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  • 特表-ホイールを変位させる転動装置 図1
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  • 特表-ホイールを変位させる転動装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】ホイールを変位させる転動装置
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20240301BHJP
   B60B 33/06 20060101ALI20240301BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B60B33/00 T
B60B33/06 B
A47B91/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556972
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022057406
(87)【国際公開番号】W WO2022200302
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】20210364
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516231257
【氏名又は名称】ウィール.ミー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ブロム-バッケ,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3B069
【Fターム(参考)】
3B069AA01
3B069AA05
3B069CA03
3B069CA08
(57)【要約】
装置用の転動装置(10)は、表面に沿った装置の移動を可能にするものであって、ホイール(11)を担持するホイール軸(12)と、ナット(19)を有するリードスクリュー(17)と、一端において固定軸支点(14)に回転可能に連結され、他端においてリードスクリューナット(19)に連結された少なくとも1つの軸支持部材(13)と、リードスクリュー(17)に連結されてリードスクリュー(17)を回転させてリードスクリューナット(19)を変位させるこれによりホイール(11)を伸長位置と後退位置との間で変位させる駆動モータ(18)とを備えている。各軸支持部材(13)は、ホイール軸(12)の端部を支持し、ホイールは2つの側面(21)を有している。リードスクリュー(17)は、ホイールの2つの側面(21)の間に、ホイールの半径よりも大きい距離だけホイール軸から離間して、ホイール(11)の回転方向に対して接線方向に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置用の転動装置(10)であって、表面に沿った前記装置の移動を可能にする前記転動装置において、
ホイール(11)を担持するホイール軸(12)であって、前記ホイールは、2つの側面(21)と、ナット(19)を有するリードスクリュー(17)とを有する前記ホイール軸(12)と、
一端において固定軸支点(14)に回転可能に連結され、他端において前記リードスクリューナット(19)に連結された少なくとも1つの軸支持部材(13)であって、前記ホイール軸(12)の端部を支持する前記軸支持部材(13)と、
前記リードスクリュー(17)に接続されて前記リードスクリュー(17)を回転させて前記リードスクリューナット(19)を変位させこれにより前記ホイール(11)を伸長位置と後退位置との間で変位させる駆動モータ(18)と、
前記リードスクリュー(17)は、前記ホイール(11)の前記2つの側面(21)の間に、前記ホイールの半径よりも大きい距離だけ前記ホイール軸から離間して、前記ホイール(11)の回転方向に対して接線方向に配置されている転動装置。
【請求項2】
前記ホイール(11)の側面(21)に平行に配置された2つの軸支持部材と、前記軸支持部材(13)の一端を前記リードスクリューナット(19)に連結する2つのスペーサ(20)とを備える、請求項1に記載の転動装置(10)。
【請求項3】
前記駆動モータは、前記ホイールの前記後退位置への変位のための第1の駆動方向と、前記ホイール(11)の前記伸長位置への変位のための第2の駆動方向とを有する、請求項1または2に記載の転動装置(10)。
【請求項4】
前記モータ(18)から前記リードスクリュー(17)に回転を伝達するために、前記モータおよび前記リードスクリューと係合して配置されたギヤ構造(15)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の転動装置(10)。
