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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】食肉類似製品の成分を結合する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20240301BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240301BHJP
   A23L 29/212 20160101ALI20240301BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20240301BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240301BHJP
   A23L 29/206 20160101ALI20240301BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240301BHJP
   A23J 3/22 20060101ALI20240301BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20240301BHJP
【FI】
A23L13/00 Z
A23J3/00 502
A23L29/212
A23L29/244
A23L29/269
A23L29/206
A23L29/238
A23J3/22
A23L29/262
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553682
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022019172
(87)【国際公開番号】W WO2022187745
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,146
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507303309
【氏名又は名称】アーチャー-ダニエルズ-ミッドランド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジンシャ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワイアット,ロス
【テーマコード(参考)】
4B025
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B025LD02
4B025LG42
4B041LC10
4B041LH02
4B041LH07
4B041LH08
4B041LH11
4B041LH16
4B041LH18
4B041LP01
4B041LP12
4B042AC09
4B042AD36
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK11
4B042AK12
4B042AK13
4B042AK16
4B042AK20
4B042AP02
4B042AP14
(57)【要約】
食肉代替製品の成分を結合する方法が開示される。1つの方法は、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドと、タンパク質とを混合し、このようにして食肉代替製品を製造することと、食肉代替製品を所望の形状に形成することとを含む。別の方法は、第1の親水コロイド、第2の親水コロイド、及びタンパク質を混合し、このようにして食肉代替製品を製造することと、食肉代替製品を水和させることとを含む。本方法により製造される製品も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉代替製品の成分を結合する方法であって、
第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドと、タンパク質とを混合し、このようにして前記食肉代替製品を製造することと、
前記食肉代替製品を所望の形状に形成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドと、水とを混合し、このようにして親水コロイド溶液を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質を水と混合し、このようにして水和タンパク質を形成することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記親水コロイド溶液及び前記水和タンパク質が別々に水と混合され、前記親水コロイド溶液及び前記水和タンパク質が一緒に混合される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記親水コロイド溶液を加熱することをさらに含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
架橋剤、油、脂肪、乳化油、乳化脂肪、繊維、及びこれらの任意の組合せと、前記親水コロイド溶液とを混合することをさらに含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドが、サイリウムハスク、ジェランガム、カードランガム、キサンタンガム、デンプン、及びこれらの任意の組合せからなる群から独立して選択される、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジェランガムが低アシルジェランガムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の親水コロイド、前記第2の親水コロイド、及び前記タンパク質と、水とを混合し、このようにして前記食肉代替製品を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
