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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】放射音声の高周波数コピーの重畳
(51)【国際特許分類】
   G10L 21/16 20130101AFI20240301BHJP
   G10L 21/0208 20130101ALI20240301BHJP
【FI】
G10L21/16
G10L21/0208 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557028
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2022077921
(87)【国際公開番号】W WO2022199320
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】17/209,391
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ホーカー、サミュエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ネイラー-ティース、アレクサンダー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パテル、バフニット
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン、グレース
(57)【要約】
音声を放射するように構成された音響放射器が、放射されるものとなる音声の高周波数コピーを作成する。音声の高周波数コピーは、音声の上に重畳され、複合信号をもたらす。複合信号は、放射器によって放射される。高周波数コピーは、人間に不可聴の周波数におけるものであり、放射器もしくは音声またはその両方を受信器が識別することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射デバイスから放射されるものとなる音響信号を得ることと、
前記音響信号の不可聴周波数コピーを作成することであって、前記作成することが、周波数変更を前記音響信号に適用することを含む、前記作成することと、
前記音響信号、および前記音響信号の前記不可聴周波数コピーを同時に伝送することと、
を含む方法。
【請求項2】
構成された振幅低減を前記音響信号の前記不可聴周波数コピーに適用し、前記不可聴周波数コピーの音量を低減することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周波数変更を適用することは、前記音響信号の前記コピーを、前記音響信号と重ならない不可聴周波数に変更する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記作成することは、音響信号を反転することをさらに含み、前記音響信号の前記不可聴周波数コピーは、反転された不可聴周波数コピーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記作成することは、
異なる周波数における複数の周波数変更を同時に適用し、複数の不可聴周波数コピーをもたらすことをさらに含み、
前記音響信号、および前記音響信号の前記不可聴周波数コピーを伝送することが、前記音響信号、および前記複数の不可聴周波数コピーの各々を伝送する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記作成することは、
異なる周波数における複数の周波数変更を順次に適用して、前記適用される周波数変更を経時的に変更すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射デバイスのために前記周波数変更を構成し、前記構成を受信デバイスへ通信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
放射デバイスからの第1の音響信号および第2の音響信号を受信することと、
前記第2の音響信号が前記第1の音響信号の不可聴周波数コピーであることを検出することと、
前記放射デバイスのために構成された周波数変更を識別することと、
前記第2の音響信号の前記周波数変更を逆行させて、前記第1の音響信号のコピーをもたらすことと、
前記第1の音響信号の前記コピーを用いることと、
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の音響信号の前記コピーを用いることは、前記第1の音響信号を打ち消すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記打ち消すことは、
前記第1の音響信号の前記コピーを反転することと、
前記第1の音響信号の前記反転されたコピーを前記第1の音響信号の上に重畳し、前記第1の音響信号を打ち消すことと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の音響信号は、前記第1の音響信号の反転された不可聴周波数コピーであり、
前記第2の音響信号の前記周波数変更を前記逆行させることは、前記第1の音響信号の反転されたコピーをもたらし、
前記打ち消すことは、前記第1の音響信号の前記反転されたコピーを前記第1の音響信号の上に重畳し、前記第1の音響信号を打ち消すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記不可聴周波数コピーの周波数に基づいて、前記放射デバイスを識別することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
第3の音響信号を受信することと、
前記第3の音響信号が前記第1の音響信号の追加の不可聴周波数コピーであることを検出することと、
前記第1の音響信号の前記追加の不可聴周波数コピーの追加の周波数変更を逆行させ、前記第1の音響信号の第2のコピーをもたらすことと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
メモリと、
前記メモリに結合されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
放射デバイスから放射されるものとなる第1の音響信号を得ることと、
前記第1の音響信号のコピーを生成することと、
周波数変更を前記第1の音響信号の前記コピーに適用し、第2の音響信号をもたらすことであって、前記第2の音響信号が前記第1の音響信号の不可聴周波数コピーである、前記適用することと、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号を同時に放射することと、
を行う命令を実行するように構成されている、システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記第1の音響信号の前記コピーを反転するようにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、異なる周波数における複数の周波数変更を同時に適用し、複数の不可聴周波数コピーをもたらすようにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、異なる周波数における複数の周波数変更を順次に適用して、前記適用される周波数変更を経時的に変更するようにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、
放射デバイスからの第3の音響信号および第4の音響信号を受信することと、
前記第4の音響信号が前記第3の音響信号の不可聴周波数コピーであることを検出することと、
前記放射デバイスのために構成された周波数変更を識別することと、
前記第4の音響信号の前記周波数変更を逆行させて、前記第3の音響信号のコピーをもたらすことと、
前記第3の音響信号の前記コピーを用いることと、
を行うようにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記第3の音響信号の前記不可聴周波数コピーが前記第3の音響信号の反転された不可聴周波数コピーであることを検出するようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記第4の音響信号の前記周波数に基づいて前記第3の音響信号を識別するようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記プログラムがコンピュータ上で実行されたときに請求項1ないし13のいずれかに記載の方法ステップを実行するように適合されたプログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射デバイス(emitter device)からの放射音声(emitted sound)を識別することに関し、より詳細には、放射デバイスから受信デバイスにおいて受信された放射音声を識別する情報を伝送および受信することに関する。
【背景技術】
【0002】
