(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】容器を画像化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555609
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 US2022019424
(87)【国際公開番号】W WO2022192314
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513165469
【氏名又は名称】ビーディー キエストラ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】フェイイェン,フランシスカス,ヘルマニュス
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ブレント,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】バーク,クレイグ,ダブルユー.
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・ヴェイヴェル,ヤン,バルト
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ティモシー,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】シンネマ,ユルイェン
(72)【発明者】
【氏名】クリーフストラ,マルティン
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA28
2G051AB15
2G051CA04
2G051CA06
2G051CC11
(57)【要約】
血液培養びんを自動的に、かつ、速やかに処理することができるシステム。このような処理は、血液培養びんの円筒状表面に置かれたラベルの画像を取得するステップを含む。システムはまた、試料レベルを予め置かれた基準と比較することによって、血液培養びんに加えられた血液試料の量を決定することができる。血液培養びん中の液体メニスカスと基準との間の距離を使用して血液体積を決定することができる。画像化装置はまた、泡沫の存在、または血液培養びんの首部の部分における培養媒体の存在などの血液培養びんの内部状態を検出することができる。ラベルの画像は、カメラまたはスキャナによって捕捉された1つまたは複数の画像から取得される。ラベル上の情報は自動的に読み取ることができ、したがって血液培養びんを手動で処理する必要がなく、装置の処理能力が高くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状対象物の画像を取得するためのシステムであって、
クランプを有するエンドエフェクタを備えるロボット搬送アームであって、前記クランプが、異なる直径を有する円筒状対象物を把持するように調整可能であり、前記ロボット搬送アームがx、yおよびz方向に移動可能である、ロボット搬送アームと、
円筒状試料容器を受け取るためのプラットフォームであって、前記試料容器が前記ロボット搬送アームによって前記プラットフォームの上に置かれる、プラットフォームと、
前記プラットフォームの上に置かれたとき、前記円筒状試料容器の画像を取得するように配置されたカメラであって、前記円筒状試料容器が前記プラットフォームの上に垂直配向で置かれ、前記円筒状試料容器がラベルを伴い、前記カメラが、前記円筒状試料容器が伴っている前記ラベルの1つまたは複数の画像を取得するように置かれる、カメラと、
を備え、
前記システムが、前記カメラによって取得された前記ラベルの前記1つまたは複数の画像から前記ラベルの二次元画像を構築し、
前記ラベルの画像が取得された後、前記円筒状試料容器が前記ロボット搬送アームによって前記システムから除去される、
システム。
【請求項2】
前記円筒状試料容器が血液培養びんである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
回転プラットフォームをさらに備え、前記回転プラットフォームの上に前記円筒状試料容器が置かれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記カメラが前記ラベルの画像を単一のフレームの中に取得する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記カメラがプロセッサと通信する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記カメラから受け取った前記画像に極変換を適用するようにプログラムされる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記極変換を適用することによって変換された画像を出力する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記回転プラットフォームが前記円筒状試料容器を360度回転させ、前記カメラが前記ラベルの画像をn個の画像で取得し、前記円筒状試料容器が前記360度のうちの所定の部分だけ回転する毎に個々の画像が取得される、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記360度のうちの前記所定の部分が45度である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ラベルの画像を取得するために前記n個の画像が1つにつなぎ合わされる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プラットフォームの下方に配置されたシュートをさらに備える、請求項1および3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
ゲートが前記プラットフォームの上に置かれ、前記ゲートが、前記円筒状試料容器が前記プラットフォーム上で支持される第1の位置から、前記円筒状試料容器が前記プラットフォーム中の開口部を通過することができる第2の位置まで動作可能であり、前記円筒状試料容器の前記開口部の通過は、前記ゲートが前記第2の位置へ移動するときにもたらされる、請求項1および10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記シュートがほぼ垂直配向で前記円筒状試料容器を受け取り、前記円筒状試料容器をほぼ水平配向に容易にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記円筒状試料容器が血液培養びんである、請求項3から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記シュートが前記血液培養びんをほぼ水平配向に案内する傾斜ランプを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記ランプが一対の傾斜トラックであって、前記一対の傾斜トラックがそれらの間に開口部を有し、前記円筒状試料容器が前記ほぼ垂直配向から前記ほぼ水平配向に枢動すると、前記血液培養びんの首部が前記傾斜トラック同士の間に適合する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ロボット搬送アームの前記エンドエフェクタが前記円筒状試料容器の底部を把持し、前記円筒状試料容器が前記水平位置にあるとき、前記ロボット搬送アームが前記円筒状試料容器を前記シュートから搬送する、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記円筒状試料容器と前記カメラの間にはさまれた角度付き鏡面仕上げ内部表面を備える補助ミラーモジュールをさらに備え、前記カメラが前記プラットフォームの上に置かれたとき前記円筒状試料容器の画像を捕捉することができるように前記カメラが配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記角度付き鏡面仕上げ表面が2つの角度付きサイドミラーを備え、前記ミラーの側面が前記円筒状対象物の反射と対向し、前記2つの角度付きサイドミラーの前記鏡面仕上げ表面が、光を反射表面から中央角度付きミラーの反射表面へ導くように構成され、前記中央角度付きミラーの前記反射表面が光を前記カメラに向かって導くように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
