(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】サイケデリックの使用のための改善された方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4045 20060101AFI20240301BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240301BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240301BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61K31/4045
A61K31/661
A61P25/00
A61P25/22
A61P25/32
A61P25/30
A61P25/24
A61P29/00
A61P3/04
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557062
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 IB2022052347
(87)【国際公開番号】W WO2022195489
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523351368
【氏名又は名称】トライプ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ギリガン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ノルダー ラリー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086DA34
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA63
4C086MA65
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA70
4C086ZC02
4C086ZC39
(57)【要約】
投与後30分未満で対象において解離状態を誘導するのに十分な量のシロシビンまたはシロシンを対象に投与する工程;およびその後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を含む、対象における心理的障害を処置するための改善された方法が、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における心理的障害を処置する方法であって、
心理的障害を有する対象に、投与後30分未満で該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
【請求項2】
前記対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、前記対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
心理的障害を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
該対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、該対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
解離状態を誘導する方法。
【請求項4】
心理的障害を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
該対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、該対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
解離状態を誘導する方法。
【請求項5】
心理的障害を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;
該対象が解離状態に入っているかを決定するために、該対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程;および
該対象が解離状態に入っているならば、サイケデリックの該量を治療有効用量として決定する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
サイケデリックの治療有効用量を決定する方法。
【請求項6】
心理的障害を有する対象における解離状態を維持する方法であって、
投与後30分未満で該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを該対象に投与する工程;および
該対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、該対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程;および
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項記載の方法を実行する工程;および
サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含み;それにより、心理的障害を処置する、
心理的障害を処置する方法。
【請求項8】
幻肢痛を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
対象における幻肢痛を処置する方法。
【請求項9】
サイケデリックの投与が静脈内投与による、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
解離状態が、前記対象において投与後15、30、60、90もしくは120分未満以内、または約15、30、60、90もしくは120分未満以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で誘導される、請求項1~5および7~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
解離状態が、前記対象において投与後30分未満または約30分未満以内に誘導される、請求項1~5および7~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程をさらに含む、請求項3~5および8~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
脳活動の非侵襲測定が、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、およびオプトエンセファログラフィー(optoencephalography)(OEG)の中より選択される、請求項2、3、5、7、および9~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
脳活動の非侵襲測定がEEGである、請求項2、3、5、7、および9~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
脳活動の非侵襲測定が、体験の質問表ベースの評価である、請求項2、3、5、7、および9~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
サイケデリック体験の質問表ベースの評価が、神秘的体験質問表(MEQ30)評価、挑戦的体験質問表(CEQ)評価、心理的洞察質問表(PIQ)評価、質的筆記評定、および/またはモニター評定尺度(MRS)質問表のうち1つまたは複数の中より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、前記対象から脳活動のさらなる非侵襲測定を得る工程をさらに含む、請求項2、3、5、7、および9~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、前記対象からEEGのさらなる測定を得る工程をさらに含む、請求項4、6~12、および14のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
EEGの測定が、Lempel-Ziv複雑度(LZC)によって表現される通り分析される、請求項4、6~12、14、および18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
脳活動の非侵襲測定が、投与の前、途中および/または後に得られる、請求項2、3、5、7、および9~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
投与後の脳活動の非侵襲測定が、解離状態の終了を示す、請求項20記載の方法。
【請求項22】
EEGの測定が、投与の前、途中および後に得られる、請求項4、6~12、14、18、および19のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
投与後のEEGの測定が、解離状態の終了を示す、請求項22記載の方法。
【請求項24】
解離状態が、投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20分以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20分以内に誘導される、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
解離状態が、投与後5分以内または約5分以内に誘導される、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
治療ウインドウが、0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間、または約0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間である、請求項1、6、7、および9~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
治療ウインドウが、0.5時間または約0.5時間から、4時間または約4時間である、請求項1、6、7、および9~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
解離状態を終了させるために、サイケデリックの投与を終了する工程をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
解離状態の終了が、サイケデリックの投与の終了後30、60、90、120、もしくは180分以内、または約30、60、90、120、もしくは180分以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で起こる、請求項28記載の方法。
【請求項30】
解離状態の終了が、サイケデリックの投与の終了後60分以内または約60分以内に起こる、請求項28または29記載の方法。
【請求項31】
サイケデリックが、投与の開始後30~120分以内または約30~120分以内に所定のC
maxを産生するように投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
サイケデリックが、投与の開始後45~90分以内または約45~90分以内に所定のC
maxを産生するように投与される、請求項1~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
サイケデリックが、投与の1~10分以内または約1~10分以内に所定のC
maxを産生するように投与される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
C
maxが、1μg/L~50μg/Lまたは約1μg/L~50μg/Lである、請求項30~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
C
maxが、10μg/L~20μg/Lまたは約10μg/L~20μg/Lである、請求項30~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
C
maxが、10μg/L~15μg/Lまたは約10μg/L~15μg/Lである、請求項30~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
解離状態が、サイケデリックの負荷用量の静脈内投与によって誘導される、請求項1~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記負荷用量が、サイケデリックの初回ボーラスの投与を含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
初回ボーラス用量が、1mg、2mg、3mg、4mgもしくは5mg、または約1mg、2mg、3mg、4mgもしくは5mgである、請求項37または38記載の方法。
【請求項40】
前記サイケデリックの負荷用量が、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される、請求項37~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
前記サイケデリックの負荷用量が、3分または約3分の期間にわたり投与される、請求項37~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記サイケデリックの初回ボーラスが、0.02mg/kgまたは約0.02mg/kgから、0.2mg/kgまたは約0.2mg/kgの用量である、請求項38~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
解離状態が、約0.1mg/kgから約0.2mg/kgの用量でのサイケデリックの初回ボーラスの静脈内投与によって誘導される、請求項1~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
サイケデリックの平均血漿濃度が、サイケデリックの維持用量の投与によって治療ウインドウの間に所定の値に維持される、請求項1、6、7、および9~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
サイケデリックの維持用量が、サイケデリックの連続または間欠投与によって投与される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
連続または間欠投与が、静脈内経路を介する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記維持用量が、点滴静注によって投与される、請求項44~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
サイケデリックの維持用量が、サイケデリックの間欠投与によって投与され、かつ間欠投与が、皮下、経口、経皮、筋肉内、鼻腔内、鼻腔内/咽頭、または口内経路を介する、請求項45記載の方法。
【請求項49】
前記維持用量が、0.2mg/minまたは約0.2mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度でのサイケデリックの点滴静注によって投与される、請求項45~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
サイケデリックの連続投与が、0.1mg/minまたは約0.1mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度である、請求項45~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
対象における心理的障害を処置する方法であって、
心理的障害を有する対象に、1mgまたは約1mgから、5mgまたは約5mgの量の初回ボーラスの静脈内投与によりサイケデリックの負荷用量を投与する工程;および
治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、0.02mg/minまたは約0.02mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度での点滴静注によってサイケデリックの維持用量を連続投与する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
【請求項52】
対象における心理的障害を処置する方法であって、
0.5mL/minまたは約0.5mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度での、5分または約5分から、20分または約20分の期間にわたる点滴静注によってサイケデリックの負荷用量を心理的障害を有する対象に投与する工程;および
治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度での、30分または約30分から、120分または約120分の期間にわたる点滴静注によってサイケデリックの維持用量を連続投与する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
【請求項53】
サイケデリックの負荷用量が、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度で投与される、請求項37~52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
サイケデリックの負荷用量が、1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される、請求項37~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
前記維持用量が、0.1mL/minから1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される、請求項44~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
前記維持用量が、0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で投与される、請求項44~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記維持用量が、30、60、90もしくは120分、または約30、60、90もしくは120分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される、請求項44~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
前記維持用量が、最大で60分または約60分の期間にわたり投与される、請求項44~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
前記維持用量が、最大で120分または約120分の期間にわたり投与される、請求項44~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
治療ウインドウが、30分または約30分から、120分または約120分である、請求項1、6、7、および9~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
治療ウインドウが、60分または約60分である、請求項1、6、7、および9~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
治療ウインドウが、120分または約120分である、請求項1、6、7、および9~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で、1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または約1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または前記のいずれかにより定義される範囲である、請求項1~62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で2.5mgまたは約2.5mgである、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で5mgまたは約5mgである、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で10mgまたは約10mgである、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
サイケデリックが、シロシン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である、請求項1~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
サイケデリックがシロシンである、請求項1~67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
サイケデリックが、シロシビン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である、請求項1~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
サイケデリックがシロシビンである、請求項1~66および69のいずれか一項記載の方法。
【請求項71】
サイケデリックがシロシンであり、かつ前記対象に投与されるシロシンの合計量が、最大で2.5mgまたは約2.5mgであり、かつシロシンの投与が、60分または約60分の期間にわたり実行される、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項72】
サイケデリックがシロシビンであり、かつ前記対象に投与されるシロシビンの合計量が最大で5mgまたは約5mgであり、かつシロシビンの投与が、60分または約60分の期間にわたり実行される、請求項1~66、69、および70のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値が、1~50μg/Lまたは約1~50μg/Lである、請求項1、2、6、7、および12~72のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値が、10~20μg/Lまたは約10~20μg/Lである、請求項1、2、6、7、および12~73のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値が、10~15μg/Lまたは約10~15μg/Lである、請求項1、2、6、7、および12~74のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
治療ウインドウの間に前記対象に心理的支援を提供する工程をさらに含む、請求項1~75のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
5HT
2A受容体アンタゴニストを投与することによって処置ウインドウの終わりに前記対象を解離状態から離脱させる工程をさらに含む、請求項1~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項78】
心理的障害が、PTSD、アルコール添加、薬物嗜癖、治療抵抗性うつ病、不安、エンドオブライフ不安、摂食障害、線維筋痛症、神経障害性疼痛、幻肢痛、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、およびむちゃ食い障害からなる群より選択される、請求項1~7および9~77のいずれか一項記載の方法。
【請求項79】
心理的障害が、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、むちゃ食い障害、および線維筋痛症からなる群より選択される、請求項1~7および9~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
心理的障害が痛覚変調性疼痛障害である、請求項1~7および9~77のいずれか一項記載の方法。
【請求項81】
心理的障害が線維筋痛症である、請求項1~7および9~80のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
心理的障害が幻肢痛である、請求項1~7および9~80のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
心理的障害が複合性局所疼痛症候群である、請求項1~7および9~80のいずれか一項記載の方法。
【請求項84】
前記対象が有害事象を体験する場合に前記投与を中止する工程をさらに含む、請求項1~83のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
サイケデリックが、少なくとも1つの追加的な治療剤と共に投与される、請求項1~84のいずれか一項記載の方法。
【請求項86】
サイケデリックを投与されている複数の対象のうち少なくとも70%、80%、90%または95%において解離状態の誘導をもたらす、請求項1~85のいずれか一項記載の方法。
【請求項87】
サイケデリックを投与されている複数の対象のうち少なくとも70%、80%、90%または95%においてサイケデリックの平均血漿レベルの維持をもたらす、請求項1~86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
前記対象がヒトである、請求項1~87のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月15日に出願された「サイケデリックの使用のための改善された方法(IMPROVED METHODS FOR THE USE OF PSYCHEDELICS)」という名称の米国仮出願第63/161,070号の優先権を主張するものであり、その内容は、それらの全体が参照により組み入れられる。
【0002】
分野
本技術は、心理的障害の処置におけるシロシビン、シロシンおよび他のサイケデリック化合物の使用のための製剤および改善された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
シロシビン(4-ホスホロイルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)は、向精神効果を産生するジメチルトリプタミン(DMT)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)およびメスカリンと類似の効果を有するトリプタミンサイケデリックである。シロシビンは、ある一定のメンタルヘルス状態のための処置として研究されている。しかし、改善された方法および組成物が、中毒の潜在性などの課題を克服するために必要とされ、用量および薬物動態パラメータを制御する難しさが存在する。このような必要性に見合う方法および組成物が、本明細書に提供される。
【発明の概要】
【0004】
概要
サイケデリックの投与を伴う、対象における心理的障害を処置する方法が、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0005】
提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、心理的障害を有する対象に、投与後30分未満で対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;およびその後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0006】
任意の態様のいくつかでは、方法はまた、対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程を伴う。
【0007】
サイケデリックの投与を伴う解離状態を誘導する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、心理的障害を有する対象に、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0008】
心理的障害を有する対象に、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程を伴う、解離状態を誘導する方法もまた、本明細書に提供され、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0009】
サイケデリックの治療有効用量を決定する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、心理的障害を有する対象に、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;対象が解離状態に入っているかを決定するために、対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程;および対象が解離状態に入っているならば、サイケデリックの該量を治療有効用量として決定する工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0010】
心理的障害を有する対象において解離状態を維持する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、対象に、投与後30分未満で対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程;およびその後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0011】
心理的障害を処置する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、本明細書に提供される方法のいずれかを行う工程、およびサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴い;それにより、心理的障害を処置する。
【0012】
対象における幻肢痛を処置する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、幻肢痛を有する対象に、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0013】
提供された態様のいずれかのいくつかでは、サイケデリックの投与は、静脈内投与による。
【0014】
任意の態様のいくつかでは、解離状態は、投与後15、30、60、90もしくは120分未満、または約15、30、60、90もしくは120分未満以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で対象において誘導される。任意の態様のいくつかでは、解離状態は、対象において投与後30分未満または約30分未満以内に誘導される。
【0015】
任意の態様のいくつかでは、方法はまた、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴う。
【0016】
任意の態様のいくつかでは、脳活動の非侵襲測定は、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、およびオプトエンセファログラフィー(optoencephalography)(OEG)の中より選択される。任意の態様のいくつかでは、脳活動の非侵襲測定はEEGである。
【0017】
任意の態様のいくつかでは、脳活動の非侵襲測定は、体験の質問表ベースの評価である。任意の態様のいくつかでは、サイケデリック体験の質問表ベースの評価は、神秘的体験質問表(MEQ30)評価、挑戦的体験質問表(CEQ)評価、心理的洞察質問表(PIQ)評価、質的筆記評定、および/またはモニター評定尺度(MRS)質問表のうち1つまたは複数の中より選択される。
【0018】