水結合剤と、前記第1の親水コロイド、前記第2の親水コロイド、及び前記タンパク質と、水とを混合することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の親水コロイドがコンニャクガムであり、前記第2の親水コロイドがキサンタンガムである、請求項1、9、又は10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質が組織化タンパク質である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質が、大豆タンパク質、食用豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、黒目豆タンパク質、ヒラマメタンパク質、ソラマメタンパク質、ヒマワリタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、キノアタンパク質、チアタンパク質、クランベリータンパク質、ルピナスタンパク質、アマランスタンパク質、サチャインチタンパク質、オート麦タンパク質、ピーナツタンパク質、トウモロコシタンパク質、ソルガムタンパク質、テフタンパク質、ゴマタンパク質、藻類タンパク質、スピルリナタンパク質、小麦タンパク質、真菌タンパク質、菌糸ベースのタンパク質、発酵肉タンパク質、細菌タンパク質、培養肉、細胞ベースのタンパク質、乳化タンパク質、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドが、約1~10%の量で前記食肉代替製品中に存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、前記第2の親水コロイドが1~5%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、又はこれらの組合せである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、前記第2の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、又はこれらの組合せである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デンプンがプレゲルデンプンである、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記プレゲルデンプンがエンドウ豆デンプンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法によって製造された製品。
【請求項20】
前記製品が食肉代替パティである、請求項19に記載の製品。
【請求項21】
第1の親水コロイドと、
第2の親水コロイドと、
複数のタンパク質粒子と
を含む、食肉代替製品であって、水和されると、前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドが、前記複数のタンパク質粒子の少なくとも一部を一緒に接着させ、前記食肉代替製品に構造を提供する、食肉代替製品。
【請求項22】
前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドが、サイリウムハスク、ジェランガム、カードランガム、キサンタンガム、デンプン、及びこれらの任意の組合せからなる群から独立して選択される、請求項21に記載の食肉代替製品。
【請求項23】
架橋剤をさらに含む、請求項21又は22に記載の食肉代替製品。
【請求項24】
水結合剤をさらに含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の食肉代替製品。
【請求項25】
前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドが、約1~10%の量で前記食肉代替製品中に存在する、請求項21~24のいずれか一項に記載の食肉代替製品。
【請求項26】
前記第1の親水コロイドが1~4%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、前記第2の親水コロイドが1~4%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、又はこれらの組合せである、請求項21~25のいずれか一項に記載の食肉代替製品。
【請求項27】
前記第1の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、前記第2の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、又はこれらの組合せである、請求項26に記載の食肉代替製品。
【請求項28】
前記デンプンがプレゲルデンプンであるか、又はエンドウ豆に由来する、請求項27に記載の食肉代替製品。
【請求項29】
食肉代替製品の成分を結合する方法であって、
少なくとも1種の親水コロイド及びタンパク質を混合し、このようにして前記食肉代替製品を製造することと、
前記食肉代替製品を水和させることと
