(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】線量計装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/00 20060101AFI20240301BHJP
G01T 1/16 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
G01T1/00 A
G01T1/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551757
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 GB2022050520
(87)【国際公開番号】W WO2022185032
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523320711
【氏名又は名称】シメトリカ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SYMETRICA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ラムスデン, デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA01
2G188BB17
2G188CC15
2G188CC20
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD42
2G188DD45
2G188EE39
2G188JJ03
(57)【要約】
検知領域内で第1の方向に略平行に延び、第1の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置された複数のシンチレーションファイバであって、複数のシンチレーションファイバの放射線吸収特性が、人体組織の放射線吸収特性に近似するように構成された、複数のシンチレーションファイバと、シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するために、複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の光検出器領域を含む光検出器とを備え、光検出器領域から信号を受信し、複数の光検出器領域からの信号が、複数のシンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、検知領域における放射線量の空間分布を決定するように配置されたコントローラをさらに備える、検知領域内の放射線量の空間分布を特徴付けるための線量計。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域内で第1の方向に略平行に延び、前記第1の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置された複数のシンチレーションファイバであって、前記複数のシンチレーションファイバの放射線吸収特性が、人体組織の放射線吸収特性に近似するように構成された、複数のシンチレーションファイバと、
前記シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するために、前記複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の前記光検出器領域を含む光検出器と
を備え、
前記光検出器領域から信号を受信し、前記複数の光検出器領域からの前記信号が、前記複数のシンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、前記検知領域における放射線量の空間分布を決定するように配置されたコントローラをさらに備える、
検知領域内の放射線量の空間分布を特徴付けるための線量計。
【請求項2】
複数の平行シンチレーションファイバが、複数の積層された層に配置されている、請求項1に記載の線量計。
【請求項3】
前記複数の積層された層内のシンチレーションファイバの各層が、シンチレーションファイバの予め作製されたマットを含み、各マット内の前記シンチレーションファイバが同じ方向に配向され、前記マットが互いに結合されて前記複数の積層された層を形成する、請求項2に記載の線量計。
【請求項4】
前記シンチレーションファイバが、0.5mm~3mmの幅を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項5】
前記シンチレーションファイバが正方形断面を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項6】
前記複数のシンチレーションファイバと前記複数の光検出器領域との間に光ファイバフェースプレートが配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項7】
前記複数のシンチレーションファイバと前記複数の光検出器領域との間にフィルタが配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項8】
前記複数のシンチレーションファイバの各々が、前記光検出器に結合された第1の端部と、前記第1の端部の遠位にある第2の端部とを含み、前記線量計が、前記シンチレーションファイバの各々の前記第2の端部から放出された信号を反射して前記第1の端部に向かって戻すように配置された1つ以上の反射要素を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項9】
前記光検出器領域に結合された前記複数のシンチレーションファイバの回転軸周りの異なる配向について前記複数の光検出器領域によって信号が生成され得るように、前記第1の方向に垂直な回転軸周りに前記複数のシンチレーションファイバを回転させるように配置された駆動機構をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項10】
前記複数の光検出器領域の各々が、前記複数の平行シンチレーションファイバのうちの1つ以上から受信した信号の少なくとも1つのパラメータを所定の積分期間にわたって積分するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項11】
前記光検出器が、センサ画素のアレイを含む光検出器パネルを備え、前記複数の光検出器領域の各々が、1つ以上のセンサ画素を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項12】
前記光検出器が、相補型金属酸化膜半導体パネルを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項13】
前記光検出器が、複数の前記光検出器領域が前記複数の平行シンチレーションファイバの各々に結合されるように、前記複数の平行シンチレーションファイバに結合される、請求項1~12のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項14】
前記検知領域内で第2の方向に略平行に延び、前記第2の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置されたさらなる複数のシンチレーションファイバと、
前記さらなる複数のシンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの前記光検出器領域に対する信号を生成するように、前記さらなる複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の光検出器領域と
をさらに備え、
前記第1の方向が、前記第2の方向と異なる、
請求項1~13のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項15】
複数の垂直に積層された平面が、前記第2の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面と交互積層された、前記第1の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面を含む、請求項14に記載の線量計。
【請求項16】
前記線量計が、シンチレーションファイバキャリアの積層体を含み、各シンチレーションファイバキャリアが、前記第1の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項17】
各シンチレーションファイバキャリアが、前記第2の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面をさらに含む、請求項16に記載の線量計。
【請求項18】
前記第1の方向が前記第2の方向に直交する、請求項14~17のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項19】
前記複数の光検出器領域から収集された信号を表すデータに再構成アルゴリズムを適用することによって、前記検知領域内の放射線量の空間分布を決定するように構成されたコントローラをさらに備え、前記データが、前記複数のシンチレーションファイバが第1の配向で配向されているときに前記複数の光検出器領域から収集された信号と、前記複数のシンチレーションファイバが第2の異なる配向で配向されているときに前記複数の光検出器領域から収集された信号とを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の線量計。
【請求項20】
検知領域内で第1の方向に略平行に延び、前記第1の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置された複数のシンチレーションファイバであって、前記複数のシンチレーションファイバの放射線吸収特性が、人体組織の放射線吸収特性に近似するように構成された、複数のシンチレーションファイバと、前記シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するために、前記複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の前記光検出器領域を含む光検出器とを備える線量計の検知領域における放射線量の空間分布を特徴付けるための方法であって、
コントローラによって、前記シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの前記光検出器領域に対して生成された信号を受信するステップと、
前記コントローラによって、前記複数の光検出器からの前記信号が前記シンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、前記検知領域における放射線量の空間分布を決定するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本開示は、放射線量の空間分布を特徴付けるための線量計装置および方法に関する。
【背景】
【0002】
放射線治療(radiation therapy)(放射線治療(radiotherapy)としても知られる)は、ヒトまたは動物の身体におけるがん性腫瘍および/またはがん性病変などの病状の治療に電離放射線を使用するアプローチを指す。放射線治療中、例えばX線または加速荷電粒子の形態の電離放射線は、一般に、がん性細胞の細胞死を誘導するために腫瘍の部位に送達される。強度変調放射線治療(IMRT)および粒子線治療は、がん性腫瘍の治療に使用され得る2つの放射線治療モダリティである。IMRTは、一般に、放射線量を送達するためにX線またはガンマ線を使用し、粒子線治療は、放射線量を送達するために陽子などの荷電粒子を使用する。IMRTの場合、1つ以上の腫瘍の部位を標的とするために患者の身体内に導かれるX線の1つ以上のビームを生成するために、線形加速器(LINAC)が一般に使用される。荷電粒子線治療の最もよく知られたモダリティである陽子線治療の場合、陽子線は、アイソクロナスサイクロトロン、シンクロトロンまたは線形加速器などの源によって生成され、1つ以上の腫瘍(例えば、拡大した腫瘍または複数の腫瘍)の部位を標的とするために1つ以上のビーム(例えば、1つ以上のペンシルビーム)の形態で身体内に導かれる。陽子線治療などの荷電粒子線治療は、典型的には、物質中の加速荷電粒子のブラッグ特性を利用する。物質中の荷電粒子のエネルギー損失はそれらの速度の二乗に反比例するので、物質を通って移動する荷電粒子によるエネルギーの最大蓄積は、荷電粒子が完全な停止に達する直前に起こる。したがって、身体内の所定の深さでのピーク放射線量を標的とするために、陽子のビームの加速電位を選択することができ、この場合、深さは、典型的には、治療される腫瘍の部位に対応するように選択される。