第1の角度付きサイドミラーの反射表面の角度が、前記円筒状対象物から前記カメラおよびレンズアセンブリまでの軸に対して約+45度であり、第2の角度付きサイドミラーの反射表面の角度が、前記円筒状対象物から前記カメラまでの軸に対して約-45度である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記中央角度付きミラーが第1の角度付き反射表面および第2の角度付き反射表面を備え、前記第1の角度付き反射表面および前記第2の角度付き反射表面がそれぞれ約+45度および約-45度にある、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
第1の角度付きサイドミラーの反射表面の角度が、前記円筒状対象物から前記カメラおよびレンズアセンブリまでの軸に対して約+37度であり、第2の角度付きサイドミラーの反射表面の角度が、前記円筒状対象物から前記カメラまでの軸に対して約-37度である、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記中央角度付きミラーが第1の角度付き反射表面および第2の角度付き反射表面を備え、前記第1の角度付き反射表面および前記第2の角度付き反射表面がそれぞれ約+45度および約-45度にある、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
第1の角度付きサイドミラーの反射表面の角度が、前記円筒状対象物から前記カメラおよびレンズアセンブリまでの軸に対して約+35度であり、第2の角度付きサイドミラーの反射表面の角度が、前記円筒状対象物から前記カメラまでの軸に対して約-35度である、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記中央角度付きミラーが第1の角度付き反射表面および第2の角度付き反射表面を備え、前記第1の角度付き反射表面および前記第2の角度付き反射表面がそれぞれ約+45度および約-45度である、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2021年3月10日に出願した米国仮出願第63/159,269号の優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書においては、ラベル情報および充填レベルなどの情報を得ることができる、血液培養びんの単一の画像を取得する装置が説明される。
【背景技術】
【0003】
患者の体液、とりわけ血液中のバクテリアなどの生物学的に活性の作因の存在は、通常、血液培養びんを使用して決定される。少量の血液が密閉ゴム隔壁を通して、培養媒体を含有した無菌びんの中に注入され、次に、びんが約35oCで保温され、微生物の成長が監視される。微生物の成長は、微生物の成長の示度である時間の経過に伴う血液培養の変化によって検出される。典型的には、培養びんヘッドスペースの二酸化炭素または酸素の濃度などのパラメータ、またはpHの変化が、微生物の成長を示す時間の経過に伴う変化に対して監視される。
【0004】
患者がバクテリアに感染しているかどうかを知ることは最も重要なことであるため、病院および研究所は、多くの血液培養びんを同時に処理することができる自動装置を有している。このような装置の一例は、Becton, Dickinson and Coが製造し、販売しているBD BACTEC(商標)システムである。Berndt等に対する米国特許第5,817,508号は従来技術による血液培養装置を記載しており、参照により本明細書に組み込まれている。米国特許第5,516,692号(「Compact Blood Culture Apparatus」)および米国特許第5,498,543号(「Sub-Compact Blood Culture Apparatus」)にBlood Culture Apparatusの追加説明が提供されており、これらの特許は、いずれも参照により本明細書に組み込まれている。
【0005】
血流感染(BSI)の存在の有無が正確に決定されることを保証することが重要である。患者およびその介護者は、BSIの検出が見逃された場合危険にさらされる。血液試料を血液培養びんに過剰に充填した場合、誤った陽性をもたらし得ることはよく知られている。血液培養びんにおける血液試料の過少充填は誤った陰性をもたらし得ることはよく知られている。これは、患者から除去された試料が特定の、しかし未知の濃度のバクテリアを有している(バクテリアが少しでも存在している場合)ことによるものである。したがって過少充填の場合、培養びんがターゲット試料量で充填された場合より、時間ゼロにおいて血液培養びん中に存在するバクテリア計数値が低くなる。一方、過剰充填の場合、培養びんがターゲット試料(例えば血液)量で充填された場合より、時間ゼロにおいて血液培養びん中に存在するバクテリア計数値が高くなる。びんが過少充填されるか、または過剰充填された場合、アルゴリズムを測定された二酸化炭素または酸素濃度もしくはpHの変化に適用して、過少充填または過剰充填を調整することができる。過少充填または過剰充填が特定の仕様を超えた場合、血液培養びんは廃棄される。これは、2016年6月14に発行された、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,365,814号に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
したがって極めて多数の血液培養びんを処理する研究所環境で血液培養びんを処理する場合、個々のびんの充填状態を正確に監視することができる必要がある。ラベル情報などの血液培養に関する他の情報も収集される。したがって充填情報およびラベル情報を血液培養びんから正確に得ることができる方法および装置が継続して探求されている。
【0007】
血液培養器具では、試料容器(例えば血液培養びん)の中に接種された血液試料の量を識別することが有利である。血液培養の文脈では、試料の量は、引き続いて保温され、成長され、および検出されることになる細菌コロニーを取得する可能性に正比例する。一般に、使用者(すなわち手術者または技術者もしくは静脈切開施術者)にとっては、収集されている血液の量が意図された充填レベルに可能な限りに近いことを保証することが有利である。培養びんに試料を過少充填すると、コロニー形成単位を収集しないことになり、したがって患者のための正しい結果を取得しないことになり得る。
【0008】
本明細書においては、容器の中に接種された試料の体積を正確に、かつ、的確に決定するためのシステム、装置、制御および方法が説明される。本明細書においては、試料が接種された容器の画像を取得することにより、容器(例えば血液培養びん)の中に接種された試料(例えば血液)の体積を決定する装置が説明される。手術者は個々のびんを視覚的に検査する必要がないため、このような手法は自動化を容易にする。