電子的に生じた音声が、他の音声を拾うこと、または処理することを意図している音響受信器によって拾われる状況が多数ある。所与の音響受信器に到達することを意図されない音声は、しばしば、「ノイズ」と称される。
【0003】
例えば、音声システムによって生じたフィードバックは「ノイズ」と考えられ得る。これは、マイクロフォンが、当マイクロフォンからの音声を再生しているスピーカによって作り出された音声を拾うときに作り出される。その結果、マイクロフォンは、それ自身の音声を拾ったり、スピーカから再生されている音声を拾ったりする。この場合、スピーカによって生じた音声は、通例、マイクロフォンの観点ではノイズと考えられる。
【0004】
他のデバイスが、音楽やテレビ番組など、音声を作り出している環境内で音声制御デバイスが使用されることがよくある。これらの状況では、他のデバイスにより生じたノイズによって音声コマンドが不明瞭になることがたびたび起こり得るが、その結果、音声制御デバイスは、意図された作業を実行することができなくなる。
【0005】
また、域内放送(public announcement)、音楽、またはテレビなどの電子的発信源によって生じているノイズが存在する環境内で電話通話をしていることも珍しくない。これらの状況では、電子的に生成された背景ノイズのせいで、通話の相手方は、人が何を言っているのか聞こえにくくなり得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一部の実施形態は方法として示され得る。本方法は、放射デバイスから放射されるものとなる音響信号を得ることを含む。本方法は、音響信号のコピーを処理し、放射デバイスのために構成された周波数変更を適用し、音響信号の不可聴周波数コピー(inaudible frequency copy)をもたらすことをさらに含む。本方法は、音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーを同時に伝送することをさらに含み、受信デバイスは、音響信号の受信された不可聴周波数コピーへの放射デバイスのために構成された周波数変更を逆行させ、音響信号のコピーを発見すること、および発見された音響信号のコピーを用いることの両方を行うように構成されている。
【0007】
また、本開示の一部の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ可読記憶媒体が、それに組み込まれたプログラム命令を有し、プログラム命令がコンピュータによって、コンピュータに上述された方法を実行させるよう実行可能である、コンピュータ・プログラム製品として示され得る。
【0008】
本開示の一部の実施形態はシステムとして示され得る。システムはメモリおよび中央処理装置(CPU)を備え得る。CPUは、上述された方法を実行するための命令を実行するように構成され得る。
【0009】
上述の概要は、各々の例示された実施形態、または本開示の全ての実装形態を説明することを意図されていない。
【0010】
本出願に含まれる図面は本明細書に組み込まれ、その部分を成す。それらは本開示の実施形態を例示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。図面は単に特定の実施形態の例示に過ぎず、本開示を限定しない。以下の詳細な説明が進むのに従って、および図面を参照することで、特許請求された主題の様々な実施形態の特徴および利点が明らかになるであろう。図面において、同様の符合は同様の部分を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示のいくつかの実施形態に従う、複数の放射デバイスおよび受信デバイスを示す概略図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な放射デバイスおよび例示的な受信デバイスによって実施される例示的な方法を示すフロー図である。
図3図2の方法の例示的な実施形態のフロー図である。
図4図2の方法の例示的な実施形態のさらなるフロー図である。
図5A】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な信号処理方法の様々な段階における例示的な信号を示すブロック図である。
図5B】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な信号処理方法の様々な段階における例示的な信号を示すブロック図である。
図5C】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な信号処理方法の様々な段階における例示的な信号を示すブロック図である。
図5D】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な信号処理方法の様々な段階における例示的な信号を示すブロック図である。
図5E】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な信号処理方法の様々な段階における例示的な信号を示すブロック図である。
図5F】本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な信号処理方法の様々な段階における例示的な信号を示すブロック図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態に従う、放射デバイスおよび受信デバイスを含む例示的なシステムのブロック図である。
図7】本開示の実施形態を実施する際に用いられ得る例示的なコンピュータ・システムの高レベル・ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は様々な変更および代替形態の余地があるが、それらの具体的内容が図面に例として示されており、より詳細に説明されることになる。しかし、その意図は、本発明を、説明される特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。対照的に、その意図は、本発明の範囲内に含まれる全ての変形物、同等物、および代替物を網羅することである。
【0013】
図解を単純かつ明快にするために、図に示される要素は必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、要素のうちのいくつかの寸法は、明快にするために、他の要素に対して誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、対応するまたは類似の特徴を指示するために、参照符号が図の間で繰り返される場合がある。
【0014】
本開示の態様は、音源を識別するためのシステムおよび方法に関する。より具体的な態様は、音声の放射器(emitter)を識別するために、放射されている音声の高周波数コピー(high-frequency copy)を音声内に重畳することに関する。
【0015】
音響受信器が、何が入力内のノイズであるのかを認知している場合には、意図された作業を入力に対して実行する前に(例えば、発話を文字に変換する前に)、そのノイズを除去することが可能である。これは、ノイズの反転コピー、すなわちノイズを効果的に打ち消すコピーを入力に付加することによって行うことができる。ノイズの打ち消しは、繰り返し性の音声については非常によく解決された問題となっている。これは、繰り返される音声の2周期後に、コントローラが上述のことを連続的に実行し、入力から繰り返し性のノイズを除去することができるためである。しかし、非繰り返し性の音声については、コントローラはノイズを予測することができない。このような場合には、コントローラに、音響入力のうちのどの部分が他の手段を通じたノイズであるのかを認知させる必要がある。
【0016】
ノイズに関する情報をコントローラへ転送する現在の方法は、Wi-Fi(登録商標)、電線、またはBluetooth(登録商標)などの別のチャネルを通じてノイズに関する情報を送信することを必要とする。その結果、受信デバイスは、ノイズ産生デバイスによって共有されたネットワークに接続されるものとなり、ノイズに関する情報はネットワークを通じて送信される。全てのデバイスを同じネットワークに接続するという問題以外に、このことはまた、ネットワークを通じて送信されるトラフィック量も増大させる。
【0017】
本開示に従うシステムおよび方法は、不可聴周波数音波を用いることによって、1つまたは複数の放射デバイスにおいて電子的に生じ、受信デバイスにおいて受信された音響信号の識別を可能にする。
【0018】
本開示全体を通じて、音響信号が言及される。本明細書で使用するとき、「複合」信号は「ベース」信号および「コピー」信号で構成される。「ベース」信号は、スピーカなどの放射デバイスによって放射されることを本来意図された、電子的に生じた音響信号を指す。本開示のシステムおよび方法は、ベース信号のコピーを生じ、ベース信号およびコピー信号を結合して複合信号にすることを可能にする。その後、複合信号は放射器によって放射され、受信器によって受信され得る。
【0019】
