(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】水の脱塩のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20240301BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20240301BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20240301BHJP
B01D 61/10 20060101ALI20240301BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20240301BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C02F1/44 G
B01D61/02 500
B01D61/04
B01D61/10
B01D61/08
B01D61/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023553191
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 NO2022050055
(87)【国際公開番号】W WO2022186698
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523329367
【氏名又は名称】エフサブシー エイエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーグレサング、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ピンチイン、デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA01B
4D006JA51Z
4D006JA53Z
4D006JA62Z
4D006JA67A
4D006JA67Z
4D006KA01
4D006KA13
4D006KB14
4D006KE06R
4D006KE30R
4D006PA01
4D006PA04
4D006PB03
4D006PC80
(57)【要約】
流れの方向において以下の機器機構又は機器品目:海中海水入口と海中フィルタ及び/又は海中海水前処理ユニット及び/又は海中粗目スクリーン・ユニット及び/又はハイドロサイクロンのうちの1つ又は複数を少なくとも含む海中前処理段と海中給水ポンプであって、海中ROユニット、ROユニット生産出口に流体結合されている海中生産ポンプ、海中生産ポンプに流体結合されている生産ライン及び好ましくは廃棄物ラインに結合されているROユニット廃棄物出口に流体結合されている海中給水ポンプとを備える、海水又は他の塩水から脱塩水を生産するためのシステム。システムは海中海水入口が海水の水温躍層の下方又は内部の深さにあり、即ち表海水層の下方又は局所的な深さが水温躍層に到達するのに不十分である場合に実現可能な限り近くにあり、システムが好ましくは海中ポンプへのいかなるバリア流体供給も伴わないことを特色とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水又は他の塩水から脱塩水を生産するためのシステムであって、典型的な流れの方向において、以下の機器機構又は機器品目:
海中海水入口と、
海中フィルタ及び/又は海中海水前処理ユニット及び/又は海中粗目スクリーン・ユニット及び/又はハイドロサイクロンのうちの1つ又は複数を少なくとも含む海中前処理段と、
海中給水ポンプであって、
海中ROユニット、
ROユニット生産出口に流体結合されている海中生産ポンプ、
前記海中生産ポンプに流体結合されている生産ライン、及び
好ましくは廃棄物ラインに結合されているROユニット廃棄物出口
に流体結合されている海中給水ポンプと
を備え、
前記海中海水入口が、前記海水の水温躍層の下方又は内部の深さにあり、すなわち表海水層の下方、又は局所的な深さが前記水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにあり、
前記システムが、海中ポンプへのいかなるバリア流体供給も伴わないことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記海水の前記水温躍層の下方又は内部の深さに配置されており、すなわち前記表海水層の下方、又は前記局所的な深さが前記水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにある1つ又は複数の海中処理ポッドを備え、
前記海中処理ポッドが、動作可能に配置されている機器品目を含み、前記機器品目が少なくとも上記で定義された前記機器品目又は機器機構から選択され、
前記処理ポッドが回収可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ポッドが、処理ポッド上に動作可能に配置されている回収可能な機器品目を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
好ましくは前記処理ポッドの下流の各処理ポッドの端部又は前記海中入口の配置の少なくとも一方において、水平及び/若しくは垂直に方向付けられるフローライン又はパイプ部分のための、クランプ付き又は無しの海中接合可能フローライン結合部を備えることが好ましい海中接合可能流体接続部を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
フローライン結合部を接合し、及び分離するための、好ましくは軽ワーク・クラスROVによる、ROV操作可能海中クランプ接続具を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前置ろ過ユニット機器機構と前記処理ポッドとの間の結合部中にスタブを備える、請求項1から5までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ポッドのいくつか又はすべての上の処理ポッド・フレームであって、回収及び設置のために前記処理ポッドを持ち上げるための構造体であり、展開及び回収の間に飛沫帯を通じて前記機器機構を保護するための構造体であり、海底にあるときにはトロール保護でもある処理ポッド・フレームを備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記フレームが、輸送、設置、及び回収を促進するために、バラスト及びデバラスト用のタンク並びに/又は発泡系の浮力を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ガイドポスト、結合部品、及び/又は機器機構の上に配置されている、位置決めするためのトランスポンダを備える、請求項1から8までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
制御システムに結合され、設置及び/又は保守点検の船から監視可能である、機器品目及び/又は処理ポッド上のカメラを備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載のシステムの設置、運転、及び/又は保守点検のための方法において、任意の組合せで、以下の特徴:
処理ポッドを箇所まで水上曳航、又は他の手段で輸送するステップと、
空気で満たされたバラスト用のタンクを伴う前記処理ポッドを設置するステップであって、それにより、前記バラスト・タンクが、負の浮力が適したレベルに到達するまで連続的に空にされ、その後に前記処理ポッドが、好ましくは位置決め制御のためのトランスポンダ及び/又はカメラを用いて、箇所に展開される、設置するステップと、
前記処理ポッドを海底上のより恒久的な構造体に接続するときに、軽ワーク・クラスROVによって接合可能な1つ又は複数のROVフリー結合を使用するステップと、
前記処理ポッドを前記海底上のより恒久的な構造体から切断するときに、軽ワーク・クラスROVによって接合可能な1つ又は複数のROVフリー結合を使用するステップと、
前処理ユニット機器品目を設置又は回収するときに、ROVフリー結合又は切断するステップと
のうちの1つ又は複数を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
逆浸透のための運転のときに、通常の実行よりも低い差圧、典型的には0.7~1バール(70kPa~100kPa)で給水ポンプを使用するステップであって、好ましくは一方で、前記差圧が、典型的には1~2バール(100kPa~200kPa)まで周期的に増加し、それによって著しい圧力を有する前記廃棄物が、フィルタのバックフラッシュ及び前記前処理ユニットのハイドロサイクロンへと導かれる、使用するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ROユニットの陸地での最大推奨回復率の15~70%、好ましくは最大推奨回復率の約20~40%又は約30%の低い回復率で、前記システムを運転するステップ
を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱塩水又は浄水又は淡水、すなわち塩分量0.3%未満の水の生産に関する。当該水は、塩水、すなわち塩分量3~5%の水から生産され、典型的には、塩海、大洋、若しくはフィヨルド若しくは湾からの水、又は汽水、すなわち塩分量0.3%~最大3%の水から生産され、或いは代替的に汚染水から生産される。本発明は、そのような生産のためのシステム又はプラント、設置のための方法、本発明のシステムの運転及び/又は保守点検に関する。
【背景技術】
【0002】
淡水は、限られた資源であり争いの主な源になることがある。国連の持続可能な開発目標6において「水は、持続可能な開発のための2030アジェンダの心臓部である。水は、我々の生活、我々の健康、我々の環境、及び我々の経済を下支えする。水を持続可能に管理することは、現在の世代だけでなく、来るすべての世代の未来に投資することである。このねらいは、すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保することであり、世界を誰一人取り残さない強靭な道筋に移行させるために不可欠である。」と明示的に記載されている。
【0003】
すべての水の1%未満が、地表又は地下の水源から容易に入手可能な淡水であり、そのうちの約70%が農業に使用されている。対照的に、すべての水の約97%が塩水である。
【0004】
脱塩は、塩水又は汽水中の溶解塩の含有量を低減させる工程である。直近数十年の間に、逆浸透は、より効果的な逆浸透膜とより効果的なエネルギー回復の導入とによる著しいコスト削減に主に起因して、脱塩のための最も適した方法になってきた。
【0005】
逆浸透は、逆浸透膜の塩側から、半透膜、より低い塩分量の側まで水分子を拡散させることであり、浸透圧力水頭を超える圧力まで塩側流体を加圧することによって実現される。半透膜は、水分子が通って拡散することを可能にするが、より大きな分子、又はイオンであり、凝集され、若しくは半透膜を通った拡散を防止する他の特徴をもつ分子は可能にしない。逆浸透膜の基本的な設計は、米国特許公開第4277344号に記載及び図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】2011年12月30日出版、Journal of Geophysical Research、116巻、「Production and fate of transparent exopolymer particles in the ocean」
【非特許文献2】https://www.nature.com/scitable/knowledge/library/the-biological-productivity-of-the-ocean-70631104/
【非特許文献3】https://www.sciencedirect.com/topics/chemistry/osmotic-pressure
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
長年にわたる包括的な努力及び改善にもかかわらず、未だに、逆浸透による淡水の生産のための改善されたシステム及び方法、並びに逆浸透による製品の運転及び使用の方法に対する需要がある。取水、腐食、大きな消費電力、大きなエリア要件、大きな運転及び保守点検コスト、大きな労働要件、及び運転の安定性の欠如を伴う課題が、改善の可能性のある分野の一部である。本発明の目的は、改善の可能性のある分野のうちの1つ又は複数に対するプラスの効果を有する構造体、方法、及び/或いは使用を提供することによって、この需要を満足させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、海水又は他の塩水から脱塩水を生産するためのシステムであって、典型的な流れの方向において、以下の機器機構又は機器品目:
海中海水入口と、
海中フィルタ及び/又は海中海水前処理ユニット及び/又は海中粗目スクリーン・ユニット及び/又はハイドロサイクロンのうちの1つ又は複数を少なくとも含む海中前処理段と、
海中給水ポンプであって、
海中ROユニット、
ROユニット生産出口に流体結合されている海中生産ポンプ、
海中生産ポンプに流体結合されている生産ライン、及び
好ましくは廃棄物ラインに結合されているROユニット廃棄物出口
に流体結合されている海中給水ポンプと
を備えるシステムを提供する。
【0010】
システムは、
海中海水入口が、海水の水温躍層の下方又は内部の深さにあり、すなわち表海水層の下方、又は局所的な深さが水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにあり、
システムが、好ましくは海中ポンプへのいかなるバリア流体供給も伴わない
ことを特色とする。
【0011】
好ましくは、システムは、
海水の水温躍層の下方又は内部の深さに配置されており、すなわち表海水層の下方、又は局所的な深さが水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにある1つ又は複数の海中処理ポッドを備え、
海中処理ポッドは、少なくとも上記で定義された機器品目又は機器機構から選択され、動作可能に配置されている機器品目を含み、
処理ポッドは回収可能である。
【0012】
