(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】濃縮組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240301BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240301BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240301BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240301BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240301BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K9/107
A61K47/24
A61K47/14
A61K47/32
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557069
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 IB2022052062
(87)【国際公開番号】W WO2022195404
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ・カリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ポンタブリー・アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】サクリエ・セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】モアソン・ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】セッカイ・サンドラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD46F
4C076DD63F
4C076EE09G
4C076FF36
4C076FF70
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC312
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB60
4C083CC03
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE03
(57)【要約】
使用者の皮膚に利益を提供するために使用することができる、濃縮組成物、濃縮組成物を使用する方法、濃縮組成物を含むキット、及び濃縮組成物の希釈形態。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮組成物であって、
a)約30重量%~約60重量%の水と、
b)少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、前記少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが約0.05%~約7%である、少なくとも2つの乳化剤と、
c)0.1重量%~約5重量%の増粘剤と、を含み、
前記濃縮組成物が、エマルションである、濃縮組成物。
【請求項2】
前記第1の乳化剤が、セチルリン酸カリウムを含む、請求項1に記載の濃縮組成物。
【請求項3】
前記第2の乳化剤が、水素化パームグリセリドを含む、請求項1又は2に記載の濃縮組成物。
【請求項4】
前記第1の乳化剤が、前記濃縮組成物の約0.5重量%~約7重量%で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の濃縮組成物。
【請求項5】
前記第2の乳化剤が、前記濃縮組成物の約0.05重量%~約3重量%で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の濃縮組成物。
【請求項6】
前記増粘剤が、架橋ポリアクリル酸を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の濃縮組成物。
【請求項7】
前記濃縮組成物が、湿潤剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の濃縮組成物。
【請求項8】
前記湿潤剤が、前記濃縮組成物の0重量%超~約30重量%の量で存在する、請求項7に記載の濃縮組成物。
【請求項9】
少なくとも第1の組成物及び第2の組成物を含む容器を含むスキンケア製品キットであって、
a)前記第1の組成物が、請求項1~8のいずれか一項に記載の濃縮組成物を含み、
b)前記第2の組成物が、テクスチャ成分又は皮膚活性成分のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の組成物及び前記第2の組成物を水と一緒に混合して、使用者の皮膚に塗布することができるスキンケア製品を得ることができる、スキンケア製品キット。
【請求項10】
希釈スキンケア組成物であって、
a)請求項1~8のいずれか一項に記載の濃縮組成物と、
b)水性構成成分と、の組み合わせを含み、
前記水性構成成分が、前記濃縮組成物の重量の約1~20倍の重量比で存在し、
前記水性構成成分が、少なくとも95%の水を含む、希釈スキンケア組成物。
【請求項11】
前記水性構成成分が、前記濃縮組成物中に存在する水の量の4~45倍の量で存在する、請求項10に記載の希釈組成物。
【請求項12】
希釈スキンケア製品を形成する方法であって、
a)濃縮組成物であって、
i)約30重量%~約60重量%の水、
ii)少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、前記少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが約0.05%~約7%である、少なくとも2つの乳化剤、並びに
iii)0.1重量%~約5重量%の増粘剤、を含み、
前記濃縮組成物が、エマルションである、濃縮組成物と、
b)水性構成成分と、を一緒に組み合わせる工程を含み、
組み合わされた前記濃縮組成物及び前記水性構成成分が、互いに混合されて、希釈スキンケア製品を形成する、方法。
【請求項13】
前記水性構成成分が、前記濃縮組成物の重量の1~20倍の重量比で提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
希釈スキンケア製品の調製のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の濃縮組成物の使用。
【請求項15】
皮膚の保湿のための、請求項12に記載の方法に従って調製された希釈スキンケア製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルションとして濃縮された形態である組成物であって、水性構成成分の添加後に、最小限の労力で、かつ自動化された装置又は機械を必要とすることなく、有用なスキンケア組成物を形成することができる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、例えば、皮膚の保湿及び/又はクレンジングを提供することを含む、様々な目的のためのスキンケア組成物を望む。スキンケア組成物は、使用者の皮膚に塗布されることができなければならず、使用者が製品を皮膚に容易かつ効果的に塗布することを可能にするために、水などの水性構成成分の存在をしばしば必要とする。しかしながら、最終組成物が包装及び輸送されるときに増加し得る包装及び/又は輸送費用を最小限に抑えることも望まれる。したがって、本明細書で定義されるような低含水量を有する濃縮製品を包装及び輸送することが望ましい。
