(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】半導体デバイスのエピタキシャル構造及びその作製方法、半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/20 20060101AFI20240301BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20240301BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L29/80 H
H01L29/80 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557391
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2022081163
(87)【国際公開番号】W WO2022194199
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110296026.5
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515295706
【氏名又は名称】蘇州能訊高能半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】DYNAX SEMICONDUCTOR,INC.
【住所又は居所原語表記】No.18 Chenfeng Road,Yushan Town,Kunshan City,Jiangsu Province 215300,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 暉
(72)【発明者】
【氏名】李 仕強
【テーマコード(参考)】
5F102
5F152
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ06
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5F102GM04
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5F102HC01
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5F152NN03
5F152NN04
5F152NN05
5F152NN07
5F152NN08
5F152NN09
5F152NN13
5F152NP09
5F152NQ09
(57)【要約】
本発明の実施例は、半導体デバイスのエピタキシャル構造及びその作製方法、半導体デバイスを開示しており、当該半導体デバイスのエピタキシャル構造は、基板と、基板の一方側に位置するエピタキシャル層であって、エピタキシャル層には、第一サブエピタキシャル層群が少なくとも含まれ、第一サブエピタキシャル層群が、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層を含み、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第一転位ピットの側壁が、第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、第二サブエピタキシャル層によって、第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるエピタキシャル層とを含む。本発明の実施例では、第二サブエピタキシャル層における元々第一方向に沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピットにて延在方向が変わって、転位が曲がることになるため、第一方向に沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのエピタキシャル構造であって、
基板と、
前記基板の一方側に位置するエピタキシャル層であって、前記エピタキシャル層には、第一サブエピタキシャル層群が少なくとも含まれ、前記第一サブエピタキシャル層群が、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層を含み、前記第二サブエピタキシャル層が、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に位置し、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、前記第一転位ピットの側壁が、前記第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、前記第一方向が、前記第一サブエピタキシャル層から前記第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であり、前記第二サブエピタキシャル層によって、前記第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるエピタキシャル層とを含む、ことを特徴とする半導体デバイスのエピタキシャル構造。
【請求項2】
前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、前記第一サブエピタキシャル層の厚さはH1であり、
ここで、1/20H1≦h≦1/2H1である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項3】
5nm≦h≦60nmであり、H1>100nmである、ことを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャル構造。
【請求項4】
前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、前記第二サブエピタキシャル層の厚さはH2であり、
H2>hである、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項5】
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層の何れにも、AlN、GaN、AlGaN及びInGaNのうち、1つ又は複数が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項6】
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、腐食性ガスによる腐食で形成された複数の第一転位ピットが含まれ、前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、
前記腐食性ガスは、塩素ガスを含み、
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層の何れにも、GaNが含まれ、前記塩素ガスの通気時間はt1であり、ここで、1/3h≦t1≦hであるか、又は、
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層には、AlN及び/又はAlGaNが含まれ、前記塩素ガスの通気時間はt2であり、ここで、2/3h≦t2≦2hである、ことを特徴とする請求項5に記載のエピタキシャル構造。
【請求項7】
前記エピタキシャル層には、前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に位置する第二サブエピタキシャル層群が更に含まれ、
前記第二サブエピタキシャル層群は、前記第二サブエピタキシャル層と、前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に位置する第三サブエピタキシャル層とを含み、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、複数の第二転位ピットが含まれ、前記第二転位ピットの側壁は、前記第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び前記第一方向の両方と交差し、前記第三サブエピタキシャル層によって、前記第二転位ピットの側壁が少なくとも覆われる、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のエピタキシャル構造を作製するための半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法であって、
基板を用意することと、
前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することとを含み、
ここで、前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することは、
前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層を作製することと、
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第一転位ピットを複数形成することであって、第一転位ピットの側壁が前記第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、前記第一方向が、前記第一サブエピタキシャル層から前記第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であることと、
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に、前記第一転位ピットの側壁を少なくとも覆う第二サブエピタキシャル層を作製することとを含む、ことを特徴とする半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法。
【請求項9】
前記作製方法は、
前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することを更に含み、
ここで、前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することは、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第二転位ピットを複数形成することであって、その側壁が前記第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び前記第一方向の両方と交差することと、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に第三サブエピタキシャル層を作製し、第三サブエピタキシャル層は前記第二転位ピットの側壁を少なくとも覆い、前記第二サブエピタキシャル層群には、前記第二サブエピタキシャル層及び前記第三サブエピタキシャル層が含まれることとを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項10】