任意の態様のいくつかでは、方法はまた、治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、対象から脳活動のさらなる非侵襲測定を得る工程を伴う。任意の態様のいくつかでは、方法はまた、治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、対象からEEGのさらなる測定を得る工程を伴う。
【0019】
任意の態様のいくつかでは、EEGの測定は、Lempel-Ziv複雑度(LZC)によって表現される通り分析される。
【0020】
任意の態様のいくつかでは、脳活動の非侵襲測定は、投与の前、途中および/または後に得られる。任意の態様のいくつかでは、EEGの測定は、投与の前、途中および後に得られる。
【0021】
任意の態様のいくつかでは、投与後の脳活動の非侵襲測定は、解離状態の終了を示す。任意の態様のいくつかでは、投与後のEEGの測定は、解離状態の終了を示す。
【0022】
任意の態様のいくつかでは、解離状態は、投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしく20分以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしく20分以内に誘導される。任意の態様のいくつかでは、解離状態は、投与後5分以内または約5分以内に誘導される。
【0023】
任意の態様のいくつかでは、治療ウインドウは、0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間、または約0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間である。任意の態様のいくつかでは、治療ウインドウは、0.5時間または約0.5時間から、4時間または約4時間である。
【0024】
提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法はまた、解離状態を終了させるためにサイケデリックの投与を終了する工程を伴う。
【0025】
任意の態様のいくつかでは、解離状態の終了は、サイケデリックの投与の終了後30、60、90、120、もしくは180分以内、または約30、60、90、120、もしくは180分以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で起こる。任意の態様のいくつかでは、解離状態の終了は、サイケデリックの投与の終了後60分以内または約60分以内に起こる。
【0026】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックは、投与の開始後30~120分以内または約30~120分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックは、投与の開始後45~90分以内または約45~90分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックは、投与の1~10分以内または約1~10分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。
【0027】
任意の態様のいくつかでは、Cmaxは、1μg/L~50μg/Lまたは約1μg/L~50μg/Lである。任意の態様のいくつかでは、Cmaxは、1μg/L~20μg/Lまたは約1μg/L~20μg/Lである。任意の態様のいくつかでは、Cmaxは、10μg/L~20μg/Lまたは約10μg/L~20μg/Lである。任意の態様のいくつかでは、Cmaxは、10μg/L~15μg/Lまたは約10μg/L~15μg/Lである。
【0028】
任意の態様のいくつかでは、解離状態は、サイケデリックの負荷用量の静脈内投与によって誘導される。
【0029】
任意の態様のいくつかでは、負荷用量は、サイケデリックの初回ボーラスの投与を含む。任意の態様のいくつかでは、初回ボーラスは、1mg、2mg、3mg、4mgもしくは5mg、または約1mg、2mg、3mg、4mgもしくは5mgである。
【0030】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの負荷用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの負荷用量は、3分または約3分の期間にわたり投与される。
【0031】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの初回ボーラスは、0.02mg/kgまたは約0.02mg/kgから、0.2mg/kgまたは約0.2mg/kgの用量である。
【0032】
任意の態様のいくつかでは、解離状態は、約0.1mg/kgから約0.2mg/kgの用量のサイケデリックの初回ボーラスの静脈内投与によって誘導される。
【0033】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの平均血漿濃度は、サイケデリックの維持用量の投与によって治療ウインドウの間に所定の値に維持される。
【0034】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの維持用量は、サイケデリックの連続または間欠投与によって投与される。任意の態様のいくつかでは、連続または間欠投与は、静脈内経路を介する。
【0035】
任意の態様のいくつかでは、維持用量は、点滴静注によって投与される。
【0036】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの維持用量は、サイケデリックの間欠投与によって投与され、間欠投与は、皮下、経口、経皮、筋肉内、鼻腔内、鼻腔内/咽頭、または口内経路を介する。
【0037】
任意の態様のいくつかでは、維持用量は、0.2mg/minまたは約0.2mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度のサイケデリックの点滴静注によって投与される。
【0038】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの連続投与は、0.1mg/minまたは約0.1mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度である。
【0039】
対象における心理的障害を処置する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、心理的障害を有する対象に、1mgまたは約1mgから、5mgまたは約5mgの量の初回ボーラスの静脈内投与によりサイケデリックの負荷用量を投与する工程;および治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、0.02mg/minまたは約0.02mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度での点滴静注によってサイケデリックの維持用量を連続投与する工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。
【0040】
対象における心理的障害を処置する方法もまた、本明細書に提供される。提供された態様のいずれかのいくつかでは、方法は、心理的障害を有する対象に、0.5mL/minまたは約0.5mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度での、5分または約5分から、20分または約20分の期間にわたる点滴静注によってサイケデリックの負荷用量を投与する工程;および治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度での、30分または約30分から、120分または約120分の期間にわたる点滴静注によってサイケデリックの維持用量を連続投与する工程を伴い、その際、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるである。
【0041】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの負荷用量は、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度で投与される。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの負荷用量は、1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される。
【0042】
任意の態様のいくつかでは、維持用量は、0.1mL/minから1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される。任意の態様のいくつかでは、維持用量は、0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で投与される。
【0043】
任意の態様のいくつかでは、維持用量は、30、60、90もしくは120分、または約30、60、90 もしくは120分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される。任意の態様のいくつかでは、維持用量は、最大で60分または約60分の期間にわたり投与される。任意の態様のいくつかでは、維持用量は、最大で120分または約120分の期間にわたり投与される。任意の態様のいくつかでは、治療ウインドウは、30分または約30分から、120分または約120分である。
【0044】
任意の態様のいくつかでは、治療ウインドウは、60分または約60分である。任意の態様のいくつかでは、治療ウインドウは、120分または約120分である。
【0045】
任意の態様のいくつかでは、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で、1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または約1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または前記のいずれかにより定義される範囲である。任意の態様のいくつかでは、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で2.5mgまたは約2.5mgである。任意の態様のいくつかでは、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で5mgまたは約5mgである。任意の態様のいくつかでは、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で10mgまたは約10mgである。
【0046】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックは、シロシン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックはシロシンである。
【0047】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックは、シロシビン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックはシロシビンである。
【0048】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックはシロシンであり、対象に投与されるシロシンの合計量は、最大で2.5mgまたは約2.5mgであり、シロシンの投与は、60分または約60分の期間にわたり実行される。
【0049】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックはシロシビンであり、対象に投与されるシロシビンの合計量は、最大で5mgまたは約5mgであり、シロシビンの投与は、60分または約60分の期間にわたり実行される。
【0050】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値は、1~50μg/Lまたは約1~50μg/Lである。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値は、10~20μg/Lまたは約10~20μg/Lである。任意の態様のいくつかでは、サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値は、10~15μg/Lまたは約10~15μg/Lである。
【0051】
任意の態様のいくつかでは、方法はまた、治療ウインドウの間に対象に心理的支援を提供する工程を伴う。
【0052】
任意の態様のいくつかでは、方法はまた、5HT2A受容体アンタゴニストを投与することによって、処置ウインドウの終わりに対象を解離状態から離脱させる工程を伴う。
【0053】
任意の態様のいくつかでは、心理的障害は、PTSD、アルコール添加、薬物嗜癖、治療抵抗性うつ病、不安、エンドオブライフ不安、摂食障害、線維筋痛症、神経障害性疼痛、幻肢痛、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、およびむちゃ食い障害からなる群より選択される。任意の態様のいくつかでは、心理的障害は、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、むちゃ食い障害、および線維筋痛症からなる群より選択される。
【0054】
任意の態様のいくつかでは、心理的障害は痛覚変調性疼痛障害である。任意の態様のいくつかでは、心理的障害は線維筋痛症である。任意の態様のいくつかでは、心理的障害は幻肢痛である。任意の態様のいくつかでは、心理的障害は複合性局所疼痛症候群である。
【0055】
任意の態様のいくつかでは、方法はまた、対象が有害事象を体験する場合に投与を中止することを伴う。
【0056】
任意の態様のいくつかでは、サイケデリックは、少なくとも1つの追加的な治療剤と共に投与される。
【0057】
任意の態様のいくつかでは、方法は、サイケデリックを投与されている複数の対象のうち少なくとも70%、80%、90%または95%において解離状態の誘導をもたらす。
【0058】
任意の態様のいくつかでは、方法は、サイケデリックを投与されている複数の対象のうち少なくとも70%、80%、90%または95%においてサイケデリックの平均血漿レベルの維持をもたらす。
【0059】
第1の局面では、対象における心理的障害を処置する方法であって、
対象に、投与後30分未満で対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含む、方法が提供される。
【0060】
一態様では、解離状態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、約10、約15、約20、約25、または約30分未満以内に誘導される。治療ウインドウは、約0.5、1、2、3、4、5、または6時間であり得る。
【0061】
一態様では、サイケデリックのCmaxは、投与の1から10分以内に起こる。Cmaxは、1から少なくとも約50μg/Lであり得る。
【0062】
いくつかの態様では、解離状態は、約0.01から0.2mg/kgの用量で静脈内投与されたサイケデリックのボーラスの初回投与によって誘導される。
【0063】
いくつかの態様では、解離状態は、シロシビンまたはシロシンの初回静脈内投与されたボーラスの投与によって誘導される。シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせの初回静脈内用量は、約1、2、3、4、または5mgであり得る。あるいは、シロシビンの初回静脈内用量は、約0.01~0.2mg/kg、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または約0.1mg/kgであり得る。
【0064】
いくつかの態様では、解離状態は、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせの初回経口用量の投与によって誘導され、0.1~1.0mg/kg、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0mg/kgであり得る。あるいは、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせの初回経口用量は、10~40mg、例えば10、15、20、25、30、35または40mgであり得る。
【0065】
初回用量の後、サイケデリックの平均血漿濃度は、サイケデリックの連続または間欠投与によって、治療ウインドウの間に所定の値に維持される。例えば、サイケデリックは、0.02mg/minから1mg/minの速度で連続的に静脈内投与され得る。いくつかの態様では、サイケデリックは、経皮的に連続投与され得る。あるいは、サイケデリックは、例えば静脈内または経口的に間欠投与され得る。
【0066】
態様では、サイケデリックの所定の血漿濃度は、約1μg/L~50μg/Lである。
【0067】
一態様では、サイケデリックは、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせであり、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持するために静脈内投与される。
【0068】
シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせの静脈内用量は、約1、2、3、4、または5mgであり得る。あるいは、シロシビンの静脈内用量は、約0.01~0.2mg/kg、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または約0.1mg/kg、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、もしくは0.2mg/kgであり得る。
【0069】
一態様では、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせは、経口投与される。
【0070】
シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせの経口用量は、約2mgから少なくとも約15mg、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または少なくとも約15mgであり得る。あるいは、シロシビンの経口用量は、約0.05~0.2mg/kg、例えば0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、または0.2mg/kgであり得る。
【0071】
方法は、治療ウインドウの間に対象に心理的支援を提供する工程をさらに含む。
【0072】
方法は、処置ウインドウの終わりに、または患者が有害事象を体験する場合に、リスペリドン、オランザピン、ミルタザピンまたはミアンセリンなどの5HT2A受容体アンタゴニストを投与することによって、対象を解離状態から離脱させる工程をさらに含み得る。
【0073】
心理的障害は、PTSD、アルコール添加、薬物嗜癖、治療抵抗性うつ病、不安、エンドオブライフ不安、摂食障害、線維筋痛症、神経障害性疼痛、幻肢痛、視床下部誘導性肥満、およびプラダー・ウィリー症候群、むちゃ食い障害からなる群より選択され得る。好ましくは、心理的障害は、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、むちゃ食いまたは線維筋痛症である。
【0074】
いくつかの態様では、サイケデリックは、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせである。
【0075】
いくつかの態様では、サイケデリックは、心理的障害のための少なくとも1つの追加的な治療剤と共に投与される。
【0076】
好ましい態様では、サイケデリックは、静脈内投与される。
【0077】
いくつかの態様では、サイケデリックは、別の医薬品と一緒にまたは順次に投与される。
【0078】
第2の局面では、対象における心理的障害を処置するためのサイケデリックの治療有効用量を決定する方法であって、
投与後30分未満で対象における解離状態を誘導するのに十分な量のシロシビンまたはシロシンを対象に投与する工程;および
対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象からEEGを得る工程;
その後、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含む、方法が提供される。
【0079】
いくつかの態様では、方法は、治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、対象からさらなるEEGを得る工程をさらに含み得る。
【0080】
任意の態様のいくつかでは、心理的障害を処置する方法、解離状態を誘導する方法、サイケデリックの治療有効用量を決定する方法、および心理的障害を有する対象における解離状態を維持する方法、対象における幻肢痛を処置する方法を含む、本明細書に記載される態様のいずれかによる、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用が、本明細書に提供される。任意の態様のいくつかでは、心理的障害を処置する方法、解離状態を誘導する方法、サイケデリックの治療有効用量を決定する方法、および心理的障害を有する対象における解離状態を維持する方法、対象における幻肢痛を処置する方法を含む、本明細書に記載される態様のいずれかにおける使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックが、本明細書に提供される。任意の態様のいくつかでは、心理的障害を処置する方法、解離状態を誘導する方法、サイケデリックの治療有効用量を決定する方法、および心理的障害を有する対象における解離状態を維持する方法、対象における幻肢痛を処置する方法を含む、本明細書に記載される態様のいずれかによる使用のための医薬の製造におけるシロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用が、本明細書に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1A】
図1Aおよび
図1Bは、10mg/kgのシロシン(
図1A)またはシロシビン(
図1B)の1時間点滴静注の途中および後の3匹のラットの血漿シロシン濃度を示す。
【
図1B】
図1Aおよび
図1Bは、10mg/kgのシロシン(
図1A)またはシロシビン(
図1B)の1時間点滴静注の途中および後の3匹のラットの血漿シロシン濃度を示す。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、10mg/kgシロシビンの1時間点滴静注の前、途中、および後の3匹のラットにおける脳波検査(EEG)に基づき決定された場合の正規化時間的Lempel-Ziv複雑度(LZC
N)の推定を示す。
図2Aは、個別の時間的LZC
N値を示す。
図2Bは、時間的LZC
N値の箱ひげ図分布を示す。
【
図3】
図3は、シロシビンの点滴前にイソフルラン麻酔薬を受け入れた(ISO+)または受け入れていない(ISO-)ラットを用いた、10mg/kgシロシビンの3分間点滴静注後のラットにおける血漿シロシン濃度を示す。
【
図4A】
図4Aおよび
図4Bは、ホルマリン誘導ラット疼痛モデル(ラットの後肢にホルマリンを注射する)および点滴静注を介した10mg/kgシロシビンまたは生理食塩水のいずれかにおけるVon Freyアッセイ(VFA)引っ込め(withdrawal)閾値を示す。
図4Aは、注射された肢についての引っ込め閾値を示す。
【
図4B】
図4Aおよび
図4Bは、ホルマリン誘導ラット疼痛モデル(ラットの後肢にホルマリンを注射する)および点滴静注を介した10mg/kgシロシビンまたは生理食塩水のいずれかにおけるVon Freyアッセイ(VFA)引っ込め(withdrawal)閾値を示す。
図4Bは、対側の肢についての引っ込め閾値を示す。
【
図5】
図5は、ホルマリン誘導ラット疼痛モデル(ラットの後肢にホルマリンを注射する)および点滴静注を介した10mg/kgシロシビンまたは生理食塩水のいずれかでの52.5℃のホットプレートからのホットプレートアッセイ(HPA)引っ込め潜時を示す。
【
図6】
図6は、シロシンまたはシロシビンの経口(PO)または点滴静注による投与後360分にわたるヒト対象における血漿シロシンの例示的な推定濃度を示す。プロットは、Brown et al. (2017). Clin Pharmacokinet. 56(12):1543-1554に記載されるような観察された血漿濃度を含む。
【発明を実施するための形態】
【0082】
詳細な説明
例えばシロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの静脈内投与による投与を伴う、解離状態またはサイケデリック状態を誘導する方法および処置の方法が、本明細書に提供される。いくつかの局面では、例えば処置または処置レジメンの方法のための、サイケデリックの治療有効用量を決定する方法もまた、提供される。心理的障害、例えば、心理的要素を有する疾患およびある種の疼痛関連障害、例えば痛覚変調性疼痛障害を処置または回復させるための方法が、本明細書に提供される。いくつかの局面では、提供される方法は、シロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックを、例えば静脈内投与を介して投与する工程を伴う。いくつかの局面では、心理的障害またはその1つもしくは複数の症状を処置または回復させるためのサイケデリックを投与する方法およびその治療的または予防的使用などの使用が、本明細書に提供される。いくつかの局面では、サイケデリックの投与の前、途中または後に対象の解離状態またはサイケデリック状態をモニタリングする工程を伴う方法もまた、提供される。いくつかの局面では、提供される方法は、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定、例えば脳波検査(EEG)によってモニタリングする工程を伴う。いくつかの局面では、例えば処置方法または処置レジメンのための、サイケデリックの治療有効用量を決定するための方法もまた、提供される。いくつかの局面では、提供される方法および使用は、心理的障害の改善、例えば臨床的改善、または回復につながる。
【0083】
いくつかの態様では、サイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)およびサイケデリックを含む組成物は、様々な治療的、診断的、および予防的適応において有用である。例えば、組成物は、対象における心理的障害などの様々な疾患および障害を処置するのに有用である。このような方法および使用は、治療的方法および使用、例えば、心理的障害または疾患などの疾患、状態、または障害を有する対象へのサイケデリックの投与を伴うものを含む。いくつかの態様では、サイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)は、疾患または障害の処置を引き起こすための有効量で投与される。使用は、このような方法および処置における、およびこのような治療法を実行するための医薬の調製における組成物の使用を含む。いくつかの態様では、方法は、心理的障害などの疾患または状態を有するまたは有する疑いのある対象にサイケデリック(例えばシロシンまたはシロシビン)を投与することによって実行される。いくつかの態様では、それにより方法は、対象における疾患、状態、または障害を処置する。
【0084】
このような方法および処置における、ならびにこのような方法を実行するための医薬の調製における、シロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの使用もまた、本明細書に提供される。いくつかの態様では、それにより方法および使用は、対象における心理的障害またはその1つもしくは複数の症状を改善、回復および/または処置する。いくつかの態様では、提供される治療的方法および使用は、投与、例えば、心理的障害の1つまたは複数の症状を有する、示すまたは患う対象への、対象において解離状態もしくはサイケデリック状態を迅速に誘導するのに十分な量、および/または心理的障害1つもしくは複数の症状を改善もしくは回復させるために有効な量のシロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの静脈内投与を伴う。
【0085】
シロシビン(4-ホスホロイルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)は、ジメチルトリプタミン(DMT)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)およびメスカリンと類似の効果を有するトリプタミンサイケデリックである。これらの作用物質は、多彩な錯視、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、および運動知覚における変化、変容した時空間知覚、身体像における変化、および自我解体を含む感覚、ならびに驚きおよび至福から悲しみおよび悲嘆の感情に及ぶ著しい気分変化を有する著しい夢様状態を形成すると特徴付けられている向精神効果を産生する。
【0086】
適切に管理されかつ支援された状況で投与されたシロシビンは、長期持続型の陽性の心理的効果を有することができ、うつおよび不安症状の減少ならびに嗜癖性物質を断つことを示す長期の陽性効果が、臨床試験で観察されている。
【0087】
サイケデリック(シロシビンを含む)の一般的な作用機作は、セロトニン作動性(5-HT)経路を介する。シロシビンは、強力な5-HT2A受容体アゴニストのみならず、5-HT1Aおよび5-HT2C受容体の中等度アゴニストであるシロシンのプロドラッグである。視床(知覚情報を中継する脳領域)内の5-HT2A受容体の活性化は、視床の活動を減少させ、一般的に幻覚と称される知覚変容につながる。シロシビンの直接5-HT2A受容体アゴニスト特性は、環境に対する感受性を高めるのみならず、心理的支援と組み合わせた場合に、治療的に強力であると仮定されている情動の解放を容易にする。すなわち、シロシビンが知覚およびセロトニン作動性活性を変容する能力により、大うつ病性障害、治療抵抗性うつ病、不安または不安関連障害などの知覚異常によって特徴付けられるメンタルヘルス状態のための処置として詳細に研究されている。シロシビンはまた、物質乱用障害への使用のために研究されている。
【0088】
シロシビンは、プロドラッグであって、インビボでアルカリホスファターゼ活性によって活性シロシンに変換される。中毒についてのシロシビンの閾値は、約0.20mg/kg体重であり、経口投与後の幻覚誘発効果は、典型的には、使用の最初の60~90分以内に開始し、それから3~6時間以内に終わるが、かなりの対象間変動があり、このことが、心理的障害を処置するためのサイケデリック物質の従来的な使用についての問題を提起している。具体的には、シロシビンなどのサイケデリックの投与後、血漿濃度時間曲線下面積に広い対象間変動があり、CmaxおよびTmaxに、したがって解離状態の誘導までの時間および解離状態の持続時間(有効な処置に必要とされる)に大きな対象間変動がある。すなわち、シロシビンおよび他のサイケデリック)の薬物動態パラメータにおける広い対象間変動が原因で、シロシビン、シロシン、および他のサイケデリックについての治療ウインドウを予測または制御することは困難である。したがって、シロシビンの典型的な用量は、特に経口投与された場合、高すぎて精神病(「バッドトリップ」)につながる可能性があるか、または低すぎるかであり、かつ解離状態が達成されないような、血漿濃度を達成している患者をもたらす可能性がある。
【0089】
シロシビンおよびLSDなどのサイケデリック物質を使用する処置での別の問題は、対象が2人のセラピストと最低8~10時間一緒にいる必要があることである。セラピストは、サイケデリックの投与前に患者と一緒にいる必要があり、患者が解離状態に入る前に最大で3時間の遅延時間が生じる可能性があり、解離状態は、追加的に最大で6時間持続する可能性があり、これは、有用な治療ウインドウをはるかに超えている。
【0090】
本発明者らは、シロシン、シロシビンおよび他のサイケデリックについての投薬制御を可能にして、サイケデリックのより有効な治療的使用ができるようにする、製剤および方法を開発した。サイケデリックを投与する既存の方法の困難および限界に取り組むことができる組成物、方法および使用が、提供される。