好ましくは、システムは、海中ポンプへのいかなる外部バリア流体供給も伴わず、ポンプは単に、プロセス・トレイン流体が入ること、プロセス・トレイン流体が出ること、並びに動作可能であるべき電力及び制御を要求する。したがって、出入りするプロセス・トレイン流体(前処理済みの海水、又は生産物である透過水(permeate)/淡水)に加えて、動作可能であるべきポンプのために求められる結合は、電力及び制御からなり、生産ポンプの場合でなくともバリア流体供給は求められない。それによって、全体的なシステム要件及びインフラストラクチャが著しく削減され、求められる運転が著しく簡潔化される。さらに、ポンプからの生産物、生産された淡水の汚染が排除される。
【0013】
この文脈における処理ポッドとは、フレーム構体、ケージ構造体、又はシステムの1つ又は複数の機器品目を支持する支持構造体を意味し、処理ポッド全体は、1つの動作で回収可能である。典型的には、処理ポッド上に配置されている複数の機器品目は、1つの動作で回収可能であり、1つの動作で設置可能である。典型的には、1つ又は2つのフローライン結合部品が含まれており、1つの結合部品は、各処理ポッドのための電力用又は電力及び制御の複合用である。結合部品は、設置中の接合動作によって、及び/又はROV(Remotely operable Vehicle:遠隔操作車両)若しくはROT(remotely Operable Tool:遠隔操作工具)によって、遠隔操作可能であることが好ましい。処理ポッドは、回収可能な、したがって個別に交換可能な機器品目を含むことができる。各処理ポッドは、海底上の、より恒久的な基礎ベースの上に配置されている。
【0014】
システムは、処理ポッド上に動作可能に配置されている回収可能な機器機構を伴う処理ポッドを備えることが好ましい。少なくとも前処理ユニット機器は、処理ポット全体を回収することなく回収可能であることが好ましい。最大で海中生産ポンプへの入口である高い圧力に直面していないすべての機器機構は、いくつかの実施例について回収可能であり得ることが好ましい。しかしながら、多数の実施例においても、海中生産ポンプは回収可能である。
【0015】
システムは、好ましくは処理ポッドの下流の各処理ポッドの端部又は海中入口の配置の少なくとも一方において、海中ホース接続具などの、水平及び/若しくは垂直に方向付けられるフローライン又はパイプ部分のためのクランプ付き又は無しの海中接合可能フローライン結合部を備えることが好ましい、海中接合可能流体接続部を備えることが好ましい。海中接合可能フローライン結合部の商業供給者には、DESTEC、Oilstates、Baker Hughes、Oceaneering、及びOneSubseaが含まれる。
【0016】
システムは、フローライン結合部を接合し、及び分離するための、好ましくは軽ワーク・クラスROVによる、軽ワーク・クラスROV操作可能海中接続具を備えていることが好ましい。軽ワーク・クラスROV、遠隔操作可能車両は、観測クラスROVと重作業用ワーク・クラスROVとの間にあるROVクラスである。軽ワーク・クラスROVは、カメラ機能に加えて、弁操作及び/又はトルク工具操作用の1つのマニピュレータ機能を少なくとも備え、例えば、クランプ接続具を開ける又は閉めるために少なくとも±90℃曲げることができるマニピュレータ・アームを備える。
【0017】
軽ワーク・クラスROVのためのすべてのマニピュレーション動作可能な作業は、本発明のシステムの処理ポッドの1つ又は2つの側面のみから行われることが好ましい。処理ポッドの上には、反力を排除し、軽ワーク・クラスROVの動作を促進させるためのドッキング構造体が設けられることが好ましい。大部分のROV提供者から利用可能な軽ワーク・クラスROVは、ROV周りの重いケージなしで軽い航海船から展開されることができて、より軽い介入船又は航海船が業務を請け負うことを可能にする。相補的な形状の構造体がドッキング構造体の中に当接した状態でROVが前方に押し進んでいるときに、反力が排除され、処理ポッド上のROVによって操作されるべき構造体の位置決めが固定される。システムは、制御盤を備えることが好ましく、この制御盤は、軽ワーク・クラスROVなどのROV用の統合されたドッキング構造体を伴い、好ましくは処理ポッド及び/又は海中処理ポッドからの機器品目の結合・分断を含めた、軽ワーク・クラスROVが操作可能な海中操作作業の大部分又はすべてのための制御装置を伴う。
【0018】
システムは、前置ろ過ユニット機器機構と処理ポッドとの間の結合部中にスタブを備えていることが好ましい。結合部中のスタブは、接合するための回転を要求しない接続部である。接続部中のスタブは釣り合っており、つまり、オス部品及びメス部品のフロー・ポート方向が90°離れて方向付けられており、そうして反力を排除していることが好ましい。結合部中のスタブは、出入り流れ孔を伴う1つの孔又は2つの孔の結合部であることが好ましい。
【0019】
システムは、処理ポッドのいくつか又はすべての上の処理ポッド・フレームであって、回収及び設置のために処理ポッドを持ち上げるための構造体であり、展開及び回収の間に飛沫帯を通じた衝撃から機器機構を保護するための構造体であり、海底にあるときにはトロール保護及び漁網保護でもある処理ポッド・フレームを備えていることが好ましい。
【0020】
フレーム及び/又は処理ポッドは、設置及び回収を促進するために、好ましくは流体力学的な安定性のためフレーム及び/又は処理ポッドの高度の高い箇所に配置されている、バラスト(ballasting)及びデバラスト(de-ballasting)用のタンクを含むことが好ましい。
【0021】
システムは、ガイドポスト、ガイドポスト通風筒、結合部品、及び/又は他の機器品目の上に配置されている、位置決めするためのトランスポンダ或いは同様の機器を備えていることが好ましい。システムはまた、制御システムに結合され、設置及び/又は保守点検の船或いは他の箇所の制御室から監視可能且つ制御可能である、機器品目及び/又は処理ポッド上のカメラ並びに照明を備えることが好ましい。それによって設置及び回収が促進される。
【0022】
本発明はまた、本発明のシステムの設置、運転、及び/又は保守点検のための方法を提供する。本方法は、任意の組合せで、以下の特徴:
処理ポッドを箇所まで水上曳航し又は他の手段で輸送するステップと、
空気で満たされた又は真空のバラスト用のタンクを伴う処理ポッドを設置するステップであって、それにより、バラスト・タンクが、負の浮力が適したレベルに到達するまで連続的に空にされ、その後に処理ポッドが、好ましくは位置決め制御のためのトランスポンダ及び/又はカメラを用いて、箇所に展開され、処理ポッドが、シンタクチックフォームの浮力要素などの発泡系の浮力要素を伴う、設置するステップと、
処理ポッドを海底上のより恒久的な構造体に接続するときに、軽ワーク・クラスROVによって接合可能な1つ又は複数のROVフリー結合を使用するステップと、
処理ポッドを海底上のより恒久的な構造体から切断するときに、軽ワーク・クラスROVによって接合可能な1つ又は複数のROVフリー結合を使用するステップと、
前処理ユニット機器品目を設置又は回収するときに、ROVフリー結合又は切断を使用するステップと
のうちの1つ又は複数を備える。
【0023】
本方法は、