図1は、典型的には腫瘍などのがん性組織の領域を含む治療部位3に線量の放射線を送達するために、陽子ビーム1が患者の頭部2に向かって導かれる放射線治療構成を概略的に示す。
図1に概略的に示されているように、陽子ビームのエネルギーは、理想的には、かなりの数(略すべてであり得る)の陽子が所定の治療部位3の近傍で静止および/またはそのエネルギーの大部分を蓄積するように選択される。ビームの適切な加速電位は、治療計画段階において(例えば、コンピュータ断層撮影に由来する)治療部位および周囲組織の2D/3D画像データならびに陽子ビームのブラッグ特性の知識を使用して決定することができる。このアプローチは、治療部位3の外側の健康な組織の領域におけるエネルギーの蓄積を低減するので、有効であると考えられ得る。これは
図1に概略的に示されており、ビーム1内の略すべての陽子は治療部位3の近傍に静止し、治療部位を越えて延びる大きな退出ビームはない。
【0003】
人体における電離放射線の使用は(例えば、治療部位の前後のビーム経路の部分に沿って)健康な組織に損傷を引き起こす可能性があるため、患者への放射線治療の送達には治療計画段階が先行し、治療計画段階では、放射線ビームパラメータ(例えば、加速電位およびビーム形状)、身体へのビーム進入方向、および線量送達期間が計算されて、患者の健康な組織への放射線量を最小限に抑えながら、必要な治療効果を提供するのに適していると判定された線量の放射線が1つ以上の腫瘍に送達される。治療計画は、一般に、患者の3D X線コンピュータ断層撮影(XCT)および/または3D磁気共鳴画像および/または陽子線写真および/または3D陽子線コンピュータ断層撮影から得られた(例えば、陽子線撮像データを使用して較正されたX線撮像データを使用して、X線および陽子線が身体組織と相互作用する様々な様式を説明する)3次元(3D)画像データを使用して行われる。これらのデータは、例えば腫瘍、筋肉、脂肪、骨構造、および臓器などの患者の身体内の異なる組織の3D分布の可視化を可能にする。身体内の組織の3D分布に関する情報は、コンピュータ支援アプローチ(コンピュータシミュレーションなど)によって腫瘍を治療するのに適した線量強度パターンを決定するために、異なる組織における放射線吸収特性の計算と併せて使用することができる。典型的には、放射線治療では、異なる向きから腫瘍部位に向かって導かれた複数の強度変調放射線ビームの組み合わせを使用して、腫瘍に隣接する正常組織への線量を最小限に抑えながら、1つ以上の腫瘍の組織内で受ける線量を最大にする、身体内のカスタマイズされた放射線量分布を生成する。治療計画段階の成果は、一般に治療計画と呼ばれる患者への放射線の送達のためのプロトコルであり、これは、使用されるビームの強度および形状、それらが身体で導かれるべき向き、ビームの加速電位、ならびに身体が各ビームに曝露されるべき期間に関する情報を含み得る。
【0004】
放射線治療による治療中に身体内の正しい部位に放射線量を送達することの重要性のために、治療計画が患者の身体に適用される前に治療計画を検証することを可能にし、治療計画段階中に計画された放射線量の空間分布が放射線治療装置によって送達される実際の線量の空間分布に対応することを確実にするアプローチを開発することが望まれている。上述した問題の少なくともいくつかに対処または緩和するのを助けることを試みる様々なアプローチが本明細書に記載される。
【概要】
【0005】
本開示の第1の実施形態によれば、検知領域内で第1の方向に略平行に延び、第1の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置された複数のシンチレーションファイバと、シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するために、複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の光検出器領域を含む光検出器とを備え、光検出器領域から信号を受信し、複数の光検出器領域からの信号が、複数のシンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、検知領域における放射線量の空間分布を決定するように配置されたコントローラをさらに備える、検知領域内の放射線量の空間分布を特徴付けるための線量計が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、複数の平行シンチレーションファイバが複数の積層された層に配置される。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、複数の積層された層内のシンチレーションファイバの各層は、シンチレーションファイバの予め作製されたマットを含み、各マット内のシンチレーションファイバは同じ方向に配向され、マットは互いに結合されて複数の積層された層を形成する。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、シンチレーションファイバは、0.5mm~3mmの幅を有する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、シンチレーションファイバは、正方形断面を有する。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、複数のシンチレーションファイバの放射線吸収特性は、人体組織の放射線吸収特性に近似する(すなわち、一致する)ように構成される。いくつかの他の実施形態では、これは当てはまらず、複数のシンチレーションファイバの放射線吸収特性は、人体組織の放射線吸収特性に近似する(すなわち、一致する)ように構成されない。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、光ファイバフェースプレートが、複数のシンチレーションファイバと複数の光検出器領域との間に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、フィルタが、複数のシンチレーションファイバと複数の光検出器領域との間に配置される。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、複数のシンチレーションファイバの各々は、光検出器に結合された第1の端部と、第1の端部の遠位にある第2の端部とを含み、線量計は、シンチレーションファイバの各々の第2の端部から放出された信号を反射して第1の端部に向かって戻すように配置された1つ以上の反射要素を備える。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、線量計は、光検出器領域に結合された複数のシンチレーションファイバの回転軸周りの異なる配向について複数の光検出器領域によって信号が生成され得るように、第1の方向に垂直な回転軸周りに複数のシンチレーションファイバを回転させるように配置された駆動機構を備える。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、複数の光検出器領域の各々は、複数の平行シンチレーションファイバのうちの1つ以上から受信した信号の少なくとも1つのパラメータを所定の積分期間にわたって積分するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、光検出器は、センサ画素のアレイを含む光検出器パネルを備え、複数の光検出器領域の各々は、1つ以上のセンサ画素を含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、光検出器は、相補型金属酸化膜半導体パネルを備える。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、光検出器は、複数の光検出器領域が複数の平行シンチレーションファイバの各々に結合されるように、複数の平行シンチレーションファイバに結合される。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、線量計は、検知領域内で第2の方向に略平行に延び、第2の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置されたさらなる複数のシンチレーションファイバと、さらなる複数のシンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するように、さらなる複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の光検出器領域とを備え、第1の方向は、第2の方向と異なる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、複数の垂直に積層された平面は、第2の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面と交互積層された、第1の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面を含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、線量計は、シンチレーションファイバキャリアの積層体を含み、各シンチレーションファイバキャリアは、第1の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面を含む。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、各シンチレーションファイバキャリアは、第2の方向に配向されたシンチレーションファイバの平面をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、第1の方向は、第2の方向に直交する。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、線量計は、複数の光検出器領域から収集された信号を表すデータに再構成アルゴリズムを適用することによって、検知領域内の放射線量の空間分布を決定するように構成されたコントローラを備え、データは、複数のシンチレーションファイバが第1の配向で配向されているときに複数の光検出器領域から収集された信号と、複数のシンチレーションファイバが第2の異なる配向で配向されているときに複数の光検出器領域から収集された信号とを含む。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、検知領域内で第1の方向に略平行に延び、第1の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置された複数のシンチレーションファイバと、シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するために、複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の光検出器領域を含む光検出器と、光検出器領域から信号を受信するように配置されたコントローラとを備える線量計の検知領域における放射線量の空間分布を特徴付けるための方法であって、コントローラによって、シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して対応するそれぞれの光検出器領域に対して生成された信号を受信するステップと、コントローラによって、複数の光検出器からの信号がシンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、検知領域における放射線量の空間分布を決定するステップと、を含む方法が提供される。
【0026】