半導体デバイスであって、請求項1~7の何れか一項に記載のエピタキシャル構造を含み、前記エピタキシャル構造には、基板と、前記基板の一方側に順次に位置する核生成層、第一サブエピタキシャル層群、チャネル層、スペーサ層、障壁層及びキャップ層とが含まれ、
前記半導体デバイスは、
前記障壁層における前記基板から遠い側に位置するソース及びドレインと、
前記キャップ層における前記基板から遠い側に位置するゲートであって、前記ソースと前記ドレインとの間に位置するゲートとを更に含む、ことを特徴とする半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、半導体技術分野に関し、特に、半導体デバイスのエピタキシャル構造及びその作製方法、半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、GaNベースの光電デバイスとパワーデバイスの製造では、主にSiC、Si及びサファイアが下地として使用されている。GaNエピタキシャル層と下地には、熱的不整合及び格子不整合が存在するため、多くの転位が発生し、エピタキシャル成長中に引き起こされる熱的不整合応力及び格子不整合歪みにより、エピタキシャルウェーハが変形し、その結果、エピタキシャル層の均一性が低下し、エピタキシャル製品歩留まりが低下し、コストが高まる。
【0003】
GaN結晶品質を向上させる最も直接的な方法は、GaN同種基板を使用することであるが、GaN自身の物性の限界により、GaNバルク単結晶の成長は非常に困難であり、まだ実用化されていない。GaNの品質を最適化する他の方法として、プロセス条件の最適化によるものは一般的であるが、実際には、プロセスの最適化により、GaN結晶品質が向上されるものの、リークの問題があると分かっている。したがって、結晶品質を向上させる従来の方法は、別の問題に繋がることが多く、且つ結晶品質の向上度合には、限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、エピタキシャル均一性が良好であり、製品歩留まりが高くてコストが低いエピタキシャル構造を提供するために、半導体デバイスのエピタキシャル構造及びその作製方法、半導体デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一局面において、本発明の実施例は、半導体デバイスのエピタキシャル構造であって、
基板と、
前記基板の一方側に位置するエピタキシャル層であって、前記エピタキシャル層には、第一サブエピタキシャル層群が少なくとも含まれ、前記第一サブエピタキシャル層群が、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層を含み、前記第二サブエピタキシャル層が、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に位置し、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、前記第一転位ピットの側壁が、前記第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、前記第一方向が、前記第一サブエピタキシャル層から前記第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であり、前記第二サブエピタキシャル層によって、前記第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるエピタキシャル層とを含む、半導体デバイスのエピタキシャル構造を提供している。
【0006】
選択的に、前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、前記第一サブエピタキシャル層の厚さはH1であり、
ここで、1/20H1≦h≦1/2H1である。
【0007】
選択的に、5nm≦h≦60nmであり、H1>100nmである。
【0008】
選択的に、前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、前記第二サブエピタキシャル層の厚さはH2であり、
H2>hである。
【0009】
選択的に、前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層の何れにも、AlN、GaN、AlGaN及びInGaNのうち、1つ又は複数が含まれる。
【0010】
選択的に、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、腐食性ガスによる腐食で形成された複数の第一転位ピットが含まれ、前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、
前記腐食性ガスは、塩素ガスを含み、
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層の何れにも、GaNが含まれ、前記塩素ガスの通気時間はt1であり、ここで、1/3h≦t1≦hであるか、又は、
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層には、AlN及び/又はAlGaNが含まれ、前記塩素ガスの通気時間はt2であり、ここで、2/3h≦t2≦2hである。
【0011】
選択的に、前記エピタキシャル層には、前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に位置する第二サブエピタキシャル層群が更に含まれ、
前記第二サブエピタキシャル層群は、前記第二サブエピタキシャル層と、前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に位置する第三サブエピタキシャル層とを含み、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、複数の第二転位ピットが含まれ、前記第二転位ピットの側壁は、前記第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び前記第一方向の両方と交差し、前記第三サブエピタキシャル層によって、前記第二転位ピットの側壁が少なくとも覆われる。
【0012】
第二局面において、本発明の実施例は、第一局面に記載のエピタキシャル構造を作製するための半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法であって、
基板を用意することと、
前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することとを含み、
ここで、前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することは、
前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層を作製することと、
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第一転位ピットを複数形成することであって、その側壁が前記第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、前記第一方向が、前記第一サブエピタキシャル層から前記第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であることと、
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に、前記第一転位ピットの側壁を少なくとも覆う第二サブエピタキシャル層を作製することとを含む、半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法を提供している。
【0013】
選択的に、前記作製方法は、
前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することを更に含み、
ここで、前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することは、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第二転位ピットを複数形成することであって、第二転位ピットの側壁が前記第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び前記第一方向の両方と交差することと、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に第三サブエピタキシャル層を作製し、第三サブエピタキシャル層は前記第二転位ピットの側壁を少なくとも覆い、前記第二サブエピタキシャル層群には、前記第二サブエピタキシャル層及び前記第三サブエピタキシャル層が含まれるすることとを含む。
【0014】
第三局面において、本発明の実施例は、半導体デバイスであって、第一局面に記載のエピタキシャル構造を含み、前記エピタキシャル構造には、基板と、前記基板の一方側に順次に位置する核生成層、第一サブエピタキシャル層群、チャネル層、スペーサ層、障壁層及びキャップ層とが含まれ、
前記半導体デバイスは、
前記障壁層における前記基板から遠い側に位置するソース及びドレインと、
前記キャップ層における前記基板から遠い側に位置するゲートであって、前記ソースと前記ドレインとの間に位置するゲートとを更に含む、半導体デバイスを提供している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施例では、エピタキシャル層が、第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層によって構成された第一サブエピタキシャル層群を少なくとも含み、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第一転位ピットの側壁が、第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、且つ第二サブエピタキシャル層によって、第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるように設けることで、第二サブエピタキシャル層は、第一転位ピットの側壁に沿って成長し、第二サブエピタキシャル層における元々第一方向に沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピットにて延在方向が変わって、転位が曲がることになるため、第一方向に沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例又は先行技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は先行技術の説明に使用する必要のある図面を簡単に紹介するが、明らかなことに、以下で説明される図面は、本発明のいくつかの具体的な実施例であり、当業者であれば、本発明の様々な実施例により開示及び示唆されたデバイス構造、駆動方法及び製造方法の基本概念に従って、他の構造及び図面に拡張及び拡大可能であり、それらは、間違いなく本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【
