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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】カメラ位置指示システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240301BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B1/045 622
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555588
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022056521
(87)【国際公開番号】W WO2022189673
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】17/200,750
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロメリ・ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ブールマン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】パイバ・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ガフィ・レオナルド・ブライアント
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161GG27
4C161HH55
4C161LL02
4C161VV01
4C161WW04
4C161WW13
4C161WW18
(57)【要約】
本明細書では、外科処置中にカメラ位置をユーザに伝え、かつ/又はユーザ視点に一致するようにカメラビュー表示を調整するためのカメラ位置指示システム及び方法が開示される。一実施形態では、例示的な方法が、患者内の手術部位を見るためにアクセス装置のチャネル内に配置されたカメラから出力ビューを受信することと、ユーザからカメラ位置の入力を受信することと、カメラからの出力ビューとカメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とをディスプレイ上に表示することと、を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
患者内の手術部位への少なくとも1つのチャネルを提供するように構成されたアクセス装置と、
前記手術部位を見るために前記アクセス装置の前記少なくとも1つのチャネル内に配置されるように構成されたカメラと、
ディスプレイと、
コントローラであって、
前記カメラから出力ビューを受信し、
ユーザからカメラ位置の入力を受信し、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とを、前記ディスプレイ上に表示する、
ように構成されたコントローラと、
を備える、外科用システム。
【請求項2】
前記ディスプレイは拡張現実ディスプレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力を受信するように構成された第2のディスプレイを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を前記第2のディスプレイ上に表示するように更に構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を前記第2のディスプレイ上に常時表示し、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して前記カメラ位置の指示を一時的に前記ディスプレイ上に表示するように更に構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カメラに結合された制御部を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記カメラ及び前記ディスプレイから離間している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して前記カメラ位置の指示を一時的に表示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を前記ディスプレイ上に持続的に表示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を、時計読み取り値、コンパス読み取り値、基本身体方位、円の度数読み取り値、象限、空間方向、色、アルファベット列からの読み取り値、数字列からの読み取り値、又は形状列からの読み取り値のいずれかとして表示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記カメラの再位置決めに基づいて、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信し、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の第2の入力に基づくカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示する、
ように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記手術部位のユーザ視点に基づいて、前記ディスプレイ上に表示された前記出力ビューの所望の変換を受信し、
前記所望の変換に基づく前記カメラからの変換された出力ビューと、前記所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示する、
ように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
外科的方法であって、
患者内の手術部位を見るために、アクセス装置のチャネル内に配置されたカメラから出力ビューを受信することと、
ユーザからカメラ位置の入力を受信することと、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とをディスプレイ上に表示することと、
を含む、外科的方法。
【請求項14】
前記ディスプレイは拡張現実ディスプレイを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記入力は第2のディスプレイで受信される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のディスプレイは前記カメラ位置の指示を表示する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のディスプレイは、前記カメラ位置の指示を常時表示し、前記ディスプレイは、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して前記カメラ位置の指示を一時的に表示する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記入力は、前記カメラに結合された制御部を使用して受信される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記制御部は、前記カメラ及び前記ディスプレイから離間している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カメラ位置の指示は、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して一時的に表示される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記カメラ位置の指示は持続的に表示される、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記カメラ位置の指示は、時計読み取り値、コンパス読み取り値、基本身体方位、円の度数読み取り値、象限、空間方向、色、アルファベット列からの読み取り値、数字列からの読み取り値、又は形状列からの読み取り値のいずれかである、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記カメラの再位置決めに基づいて、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信することと、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の第2の入力に基づくカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示することと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記手術部位のユーザ視点に基づいて、前記ディスプレイ上に表示された前記出力ビューの所望の変換を受信することと、
前記所望の変換に基づく前記カメラからの変換された出力ビューと、前記所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示することと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、例えば、外科処置中にカメラ位置をユーザに伝え、かつ/又はユーザ視点に一致するようにカメラビュー表示を調整するためのカメラ位置指示システム及び方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