説明のための例として、放射器によって放射されることになるベース信号は、スピーカによって再生されることになる音楽歌曲を含み得る。人間の聴取者は、歌を聴くことを望むかもしれないが、また、マイクロフォンを含むスマート・アシスタントなどの受信デバイスへ音声コマンドを発したいと思うかもしれない。スマート・アシスタントおよび聴取者は、どちらもスピーカに近接し得る。通例、歌はスマート・アシスタントのマイクロフォンによって拾われ得、聴取者がスマート・アシスタントへ音声コマンドを発する能力を妨げる。しかし、本開示に従うシステムは、歌の高周波数コピーを生じ、そのコピーを歌内に埋め込み、複合信号(すなわち、歌とコピーとの両方を含む音響信号)をもたらし得る。その後、スピーカは複合信号を放射し得る。コピーは人間に不可聴の高周波数におけるものであり、したがって、聴取者にとって、スピーカは、通常どおりベース信号(すなわち、歌だけ)を再生しているのみであるように見えることになる。しかし、スマート・アシスタントのマイクロフォンは高周波数コピーを受信する能力を有するため、コピーはスマート・アシスタントによって「聞かれる」ことが可能である。スマート・アシスタントは、コピーを利用して、歌がノイズであることを識別することができる。それゆえ、スマート・アシスタントは、その入力から歌をフィルタリングにより除去できるようになり、それゆえに、聴取者が音声コマンドをスマート・アシスタントにうまく与える能力が改善される。
【0020】
音響信号のコピーをベース信号と一緒に放射することによって、電子的に生じたベース音響信号に関する情報が受信デバイスに提供される。コピーは不可聴周波数信号に変換され、ベース信号内に埋め込まれ、ベース信号およびコピーの双方を含む複合信号をもたらす。マイクロコントローラを有する音響受信器などの受信デバイスは、不可聴周波数コピーを受信して解釈し、ベース信号を識別し得る。ベース信号の不可聴周波数コピーを用いることにより、他のチャネルを用いて受信デバイスで情報を受信する必要はない。
【0021】
複合音響信号は様々に用いられ得る。例えば、複合音響信号は、受信デバイスにおいてノイズ音響信号を打ち消すために用いられ得る。受信デバイスは、複合信号が、ノイズであると(受信デバイスによって)考えられるベース信号を含むと決定すると、ベース信号の反転コピーを作成し、それを、受信された複合信号の上に重畳し、ノイズを打ち消し得る。
【0022】
別の例として、複合音響信号は、識別された音響信号について受信デバイスに知らせ得る。これは、情報をコピーの周波数内に埋め込むことによって達成され得る。例えば、既定の規格では、45,000Hzの最小周波数を有する不可聴周波数コピーは、音楽歌曲であるベース信号に対応し、一方、50,000Hzの最小周波数を有する不可聴周波数コピーは、非常時放送であるベース信号に対応することが示され得る。それゆえ、受信器では、第1の複合信号が音楽であること(より具体的には、第1の複合信号が、音楽であるベース信号を含むこと)を受信器に知らせる、45,000Hzの下方周波数を有する不可聴周波数コピーを含む第1の複合信号が受信され得る。また、受信器では、第2の複合信号が、非常時放送であるベース信号を含むことを受信器に知らせる、50,000Hzの下方周波数を有する不可聴周波数コピーを含む第2の複合信号が受信され得る。
【0023】
また、情報は、不可聴周波数信号への変換において用いられる周波数変更(すなわち、コピー信号の周波数とベース信号の周波数との差)を介して埋め込むこともできる。例えば、既定の規格では、音楽歌曲は、不可聴周波数コピーをベース信号の周波数の1,050倍で埋め込むことを介して識別されるべきであり、一方、非常時放送は、ベース信号の周波数の1,300倍で識別されるべきであることが示されている。それゆえ、40Hz~13,000Hzの周波数範囲を有する音楽歌曲を含むベース信号を放射するように構成された放射デバイスは、42,000Hz~13,650,000Hz(すなわち、40Hz*1,050~13,000Hz*1,050)における歌の不可聴周波数コピーを生成し得る。ベース信号が代わりに非常時放送である場合には、放射器は52,000Hz~16,900,000Hzにおける不可聴周波数コピーを生成し得る。いずれの場合にも、コピーは人間の聴覚範囲外にあるが、(ベース信号に対する)コピーの特定の周波数範囲が、受信器にとって有用な情報を伝達することができる。
【0024】
同様に、埋め込まれた情報は、放射器を識別する情報を含み得る。例えば、第1の放射器は、30,000Hzの最小周波数を有する不可聴周波数コピーを生成するように構成され得、その一方で、第2の放射器は、32,000Hzの最小周波数を有する不可聴周波数コピーを生成するように構成され得る。それゆえ、受信器が、32,000Hzの最小周波数を有する不可聴周波数コピーを含む複合信号を受信した場合には、受信器は、複合信号が第2の放射器から受信されたと認知させられ得る。
【0025】
上述の方法は、たとえ、受信デバイスへの唯一の入力方法が音声である場合でも、受信デバイスが、それが受信する音声のうちのどの部分が電子的発信源からのものであるかを識別できるようにすることを可能にする。これのための可能な使用事例は、入力をその意図された目的のために処理する前に、他の電子デバイスによって生じた音声を受信入力から除去することである。別の使用事例は、音声を、受信デバイスにおける他の受信入力に優先する非常時放送として受信されたものとして識別することであろう。
【0026】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に従う、複数の放射デバイスおよび受信デバイスを示す概略図100である。2つの例示的な放射器、すなわち放射デバイス110および放射デバイス120(まとめて「放射器110および120」)が示されている。放射器110および120は、受信デバイス150によって受信されている音声出力を提供している。具体的には、放射器110は音声出力119を提供しており、その一方で、放射器120は音声出力129を提供している。
【0027】
受信デバイス150は、音響信号を受信して処理する任意のデバイスであり得る。最適に機能するために、受信デバイス150は特定の入力に焦点を当てることを必要とし得る。例えば、受信デバイス150は、電話デバイス、ビデオもしくは音声通話用のマイクロフォンを有するコンピュータ、またはパーソナル・アシスタント・デバイスなどの音声制御デバイス等であり得る。放射器110および120は音声放射電子デバイスであり得る。例えば、家庭環境内では、放射器110および120は、テレビ、コンピュータ、もしくは音楽デバイス、またはそれらの組合せを含み得、これらの全ては内蔵または外部スピーカ・システムを有し得る。追加の例として、公共環境内では、放射器110および120は、館内放送システム、館内音楽デバイス等であり得る。
【0028】
放射デバイス110は、音声出力119の識別を可能にするための放射デバイス信号識別システム112を含む。放射デバイス信号識別システム112は、放射デバイス110から放射されるものとなる音響信号を得るためのベース信号獲得コンポーネント(base signal obtaining component)114を含む。一例として、放射デバイス110はスピーカであり得、ベース信号獲得コンポーネント114は、ユーザがスピーカを介して聴きたいと望む音響信号(歌など)を受信するように構成され得る。放射デバイス信号識別システム112は、音響信号の高周波数コピーを生成するための高周波数コピー付加コンポーネント(high-frequency copy adding component)116をさらに含む。高周波数コピー付加コンポーネント116は、ベース信号獲得コンポーネント114によって得られたベース信号のコピーを生成し、周波数変更をコピーに適用し、音響信号の高周波数コピーをもたらし得る。高周波数コピーは、人間の聴覚範囲外の周波数であり得る。放射デバイス信号識別システム112はまた、複合信号(すなわち、ベース音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーの結合を含む信号)を同時に伝送するための複合音声出力コンポーネント(composite sound output component)118を含む。複合音声出力コンポーネント118は、例えば、物理的スピーカであり得る。同様に、放射デバイス120は、放射デバイス110内のそれらの対応物と同様に機能し得る、放射デバイス信号識別システム122、ベース信号獲得コンポーネント124、高周波数コピー付加コンポーネント126、および複合音声出力コンポーネント128を含む。
【0029】
一実施形態では、放射器110および120の各々は異なる周波数変更をそれらの音響信号に適用し得る。一例として、放射器110は、第1のベース信号を放射するように構成され得、放射器120は、第2のベース信号を放射するように構成され得る。放射器110は、高周波数コピー付加コンポーネント116を介して、第1のベース信号の第1の高周波数コピーを生成し、第1の高周波数コピーを第1のベース信号に付加し得る。第1の高周波数コピーは、例えば、20,000ヘルツ(Hz)、または20キロヘルツ(kHz)の周波数であり得る。その一方で、放射デバイス120は、高周波数コピー付加コンポーネント126を介して、第2のベース信号の第2の高周波数コピーを生成し、第2の高周波数コピーをベース信号に付加し得る。第2の高周波数コピーは、例えば、30,000Hzの周波数であり得る。それゆえ、放射器110および120は、異なる周波数における高周波数コピー信号を有する複合信号を放射しているため、受信デバイス150は、以下においてさらに詳細に説明されるように、音響信号がどの放射デバイス(例えば、放射器110または放射器120)から発したのかを区別することが可能となる。