【0003】
現在、濃縮製品は市販されており、消費者が使用する場合、消費者は濃縮製品に所望の量の水を加えて希釈し、使用に適したものにする。しかしながら、いくつかの現在の濃縮製品は、最終製品を調製するためにかなりの量の水を必要とし、得られる最終製品は非常に低い粘度を有する。低粘度製品は、ある場合には適しているが、クリーム、バーム、及び他のより濃厚な製品などの他のスキンケア製品には好ましくない。更に、現在の製品はエマルションの形態ではない。エマルションは、伝統的に、濃縮形態で、単純かつ容易な混合プロセスで使用することは困難である。エマルションは、典型的には、使用者の手によって行われるよりも激しい混合を必要とし、適切な最終製品を提供するための混合を達成するために電子混合装置を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
濃縮エマルションの形態で調製され、包装され、消費者に供給されるスキンケア製品であって、濃縮エマルションが所望の量の水で希釈され、消費者によって簡単な方法で混合されて最終的な塗布可能なスキンケア製品を形成することができ、最終的なスキンケア製品が適切に高い粘度を有するスキンケア製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、組成物、組成物を作製又は使用する方法、並びに本明細書に記載される組成物を提供及び/又は調製するためのキットを含み得る。本明細書に記載される組成物は、濃縮組成物、及び濃縮組成物と水又は他の水性材料との組み合わせによって形成される希釈組成物を含む。
【0006】
本発明は、約30重量%~約60重量%の水と、少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが約0.05%~約7%である、少なくとも2つの乳化剤と、0.1重量%~約5重量%の増粘剤と、を含む濃縮組成物を含んでもよく、濃縮組成物がエマルションであり、エマルションが室温で安定である。
【0007】
本発明は、希釈形態の濃縮組成物を更に含むことができ、希釈形態は、皮膚に塗布され、皮膚の保湿などの皮膚への利益を提供することができる。希釈は、水の添加及び混合を通して達成されてもよく、混合は、電動又は電気機械装置を使用せずに達成され得る。希釈形態は、水又は他の水性構成成分の混合によって達成されてもよい。希釈スキンケア製品は、水性構成成分の添加後であっても、本明細書に記載されるように使用するのに十分に高い粘度を有する。
【0008】
本発明は、少なくとも第1の組成物及び第2の組成物を含む容器を含むスキンケア製品キットを更に含んでもよく、第1の組成物は、本明細書に記載の濃縮組成物を含み、第2の組成物は、テクスチャ成分又は皮膚活性成分のうちの少なくとも1つを含む。キット中の第1の組成物及び第2の組成物は、使用者の皮膚に塗布することができるスキンケア製品を得るために、水と一緒に混合することができる。
【0009】
本発明は、希釈スキンケア製品を形成する方法であって、濃縮組成物であって、約30重量%~約60重量%の水、少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが、約0.05重量%~約7重量%である、少なくとも2つの乳化剤、並びに0.1重量%~約5重量%の増粘剤を含み、濃縮組成物がエマルションであり、エマルションが室温で安定である、濃縮組成物と、水性構成成分とを一緒に組み合わせる工程を含む、方法を更に含み得る。組み合わされた濃縮組成物及び水性構成成分が、互いに混合されて、希釈スキンケア製品を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される場合、スキンケア製品又はスキンケア組成物は、使用者の皮膚又は毛髪に塗布することができ、その使用者に利点を提供する製品である。利点は、例えば、以下により詳細に記載されるように、皮膚若しくは毛髪の水和、又は皮膚若しくは毛髪への1つ以上の治療剤若しくは有益剤の送達であり得る。スキンケア製品は、例えば、保湿剤又は他の皮膚に有益な製品であり得る。
【0011】
本明細書に記載される成分又は構成成分の全てのパーセンテージは、成分が含まれる組成物の重量による。
【0012】
本発明は、皮膚に利益を提供するのに有用な組成物であるスキンケア製品に関する。本明細書に記載のスキンケア製品は、2つの別個の形態であり、それぞれを以下に記載する。本発明の意図は、第1の形態のスキンケア製品を提供することであり、その後、第2の形態のスキンケア製品をもたらすように使用者によって変更され得る。第1の形態と第2の形態との間の差異は、水性材料の添加及び混合を含むことが理解される。以下に記載するように、所望の場合、他の構成成分を添加してもよい。水性材料は、例えば、水であってもよい。本明細書で使用される場合、「水」という用語は、蒸留又は濾過された水を含んでもよく、又は、少なくとも95%の水、若しくは少なくとも98%の水、若しくは少なくとも99%の水など、その主構成成分として水を含む水性液体を含んでもよい。
【0013】
スキンケア製品の第1の形態は濃縮製品であり、これが最初の形態であると考えられ、包装されて消費者に提供され得る。これは、濃縮スキンケア製品又は濃縮組成物と呼ばれる。第1の形態は、本明細書では、スキンケア製品の「第1の形態」又は「濃縮形態」と互換的に呼ばれる。濃縮組成物として、第1の形態は、最終形態よりも小さい体積を有するという利点を享受し、それによって、より小さい包装で輸送及び販売することができる。濃縮組成物として、それは、非濃縮製品よりも少量の水などの水性材料を含み、これは、貯蔵及び輸送体積の低減などのいくつかの利点を提供する。
【0014】
スキンケア製品の第2の形態は、スキンケア製品の最終形態であり、これは、皮膚塗布製品とみなされ、本明細書に記載されるように、スキンケア製品の第1の形態を、水性構成成分で希釈することによって達成される。この第2の形態は、スキンケア製品の利益を達成するために使用者によって皮膚又は毛髪に実際に塗布されるスキンケア製品の形態である。スキンケア製品の第2の形態は、スキンケア製品の濃縮形態と、皮膚又は毛髪に使用するのに適した最終製品を得るために添加された水性材料と、を含む。スキンケア製品の第1の形態からスキンケア製品の第2の形態への変化は、以下に記載される所望の量の水性材料の添加、及び第1の形態と水性材料との混合の結果であることが望まれる。いくつかの態様では、濃縮組成物及び/又は希釈スキンケア製品に1つ以上の活性成分を添加してもよい。
【0015】
したがって、スキンケア製品の第2の形態は、スキンケア製品の濃縮形態及び所望の量の水性材料からなるか、又は本質的になるものであってもよい。別の態様では、スキンケア製品の第2の形態は、スキンケア製品の濃縮形態、所望の量の水性材料、及び1つ以上の活性成分からなるか、又は本質的になり得る。これらの態様間の差異は、1つ以上の活性成分が、濃縮組成物とは別に維持されるかどうかによる。
【0016】
スキンケア製品の第2の形態は、スキンケア製品の濃縮形態よりも大きい体積を有することが望まれる場合がある。換言すれば、スキンケア製品の第1の形態(濃縮形態)は第1の体積を有し、第2の形態(希釈形態)は第2の体積を有し、第2の体積は第1の体積よりも大きい。
【0017】