多くの外科処置は、アクセス装置のチャネルを介して手術部位にアクセスすることを伴う。例えば、低侵襲性外科処置は、多くの場合、患者の体外から患者の体内の手術部位までの作業チャネルを提供するために、1つ以上の小さな切開部と、切開部を通って延びるアクセス装置とを利用する。手術器具、インプラント、及び他の構成要素をそのようなアクセス装置に通すことに加えて、カメラ等の撮像装置もまた、ユーザに手術部位のビューを提供するために通される。
【0003】
カメラ又は他の撮像装置が、アクセス装置に接続されており、例えば、管又は他のアクセス装置に沿って軸方向に延びるチャネルに埋め込まれているか、あるいはアクセス装置内に配置されているか又はアクセス装置に対して固定されているなどのために、アクセス装置内でその長手方向軸を中心として回転することができない場合、アクセス装置の長手方向軸に対するカメラ位置が分からない可能性があり、かつ/あるいは、カメラからの画面上に表示される画像の向きが、外科医又は他のユーザがアクセス管を直接見下ろす時に見る向きと同じではない可能性がある。外科医又は他のユーザ視点とアクセス装置内のカメラのビューとの間の不一致は、混乱を引き起こし、外科処置の複雑さを増加させ、場合によっては手術ミスの可能性を増加させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、外科処置中にカメラ位置をユーザに伝え、かつ/又はユーザ視点に一致するようにカメラビュー表示を調整するための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、外科処置中にカメラ位置をユーザに伝え、かつ/又はユーザ視点に一致するようにカメラビュー表示を調整するためのカメラ位置指示システム及び方法が開示される。本明細書に開示されるシステム及び方法は、表示されたカメラビューにユーザ視点が適切に反映されるようにするか、又はユーザ視点をカメラ位置に関連付けるのに役立つフィードバックをユーザに提供することができる。本明細書で提供されるシステム及び方法はまた、ユーザが、ユーザ視点とカメラ位置との間の差異を識別し、2つの視点を整合させるために使用できる所望の調整を表現するのを助けるシンタックス又は共通言語を作成する。これは、複数の人々の間で業務が分割される手術室環境において有用であり得る。例えば、外科医は、カメラ出力ビューと共にディスプレイ上に表示されているインジケータから、カメラ位置を迅速に識別することができる。カメラ位置及び/又は表示された出力ビューが外科医又は他のユーザ視点と一致しない場合、ユーザは、所望の視点とより良好に整合するようにアクセス装置及びカメラ位置を変更することができ、また、インジケータは、例えば、ユーザがアシスタント又は他のユーザに所望のカメラ位置設定更新を指図することによって、新たな位置を示すように更新することができる。他の実施形態では、表示された出力ビューは、カメラ自体を動かすことなく、ディスプレイ上での出力ビューの変換(例えば、回転)を使用して調整することができる。これは、(例えば、カメラ位置の動きをシミュレートする)カメラ位置の同じシンタックスを使用することによって、又は所望の遷移(例えば、180度回転など)を直接指定することによって達成され得る。カメラからの表示された出力ビューは、見ているユーザにカメラ位置及び/又は表示されたカメラ出力ビューへの任意の変換を思い出させるための位置の指示を常に含んでもよい。カメラ位置の指示及び表示されたビューの任意の所望の変換の制御が、例えば、患者に直接働きかける外科医又は他のユーザとシンタックス又は共通言語を利用して通信するアシスタントによって提供されてもよい。他の実施形態では、外科医又は他のユーザが、例えば遠隔制御部又は他のインターフェースを使用して、これらの機能を直接制御してもよい。更に他の実施形態では、アクセス装置及び/又はカメラが、これらの位置を検出するための1つ以上のセンサを含んでもよく、この情報は、これらの機能を自動的に制御するために使用されてもよい。
【0006】
一態様では、本開示による外科的方法は、患者内の手術部位を見るためにアクセス装置のチャネル内に配置されたカメラから出力ビューを受信することと、ユーザからカメラ位置の入力を受信することと、カメラからの出力ビューとカメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とをディスプレイ上に表示することと、を含むことができる。
【0007】
本明細書に記載のシステム、装置及び方法は、多くの追加的な特徴及び/又は変形を有することができ、それらは全て本開示の範囲内にある。いくつかの実施形態では、例えば、入力は第2のディスプレイで受信されてもよい。この第2のディスプレイは、例えば、外科医を支援し、患者から離れたコントローラ又は他の機器を操作する外科技術者などの、患者に直接働きかけるユーザから離れて配置されたディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のディスプレイは、カメラ視点の指示を表示してもよい。第2のディスプレイは、いくつかの実施形態では、カメラ出力ビューも表示することができる。第2のディスプレイは、ディスプレイと同一であってもよく、又はいくつかの実施形態では、システムを動作させるコントローラのディスプレイなどのより小型のディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のディスプレイは、カメラ視点の指示を常時表示してもよく、ディスプレイは、ディスプレイ上でカメラの出力ビューを配向することと関連して、カメラ視点の指示を一時的に表示してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、カメラからの出力ビュー及び/又はカメラ位置の指示はいずれも、例えば、ユーザが患者や患者内の手術部位などを直接見る時にユーザの視線内に出力ビュー及び/又はカメラ位置の指示を配置する「ヘッドアップ」ディスプレイなどの拡張現実ディスプレイを使用して表示することができる。そのようなディスプレイを、液晶ディスプレイモニタなどのより従来的なディスプレイの代わりに、又はそれに加えて利用してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、入力は、カメラに結合された制御部を使用して受信されてもよい。制御部は、例えばカメラの筐体の一部としてカメラとディスプレイとの間にインライン接続されているなど、カメラに組み込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔制御部がカメラ及びディスプレイから離間していてもよい。遠隔制御部は、いくつかの実施形態では、受信した入力を無線で送信することができ、他の実施形態では、遠隔制御部は、受信した入力を有線で送信することができる。例えば、いくつかの実施形態では、遠隔制御部は、システムコントローラをカメラに接続するワイヤ又はケーブルにインライン接続されていてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、カメラ視点の指示は、ディスプレイ上でカメラの出力ビューを配向することと関連して一時的に表示されてもよい。他の実施形態では、カメラ視点の指示を常時表示してもよい。いくつかの実施形態では、カメラ視点の小さなインジケータを常時表示することができる一方で、カメラ視点の大きなインジケータを、ディスプレイ上でカメラの出力ビューを配向することと関連して一時的に表示することができる。
【0011】
カメラ視点の指示は、ユーザが異なるカメラの向きを認識し特定するための簡単なシンタックスを作成するために、様々な形式のいずれかを利用することができる。いくつかの実施形態では、カメラ視点の指示は、時計読み取り値、コンパス読み取り値、基本身体方位、円の度数読み取り値、象限、空間方向、色、アルファベット列からの読み取り値、数字列からの読み取り値、又は形状列からの読み取り値のいずれかであり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、カメラの再位置決めに基づいて、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信することと、カメラからの出力ビューとカメラ位置の第2の入力に基づくカメラ位置の更新された指示とをディスプレイ上に表示することと、を更に含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、手術部位のユーザ視点に基づいて、ディスプレイ上に表示された出力ビューの所望の変換を受信することと、所望の変換に基づくカメラからの変換された出力ビューと、所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とをディスプレイ上に表示することと、を更に含むことができる。
【0014】
別の態様では、本開示による外科用システムは、患者内の手術部位への少なくとも1つのチャネルを提供するように構成されたアクセス装置と、手術部位を見るためにアクセス装置の少なくとも1つのチャネル内に配置されるように構成されたカメラと、ディスプレイと、コントローラとを含むことができる。コントローラは、カメラから出力ビューを受信し、ユーザからカメラ位置の入力を受信し、カメラからの出力ビューとカメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とをディスプレイ上に表示するように構成されてもよい。
【0015】