【0030】
実施形態によっては、高周波数コピー付加コンポーネント116は複数の異なる周波数変更を、同時に、または連続的に適用し、音響信号の複数の不可聴周波数コピーを生じさせ、セキュリティの向上をもたらし得る。
【0031】
受信デバイス150は、受信デバイス150における上述の機能性を提供する受信デバイス信号識別システム(receiver-device-signal identifying system)152を含む。図1には単一の受信デバイス150が示されているが、複数の受信デバイス150が提供されてもよい。
【0032】
受信デバイス信号識別システム152は、放射器110もしくは放射器120またはその両方などの放射デバイスからのベース音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーの両方を含む、例えば、信号119もしくは信号129またはその両方などの複合音響信号を受信するための複合音声受信コンポーネント(composite sound receiving component)154(例えば、マイクロフォンなど)を含む。複数の複合信号は、同時点、または重複する時点で受信され得る。受信デバイス信号識別システム150は、音響信号の不可聴周波数コピーをフィルタリングするための高周波数コピー検索コンポーネント(high-frequency copy retrieving component)156を含む。受信デバイス信号識別システム150は、音響信号の高周波数コピーへの周波数変更を逆行させ、ベース音響信号のコピーを発見するためのベース信号獲得コンポーネント(base signal obtaining component)158をさらに含む。受信デバイス信号識別システム152はまた、ベース信号の発見されたコピーを用いるためのベース信号利用コンポーネント(base signal using component)160を含む。ベース信号利用コンポーネント160は、放射器110または120から受信された音響信号を打ち消すこと、放射器110または120を音響信号の起源として識別すること、放射デバイス110または120からの音響信号を優先させること等を含む多数の方法で用いられ得る。
【0033】
説明のための例として、受信デバイス150は、例えば、スマート・アシスタント・デバイスであり得る。受信デバイス150は、複合音声受信コンポーネント154を介して、ユーザからの音声コマンド(図1には描かれていない)、複合信号119、および複合信号129を含む全入力信号を受信し得る。受信デバイス150は、高周波数コピー検索コンポーネント156を介して、複合信号119内の第1の高周波数コピー信号、および複合信号129内に含まれる第2の高周波数コピー信号を識別し得る。例えば、受信デバイス150は、コンポーネント156を介して、ハイ・パス・フィルタを複合信号119に適用し得る。ハイ・パス・フィルタは、人間の聴覚範囲の上限に対応する下限を有し得る。例えば、ハイ・パス・フィルタは20,000Hzの下限を有し得る。
【0034】
受信デバイス150は、ベース信号獲得コンポーネント158を介して、複合信号119内に含まれる第1のベース信号、および複合信号129内に含まれる第2のベース信号を発見し得る。受信デバイス150は、ベース信号利用コンポーネント160を介して、第1のベース信号(すなわち、複合信号119内に含まれる信号)が歌であること、および放射器110がパーソナル・スピーカ(personal speaker)であることを識別し得る。受信デバイス150は、さらに、ベース信号利用コンポーネント160を介して、第1のベース信号を全入力信号から打ち消し得る。受信デバイス150はまた、ベース信号利用コンポーネント160を介して、第2のベース信号(すなわち、複合信号129内に含まれるベース信号)が非常時放送であること、および放射器120が非常警報システムであることを識別し得る。複合信号129の識別に基づいて、受信デバイス150は、さらに、ベース信号利用コンポーネント160を介して、複合信号129を全入力信号内に残し得る。それゆえ、放射デバイス110によって放射された歌は、全入力信号からフィルタリング/打ち消され得るが、音声コマンドおよび非常時放送は両方とも、依然として受信デバイス150の処理システムによって受信され得る。
【0035】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に従う、例示的な放射デバイス210および例示的な受信デバイス250によって実施される例示的な方法を示すフロー図200である。
【0036】
放射デバイス210において、本方法は、放射デバイス210から放射されるものとなる音声のベース音響信号Sを得ることができる(212)。本方法はベース音響信号をコピーし(214)、周波数変更をコピーに適用し、音響信号の不可聴周波数コピーCをもたらし得る。不可聴周波数は人間の可聴周波数範囲を超え得る。本方法はまた、構成された振幅低減などの、既定の振幅比を不可聴周波数コピーに適用し、コピーされた信号の音量を低減し得る。実施形態によっては、音響信号コピーは、不可聴周波数コピーCが反転コピーになるよう、放射デバイス210において反転され得る。放射デバイス210のための適用された周波数変更および任意の振幅変更はハンドシェーク・プロセスの部分として受信デバイスへ通信され得る。
【0037】
より高い周波数へのコピーの周波数変更は、元の音声信号と比べて信号のより短い継続時間をもたらし得、不可聴周波数コピーは元の音声信号の継続時間内で繰り返されてもよい。代替的に、より短い継続時間の不可聴周波数コピーの前または後にギャップが提供されてもよい。
【0038】
家庭などの制御された環境内では、不可聴周波数コピーを用いて信号の起源を識別することができるよう、周波数範囲は放射デバイスごとに指定され得る。これは、環境内の受信器150などの任意の受信デバイスが、上述の方法を用いる受信デバイスに聞こえる全ての電子的産生音声の発信源を識別することができることを可能にし得る。
【0039】
周波数変更は、ベース信号Sおよび不可聴コピーCの周波数の間に重なりが存在しないことを確実にする方法で適用され得る。さらに、周波数変更は、音響信号のコピーが人間の可聴周波数範囲を完全に超えるように適用され得る。それゆえ、変更は、音響信号の最低周波数成分が、人間の可聴周波数範囲、および音響信号の最高周波数成分の両方を超えるよう調整されるように適用され得る。例えば、ベース信号Sは3,000Hz~10,000Hzの周波数範囲を有し得、人間の可聴周波数範囲は20Hz~20,000Hzであり得る。それゆえ、本例では、コピーCの最低周波数(すなわち、ベース信号Sの3,000Hz部分に対応する部分)が、ベース信号Sの最高周波数(すなわち、10,000Hz超)、および人間の可聴周波数範囲の最高周波数(すなわち、20,000Hz)の両方を超えるよう、周波数変更がSのコピーCに適用され得る。それゆえ、不可聴コピーCは(周波数を17,100Hzだけ上方へ偏移させることによって)20,100Hz~27,100Hzの周波数範囲を有し得る。事例によっては、たとえ、ベース信号Sの最高周波数が人間にとって不可聴である場合でも、不可聴コピーCの最低周波数はベース信号Sの最高周波数よりも高くなり得る。事例によっては、周波数を設定量だけ偏移させるのではなく、周波数に係数fを乗算してもよい。例えば、係数fは7であり得、これにより、不可聴コピーCは(3,000Hz*7および10,000Hz*7を乗算することによって)21,000Hz~30,000Hzの周波数範囲を有し得る。
【0040】
実施形態によっては、周波数変更は、放射デバイスのために構成されたとおりの一連の適用周波数変更で経時的に変化させられ得る。実施形態によっては、異なる周波数における複数の周波数変更が、音響信号に適用されて、同時に送信される音響信号の複数の異なる不可聴周波数コピーをもたらし得る。
【0041】
本方法は、ベース音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーを含む複合信号S+C219を伝送し得る(216)。この結果、元の音響信号のバッファリングを用いることにより元の音響信号を伝送する前の処理遅延が生じて、生成予定の不可聴周波数コピーの生成が可能になり得る。音響信号の複数の異なる不可聴周波数コピーが生成される実施形態では、本方法は、音響信号、および複数の不可聴周波数コピーの各々を伝送する(216)。
【0042】
受信デバイス250において、本方法は、ベース音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーを含む複合信号S+Cを受信し(252)、逆行変更を不可聴コピー信号の周波数に適用して可聴周波数に戻し、可聴コピー音響信号S’を得ることによって、音響信号を発見する(254)。受信デバイス250は、それが音響信号を受信している所与の放射デバイスのための周波数偏移(および任意選択的に、振幅偏移)を承知している。これはデバイス間でハンドシェーク手順によって合意され得る。