スキンケア製品の濃縮形態は、スキンケア成分と、水などの水性材料と、を含むエマルションの形態である。本明細書で使用される場合、用語「エマルション」は、第1の相及び第2の相を含む2つの相の混合物であって、第1の相が第2の相中に分散している混合物を意味する。濃縮形態では、相のうちの1つは液体の形態であり、望ましくは水などの水性材料である。第2の相は、液体、固体、又は流動性固体であってもよく、例えば、乳化剤、増粘剤、及び湿潤剤を含む、以下に記載される1つ以上のスキンケア構成成分を含む。エマルションは、水中油型エマルションであってもよい。濃縮エマルションは、適切な構成成分の混合物を室温で望ましい粘度で消費者に提供することを可能にするため、求められている。濃縮エマルションのこの粘度は、以下に記載されるような洗練された又は電子混合装置を必要とすることなく、消費者による水との効率的な混合(希釈)を可能にする。別の言い方をすれば、消費者は、濃縮製品を希釈するために水を加えて、スプーン、スティック、若しくは撹拌棒などを用いて手で、又は使用者の指若しくは手でも十分に混合することができる。本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、摂氏約20~25度、又は摂氏約23度の温度を指す。
【0018】
本発明の目的は、水性材料で希釈された場合に、得られる希釈製品を提供する濃縮組成物を提供することであり、希釈製品は、依然として安定性を維持し、本明細書に記載されるように使用されるのに十分に高い粘度レベルを維持する。
【0019】
濃縮製品が利用可能であるが、典型的には濃縮製品はエマルションの形態ではない。加えて、典型的な濃縮製品は、使用者によって希釈されて、薄い低粘度の最終製品を形成する。典型的には、エマルションは、それらが水、特に出発エマルションの重量よりも大きい重量の水で希釈される場合、安定ではない。実際、本発明のいくつかの態様では、得られる希釈製品が安定である場合、出発濃縮製品の量と比較して3倍の量の水が添加されてもよい。そのような従来のエマルションを安定化させようとするためには、手による混合をはるかに上回る力を含む、かなりの混合力が必要とされる。典型的なエマルションへの水の添加は、エマルションを破壊する傾向があり、それによって、希釈組成物の組成を変化させ、もはやその目的のために有用でなくなる。例えば、洗浄剤などの典型的な濃縮製品の希釈は、スキンケア製品の粘度を低すぎるレベルまで低下させ、ゲル、バーム若しくはクリームなどの「より濃厚な」製品、又はより高い粘度が求められる同様の製品として使用することを困難にする。したがって、典型的なクレンジング濃縮物は、希釈してゲル、バーム、又はクリームを形成することができない。望ましくは、安定であるとみなされるために、製品は、以下の属性のうちの1つ以上を含む:視覚的に分離されず、かつ均質に見え、1ヶ月後又は3ヶ月後に目に見える分離がない製剤;1ヶ月後又は3ヶ月後に顕著な臭気変化を有さない製剤;及び1ヶ月後又は3ヶ月後に任意のpHメーターで測定してpHシフト(0.5を超える変化)を有さない製剤。
【0020】
したがって、本発明はエマルションの形態であり、希釈後に濃厚な粘性製品をもたらすので、典型的な濃縮洗浄剤は本発明とは異なる。本発明は、室温で安定であり、エマルションを破壊することなく消費者が希釈することができ、希釈されて所望のレベルを超える粘度レベルを有する製品を形成する濃縮エマルションである。本発明の得られる粘度は、適切に高い粘度レベルをもたらすが、従来の試みは、低い粘度レベルを有する希釈製品をもたらすことが理解される。これにより、本発明の製品を希釈しても、ゲル、バーム、又はクリームとして使用することができる。
【0021】
水は、皮膚塗布製品において典型的に必要とされる量よりも少ない量で、濃縮組成物中に存在する。クリームなどの皮膚に塗布される非濃縮製品の場合、水は、典型的には、スキンケア製品の70重量%を超える量で存在し、いくつかの態様では、スキンケア製品の90重量%までの量で存在してもよい。本発明のスキンケア製品の濃縮形態は、スキンケア製品の約30重量%~約60重量%、又はスキンケア製品の約35重量%~約55重量%、又はスキンケア製品の約40重量%~約50重量%の量の水を含む。スキンケア製品の濃縮形態は、例として37.08%又は56.8%を含む前述の範囲内の量の水を含んでもよい。
【0022】
水は、水性エマルションを形成するためにスキンケア製品の濃縮形態において必要とされ、したがって、このエマルションを形成するために十分な水が必要とされる。(エマルションを形成するための)濃縮組成物中の水は、所望の流動性を提供するのに十分な多くあるべきであるが、それを不安定にするほど、又はそれをもはや濃縮製品でなくするほど多くてはならない。更に、含まれる水の量が少なすぎる場合、得られる製品が使用者による希釈及び混合を可能にするのに十分な流体ではないので、スキンケア製品の濃縮形態は許容できない。例えば、水が約30重量%未満の量で含まれる場合、得られる製品は、塊又は他の視覚的欠陥などの欠陥を含み得る。水が多すぎる量で含まれる場合、最終製品は使用者による希釈を必要としないので、濃縮製品の目的は満たされない。したがって、スキンケア製品の濃縮形態は、安定なエマルションを形成するのに十分な水を有するが、本発明の意図を回避するほど多くの水を有しないことが望まれる。
【0023】
スキンケア製品の濃縮形態は、十分に濃厚で粘稠である粘度を有することが好ましい。様々な粘度範囲が許容され得るが、濃縮組成物の所望の動的粘度は、室温で約1,600cP~約13,000cP、又は室温で約1,600cP~約4,000cP、又は室温で約1,600cP~約3,000cPであり、これは、20℃でPhysica Rheometerによって測定され得る。動的粘度試験は、Anton Paar MCR 301レオメーターを使用することによって測定され、これは、20℃で120秒間、せん断速度なしに設定され、5秒-1で10秒毎に3回測定し、5秒-1から45秒-1への増加中に4秒毎に9回測定し、45秒-1で5秒毎に2回測定し、粘度について記録される値は、45秒-1での2回目の測定である。スキンケア製品の濃縮形態は、約450%までの水の添加によって希釈されてもよいが、本明細書に記載されるような適切に高い結果として生じる粘度を依然として提供する。希釈は、本明細書に記載されるように、50%、75%、100%、200%、300%、400%、又は450%までの水の添加から生じ得る。
【0024】
以下に記載されるように消費者によって希釈された後、スキンケア製品の第2の形態は、混合後に、Physica Rheometerによって20℃で測定して、室温で300cP超、又は室温で500cP超、又は750cP超の得られる動的粘度を有するべきである。希釈製品(スキンケア製品の第2の形態)の得られた粘度は、希釈前のスキンケア製品の濃縮形態の粘度の最大約半分であってもよい。以下に記載されるように、かなりの量の水を濃縮形態に添加することによって、得られる希釈粘度レベルがより低くなることが予想されたが、本発明者らは、本明細書に記載されるスキンケア組成物が、所望の量の水の添加及び混合後であっても、十分に高い動的粘度(例えば、Physica Rheometerによって20℃で測定して、300cP超、500cP超、750cP超)を維持することを発見した。
【0025】
濃縮組成物は、約5~7、又は5.5~6.5であるpHを有し得る。
【0026】
スキンケア製品の第1の形態は、スキンケア製品の濃縮形態であり、濃縮組成物の体積が、皮膚に塗布されることが意図される形態の製品と比較して低減されるということにおいて、利点を提供する。したがって、スキンケア製品の濃縮形態は、より小さい容器に包装されてもよく、それによって、加工、輸送、貯蔵中、及び商業的棚上で、より少ない空間を占める。更に、より小さい包装の使用を考慮すると、消費者廃棄物がより少なくなり、包装は、そのより小さいサイズのためにより環境に優しいものとなり得る。加えて、本発明は、加工、輸送、貯蔵の間、及び商業的棚上で、並びに消費者による購入後に、安定である濃縮エマルションを提供する。
【0027】