上述のように、本明細書に記載のシステム、装置及び方法は、多くの追加的な特徴及び/又は変形を有することができ、それらは全て本開示の範囲内にある。いくつかの実施形態では、例えば、カメラからの出力ビュー及び/又はカメラ位置の指示はいずれも、例えば、ユーザが患者や患者内の手術部位などを直接見る時にユーザの視線内に出力ビュー及び/又はカメラ位置の指示を配置する「ヘッドアップ」ディスプレイなどの拡張現実ディスプレイを使用して表示することができる。そのようなディスプレイを、液晶ディスプレイモニタなどのより従来的なディスプレイの代わりに、又はそれに加えて利用してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、第2のディスプレイを更に含むことができる。第2のディスプレイは、いくつかの実施形態では、入力を受信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2のディスプレイ上にカメラ視点の指示を表示するように更に構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、カメラ視点の指示を第2のディスプレイ上に常時表示し、ディスプレイ上でカメラからの出力ビューを配向することと関連して、カメラ視点の指示を一時的にディスプレイ上に表示するように更に構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムは、カメラに結合された制御部を更に含んでもよい。制御部は、例えばカメラの筐体の一部としてカメラとディスプレイとの間にインライン接続されているなど、カメラに組み込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔制御部がカメラ及びディスプレイから離間していてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔制御部は、受信した入力をコントローラに無線で送信してもよいが、他の実施形態では、遠隔制御部は、受信した入力をコントローラに有線で送信してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは更に、ディスプレイ上でカメラの出力ビューを配向することと関連して、カメラ視点の指示を一時的に表示するように構成されてもよい。他の実施形態では、コントローラは、カメラ視点の指示をディスプレイ上に常時表示するように更に構成されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、コントローラは、カメラ視点の指示を、時計読み取り値、コンパス読み取り値、基本身体方位、円の度数読み取り値、象限、空間方向、色、アルファベット列からの読み取り値、数字列からの読み取り値、又は形状列からの読み取り値のいずれかとして表示するように更に構成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、コントローラは、カメラの再位置決めに基づいて、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信し、カメラからの出力ビューとカメラ位置の第2の入力に基づくカメラ位置の更新された指示とをディスプレイ上に表示するように更に構成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラは、手術部位のユーザ視点に基づいて、ディスプレイ上に表示された出力ビューの所望の変換を受信し、所望の変換に基づくカメラからの変換された出力ビューと、所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とをディスプレイ上に表示するように更に構成されてもよい。
【0021】
上で説明される特徴又は変形例のいずれも、いくつかの異なる組み合わせで、本開示の任意の特定の態様又は実施形態に適用することができる。任意の特定の組み合わせの明確な記述はないが、それは単に本概要での重複を回避するためである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】患者内の手術部位に少なくとも1つのチャネルを提供するアクセス装置の一実施形態の斜視図である。
図2】本開示によるシステムの一実施形態の斜視図である。
図3】アクセス装置のチャネル内に配置されたカメラの一実施形態の斜視図である。
図4図3のカメラの側断面図である。
図5】カメラの視点がユーザ視点と整合されていない第1の構成の概略図である。
図6】カメラの視点がユーザ視点と整合されている第2の構成の概略図である。
図7】カメラが側面視の向きに配置された構成の上面図である。
図8】カメラが上面視の向きに配置された構成の上面図である。
図9A】手術部位に対して位置決めされたアクセス装置の後方斜視図である。
図9B】カメラが中に配置された図9Aのアクセス装置の側方斜視図である。
図10】本開示によるコントローラ及び、カメラ視点の指示を含むディスプレイの正面図である。
図11】本開示によるカメラ視点の指示を含むディスプレイの図である。
図12】本開示によるコントローラユーザインターフェースの図である。
図13】本開示によるカメラ視点の指示を含むディスプレイの図である。
図14】本開示による方法の一実施形態の図である。
図15】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図16】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図17】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図18】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図19】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図20】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図21】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図22】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
図23】カメラ視点の指示を表現するためのシンタックスの一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、ある特定の例示的な実施形態について、これから説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。本明細書に具体的に説明され、添付の図面に例解される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的な実施形態である。一実施形態に関連して例解又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。かかる修正及び変形例は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。加えて、様々な実施形態の同様の番号が付けられた構成要素は、概して同様の特徴を有することができる。なお更に、アセンブリ及び/又はその構成要素のサイズ及び形状は、アセンブリ又は構成要素が使用されることになる主体の解剖学的形態、アセンブリ又は構成要素と共に使用されることになる物体のサイズ及び形状、並びにアセンブリ又は構成要素が使用されることになる方法及び処置に少なくとも依存し得る。
【0024】
本明細書では、外科処置中にカメラ位置又は向きをユーザに伝え、かつ/又はユーザ視点に一致するようにカメラビュー表示を調整するためのカメラ位置又は向き指示システム及び方法が開示される。本明細書に開示されるシステム及び方法は、表示されたカメラビューにユーザ視点が適切に反映されるようにするか、又はユーザ視点をカメラ位置に関連付けるのに役立つフィードバックをユーザに提供することができる。本明細書で提供されるシステム及び方法はまた、ユーザが、ユーザ視点とカメラ位置との間の差異を識別し、2つの視点を整合させる所望の調整を表現するのを助けるシンタックス又は共通言語を作成する。これは、複数の人々の間で業務が分割される手術室環境において有用であり得る。例えば、外科医は、例えばアクセス装置及びカメラを使用のために位置決めする際に、カメラ及び/又はアクセス装置の位置を、自身の操作に基づいて迅速に識別することができ、助手又は他のユーザに所望のカメラ位置設定を容易に指図することができる。カメラからの表示されたビューは、見ているユーザにカメラ位置を思い出させるための位置の指示を含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、表示されたビューをユーザ視点と整合させるために、表示されたカメラビューに対して1つ以上の所望の変換(例えば、回転、反転など)を実行することができる。カメラ位置の指示及び表示されたビューの任意の所望の変換の制御が、例えば、患者に直接働きかける外科医又は他のユーザとシンタックスを利用して通信するアシスタントによって提供されてもよい。
【0025】
図1は、本明細書に記載の装置及び方法を使用することができる外科用システム100の一実施形態を示すが、そのような装置及び方法は、代替的に又は追加的に様々な他の用途で使用され得ることが理解されるであろう。図1のシステムに関する更なる詳細は、「Multi-Shield Spinal Access System」と題する米国特許出願公開第2017/0156814号、「Multi-Shield Spinal Access System」と題する米国特許出願公開第2019/0209154号、及び「Surgical Instrument Connectors and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2019/0216454号に見出すことができる。これらの刊行物の各々の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。システム100は、マイクロサージェリーによる骨切除術、脊髄減圧術、脊椎固定などの脊椎手術を含む様々な外科処置において使用することができる。一般に、システム100は、アクセス装置102、組織開創器(図示せず)、椎弓根支柱又は他の係留部106、コネクタ104、及びカメラ(図2参照)のうちの任意の1つ以上を含むことができる。例示的なアクセス装置102は、「Devices and Methods for Providing Surgical Access」と題する米国特許第10,758,220号に開示されている。例示的な組織開創器は、「Devices and Methods for Surgical Retraction」と題する米国特許第10,779,810号に開示されている。例示的なコネクタ104は、上述の米国特許出願公開第2019/0216454号に開示されている。例示的な係留部106は、「Surgical Access Port Stabilization」と題する米国特許出願公開第20180098788号に開示されている。例示的なカメラは、「Surgical Visualization Systems and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2018/0008138号に開示されている。これらの刊行物の各々の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