を含む方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種の親水コロイドが、1~10%の量で前記食肉代替製品中に存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種の親水コロイドが、1~4%の量で前記食肉代替製品中に存在する、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種の親水コロイドが、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドを含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記水和された食肉代替製品を所望の形状に形成することをさらに含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
過剰の水分を吸収するために、デンプン又は繊維を前記食肉代替製品と混合することをさらに含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
塩、香味料、又はこれらの組合せと、食肉代替製品とを混合することをさらに含む、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の親水コロイド及び前記第2の親水コロイドが、サイリウムハスク、ジェランガム、カードランガム、キサンタンガム、デンプン、及びこれらの任意の組合せからなる群から独立して選択される、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記水和された食肉代替製品を調理することをさらに含む、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、前記第2の親水コロイドが0.5~3%の量で前記食肉代替製品中に存在するか、又はこれらの組合せである、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1種の親水コロイドが、約6.5~8.5%の粗タンパク質、約65~70%のデンプン、及び/又は約10~16%の繊維を含むデンプン又は粉である、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項29~39のいずれか一項に記載の方法に従って製造された製品。
【請求項41】
メチルセルロースを食肉代替製品と混合することをさらに含む、請求項1~18又は29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
メチルセルロースをさらに含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の食肉代替製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は一般的に、食肉類似品に関する。より具体的には、本発明は、食肉代替製品中の成分を結合するために使用される、改善された結合剤系に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
食肉消費の需要は減少しており、食肉代用品の需要は増大している。食肉代用品に対する需要の高まりにより、いくつかの新しい食肉代替品が市場に出されている。しかしながら、食肉代替品市場は、食感、香味、クリーンラベル成分、及び栄養価を達成する上での課題を抱えている。
【0003】
市販されているほとんどの食肉類似製品は、結合剤としてメチルセルロース及び加工デンプンを使用している。メチルセルロースは、苛性溶液中で塩化メチルにより処理されたセルロースから製造され、白色で無臭の粉が生成される。メチルセルロースは冷水中に溶解し、加熱されるとゲルを形成して、調理中に植物ベースの食肉製品中で組織化片を結び付ける。しかしながら、メチルセルロースゲルは熱可逆性であり、冷却後に粘性の溶液に戻る。
【0004】
メチルセルロースの高度に加工された性質のために、メチルセルロースを使用する食品においてクリーンラベルを達成することには問題がある。
【0005】
食肉代用品に使用するためのこのようなクリーンラベルの結合剤を作る試みがなされている。1つの試みは柑橘類の繊維/アルギン酸ゲルであるが、この製品は、硬化するのに20分超を必要とし、熱安定性に問題があり得る。堅くてスライス可能な構造をもたらすためにカラギナン及びコンニャクを組み合わせて使用する、別の試みもなされている。しかしながら、このような解決策は、冷却時には十分に機能すると思われるが、加熱されるとジューシーさ、柔らかさ、及び多汁性などの許容できる機能をもたらすことができない。本出願の出願日の時点では、メチルセルロースが、食肉代替製品中の断片を結合するための最良の選択肢であると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、食肉代替品ビジネスでは、メチルセルロースの機能性を模倣することができるクリーンラベル製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の簡単な概要
その種々の実施形態のそれぞれにおいて、本発明はこれらのニーズを満たし、食肉代替製品中の結合剤として機能することができるクリーンラベル製品を開示する。
【0008】
一実施形態では、食肉代替製品の成分を結合する方法は、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドと、タンパク質とを混合し、このようにして食肉代替製品を製造することと、食肉代替製品を所望の形状に形成することとを含む。
【0009】