本発明による濃縮組成物は、例として、a)約30重量%~約60重量%の水と、b)少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが約0.05%~約7%である、少なくとも2つの乳化剤と、c)0.1重量%~約5重量%の増粘剤と、を含んでもよく、濃縮組成物がエマルションであり、エマルションが室温で安定である。
【0028】
構成成分
スキンケア製品は、エマルションの形態の濃縮組成物を形成するための構成成分の組み合わせを含む。濃縮製品は、第1の相及び第2の相を含み、これらは一緒になって濃縮エマルションを形成する。濃縮エマルションの第1の相は、液体の形態であり、水及び/又は他の水性材料を含む。第1相はまた、保湿剤、湿潤剤、及びpH調整剤などの他の構成成分を含んでもよい。濃縮エマルションの第2の相(油性相とみなすことができる)は、以下:増粘剤、乳化剤、エステル、バター、油、防腐剤、界面活性剤、香料、及び着色剤のうちの1つ以上の組み合わせを含む。第2の相は、液体、固体又は半固体状態の形態の1つ以上の構成成分を含んでもよい。もちろん、いくつかの態様では、濃縮エマルションの第1相は、第2相に列挙された1つ以上の構成成分を含んでもよく、第2相は、第1相に列挙された1つ以上の構成成分を含んでもよい。
【0029】
本スキンケア製品の濃縮形態は、スキンケア製品の約30重量%~約60重量%、又はスキンケア製品の約35重量%~約55重量%、又はスキンケア製品の約40重量%~約50重量%の量の水を含む。スキンケア製品の濃縮形態は、例として37.08%又は56.8%を含む前述の範囲内の量の水を含んでもよい。
【0030】
濃縮組成物は、カルボマー、セルロース、キサンタンガム、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、カラギーナン(Caraghenan)、ポリアクリル酸ナトリウム、スクレロチウムガム(Sclerotium Gum)などの増粘剤を含むことが好ましい。例えば、本発明において有用であり得る1つのカルボマーは、LubrizolによってCarbopol Ultrez 10 Polymerとして販売されているものを含む、架橋ポリアクリル酸である。増粘剤は、濃縮組成物の約0.1重量%~約5重量%、又は濃縮組成物の約0.5重量%~約3.5重量%、又は濃縮組成物の約1.5重量%~約2.5重量%の量で存在する。濃縮組成物の少なくとも0.1重量%の量でポリアクリル酸増粘剤を含む所望の量の増粘剤を有することは、組成物の粘度及び濃さを維持するのに有用であるが、増粘剤レベルが大きすぎる場合、組成物は、使用者によって希釈されるには粘性が高すぎる場合がある。
【0031】
濃縮組成物は、架橋ポリアクリル酸を含む増粘剤を有してもよく、あるいは増粘剤は架橋ポリアクリル酸である。
【0032】
濃縮組成物は、ジステアリルジモニウムクロリドなどの1つ以上の乳化剤を含んでもよい。セチルリン酸カリウム;水素化パームグリセリド;セチルリン酸カリウム;ステアリン酸グリセリル(及び)PEG-100ステアリン酸;セテアリルアルコール(及び)セテアレス-20;セテアリルオリベート及びソルビタンオリベート;グリセリルステアレートステアレス-21;ステアレス-20;セテアリルアルコール及びセテアリルグルコシド;アラキジルアルコール(及び)ベヘニルアルコール(及び)アラキジルグルコシド;ポリグリセリル-3ジイソステアレート;ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート;ステアレス-2;PEG-20ステアリン酸;セテアリルイソノエート(及び)セテアレス-20(及び)セテアリルアルコール(及び)ステアリン酸グリセリル(及び)グリセリン(及び)セテアレス-12(及び)パルミチン酸セチル;ジイソステアロイルポリグリセリル-3ダイマージリノレート;ステアリン酸グリセリル(及び)PEG-30ステアリン酸;PEG-100ステアリン酸;コレス-24、セテス-24;ステアレス-10;ラウリン酸グリセリル;PPG-26ブテス-26(及び)PEG-40水素化ヒマシ油;モノステアリン酸グリセロール;PPG-2ヒドロキシエチルコカミド;トリオレイン酸ソルビタン;安息香酸ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル;PEG-40水素化ヒマシ油;ヤシ脂肪酸スクロース(及び)エタノール;セテス-20;ステアリン酸ソルビタンポリグリセリル-4イソステアレート;ポリソルベート65;グリコールセテアラート;ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-3ラネス-16;PEG-8蜜蝋;オレス-30(及び)コレス-15(及び)セテス-15;PEG-4アブラナ種子油脂肪酸アミド;セテアレス-25;PPG-4-セテス-20;リン酸ラウリルカリウム;ラウリルグルコシド(及び)ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアリン酸(及び)グリセリン;ポリヒドロキシステアリン酸;セテアリルアルコール(及び)ポリソルベート60;C14-22アルコール(及び)C12-20アルキルグルコシド;セテアリルアルコール(及び)リン酸ジセチル(及び)セテス-10リン酸;セスキオレイン酸ソルビタン;ポリグリセリル-4ラウリン酸/セバシン酸(及び)(カプリル酸/カプリン酸)ポリグリセリル-6;PPG-5-セテス-20;PEG-30ジポリヒドロキシステアリン酸;セチルアルコール(及び)ステアリン酸グリセリル(及び)PEG-75ステアリン酸(及び)セテス-20(及び)ステアレス-20;ステアレス-100(及び)ステアレス-2(及び)マンナン(及び)キサンタンガム;セテアレス-6及びステアリルアルコール;イソステアリン酸ソルビタン;イソステアリン酸メチルグルコース;ステアリン酸ソルビタン(及び)ヤシ脂肪酸スクロース;イソステアリン酸ポリグリセリル-2;イソセテス-20;ラウレス-4;ステアリン酸亜鉛;ステアリルアルコール(及び)セテアレス-20;スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム;カプリル酸ポリグリセリル-3;ステアリルアルコール(及び)セテアレス20;ヤシ脂肪酸スクロース及びそれらの組み合わせ。水素化パームグリセリド及びセチルリン酸カリウムなどの乳化剤は、単独で使用されるか互いに組み合わせて使用されるかにかかわらず、特に有用な乳化剤である。
【0033】
濃縮組成物は、第1の乳化剤及び第2の乳化剤を含むことが望まれる場合がある。例えば、濃縮組成物は、セチルリン酸カリウムである第1の乳化剤と、水素化パームグリセリドである第2の乳化剤とを含み得る。乳化剤は、濃縮組成物の約0.05重量%~約9重量%を組み合わせて使用されてもよい。好ましくは、乳化剤は、濃縮組成物の約2.1重量%~約8.5重量%、好ましくは約2.5重量%~約8.0重量%、好ましくは約3.0重量%~約7.0重量%、好ましくは約3.0重量%~約5.5重量%を組み合わせて使用される。2つの乳化剤が使用される場合、それらは組成物中に別々に含まれてもよく、かつ/又はそれらは最初に一緒に組み合わされてもよい。更に、乳化剤は、濃縮スキンケア組成物を形成する際に使用する前に一緒に組み合わされてもよく、別個に、乳化剤の一方又は両方が濃縮スキンケア組成物中に更に含まれてもよい。例えば、濃縮スキンケア組成物は、予め混合された組成物として一緒に組み合わされた第1の乳化剤及び第2の乳化剤を含んでもよく、第1及び第2の乳化剤の一方又は両方が、濃縮スキンケア組成物に独立して含まれてもよい。
【0034】
濃縮組成物は、セチルリン酸カリウムを含む第1の乳化剤を有してもよい。更に、又はあるいは、濃縮組成物は、水素化パームグリセリドを含む第2の乳化剤を有してもよい。
