(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】多層光学フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240301BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240301BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/28
G02B5/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556720
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 IB2022051435
(87)【国際公開番号】W WO2022195372
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズビー,ケヴィン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミノ,サミュエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,ウィリアム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ユスト,デイヴィッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H149
【Fターム(参考)】
2H042DA08
2H042DA11
2H042DA21
2H042DB02
2H042DC01
2H148GA05
2H148GA43
2H148GA48
2H149BA04
2H149BA22
2H149FA06W
2H149FA08W
2H149FA12W
2H149FD04
2H149FD09
2H149FD47
(57)【要約】
多層光学フィルムは、合計で約175未満の数であってもよく、かつ約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有してもよい、複数の光学繰り返し単位を含む。光学繰り返し単位の各々は、少なくとも1つのポリマーA層、少なくとも2つのB層、及び少なくとも1つのポリマーC層を含むことができる、少なくとも4つの個別の層を含む。少なくとも4つの個別の層の少なくとも1つの層は、約50nm未満の平均厚さを有することができる。複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチであってもよい。多層光学フィルムは、反射偏光子又は多層光学ミラーであってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置された複数の光学繰り返し単位を備える反射偏光子であって、各光学繰り返し単位が、少なくとも1つのポリマーA層、少なくとも2つのB層、及び少なくとも1つのポリマーC層を含み、隣接するA層及びC層の各対が、前記隣接するA層と前記C層との間に配置された、前記2つのB層のうちの少なくとも1つを有し、前記第1のスキン層と前記第2のスキン層との間に配置された前記複数の光学繰り返し単位中の前記A層及び前記C層の総数が、約400未満であり、前記A層及び前記C層の各々が、約50nm~約500nmの平均厚さを有し、前記B層の各々が、約50nm未満の平均厚さを有し、前記第1のスキン層及び前記第2のスキン層の各々が、約500nm超の平均厚さを有し、前記反射偏光子が、約20マイクロメートル未満の平均厚さを有し、入射面において前記反射偏光子に入射する光に対して、約5度未満の第1の入射角及び約40度超の第2の入射角の各々に対して、並びに約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲に対して、前記複数の光学繰り返し単位が、
前記反射偏光子の面内第1方向が前記入射面内にあるとき、s偏光状態に対して約10%未満であり、
かつ前記反射偏光子の面内直交第2方向が前記入射面内にあるとき、p偏光状態に対して約65%超である、
平均光透過率を有する、反射偏光子。
【請求項2】
前記反射偏光子の前記面内第2方向が前記入射面内にあるとき、前記可視波長範囲及び前記p偏光状態に対して、前記複数の光学繰り返し単位が、前記それぞれの第1の入射角及び第2の入射角に対する平均光透過率T1及びT2を有し、T2が、T1よりも少なくとも5%大きい、請求項1に記載の反射偏光子。
【請求項3】
前記第1の入射角及び前記第2の入射角の各々に対して、前記s偏光状態及び前記入射面内にある前記第1の方向に対して、並びに前記p偏光状態及び前記入射面内にある前記第2の方向に対して、並びに約750nm~約1200nmにわたる赤外波長範囲に対して、前記複数の光学繰り返し単位が、約40%超の平均光透過率を有する、請求項1又は2に記載の反射偏光子。
【請求項4】
前記第1の入射角及び前記第2の入射角の各々に対して、前記s偏光状態及び前記p偏光状態の各々に対して、前記入射面内にある前記第1の方向及び前記第2の方向の各々に対して、並びに約750nm~約1200nmにわたる赤外波長範囲に対して、前記複数の光学繰り返し単位が、約40%超の平均光透過率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の反射偏光子。
【請求項5】
前記入射面内にある前記第1の方向に対して、及び前記s偏光状態に対して、前記複数の光学繰り返し単位が、前記それぞれの第1の入射角及び第2の入射角に対して、波長に対する第1及び第2の光透過率を有し、前記第1及び第2の光透過率が、それぞれの第1及び第2の透過帯域端を含み、少なくとも、前記光透過率が約10%から約50%まで増加する前記透過帯域端に沿った波長範囲にわたる前記第1及び第2の帯域端の各々への最良の線形フィットが、約1.3%/nm超の正の勾配を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の反射偏光子。
【請求項6】
各ポリマーA層が、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマーを含み、各ポリマーC層が、
シンジオタクチックポリスチレン、
テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー、
ポリメチルメタクリレート、
メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー、又は
コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の反射偏光子。
【請求項7】
複数の光学繰り返し単位を備える多層光学フィルムであって、前記複数の光学繰り返し単位中の前記光学繰り返し単位が、合計で約175未満の数であり、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有し、前記光学繰り返し単位の各々が、少なくとも4つの個別の層を含み、前記光学繰り返し単位の各々の前記少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1及び第2の個別の層が、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、前記x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びに前記x方向及び前記y方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有し、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1が、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも少なくとも0.15大きく、
nx2、ny2、nz2の間の最大差の大きさが、0.15未満であり、
nx1が、nx2よりも少なくとも0.15大きく、
前記光学繰り返し単位の各々の前記少なくとも4つの個別の層の少なくとも第3の層が、約50nm未満の平均厚さを有し、前記複数の光学繰り返し単位中の前記個別の層の層間接着力が、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチである、
多層光学フィルム。
【請求項8】
前記少なくとも前記第3の層が、前記それぞれのx方向、y方向、及びz方向に沿ってそれぞれの屈折率nx3、ny3、及びnz3を有し、前記少なくとも1つの波長に対して、nx2が、nx3よりも少なくとも0.005大きい、又はnx3が、nx2よりも少なくとも0.05大きい、請求項7に記載の多層光学フィルム。
【請求項9】
複数の光学繰り返し単位を備える多層光学フィルムであって、前記複数の光学繰り返し単位中の前記光学繰り返し単位が、合計で約175未満の数であり、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有し、前記光学繰り返し単位の各々が、少なくとも4つの個別の層を含み、前記光学繰り返し単位の各々の前記少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1及び第2の個別の層が、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、前記x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びに前記x方向及び前記y方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有し、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1が、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも少なくとも0.15大きく、
nx2が、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つより小さく、
nx1が、nx2よりも少なくとも0.15大きく、
前記複数の光学繰り返し単位中の前記個別の層の層間接着力が、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチである、
多層光学フィルム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの波長に対して、nx2が、ny2より少なくとも0.005小さい、請求項9に記載の多層光学フィルム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの波長に対して、nx2とny2との間の差の大きさが、0.005未満である、請求項9に記載の多層光学フィルム。
【請求項12】
複数の光学繰り返し単位を備える多層光学フィルムであって、前記複数の光学繰り返し単位中の前記光学繰り返し単位が、合計で約175未満の数であり、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有し、前記光学繰り返し単位の各々が、少なくとも4つの個別の層を含み、前記光学繰り返し単位の各々の前記少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1及び第2の個別の層が、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、前記x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びに前記x方向及び前記y方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有し、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1、ny1、nz1の間の最大差の大きさが、0.05未満であり、
nx2が、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つより小さく、
nx1が、nx2よりも少なくとも0.07大きく、
前記光学繰り返し単位の各々の前記少なくとも4つの個別の層の少なくとも第3の層が、約50nm未満の平均厚さを有し、前記複数の光学繰り返し単位中の前記個別の層の層間接着力が、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチである、
多層光学フィルム。
【請求項13】
前記複数の光学繰り返し単位中の前記個別の層の前記層間接着力が、90度の剥離角度で測定した場合、約20グラム/インチ超である、請求項12に記載の多層光学フィルム。
【請求項14】
複数の光学繰り返し単位を備える多層光学ミラーであって、前記複数の光学繰り返し単位中の前記光学繰り返し単位が、合計で約200未満の数であり、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有し、前記光学繰り返し単位の各々が、少なくとも4つの順次配置された第1~第4の個別の層を含み、前記光学繰り返し単位の各々の前記第1の個別の層及び前記第3の個別の層が、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、前記x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びに前記x方向及び前記y方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有し、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1及びny1が、それぞれ、nx2及びny2よりも少なくとも0.1大きく、
nz2が、nz1よりも少なくとも0.05大きく、
前記多層光学ミラーに入射する光に対して、互いに直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、並びに前記可視波長範囲に対して、前記複数の光学繰り返し単位が約5度未満の第1の入射角に対する平均光透過率T1と、約40度超の第2の入射角に対する平均光透過率T2とを有し、T1/T2≧1.2であるようになっている、