図1のシステム100を使用する例示的な方法は、様々な順序のうちのいずれかで実施される以下の工程、すなわち、a)患者の皮膚に切開部を作る工程、b)実質的に管状の形状を有するアクセス装置102(管又は複数のスロットを有する開創器など)を、切開部を通して経皮挿入する工程であって、アクセス装置は切開部から患者の脊椎の感受性組織と非感受性組織(例えば、上関節突起(superior articular process、SAP)又は椎弓板)との境界まで延在するように適合された長さを有する、工程、c)コネクタ104を使用して、アクセス装置を係留部106(例えば、椎弓根係留部)に対して安定化させる工程、d)アクセス装置と一体化した光学的可視化器具(図2参照)を挿入する工程、e)上関節突起の一部を切除し、かつ/又はマイクロサージェリーによる減圧手術を行う工程、f)組織開創器の遠位端部分が椎間板まで延在するように、組織開創器を、アクセス装置を介して又はアクセス装置から挿入するか又は展開する工程であって、開創器が外面を有する、工程、g)開創器の外面を神経根と接触させて神経根を遮蔽する工程、h)神経障害の原因となっていると考えられる全ての組織をマイクロサージェリーによって減圧する工程、i)椎骨終板からの軟骨状物質の除去を含む、椎間板物質を摘出する工程、j)椎体間装置を挿入する工程、及びk)安定化機構を展開して椎間部分を安定化させる工程、の1つ以上を含むことができる。
【0027】
図2は、上述の外科用システム100に関連して使用することができるカメラシステム200の一実施形態を示す。システム200は、アクセス装置を通過して手術部位に到達し、手術部位を視覚化するように構成することができる、カメラ又は他の可視化器具202を含んでもよい。例えば、カメラ202は、アクセス装置102の可視化チャネル204を通過し、アクセス装置の長さに沿った種々の位置のいずれかでチャネル内に位置決めされるように構成することができる。そのような位置から、カメラ202は、アクセス装置102の作業チャネル206及び/又はアクセス装置の遠位端部の遠位にある手術部位を見ることができる。カメラ202は、例えば、締まり嵌めを使用してアクセス装置102に結合されてもよく、そのようなカメラは、可視化チャネル204の軸に沿ってどこにでも位置決めすることができ、複数の視野オプションを提供することができる。更に、アクセス装置102は、その長手方向軸を中心として回転するように構成することができ、それにより、カメラをアクセス装置の長手方向軸の周りの任意の位置に移動させることが可能となる。
【0028】
カメラ202は、いくつかの実施形態では、1つ以上のケーブル210を介してコントローラ208に結合されてもよく、又は他の実施形態では、無線通信を介してコントローラ又は他のプロセッサと通信してもよい。コントローラ208は、デジタルデータプロセッサ、1つ以上の記憶メモリ、1つ以上の入力及び出力、並びに従来の電子コントローラ又はコンピューティング装置の他の構成要素を含むことができる。コントローラ208は、以下でより詳細に説明するように、カメラ202を制御するための1つ以上のユーザインターフェースを含んでもよく、あるいはカメラ202及び/又はコントローラ208を制御するために使用することができる制御部又は遠隔制御部212などの1つ以上の入力装置に結合されてもよい。制御部212は、有線接続214又は無線通信216によってカメラ202及び/又はコントローラ208に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、制御部212は、例えばカメラの筐体の一部としてカメラとディスプレイとの間にインライン接続されているなど、カメラに組み込まれていてもよく、又はカメラとディスプレイとの間に配置された中間制御部などであってもよい。
【0029】
コントローラ208及び/又はカメラ202はまた、カメラ202によって提供される作業チャネル及び/又は手術部位のビューを含む種々のデータをユーザに提示するように構成することができる1つ以上のディスプレイ218に結合されてもよい。システム200の様々な構成要素は、図示のように移動カート220に組み込まれていてもよく、又は外科手術環境の周りに別個に配置されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、システム200の構成要素は、複数のユーザと対話するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、外科医又は他のユーザは、外科医又は他のユーザがアクセス装置102及びカメラ202を直接操作する場合がある患者及び手術部位の近傍に位置してもよい。ディスプレイ218は、外科医が見ることができるように構成されてもよく、コントローラ208は、外科手術環境内で患者からより遠隔に位置する場合がある助手又は他のユーザに隣接して配置されてもよい。他の実施形態では、遠隔制御部212は、外科医又は任意の他のユーザによる使用のために、例えば、フットコントロール、ハンドコントロールなどとして配置されてもよい。なお更に、いくつかの実施形態では、システム200は、以下でより詳細に説明するように、アクセス装置102に結合されるか又は組み込まれ、カメラ202の視点を決定するために利用することができるアクセス装置の向きを検出するように構成されたセンサ222を更に含むことができる。更に他の実施形態では、そのようなセンサは、アクセス装置102ではなくカメラ202に組み込まれていてもよい。
【0030】
更に、いくつかの実施形態では、ディスプレイ218は、例えば、ユーザが患者や患者内の手術部位などを直接見る時に、カメラ202からの出力ビュー及び/又は以下に説明されるようなカメラ位置の指示などの他の情報をユーザの視線内に配置する「ヘッドアップ」ディスプレイなどの拡張現実ディスプレイを含むことができる。そのようなディスプレイを、液晶ディスプレイモニタなどの図2に示すようなより従来的なディスプレイの代わりに、又はそれに加えて利用してもよい。
【0031】
図3は、アクセス装置の遠位端部に隣接する作業チャネル及び/又は手術部位を見るためのカメラ202が内部に配置されたアクセス装置102の更なる詳細を示す。アクセス装置102は、近位端部及び遠位端部を有する細長い本体を含むことができる。アクセス装置102は、近位端部と遠位端部との間に延在し、長手方向中心軸A1を有する作業チャネル206を画定することができる。作業チャネル206は、円筒形であってもよい。作業チャネル206は、円形の横断面を有してもよい。作業チャネル206は、約3mm~約30mmの範囲、約10mm~約20mmの範囲、及び/又は約12mm~約15mmの範囲の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、作業チャネル206は、約15mmの直径を有することができる。単一の作業チャネル206が示されているが、アクセス装置102は、任意の数の作業チャネルを含むことができる。使用時に、器具及び/又はインプラントを作業チャネル206内に配置し、通過させ、及び/又は挿入して、外科処置を実施することができる。いくつかの実施形態では、アクセス装置102は、椎間板腔にアクセスするために使用され得る。骨又は椎間板組織などの組織を切断するために、作業チャネル206を通して切断器具を挿入してもよい。切除された骨又は椎間板組織を含む材料を椎間板腔から吸引するために、作業チャネル206を通して吸引器具を挿入してもよい。いくつかの実施形態では、切断器具及び吸引器具は、単一のツールであってもよい。融合ケージ、高さ及び/又は幅の拡張可能な融合ケージ、椎間板プロテーゼなどのインプラントを、作業チャネル206を通して椎間板腔内に挿入することができる。
【0032】
アクセス装置102は、可視化チャネル204を画定することができる。可視化チャネル204は、アクセス装置102の近位端部と遠位端部との間に延在することができ、又はアクセス装置の全長未満に沿って延在することができる。可視化チャネル204は、長手方向中心軸A2を含むことができる。可視化チャネル204の中心軸A2は、作業チャネル206の中心軸A1から半径方向外方に配設され得る。作業チャネル206は、可視化チャネル204よりも大きい横断面積を有することができる。可視化チャネル204は、その長さに沿って作業チャネル206に対して開口しているか、又はそれと交差することができる。いくつかの実施形態では、可視化チャネル204は、作業チャネル206から隔離又は分離することができる。
【0033】
可視化チャネル204は、カメラ202の外側横断面と一致するか、又は実質的に一致する内側横断面を有することができる。可視化チャネル204内に配設されると、カメラ202の外面は、作業チャネル206の内壁の少なくとも一部分を画定することができる。作業チャネル206は、中心軸A1を中心とする円筒形であってもよく、作業チャネルに面するカメラ202の表面は、軸A1を中心とする円筒の断面を形成することができる。作業チャネル206の内壁及びカメラ202の外面は、実質的に滑らかかつ連続的な表面を画定することができる。
【0034】