【0009】
本明細書において説明されるシステムの一態様は、画像化するために試料容器を所定の位置に置くための配置装置である。
【0010】
本明細書において説明されるシステムの別の態様は、丸い血液培養びんの可読画像を取得することができる画像化装置である。このようなラベルはバーコードを伴っているため、マシンビジョンによって画像を読み取ることができる。ラベルの画像はびんの中味に関する情報を得るために使用されるため、画像は手術者による読取りが可能でなければならない。そのためには湾曲したラベルから「平らな」画像をレンダリングしなければならない。
【0011】
本明細書において説明されるシステムの別の態様は、ラベルの画像が取得された後における下流側の処理のための試料の搬送および配置である。
【0012】
システムの別の態様は、同じまたは同様のサイズの試料容器に限定されない複数の試料容器の高速処理能力を提供する能力である。本明細書において説明される画像化システムおよび方法を使用することにより、他の試料容器状態(すなわち充填レベル、泡沫、媒体、試料びんの首部のビーズ、培養びんの首部の凝固した血液の存在)も検出される。
【0013】
以上および他の目的および利点は、すべての図を通して同様の参照文字は同様の部品を示す添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を考察すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】血液培養びんの画像を取得するためのシステムの略側面図である。
【
図2】本明細書において説明されるシステムの一実施形態の略図である。
【
図3】本明細書において説明されるシステムの代替実施形態の略図である。
【
図4A】血液培養びんであって、本明細書において説明される、その血液培養びんの画像を取得するためのシステムの中に置かれる血液培養びんを示す図である。
【
図4B】
図4Aに示されている血液培養びんの画像であって、
図2に示されているシステムを使用して取得された画像を示す図である。
【
図5A-5C】AMM構成の代替構成を示す図である。
【
図6】本明細書において説明されるシステムの代替実施形態の略図である。
【
図7】本明細書において説明されるシステムの代替実施形態の略図である。
【
図8A-8C】本明細書において説明される一実施形態による円錐鏡画像化モジュールの異なる斜視図である。
【
図10A】本明細書において説明される第2の実施形態による円錐鏡画像化モジュールの斜視図である。
【
図10B】本明細書において説明される第2の実施形態による円錐鏡画像化モジュールの斜視図である。
【
図10C】本明細書において説明される第2の実施形態による円錐鏡画像化モジュールの側面図である。
【
図10D】本明細書において説明される第2の実施形態による円錐鏡画像化モジュールの側面図である。
【
図11】円錐鏡画像化位置から試料容器を除去するためのトラップドアを有する円錐鏡画像化モジュールの代替実施形態を示す図である。
【
図12】ラベルの画像を取得するためにスキャナおよび回転プラットフォームを使用し、また、びんを垂直方向に置き、および、びんを水平方向に除去するためにロボットグリッパーを使用している、本明細書において説明されるシステムのための代替画像化装置を示す図である。
【
図14A】円筒状試料びんのラベルの画像が取得されたとき、
図13に示されているような円筒状試料容器を分配するためにゲートがプラットフォームの下方から操作される、本明細書において説明される装置の代替実施形態の斜視図である。
【
図14B】円筒状試料びんのラベルの画像が取得されたとき、
図13に示されているような円筒状試料容器を分配するためにゲートがプラットフォームの下方から操作される、本明細書において説明される装置の代替実施形態の斜視図である。
【
図14C】円筒状試料びんのラベルの画像が取得されたとき、
図13に示されているような円筒状試料容器を分配するためにゲートがプラットフォームの下方から操作される、本明細書において説明される装置の代替実施形態の斜視図である。
【
図14D】円筒状試料びんのラベルの画像が取得されたとき、
図13に示されているような円筒状試料容器を分配するためにゲートがプラットフォームの下方から操作される、本明細書において説明される装置の代替実施形態の斜視図である。
【
図15】
図11に示されている円錐鏡面仕上げトレーを使用している
図12の画像化装置の略斜視図である。
【
図16】ラベルの離散部分の画像を取得するために複数のカメラを使用している
図15の画像化装置の略斜視図である。
【
図17】トラップドアがない
図15の画像化装置の略斜視図である。
【
図18】トラップドアがない
図12の画像化装置の略斜視図である。
【
図19】試料容器を把持するための代替構成を有する
図18の画像化装置の略斜視図である。
【
図20】画像化した後に試料容器を画像化装置から除去するためのシュートの略斜視図である。
【
図21】本明細書において説明される方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の態様について、同様の参照数表示は同様のまたは全く同じ要素を識別している図面を参照して詳細に説明する。開示される実施形態は本開示の単なる例にすぎず、本開示は様々な形態で具体化することができることを理解されたい。不必要な詳細によって本開示を曖昧にすることを回避するために、よく知られている機能または構造は詳細には説明されていない。したがって本明細書において開示される特定の構造の詳細および機能の詳細は、限定として解釈するのではなく、特許請求の範囲のための単なる基本として、また、任意の適切に詳細化された構造で本開示を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基本として解釈されたい。
【0016】
本明細書においては、ラベル情報、充填レベル、等々などの情報を得るために使用することができる、血液培養びんの画像を取得するための画像化システムが説明される。特定の一態様では、本明細書においては、血液培養びんの円筒状ボディー全体の1つの単一の画像を取得することができる装置が説明される。その画像から、びんに関する完全なラベル情報、およびびんの中の液体高さレベルなどの情報を得ることができる。
【0017】
図1Aを参照すると、従来技術のシステム100は、血液培養びん110として示されている円筒状ボディーの画像を取得している。血液培養びん110は、画像化装置100の水平方向の平面を360°にわたって展開している湾曲表面を有している。このようなシステムは、血液培養びんの円筒状ボディー全体の全画像を1つまたは2つの方向から取得することができる。
【0018】
レンズ120およびカメラ130の単純な画像化システムはびん110の画像を取得している。スケール通りには示されていないが、
図1は、システムとびんとの間の距離はびん110の長さよりそれほどには長くないことを示している。びん110は、その垂直方向の軸115の周りを回転する。びん110がその軸の周りを回転する毎に、一連の画像が取得される。画像の数は変更することができるが、びんの完全な1回転の1周期の間の1つの一連の画像は、約24ないし48フレームまたはそれ以上の数であってもよい。個々の画像フレームは、画像の個々のフレームの中央部分を1つにつなぎ合わせるために画像処理装置に送られる。それにより、びんの円筒状ボディー全体の全画像が回復される。
図1Bは
図1Aのシステムの上面図である。
