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  • 特表-電気駆動モジュール 図1a
  • 特表-電気駆動モジュール 図1b
  • 特表-電気駆動モジュール 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】電気駆動モジュール
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/34 20120101AFI20240301BHJP
   B60K 17/12 20060101ALI20240301BHJP
   B60K 17/356 20060101ALN20240301BHJP
【FI】
F16H48/34
B60K17/12
B60K17/356 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557157
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022057784
(87)【国際公開番号】W WO2022200506
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2150342-0
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593118656
【氏名又は名称】ボルグワーナー スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン イザック
(72)【発明者】
【氏名】ブリンク テッド
(72)【発明者】
【氏名】ペルション トビアス
【テーマコード(参考)】
3D042
3D043
3J027
【Fターム(参考)】
3D042AA06
3D042AB17
3D042BE01
3D043AA06
3D043AB17
3D043EA05
3D043EA12
3D043EA42
3D043EB03
3D043EB07
3J027FA19
3J027FA36
3J027FB02
3J027HA01
3J027HA03
3J027HB07
3J027HB12
3J027HH04
(57)【要約】
2つの駆動軸(11、12)に出力トルクを与える差動装置(10)と、電気駆動モータ(30)と、電気トルクベクタリングモータ(50)と、ピニオン(20)とを含み、前記ピニオン(20)は、減速ギヤ(22)を介して前記差動装置(10)に駆動接続されている、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モータ(30)は、2つの前記駆動軸(11、12)と同軸に配置されている。前記電気トルクベクタリングモータ(50)は、軸外に配置されている。前記電気トルクベクタリングモータ(50)は、2つの前記駆動軸(11、12)と平行に、かつ間隔をおいて配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの駆動軸(11、12)に出力トルクを与える差動装置(10)と、電気駆動モータ(30)と、電気トルクベクタリングモータ(50)と、ピニオン(20)とを含み、前記ピニオン(20)は、減速ギヤ(22)を介して前記差動装置(10)に駆動接続されている、電気駆動モジュール。
【請求項2】
前記電気駆動モータ(30)は、2つの前記駆動軸(11、12)と同軸に配置されている、請求項1に記載の電気駆動モジュール。
【請求項3】
前記電気トルクベクタリングモータ(50)は、軸外に配置されている、請求項1又は2に記載の電気駆動モジュール。
【請求項4】
前記電気トルクベクタリングモータ(50)は、2つの前記駆動軸(11、12)と平行に、かつ間隔をおいて配置されている、請求項3に記載の電気駆動モジュール。
【請求項5】
前記電気駆動モータ(30)は、プラネタリーギヤセット(32)を介して前記差動装置に駆動接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気駆動モジュール。
【請求項6】
前記電気駆動モータ(30)と前記差動装置(10)との間に配置された切断装置(40)を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気駆動モジュール。
【請求項7】
前記電気トルクベクタリングモータ(50)は、ダブルプラネタリーギヤセット(60)を介して、前記駆動軸(11、12)のうちの一方及び前記差動装置(10)に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気駆動モジュール。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の電気駆動モジュールを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電気駆動モジュールに関する。特に、本発明は、電気駆動及び電気トルクベクタリングを可能にする車両用改良モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気駆動モジュールの需要が高まっている。市場での既存の製品を考慮すると、特にコンパクトな駆動モジュールの提供、また機能、性能、費用対効果の点で改良が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、独立請求項で規定された、改良電気駆動モジュールを提供することによって、既存のシステムの欠点を克服しようとする。好ましい実施形態は、従属請求項で規定される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含み、前記ピニオンは、減速ギヤを介して前記差動装置に駆動接続されている。