【0091】
方法を含む提供される態様は、処置を行っている医師が以下のパラメータのうち1つまたは複数を制御することを可能にする:
・ 解離状態の開始までの時間
・ 解離状態の持続期間
・ サイケデリックのCmax。
【0092】
方法を含む提供される態様はまた、処置を行っている医師が以下のパラメータのうち1つまたは複数をモニタリングおよび制御することを可能にする:
・ 解離状態に入るまでの時間
・ 解離状態から脱すること
・ サイケデリックの平均血漿濃度
・ 投与の持続期間
・ 有害事象が起こった場合の投与終了。
【0093】
これらのパラメータの制御は、対象が精神病エピソードを体験すること、または精神病エピソードなどの有害事象を体験する高いリスクに対象をさらすことにつながり得るサイケデリックの高い血漿濃度を回避することを含むいくつかの利点を提供する。いくつかの局面では、高い血漿濃度は、血圧、心拍および頻拍または不整脈のリスクにおける増加などの、実際に心血管性である有害事象または副作用に関連し、血漿レベルの制御および高い血漿濃度の回避を可能にする、提供される態様は、サイケデリックによる治療的介入を改善する一方で、有害作用を最小限にする。追加的に、これらのパラメータを制御することを使用して、血圧上昇、頻脈、パニック発作、幻覚剤持続性知覚障害(HPDD)、不愉快な情動的反応(「バッドトリップ」)などのうち1つまたは複数などの、サイケデリックの望まれない作用を避けることができる。したがって、本明細書に開示される方法を含む態様は、解離状態をモニタリングする、治療有効用量を決定する、ならびに対象の応答に応じて治療的処置を評定、調整および特化する能力などの様々な利点を提供する。
【0094】
いくつかの局面では、提供される態様は、シロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの静脈内投与が、種々の対象において再現性あり一貫した薬物動態および薬力学的プロファイルをもたらすという本明細書に記載される観察に基づく。本明細書に記載される場合のいくつかの局面では、点滴静注などのサイケデリックの静脈内投与は、EEGなどの脳活動の非侵襲測定を使用して測定された解離状態に入ることに付随する、サイケデリックの迅速で一貫した血漿レベルをもたらす。いくつかの局面では、投与の終了時に、血漿レベルにおける迅速な減少および解離状態から同時に脱することも観察される。観察はまた、EEGまたは行動観察などの脳活動の様々な例示的な非侵襲測定の有用性を支援して、対象の解離状態をモニタリングし、サイケデリックの用量、ならびにサイケデリックの血漿濃度および/または曝露などの薬物動態パラメータの制御および変化を可能にする。
【0095】
いくつかの局面では、提供される態様はまた、サイケデリックの静脈内投与が、痛覚変調性疼痛などの疼痛に関連する疾患および徴候に関連性のある疼痛の動物モデルにおける痛覚に対して有益効果を示したという観察に基づく。いくつかの局面では、投与後に数週間延長される、注射されていない肢におけるサイケデリックの静脈内投与の痛覚に対する実証された効果は、痛覚変調性疼痛障害、例えば、線維筋痛症、幻肢痛または複合性局所疼痛症候群などの疼痛関連障害の処置における提供される態様の有用性を支援している。いくつかの局面では、観察は、提供される態様の利点を支援している。
【0096】
いくつかの局面では、処置はまた、精神療法を伴う。いくつかの局面では、提供される方法および使用はまた、例えば1つまたは複数の臨床セッションにおける精神療法を伴う。いくつかの態様では、提供される治療的方法および使用は、例えば、場合によっては精神療法と組み合わせた、サイケデリックの対象への投与を伴う。
【0097】
本出願において参照される、特許文書、科学論文およびデータベースを含むすべての刊行物は、各々の刊行物が個別に参照により組み入れられた場合と同程度にすべての目的のためにそれらの全体が参照により組み入れられる。本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願および他の刊行物に示される定義と反対であるまたは別の形で一致しないならば、本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも優先される。
【0098】
本明細書に使用される節の見出しは、単に構成目的であり、記載される対象を限定するものと解釈されるべきではない。
【0099】
I. サイケデリック化合物の投与を伴う処置方法および使用
シロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの投与を伴う方法および使用が、本明細書に提供される。いくつかの局面では、提供される態様は、サイケデリックの静脈内投与を伴う。いくつかの局面では、提供される態様は、シロシンの1つもしくは複数の用量またはシロシビンの1つもしくは複数の用量などのサイケデリックの1つまたは複数の用量の静脈内投与を伴う。いくつかの局面では、提供される態様は、ある期間にわたる静脈内投与、例えばサイケデリックの点滴静注を伴う。いくつかの局面では、提供される態様は、対象に解離状態を誘導するのに十分な量でサイケデリックを投与する工程を伴う。いくつかの態様では、個体はまた、サイケデリックの投与と組み合わせてまたは共同して、例えば1つまたは複数の臨床セッションにおいて精神療法を受ける。
【0100】
本明細書に開示される方法は、心理的障害を治療または予防するためのシロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの対象への投与を伴う。典型的に、方法は、肝初回通過代謝を回避するためのサイケデリックの静脈内投与を伴う。鼻腔内、鼻腔内/咽頭、および口内経路、経皮などの肝初回通過効果を回避する他の投与経路も考慮される。皮下および筋肉内経路を介した非経口投与もまた考慮される。方法はまた、セラピスト、精神科医、サイコセラピストまたは他の適格な保健専門家による対象への心理的支援の提供を必要とする。
【0101】
方法は、次の3つの分類に入る効果によって特徴付けられる、「サイケデリック状態」または「解離状態」に対象が入ることを必要とする:
・ 知覚効果:変更された形状および色(しばしば、より鮮やかに、より鮮明に、かつ強烈に見える);視覚の歪み;幻視(開眼視覚および閉眼視覚);錯覚;眼の焦点のぼやけ;共感覚。
・ 精神効果:気分の変容(恍惚の多幸感からパニックへ);時間の歪み;思考の変容(集中困難、奇妙な概念、考え、または関係、創造性の増大);夢様感情;離人症;意識性が「拡大した」という感覚。
・ 身体効果:めまい;振戦;悪心;傾眠;霧視。
【0102】
特別な効果の相対的卓越は、特定の薬物、薬用量、および薬物が使用される設定に強く依存することができる。しかし、シロシビンおよびシロシンの場合、解離状態は、意識下体験の流れがより流動性で動的に見える認知の非拘束形態によって特徴付けられ、新規な神経状態が対象によって探索される。
【0103】
A. 投薬
いくつかの局面では、対象にシロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックを、対象において解離状態を誘導するのに十分なサイケデリックの量で投与する工程を伴う処置方法および使用が、提供される。いくつかの局面では、サイケデリックの量は、対象において、投与後15、30、60、90もしく120分未満、または約15、30、60、90もしく120分未満以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で解離状態を誘導するのに十分である。いくつかの局面では、サイケデリックの量は、対象において投与後30分未満または約30分未満以内で解離状態を誘導するのに十分である(例えば、サイケデリックの投与の開始後30分未満もしくは約30分未満、またはサイケデリックの投与の終了後30分未満または約30分未満)。いくつかの局面では、態様はまた、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴う。
【0104】
いくつかの局面では、サイケデリックは、静脈内投与によって投与される。いくつかの局面では、サイケデリックは、初回静脈内ボーラス注射によって投与される。いくつかの態様では、サイケデリックは、点滴静注、例えば、連続点滴および/または一定速度のサイケデリックを送達することによって投与される。いくつかの局面では、初回ボーラス注射および点滴静注の両方が投与される。
【0105】
いくつかの局面では、提供される方法は、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックの、例えば静脈内投与による、投与を伴う。いくつかの局面では、対象において投与後15、30、60、90もしくは120分未満、または約15、30、60、90もしくは120分未満、または前記のいずれかにより定義される範囲、例えば投与後30分未満または約30分未満で、解離状態を誘導するのに十分である、シロシビンまたはシロシンであるサイケデリックの量。
【0106】
いくつかの局面では、提供される態様はまた、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴う。いくつかの局面では、投与されたサイケデリックまたはその代謝物(例えばシロシン)の薬物動態パラメータは、対象において評定および/またはモニタリングされる。いくつかの局面では、提供される態様は、サイケデリックの平均血漿濃度などの血漿濃度を所定の値に達成する。いくつかの局面では、所定の値は、治療ウインドウの間にサイケデリック状態を維持するのに十分である。いくつかの局面では、サイケデリックの量または用量は、対象が解離状態に入る場合に治療有効用量として決定される。
【0107】
いくつかの局面では、薬物動態パラメータは、サイケデリックまたはその代謝物の血漿レベルである。いくつかの局面では、シロシンの血漿濃度が測定される。いくつかの態様では、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度到達時間(Tmax)、および/または曲線下面積(AUC)が、薬物動態パラメータとして決定される。いくつかの態様では、投与の薬用量、速度またはタイミングが、決定された薬物動態パラメータに基づき個別化、カスタマイズ、変化または調整される。
【0108】
薬理学的薬物応答およびバイオアベイラビリティを評定するために使用される例示的な薬物動態(PK)パラメータは、Cmax、Tmax、およびAUCを含む(Bialer et al, J Pharm Sci 1995;84(10):1160-3)。これらのパラメータを使用して、即放性医薬品の吸収の程度および速度を決定することができる。PK分析は、血漿が得られ、続いて薬物代謝物レベルについて分析される採血を伴うことができる(例えば、シロシンなどのサイケデリックまたはその代謝物)。いくつかの局面では、薬物動態パラメータ分析は、処置ウインドウの間の所与の時間に代謝物(例えばシロシン)の血漿濃度を提供する。
【0109】
Cmaxは、用量が投与された後の血漿、または分析のための他の生体材料の使用(例えば、血液、脳脊髄液、もしくは標的器官)中の薬物の最高濃度として定義される。薬物がプロセシングされるにつれ(すなわち、吸収、分布、代謝、および排泄)、対象の血漿濃度は動揺し、薬物の投与後に薬物が最大濃度(Cmax)に達するためにかかる時間はTmaxである。Tmaxは、薬物吸収および薬物消失の速度によって支配される。
【0110】
mg*h/Lの単位で表現することができる、投薬後の時間に対する薬物血漿濃度のプロット下面積(すなわち、曲線下面積またはAUC)は、薬物曝露の程度および身体からのクリアランスに関連する(Scheff et al., Pharm Res 2011;28(5):1081-9)。時間積分することによって、個別の濃度測定値に頼ることと比較して、全体的な薬物曝露のより正確な推定値が得られる。さらに、これらの測定値は、所与の薬物用量に対する正味の薬理学的応答を評定するために有用である(Krzyzanski and Jusko, J Pharm Sci 1998;87(1):67-72)。
【0111】
AUCについて、このパラメータは、AUC(0-t)またはAUC(0-∞)として計算することができる。一般に、AUC(0-t)は、時間=0から時間=tでの、投薬からの濃度時間曲線下面積として定義される。AUC(0-t)は、PK薬物プロファイルのより十分な理解を得るためにt=時間の複数の値について計算することができる。場合によっては、アッセイの持続期間は常に有限であるので、AUC(0-∞)は、無限時間に外挿されたAUC曲線である。AUC(0-∞)は、定数(Clast/λz)を加算してAUC(0-t)から計算され、その際、Clastは、最終観察された定量可能濃度であり、λzは、最終相速度定数である。AUCの値は、しばしば薬物代謝の追跡にまつわる複雑さおよび多数の変数が原因で、コンピュータを使用して計算される。
【0112】
いくつかの態様では、血漿濃度、CmaxまたはAUCなどの薬物動態パラメータは、解離状態に入ることおよび/またはそれから脱することを示す、またはそれに関連する。いくつかの局面では、薬物動態パラメータは、EEGなどの脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定を示す、またはそれに関連する。
【0113】
0.225mg/kgでのシロシビンの単回経口投与後のシロシンのピーク血漿レベルは、8.2+/-2.8ngシロシン/ml血漿の平均濃度を示す105+/-37分後に起こり、シロシビンの経口投与後のシロシンの絶対バイオアベイラビリティの推定値は52.7+/-20%である(Hasler et al, Pharm Acta Helv. 1997 Jun;72(3):175-84)。
【0114】
対照的に、いくつかの態様では、本明細書に開示される方法は、血漿シロシン濃度1~20μg/Lを達成して解離状態を誘導するためにシロシンまたはシロシビンの用量を利用する。
【0115】
いくつかの態様では、サイケデリックは、1μg/Lまたは約1μg/Lから、50μg/Lまたは約50μg/L、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50μg/L、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50μg/L、または前記のいずれかにより定義される範囲の所定のCmaxを産生するために投与される。いくつかの局面では、所定のCmaxは、1~20μg/Lである。例えば、所定のCmaxは、約1μg/L、2μg/L、3μg/L、4μg/L、5μg/L、6μg/L、7μg/L、8μg/L、9μg/L、10μg/L、11μg/L、12μg/L、13μg/L、14μg/L、15μg/L、16μg/L、17μg/L、18μg/L、19μg/L、または約20μg/Lであることができる。
【0116】
いくつかの態様では、サイケデリックは、投与の開始後1分または約1分から、120分または約120分以内、例えば、投与の開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110もしくは120分以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110もしくは120分以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で起こる所定のCmaxを産生するように投与される。いくつかの局面では、サイケデリックは、投与の開始後30~120分以内または約30~120分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。いくつかの局面では、サイケデリックは、投与の開始後45~90分以内または約45~90分以内、例えば、投与の開始後60分または約60分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。いくつかの局面では、サイケデリックは、投与の開始後1~10分以内または約1~10分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。いくつかの態様では、サイケデリックは、投与の1~10分以内に起こる所定のCmaxを産生するように投与される。いくつかの局面では、サイケデリックは、投与の開始後1~10分以内または約1~10分以内に所定のCmaxを産生するように投与される。
【0117】
いくつかの態様では、解離状態を誘導することができ、適切な治療ウインドウをサイケデリックの約0.01mg/kg、約0.02mg/kgから約0.5mg/kgの単回用量により生成することができる。適切な単回用量は、約0.02mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.15mg/kg、約0.2mg/kg、約0.25mg/kg、約0.3mg/kg、約0.35mg/kg、約0.4mg/kg、約0.45mg/kg、または約0.5mg/kgを含む。
【0118】
対象における解離状態の誘導は、治療ウインドウの開始をマークし、これは、処置がマイナスの作用(精神病エピソードまたは頻脈など)を有せずに有効であるサイケデリック化合物の血漿濃度の範囲に関連する。いくつかの局面では、治療ウインドウは、サイケデリックの平均血漿濃度が所定の値に維持されて解離状態を維持する期間である。いくつかの局面では、治療ウインドウは、15分または約15分から、12時間または約12時間、例えば、0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間、または約0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間、または前記のいずれかにより定義される範囲である。いくつかの態様では、治療ウインドウは、0.5または約0.5から、4時間または約4時間、例えば、1時間もしくは約1時間または2時間もしくは約2時間である。
【0119】
提供された態様のいずれかのいくつかでは、解離状態は、サイケデリックの負荷用量(例えば初回用量)の投与によって誘導される。いくつかの局面では、サイケデリックの負荷用量は、静脈内投与によって投与される。いくつかの局面では、負荷用量は、サイケデリックの初回ボーラス注射の投与を含む。いくつかの局面では、負荷用量は、点滴静注などの連続静脈内投与を含む。いくつかの局面では、負荷用量は、血中レベルを維持するための最初の点滴速度に続く、より低速での点滴静注によって投与される。いくつかの局面では、サイケデリックの負荷用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される。いくつかの局面では、サイケデリックの負荷用量は、3分または約3分の期間にわたり投与される。
【0120】
いくつかの局面では、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせなどのサイケデリックの例示的な負荷用量は、0.1mgまたは約0.1mgから、10mgまたは約10mg、例えば、1、2、3、4、もしくは5mg、または約1、2、3、4、もしくは5mg、または前記のいずれかにより定義される範囲である。いくつかの局面では、負荷用量は、サイケデリックの初回ボーラスであり、初回ボーラスは、0.02mg/kgまたは約0.02mg/kgから、0.2mg/kgまたは約0.2mg/kg、例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、もしくは0.2mg/kgまたは約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、もしくは0.2mg/kg、または前記のいずれかにより定義される範囲の用量で投与される。
【0121】
いくつかの態様では、解離状態は、0.01mg/kgもしくは約0.01mg/kgから、0.2mg/kgもしくは約0.2mg/kg、または0.02mg/kgもしくは約0.02mg/kgから、0.2mg/kgもしくは約0.2mg/kg、例えば0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、もしくは0.2mg/kg、または約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、もしくは0.2mg/kg、または前記のいずれかにより定義される範囲の用量のサイケデリックの初回静脈内ボーラス注射の投与によって誘導される。いくつかの局面では、解離状態は、約0.1mg/kgから約0.2mg/kgの用量のサイケデリックの初回ボーラスの静脈内投与によって誘導される。いくつかの態様では、シロシビン、シロシンまたはそれらの組み合わせの初回静脈内用量は、5mg/kgまたは約5mg/kgから、15mgまたは約15mg/kgである。
【0122】
いくつかの局面では、サイケデリックの負荷用量は、初速度での点滴静注などの連続投与によって投与される。いくつかの局面では、点滴の例示的な初速度は、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/min、例えば0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75もしくは2.0mL/min、または約0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、1.75もしくは2.0mL/min、または前記のいずれかにより定義される範囲である。いくつかの局面では、サイケデリックの負荷用量は、1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される。
【0123】
いくつかの態様では、提供される方法および使用は、他の方法(例えば経口投与による)と比較してより迅速に、対象における解離状態またはサイケデリック状態の達成につながる。いくつかの局面では、解離状態は、サイケデリックの投与の30分以内または約30分以内、例えばサイケデリックの投与開始の30分または約30分以内に誘導される。いくつかの局面では、解離状態は、サイケデリックの投与の1または約1から、30分または約30分以内、例えば、サイケデリックの投与の、例えばサイケデリックの投与開始の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30分以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30分以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で誘導される。いくつかの局面では、解離状態は、投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20分以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20分以内に誘導される。いくつかの態様では、解離状態は、投与の5分以内または約5分以内に誘導される。
【0124】
他の態様では、Cmaxに到達し、解離状態が誘導された後、サイケデリックの投与速度を維持または変更して、治療ウインドウを維持することができる。例えば、サイケデリックが点滴静注によって投与される態様では、サイケデリックは、対象内に連続点滴される場合がある、または点滴速度は、解離状態を維持するのにちょうど十分なほど高くサイケデリックの血漿濃度を維持するように低減することができる。適切な点滴速度は、注入液中のサイケデリックの濃度に依存し、例えばサイケデリックの所定の血漿濃度(すなわち、サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値)を維持するために、当業者が決定することができ、それは、1μg/Lまたは約1μg/Lから、50μg/Lまたは約50μg/L、例えば、1μg/Lまたは約1μg/Lから、20μg/Lまたは約20μg/L、例えば1μg/L、2μg/L、3μg/L、4μg/L、5μg/L、6μg/L、7μg/L、8μg/L、9μg/L、10μg/L、11μg/L、12μg/L、13μg/L、14μg/L、15μg/L、16μg/L、17μg/L、18μg/L、19μg/L、もしくは20μg/L、または約1μg/L、2μg/L、3μg/L、4μg/L、5μg/L、6μg/L、7μg/L、8μg/L、9μg/L、10μg/L、11μg/L、12μg/L、13μg/L、14μg/L、15μg/L、16μg/L、17μg/L、18μg/L、19μg/L、もしくは20μg/Lであり得る。いくつかの態様では、サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値は、1μg/Lまたは約1μg/Lから、50μg/Lまたは約50μg/L、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50μg/L、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50μg/L、または前記のいずれかにより定義される範囲である。いくつかの局面では、サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値は、10~20μg/Lまたは約10~20μg/L、例えば10~20μg/Lもしくは約10~20μg/L、または10~15μg/Lもしくは約10~15μg/Lである。
【0125】
いくつかの局面では、態様は、例えばサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持することによって、対象における解離状態を維持する工程を伴う。いくつかの局面では、サイケデリックの平均血漿濃度は、サイケデリックの維持用量の投与によって、治療ウインドウの間に所定の値に維持される。
【0126】
いくつかの局面では、サイケデリックの維持用量維持用量は、サイケデリックの静脈内もしくは連続点滴、または間欠投与によって投与される。いくつかの局面では、維持用量は、点滴静注によって投与される。いくつかの局面では、連続または間欠投与は、静脈内経路を介する。いくつかの局面では、維持用量は、間欠投与によって投与される。いくつかの局面では、間欠投与は、皮下、経口、経皮、筋肉内、鼻腔内、鼻腔内/咽頭、または口内経路を介する。
【0127】
いくつかの態様では、維持用量は、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、1.0mL/minまたは約1.0mL/min、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mL/min、または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mL/min、または前記のいずれかにより定義される範囲の速度で投与される。いくつかの態様では、維持用量は、サイケデリックの点滴静注によって、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、1.0mL/minまたは約1.0mL/min、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mL/min、または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mL/min、または前記のいずれかにより定義される範囲の速度で投与される。いくつかの局面では、維持用量は、点滴静注によって、0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で投与される。
【0128】
いくつかの態様では、維持用量は、0.2mg/minまたは約0.2mg/minから、1.0mg/minまたは約1.0mg/min、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mg/min、または約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mg/min、または前記のいずれかにより定義される範囲の速度で投与される。いくつかの局面では、維持用量は、サイケデリックの点滴静注によって、0.2mg/minまたは約0.2mg/minから、1.0mg/minまたは約1.0mg/min、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mg/min、または約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mg/min、または前記のいずれかにより定義される範囲の速度で投与される。いくつかの局面では、サイケデリックの連続投与は、0.1mg/minまたは約0.1mg/minから、2mg/minまたは約2mg/min、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、もしくは2.0mg/min、または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、もしくは2.0mg/min、または前記のいずれかにより定義される範囲の速度である。
【0129】
いくつかの態様では、サイケデリックの連続投与は、0.01または約0.01から、0.2mg/kgまたは約0.2mg/kgの用量で、0.1mL/kg/hまたは約0.1mL/kg/hから、5mL/kg/hまたは約5mL/kg/hの速度である。いくつかの態様では、サイケデリックの連続投与は、10mg/kgで、5mL/kg/hの速度である。
【0130】
いくつかの局面では、維持用量は、10分または約10分から、120分または約120分、例えば、10、20、30、40、45、50、60、90もしくは120分、または約10、20、30、40、45、50、60、90もしくは120分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される。いくつかの態様では、維持用量は、30、60、90もしくは120分、または約30、60、90もしくは120分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される。いくつかの態様では、維持用量は、最大で60分または約60分の期間にわたり投与される。いくつかの態様では、維持用量は、最大で120分または約120分の期間にわたり投与される。いくつかの局面では、維持用量は、40分または約40分にわたり投与される。いくつかの局面では、維持用量は、45分または約45分にわたり投与される。いくつかの局面では、維持用量は、50分または約50分にわたり投与される。いくつかの局面では、維持用量は、55分または約55分にわたり投与される。
【0131】
いくつかの態様では、負荷用量および維持用量の両方は、点滴静注によって投与される。いくつかの局面では、負荷用量は、例えば点滴静注によって投与される場合、維持用量よりも高い点滴速度を有する。いくつかの局面では、負荷用量は、点滴静注によって、0.5mL/minまたは約0.5mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/min、例えば1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与され;かつ維持用量は、点滴静注によって、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、1.0mL/minまたは約1.0mL/min、例えば0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で投与される。
【0132】
いくつかの局面では、負荷用量は、初回ボーラス注射として投与され、維持用量は、点滴静注などの連続投与によって投与される。いくつかの局面では、初回ボーラスの静脈内投与による1mgまたは約1mgから、5mgまたは約5mg、例えば1mgまたは約1mgの量のサイケデリックの負荷用量、および維持用量は、点滴静注によって、0.02mg/minまたは約0.02mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度で投与される。
【0133】