図1Bには、回転させるためにびん110が置かれる回転プラットフォーム140が示されている。回転プラットフォーム上の血液培養びんの画像を取得するためのシステムは、2019年8月27日に発行された、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第10,395,357号に記載されている。画像が取得され、容器中における泡沫の存在が検出される。
【0019】
図1Aおよび
図1Bに示されている手法に対する代替手法では、レンズ/カメラアセンブリの複数の実例を円筒状びんの周りに配置することができる。レンズ/カメラアセンブリの数は変更することができる。例えば円筒状びんの完全な画像を捕捉するために、12個、16個さらにはもっと多くのレンズ/カメラアセンブリを、びんを取り囲んで配置することができる。びんは、ゾーンを取り囲んでいるレンズ/カメラアセンブリによって画定される環状画像化ゾーンの中心に配置される。個々のレンズ/カメラアセンブリはびん全体の画像の離散フレームを取得する。アセンブリは、次に、個々の画像フレームの中央部分を使用して画像を1つにつなぎ合わせる画像処理モジュールにフレームを送る。
【0020】
図2を参照すると、システム200は、血液培養びんなどの円筒状対象物の360
o画像を捕捉するための回転プラットフォームまたは複数のレンズ/カメラアセンブリをシステムが有していない点、またはシステムがそれらを必要としない点で、
図1Aおよび
図1Bに示されている従来技術システムから逸脱している。システムは、レンズ220およびカメラ230からなる単純な画像化システムと協同する、本明細書においては補助ミラーモジュール(AMM:Auxiliary Mirror Module)と呼ばれているものを展開している。
【0021】
図2をもう一度参照すると、びん210は直立している(すなわち
図2に示されているように、びん210の底部がびんの充填を測定し、またはラベル260を読み取るために捕外頂点280の近くに存在している)必要はないことに留意することが重要である。びん210は、画像化するために横にして配置することができる。また、びん210は、びん210の首部270がAMMの頂点の近くになるよう、上下逆さまにして配置することも可能である。画像化中のびんの配向は、幾分かは探求されている情報に依存する。目的が画像からのラベル情報の取得と、びん充填レベルの取得の両方である場合、びんは直立して配置しなければならない。情報探求されている情報がラベル画像のみである場合、びんは、横向きに、上下逆さまに、等々で配置することができる。頂点280は、AMM240の先細り側から捕外される。
図3に示されているように、びん210は、びん210の首部270をAMMの頂点の近くにすることができるように配置することができる。システム200は、三次元(3D)光経路折りたたみ(optical path folding)を提供するAMM240を展開している。AMMモジュールは、光線250によって示されているようにびん210を反射する鏡面仕上げ円錐構造体として構成されている。光線250は、AMMにおけるびんの反射がレンズ/カメラ220/230アセンブリによって受け取られる様子を示している。びん210はAMMの中心に置かれており、折りたたまれた経路250を介してカメラによって画像化される。この特定の方法で動作させることにより、びん全体の画像が単一の画像フレームの中に捕捉される。カメラセンサによって受け取られるびん210の画像は、AMMによって伝送されるびん反射の性質のため、変形した画像である。しかしながら画像処理には、AMMによって反射されるものからびんの真の画像を取得することが要求されるが、画像をつなぎ合わせる必要はない。画像をつなぎ合わせる必要がなく、また、びんを回転させる必要がない、ということは、血液培養びんの画像を取得する従来技術システムに優る利点である。
【0022】
図2を参照すると、AMM240は、漏斗の形すなわち円錐の形を有する、いくつかのパラメータによって定義される特殊な反射鏡である。捕外頂点280に画定される円錐角は、
図2に示されている実施形態の場合、90°である。AMMは、びん210の直径より僅かに大きい直径を有するAMMの底部245に小さい円形開口部246を有している。AMMは、びん210のボディー部分より僅かに高い高さ247を有している。すなわちびん210の首部270の大部分は、
図2に示されている実施形態ではAMMの上方に展開している。光線250によって示されているように、AMMは、びんのうちのAMM内に配置されている部分のあらゆる点から画像化カメラまで、びん210の反射画像の経路折りたたみを3D方式で提供し、ポイント-ツー-ポイント画像を形成している。したがってびん210全体の画像が1つのフレームの中に取得される。
【0023】
従来の鏡材料(すなわち反射裏張りを有するガラス)が企図されている。しかしながら球面鏡のための代替材料選択は、ABS、PC、Nylonまたはそれらのブレンド、研磨されたアルミニウムまたは鋼などのエンジニアリングされたプラスチックである。任意のこれらの材料をコーティングして、アルミニウム、ベリリウム、クロム、銅、金、モリブデン、ニッケル、白金、ロジウム、タングステンおよび最も一般的な銀の薄い層を使用して反射率を改善することができる。
【0024】
図3を参照すると、システムは、びん210の首部270がAMMの開口部246を通して挿入されている点を除き、
図2のシステムと全く同じである。びん210は関連する保持機構によって支持されるため、びん210は示されているように垂直配向で配置することができる。びんの充填レベルを決定する目的のためには、底部を下にして垂直配向でびん210を保持することが好ましい。AMMは、びんが水平方向の位置に保持されても、びんの画像を提供することになるが、レベル知覚のためには、びんが垂直配向である方が、測定がより的確である。
【0025】
一実施形態では、びん210は充填線248(
図2)を備えている。充填線248は、びんが的確に充填されているか、過剰充填であるか、または過少充填であるかどうかを画像から決定するための基準として働く。一実施形態では、ラベルの上に充填線を提供することができる。
【0026】
本明細書において説明されているAMMは、培養びんの画像を取得する他のシステムに優るいくつかの利点を提供する。上で言及したようにびんを動かす(すなわち回転させる)必要がない。レベル知覚のためには、びんは画像化のために静止している方が有利である。また、必要であるのは1つのレンズ/カメラアセンブリのみであり、システムのコストおよび複雑性が低減される。上で言及したように、びん全体の画像を取得するために必要であるのは1つのフレームのみであり、画像処理の複雑性が低減される。とりわけ、ラベルの単一の画像を取得することは、ラベルの複数の離散画像を1つにつなぎ合わせて無歪み(すなわち「平らな」)ラベルの画像を取得することほどには複雑ではなく、また、びんの曲率に起因する画像歪みが補修される。
【0027】
図4Aは、ラベル360をその上に有するびん310の画像である。
図4Bは、AMM340の中に置かれたびん310の画像311を示したものである。AMM340は、
図2および
図3に示されているように鏡面仕上げ円錐レセプタクルである。びん310は、びんの底部がAMM340によって画定される円錐形の頂点の近くになるように配置されている。
図4Bに示されている変形した画像311は、内部ゾーニング(zoning)領域におけるピクセル密度より高いピクセル密度(すなわち解像度)を有する外部ゾーニング領域を有している。最終画像上の関心領域(ROI:Region of Interest)を制御し、または平衡させるための1つの方法は、首部を