ここで、添付の図面を参照して、本開示の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による放射線治療アプローチの概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による線量計の検知領域の概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による線量計の検知領域を通る断面の概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による線量計の検知アセンブリの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による線量計の検知領域の概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による線量計の検知領域の概略図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態によるシンチレーションファイバキャリアの概略図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による再構成アプローチの態様の概略図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による回転線量計配置の概略図である。
【
図10】本開示の実施形態に従って構成された線量計配置を使用する陽子線写真技術の概略図である。
【詳細な説明】
【0028】
特定の例および実施形態の態様および特徴が、本明細書で説明/記載される。特定の例および実施形態のいくつかの態様および特徴は、従来通りに実施されてもよく、これらは、簡潔にするために詳細に説明/記載されない。したがって、詳細に記載されていない本明細書で説明される装置および方法の態様および特徴は、そのような態様および特徴を実施するための任意の従来技術に従って実施され得ることが理解されよう。
【0029】
本開示の態様は、線量計の検知領域における放射線量の空間分布を特徴付けるための線量計に関する。特徴付けられる放射線量は、電離放射線の入射ビーム、例えばX線、ガンマ線、または陽子もしくはイオンなどの荷電粒子のビームを供給するように構成された装置によって送達され得る。しかしながら、特徴付けられる放射線の特定の種類は特に重要ではなく、本開示による線量計は、任意の形態の電離放射線によって供給される放射線量の空間分布を特徴付けるように構成され得ることが理解されよう。
【0030】
線量計の検知領域は、放射線量が放射線の入射ビームによって送達され得る線量計の体積を含む。したがって、検知領域は、放射線ビームからのエネルギーが物質によって吸収されるように、入射放射線ビームと相互作用するように構成された物質を含む。本明細書でさらに説明するように、検知領域は、シンチレーションファイバなどの固体物質に加えて、(例えば、樹脂灌流などの製造プロセスのアーチファクトとしての)ガスによって占有された空所を含んでもよく、または検知領域は、代替的に、固体物質によって完全に占有されてもよい。検知領域は、複数のシンチレーションファイバを含み、各シンチレーションファイバは、入射放射線ビームからの放射線を吸収し、シンチレーション材料内のシンチレーション光子の放出を引き起こすように構成されたシンチレーション材料を含み、前記光子の少なくとも一部は、シンチレーションファイバによって光検出器の1つ以上の光検出器領域に向かって案内される。本明細書でさらに説明するように、検知領域は、少なくとも部分的に検知領域を通って延びる複数のシンチレーションファイバを含むが、所与のシンチレーションファイバの部分は、(例えば、検知領域内の所与のシンチレーションファイバの部分内で放出された光子が、検知領域の外側に位置する光検出器領域に案内されることを可能にするために)検知領域の外側に延び得ることが理解されよう。
【0031】
シンチレーションファイバの各々は、所与のシンチレーションファイバの領域における放射線相互作用事象から生じるシンチレーション光子が前記シンチレーションファイバに沿って案内され、光検出器領域の1つ以上によって受け取られるように、1つ以上の光検出器領域に(例えば、本明細書でさらに説明する適切な光結合アプローチによって)結合される。光検出器は、入射放射線によってシンチレーションファイバ内に放出された光子に感受性の複数のセンサ画素を含む1つ以上のフラットパネル光検出器(1つ以上の相補型金属酸化膜半導体光検出器パネルなど)を含み得る。そのような実施形態では、光検出器領域は、単一の検出器画素、またはセンサ画素領域を形成する複数のセンサ画素を含み得る。各光検出器領域は、光検出器領域が結合されている1つ以上のシンチレーションファイバからの1つ以上のシンチレーション光子の受け取りに応答して電気信号を生成するように構成される。線量計は、検出器の光検出器領域から信号を受信し、複数の光検出器領域からの信号が、複数のシンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、検知領域における放射線量の空間分布を決定するように構成されたコントローラを備える。例えば、コントローラは、複数の光検出器領域から受信した信号を所定の積分時間にわたって積分し、前記信号の1つ以上のパラメータ(例えば、それらの大きさおよび/またはスペクトル情報)を表す値を適切なメモリ素子に格納することができる。
【0032】
コントローラは、複数の光検出器領域の各々がそれぞれの光検出器領域に結合された1つ以上のシンチレーションファイバ内に放射線相互作用事象があったことを示す程度を表すデータに適用される計算再構成アプローチによって、検知領域内の放射線量の空間分布を決定することができる。本明細書にさらに記載するように、検知領域内の各シンチレーションファイバの空間配置に関する情報(例えば、検知領域内のその向きおよび範囲)は、放射線量の空間分布の再構成における入力として使用され得る。例えば、複数のシンチレーションファイバが、検知領域を通って第1の方向に略平行に延び、第1の方向に垂直な第1の平面内に2次元(2D)アレイに配置され得る。複数のシンチレーションファイバは、複数のシンチレーションファイバ内で放出された光子が複数のシンチレーションファイバのそれぞれの第1の端部から放出される、第1の平面に平行な終端平面で終端し得る。いくつかの実施形態では、フラットパネル光検出器は、例えば光検出器の検出面を終端平面に当接させることによって、複数のシンチレーションファイバの第1の端部に結合され得る。そのような例における光検出器は、平行シンチレーションファイバのアレイからシンチレーション光子を受け取るセンサ画素などの光検出器素子のアレイを含む。検出器がシンチレーションファイバの方向に直交して配向されている結果として、検出面の平面上の位置xyを中心とする光検出器領域にシンチレーションファイバを介して到達するシンチレーション光子は、位置xyで検出面と交差する検出面に垂直なベクトル上におよそある検知領域内の点で放出されたと見なすことができる。本明細書でさらに説明するように、近似の程度は、他の要因の中でも、xyを中心とする光検出器素子に光学的に結合された1つ以上のシンチレーションファイバの断面積に依存する。
【0033】
検出面が、各々が平行シンチレーションファイバのうちの1つ以上に結合された光検出器領域の2Dアレイを含む場合、光検出器領域のアレイによって生成され、所定の積分期間中にコントローラによって受信された信号は、コントローラによって使用されて、2D画像を再構成することができ、それによって、2D画像の各画素は、積分期間中に光検出器領域から受信した信号の測定値に対応する(ここで、例えば、画素強度は、積分期間中にそれぞれの光検出器領域から受信した信号の大きさに比例する)。例えば、光検出器が光検出器領域の1000×1000アレイを含む場合、コントローラは、所定の積分期間にわたって積分された、光検出器上の対応する位置の1つ以上の光検出器領域に結合された1つ以上のシンチレーションファイバから光検出器の検出面に到達する光子の計数に比例する値を各画素が有する1000×1000画素画像を再構成することができる。したがって、検出面に略直交する方向におけるファイバの平行な配向に起因して、そのような画像は、検出面に垂直なベクトルに沿って積分された、検知領域で受けた線量の表現を含む。線量計の使用において、放射線の1つ以上のビームが、(例えば、治療計画の一部として)検知領域内に導かれてもよく、1つ以上のそのような2D画像は、1つ以上のビームが検知領域内で放射線相互作用事象を引き起こしている間に、所定の積分時間にわたって複数の光検出器領域から信号を収集することによって、コントローラによって再構成することができる。検知領域を通って延び、検知領域内の異なる方向に略平行に配向されたシンチレーションファイバの組を提供することによって、および/または検知領域内の平行シンチレーションファイバの組のうちの1つの範囲の方向に垂直な回転軸の周りで1つ以上の平行シンチレーションファイバの組を回転させ、データに対する異なる回転角度について、複数の光検出器領域から受信した信号からコントローラによって画像を再構成することによって、異なる方向に略平行に配向された平行シンチレーションファイバの組について、画像を再構成することができる。複数のそのような画像は、例えば、コントローラがフィルタ補正逆投影または反復再構成アルゴリズムを画像に適用することによって、検知領域内の推定光子放出の3次元分布を再構成するためのアルゴリズムに入力され得る。
【0034】
図2は、本開示の実施形態による線量計10の検知領域100を概略的に示す。
図2では、検知領域100は立方体の形態であるが、本明細書でさらに説明するように、立方形、円筒形または他の形状などの他の検知領域形状を採用してもよい。
図2の配置では、検知領域100は、線量計の検知領域内の第1の方向に略平行に延びる複数のシンチレーションファイバ110を含み、第1の方向は、
図1に概略的に示す例示的な参照システムによるx方向に対応する。「シンチレーションファイバ」という用語は、入射光子または荷電粒子と相互作用するときに光子を放出するシンチレーション材料を含む細長い光子案内要素を説明すると考えることができる。複数のシンチレーションファイバ110の各々は、放射線の入射ビームからの入射光子/粒子が、前記ファイバのシンチレーション材料との相互作用の結果としてシンチレーション事象を引き起こし、ファイバ内の光子の放出をもたらし、次いでファイバの端部に向かって案内され得るように、入射放射線と相互作用するように構成される。光子および荷電粒子と物質との相互作用ならびにシンチレーション光子の放出は確率的プロセスであり、その結果、シンチレーションファイバ110の各々を通過する入射光子または荷電粒子は、所与のファイバ内の1つ以上のシンチレーション光子の放出を引き起こしてもよく、引き起こさなくてもよいことが理解されよう。典型的には、シンチレーションファイバ110の各々はクラッドシンチレーションファイバを含み、シンチレーションコアおよび光子案内コアは、各シンチレーションファイバの捕捉効率を制御するように選択されたクラッド材料で被覆されている。各シンチレーションファイバ内で放出され、各シンチレーションファイバによって案内されるシンチレーション光子の波長は、スペクトルの可視部分にあってもよく、なくてもよいことが理解されよう。各シンチレーションファイバのコアは、典型的には、コア内の全内部反射を促進するために、コア材料の屈折率よりも低い屈折率のクラッド材料でクラッドされる。一例では、ファイバはポリスチレンコアを含み、クラッド材料はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む。シンチレーションファイバ110はまた、コアの周りにクラッドの2つ以上の層を含むマルチクラッドファイバを含むことができ、層の屈折率はコアから離れるにつれて減少する。各ファイバの捕捉効率は、コア材料およびクラッド材料の屈折率ならびにコアの断面を変化させることによって制御することができる。コア材料は、一般に、ベース材料(例えばポリスチレン)を含み、ベース材料は、任意選択的に、ベースのシンチレーションによって放出された光子を吸収し、コアによってより容易に案内され得るより長い波長を有する光子を放出する1つ以上の蛍光体/発光体でドープされてもよい。
【0035】
シンチレーションファイバのシンチレーション特性は、当業者に知られている異なるコア材料およびクラッド材料の選択によって変化させることができる。コア材料およびクラッド材料、ならびにコア内のドーパントとして使用される1つ以上の蛍光体/発光体は、線量計によって特徴付けられる放射線の特定の種類、ならびに例えば実験および/またはモデリングに基づく所望の透過効率および捕捉効率に基づいて選択することができる。したがって、当業者は、線量計が主に陽子線源、X線源、ガンマ放射線源、または別の放射線源からの放射線量の空間分布を特徴付けるために使用されるかどうかに応じて、異なるコア材料およびクラッド材料を選択することができる。複数のシンチレーションファイバ110内で放出されるシンチレーション光子の特徴的な波長は、線量計によって特徴付けられる入射放射線の特性、例えば治療計画で使用される放射線の加速電位および種類、ならびにシンチレーションファイバ110が構築される材料に応じて変化することが理解されよう。したがって、シンチレーション光子は、例えば、電磁スペクトルの紫外領域、可視領域または赤外領域にあってもよい。St Gobain CrystalsおよびKurarayは、本開示による線量計に使用され得るシンチレーションファイバの商業的製造業者の2つの例である。