図1】
図1は、本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造の構造模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例による別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の構造模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例による更に別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の構造模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施例において、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製するフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施例による別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法のフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施例において、第一サブエピタキシャル層群における基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製するフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施例による更に別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法のフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の実施例による半導体デバイスの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、実施形態を通じて本発明の技術案を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例により開示及び示唆された基本概念に基づいて、当業者によって得られた他の実施例は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0018】
GaNエピタキシャル層と下地には、熱的不整合及び格子不整合が存在するため、エピタキシャル層に多くの転位が発生し、且つ大部分の転位は、基板からエピタキシャル層に向かう方向に沿って上向きに延在し、その結果、エピタキシャル層の均一性が低下し、エピタキシャル製品歩留まりが低下し、コストが高まる。上記問題を解決するために、本発明の実施例は、半導体デバイスのエピタキシャル構造であって、基板と、基板の一方側に位置するエピタキシャル層であって、エピタキシャル層には、第一サブエピタキシャル層群が少なくとも含まれ、第一サブエピタキシャル層群は、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層を含み、第二サブエピタキシャル層が、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側に位置し、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第一転位ピットの側壁が、第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、第一方向が、第一サブエピタキシャル層から第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であり、第二サブエピタキシャル層によって、第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるエピタキシャル層とを含む、半導体デバイスのエピタキシャル構造を提供している。
【0019】
本発明の実施例では、エピタキシャル層が、第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層によって構成された第一サブエピタキシャル層群を少なくとも含み、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第一転位ピットの側壁が、第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、且つ第二サブエピタキシャル層によって、第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるように設けることで、第二サブエピタキシャル層は、第一転位ピットの側壁に沿って成長し、第二サブエピタキシャル層における元々第一方向に沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピットにて延在方向が変わって、転位が曲がることになるため、第一方向に沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。
【0020】
以上は、本発明の核心的な思想であり、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を詳述する。
【0021】
例示的に、
図1は、本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造の構造模式図であり、
図1に示すように、本実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造は、基板100と、基板の一方側に位置するエピタキシャル層200であって、エピタキシャル層200には、第一サブエピタキシャル層群220が少なくとも含まれ、第一サブエピタキシャル層群220が、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222を含み、第二サブエピタキシャル層222が、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側に位置し、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面には、複数の第一転位ピット201が含まれ、第一転位ピット201の側壁が、第一サブエピタキシャル層221の所在する平面及び第一方向Yの両方と交差し、第一方向Yが、第一サブエピタキシャル層221から第二サブエピタキシャル層222に向かう方向と平行であり、第二サブエピタキシャル層222によって、第一転位ピット201の側壁が少なくとも覆われるエピタキシャル層200とを含む。
【0022】
具体的に、
図1を参照して、本実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造は、基板100及びエピタキシャル層200を含む。例示的に、基板100は、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム、窒化アルミニウムインジウムガリウム、リン化インジウム、ヒ化ガリウム、炭化ケイ素、ダイヤモンド、サファイア、ゲルマニウム、ケイ素のうち、1つ又は複数による組み合わせ、若しくは、III族窒化物を成長させることができる如何なる他の材料であってもよい。エピタキシャル層200は、III-V族化合物系の半導体材料を含んでもよい。エピタキシャル層200は、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222によって構成された第一サブエピタキシャル層群220を少なくとも含む。ドライエッチング又はウェットエッチング等により、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面の転位を、転位ピットになるように腐食して、複数の第一転位ピット201を含む第一サブエピタキシャル層221を形成することが可能である。第一サブエピタキシャル層221から第二サブエピタキシャル層222に向かう方向と平行な方向を第一方向Yとして、第一サブエピタキシャル層221の所在する平面と平行な方向をX方向として定義すると、第一転位ピット201の側壁は、X方向及び第一方向Yの両方と交差する。
【0023】
第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面には、多くの転位が存在し、腐食の際、第一サブエピタキシャル層221の表面の転位の所在する位置が優先的にエッチングされて、転位が転位ピットになるように腐食され、
図1に示すように、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201は、その幅が徐々に増大し、即ち上部が広くて下部が狭い逆三角形状をなす。説明すべきなのは、
図1では、第一転位ピット201が正三角形である例を説明したが、実際のプロセスにより形成された第一転位ピット201の形状は、他の不規則な逆三角形であってもよい。
【0024】
複数の第一転位ピット201を含む第一サブエピタキシャル層221上に引き続き第二サブエピタキシャル層222を成長させる際、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201が逆三角形をなすため、第二サブエピタキシャル層222は、第一転位ピット201の側壁に沿って成長することになり、第二サブエピタキシャル層222における元々第一方向Yに沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピット201にて延在方向が変わって転位が曲がり、左向き又は右向きに延在するようになり、左向きに延在する転位と右向きに延在する転位とは、繋ぎ合って類似な半円環を形成するため、転位が消滅し、その結果、第一方向Yに沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。
【0025】