【0035】
各乳化剤は独立して、濃縮組成物の約0.05重量%~約7重量%、又は濃縮組成物の約0.05重量%~約4重量%、又は濃縮組成物の約0.5重量%~約2重量%、又は濃縮組成物の約0.5重量%~約1重量%の量で存在してもよい。特に、セチルリン酸カリウムが乳化剤の1つとして使用される場合、それは、濃縮組成物の約0.5重量%~約7重量%、又は濃縮組成物の約1.5重量%~約4重量%、又は濃縮組成物の約2重量%~約3.5重量%の量で存在してもよい。特に、水素化パームグリセリドが乳化剤の1つとして使用される場合、それは、濃縮組成物の約0.05重量%~約4重量%未満、又は濃縮組成物の約0.05重量%~約3.5重量%、又は濃縮組成物の約0.05重量%~約3重量%、又は濃縮組成物の約0.5重量%~約1.5重量%、又は濃縮組成物の約0.5重量%~約1重量%の量で存在し得る。
【0036】
濃縮組成物は、濃縮組成物の約0.5重量%~約7重量%、又は約1.5重量%~約4重量%、又は約2重量%~約3.5重量%で存在する第1の乳化剤を有してもよい。
【0037】
濃縮組成物は、濃縮組成物の約0.05重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.5重量%~約1重量%で存在する第2の乳化剤を有してもよい。
【0038】
濃縮組成物が第1の乳化剤及び第2の乳化剤を含む場合、第1及び第2の乳化剤は、約1:1~27:1、又はより具体的には約3:1の重量比で存在し得る。例えば、第1の乳化剤がセチルリン酸カリウムであり、第2の乳化剤が水素化パームグリセリドである場合、第1及び第2の乳化剤は、約1:1~27:1、又は約3:1の重量比で存在し得る。一緒に使用される場合、セチルリン酸カリウムの重量が、水素化パームグリセリドの量より多いことが望まれる場合がある。特に、セチルリン酸カリウム及び水素化パームグリセリドなどの乳化剤の使用は、濃縮製品及び得られた希釈製品の安定性を助ける。
【0039】
濃縮組成物は、第2の乳化剤の重量比以上である重量の第1の乳化剤を有し得る。
【0040】
濃縮組成物は、第1の乳化剤及び第2の乳化剤を有してもよく、第1の乳化剤は、濃縮組成物の約0.5重量%~約7重量%、又は約1.5重量%~約4重量%、又は約2重量%~約3.5重量%存在し、第2の乳化剤は、濃縮組成物の約0.05重量%~約3重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.5重量%~約1重量%存在する。
【0041】
好ましくは、濃縮組成物は、第1の乳化剤及び第2の乳化剤を有してもよく、第1の乳化剤は、濃縮組成物の約2重量%~約3.5重量%で存在し、第2の乳化剤は、濃縮組成物の約0.5重量%~約1重量%で存在する。
【0042】
濃縮組成物が増粘剤及び乳化剤を含む場合、増粘剤及び乳化剤は、互いの重量比で存在してもよい。例えば、セチルリン酸カリウム及びカルボマーが使用される場合、それらは、0.6:1~3:1、又は約1:1の重量比で存在し得る。ポリアクリル酸増粘剤などの増粘剤、及び水素化パームグリセリドが使用される場合、それらは、1.5:1~10:1、又は約3:1~3.5:1の重量比で存在し得る。したがって、ポリアクリル酸増粘剤などの増粘剤は、水素化パームグリセリドよりも多い重量で存在することが望まれる。
【0043】
濃縮組成物は、第2の乳化剤の重量比以上である増粘剤の重量を有し得る。
【0044】
濃縮組成物は、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、及びこれらの組み合わせなどのpH調整剤を含んでもよい。使用される場合、pH調整剤は、濃縮組成物の0超~約1.7重量%、又は濃縮組成物の0.01重量%~約1.7重量%の量で存在してもよい。
【0045】
濃縮組成物は、フェノキシエタノール、トロポロン、クロルフェネシン、パラベン、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、DMDMヒダントインクロルヘキシジン、ベンジルアルコール、ソルビン酸、p-アニス酸、及びそれらの組み合わせなどの防腐剤を含んでもよい。使用される場合、防腐剤は、濃縮組成物の重量で0超~約2重量%、又は濃縮組成物の0.01重量%~約2重量%の量で存在し得る。
【0046】
濃縮スキンケア製品は、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ソルビトール、スクラロース、サッカリンナトリウム、及びこれらの組み合わせなどの湿潤剤又は保湿剤を含んでもよい。使用される場合、湿潤剤は、濃縮組成物の0超~約30重量%、又は濃縮組成物の約10重量%~約30重量%の量で存在し得る。
【0047】
好ましくは、濃縮組成物は、湿潤剤としてグリセリンを含んでもよい。
【0048】
濃縮組成物は、湿潤剤としてグリセリンを含んでもよく、グリセリンは濃縮組成物の約10重量%~約30重量%の量で存在してもよい。
【0049】
濃縮組成物は、コンディショナー、皮膚軟化剤、及び油を含む1つ以上の皮膚調節剤を含んでもよい。皮膚調節剤としては、シアバター、パンテノールなどのバター、シリコーン、鉱油、水素化ヒマシ油、及び植物油などの油、ワセリン、パルミチン酸イソプロピル及びミリスチン酸イソプロピルなどのエステル、カプリリルグリコール、流動パラフィン、グリセリン、並びにこれらの組み合わせなどの薬剤などを挙げることができる。
【0050】
使用される場合、個々の皮膚調節剤は、濃縮組成物の0超~約35重量%、又は濃縮組成物の約0.1重量%~約20重量%、又は濃縮組成物の約1重量%~約5重量%の量で存在してもよい。皮膚調節剤は、使用されてよく、濃縮組成物の約0.1重量%~約50重量%、又は濃縮組成物の約0.5重量%~約35重量%、又は濃縮組成物の約1重量%~約15重量%を組み合わせて有し得る。
【0051】
記載したように、皮膚調節剤の組み合わせは、グリセリン、流動パラフィン、水素化ヒマシ油、及びカプリリルグリコールの組み合わせなど、濃縮組成物中で使用され得る。
【0052】
いくつかの濃縮組成物は、UVフィルター、フィルム形成剤、サリチル酸などの酸、AHA、BHA、PHA、ヒアルロン酸、又はレチノールなどの1つ以上の追加の活性成分を含んでもよい。濃縮組成物は、前述の追加の活性成分のうちの1つ以上を含まないこと、又は任意の所望の追加の活性成分が、以下に記載されるように、希釈の前又は後のいずれかに、消費者によって別々に添加されることが望まれ得る。
【0053】
好ましくは、濃縮組成物は、1,2-アルカンジオールを実質的に含まない。好ましくは、希釈組成物は、1,2-アルカンジオールを実質的に含まない。これに関連して、「実質的に含まない」とは、組成物が0.05重量%未満の1,2-アルカンジオール、好ましくは0.01重量%未満の1,2-アルカンジオールを含有し、好ましくは完全に1,2-アルカンジオールを含まない、すなわち含有しないことを意味する。
【0054】
キット
いくつかの態様では、本発明はまた、少なくとも第1の組成物及び第2の組成物を含む容器を含み得るスキンケア製品キットであって、a)第1の組成物が本発明による濃縮組成物を含み、b)第2の組成物がテクスチャ成分及び/又は皮膚活性成分のうちの少なくとも1つを含み、第1の組成物及び第2の組成物が、一緒に組み合わされる前又は後のいずれかに、水と一緒に混合される場合があり、使用者の皮膚に塗布することができるスキンケア製品を得ることができる、スキンケア製品キットに関し得る。
【0055】