【請求項5】
前記リードスクリューが、前記ハウジングにフレキシブルに連結されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の転動装置(10)。
【請求項6】
第2の駆動モータが、前記ホイール軸(12)に対する前記ホイール(11)の回転のために、前記ホイール(11)内に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の転動装置(10)。
【請求項7】
制御ユニットが、前記転動装置を制御し、前記制御ユニットは、前記第1および/または前記第2の駆動モータの動作のための制御信号を、遠隔制御、コンピュータ、携帯電話、または音声起動により受信する、請求項1~6のいずれか一項に記載の転動装置(10)。
【請求項8】
ハウジングを備え、前記固定軸支点(14)が前記ハウジング内に収容される、請求項1~7のいずれか一項に記載の転動装置(10)。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記ホイール軸(12)と、前記ホイール(11)と、前記リードスクリュー(17)と、前記ナット(19)と、前記軸支持部材(13)と、前記モータとを収容する、請求項8に記載の転動装置(10)。
【請求項10】
前記伸長位置において、前記ホイール(11)の少なくとも一部は、前記ハウジングの外部に突出している、請求項8または9に記載の転動装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に沿った装置の移動を可能にするための装置への取り付けまたは一体化のための転動装置に関する。
【0002】
より具体的には、移動される装置は、家具、壁またはドアのような内装式建物要素であってもよい。移動される装置はまた、例えばユーロパレットなど、屋外に配置されてもよいし、移動が面倒であるその他の装置を備えてもよい。
【0003】
本発明は、屋外と屋内の異なる位置の間で移動される全ての種類の装置を移動させるのに適しており、移動は、例えば床などの、表面に沿って行われる。
【背景技術】
【0004】
様々な装置、特に家具は、1つの場所から別の場所への装置の移動を容易にするためのホイールを備えている。例えば、装置を再編成するため、あるいは、装置を移動させて、装置が占有するスペースまたは装置それ自体へのアクセスを得るためである。
【0005】
出願人は、家具や可動壁等の装置に一体化可能な、表面に沿って装置を移動させるための転動装置をすでに開発した。この転動装置は、健康状態や転動装置が一体化されたさまざまな装置を持ち上げる能力にかかわらず、誰もが使用することができる。この装置は、特許文献1に記載されている。
【0006】
特許文献1の転動装置は、例えば、家具の脚部に取り付けられる円筒状スリーブ装置と、円筒状スリーブ装置内に移動可能に配置されたピストンとを備えている。ピストンには、ボール状または球状のホイールが配置されている。ピストンは、上方位置と下方位置との間で、バネを備えるクリックシステムを用いて移動可能である。ピストンが下方位置にあるときに、家具は、家具が立設している床を横切って転動することができる。一方、ピストンが上方位置にあるときに、ホイールは、円筒状スリーブ装置の内側にあり、したがって、転動装置が配置された家具の脚部は床の上に立設する。したがって、小さな力が家具に加えられたときに床を横切って不用意に転動することなく、家具は所望の位置に立設する。この解決策は完全に機械的である。
【0007】
本出願人は、上記概念をさらに発展させ、転動要素を備えたピストンを上下位置の間で移動させる自動アクチュエータシステムを備える転動装置を提供した。この概念は、特許文献2に開示されている。上方位置は、ホイール要素が転動装置内に後退する受動的静止位置であり、下方位置は、転動装置を表面に沿って移動させる動作位置である。アクチュエータは、無線制御可能である。
【0008】
本出願人は、上記概念をさらに発展させ、特許文献3に開示された転動装置を提供した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ノルウェー特許第316760号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3102429号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/260551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記概念のさらなる発展であり、ホイール要素が表面に沿って移動するのを防止する後退位置と、ホイール要素が表面に沿って移動する準備ができている伸長位置との間で、ホイール要素を変位させる構成のための代替的な解決策を提供する。