図3に示されているAMMの頂点の近くにしてびんの画像を撮ることである。首部がこの方法でAMMから展開している場合、ロボット(図示せず)によって首部を保持することができる。ロボットはレンズ/カメラアセンブリから離れたAMM側に配置されるため、ロボットはAMMからレンズ/カメラアセンブリまでの光経路の外側である。
【0028】
図4Cは、
図4Bに示されている画像の極変換である。対数極変換を使用して円形画像から長方形画像を形成するための技法は、Sibiryakovらに対する米国特許第7,961,982号に記載されており、この米国特許は参照により本明細書に組み込まれている。適切な極変換式の一例は、
X=rsin(φ) (1)
Y=rcos(φ) (2)
であり、rは平面における原点からの距離である。このような技法は当業者によく知られており、本明細書においては詳細には説明されない。
【0029】
上で言及したように、ラベルに関するすべてのデータを単一のデータセットの中で提供するため、本明細書において説明されている方法で全ラベルの画像を取得することは有利である。全ラベル画像は、
図4Bに示されているように、画像処理のための環状領域では変形して形成される。
図4Cは、極変換を適用した後の
図4Bのラベルの画像を示したものである。画像情報を処理するために必要なすべてのデータが単一のフレームの中で得られるため、データ収集がより速やかである。上で言及したように、単一のラベルの複数の画像を取得するためにびんまたは画像化装置を回転させる必要がない。画像化している間、びんを動かす必要がないため、振動(y軸におけるびんの移動をもたらし得る)による機械的雑音と関連付けられる画像化誤差がない。軸方向の振れ(すなわち揺れ)によって生じ得る画像化誤差も回避される。また、2つの画像の間でびんが半径方向に移動する場合、画像化誤差も生じる可能性があり、2つの画像の間でラベル画像サイズが変化する原因になり得る。ラベルの単一の画像を取得することにより、貧弱に取り付けられたラベル(すなわちひん曲がったラベル、皺がよったラベル、等々)のより正確な画像を取得することができる。
【0030】
図5A~
図5Cを参照すると、AMMのいくつかの変形形態タイプが示されている。これらのAMMは全びん画像化を提供しない。全びん画像化を提供するのではなく、AMMの各々は、
図1AのAMMを使用して単一のフレームの中に捕捉することができるラベルの量よりも多くの量を単一フレームの中に捕捉する拡大視野をサポートしている。例えば
図5A~
図5CのAMMを使用して単一の画像フレームの中に取得されるラベルの量は、
図5A~
図5Cに示されている修正を有していないAMMを使用して取得されるラベルの量の約2倍である。
図5A~
図5Cに示されているAMMの視野はほぼ2倍である。
図5Aは、2つの対の鏡540aおよび540bを有するAMMを示しており、これらの鏡の各々は、びん軸515からの水平方向のラインに対して45°の角度をなしている。びん(びんは示されていない)からレンズ/カメラアセンブリ(レンズ/カメラアセンブリは示されていない)までの光経路は光線550によって示されている。
図5Bは、
図5Aに示されているAMMの変形形態を示したものであり、外側の対の鏡540a’はびん軸515に対して37°の角度で配置されている。光線550によって特性化されている光経路は、
図5Aに示されているAMMより広い視野を示している。
【0031】
図5Cは、
図5Aおよび
図5Bに示されているAMMの別の変形形態を示したものであり、外側の対の鏡540a’はびん軸515に対して35°の角度で配置されている。光線550によって特性化されている光経路は、
図5Aおよび
図5Bに示されているAMMより広い視野を示している。
【0032】
びんラベルの「平らな」画像を取得するための他の技法が知られている。カメラ電話またはスキャナなどの標準の画像化デバイスを使用している技法はよく知られており、このような技法のうちの1つの説明は、Slatcher, Steve, “How to create flat rectangular images of wine bottle labels,” (February 21, 2018) wineous.co.uk/wp/archives/11397に記載されている。
【0033】
図6は、
図2および
図3に示されているAMMの変形形態を示したものである。
図6に示されているシステム600はレンズ/カメラアセンブリ620/630を有している。
図6の変形形態では、AMM640の拡張された頂点680は、より広い角度である96°の角度を形成しており、テーパが施されたびん610のより良好な反射画像を提供している。
【0034】
図7は、
図2および
図3に示されているAMMの変形形態を示したものである。
図7に示されているシステム700はレンズ/カメラアセンブリ720/730を有している。
図7の変形形態では、拡張された頂点780は、より狭い角度である84°の角度を形成しており、テーパが施された、びんのより広い部分が頂点780に近いびん710のより良好な反射画像を提供している。
【0035】
図2、
図3、
図6および
図7の実施形態では、一様な照明(図示せず)が画像化カメラの周りまたは後方の光源から導かれ、光は円錐鏡に向かって下に向かって導かれている。円錐鏡は、光経路における折りたたみ機能を提供している。この方法によれば、円錐鏡の中心に配置されたびんのボディー全体が画像化のために一様に照明される。
【0036】
円錐鏡を使用している、本明細書において説明されているAMMの例は、血液培養びんのボディー全体の画像を提供する3D経路折りたたみを提供している。代替実施形態では、画像化システムを蛍光検出システムに置き換えることができる。この代替構成では、カメラはフォトセンサに置き換えられる。放出フィルタがセンサの前方に置かれる。この実施形態では、びんは、より短い波長(例えば560nmを中心とする波長の狭帯域)を有する励起光によって照明される。したがってセンサの前方に置かれる放出フィルタは、カット-オン波長が例えば635nmのロングパスフィルタである。この実施形態では、びんは試験管またはクベットに置き換えることができる。試験管またはクベットは、本明細書において説明されているAMMの中にびんが置かれるのと全く同じようにAMMの中に置かれることになる。試験管またはクベットは、試験管またはクベットの底部に向かって上向きに伝搬する励起ビームによって照明されることになる。
【0037】
図8A~
図8Cは、画像化するために円錐鏡の中にびんを受け取るための装置を示したものである。
図8Aは、画像化するためにびん830が受け取られる円錐鏡820を保持するためのブラケット815のためのサポート810を有する装置800の側面斜視図である。ブラケット815は開口部825を有しており、この開口部825を通してびん830が適合することになる。
図8A~
図8Cおよび
図9Aに示されている閉位置から、
図9Bに示されている開位置までゲート835を移動させるための電動機839がブラケット815の上に適合されている。スロットが付けられた光スイッチ845、850は、ゲート835の開位置および閉位置を知覚している。ゲート835は電動機840のシャフト(図示せず)に直接接続されている。
【0038】
サポート810上のブラケット815の上方にカメラ840が配置されている。カメラ840は、びん810のラベル(図示せず)の画像を捕捉するために下に向かって狙いを定めている。カメラ840は、ブラケット841によってサポート810に付着されている。上で説明したように、円錐鏡820により、ラベル全体の画像を1つの画像で捕捉することができ、この画像は、次に、ラベルの無歪み画像を得るために極座標を直交座標に変換することによって処理される。
【0039】