別の実施形態では、食肉代替製品は、第1の親水コロイド、第2の親水コロイド、及び複数のタンパク質粒子を含む。水和されると、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドは、複数のタンパク質粒子の少なくとも一部を一緒に接着させ、食肉代替製品に構造を提供する。
【0010】
さらなる実施形態では、食肉代替製品の成分を結合する方法は、少なくとも1種の親水コロイド及びタンパク質を混合し、このようにして食肉代替製品を製造することと、食肉代替製品を水和させることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】カルボキシメチルセルロースを用いて製造されたゲルと比較した、本発明のゲルの種々の実施形態の貯蔵弾性率(G’)を示す。
図2】本発明のゲルの種々の実施形態を用いて製造された種々の植物ベースのパティ及びハンバーガーを示す。
図3】本発明のゲルの種々の実施形態を用いて製造された植物ベースのパティ及びハンバーガーのクモの巣図を示す。
図4】本物のビーフハンバーガーと比較した、本発明のゲルの種々の実施形態を用いずに製造されたパティのせん断力弾性率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
一実施形態では、食肉代替製品の成分を結合する方法は、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドと、タンパク質とを混合し、このようにして食肉代替製品を製造することを含む。食肉代替製品は、所望の形状に形成される。
【0013】
食肉代替製品は植物ベースのハンバーガーパティであってもよく、限定はされないが、タンパク質、脂肪、香味料、着色料、及び植物ベースの食肉類似製品に使用されることが知られている他の成分が含まれる。
【0014】
種々の実施形態において、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドは水と混合されて、親水コロイド溶液を形成し得る。本方法はさらに、タンパク質を水と混合し、このようにして水和タンパク質を形成することを含み得る。また親水コロイド溶液及び水和タンパク質は別々に水と混合されてもよく、親水コロイド溶液及び水和タンパク質は一緒に混合される。本方法はさらに、親水コロイド溶液を加熱することを含み得る。また本方法は、架橋剤を親水コロイド溶液と混合することも含み得る。
【0015】
また本方法は、第1の親水コロイド、第2の親水コロイド、及びタンパク質と、水とを混合し、このようにして食肉代替製品を形成することも含み得る。また水結合剤及び/又は繊維が、第1の親水コロイド、第2の親水コロイド、及びタンパク質と混合されてもよい。
【0016】
他の実施形態では、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドは、サイリウムハスク、ジェランガム、カードランガム、キサンタンガム、デンプン、及びこれらの任意の組合せからなる群から独立して選択され得る。ジェランガムは、低アシルジェランガムであり得る。実施形態において、第1の親水コロイドはコンニャクガムであってもよく、第2の親水コロイドはキサンタンガムであってもよい。
【0017】
タンパク質は組織化タンパク質であり得る。またタンパク質は、大豆タンパク質、食用豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、黒目豆タンパク質、ヒラマメタンパク質、ソラマメタンパク質、ヒマワリタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、キノアタンパク質、チアタンパク質、クランベリータンパク質、ルピナスタンパク質、アマランスタンパク質、サチャインチタンパク質、オート麦タンパク質、ピーナツタンパク質、トウモロコシタンパク質、ソルガムタンパク質、テフタンパク質、ゴマタンパク質、藻類タンパク質、スピルリナタンパク質、小麦タンパク質、真菌タンパク質、菌糸ベースのタンパク質、発酵肉タンパク質、細菌タンパク質、培養肉、細胞ベースのタンパク質、乳化タンパク質、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。
【0018】
種々の実施形態において、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドは、1~10%の量で食肉代替製品中に存在し得る。別の実施形態では、第1の親水コロイドが1~4%の量で食肉代替製品中に存在し得るか、第2の親水コロイドが1~4%の量で食肉代替製品中に存在し得るか、又はこれらの組合せである。
【0019】
別の実施形態では、第1の親水コロイドが0.5~3%の量で食肉代替製品中に存在し得るか、第2の親水コロイドが0.5~3%の量で食肉代替製品中に存在するか、又はこれらの組合せである。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明の方法又は本発明の食肉代替製品は、例えば1~10%の量の親水コロイドと共にメチルセルロースを取り込むことを含み得る。
【0021】
さらなる実施形態では、油若しくは脂肪、又はそのエマルションも食肉代替製品に取り込むことができる。
【0022】
さらなる実施形態では、食肉代替製品は、第1の親水コロイド、第2の親水コロイド、及び複数のタンパク質粒子を含む。水和されると、第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドは、複数のタンパク質粒子の少なくとも一部を一緒に接着させ、食肉代替製品に構造を提供する。