【0036】
線量計10の検知領域100は、放射線の入射源から放射線量を受けるように構成され、光検出器の1つ以上の光検出器領域によって検出され得る受けた線量に応答してシンチレーション光子を放出するように構成されたシンチレーションファイバを含む線量計内の体積領域を含むと考えることができ、検知領域の複数のサブ領域の各々内の光子の放出は、各サブ領域(すなわち、前記サブ領域を通って延びるシンチレーションファイバの部分)に吸収される放射線量の積分に比例する。所与のサブ領域を通って延びる1つ以上のシンチレーションファイバに結合された1つ以上の光検出器領域によって受信された信号は、コントローラに送信され、本明細書にさらに記載される再構成原理に従って、所定の積分期間中に前記サブ領域で受けた放射線量を特徴付けるためにコントローラによって使用され得る。したがって、検知領域100は、コントローラによって放射線量の空間分布を特徴付けることができる、線量計10の領域を含むと考えることができる。
図2に概略的に示す検知領域100は、複数のシンチレーションファイバ110がx方向として示される第1の方向に略平行に延びる立方体検知領域100を含む。「略平行」という用語は、複数のシンチレーションファイバ110がすべて第1の方向に正確に平行であるとは限らないことを示す。したがって、いくつかの実施形態では、検知領域内に延びる複数のシンチレーションファイバ110はすべて、第1の方向の5度以内、または第1の方向の3度以内、または第1の方向の1度以内、または第1の方向の0.5度以内、または第1の方向の0.1度以内、または第1の方向の0.01度以内に配向され得る。複数のシンチレーションファイバ110の各々は、検知領域内にある前記ファイバの部分にわたって第1の方向(すなわち、x方向)に略平行に延びる。しかしながら、検知領域の外側の複数のシンチレーションファイバの部分は、上記方向に略平行でなくてもよい。例えば、検知領域100の外側の複数のシンチレーションファイバ110の部分(図示せず)は、シンチレーションファイバ内の光子を検知領域100の外側に配置された1つ以上の光検出器領域に案内するために湾曲していてもよい。
【0037】
図3は、
図2に概略的に示す検知領域を通る平面断面を概略的に示す。
図2の参照配列において、
図3は、yz平面と整列した検知領域100を通る断面を示す。yz平面はx方向に垂直であり、複数のシンチレーションファイバ110は、複数のシンチレーションファイバ110がyz平面内に2次元アレイに配置されるように、シンチレーションファイバの複数の積層された層112内に配置される。
図3に概略的に示す例では、複数のシンチレーションファイバ110は、z方向に沿って積層された均一な層112に配置されているが、これは必須ではなく、本明細書でさらに説明するように他の配置も可能である。シンチレーションファイバの各層112は、層112内のすべてのシンチレーションファイバが略同じ方向(すなわち、層112に略平行)に配向されるように互いに結合された個々のシンチレーションファイバの予め作製されたマットまたはリボンを含み得る。層112は、例えば、ポリマー樹脂を使用して互いに結合されてもよい。予め作製されたマットの形態のシンチレーションファイバの層112が、
図2および
図3に概略的に示す層状形状を維持する治具内で互いに積層されてもよく、または個々のシンチレーションファイバが、
図2および
図3に示す層状形状を同様に維持する治具内で層112に互いに積層されてもよい。次いで、複数のシンチレーションファイバ110は、検知領域(および潜在的にはその外側に延びる領域)にポリマー樹脂を注入し、樹脂を硬化させてシンチレーションファイバ110を互いに結合することによって、および/またはシンチレーションファイバキャリアの積層体などの本明細書でさらに説明する適切な支持構造においてシンチレーションファイバ110を支持することによって、検知領域100内の定位置に固定され得る。
【0038】
図2および
図3に概略的に示す複数のシンチレーションファイバ110は、円形断面を有する。しかしながら、これは必須ではなく、代替の断面形状が選択されてもよい。例えば、正方形または立方形の断面を有するシンチレーションファイバを使用することができる。これは、正方形または立方形の断面を有するシンチレーションファイバが、円形断面を有するファイバよりも(ファイバ方向に垂直に配向された断面平面においてファイバによって占有される断面積の割合に関して)検知領域100内により密接に詰め込まれ得るため、有効であると考えられ得る。検知領域100内に複数のシンチレーションファイバ110を詰め込む密度を増加させることは、入射放射線ビームからの光子または粒子が複数のシンチレーションファイバ110のうちの1つのコアと相互作用して、1つ以上のシンチレーション光子の放出を引き起こす可能性が増加することによって、線量計10の効率を改善し得る。シンチレーションファイバ110が密接に詰め込まれていない場合、ファイバ間の間隙空間は、本明細書でさらに説明するように、シンチレーションファイバを第1の方向に略平行に整列させるための適切な治具および/または支持体を使用してシンチレーションファイバを配置した後、例えば樹脂材料によって充填されてもよい。例えば、液体形態のポリマー樹脂を、シンチレーションファイバによって占有されていない空所に導入し、次いで硬化させ、ファイバを固体樹脂マトリックスに埋め込むことができる。樹脂の放射線学的特性は、ヒト組織の放射線学的特性に密接に近似するように選択され得る。
【0039】
シンチレーションファイバの断面幅は、いくつかの要因に応じて選択することができる。例えば、(本明細書でさらに説明するように)線量計の空間分解能を高めるために、より細いファイバを選択してもよく、またはより太いファイバを選択してもよい。いくつかの例では、複数のシンチレーションファイバ110の各々1つは、0.5mm~3mmの幅を有する。代替的に、シンチレーションファイバは、特徴的な断面積によって画定されてもよい。例えば、シンチレーションファイバは、0.2mm2~7mm2の特徴的な断面積を有し得る。しかしながら、任意の幅または断面積のシンチレーションファイバが使用され得ることが理解されよう。
【0040】
複数のシンチレーションファイバ110の各々は、第1および第2の端部を含む。各シンチレーションファイバの第1および/または第2の端部は、検知領域100の境界で終端してもよい。例えば、
図2の配置では、立方体検知領域100のyz面は、複数のシンチレーションファイバ110の各々が終端する終端面を含み得る。他の実施形態では、シンチレーションファイバ110の一部または全部は、検知領域100を越えて延びてもよく(図示せず)、
図2に示す検知領域100は、検知領域100と同じ形状を有し得る、より大きな体積(例えば、シンチレーションファイバの積層体)のサブ領域であると考えることができる。したがって、シンチレーションファイバの積層体(例えば、
図2に示すような立方体形状を有する)の外部境界は、検知領域100の境界を含むことができ、「積層体」という用語は、「検知領域」という用語と互換的であると考えることができる。他の実施形態では、検知領域は、
図1に概略的に示す立方体積層体などのシンチレーションファイバの積層体内にサブ領域(すなわち、サブ体積)を含み得る。例えば、
図2に示すような、xy外面、yx外面およびxz外面を有するシンチレーションファイバの立方形積層体は、例えば、立方体、立方形、円筒形または他の幾何学的形状を有する積層体内のサブ領域/サブ体積を含む検知領域100を含み得る。
【0041】
シンチレーションファイバ110の各々は、本明細書でさらに説明するように、1つ以上の光検出器の1つ以上の光検出器領域に結合される。光検出器領域の各々は、入射光子の検出に応答して電気信号を生成するように構成された1つ以上の感光性検知素子を含む。この点において、光検出器領域は、当業者に知られている任意の光子検知技術に従って構築することができる。例えば、光検出器領域は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、光起電力素子または金属酸化物半導体素子などの電気光学検知素子を含み得る。本開示の好ましい実施形態では、光検出器領域は、電荷結合素子(CCD)パネルまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)パネルなどの光検出器のサブ領域を含む。重要であると考えられ得るのは、光検出器の光検出器領域の各々が、1つ以上の複数のシンチレーションファイバ110内で放出された光子が前記光検出器領域によって1つ以上のシンチレーションファイバから受け取られる程度に応じて出力信号を生成するように構成されていることである。光検出器は、光検出器領域が、検知領域100で受けた放射線量に応答してシンチレーションファイバによって放出された光子の波長の範囲に対する感度を有するように選択され、これは実験および/またはモデリングを通じて当業者によって決定され得る。
【0042】
様々なアプローチを使用して、複数のシンチレーションファイバ110の各々を、線量計10に含まれる1つ以上の光検出器の1つ以上の光検出器領域に結合することができる。場合によっては、複数のシンチレーションファイバ110からの1つ以上のシンチレーションファイバは、シンチレーション計数器に含まれる1つ以上の光検出器領域に結合される(例えば、光学的に結合される)。しかしながら、好ましい実施形態では、複数のシンチレーションファイバ110の各々の第1の端部は、本明細書でさらに説明するように、複数の光検出器領域を含むフラットパネル光検出器が当接する平坦な放出面(
図2に概略的に示すyz平面のうちの1つなど)で終端し、任意選択的に、放出面と光検出器との間に1つ以上の間隙フェースプレートおよび/またはフィルタが介在する。これらの要素のうちの1つ以上の間に1つ以上のエアギャップが設けられてもよい。
図4は、
図2から認識され、
図2のように、検知領域100を通って、x方向に対応する第1の方向に略平行に延びる複数のシンチレーションファイバ(図示せず)を含む検知領域100を示す。複数の光検出器領域(図示せず)を含む光検出器201は、検知領域100の外側zy面のうちの一方に当接して、複数のシンチレーションファイバ110の各々のそれぞれの第1の端部から放出された光子を受け取る。複数のシンチレーションファイバ110中のシンチレーションファイバのすべてが必ずしも光検出器201の1つ以上の光検出器領域に結合されているわけではない(すなわち、光検出器201は、複数のシンチレーションファイバ110のすべての第1の端部とyz平面内で重ならなくてもよい)ことが理解されよう。
【0043】
放出面が平坦である場合(例えば、
図4の光検出器201が当接するyz平面)、所望の平坦度を達成し、平坦な放出面で終端する複数のシンチレーションファイバ110のそれぞれの第1の端部からの光子の放出を改善するために機械加工することができる。しかしながら、他の実施形態では、複数のシンチレーションファイバ110の第1の端部が終端する放出面は平坦でなくてもよく、例えば湾曲していてもよい。例えば、検知領域100は、円筒形の検知領域を含んでもよく、複数のシンチレーションファイバ110を含む積層体は、円筒の形態で配置されてもよい(例えば、本明細書にさらに記載するように、樹脂などのプラスチック材料に埋め込まれた複数の平行なシンチレーションファイバ110を含むブロック/積層体を機械加工することによって形成され得る)。一実施形態では、センサ画素を含む光検出器領域の可撓性アレイを含む光検出器は、円筒形の検知領域100を含むシンチレーションファイバ110の積層体の外側の湾曲した放出面に当接し得る。
【0044】
光検出器201は、単一のCMOSパネルなどの単一のフラットパネル検出器を含んでもよく、または複数の個々の検出器ユニットの光検出器領域を含むタイル状の検出面を形成するようにそれらの縁部に沿って突き合わされた複数のフラットパネル検出器を含んでもよい。このアプローチは、光検出器201の検出面を拡大し、光検出器201で利用可能な光検出器領域(例えば、センサ画素)の数を増加させるために使用することができる。検知領域100および/または検知領域100を含む積層体が立方形である場合、検知領域100/積層体のx寸法、y寸法およびz寸法は、光検出器201(タイル状光検出器であってもよい)の寸法に一致させてもよい。
【0045】