【0043】
本方法は、発見された音響信号S’を用い、例えば、ベース音響信号Sを打ち消し得る(256)。不可聴周波数コピーCが反転コピーになるよう音響信号コピーが放射デバイス210において反転される実施形態では、受信デバイス250において得られた音響信号S’の可聴コピーは、すでに、音響信号Sを打ち消すために適した反転コピーになっている。
【0044】
得られた音響信号S’の他の使用256は、例えば、音響信号を、他の入来信号、または受信デバイス250から伝送される信号よりも優先させるために、音響信号Sについてユーザの注意を促し得る。本方法はまた、不可聴コピーCの周波数を用いて放射デバイスを識別し得る(258)。
【0045】
放射器110もしくは120またはその両方などの放射デバイスが、受信器150などのいずれの受信デバイスにとっても有用な入力となることを意図されない音声を放射するとき、それらは、既定の周波数および対音声振幅比における音声の不可聴周波数コピーをそれらの出力の上に重畳する。不可聴周波数は、人間にそれが聞こえるものとならないよう、十分に高い周波数のものであり得る。人間の可聴周波数範囲は、20Hz~20kHzであると考えられる。家庭内で高周波数信号を互いに送信し合う多数のデバイスおよび適用物はすでに存在することから、高周波数信号をこの区域で送信することは家庭内でペットなどにとって問題になることはない。
【0046】
受信デバイス150は、人間の聴覚範囲外の指定周波数範囲内にあるいずれの入力も、放射デバイス110もしくは120またはその両方などの放射デバイスによって生じた音声のコピーであると仮定し得る。全ての意図しない音声の不可聴コピーを用いて、受信デバイス150は、放射デバイス110、120によって生じた正しい音波可聴信号を発見することができる。これは、高周波数コピーを作成するために用いられたアルゴリズムの反転を実行することによって行われる。
【0047】
本開示のシステムおよび方法にとってのさらなる恩恵は、コピーされた信号が不可聴であるために、受信器150などの受信デバイスが、それらに実際に聞こえることになる他のデバイスによって生じた音声を認知させられるだけでよいことである。このことは、いかなるノイズがデバイスによって生じているのかを通信するためにWi-Fi(登録商標)などのネットワークを用いるときには必ずしも当てはまらない。なぜなら、Wi-Fi(登録商標)ネットワークは、所与の環境内、具体的には人々の移動や扉の開閉などが行われるところで、デバイスの音響効果および近接性を認知しないからである。
【0048】
説明のための例として、Wi-Fi(登録商標)ネットワークに接続されたスマート・アシスタントおよび2つのスピーカが家の中にあってもよい。Wi-Fi(登録商標)ネットワークは、2つのスピーカによって生じているノイズを記述する情報をスマート・アシスタントへ伝送していてもよい。第1のスピーカは、歌を再生していてもよく、スマート・アシスタントにごく接近して配置されていてもよく、その一方で、第2のスピーカは、映画のための音響を出力していてもよく、スマート・アシスタントから比較的遠い異なる部屋内に配置されていてもよい。スマート・アシスタントは、両方のスピーカによって生じたノイズを記述する情報を受信していてもよい。しかし、第1のスピーカのノイズ(すなわち、歌)のみがスマート・アシスタントに「聞こえる」ことがある。それゆえ、第2のスピーカのノイズ(すなわち、映画の音響)に費やされるコンピューティング・リソース(処理能力、ネットワーク帯域幅等)は無駄になり得る。本開示に従うシステムおよび方法を利用することで、スマート・アシスタントは、スマート・アシスタントに実際に「聞こえる」ノイズに関する情報を受信するだけでよく、かくしてリソースを節約する。
【0049】
図3図2の方法の例示的な実施形態のフロー図300である。フロー図300は、受信デバイス350において音響信号を打ち消すための放射デバイス310からの音響信号の反転を含む例示的な実施形態を示す。
【0050】
フロー図300に示されるように、放射デバイス310において、音響信号S(x)311をコピーおよび反転し(C-1(x))(312)、周波数変更を適用し、不可聴コピー信号f.C-1(x)を作る(313)。音響信号と不可聴コピー信号との結合S(x)+f.C-1(x)を放射デバイス310から伝送する(314)。
【0051】
受信デバイス350において、音響信号と不可聴コピー信号との結合S(x)+f.C-1(x)を受信し(321)、フィルタリングして不可聴コピー信号f.C-1(x)を得(322)、周波数変更を逆行させた結果として反転コピー信号C-1(x)を生じ(323)、それを用いて入来音響信号を打ち消す(S(x)+C-1(x)=0)(324)。
【0052】
さらなる防止のために、長い一連の周波数範囲がハンドシェークまたは構成プロセスの一部として前もって合意されてもよく、信号の周波数は、悪意のある行為者がそれらを解明することができないよう、合意された範囲において逐次変更されてもよい。このことにより、セキュリティが向上され得るが、それは侵入者が、本方法に妨害を引き起こすように補正音声を徹底的に重畳するのに悪戦苦闘することになるためである。
【0053】
図4は、受信デバイス480において音響信号を打ち消すための放射デバイス440からの音響信号の反転、および複数の周波数変更を音響信号に適用することを含む例示的な実施形態を示すさらなるフロー図400である。
【0054】
フロー図400に示されるように、放射デバイス440では、音響信号S(x)441をコピーして反転する(C-1(x))(342)。コピーおよび反転された信号は、複数の周波数変更を有し、この複数の周波数変更は、異なる周波数係数fに適用されて複数の不可聴コピー信号f.C-1(x)を与える(443)。音響信号と複数の不可聴コピー信号との結合S(x)+f.C-1(x)+f.C-1(x)+f.C-1(x)+…+f.C-1(x)を放射デバイス440から伝送する(444)。
【0055】
受信デバイス480において、音響信号および複数の不可聴コピー信号の結合、S(x)+f.C-1(x)+f.C-1(x)+f.C-1(x)+…+f.C-1(x)を481において受信する。482において、入来複合信号をn+1個のトラックに分割し、483において、各トラックについてその周波数変更を逆行させ、反転コピー信号C-1(x)を得る。「真の」音響信号は、全てのn個の転置されたトラック(transposed tracks)内に存在する音声であると決定され得る。484において、真の音響信号を用いて、入来音響信号を打ち消してS(x)+C-1(x)=0とし得る。
【0056】
このプロトコルを用いるデバイスからのものでない高周波数音声からの入力における誤ったノイズの打ち消しを防止するために、複数の高周波数範囲を用いて音響の複数の高周波数コピーを送信し得る。高周波数コピーが人間の聴覚範囲に変換されると、最低周波数などの、高周波数コピーのうちの既定のものが使用されるよう選択される。
【0057】
図5A図5Fを参照すると、音波図が、上述の方法の単純化した例を示している。
【0058】
図5Aは、スピーカなどの単一の放射デバイスによって生じた音波500を示す。第1の音波501は、人間の聴覚範囲内で生じた音波(すなわち、元の音声)を表現する。第2の音波502は、人間の聴覚範囲外にあるスピーカからの高周波数出力を表現する、はるかにより高い周波数を有するように示されている。本例では、高周波数信号は第1の音波501の継続時間にわたって繰り返される。
【0059】
第2の音波502は、他のデジタル・デバイスがそれを拾い、それを逆行分析し(reverse engineer)、このデバイスによって放射された元の音声501を解明することができるよう、出力前に放射デバイスによってアルゴリズムを用いて計算される。
【0060】
アルゴリズムは元の音声を反転し、次に、人間に聞こえない周波数に達するよう、fの係数によって周波数を増大させる。ここで、fは放射器によって決定される。係数fは、反転されたときに、人間の聴覚範囲の最低部(例えば、およそ20Hz)において発生する音波501の音声の周波数が、少なくとも、人間の聴覚を超える必要最小周波数を超えること(例えば、およそ20,000Hzを超えること)を確実にし得る。
【0061】
図5Bは、受信デバイスの単一のマイクロフォンによって拾われた音波510を示す。第1および第2の音波511、512は図5Aにおける音波501および502と同じである。第3の音波513はマイクロフォンのための所望の入力である。例えば、音波513はスマート・アシスタント・デバイスへの発話入力であり得る。
【0062】
図5Cは、閾値周波数が、人間の聴覚によって可聴の最低周波数に、上述されたfを乗算したものに設定されたハイ・パス・フィルタを通過した後の図5Bの出力520を示す。これは、分離された高周波数の第2の音波512のみを生じさせる。
【0063】
図5Dは、第2の音波512の周波数をfの係数によって低減し、元の音波の周波数変更を逆行させた後の図5Cの出力530を示す。得られた音波は、次に、反転される。これは、図5Aからの元の音波501の反転である第4の音波514をもたらす。
【0064】