逆浸透のための運転のときに、通常の実行よりも低い差圧、典型的には0.7~1バール(70kPa~100kPa)で給水ポンプを使用し、好ましくは一方で、差圧が、典型的には1~2バール(100kPa~200kPa)まで周期的に増加し、それによって著しい圧力を有する廃棄物が、フィルタのバックフラッシュ及び前処理ユニットのハイドロサイクロンへと導かれるステップ、
ROユニットの陸地での最大推奨回復率の15~70%、好ましくは最大推奨回復率の約20~40%又は約30%の低い回復率で、システムを運転するステップ
をさらに備える。それによって、サービス又は交換の間隔が増大した運転が提供され得る。
【0024】
本発明のシステムの処理ポッドは、光合成及び表面の水との混合が起きるよりも下の深さに置かれることが最も好ましい。これは、水温躍層の下方又は内部の深さを意味する。水温躍層の下方又は内部の海水は、より軽くより暖かい表面の水よりも塩分量が高く、栄養分を消費する光合成がないため栄養分がはるかに高い。
【0025】
非常に驚いたことに、海水入口のみを水温躍層の下方又は内部の深さに置くのではなく、本発明のシステムの処理ポッドの多く又は最も好ましくはすべてを水温躍層の下方又は内部の深さに置くことにより、前処理に対する要件、ROユニットの長期運転がかなり少なくなり、海洋生成物付着と、機器品目及び処理ポッドをスケーリングすることとが低減される。
【0026】
陸地又は海表面の上方の箇所から観測されるように、本発明のシステムは、表面の箇所からの電力及び制御用の1つの単一アンビリカルと、システムの海中部品を海表面の上方の部品と接続する生産物淡水の1つのフローラインとを備えることが好ましい。
【0027】
非常に驚いたことに、海水入口を水温躍層の下方又は内部に有することによって、前処理に対する要件の約40~80%以上の削減が実現され得る。驚いたことに、すべての機器品目と共に処理ポッドを海中に水温躍層の下方又は内部の深さで配置することは、陸地でのユーティリティ要件の大規模な削減及び安全性を高めることなどの、いくつかの要因に関して適している。
【0028】
しかしながら、本発明のいくつかの実施例では、沿岸近くの水が浅い海盆であって、水表面が海表面の下方にあるが、水温躍層の下方又は内部からの海水によってのみ満たされているか、生産された淡水で満たされている沿岸近くの水が浅い海盆が、機器品目のいくつか又は処理ポッドの代替の箇所であり得る。
【0029】
本発明について重大なことは、海水取水並びにさらなる機器品目及び処理ポッドの箇所である。少なくとも海水取水箇所は、システム全体に対する技術的効果が海水取水箇所に予想よりもかなり依存しているため、細心の注意を払って選ばれるべきである。
【0030】
水温躍層が到達可能ではない又はその最も高い部分のみである場合、海水取水の箇所、並びに好ましくはさらなる機器品目及び処理ポッドは、以下の説明のように見いだされ得る。
【0031】
海水入口の箇所及び深さは、その深さでのシルト密度指数(SDI:Silt Density Index)、透明細胞外重合体粒子(TEP:Transparent Exopolymer Particles)、及び/又は光強度が、表面水基準値から、20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、又は最も好ましくは99%以上だけ低減していることを見いだすことにより決定されることが好ましく、少なくとも海水海中入口は、当該深さ又は表面の下方のより深くにあるべきである。当該パラメータの任意の1つ限りを測定するために使用される方法は、着実に進められなければならない。太陽光の強度は、深度間隔で、商業的に利用可能な機器を用いて光強度計測によって決定され得る。透明細胞外重合体粒子(TEP)の濃度は、科学論文、例えば2011年12月30日出版、Journal of Geophysical Research、116巻、「Production and fate of transparent exopolymer particles in the ocean」で説明されるように、TEPを分光光度法で測定することによって決定され得る。TEPは、著しい攪拌及び表面水からの生物物質の混合が起こる場所の下方から、著しく減少することになる。それによって、上記で示したようなTEPの測定は、表面水との混合を回避するためのいくつかの良好な指標のうちの1つである。他の指標は、例えばバクテリア及び植物性プランクトンの濃度である。深度間隔の加工していない未処理の海水のシルト密度指数(SDI)は、膜/フィルタ汚損及び前処理要件に直接相関するため、恐らく最良で最も好ましい指標である。加工していない未処理の海水のSDIは、標準試験法ASTM D4189に従って深度間隔で測定されるものとする。例えば、加工していない未処理の海水の試料は、深さ1m、10m、及び20mで採取され、SDI及び/又はTEPの最高値が基準として使用され、より深いところで加工していない未処理の海水のさらなる試料が採取される。SDI及び/又はTEP及び/又は太陽光強度及び/又は表面水との混合及び/又はバクテリアが、基準値から20%、より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、又は最も好ましくは99%以上だけ低減している深さが、海水海中入口の当該深さである。
【0032】
この文脈において「著しい」という用語は、SDI及び/若しくはTEPに応じて逆浸透型の膜汚損の受けやすさが少なくとも20%低減され、又は太陽光強度が少なくとも20%低減され、並びに/又は混合及び/若しくはバクテリア濃度が少なくとも20%低減された海水を意味する。
【0033】
表面水及び混合層の中のSDI試料は、必ずしも、例えば深さ1m、10m、及び20m、又は5及び15m、又は1、15、及び30mにおいては採取される必要はない。深さの例は、混合層中の表面水についての代表的な結果を確実にするためのものである。水の透明度、混合を引き起こす風、及び他の要因は変動し得、その結果、水温躍層の上方の混合層の深さ又は厚さは、非常に狭い水域中の約10mから、海洋中の少なくとも約100mに至るまで変動することになる。水温躍層は、外洋の暖かい水域中で、深さ約10mから約1000mまでに延在し得る。専門用語についてのより一般的な情報及び海水の条件は、例えば以下で見つけられ得る。
https://www.nature.com/scitable/knowledge/library/the-biological-productivity-of-the-ocean-70631104/
【0034】