アクセス装置102は、例えば、アクセス装置を支持体又は他の物体に取り付け、アクセスポートがその長手方向軸を中心として回転することを可能にするための取り付け機構302を含むことができる。取り付け機構302は、アクセス装置102の近位端部に形成されてもよい。例えば、アクセス装置102は、その外面に形成された環状の周方向溝302を含むことができる。例えば、コネクタ又は他の構成要素上の相補的機構と接続するためのボール及び/又はソケット機構などの、様々な他の取り付け機構302も可能である。
【0035】
アクセス装置102は、円形の外部横断面を有してもよく、楕円形又は卵形の外部横断面を有してもよく、又は様々な他の外部横断面形状のいずれかを有してもよい。アクセス装置102は、約5mm~約30mmの範囲、約10mm~約25mmの範囲、及び/又は約15mm~約22mmの範囲の外径又は寸法を有することができる。アクセス装置110は、約17mmの外径又は寸法を有することができる。アクセス装置102の外面は、粗面化されているか、リブ加工されているか、フライス加工されているか、又は、アクセス装置が患者に挿入される際に周囲の組織との把持及び安定性を有利に向上させることができる高い摩擦係数を有する材料でコーティングされているか、もしくは形成されていてもよい。
【0036】
図4は、カメラ202の側断面図である。カメラ202は、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサなどの画像捕捉センサ402、並びに外部光源から光を送達する光ファイバ、又はカメラ202に組み込まれていてもよい1つ以上の発光ダイオード(LED)又は他の光生成装置などの関連する照明装置404を含むことができる。カメラ202はまた、所望の方法でセンサ402のビューの合焦を補助するために、1つ以上のレンズを含むことができるレンズアセンブリ406を含んでもよい。カメラ202は、視野(field-of-view、FOV)、視野方向(direction of view、DOV)、及び被写界深度(depth of field、DOF)を有することができる。いくつかの実施形態では、FOVは、約60~約70度の範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、DOVは、約15~30度の範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、DOVは、約20~25度の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、DOVは約22.5度とすることができる。いくつかの実施形態では、DOFは、約7mm~約40mmの範囲内とすることができる。例示的なカメラの更なる詳細は、「Surgical Visualization Systems and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2018/0214016号に見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
図5は、患者の体内の手術部位を見るためにアクセス装置内に配置されたカメラで起こり得る困難の一実施形態を示している。ユーザ502は、図のビューにおいてページの下部に向かって立っており、ユーザ視点は、図のビューにおいてページの上部に向かっている。ユーザがアクセス装置102を直接見下ろすと、ビュー504が見え、例えば、アクセス装置を通して挿入された器具506を操作することができる。しかしながら、カメラ202は、ユーザ502とは異なる向きである場合がある。例えば、図5に示すように、カメラ202は、カメラをユーザの反対側に(すなわち、図のビューにおいてページの上部に向かって)位置決めしているアクセス装置の可視化チャネル内に配置されている場合がある。結果として、カメラ位置、視点、又は向きが、ユーザ502の位置、視点、又は向きと反対になり、そのため、ディスプレイ508上の画像は、ディスプレイを見ているユーザ502にとって上下逆さまに見えることになる可能性がある。これにより、手術環境の混乱が生じ、外科処置を行う際の複雑さ、時間、及び誤りの可能性が増加するおそれがある。
【0038】
図5の構成とは対照的に、図6の構成は、ユーザ502の視点と整合するようにアクセス装置102内に配置されたカメラ202を示している。結果として、ディスプレイ508上に表示されるカメラ202からの手術部位の画像がユーザ502の視点と整合され、外科処置を行う際にはるかに直感的な経験を容易に得られるようになる。
【0039】
カメラ位置とユーザ位置との間の不一致は、ユーザを混乱させ得る予期せぬ出力ビュー表示を引き起こす可能性があり、本開示によるシステム及び方法は、カメラ位置をユーザに知らせるために、カメラ位置をディスプレイ508上の円の周りの位置及びインジケータとして表現するためのシンタックス又は共通言語を提供する。これにより、ユーザは、表示されたカメラビューの視点を識別し、自身の視点に意識内で関連付けることができる。更に、いくつかの実施形態では、シンタックス及びカメラ位置の指示は、ユーザがカメラ202の視点を自身の直接的な視点と整合させるために、例えば、図5及び図6に示す構成間でアクセス装置をその長手方向軸を中心として回転させることによって、アクセス装置の位置を手動で調節することを容易にすることができる。更に、本明細書に記載のシステム及び方法は、カメラの表示された出力ビューの様々な変換のいずれかを容易にして、ユーザ視点とより良好に整合させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明するように、アクセス装置及び/又はカメラの特定の操作は、常に可能又は望ましいとは限らない場合がある。したがって、アクセス装置及び/又はカメラを物理的に再配向してユーザ視点に一致させるのではなく、ディスプレイ上に示される出力ビューの表示された視点又は向きを切り替えてユーザ視点と整合させるための機構を提供することが望ましい場合がある。図5では、例えば、図6に示すようにカメラを動かすことなく、カメラ202の出力ビューを180度回転させて、同様の効果を得ることができる。
【0040】
したがって、本開示は、カメラ位置又は向きを表現するための表現シンタックス又は共通言語と、ディスプレイ上に表示される、カメラの現在の及び/又は所望の位置、向き、もしくは視点を容易に表現するために使用することができるカメラ位置又は向きの表示された指示、並びに/あるいはカメラの表示された出力ビューとをユーザに提供することによって視点マッチングを達成するためのシステム、装置、及び方法を提供する。これにより、別のユーザがカメラの動作並びにカメラ及び/又はアクセスポートの配置を制御する実施形態において、ユーザがカメラ位置又はカメラの表示された出力ビューの向きを容易に調整して、自身の直接的な視点に一致させることができ、及び/又は、ユーザが手術チームの中の1人以上の他のユーザと容易に通信して、そのような視点マッチングを効率的に達成することができる。
【0041】
図7及び図8は、アクセス装置を通して手術部位に導入されたカメラの使用中に視点の差異がどのように生じ得るか、並びにカメラの物理的な再配向又は再位置決めがどのように必ずしも理想的ではないかの別の例を示す。また、カメラ位置を円の周りの場所として記述し、カメラ位置及び/又は表示された出力ビューに対する任意の所望の変更を命令するために採用することができる表現シンタックス又は共通言語の一実施形態も示されている。
【0042】
図7は、アクセスポート102が患者の椎骨702に対して側方又は後側方に位置決めされ、可視化チャネル及びその中に配置されたカメラ202がアクセスポートの前方かつ側方位置となるように配向された構成を示す。そのような位置決めは、いくつかの場合においては、可能な限り側方に配向された視野704、すなわち「側面視」の向き又は構成を提供するために望ましくてもよい。図の下部に示すように、そのような位置決めは、時計文字盤708のシンタックスを使用して、例えば、カメラが上から見て6時の位置706にあるとして表現されてもよい。
【0043】
このカメラ位置が、患者の近くに立ってカメラの出力ディスプレイを見ているユーザ視点とずれている場合、時計文字盤708のシンタックスを使用してカメラ位置の指示をユーザに提供することが有用であり得る。これにより、ユーザは、カメラ位置をより良好に視覚化し、カメラの任意の表示された出力ビューを、患者及び手術部位の自身の直接的なビューに関連付けることができる。
【0044】
更に、いくつかの実施形態では、ユーザは、表示されたカメラ出力ビューを自身の視点とより良好に整合させるため、あるいは患者の解剖学的構造をより良好に見るため又は異なる見方で見るために、カメラ位置又は向きを変更することを望む場合がある。そのような場合、ユーザは、例えばアクセス管を180度回転させて、例えばカメラ202がアクセスポートの後方かつ内側位置に配置された図8の構成にすることなどによって、アクセス装置102及び/又はカメラ202を直接操作してもよい。そのような動きに続いて、ユーザは、手術環境内の他者にカメラ202の新たな位置を示すこと、及び/又は、任意の表示されたカメラ位置指示を新たなカメラ位置に一致するように更新することを望む場合がある。これを、時計文字盤708の表現シンタックス又は共通言語を使用して行ってもよい。例えば、ユーザが、新たなカメラが12時の位置806にあると宣言してもよく、コントローラ208を操作するアシスタント又は他のユーザが、表示されたカメラ位置インジケータの更新を入力してもよい。あるいは、アクセス装置102及び/又はカメラ202を操作するユーザが、自身でコントローラ208に入力を提供して、カメラ位置インジケータを更新してもよい。例えば、ユーザは、新たなカメラ位置を入力するためにコントローラ208と直接インターフェースしてもよく、あるいは、有線又は無線の遠隔制御部212を利用してもよい。更に、いくつかの実施形態では、アクセス装置102及び/又はカメラ202に組み込まれた1つ以上のセンサが、以下でより詳細に説明するように、位置の変化を検出し、表示されたカメラ位置インジケータを自動的に調整することができる。