図5Eは、図5Dからの音波514の付加を有するロー・パス・フィルタを通過した後の図5Bの出力を示す(540)。第1の音波511および第4の音波514は、それらが反転音波であるため、打ち消し合う。音波512はロー・パス・フィルタを介してフィルタリングにより除去される。
【0065】
図5Fは、スピーカからの音声が除去されたマイクロフォンのために意図された入力である、図5Eにおける全ての線を重畳することから得られた音波513を示す(550)。
【0066】
上述の方法は人間の可聴範囲内の複数の妨害ノイズを打ち消すことができる。本方法は、人間の聴覚外の重畳音声に基づいて、周波数をフィルタリングにより動的に除去する。本方法は、自然発信源からのノイズと対照的にデジタル・デバイスによって作り出された周囲ノイズを区別することができる。
【0067】
所望の音源により接近したマイクロフォンを必要とすることなく、単一の受信デバイス・マイクロフォンが用いられ得る。
【0068】
例示的な実装形態では、複数の音響スピーカが、テレビ・サウンドバー、および他の室内の独立型スピーカを含む、ホーム・サウンド・システムの部分として家屋全体で用いられる放射デバイスであってもよい。音声作動式パーソナル・アシスタントが受信デバイスであってもよい。ユーザが音声作動式パーソナル・アシスタントに質問をするか、またはコマンドを要求しようと試みたとき、パーソナル・アシスタントは上述の方法を利用し、スピーカを通じて再生されている音楽またはTV音声から到来する任意の背景音声を消去し得る。
【0069】
加えて、スマート・スピーカ、テレビ、ラップトップ、および携帯電話は組み込みアシスタント機能性を含み得る。全てのこれらのデバイスは背景ノイズを生じ得るが、それにもかかわらず、また、音声コマンドを聴くこと、およびそれらのスマートフォンを用いて、通話のための音声を聴くことをも必要とし得る。これは、上述の方法の実装形態の別の例である。デバイスが全て、同じ主体によって製造されることによって、または主体間の合意によって、合意された不可聴周波数を用いて動作する場合には、ノイズの打ち消しが実施され得る。
【0070】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に従う、放射デバイスおよび受信デバイスを含む例示的な音響デバイス600のブロック図である。他の入力方法を用いて情報が送信されることを全く必要とすることなく、音響デバイス600が受信入力からノイズを打ち消すことができることを可能にする。
【0071】
音響デバイス600は、少なくとも1つのプロセッサ601、ハードウェア・モジュール、または上述のコンポーネントの機能を実行するための回路を含み得る。事例によっては、上述のコンポーネントは、少なくとも1つのプロセッサ上で実行するソフトウェア・ユニットであり得る。コンポーネントの機能のうちの一部または全ての並列処理を可能にする並列処理スレッドを実行する複数のプロセッサが提供されてもよい。メモリ602は、コンポーネントの機能性を実施するためのコンピュータ命令603を少なくとも1つのプロセッサ601に提供するように構成され得る。プロセッサ601およびメモリ602はマイクロコントローラであり得る。
【0072】
音響デバイス600は、音響信号を受信するためのマイクロフォン604、および音響信号を伝送するための音響出力605を含む。
【0073】
音響デバイス600は、以上において図1を参照して説明されたものなどの、デバイス識別を提供するための放射デバイス信号識別システム610および受信デバイス信号識別システム650を含み得る。
【0074】
放射デバイス信号識別システム610は、放射デバイスから放射されるものとなる音響信号を得るための放射音声獲得コンポーネント(emitted sound obtaining component)606を含む。放射デバイス信号識別システム610は、音響信号のコピーを処理して周波数変更を適用し、音響信号の不可聴周波数コピーをもたらすための不可聴コピー付加コンポーネント607をさらに含む。放射デバイス信号識別システム610は、音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーを同時に伝送するための複合音声出力コンポーネント608をさらに含む。
【0075】
放射デバイス信号識別システム610はまた、音響信号のコピーを反転するための信号反転コンポーネント(signal inverting component)611を含み得る。放射デバイス信号識別システム610はまた、異なる周波数における複数の周波数変更を同時に適用し、複数の不可聴周波数コピーをもたらすための多周波数コンポーネント(multiple frequency component)612を含み得る。放射デバイス信号識別システム610はまた、異なる周波数における複数の周波数変更を順次に適用して、適用される周波数変更を経時的に変更するためのシーケンス周波数コンポーネント(sequence frequency component)613を含み得る。
【0076】
受信デバイス信号識別システム650は、音響信号、および音響信号の不可聴周波数コピーを受信するための複合音声受信コンポーネント621を含む。受信デバイス信号識別システム650は、音響信号の不可聴周波数コピーをフィルタリングするための不可聴コピー検索コンポーネント(inaudible copy retrieving component)622をさらに含む。受信デバイス信号識別システム650は、音響信号の不可聴周波数コピーへの周波数変更を逆行させ、音響信号のコピーを発見するための音声コピー獲得コンポーネント(sound copy obtaining component)623をさらに含む。受信デバイス信号識別システム650は、発見された音響信号のコピーを用いるための音声コピー利用コンポーネント(sound copy using component)624をさらに含む。
【0077】
受信デバイス信号識別システム650は、音響信号のコピーを反転し、受信された音響信号を打ち消すための信号反転コンポーネント651を含み得る。受信デバイス信号識別システム650は、受信された異なる周波数における複数の周波数変更を同時に逆行させ、複数の不可聴周波数コピーをもたらすための多周波数コンポーネント652を含み得る。受信デバイス信号識別システム650は、適用される周波数が経時的に変化するのに従って、異なる周波数における複数の周波数変更を順次に逆行させるためのシーケンス周波数コンポーネント653を含み得る。受信デバイス信号識別システム650は、フィルタリングされた不可聴周波数コピーの周波数に基づいて放射デバイスを識別するための放射器識別コンポーネント(emitter identifying component)654を含み得る。
【0078】
放射デバイス信号識別システム610および受信デバイス信号識別システム650は各々、デバイスにおいて、デバイスの機能性に応じて、組み合わせて、または個々に提供され得る。
【0079】
次に図7を参照すると、例えば、フロー図200、300、および400を参照して説明される方法を含む、本開示の様々な態様を実行するように構成され得る例示的なコンピュータ・システム700の高レベル・ブロック図が示されている。例示的なコンピュータ・システム700は、本開示の実施形態に係る、(例えば、コンピュータの1つまたは複数のプロセッサ回路またはコンピュータ・プロセッサを用いた)本明細書において説明される方法またはモジュールのうちの1つまたは複数、ならびに任意の関連機能または動作を実施するために用いられ得る。実施形態によっては、コンピュータ・システム700の主要コンポーネントは、1つまたは複数のCPU702、メモリ・サブシステム708、端末インターフェース716、ストレージ・インターフェース718、I/O(入力/出力)デバイス・インターフェース720、およびネットワーク・インターフェース722を含み得る。これらは全て、メモリ・バス706、I/Oバス714、およびI/Oバス・インターフェース・ユニット712を介したコンポーネント間通信のために、直接または間接的に、通信可能に結合され得る。
【0080】
コンピュータ・システム700は、本明細書において総称的にCPU702と称される、一部または全てが1つまたは複数のコア704A、704B、704C、および704Nを含み得る、1つまたは複数の汎用プログラム可能プロセッサ702(中央処理装置(CPU)など)を包含し得る。実施形態によっては、コンピュータ・システム700は、比較的大きいシステムに典型的な複数のプロセッサを包含し得るが、他の実施形態では、コンピュータ・システム700は、代替的に、単一のCPUのシステムであり得る。各CPU702は、CPUコア704上のメモリ・サブシステム708内に記憶された命令を実行し得、1つまたは複数のレベルのオン・ボード・キャッシュを含み得る。
【0081】