説明すべきなのは、本発明の実施例は、転位ピットの形成方式を限定せず、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に複数の第一転位ピットを形成し、且つ第二サブエピタキシャル層を第一転位ピットの側壁に沿って成長させ、転位を曲げて、第二サブエピタキシャル層における大部分の転位の延在方向を変えることができる如何なる転位ピットの形成方式は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0026】
また、第二サブエピタキシャル層222は、少なくとも第一転位ピット201の側壁を覆う必要がある。即ち、第二サブエピタキシャル層222を第一転位ピット201の側壁に沿って成長させ、転位の延在方向を変えるために、第二サブエピタキシャル層222によって、第一転位ピット201の側壁のみが覆われてもよい。又は、
図1を参照して、後続の膜層の成長を容易にし、結晶品質を更に向上させるために、第二サブエピタキシャル層222によって、第一転位ピット201が平らになるように充填されてもよい。
【0027】
本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造は、エピタキシャル層が、第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層によって構成された第一サブエピタキシャル層群を少なくとも含み、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第一転位ピットの側壁が、第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、且つ第二サブエピタキシャル層によって、第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるように設けることで、第二サブエピタキシャル層は、第一転位ピットの側壁に沿って成長し、第二サブエピタキシャル層における元々第一方向に沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピットにて延在方向が変わって、転位が曲がることになるため、第一方向に沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。
【0028】
選択的に、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201の深さはhであり、第一サブエピタキシャル層221の厚さはH1であり、ここで、1/20H1≦h≦1/2H1である。
【0029】
図1を参照して、第二サブエピタキシャル層222における転位が第一転位ピット201にて曲げられ、第一方向Yに沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層200の均一性が高められ、結晶品質が顕著に向上されるように、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201の深さhと、第一サブエピタキシャル層221の厚さH1とは、1/20H1≦h≦1/2H1を満たす必要がある。
【0030】
さらに、5nm≦h≦60nmであり、H1>100nmである。
【0031】
上記実施例に加え、第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhが5nm≦h≦60nmを満たす場合、結晶品質の良好なエピタキシャル層200を獲得できる。第一転位ピット201が浅すぎると、即ちh<5nmであると、殆どの転位が曲がる前に横方向エピタキシャル成長が既に完了してしまうため、転位密度が著しく改善されない一方で、第一転位ピット201が深すぎると、即ちh>60nmであると、後続のエピタキシャルによって、第一転位ピット201が平らになるように充填されることが困難になるため、最終的に、エピタキシャル層200の表面が非常に悪くなってしまう。通常は、エピタキシャル層200の厚さが厚いほど、結晶品質が良好となり、第一方向Yに沿った第一サブエピタキシャル層221の厚さH1を、H1>100nmを満たすように設定することで、結晶品質を更に向上させることができる。
【0032】
選択的に、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201の深さはhであり、第二サブエピタキシャル層222の厚さはH2であり、H2>hである。
【0033】
図1に示すように、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201の深さhと、第二サブエピタキシャル層222の厚さH2とは、H2>hを満たす。本発明の実施例は、第二サブエピタキシャル層222の厚さH2を第一転位ピット201の深さhよりも大きく設定することで、第二サブエピタキシャル層222の成長時に、第一転位ピット201が平らになるように充填され、比較的平坦な表面が獲得され、後続の膜層の成長が容易になり、エピタキシャル層200の品質を向上させることができる。
【0034】
選択的に、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れにも、AlN、GaN、AlGaN及びInGaNのうち、1つ又は複数が含まれる。
【0035】
本発明の実施例では、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222は、結晶品質を更に向上させるために、同じ材料を用いるように設定されてもよいし、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222は、異なる材料を用いるように設定されてもよく、当業者は、実際の状況に応じて設定可能であり、本発明の実施例は、これについて限定しない。例示的に、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の材料としては、AlN、GaN、AlGaN及びInGaNのうち、1つ又は複数による組み合わせであってもよく、他の実施例において、他の一般的なエピタキシャル層材料であってもよい。
【0036】
図1を参照して、さらに、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面には、腐食性ガスによる腐食で形成された複数の第一転位ピット201が含まれ、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201の深さはhであり、腐食性ガスは、塩素ガスを含み、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れにも、GaNが含まれ、塩素ガスの通気時間はt1であり、ここで、1/3h≦t1≦hであるか、又は、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222には、AlN及び/又はAlGaNが含まれ、塩素ガスの通気時間はt2であり、ここで、2/3h≦t2≦2hである。
【0037】
本発明の実施例では、腐食性ガスを通気する方式により、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面に第一転位ピット201を複数形成し、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の材料、腐食性ガスのタイプの設定、及び、当該腐食性ガスの通気時間の制御により、第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhを調整することができるため、転位が曲げられ、第一方向Yに沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層200の均一性が高められ、結晶品質が向上される。
【0038】
例示的に、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れにも、GaNが含まれるとともに、腐食性ガスとして塩素ガスを用いて第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面に複数の第一転位ピット201を腐食により形成する場合、塩素ガスの通気時間t1と、第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとは、1/3h≦t1≦hを満たす。ここで、t1の単位は秒であり、hの単位はナノメートルであるが、説明すべきなのは、1/3h≦t1≦hの関係式において、t1とhとは、数値上の関係に過ぎず、無次元の関係となる。
【0039】
引き続き
図1を参照して、例示的に、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れにも、AlN及びAlGaNのうち、何れか1つ又は2つによる組み合わせが含まれるとともに、腐食性ガスとして塩素ガスを用いて第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面に複数の第一転位ピット201を腐食により形成する場合、塩素ガスの通気時間t2と、第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとは、2/3h≦t2≦2hを満たす。ここで、t2の単位は秒であり、hの単位はナノメートルであるが、2/3h≦t1≦2hの関係式において、t2とhとは、数値上の関係に過ぎず、無次元の関係となる。
【0040】
説明すべきなのは、以上の実施例は、腐食性ガスが塩素ガスであり、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222にGaNが含まれるか、若しくはAlN及び/又はAlGaNが含まれる例を挙げて、腐食性ガスの通気時間と、第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとの間の数値関係を説明したものに過ぎず、限定的なものではなく、腐食性ガスは、例えば塩化水素等の他のガスであってもよく、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222は、他の一般的なエピタキシャル材料であってもよい。腐食性ガスのタイプと、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の材料とは、何れも腐食性ガスの通気時間と第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとの間の数値関係に影響を与え、腐食性ガス及び/又はエピタキシャル層の材料が異なると、腐食性ガスの通気時間と第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとの間の数値関係も異なり、当業者は、実際の実験統計及び分析に従って、具体的な数値関係を確定することが可能であり、本発明の実施例は、腐食性ガスのタイプ、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の材料、並びに、腐食性ガスの通気時間と第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとの間の数値関係について限定しない。