【0045】
しかしながら、いくつかの実施形態では、アクセス装置102又はカメラ202を動かすことが望ましくない場合がある。例えば、そのような動きによって、カメラ202の視野が不必要に変化してしまうおそれがある。図7及び図8の実施形態では、例えば、図7に示す位置から図8に示す位置へのカメラ位置の変化は、視野704を、より側方の視野704ほど望ましくない可能性があるより後方の「上面視」の向きである視野804に変化させる可能性がある。もちろん、いくつかの実施形態では、状況が逆であり、すなわち、図8の後方の「上面視」のビューが望ましく、この位置決めから離れるようにカメラ202を物理的に再配向することが望ましくない場合がある。
【0046】
そのような実施形態では、カメラを物理的に動かすことなく、カメラの表示された出力ビューに対して1つ以上の変換を実行することが望ましくてもよい。例えば、視野704を維持する一方で、図8のカメラ位置決めを好む可能性があるユーザに対してより良く整合させることができる視点を提供するために、カメラの出力ビューを(例えば、コントローラ208の機能によって)ディスプレイ218上で180度回転させてもよい。そのような変換(例えば、回転、反転など)は、カメラ位置の指示と同じ表現シンタックス又は共通言語を用いてユーザによって指定されてもよい。例えば、ユーザは、カメラが6時の位置に位置決めされているが、自身はディスプレイが12時の位置をシミュレートすることを好むと表現してもよい。あるいは、変換は、例えば、180(又は他の数)度の回転、水平方向のフリップ、垂直方向のフリップなど、表示された出力ビューに対する直接的な変更として表現することができる。任意の変換が、表示されたカメラ位置インジケータを使用して、実際のカメラ位置の変化と同じ方法で反映されてもよいが、別個のインジケータで、又はカメラの実際の位置の変化とは区別された何らかの他の方法で表現されてもよい。
【0047】
図9A及び図9Bは、カメラの更なる可能な位置と、カメラ位置を示すために使用することができるその視点のシンタックス表現とを示している。図9Aは、例えば脊椎固定術中に椎間板にアクセスするために層間視の向きに位置決めされたアクセス装置102の後方図である。図7及び図8に関連して上述した時計文字盤708のシンタックスに従って、アクセス装置102の可視化チャネル204及びその中に配置された任意のカメラ202(図9B参照、図9Aには図示せず)は、3時の位置906にあると言うことができる。アクセス装置102及びカメラ202のそのような位置決めは、例えば、図9Bの側方図に示すように、この位置でカメラ202に提供される特定の視野904にとって望ましい場合がある。
【0048】
しかしながら、上述したように、カメラ202の表示された出力ビューは、カメラ202の位置とユーザの位置が同じでないか、又は少なくとも互いに対して位置合わせされていない場合、ユーザ視点と整合しない可能性がある。表示された出力ビューとユーザ視点との不一致は、処置中の混乱又は進行の遅れを引き起こすおそれがある。これに対処する1つの方法は、カメラの表示された出力ビューと関連してカメラ位置の指示を提供することであり、これにより、ユーザは、カメラ位置、及び自身の視点と表示された出力ビューの視点との間で生じ得る不一致を容易に認識できるようになる。カメラ位置の指示は、例えば、図7図9に関連して説明した時計文字盤708の周りのカメラ位置、又は円の周りの位置を記述する様々な他のシンタックスもしくは言語のいずれかであり得る(以下の更なる例を参照)。
【0049】
そのようなカメラ位置又は向きの指示の使用はまた、ユーザが同様のシンタックスを使用してアクセス装置102及び/又はカメラ202を迅速に再位置決めし、カメラ位置の更新をコントローラ208に入力することを可能にし得る。この更新は、ユーザが遠隔制御部212を使用してコントローラ208に直接に、又はアシスタントなどの第2のユーザに、彼らが入力することができる所望の新たな位置を送信することによって、入力することができる。更に他の実施形態では、アクセス装置102及び/又はカメラ202に組み込まれた1つ以上のセンサが、位置の任意の変化を検出し、表示されたカメラ位置の指示を自動的に更新することができる。
【0050】
更に、いくつかの実施形態では、カメラの表示された出力ビューの1つ以上の変換(例えば、回転、反転など)を可能にして、カメラを再位置決めすることなくより直観的な体験をユーザに提供することが望ましい場合がある。任意の所望の変換は、同様のシンタックス(例えば、新たな所望の時計文字盤位置に従った角度の回転)を使用して、直接的な指図又はユーザインターフェースへの入力(例えば、180度回転)などによって送信されてもよい。更に、カメラを動かすことなく実施される任意の変換は、例えば、真のカメラ位置の指示に加えて別個の変換の指示を含む、カメラの動きをシミュレートするための指示の更新などによって、カメラ位置の指示に反映することができる。
【0051】
図10及び図11は、上述のシステム200に含まれ得るカメラコントローラ208及びディスプレイ218の一実施形態を示す。図10は、カメラコントローラ208の正面図である。コントローラ208は、ボタン、ノブ、スイッチなど、並びにポート(例えば、ユニバーサルシリアルバスポート又はUSBポート、セキュアデジタルカードポート又はSDカードポート)などの1つ以上の物理的な入力1002及び/又は出力1004を含むことができる。コントローラ208はまた、ディスプレイを通したユーザ入力の制御又は受信を可能にするためにタッチセンシティブであってもよいディスプレイ1006を含むことができる。他の実施形態では、上述のように、コントローラは、遠隔制御部212などの遠隔入力装置に結合されてもよく、又は有線もしくは無線通信プロトコルを介してネットワークによってコントローラ208に結合された別のコンピュータもしくはコントローラから入力を受信してもよい。
【0052】
コントローラ208のディスプレイ1006は、例えば、時計文字盤上の読み取り値として表される円の周りの位置などとして、カメラ位置又は向きのグラフィカル表現1008を含むことができる。図10に示すように、例えば、現在のカメラ位置1010は、例えば、異なる色、より大きなフォント、より太いフォントを選択するなどの何らかの方法で、ハイライト及び/又は強調されてもよい。更に、ユーザは、新たな又は更新されたカメラ位置を、ディスプレイ1006を押すか又は入力1002(例えば、ノブなど)を使用して、ユーザによるカメラの動きと関連して新たな位置を選択することによって入力することができる。更に、カメラ202のいくつかの他の機能、例えば、照明輝度、レンズ洗浄、写真又はビデオキャプチャ、出力ビュー変換などを、グラフィカルユーザインターフェースボタン1012を介してディスプレイ1006を使用して制御してもよい。
【0053】
図11は、図10に示すコントローラディスプレイ1006に対応するディスプレイ218を示す。ディスプレイ218は、カメラ202の出力ビュー1102、並びにカメラ位置の1つ以上のインジケータを示すことができる。例えば、ディスプレイ218は、画面上に常時存在する持続的カメラ位置のインジケータ1108を含むことができる。インジケータ1108は、表示されたビュー1102に対してサイズが小さくてもよい。加えて、ディスプレイ218は、例えばカメラ位置の変化が指定されるたびに、例えばコントローラ208上のディスプレイ1006の入力インターフェースを使用して表示することのできる一時的インジケータ1104を含んでもよい。一時的インジケータ1104は、持続的インジケータ1108よりも大きく、より目立ってもよく、例えば、ディスプレイの中心に置かれ、表示されたビュー1102の大部分を占めてもよい。インジケータ1104、1108は、コントローラ208上のインジケータ1008と一致してもよい。
【0054】
図12及び図13は、カメラ位置が図10及び図11に表示されたカメラ位置から変更された異なる構成のコントローラ208及びディスプレイ218のグラフィカルな表示を示している。例えば、図10及び図11のディスプレイは、例えば、図6及び図7に示すような時計文字盤のシンタックスにおいて6時の位置1010、1106にあるカメラを示しているが、図12及び図13のディスプレイは、例えば、図5及び図8に示すような12時の位置1202、1302に変更されたカメラ位置を示している。
【0055】
本開示による外科処置の例示的な方法1400を図14に示し、図10図13を参照して説明する。初期構成では、例えば、カメラは、図10及び図11に示す6時の位置1010、1106にあってもよい。コントローラ208は、カメラから出力ビューを受信し(工程1402)、ディスプレイ218上に出力ビュー1102をカメラ位置インジケータ1106、1108と共に示すことができる。ユーザは、ディスプレイ218を見て、一時的カメラ位置インジケータ1104又は(例えば一時的カメラ位置インジケータが表示されない場合には)持続的カメラ位置インジケータ1108のいずれかによって、自身の視点がカメラ位置と整合していないことを認識することができる。これは、手術部位の表示されたビュー1102に関するあらゆる混乱にユーザが対処する助けとなり得る。
【0056】
カメラの表示された出力ビューをユーザ視点により良好に整合させるために、ユーザは、アクセス装置102及び/又はカメラ202を新たな位置へと直接操作してもよい。例えば、ユーザは、アクセス装置102及び/又はカメラ202を、図12及び図13に示す6時の位置から12時の位置まで180度回転させてもよい。アクセス装置102及び/又はカメラ202を動かすことと関連して、ユーザは、例えばコントローラ208上のディスプレイ1006などのインターフェースを使用して、ディスプレイ1006の表現1008上の新たなカメラ位置を押すことによって、新たなカメラ位置を直接入力することができる。あるいは、コントローラ208がユーザからより遠くに位置し、例えばアシスタントなどの第2のユーザが配されている場合、ユーザは、時計文字盤のシンタックス又は共通言語を使用して新たなカメラ位置を指図することができ、第2のユーザは、コントローラインターフェースを使用してこの新たな位置を入力することができる。上述のように、他の入力インターフェース(例えば、遠隔制御部など)も同様に利用することができる。このようにして、コントローラ208は、カメラ位置の入力を受信することができる(工程1404)。