複数のシンチレーションファイバ110の第1の端部と光検出器201の複数の光検出器領域との結合は一対一方式に従うことができ、それによって各シンチレーションファイバ(例えば、前記ファイバの第1の端部)は単一の光検出器領域(例えば、単一のセンサ画素)に光学的に結合される。他の実施形態では、複数の光検出器領域(例えば、複数のセンサ画素)は、所与のシンチレーションファイバに(例えば前記ファイバの第1の端部に)光学的に結合される。これは、複数の光検出器領域(例えば、センサ画素)または複数のセンサ画素を含む単一の光検出器領域を使用して単一のシンチレーションファイバから光子を収集することにより、線量計10による光子の検出の精度および/または感度(例えば、信号対雑音比)を高めることができるため、有効であると考えられ得る。例えば、一実施形態では、光検出器201は、各々が50×50μmの検知領域を有する、光検出器201の検出面上に配置された感光画素を含む2400×4800個の光検出器領域のアレイを有するCMOS撮像パネルを含む。具体例の提供を目的として、1mm×1mmの正方形断面を有するシンチレーションファイバが(例えば、検出面に垂直なベクトルに沿って、前記シンチレーションファイバの第1の端部を光検出器201の検出面に当接させることによって、光検出器に結合される場合、シンチレーションファイバの第1の端部の端面は、シンチレーションファイバの第1の端部から放出されたシンチレーション光子がシンチレーションファイバの第1の端部に重なる光検出器領域の1つ以上によって検出され得るように、検出面の平面内の20×20個の光検出器領域のアレイに重なる。コントローラ600は、所定の積分期間(例えば、33ミリ秒)にわたって複数のシンチレーションファイバのそれぞれ各1つに結合された複数の光検出器領域によって出力された信号を平均または好ましくは合計して、積分期間中にシンチレーションファイバによって吸収された放射線の線量を表す値を決定することができる。他の実施形態では、複数のシンチレーションファイバのサブセットを含む複数のシンチレーションファイバは、複数の光検出器領域のうちの単一の光検出器領域に結合されてもよい。本明細書で提供される光検出器領域の寸法は例示的なものであり、他の値が当業者によって選択されてもよいことが理解されよう。例えば、光検出器の光検出器領域を含むセンサ画素は、正方形、円形または他の断面を有してもよく、例えば、200μm未満、100μm未満、75μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、5μm未満または1μm未満の幅を有してもよい。シンチレーションファイバ直径と光検出器領域サイズとの比は、実験および/またはモデリングに基づいて当業者によって選択され得る。
【0046】
本明細書にさらに記載するように、いくつかの実施形態では、複数のシンチレーションファイバ110の第1の端部を光検出器領域に結合する(例えば、光学的に結合する)ために、光ファイバフェースプレート(図示せず)が、複数のシンチレーションファイバ110の第1の端部と光検出器(例えば、
図4に概略的に示す光検出器201)に含まれる複数の光検出器領域との間に配置される。いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタが、光ファイバフェースプレート内に含まれてもよく、および/または光ファイバフェースプレートに加えてもしくはその代わりに、複数のシンチレーションファイバ110の第1の端部と光検出器領域との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタは、減光フィルタを含む。フィルタ特性は、放射線が検知領域100に導かれてシンチレーションファイバ110内のシンチレーション光子の放出を引き起こしている間に、光検出器領域の各々について生成された信号を測定するためにコントローラによって使用される積分時間中に光検出器領域の容量を超えない(例えば、過飽和にならない)ことを確実にするように(例えば、CMOS光検出器のセンサ画素を含む光検出器領域の電荷蓄積容量を超えないように)、複数のシンチレーションファイバ110から放出される信号(例えば、光信号)を減衰させるように選択され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、複数のシンチレーションファイバ110は、1つ以上の光検出器領域に結合された第1の端部の遠位にあるシンチレーションファイバの各々の第2の端部に反射手段が設けられてもよい。設けられている場合、1つ以上の反射手段は、シンチレーションファイバの各々の第2の端部に到達する光/光子を反射してそれぞれのシンチレーションファイバコアに、第1の端部に向かって戻すように構成される。これは、前記ファイバの第2の端部からの光子損失を低減または排除し、第2の端部に案内された光子が第1の端部に戻るように案内され、光検出器によって受け取られる可能性を高めることによって、所与のシンチレーションファイバ内で放出された光子の検出効率を高め得る。いくつかの実施形態では、複数のシンチレーションファイバ110の各々は、再帰反射器要素であり得る個々の反射器が設けられている。他の実施形態では、単一の反射要素が複数のシンチレーションファイバ110の各々の第2の端部に結合(例えば、光学的に結合)されてもよい。複数のシンチレーションファイバ110の各々の第2の端部が平面(例えば、
図2に示すyz面のうちの1つ)で終端する場合、平面反射器は、光検出器201を複数のシンチレーションファイバ110に結合するために使用されるのと同様の様式で前記平面に嵌合されてもよく、平面は、本明細書にさらに記載するように機械加工されてもよい。他の実施形態では、複数のシンチレーションファイバ110の各々の第2の端部は、さらなる光検出器の複数の光検出器領域(例えば、
図2に概略的に示すシンチレーションファイバ100の検知領域/積層体の平面の外面に配置された第2の光検出器パネル(図示せず)に含まれ、光検出器201が配置されているのとは反対側の検知領域100/シンチレーションファイバの積層体のzy面と整列している)に結合されてもよい。
【0048】
本開示の実施形態によれば、
図2に概略的に示すように、さらなる複数のシンチレーションファイバ120が、線量計10の検知領域100内で第2の方向に略平行に延びて設けられ、第2の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置されてもよく、さらなる複数のシンチレーションファイバ120のそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するように、さらなる複数の光検出器領域がさらなる複数のシンチレーションファイバ120のそれぞれに結合されている。
図2は、
図2の参照システムのy方向に対応する第2の方向に略平行に整列したさらなる複数のシンチレーションファイバ120を示す。「略平行」という用語は、複数のシンチレーションファイバ110に関して使用されるのと同じ意味を有すると考えられる。
図2では、さらなる複数のシンチレーションファイバ120は、第1の方向(すなわち、複数のシンチレーションファイバ110が略平行に配向されている方向)に略直交する方向に略平行に配向されている。略直交するという用語は、第1の方向と第2の方向とが、互いに正確に90度で整列していなくてもよいが、例えば、互いに75度~95度、76度~94度、77度~93度、78度~92度、または89度~91度であり得ることを意味すると解釈される。本明細書にさらに記載するように、他の実施形態では、第1の方向と第2の方向とは、略直交していなくてもよいが、例えば、互いに略45度に配向され得る。積層体/検知領域100と1つ以上の光検出器領域との組み合わせは、検知アセンブリと呼ぶことができる。
【0049】
図3は、
図2に概略的に示す検知領域100を通る平面断面を示す。
図2の参照配列において、
図3は、検知領域100を通り、yz平面と整列した断面を示す。yz平面はx方向に垂直であり、複数のシンチレーションファイバ120がxz平面内に2次元アレイに配置されるように、さらなる複数のシンチレーションファイバ120がシンチレーションファイバの積層された層122内に配置される。したがって、
図3には、各層122の単一のシンチレーションファイバの断面が示されており、各シンチレーションファイバの長軸はyz平面にあり、y方向に延びている。
図2および
図3に概略的に示す例では、複数のシンチレーションファイバ120は均一な層122に配置されているが、これは必須ではなく、本明細書でさらに説明するように他の配置も可能である。
図2および
図3に概略的に示すように、第1の方向(例えば、x)に略平行に配向されたシンチレーションファイバの層112は、第2の方向(例えば、y)に略平行に配向されたシンチレーションファイバの層122と交互の配置で積層され、z方向に積層される。しかしながら、他の実施形態では、異なる積層配置を採用してもよい。例えば、第1の方向に略平行に延びるシンチレーションファイバの2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の層112の組が、第2の方向に略平行に延びるシンチレーションファイバの2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の層122の組と交互になってもよい)。さらに、シンチレーションファイバの層112、122は、(各層のすべてのシンチレーションファイバが同じ平面の略中心にあるという意味で)均一でなくてもよいが、上記平面(例えば、
図2および
図3の参照配列のyz平面)に略平行でありながら、面外方向に互い違いに配置されてもよい。
【0050】
さらなる複数のシンチレーションファイバ120が検知領域100を通って延びて設けられている場合、さらなる光検出器202は、光検出器201の複数のシンチレーションファイバ120への結合について説明したのと同じ様式で、さらなる複数のシンチレーションファイバ110に結合することができる。
図4は、さらなる複数のシンチレーションファイバ120の第1の端部が終端するシンチレーションファイバ積層体/検知領域100の放出面に当接する、zx平面に平行に整列したさらなる光検出器202を概略的に示す。これは、第1の光検出器201を複数のシンチレーションファイバ110に結合するための本明細書に記載のアプローチに広く従うことができる。代替的に、複数のシンチレーションファイバ120は、単一の光検出器を使用して複数のシンチレーションファイバ110および複数のシンチレーションファイバ120から光子を収集することができるように、検知領域境界を越えて延び、複数のシンチレーションファイバ110に結合された光検出器に含まれる光検出器領域と結合するように丸く湾曲していてもよい。シンチレーションファイバ110はまた、シンチレーションファイバ110、120の端部が、検知領域100の面または検知領域100を含む積層体に嵌合していない光検出器に結合され得るように、検知領域100を越えて延びてもよく、湾曲していてもよい。
【0051】
図2~
図4は、2組のシンチレーションファイバが設けられた検知領域を示し、2組はそれぞれ、検知領域を通って第1の方向に略平行に延びる第1の複数のシンチレーションファイバ110と、検知領域を通って第2の方向に略平行に延びるさらなる複数のシンチレーションファイバ120とを含み、第1の方向と第2の方向とは略直交しているが、他の構成も可能であることが理解されよう。例えば、線量計10は、検知領域を通って延びるすべてのシンチレーションファイバが単一の方向に略平行に配向されている検知領域を備えてもよい。
図5は、
図2から認識される検知領域100を概略的に示すが、ただし、検知領域を通って延びるすべてのシンチレーションファイバ110は単一の方向(すなわち、
図5の参照配列におけるx方向)に略平行であり、さらなる複数のシンチレーションファイバ120は設けられていない。他の点では、光検出器の複数の光検出器領域の、複数のシンチレーションファイバ110への結合は、本明細書でさらに説明するアプローチに従って実行することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、シンチレーションファイバが延びる検知領域100を画定するためのシンチレーションファイバの積層体の構築は、複数のシンチレーションファイバキャリア500が検知領域100を形成するように配置されるアプローチに従うことができる。
図6は、