【0041】
本発明の実施例は、エピタキシャル成長中に腐食性ガスを通気する方式により、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に複数の第一転位ピットを腐食性ガスによる腐食で形成し、全過程がシステム内で行われ、システムから取り出す必要がないため、より多くの汚染物及び欠陥が取り込まれず、製品の清浄度が保証され、プロセス及び成長過程が簡素化される。
【0042】
図2は、本発明の実施例による別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の構造模式図であり、
図2に示すように、選択的に、エピタキシャル層200には、第一サブエピタキシャル層群220における基板100から遠い側に位置する第二サブエピタキシャル層群230が更に含まれてもよく、第二サブエピタキシャル層群230は、第二サブエピタキシャル層222及び第三サブエピタキシャル層223を含み、第三サブエピタキシャル層223は、第二サブエピタキシャル層222における基板100から遠い側に位置し、第二サブエピタキシャル層222における基板100から遠い側の表面には、複数の第二転位ピット202が含まれ、第二転位ピット202の側壁は、第二サブエピタキシャル層222の所在する平面及び第一方向Yの両方と交差し、第三サブエピタキシャル層223によって、第二転位ピット202の側壁が少なくとも覆われる。
【0043】
例示的に、
図2を参照して、エピタキシャル層200には、第二サブエピタキシャル層群230が更に含まれてもよく、第二サブエピタキシャル層群230は、積層して設けられた第二サブエピタキシャル層222及び第三サブエピタキシャル層223を含む。エピタキシャル成長中に、腐食性ガスの通気等により、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面の転位を、転位ピットになるように腐食して、複数の第一転位ピット201を含む第一サブエピタキシャル層221を形成することが可能である。第二サブエピタキシャル層222を引き続き成長させると、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201が逆三角形をなすため、第二サブエピタキシャル層222は、第一転位ピット201の側壁に沿って成長することになり、第二サブエピタキシャル層222における元々第一方向Yに沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピット201にて延在方向が変わって転位が曲がり、左向き又は右向きに延在するようになり、左向きに延在する転位と右向きに延在する転位とは、繋ぎ合って類似な半円環を形成するため、転位が消滅し、その結果、第一方向Yに沿って上向きに延在する大部分の転位が減少される。第二サブエピタキシャル層222によって第一転位ピット201が充填され、比較的平坦な表面が形成された後、腐食性ガスの通気等により、第二サブエピタキシャル層222における基板100から遠い側の表面の転位を、転位ピットになるように腐食して、複数の第二転位ピット202を含む第二サブエピタキシャル層222を形成し、その後、第三サブエピタキシャル層223を引き続き成長させることが可能である。第一方向Yに沿って、第二転位ピット202が逆三角形をなすため、第三サブエピタキシャル層223は、同様に第二転位ピット202の側壁に沿って成長することになり、第三サブエピタキシャル層223における元々第一方向Yに沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第二転位ピット202にて延在方向が変わって曲がり、左右の両側に延在するようになるため、転位が消滅し、その結果、第一方向Yに沿って上向きに延在する大部分の転位が更に減少される。第一サブエピタキシャル層群220及び第二サブエピタキシャル層群230で構成された2つの遮断バリアにより、二重遮断が形成され、第一方向Yに沿って上向きに延在する大量の転位が大幅に減少され、その結果、結晶品質及び製品歩留まりが顕著に向上され、コストが低減される。
【0044】
さらに、第三サブエピタキシャル層223によて、第二転位ピット202の側壁が少なくとも覆われる。即ち、第三サブエピタキシャル層223を第二転位ピット202の側壁に沿って成長させ、転位の延在方向を変えるために、第三サブエピタキシャル層223によって、第二転位ピット202の側壁のみが覆われるか、又は、
図2を参照して、後続の膜層の成長を容易にし、結晶品質を更に向上させるために、第三サブエピタキシャル層223によって、第二転位ピット202が平らになるように充填される。
【0045】
説明すべきなのは、本実施例は、エピタキシャル層200に第一サブエピタキシャル層群220及び第二サブエピタキシャル層群230が含まれる例を説明したものに過ぎず、限定的なものではない。第一方向Yに沿って、エピタキシャル層200には、順次に設けられた第三サブエピタキシャル層群、第四サブエピタキシャル層群、第五サブエピタキシャル層群等が更に含まれてもよく、第三サブエピタキシャル層群を例にすると、第三サブエピタキシャル層群は、第二サブエピタキシャル層群230における基板100から遠い側に位置し、第三サブエピタキシャル層群は、積層して設けられた第三サブエピタキシャル層223及び第四サブエピタキシャル層を含み、第三サブエピタキシャル層223における基板100から遠い側の表面には、複数の第三転位ピットが含まれ、第三転位ピットの側壁は、第三サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、第四サブエピタキシャル層によって、第三転位ピットの側壁が少なくとも覆われる。このように、第一方向Yに沿って、多重バリアが形成され、各々のバリアによる遮断を通じて、第一方向Yに沿って上向きに延在する大量の転位を大幅に減少可能であり、その結果、結晶品質及び製品歩留まりが顕著に向上され、コストが低減される。また、第一方向Yに沿って、エピタキシャル層200における何れの転位ピットについても、その深さhと、当該転位ピットの所在する膜層の厚さH1とは、1/20H1≦h≦1/2H1を満たし、且つ好ましくは5nm≦h≦60nmであり、H1>100nmであり、当該転位ピットの所在する膜層における基板100から遠い側の膜層の厚さH2については、何れもH2>hを満たす。そして、本発明の任意の実施例に記載の腐食により形成された転位ピットの形状、膜層の材料、通気される腐食性ガスと転位ピットの深さとの数値関係は、何れも本実施例に適用可能である。
【0046】
図3は、本発明の実施例による更に別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の構造模式図であり、
図3に示すように、上記実施例に加え、エピタキシャル層200は、第一サブエピタキシャル層221における基板100に近い側に位置する核生成層210と、第二サブエピタキシャル層222における基板100から遠い側に位置するチャネル層240と、チャネル層240における基板100から遠い側に位置するスペーサ層250と、スペーサ層250における基板100から遠い側に位置する障壁層260であって、チャネル層240とヘテロ接合構造を形成する障壁層260と、障壁層260における基板100から遠い側に位置するキャップ層270とを更に含む。
【0047】
図3を参照して、第一方向Yに沿って、エピタキシャル層200には、順次に積層して設けられた核生成層210、第一サブエピタキシャル層221、第二サブエピタキシャル層222、チャネル層240、スペーサ層250、障壁層260及びキャップ層270が含まれる。
【0048】
核生成層210は、エピタキシャル層200における核生成層210の上方に位置する他の膜層の結晶品質、表面形態及び電気的特性等のパラメータに影響を与え、核生成層210は、主に、基板100の材料及びエピタキシャル層200のヘテロ接合構造における半導体材料層を整合させるように機能する。
【0049】
第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面には、複数の第一転位ピット201が含まれ、第二サブエピタキシャル層222は、第一転位ピット201の側壁に沿って成長し、第二サブエピタキシャル層222における元々第一方向Yに沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピット201にて延在方向が変わって転位が曲がるため、第一方向Yに沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、その結果、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。ここで、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れも、AlN、GaN、AlGaN及びInGaN等の一般的なエピタキシャル層のうち、1つ又は複数による組み合わせであってもよい。
【0050】
チャネル層240は、GaNチャネル層であってもよく、チャネル層240は、2次元電子ガスチャネルにおける界面品質を改善して、より良好な2次元電子ガス濃度及び移動度を獲得するためのものである。
【0051】
スペーサ層250は、AlNスペーサ層であってもよく、スペーサ層250は、障壁を高くして、2次元電子ガスの閉じ込め性を高めるとともに、合金の散乱を減らして、移動度を向上させることができる。
【0052】
障壁層260は、AlGaN障壁層であってもよく、障壁層260は、チャネル層240とともにヘテロ接合構造を形成することで、チャネル層240は、2次元電子ガスの運動用のチャネルを提供可能となる。
【0053】
キャップ層270の主な役割としては、表面準位を減らし、後続の半導体デバイスの表面リークを減らして、電流コラプスを抑制することで、エピタキシャル構造及び半導体デバイスの性能及び信頼性を向上させることである。選択的に、キャップ層270の材料は、III族窒化物であり、好ましくはP型ドープ窒化ガリウム(P-GaN)であり、P-GaN構造は、AlGaN層の障壁高さを効果的に低減することができる。
【0054】