スキンケア製品の濃縮形態は、使用者が製剤を調製し、最終的に製品を使用することを可能にするキット内で使用者に提供されてもよい。キットは、1つの容器又は包装を含んでもよく、又は各々が内容物を含む複数の容器又は包装を含んでもよい。内容物は、製品の分配、混合、及び/又は使用に使用するための1つ以上の容器を含んでもよい。第1の容器が含まれてもよく、これはある量の濃縮形態のスキンケア製品を含有する。スキンケア製品の量は、単回使用又は複数回使用に適していてもよい。スキンケア製品の濃縮形態が入っている容器は、再密封可能であってもよく、又は1回開封されるように意図されていてもよい。容器は、ジャー、ボトル、箱、パウチ、バッグ、又はその中にスキンケア製品の濃縮形態を維持する任意の他の所望の容器であってもよい。使用者は、第1の容器に直接水を加え、その中に含有されたスキンケア製品の濃縮形態を水と混合して希釈製品を形成してもよい。
【0056】
スキンケア製品の濃縮形態が複数回使用されることが意図される場合、スプーン、ボトル、スポイト、ポンプ、又は使用者が第1の容器から所望の量の濃縮組成物を取り出すことを可能にする他の手段などの、濃縮組成物を測定するための手段が提供されてもよい。
【0057】
キットの内容物は、空であってもよい第2の容器を更に含んでもよく、使用者は、その中でスキンケア製品の所望の部分をその濃縮形態に希釈してもよい。したがって、使用者は、第1の容器から濃縮組成物の全部又は一部を取り出し、それを第2の容器に入れることができる。第2の容器は、どのくらいの量の製品をその中に入れるべきかを使用者に対して識別する印を有してもよい。あるいは、使用者が所望の量のスキンケア製品をその濃縮形態で第2の容器に入れることを可能にするために提供される測定ツールがあってもよい。使用者は、スキンケア製品の濃縮形態を添加する前に、又はスキンケア製品の濃縮形態を添加した後に、所望の量の水を第2の容器に添加してもよい。次いで、使用者は、本明細書に記載されるように、水とスキンケア製品の濃縮形態とを一緒に混合してもよい。
【0058】
キットの内容物は、シアバター、ポリアクリル酸ナトリウム、ワックス、油、カルボマーなどの1つ以上のテクスチャ成分を含む第3の容器を更に含んでもよい。テクスチャ成分は、単回使用される量で存在してもよく、又は複数回使用される量で存在してもよい。使用者は、所望の量のテクスチャ成分を第3の容器から取り出し、所望の量のテクスチャ成分を加えて、水及びスキンケア製品の濃縮形態と混合されてもよい。テクスチャ成分は、第1の容器又は第2の容器に添加されてもよく、テクスチャ成分は、水の添加前又は水の添加後に添加されてもよい。
【0059】
キットの内容物は、製品が塗布される皮膚に医学的、治療的、又は他の利益を提供する皮膚活性構成成分などの1つ以上の追加の皮膚活性成分を含む第4の容器を更に含んでもよい。追加の活性成分は、単回使用される量で存在してもよく、又は複数回使用される量で存在してもよい。使用者は、所望の量の追加の活性成分を第4の容器から取り出し、所望の量の追加の活性成分を加えて、水及びスキンケア製品の濃縮形態と混合してもよい。追加の活性成分は、第1の容器又は第2の容器に添加されてもよく、追加の活性成分は、水の添加前又は水の添加後に添加されてもよい。
【0060】
キットの内容物は、一緒に混合される濃縮組成物、水、活性成分、及び/又はテクスチャ成分の量を特定することを含む、使用のための1つ以上の説明書を更に含んでもよい。キットは、本明細書に記載される任意の方法であり得る混合方法を特定する説明書を含み得る。
【0061】
キットの内容物は、スプーン、スティック、ロッド、又は電動若しくは電気機械混合装置を必要とせずに手で撹拌することを可能にする他の道具など、構成成分を撹拌するための手段を含んでもよい。
【0062】
スキンケア製品キットは、電動又は電気機械混合装置を必要とせずに、室温で水と混合することができる複数の組成物を含有してもよい。
【0063】
希釈方法
上記のように、スキンケア製品の第1の形態は、濃縮エマルションとして使用者に提供され、製品を皮膚又は毛髪に塗布する前に、使用者は、スキンケア製品の濃縮形態を水又は他の水性材料で希釈し、十分に組み合わせを混合して、スキンケア製品の第2の形態をもたらす。次いで、スキンケア製品の第2の形態は、所望の利益を提供するために、使用者の皮膚又は毛髪に塗布され得る。いくつかの態様では、上記のように、別個に添加される活性組成物が存在してもよく、活性組成物は、混合の前又は後のいずれかに、濃縮形態の第1の製品、水、又は濃縮形態の第1の製品と水との組み合わせに添加されてもよい。たとえスキンケア製品の濃縮形態と水とが混合されて第2の形態のスキンケア製品が形成されるとしても、混合工程は、活性組成物が添加された後に行われるべきである。
【0064】
スキンケア製品の濃縮形態を希釈して第2の形態のスキンケア製品を得るプロセスは、ある量の水などの水性材料をスキンケア製品の濃縮形態に添加する工程と、スキンケア製品の濃縮形態を混合する工程とを含む。以下に説明するように、希釈は、使用者によって混合される所望の量の水性材料の添加を含むべきである。スキンケア製品の濃縮形態と水性材料との混合は、複雑な機械又は電気機械装置を必要とせずに効果的に行うことができる。更に、混合は、室温で効果的に行うことができ、混合の前又は後のいずれかに構成成分を加熱及び/又は冷却する必要性を回避することができる。
【0065】
水性製品は、水を含んでもよい。水は、約15℃~35℃、又は約15℃~30℃、約15℃~25℃、又は約18℃~23℃、又は約20℃~22℃の温度であってもよい。温度は、摂氏で表される。水は、ビーカー、スプーン、スポイト、バイアル、又は添加される水の量を識別する任意の他の装置などの測定装置の使用を通してなど、任意の所望の手段で添加されてもよい。スキンケア製品の濃縮形態は、水を直接加えることができる容器に入れて提供されてもよく、又はスキンケア製品の濃縮形態は、その最初の容器から、水が加えられてもよい第2の容器に分配されてもよい。
【0066】
本発明はまた、a)本発明による濃縮組成物と、b)水性構成成分との組み合わせを含み得る希釈スキンケア組成物であって、水性構成成分が濃縮組成物の重量の約1~20倍の重量比で存在してもよく、水性構成成分が少なくとも95%の水を含み得る、希釈スキンケア組成物に関する。
【0067】
好ましくは、希釈スキンケア組成物は、濃縮組成物の重量の約2~17倍、好ましくは3~12倍の重量比で存在する水性構成成分を含み得る。より好ましくは、濃縮組成物に対する当該水性構成成分の重量比は、1~16倍、又は2~16倍、又は1~11倍、又は2~11倍、又は3~16倍、又は3~11倍の範囲であってもよく、更により好ましくは、1~5倍、又は2~5倍、又は2~4倍であってもよい。
【0068】
希釈組成物は、1~2倍、又は2~3倍、又は4~5倍、又は10~11倍、又は15~17倍の範囲の、濃縮組成物に対する当該水性構成成分の重量比を有し得る。
【0069】
好ましくは、希釈スキンケア組成物は、少なくとも99%、好ましくは99.5%の水を含み得る水性構成成分を含んでもよい。
【0070】
希釈組成物は、濃縮組成物中に存在する水の量の4~45倍の量で存在する水性構成成分を含むことができる。
【0071】
本発明は、かなりの量の水をスキンケア製品の濃縮形態に添加することを可能にし、それでもなお、エマルションを破壊することなく、かつ/又は希釈製品の安定性を低下させることなく、十分に高い粘度を有する希釈製品を提供する。最終希釈製品は、濃縮形態の製品及び水(並びに任意選択的に、上述のテクスチャ成分及び/又は皮膚活性成分)を含み、安定であり、十分な粘度を有し、使用者の皮膚上での使用に好適である。スキンケア製品の濃縮形態を希釈するために使用者によって加えられる水の量は、スキンケア製品の濃縮形態中の水の量の約4~5倍であってもよく、スキンケア製品の濃縮形態中の水の量の約7~10倍であってもよく、スキンケア製品の濃縮形態中の水の量の約10~15倍であってもよく、スキンケア製品の濃縮形態中の水の量の約25~30倍であってもよく、スキンケア製品の濃縮形態中の水の量の約40~45倍であってもよいことが、望まれる。