図2から認識され、本開示によるアプローチに従って構築された積層体/検知領域100を示し、検知領域100を通って第1の方向に略平行に延びる複数のシンチレーションファイバ110の層112と、検知領域100を通って第1の方向に略直交する第2の方向に略平行に延びるさらなる複数のシンチレーションファイバ120の層122とをそれぞれ含むシンチレーションファイバの層112、122が、複数のシンチレーションファイバキャリア500によって支持されている。シンチレーションファイバキャリア500の各々1つは、シンチレーションファイバキャリア500が互いに積層されたときに検知領域100内にあるシンチレーションファイバキャリアの領域内で、第1の方向に略平行に配向されたシンチレーションファイバの少なくとも第1の層112を支持する、支持要素510を含む。検知領域100は、シンチレーションファイバキャリア500の積層体の略すべてを含んでもよく、またはシンチレーションファイバキャリア500の積層体内に画定されたサブ体積を含んでもよい。任意選択的に、シンチレーションファイバ122の少なくとも1つのさらなる層は、シンチレーションファイバ122が支持要素520の第2の方向に略平行に延びるように、略平面の各支持要素520の中または上に配置される。
図7は、本開示の実施形態によるシンチレーションファイバキャリア501を概略的に示す。シンチレーションファイバキャリアは、
図7の例では2つの主面(すなわち、xy平面に平行)および4つの副面を有する略平面の矩形要素である支持要素510を含む。支持要素は、一般にプラスチック材料で作られるが、他の材料を使用してもよい。
図7に示すシンチレーションファイバキャリア501では、支持要素の2つの主面の各々は、複数のシンチレーションファイバ112(および/または122)を受け入れることができるチャネルまたはスロットを形成するように凹んでいる。例えば、チャネルは、支持要素520の主面を機械加工することによって形成してもよく(例えば、平面の原料から支持要素520を機械加工してもよい)、または主面の各々にチャネルを設けて、支持要素520を直接形成してもよい。例えば、支持要素520は、片面もしくは両面にチャネルを画定して、プラスチック材料から射出成形または3D印刷されてもよい。各チャネルは、支持要素の各主面の非凹状端側領域521および522に対して深さを有し、これは一般に、支持要素によって支持されるシンチレーションファイバ112の断面幅に等しい。チャネルが支持要素520の一方の主面にのみ画定される場合、支持要素520の(例えば、端側領域521、522の)最大厚さは、一般に、チャネル内に受容されるシンチレーションファイバ112の断面幅よりわずかにのみ厚くてもよく、最小厚さは、支持要素に使用される材料の機械的特性(例えば、剛性)および製造方法に基づいて当業者によって決定される。支持要素520の主面の各々にチャネルが画定される場合、支持要素の厚さ(チャネルの深さを含む)は、一般に、シンチレーションファイバの幅の2倍よりわずかに厚いのみでよく、最小厚さは前述のように決定される。
図7に示すように、各チャネルは、支持要素の非凹状端側領域521、522によって境界付けられた側面に直交する2つの開放側面を有する。シンチレーションファイバの層112が第1のチャネル内に受容され、シンチレーションファイバの各々は、チャネル境界を画定する非凹状端側領域521、522の長縁に略平行に配向されている。シンチレーションファイバの層112は、本明細書でさらに説明するように、予め作製されたシンチレーションファイバのマット、または層112に配置され、例えば適切な治具を使用して製造中に所定の位置に保持された複数の個々のシンチレーションファイバを含み得る。シンチレーションファイバは、一般に、本明細書でさらに説明するように、プラスチック樹脂を使用して支持要素520に結合される。
図7に示す例では、支持要素の両方の主面が、複数のシンチレーションファイバが受容されるチャネルを含む。2つのチャネルが設けられる場合、これらは、典型的には、第1のチャネル内の複数のシンチレーションファイバ112が第1の方向に略平行に延び、第2のチャネル内の複数のシンチレーションファイバ122が第2の方向に略平行に延びるように互いに直交して配向され、第1の方向と第2の方向とは互いに直交する。支持要素を含むシンチレーションファイバキャリア上にシンチレーションファイバが支持される任意の実施形態では、各シンチレーションファイバキャリアは、各シンチレーションファイバキャリアの均一な厚さおよび主面の平坦性を確実にするために、シンチレーションファイバの取り付け後に機械加工された主面を有し得る。
【0053】
他の実施形態では、複数のシンチレーションファイバは、支持要素上の1つ以上のチャネルまたはスロットに受容されなくてもよいが、支持要素の主面に直接結合されてもよく、または製造中に支持要素に埋め込まれてもよい。例えば、平行なシンチレーションファイバの1つ以上の層を治具内に配置することができ、支持要素をシンチレーションファイバの周りに成形して支持要素内にシンチレーションファイバを埋め込むことができる。この実施形態では、支持要素は、硬化時に固化する液体ポリマー樹脂から形成されてもよい。代替的に、両方のチャネルが、支持要素520の一方の面に画定されてもよく、第1のチャネルに受容されたシンチレーションファイバの第1の層112が、第2のチャネルに受容されたシンチレーションファイバの第2の層122の上に重なるように、異なる深さであり得る。
【0054】
線量計の検知領域100は、複数のシンチレーションファイバキャリア500を積層体に配置することによって形成することができ、それによって、積層体の外部境界が検知領域100の範囲を画定するか、または検知領域100が積層体内にサブ体積を含む。個々のシンチレーションファイバキャリア501は、積層体を形成するためにそれらの主面で互いに接着結合または機械的に固定されてもよい。例えば、シンチレーションファイバキャリア500の各々は、複数の貫通孔(例えば、
図7に示すように、支持要素510の各角に1つずつ)を含むことができ、複数のシンチレーションファイバキャリア500は、各シンチレーションファイバキャリア上のそれぞれの孔を整列させ、各組の孔に連結棒を挿入し、連結棒の両端部に固定具をねじ込んで、シンチレーションファイバキャリアの積層体を圧縮することによって、積層体に配置することができる。連結棒は、複数のシンチレーションファイバ110および/またはシンチレーションファイバキャリアの積層体に含まれる支持要素の放射線吸収特性と同様の放射線吸収特性を有するように選択され得るプラスチック材料を含み得る。支持要素520が形成される材料は、放射線吸収および/または放射線散乱に関してシンチレーションファイバと同様の放射線学的特性を有するように選択されてもよく、例えばポリスチレンを含んでもよく、または支持要素520による放射線の吸収を最小限に抑えるように選択されてもよい。
【0055】
図7に概略的に示す実施形態では、各シンチレーションファイバキャリア501は、シンチレーションファイバの2つの直交する層112、122を含む。したがって、積層体に含まれる複数のシンチレーションファイバキャリア500の各々は、
図6および
図7に示すz軸の周りで同じ回転方向に配向され、シンチレーションファイバの交互積層された層の積層体を形成することができ、シンチレーションファイバの隣接する層は、(
図7に示すように)直交するファイバ配向を有する。しかしながら、他の実施形態では、各シンチレーションファイバキャリアは、シンチレーションファイバ(例えば、それぞれの支持要素520の一方の側の単一のチャネルに受容される)の単一の層112のみを含み得ることが理解されよう。複数のそのようなシンチレーションファイバキャリア500を同じ回転の向きに配置して、積層体内の複数のシンチレーションファイバのすべてが積層体内の検知領域において第1の方向に略平行に配向された積層体を形成する(
図5に概略的に示した配置と同様の配置を形成する)ことができる。代替的に、複数のそのようなシンチレーションファイバキャリアは、交互のシンチレーションファイバキャリアがz軸の周りで互いに90度オフセットして配向され、シンチレーションファイバの交互積層された層の積層体が形成されるように配置してもよく、隣接する層は直交するシンチレーションファイバ配向を有する。いくつかの実施形態では、積層体内の複数の隣接するシンチレーションファイバキャリア500は、例えば、複数の組のシンチレーションファイバキャリアが交互積層され得るように、各支持要素520の主面に垂直な回転軸(例えば、軸z)に対して同じ回転の向きに配向されてもよく、各組のシンチレーションファイバキャリアは、同じ方向に配向された複数の隣接するシンチレーションファイバキャリア(例えば、1を超える、2を超える、5を超える、または10を超えるシンチレーションファイバキャリア)を含むが、隣接する組は、互いに異なる回転方向に(例えば、z軸における90度の回転で)配向される。
【0056】
検知領域100が積層体内に配置された複数のシンチレーションファイバキャリア500を含む実施形態では、積層体内のシンチレーションファイバへの複数の光検出器素子の結合は、本明細書にさらに記載するアプローチに従うことができる。例えば、検知領域100が、それぞれ直交配向に略平行に配向された第1の組のシンチレーションファイバ110および第2の組のシンチレーションファイバ120を含む場合、第1の光検出器201および第2の光検出器202が、
図4に概略的に示すように、それぞれ第1の組のシンチレーションファイバ110および第2の組のシンチレーションファイバ120の各々の第1の端部が終端する積層体/検知領域100の第1の放出面および第2の放出面に結合されてもよい。積層体/検知領域100の1つ以上の外面は、本明細書でさらに説明するように機械加工されてもよい。
【0057】
本明細書にさらに記載するように、線量計10は、コントローラを備えてもよく、または適切なデジタルもしくはアナログコネクタを介してコントローラに接続されるように構成される。コントローラは、複数の光検出器領域から受信した信号の収集および処理のための1つ以上のルーチンを実装するソフトウェアを実行するように構成された汎用コンピュータを備えることができ、さらに、線量計10の検知領域100が受けた放射線量の空間分布の表現を再構成するための1つ以上のルーチンを実装するソフトウェアを実行することができる。線量計10の1つ以上の光検出器に含まれる複数の光検出器領域からの信号の収集、これらの信号のデータ(例えば、1つ以上の画像またはアレイ)への処理、および前記データからの放射線量の空間分布の再構成は、別個のコントローラ/コンピュータによって実行される処理ステップを含むことができ、これらのステップの各々から生じる情報は、1つ以上のさらなるコントローラ/コンピュータによって実行されるさらなるステップのために、適切なデータ送信プロトコルを介して(例えば、ローカルエリアネットワークを介して)送信されることが理解されよう。線量計10に含まれるコントローラは、いくつかの実施形態では、複数の光検出器領域から信号を受信する機能のみを実行することができ、線量計10の検知領域100が受けた放射線量の空間分布の表現の再構成は、線量計から物理的に分離され得るさらなるコントローラによって実行され得る。
【0058】
線量計の1つ以上の光検出器に含まれる複数の光検出器領域から受信した信号に関する情報に基づいた、線量計10の検知領域100が受けた放射線量の空間分布の再構成は、本明細書でさらに説明するように、様々な異なる様式で実行することができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、線量計の検知領域100を通って第1の方向に略平行に延びる1組のシンチレーションファイバ110に結合された第1の複数の光検出器領域から、および線量計の検知領域100を通って第1の方向とは異なる第2の方向に略平行に延びるさらなる組のシンチレーションファイバに結合された第2の組の光検出器領域から、(ならびに任意選択的に、さらなるn組のシンチレーションファイバにそれぞれ結合されたさらなるn組の光検出器領域から(さらなるn組のシンチレーションファイバの各々は、検知領域100を通るさらなるn個の方向のうちの1つに略平行に延びる複数のシンチレーションファイバを含み、その各々は第1および第2の方向とは異なる))、信号を収集するように構成される。しかしながら、他の実施形態では、コントローラは、線量計の検知領域100を通って第1の方向に略平行に延びる1組のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域から、第1の組の信号を収集し、複数のシンチレーションファイバが第1の方向に対して異なる配向で延びるように、検知領域100の回転(例えば、
図2、
図4および
図6に示すz軸の周りに)後に同じ複数のシンチレーションファイバに結合された同じ複数の光検出器領域から、さらなる組の信号を収集するように構成される。一般に、第1および第2の組の信号の収集間の複数のシンチレーションファイバの回転は、複数のシンチレーションファイバが略平行に配向されている方向に対して略直交して配向された軸(例えば、