多層光学ミラー。
【請求項15】
前記光学繰り返し単位の各々について、前記第2の個別の層及び前記第4の個別の層の各々の平均厚さが、約20nm未満である、請求項14に記載の多層光学ミラー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多層光学フィルムは、光学繰り返し単位をなすように構成されたポリマー層の積層体を含むことができる。多層光学フィルムは、反射偏光子又はミラーであってもよい。
【発明の概要】
【0002】
本明細書は、概して多層光学フィルムに関する。光学フィルムは、複数の光学繰り返し単位を含むことができ、各光学繰り返し単位が少なくとも4つの個別の層を含む。光学繰り返し単位は、光学フィルムが薄い総厚さ(例えば、約24マイクロメートル未満又は約20マイクロメートル未満)で所望の反射強度を有し、かつ/又は高い層間接着力(例えば、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチ又は少なくとも約20グラム/インチ)を有するように構成することができる。多層光学フィルムは、例えば、反射偏光子又は光学ミラーであってもよい。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置された複数の光学繰り返し単位を含む反射偏光子が提供される。各光学繰り返し単位は、少なくとも1つのポリマーA層、少なくとも2つのB層、及び少なくとも1つのポリマーC層を含むことができ、隣接するA層及びC層の各対は、隣接するA層とC層との間に配置された、2つのB層のうちの少なくとも1つを有する。第1のスキン層と第2のスキン層との間に配置された複数の光学繰り返し単位中のA層及びC層の総数は、約400未満であってもよい。A層及びC層の各々は、約50nm~約500nmの平均厚さを有することができ、B層の各々は、約50nm未満の平均厚さを有することができる。第1及び第2のスキン層の各々は、約500nm超の平均厚さを有する。反射偏光子は、約20マイクロメートル未満の平均厚さを有することができる。反射偏光子は、入射面において反射偏光子に入射する光に対して、約5度未満の第1の入射角及び約40度超の第2の入射角の各々に対して、並びに約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位が、反射偏光子の面内第1方向が入射面内にあるとき、s偏光状態に対して約10%未満の平均光透過率を有し、反射偏光子の面内直交第2方向が入射面内にあるとき、p偏光状態に対して約65%超の平均光透過率を有するようにすることができる。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、複数の光学繰り返し単位を含む多層光学フィルムが提供される。複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位は、合計で約175未満の数であってもよく、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有することができる。光学繰り返し単位の各々は、少なくとも4つの個別の層を含む。光学繰り返し単位の各々の少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1及び第2の個別の層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びにx方向及びy方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有する。約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも少なくとも0.15大きくてもよく、nx2、ny2、nz2の間の最大差の大きさは、0.15未満であってもよく、nx1は、nx2よりも少なくとも0.15大きくてもよい。光学繰り返し単位の各々の少なくとも4つの個別の層の少なくとも第3の層は、約50nm未満の平均厚さを有することができる。複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチであってもよい。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、複数の光学繰り返し単位を含む多層光学フィルムが提供される。複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位は、合計で約175未満の数であってもよく、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有することができる。光学繰り返し単位の各々は、少なくとも4つの個別の層を含む。光学繰り返し単位の各々の少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1及び第2の個別の層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びにx方向及びy方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有する。約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも少なくとも0.15大きくてもよく、nx2は、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つよりも小さくてもよく、nx1は、nx2よりも少なくとも0.15大きくてもよい。複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチであってもよい。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、複数の光学繰り返し単位を含む多層光学フィルムが提供される。複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位は、合計で約175未満の数であってもよく、約20ミクロン未満の合計平均厚さを有することができる。光学繰り返し単位の各々は、少なくとも4つの個別の層を含む。光学繰り返し単位の各々の少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1及び第2の個別の層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びにx方向及びy方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有する。約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1、ny1、nz1の間の最大差の大きさは、0.05未満であってもよく、nx2は、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つよりも小さくてもよく、nx1は、nx2よりも少なくとも0.07大きくてもよい。光学繰り返し単位の各々の少なくとも4つの個別の層の少なくとも第3の層は、約50nm未満の平均厚さを有することができる。複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチであってもよい。
【0007】
本明細書のいくつかの態様では、複数の光学繰り返し単位を含む多層光学ミラーが提供される。複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位は、合計で約200未満の数であってもよく、約20マイクロメートル未満の合計平均厚さを有することができる。光学繰り返し単位の各々は、少なくとも4つの順次配置された第1~第4の個別の層を含む。光学繰り返し単位の各々の第1の個別の層及び第3の個別の層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びにx方向及びy方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有する。約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、それぞれ、nx2及びny2よりも少なくとも0.1大きくてもよく、nz2は、nz1よりも少なくとも0.05大きくてもよい。多層光学ミラーは、多層光学ミラーに入射する光に対して、互いに直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態の各々に対して、並びに可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位が約5度未満の第1の入射角に対する平均光透過率T1と、約40度超の第2の入射角に対する平均光透過率T2とを有し、T1/T2≧1.2であるようにすることができる。
【0008】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】いくつかの実施形態による、光学フィルムの概略断面図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、光学フィルムの一部分の概略断面図である。
【
図2A】異なる入射面における光学フィルムに入射する光の概略断面図である。
【
図2B】異なる入射面における光学フィルムに入射する光の概略断面図である。
【
図3】光学フィルムの例示的な層の概略斜視図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の光透過率の概略プロットである。
【
図4B】いくつかの実施形態による、反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の光透過率の概略プロットである。
【
図5】第1の例示的な反射偏光子の層厚さプロファイルである。
【
図6A】第1の例示的な反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の光透過率のプロットである。
【
図7】第2の例示的な反射偏光子の層厚さプロファイルである。
【
図8】第2の例示的な反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の光透過率のプロットである。
【
図9A】いくつかの実施形態による、光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の光透過率の概略プロットである。
【
図9B】いくつかの実施形態による、光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の光透過率の概略プロットである。
【
図10】第1の例示的な光学ミラーの層厚さプロファイルである。
【
図11】第1の例示的な光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の光透過率のプロットである。
【
図12】第2の例示的な光学ミラーの層厚さプロファイルである。
【
図13】第2の例示的な光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の光透過率のプロットである。
【
図14】第3の例示的な光学ミラーの層厚さプロファイルである。
【
図15】第3の例示的な光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の光透過率のプロットである。
【
図16】層間接着力について多層光学フィルムを試験する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0011】
交互のポリマー層を含む多層光学フィルムは、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に概して記載されているように、層厚さ及び屈折率差を適切に選択することによって、所望の波長範囲で所望の反射及び透過を提供するために使用することができる。交互のポリマー層は、典型的には、主に光学干渉によって光を透過及び反射する光学層として説明することができる交互の高屈折率層及び低屈折率層を含む。交互の高屈折率層及び低屈折率層を含む多層光学フィルムは複数の光学繰り返し単位を含むものとして説明することができ、各光学繰り返し単位が高屈折率層及び低屈折率層を含む。光学繰り返し単位は、一般的に、光学フィルムの厚さ方向に沿って繰り返す光学層の最小の別個の単位である。各光学繰り返し単位は、例えば、米国特許第5,103,337号(Schrenkら)、同第5,540,978号(Schrenk)、及び同第6,207,260号(Wheatleyら)に記載されているように、高屈折率層及び低屈折率層に加えて、1つ以上の層を含んでもよい。高屈折率層は、キャストフィルムが延伸されると、高屈折率層の屈折率が延伸方向に増加するように、正の複屈折材料であるように選択されることが多い。高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率の差を増加させることにより、強い反射をもたらすことができ、それによって、所望の反射強度を達成するために必要とされる層の総数及び結果として生じる膜厚を低減することができる。延伸方向に低屈折率層の屈折率が減少し、高屈折率層の屈折率が増加するように、低屈折率層に負の複屈折材料を選択するとともに、高屈折率層に正の複屈折材料を選択することによって、屈折率の差を増加させることができる。例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)は、好適な正の複屈折材料であり、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)は、好適な負の複屈折材料である。しかしながら、PENとsPSとの間の結合は、これらの材料が互いに共押出及び/又は延伸されるときに低く、これにより、交互のPEN層及びsPS層から形成される多層光学フィルムにおいてもたらされる層間接着力は多くの用途にとって低すぎることが分かっている(例えば、光学フィルムをデバイス又は他の光学素子に処理又は成形又は適用するときに層の層間剥離又は部分的層間剥離が生じる場合があり、これにより、光学フィルムの性能を低下させる場合がある)。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、好適な層間接着力(例えば、90度の剥離角度で測定した場合、少なくとも約14グラム/インチ又は少なくとも約20グラム/インチ)を維持しながら、低い総平均厚さ(例えば、約20マイクロメートル未満)及び/又は低い光学繰り返し単位総数(例えば、約200光学繰り返し単位未満又は約175光学繰り返し単位未満)を有するポリマー多層光学フィルムにより、少なくとも1つの偏光状態に対して、高い反射率(例えば、約90%超)又はそれに対応して低い透過率(例えば、約10%未満)が達成される。いくつかの実施形態では、光学フィルムはまた、通過偏光状態において改善された透過率を有する。いくつかの実施形態では、通過状態透過率は、高い(例えば、約40度より大きい)入射角において改善される。いくつかの実施形態では、光学フィルムの所望の特性は、正の複屈折高屈折率層、負の複屈折低屈折率層、及び高屈折率層と低屈折率層の各々の間の追加の層を含むことによって達成される。追加の層は、光学フィルムの層間の層間接着力を増加させるように選択することができる。いくつかの実施形態では、追加の層は、等方性ポリマー層である。いくつかの実施形態では、光学フィルムの所望の特性は、正の複屈折高屈折率層、高屈折率層に直接結合される場合に高屈折率層との不十分な結合を有する実質的に等方性(isotopic)の低屈折率層(例えば、フッ素基を含有する低屈折率層)、及び層間接着力を改善するための高屈折率層と低屈折率層の各々の間の追加の層を使用することによって達成される。いくつかの実施形態では、光学フィルムの所望の特性は、実質的に等方性の高屈折率層、負の複屈折低屈折率層、及び高屈折率層と低屈折率層の各々の間の追加の層を含む光学繰り返し単位を使用することによって達成される。例えば、そのような光学繰り返し単位は、本明細書の他の箇所で更に説明するようなコリメート光学ミラーを提供するために使用することができる。