図9Aに示されているように、ブラケット815は、画像化するためにびん830を円錐鏡820の中に支持するゲート835を有している。画像化が完了したとき、
図9Bに示されているようにゲート835が枢動する。ゲートが開口部825を覆わなくなると、びん830がブラケット815から落下する。
【0040】
図10A~
図10Dを参照すると、円錐鏡920が反転され、ブラケット915によってサポート910の上に保持されている。びん930は、ブラケット915中の開口部916を通して挿入されている。一態様では、びん930は、画像化するためにびん930を所定の位置に保持するロボットアーム(図示せず)によって円錐鏡の中に配置される。当業者は、びん930は多くの異なる機械的手段によって円錐鏡920の中に保持されることを認識するであろう。例えばブラケット915は、画像化するためにびん930を所定の位置に保持するクランプを使用して構成することができる。別の例では、ブラケット915は、十分な力を加えることによってびん930を通過させることができる張力リングを使用して構成することができ、力が加えられなくなったとき、びん930を所定の位置に保持する。画像はカメラ940によって取得される。カメラ940はブラケット941によってサポート910に固定されている。
図10Dに示されているように、カメラ940はプロセッサ950と通信している。プロセッサ950はラベルの極画像をびんから受け取り、この画像は円錐鏡920の鏡面仕上げ内部表面で反射したラベルの画像である。プロセッサ950は、極変換を使用してラベルの極画像を直交座標にマップする命令を使用してプログラムされている。画像は、極変換を使用して、円錐鏡920の鏡面仕上げ内部表面で反射したラベルの画像から変換される。
【0041】
図11は、円筒状試料容器1030のラベルの360°画像も提供する角錐鏡1020の略図である。びん1030は角錐鏡1020の中に置かれ、びん1030の底部は角錐鏡のより狭いベースの上に載っている。カメラ1040は角錐鏡1020の上方に配置されている。画像は、鏡を回転させている間にいくつかの画像を撮り、それらを1つにつなぎ合わせることによって形成することができる。概略的に示されている、カメラ1040をxおよびy方向に位置決めするためのレール1042が提供されている。円筒状試料びん1030が角錐鏡1020の中に位置し、電動機1025が回転すると、円筒状試料びん1030が回転する。角錐鏡1020のベース1015の下方にトラップドア(図示せず)が提供されている。トラップドアが開くと、円筒状試料容器をシュート(図示せず)の中へ落下させることができ、したがって円筒状試料容器1030は角錐鏡1020からシュートの中へ落下することができる。
【0042】
本明細書においては、円筒状試料容器のラベルの画像を取得する能力、および試料容器の中味に関する情報(例えば血液体積、泡沫の存在、充填レベル、円筒状試料容器の首部における培養媒体の有無)を得る能力の両方を提供するシステムの例が開示される。システムおよび方法は、この情報を得る一方で処理能力速度を維持し、したがって極めて多くの円筒状試料容器を速やかに評価することができる。また、画像情報および中味情報を正確に得ることができることになる画像化環境が要求される。システムは円筒状試料容器の異なるサイズおよび構成に適合し得るが、あらゆる容器がラベルが置かれる円筒状表面を提供するべく想定されている。
【0043】
図12は画像化装置1100の略図である。装置は円筒状試料容器1130が置かれるプラットフォーム1110を有している。装置1100はスキャナ1140も有している。クランプ1155を有するグリッパーアーム1150は円筒状試料容器1130の首部1156を把持し、また、このグリッパーアーム1150を使用して円筒状試料容器1130がプラットフォーム1110の回転ゲート1165の上に置かれる。グリッパーアーム1150はx(1151)方向、y(1152)方向およびz(1153)方向に移動することができ、したがってグリッパーアーム1150を使用して、試料容器1130を直立位置で回転ゲート1165の上に置くことができ、また、試料容器がシュート1160の中に水平方向に横たわるとき、その試料容器1130を回収することができる。シュート1160は直立位置で円筒状試料容器を受け取り、水平位置で円筒状試料容器を横向きにさせる。したがってシュート1160は、円筒状試料容器を直立位置から水平位置へひっくり返すためのフリップステーションとして機能している。グリッパーアーム1150は回転可能であり、したがって円筒状試料容器が水平方向に横たわるとき、クランプ1155は円筒状試料容器1130を把持することができる。
図12で説明されている装置では、ラベル1131の画像は、円筒状試料容器が回転ゲート1165によって回転すると取得される。次に、ラベル1131の完全な画像を形成するために、その画像が1つにつなぎ合わされる。画像を1つにつなぎ合わせてより大きい画像を形成することは当業者によく知られており、本明細書においては詳細には説明されない。
【0044】
回転ゲートは電動機(図示せず)によって回転する。センサは、クランプ1155が円筒状試料びん1130を回転ゲート1165の上に解放することができることをグリッパーアーム1150に知らせる。画像化するために、回転プラットフォーム1110(回転ゲート1165はプラットフォーム1110の主部分の表面の下方に配置されている)は一方向(時計回り方向または反時計回り方向のいずれか)に回転する。画像化装置1100がラベル1131全体の画像を取得し、また、その画像から画像情報、すなわち泡沫の有無、充填レベル、および円筒状試料容器の中味に関する他の情報も得た後、画像化装置(例えばカメラ、スキャナ、光、等々)がターンオフされる。回転ゲート1165は、シュート1160と不整列で起動することも可能である。回転ゲート1165がシュート1160と整列するとき、円筒状試料容器は、画像化するためにびんが回転ゲート1165の上に置かれる際に、シュートを通ってスリップしない。完全な画像は、びんを約45度回転させる前、および回転させた後にいくつかの画像を撮り、次に、完全なびんの画像を提供するためにそれらの画像を1つにつなぎ合わせることによって形成することができる。画像化した後、回転プラットフォーム1110は、ゲート1165がシュート1160のための開口部と不整列で起動されるまで反対方向に回転する。それにより円筒状試料容器1130は、開口部、すなわちランプ1166およびプラットフォーム1167を有するシュート1160を通ってスリップすることができる。円筒状試料容器1130は、容易にランプ1166を滑り落ちて、プラットフォーム1167の上に水平方向に横たわり、そこからグリッパーアーム1150のクランプ1155によって回収される。この点に関し、ランプ1166はトラック1168、1169を有しており、それらは、円筒状試料容器1130がランプ1166を容易に滑り落ちる際に、円筒状試料容器1130の首部がトラック1168、1169の間に適合して円筒状試料容器1130を平らに横たえることができるよう、間隔を隔てている。トラック1168および1169は、
図14Cの中でより容易に観察される。
【0045】
プラットフォーム1110の、スキャナ1140とは反対側の端部に配置されている較正プレートは示されていない。較正プレートを使用してスキャナ1140を較正し、円筒状試料容器1130が回転ゲート1165の上に置かれる際に、円筒状試料容器1130がスキャナのための正しい視野内に存在することになることを保証することができる。回転ゲート1165は、画像化するために円筒状試料容器1130をセットするための安定した表面を提供するように構成されている。使用に先立つ円筒状試料容器の殺菌は、円筒状試料容器1130の底部表面の歪みまたは不規則性をもたらし得るため、回転ゲート1165は、円筒状試料容器の底部の周囲を回転ゲート1165の上に確実に着座させることができ、その一方で円筒状容器の底部表面の内部と円筒状試料容器1130の表面との間にすきまを提供して、いかなる表面歪みも円筒状試料容器が不安定な方法で着座する原因になることがないようにすることができることになる凹所部分を備えることができる。