同様の発明構想に基づいて、本発明の実施例は、本発明の任意の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造を作製可能な半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法を更に提供している。
図4は、本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法のフローチャートであり、
図5は、本発明の実施例において、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製するフローチャートであり、
図4及び
図5に示すように、当該作製方法は、以下のステップS100~S200を含む。
【0055】
S100は、基板を用意することである。
【0056】
基板の作製方法及び材料は、限定されない。例示的に、基板の作製方法は、常圧化学気相成長法、準常圧化学気相成長法、金属有機化合物化学気相成長法、低圧化学気相成長法、高密度プラズマ化学気相成長法、超高真空化学気相成長法、プラズマ強化化学気相成長法、触媒化学気相成長法、ハイブリッド物理化学気相成長法、急速熱化学気相成長法、気相エピタキシー法、パルスレーザー堆積法、イオン層エピタキシー法、分子線エピタキシー法、スパッタ法又は蒸発法であってもよい。基板の材料は、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム、窒化アルミニウムインジウムガリウム、リン化インジウム、ヒ化ガリウム、炭化ケイ素、ダイヤモンド、サファイア、ゲルマニウム、ケイ素のうち、1つ又は複数による組み合わせ、又はIII族窒化物を成長させることができる如何なる他の材料であってもよい。
S200は、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することである。
【0057】
ここで、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することは、以下のステップS210~S230を含む。
S210は、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層を作製することである。
S220は、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に第一転位ピットを複数形成することであって、第一転位ピットの側壁が第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、第一方向が、第一サブエピタキシャル層から第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であることである。
エピタキシャル成長中に、MOCVD(有機金属化学気相成長)システム内へ塩素ガス等の腐食性ガスを通気する等の方式により、インサイチュ(insitu)腐食を行うことが可能であり、通常、腐食により、エピタキシーにおける転位が転位ピットになるように腐食されるため、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に複数の第一転位ピットが形成される。
S230は、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側に、第一転位ピットの側壁を少なくとも覆う第二サブエピタキシャル層を作製することである。
【0058】
次のエピタキシャル成長の際、第二サブエピタキシャル層は、転位ピットの側壁に沿って成長し始め、横方向エピタキシーが発生し、横方向エピタキシー中に転位が曲がるため、第一方向に沿って上向きに延在する大部分の転位を減少し、結晶品質を向上させる役割が果たされる。
【0059】
本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法は、エピタキシャル層が、第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層によって構成された第一サブエピタキシャル層群を少なくとも含み、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第一転位ピットの側壁が、第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、且つ第二サブエピタキシャル層によって、第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるように設けることで、第二サブエピタキシャル層は、第一転位ピットの側壁に沿って成長し、第二サブエピタキシャル層における元々第一方向に沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第一転位ピットにて延在方向が変わって、転位が曲がることになるため、第一方向に沿って上向きに延在する大部分の転位が減少され、エピタキシャル層の均一性が高められ、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、コストが低減される。
【0060】
図6は、本発明の実施例による別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法のフローチャートであり、
図7は、本発明の実施例において、第一サブエピタキシャル層群における基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製するフローチャートであり、
図6及び
図7を参照して、選択的に、上記作製方法は、ステップS300を更に含む。
【0061】
S300は、第一サブエピタキシャル層群における基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することである。
【0062】
ここで、第一サブエピタキシャル層群における基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することは、以下のステップS310~S320を含む。
S310は、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に第二転位ピットを複数形成することであって、その側壁が第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差する。
第二サブエピタキシャル層によって第一転位ピットが充填され、比較的平坦な表面が形成された後、再び腐食性ガスを通気する方式により、インサイチュ腐食を再度行い、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面の転位を、転位ピットになるように腐食して、複数の第二転位ピットを含む第二サブエピタキシャル層を形成し、その後、第三サブエピタキシャル層を引き続き成長させることが可能である。
S320は、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側に第三サブエピタキシャル層を作製し、第三サブエピタキシャル層は第二転位ピットの側壁を少なくとも覆い、第二サブエピタキシャル層群には、第二サブエピタキシャル層及び第三サブエピタキシャル層が含まれる。
【0063】
第一方向に沿って、第二転位ピットが逆三角形をなすため、第三サブエピタキシャル層は、第二転位ピットの側壁に沿って成長し始め、第三サブエピタキシャル層における元々第一方向に沿って上向きに延在していた大部分の転位は、第二転位ピットにて延在方向が変わって曲がり、左向き又は右向きに延在するようになるため、転位が消滅し、その結果、第一方向に沿って上向きに延在する大量の転位が更に減少される。
【0064】
本実施例は、2回のインサイチュ腐食の例を説明したが、エピタキシャル層の腐食は、1回又は複数回行われてもよい。例えば、第一サブエピタキシャル層を腐食した後、第二サブエピタキシャル層を成長させ、その後、第二サブエピタキシャル層の一方側の表面を腐食し、次に、第三サブエピタキシャル層を成長させ、第三サブエピタキシャル層の一方側の表面を腐食した後、第四サブエピタキシャル層を成長させるといったように、1回又は複数回繰り返すと、多重遮断が形成され、第一方向に沿って上向きに延在する大量の転位が大幅に減少され、結晶品質及び製品歩留まりが顕著に向上される。
【0065】
本実施例において、エピタキシャル層は、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層、第二サブエピタキシャル層及び第三サブエピタキシャル層を含み、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、第二サブエピタキシャル層は、第一転位ピットの側壁に沿って成長し、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面には、複数の第二転位ピットが含まれ、第三サブエピタキシャル層は、第二転位ピットの側壁に沿って成長する。これにより、エピタキシャル層における第一方向に沿って上向きに延在していた転位の方向が変えられ、転位が曲げられ、第一サブエピタキシャル層群及び第二サブエピタキシャル層群により、2つの遮断バリアが構成され、二重遮断が形成され、第一方向に沿って上向きに延在する大量の転位を大幅に減少可能であり、その結果、結晶品質及び製品歩留まりが顕著に向上され、コストが低減される。
【0066】
図8は、本発明の実施例による更に別の半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法のフローチャートであり、
図8を参照して、上記実施例に加え、当該作製方法は、以下のステップS110~S700を更に含んでもよい。
S110は、基板の一方側に核生成層を作製することである。
S200は、核生成層における基板から遠い側に第一サブエピタキシャル層群を作製することである。
S300は、第一サブエピタキシャル層群における基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することである。
S400は、第二サブエピタキシャル層群における基板から遠い側にチャネル層を作製することである。
S500は、チャネル層における基板から遠い側にスペーサ層を作製することである。
S600は、スペーサ層における基板から遠い側に、チャネル層とヘテロ接合構造を形成する障壁層を作製することである。
S700は、障壁層における基板から遠い側にキャップ層を作製することである。
【0067】
