えば、身体の表面の下の体厚の半分に、又は、標的解剖学的構造が体厚の指定される比率で身体内の中心に位置付けられない場合、位置付けられる。深度カメラに基づく高度マップは患者の身体の上の衣服、ブランケットなども含むので、これはテンプレートの各メッシュポイントに対する関数によって補償され、統計モデルを形成する。
【0112】
スキャン範囲全体の垂直中心は、所与の領域内のすべての高度及び厚さの値を考慮することによって得ることができる。この垂直中心値は患者支持部とスキャナとの間に最も適切なアライメントを提供することを可能にし、そうでなければ、他のスキャンパラメータを選択するために使用され得る。
【0113】
例えば、CT検査における最適な患者テーブル高度は、患者のアイソセンタ線(フットヘッド方向)をCTガントリのアイソセンタ線と位置合わせする高さである。
【0114】
全体的な垂直中心位置を定義するための様々な可能性がある。これは例えば、関心領域内の所与の格子点の全ての垂直中心の平均とみなすことができ、又は異なる重み付けされる格子点に基づいて取得することができる。重み付け平均の使用は、スキャンされる器官が典型的にはスキャン領域の中心に配置されるため、xy方向におけるスキャン領域の外側領域はより多くの中心点よりも小さく重み付けされることを意味する。
【0115】
例えば、メッシュの各軸方向スライスについてのCTスキャンへの適用の場合、このスライスの垂直中心は患者支持部の上の最高点及び最低点を計算し(又は以下に説明するように、最高点及び最低点を表すと決定される点を選択し)、次いで、それらの垂直中心を計算することによって取得され得る。
【0116】
例えば、(身体の幅を横切って延びる)各スライスについて、最低点のシーケンスが計算される。垂直中心の計算は、異なる身体領域に対して異なってもよい。例えば、頭部領域では、これらの値のうちの最低値が使用され得る。胴体及び骨盤領域では、最低値の10%の変位値が配列から除去され、残りの配列の最低値が保持され得る。これは、単一の外れ値深度値が最終的な垂直中心計算に影響を及ぼさないことを保証する。
【0117】
上位値のシーケンスから、同じ技法を使用して、最高点を計算することができる。したがって、代表的な最高点及び最低点が決定される。決定される代表的な最低深度及び最高深度に基づいて、その軸方向スライスの垂直中心(2つの代表値の間の半分)が得られる。
【0118】
予め設定されるスキャン範囲に沿った(典型的には、被検体の足頭方向に沿った、すなわち体軸に沿った)これらの垂直中心の平均が計算される。これは、例えば、患者支持部高さを設定するために使用され得る全体的な垂直身体中心位置を表す。患者支持部高さ設定は、この全体的な垂直身体中心位置に基づいて出力されてもよい。
【0119】
患者深度マップと(空の患者支持部の)患者支持部深度マップとを組み合わせることによって、各軸方向スライスの結果として生じる垂直中心を、矢状又は軸方向の概観画像に表示することができる。
【0120】
図7は、患者深度マップ700、患者支持部深度マップ702、及び身体の垂直中心線704の矢状画像を示す。
図8は、
図7に示される垂直スライスの軸方向画像を示す。
【0121】
したがって、画像は、患者深度マップ、患者支持部深度マップ、及び一つ又はそれより多くの推定垂直中心位置を表す。これは、スキャナ技術者が患者支持部に最も適した高さを設定するために使用することができる。上述のように、この情報は代わりに、MR画像に使用するための磁場強度を設定するために使用されてもよい。
【0122】
他の画像は、患者深度マップ、患者支持部深度マップ、及び一つ又はそれより多くの推定垂直中心位置から導出され得る。例えば、深度マップから、関連する身体表面の点群を計算することができ、次いで、この点群を使用して、身体上面及び下面の矢状ビュー又は軸方向ビューを生成することができる。
【0123】
上記では、撮像される領域の中心の垂直高度を知ることが重要であることを説明した。さらに、患者のおおよその体積及び体重を知ることが重要である。このパラメータは例えば、X線線量を調整するために、又は特定の吸収率を指定し、したがってMRデータ取得中のRFサイクルを最適化するために使用され、これは、より短いスキャン時間に変換することができる。
【0124】
投与される造影剤の量を決定することも有用な入力パラメータであり、これは、特定の特性を可視化するために必要である。患者の体液量が少ないほど、X線量及び造影剤の必要量は少なくなる。X線は特に癌のリスクを高めるので、必要でない場合には患者を高線量に曝すことを避けることが大きな問題である。
【0125】
患者の体液量を得るための標準的な方法は、患者の重みを求めることである。人体の密度は最小限にしか変化せず、これはそれが体積に強く相関することを意味する。ただし、いくつかの制限事項がある。そのうちの1つは、患者が必ずしも彼らの体重を伝えることができないことである。理由は、意識喪失又は単に正確な実際の体重に関する知識の欠如であり得る。患者が自分の体重を知っていると思っても、情報はあまり正確ではないかもしれない。
【0126】
これらの場合、臨床スタッフは視覚的外観に基づいておおよその体重を推定することができ、これは、少なくともわずかに不正確である可能性が最も高い。
【0127】
患者の正確な体重及び体積を得ることが可能であっても、これは、スキャンされている特定の身体部分の体積についての正確な情報を与えない。異なる身体部分の割合は異なる患者間で著しく変動し得、これは例えば腹部スキャンの場合、患者の全体積が同じであっても、スキャンされる体積が多様であり得ることを意味する。一部の患者は腹部の周囲にかなりの量の脂肪が集中しているが、他の患者は全身に分布している。したがって、患者の体重に関する情報を有することは、理想的な放射線又は造影剤の投与量を決定するのに十分ではない。
【0128】