【0046】
回転ゲートに対する代替の構造体は、円筒状試料容器に付随するゴム駆動輪、またはキャップを自動的にねじ止めし、または取り外すために使用される回転グリッパーなどの回転グリッパーを含む。このような回転機構が使用される場合、システムは、画像化が完了したとき、円筒状試料容器をシュートの中へ前進させることができるトラップドアまたは他の機構を備える。
【0047】
図13は、
図12の画像化装置1100の底面図である。
図13には、シュート1160と不整列の回転ゲート1165が示されている。円筒状試料容器1130がシュート1160を移動して降下した後、円筒状試料容器1130は、その首部をトラック1168、1169の間に配置して水平位置に横たわる。グリッパーアーム1150のクランプ1155が回転し、円筒状試料容器1130の底部を把持して円筒状試料容器1130をシュートから除去する。
【0048】
図14A~
図14Dは
図12の代替実施形態システム1100を示したもので、プラットフォーム1110は、その下方に取り付けられた回転プラットフォーム1111を有している。
図14Aはシステム1100の上方から見た斜視図である。
図14Bはシステム1100を見上げた斜視図である。
図14Cはシステム1100の側面図である。
図14Dはシステム1100を見下ろした斜視図である。回転プラットフォーム1111はシャフト1170によって駆動され、シャフト1170は、シャフト1170が展開している電動機1171によって回転する。ベルト1172はシャフト1170を回転プラットフォーム1111に結合し、回転プラットフォーム1111を回転させる。カメラ1140が円筒状試料容器1130の画像を取得した後、シャフト1170の回転が反転され、回転プラットフォームが反対方向に回転したとき、回転プラットフォーム1111が枢動し、円筒状試料容器1130はプラットフォーム1100中の開口部1112を通ってシュート1160の中へスライドすることができる。
【0049】
図14A~
図14Dの実施形態は、円筒状試料容器1130のための保持ステーション1180を有している。保持ステーション1180はランプ構造体1181を有しており、したがって円筒状試料容器1130は、底部の方から保持ステーション1180の中へ置かれる限り、直立位置に着座することになる。ロボットアーム1150を使用して、円筒状試料容器1130が保持ステーション1180の中へもたらされる。また、ロボットアーム1150はまた、円筒状試料容器1130を画像化位置1141へ移動させ、円筒状試料容器1130をその中に置き、また、円筒状試料容器1130をシュート1160から回収する。プレート1142は、画像のための静止背景を提供するために画像化位置1141の後方にセットされている。円筒状試料容器1130は、所定の度数(例えば20度、30度、等々)だけ回転され、次に、ラベルの画像全体を取得するために、個々の回転増分における画像が1つにつなぎ合わされる。
【0050】
図15は
図12の代替実施形態であるが、円筒状試料容器が回転しない実施形態である。この実施形態では、システム2000は、
図11に示され、
図11で説明したような、画像同士の間でびんを約45度回転させる前、および回転させた後にいくつかの画像を撮り、次に、画像を1つにつなぎ合わせることによって完全な画像を形成することができる角錐鏡2020を有している。システムは水平方向にスライドするトラップドア2025を有している。トラップドア2025が内側に向かって前進したとき、トラップドア2025は、スキャナ2140による画像化のために円筒状試料容器2130を所定の位置に保持する。捕捉される画像はラベル2131全体の画像である。クランプ2155を有するグリッパーアーム2150は円筒状試料容器2130の首部2156を把持し、また、このグリッパーアーム2150を使用して、画像化するために円筒状試料容器2130が角錐鏡2020の中に置かれる。グリッパーアーム2150はx、yおよびz方向に移動することができ、したがってグリッパーアーム2150を使用して、円筒状試料容器2130を直立位置で角錐鏡2020の中に置くことができ、また、円筒状試料容器がシュート2160の中に水平方向に横たわるとき、円筒状試料容器2130を回収することができる。トラップドア2025が外側に向かって前進したとき、円筒状試料容器2130がシュート2160を通って落下し、グリッパーアーム2150によって除去される。代替実施形態は他のタイプのドアを展開して、シュート2160中への円筒状試料容器の落下を許容している。適切な代替ドアの例には、ドロップアウェイドア、スライドドアまたは後退ピンがある。
【0051】
図16は、複数のカメラ3140を使用して円筒状試料容器3130のラベル3131の画像が取得される代替システム3000を示したものである。個々の画像は湾曲した対象物の単なるセグメントにすぎないため、複数のカメラを使用した画像の取得は、円筒状対象物から「平らな」画像を組み立てるためのよく知られている技法である。このような画像を1つにつなぎ合わせることもよく知られており、本明細書においては詳細には説明されない。システム3000は、トラップドア3025を有するプラットフォーム3110を有している。トラップドア3025が閉じられ、画像化するために円筒状試料容器がプラットフォーム3110の上に保持されている。示されているように、カメラ3140は、リング形印刷回路基板3145の上に取り付けられている。上で説明したように、グリッパーアーム3150を使用して円筒状試料容器3130の首部3156が把持され、円筒状試料容器3130が画像化装置の中に置かれる。画像化された後、トラップドア3025が起動され、円筒状試料容器3130がシュート3160を通って落下し、グリッパーアーム3150によって除去される。
【0052】
図17は、トラップドアを有していないシステム4000を示したものである。この実施形態では、グリッパーアーム4150を使用して円筒状試料容器4130が置かれ、角錐鏡4020から除去され、角錐鏡4020は、そのベース4021に開口部を有していない。スキャナ4140を使用して、ラベル4131の広がり全体の単一の画像が取得される。画像化の後、この実施形態では使用者は、円筒状試料容器の首部ではなく、ベースを把持させることを探求することになるが、グリッパーアーム4150が円筒状試料容器4130を角錐鏡4020から除去し、円筒状試料容器4130をシュート4160の中に置くことになり、上で説明したようにシュート4160の中で円筒状試料容器4130が水平位置へスライドすることになり、水平位置へスライドした後、グリッパーアーム4150が円筒状試料容器4130のベースを把持することによって円筒状試料容器をシュート4160から除去することになる。
【0053】
図18は、
図12に示されているようなシステム5000であるが、グリッパーアーム5150は円筒状試料容器5130を画像化位置へ移動させ、また、円筒状試料容器を直立位置から水平位置へひっくり返すシュート5160へ移動させる。グリッパーアーム5150は、その上に取り付けられたスキャナ5130を有している。グリッパーアーム5150が円筒状試料容器5130を回転プラットフォーム5110の上に置くと、グリッパーアームは、次に、回転プラットフォーム5110が円筒状試料容器5130を回転させる毎にラベル5131の画像を取得するために、前進してスキャナ5140を円筒状試料容器5130と整列させる。円筒状試料容器の画像が取得された後、グリッパーアーム5150は、次に、円筒状試料容器をシュート5160へ移動させる。円筒状試料容器は、シュート5160の中に置かれたとき、円筒状試料容器が置かれている垂直位置から水平位置へひっくり返り、その水平位置で、円筒状試料容器5130の底部を把持することにより、グリッパーアーム5150によって回収される。