【0013】
図1Aは、いくつかの実施形態による、多層光学フィルム300の概略断面図である。光学フィルム300は、波長及び/又は偏光状態に基づいて光を選択的に反射及び透過させるように適合させることができる。光学フィルム300は、例えば、反射偏光子又は光学ミラーであってもよい。光学フィルム300は、複数の光学繰り返し単位10を含み、各光学繰り返し単位10が少なくとも4つの個別の層を含む。図示の実施形態では、少なくとも4つの個別の層は、A層、B1層、C層、及びB2層を含む。光学フィルム300は、
図1Aで概略的に示されているものよりも多くの光学繰り返し単位10を含むことができる。
図1Bは、いくつかの実施形態による多層光学フィルム300の一部分の概略断面図であり、多数の光学繰り返し単位10を示している。
【0014】
いくつかの実施形態では、多層光学フィルム300は、第1のスキン層20と第2のスキン層21との間に配置された複数の光学繰り返し単位10を含み、各光学繰り返し単位は、少なくとも1つのポリマーA層、少なくとも2つのB層(例えば、少なくともB1層及びB2層)、及び少なくとも1つのポリマーC層を含む。隣接するA層及びC層の各対は、隣接するA層とC層との間に配置された、2つのB層のうちの少なくとも1つを有することができる。第1のスキン層20と第2のスキン層21との間に配置された複数の光学繰り返し単位中のA層及びC層の総数は、約400未満であってもよい。例えば、A層及びC層の総数は、約10又は約20~約400又は約350の範囲内であってもよい。複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位の総数は、別個の光学繰り返し単位の総数を指す(フィルムのどの層も、2つ以上の別個の光学繰り返し単位中にない)。いくつかの実施形態では、多層光学フィルム300は、複数の光学繰り返し単位を含み、複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位は、例えば、合計で約200未満、又は約175未満、又は約150未満、又は約130未満、又は約120未満、又は約115未満、又は約110未満、又は約105未満、又は約100未満、又は約95未満、又は約90未満の数である。複数の光学繰り返し単位中の光学繰り返し単位の総数は、例えば、少なくとも約10、又は少なくとも約15、又は少なくとも約20、又は少なくとも約25、又は少なくとも約30、又は少なくとも約40、又は少なくとも約50、又は少なくとも約60、又は少なくとも約70、又は少なくとも約75であってもよい。複数の光学繰り返し単位は、例えば、約20マイクロメートル未満、又は約19マイクロメートル未満、又は約18マイクロメートル未満、又は約17マイクロメートル未満、又は約16マイクロメートル未満、又は約15マイクロメートル未満の合計平均厚さを有することができる。光学繰り返し単位の合計平均厚さは、例えば、約5マイクロメートル超、又は約8マイクロメートル超、又は約10マイクロメートル超であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位10は、4つの個別の層(例えば、A、B1、C、B2)によって定義される。言い換えれば、いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位10は、4つの個別の層のみを含む。他の実施形態では、各光学繰り返し単位10は、4つより多い個別の層を含む。
【0016】
A層及びC層の各々は、約50nm~約500nm、又は約75nm~約400nm、又は約100nm~約300nmの平均厚さを有することができる。層の平均厚さは、層の厚さの層の面積にわたる非加重平均である。いくつかの実施形態では、B層は、主にA層とC層との間の接着を促進するために使用され、光学フィルムの光学特性に実質的に影響を与えないように十分に薄くてもよい。いくつかの実施形態では、B層は、A層とC層との間の接着を促進することができ、また光学フィルムの光学特性に実質的に影響を与えることもできる。いくつかの実施形態では、B層の各々は、約50nm未満、又は約40nm未満、又は約30nm未満、又は約20nm未満、又は約15nm未満、又は約10nm未満、又は約7.5nm未満の平均厚さを有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、B層の各々は、少なくとも約0.5nm、又は少なくとも約1nm、又は少なくとも約2nm、又は少なくとも約3nmの平均厚さを有する。例えば、いくつかの実施形態では、B層の各々は、約1nm~約30nm、又は約3nm~約20nmの範囲の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、光学繰り返し単位10の各々について、B層(例えば、B1層及びB2層)の各々の平均厚さは、A層及びC層の各々の平均厚さよりも、少なくとも2倍、又は少なくとも約2.25倍、又は少なくとも約2.5倍、又は少なくとも約2.75倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約3.25倍小さい。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、光学繰り返し単位10の各々について、B層(例えば、B1層及びB2層)の各々の平均厚さは、例えば、A層及びC層の各々の平均厚さよりも、少なくとも最大約100倍、又は最大約50倍、又は最大約40倍小さい。いくつかの実施形態では、B層の各々は、ポリマー層である。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のスキン層20及び第2のスキン層21の各々は、約500nm超、又は約750nm超、又は約1000nm超、又は約1250nm超、又は約1500nm超の平均厚さを有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第1のスキン層20及び第2のスキン層21の各々は、約8マイクロメートル未満、又は約5マイクロメートル未満、又は約4マイクロメートル未満の平均厚さを有する。光学フィルム300は、当該技術分野において既知であるように、光学繰り返し単位のパケットを保護するために使用される保護境界層120、121など、又は保護境界層120、121の間に配置された追加の層129、131、若しくは光学繰り返し単位の間の追加の層(単数又は複数)132などの追加の層を含んでもよい。追加の層129、131、132は、含まれる場合、それぞれ約500nm未満の平均厚さを有することができ、又は平均厚さは、A層、B1層、B2層、又はC層のいずれかについて記載された任意の範囲内であることができる。保護境界層120、121は、含まれる場合、それぞれ、例えば、約500nm又は約750nm~約2マイクロメートルの範囲の平均厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、約24マイクロメートル未満、又は約22マイクロメートル未満、又は約20マイクロメートル未満、又は約19マイクロメートル未満、又は約18マイクロメートル未満、又は約17マイクロメートル未満、又は約16マイクロメートル未満、又は約15マイクロメートル未満の平均厚さtを有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、平均厚さtは、例えば、約5マイクロメートル超、又は約8マイクロメートル超、又は約10マイクロメートル超である。平均厚さtは、光学繰り返し単位の合計平均厚さ+スキン層20、21の平均厚さ+含まれ得る任意の追加の層(例えば、120、121、129、131、132)の平均厚さとして説明することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、B層(例えば、B1層及びB2層)の各々は、同じ組成を有する。他の実施形態では、B1層及びB2層は、異なる組成を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルム300中の各光学繰り返し単位について、又は光学フィルム300の光学繰り返し単位の少なくとも大部分における各光学繰り返し単位について、光学繰り返し単位中のB1層及びB2層は、実質的に同じ厚さを有する(例えば、層は、互いの10%以内又は互いの5%以内の厚さを有することができる)。いくつかの実施形態では、光学フィルム300中の各B1層及びB2層、又は光学フィルム300の光学繰り返し単位の少なくとも大部分における各B1層及びB2層は、実質的に同じ厚さを有する。いくつかの実施形態では、B1層及びB2層は、光学フィルム300の一方の側から光学フィルム300の反対側へと概して増加する平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、光学フィルム300中の各光学繰り返し単位について、又は光学フィルム300の光学繰り返し単位の少なくとも大部分における各光学繰り返し単位について、光学繰り返し単位中のB1層及びB2層は、異なる厚さを有する。いくつかの実施形態では、光学フィルム300中の各光学繰り返し単位について、又は光学フィルム300の光学繰り返し単位の少なくとも大部分における各光学繰り返し単位について、A層及びC層は、同じ組成を有し、実質的に異なる厚さを有する(例えば、厚さが10%超異なる)。いくつかの実施形態では、A層及びC層は、異なる組成を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、一体的に形成されている。本明細書で使用するとき、第2の要素と「一体的に形成された」第1の要素とは、第1及び第2の要素が別々に製造されてから接合されるのではなく、一緒に製造されることを意味する。一体的に形成することには、第1の要素を製造し、続いて第2の要素を第1の要素上に製造することが含まれる。複数の層を含む光学フィルムが、層が別々に製造された後に接合されるのではなく、層が共に製造される(例えば、溶融ストリームとして組み合わされ、次いでチルロール上にキャストされて各層を有するキャストフィルムを形成し、更にキャストフィルムを配向させる)場合には、一体的に形成される。
【0020】
それぞれの入射角θ1及びθ2で光学フィルム300に入射する光130及び光230が
図1Aに概略的に示されている。入射角は、表面の法線に対するその表面に入射する光の方向の角度であり、0度から90度の範囲である。
図2A~
図2Bは、入射角θで光学フィルム300に入射する光130又は光230に対応することができる光30を概略的に示す。
図2Aでは、光学フィルム300の面内第1方向(x方向)は、入射面40(入射光の方向と面法線とによって規定される面)内にある。
図2Bでは、光学フィルム300の面内第2方向(y方向)は、入射面40内にある。面内第2方向は、面内第1方向に直交する。例えば、第1の方向は、反射偏光子のブロック軸に対応してもよく、第2の方向は、反射偏光子の通過軸に対応してもよい。p偏光状態31(入射面内の電界)とs偏光状態32(入射面に直交する電界)が示されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、反射偏光子であり、入射面40において反射偏光子に入射する光30に対して、約5度未満の第1の入射角θ1及び約40度超の第2の入射角θ2の各々に対して、並びに約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位10は、反射偏光子の面内第1方向(x方向)が入射面40内にあるとき、s偏光状態32に対して約10%未満の平均光透過率を有し、反射偏光子の面内直交第2方向(y方向)が入射面40内にあるとき、p偏光状態31に対して約65%超の平均光透過率を有するようになっている。第1の入射角θ1は、例えば、約4度未満、又は約3度未満、又は約2度未満であってもよい。例えば、第1の入射角θ1は、約0度であってもよい。第2の入射角θ2は、約45度超、又は約50度超、又は約55度超であってもよい。例えば、第2の入射角は、約60度であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2の各々に対して、可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位10は、反射偏光子の面内第1方向が入射面40内にあるとき、s偏光状態32に対して約10%未満、又は約8%未満、又は約6%未満、又は約4%未満、又は約2%未満の平均光透過率を有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2の各々に対して、並びに可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位10は、反射偏光子の面内第2方向が入射面40内にあるとき、p偏光状態31に対して約65%超、又は約70%超、又は約75%超、又は約80%超、又は約85%超の平均光透過率を有する。