【0005】
第二の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含み、前記電気駆動モータは、2つの前記駆動軸と同軸に配置されている。
【0006】
第三の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含み、前記電気トルクベクタリングモータは、軸外に配置されている。
【0007】
第四の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含み、前記電気駆動モータは、プラネタリーギヤセットを介して前記差動装置に駆動接続されている。
【0008】
第五の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含み、前記電気駆動モータと前記差動装置との間に配置された切断装置を更に含む。
【0009】
第六の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含み、前記電気トルクベクタリングモータは、ダブルプラネタリーギヤセットを介して、前記駆動軸のうちの一方及び前記差動装置に接続されている。
【0010】
第七の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、上に挙げられた第一の態様、第二の態様、第三の態様、第四の態様、第五の態様又は第六の態様の特徴の任意の組み合わせを含む。したがって、第七の態様によれば、電気駆動モジュールが提供される。前記電気駆動モジュールは、2つの駆動軸に出力トルクを与える差動装置と、電気駆動モータと、電気トルクベクタリングモータと、ピニオンとを含む。前記ピニオンは、減速ギヤを介して前記差動装置に駆動接続され、及び/又は、前記電気駆動モータは、2つの前記駆動軸と同軸に配置され、及び/又は、前記電気トルクベクタリングモータは、軸外に配置され、及び/又は、前記電気駆動モータは、プラネタリーギヤセットを介して前記差動装置に駆動接続され、及び/又は、前記電気駆動モジュールは、前記電気駆動モータと前記差動装置との間に配置された切断装置を更に含み、及び/又は、前記電気トルクベクタリングモータは、ダブルプラネタリーギヤセットを介して、前記駆動軸のうちの一方及び前記差動装置に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下で、添付図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1a】一実施形態に係る車両の概略図である。
図1b】一実施形態に係る電気駆動モジュールの断面図である。
図2図1に示す電気駆動モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように、添付図面を参照して以下でより詳細に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になるように、及び本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、提供される。これらの実施形態は、本発明を限定するものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。更に、添付図面に示されている特定の実施形態の詳細な説明に使用されている専門用語は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0014】
まず、図1aには、車両100が概略的に示される。車両100には、左右の前輪102a~bに駆動トルクを与えるように構成された前車軸102と、左右の後輪104a~bに駆動トルクを与えるように構成された後車軸104とが設けられる。本明細書で更に説明しないが、前車軸102は、燃焼機関(図示せず)又は電気機械(図示せず)によって駆動されてもよい。
【0015】
以下に説明するように、後車軸104を作動させることにより、車両100の四輪駆動AWD又は後輪駆動RWDが提供される。以下に更に説明するように、後車軸104は、トルクベクタリングを提供することもできる。
【0016】
図示の例では、前車軸102又は後車軸104の少なくとも一方に電気駆動モジュール1が設けられる。更に、前車軸102は、推進軸106によって後車軸104に接続されるか、又は少なくとも接続可能である。