本発明の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法は、核生成層により、基板の材料及びエピタキシャル層のヘテロ接合構造における半導体材料層が整合され、第一サブエピタキシャル層群及び第二サブエピタキシャル層群により、エピタキシーにおける転位の延在方向が変えられ、転位が曲げられ、第一方向に沿って上向きに延在する大量の転位が減少され、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、チャネル層により、2次元電子ガスチャネルにおける界面品質が改善され、より良好な2次元電子ガス濃度及び移動度が獲得され、スペーサ層により、障壁が高くされ、2次元電子ガスの閉じ込め性が高められるとともに、合金の散乱が減らされ、移動度が向上され、障壁層により、チャネル層とともにヘテロ接合構造が形成され、2次元電子ガスの運動用のチャネルが形成され、キャップ層により、表面準位が減らされ、後続の半導体デバイスの表面リークが減らされ、電流コラプスが抑制され、その結果、エピタキシャル構造及び半導体デバイスの性能及び信頼性が向上させる。
【0068】
同じ発明構想に基づいて、本発明の実施例は、本発明の任意の実施例による半導体デバイスのエピタキシャル構造を含む半導体デバイスを更に提供している。
図9は、本発明の実施例による半導体デバイスの構造模式図であり、
図9に示すように、当該半導体デバイスのエピタキシャル構造には、基板100と、基板100の一方側に順次に位置する核生成層210、第一サブエピタキシャル層群220、チャネル層240、スペーサ層250、障壁層260及びキャップ層270とが含まれ、半導体デバイスは、障壁層260における基板100から遠い側に位置するソース300及びドレイン400と、キャップ層270における基板100から遠い側に位置するゲート500であって、ソース300とドレイン400との間に位置するゲート500とを更に含む。
【0069】
例示的に、ソース300及びドレイン400は、障壁層260における基板100から遠い側に位置し、ソース300及びドレイン400は、それぞれ障壁層260とオーミック接触を形成する。ゲート500は、ソース300とドレイン400との間に位置するとともに、キャップ層270における基板100から遠い側に位置し、ゲート500は、キャップ層270と形成ショットキー接触を形成する。
【0070】
本発明の実施例による半導体デバイスは、高圧大電流環境で動作するハイパワーの窒化ガリウムの高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor、HEMTと略す)、絶縁基板上のケイ素(Silicon-On-Insulator、SOIと略す)構造のトランジスタ、ヒ化ガリウム(GaAs)ベースのトランジスタ及び金属酸化層半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFETと略す)、金属絶縁層半導体電界効果トランジスタ(Metal-Semiconductor Field-Effect Transistor、MISFETと略す)、ダブルヘテロ接合電界効果トランジスタ(Double Heterojunction Field-Effect Transistor、DHFETと略す)、接合型電界効果トランジスタ(Junction Field-Effect Transistor、JFETと略す)、金属半導体電界効果トランジスタ(Metal-Semiconductor Field-Effect Transistor、MESFETと略す)、金属絶縁層半導体ヘテロ接合電界効果トランジスタ(Metal-Semiconductor Heterojunction Field-Effect Transistor、MISHFETと略す)又は他の電界効果トランジスタを含むが、これらに限定されない。
【0071】
本発明の実施例による半導体デバイスは、第一サブエピタキシャル層群により、エピタキシーにおける転位の延在方向が変えられ、転位が曲げられ、第一方向に沿って上向きに延在する大量の転位が減少され、結晶品質及び製品歩留まりが向上され、核生成層により、基板の材料及びエピタキシャル層のヘテロ接合構造における半導体材料層が整合され、チャネル層により、2次元電子ガスチャネルにおける界面品質が改善され、より良好な2次元電子ガス濃度及び移動度が獲得され、スペーサ層により、障壁が高くされ、2次元電子ガスの閉じ込め性が高められるとともに、合金の散乱が減らされ、移動度が向上され、障壁層により、チャネル層とともにヘテロ接合構造が形成され、2次元電子ガスの運動用のチャネルが形成され、キャップ層により、表面準位が減らされ、後続の半導体デバイスの表面リークが減らされ、電流コラプスが抑制され、その結果、エピタキシャル構造及び半導体デバイスの性能及び信頼性が向上される。
【0072】
なお、上述したのは、本発明の好ましい実施例及び運用される技術原理に過ぎない。当業者であれば理解されるように、本発明は、ここで述べた特定の実施例に限定されず、当業者にとって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、様々な明らかな変化、再調整、相互の組み合わせ及び代替を行うことが可能である。したがって、以上の実施例によって本発明を比較的詳しく説明したが、本発明は、以上の実施例に限定されず、本発明の構想から逸脱することなく、より多くの他の等価実施例を更に含むことが可能であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのエピタキシャル構造であって、
基板と、
前記基板の一方側に位置するエピタキシャル層であって、前記エピタキシャル層には、第一サブエピタキシャル層群が少なくとも含まれ、前記第一サブエピタキシャル層群が、積層して設けられた第一サブエピタキシャル層及び第二サブエピタキシャル層を含み、前記第二サブエピタキシャル層が、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に位置し、前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、複数の第一転位ピットが含まれ、前記第一転位ピットの側壁が、前記第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、前記第一方向が、前記第一サブエピタキシャル層から前記第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であり、前記第二サブエピタキシャル層によって、前記第一転位ピットの側壁が少なくとも覆われるエピタキシャル層とを含む、ことを特徴とする半導体デバイスのエピタキシャル構造。
【請求項2】
前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、前記第一サブエピタキシャル層の厚さはH1であり、
ここで、1/20H1≦h≦1/2H1である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項3】
5nm≦h≦60nmであり、H1>100nmである、ことを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャル構造。
【請求項4】
前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、前記第二サブエピタキシャル層の厚さはH2であり、
H2>hである、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項5】
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層の何れにも、AlN、GaN、AlGaN及びInGaNのうち、1つ又は複数が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項6】
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、腐食性ガスによる腐食で形成された複数の第一転位ピットが含まれ、前記第一方向に沿って、前記第一転位ピットの深さはhであり、
前記腐食性ガスは、塩素ガスを含み、
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層の何れにも、GaNが含まれ、前記塩素ガスの通気時間はt1であり、ここで、1/3h≦t1≦hであるか、又は、
前記第一サブエピタキシャル層及び前記第二サブエピタキシャル層には、AlN及び/又はAlGaNが含まれ、前記塩素ガスの通気時間はt2であり、ここで、2/3h≦t2≦2hである、ことを特徴とする請求項5に記載のエピタキシャル構造。
【請求項7】
前記エピタキシャル層には、前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に位置する第二サブエピタキシャル層群が更に含まれ、
前記第二サブエピタキシャル層群は、前記第二サブエピタキシャル層と、前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に位置する第三サブエピタキシャル層とを含み、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面には、複数の第二転位ピットが含まれ、前記第二転位ピットの側壁は、前記第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び前記第一方向の両方と交差し、前記第三サブエピタキシャル層によって、前記第二転位ピットの側壁が少なくとも覆われる、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のエピタキシャル構造を作製するための半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法であって、
基板を用意することと、
前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することとを含み、
ここで、前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することは、
前記基板の一方側に第一サブエピタキシャル層を作製することと、
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に複数第一転位ピットを形成することであって、第一転位ピットの側壁が前記第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、前記第一方向が、前記第一サブエピタキシャル層から前記第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行であることと、
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に、前記第一転位ピットの側壁を少なくとも覆う第二サブエピタキシャル層を作製することとを含む、ことを特徴とする半導体デバイスのエピタキシャル構造の作製方法。
【請求項9】
前記作製方法は、