【0022】
最外スキン層を含む光学フィルムの複数の光学繰り返し単位の透過率は、例えば、光学フィルムの透過率を測定し、光学フィルムの最外スキン層の屈折率を測定し、測定された屈折率をフレネル方程式に使用して、最外主表面からの反射率を決定し、次いで測定された透過率及び最外主表面からの反射率から複数の光学繰り返し単位の透過率を計算することによって、決定することができる。これは、複数の光学繰り返し単位と光学フィルムの任意の他の層との間の界面における典型的に小さな追加のフレネル反射を無視する。任意のそのような追加のフレネル反射は、これらの界面に隣接する層の屈折率を決定し、フレネル方程式を使用して、適切な補正を行うことによって、考慮することができる。あるいは、複数の光学繰り返し単位の透過率は、例えば、個別の層の材料特性を決定し、原子間力顕微鏡法(atomic force microscopy、AFM)を使用して光学フィルムの個別の層の厚さを測定することによって、従来の光学モデリング計算から決定することができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、s及び/又はp偏光状態に対して、並びに入射面40内にある反射偏光子の面内第1方向及び/又は面内第2方向に対して、複数の光学繰り返し単位について記載された任意の範囲の光透過率を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の光学繰り返し単位は、反射偏光子の面内第1方向が入射面40内にあるときのp偏光状態31について記載された範囲のいずれかの、反射偏光子の面内第1方向が入射面40内にあるときのs偏光状態32に対しての光透過率を有する。いくつかの実施形態では、複数の光学繰り返し単位は、反射偏光子の面内第2方向が入射面40内にあるときのs偏光状態32について記載された範囲のいずれかの、反射偏光子の面内第2方向が入射面40内にあるときのp偏光状態31に対しての光透過率を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、反射偏光子であり、入射面40において反射偏光子に入射するp偏光に対して、約5度未満の第1の入射角θ1及び約40度超の第2の入射角θ2の各々に対して、並びに約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位10は、反射偏光子の面内第1方向(x方向)が入射面40内にあるとき、約10%未満の平均光透過率を有し、反射偏光子の面内直交第2方向(y方向)が入射面40内にあるとき、約65%超の平均光透過率を有するようになっている。
【0024】
多層光学フィルム300の様々な層に好適な材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、coPEN(コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性PEN(PENG)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、THV(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、coPMMA(メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー)、スチレンブロックコポリマー(スチレンブロックを含むブロックコポリマー)、例えば、スチレン及びエチレン/ブチレンに基づく直鎖状トリブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー(アクリレート又はメタクリレートブロックを含むブロックコポリマー)、例えば、メチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートに基づく直鎖状トリブロックコポリマー、無水物変性エチレンビニルアセテートポリマー、ケトンエチレンエステルターポリマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はこれらのブレンドが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、各A層は、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマーを含み、各C層は、シンジオタクチックポリスチレン;テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー;ポリメチルメタクリレート;メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー;又はコポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、各B層は、スチレンブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー、無水物変性エチレンビニルアセテートポリマー、ケトンエチレンエステルターポリマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はコポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマーを含み、各B層は、各A層及びC層とは異なる組成を有する。いくつかの実施形態では、各A層は、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマーを含み、各B層は、スチレンブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンナフタレート、無水物変性エチレンビニルアセテートポリマー、又はケトンエチレンエステルターポリマーを含み、各C層は、シンジオタクチックポリスチレン;テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー;ポリメチルメタクリレート;メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー;又はコポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、各ポリマーA層は、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマーを含み、各B層は、ポリメチルメタクリレート、又はメチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマーを含み、各ポリマーC層は、シンジオタクチックポリスチレン;テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー;又はコポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマーを含む。
【0025】
各C層がシンジオタクチックポリスチレン(sPS)を含むいくつかの実施形態では、各B層は、例えば、スチレンブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、又はグリコール変性ポリエチレンナフタレートを含んでもよい。各A層がポリエステル(例えば、PET、PEN、又はPHEN)を含むいくつかの実施形態では、各B層は、例えば、スチレンブロックコポリマーを含んでもよい。スチレンブロックコポリマーは、ポリエステル(例えば、PET、PEN、又はPHEN)及び/又はsPSとの高い結合強度を提供するのに特に有用であることが見出されている。各C層がテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)を含むいくつかの実施形態では、各B層は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はメチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー(coPMMA)を含んでもよい。アクリレート(例えば、PMMA若しくはcoPMMA若しくはアクリルブロックコポリマー又はそれらのブレンド)は、フルオロポリマー(例えば、THV)との高い結合強度を提供するのに特に有用であることが見出されている。一実施例として、A層は、PENを含んでもよく、C層は、THVを含んでもよく、B層は、PMMAを含んでもよい。別の実施例として、A層は、PETを含んでもよく、C層は、THVを含んでもよく、B層は、coPMMAを含んでもよい。フルオロポリマー(例えば、THV)とアクリレート又は他の材料との間の層間接着力は、例えば、米国特許出願公開第2019/0369314号(Hebrinkら)及び同第2019/0111666号(Hebrinkら)に記載されている。いくつかの実施例では、PENとPMMAとの間の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合、約30グラム/インチであったが、これは、多くのフルオロポリマーとPENとの間の層間接着力よりも実質的に高い。いくつかの実施例では、PETとcoPMMAとの間の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合、約50グラム/インチであったが、これは、多くのフルオロポリマーとPETとの間の層間接着力よりも実質的に高い。
【0026】
いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位10は、少なくとも1つのフルオロポリマー層(例えば、1つ以上のTHV層)を含む。いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位の少なくとも1つの層は、少なくとも1つの方向において、633nmの波長で1.4以下の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位の少なくとも1つの層は、3つの互いに直交する方向の各々において、633nmの波長で1.4以下の屈折率を有する。他の実施形態では、光学繰り返し単位10は、フルオロポリマー層を含まない。いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位の各層は、少なくとも1つの方向において、633nmの波長で少なくとも1.45の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位の各層は、3つの互いに直交する方向の各々において、633nmの波長で少なくとも1.45の屈折率を有する。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、低いガラス転移温度を有するポリマー、若しくは低いガラス転移温度を有する(例えば、軟質)ポリマーブロックを含有するブロックコポリマー、又はそれらのブレンドから形成されたB層は、本明細書に記載されるA層及びC層との改善された結合を提供することが見出されている。例えば、B層は、スチレンブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー、PMMA、若しくはcoPMMA、又は後者の3つのいずれかのブレンドから形成することができる。(B層又はB層の軟質ブロックの)ガラス転移温度は、例えば、105℃未満、又は100℃未満、又は90℃未満、又は80℃未満、又は70℃未満、又は60℃未満、又は50℃未満、又は40℃未満、又は30℃未満、又は20℃未満、又は10℃未満、又は0℃未満、又は-10℃未満、又は-20℃未満、又は-30℃未満、又は-40℃未満、又は-50℃未満であってもよい。コポリマーのポリマーブロックのガラス転移温度は、ポリマーブロックのモノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として決定することができる。ブロックコポリマーはまた、例えば、機械的特性のために(例えば、材料取り扱い及び/又は低クリープのために)他の(例えば、硬質)ブロックを含んでもよい。機械的特性のための(例えば、硬質)ブロックは、例えば、50℃超、又は60℃超、又は70℃超、又は80℃超、又は90℃超、又は100℃超、又は105℃超のガラス転移温度を有することができる。いくつかの実施形態では、各B層は、化学的に不活性な、又は実質的に化学的に不活性なポリマー層である。すなわち、いくつかの実施形態では、B層のポリマーは、A層の材料又はC層の材料と共有結合を形成しない、又は隣接する層のいずれかとの結合に無視できる程度の影響しか与えないような共有結合しか形成しない。
【0028】