1以下のSDI値は、ROユニットのRO膜がコロイド状の汚損なく何年も安定して運転することをもたらすと想定されている。約3のSDI値は、数か月の間隔でのRO膜の洗浄を暗示してもよい。3~5の範囲のSDI値は、数か月から数週間の間隔での洗浄を暗示してもよい。5より大きいSDI値は、脱塩されるべき水の前処理を要求する。混合領域の下方には、必須のフィルタ又は粗目スクリーン・ユニットに加えて、前処理を要求しないか控えめな前処理を要求する非常に清浄な水の地点がある場合がある。表面近傍では、SDIは最大で少なくとも約200であり得る。必ずしも、太陽光強度の減少、又はRO膜の汚損を引き起こす微粒子若しくは懸濁物質の減少の間にはいかなる明確で厳密な相関もある必要がないので、入口深さについての最も信頼性のあるパラメータはSDIであってもよい。これは、不確実な植物性プランクトンの混合、不確実な動物プランクトンの混合、それらの凝集、及びRO膜の汚損を引き起こし、全世界で年間を通じて変動する有機及び無機の他の懸濁物質の含有量による。研究により、透明細胞外重合体粒子(TEP)は、RO膜の生物汚損において重要な役目を果たし得ることが示されている。TEPは、ゲルの特徴をもつ非常に粘着性のある粒子である。これらのゲル粒子は、粒子形状で又は溶解重合体粘液としてのいずれかで、海水中で世界中に豊富に存在することが示されてきた。しかしながら、TEP濃度は、深さと共に減少し、太陽光が減ると共に減少し、藻類の大増殖が減少すると共に減少する。海洋システムでは、TEPの大多数は、活発に成長している植物性プランクトン又は老化した(年を取っている)植物性プランクトンによって放出される溶解した前駆体から、非生物的に(命のない状態で)形成される。TEPはまた、細胞表面粘膜の脱落及び群生マトリクスの崩壊の間にも生成される。しかしながら、1つの特定のエリアの場合、太陽光強度の減少、及び/又は深さパラメータに対する1つ若しくは複数の特定の生物含有量の減少に従って選出される入口深さは、ROユニットに対する効果が予測可能になり、前処理の要件が予測され得るため、十分に信頼性があり得る。微生物によって生産される細胞外高分子物質(EPS:Extracellular polymeric substances)の濃度は、この文脈ではTEPと同義である。SDIは、前処理の要件に直接相関し得、十分な水取水深さを決定するための述べられた他の考えらえるパラメータ及びほぼ確実にはさらなるパラメータが、より直接的に又はあまり直接的ではなく前処理要件に相関し得る。粗すぎる前処理ステップは、細胞を破壊しより多くのTEPをもたらし得るため、前処理要件は、必ずしも選出する前処理の厳密な型式とは等しくはないことに留意されたい。例えば、SDIによる各前処理ステップの下流でのさらなる試験及び試料採取は、適した詳細の全前処理を決定することができる。
【0035】
理論によって境界付けられることは望まないが、より深い栄養分豊富な水の中で生体細胞及び生物物質の濃度が低いことは、水前処理の要件が少なくなるだけではなく、前処理による細胞破壊が少なくなるものでもあり、非常に驚いたことに、細胞及びバクテリアが、栄養分豊富な水の中で粘着性のゲル状の生物汚損を作り出すよりも、むしろ成長し複製することになるため、TEP及び同義のESPの成長性が低い。システムが規定されたように設計され運転される場合、供給水の塩分量が増加する負の効果よりもプラスの効果が高くなる。
【0036】
海中ポンプ、少なくとも海中生産ポンプは、海中ポンプのモータ区画を海中ポンプの水区画から密閉して隔てる磁気結合を備えることが好ましい。モータ区画の中のモータは、モータ・シャフトを介して、磁気結合を通じて接触していないポンプ・シャフトでポンプを駆動する。水区画は、水潤滑軸受からなる軸受を包含し、モータ区画は、モータ区画内に包含されているモータ区画流体による潤滑された軸受、及びそれに結合されている冷却回路からなる軸受を包含する。モータ区画流体のいずれの漏洩も排除され、海中ポンプへのバリア流体供給のいずれの要件も排除される。海中ポンプは、保守点検のための回収なしで、少なくとも2、3、5、8、10年又はそれ以上の運転用に設計されている。最も驚いたことに、海中ポンプは、海中ポンプに結合された電力若しくは電力及び制御信号からなる単に1つ又は2つの結合を通じて操作又は制御され、海中ポンプから生産物へのいかなる汚染も排除される。それによって、ユーティリティ、エリア、及び人材の要件は縮小され、起き得る故障がより少ないため、信頼性が改善される。しかしながら、海中ポンプは任意の適した型式であり得るが、そうすると、自律運転の程度及び/又は安定性若しくは信頼性、排出物質若しくは汚染物質がないこと、並びに得られる長期的なコストの削減は、完全には実現され得ず又は全く実現され得ない。
【0037】
少なくとも海水入口は、しかし好ましくは機器品目及び/又は処理ポッドもまた、深さ40m、60m、80m、100m、150m、若しくは200m、若しくは300mに、又はその下方に置かれることが好ましく、直接の太陽エネルギーでの(光合成による)生体成長がある深さの下方、並びに/又は波が攪拌及び表面近傍の水中の生物物質との混合を強いる深さの下方、並びに/又はSDI及び/若しくはTEPが、混合層中で、表面か表面の近傍での代表的な基準と比較して、少なくとも50%、70%、80%、90%、95%、98%、若しくは99%、若しくは99.5%だけ低減しているところに置かれることが好ましい。本発明のシステムは、水温躍層の中又はその下方に置かれている海水入口を有することが好ましい。
【0038】
本発明のシステムを用いると、陸地での典型的なシステムと比較して、陸地又は逆浸透ユニットの上流の上甲板上の前処理設備を削減することができ、好ましくは、投資、要求されるエリア、CO2排出有り又は無しの消費電力、及び要求される人材の観点で、20%、40%、50%、70%、80%、又は90%以上が削減されると推定は示している。これは、逆浸透にはるかに適した、SDI及び/又はTEPがはるかに低い水質と、海中粗目スクリーン・ユニット及び/又は海中ろ過及び/又は海中前処理ユニットでの海中水前処理の効果との組合せによるものである。
【0039】
本システムの前処理ユニット及び本発明の海水入口は、最小限として、海中フィルタ又は海水粗目スクリーン・ユニットを海中入口に備える。粗目スクリーン・ユニットの開口部は最大限で、100mm、75mm、50mm、25mm、10mm、5mm、2mm、若しくは1mm又はそれより小さい直径又は側部長さを有する。粗目スクリーン・ユニットは、回収又は交換の前に、海中ポンプと同程度に長く動作可能であるように設計されていることが好ましい。粗目スクリーン・ユニットは、犠牲陽極、並びに/又はバックフラッシュ、振動及び/若しくは洗浄用の自律ユニットを備えることが好ましい。いくつかの好ましい実施例では、粗目スクリーン・ユニットは、ろ過に対してmm又はミクロン・サイズに至るまでのものであり得るフィルタによって交換又は補完される。1つの好ましい実施例は、重合体、銅、真鍮、又は他の適した材料から作成されているmm又はミクロンのろ布であり、このろ布は、布が汚れていると、1つのローラから別のローラまで、取水開口部を横切って引き出されるように配置されており、好ましくは、例えばバッテリ駆動の自律駆動、又は例えば海中ポンプ電力供給から電力供給されるステッパモータによって駆動される。システム及び海水入口は、ミクロン・サイズに至るまでろ過するためのろ過ユニットを備えることが好ましい、ろ過装置を少なくとも備える海中海水前処理ユニットをさらに備えることが好ましい。1つ又は複数の海中前処理ユニットは、脱酸素及び/又は消毒及び/又は抗凝固及び/又はスケール防止のための少なくとも1つの注入構成をさらに備えることが好ましく、各注入構成又は複合注入構成は、ベンチュリ投与弁によって、海中ポンプの出口又は入口又はさらに上流に結合されており、或いは任意のさらなるろ過ユニットに到達する前、且つROユニットに到達する前に十分な混合及び滞留時間を可能にする他の位置で結合されていることが好ましい。重力及び/又は上甲板注入ポンプによって駆動される注入ユニットは、電力及び/若しくは制御ライン又はアンビリカルの中に穴として配置されていることが好ましい。