上述のように深度カメラを使用して取得される深度マップはローカル又は全体的なボリューム情報を導出するためにも使用され得、次いで、CTスキャンにおける線量計画のために、及びMRスキャンSAR最適化のために使用され得る。
【0129】
図4に示されるように、厚さの計算は厚さマップを生成するために使用され得、厚さマップは次いで、垂直中心の計算のために使用される。この厚さマップはさらに、所与のスキャン領域内の身体の体積を決定するために使用され得る。これは、単に、所与のスキャン範囲内の厚さマップの画素(既知の表面積に対応する)の厚さ値を合計することによって達成され得る。
【0130】
上記で説明したように、マトラス又は衣服又は他のデバイス(例えば、頭部又は足支持部のような位置決めデバイス)に関する以前の情報は予測の精度を高めるために、厚さマップの計算に組み込むことができる。この事前情報は上記で説明したように、取り込まれた画像からではなく、システムパラメータ(例えば、どのコイルが現在使用されているか、又は現在のテーブル位置)からも得ることができる。典型的には、検査に使用することができる装置のリストが所与のシステムについて知られており、これらの装置の3Dモデルを作成し、記憶することができる。
【0131】
患者の体重が分かっている場合、これは、例えば障害物又はデバイスを除去するための第1の推定ステップにおける情報としても使用され得る、おおよその体積を与える。改良ステップでは、この情報を追加の入力層として使用することができる。
【0132】
図6と同様に、
図9は、高度マップ(x軸)のみに基づく患者体積推定と、厚さマップ(y軸)に基づく体積との間の関係を示す。
図9の例は、深度データからの腹部の体積と、異なる被検体の体積CTデータから推定される真の厚さとの比較に基づく。
【0133】
したがって、体積は上記の例のように高度マップの各点に関数を適用するのではなく、最初に高度マップから体積を決定し、次いで単一の関数を使用して身体体積に変換することによって推定され得る。
【0134】
体積推定方法は次いで、患者支持部上に横たわっている患者のための体体積情報を取得することを含み、方法は、
【0135】
深度カメラを使用して患者を伴わない患者支持部の上面の患者支持部深度マップを得ること、
【0136】
深度カメラを使用して患者支持部上の患者の上面の患者深度マップを取得すること、
【0137】
患者支持部深度マップ及び患者深度マップに基づいて関心領域の点のセットにおける厚さ値を決定すること、及び
【0138】
マッピング関数及び点のセットの厚さ値から関心領域の体積推定値を決定すること
を含む。
【0139】
方法は最初に、点のセットの厚さ値から関心領域の第1の体積推定値を決定し、次いで、(単一の)マッピング関数を使用して、第1の体積推定値から第2の体積推定値にマッピングすることを有することができる。
【0140】
このマッピング関数は
図8に示されるものであり、履歴スキャンデータから得られたグラウンドトゥルースデータから導出され得る。厚さ値のセットは、上述した高度マップである。
【0141】
より正確な体積推定値は例えば、X線線量を調整するために、又はSARを指定するために、したがって、MRデータ取得中のRFサイクルを最適化するために使用され得る。
【0142】
本方法はまた、2D画像分析を使用することができ、したがって、オーバーヘッドカメラを使用して患者支持部上の患者の画像を取得することと、画像から患者のランドマーク体位を識別することとを含む。
【0143】
これらのランドマーク体位は解剖学的情報が深度マップの異なる領域に関連付けられることを可能にし、例えば、空隙領域(深度カメラのビューから遮断される)が解剖学的知識を使用して満たされるようにする。
【0144】
体積計算は各点における体厚値を利用することができ、したがって、上述のように、各点についてローカルマッピング関数を使用することができる。
【0145】
その場合、方法は(単一のグローバル体積マッピング関数の代わりに)、
【0146】
識別されるランドマーク体位を使用して、関心領域内の点をテンプレートの点にマッピングするステップと、
【0147】
テンプレートを使用して前記点の体厚を決定するステップであって、それぞれの点の患者深度値及びそれぞれの点の患者支持部深度値を決定する、ステップと、
【0148】
体厚値から関心領域の体積を決定するステップと
を有してもよい。
【0149】
テンプレートの点への点のマッピングはここでも、次いで、テンプレートのランドマーク体位を識別されるランドマーク体位にフィッティングすることによって深度マップをワーピングすることを含み得る。
【0150】
本発明は完全な患者セットアップを自動化及び標準化することができるカメラベースのアプローチを提供し、このアプローチにおいて、患者の向き、CTローカライザスキャンの水平範囲、及び最適な垂直方向治療台高度位置は、3Dカメラシステムによって取得される深度画像、及び随意に3D画像から導出され得る。
【0151】
開示される実施形態に対する変形は図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0152】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0153】
コンピュータプログラムは他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくはワイヤレス電気通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。
【0154】
「に適合される」という用語が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「に適合される」という用語は、「に構成される」という用語と等価であることが意図されることに留意される。
【0155】
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図】
【国際調査報告】