いくつかの態様では、提供される方法および使用は、初回ボーラスの静脈内投与による1mgまたは約1mgから、5mgまたは約5mgの量のサイケデリックの負荷用量の投与を伴う。いくつかの局面では、負荷用量は、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックである。いくつかの局面では、負荷用量は、1mgまたは約1mgである。いくつかの態様では、サイケデリックの維持用量は、治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、例えば、0.02mg/minまたは約0.02mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの点滴静注によって、後で投与される。いくつかの局面では、維持用量は、0.5mg/minまたは約0.5mg/minの速度で投与される。
【0134】
いくつかの態様では、方法および使用は、心理的障害を有する対象に、サイケデリック(例えば、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせ)の負荷用量を初回ボーラスの静脈内投与によって、1mgまたは約1mgから、5mgまたは約5mgの量で投与する工程;および治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、サイケデリックの維持用量を、点滴静注によって、0.02mg/minまたは約0.02mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度で連続的に投与する工程を伴う。いくつかの局面では、維持用量は、0.5mg/minまたは約0.5mg/minの速度で投与される。
【0135】
いくつかの態様では、提供される方法および使用は、点滴静注による0.5mL/minまたは約0.5mL/minから2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度の、5分または約5分から20分または約20分の期間にわたるサイケデリックの負荷用量の投与を伴う。いくつかの局面では、負荷用量は、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックである。いくつかの局面では、負荷用量は、点滴静注によって1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度での10分または約10分の期間にわたり投与される。いくつかの態様では、サイケデリックの維持用量は、後で、例えば点滴静注によって、0.1mL/minから1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で30分または約30分から120分または約120分、例えば、30、40、45、50、60、70、80、90、100、110、もしくは120分、または約30、40、45、50、60、70、80、90、100、110、もしくは120分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される。いくつかの局面では、維持用量は、0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で60分間または約60分間投与される。
【0136】
いくつかの局面では、提供される方法および使用は、心理的障害を有する対象に、サイケデリック(例えば、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである)の負荷用量を点滴静注によって、0.5mL/minまたは約0.5mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度で、5分または約5分から、20分または約20分の期間にわたり投与する工程;および治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、サイケデリックの維持用量を点滴静注によって、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度で、30分または約30分から、120分または約120分の期間にわたり連続的に投与する工程を伴う。いくつかの局面では、維持用量は、0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で60分間または約60分間投与される。
【0137】
いくつかの局面では、治療ウインドウは、30分または約30分から、120分または約120分である。いくつかの局面では、治療ウインドウは、60分または約60分である。いくつかの局面では、治療ウインドウは、120分または約120分である。
【0138】
いくつかの局面では、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で、1.0mgまたは約1.0mgから、20mgまたは約20mg/対象、例えば、1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または約1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または前記のいずれかにより定義される範囲である。いくつかの態様では、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で2.5mgまたは約2.5mgである。いくつかの態様では、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で5mgまたは約5mgである。いくつかの態様では、対象に投与されるサイケデリックの合計量は、最大で10mgまたは約10mgである。
【0139】
いくつかの態様では、サイケデリックはシロシンであり、対象に投与されるシロシンの合計量は、最大で、1mgまたは約1mgから、10mgまたは約10mg、例えば2.5mgまたは約2.5mgであり、シロシンの投与は、30分または約30分から、120分、例えば60分または約60分の期間にわたり実行される。
【0140】
いくつかの態様では、サイケデリックはシロシビンであり、対象に投与されるシロシンの合計量は、最大で、1mgまたは約1mgから、10mgまたは約10mg、例えば5mgまたは約5mgであり、シロシビンの投与は、30分または約30分から、120分、例えば60分または約60分の期間にわたり実行される。
【0141】
解離状態を終了させるためのサイケデリックの投与の終了。いくつかの局面では、投与を終了する工程は、静脈内投与を中止すること、例えば点滴静注を中止することを伴う。いくつかの局面では、解離状態の終了は、サイケデリックの投与の終了後30、60、90、120、もしくは180分以内、または約30、60、90、120、もしくは180分以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で起こる。いくつかの局面では、解離状態の終了は、サイケデリックの投与の終了後60分以内または約60分以内に起こる。いくつかの局面では、解離状態の終了は、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定、例えば、本明細書に記載されるいずれか、例えば、EEG、および/または薬物動態パラメータ、例えば、血漿濃度、CmaxまたはAUCを使用して測定または観察することができる。
【0142】
いくつかの態様では、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定、例えば、本明細書に記載されるいずれか、例えば、EEG、および/または薬物動態パラメータ、例えば、血漿濃度、CmaxまたはAUCは、解離状態に入ることおよび/またはそれから脱することを示すまたはそれに関連する。いくつかの局面では、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定、例えば、EEG、および/または薬物動態パラメータを使用して、解離状態に入ることおよび脱することをモニタリングする、ならびにまた、測定に基づいて投与の薬用量、速度またはタイミングを個別化、カスタマイズ、変化または調整することができる。
【0143】
したがって、サイケデリックの静脈内投与は、初回用量の投与後わずか10分で解離状態への迅速で制御可能な移行をもたらす。これは、経口投与された後にシロシビンまたはシロシンの血漿レベルを制御しないシロシビンの経口投与と対照的である。これは、顕著な対象間変動に寄与する。したがって、本明細書に提供される方法、特に、解離状態を誘導し、次いてサイケデリックの所定の血漿濃度を維持する工程を伴う方法は、有害事象を最小化または回避することを可能にし、サイケデリックの血漿レベルを制御し、それにより、方法の安全性および再現性を増大させる。
【0144】
サイケデリックを使用する従来の処置は、対象が解離状態に入る前に最大で3時間の遅延時間を伴い、解離状態は、最大で追加的な6時間続くことができ、この時間は、有用な治療ウインドウを十分に超えている。したがって、解離状態をより迅速に開始し、対象を解離状態から離脱できることは、処置を行っている医師が処置ウインドウを制御することができ、それにより、総処置時間を最小限にするという利点を有する。
【0145】
いくつかの局面では、対象に投与されるサイケデリックのレベルを緊密に制御することによって、方法は、サイケデリックの高い血漿濃度に関連するサイケデリック使用の有害作用、例えば、精神病、ネガティブな情動体験(「バッドトリップ」)または頻脈、血圧の増加、血管収縮、血管攣縮、一過性、遅発頭痛、横紋筋融解、一過性腎不全または機能不全、視力の一過性喪失または低下、「フラッシュバック」、発汗、闘争性、および幻覚剤持続性知覚障害(HPPD)のいくつかを回避することができる。
【0146】
いくつかの態様では、本明細書に記載される方法は、経口サイケデリックによる従来処置と比較して、有害作用の発生率を最大で100%低減する。例えば、方法は、従来処置と比較して、有害作用の発生率を5%、10%、15%、20%、15%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%、または約5%、10%、15%、20%、15%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%低減することができる。有害作用は、精神病、血圧上昇、頻脈、悪心、嘔吐、運動失調、筋力低下、不安増大、パニック、パラノイア、脅威、または対象が「バッドトリップ」を報告することを含む。
【0147】
解離状態は、主観的に、例えば、心理的支援を提供しているセラピストによって評定されることができる。いくつかの態様では、解離状態に入ることおよび/または解離状態の持続期間のモニタリングは、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、オプトエンセファログラフィー(OEG)などの脳活動の非侵襲測定のための技術を使用する。いくつかの局面では、本明細書に記載される脳活動の非侵襲測定のいずれかを使用して、解離状態に入ること、その状態および/またはそれから脱することを評定およびモニタリングすることができる。好ましくは、EEGが使用される。
【0148】
心理的支援は、解離状態の誘導後に対象に提供される。本明細書に記載される方法に関連して、心理的支援は、対象がメンタルヘルスならびに認知、情動および行動のウェルビーイングを高めることを助けることを目標とする任意の形態の支援である。典型的に、心理的支援は、セラピスト、精神科医、または他の適格な医療専門家によって、好ましくは、特異的にサイケデリックの投与の訓練を受けているセラピストによって提供される。
【0149】
いくつかの態様では、心理的支援が提供されたら、対象を解離状態から離脱させることによって治療ウインドウを閉じることができる。これは、サイケデリックの投与を中止することによる、または5-HT2ARアンタゴニストの投与と一緒にサイケデリックの投与を中止することによるなどのいくつかの方法で達成することができる。適切な5-HT2ARアンタゴニストは、ケタンセリン、リタンセリン、セトペロン、オランザピン、ミルタザピン、およびミアンセリンを含む。ドーパミンとリスペリドンなどの5-HT2ARアンタゴニスト活性とを組み合わせた化合物が使用され得る。
【0150】
個別の対象のための投与レジメンを特注するために対象に投与されるべきサイケデリックの速度および量を決定する方法もまた、提供される。
【0151】
本方法は、好ましくは投与の少なくとも10分以内に、対象において解離状態を誘導するのに十分なサイケデリック(シロシビンまたはシロシンなど)の治療有効用量を投与する工程を含む。次いで、対象が解離状態に入ることを確認するために、EEGが対象から得られる。いくつかの態様では、EEGのモニタリングは、サイケデリックが投与される前またはそれとほぼ同時に開始し得る。
【0152】
EEGモニタリングは、その後、対象のモニタリングを可能にするために連続的または間欠的であり得、一方で、サイケデリックのさらなる用量は、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して治療ウインドウの間に解離状態を維持するために投与される。
【0153】
B. 心理的支援
いくつかの態様では、提供される方法および使用は、シロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの投与に加えて、またはそれと共に、心理的支援、例えば、精神療法を提供する工程を伴う。いくつかの局面では、方法または使用は、対象、例えばヒト対象へのサイケデリックおよび心理的支援またはメンタルヘルス支援、例えば、精神療法の投与を伴う。いくつかの局面では、方法または使用は、それを必要とする個体へのサイケデリックおよび精神療法の投与を伴う。いくつかの局面では、方法または使用は、それを必要とする個体へのサイケデリックおよびトークセラピーの投与を伴う。いくつかの態様では、心理的支援またはメンタルヘルス支援は、対面および/または遠隔で、例えば電話またはビデオ会議によって起こる。いくつかの態様では、精神療法は、対面および/または遠隔で、例えば電話またはビデオ会議によって起こる。いくつかの態様では、トークセラピーは、対面および/または遠隔で、例えば電話またはビデオ会議によって起こる。
【0154】
いくつかの態様では、心理的支援は、精神療法および/またはトークセラピーを含む。いくつかの態様では、心理的支援は、セラピスト主導または当該個体以外の1人もしくは複数の人物の主導である。いくつかの態様では、心理的支援は自己投与される。いくつかの態様では、心理的支援はセラピスト主導または自己投与である。いくつかの態様では、心理的支援は、サイケデリックの投与に先行し、例えば準備セッションの途中である。いくつかの態様では、心理的支援は、サイケデリックの投与に先行する。いくつかの態様では、心理的支援は、サイケデリックの投与に付随する。いくつかの態様では、心理的支援は、サイケデリックの投与後に、例えば統合セッションの間に、続くまたは起こる。いくつかの態様では、心理的支援は、サイケデリックの投与後に続く。
【0155】
いくつかの態様では、方法または使用は、個人セッションで行われる心理的支援を伴い、その際、1人の個人が1人または複数のセラピストと面会する。いくつかの態様では、方法または使用は、個人セッションで行われた心理的支援を伴い、その際、一個人が2人以上のセラピストと面会する。いくつかの態様では、方法または使用は、グループセッションで行われた心理的支援を伴い、その際、1人よりも多い個人が1人または複数のセラピストと面会する。いくつかの態様では、個人の家族または友人の1人または複数が、1つまたは複数の投与前心理的支援セッションに出席し得る。いくつかの態様では、1つまたは複数の心理的支援セッションは、対面または遠隔で、例えば電話もしくはビデオ会議によって行われる。
【0156】
サイケデリックの向精神性が原因で、サイケデリックを「セットとセッティング」プロトコル内で検査することによって、臨床試験における対象の安全性を高めることができる(Lyons and Carhart-Harris, J Psychopharmacol 2018;32(7):811-19)。いくつかの局面では、「セット」は、サイケデリック投与の前、例えば直前の、対象の情動状態、認知状態、行動状態、マインドセット、および期待のうち1つまたは複数に関する。いくつかの局面では、「セッティング」は、サイケデリックの投与が起こる物理的環境に関係する。体験のセットとセッティングに取り組むことによって、個体が苦痛を伴う事象を報告するまたは自傷するリスクを低減することができる。いくつかの態様では、このアプローチは、3つの構成要素:1)サイケデリック投与前の心理的支援(例えば準備)、2)投与、および3)古典的幻覚剤の体験を統合するための投与後の心理的支援(例えば統合)を含む。
【0157】
いくつかの態様では、投与前に、対象は、薬物投与セッションの間に存在するセラピストとのラポール構築を含む曝露前準備セッションを受ける。いくつかの態様では、1回目の用量の前に、対象は、特にセッション体験に影響する可能性が高い場合があるパーソナルテーマおよび葛藤を特定することを含む曝露前準備セッションを受ける。いくつかの態様では、薬物投与セッション自体は、1人のセラピストによって行われる。いくつかの態様では、薬物投与セッション自体は、セッション全体にわたり存在する男性および女性セラピストなどの2人のセラピストによって行われる。いくつかの態様では、セッションは、典型的には、静かで、快適で、見て美しいように設計された部屋で行われる。いくつかの態様では、対象は、自分の注意の内的焦点化を助けるために、薬物投与セッションの間にアイシェードを付け、ヘッドフォンから音楽プログラムを聴くよう促される。
【0158】
いくつかの態様では、方法または使用は、サイケデリックの効果が完全に収まったと観察者が判断するまで個体を監督する工程を伴う。いくつかの態様では、方法または使用は、退院基準を伴う。いくつかの態様では、個体が退院するために1つの基準に適合しなければならない。いくつかの態様では、個体が退院するために1つよりも多い基準に適合しなければならない。いくつかの態様では、すべての基準は、個体は、退院するためにすべての基準に適合しなければならない。いくつかの態様では、退院基準は、家まで個体に付き添うために責任のある友人または家族がいるかどうか、個体の血圧および心拍が薬物前のレベルに戻ったか、観察者によって個体がいかなる急性薬物作用も有しないと見なされるか、自分が生理学的ベースラインに戻ったと個体が考えているか、個体を退院させることが安全であると観察者が判断しているか、および個体が帰宅する準備が整っていると表明しているかのうち1つまたは複数を含む。
【0159】
II. 解離状態のモニタリング
いくつかの局面では、サイケデリックの投与によって、例えば静脈内投与によって、対象において解離状態を誘導するおよび/または心理的障害を処置する方法が、本明細書に提供され、該方法はまた、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定を使用して、解離状態に入ることまたはそれから脱することなどの解離状態のモニタリングを伴う。いくつかの局面では、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定は、解離状態に入ることおよび/またはそれから脱することを示すまたはそれに関連する。いくつかの局面では、脳活動の1つまたは複数の非侵襲測定は、解離状態に入ることおよびそれから脱することをモニタリングするために使用することができ、測定に基づき投与の薬用量、速度またはタイミングを個別化、特注、変化または調整するためにも使用することができる。いくつかの局面では、方法はまた、心理的障害、重大な心理的要素を有する疾患および/または疼痛もしくは疼痛感覚に関係する疾患もしくは徴候を処置する方法に関する。
【0160】
いくつかの局面では、対象において解離状態を誘導するのに十分なサイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)の量を対象に投与する工程;および対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程を伴う、解離状態を誘導する方法が、提供される。いくつかの局面では、対象に、対象において解離状態を誘導するのに十分なサイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)の量を投与する工程;および対象から脳波検査(EEG)の測定を得て、対象がいつ解離状態に入るかを決定する工程を伴う、解離状態を誘導する方法が、提供される。
【0161】
いくつかの局面では、対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを対象に投与する工程;対象が解離状態に入るかを決定するために、対象から脳活動(例えばEEG)の非侵襲測定を得る工程;および対象が解離状態に入る場合にサイケデリックの量を治療有効用量として決定する工程を伴う、治療有効用量のサイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)を決定する方法もまた、提供される。いくつかの局面では、治療有効用量は、脳活動の非侵襲測定(例えばEEG)に基づき決定される。
【0162】
いくつかの局面では、対象に、投与後30分未満で対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)を投与する工程;および対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程;およびその後、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程を伴う、対象において解離状態を維持する方法もまた、提供される。
【0163】
いくつかの態様では、脳活動の非侵襲測定は、投与の前、途中および/または後に得られる。いくつかの局面では、提供される態様はまた、治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、対象から脳活動のさらなる非侵襲測定を得る工程を伴う。いくつかの局面では、治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、さらなるEEGの測定が対象から得られる。いくつかの局面では、投与後の脳活動の非侵襲測定は、解離状態の終了を示す。
【0164】
A. 脳活動の非侵襲測定
サイケデリック(例えば、シロシンまたはシロシビン)を投与されている患者の解離状態をモニタリングするための脳活動の非侵襲測定を伴う方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様では、脳活動の非侵襲性測定は、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、およびオプトエンセファログラフィー(OEG)、定量的知覚検査(QST)、プロトン磁気共鳴分光法(1H-MRS)、拡散テンソル撮像法(DTI)、サイケデリック体験の質問表評価、およびそれらの組み合わせのうち1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、脳活動の非侵襲性測定は、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、およびオプトエンセファログラフィー(OEG)のうち1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、脳活動の非侵襲性測定は、脳波検査(EEG)を含む。いくつかの態様では、脳活動の非侵襲性測定は、サイケデリック体験の質問表評価を含む。
【0165】
いくつかの局面では、脳活動を測定するための例示的な非侵襲法、例えば、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、またはオプトエンセファログラフィー(OEG)を使用して、提供される方法および使用により、対象ならびに解離状態またはサイケデリック状態に入ることおよび/またはそれから脱することをモニタリングおよび評定することができる。いくつかの局面では、脳活動を測定するための他の例示的な非侵襲法は、定量的知覚検査(QST)、プロトン磁気共鳴分光法(1H-MRS)、拡散テンソル撮像法(DTI)およびそれらの組み合わせを含む。
【0166】
いくつかの局面では、非侵襲法は、発生、加齢、学習、疾患の間、ならびに小分子化合物および/または生体分子を含む急性刺激に応答した脳特異的変化を測定するために使用されている(Borsook et al., Nat Rev Drug Discov 2006;5(5):411-24; Matthews and Hampshire, Neuron 2016;91(3):511-28; Carmichael et al., Drug Discov Today 2018;23(2):333-48)。脳活動の非侵襲測定を使用して、解離状態およびサイケデリック体験およびサイケデリックベースの介入をより密接に評定、モニタリングおよび制御することができ、これを使用して、例えば提供される態様により、サイケデリック介入(例えば、シロシンまたはシロシビンの投与)の間の変化および/または改善を測定することができる。いくつかの局面では、脳活動の非侵襲測定は、行動観察である。
【0167】
いくつかの態様では、脳活動の非侵襲測定によって測定される例示的なパラメータは、爆発的同期の評定、パワースペクトル分析、デフォルトモードネットワーク分析、機能的結合および活性化分析、グルタミンおよびグルタミン酸塩測定、GABA測定、および灰白質体積の評定を含む。
【0168】
1. 脳波検査(EEG)
提供された態様のいずれかのいくつかでは、脳波検査(EEG)などの非侵襲法を使用して、解離状態に入ることおよび/またはそれから脱することをモニタリングするために、脳活動が測定される。EEGは、神経障害に関する非侵襲研究のためのツールである(Neto and Rosa, Neurosci Biobehav Rev 2019;105:83-93)。EEGは、神経学研究に便利であり、かつ有効である。EEG分析は、頭皮を介して直接電気シグナルを測定し、他の方法論で必要な数秒および数分と比較してミリ秒時間尺度の情報を提供して、高分解能時間脳活動を記録する(Michel and Brunet, Front Neurol 2019;10:325)。EEGデータを、複数の異なる状態(例えば、休息中、緊張性カフ圧中、視覚刺激中)から収集して、脳活動における他覚応答シグナルおよび変化を捕捉することができる。EEGは、脳の最上層を測定することに限定されるが、他の脳活動測定(例えば、fMRI)と対にすると、EEGは、脳活動の包括的な見解および量的評定を生成するための重要なデータを提供する(Abreu et al., Front Hum Neurosci 2018;12:29)。EEGデータは、しばしば、発作、てんかん、頭部外傷、脳腫瘍、および不眠症などの神経障害の診断に使用される。
【0169】
いくつかの局面では、EEGデータは、異なる周波数(ヘルツ、Hz)、振幅(マイクロボルト、μV)および形状の波形として記録される、脳表面で測定された電気活動を表す。記録のために使用される電極の物理的な位置は、EEGデータの解釈のための重要な要因である。もっとも一般的なEEG波形の周波数は、サイクル/秒またはヘルツ(Hz)として測定されたデルタ、シータ、アルファ、ベータ、またはガンマである。EEGの多くの特徴が律動的であるが、スパイク、鋭波、頭頂部波、および睡眠紡錘波を含む他の特徴は一過性である。脳の様々な部分における異なる波周波数の存在および非存在のみならず、これらの波の律動性を使用して、神経疾患を診断し、精神薬理学における進行中の処置(例えば、シロシンまたはシロシビンなどのサイケデリックの投与)をモニタリングすることができる。
【0170】
いくつかの態様では、例えば、提供される態様により、解離状態もしくはサイケデリック状態を誘導すること、および/または心理的障害の処置におけるサイケデリック(例えば、シロシンもしくはシロシビン)の活性を評価するためにEEGが利用される。いくつかの局面では、EEGで測定される例示的な指標は、休息時でのネットワーク活動の爆発的同期およびパワースペクトル分析(周波数バンド)を含む。
【0171】
いくつかの局面では、EEGデータの分析、定量および解釈のための分析方法およびツールを使用して、対象がいつ解離状態に入るかを決定することができる。例示的なツールおよび方法は、例えば、Burns et al., Version 1. F1000Res. 2015; 4: 137に記載されたものを含む。EEGデータの分析は、刺激(例えば、治療的介入)および患者特異的差異(例えば、てんかん、うつ病、アルツハイマー病)における変動が原因で複雑である可能性があるが、データの解釈の間に複雑さの尺度(すなわち、EEGシグナルでの種々のパターン)を説明することは、有益であることが見出されている。使用することができる複雑度の例示的な尺度は、Lempel-Ziv複雑度(Lempel and Ziv, IEEE Trans Inform Theory 1976; 22(1):75-81)、フラクタル次元推定法(FD)、順列エントロピー(PE)、Wienerエントロピー(WE)、およびスペクトル構造可変性(SSV)を含む(例えば、Burns et al., Version 1. F1000Res. 2015; 4: 137を参照されたい)。Lempel-Ziv複雑度(LZC)は、アルゴリズムに基づく尺度であり、神経シグナル多様性の代理である。
【0172】
いくつかの局面では、LZCは、2進シーケンス(例えば、前処理されたEEGシグナル)をストリームとして反復的に見たときに遭遇する特定された異なるサブストリングの数である。LZCは、シンボルのシーケンス中に存在する異なるパターンの数を計算する。多数の異なるパターンが存在する場合、シーケンスは、複雑と見なされ、圧縮が困難であり得る。LZCは、異なるパターンの数を、長さNのシーケンスの最大複雑度で割ることによって得られる(Hornero et al., Philos Trans A Math Phys Eng Sci 2009;367(1887):317-36)。LZCを決定するために、時系列は最初にシンボルリストまで低減される。EEGシグナルは、2進シーケンスs=s(1),s(2),...,s(N)に変換され、その際、例えば、Hornero et al., Philos Trans A Math Phys Eng Sci 2009;367(1887):317-36に記載されるように、x(i)<Tdならばs(i)=0であり、その他の場合はs(i)=1である。閾値Tdは、xの中央値として選択されるが、それは後者が外れ値に対して頑健であるからである。いくつかの局面では、EEGの測定は、Lempel-Ziv複雑度(LZC)によって表現される通り分析される。
【0173】
2. 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)
いくつかの局面では、脳活動の非侵襲性測定は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を含む。いくつかの局面では、fMRIは、脳内の血流における変化を検出し、その際、これらの変化は、活動における領域および部位特異的変化に対応する。ある特定の局面では、fMRIを使用して、解離状態に入ることおよび/またはそれから脱することを評定することができる。いくつかの局面では、機能的結合MRI(fMRI)は、デフォルトモードネットワーク(DMN)およびサリエンスネットワーク(SLN)に焦点を合わせる。DMNは、自己参照認知に従事する一連の脳領域であり、これらは、外的焦点課題の間に「非活性化(deactivate)」される(Buckner and Vincent, Neuroimage 2007;37(4):1091-99; Fox and Raichle Nat Rev Neurosci 2007;8(9):700-11)。いくつかの局面では、より中枢性の疼痛を有する対象は、DMNと島皮質(SLN領域)との間の結合性の増大を示し、これは、処置の成功と共に減少する(Napadow et al., Arthritis Rheum 2012;64(7):2398-2403)。機能的脳結合性のベースライン測定を得るために、対象がスキャンセッションの開始時に約8分間眼を閉じてスキャナに安楽に休息する間に全脳BOLD機能像が取得される。その直後、対象は、刺激に対する機能的脳結合性応答を評価するために知覚刺激(例えば疼痛)と共にfMRIスキャンを受ける。