アタクチックポリスチレン(aPS)は、任意選択的に、得られる層の屈折率を調整するために、及び/又は層のヘイズを低減するために(例えば、層の結晶化度を低減することによって)、sPSと(例えば、約5~約30重量パーセントのaPSで)ブレンドすることができる。好適なTHVポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2019/0369314号(Hebrinkら)に記載されており、3M Company(St.Paul,MN)からDYNEON THVの商品名で入手可能なものが挙げられる。いくつかの実施形態では、THVは、約35~約75モルパーセントのテトラフルオロエチレン、約5~約20モルパーセントのヘキサフルオロプロピレン、及び約15~約55モルパーセントのフッ化ビニリデンを含有することができる。好適なスチレンブロックコポリマーとしては、KRATON Polymers(Houston,TX)から入手可能なKRATON G1645及びKRATON G1657が挙げられる。好適なアクリルブロックコポリマーとしては、Kuraray Co.,Ltd.(Tokyo,JP)からKURARITYの商品名で入手可能なものが挙げられる。PETGは、ポリマーのグリコール単位の一部が異なるモノマー単位、典型的にはシクロヘキサンジメタノールから誘導されるモノマー単位で置換されたPETとして説明することができる。PETGは、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。好適なPETGコポリエステルとしては、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から入手可能なGN071が挙げられる。PEN及びcoPENは、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)に記載されているように製造することができる。低融点PENは、総カルボキシレート基に基づいて約90モルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基を含むcoPENであり、coPEN 90/10としても知られている。別の有用なcoPENは、総カルボキシレート基に基づいて約70モルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基及び約30モルパーセントのテレフタレートジカルボキシレート基を含むcoPEN 70/30である。より一般的には、coPEN Z/100-Zが総カルボキシレート基に基づいてZモルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基(典型的には、50モルパーセントを超え、かつ約90モルパーセント以下)及び100-Zモルパーセントのテレフタレートジカルボキシレート基を含む場合、coPEN Z/100-Zが使用されてもよい。グリコール変性ポリエチレンナフタレート(PENG)は、ポリマーのグリコール単位の一部が異なるモノマー単位で置換されたPENとして説明することができ、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応で使用されるエチレングリコールの一部分をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。PHENは、エステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分(例えば、約40モルパーセント)がヘキサンジオールで置き換えられることを除いて、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)にPENについて記載されているように製造することができる。好適なPETは、例えば、Nan Ya Plastics Corporation,America(Lake City,SC)から入手することができる。好適なsPSは、例えば、Idemitsu Kosan Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から入手することができる。好適なPMMAは、例えば、Arkema Inc.(Philadelphia,PA)から入手することができる。好適な無水物変性エチレンビニルアセテートポリマーとしては、例えば、Dow Chemical(Midland,MI)からBYNELの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なケトンエチレンエステルターポリマーとしては、例えば、Dow Chemical(Midland,MI)からBYNELの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、Mitsui Chemicals(Tokyo,Japan)からADMERの商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0029】
PEN、PET、及びPHENは、正の複屈折熱可塑性ポリマーの例であり、sPSは、負の複屈折熱可塑性ポリマーの例である。例えば、米国特許第9,069,136号(Weberら)に記載されているように、ポリマーが正又は負の複屈折を示すかどうかは、ポリマーが配向されたときに形成される微結晶の幾何形状に依存し得る。好適な正の複屈折熱可塑性ポリマーとしては、延伸方向と実質的に整列した対称軸を有する微結晶を形成するものが挙げられ、一方、好適な負の複屈折熱可塑性ポリマーとしては、延伸方向と実質的に整列した最小単位セル寸法を有する円盤状単位セル構造を有する微結晶を形成するものが挙げられる。スチレンブロックコポリマー、PMMA、coPMMA、THV、アクリルブロックコポリマー、coPEN、及びPETGは、配向後に実質的に等方性であり得る熱可塑性ポリマーの例である。実質的に等方性のポリマーは、典型的には、配向されたときに微結晶を実質的に形成しない、又はポリマーを含有するフィルムがヒートセットされたときに溶融して除かれる微結晶を形成する、のいずれかである。正及び負の複屈折熱可塑性ポリマー並びに等方性熱可塑性ポリマーの更なる例は、例えば、米国特許第9,069,136号(Weberら)に記載されている。多層光学フィルム300内の様々な層に好適な他の材料としては、例えば、米国特許第5,103,337号(Schrenkら)、同第5,540,978号(Schrenk)、同第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,207,260号(Wheatleyら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、同第9,069,136号(Weberら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されているものが挙げられる。
【0030】
光学フィルム300の様々な層は、第1の面内方向(例えば、x方向)、直交する第2の面内方向(例えば、y方向)、及び/又は面内方向に直交する厚さ方向(z方向)に沿ったそれらの屈折率によって特徴付けることができる。複数の層の屈折率が指定される実施形態では、x方向、y方向、及びz方向に沿った屈折率は、それぞれnxi、nyi、nziと表されてもよく、「i」は1、2などである。
図3は、多層光学フィルムの層の概略斜視図である。x方向、y方向、及びz方向に沿った屈折率nxi、nyi、nziは、例えば、
図1A~
図1Bに示す層A、B1、C、B2のいずれかに対応することができる層「i」について示されている。例えば、いくつかの実施形態では、多層光学フィルム300は、複数の光学繰り返し単位10を含み、光学繰り返し単位の各々は、少なくとも4つの個別の層(例えば、A、B1、C、B2)を含み、光学繰り返し単位の各々の少なくとも4つの個別の層の少なくとも第1(例えば、A及びCのうちの一方)及び第2(例えば、A及びCのうちの他方)の個別の層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びにx方向及びy方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有する。
【0031】
以下の表は、いくつかの実施形態による、光学フィルム300の層に使用することができる様々な例示的な材料についての約633nmの波長における屈折率を列挙する。複屈折材料は、典型的には、反射偏光子のために一軸配向され、光学ミラーのために二軸配向されている。スチレンブロックコポリマー、THV、PMMA、coPMMA、アクリルブロックコポリマー、coPEN、及びPETGなどの材料は、多層光学フィルム中の他の層が二軸配向されている又は一軸配向されているかに関わらず、典型的には等方性である。例えば、このような材料の層を含む多層光学フィルムは、これらの層に使用される材料のガラス転移温度を超える温度でヒートセットして、等方性層を得ることができる。いくつかの材料(例えば、PHEN)の層は、延伸条件及びヒートセット温度に応じて、一軸配向、二軸配向、又は等方性であってもよい。例えば、PHEN層は、二軸配向若しくは一軸配向されていてもよく、又はPHEN層は、PHENのガラス転移温度を超える温度でヒートセットして、層が一軸延伸若しくは二軸延伸された後であっても等方性層を得ることができる。
【0032】
【0033】
いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位の各個別の層は、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、x方向、y方向、及びz方向の各々において、約1.3~約1.9の範囲内の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位の各個別の層は、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、x方向、y方向、及びz方向のうちのいずれか2つについて、約0.4未満、又は約0.36未満の最大屈折率差を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対するx方向、y方向、及びz方向の各々に沿った光学繰り返し単位中の個別の層の最大屈折率差は、約0.55未満、又は約0.5未満、又は約0.45未満である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対する同じ方向(例えば、x方向、y方向、及びz方向のうちの1つ)に沿った光学繰り返し単位中の個別の層の最大屈折率差は、約0.05超、又は約0.07超、又は約0.1超、又は約0.15超、又は約0.2超、又は約0.22超、又は約0.25超である。いくつかの実施形態では、屈折率の差(例えば、異なる方向における同じ層の屈折率の差、又は異なる層についての同じ方向に沿った屈折率の差)が、少なくとも1つの波長に対する指定された値より大きいと言われる場合、その差は、例えば、最大約0.55、又は最大約0.5、又は最大約0.45、又は最大約0.4、又は最大約0.35、又は最大約0.3であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位は、より複屈折性の高い第1の個別の層(例えば、A層及びC層のうちの一方)と、より複屈折性の低い第2の個別の層(例えば、A層及びC層のうちの他方)とを含む少なくとも4つの個別の層を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)を含み、第2の個別の層は、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー(coPMMA)、コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー(coPEN)、又はテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)を含む。別の例として、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、少なくとも第2の個別の層は、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとびフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)を含む。少なくとも4つの個別の層は、例えば、スチレンブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー、又はグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)を含むことができる少なくとも第3の層を含むことができる。ポリマー材料を含むと記載される任意の層は、そのポリマー材料の層であってもよい。例えば、PENを含む層は、PEN層であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも少なくとも0.15大きく、nx2、ny2、nz2の間の最大差の大きさは、0.15未満であり、nx1は、nx2よりも少なくとも0.15、又は少なくとも0.17、又は少なくとも0.2、又は少なくとも0.22、又は少なくとも0.25、又は少なくとも0.28、又は少なくとも0.3、又は少なくとも0.32大きい。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、例えば、nx2よりも、最大約0.45、又は最大約0.4、又は最大約0.35大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1の各々よりも少なくとも0.15大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1の一方よりも少なくとも0.15大きいが、他方よりも大きくない。3つの量の間の最大差は、3つの量のうち最大のものから3つの量のうち最小のものを引いたものである。いくつかの実施形態では、nx2は、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つよりも(例えば、少なくとも0.005、又は少なくとも0.01、又は少なくとも0.02、又は少なくとも0.03)小さい。いくつかの実施形態では、nx2、ny2、nz2の間の最大差の大きさは、0.1未満、又は0.05未満、又は0.02未満である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも、少なくとも0.17、又は少なくとも0.2、又は少なくとも0.22、又は少なくとも0.25大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、例えば、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも、最大約0.45、又は最大約0.4、又は最大0.35大きい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、633nmでそれぞれ約1.85、1.60、及び1.50の屈折率nx1、ny1、nz1を有する一軸配向PEN層であり、第2の個別の層は、633nmでそれぞれ約1.51、1.62、及び1.62の屈折率nx2、ny2、nz2を有する一軸配向sPS層である。