【0072】
水は、濃縮スキンケア組成物の重量の約2倍の重量で製品の濃縮形態に添加されてもよい。例えば、濃縮スキンケア組成物が25グラムである場合、水を約50グラムの量で添加してもよい。本明細書で使用される場合、これは「75%希釈」と呼ばれる。
【0073】
水は、濃縮スキンケア組成物の重量の約3倍の重量で添加されてもよい。例えば、濃縮スキンケア組成物が25グラムである場合、水を約75グラムの量で添加してもよい。本明細書で使用される場合、これは「100%希釈」と呼ばれる。
【0074】
水は、濃縮スキンケア組成物の重量の約5倍の重量で製品の濃縮形態に添加されてもよい。例えば、濃縮スキンケア組成物が25グラムである場合、水を約125グラムの量で添加してもよい。本明細書で使用される場合、これは「150%希釈」と呼ばれる。
【0075】
水は、濃縮スキンケア組成物の重量の約11倍の重量で濃縮形態の製品に添加されてもよい。例えば、濃縮スキンケア組成物が25グラムである場合、水を約275グラムの量で添加してもよい。本明細書で使用される場合、これは「300%希釈」と呼ばれる。
【0076】
水は、濃縮スキンケア組成物の重量の約17倍の重量で濃縮形態の製品に添加されてもよい。例えば、濃縮スキンケア組成物が25グラムである場合、水を約425グラムの量で添加してもよい。本明細書で使用される場合、これは「450%希釈」と呼ばれる。
【0077】
使用者は、かなりの量の水を添加して濃縮スキンケア組成物を希釈し、希釈スキンケア製品を作製することができる。濃縮組成物中に含有される水の量の約40~約45倍の量で水を添加しても、希釈スキンケア製品の得られる粘度は室温で300cPを超える。そのような多量の水の添加は、クリーム、ゲル又はバームなどの特定の目的のために使用するには薄すぎる粘度(例えば、300cP未満、又は500cP未満、又は750cP未満)をもたらすが、本発明は、得られる希釈製品が、十分に粘性のままであることを可能にすることが予想される。
【0078】
上述したように、エマルションの形態の濃縮物は、相間の安定性の欠如のために、希釈することが困難であり、それでも有用な製品を提供すると予想される。本発明において、得られる希釈スキンケア製品の粘度は、バーム、ゲル、ローション、又はクリームなどの濃厚な製品として使用するのに十分に高い。得られる粘度は、スキンケア製品の濃縮形態を希釈するために添加される水の量に応じて、室温で300cP~4,500cPであってもよく、又は室温で約500cP~約3,500cPであってもよく、又は室温で約750cP~約2,000cPであってもよい。増粘剤を有するモジュールを加えることは、所望であれば、更に高い粘度レベルをもたらすことができる。
【0079】
更に、上述したように、スキンケア製品の濃縮形態と水とを混合して第2の形態のスキンケア製品を得る工程は単純であり、複雑な機械又は電気機械装置を必要とせずに使用者が行うことができる。所望の量の水性材料をスキンケア製品の濃縮形態に添加した後、濃縮製品及び水は、使用者によって一緒に混合されて、第2の形態のスキンケア製品を形成する。上述したように、濃縮エマルションは、典型的には、混合して安定性を維持することが困難であり、典型的には、電動装置又は高速混合速度を与える他の方法を必要とする。典型的なエマルションは、完全な混合を達成して安定な最終製品をもたらすために、デフロキュレーター及び高RPMで回転するブレードを有するミキサーなどの電動又は精巧な装置を必要とし、かつ/又は特定の温度、典型的には室温より高い温度での混合を必要とする。しかしながら、本発明では、混合はより容易であり、より低い混合速度のみを必要とし、これは、スプーン、スティック、指、又は撹拌棒などの単純な装置を用いて手で混合することによって達成することができ、室温で混合を達成することを可能にする。この混合プロセスは、任意の成分の温度を変更する必要なしに混合を可能にする。
【0080】
スキンケア製品の濃縮形態と水との混合は、スプーン、スティック、指、又は撹拌棒などの非電動要素を使用して、使用者の手によって達成されてもよく、混合の5分未満、又は混合の3分未満、又は混合の1分未満以内に、十分に混合及び希釈スキンケア製品を提供するように完了されてもよい。
【0081】
混合が完了した後、希釈された第2の形態のスキンケア製品が形成され、第2の形態は使用者の皮膚又は毛髪に塗布され得る。第2の形態は、上記のようなバーム、ゲル、ローション、又はクリームなどのより濃厚なスキンケア製品として使用するのに十分に高い粘度を有する。
【0082】
本発明はまた、a)i)約30重量%~約60重量%の水、ii)少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが、独立して約0.05重量%~約7重量%であってもよい、少なくとも2つの乳化剤、並びにiii)0.1重量%~約5重量%の増粘剤を含んでもよい濃縮組成物であって、濃縮組成物がエマルションであり得る場合、エマルションが室温で安定である、濃縮組成物と、b)水性構成成分と、を一緒に組み合わせる工程を含んでもよい希釈スキンケア製品を形成する方法であって、組み合わされた濃縮組成物及び水性構成成分が互いに混合されて、希釈スキンケア製品を形成してもよい、方法に関する。
【0083】
好ましくは、方法の組み合わせ工程は、15℃~35℃、好ましくは15℃~30℃、好ましくは15℃~25℃の温度で実施され得る。本方法は、濃縮組成物の重量の1~20倍の重量比で提供される水性構成成分を含み得る。好ましくは、水性構成成分は、濃縮組成物の重量の2~17倍、又は3~12倍の重量比で提供され得る。
【0084】
希釈スキンケア製品の使用
別の態様において、本発明は、希釈スキンケア製品の調製のための、上記の説明による濃縮組成物の使用に関してもよい。
【0085】
スキンケア製品の第2の形態は、スキンケア製品の皮膚塗布形態又は希釈形態としても知られている、使用者に利益を提供するために使用者の毛髪又は皮膚に塗布されるスキンケア製品の形態である。使用者の皮膚又は毛髪に提供される利益は、保湿、バリア強化、毛髪のコンディショニング、利益又は治療剤の付着、又はこれらの利益の組み合わせのうちの1つ以上を含んでもよい。これらの薬剤は、上述したように、「皮膚有益剤」として分類され得る。
【0086】
スキンケア製品の第2の形態が、皮膚に保湿を与えること、又は皮膚にバリア保護を提供することが意図されているか、又はされている場合、スキンケア製品の皮膚塗布形態は、1つ以上の保湿剤を含んでもよい。
【0087】
本発明は、希釈スキンケア保湿剤の調製のための濃縮組成物の使用に関し得る。
【0088】
上記の説明による濃縮組成物は、皮膚保湿剤として使用される希釈スキンケア製品の調製のために実施されてもよい。
【0089】
希釈スキンケア製品は、化粧品として使用されてもよい。
【0090】
更に、本発明は、皮膚の保湿のための、上記の方法に従って調製された希釈スキンケア製品の使用に関し得る。
【0091】
スキンケア製品の第2の形態が使用者の毛髪をコンディショニングすることが意図されるか又はコンディショニングする場合、スキンケア製品の皮膚塗布形態は、1つ以上のコンディショニング剤を含んでもよい。
【0092】
スキンケア製品の第2の形態が、使用者の皮膚又は毛髪に1つ以上の利益又は治療剤を付着させることが意図されるか若しくは付着させるか、又は他の方法で提供する場合、スキンケア製品の皮膚塗布形態は、1つ以上の治療剤を含んでもよい。
【0093】