実施形態によっては、メモリ・サブシステム708は、ランダム・アクセス半導体メモリ、記憶デバイス、またはデータおよびプログラムを記憶するための記憶媒体(揮発性または不揮発性のどちらか)を含み得る。実施形態によっては、メモリ・サブシステム708は、コンピュータ・システム700の仮想メモリ全体を表現し得、また、コンピュータ・システム700に結合された、またはネットワークを介して接続された他のコンピュータ・システムの仮想メモリを含み得る。メモリ・サブシステム708は、概念的には、単一のモノリシック・エンティティ(monolithic entity)であり得るが、実施形態によっては、メモリ・サブシステム708は、キャッシュおよび他のメモリ・デバイスの階層などの、より複雑な機構であってもよい。例えば、メモリは、複数のレベルのキャッシュにおいて存在してもよく、これらのキャッシュは、機能によってさらに分割されてもよく、それゆえに、あるキャッシュが命令を保持するのに対し、別のキャッシュはプロセッサまたはプロセッサ群により用いられる非命令データを保持するものとなる。メモリは、様々ないわゆる不均等メモリ・アクセス(NUMA)・コンピュータ・アーキテクチャのうちの任意のものにおいて知られるように、さらに分散し、異なるCPU、またはCPUのセットに関連付けられていてもよい。実施形態によっては、主メモリまたはメモリ・サブシステム708は、CPU702によって用いられるメモリの制御およびフローのための要素を包含し得る。これはメモリ・コントローラ710を含み得る。
【0082】
図7において、メモリ・バス706は、CPU702、メモリ・サブシステム708、およびI/Oバス・インターフェース712の間の直接通信経路を提供する単一のバス構造として示されているが、メモリ・バス706は、実施形態によっては、階層的な、スターまたはウェブ構成におけるポイント・ツー・ポイント・リンク、多階層バス、並列および冗長経路、または任意の他の適切な種類の構成などの、様々な形態のうちの任意のもので配置され得る、複数の異なるバスまたは通信経路を含み得る。さらに、I/Oバス・インターフェース712およびI/Oバス714は単一のそれぞれのユニットとして示されているが、コンピュータ・システム700は、実施形態によっては、複数のI/Oバス・インターフェース・ユニット712、複数のI/Oバス714、またはその両方を包含してもよい。さらに、I/Oバス714を、様々なI/Oデバイスへ延びた様々な通信経路から分離する、複数のI/Oインターフェース・ユニットが示されているが、他の実施形態では、I/Oデバイスのうちの一部または全ては、1つまたは複数のシステムI/Oバスに直接接続されていてもよい。
【0083】
実施形態によっては、コンピュータ・システム700は、マルチ・ユーザ・メインフレーム・コンピュータ・システム、シングル・ユーザ・システム、もしくはサーバ・コンピュータ、またはダイレクト・ユーザ・インターフェースをほとんどまたは全く有しないが、他のコンピュータ・システム(クライアント)からの要求を受信する同様のデバイスであり得る。さらに、実施形態によっては、コンピュータ・システム700は、デスクトップ・コンピュータ、ポータブル・コンピュータ、ラップトップもしくはノートブック・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ポケット・コンピュータ、電話、スマートフォン、モバイル・デバイス、または任意の他の適切な種類の電子デバイスとして実施され得る。
【0084】
図7は、例示的なコンピュータ・システム700の代表的な主要コンポーネントを示すことを意図されていることが留意される。しかし、実施形態によっては、個々のコンポーネントは、図7に表されるとおりのものよりも高い、または低い複雑性を有してもよく、図7に示されるもの以外のコンポーネント、またはそれらに追加したコンポーネントが存在してもよく、このようなコンポーネントの数、種類、および構成は異なってもよい。
【0085】
本発明は、統合の任意の可能な技術的詳細のレベルでのシステム、方法、もしくはコンピュータ・プログラム製品、またはそれらの組合せであり得る。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または媒体群)を含み得る。
【0086】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶することができる有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定するものではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上述のものの任意の好適な組合せであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EPROMもしくはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(登録商標)・ディスク、穿孔カード、または命令が記録された溝内の隆起構造などの、機械的に符号化されたデバイス、ならびに上述のものの任意の好適な組合せを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用するとき、電波もしくは他の自由伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、または電線を通して伝送される電気信号などの、一過性信号自体であると解釈されるべきでない。
【0087】
本明細書において説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、またはネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、もしくは無線ネットワーク、またはそれらの組合せを経由して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、もしくはエッジ・サーバ、またはそれらの組合せを含み得る。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースがネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令をそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体における記憶のために転送する。
【0088】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、またはSmalltalk(登録商標)、C++、もしくは同様のものなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードまたはオブジェクト・コードのいずれかであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で実行するか、一部ユーザのコンピュータ上で実行するか、独立型ソフトウェア・パッケージとして実行するか、一部ユーザのコンピュータ上で、かつ一部リモート・コンピュータ上で実行するか、または完全にリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行し得る。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得るか、または外部コンピュータへの接続が(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを利用してインターネットを通じて)行われ得る。実施形態によっては、例えば、プログラマブル論理回路機構、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路機構が、本発明の態様を遂行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路機構を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0089】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図またはその両方を参照して説明されている。フローチャート図もしくはブロック図またはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート図もしくはブロック図またはその両方内のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ることが理解されるであろう。
【0090】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方のブロックまたはブロック群において指定された機能/動作を実施するための手段を生み出すように、コンピュータ、または機械を作り出すための他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供され得る。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、内部に記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方のブロックまたはブロック群において指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、もしくは他のデバイス、またはそれらの組合せを特定の仕方で機能するように仕向けることができるコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得る。