別の例として、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、633nmでそれぞれ約1.76、1.74、及び1.49の屈折率nx1、ny1、nz1を有する二軸配向PEN層であり、第2の個別の層は、633nmでそれぞれ約1.57、1.57、及び1.62の屈折率nx2、ny2、nz2を有する二軸配向sPS層である。いくつかの実施形態では、少なくとも第3の層(例えば、B1及び/又はB2)は、それぞれのx方向、y方向、及びz方向に沿ってそれぞれの屈折率nx3、ny3、及びnz3を有し、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、nx3よりも少なくとも0.005、又は少なくとも0.01、又は少なくとも0.02、又は少なくとも0.05大きい。例えば、第1の層及び第2の層は、上記の通りであってよく、第3の層は、633nmで各方向に約1.49の屈折率を有するスチレンブロックコポリマー層であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx3は、nx2よりも少なくとも0.05又は少なくとも0.1大きい。例えば、第1の層及び第3の層は、上記の通りであってよく、第2の層は、633nmで各方向に約1.36の屈折率を有するTHV層であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、|nx2-nx3|は、0.02未満、又は0.01未満、又は0.007未満、又は0.005未満である。例えば、第3の層は、633nmで各方向に約1.49の屈折率を有するスチレンブロックコポリマー層とすることができ、第2の層は、633nmで各方向に約1.49の屈折率を有するPMMA又はcoPMMA層とすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位について、第1の個別の層(例えば、A層及びC層のうちの一方)は、正の複屈折性であり(屈折率が延伸方向に増加する)、第2の個別の層(例えば、A層及びC層のうちの他方)は、負の複屈折性である(屈折率が延伸方向に減少する)。例えば、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)を含み、いくつかのそのようないくつかの実施形態では、又は他の実施形態では、第2の個別の層は、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも少なくとも0.15大きく、nx2は、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つよりも小さく、nx1は、nx2よりも少なくとも0.15、又は少なくとも0.17、又は少なくとも0.2、又は少なくとも0.22、又は少なくとも0.25大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1の各々よりも少なくとも0.15大きく、nx2は、ny2及びnz2の各々よりも少なくとも0.05小さい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1の一方よりも少なくとも0.15大きいが、他方よりも大きくない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、nz2よりも少なくとも0.03小さく、|nx2-ny2|<0.005である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、nz2よりも少なくとも0.04小さく、|nx2-ny2|<0.003である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも、少なくとも0.17、又は少なくとも0.2、又は少なくとも0.22、又は少なくとも0.25大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、例えば、ny1及びnz1のうちの少なくとも1つよりも、最大約0.45、又は最大約0.4、又は最大約0.35大きい。例えば、第1の個別の層は、x方向に沿って一軸延伸された、又はx方向及びy方向に沿って二軸延伸されたPEN、PHEN、又はPET層であってもよく、第2の個別の層は、x方向に沿って一軸延伸された、又はx方向及びy方向に沿って二軸延伸されたsPS層であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、ny2よりも少なくとも0.005、又は少なくとも0.01、又は少なくとも0.02、又は少なくとも0.05、又は少なくとも0.1小さい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2とny2との間の差の大きさは、0.005未満、又は0.003未満、又は0.002未満である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nz2は、nz1よりも少なくとも0.005、又は少なくとも0.01、又は少なくとも0.02、又は少なくとも0.05、又は少なくとも0.1大きい。
【0038】
いくつかの実施形態では、各光学繰り返し単位について、第1の個別の層(例えば、A層及びC層のうちの一方)は、実質的に等方性であり、第2の個別の層(例えば、A層及びC層のうちの他方)は、負の複屈折性である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー(coPEN)又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)を含み、第2の個別の層は、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1、ny1、nz1の間の最大差の大きさは、0.05未満であり、nx2は、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つよりも小さく、nx1は、nx2よりも少なくとも0.07、又は少なくとも0.08、又は少なくとも0.09、又は少なくとも0.1大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1は、例えば、nx2よりも、最大0.25、又は最大0.2、又は最大0.15大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、ny2及びnz2の各々よりも、少なくとも0.05、又は少なくとも0.06、又は少なくとも0.07小さい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、例えば、ny2及びnz2の各々よりも、最大0.2、又は最大0.15、又は最大0.12小さい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、nz2よりも少なくとも0.03小さく、|nx2-ny2|<0.005である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、nz2よりも少なくとも0.04小さく、|nx2-ny2|<0.003である。例えば、第1の個別の層は、coPEN層とすることができ、第2の個別の層は、一軸又は二軸延伸sPS層とすることができる。別の例として、第1の個別の層は、等方性PHEN層であってもよく、第2の個別の層は、一軸又は二軸延伸sPS層であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1、ny1、nz1の間の最大差の大きさは、0.04未満、又は0.03未満、又は0.02未満、又は0.01未満、又は0.005未満である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx2は、ny2及びnz2のうちの少なくとも1つよりも、少なくとも0.005、又は少なくとも0.01、又は少なくとも0.02、又は少なくとも0.05、又は少なくとも0.1小さい。
【0040】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、多層光学ミラーである。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、光学繰り返し単位10の各々は、少なくとも4つの順次配置された第1~第4の個別の層を含む。第1~第4の個別の層は、例えば、
図1Bのプラス又はマイナスz方向に順次ラベル付けされていてもよく、開始(第1)層は、例えば、A層又はC層であってもよい。例えば、A、B1、C、B2は、順次配置された第1~第4の個別の層を含む光学繰り返し単位として識別されてもよく、又はA、B2、C、B1は、順次配置された第1~第4の個別の層を含む光学繰り返し単位として識別されてもよく、又はC、B2、A、B1は、順次配置された第1~第4の個別の層を含む光学繰り返し単位として識別されてもよく、又はC、B1、A、B2は、順次配置された第1~第4の個別の層を含む光学繰り返し単位光学繰り返し単位として識別されてもよい。光学繰り返し単位10の総数は、本明細書の他の箇所に記載される範囲のいずれかであってよく、光学繰り返し単位10の合計平均厚さは、本明細書の他の箇所に記載される範囲の1つ(an of)であってよい。少なくとも4つの順次配置された第1~第4の個別の層は、本明細書の他の箇所に記載されたそれぞれの範囲のいずれかの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、光学繰り返し単位10の各々について、第2及び第4の個別の層(B1及びB2)の各々の平均厚さは、約30nm未満、又は約20nm未満、又は約15nm未満、又は約10nm未満、又は約7.5nm未満である。いくつかの実施形態では、光学繰り返し単位10の各々について、第2及び第4の個別の層(例えば、B1及びB2)の各々の平均厚さは、例えば、約1nm~約30nm、又は約3nm~約20nmの範囲内である。
【0041】
光学繰り返し単位10の各々の第1(例えば、A及びCのうちの一方)及び第3(例えば、A及びCのうちの他方)の個別の層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2、並びにx方向及びy方向に直交するz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2を有することができる。いくつかの実施形態では、約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、それぞれ、nx2及びny2よりも少なくとも0.1大きく、nz2は、nz1よりも少なくとも0.05大きい。いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)を含み、いくつかのそのようないくつかの実施形態では、又は他の実施形態では、第3の個別の層は、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の個別の層は、633nmでそれぞれ約1.76、1.74、及び1.49の屈折率nx1、ny1、nz1を有する二軸配向PEN層であり、第3の個別の層は、633nmでそれぞれ約1.57、1.57、及び1.62の屈折率nx2、ny2、nz2を有する二軸配向sPS層である。いくつかのそのような実施形態、又は他の実施形態では、第2及び第4の層は、633nmで各方向に約1.49の屈折率を有するスチレンブロックコポリマー層である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、それぞれ、nx2及びny2よりも、少なくとも0.12、又は少なくとも0.14、又は少なくとも0.16、又は少なくとも0.18大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、例えば、それぞれ、nx2及びny2よりも、最大約0.45、又は約0.4、又は約0.35、又は約0.3大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nz2は、nz1よりも少なくとも0.06、又は少なくとも0.07、又は少なくとも0.08、又は少なくとも0.09、又は少なくとも0.1、又は少なくとも0.11、又は少なくとも0.12大きい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長に対して、nz2は、例えば、nz1よりも最大約0.3、又は最大約0.25大きい。いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、負の複屈折層(例えば、sPS)を利用して、より小さい入射角(例えば、θ1)での透過率に対してより大きな入射角(例えば、θ2)に対する透過率を低下させることによってコリメート効果(例えば、
図9A参照)を達成する、多層光学ミラーである。
【0042】
420nm~680nmの範囲内の少なくとも1つの波長は、例えば、430nm~670nmの範囲内、又は450nm~650nmの範囲内、又は480nm~640nmの範囲内の少なくとも1つの波長であってもよく、又はそれを含んでもよい。420nm~680nmの範囲内の少なくとも1つの波長は、例えば、633nmであってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、反射偏光子である。
図4A~
図4Bは、いくつかの実施形態による、入射面40(例えば、
図2A~
図2B参照)において反射偏光子に入射する光30に対する、反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の光透過率の概略プロットである。光透過率50及び60は、反射偏光子の面内第1方向(x方向)が入射面40内にあるときのs偏光状態32に対する第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2(例えば、