【0040】
本システム及び本発明の海水入口のいくつかの好ましい実施例では、海水取水ラインの上流に、海中海水前処理ユニットが配置されており、及び/又は海水取水ラインとROユニットとの間に、さらなる前処理ユニットが配置されている。これらの前処理ユニットは、ミクロン・サイズに至るまでろ過しバクテリアを除去するためのろ過ユニットを伴うろ過装置を少なくとも備え、好ましくはナノサイズに至るまでろ過しウイルスも除去するためのろ過ユニットをさらに備える。ろ過は、好ましくは、少なくとも精密ろ過、1マイクロメートルに至るまでのものであり、それによって脱塩されるべき水はバクテリアがなくなり、限外ろ過とも呼ばれるナノろ過を用いると、1から20、50、又は200ナノメートルに至るまでのものであり、ウイルスもなくなる。それにより濃縮液は、水産養殖(魚介類を養殖すること)、肥料生産、鉱物生産、及び/又は化学品生産で使用するのに適したものとなり、生産される淡水は、農業に直接適しており、任意選択のさらなる処理の後には、飲用水及びグリーン水素源として適している。
【0041】
いくつかの実施例では、前処理ユニットは、航海ボート(service boat)によって交換可能なろ過ユニットを備える。統合されたポンプを伴わない前処理ユニットの実施例は、1つの機械的結合が十分な結合であってもよいため、最も好ましくなり得る。ユニットが大きすぎるか、又は重すぎて、航海ボートがクレーン/ウインチ及びブームで容易に取り扱うことができない場合には、取り扱うのに十分に各々が小さく軽い並列のいくつかのより小さなユニットが好ましくなり得る。ろ過ユニットの安定した運転期間が海中ポンプの回収及び保守点検のための期間よりも短い場合、容易に交換可能なろ過ユニットが好ましくなり得る。
【0042】
電力供給は、太陽光源及び/又は風力源からであることが好ましく、水供給連鎖は、CO2及び汚染物質に関して無排出であり得る。しかしながら、従来の電力源が使用されてもよい。これは特に、コストを削減し、保守点検の能力を改善し、システムの試運転を加速させるために、電力及び他の既存のインフラストラクチャをポンプ及びシステムが活用することのできる既存のプラットフォームの上又は周りに、ポンプ又はシステムの他の構成要素が置かれている場合であってもよい。
【0043】
システムは、未加工の処理していない入口海水品質及び生産要件に基づいて要求される任意の組合せで、典型的な流れの方向において列挙される:
海中ポンプの上流の消毒ユニットと、
ポンプの上流の沈殿ユニットと、
海中ポンプの上流の限外ろ過及び/又は精密ろ過及び/又はナノろ過ユニットと、
上記で定義されたユニットのうちの1つ又は複数が配置されている海中ポンプ入口チャンバと、
生物汚損前駆体測定器具として、クロロフィル蛍光装置と、
例えば差圧及び/又は流れ監視に基づいて、膜条件を検査するための、現地で又は遠隔で接続される生物汚損監視システムと、
溶解性有機物(DOM:Dissolved Organic Matter)試料、及びRO膜の上流の1つ又は複数の点での測定のための機器と、
取水ラインの下流且つROユニットの上流の精密及び/又はナノろ過ユニットと、
動作可能に配置されている逆浸透ポンプ及びPXエネルギー回復ユニットを伴うROユニットと、
淡水用の少なくとも1つのタンクと、
濃縮液用のタンクと、
濃縮液(塩水)吐出用のパイプ・イン・パイプ又は並列のパイプであって、海水取水ラインが、パイプ敷設及び測量を促進するために、陸地の出口又は表面レベルの上方からの少なくともある距離で、並列に配置された濃縮液吐出ラインを含む又は有する、濃縮液(塩水)吐出用のパイプ・イン・パイプ又は並列のパイプと、
高塩溶液用(RO膜の直接浸透用)のタンクと、
バックフラッシュ及び/又はクロス・フラッシュするための構成と、
RO膜の洗浄用の直接浸透と
のうちの1つ又は複数、並びに必要又は望ましい場合には、配管、弁、任意選択のさらなるポンプ、任意選択のさらなるユニット、及び器具類をさらに備えていることが好ましい。
【0044】
さらに、本発明は、本発明の海水取水の使用であって、陸地又は上甲板上での海水又は他の塩水の要求される前処理の程度を削減するための、及び/又は逆浸透による塩水の脱塩用の新規又は既存のシステム若しくはプラントにおいての全般的な、本発明の海水取水の使用を提供する。
【0045】
本発明はまた、冗長性、流れの増加、ろ過の増強、より良い水品質及び性能をとりわけ可能にするための、多数のポンプ並びに機器の使用も想定する。
【0046】
さらに、本発明は、濃縮液出口から送達される濃縮液を、水産養殖、肥料生産、鉱物生産、及び/若しくは化学品生産のために使用することを提供し、並びに/又は生産される淡水は、農業に直接適しており、(任意選択的にさらなる処理の後には)飲用水及びグリーン水素源として適している。
【0047】
最後に、本発明は、ROユニットを通じて濃縮液を再循環させることによって生産される高塩溶液を、効果的な直接浸透によってROユニットの逆浸透膜を洗浄するために使用することを提供する。
【0048】
本システムのポンプは、出願人によって設計され組み立てられることが好ましいが、他の商業供給者からも適したポンプが利用可能である。
【0049】
本発明はまた、1ミクロン、0.5ミクロン、0.1ミクロン若しくはそれ以下を超える粒子及びバクテリア並びに/又はウイルスを伴わない、本システムの濃縮液の使用及び/又は本発明の方法であって、任意の組合せで:
フィルタをバックフラッシュ及び/又はクロス・フラッシュするためと、
RO膜を洗浄するための直接浸透用の高塩流体を生産するためと、
好ましくは小さなサケ類をより大きなサケ類に成長させるために、並びに/又は淡水へと徐々に混合するために高純度である濃縮液を用いて、魚類がより低い死亡率及びより早い成長のために淡水が塩水に移行することを促進するために、水産養殖において使用するための送達のためと、
蒸発及び結晶化によって工業製品を生産するためと
のうちの1つ又は複数のためのものである本システムの濃縮液の使用及び/又は本発明の方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明のシステムの一実施例を示す図である。
【
図2】本発明のシステムの海中処理ポッドが、どのように1つの動作で持ち上げられ得るかを示す図である。
【
図3】本発明のシステムのさらなる一実施例を示す図である。
【
図4】本発明のシステムのさらなる一実施例を示す図である。
【
図5】本発明のシステム及び方法の多数の実施例の好ましい機構を示す図である。
【
図6】本発明のシステム及び方法の多数の実施例の好ましい機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明のシステム1の好ましい一実施例を示す