【0091】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で実行する命令が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方のブロックまたはブロック群において指定された機能/動作を実施するように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイス上にロードされ、一連の動作ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で遂行させ、コンピュータ実施プロセスを作り出し得る。
【0092】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性、および動作を示す。この点に関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、または部分を表し得る。代替的実装形態によっては、ブロック内に記された機能は、図面に記された順序に従わずに発生することがある。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、1つのステップとして果たされ、同時に、実質的に同時に、部分的もしくは完全に時間的に重なる仕方で実行されてもよく、またはブロックは、時として、含まれる機能性に依存して、逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の各ブロック、ならびにブロック図もしくはフローチャート図またはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能もしくは動作を遂行するか、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実施され得ることにも留意されたい。
【0093】
本開示の様々な実施形態の説明が例示の目的のために提示されたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることを意図されてはいない。当業者には、上述の実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が明らかであろう。本明細書において使用される術語は、実施形態の原理、実際の適用、もしくは市場において見出される技術に対する技術的改善を説明するため、または他の当業者が、本明細書において開示される実施形態を理解することを可能にするために選定された。
【0094】
本発明の範囲から逸脱することなく上述のことに改善および変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射デバイスから放射されるものとなる音響信号を得ることと、
前記音響信号の不可聴周波数コピーを作成することであって、前記作成することが、周波数変更を前記音響信号に適用することを含む、前記作成することと、
前記音響信号、および前記音響信号の前記不可聴周波数コピーを同時に伝送することと、
を含む方法。
【請求項2】
構成された振幅低減を前記音響信号の前記不可聴周波数コピーに適用し、前記不可聴周波数コピーの音量を低減することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周波数変更を適用することは、前記音響信号の前記不可聴周波数コピーを、前記音響信号と重ならない不可聴周波数に変更する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記作成することは、前記音響信号を反転することをさらに含み、前記音響信号の前記不可聴周波数コピーは、反転された不可聴周波数コピーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記作成することは、
異なる周波数における複数の周波数変更を同時に適用し、複数の不可聴周波数コピーをもたらすことをさらに含み、
前記音響信号、および前記音響信号の前記不可聴周波数コピーを伝送することが、前記音響信号、および前記複数の不可聴周波数コピーの各々を伝送する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記作成することは、
異なる周波数における複数の周波数変更を順次に適用して、適用される前記周波数変更を経時的に変更すること
をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記放射デバイスのために前記周波数変更を構成し、前記構成を受信デバイスへ通信することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
放射デバイスからの第1の音響信号および第2の音響信号を受信することと、
前記第2の音響信号が前記第1の音響信号の不可聴周波数コピーであることを検出することと、
前記放射デバイスのために構成された周波数変更を識別することと、
前記第2の音響信号の前記周波数変更を逆行させて、前記第1の音響信号のコピーをもたらすことと、
前記第1の音響信号の前記コピーを用いることと、
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の音響信号の前記コピーを用いることは、前記第1の音響信号を打ち消すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記打ち消すことは、
前記第1の音響信号の前記コピーを反転することと、
前記第1の音響信号の反転された前記コピーを前記第1の音響信号の上に重畳し、前記第1の音響信号を打ち消すことと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の音響信号は、前記第1の音響信号の反転された不可聴周波数コピーであり、
前記第2の音響信号の前記周波数変更を前記逆行させることは、前記第1の音響信号の反転されたコピーをもたらし、
前記打ち消すことは、前記第1の音響信号の前記反転されたコピーを前記第1の音響信号の上に重畳し、前記第1の音響信号を打ち消すことを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記不可聴周波数コピーの周波数に基づいて、前記放射デバイスを識別することをさらに含む、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第3の音響信号を受信することと、
前記第3の音響信号が前記第1の音響信号の追加の不可聴周波数コピーであることを検出することと、
前記第1の音響信号の前記追加の不可聴周波数コピーの追加の周波数変更を逆行させ、前記第1の音響信号の第2のコピーをもたらすことと、
をさらに含む、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
メモリと、
前記メモリに結合されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
放射デバイスから放射されるものとなる第1の音響信号を得ることと、
前記第1の音響信号のコピーを生成することと、
周波数変更を前記第1の音響信号の前記コピーに適用し、第2の音響信号をもたらすことであって、前記第2の音響信号が前記第1の音響信号の不可聴周波数コピーである、前記適用することと、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号を同時に放射することと、
を行う命令を実行するように構成されている、システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
放射デバイスからの第3の音響信号および第4の音響信号を受信することと、
前記第4の音響信号が前記第3の音響信号の不可聴周波数コピーであることを検出することと、
前記放射デバイスのために構成された周波数変更を識別することと、
前記第4の音響信号の前記周波数変更を逆行させて、前記第3の音響信号のコピーをもたらすことと、
前記第3の音響信号の前記コピーを用いることと、
を行うようにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記第3の音響信号の前記不可聴周波数コピーが前記第3の音響信号の反転された不可聴周波数コピーであることを検出するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記第4の音響信号の前記周波数に基づいて前記第3の音響信号を識別するようにさらに構成されている、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
コンピュータ上で実行されたときに請求項1ないし13のいずれかに記載の方法ステップを実行するように適合されたプログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータ・プログラムを記録した、コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】