図1Aを参照)それぞれに対するものである。光透過率150及び160は、反射偏光子の面内第2方向(y方向)が入射面40内にあるときのp偏光状態31に対する第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2それぞれに対するものである。光透過率150、160は、λ1(例えば、約400nm、又は約420nm、又は約450nm)~λ2(例えば、約650nm、又は約680nm、又は約700nm)にわたる可視波長範囲内のそれぞれの平均値T1及びT2を有する。λ1~λ2にわたる可視波長範囲は、例えば、約420nm~約680nmであってもよい。光透過率150、160、50、及び60は、λ3(例えば、約720nm、又は約750nm、又は約800nm)~λ4(例えば、約1150nm、又は約1200nm、又は約1250nm、又は約1300nm)にわたる赤外波長範囲内のそれぞれの平均値T3、T4、T5、及びT6を有する。λ3~λ4にわたる赤外波長範囲は、例えば、約750nm~約1200nmであってもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子の面内第2方向が入射面40内にあるとき、λ1~λ2(例えば、約420nm~約680nm)にわたる可視波長範囲に対して、p偏光状態31に対して、複数の光学繰り返し単位10は、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対する平均光透過率T1及びT2を有し、T2は、T1よりも少なくとも5%又は少なくとも7%大きい。いくつかの実施形態では、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2の各々に対して、s偏光状態32及び入射面内にある第1の方向に対して、並びにp偏光状態及び入射面内にある第2の方向に対して、並びにλ3~λ4(例えば、約750nm~約1200nm)にわたる赤外波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位は、約40%超、又は約45%超、又は約50%超、又は約55%超、又は約60%超の平均光透過率(例えば、T3、T4、T5、T6)を有する。
【0044】
図4Bの光透過率50’及び60’は、反射偏光子の面内第1方向(x方向)が入射面40内にあるときのp偏光状態31に対する第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2(例えば、
図1Aを参照)それぞれに対するものである。光透過率150’及び160’は、反射偏光子の面内第2方向(y方向)が入射面40内にあるときのs偏光状態32に対する第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2それぞれに対するものである。光透過率150’及び160’は、λ1~λ2にわたる可視波長範囲内のそれぞれの平均値T1’及びT2’を有する。光透過率150’、160’、50’、及び60’は、λ3~λ4にわたる赤外波長範囲内のそれぞれの平均値T3’、T4、T5’、及びT6’を有する。T1’、T2’、T3’、T4’、T5’、及びT6’は、T1、T2、T3、T4、T5、及びT6について記載されたそれぞれの範囲のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2の各々に対して、s偏光状態及びp偏光状態の各々に対して、入射面40内にある第1の方向及び第2の方向の各々に対して、並びに約750nm~約1200nmにわたる赤外波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位は、約40%超、又は約45%超、又は約50%超、又は約55%超、又は約60%超の平均光透過率(例えば、T3、T4、T5、T6、T3’、T4’、T5’、T6’)を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、入射面40内にある第1の方向に対して、及びs偏光状態32に対して、複数の光学繰り返し単位10は、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対して、波長に対する第1及び第2の光透過率50及び60を有し、第1及び第2の光透過率50及び60は、それぞれの第1及び第2の透過帯域端51及び61を有する。いくつかの実施形態では、帯域端51及び/又は61は、鋭い勾配(例えば、約1.3%/nm超)を有する。帯域端勾配は、例えば、米国特許第6、967,778号(Wheatleyら)に概ね記載されているように、光学繰り返し単位の積層体の端部に実質的に傾斜した厚さプロファイルを有する層を含めることによって鋭くすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるような少なくとも4つの個別の層を有する光学繰り返し単位を使用することにより、実質的に傾斜した厚さプロファイルを有する層を含めることなく、鋭い帯域端を得ることができることが見出された。いくつかの実施形態では、少なくとも、光透過率が約10%から約50%まで増加する透過帯域端に沿った波長範囲にわたる、第1及び第2の帯域端(51及び61それぞれ)の各々への最良の線形フィット(52及び62)は、約1.3%/nm超、又は約1.4%/nm超、又は約1.5%/nm超、又は約1.6%/nm超、又は約1.7%/nm超、又は約1.8%/nm超、約1.9%/nm超、又は約2%/nm超の正の勾配(S1及びS2それぞれ)を有する。いくつかの実施形態では、最良の線形フィット52及び62の各々は、約0.7より大きいr二乗値を有する。いくつかの実施形態では、最良の線形フィット52及び62のうちの少なくとも1つは、約0.8より大きいr二乗値を有する。本明細書で説明される最良の線形フィットは、当該技術分野において既知である線形最小二乗フィットであり得る。そのようなフィットは、残差の二乗の合計を最小限に抑え、残差は、データとフィット直線との差である。最小二乗分析により、決定係数と呼ばれることがあるr二乗値を決定することができる。
【0046】
光学繰り返し単位の厚さは、光学繰り返し単位によって反射される波長を決定し、光学繰り返し単位中の層間の屈折率差は、反射の強度を決定する。したがって、
図4A~
図4Bの光透過率は、例えば、屈折率差を規定するための層材料の適切な選択、及び層厚さプロファイルの適切な選択によって達成することができる。いくつかの実施形態では、A層は、一軸配向PEN層であり、C層は、一軸配向sPS層であり、B1層及びB2層は、スチレンブロックコポリマー層である。
図5は、これらの材料から形成することができる反射偏光子についての層厚さ対光学繰り返し単位番号のプロットである。あるいは、
図5の層厚さプロファイルは、光学ミラー又は他の多層光学フィルムに使用されてもよい。B1層、B2層は、各光学繰り返し単位において5nmの厚さを有し、一方、A層及びC層は、反射偏光子の厚さにわたって厚さが概ね増加している。いくつかの実施形態では、光学繰り返し単位が光学フィルムの一方の側から光学フィルムの反対側に順次番号付けされている場合、層厚さ対光学繰り返し単位番号は、A層及びC層に関して概ね上向き凹状の形状を有するが、B層は、実質的に一定の厚さを有する(例えば、光学フィルムの厚さにわたって10%未満又は5%未満だけ変化する)。
図5の反射偏光子の光学繰り返し単位は、約14マイクロメートルの合計平均厚さを有する。
【0047】
多層光学フィルムの層の屈折率及び層厚さが与えられると、光学フィルムの光透過スペクトルは、従来の光学モデリング技術を使用して計算することができる。
図6Aは、A層が一軸配向PEN層であり、C層が一軸配向sPS層であり、かつB1層及びB2層がスチレンブロックコポリマー層である場合の、入射面40(例えば、
図2A~
図2B参照)において反射偏光子に入射する光30に対する、
図5に示す層厚さプロファイルを有する反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の計算された光透過率のプロットである。同様の光透過率は、例えば、B1層及びB2層がアクリルブロックコポリマー層、PMMA層、又はcoPMMA層である場合に得ることができる。光透過率50、60、150、及び160は、
図6Aの場合、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2が0度及び60度それぞれである、
図4Aの対応する光透過率について説明した偏光状態及び入射角に対するものである。約420nm~約680nmにわたる可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位は、反射偏光子の面内第2方向が入射面40内にあるとき、p偏光状態31に対して、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対して87.7%及び96.5%の平均光透過率を有し、反射偏光子の面内第1方向が入射面40内にあるとき、s偏光状態32に対して、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対して1.4%及び0.0%の平均光透過率を有する。約750nm~約1200nmにわたる赤外波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位は、反射偏光子の面内第2方向が入射面40内にあるとき、p偏光状態31に対して、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対して90.0%及び99.8%の平均光透過率を有し、反射偏光子の面内第1方向が入射面40内にあるとき、s偏光状態32に対して、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対して62.1%及び53.1%の平均光透過率を有する。
【0048】
図6Bは、光透過率が約10%から約50%に増加する領域を示すために拡大された、
図6Aのプロットの一部分である。光透過率が約10%から約50%に増加する透過帯域端に沿った波長範囲にわたるそれぞれの第1及び第2の帯域端51及び61への最良の線形フィット52及び62は、それぞれ約2.01%/nm及び2.08%/nmのそれぞれの正の勾配S1及びS2を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、A層は、一軸配向PHEN層であり、C層は、THV層であり、B1層及びB2層は、coPMMA層である。
図7は、これらの材料から形成することができる反射偏光子についての層厚さ対光学繰り返し単位番号のプロットである。あるいは、
図7の層厚さプロファイルは、光学ミラー又は他の多層光学フィルムに使用されてもよい。B1層及びB2層はそれぞれ、各光学繰り返し単位において5nmの厚さを有し、一方、A層及びC層は、反射偏光子の厚さにわたって厚さが概ね増加している。反射偏光子の複数の光学繰り返し単位は、15マイクロメートルの合計平均厚さを有する。
図8は、A層が一軸配向PHEN層であり、C層がTHV層であり、かつB1層及びB2層がcoPMMA層である場合の、入射面40(例えば、
図2A~
図2B参照)において反射偏光子に入射する光30に対する、
図7に示す厚さプロファイルを有する反射偏光子の複数の光学繰り返し単位の計算された光透過率のプロットである。同様の光透過率は、例えば、B1層及びB2層がスチレンブロックコポリマー層、アクリルブロックコポリマー層、又はPMMA層である場合に得ることができる。光透過率50、60、150、及び160は、
図8の場合、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2が0度及び60度それぞれである、
図4Aの対応する光透過率について説明した偏光状態及び入射角に対するものである。
図8の反射偏光子は、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2の各々に対して、
図6Aの反射偏光子と比較して、420nm~680nmの可視波長範囲において実質的に低い平均光透過率を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、光学フィルム300は、多層光学ミラーである。
図9A~
図9Bは、多層光学ミラーに入射する入射光30、130、又は230に対する光透過率のプロットである。光透過率250、250’、250’’は、約5度未満であってもよく、又はθ1について本明細書の他の箇所に記載される任意の範囲内であってもよい、第1の入射角θ1に対するものであり、光透過率260、260’、260’’は、約40度より大きくてもよく、又はθ2について本明細書の他の箇所に記載される任意の範囲内であってもよい、第2の入射角θ2に対するものである。光透過率250及び260は、任意の指定された偏光状態又は非偏光入射光に対するものであってもよい。光透過率250’及び260’は、s偏光に対するものであり、光透過率250’’及び260’’は、p偏光に対するものである。いくつかの実施形態では、光透過率は、互いに直交する第1及び第2の偏光状態の各々に対して(例えば、p偏光状態31及びs偏光状態32の各々に対して、又はp偏光状態31及びs偏光状態32の2つの互いに直交する線形結合の各々に対して)ほぼ同じである。いくつかの実施形態では、多層光学ミラーに入射する光30に対して、互いに直交する第1及び第2の偏光状態の各々に対して、並びにλ1~λ2(例えば、約420nm~約680nm)にわたる可視波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位10は、第1の入射角θ1に対する平均光透過率T1と、第2の入射角θ2に対する平均光透過率T2とを有し、T1/T2≧1.2、又はT1/T2≧1.4、又はT1/T2≧1.6、又はT1/T2≧1.8、又はT1/T2≧2、又はT1/T2≧2.2、又はT1/T2≧2.4、又はT1/T2≧2.6である。T1/T2は、例えば、最大10、又は最大8、又は最大6、又は最大5であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、A層がC層の対応する面内屈折率よりも大きい面内屈折率を有する一方で、C層がA層よりも大きい厚さ方向の屈折率を有するため、T1は、T2よりも大きい。いくつかの実施形態では、これは、負の複屈折性のC層を使用して達成される。例えば、A層は、633nmでそれぞれ約1.76、1.74、及び1.49の屈折率nx1、ny1、nz1を有する二軸配向PEN層であってもよく、C層は、633nmでそれぞれ約1.57、1.57、及び1.62の屈折率nx2、ny2、nz2を有する二軸配向sPS層であってもよい。他の実施形態では、T1は、T2にほぼ等しくてもよく、又はT1は、T2より小さくてもよい。いくつかの実施形態では、多層光学ミラーに入射する光30に対して、互いに直交する第1及び第2の偏光状態の各々に対して、並びにλ3~λ4(例えば、約750nm~約1200nm)にわたる赤外波長範囲に対して、複数の光学繰り返し単位10は、第1の入射角θ1に対する平均光透過率T3と、第2の入射角θ2に対する平均光透過率T4とを有し、T3及びT4はそれぞれ、約40%超、又は約45%超、又は約50%超、又は約55%超、又は約60%超である。