【0023】
食肉代替製品の第1の親水コロイド及び第2の親水コロイドは、サイリウムハスク、ジェランガム、及びカードランガムからなる群から独立して選択され得る。食肉代替製品はさらに、架橋剤及び/又は水結合剤を含み得る。
【0024】
さらなる実施形態では、食肉代替製品の成分を結合する方法は、第1の親水コロイド、第2の親水コロイド、及びタンパク質を混合し、このようにして食肉代替製品を製造することを含む。食肉代替製品は水和される。水和された食肉代替製品は、所望の形状に成形され得る。水和された食肉代替製品はさらに調理され得る。
【0025】
過剰の水分を吸収するために、食肉代替製品ではデンプン又は繊維が見逃されていてもよい。さらに、食肉代替製品では、塩、香味料、又はこれらの組合せが見逃されていてもよい。実施形態において、第1の親水コロイドはキサンタンガムであり、第2の親水コロイドはコンニャクガムである。デンプンはプレゲルデンプン又は粉であってもよく、エンドウ豆に由来し得る。エンドウ豆粉又はデンプンは、押出などによって熱処理され得る。デンプン、プレゲルデンプン、又は粉は、約6.5~8.5%の粗タンパク質、約65~70%のデンプン、及び/又は約10~16%の繊維という組成を有し得る。
【0026】
また本発明の方法のいずれかによって製造された製品を得ることもできる。
【実施例
【0027】
実施例1.
代替食肉パティにおいてメチルセルロースの機能性を達成するために、様々な親水コロイド及び/又はそのブレンドを、熱試験を用いて評価した。熱試験は、代替食肉パティの形成、調理、及び冷却の間に生じ得る温度変化を模倣する。通常、パティは、パティの内部温度が約165°Fに達するまで、約325~375°Fのフラットトップグリル又は約450~500°Fのチャーブロイラーで調理される。したがって、熱試験では、調理及び消費温度を模倣するために、ガムを約75℃まで加熱し、約55℃まで冷却した。
【0028】
親水コロイドの5つの異なる組合せを混ぜ合わせ、表1に記載される量で熱安定性の結合剤として評価した。表1のパーセント量は、水中の親水コロイドのパーセントである。メチルセルロース(MC)は、2列目に示される。
【0029】
組合せ1では、約0.5~3%のサイリウムハスク及び約0.1~1%の低アシルジェランガムを使用して、熱安定性のゲルを生成した。低アシルジェランガム自体は、0.2%という低濃度でも脆くて硬いゲルを形成し、低アシルジェランガムを水和させるには少なくとも90℃の温度が必要とされる。ゲルの貯蔵弾性率(G’)は再加熱しても低下せず、図1に示されるような弾性挙動が示された。このような弾性挙動は、組織の硬度を提供するために食肉代替品において有用である。
【0030】
低アシルジェランガム自体は、他の乾燥成分と十分に結合しないので、サイリウムゲルの高保水容量により、過剰の水を補足及び保持することができる。しかしながら、サイリウムゲル自体は熱安定性ではないが、サイリウムゲルを低アシルガムと組み合わせ、約90℃の熱により水和させると、結果として冷却時に形成されるゲルは強力であり、ある程度の弾性を有する。得られたゲルは、図1に示されるように再加熱中も熱安定性であり、パティ中に取り込まれると、メチルセルロースと同様の食感を有する。
【0031】
組合せ2では、約1~3%のカードランガム及び約0.1~1%の低アシルジェランガムを使用して、熱安定性のゲルを生成した。カードランガムは接着性及び結合性の特徴を有し、加熱されるとゲルを形成することができる。したがって、組合せ2は、約55℃に加熱した後、弱くて弾性のゲルを形成することができた。ゲル強度は、冷却中に増大し続け、再加熱中に熱安定性であった。
【0032】
組合せ3では、約0.5~3%のコンニャクガムを約0.5~2%のキサンタンガムと混合した。キサンタンガムはそれ自体ではゲルを形成することができないが、キサンタンガムは水分子と十分に相互作用し、高粘度をもたらす。コンニャクガムは、pHが10を超えるアルカリ溶液中で加熱されると強力なゲルを形成することができる。ゲル形成に必要とされる時間及び温度は、ゲル全体に熱伝導がどの程度十分に生じるかに依存する。例えば、1cmのゲルは、80~90℃で約10分の加熱を必要とする。メチルセルロースとは異なり、コンニャクゲルは、冷却されたときに熱安定性である。コンニャクガム及びキサンタンガムの組合せは、瞬間加熱後のゲルの形成を助ける相乗効果を有する。コンニャクガム及びキサンタンガムの2%溶液を約75℃(食肉類似品のパティが調理される温度に相当する)に加熱した後、ゲルが形成される。コンニャクガム及びキサンタンガムを用いて形成されたゲルは、冷却中に固くなる。
【0033】
組合せ4では、約0.5~3%のコンニャクガムを約0.5~2%のキサンタンガム及び約1~4%のプレゲルデンプン(エンドウ豆粉)と混合した。組合せ5では、約0.5~2%のHAジェランを約1~4%のプレゲルデンプン(エンドウ豆粉)と混合した。
【0034】
図1は、組合せ1~5のそれぞれのゲルの貯蔵弾性率(G’)を示す。
【0035】
組合せ3は、アルカリ処理又は熱処理が必要とされないので、パティの製造によく適している。多くの親水コロイドは、メチルセルロースに代わってパティの製造中にゲルを形成するために、熱処理を必要とする。しかしながら、ほとんどのパティ製造技術は熱を使用しない。組合せ3を使用してパティを作る場合、この組合せは、パティの形成をもたらす周囲温度で組織を提供する。組合せ3を用いて形成されたパティの調理は、コンニャク/キサンタンガムの相乗効果を促進し、パティが約50℃まで冷却されるにつれて、コンニャク/キサンタンガムはゲルを形成し、消費者がパティに対して望む、所望の食感を提供する。
【0036】