【0174】
3. プロトン磁気共鳴分光法(1H-MRS)
1H-MRSは、脳組織内の代謝物および生化学化合物の検出、同定、および定量を可能にする非侵襲神経画像技術である(Castillo et al., AJNR Am J Neuroradiol 1996;17(1):1-15; Sidek et al., Eur Radiol 2016;26(12):4404-12)。場合によっては、プロトン磁気共鳴分光法(1H-MRS)を使用する、疼痛に関係する指標に関連して、報告は、脳の特定の領域内のグルタミンおよびグルタミン酸塩(Glx)ならびにガンマアミノ酪酸(GABA)のレベルにおける変化を示している(例えば、島皮質後部および前部)は、疼痛症状における改善と強く相関し、その際、臨床疼痛における低減は、低減したGlxレベルおよび上昇したGABAレベルに関連する(Mawla et al., Arthritis Rheumatol 2021;73(7):1318-28; Harris et al., Arthritis Rheum 2009;60(10):3146-52; Harris et al., Arthritis Rheum 2008;58(3):903-7)。1H-MRSは、長期研究に使用することができる評価指標を提供し、その際、高分解能解剖学的スキャンは、個体内の同一の脳構造を経時的に隔離することで、さもなければ1つの評価から次の評価へのボクセル位置におけるわずかな差異のせいで生じる誤差を最小限にする。1H-MRSは、刺激の前および後の両方で、右島皮質後部に向けられる。処置を受けている個体は、1H-MRSセッションの間に安静にし、その際、1つまたは複数の1H-MRS評定がfMRI神経画像化ワークフローに統合される。
【0175】
4. 拡散テンソル撮像法(DTI)
拡散テンソル撮像法(DTI)は、脳内の微細構造の解剖学的マッピングおよび特徴付けのための方法であって(Alexander et al., Neurotherapeutics 2007;4(3):316-29)、それによりこの方法は、EEGデータとfMRIデータとのギャップを埋めるために有用になり、神経学的データセットの価値をまとめて高める。DTIは、fMRIプラットフォームを活用し、神経病理および処置の間の脳構造における小さな変化を特徴付けるために使用される(Alexander et al., Neurotherapeutics 2007;4(3):316-29; Soares et al., Fron Neurosci 2013;7:31)。DTIデータは、fMRI神経撮像手順の間に収集され、EEGデータの空間マッピングを助けることができる。事前および事後のEEG分析により良く通知するために、処置を受けている個体毎に独特な構造的脳ネットワークが生成される。いくつかの態様では、解離状態に入ることおよび脱することにおけるサイケデリックの効果を評価するために、他の神経撮像結果を補足または強化するためにDTI評定が利用される。
【0176】
5. 定量的知覚検査(QST)
正常および病的状態(例えば、疼痛関連疾患などの心理的障害)下での知覚処理のための閾値または刺激応答曲線の決定を含む精神物理検査アプローチである、定量的知覚検査(QST)、その際、刺激は、知覚を測定するために定量化および使用される(Yarnitsky and Granot, Handb Clin Neurol 2006;81:397-409)。QSTは、半主観的(例えば、主観的応答を評定する)技術であるが、応答は、公知の刺激入力を使用して導出され、個体を評定するための客観的フレームワークを提供する(例えば、治療的介入、例えばサイケデリックの投与の前、途中、または後)。刺激様式の例は、電気的、熱的、浸漬熱的、機械的、化学的、および光的接触を含み、その際、疼痛測定は、疼痛閾値/耐容能、時間的荷重、条件刺激性疼痛調節、疼痛格付け、疼痛領域マッピング、脳応答(例えば、EEG、fMRI、PET)、または筋反射を含み得る(Uddin and MacDermid, Pain Med 2016;17(9):1694-703)。すべてのQST手順が安全性について評価されており、疼痛を有する対象によって十分に耐容される(Petersen et al., Pain 2015;156(1):55-61; Goodin et al., J Pain 2009;10(2):180-90; Weissman-Fogel et al., J Pain 2009;10(6):628-36; Price et al., Pain 2002;99(1-2):49-59)。
【0177】
6. サイケデリック体験の質問表ベースの評価
いくつかの局面では、提供される態様により、サイケデリックの投与の前、途中および/または後に質問表を使用して、解離状態に入ることおよびそれから脱すること、サイケデリック体験ならびに関連する臨床影響が評価される。いくつかの局面では、提供される態様により処置を受けている個体についてサイケデリック体験および関連する臨床影響を評価するために、個体は、処置に応答したサイケデリック体験および臨床活性を評定するための1つまたは複数の質問表評価に供される(Davis et al., J Psychopharmacol 2021;35(4):437-46)。いくつかの態様では、処置に応答したサイケデリック体験および臨床活性を評定するための例示的な質問表評価は、神秘的体験質問表(MEQ30)評価、挑戦的体験質問表(CEQ)評価、心理的洞察質問表(PIQ)評価、質的書面評定、および/またはモニター評定尺度(MRS)質問表のうち1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、サイケデリック体験の質問表ベースの評価は、サイケデリックの投与を受けている個体の解離状態およびサイケデリック体験をモニタリングするために利用される。いくつかの態様では、サイケデリック体験の質問表ベースの評価は、神秘的体験質問表(MEQ30)評価、挑戦的体験質問表(CEQ)評価、心理的洞察質問表(PIQ)評価、質的書面評定、および/またはモニター評定尺度(MRS)質問表のうち1つまたは複数の中より選択される。
【0178】
a. 神秘的体験質問表(MEQ30)
神秘的体験質問表(MEQまたはMEQ30;MEQ43から派生した省略版)は、患者によって記入される評価であって、4つの要因:神秘的(例えば、内部結束、外部結束、知的性質、および神聖性尺度)、前向きな気分、時空間の超越、および言表不可能性を含む(Barrett et al., J Psychopharmacol 2015;29(11):1182-90)。MEQ30は、サイケデリック体験に起因する持続的な治療的利益(例えば、態度、行動、およびウェルビーイングの変化)を予測し、個体の神秘的体験の主な尺度として役立つ。MEQ30評価に含まれ、4つの要因にわたり分布する30項目があり、各項目は、0~5点尺度で等級付けされ、その際、0は、「なし;まったくない」、1は、「わずかすぎて確定できない」、2は、「わずかである」、3は、「中等度である」、4は、「強い(この記述の任意の以前の強い体験または予想と程度が等価である)」、および5は、「極度(人生でこれまでになく、4よりも強い)」である。これらの30項目にわたり、4つの要因または亜分類は、異なる項目を含み、その際、神秘的は、項目4~6、9 14~16、18、20、21、23~26、および28からなり;前向きな気分は、項目2、8、12、17、27、および30からなり;空間/時間は、項目1、7、11、13、19、および22からなり;言表不可能性は、項目3、10、および29からなる。亜分類内で、または全MEQ30セットにわたり、項目毎のスコアが一緒に合計され、対応する合計ポイントで割ることによってパーセンテージに変換される。「完全体験」は、全部で4つの亜分類にわたり(合計の)60%以上のMEQ30スコアによって定義され、その際、完全体験は、より大きな意義があるおよび/または拡大された、治療的利益と相関する。
【0179】
b. 挑戦的体験質問表(CEQ)
古典的幻覚剤(例えば、シロシビン)によって誘導される強力な体験が原因で、処置を受けている患者は、1つまたは複数の急性有害心理的反応(すなわち、バッドトリップ、または挑戦的体験)を有する場合がある。いくつかの局面では、証拠が、情動(パニック、抑うつ気分)、認知(混乱、正気を失う感じ)、および身体(悪心、心臓の動悸)を含む症状が起こり得ることを裏付けている(Barrett et al., J Psychopharmacol 2016;30(12):1279-95)。症状の範囲および重症度を理解することは、将来の処置セッションの間に患者のケアを個別化することおよび患者のニーズを予期することに有用である。挑戦的体験質問表(CEQ)は、7つの際立った要因(悲嘆、恐怖、死、精神異常、孤立、身体的苦痛、およびパラノイア)に取り組み、患者が処置の間に有するまたは体験し得る挑戦的局面の現象学的プロファイルを提供する(Barrett et al., J Psychopharmacol 2016;30(12):1279-95)。CEQ評価に含まれる26項目があり、各応答は、0~5の範囲の数値を有し、その際、0は、「なし;まったくない」であり、5は、「極度(人生でこれまでにない)」である。これらの26項目にわたり、7つの要因または亜分類は、異なる項目を含み、その際、悲嘆は、項目2、6、9、11、23、および25からなり;恐怖は、項目4、7、14、21、および26からなり;死は、項目16および20からなり;精神異常は、項目8、13、および19からなり;孤立は、項目1、10、および24からなり;身体的苦痛は、項目3、5、15、17、および18からなり;パラノイアは、項目12および22からなる。各亜分類内で応答が合計され、満点に対するパーセンテージに変換される。さらに、すべての項目についての応答が合計され、満点に対するパーセンテージに変換される。
【0180】
c. 心理的洞察質問表(PIQ)
サイケデリック処置に関連して、洞察の既存尺度は、サイケデリック誘導体験に関連する鋭い洞察を捕捉できない。この必要性に対処するために、広範囲の鋭い洞察の強度を評定するための新しいツールである心理的洞察質問表(PIQ)が作成された(Davis et al., J Psychopharm 2021;35(4):437-46)。PIQは、一方が回避と不適応のパターン(AMP)への洞察を評定するのに対し、他方が目標と適応のパターン(GAP)を評定する、2つの下位尺度を含む23項目評価である(Davis et al., J Psychopharm 2021;35(4):437-46)。項目1、3、5、7、9、10、12、14、15、17~19、21、および23は、AMP下位尺度に関するのに対し、項目2、4、6、8、11、13、16、20、および20は、GAP下位尺度に関する。0~5の6点尺度を使用して個体は各項目に答え、その際、0は、「なし、まったくない」であり、3は、「中等度である」であり、5は、「極度(人生でこれまでにない)」である。回答が、下位尺度毎におよび全体で合計および平均され、各々についてより高いスコアは、鋭い洞察体験のより高いレベルに対応する。PIQ、AMP、およびGAPスコアは、心理的柔軟性、ウェルビーイング、および長期の前向きな結果における増大とよく相関する。
【0181】
d. モニター評定尺度(MRS)
モニター評定尺度(MRS)質問表は、臨床家によって記入され、処置セッションの間の対象の行動および/または気分の評点およびスコア付けディメンションを伴う(Griffiths et al., Psychopharmacology Berl 2006;187(3):268-83)。MRS評価に20項目(またはディメンション)が含まれ、いくつかのディメンションに0~4の範囲の数値が割り当てられ、その際、0は、「なし;効果なし」であり、4は、「ピーク効果;しばしば起こる」である。他のディメンションに関して、スコア付けは、患者行動について観察された合計持続期間(所定の時間枠にわたり分単位)として割り当てられる(例えば、臨床家との会話または発話全体)。
【0182】
e. 質的(筆記)評定
サイケデリック体験の主観的説明的記述は、処置の途中および/または完了後に特定の個体について独特な局面、ニーズおよび関心への洞察を提供することができる。説明的記述は、各処置投与回セッション(例えば、1回目または2回目投与)後に記入される。最終投薬セッションの後、個体は、治療統合セッション(例えば、毎週1時間)に参加し、その際、1つまたは複数の説明的記述の考察は、個体が自らの体験から洞察および理解を得るのを助ける。説明的記述はまた、この治療法に関連する共通テーマを研究するために使用される。場合によっては、処置を受けることに応答した、行動、思考パターン、および情動における持続性の変化を計測するために、個体は、3ヶ月の経過観察中に自由解答式の質問をされる。
【0183】
7. 行動応答
いくつかの局面では、脳活動の非侵襲性測定は、対象の行動局面を観察する工程を含む。観察することができる例示的な行動は、例えば、げっ歯類などの動物において観察されるような、首振り反応(HTR)に類似する行動を含む。例示的なHTR観察は、例えば、Zhuk et al., Toxins 2015, 7, 1018-1029; Halberstadt et al., J Psychopharmacol. 2011 25(11): 1548-1561に記載されたものを含む。
【0184】
III. サイケデリック化合物および組成物
いくつかの局面では、提供される態様は、サイケデリックの投与を伴う。いくつかの局面では、サイケデリックは、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである。いくつかの局面では、サイケデリックは、シロシン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である。いくつかの局面では、サイケデリックはシロシンである。いくつかの局面では、サイケデリックは、シロシビン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である。いくつかの局面では、サイケデリックはシロシビンである。
【0185】
本明細書に使用される場合の「サイケデリック化合物」、「サイケデリック薬」、「サイケデリック物質」および「サイケデリック」という用語は、互換的に使用されて、セロトニン2A受容体(5-HT2AR)のアゴニストを指す。5-HT2ARに対するサイケデリックの親和性とそのサイケデリック効力との間に強い正の相関がある。
【0186】
本明細書に記載される方法への使用に適したサイケデリックは、ベオシスチン、ノルベオシスチン、N,N-ジメチルトリプタミン、5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、5-ヒドロキシトリプトファン、シロシビン、シロシン、それらの前駆体および直接誘導体を含む。シロシビン、シロシン、ベオシスチンおよびノルベオシスチンの合成または天然プロドラッグ、同族体および類似体も使用され得る。
【0187】
同族体は、相互に起源、構造、または機能が関係する化学物質である。類似体(analog)(またはアナログ(analogue)もしくは構造類似体)は、もう1つと類似の構造を有する化合物であるが、1つまたは複数の原子または官能基が他の原子または基または置換基と置換されている、ある特定の置換基に関してそれと異なる化合物である。
【0188】
同様に有用であり得るシロシビン、シロシンおよび類似体は、ヒドロキシル基が修飾されたもの、または末端アミン窒素のメチル基が修飾されたものを含む。ヒドロキシル基置換基の例は、アルキルエーテルおよびアルキルエステルおよびアリールエーテルおよびアリールエステル、例えばメトキシエーテルおよびエトキシエーテルおよびアセチルエステル、フルオロ-、クロロ-およびブロモ-置換基を含むハロゲン、ならびにメチルチオまたはベンゾチオなどのチオ基を含む。窒素基置換基の例は、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、secブチル、tertブチル、アミルまたはアリル基およびN-トリメチル類似体で置換された一方または両方のメチル基を含む。対応するリン酸エステル、すなわちシロシビン類似体がまた、有用と分かる場合がある。1つまたは複数の水素原子がフッ素、塩素、または臭素によって置換された類似体の場合も同様であり得る。
【0189】
いくつかの態様では、典型的により安定な、化合物の塩、例えば、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、および硫酸塩が使用される。塩は、双性イオン形態、特にリン酸エステルおよび四級アンモニウム化合物の双性イオン形態であることができる。
【0190】
適切な類似体の例は:4-アセトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(4-AcO-DMTまたはO-アセチルシロシン)、シロシン(4-OH-DMT)のアセチル化形態、化合物は(他の4-アルキル-エステルのように)シロシンの潜在的プロドラッグであり、シロシンよりも安定性が高く、かつより長い品質保持起源を有する;アセトキシ(AcOまたはCH3COO-)官能基によりそのインドール複素環のR4で置換され、そのトリプタミン骨格の末端アミン窒素に結合されたメチル基およびエチル鎖も含有するシロシン類似体である4-アセトキシ-N-メチル-N-エチルトリプタミン(4-AcO-MET)。4-AcO-METは、4-OH-METの酢酸エステル類似体および4-AcO-DMTのN-置換エチル相同体である;4-アセトキシ-N,N-ジエチルトリプタミン(4-AcO-DET);4-アセトキシ-N-メチル-N-プロピルトリプタミン(4-AcO-MPT);4-アセトキシ-N-メチル-N-イソプロピルトリプタミン (4-AcO-MIPT);4-アセトキシ-N,N-ジプロピルトリプタミン(4-AcO-DPT)および4-アセトキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン(4-AcO-DI PT);4-ヒドロキシ-N-メチル-N-エチルトリプタミン(4-OH-MET、メトシン(metocin)、またはメチルサイビン(methylcybin))、シロシンの4-ヒドロキシN-置換構造類似体であって、かつトリプタミン構造の末端アミン窒素に結合されたメチルおよびエチル基を有する;4-ヒドロキシ-N-メチル-N-プロピルトリプタミン(4-OH-MPT);4-ヒドロキシ-N-メチル-N-イソプロピルトリプタミン(4-OH-MI PT);4-ヒドロキシ-N,N-ジエチルトリプタミン(4-OH-DET);4-ヒドロキシ-N,N-ジプロピルトリプタミン(4-OH-DPT);4-ヒドロキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン(4-OH-DI PT);および4-ヒドロキシ-N,N-ジアリルトリプタミン(4-OH-DALT);4-OH基が除去された類似体、例えば、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、N-メチル-N-エチルトリプタミン(MET)、N-メチル-N-プロピルトリプタミン(MPT)、N,N-ジエチルトリプタミン(DET)、N,N-ジプロピルトリプタミン(DPT)、N,N-イソプロピルトリプタミン(DIPT)、N-メチル-N-イソプロピルトリプタミン(MIPT)、α-メチルトリプタミン(AMT)、N-エチル-N-イソプロピルトリプタミン(EIPT)、N-メチル-N-ブチル-トリプタミン(MBT)または他の位置で置換された類似体、例えば、N,N-ジメチル-5-ヒドロキシトリプタミン(5-OH-DMTもしくはブホテニン)、5-メトキシ-α-メチルトリプタミン(5-MeO-aMT)、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、5-メトキシ-N,N-ジエチルトリプタミン(5-MeO-DET)、5-メトキシ-N,N-ジプロピルトリプタミン(5-MeO-DPT)、5-メトキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン(5-MeO-DIPT)、5-メトキシ-N-エチル-N-イソプロピルトリプタミン(5-MeO-EI PT)、2,α-ジメチルトリプタミン(2,α-DMT)、α,N-ジメチルトリプタミン(α,N-DMT)、α-エチルトリプタミン(α-ET)、2-メチル-N,N-ジメチルトリプタミン(2-Me-DMT)、2-メチル-N,N-ジエチルトリプタミン(2-Me-DET)、1-メチルシロシンおよびイボガイン(複合トリプタミン)を含む。
【0191】
いくつかの態様では、等モル量のシロシンまたはシロシビン類似体が、シロシビンおよび/もしくはシロシンの代わりに使用される場合があり、または、等価の機能的効果を産生する量が使用される場合がある。
【0192】
一態様では、サイケデリックはシロシビンである。シロシビンは、まとめてシロシビンマッシュルームとして知られる200種を超えるキノコによって産生される天然サイケデリック化合物である。対象に投与された後、シロシビンは、内因性アルカリホスファターゼによってシロシンに代謝され、これは次に脳内のセロトニン受容体に作用する。好ましい態様では、サイケデリックはシロシンである。
【0193】
シロシビンはまた、[3-(2-ジメチルアミノエチル)-1H-インドール-4-イル]二水素ホスファートとしても知られ、CAS番号520-52-5が与えられている。シロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(4-HO-DMT)、サイロシン(psilocine)、プシロシン(psilocyn)、またはプシロトシン(psilotsin)としても知られる)、およびCAS番号520-53-6が与えられている。
【0194】
コクリスタルは、2つの構成要素、活性薬学的成分およびコンフォマーが化学量論比で存在し、結晶格子中で水素結合、π-π相互作用、およびファンデルワールス力によって一緒に結合している、多成分系である。いくつかの態様では、コンフォマーおよび活性物は、ハロゲン結合などの非共有結合で結合することができる。
【0195】
適切なコフォーマーの例は、アセトアミド、ベンズアミド、(+/-)-リモネン、1-(フェニルアゾ)-2-ナフチルアミン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-(ホスホ-s-(1-グリセロール))、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-(ホスホ-rac-(1-グリセロール))、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-(ホスホ-rac-(1-グリセロール))、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,5-ナフタレン-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、1-o-トリルビグアニド、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、4-アミノ安息香酸、4-アミノピリジン、4-アミノサリチル酸、4-クロロベンゼン-スルホン酸、4-エトキシフェニル尿素、7-オキソ-dhea、アラビアゴム、アラビアゴム粘液、アラビアゴムシロップ、アセスルファーム、アセスルファームカリウム、アセトヒドロキサム酸、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、アセチル化ラノリンアルコール、アセチル化モノグリセリド、アセチルシステイン、アセチルクエン酸トリブチル、アクリル酸共重合体、アクリル酸-アクリル酸イソオクチル共重合体、アデニン、アジピン酸、アラニン、凝集アルブミン、コロイド状アルブミン、ヒトアルブミン、アルブミン類、アルギン酸、アルキルアンモニウムスルホン酸ベタイン、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、アラントイン、アロプリノール(allopurineol)、アリルアルファ-イオノン、アルファ-テルピネオール、アルファ-トコフェロール、酢酸アルファ-トコフェロール、アミノ安息香酸ナトリウム、酢酸アミル、アネトール、無水クエン酸、無水ブドウ糖、無水ラクトース、無水リン酸三ナトリウム、無水クエン酸三ナトリウム、アルギニン、アラセル、アギ(asafetida)、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパラギン、アスパルテーム、アスパラギン酸、静菌性塩化ナトリウム注射液、硫酸バリウム、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼンスルホン酸、ベンゼトニウム塩化物、ベンゾドデシニウム臭化物、安息香酸、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、塩化ベンジル、ベータ-カロテン、ベータナフトール、ベトース(betose)、ビバプシチド、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、ホウ酸、ブロクリナート、ステアリン酸ブチル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベン、酪酸、C-11-1-アミノシクロヘキサンカルボン酸、乳酸C12-15アルキル、カフェイン、カルコブトロール、カルジアミドナトリウム、カロキセト酸三ナトリウム、カルテリドールカルシウム、ショウノウ酸、カプリン酸、カプタン、カプチゾール、カルボキシポリメチレン、カルミン、カルナウバろう、カルナウバ黄ろう、カラゲナン、カラゲナンカルシウム、カラゲナン塩、カラゲナンナトリウム、セレシン、セテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-30、セテアリルアルコール/セテアレス-20、エチルヘキサン酸セテアリル、セテス-10、セテス-2、セテス-20、セテス-23、セトステアリルアルコール、塩化セトリモニウム、セチルアルコール、セチルエステルろう、パルミチン酸セチル、セチルピリジニウム塩化物、クロロクレゾール、クロロキシレノール、コレステロール、クリシン、桂皮アルデヒド、桂皮酸、クエン酸塩、クエン酸、クエン酸一水和物、クレミゾール、コカミドエーテル硫酸、コカミンオキシド、ココ-ベタイン、ココ-ジエタノールアミド、ココ-モノエタノールアミド、ココ-カプリル酸、ココ-グリセリド、クレアチン、クレアチニン、クレゾール、硫酸銅(II)、シクラミン酸、シクロメチコン、シクロメチコン5、システイン、ダルファムプリジン、デシルメチルスルホキシド、デヒドロ酢酸、安息香酸デナトニウム、デオキシコール酸、デキストラン、デキストラン40、デキストラート、デキストリン、ブドウ糖、ブドウ糖一水和物、ジアセチル化モノグリセリド、ジアトリゾ酸、無水リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム二水和物、リン酸水素二ナトリウム十二水和物、リン酸水素二ナトリウム七水和物、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ジエチルピロカルボナート、ジエチルセバシン酸、ジエチルアミノエチルステアルアミドホスファート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、フタル酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、ジリノール酸ジイソプロピル、ジイソプロピルベンゾチアジル-2-スルフェンアミド、ジメチコン医薬液剤360、ジメチルイソソルビド、ジメチルフタル酸、ジメチルスルホキシド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ジメチルグリシン、ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン共重合体、ジノセブ-アンモニウム、ジプロピレングリコール、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、オレアミドモノエタノールアミンスルホコハク酸二ナトリウム、スルホサリチル酸二ナトリウム、ジソフェニン、dl-a350乳酸、dl-アセチルトリプトファン、dl-アルファ-トコフェロール、酢酸dl-アルファ-トコフェロール、dl-ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、dl-ジステアロイルホスファチジルコリン、dl-グルタミン酸、dl-酒石酸、d-マンノース、dmdmヒダントイン、ドコサノール、ドクサートナトリウム、d-リボース、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸、卵ホスファチジルグリセロール、卵リン脂質、エンツホン、エンツホンナトリウム、エピラクトース、塩酸エピテトラサイクリン、エリソルビン酸、エリスリトール、塩酸エタノールアミン、エチルマルトール、オレイン酸エチル、バニリン酸エチル、エチルバニリン、エチレンジアミン二塩酸塩、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、エチルパラベン、ユーカリプトール、オイゲノール、エキサメタジム、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ペンタエリスリオールエステル、脂肪酸、脂肪アルコールクエン酸エステル、脂肪アルコール、塩化第二鉄、酸化第二鉄、四酸化三鉄、フマル酸第一鉄、酸化第一鉄、フルオレセイン、フルクトース、フマル酸、フマリルジケトピペラジン、酸化ガドリニウム、ガラクタル酸、ガラクトース、ガンマシクロデキストリン、ゲニステイン、ゲンチシン酸、ゲンチシン酸エタノールアミド、ゲンチシン酸エタノールアミン、グルセプト酸ナトリウム、グルコン酸、グルコノラクトン、グルコサミン、グルコース、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタミン酸塩酸塩、グルタミン、グルタル酸、グルタチオン、カプリル酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル-ラウレス-23、ステアリン酸グリセリル/ステアリン酸peg、ステアリン酸グリセリル/ステアリン酸peg-100、ステアリン酸グリセリル/ステアリン酸peg-40、ステアリン酸グリセリル-ステアラミドエチルジエチルアミン、トリオレイン酸グリセリル、グリシン、グリシン塩酸塩、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、グリコール酸、グリチルリチン、塩酸グアニジン、ヘキシルレゾルシノール、馬尿酸、ヒスチジン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン、ヒドロキノン、クエン酸水和物、ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン、ヒストレン、シキミ(illicium anisatum)、イミダゾール、イミド尿素、インジゴチン二硫酸ナトリウム、ヨードキサム酸、イオフェタミン塩酸塩、イプリフラボン、イソロイシン、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル-ミリスチルアルコール、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラクタート、ラクチトール一水和物、ラクトビオン酸、ラクトース、ランダルギン(landalgine)、ラノリン、ラウラルコニウムクロリド、ラウラミンオキシド、ラウレス硫酸、ラウリン酸、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ラウロイルサルコシン、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、レシチン、ロイシン、レボメントール、レブリン酸、リドフェニン、I-乳酸ナトリウム、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マルチトール、マルトデキストリン、マルトール、無水マルトース、マンデル酸、マンニトール、マプロフィクス(maprofix)、メブロフェニン、中鎖トリグリセリド、メドロン酸二ナトリウム、メドロン酸、メントール、メタクレゾール、メチオニン、サリチル酸メチル、ステアリン酸メチル、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、ミリピリウムクロリド、モノグリセリドおよびジグリセリド、リン酸一ナトリウム、無水リン酸一ナトリウム、リン酸一ナトリウム二水和物、リン酸一ナトリウム一水和物、クエン酸モノグリセリド、モノグリセリド、クエン酸一ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、クエン酸モノステアリル、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、ミリスチルアルコール、乳酸ミリスチル、ナイアシンアミド、ニコチンアミド、ニコチン酸、N-メチルグルカミン、オクタン酸、オレス-20、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、オロト酸、シュウ酸、オキシドロン酸二ナトリウム、オキシキノリン、パルミタミンオキシド、パルミチン酸、パモ酸、ペンタデカラクトン、ペンタエリスリトールココエート、ペンテト酸五ナトリウム、ペンテト酸カルシウム三ナトリウム、ペンテト酸、フェノール、フェノニップ、フェノキシエタノール、フェニルアラニン、フェニルエチルアルコール、リン脂質、ピペラジン、ピペラジン六水和物、プロカイン、プロダクトワット(product wat)、プロリン、プロペニルグアエトール、没食子酸プロピル、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、プロピレングリコール-レシチン、アルギン酸プロピレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、二カプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノパルミトステアリン酸プロピレングリコール、パルミトステアリン酸プロピレングリコール、リシノール酸プロピレングリコール、プロピレングリコール/ジアゾリジニル尿素/メチルパラベン/プロピルパラベン、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、p-トルエンスルホン酸、ピリドキサミン、ピリドキシン(4-ピリドキシン酸)、ケルセチン、レスベラトロール、リボフラビン、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、無水サッカリンナトリウム、サリチル酸、飽和脂肪酸エステル、セバシン酸、セリン、1,2-エタンジスルホン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、無水酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウムアセトン、重亜硫酸ナトリウム、
重酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム十水和物、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム十水和物、炭酸ナトリウム一水和物、カルボキシメチルベータ-グルカンナトリウム(ds 065-085)、カゼイン酸ナトリウム、セルロースナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化ナトリウム注射剤、コレステリル硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム水和物、ココイルサルコシン酸ナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、デスオキシコール酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチルパラベンナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、乳酸ナトリウム、ラウレス-2硫酸ナトリウム、ラウレス-3硫酸ナトリウム、ラウレス-5硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム二水和物、亜リン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム(2500000MW)、ポリメタリン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム タイプa トウモロコシ、デンプングリコール酸ナトリウム タイプa バレイショ、タイプBバレイショデンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム六水和物、硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム十水和物、亜硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム化ウンデシレン酸モノアルキロールアミド(sodium sulfosuccinated undecyclenic monoalkylolamide)、酒石酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、無水チオ硫酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、ソルビトール、スクアラン、2-エチルヘキサン酸すず、ステアラルコニウムクロリド、ステアラルコニウムヘクトライト/炭酸プロピレン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアレート、ステアリン酸、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、コハク酸、スクラロース、スクロース、ジステアリン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、スクロースポリエステル、ステアリン酸スクロース、スクロースシロップ、スルファセタミドナトリウム、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、タガトース、酒石酸、テガシド(tegacid)、tert-ブチルヒドロキノン、テトロホスミン、テオフィリン、チメロサール、トレオニン、チモール、トコフェロール、トコフェルソラン、トラガント、トリアセチン、リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム一水和物、トリベヘニン、トリカプリリン、トリセテアレス-4リン酸、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、クエン酸トリエチル、トリヒドロキシステアリン、トリラネス-4リン酸、トリラウレス-4リン酸、トリミリスチン、トリス、クエン酸三ナトリウム二水和物、hedta三ナトリウム、トリステアリン、トロラミン、トロマンタジン、トロメタミン、トリプトファン、チロキサポール、チロシン、ウンデシレン酸、尿素、ウレタン、ウルソジオール、バリン、バニリン、ベルセタミド、ビスカリン(viscarin)、ビタミンE、酢酸ビタミンE、ビタミンK5、キシリトール、および硫酸亜鉛を含む。
【0196】
コクリスタルの形成は、薬物の可溶性、水吸着、溶出速度、および他の物理化学特性を制御することができるので、薬物のコクリスタルに関する多くの研究は、薬物の効果を改善するために行われている。薬物のコクリスタルは、製造されることができ、難溶性薬物の可溶性、安定性および加工性などの薬物特性を改善することができる。
【0197】
シロシビンおよびシロシンは、シロシビン製剤の活性成分および保管の低い安定性によって特徴付けられる粉末形態で使用される。したがって、改善された安定性および可溶性を有するシロシビンまたはシロシンコクリスタルが提供される。シロシビンまたはシロシンコクリスタルを産生するための方法もまた、提供される。
【0198】
本明細書に記載されるシロシビンおよびシロシンコクリスタルは、少なくとも1つのコンフォマーを含む、シロシビン分子と共に超分子シントンを形成することができる。これらの超分子シントンの形成は、コクリスタルを形成可能にする。
【0199】
一態様では、コフォーマーは、シロシビンまたはシロシン分子内の窒素原子と酸アミドヘテロシントンを形成することができるカルボキシレート部分を有する。別の態様では、コフォーマー分子は、シロシビンのリン酸部分とヘテロシントンを形成する。
【0200】
シロシビンまたはシロシンコクリスタルを調製するための方法もまた提供され、というのも該方法は、シロシビンまたはシロシン分子に少なくとも1つのコフォーマー分子を提供する工程を含むからである。シロシビンまたはシロシンおよび少なくとも1つのコンフォマーは、混合溶液を調製するために混合される。蒸発晶析、冷却晶析、反応晶析、および等温結晶化によって混合溶液からコクリスタルを形成することができる。
【0201】
蒸発コクリスタル化は、蒸発を介して溶液から溶媒を除去することによって提供される過飽和を用いた、混合溶液からのコクリスタルの核形成および成長を伴う。きれいな結晶の回収を確実にするために、溶液が蒸発乾固する前に個別のコクリスタルまたはバルク結晶試料を回収すべきである。
【0202】
コクリスタルはまた、コクリスタルをもたらす固体物質が化学量論量で混合され、乳鉢および乳棒、ボールミックスまたは他の粉砕型ミルリーと一緒に圧され破砕される方法である固体状態粉砕によって形成され得る。
【0203】
液体支援粉砕は、粉砕プロセスの間の少量の溶媒の添加による固体状態粉砕の変形であって、結晶系において多形的および化学量論的の両方で、超分子選択性を高めるために使用される。いくつかのコクリスタルは固体状態粉砕条件下でコクリスタル形成に低い性能を示したので、この方法は、コクリスタル化速度を高める。
【0204】
冷却晶析を使用して、温度降下によって提供される過飽和を用いてコクリスタルを調製することができる。
【0205】
別の態様では、コクリスタルは、等温スラリー変換によって形成され得る。これは、固体画分を常に過剰に残してシロシビンまたはシロシンおよびコンフォマーを溶媒中に懸濁することを伴う。典型的に、これは、シロシビンまたはシロシンをコフォーマーの溶媒中溶液または懸濁液に添加する工程を伴う。これは溶液ベースの方法であるとはいえ、混合溶液は、完全に溶解したシロシビンまたはシロシンと、コンフォマーとを含有する必要はない。
【0206】
あるいはコクリスタルは、超臨界流体法によって、例えば超臨界二酸化炭素(CO2)を使用して、得ることができる。これらの方法では、超臨界CO2は、シロシビンまたはシロシンとコフォーマーとをスラリーとして液体または超臨界CO2中に懸濁するために使用される。CO2の熱力学的条件(例えば、温度、圧力)を制御することによって、その密度および溶解力を微調整することが可能であり、それにより、コクリスタル構成成分間のコクリスタル化の制御が提供される。
【0207】
一態様では、コクリスタルは、混合溶液の調製に使用される溶媒と異なる非溶媒を使用することによって得ることができる。
【0208】
いくつかの態様では、シロシビンまたはシロシンコクリスタルは、シロシビンまたはシロシン単独と比較して、改善された可溶性、安定性または両方を有する。
【0209】
方法は、サイケデリック、薬学的に許容されるそれらの塩を利用することができる。「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触した使用に適した塩であって、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などを有せず、合理的なリスク/ベネフィット比に釣り合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。S. M. Bergeらは、薬学的に許容される塩についてJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66:1-19に詳細に記載している。適切な塩にかんする総説については、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, 2002)を参照されたい。本発明の化合物の薬学的に許容される塩を製造する方法は、当業者に公知である。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで、または遊離塩基官能基を適切な有機酸と反応させることによって、別々に調製することができる。本発明の化合物の適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、複素環カルボン酸およびスルホン酸クラスより選択される場合があり、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコロン酸(glucoronic)、フマル酸、マレイン酸、ピルビン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、アンボン酸、パモ酸、パントテン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン(algenic)酸、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸である。本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムおよび亜鉛から作られた金属塩、ならびにコリン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの有機塩基から作られた有機塩を含む。あるいは、本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、プロカインから作られた有機塩、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などの四級塩、アミノ酸付加塩、例えばグリシンおよびアルギニンとの塩を含む。固体である化合物の場合、化合物、作用物質および塩が異なる結晶または多形形態として存在する場合があるが、そのすべては、本発明の範囲内であることが意図されることが、当業者によって理解されている。
【0210】
本明細書に記載されるサイケデリック化合物、その塩、またはコクリスタルは、化合物の薬学的有効量を、担体、媒体および希釈剤、化学安定化剤、例えば抗酸化剤を含む1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤に関連して含む製剤または組成物として投与され得る。本明細書における「賦形剤」という用語は、それ自体、治療剤ではなく、治療剤の対象への送達のための希釈剤、佐剤、もしくは媒体として使用される、あるいはその取り扱いもしくは保管特性を改善するために、または静脈内、筋肉内、皮内、もしくは皮下、経鼻もしくは口内適用などによる非経口投与に適した溶液もしくは懸濁液などの投薬形態の形成を可能にするもしくは容易にするために、薬学的組成物に添加される、任意の物質を意味する。
【0211】
適切な塩は、無機酸または有機酸から調製することができる任意の薬学的に許容される塩を含む。このような無機酸の塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、ホウ酸、スルファミン酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸より選択される場合があり、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、酪酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコロン酸、フマル酸、マレイン酸、エデト酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、吉草酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、アントラニル酸、メシル酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、アンボン酸、パモ酸、パントテン酸、タンニン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン酸、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸である。本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムおよび亜鉛から作られた金属塩、ならびにコリン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの有機塩基から作られた有機塩を含む。あるいは、本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、プロカインから作られた有機塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩などの四級塩、アミノ酸付加塩、例えばグリシンおよびアルギニンとの塩を含む。また、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ジアルキル硫酸、例えばジメチル硫酸およびジエチル硫酸などの作用物質と四級化され得る。金属塩は、サイケデリックの金属水酸化物との反応によって調製することができる。酸の塩は、適切な酸をサイケデリックと反応させることによって調製することができる。
【0212】
賦形剤は、例としてであるが、限定としてではなく、希釈剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、流動促進剤、安定化剤、および組成物の外観を改善するために添加される物質を含むことができる。許容される賦形剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、炭酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、デキストリン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料、例えば、アルカン酸のセルロースエステルおよびセルロースアルキルエステル、低融点ろう、カカオ脂または粉末、ポリマー、例えば、ポリビニル-ピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコール、ならびに他の薬学的に許容される物質を含む(が、それに限定されない)。賦形剤およびそれらの使用の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2000)に記載されている。賦形剤の選択は、特定の投与様式、賦形剤の可溶性および安定性に対する効果、ならびに投薬形態の性質などの要因に大きく依存する。
【0213】
いくつかの態様では、組成物または製剤は、ピルビン酸塩、アスコルビン酸塩、または酒石酸塩などの抗酸化剤を含む。
【0214】
本発明の化合物および薬学的組成物は、注射、経鼻、非経口、皮下、静脈内、または筋肉内送達のために製剤化され得る。特定の製剤種類の非限定的な例は、散剤、顆粒剤、注射薬、アンプル、バイアル、使用準備済みの液剤、懸濁剤、または凍結乾燥された物質を含む。
【0215】
静脈内、筋肉内、または皮下投与を含む非経口投与のために、液体ユニット投薬形態は、サイケデリックと、無菌媒体、典型的には、好ましくは対象の血液と等張である無菌水溶液とを組み合わせることによって調製され得る。使用される媒体および濃度に応じて、サイケデリックは、媒体または他の適切な溶媒中に懸濁または溶解され得る。溶液を調製するにあたり、サイケデリックは、注射用水に溶解され、濾過滅菌された後、適切なバイアルまたはアンプルに充填され、密封される場合がある。有利には、保存剤および緩衝化剤などの作用物質を媒体中に溶解することができる。安定性を高めるために、組成物をバイアル中に充填した後に凍結させ、減圧下で水を除去する場合がある。次いで、凍結乾燥された粉末がバイアル中に密封され、添付の注射用水または他の適切な液体のバイアルが、使用前に液体を再構成するために供給され得る。
【0216】
凍結乾燥前の合計液体体積は、凍結乾燥された製剤の最終再構成体積よりも少ない、等しい、または大きくなることができる。凍結乾燥プロセスは、当業者に周知であり、典型的には、制御された条件下で、凍結した製剤から水を昇華させることを含む。凍結乾燥された製剤は、典型的には、広範囲の温度で保管することができる。例えば、凍結乾燥された製剤は、25℃より低く、例えば、2~8℃で冷蔵して、または室温(例えば約25℃)で保管され得る。好ましくは、凍結乾燥された製剤は、約25℃よりも低く、より好ましくは約20℃で;約4℃よりも低く;または約0℃よりも低く保管される。
【0217】
凍結乾燥された製剤は、好ましくは、主として、水(例えば、USP WFI、もしくは注射用水)または静菌水(例えば、0.9%ベンジルアルコールを有するUSP WFI)からなる溶液で再構成される。あるいは、緩衝剤および/または賦形剤および/または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体を含む溶液が使用され得る。フリーズドライまたは凍結乾燥を受けるべき液体は、好ましくは、所望のすべての構成成分を最終的な再構成液体製剤中に含む。
【0218】
いくつかの態様では、方法に使用するためのキットが提供され、該キットは、凍結乾燥された製剤と、任意で、凍結乾燥された製剤の再構成のための溶液と、使用説明書とを含む。
【0219】
サイケデリックおよび1つまたは複数の他の医薬品の使用の定義における「併用療法」または「補助療法」という用語は、薬物組み合わせの有益効果を提供するレジメンでの各作用物質の順次的な投与を包含することが意図され、同様に、これらの作用物質の実質的に同時の、例えば、これらの活性作用物質を一定比で有する単一製剤での、または各作用物質の複数の別々の製剤での、共投与を包含することが意図される。
【0220】
本発明の様々な態様により、1つまたは複数のサイケデリックは、1つまたは複数の他の治療剤、例えばNSAIDまたはパルミトイルエタノールアミド(PEA)と組み合わせて製剤化または投与され得る。したがって、本発明の様々な態様により、1つまたは複数のサイケデリックは、他の公知の治療剤または予防剤との併用処置レジメンに含まれ得る。
【0221】
あるいは、対象は、NSAIDまたはパルミトイルエタノールアミド(PEA)などの1つまたは複数の他の治療剤で、例えば、サイケデリック剤の投与の数週間前に開始され得る初期の精神療法セッションの間に、前処置され得る。いくつかの態様では、1つまたは複数の他の治療剤、例えばNSAIDを用いた処置は、サイケデリック投与後に継続する。
【0222】
併用レジメンは、活性作用物質が、その都度適宜、一緒に、順次に、または間隔を空けて投与される工程を伴い得る。本発明の化合物を含む活性作用物質の組み合わせは、相乗的であり得る。
【0223】
本発明の化合物の共投与は、サイケデリックが別の活性薬剤と同じユニット用量であることによって引き起こされる場合があり、または、化合物および1つもしくは複数の他の活性作用物質は、投与レジメンまたはスケジュールにより、同時にもしくは類似の時間にもしくは異なる時間に投与される個々および別個のユニット用量中に存在し得る。順次投与は、必要に応じて任意の順序の場合があり、特に累積または相乗効果が望まれる場合は、第2以降の化合物が投与されるときに第1または最初の化合物の生理効果が目下継続している必要があり得る。
【0224】
例えば、線維筋痛症投与を処置するために本明細書に記載される方法が使用される場合、疼痛を低減するための鎮痛薬(NSAID)の投与のみならず、解離状態の間に強化することができるポジティブな環境を提供することに貢献し得る潜在的CNS炎症を低減することが予期される。すなわち、いくつかの態様では、サイケデリックの影響を高めるため、およびさもなければCNS炎症によって徐々に衰え得る、より長期持続性の効果を誘導するために、対象をサイケデリックの投与のために準備するための「前処置期間」がある。
【0225】
いくつかの態様では、サイケデリック介入のために脳を準備し、サイケデリックの影響を高めて、CNS炎症によって徐々に衰えないより長期持続性の効果を誘導するために、処置に適した治療薬が使用される「前処置期間」がある。
【0226】
いくつかの態様では、サイケデリック(例えばシロシビンまたはシロシン)を、オルリスタット、ロルカセリン、フェンテルミン-トピラマート、ナルトレキソン-ブプロピオン、リラグルチド、フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、およびSGLT2阻害薬(グリフロジン(glifozina))のうち1つまたは複数と共に投与することができる。これらの組み合わせは、視床下部性肥満、ROHHAD(視床下部調節不全、低換気、および自律神経調節不全を伴う急速発症肥満)、むちゃ食い、過食症、食欲不振、異食症、反芻性障害、回避/制限性食物摂取障害(ARFID)、排出性障害、夜食症候群、およびオルトレキシアなどの摂食障害を処置するために有用であり得る。
【0227】
いくつかの態様では、サイケデリック(例えばシロシビンまたはシロシン)は、線維筋痛症の処置のための鎮痛剤、抗うつ薬および抗痙攣薬のうち1つまたは複数と共に投与することができる。これに関連して、アセトアミノフェン、イブプロフェンまたはナプロキセンナトリウムなどの適切な鎮痛剤が有益な場合がある。ガバペンチンまたはプレガバリンもまた使用され得る。
【0228】
適切な抗うつ薬は、デュロキセチンを含み、ミルナシプラン(サベラ)は、線維筋痛症に関連する疼痛および疲労の軽減を助け得る。適切な抗痙攣薬は、カルバマゼピン、クロバザム、ラモトリギン、レベチラセタム、オキシカルバゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、トピラマート、ラコサミド、およびゾニサミドを含む。
【0229】
線維筋痛症の処置に関連して、サイケデリック(例えばシロシビンまたはシロシン)は、代替的または追加的に、シクロベンザプリンなどの筋弛緩薬と共投与することができ、または経頭蓋磁気刺激と共投与することができる。
【0230】
IV. 処置のための心理的障害および徴候
本明細書に開示される方法および使用は、重大な心理的要素を有する任意の心理的障害または疾患の治療または予防に有用であることができる。いくつかの局面では、心理的要素を有する心理的障害または疾患はまた、疼痛または疼痛感覚に関係する疾患または徴候を含む。
【0231】
本明細書に開示される方法によって治療または予防され得る心理的障害の例は、PTSD、アルコール嗜癖および薬物嗜癖、治療抵抗性うつ病、不安、エンドオブライフ不安(例えば、がんなどの終末期疾患に関連する)、摂食障害、線維筋痛症、神経障害性疼痛、幻肢痛、視床下部誘導性肥満(HO)およびプラダー・ウィリー症候群(PWS)、食欲不振、過食症、およびむちゃ食い障害を含む。いくつかの局面では、提供される態様により処置することができる例示的な心理的障害は、痛覚変調性疼痛を含む。
【0232】
好ましい態様では、本明細書に記載される方法は、視床下部誘導性肥満(HO)、プラダー・ウィリー症候群(PWS)、むちゃ食いまたは線維筋痛症を処置するために使用される。
【0233】
本明細書に開示される方法によって治療または予防され得る心理的障害の他の例は、精神障害、統合失調症、統合失調症様障害(急性統合失調症性エピソード);統合失調感情障害;双極I型障害(躁病、躁障害、躁うつ精神病);双極II型障害;精神病性特徴を有するまたは有しない大うつ病性障害(精神病性うつ病);妄想性障害(パラノイア);共有精神障害(共有パラノイア障害);短期精神病性障害(その他および特定不能の反応精神病);他に特定されない精神病性障害(特定不能の精神病);妄想性パーソナリティ障害;シゾイドパーソナリティ障害;統合失調型パーソナリティ障害、不安障害、パニック障害、パニック発作、広場恐怖症、および注意欠如症候群を含む。
【0234】
いくつかの局面では、障害または疾患は、疼痛関連障害、例えば、心理的要素を有する心理的障害または疾患である疼痛関連障害を含む。いくつかの局面では、疼痛関連障害は、痛覚変調性疼痛に関連するまたは痛覚変調性疼痛の特徴を有する疼痛関連疾患を含む。いくつかの局面では、提供される態様により処置されるべき疾患または障害、例えば心理的障害は、痛覚変調性疼痛障害を含む。
【0235】
いくつかの局面では、痛覚変調性疼痛は、神経障害の徴候に関連せず、見たところ正常な組織における過敏性によって特徴付けられる。いくつかの局面では、痛覚変調性疼痛は、実際の組織損傷または危機に直面した組織損傷の明らかな証拠も、病変または疾患の証拠もないにもかかわらない、侵害受容の変容に起因する。いくつかの局面では、痛覚変調性疼痛は慢性である。痛覚変調性疼痛の例示的な種類は、線維筋痛症、過敏性腸症候群、幻肢痛、複合性局所疼痛症候群、および非特異的慢性腰痛を含む。いくつかの局面では、痛覚変調性疼痛は、進行中の組織炎症および組織損傷によって引き起こされる侵害受容性疼痛、および神経損傷によって引き起こされる神経障害性疼痛と機構的に別個である。痛覚変調性疼痛の根底にあるメカニズムは、完全には理解されていないが、増強された中枢神経系(CNS)疼痛および知覚処理および変容した疼痛調節を伴うこともできる。痛覚変調性疼痛において観察される例示的な症状は、識別可能な組織損傷または神経損傷の量のみならず、他のCNS由来症状、例えば疲労、睡眠、記憶、および気分の問題を考えて予想されるよりも広範もしくは激しい、またはその両方である多巣性疼痛を含む。痛覚変調性疼痛は、例えば、線維筋痛症もしくは緊張型頭痛の場合のように孤立して、または慢性腰痛で起こり得るような進行中の侵害受容性もしくは神経障害性疼痛と一緒になった混合疼痛状態の一部として起こる可能性がある(例えば、Fitzcharles et al. 2021 Lancet 397(10289):2098-2110を参照されたい)。
【0236】
いくつかの態様では、心理的障害または痛覚変調性疼痛障害は線維筋痛症である。いくつかの態様では、心理的障害または痛覚変調性疼痛障害は幻肢痛である。いくつかの態様では、心理的障害または痛覚変調性疼痛障害は複合性局所疼痛症候群である。
【0237】
いくつかの局面では、痛覚変調性疼痛の動物モデルを使用して、例えば本明細書に記載される場合のサイケデリックの投与の活性および効果を評定することができる。いくつかの例では、ホルマリンの注射により疼痛を誘導されたラットが、痛覚変調性疼痛の動物モデルとして使用される。ホルマリン疼痛モデルは、線維筋痛症、幻肢痛または複合性局所疼痛症候群を含む慢性痛覚変調性疼痛のための橋渡し動物モデルである(Vanini G., Sleep 2016;39(1):133-42)。ホルマリン疼痛モデルでは、ホルマリン注射された肢に余分な疼痛を体験することに加えて、動物は、ホルマリンを注射されていない体肢(例えば、ホルマリンを注射された肢と比較して対側の肢)に増大した痛覚(すなわち、痛覚過敏)を体験する。痛覚変調性疼痛障害におけるサイケデリックの活性を評定するために、痛覚は対側の肢において測定された。
【0238】
具体的な態様に示されるように本発明に数多くの変形および/または修飾が加えられ得るが、広く説明された場合の本発明の精神または範囲から逸脱しないことが、当業者によって認識されている。したがって、本態様は、すべての点で例示的であって、限定的でないと考えられるべきである。
【0239】
V. 定義
特に定義しないかぎり、本明細書に使用されるすべての専門用語、表記法ならびに他の技術および科学用語または専門語は、特許請求された主題が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、通常理解される意味を有する用語は、明確化および/または参照を容易にするために本明細書に定義され、本明細書においてかかる定義を含むことは、必ずしも当技術分野において一般的に理解されるものとの実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
【0240】
Cmaxは、血清または血漿中で薬物が達成するピーク濃度を意味する。
【0241】