【0057】
カメラ位置の入力又は指示を受信すると、コントローラ208は、カメラ位置の受信された入力に基づいて、カメラの出力ビュー及びカメラ位置の指示をディスプレイ上に表示することができる(工程1406)。カメラ位置の指示は、図13に示すように、新たな位置を表示するための持続的カメラ位置インジケータ1108の更新されたバージョンであってもよい。加えて、コントローラディスプレイ1006のカメラ位置インジケータ1008も同様に更新することができる。最後に、カメラ位置の変更が入力されたことを強調するために、より目立つ一時的カメラ位置インジケータ1104を更新して画面(図13参照)上に表示し、ディスプレイを見ているユーザに変更が登録されたことを強調表示してもよい。一時的カメラ位置インジケータ1104は、表示されたカメラ出力ビューからの逸脱を回避するために、(例えば、常時表示される持続的カメラ位置インジケータ1108と比較して)有限の時間にわたって表示されてもよい。有限の時間は、例えば、約1秒~約1分であってもよい。いくつかの実施形態では、有限の時間は、約1秒~約10秒であってもよい。上述のフィードバックに加えて、音、触覚フィードバック、他の視覚フィードバックなどの他のフィードバックをユーザに発してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、ユーザが患者の周りを移動し、それに応じてカメラ位置を調整するのに伴って、処置中にカメラを複数回再位置決めすることができる。そのような場合、上述の手順を移動ごとに繰り返して、カメラの出力ビューと共に表示されるカメラ位置インジケータを更新してもよい。例えば、コントローラは、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信することができ(工程1408)、カメラの出力ビュー及びカメラ位置の更新された指示をディスプレイ上に表示することができる(工程1410)。
【0059】
更に、いくつかの実施形態では、ユーザは、アクセス装置102及び/又はカメラ202を物理的に動かすことなく、カメラの表示された出力ビュー1102の変換(例えば、回転、反転など)を実行することを望む場合がある。そのような変換は、ソフトウェアを使用してコントローラ208によって実施することができ、コントローラ又は他のインターフェース上のディスプレイ1006を使用して制御することができる。例えば、コントローラ208は、手術部位のユーザ視点に基づいて、ディスプレイ上に表示された出力ビューの所望の変換を受信することができる(工程1412)。コントローラ208は、所望の変換に基づくカメラからの変換された出力ビューと、所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とを、ディスプレイ上に表示することができる(工程1414)。これは、例えば、カメラの新たな位置をシミュレートするためにカメラ位置インジケータを更新すること、変換を表す変換ラベル又はグラフィックを追加すること、カメラ位置インジケータとは別個の第2のインジケータを表示することなどを含むことができる。
【0060】
上述の実施形態は、時計文字盤に基づく表現シンタックスを利用しているが、円の周りの位置と、位置を視覚的に表現し、それに対する調整を送信するために使用可能な共通言語とを一致させる様々なシンタックスのいずれかを含む、様々な他のシンタックスも可能である。図15図23は、同様に使用することができる様々な例示的なシンタックスを示す。これらは、図15の時計文字盤の数字列、又は任意の他の数字列を含む。例えば、図17は、コンパスに類似した円の度数の数字列を示す。図16に示すように、例えば、北、南、西、東などのコンパス方位を使用することもできる。いくつかの実施形態では、図18に示すように、例えば、頭部、尾部、内側、側部などの位置に関する解剖学的用語を使用することができる。図19に示すように、例えば、上、下、左、右などの他の位置の用語も使用することができる。いくつかの実施形態では、方向は、図20の四象限分割によって示されるように、四分円、六分円、八分円などに基づいて示すことができる。
【0061】
更に他のシンタックスも可能である。例えば、図21は、異なる方向を異なる色又は色の名称で表現することができる、カラーホイールに基づくシンタックスを示している。いくつかの実施形態では、数字列と同様に、アルファベット列又は英数字列も利用することができる。例えば、図22は、方向又はビューの向きを表現するための例示的なアルファベット列を示している。図23は、例えば、それぞれが異なる方向又はビューの向きを表すことができる、三角形、正方形又は長方形、円、菱形などの形状マッチングに基づく更なる表現シンタックスを示している。
【0062】
上述の実施形態は、ユーザがシンタックスに従って指示からカメラ位置を識別するのを助け、ユーザがシンタックスを使用して新たな又は所望のカメラ位置を別のユーザ及び/又はコントローラもしくは他のシステム構成要素に送信するための表現シンタックスを提供する。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステム及び方法はまた、例えば、コントローラ208のインターフェースディスプレイ1006と関連してユーザに表示されるカメラ位置インジケータ、又はディスプレイ218上に表示されるカメラ位置インジケータ1008、1104、1108を更新するために、アクセス管102及び/又はカメラ202の位置を検出し、検出された位置をコントローラ208を使用して自動的に送信する1つ以上のセンサを含むことができる。
【0063】
上述し、図2に示すように、アクセス装置102及び/又はカメラ202は、その位置を検出することの可能な1つ以上のセンサ222を含むことができる。センサ222は、例えば、アクセス装置102の軸に対するアクセスポート102及び/又はカメラ202の位置を検出するように構成することの可能な、磁気センサ、光学センサ、レーザセンサ、電子センサ、又は任意の他の種類のセンサであってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ユーザは、上述の方法で、例えば、時計文字盤の読み取り値に従って円の周りの特定の位置にカメラを指定することなどにより、アクセスポートを所望の初期構成に位置決めし、カメラ位置を指定することができる。更に、初期指定を、動作環境におけるユーザの直接的な視点と整合させてもよい。初期カメラ位置指示を受信した後、アクセスポート102及び/又はカメラ202の任意の後続の動きを追跡し、そのような動きをコントローラ208に送信するために、1つ以上のセンサ222を利用してもよい。コントローラ208は、上述のように、例えばディスプレイ1006を介した別個の新たなカメラ位置の入力を必要とすることなく、1つ以上のセンサ222から受信した情報に基づいてカメラ位置インジケータを自動的に調整することができる。更に、いくつかの実施形態では、表示された出力ビューを、手術室内のユーザの直接的な視点に対応する、ユーザから提供された初期カメラ位置指示と整合された状態に保つために、アクセス装置102及び/又はカメラ202の動きに基づいて様々な変換(例えば回転など)を実行してもよい。カメラ位置インジケータは、例えば、別個の変換の指示を提供すること、変換をカメラ位置指示に組み込むことなどによって、上記のような変換を反映するように更新することができる。例えば、一実施形態では、カメラ位置インジケータは、カメラは6時の位置にあるが、表示された出力ビューは12時の位置からのビューをシミュレートするために180度回転されていることを示す場合がある。
【0065】
他の実施形態では、ユーザは、本明細書に開示するシンタックス(例えば、時計文字盤の読み取り値、基本方位の読み取り値など)のいずれかを使用して、自身の視点を直接指定してもよい。コントローラ208は、この視点に対するアクセス装置102及び/又はカメラ202の任意の動きを追跡し、任意の変更を表現するようにカメラ位置インジケータを更新することができる。代替的又は追加的に、コントローラ208は、表示された出力ビューをユーザ視点と整合された状態に保つために、表示された出力ビューの様々な変換のいずれかを実施することができる。
【0066】
更に他の実施形態では、アクセス装置102は、図3に示すように、アクセス装置の近位端部に結合され、その外周の周りを移動するように構成することができる視点インジケータ304を含んでもよい。視点インジケータ304は、アクセスポートを配置した後に、アクセスポートの物理的位置を示すためにユーザによって位置決めされてもよい。視点インジケータ304は、アクセス装置102の周囲の視点インジケータの位置を検出してコントローラ208に送信することができるセンサを含むか、あるいはセンサに結合されていてもよい。コントローラ208は、視点インジケータ304の位置を利用して、表示されたカメラ位置インジケータ及び/又は出力ビューを更新し、アクセス装置、カメラ、及び/又は視点インジケータのあらゆる将来の動きを追跡し、それに応じて、表示されたカメラ位置インジケータ及び/又は表示されたカメラ出力ビューを更新することができる。
【0067】