【0011】
したがって、本発明の目的は、装置に取り付けたり、一体化したりすることができる転動装置を提供することであり、後退位置と伸長位置との間でホイールを移動させるための簡易で信頼性のある構成によって表される、先行技術の解決策の代替物を提供する。
【0012】
本発明のさらなる目的は、制御が簡単で、従来技術の解決策よりもよりコンパクトな構造を用いた解決策を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、特許請求の範囲の特徴によって達成される。
【0014】
本発明のこれらおよびその他の特徴は、添付図面を参照して、非限定的な例として与えられた例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0015】
装置のための転動装置であって、表面に沿った装置の移動を可能にする転動装置は、一実施形態において、ホイールを担持するホイール軸と、ナットを有するリードスクリューと、一端において固定軸支点に回転可能に連結され、他端においてリードスクリューナットに連結された少なくとも1つの軸支持部材を備えている。ホイールは、2つの側面を有している。各軸支持部材は、ホイール軸の端部を支持する。
【0016】
転動装置はさらに、リードスクリューに連結されてリードスクリューを回転させてリードスクリューナットを変位させ、それによってホイールを伸長位置と後退位置との間で変位させる駆動モータを備えている。リードスクリューは、ホイールの2つの側面の間に、ホイールの半径よりも大きい距離だけホイール軸から離間して、ホイールの回転方向に対して接線方向に配置されている。
【0017】
一実施形態において、ホイールの側面に平行に配置された2つの軸支持部材があり、2つのスペーサが、軸支持部材の一端をリードスクリューナットに連結する。
【0018】
パワースクリューまたは変換ネジとしても知られるリードスクリューは、回転運動を直線運動に変換するために、機械におけるリンク機構として使用されるネジである。雄部材と雌部材との間の滑り接触の面積が大きいため、ネジ山は、他のリンク機構と比較して、より大きな摩擦エネルギー損失を有している。これらは、通常は、高出力を伝送するために使用されるのではなく、低電力アクチュエータおよびポジショナ機構における断続的な使用のために使用される。
【0019】
駆動モータは、2つの駆動方向を有してもよく、第1の駆動方向は、ホイールの後退位置への変位のためであり、第2の駆動方向は、ホイールの伸長位置への変位のためである。ギヤ構造は、駆動モータおよびリードスクリューと係合して配置されて、モータからリードスクリューに回転を伝達し、それによってネジを回転させて、ナットひいてはホイールの上下移動をもたらす。
【0020】
リードスクリューの傾動を容易にするために、リードスクリューは、ハウジングにフレキシブルに連結されてもよい。
【0021】
一実施形態において、第2の駆動モータが、ホイール軸に対するホイールの回転のために、ホイール内に配置される。
【0022】
転動装置は、転動装置を制御する制御ユニットを備えてもよい。制御ユニットは、遠隔制御、コンピュータ、携帯電話、または音声起動によって、第1および/または第2の駆動モータの動作のための制御信号を受信することができる。また、制御ユニットが、転動装置の自律制御のためのソフトウェアを備えることも可能である。
【0023】
転動装置は、ハウジング内に配置されてもよい。ハウジングは、ホイール軸、ホイール、リードスクリュー、ナット、軸支持部材およびモータなどの、転動装置の部品の幾つか、または全部、または大部分を囲むように構成されてもよい。本実施形態において、固定軸支点は、ハウジングの一部であってもよいし、ハウジングに収容されてもよい。転動装置は、伸長位置においてホイール11の少なくとも一部がハウジングの外部に突出するようにして、ハウジング内に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】後退位置にあるホイール要素を有する本発明による転動装置の概略的な側面図である。
図2図1に示す転動装置の、後退時または突出時の概略的な側面図である。
図3】突出位置にある図1に示す転動装置の概略的な側面図である。
図4】転動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1~4には、移動される装置または物体に搭載または一体化可能な転動装置10が図示されている。転動装置は、ホイール11を備え、ホイール11を異なる位置に昇降させるように構成されている。例えば、ハウジングが表面上に静止するようにホイール11をハウジング内に後退させることができ、または、転動装置10を装置/物体を移動するために用いることができるようにホイールをハウジングから少なくとも部分的に突出させることができる。図1図3は、図1に示す後退位置と図3における突出位置との間の3つの異なる位置にある転動装置10を示す。