本明細書にわたり、文脈が他のものを明らかに必要としないかぎり、「含む(comprise)」という語句、または「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変形は、述べられた要素、完全体もしくは工程、または要素、完全体もしくは工程の群の包含を意味するが、任意の他の要素、完全体もしくは工程、または要素、完全体もしくは工程の群の排除を意味しないと理解される。
【0242】
本明細書にわたり、「からなる(consisting of)」という用語は、それのみからなることを意味する。
【0243】
「から本質的になること」という用語は、述べられた要素、完全体または工程の包含を意味するが、本発明を実質的に変更も、その働きに寄与もしない他の要素、完全体または工程もまた包含され得る。
【0244】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、論文などのいかなる議論も、本技術の文脈を提供するためにすぎない。これらの事柄のいずれかまたはすべては、本明細書の各請求項の優先日以前に存在したために、先行技術の基礎の一部を形成する、または本技術に関連する技術分野においてありふれた一般知識であったとの承認として受け取られるべきではない。
【0245】
文脈が他のものを必要とするまたは反対のことを具体的に述べたのでないかぎり、本明細書において単数の完全体、工程、または要素として記載された本技術の完全体、工程、または要素は、明らかに、記載された完全体、工程、または要素の単数形および複数形の両方を包含する。
【0246】
本明細書に関連して、「a」および「an」という用語は、物の文法的目的語の1つまたは1つよりも多く(すなわち少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」への言及は、1つの要素または1つよりも多い要素を意味する。
【0247】
本明細書に関連して、「約」という用語は、図面または値への参照が絶対的な図面または値として受け取られるべきでなく、当業者が技術により理解するものと一致して当該図面または値を超えるまたは下回る、典型的な誤差マージンまたは危機の限界を含む変動マージンを含むことを意味する。言い換えると、「約」という用語の使用は、同じ機能または結果を達成することに関連して、記載された値と等価であると当業者が考える範囲または近似を指すと理解される。
【0248】
「処置すること」、「処置」および「治療法」という用語は、本明細書において治癒的療法、予防的療法、姑息療法および予防療法を指すために使用される。したがって、本開示に関連して、「処置すること」という用語は、心理的状態またはその随伴症状の1つもしくは複数の重症度を治癒、回復または軽減することを包含する。
【0249】
「治療有効量」または「薬理学的有効量」または「有効量」という用語は、処置されている対象において所望の治療または薬理効果を産生するのに十分な作用物質の量を指す。これらの用語は同義であり、各作用物質自体の処置にわたり疾患重症度および/または発生頻度における改善の目標を達成する一方で、他の治療法に典型的に関連する副作用を含む有害副作用を好ましくは回避または最小限にする、各作用物質の量を適切とすることが意図される。
【0250】
「薬学的担体、希釈剤または賦形剤」は、適切な水溶性有機担体、溶媒、分散媒、増量剤、担体、コーティング剤、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤を含む任意の生理学的緩衝(すなわち、約pH7.0~7.4)媒質を含むが、それに限定されない。適切な水溶性有機担体は、生理食塩水、ブドウ糖、トウモロコシ油、ジメチルスルホキシドを含むが、それに限定されない。他の添加剤は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、結合剤、例えば結晶セルロース、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビオゴム、ゼラチン、溶解剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、および滑沢剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウムを含む。
【0251】
「対象」は、任意のヒトを含む。
【0252】
本明細書に関連して、「投与すること」という用語ならびに「投与する」および「投与」を含むこの用語の変形は、本発明の化合物または組成物を対象に、任意の適切な手段によって接触、適用、送達、または提供することを含む。
【0253】
当業者は、本明細書に記載される技術が、具体的に記載されたもの以外の変形および修飾を受けやすいことを認識している。この技術が、このような変形および修飾を含むことが理解されるべきである。疑いを避けるために、この技術はまた、本明細書に言及または示された工程、特徴、および化合物のすべてを個別にまたは集合的に、ならびに該工程、特徴および化合物の任意の2つ以上のいずれかおよびすべての組み合わせを含む。
【0254】
本技術がより明確に理解され得るために、好ましい態様が、以下の説明を参照して記載される。
【0255】
VI. 例示的な態様
提供される態様に、以下が含まれる:
1. 対象における心理的障害を処置する方法であって、
心理的障害を有する対象に、投与後30分未満で該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
2. 前記対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、前記対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程をさらに含む、態様1の方法。
3. 心理的障害を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
該対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、該対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
解離状態を誘導する方法。
4. 心理的障害を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;および
該対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、該対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
解離状態を誘導する方法。
5. 心理的障害を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程;
該対象が解離状態に入っているかを決定するために、該対象から脳活動の非侵襲測定を得る工程;および
該対象が解離状態に入っているならば、サイケデリックの該量を治療有効用量として決定する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
サイケデリックの治療有効用量を決定する方法。
6. 心理的障害を有する対象における解離状態を維持する方法であって、
投与後30分未満で該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを該対象に投与する工程;および
該対象がいつ解離状態に入るかを決定するために、該対象から脳波検査(EEG)の測定を得る工程;および
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
7. 態様1~6のいずれか1つの方法を実行する工程;および
サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含み;それにより、心理的障害を処置する、
心理的障害を処置する方法。
8. 幻肢痛を有する対象に、該対象において解離状態を誘導するのに十分な量のサイケデリックを投与する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
対象における幻肢痛を処置する方法。
9. サイケデリックの投与が静脈内投与による、態様1~8のいずれか1つの方法。
10. 解離状態が、前記対象において投与後15、30、60、90もしくは120分未満以内、または約15、30、60、90もしくは120分未満以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で誘導される、態様1~5および7~9のいずれか1つの方法。
11. 解離状態が、前記対象において投与後30分未満または約30分未満以内に誘導される、態様1~5および7~10のいずれか1つの方法。
12. サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程をさらに含む、態様3~5および8~11のいずれか1つの方法。
13. 脳活動の非侵襲測定が、脳波検査(EEG)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)、脳磁図検査(MEG)、およびオプトエンセファログラフィー(optoencephalography)(OEG)の中より選択される、態様2、3、5、7、および9~12のいずれか1つの方法。
14. 脳活動の非侵襲測定がEEGである、態様2、3、5、7、および9~13のいずれか1つの方法。
15. 脳活動の非侵襲測定が、体験の質問表ベースの評価である、態様2、3、5、7、および9~12のいずれか1つの方法。
16. サイケデリック体験の質問表ベースの評価が、神秘的体験質問表(MEQ30)評価、挑戦的体験質問表(CEQ)評価、心理的洞察質問表(PIQ)評価、質的筆記評定、および/またはモニター評定尺度(MRS)質問表のうち1つまたは複数の中より選択される、態様15の方法。
17. 治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、前記対象から脳活動のさらなる非侵襲測定を得る工程をさらに含む、態様2、3、5、7、および9~16のいずれか1つの方法。
18. 治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、前記対象からEEGのさらなる測定を得る工程をさらに含む、態様4、6~12、および14のいずれか1つの方法。
19. EEGの測定が、Lempel-Ziv複雑度(LZC)によって表現される通り分析される、態様4、6~12、14、および18のいずれか1つの方法。
20. 脳活動の非侵襲測定が、投与の前、途中および/または後に得られる、態様2、3、5、7、および9~17のいずれか1つの方法。
21. 投与後の脳活動の非侵襲測定が、解離状態の終了を示す、態様20の方法。
22. EEGの測定が、投与の前、途中および後に得られる、態様4、6~12、14、18、および19のいずれか1つの方法。
23. 投与後のEEGの測定が、解離状態の終了を示す、態様22の方法。
24. 解離状態が、投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20分以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20分以内に誘導される、態様1~23のいずれか1つの方法。
25. 解離状態が、投与後5分以内または約5分以内に誘導される、態様1~24のいずれか1つの方法。
26. 治療ウインドウが、0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間、または約0.5、1、2、3、4、5、もしくは6時間である、態様1、6、7、および9~25のいずれか1つの方法。
27. 治療ウインドウが、0.5時間または約0.5時間から、4時間または約4時間である、態様1、6、7、および9~26のいずれか1つの方法。
28. 解離状態を終了させるために、サイケデリックの投与を終了する工程をさらに含む、態様1~27のいずれか1つの方法。
29. 解離状態の終了が、サイケデリックの投与の終了後30、60、90、120、もしくは180分以内、または約30、60、90、120、もしくは180分以内、または前記のいずれかにより定義される範囲内で起こる、態様28の方法。
30. 解離状態の終了が、サイケデリックの投与の終了後60分以内または約60分以内に起こる、態様28または29の方法。
31. サイケデリックが、投与の開始後30~120分以内または約30~120分以内に所定のCmaxを産生するように投与される、態様1~30のいずれか1つの方法。
32. サイケデリックが、投与の開始後45~90分以内または約45~90分以内に所定のCmaxを産生するように投与される、態様1~31のいずれか1つの方法。
33. サイケデリックが、投与の1~10分以内または約1~10分以内に所定のCmaxを産生するように投与される、態様1~30のいずれか1つの方法。
34. Cmaxが、1μg/L~50μg/Lまたは約1μg/L~50μg/Lである、態様30~33のいずれか1つの方法。
35. Cmaxが、10μg/L~20μg/Lまたは約10μg/L~20μg/Lである、態様30~34のいずれか1つの方法。
36. Cmaxが、10μg/L~15μg/Lまたは約10μg/L~15μg/Lである、態様30~35のいずれか1つの方法。
37. 解離状態が、サイケデリックの負荷用量の静脈内投与によって誘導される、態様1~36のいずれか1つの方法。
38. 負荷用量が、サイケデリックの初回ボーラスの投与を含む、態様37の方法。
39. 初回ボーラス用量が、1mg、2mg、3mg、4mgもしくは5mg、または約1mg、2mg、3mg、4mgもしくは5mgである、態様37または38の方法。
40. 前記サイケデリックの負荷用量が、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される、態様37~39のいずれか1つの方法。
41. 前記サイケデリックの負荷用量が、3分または約3分の期間にわたり投与される、態様37~40のいずれか1つの方法。
42. 前記サイケデリックの初回ボーラスが、0.02mg/kgまたは約0.02mg/kgから、0.2mg/kgまたは約0.2mg/kgの用量である、態様38~41のいずれか1つの方法。
43. 解離状態が、約0.1mg/kgから約0.2mg/kgの用量でのサイケデリックの初回ボーラスの静脈内投与によって誘導される、態様1~42のいずれか1つの方法。
44. サイケデリックの平均血漿濃度が、サイケデリックの維持用量の投与によって治療ウインドウの間に所定の値に維持される、態様1、6、7、および9~43のいずれか1つの方法。
45. サイケデリックの維持用量が、サイケデリックの連続または間欠投与によって投与される、態様44の方法。
46. 連続または間欠投与が、静脈内経路を介する、態様45の方法。
47. 前記維持用量が、点滴静注によって投与される、態様44~46のいずれか1つの方法。
48. サイケデリックの維持用量が、サイケデリックの間欠投与によって投与され、かつ間欠投与が、皮下、経口、経皮、筋肉内、鼻腔内、鼻腔内/咽頭、または口内経路を介する、態様45の方法。
49. 前記維持用量が、0.2mg/minまたは約0.2mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度でのサイケデリックの点滴静注によって投与される、態様45~47のいずれか1つの方法。
50. サイケデリックの連続投与が、0.1mg/minまたは約0.1mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度である、態様45~47のいずれか1つの方法。
51. 対象における心理的障害を処置する方法であって、
心理的障害を有する対象に、1mgまたは約1mgから、5mgまたは約5mgの量の初回ボーラスの静脈内投与によりサイケデリックの負荷用量を投与する工程;および
治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、0.02mg/minまたは約0.02mg/minから、1mg/minまたは約1mg/minの速度での点滴静注によってサイケデリックの維持用量を連続投与する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
52. 対象における心理的障害を処置する方法であって、
0.5mL/minまたは約0.5mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度での、5分または約5分から、20分または約20分の期間にわたる点滴静注によって、サイケデリックの負荷用量を心理的障害を有する対象に投与する工程;および
治療ウインドウの間に平均血漿濃度を維持するために、その後、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度での、30分または約30分から、120分または約120分の期間にわたる点滴静注によってサイケデリックの維持用量を連続投与する工程
を含み;サイケデリックが、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせである、
方法。
53. サイケデリックの負荷用量が、0.1mL/minまたは約0.1mL/minから、2.0mL/minまたは約2.0mL/minの速度で投与される、態様37~52のいずれか1つの方法。
54. サイケデリックの負荷用量が、1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される、態様37~53のいずれか1つの方法。
55. 前記維持用量が、0.1mL/minから1.0mL/minまたは約1.0mL/minの速度で投与される、態様44~54のいずれか1つの方法。
56. 前記維持用量が、0.5mL/minまたは約0.5mL/minの速度で投与される、態様44~55のいずれか1つの方法。
57. 前記維持用量が、30、60、90もしくは120分、または約30、60、90もしくは120分、または前記のいずれかにより定義される範囲の期間にわたり投与される、態様44~56のいずれか1つの方法。
58. 前記維持用量が、最大で60分または約60分の期間にわたり投与される、態様44~57のいずれか1つの方法。
59. 前記維持用量が、最大で120分または約120分の期間にわたり投与される、態様44~58のいずれか1つの方法。
60. 治療ウインドウが、30分または約30分から、120分または約120分である、態様1、6、7、および9~59のいずれか1つの方法。
61. 治療ウインドウが、60分または約60分である、態様1、6、7、および9~60のいずれか1つの方法。
62. 治療ウインドウが、120分または約120分である、態様1、6、7、および9~60のいずれか1つの方法。
63. 前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で、1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または約1.0mg、1.5mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、15mgもしくは20mg/対象、または前記のいずれかにより定義される範囲である、態様1~62のいずれか1つの方法。
64. 前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で2.5mgまたは約2.5mgである、態様1~63のいずれか1つの方法。
65. 前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で5mgまたは約5mgである、態様1~63のいずれか1つの方法。
66. 前記対象に投与されるサイケデリックの合計量が、最大で10mgまたは約10mgである、態様1~63のいずれか1つの方法。
67. サイケデリックが、シロシン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である、態様1~66のいずれか1つの方法。
68. サイケデリックがシロシンである、態様1~67のいずれか1つの方法。
69. サイケデリックが、シロシビン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である、態様1~66のいずれか1つの方法。
70. サイケデリックがシロシビンである、態様1~66および69のいずれか1つの方法。
71. サイケデリックがシロシンであり、かつ前記対象に投与されるシロシンの合計量が、最大で2.5mgまたは約2.5mgであり、かつシロシンの投与が、60分または約60分の期間にわたり実行される、態様1~68のいずれか1つの方法。
72. サイケデリックがシロシビンであり、かつ前記対象に投与されるシロシビンの合計量が最大で5mgまたは約5mgであり、かつシロシビンの投与が、60分または約60分の期間にわたり実行される、態様1~66、69、および70のいずれか1つの方法。
73. サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値が、1~50μg/Lまたは約1~50μg/Lである、態様1、2、6、7、および12~72のいずれか1つの方法。
74. サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値が、10~20μg/Lまたは約10~20μg/Lである、態様1、2、6、7、および12~73のいずれか1つの方法。
75. サイケデリックの平均血漿濃度の所定の値が、10~15μg/Lまたは約10~15μg/Lである、態様1、2、6、7、および12~74のいずれか1つの方法。
76. 治療ウインドウの間に前記対象に心理的支援を提供する工程をさらに含む、態様1~75のいずれか1つの方法。
77. 5HT2A受容体アンタゴニストを投与することによって処置ウインドウの終わりに前記対象を解離状態から離脱させる工程をさらに含む、態様1~76のいずれか1つの方法。
78. 心理的障害が、PTSD、アルコール添加、薬物嗜癖、治療抵抗性うつ病、不安、エンドオブライフ不安、摂食障害、線維筋痛症、神経障害性疼痛、幻肢痛、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、およびむちゃ食い障害からなる群より選択される、態様1~7および9~77のいずれか1つの方法。
79. 心理的障害が、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、むちゃ食い障害、および線維筋痛症からなる群より選択される、態様1~7および9~78のいずれか1つの方法。
80. 心理的障害が痛覚変調性疼痛障害である、態様1~7および9~77のいずれか1つの方法。
81. 心理的障害が線維筋痛症である、態様1~7および9~80のいずれか1つの方法。
82. 心理的障害が幻肢痛である、態様1~7および9~80のいずれか1つの方法。
83. 心理的障害が複合性局所疼痛症候群である、態様1~7および9~80のいずれか1つの方法。
84. 前記対象が有害事象を体験する場合に前記投与を中止する工程をさらに含む、態様1~83のいずれか1つの方法。
85. サイケデリックが、少なくとも1つの追加的な治療剤と共に投与される、態様1~84のいずれか1つの方法。
86. サイケデリックを投与されている複数の対象のうち少なくとも70%、80%、90%または95%において解離状態の誘導をもたらす、態様1~85のいずれか1つの方法。
87. サイケデリックを投与されている複数の対象のうち少なくとも70%、80%、90%または95%においてサイケデリックの平均血漿レベルの維持をもたらす、態様1~86のいずれか1つの方法。
88. 前記対象がヒトである、態様1~87のいずれか1つの方法。
89. 投与後30分未満で対象において解離状態を誘導するのに十分な量のシロシビンまたはシロシンを対象に投与する工程;および
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含む、対象における心理的障害を処置する方法。
90. 解離状態が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20分以内に誘導される、態様89の方法。
91. 治療ウインドウが、0.5、1、2、3、4、5、または6時間である、態様89または90の方法。
92. サイケデリックのCmaxが、投与の1~10分以内に起こる、態様89~91のいずれか1つの方法。
93. Cmaxが、約1μg/L~50μg/Lである、態様92の方法。
94. 解離状態が、サイケデリックの初回ボーラスの約0.1mg/kgから約0.2mg/kgの用量での静脈内投与によって誘導される、態様89~93のいずれか1つの方法。
95. サイケデリックの平均血漿濃度が、サイケデリック連続または間欠投与によって治療ウインドウの間に所定の値に維持される、態様89~94のいずれか1つの方法。
96. 連続または間欠投与が、静脈内経路を介する、態様95の方法。
97. 間欠投与が、皮下、経口、経皮、筋肉内、鼻腔内、鼻腔内/咽頭、または口内経路を介する、態様95の方法。
98. サイケデリックが、0.1mg/minから1mg/minの速度で連続投与される、態様95または96の方法。
99. サイケデリックの所定の血漿濃度が、1~50μg/Lである、態様89~98のいずれか1つの方法。
100. 治療ウインドウの間に対象に心理的支援を提供する工程をさらに含む、89~99のいずれか1つの方法。
101. 5HT2A受容体アンタゴニストを投与することによって、処置ウインドウの終わりに対象を解離状態から離脱させる工程をさらに含む、態様89~100のいずれか1つの方法。
102. 心理的障害が、PTSD、アルコール添加、薬物嗜癖、治療抵抗性うつ病、不安、エンドオブライフ不安、摂食障害、線維筋痛症、神経障害性疼痛、幻肢痛、視床下部誘導性肥満およびプラダー・ウィリー症候群、むちゃ食いからなる群より選択される、態様89~101のいずれか1つの方法。
103. 心理的障害が、視床下部誘導性肥満、プラダー・ウィリー症候群、むちゃ食いまたは線維筋痛症である、態様102の方法。
104. サイケデリックが、シロシビン、そのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、シロシンまたはそれらの組み合わせである、態様89~103のいずれか1つの方法。
105. サイケデリックが、シロシン、そのコクリスタル、コフォーマー、または塩である、態様104の方法。
106. サイケデリックが、少なくとも1つの追加的な治療剤と共に投与される、態様89~105のいずれか1つの方法。
107. 投与後30分未満で対象における解離状態を誘導するのに十分な量のシロシビンまたはシロシンを対象に投与する工程;および
対象からEEGを得て、対象がいつ解離状態に入るかを決定する工程、
その後にサイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持する工程
を含む、対象における心理的障害を処置するためのサイケデリックの治療有効用量を決定する方法。
108. 治療ウインドウの間に解離状態をモニタリングするために、対象からさらなるEEGを得る工程をさらに含む、態様107の方法。
109. 態様1~108のいずれか1つの方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリック。
110. 心理的障害を処置する方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックであって、方法が、態様1~108のいずれか1つの方法を含む、サイケデリック。
111. 解離状態を誘導する方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックであって、方法が、態様1~108のいずれか1つの方法を含む、サイケデリック。
112. サイケデリックの治療有効用量を決定する方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるであるサイケデリックであって、方法が、態様1~108のいずれか1つの方法を含む、サイケデリック。
113. 心理的障害を有する対象において解離状態を維持する方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックであって、方法が、態様1~108のいずれか1つの方法を含む、サイケデリック。
114. 幻肢痛を処置する方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリック。
115. 幻肢痛を処置する方法における使用のための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックであって、方法が、態様1~108のいずれか1つの方法を含む、サイケデリック。
116. 態様1~108のいずれか1つの方法における使用のための医薬の製造におけるシロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
117. 態様1~108のいずれか1つの方法により心理的障害を処置するための医薬の製造における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
118. 態様1~108のいずれか1つの方法により解離状態を誘導するための医薬の製造における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
119. 態様1~108のいずれか1つの方法によりサイケデリックの治療有効用量を決定するための医薬の製造における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
120. 態様1~108のいずれか1つの方法により心理的障害を有する対象における解離状態を維持するための医薬の製造における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
121. 幻肢痛を処置するための医薬の製造における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
122. 態様1~108のいずれか1つの方法により幻肢痛を処置するための医薬の製造における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
123. 態様1~108のいずれか1つの方法における、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
124. 態様1~108のいずれか1つの方法により心理的障害を処置するための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
125. 態様1~108のいずれか1つの方法により解離状態を誘導するための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
126. 態様1~108のいずれか1つの方法によりサイケデリックの治療有効用量を決定するための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
127. 態様1~108のいずれか1つの方法により心理的障害を有する対象における解離状態を維持するための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
128. 幻肢痛を処置するための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
129. 態様1~108のいずれか1つの方法により幻肢痛を処置するための、シロシビン、シロシン、それらのコクリスタル、コフォーマー、もしくは塩、またはそれらの組み合わせであるサイケデリックの使用。
【実施例】
【0256】
VII. 実施例
以下の実施例は、例証目的のためだけに含められ、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0257】
実施例1:ラットにおけるサイケデリックの点滴静注の薬物動態および薬力学
本実施例は、ある期間にわたるサイケデリックの点滴静注後の動物における薬物動態および薬力学応答を記載する。研究の間に、シロシビンまたはシロシンの1時間点滴静注後のシロシンの血漿濃度、および記録された首振り運動(head twitching movement)によって決定された場合の解離またはサイケデリック状態の指標を評定した。in.