本明細書に開示される器具は、様々な既知の材料のうちのいずれかから構成されることができる。そのような材料としては、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、コバルトクロム、又はそれらの合金及び組み合わせなどの金属、PEEKなどのポリマー、炭素繊維などを含む、外科用途で使用するのに好適な材料が挙げられる。本明細書に開示される器具の様々な構成要素は、それらの使用に適切な様々な程度の剛性又は可撓性を有することができる。装置のサイズもまた、使用目的及び手術部位の生体構造によって大きく異なり得る。更に、特定の構成要素は、他の構成要素とは異なる材料から形成され得る。器具の1つ以上の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の撮像技術下の視覚化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成され得るか、又は他の構造物の視覚化と干渉しないように、炭素繊維及び/もしくは高強度ポリマーなどの放射線透過性材料から形成され得る。
【0068】
本明細書で開示された装置、システム及び方法は、低侵襲性手術及び/又は切開手術で用いることができる。本明細書に開示される装置、システム及び方法は、概して、ヒト患者における手術の文脈で説明されているが、本明細書に開示される装置、システム及び方法は、任意のヒトもしくは動物の対象との様々な外科処置のいずれかで、又は非外科処置で使用することができることが理解されるであろう。
【0069】
本明細書に開示される装置、システム及び方法は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、特定の構成要素を少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整することができる。再調整は、分解工程、特定の構成要素の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、構成要素は分解することができ、構成要素の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、構成要素を後の使用のために、再調整施設で、又は外科処置の直前に外科チームによって再度組み立てることができる。装置の再調整は、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができる。そのような技術の利用、及びその結果として得られる再調整された構成要素は全て、本開示の範囲に含まれる。
【0070】
具体的な実施形態が上で説明されているが、説明された概念の趣旨及び範囲内で変更がなされ得る。例えば、本明細書に開示される特定の構成要素は、概して、手によって動作可能であるように説明されているが、いくつかの実施形態では、これらの構成要素は、例えば、ロボットなどによって動作させることができる。したがって、本開示は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲の文言によって定義される全範囲を有することが意図されている。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【0071】
〔実施の態様〕
(1) 外科的方法であって、
患者内の手術部位を見るために、アクセス装置のチャネル内に配置されたカメラから出力ビューを受信することと、
ユーザからカメラ位置の入力を受信することと、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とをディスプレイ上に表示することと、
を含む、外科的方法。
(2) 前記ディスプレイは拡張現実ディスプレイを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記入力は第2のディスプレイで受信される、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第2のディスプレイは前記カメラ位置の指示を表示する、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記第2のディスプレイは、前記カメラ位置の指示を常時表示し、前記ディスプレイは、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して前記カメラ位置の指示を一時的に表示する、実施態様4に記載の方法。
【0072】
(6) 前記入力は、前記カメラに結合された制御部を使用して受信される、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記制御部は、前記カメラ及び前記ディスプレイから離間している、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記カメラ位置の指示は、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して一時的に表示される、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記カメラ位置の指示は持続的に表示される、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記カメラ位置の指示は、時計読み取り値、コンパス読み取り値、基本身体方位、円の度数読み取り値、象限、空間方向、色、アルファベット列からの読み取り値、数字列からの読み取り値、又は形状列からの読み取り値のいずれかである、実施態様1に記載の方法。
【0073】
(11) 前記カメラの再位置決めに基づいて、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信することと、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の第2の入力に基づくカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示することと、
を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記手術部位のユーザ視点に基づいて、前記ディスプレイ上に表示された前記出力ビューの所望の変換を受信することと、
前記所望の変換に基づく前記カメラからの変換された出力ビューと、前記所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示することと、
を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 外科用システムであって、
患者内の手術部位への少なくとも1つのチャネルを提供するように構成されたアクセス装置と、
前記手術部位を見るために前記アクセス装置の前記少なくとも1つのチャネル内に配置されるように構成されたカメラと、
ディスプレイと、
コントローラであって、
前記カメラから出力ビューを受信し、
ユーザからカメラ位置の入力を受信し、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の入力に基づくカメラ位置の指示とを、前記ディスプレイ上に表示する、
ように構成されたコントローラと、
を備える、外科用システム。
(14) 前記ディスプレイは拡張現実ディスプレイを含む、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記入力を受信するように構成された第2のディスプレイを更に備える、実施態様13に記載のシステム。
【0074】
(16) 前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を前記第2のディスプレイ上に表示するように更に構成されている、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を前記第2のディスプレイ上に常時表示し、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して前記カメラ位置の指示を一時的に前記ディスプレイ上に表示するように更に構成されている、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記カメラに結合された制御部を更に備える、実施態様13に記載のシステム。
(19) 前記制御部は、前記カメラ及び前記ディスプレイから離間している、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記コントローラは、前記カメラ位置の入力を受信することと関連して前記カメラ位置の指示を一時的に表示するように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
【0075】
(21) 前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を前記ディスプレイ上に持続的に表示するように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(22) 前記コントローラは、前記カメラ位置の指示を、時計読み取り値、コンパス読み取り値、基本身体方位、円の度数読み取り値、象限、空間方向、色、アルファベット列からの読み取り値、数字列からの読み取り値、又は形状列からの読み取り値のいずれかとして表示するように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(23) 前記コントローラは、
前記カメラの再位置決めに基づいて、ユーザからカメラ位置の第2の入力を受信し、
前記カメラからの前記出力ビューと、前記カメラ位置の第2の入力に基づくカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示する、
ように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(24) 前記コントローラは、
前記手術部位のユーザ視点に基づいて、前記ディスプレイ上に表示された前記出力ビューの所望の変換を受信し、
前記所望の変換に基づく前記カメラからの変換された出力ビューと、前記所望の変換を反映したカメラ位置の更新された指示とを、前記ディスプレイ上に表示する、
ように更に構成されている、実施態様13に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】