図1への参照がなされる。海水、又は他の塩水若しくは汚染水から脱塩水を生産するための本発明のシステム1は、流れの方向において、海中海水入口2と、海中フィルタ及び/又は海中海水前処理ユニット及び/又は海中粗目スクリーン・ユニット及び/又はハイドロサイクロンのうちの1つ又は複数を少なくとも含む海中前処理段3と、海中給水ポンプ4であって、海中ROユニット5、ROユニット生産出口7に流体結合されている海中生産ポンプ6、海中生産ポンプに流体結合されている生産ライン8、及び廃棄物ライン10に結合されているROユニット廃棄物出口9に流体結合されている海中給水ポンプ4とを備える。海中海水入口は、海水の水温躍層の下方又は内部の深さ11(静水頭)にあり、すなわち表海水層の下方、又は局所的な深さが水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにある。アンビリカル、又はより正確には電力及び制御ライン12は、電力及び制御のために、海中ポンプ又は海中処理ポッドに動作可能に結合されており、海水表面の上方の箇所から延在し、ポンプへのいずれのバリア流体供給ラインも伴わない1本又は2本のライン若しくはケーブルからなる。本発明のシステムを運転する場合、電力及び制御のみを接続することが十分であり、このことは明らかに、設置、回収、保守点検、及び運転を簡潔にしながら、海中並びに沿岸又は上甲板上の機器及びインフラストラクチャを省く独特の機構である。
【0052】
図示されている機器品目は、海中処理ポッド13の中及び上に配置されており、処理ポッドは、単一の動作で回収可能であり、単一の動作で設置可能又は展開可能である。結合動作の数は、1つ又は2つと少なくすることができ、1つは電力及び制御用に複合され、追加の1つは生産パイプラインに接続するために複合される。そのような簡潔さは、明らかに独特である。
【0053】
図示されているシステム実施例は、深さにおける自然な静水頭の利点を積極的に使用して、浸透圧力差を実現する。このシステム実施例では、海中給水(海水)ポンプは、RO膜を横切るクロスフローを確保するのに十分な流れを提供することのみを必要とし、海水の浸透圧に打ち勝つための高い差圧を生成することは必要としない。膜の下流側にある生産ポンプは、このシステムでは、周囲圧力よりも低く絶対圧1バール(100kPa)に向かって下がり又はそれよりも低い吸込圧力を経験するだろうが、ポンプのキャビテーションは回避されなければならない。生産ポンプは、貯蔵タンク又はさらなる処理設備であり得る受取端部のための十分な残留圧力を伴って、流れを表面まで持ち上げるのに十分な差圧を作り出す。ここで、RO膜の下流側にある生産ポンプが差圧の大部分を生成しており、このポンプが、長期の運転のために、高額な介入の要求を最小限にしながら、サブセットを、典型的にはおよそ50%に、好ましくは総給水流量(給水引く廃棄される濃縮液)よりも少なく取り扱っているだけなので、このシステムは、エネルギー効率もより良くなる。海水の固有の浸透圧力が25~33バール(2.5MPa~3.3MPa)(https://www.sciencedirect.com/topics/chemistry/osmotic-pressure)であり、そのようなシステム実施例は概して、最適な効率で働くために330m以下などの水深300メートル以下に置かれることを必要とするであろう。しかしながら、給水ポンプは、その箇所の深さと、淡水を上回る海水の浸透圧をRO膜上で超えるための要件とに従って求められるような、より高い差圧を送達するように構成され得る。例えば、生産ポンプでのキャビテーションも回避しながら、浸透圧を超える十分な圧力を確保するために、水深が浅くなるほど、給水ポンプの差圧はより高くなる。
図1に示されているシステム実施例は、深さ約300若しくは330m又はそれよりも深い箇所での圧力水頭の完全な積極的使用から、完全な実施例のすべての処理機器が海中の箇所に配置され、好ましくは海水入口のレベルで海中ROプラントとして配置されている状態のままで、深さ約300から約25mまでの箇所での圧力水頭の部分的な積極的使用にまで及ぶ実施例を含む。給水ポンプにはバリア流体がないので、下流側の膜を作動液で汚染しておらず、確実に膜の寿命がより長くなり、生産水の品質がより良くなる。
【0054】
図2は、本発明のシステムの海中処理ポッドがどのように1つの動作で持ち上げられ得るかを示している。より具体的には、海中処理ポッド・フレームは、設置及び回収の間に飛沫帯を通じた衝撃から構造体及び内部の機器品目を保護し、海底にあるときにはトロール保護として機能するのに加えて、持上フレームでもある。海底での結合動作は、1つ又は2つの結合動作として、海中処理ポッドから水を出すこと、及びいくつかの実施例については海中処理ポッドへ水を入れることに限定され、1つ又は2つの結合動作として、電力及び制御に限定される。
【0055】
加工していない海水の入口は、図示以外の他の箇所に配置され得、例えば、特に軟質でシルト質の海底条件の海底からさらに高く上げられ得る。
【0056】
図3は、パイプラインを示している。いくつもの前処理-RO処理ポッドが、より少ない数の生産ポンプに結合されており、生産ポンプは、フロー・ベースと呼ばれる海底上のより恒久的な構造体の上にある別個の又は組み合わされた処理ポッド上に配置されている。共通の生産フローラインは、生産淡水を海水表面よりも上の箇所に導く。
【0057】
図4は、本発明のシステムのさらなる一実施例である処理ポッド上の機器品目の「列」としての配置を示しており、機器品目を共に海中接続・切断するためのフローライン結合14が、水平に方向付けられている。
【0058】
図5及び
図6は、本発明のシステムの多数の実施例の好ましい機構を示している。デバラスト/バラストにより、海中の運転について、典型的なものよりも簡潔で安価な設置及び運転が可能になる。統合されたタンクから空気を排気することは、設置に適したレベルで負の浮力を提供する。設置及び回収は、海中プロジェクトにおける設備投資の20~40%であり得るため、これらの機構により、設置及び回収の全体的なコストを下げることができる。このことは、高価な引上げ補償型のクレーン船を回避することを含むが、これに限定されない。むしろ、中東及び地中海地方で一般的である利用可能な作業ボートで実現されることができる方法を使用する。設置は、理想的には、海岸からの水上曳航と、図示のように圧縮空気、或いは真空及び/又は浮力要素を用いたバラスト/デバラスト動作とに基づくべきである。必要に応じて、より大きな船が設備投資(設置)に使用されてもよいが、運営費(保守点検)のために回避されることが好ましい。海底構造体は、局所的な土壌条件及び他の要因に応じて異なることになるので、マッドマット(mudmat)、スラブ、スカート、サクション・アンカー、グラウト又は同様のものに対する要件の有無は、いずれの場合にも明らかにしなければならない。また、前処理要件は、水質、期待する寿命等に応じて変動し、各場合について決定されなければならない。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水又は他の塩水から脱塩水を生産するためのシステムであって、典型的な流れの方向において、以下の機器機構又は機器品目:
海中海水入口と、
海中フィルタ及び/又は海中海水前処理ユニット及び/又は海中粗目スクリーン・ユニット及び/又はハイドロサイクロンのうちの1つ又は複数を少なくとも含む海中前処理段と、
海中給水ポンプであって、
海中ROユニット、
ROユニット生産出口に流体結合されている海中生産ポンプ、
前記海中生産ポンプに流体結合されている生産ライン、及び
ROユニット廃棄物出口
に流体結合されている海中給水ポンプと
を備え、
前記海中海水入口が、前記海水の水温躍層の下方又は内部の深さにあり、
典型的には、200mから1000mの深さに延在し、表海水層の下方、