【0052】
図9A~
図9Bの光透過率は、例えば、屈折率差を規定するための層材料の適切な選択、及び層厚さプロファイルの適切な選択によって達成することができる。いくつかの実施形態では、A層は、二軸配向PEN層であり、C層は、二軸配向sPS層であり、B1層及びB2層は、スチレンブロックコポリマー層である。
図10は、これらの材料から形成することができる光学ミラーについての層厚さ対光学繰り返し単位番号のプロットである。あるいは、
図10の層厚さプロファイルは、反射偏光子又は他の多層光学フィルムに使用されてもよい。B1層、B2層は、各光学繰り返し単位において5nmの厚さを有し、一方、A層及びC層は、光学ミラーの厚さにわたって厚さが概ね増加している。光学ミラーの光学繰り返し単位は、約14マイクロメートルの合計平均厚さを有する。
図11は、A層が二軸配向PEN層であり、C層が二軸配向sPS層であり、かつB1層及びB2層がスチレンブロックコポリマー層である場合の、入射面40(例えば、
図2A~
図2B参照)において光学ミラーに入射する非偏光に対する、
図10に示す厚さプロファイルを有する光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の計算された光透過率のプロットである。同様の光透過率は、例えば、B1層及びB2層がアクリルブロックコポリマー層、PMMA層、又はcoPMMA層である場合に得ることができる。光透過率250及び260は、
図11の場合、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2が0度及び60度それぞれである、
図9Aについて概して説明したような、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対するものである。
【0053】
いくつかの実施形態では、A層は、等方性PHEN層であり、C層は、二軸配向sPS層であり、B1層及びB2層は、スチレンブロックコポリマー層である。
図12は、これらの材料から形成することができる光学ミラーについての層厚さ対光学繰り返し単位番号のプロットである。あるいは、
図12の層厚さプロファイルは、反射偏光子又は他の多層光学フィルムに使用されてもよい。B1層、B2層は、各光学繰り返し単位において5nmの厚さを有し、一方、A層及びC層は、光学ミラーの厚さにわたって厚さが概ね増加している。光学ミラーの光学繰り返し単位は、28マイクロメートルの合計平均厚さを有する。
図13は、A層が等方性PHEN層であり、C層が二軸配向sPS層であり、かつB1層及びB2層がスチレンブロックコポリマー層である場合の、入射面40(例えば、
図2A~
図2B参照)においてミラーに入射する非偏光に対する、
図12に示す厚さプロファイルを有する光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の計算された光透過率のプロットである。同様の光透過率は、例えば、B1層及びB2層がアクリルブロックコポリマー層、PMMA層、又はcoPMMA層である場合に得ることができる。光透過率250及び260は、
図13の場合、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2が0度及び60度それぞれである、
図9Aについて概して説明したような、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対するものである。
図12~
図13の実施形態では、420nm~680nmの可視波長範囲内の平均透過率は、60度の入射角よりも垂直入射において大きい。
【0054】
いくつかの実施形態では、A層は、二軸配向PHEN層であり、C層は、THV層であり、B1層及びB2層は、coPMMA層である。
図14は、これらの材料から形成することができる光学ミラーについての層厚さ対光学繰り返し単位番号のプロットである。あるいは、
図14の層厚さプロファイルは、反射偏光子又は他の多層光学フィルムに使用されてもよい。B1層、B2層は、各光学繰り返し単位において5nmの厚さを有し、一方、A層及びC層は、光学ミラーの厚さにわたって厚さが概ね増加している。光学ミラーの光学繰り返し単位は、約15マイクロメートルの合計平均厚さを有する。
図15は、A層が二軸配向PHEN層であり、C層がTHV層であり、かつB1層及びB2層がcoPMMA層である場合の、入射面40(例えば、
図2A~
図2B参照)において光学ミラーに入射する非偏光に対する、
図14に示す厚さプロファイルを有する光学ミラーの複数の光学繰り返し単位の計算された光透過率のプロットである。同様の光透過率は、例えば、B1層及びB2層がスチレンブロックコポリマー層、アクリルブロックコポリマー層、又はPMMA層である場合に得ることができる。光透過率250及び260は、
図15の場合、第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2が0度及び60度それぞれである、
図9Aについて概して説明したような、それぞれの第1の入射角θ1及び第2の入射角θ2に対するものである。
図14~
図15の実施形態では、垂直入射における420nm~680nmの可視波長範囲内の平均透過率は、約5%未満であり、一方、光学繰り返し単位は、わずか約15マイクロメートルの合計平均厚さを有する。
【0055】
本明細書に記載される多層光学フィルム、反射偏光子、及び多層光学ミラーのいずれも、90度の剥離角度で測定した場合に、少なくとも約14グラム/インチ(少なくとも約5.5g/cm)の、複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力を有することができる。いくつかの実施形態では、複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力は、90度の剥離角度で測定した場合に、少なくとも約16、18、20、22、25、27、30、32、35、37、40、45、50、又は55グラム/インチである。いくつかの実施形態では、層間接着力は、例えば、最大約400グラム/インチ、又は最大約200グラム/インチ、又は最大約150グラム/インチ、又は最大約120グラム/インチであってもよい。いくつかの実施形態では、層間接着力は、例えば、約14グラム/インチ~約400グラム、又は約20グラム/インチ~約200グラム/インチの範囲である。剥離力は、A層、B1層、C層、及びB2層の材料を適切に選択することによって、増加させることができる。例えば、B1層、B2層は、A層及びC層が互いに不十分な直接結合を有する場合であっても、A層及びC層に対して適切な結合を有するように選択することができる。いくつかの実施形態では、B1層、B2層は、A層及びC層に使用されるポリマーのコポリマーであってもよい。A層、B1層、C層、及びB2層に好適な材料は、本明細書の他の箇所に更に記載されている。いくつかの実施形態によれば、フィルムを延伸するときの温度を(例えば、約135℃から約120℃又は約115℃に)低下させることによって、及び/又はフィルムを延伸する際に使用される延伸比を(例えば、延伸方向に沿って約5の延伸比から延伸方向に沿って約6の延伸比に)増加させることによって、層間接着力を更に増加させることができることが見出された。
【0056】
図16は、層間接着力について多層光学フィルム300を試験する概略図である。多層光学フィルム300は、両面テープ151を介して基材360(例えば、剛性ガラス基材)に結合されている。次に、例えばカミソリの刃を使用して、光学フィルム300に切れ目170を形成する。次に、別のテープ片152を使用して、切れ目170に隣接する光学フィルム300の一部分331の端部333を、光学フィルム300の残りの部分332から剥がす。次に、90度の剥離角度φを画定する基材360から離れる方向(z方向)にテープ152を引っ張ることによって、剥離力を測定することができる。光学フィルム300の単位幅(x方向の寸法)当たりの剥離力が層間接着力である。いくつかの実施形態では、剥離力は、12インチ/分の引張速度(クロスヘッド速度とも呼ばれる)を使用し、少なくとも約5秒の時間にわたって測定された力を平均することによって決定される。いくつかの実施形態では、単位幅当たりの剥離力は、12インチ/分のクロスヘッド速度が使用されることを除いて、ASTM D6862-11(2016年再承認)試験規格に従って決定される平均剥離抵抗強度である。いくつかの実施形態では、複数の光学繰り返し単位中の個別の層の層間接着力は、少なくとも約14グラム/インチである、又は層間接着力は、本明細書の他の箇所に記載される任意の範囲であってもよく、層間接着力は、下部332が基材360に結合されている間に、多層光学フィルム300の上部331を多層光学フィルム300の下部332から90度の剥離角度で引っ張るために12インチ/分のクロスヘッド速度が使用されることを除いて、ASTM D6862-11(2016年再承認)試験規格に従って測定される平均剥離抵抗強度として決定される。
【実施例】
【0057】
【0058】
151層のフィードブロック及びダイを使用して、37個のA層、76個のB層、及び38個のC層を含む多層光学フィルムを作製した。A層、B層及びC層は、ABCBの繰り返し単位に配列された光学層であった。加えて、A層について以下の表に示される樹脂を、25mmの二軸押出機(twin screw extruder、TSE)を通して、20ポンド/時の供給速度で、ネックチューブ及びギアポンプを通して押し出すことによって、最外スキン層を加えた。この溶融トレインは、280℃のピーク温度での漸進的温度押出プロファイルを使用した。A層は、A層について列挙した材料の約20%を使用して光学層とスキン層との間に保護境界層を形成したことを除いて、以下の表に示される樹脂を、27mmのTSEを通して、以下の表に示される供給速度で、280℃でピークに達する漸進的温度プロファイルを用いて、ネックチューブ及びギアポンプを通して、151層のフィードブロック及びダイの対応するA層に押し出すことによって製造した。B層は、漸進的温度プロファイルを260℃のピーク温度で使用して、以下の表に示される樹脂を、18mmのTSEを通して、以下の表に示される供給速度で、ネックチューブ及びギアポンプを通して、151層のフィードブロックの対応するB層に押し出すことによって製造した。C層は、以下の表に示される樹脂を、27mmのTSEを通して、以下の表に示される供給速度で、280℃又はその付近でピークに達する漸進的温度プロファイルを用いて、ネックチューブ及びギアポンプを通して、151層のフィードブロック及びダイの対応するC層に押し出すことによって製造した。フィードブロックは、A層及びC層がフィルムの一方の側でフィルムの反対側よりも約2.5倍厚く、一方、B層がフィルムの厚さにわたって名目上一定の厚さを有するように勾配プレートを使用した。フィードブロック及びダイを285℃の目標温度に保持した。押し出された層を、約50℃で運転されるキャスティングホイール上にキャストして、キャストウェブを製造した。
【0059】
【0060】
次いで、これらのキャストウェブを、KAROバッチオリエンタ(Bruckner Maschinenbau GmbH & Co.KG(Siegsdorf,Germany)から入手可能)を使用して、以下の表に示される延伸温度及び50パーセント/秒の延伸速度で配向した。実質的に一軸配向されたフィルムは、1.5(縦方向)×5又は6(横方向)の延伸比で作製し、二軸配向されたフィルムは、3×3の延伸比で作製した。様々な光学フィルムに使用した延伸比を以下の表に示す。
【0061】
以下の表に示される光学フィルムの各々の層間接着力は、
図16に概して記載されるように測定した。光学フィルムを1インチ幅の試料に切断し、両面テープ(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能なSCOTCH Double-Sided Tape)151を用いてガラス基材360にラミネートした。次に、カミソリの刃を使用して、光学フィルム300に切れ目170を形成した。テープ片152を使用して、切れ目170に隣接する光学フィルム300の一部分の端部333を、光学フィルム300の残りの部分から剥がした。次いで、90度剥離を測定するために10ポンドのロードセルを用いてIMASS SP-2100(IMASS,inc.(Accord,MA))を使用して、層間接着力を測定した。引っ張り速度を12インチ/分に設定し、剥離力を2秒の遅延後に5秒間平均した。これを4回繰り返した。平均をとり、層間接着力として報告した。結果を以下の表に記載する。ウェブW7は、低融点PENとsPSとの間の層間接着力を試験するために、A層及びC層の両方として低融点PENを利用し、B層としてsPSを利用した。
【0062】
【0063】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。約特定の値として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0064】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0065】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応例、又は変形例、又は組み合わせを包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】