図2、
図4、
図5および
図6の参照配列のz軸)の周りの回転を含む。したがって、重要であると考えられ得るものは、線量計10が、複数の異なるそれぞれの配向に略平行な方向に沿って延びる1つ以上の複数のシンチレーションファイバに結合された光検出器素子から信号を収集することを可能にするように構成されていることであり、これは、検知領域内にn個の方向の各々についてn組のシンチレーションファイバが存在するように、各配向に略平行に配向された別個の複数のシンチレーションファイバを提供することによって達成されてもよく、および/または、1つ以上の組の略平行なシンチレーションファイバを複数の回転ステップを通して回転させ、各回転ステップにおいて、各組のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域から信号を収集することによって達成されてもよいことが理解されよう。光検出器領域からの信号の取得の間に、1つ以上の組の略平行なシンチレーションファイバを回転させることにより、検知領域100内に物理的に画定されるよりも多数のシンチレーションファイバ方向について、コントローラによって信号を収集することが可能になる。例えば、(
図5に概略的に示すように)第1の方向に略平行に配向された第1の複数のシンチレーションファイバ110を有する線量計の検知領域100は、第1および第2の組に含まれるシンチレーションファイバ110に結合された複数の光検出器領域から、第1および第2の組の信号をコントローラが取得する間に、90度(すなわち、z軸の周りに)回転することができる。これは、各方向に対して異なる組のシンチレーションファイバを物理的に設ける必要なく、検知領域を通って異なる方向にそれぞれ略平行に配向されたシンチレーションファイバの組に結合した光検出器の光検出器領域によって信号を収集することを可能にする効果を有すると考えられ得る。静的構成(検知領域が回転しない場合)と比較した場合、光検出器領域による信号の収集間または収集中に回転を導入することにより、<n個の別個の組のシンチレーションファイバを使用してn個のファイバ方向についてデータを収集することが可能になり、各組は、単一の方向に略平行に配向された複数のシンチレーションファイバを含む。同様に、検知領域100が2組以上のシンチレーションファイバを含み(
図2、
図4および
図6に概略的に示すような2組のシンチレーションファイバを有する実施形態など)、各組が検知領域100内の異なる方向に略平行に延びる複数のシンチレーションファイバを含む場合、検知領域100はn回の回転ステップで(例えば、z軸の周りに)回転することができ、各回転ステップの間に、各組のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域から(例えば、
図4に概略的に示す光検出器201、202の各々の光検出器領域から)、コントローラによって信号が受信される。
【0059】
検知領域100内の第1の方向に略平行に配向された複数のシンチレーションファイバに結合された光検出器領域から信号が収集され、第1の方向に略直交する検知領域100内の第2の方向に略平行に配向された複数のシンチレーションファイバに結合された光検出器領域から信号が収集される場合(線量計が検知領域内の異なる方向に配向されたファイバを含むかどうか、および/またはコントローラによる光検出器領域からの信号の収集の間に90度回転されるかどうかにかかわらず)、以下のアプローチを使用して、受信信号に基づいて(例えば、コントローラまたはコントローラからデータを受信するように構成された別のコントローラを使用して)検知領域100内の受けた線量の3次元分布の表現を再構成することができる。
【0060】
本開示による線量計の検知領域100における放射線量の空間分布表現のコントローラによる再構成は、
図2に示すx、y、z座標系などの座標系に従って説明され得る線量マップを含み得る(ただし、x、yおよびzの方向は例示的なものであり、例えば、z方向は線量計10の垂直方向に必ずしも対応しないことが理解されよう)。線量マップは、3Dマトリックス値を含むことができ、マトリックス内の所与の位置x1’、y1’、z1’における値は、線量計の検知領域100内の対応する位置x1、y1、z1で受けた推定放射線量の表現である。線量マップは、体積画像として表すことができ、3D画像/体積内の位置x1’、y1’、z1’を中心とするボクセルは、線量計の検知領域100内の対応する位置x1、y1、z1で受けた推定放射線量の表現である。スケーリング係数は、検知領域内の座標系の寸法スケールと、マトリックスまたは3D画像の形態の再構成された線量マップの寸法スケールとの間に適用され得ることが理解されよう。
【0061】
図8は、
図2に示すような検知領域100を通るxy平面の表現を概略的に示す。積分時間tにわたって受けた、所与の深さzにおける、検知領域を通るxy平面内の放射線の2D線量は、関数によって記述することができる。
【数1】
【0062】
式中、f(x,y)は、xy平面内の任意の位置における線量を与える。
図8を参照すると、y方向に略平行に配向され、光検出器領域に結合された1つ以上のシンチレーションファイバから前記光検出器領域に到達する光子に基づく、位置x
iを中心とする1つ以上の光検出器領域で積分時間t中に生成された信号の和は、前記シンチレーションファイバが受けた線量に比例し、F
1(x
i)で表すことができる。
【数2】
【0063】
同じ原理が直交方向の場合にも当てはまり、y
jを中心とする1つ以上の光検出器領域の信号の和は、F
2(y
j)で表すことができる:
【数3】
【0064】
x
iおよびy
jはまた、それぞれy方向およびx方向に略平行に配向されたシンチレーションファイバの第1の端部の座標を記述するために利用され得ることも理解されよう。f
1(x
i)およびf
2(y
j)の値は、それぞれ以下の関数で表すことができる。
【数4】
【数5】
【0065】
これらの関数の積は、検知領域100内の点x
i,y
jにおける再構成線量を与える。
【数6】
【0066】
最後の式の分母は、検知領域100内の所与の深さzにおいて測定された総線量であり、これは、
【数7】
または
【数8】
のいずれかで表すことができ、検知領域100内の点x
i,y
jにおける再構成線量の式を以下のように与えることができる。
【数9】
【0067】
検知領域内のすべての深さzについてf(xi,yj)を再構成することにより、積分期間t中に検知領域100で受けた空間線量分布の3D再構成(すなわち、期間t中に受けた放射線量の線量マップ)がもたらされる。
【0068】
この方式による1つ以上の線量マップの再構成は、線量計に含まれるコントローラ、または当業者に知られている任意の適切なアプローチに従って(例えば、C、C++、Python、IDLまたはMatlabなどの適切な汎用プログラミング言語で命令を符号化することによって)上記の計算を実行するように構成された別個の装置(例えば、複数のCPUおよび/もしくはGPU要素を備える汎用コンピュータ、またはスーパーコンピュータクラスタ)に含まれるコントローラによって実行することができる。
【0069】
当業者に知られている他の計算再構成アプローチを適用して、n組の信号から線量マップを再構成することができ、各組の信号は、検知領域を通ってn個の異なる方向のうちの1つに略平行な方向に沿って検知領域を通って延びる複数のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域から受信した信号を含むことも理解されよう。一般に、n組の信号は、同じ平面(例えば、
図2に示すxy平面)に拘束され、同じ交点で交差する、n個の方向に略平行に配向されたシンチレーションファイバについて得られ、n個の方向のうちの連続する方向間の角度は、一般に、360/2n度に設定される(ただし、方向は、任意の適切な方式に従って選択することができ、均一な回転オフセットにある必要はない)。方向の数は当業者によって決定されてもよく、典型的には、収集された信号から再構成された線量マップの空間分解能を高めるために、より多くの固有の方向が使用される。1組の信号が、n個の方向のうちの第1の方向に略平行な方向に沿って検知領域100を通って延びる複数のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域から、コントローラによって積分時間t中に収集され、これが、n個の方向の各々について繰り返されて、n個の方向の各々について1組の光検出器領域信号が得られる(線量計のすべての光検出器領域からの信号の収集は略同時であり得ることに留意されたい)。本明細書にさらに記載するように、これは、n組のシンチレーションファイバを含む検知領域100を線量計に設けることによって達成することができ、この場合、各組はn個の方向のうちの1つの異なる方向に略平行な方向に沿って検知領域100を通って延びる複数のシンチレーションファイバを含み、および/またはn組未満のシンチレーションファイバを有する線量計を設けることができ、検知領域100がn個の方向に直交する回転軸の周りにいくつかの回転ステップを通して回転され、各回転ステップの間に光検出器素子から信号が収集される。検知領域100を通って延び、n個の方向のうちの所与の方向に略平行に配向されたシンチレーションファイバに結合された光検出器領域が、所与の方向に直交して配向されたアレイに配置されている場合、特定の積分時間t中に各光検出器領域から受信した信号の強度を表す値の2Dアレイ(すなわち、画像)は、コンピュータ断層撮影の分野から知られている放射線写真に類似していることが理解されよう(各光検出器領域で生成された信号は、光検出器領域に結合され、光検出器領域のアレイに略直交して配向された1つ以上のシンチレーションファイバに沿って受けた線量の積分に比例する)。したがって、検知領域100で受けた放射線量の3D線量マップを再構成するために、当業者に知られているフィルタ補正逆投影(ラドン変換を使用する)または反復再構成などの既知の3D再構成方式を、そのような値の2Dアレイの組に適用することができ、各値は、n個のシンチレーションファイバ配向の1つの異なる方向について複数の光検出器領域によって受信された信号を表す。
【0070】
いくつかの実施形態では、線量計10は回転線量計を含み、回転線量計において、コントローラ600は、検知領域を通って第1の方向に略平行に延びる複数のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域から信号を収集することを可能にするために、検知領域100を回転させることができ、信号の組は、線量計10の外側の基準フレームに対する第1の方向のそれぞれの異なる配向について収集することができる。検知領域100を通って延びるシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域からの信号の組の取得の間に検知領域100を回転させる一般的な原理を本明細書でさらに説明する。
図9は、検知アセンブリ710を含むシンチレーションファイバの積層体が支持要素720に回転可能に取り付けられている回転線量計10の実施形態を概略的に示す。検知アセンブリ710は、典型的には、本明細書でさらに説明するような、その例が
図2、
図4、
図5および
図6に概略的に示されている)、検知領域100を含むシンチレーションファイバの配置を含む。検知アセンブリ710は、典型的には、検知アセンブリ710に含まれる複数のシンチレーションファイバに結合された複数の光検出器領域を各々が含む1つ以上の光検出器(
図4に概略的に示す光検出器201、202など)も含む。本明細書でさらに説明するように、検知アセンブリ710は、検知領域100と、検知領域100を通って第1の方向に略平行に延びる第1の複数のシンチレーションファイバとを含み、任意選択的に、検知領域100を通って、第1の方向とは異なる1つ以上のそれぞれのさらなる方向の各々に略平行に延びる1つ以上のさらなる複数のシンチレーションファイバを含み得る。検知アセンブリ710は、ステッパモータなどの回転アクチュエータ740に機械的に結合された回転要素730に取り付けられている(ただし、任意の適切なモータまたは回転アクチュエータを使用することができる)。