【0017】
図1bには、電気駆動モジュール1の断面図が示される。電気駆動モジュール1は、図1aに例示されるように、関連する車両の後車軸に配置されることが好ましいが、用途によっては、電気駆動モジュール1を車両の前車軸に配置することが望ましいことがある。
【0018】
電気駆動モジュール1は、純粋な機械駆動、純粋な電気駆動、又はハイブリッド駆動を可能にする。電気駆動モジュール1は、上述の駆動モードのいずれかに加えて、トルクベクタリングも可能にする。図1bに示すように、これらの駆動モードは全て、非常にコンパクトな構造によって利用可能である。
【0019】
次に、図2を参照して、電気駆動モジュール1の詳細を更に説明する。電気駆動モジュール1は、駆動トルクを左右の輪軸11、12に分配する従来の差動装置10を含む。図1aに示すように、左輪軸11は、車輪104a~bのうちの一方を駆動しており、右輪軸12は、車輪104a~bのうちの他方を駆動する。
【0020】
駆動トルクは、ピニオン20(機械駆動)、電気駆動モータ30(電気駆動)、又はその両方(ハイブリッド駆動)から提供される。ピニオン20は、例えば、推進軸106(図1aを参照)を介して内燃機関に接続されてもよい。
【0021】
ピニオン20は、差動装置入力に直接接続されていないが、ピニオン20と差動装置10との間に減速ギヤ22が配置されている。減速ギヤ22は、差動装置10に対してピニオン20を位置決めする際の柔軟性を可能にするとともに、差動装置入力、即ち、差動装置の冠歯車13の直径を大きくすることを可能にする。図示の例では、減速ギヤは、ピニオン20と噛合して入力トルクを受けるベベル入力ギヤ(bevelled input gear)22aと、差動装置の冠歯車13と噛合する円形の出力ギヤ22bとを有する。入力ギヤ22aと出力ギヤ22bとは、同心状に配置されている。
【0022】
電気駆動モータ30は、差動装置10の一側に右輪軸12と同軸に配置されており、プラネタリーギヤセット32、好ましくは、複合2段プラネタリーギヤセットは、電気モータ30と差動装置入力との間に配置されている。電気駆動モータ30は、プラネタリーギヤセット32のサンギヤ32aを駆動してもよい。プラネットキャリア32bは、リングギヤ32cが固定された状態で出力を形成する。
【0023】
電気駆動モータ30を駆動列から選択的に切断するために、差動装置入力とプラネットキャリアとの間に切断装置40が配置されている。このため、切断装置40の位置を制御するために、電気駆動モータ30が差動装置10と駆動接続されているか否かを制御するように構成された切断アクチュエータ42が設けられる。切断アクチュエータ42は、油圧アクチュエータ、電気機械アクチュエータなどであってもよい。切断装置40が接続モードにあるとき、電気駆動モータ30は、プラネタリーギヤセット32を介して差動装置入力を回転駆動する。
【0024】
トルクベクタリングは、軸外に配置され、即ち、電気駆動モジュール1の中心軸に対して変位する電気トルクベクタリングモータ50によって利用可能である。特に、中心軸は、左右の輪軸11、12に沿って延びており、左右の輪軸11、12と一致する仮想軸として見なされてもよい。図2に示すように、電気駆動モータ30及びトルクベクタリングモータ50は、中心軸と平行に配置されてもよい。
【0025】
電気トルクベクタリングモータ50は、減速ギヤ70を介して、差動装置10の、電気駆動モータ30とは反対側に配置されたダブルプラネタリーギヤセット60に接続されている。減速ギヤ70は、電気駆動モジュール1の少なくとも一部を横切って中心軸と平行に延びる軸72を含んでもよい。好ましくは、軸72は、ピニオン20を差動装置10に接続する減速ギヤ22を通って延びている。このため、減速ギヤ22、即ち、入力ギヤ22a及び出力ギヤ22bには、トルクベクタリングモータ50の作動時に軸72が回転することを可能にする中央通路が設けられる。
【0026】
軸72の端部には、中間ギヤ76と噛合するギヤ74が設けられており、中間ギヤ76は、ダブルプラネタリーギヤセット60のサンギヤ62aと噛合する。したがって、減速ギヤ70は、軸72、ギヤ74及び中間ギヤ76によって形成される。
【0027】
減速ギヤ70は、第一のプラネタリーギヤセット62のサンギヤ62aを駆動しており、第一のプラネタリーギヤセット62のプラネットキャリア62bは、左駆動軸11に接続されている。共通のリングギヤ62cは、第一のプラネタリーギヤセット62と第二のプラネタリーギヤセット64とを接続する。第二のプラネタリーギヤセット62は、固定されたサンギヤ64aを有し、第二のプラネタリーギヤセット64のプラネットキャリア64bは、差動装置入力13に接続される。
【0028】
トルクベクタリングモータ50が作動する場合、駆動軸11と差動装置入力13との接続により、駆動軸11、12の間のトルクのシャッフルが達成される。
【0029】
本発明の概念は、本明細書に記載の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの修正が実行可能であることに留意されたい。

図1a
図1b
図2
【国際調査報告】