前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することを更に含み、
ここで、前記第一サブエピタキシャル層群における前記基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することは、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第二転位ピットを複数形成することであって、第二転位ピットの側壁が前記第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び前記第一方向の両方と交差することと、
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側に、前記第二転位ピットの側壁を少なくとも覆う第三サブエピタキシャル層であって、前記第二サブエピタキシャル層群には、前記第二サブエピタキシャル層及び前記第三サブエピタキシャル層が含まれる第三サブエピタキシャル層を作製することとを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項10】
前記第一サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第一転位ピットを複数形成することは、
キャビティ内の水素ガスを完全に排気し、該水素ガスが完全に排気されてから腐食性ガスを通気させて、複数の第一転位ピットを形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の作製方法。
【請求項11】
前記第二サブエピタキシャル層における前記基板から遠い側の表面に第二転位ピットを複数形成することは、
キャビティ内の水素ガスを完全に排気し、該水素ガスが完全に排気されてから腐食性ガスを通気させて、複数の第二転位ピットを形成する、ことを特徴とする請求項9に記載の作製方法。
【請求項12】
半導体デバイスであって、請求項1~7の何れか一項に記載のエピタキシャル構造を含み、前記エピタキシャル構造には、基板と、前記基板の一方側に順次に位置する核生成層、第一サブエピタキシャル層群、チャネル層、スペーサ層、障壁層及びキャップ層とが含まれ、
前記半導体デバイスは、
前記障壁層における前記基板から遠い側に位置するソース及びドレインと、
前記キャップ層における前記基板から遠い側に位置するゲートであって、前記ソースと前記ドレインとの間に位置するゲートとを更に含む、ことを特徴とする半導体デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図1を参照して、さらに、第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面には、腐食性ガスによる腐食で形成された複数の第一転位ピット201が含まれ、第一方向Yに沿って、第一転位ピット201の深さはhであり、
腐食性ガスを利用して転位ピットを形成することは、第一サブエピタキシャル層221が成長した後に、腐食性ガスを通気させる前に、キャビティ
内の水素ガスを必ず完全に排気し、該水素ガスが完全に排気されてから腐食性ガスを通気させることを含む。腐食性ガスは、塩素ガスを含み、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れにも、GaNが含まれ、塩素ガスの通気時間はt1であり、ここで、1/3h≦t1≦hであるか、又は、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222には、AlN及び/又はAlGaNが含まれ、塩素ガスの通気時間はt2であり、ここで、2/3h≦t2≦2hである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
引き続き
図1を参照して、例示的に、第一サブエピタキシャル層221及び第二サブエピタキシャル層222の何れにも、AlN及びAlGaNのうち、何れか1つ又は2つによる組み合わせが含まれるとともに、腐食性ガスとして塩素ガスを用いて第一サブエピタキシャル層221における基板100から遠い側の表面に複数の第一転位ピット201を腐食により形成する場合、塩素ガスの通気時間t2と、第一方向Yに沿った第一転位ピット201の深さhとは、2/3h≦t2≦2hを満たす。ここで、t2の単位は秒であり、hの単位はナノメートルであるが、2/3h≦t1≦2hの関係式において、t2とhとは、数値上の関係に過ぎず、無次元の関係となる。説明すべきなのは
、第一サブエピタキシャル層が成長された後に、塩素ガスを通気させる前に、キャビティ内のH
2
を完全に排気させる必要があり、H
2
を完全に排気させた後のみに塩素ガスを通気させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明の実施例は、エピタキシャル成長中に腐食性ガスを通気する方式により、腐食性ガスを通気させる前にキャビティ内の水素ガスを排気すればよく、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に腐食性ガスにより複数の第一転位ピットを腐食性ガスによる腐食で形成し、全過程がシステム内で行われ、システムから取り出す必要がないため、より多くの汚染物及び欠陥が取り込まれず、製品の清浄度が保証され、プロセス及び成長過程が簡素化される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
説明すべきなのは、本実施例は、エピタキシャル層200に第一サブエピタキシャル層群220及び第二サブエピタキシャル層群230が含まれる例を説明したものに過ぎず、限定的なものではない。第一方向Yに沿って、エピタキシャル層200には、順次に設けられた第三サブエピタキシャル層群、第四サブエピタキシャル層群、第五サブエピタキシャル層群等が更に含まれてもよく、第三サブエピタキシャル層群を例にすると、第三サブエピタキシャル層群は、第二サブエピタキシャル層群230における基板100から遠い側に位置し、第三サブエピタキシャル層群は、積層して設けられた第三サブエピタキシャル層223及び第四サブエピタキシャル層を含み、第三サブエピタキシャル層223における基板100から遠い側の表面には、複数の第三転位ピットが含まれ、第三転位ピットの側壁は、第三サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、第四サブエピタキシャル層によって、第三転位ピットの側壁が少なくとも覆われる。このように、第一方向Yに沿って、多重バリアが形成され、各々のバリアによる遮断を通じて、第一方向Yに沿って上向きに延在する大量の転位を大幅に減少可能であり、その結果、結晶品質及び製品歩留まりが顕著に向上され、コストが低減される。また、第一方向Yに沿って、エピタキシャル層200における何れの転位ピットについても、その深さhと、当該転位ピットの所在する膜層の厚さH1とは、1/20H1≦h≦1/2H1を満たし、且つ好ましくは5nm≦h≦60nmであり、H1>100nmであり、当該転位ピットの所在する膜層における基板100から遠い側の膜層の厚さH2については、何れもH2>hを満たす。そして、本発明の任意の実施例に記載の腐食により形成された転位ピットの形状、膜層の材料、通気される腐食性ガスと転位ピットの深さとの数値関係は、何れも本実施例に適用可能である。
説明すべきなのは、本出願において腐食性ガスを利用して転位ピットを形成する過程で、それぞれ腐食性ガスを通気させる前に、キャビティ内の水素ガスを必ず完全に排気させる必要がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
ここで、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層群を作製することは、以下のステップS210~S230を含む。
S210は、基板の一方側に第一サブエピタキシャル層を作製することである。
S220は、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に、第一転位ピットであって、その側壁が第一サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差し、第一方向が、第一サブエピタキシャル層から第二サブエピタキシャル層に向かう方向と平行である第一転位ピットを複数形成することである。
エピタキシャル成長中に、MOCVD(有機金属化学気相成長)システム内へ塩素ガス等の腐食性ガスを通気する等の方式により、インサイチュ(insitu)腐食を行うことが可能であり、通常、腐食により、エピタキシーにおける転位が転位ピットになるように腐食されるため、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に複数の第一転位ピットが形成される。
第一サブエピタキシャル層が成長された後、腐食性ガスを通気させる前に、キャビティ内の水素ガスを必ず完全に排気し、該水素ガスが完全に排気されてから腐食性ガスを通気させる。
S230は、第一サブエピタキシャル層における基板から遠い側に、第一転位ピットの側壁を少なくとも覆う第二サブエピタキシャル層を作製することである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
ここで、第一サブエピタキシャル層群における基板から遠い側に第二サブエピタキシャル層群を作製することは、以下のステップS310~S320を含む。
S310は、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面に第二転位ピットを複数形成することであって、第二転位ピットの側壁が第二サブエピタキシャル層の所在する平面及び第一方向の両方と交差することである。
第二サブエピタキシャル層によって第一転位ピットが充填され、比較的平坦な表面が形成された後、再び腐食性ガスを通気する方式により、インサイチュ腐食を再度行い、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側の表面の転位を、転位ピットになるように腐食して、複数の第二転位ピットを含む第二サブエピタキシャル層を形成し、その後、第三サブエピタキシャル層を引き続き成長させることが可能である。
第二サブエピタキシャル層が成長された後、腐食性ガスを通気させる前に、キャビティ内の水素ガスを必ず完全に排気し、該水素ガスが完全に排気されてから腐食性ガスを通気させる。
S320は、第二サブエピタキシャル層における基板から遠い側に、第二転位ピットの側壁を少なくとも覆う第三サブエピタキシャル層であって、第二サブエピタキシャル層群には、第二サブエピタキシャル層及び第三サブエピタキシャル層が含まれる第三サブエピタキシャル層を作製することである。
【国際調査報告】