【0258】
雄性Sprague Dawleyラット3匹に、表E1に記載されたようなシロシンまたはシロシビンのいずれかの10mg/kgの点滴静注(IV)を1時間(60分)かけて投与した。シロシビンまたはシロシンを、シリンジポンプに取り付けたIV点滴セットを介して大腿静脈カテーテル中に60分かけて投与した。
【0259】
血漿シロシン濃度、最大血漿濃度(Cmax)を含む薬物動態パラメータ、および解離状態の指標としての首振り行動の発生率を含む薬力学パラメータを経時的に評定した。すべての動物は、7から12週齢および体重250から400グラムであり、研究前の健康評定は許容可能であった。研究前に、すべての動物を実験室環境に1日間順応させた。臨床変化の徴候について動物を毎日観察した。
【0260】
(表E1)ラットにおけるシロシンまたはシロシビンの投与の点滴静注
【0261】
A. 薬物動態
点滴の開始後、それぞれ約0.5mLの連続血液試料を、点滴開始から0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間および8時間を含む数個の時点で頸静脈カテーテルを介して各動物から収集した。各採血時点の直前に、カテーテルチュービングの空隙容積よりもやや大きな体積の血液を抜き取り、捨てた。鈍針の付いたシリンジを使用して、頸静脈カテーテルから血液試料0.5mLを得た。抗凝固剤を含有する冷却採血チューブに血液試料を直ちに移し、冷却した。冷却された血液試料を、3000RPMにて4℃で10分間遠心分離して、血漿を回収した。分析の準備ができるまで血漿試料を-70℃で保管した。
【0262】
シロシンのIV点滴(表E2;
図1A)またはシロシビンのIV点滴(表E4;
図1B)を受けた3匹のラットの各々について、各時点で決定された血漿シロシンレベル、ならびに最大血漿濃度(C
max)、最大血漿濃度到達時間(Tmax)、および下の式に基づいて計算されたT
maxでの曲線下面積(AUC
T)(時間T=0で濃度(ng/mL)=0であるという仮定を含む):
を含む薬物動態パラメータを決定した。示されるように、シロシン処置動物(表E2およびE3)ならびにシロシビン処置動物(表E4およびE5)の両方において各時点での平均血漿濃度およびC
maxは、各動物で顕著に類似し、標準偏差は小さかった。表E3およびE5に示されるように、AUC
Tもまた、異なる動物間で顕著に類似していた。結果はまた、1時間点滴が完了した後の薬物血漿濃度の一貫した迅速な低減を示した(
図1Aおよび
図1Bにおける時間2、4、6、および8での血漿シロシン濃度の低減を参照されたい)。
【0263】
結果は、シロシビンまたはシロシンの点滴静注の間の異なる個別の動物対象における一貫した血漿濃度および曝露、ならびに点滴静注の完了後に血漿濃度が迅速に、再現性をもって減少することを裏付けている。
【0264】
(表E2)シロシンの1時間IV点滴の途中および後のシロシン血漿濃度(ng/mL)
【0265】
(表E3)シロシンのIV点滴後の薬物動態パラメータ
【0266】
(表E4)シロシビンの1時間IV点滴の途中および後のシロシン血漿濃度(ng/mL)
【0267】
(表E5)シロシビンのIV点滴後の薬物動態パラメータ
【0268】
B. 薬力学/行動
点滴静注されたサイケデリックの薬力学(PD)を評定するために、解離状態達成の指標として動物の首振りを記録した。首振り応答(HTR)を、動物が解離またはサイケデリック状態を達成しているまたはその途中であることについての代理PDマーカーとして使用する(例えば、Zhuk et al., Toxins 2015, 7, 1018-1029; Halberstadt et al., J Psychopharmacol. 2011 25(11): 1548-1561に記載)。HTRを、IV点滴の中止後に解離状態の終了がいつ起こったかを決定するためにも使用した。
【0269】
HTRを評定するために、点滴の中止から最終採取時点(点滴の1時間後)まで本研究における動物を記録するためにビデオモニタリングシステムを使用した。動物を上から見ることができるようにカメラを位置付けた。検討のために記録を保存し、観察された首振り行動の時間、観察された行動の持続期間、および任意の非定型の観察結果を詳細に記録した。
【0270】
シロシンまたはシロシビンの投与を受けている3匹のラットの各々の1時間の点滴静注後60分以内に観察された首振り事象の数を、ビデオ記録から決定した。シロシンのIV点滴を受けている3匹のラットのうち2匹、およびシロシビンのIV点滴を受けている3匹のラットのうち2匹で首振りが観察され、各動物は、1時間の点滴静注後60分間に2~6回の首振り事象を体験した。注目すべきことに、シロシンの投与を受けているラットについて、いずれの動物にも点滴の終了後16分を超えて首振りは観察されず、これは、サイケデリックまたは解離状態からの迅速で制御された復帰と相関していた。シロシビンの投与を受けているラットについて、首振りは、点滴の終了後最大で50分間観察された。シロシンまたはシロシビンのいずれかのIV点滴が終了すると、首振り活動は50分以内に収まり、以前に報告されたシロシビンの経口投与後の解離状態の終了と比較して、解離またはサイケデリックの迅速な終了を裏付けている。
【0271】
サイケデリックの経口投与経路は、血液レベル制御のための機構を提供せず、解離状態もしくはサイケデリック体験の持続期間または有害事象を終了または後退させる能力を制御することは容易でない。25mg経口カプセルの後、サイケデリック状態の解離の開始は、投与後1~2時間で始まり、6~8時間持続する可能性があり、体験を操作または終了させることができない(例えば、Hasler et al., (1997) Pharm Acta Helv, 72(3), 175-184を参照されたい)。血液レベルの迅速な減少および解離またはサイケデリック状態の薬力学マーカーによって証明されるように、静脈内投与は、解離状態またはサイケデリック体験の持続期間が制御されること、および有害事象の場合、体験が終了することを可能にする。
【0272】
結果は、再現性ある血漿レベルと一致して、サイケデリック(シロシンまたはシロシビン)の、1時間などの期間にわたる点滴静注が、解離状態を誘導するための有効濃度の迅速な達成、および点滴の終了後の血漿レベルにおけるさらに一貫して再現性のある減少をもたらすことを実証した。これは、対象の間で広いばらつきをもたらすことが示された経口投与後の血漿レベルの以前の報告と対照的である(例えば、Brown et al. (2017). Clin Pharmacokinet. 56(12):1543-1554を参照されたい)。本明細書に実証されるように、静脈内投与は、投与速度に依存して解離状態により迅速に制御されて入ることを可能にする投与方法、投与の持続期間に基づき解離状態における持続期間を制御する能力を提供し、かつ万一有害事象が起こったならば、解離状態のより迅速な終了を提供する。結果はまた、治療ウインドウの間に活性代謝物シロシンなどのサイケデリックの平均血漿濃度をモニタリングおよび維持する能力を支援している。
【0273】
結果は、シロシン(活性薬理作用物質)の一貫した、制御可能な血漿濃度を達成するための投与方法としての点滴静注の有用性を裏付けている。結果はまた、解離状態を評定し、シロシンの標的血漿レベルと相関付ける手段としてシロシンの血漿レベルをモニタリングし、かつ治療ウインドウの間にサイケデリックの平均血漿濃度の特定値への維持をモニタリングする有用性を裏付けている。結果は、点滴静注を含む静脈内投与、およびラットにおける行動、例えば首振り行動のモニタリングの有用性を裏付けている。解離状態に入ることおよびそれから脱すること、ならびに投与されたサイケデリックの薬力学をモニタリングするための投与の途中または後の脳活動の例示的な非侵襲測定として、首振り行動をヒトにおける解離状態またはサイケデリック効果に一般的に言い換えることができる。
【0274】
実施例2:脳波検査(EEG)を使用した、サイケデリックの点滴静注の前、途中、および後の解離状態のモニタリング
この例は、ある期間にわたりサイケデリックの点滴静注を受けた動物における、脳波計(EEG)を使用した脳活動の別の例示的な非侵襲測定を記載する。
【0275】
シロシビンまたはシロシンのいずれかの60分間にわたる10mg/kg点滴静注(IV)の前、途中および後に、ラットにおいてシロシビンまたはシロシンの点滴静注に対する神経生理学的複雑性および脳応答における変化を評定した。一般的に実施例1に記載されるように、Sprague Dawleyラットをシロシビンまたはシロシンの60分のIV点滴に供した。点滴の前、途中および後にEEGにおける変化をモニタリングした。加えて、首振り応答の発生率を、薬力学応答の追加的な指標として点滴の前、途中および後に評定した。
【0276】
IV薬物点滴およびEEGモニタリングのための動物を準備するために、標準手技によりラットを最初に麻酔して、IVカニューレ挿入のための手術を行った。留置カニューレを頸静脈に挿入し、シロシンまたはシロシビンのIV点滴のために頭蓋底で外在化した。外在化したカニューレを点滴ポートに取り付け、点滴ポートは、自由運動する意識下動物へのIV点滴を可能にした。
【0277】
EEG電極埋め込みのためにラットを麻酔し、定位装置に置いた(Model 963, David Kopf Instruments, Tujunga, CA)。定位装置は、ラットの脳の正確な領域への電極の3D位置決めを可能にした。頭蓋を露出させ、穿頭孔(30)を空けて、皮質を通してEEGを記録するためにステンレス鋼スクリュー電極(B000FN89DM, Small Parts, Logansport, IN)を埋め込んだ。鼻洞上部にスクリュー電極を埋め込んで、参照電極として役立て、別のスクリュー電極をグラウンド電極として小脳上部に埋め込んだ。電極を台座とインターフェースさせ、静脈カテーテル点滴のための点滴ポートと共にアセンブリ全体を歯科用アクリル(メタクリル酸メチル)でしっかりと固定した。
【0278】
EEG記録およびデータ取得のために、32-チャネルCereplex μヘッドステージ(Blackrock Microsystems, Salt Lake City, UT)を使用して各ラットから単極EEGデータを取得した。シグナルを1kHzでデジタル化し、Cereplex Direct Softwareと対になったCereplex Directシステムを使用して0.1~1kHzの間の帯域をフィルタリングした。
【0279】
薬物のIV投与前に、自由運動の正常行動条件下でベースラインEEGを20分間記録した。ベースライン記録の直後に、シロシビンの連続点滴静注(速度5mL/kg/hで10mg/kg)を開始した。点滴を60分間続け、その間にEEGデータを記録した。動物毎に点滴後のEEGデータも120分間収集した。
【0280】
EEGの結果を収集した後、生のEEGシグナルをMATLAB(バージョン2021a; MathWorks, Inc., Natick, MA)にエクスポートし、500Hzにダウンサンプリングした。1)ベースライン期間、2)シロシビンまたはシロシン点滴期間の始め、中間、および終わり、ならびに3)シロシビン/シロシン点滴後の回復期から、5分のアーチファクトフリーEEGエポックを7つ抽出した。分析前に、局所線形回帰法を使用して、Chronux分析ソフトウェアで10秒ウインドウを5秒工程サイズで、シグナルをトレンド除去した(Mitra & Bokil, Observed Brain Dynamics; Oxford University Press, NY, 2008)。回線ノイズ(60Hz)およびその高調波を識別し、マルチテーパー回帰アプローチを介して除去し、一方で、CleanLine EEGLABプラグインを使用してバックグラウンドシグナルの歪みを最小化した(Mullen T., Neuroimaging Informatics Tools Resource, Clear, San Diego:2012)。オーダー5のButterworthフィルターを介して30Hzでシグナルを低域フィルタリングし、分析のために非重複2秒ウインドウに分割した。
【0281】
Lempel-Ziv複雑度(LZC)(神経シグナル多様性の代理)を使用して、シロシビン点滴の前、途中、および後にEEGの複雑性を分析した(Lempel and Ziv, IEEE Trans Inform Theory 1976; 22(1):75-81)。以前に記載されたようにLZC分析を行った(Schartner et al., PLoS One 2015; 10(8):e0133532; Schartner et al., Sci Rep 2017;7:46421; Schartner et al., Neuroscie Conscious 2017;2017(1):niw022; Li and Mashour, Neuroimage 2019;196:32-40; Pal et al., J Neurosci 2020;40(3):605-18)。
【0282】
前処理後、2秒ウインドウ毎に、シグナルのHilbert変換から即時振幅を計算し、次いで、チャネル毎の閾値としてその平均値を使用して、それを2値化した。次いで、それぞれ5分のエポックにわたりLZC値を平均した。2進シーケンスをランダムにシャッフルすることによって生成されたn=50の代理時系列からのLZC値の平均を使用することによって本来のLZCを正規化した;それは、これが、固定長2進シーケンスについての最大値をもたらすからである。
【0283】
LZCによって反映されるような複雑度をシグナルのスペクトル成分から解離できるかを調べるために、時間シャッフルされたLZC(上記)を、位相ランダム化により正規化されたLZCと比較した追加的な制御尺度を適用した;これは、シグナルのパワースペクトルが保たれた代理データから得られたものである。結果としての正規化LZC尺度(LZCNと表示)は、シグナルのスペクトル成分以上に複雑性の変化を反映していた。LZCおよびLZCNの両方を任意の単位で報告した。チャネル毎のLZCおよびLZCNを別々に計算し、次いで、チャネルにわたり平均した。
【0284】
図2Aおよび
図2Bに示すように、60分のシロシビン点滴を受けている動物について、時間LZC
N推定は、点滴開始後5分間の1~30Hzシグナルの複雑度における増加を示し、これは、点滴の持続期間にわたり持続した。点滴期間の終了後、時間LZC
Nは、点滴前のベースラインレベルに迅速に戻った。これらの変化は、3匹のラットにわたり一貫して観察された(
図2A:個別のラットG、HおよびI;
図2B;平均)。これらの結果は、ヒト脳磁図検査(MEG)データにおける時間LZC
Nの観察と一致しており、ヒトおよびラットにおいてシロシビン点滴が、脳ネットワーク力学に対して類似の影響を有することを示している。
【0285】
別の研究では、無拘束のラットに10mg/kgシロシビンを60分間かけて点滴し、IV投与の前、途中および後に首振り応答(HTR)を記録した。すべての被験ラットにおいて、HTRは点滴の開始後5分以内に一貫して観察され、60分の点滴期間中持続した。点滴の終了後すぐに、一般的に点滴の終了後30分以内にHTRは止まった。HTRの結果は、全身血漿シロシンレベルの上昇と同時発生する解離またはサイケデリック状態のより迅速な達成、および点滴の終了後の解離またはサイケデリック状態から迅速に脱することを裏付けた(例えば、実施例1で評定した通り)。
【0286】
結果は、シロシビンまたはシロシンなどのサイケデリックのIV投与が、解離状態に迅速に入ることをもたらし、EEG測定の変化によって証明されるように、それを連続点滴期間に維持できることを実証した。さらに、IV点滴の終了時に、対象は、解離状態からベースラインEEG測定に迅速に戻った。結果は、EEG、脳活動の例示的な非侵襲測定によって示されるように、サイケデリックのIV投与が解離状態に迅速に入ること、その維持、およびそれから脱することを達成できることを示した。加えて、首振り応答(HTR)測定および薬物動態パラメータの結果もまた、解離状態に迅速に入ること、維持およびそれから脱することを裏付けた。
【0287】
結果は、対象の間で広いばらつきをもたらすことが示されている経口投与と対照的に、一貫して、再現性があり、制御可能な薬物動態および薬力学に加えて、対象において解離状態を迅速で正確に制御するために使用することもできる、点滴静注を含む静脈内投与によってサイケデリックを投与する有用性を裏付けている。結果はまた、解離状態をモニタリングし、対象の応答に依存して、治療有効用量を決定し、ならびに治療的処置を評定、調整および個別化するための、EEGなどの脳活動の非侵襲測定法を使用する有用性を裏付けている。
【0288】
実施例3:サイケデリックの静脈内ボーラス投与後の薬物動態
シロシビンの静脈内ボーラス投与後の経時的な血漿シロシン濃度を評定した。
【0289】
イソフルラン麻酔薬の投与を受けた(ISO+)、またはイソフルラン麻酔薬の投与を受けていない(ISO-)ラットに、3分間かけて投与された10mg/kgシロシビンの静脈内ボーラスを投与した。一般的に上の実施例2に記載されたように、血漿シロシン濃度を測定した。ボーラス投与の3分後に血液試料を約40分にわたり定期的に収集した。
【0290】
イソフルラン麻酔薬の投与を受けた(ISO+)またはイソフルラン麻酔薬の投与を受けていない(ISO-)動物におけるシロシビンのボーラス点滴後の血漿シロシンレベルを
図3に示す。結果は、静脈内ボーラス投与後に少なくとも40分間、サイケデリック状態を達成するのに十分な血中レベルの一定な血漿濃度およびサイケデリック状態を示す。
【0291】
実施例4:疼痛に関連する疾患に対するサイケデリックの静脈内投与の効果
本実施例は、疼痛の動物モデルにおけるサイケデリックの静脈内投与の、痛覚および疼痛、例えば痛覚変調性疼痛に関連する疾患に対する効果を記載する。
【0292】
後肢へのホルマリン注射によってラットに慢性疼痛を誘導した。次に、ラットにシロシビンを静脈内投与し、痛覚における変化について長期間評定した。ホルマリン疼痛モデルは、線維筋痛症、幻肢痛または複合性局所疼痛症候群を含む慢性痛覚変調性疼痛についての橋渡し動物モデルである(Vanini G., Sleep 2016;39(1):133-42)。ホルマリン疼痛モデルにおいて、ホルマリンを注射された肢に余分な疼痛を体験することに加えて、動物は、ホルマリンを注射されていない体肢(例えば、ホルマリンを注射された後肢と比較した対側後肢)において増大した痛覚(すなわち、痛覚過敏)を体験する。痛覚変調性疼痛障害におけるサイケデリックの潜在的な利益を評定するために、対側の肢で痛覚を測定した。3分かけて投与された10mg/kgシロシビンの静脈内ボーラス投与後に痛覚における低減および疼痛低減の持続期間を調査した。
【0293】
2種類の痛覚を測定した。第一に、Von Freyアッセイ(VFA)を使用して、体肢に加えられる圧力が原因の疼痛(すなわち、機械的異痛)を測定した。具体的には、VFAは、7つのフィラメント:1、2、4、6、8、10および15gを採用した。各フィラメントが曲がるまでラットの後肢の足底面に昇順に適用した。フィラメントが曲がったとき、ラットが自分の肢を引っ込めるまで、フィラメントを原位置に5秒間保った。ラットが歩行している、毛づくろいしている、または嗅ぎ回っているならば、刺激を適用しなかった。注射された後肢および対側後肢にそれぞれ5回の試行で刺激を適用し、刺激の間に少なくとも30秒の休みを入れた。各試行において肢の引っ込め応答を誘発するために必要とされる力の最小量を、その動物試行についての最小引っ込め閾値であると決定した。肢毎に5回試行した後、肢の引っ込め応答を誘発するために必要とされる力の最小量を、全試行にわたり平均して、肢毎の平均最小引っ込め閾値をそれぞれ計算した。
【0294】
第2の疼痛測定は、ホットプレートアッセイ(HPA)に基づいた。このアッセイは、有痛応答(すなわち熱痛覚過敏)を登録する温度での引っ込め潜時を測定する。VFAの完了の15~20分後にHPAを開始した。ホットプレートを温度52.5℃に予熱した。加熱後、各動物をホットプレート上の円筒管内に入れ、後肢を舐める潜時または観察された顕性の逃避行動(例えば、円筒からから跳び出ようとする)を記録した(Ingram et al., Neruopsychopharmacology 2007;32(3):600-6; Gunn et al., J Pain 2011;12(2):222-7; Hestehave et al., Lab Anim 2016;51(3):264-72)。安全目的で、ラットがホットプレート上にいる最大時間を30秒間に制限した。15分の休みの後、この演習をもう一度繰り返した。
【0295】
下の表E6に記載するように、痛覚の調査全体は、動物毎に30日間持続した。
【0296】
【0297】
図4Aおよび
図4Bは、シロシビンまたは生理食塩水注射の引っ込め閾値(すなわち、機械的異痛)に対する効果を比較するVFAについての結果を示す。両群についての引っ込め閾値は、最初、ベースライン(BL)で高く、ホルマリン注射後(FBL)に実質的に低減した。2日目のシロシビンまたは生理食塩水注射の後に、ホルマリン注射された肢(
図4A)および対側の肢(
図4B)の両方において引っ込め閾値に顕著で急性の差異が観察され、これは、シロシビン投与の鎮痛特性を示していた。他の鎮痛薬(例えば、NSAID、オピオイド)について、この応答は、循環からの薬物クリアランス後に迅速に消失する。静脈内シロシビンを投与されたラットは、注射された肢(
図4A)および対側の肢(
図4B)の両方で、単回シロシビン投与後に、低減した疼痛感受性を少なくとも2週間示した。対側の肢では、単回シロシビン投与後に引っ込め閾値における統計的に有意な増加が3週間観察された。
【0298】
図5に示されるように、HPAの結果によって示される熱感受性について類似の結果が観察された。シロシビン投与後の引っ込め潜時における急性回復応答後に、改善された疼痛感受性応答が、生理食塩水対照と比較して少なくとも4週間持続した。
【0299】
結果は、シロシビンまたはシロシンなどのサイケデリックの静脈内投与の機械的および熱疼痛感受性に対する急性および持続効果を実証した。結果は、疼痛感受性に対して、痛覚変調性疼痛の動物モデルにおける少なくとも最大で4週間の、長期持続的改善を示した。重要なことには、痛覚変調性疼痛と密接に関連する、注射されていない対側の肢でも効果が観察された。結果は、痛覚変調性疼痛障害、例えば、線維筋痛症、幻肢痛または複合性局所疼痛症候群を含む、痛覚に関係する疾患および障害を処置および改善するための、静脈内投与によってサイケデリックを投与する有用性を裏付けている。
【0300】
実施例5:ヒト対象におけるシロシンまたはシロシビンの静脈内投与およびモニタリング
シロシンおよびシロシビンなどのサイケデリックは、静脈内投与によってヒト対象に、例えば、心理的障害または心理的要素を有する疾患を有するヒト対象に投与される。解離またはサイケデリック状態に入ることおよびそれから脱することならびにサイケデリックの血漿レベルをモニタリングし、評定する。いくつかの局面では、静脈内投与は、投与後30分未満で対象において解離状態の誘導を可能にし、サイケデリックの血漿濃度は、所定の値に維持されて、治療ウインドウの間に解離状態を維持する。
【0301】
一次中枢作用性セロトニン作動性効果(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI))を有するいかなる投薬も同時に受けていない成ヒト対象に、サイケデリックの以下の用量のうち1つを投与する:(1)点滴静注によって60分間かけて投与された2.5mgのシロシン;(2)点滴静注によって60分間かけて投与された5mgのシロシビン;(3)経口投与された25mgのシロシビン;(4)点滴の始めの10または15分間の1ml/min速度の点滴での負荷用量として投与され、次に最大で120分の合計点滴時間の残りの時間に速度0.5ml/minの点滴での維持用量に調整された、合計10mgのシロシン;(5)点滴の始めの10または15分間の1ml/min速度の点滴での負荷用量、および最大で120分の合計点滴時間の残りの時間に速度0.5ml/minの点滴での維持用量として投与された合計10mgのシロシビン。ほとんどの場合、静脈内投与されるシロシビンまたはシロシンの合計量は、最大で約10mg/対象である。
【0302】
いくつかの局面では、初回用量(すなわち負荷用量)は、投与開始の30分以内に対象において解離状態を誘導するのに十分である。いくつかの局面では、維持用量は、サイケデリックの平均血漿濃度を所定の値に維持して、治療ウインドウの間に解離状態を維持するのに十分である。
【0303】
対象を、投与の前、途中および後にモニタリングする。対象のバイタルサイン、例えば血圧(BP)、脈拍、および心拍(HR)のみならず解離状態を、投与の途中および後、例えば、投与前ならびに投与後30、60、90、120、180、240、300、および360分のうち1つまたは複数でモニタリングする。セッションモニターは、対象の行動および気分、例えば、行動の存在/強度、徴候、および報告された症状、例えば、平穏、あくび、悪心/嘔吐、発話の量、不安、眠気、泣き、不穏、視覚変化、多幸感、および非現実感のいくつかのディメンションを格付けまたはスコア付けすることを伴うモニター評定尺度(MRS)書式に記入する。
【0304】
いくつかの局面では、血液試料は、投与前、ならびに投与の開始後5、10、15、30、45、60、90分ならびに2、3、4、6、8、12および24時間のうち1つまたは複数で収集され、シロシビンおよびシロシンの血漿濃度がこれらの時点で決定される。いくつかの局面では、対象を、脳波計(EEG)によるなどの脳活動の例示的な非侵襲測定によりモニタリングする。EEGの場合、対象を、点滴の前、途中および後にモニタリングする。
【0305】
図6は、60分かけた点滴静注によって投与された2.5mgのシロシン;60分かけた点滴静注によって投与された5mgのシロシビン;15mgの経口シロシビンまたは25mgの経口シロシビンの投与後360分にわたるヒト対象における例示的な投影血漿シロシン濃度を示す。プロットはまた、Brown et al. (2017). Clin Pharmacokinet. 56(12):1543-1554に記載されるように0.6mg/kgの経口シロシビンの投与から観察された血漿濃度を含む。
【0306】
安全性、解離状態に入ることおよびそれから脱することに関係する成績、ならびに処置成績、例えば、心理的障害または心理的要素を有する疾患の処置についても、対象をモニタリングおよび評価する。
【0307】
本発明は、特定の開示された態様に範囲が限定されることが意図されず、それらは、例えば、本発明の様々な局面を例証するために提供される。記載された組成物および方法への様々な改変は、本明細書における記載および教示から明らかになる。このような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱せずに実施され得、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【国際調査報告】