組合せ4は、使用した組織化植物性タンパク質に良好な結合強度を提供すると共に、結果としてこの組合せを用いて製造されたハンバーガーパティに、弾性及びジューシーな噛み切り性を提供した。
【0037】
組合せ4のコンニャク/キサンタンブレンド、及び組合せ5のHAジェランブレンドにプレゲルデンプン(エンドウ豆粉)を添加すると、パティの容易な形成のための粘着性が増大され、調理済パティのクリスピー性が増大された。またプレゲルデンプンは、本明細書においてさらに議論されるように、官能特性も増大させた。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例2.パティ試験
大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、及び/又は両方の組合せの植物ベースのレシピを基本調合として使用した。パティを製造するために、乾燥成分(すなわち、組織化タンパク質、塩、及び香味料)を均一になるまで混合し、当業者に知られているように水と混合して組織化タンパク質を水和させ、少なくとも約10分間静置させた。
【0040】
組合せ1、2、及び3をパティで評価した。組合せ1及び2の場合、ガムブレンドをそれぞれ、オーバーヘッドミキサーにより、パティに使用される水全体の50~60%の水中で水和させた。組織化タンパク質が水和に近づくにつれて、ガム/水溶液を混合して90℃に加熱した。ガム溶液が加熱されたら、0.3Mの塩化カルシウム(CaCl)をガム溶液に添加した。塩化カルシウムを添加したら、直ちにガム/塩化カルシウム溶液を水和タンパク質溶液と混合し、激しく混合して、水和タンパク質全体に水和ガムを均一に分布させた。ガム溶液が水和タンパク質と完全に混合されると、パティが形成された。
【0041】
組合せ3の場合、乾燥ガムブレンドをパティの乾燥成分(すなわち、組織化タンパク質、塩、及び香味料)と乾式混合し、当業者に知られているように完全に水和させた。組合せ3の粘液性及び/又は口内コーティングの低減に役立つために、柑橘類の繊維及び/又は加工デンプンを組合せ3に添加して、過剰の水分を吸収することができる。水和されたら、組合せ3のタンパク質/ガム溶液をパティに形成した。
【0042】
組合せ1、2、及び3のガムブレンドを含むパティは全てうまく無傷であり、望ましい食感及び口当たりを有した。組合せ1、2、及び3を含む調理済パティを調製し、メチルセルロースを含む調理済パティと比較した。それぞれを用いて調理したパティは以下の特徴を示した:メチルセルロースは、より粗い片を有し、非常に弾力があり、木綿の揚げ豆腐の味を有し、調理後に柔らかかった。組合せ1は、食感がメチルセルロースの食感と非常に類似しており、タンパク質片をつなげる繊維構造を有した。組合せ2は、パティが濃厚であり、大豆タンパク質片が細かかった。組合せ3は、調理中にパティが固まり、パティの外側には良好な皮があったが、内側はいくらかの望ましくない粘液性及び口内コーティングを有した。しかしながら、柑橘類の繊維及び/又は加工デンプンの添加により、これらの問題は軽減された。
【0043】
実施例3.
図2の植物ベースのパティを使用して図2のハンバーガーを作り、6人の未訓練の公平な審査員に60℃で提供した。植物ベースのハンバーガーには、バンズ及び伝統的なハンバーガートッピングが含まれた。6人の審査員は、メチルセルロースベースのパティが、堅くてゴム状のウェルダンのハンバーガーのような味がすると考え、最も好きでないハンバーガーであると採点した。1.25%のHAジェランガム及び2%のプレゲルデンプン(エンドウ豆粉)を含むパティは、3つのハンバーガーの中で最も好ましく、ミディアムウェルのハンバーガーに類似した食感を有し、本物のハンバーガーに最も似ていると判断された。2%のコンニャク/キサンタン(2:1)及び2%のプレゲルデンプンを含むパティは2番目に好ましいとランク付けされ、ミディアムウェルのハンバーガーの食感を有すると判断されたが、HAジェランガムパティよりもわずかに柔らかかった。
【0044】
図3は、5点のスコアが審査員にとっての「理想的なハンバーガー」として定義されるクモの巣図を示す。1~10点のスケールで、審査員は、その好みに基づいてこの実施例でハンバーガーをランク付けした。
【0045】
せん断力試験及び組織プロファイル分析は、食肉の柔らかさ(靭性)を評価するための古典的な機器による方法である。「せん断」という用語は、セグメントに接線方向に力を加えて、接触面に平行に食肉をスライドさせることを指す。これは、製品を2つの断片に分割する任意の切断作用を帰属させるために、食品技術において一般的に使用される。
【0046】
本発明のゲルを使用して製造するパティで行われたせん断試験の結果は、HAジェランガム+エンドウ豆粉の組合せが、全てのバリエーションの中で最高のせん断を与えることを示し、これは図5に示される。メチルセルロースベースのパティの硬度は、60℃において、引き続き最高の硬度を有した。しかしながら、本発明の2つのクリーンな結合剤溶液は、冷却中に硬度が増大したが、メチルセルロースベースのパティは柔らかくなった。
【0047】
本開示は、特定の例示的な実施形態、組成物、及びその使用に関連して説明された。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態のいずれかの種々の置換、修正、又は組合せがなされ得ることは、当業者により認識されるであろう。したがって、本開示は、例示的な実施形態の説明によって限定されるのではなく、最初に提出された添付の特許請求の範囲によって限定される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】