【0027】
転動装置10は、ホイール11を担持するホイール軸12を備えている。ホイールは、ホイール11の各側でリム22に連結される2つの側面21を有し、両側面21間の距離はホイール11の幅を規定する。ホイールは、任意の種類のホイールであってもよい。図中、ホイールは、一連のゴム引きされた(ゴムで被覆された)外部ローラがリムの全周に斜めに取り付けられたメカナムホイールであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
転動装置10は、さらに、ナット19を備えたリードスクリュー17を有している。2つの軸支持部材13は、一端において固定軸支点14に回転可能に連結され、他端16においてリードスクリューナット19に連結されている。軸支持部材13は、固定軸支点、ホイール軸12およびリードスクリューナット19に回転接続するための手段を有する長手方向要素である。リードスクリューが回転すると、リードスクリューの回転方向に応じて、ナットがリードスクリューにおいて一方向または他方向に移動する。軸支持部材13は、一端においてリードスクリューナット19に連結されているので、リードスクリューを回転させることは、軸支持部材13の移動を引き起こす。各軸支持部材13は、ホイール軸12の端部を支持し、したがって、リードスクリューを回転させたときに、ホイールも移動を経験する。
【0029】
ハウジング18内の駆動モータがリードスクリュー17に連結され、リードスクリュー17を回転させ、これにより、リードスクリューナット19およびホイール11を伸長位置と後退位置との間で変位させる。ギヤ機構15が、モータ18およびリードスクリュー17に係合して配置され、モータ18からの回転をリードスクリュー17に伝達する。
【0030】
リードスクリュー17は、ホイール11の2つの側面21の間に中央に配置されたホイール11の回転方向に対して接線方向に配置されている。リードスクリュー17は、ホイールの半径よりも大きい距離だけホイール軸12から離間して配置され。したがって、移動方向に応じて、ホイール11の前方または後方に配置される。2つの軸支持部材は、ホイール11の側面21に平行に配置され、2つのスペーサ20が、軸支持部材13の端部をリードスクリューナット19に連結する。
【0031】
図1は、ホイールが後退位置にある状態を示している。この状態では、軸支持部材13は、固定軸支点14をホイール軸12よりも低くした状態で上方に傾斜している。駆動モータ18によりリードスクリュー17が回転すると、回転方向に応じてホイールが変位する。駆動モータは、ホイールを後退位置に変位させる第1の駆動方向と、ホイール11を伸長位置に変位させる第2の駆動方向とを有している。図2において、モータが第2の駆動方向に操作され、リードスクリューナットがリードスクリュー上を下方に移動し、ホイール11が伸長位置の方向に変位している。軸支持部材13の端部16は、曲線経路を辿るため、軸支持部材13とリードスクリューナット19との連結部も曲線経路を辿る。軸支持部材13が上方傾斜位置から水平位置に移動したときに、リードスクリューナットは、対応する曲線運動を経験している。この移動に対応するために、リードスクリューは、フレキシブルに配置され、例えば、ハウジングにフレキシブルに連結される。リードスクリュー17の下端は自由でありハウジングに連結されておらず、リードスクリュー17が傾斜することを可能にしている。図2において、リードスクリューナット19の曲線経路によって、リードスクリュー17とモータハウジング18の両方が僅かに傾いている。
【0032】
図3において、モータは、第2の駆動方向における動作を継続しており、リードスクリューナット19は、リードスクリュー上をさらに下方に移動している。この移動により、ホイール11が伸長位置に移動される。この状態で、軸支持部材13は、固定軸支点14をホイール軸12よりも高くして下方に傾斜している。軸支持部材13の端部16は曲線経路をさらにたどり、リードスクリュー17に、直立、主に垂直の姿勢をとらせる。
【0033】
図4は、転動装置10を示す斜視図である。この実施形態において、転動装置10は、ハウジング23を備えている。ハウジング23は、転動装置の部品の大部分を収容し、固定軸支点14の連結を提供するハウジングは、例えば、移動される装置または物体のための支持体を提供することができる。ホイールが上下に移動されると、それは、伸長位置においては少なくとも部分的にハウジングの外側に突出し、一方、後退位置では、ハウジング内に完全に後退する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】