【0054】
図19は、円筒状試料容器を直立位置から水平位置へ回転させるためのシュートを使用していないシステム6000である。システム6000は、円筒状試料容器6130の首部6100を把持する傾斜グリッパー6050を展開している。システム6000は、ラベル6131全体の画像がスキャナ6140によって捕捉されることを保証するために、プラットフォーム6115の下方に置かれた回転プラットフォーム6110を使用している。円筒状試料容器6130の画像がスキャナ6140によって捕捉された後、グリッパーアーム6150のエンドエフェクタ6155が回転して、傾斜グリッパーの平らな表面6051がプラットフォーム6115に寄り掛かるように傾斜グリッパー6050をセットする。グリッパーアームは、次に、円筒状試料容器6130の首部6100を解放する。円筒状試料容器は、次に、プラットフォーム6115に寄り掛かっている傾斜グリッパー6050によって水平位置に保持される。グリッパーアーム6150は、次に、水平位置に保持されている円筒状試料容器6130の底部を把持するために、エンドエフェクタ6155を回転させ、所定の位置に前進させる。エンドエフェクタ6155は、次に、円筒状試料容器6130の底部を把持して、円筒状試料容器6130をプラットフォーム6100から離れる方向に運ぶ。傾斜グリッパーは、円筒状試料容器6130と一緒に運ばれない。
【0055】
図20は、円筒状試料容器7130を回転させるためのシュート7160を展開しているシステム7000を示したものであり、シュート7160は、円筒状試料容器7130がシュート7160の中に水平に横たわるとき、円筒状試料容器7130を回転させる。上で説明したように、グリッパーアーム7150は円筒状試料容器を垂直配向で保持している。グリッパーアーム7150は円筒状試料容器7130をシュートの中に置き、シュートの中で円筒状試料容器7130がトラック7168および7169に沿ってランプ7166を滑り落ちる。円筒状試料容器7130の首部7100は、トラック7168、7169の間に適合している。シュート7160はローラー7601および7602を有している。ローラーを使用して円筒状試料容器7130を回転させることができる。スキャナ7140を回転している円筒状試料容器の上方に置くことにより、ラベル7131の画像が取得される。しかしながら円筒状試料容器7130が水平位置に位置している場合、円筒状試料容器7130の首部7100の接種された培養のメニスカスを観察することはできない。したがってこのシステムでは、試料に加えられた試料(例えば血液)の体積を水平位置に位置している円筒状試料容器を観察することによって確認することはできない。円筒状試料容器のラベル7131の画像が取得された後、グリッパーアーム7150が円筒状試料容器7130の底部を把持して円筒状試料容器7130をシュート7160から除去する。
【0056】
図21は、画像化するために円筒状試料容器を配置するためのフローチャートである。ステップ8001で、スキャナのための光源がターンオンされ、走査のための正しい強度および波長になるように調整される。このステップはソフトウェアによって制御される。ステップ8002で、円筒状試料容器が正しい位置に位置していることをセンサが検証する。円筒状試料容器が回転する実施形態では、びんの回転はステップ8003で開始される。次に、ステップ8004で、スキャナが円筒状試料容器上のバーコードおよび任意の基準マークを走査する。ステップ8005で、基準が認識されたとき、円筒状試料容器の位置がシステムによって捕捉される。ステップ8006で、円筒状試料容器の液体レベルを決定するために、ビューウィンドウ(すなわちラベルによって覆われていない円筒状試料容器の一部)がスキャナ/カメラの前方に配置されるように円筒状試料容器が回転される。ステップ8007で、血液体積測定(BVM)のために光源が調整される。ステップ8008で、システムが円筒状試料容器中の液体メニスカスと、円筒状試料容器上にエッチングされた線との間の距離を捕捉する(体積を決定するために)。アブレーション線は、製造中にびんの上にカスタム高さでエッチングされ、まくら元の患者血液の意図される充填レベルを示す。典型的な充填は、大人に対しては8~10mlであり、特殊なペッズびん(peds bottle)を使用している小児科学に対しては3mlである。個々の媒体タイプは、使用者過剰充填または過少充填の量の計算に使用される発行済み期待充填体積(published expected fill volume)を有している。試料容器中の患者血液の体積は、血液線とアブレーション線との間の高さの差を使用して決定される。円筒状試料容器の体積特性を知ることにより、患者血液充填の量が計算される。
【0057】
ステップ8009で、血液体積がデータベースに報告される。ステップ8010で、ラベルの画像を取得するために光源が調整される(例えば青から赤または白に)。ステップ8011で、設定された速度で円筒状試料容器が回転される。ラベル全体の一連の全画像が取得されるまで、プリセットされた度数(例えば20度)の回転後に画像が捕捉される。ステップ8012で、ラベルの全画像を形成するために画像が1つにつなぎ合わされる。つなぎ合わされた画像情報が回転コントローラにフィードバックされ、回転コントローラは、画像情報を受け取るバッファが一杯になるまで、引き続いて円筒状試料容器を回転させる。ステップ8013で、円筒状試料容器が全360度を回転したとき、回転が停止される。ステップ8014で、すべてのラベル画像が1つにつなぎ合わされる。円筒状試料容器をシュートの中に解放するためのトラップドアが提供されるシステムでは、ステップ8015でトラップドアが開かれる。ステップ8016で、トラップドアが閉じられる。シュートが垂直から水平にひっくり返るシステムでは、円筒状試料容器は水平位置で回収される。
【0058】
本明細書において利用されているように、「ほぼ」、「約」、「実質的に」という用語、および同様の用語には、本開示の主題が関連している当業者によって広く受け入れられている使用法と調和する広義の意味を有することが意図されている。本開示を査読する当業者には、これらの用語には、説明されている特定の特徴についての説明を、これらの特徴の範囲を提供されている厳密な数値範囲に限定することなく許容することが意図されていることを理解されたい。したがってこれらの用語は、説明されている主題の非現実的または取るに足らない修正または変更を示すものとして解釈すべきであり、これらの用語は本開示の範囲内であると見なされる。
【0059】
当業者は、以上から、また、様々な図面を参照して、本開示の範囲を逸脱することなく、特定の修正を本開示に加えることもできることを認識するであろう。図面には本開示のいくつかの実施形態が示されているが、本開示の範囲の広さは、当技術分野が許容するであろう範囲の広さであること、また、本明細書も同様に読まれることが意図されているため、本開示はそれらの実施形態に限定されることは意図されていない。したがって以上の説明は、限定として解釈してはならず、特定の実施形態についての単なる例証として解釈されたい。当業者は、本明細書に添付されている特許請求の範囲および精神の範疇で他の修正を想定することであろう。
【国際調査報告】