図9に示す例では、シャフト730が検知アセンブリ710に結合され、シャフト730は、軸受(図示せず)を介して支持要素/ベースプレート720に取り付けられている。シャフト730は、検知アセンブリ710を支持し、シャフト730の軸周りに回転自由に検知アセンブリ710を拘束する。シャフトは、回転アクチュエータ740からの回転駆動が検知アセンブリ710の回転を引き起こすように、適切なギヤ配置またはプーリ配置によって回転アクチュエータ740の出力シャフト750に接続されている。このような配置により、回転アクチュエータ740からシャフト730に駆動をギヤダウンするように構成することができる。回転エンコーダ760(シャフトエンコーダなど)は、好ましくは、検知アセンブリ710の回転位置に関する情報を提供するために、出力シャフト750に、またはモータと検知アセンブリ710との間の駆動システム(例えば、ギヤトレイン)内の別の回転要素に結合される。コントローラ600などのコントローラは、適切なデジタルまたはアナログインターフェースによって回転アクチュエータ740および回転エンコーダ760に結合され、回転エンコーダ760からの出力を監視することによって、シャフト730の回転軸周りに検知アセンブリ710の角度位置を可能にするように回転アクチュエータ740を駆動するように構成される。一般に、検知アセンブリ710の回転軸は、検知アセンブリ710に含まれる検知領域100の幾何学的中心を通過するように構成される。
図9に概略的に示す特定の配置は例示的なものであり、いくつかの実施形態では、配置は異なって構成され得ることが理解されよう。例えば、回転アクチュエータ740の出力シャフト750は、出力シャフト750と検知アセンブリ710との間にギヤ配置またはプーリ配置を介在させることなく、検知アセンブリ710に取り付けられてもよい。本明細書にさらに記載するアプローチに従って、コントローラ600が複数の異なるシンチレーションファイバ配向の信号を収集および再構成することを可能にするために、回転線量計アセンブリを使用することができる。放射線ビームが1つ以上の光検出器を通過するのを回避するために、治療計画の特徴付け中に検知アセンブリ710を回転させることが有効であると考えられ得る。
【0071】
本明細書にさらに記載するように、本開示による線量計10の1つの使用は、IMTSまたは粒子線治療による治療の治療計画を検証することであり、前記治療計画は、患者内の治療領域に1つ以上の放射線ビームを導くことを含む。治療計画は、同時にまたは異なる時間に治療領域に複数のビームを導くことと、患者内の所定の空間分布にわたって所定の放射線量の送達を試みるためにビームの強度を任意選択的に変調することとを含み得る。治療計画は、一般に、腫瘍または病変の部位(すなわち、治療部位)に最大放射線量を送達し、治療部位の周囲の健康な組織における放射線量を最小限に抑えることを試みるように設計される。本開示による線量計は、線量計の検知領域内の放射線量の3D再構成(すなわち、線量マップ)を取得し、放射線量の空間分布を示し、それを、例えば患者の身体のCTまたはMRI画像に基づく数学的モデリングによって決定される治療計画のための放射線量の予測される空間分布と比較することによって、受けた放射線量の空間分布を検証するために使用することができる。
【0072】
使用中に、線量計10は、線量計の検知領域100が放射線量が送達される空間領域と整列するように、放射線量を送達するために使用される装置に対して所定の位置に配置される。例えば、線量計は、治療計画の送達中に患者が配置される作動治療テーブルに取り付けられてもよい。線量計の検知領域に対して既知の位置に配置された線量計10上の基準マーカ(図示せず)を使用して、検知領域100が、治療計画の送達中に患者の治療部位が配置される体積領域と空間的に(例えば、完全にまたは部分的に)整列するように、線量計10を整列させることができる。検知領域100のサイズおよび形状は、治療部位および周囲組織に対応する体積を包含するように構成されてもよく、場合によっては、治療される身体の全体(例えば、頭部、胴体または肢部)と同様のサイズおよび/または形状であるように構成されてもよい。次いで、患者に適用される治療計画は、ビームの入射方向およびビームパラメータ(例えば、加速電位)が治療計画に従って変調された状態で、1つ以上の放射線ビーム(例えば、1つ以上の高エネルギー陽子ペンシルビーム)を検知領域100内に導くことによって、線量計10の検知領域100に適用される。治療計画中、線量計10は、コントローラ600によって制御されて、本明細書にさらに記載するアプローチに従って線量計に含まれる複数の光検出器領域のそれぞれから信号を収集する。信号は、連続的に光検出器領域から収集されてもよい。例えば、光検出器領域は、33ミリ秒ごとに各センサ画素からコントローラによって信号が受信され、信号は、前記センサ画素に結合された1つ以上のシンチレーションファイバから受信したセンサ画素における光子計数に比例するように、センサ画素のアレイに対して例えば30フレーム毎秒のフレームレートを有する、1つ以上のCMOS光検出器のセンサ画素を含むことができる。コントローラは、ローリングシャッタ方式に従って光検出器から信号を読み取ることができる。各光検出器領域(例えば、1つ以上のセンサ画素)から受信した信号は、治療計画の期間以下であり得る積分期間にわたってコントローラ600によって積分され得る。非回転線量計100(すなわち、コントローラ600からの入力に基づいて検知領域100を回転させる回転アクチュエータ740を含まない)の場合、線量マップが治療計画の送達中に検知領域100で受信した全線量を表すように、各光検出器領域の治療計画にわたる積分信号は、(本明細書でさらに説明するアプローチに従う)線量マップの再構成のための入力として使用され得る。他の例では、各光検出器領域から受信した信号は、治療計画の期間よりも短い積分期間にわたってコントローラによって積分されてもよい。治療計画(またはその一部)は、複数回繰り返されてもよく、線量計の検知アセンブリは治療計画(または一部)の各反復間で回転され、その結果、コントローラは、治療計画の各反復について検知領域を通って異なる方向に略平行に延びるシンチレーションファイバのそれぞれの組に結合された光検出器領域から信号の組を受信することができる。このようにして取得された信号を表すデータを使用して、本明細書にさらに記載される再構成アプローチ(例えば、直交シンチレーションファイバ配向について
図8に関連して説明したアプローチ、および/または直交または非直交ファイバ配向のいずれかについてのフィルタ補正逆投影もしくは反復再構成アプローチなど)の1つを使用して線量マップを再構成することができる。
【0073】
本開示による線量計のさらなる使用は、陽子線写真または断層撮影プロトコルにおけるものであり、撮像される対象物を直に通過するのに十分高いエネルギーの陽子を含む複数の陽子ペンシルビームが、上述の線量計で検出され得る。陽子ビームがそれらの別個の経路に沿って遭遇する組織の阻止能の空間的変動に起因して、陽子は異なる残余飛程を有して出現する。この情報は、
図10に示すように線量計の各ビームの透過の深さを記録することによって見出すことができる。この情報は、陽子線治療によって治療される領域の陽子線-放射線写真を構築するために使用することができる。
【0074】
このようにして撮像される対象物の関心部位は、ヒトもしくは動物の身体の全体もしくは一部、または特徴付けの関心対象である任意の他の対象物であり得る。
図10は、陽子線源(図示せず)が、高エネルギー陽子線1の1つ以上のペンシルビームを人体の一部2(この例では頭部)を通って導くように配置される配置を概略的に示す。本明細書に記載の線量計10は、陽子ビーム1の経路と一致して、撮像される部分の反対側に配置される。この構成における線量計10は、陽子検出器として機能すると考えられ得る。陽子ビーム1が撮像される部分を通過した場合、撮像される部分を通過する陽子(すなわち、撮像される部分内で静止に至らない)は、本明細書にさらに記載するアプローチによる検出のために(すなわち、1つ以上の光検出器を使用して、線量計10内のシンチレーション事象から光子信号を検出することによって)線量計10によって捕捉され得る。撮像される部分を通過した「透過」光子ビームのエネルギー特性は、入射ビームの初期エネルギー特性、ならびに撮像される部分を通る陽子ビーム経路に沿った材料の陽子吸収特性および/または陽子散乱特性の関数となる。したがって、陽子線源と線量計10との間の所与の経路線上の位置xにおける残余陽子エネルギーは、初期陽子エネルギー(すなわち、エネルギー降下)の関数として、陽子線源と位置xとの間の経路に沿った陽子減衰の線積分を表すと考えることができる。撮像される部分を通る所与の線経路上の陽子の残余エネルギーは、本開示による線量計10によって特徴付けることができる。
【0075】
図10は、ビーム1(例えば、ペンシルビーム)に含まれるいくつかの概念的な平行陽子ビーム経路を示し、それに沿って光子が撮像される部分2を通過し、線量計10によって捕捉される。陽子のブラッグ特性の結果として、所与の経路に沿った線量計への陽子透過距離は、線量計材料の減衰特性、および前記経路に沿って移動する陽子の残余エネルギーの関数である。残余陽子が有するエネルギーが多いほど、残余陽子は線量計10に(すなわち、本明細書でさらに説明するように、検知領域に)さらに透過する。線量計の陽子減衰特性が事実上均一であると仮定すると、所与のビーム経路に沿った陽子透過距離(線量計10の検知領域内にある前記経路の部分に沿った蓄積エネルギー分布によって定量化される)を初期ビームエネルギーと共に使用して、撮像される部分を通る前記経路に沿った陽子減衰の線積分を定量化することができる。このようにして、(本明細書にさらに記載のアプローチ、すなわち、静的または回転構成に従って)線量計を使用して、透過陽子ビームのエネルギーを空間分解して特徴付けることができる。したがって、ビーム形状および線量計位置に関する情報を使用することによって、放射線写真を再構成することができ、この場合、画素強度値は撮像される部分を通る陽子減衰の線積分を表す。陽子線源および線量計10が撮像される部分周りの角度の異なる位置に移動され、各角度位置について陽子ビーム1の陽子減衰が線量計10によって特徴付けられる場合、得られた陽子線写真の組を使用して、当業者に知られている断層撮影アプローチを使用して撮像される部分内の陽子減衰の3Dマップを再構成することができる。撮像される患者/対象物が陽子ビーム内で回転される場合、ビームが通過する患者の領域内の組織構造の3D画像は、X線CT撮像に類似し、当業者に知られている技術(例えば、フィルタ補正逆投影または代数的再構成)を使用して、線量計によって得られた放射線写真に基づいて再構成することができる。そのような陽子線写真/断層撮影アプローチは、放射線治療による治療の治療計画段階で使用するために患者の治療部位を表す画像データを取得するために使用されてもよく、および/または陽子線治療中に(陽子線が患者を透過していないことを検証することによって)ビームエネルギーが高すぎないことを検証するために使用されてもよい。これらの技術は、陽子と同様のブラッグ特性を示す他の放射線の種類を使用した撮像に使用され得ることが理解されよう。
【0076】
したがって、検知領域内で第1の方向に略平行に延び、第1の方向に垂直な平面内で2次元アレイに配置された複数のシンチレーションファイバと、シンチレーションファイバのそれぞれにおける放射線相互作用事象に応答して、対応するそれぞれの光検出器領域に対する信号を生成するために、複数のシンチレーションファイバのそれぞれに結合された複数の光検出器領域を含む光検出器とを備え、光検出器領域から信号を受信し、複数の光検出器領域からの信号が、複数のシンチレーションファイバのうちの異なるシンチレーションファイバに放射線相互作用事象があったことを示す程度に基づいて、検知領域における放射線量の空間分布を決定するように配置されたコントローラをさらに備える、検知領域内の放射線量の空間分布を特徴付けるための線量計の実施形態が記載されている。
【0077】
本明細書に記載の様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解および教示を支援するためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的および/または排他的ではない。本明細書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲に対する制限または特許請求の範囲の均等物に対する制限と見なされるべきではなく、特許請求された発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、修正を行うことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組み合わせを適切に含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。さらに、本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求され得る他の発明を含み得る。
【国際調査報告】