上述のように、スキンケア製品の濃縮形態は、使用者に提供されるときに1つ以上の皮膚有益剤を含んでもよく、又はスキンケア製品の濃縮形態は、1つ以上の皮膚有益剤を含まなくてもよく、皮膚有益剤は、使用者によって別個に添加されることが意図される。スキンケア製品の濃縮形態が1つ以上の有益剤を含む態様では、所望の量の水をスキンケア製品の濃縮形態に添加し、水とスキンケア製品の濃縮形態とを混合して希釈形態のスキンケア製品を形成した後、使用者は、所望の量の希釈形態のスキンケア製品を使用者の皮膚又は毛髪に塗布してもよい。
【0094】
スキンケア製品の濃縮形態が、使用者に提供されるときに1つ以上の皮膚有益剤を含まない態様では、1つ以上の皮膚有益剤が、水による希釈前又は水による希釈後のいずれかに、使用者によって添加されることが望まれる場合がある。この実施形態では、濃縮組成物、皮膚有益剤及び水の組み合わせは、スキンケア製品の最終的な皮膚塗布形態を形成し、使用者によって使用され得る。この実施形態では、スキンケア製品の濃縮形態は、それが使用者に提供される時点で1つ以上の皮膚有益剤を含んでもよいが、使用者は、本明細書に記載されるような追加の皮膚有益剤を添加してもよいことに留意されたい。
【実施例】
【0095】
実施例1-濃縮スキンケア組成物
いくつかの例示的な濃縮組成物を形成し、安定性、粘度、粘着性、及び濃縮エマルションとしての全体的な有用性について試験した。表1~4中の成分の量は、濃縮製品の重量パーセンテージで示されている。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
実施例E1~E10は、濃縮エマルションとして満足のいくものであると考えられ、相分離なしで十分な安定性を示し、それぞれが表に示す粘度レベルを有していた。実施例E11は、安定であったが、ポンプ輸送可能な製剤に使用するには粘性が高すぎると考えられ、これは、水素化パームグリセリドの量が多い(4%)ことに起因し得る。いくつかの例では、より高い粘度が望まれる場合があり、E11は安定であったので、そのような例では満足できる場合があることに留意されたい。
【0101】
比較例C1~C5は、例えば、濃縮製品としての安定性の欠如又は適切に希釈される能力の欠如を含む様々な理由のために、濃縮エマルションとして不十分であるとみなされた。例えば、比較例C1及びC3は、存在する量の増粘剤を水和するのに十分なレベルの水を、濃縮形態で含まなかった。例えば、比較例C2は、安定なエマルションを欠き、混合の完了時に相分離を示した。この安定性の欠如は、組成物中の増粘剤の欠如に起因すると考えられる。比較例C5は、安定であったが、粘度が高すぎた。比較例C5は、高すぎるレベルのセチルリン酸カリウム(10重量%)を含んでいたと考えられる。比較例C4は、安定でないエマルションを示し、混合の完了時に相分離を示した。水素化パームグリセリド及び/又はセチルリン酸カリウムの欠如が、この安定性の欠如の要因であったと考えられる。
【0102】
実施例2-希釈濃縮ベース
様々な濃縮組成物を形成し、次いで様々な量の水で希釈した。実施例DC1~DC5のそれぞれについて、製品の濃縮形態は、十分な粘度レベルで安定であると考えられた。表に示した量は、水を添加した後に得られた希釈製品中の構成成分のパーセンテージである。実施例DC1については、得られる希釈製品中の構成成分の全量は75%に等しく、DC2については、得られる希釈製品中の構成成分の全量は100%に等しく、DC3については、構成成分の全量は150%に等しく、DC4については、得られる希釈製品中の構成成分の全量は300%に等しく、DC5については、得られる希釈製品中の構成成分の全量は450%に等しい。
【0103】
【0104】
DC1~DC5実施例の濃縮粘度は、実施例のバッチ間で異なり、粘度は各実施例について約1600~3000であった。希釈後に得られた粘度レベルは、上記の表に反映されている(室温でのcP単位)。理解され得るように、DC1について得られた粘度レベルは4,440cPであり、DC2について得られた粘度レベルは3,500cPであり、DC3について得られた粘度レベルは1,990cPであり、DC4について得られた粘度レベルは727cPであり、DC5について得られた粘度レベルは315cPであった。44.3倍量の水(濃縮ベース中の水の量と比較して希釈するために添加された水の量)を添加しても、得られた粘度は300cPを超えた。得られた希釈製品は、十分に安定であり、本明細書に記載されるように使用するのに十分な粘度レベルを有していた。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) 濃縮組成物であって、
a)約30重量%~約60重量%の水と、
b)少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、前記少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが約0.05%~約7%である、少なくとも2つの乳化剤と、
c)0.1重量%~約5重量%の増粘剤と、を含み、
前記濃縮組成物が、エマルションである、濃縮組成物。
(2) 前記第1の乳化剤が、セチルリン酸カリウムを含む、実施態様1に記載の濃縮組成物。
(3) 前記第2の乳化剤が、水素化パームグリセリドを含む、実施態様1又は2に記載の濃縮組成物。
(4) 前記第1の乳化剤が、前記濃縮組成物の約0.5重量%~約7重量%で存在する、実施態様1~3のいずれかに記載の濃縮組成物。
(5) 前記第2の乳化剤が、前記濃縮組成物の約0.05重量%~約3重量%で存在する、実施態様1~4のいずれかに記載の濃縮組成物。
【0106】
(6) 前記増粘剤が、架橋ポリアクリル酸を含む、実施態様1~5のいずれかに記載の濃縮組成物。
(7) 前記濃縮組成物が、湿潤剤を含む、実施態様1~6のいずれかに記載の濃縮組成物。
(8) 前記湿潤剤が、前記濃縮組成物の0重量%超~約30重量%の量で存在する、実施態様7に記載の濃縮組成物。
(9) 少なくとも第1の組成物及び第2の組成物を含む容器を含むスキンケア製品キットであって、
a)前記第1の組成物が、実施態様1~8のいずれかに記載の濃縮組成物を含み、
b)前記第2の組成物が、テクスチャ成分又は皮膚活性成分のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の組成物及び前記第2の組成物を水と一緒に混合して、使用者の皮膚に塗布することができるスキンケア製品を得ることができる、スキンケア製品キット。
(10) 希釈スキンケア組成物であって、
a)実施態様1~8のいずれかに記載の濃縮組成物と、
b)水性構成成分と、の組み合わせを含み、
前記水性構成成分が、前記濃縮組成物の重量の約1~20倍の重量比で存在し、
前記水性構成成分が、少なくとも95%の水を含む、希釈スキンケア組成物。
【0107】
(11) 前記水性構成成分が、前記濃縮組成物中に存在する水の量の4~45倍の量で存在する、実施態様10に記載の希釈組成物。
(12) 希釈スキンケア製品を形成する方法であって、
a)濃縮組成物であって、
i)約30重量%~約60重量%の水、
ii)少なくとも2つの乳化剤:第1の乳化剤及び第2の乳化剤であって、前記少なくとも2つの乳化剤のそれぞれの重量パーセントが約0.05%~約7%である、少なくとも2つの乳化剤、並びに
iii)0.1重量%~約5重量%の増粘剤、を含み、
前記濃縮組成物が、エマルションである、濃縮組成物と、
b)水性構成成分と、を一緒に組み合わせる工程を含み、
組み合わされた前記濃縮組成物及び前記水性構成成分が、互いに混合されて、希釈スキンケア製品を形成する、方法。
(13) 前記水性構成成分が、前記濃縮組成物の重量の1~20倍の重量比で提供される、実施態様12に記載の方法。
(14) 希釈スキンケア製品の調製のための、実施態様1~8のいずれかに記載の濃縮組成物の使用。
(15) 皮膚の保湿のための、実施態様12に記載の方法に従って調製された希釈スキンケア製品の使用。
【国際調査報告】