典型的には、表面の下方200mに延在し、又は局所的な深さが前記水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにあり、
前記システムが、
単一の動作で回収可能及び設置可能である、1つ又は複数の海中ポッドを備え、いくつか又はすべての前記海中ポッドが回収及び設置のための構造体と、展開及び回収の間に飛沫帯を通じて前記機器を保護するための構造体とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ROユニット廃棄物出口が廃棄物ラインに結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ROユニット及びその出口までを含むさらなるシステム構成要素が、前記海水の前記水温躍層の下方又は内部の深さにあり、典型的には、200mから1000mの深さに延在し、前記表海水層の下方、典型的には、表面の下方200mに延在し、又は前記局所的な深さが前記水温躍層に到達するのに不十分である場合には実現可能な限り近くにある、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記いくつか又はすべての前記海中ポッドが、海底にあるときにはトロール保護をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
単一の海
中ポッド
であって、単一の動作で回収可能及び設置可能であり、前記海中生産ポンプ及び生産出口までを含むすべての特定の前記機器を含む、単一の海中ポッドを備え、前記単一の海中ポッドとの結合は、脱塩水が出ることに加えて、電力及び制御からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
いくつかの海中ポッドであって、海中生産ポンプを有する1つ又は複数の海中ポッド、並びに/又は海水入口及び前処理段を有する1つ又は複数の海中処理ポッド、並びに/又は海水入口、前処理段及び給水ポンプを有する1つ又は複数の海中処理ポッド、並びに/又は海水入口、前処理段、給水ポンプ及び海中ROユニットを有する1つ又は複数の海中処理ポッド、並びに/又は給水ポンプ及び海中ROユニットを有する1つ又は複数の海中処理ポッド、並びに/又は別個の若しくは組み合わされた海中ポッド上に配置されたより少ない数の生産ポンプと結合された、多数の海中前処理ROポッドであって、生産淡水を海水表面よりも上の箇所に導く共通の生産フローラインと共に配置された、多数の海中前処理ROポッドを備える、いくつかの海中ポッドを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
いくつか又はすべての海中ポッドが、
より小さい船及び持上機器の使用を可能にする、輸送、設置、及び回収を促進するために、バラスト及びデバラスト用のタンク並びに/又は発泡系の浮力を含む、請求項
1、2、3、4、5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
海底から沿岸又は表面に位置された前記システムとの結合は、脱塩水が出ることに加えて、電力及び制御からなる、請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記
海中ポッドが、
動作可能に配置されている
個別に回収可能な機器品目を含む、請求項1
、2
、3、4、5、6又は7に記載のシステム。
【請求項10】
海中接合可能流体接続部であって、1つ又は2つのフローライン結合部品並びに各海中ポッドのための電力用又は電力及び制御の複合用である1つの結合部品からなる、クランプ付き又は無しの海中接合可能フローライン結合部を備える
、海中接合可能流体接続部を備える、請求項1から
9までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
フローライン結合部を接合し、及び分離するための
、軽ワーク・クラスROVによる、ROV操作可能海中クランプ接続具を備える、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
海中前置ろ過ユニット機器機構と前記
海中処理ポッドとの間の結合部中にスタブを備える、請求項1から
11までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
ガイドポスト、結合部品、及び/又は機器機構の上に配置されている、位置決めするためのトランスポンダを備える、請求項1から
12までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
制御システムに結合され、設置及び/又は保守点検の船から監視可能である、機器品目及び/又は
海中ポッド上のカメラを備える、請求項1から
13までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1から
14までのいずれか一項に記載のシステムの設置、運転、及び/又は保守点検のための方法において、任意の組合せで、以下の
ステップ:
海中ポッドを箇所まで水上曳航、又は他の手段で輸送するステップと、
空気で満たされたバラスト用のタンクを伴う前記
海中ポッドを設置するステップであって、それにより、前記バラスト・タンクが、負の浮力が適したレベルに到達するまで連続的に空にされ、その後に前記
海中ポッド
が箇所に展開される、設置するステップと、
前記
海中ポッドを海底上のより恒久的な構造体に接続するときに、軽ワーク・クラスROVによって接合可能な1つ又は複数のROVフリー結合を使用するステップと、
前記
海中ポッドを前記海底上のより恒久的な構造体から切断するときに、軽ワーク・クラスROVによって接合可能な1つ又は複数のROVフリー結合を使用するステップ
と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記海中ポッドを設置するステップにおいて、前記海中ポッドが位置決め制御のためのトランスポンダ及び/又はカメラを用いて、箇所に展開される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前処理ユニット機器品目を設置又は回収するときに、ROVフリー結合又は切断するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
逆浸透のための運転のときに、通常の実行よりも低い差圧、典型的には0.7~1バール(70kPa~100kPa)で給水ポンプを使用するステップであって
、一方で、前記差圧が、典型的には1~2バール(100kPa~200kPa)まで周期的に増加し、それによって著しい圧力を有する前記廃棄物が、フィルタのバックフラッシュ及び前記前処理ユニットのハイドロサイクロンへと導かれる、使用するステップをさらに含む、請求項
15、16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記ROユニットの陸地での最大推奨回復率の15~70%
、最大推奨回復率の約20~40%又は約30%の低い回復率で、前記システムを運転するステップ
を含む、請求項
15、16、17又は
18に記載の方法。
【国際調査報告】