(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】化合物の多形体及びその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20240301BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240301BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240301BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240301BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240301BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240301BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240301BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240301BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/4425 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61P35/00
A61P19/06
A61P37/02
A61P25/00
A61P3/04
A61P9/10 101
A61P9/10
A61P31/04
A61P1/04
A61P11/06
A61P37/08
A61P43/00 111
A61K31/4425
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557396
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2022081514
(87)【国際公開番号】W WO2022194252
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110297078.4
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522116410
【氏名又は名称】上海美悦生物科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】野 国中
(72)【発明者】
【氏名】田 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 宗国
(72)【発明者】
【氏名】▲欒▼ 林波
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 永▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】王 朝▲東▼
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC22
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC37
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZA02
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA68
4C086ZA70
4C086ZB07
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC20
4C086ZC31
(57)【要約】
本発明は、化合物の多形体及びその製造方法と使用を開示する。化合物AのIII型結晶はCu-Kα線を使用し、下記の2θ角:12.15±0.20°、15.98±0.20°、16.62±0.20°、17.14±0.20°、24.32±0.20°、26.08±0.20°で表される粉末X線回折スペクトルにおいて特徴的な回折ピークを有する。化合物AのVII型結晶はCu-Kα線を使用し、下記の2θ角:12.94±0.20°、14.41±0.20°、15.64±0.20°、17.25±0.20°、21.75±0.20°、24.23±0.20°で表される粉末X線回折スペクトルにおいて特徴的な回折ピークを有する。本発明により製造された多形体は安定で、高温及び低い相対湿度の条件下でも安定的に保存できる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式の化合物Aで表される2-((2-(トランス-4-ヒドロキシ-シス-4-メチルシクロヘキシル)-6-メトキシ-2H-インダゾール-5-イル)カルバモイル)-6-メチルピリジン1-オキシドの多形体。
【化1】
化合物A
【請求項2】
前記多形体は、III型結晶であり、前記III型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.15±0.20°、15.98±0.20°、16.62±0.20°、17.14±0.20°、24.32±0.20°、26.08±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記III型結晶は化合物Aの無水物であり、
好ましくは、前記III型結晶は、基本的に
図4に示されるような粉末X線回折スペクトルを有し、
好ましくは、前記III型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度188.81℃附近まで加熱すると第1の吸熱ピークが現れることを示し、
好ましくは、前記III型結晶の熱重量分析(TGA)は、180℃の前にはほとんど重量減少がないことを示し、
好ましくは、前記III型結晶は、基本的に
図8に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有し、
好ましくは、前記III型結晶は、不規則な結晶であり、好ましくは、前記III型結晶の粒径は5μm未満であり、好ましくは、前記III型結晶は、基本的に
図6に示されるようなPLMスペクトルを有し、
好ましくは、前記III型結晶の純度は、95%以上である、請求項1に記載の多形体。
【請求項3】
前記多形体は、VII型結晶であり、前記VII型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.94±0.20°、14.41±0.20°、15.64±0.20°、17.25±0.20°、21.75±0.20°、24.23±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記VII型結晶は化合物Aの無水物であり、
好ましくは、前記VII型結晶は、基本的に
図23に示されるような粉末X線回折スペクトルを有し、
好ましくは、前記VII型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度201.07℃の附近まで加熱すると1つの吸熱ピークが現れることを示し、
好ましくは、前記VII型結晶の熱重量分析(TGA)は、200℃の前にはほとんど重量減少がないことを示し、好ましくは、180℃の前にはほとんど重量減少がなく、
好ましくは、前記VII型結晶は、基本的に
図25に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有し、
好ましくは、前記VII型結晶は、不規則な結晶であり、好ましくは、前記VII型結晶の粒径は5μm未満であり、好ましくは、前記VII型結晶は、基本的に
図24に示されるようなPLMスペクトルを有し、
好ましくは、前記VII型結晶の純度は、95%以上である、請求項1に記載の多形体。
【請求項4】
前記多形体は、I型結晶であり、前記I型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが11.85±0.20°、15.86±0.20°、16.57±0.20°、17.68±0.20°、20.99±0.20°、23.99±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記I型結晶は、基本的に
図1に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する、請求項1に記載の多形体。
【請求項5】
前記多形体は、II型結晶であり、前記II型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが13.49±0.20°、17.51±0.20°、17.72±0.20°、20.97±0.20°、23.67±0.20°、27.32±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記II型結晶は、基本的に
図4に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する、請求項1に記載の多形体。
【請求項6】
前記多形体は、IV型結晶であり、前記IV型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.38±0.20°、6.68±0.20°、9.76±0.20°、19.69±0.20°、27.48±0.20°、29.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記IV型結晶は、基本的に
図11に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する、請求項1に記載の多形体。
【請求項7】
前記多形体は、V型結晶であり、前記V型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが7.11±0.20°、9.62±0.20°、14.07±0.20°、19.23±0.20°、21.59±0.20°、25.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記V型結晶は、基本的に
図14に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する、請求項1に記載の多形体。
【請求項8】
前記多形体は、IX型結晶であり、前記IX型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが8.26±0.20°、9.33±0.20°、11.07±0.20°、16.81±0.20°、20.73±0.20°、21.01±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記IX型結晶は、基本的に
図17に示ような粉末X線回折スペクトルを有する、請求項1に記載の多形体。
【請求項9】
前記多形体は、VI型結晶であり、前記VI型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.23±0.20°、5.63±0.20°、6.90±0.20°、13.77±0.20°、18.14±0.20°、25.85±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記VI型結晶は、基本的に
図20に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する、請求項1に記載の多形体。
【請求項10】
請求項2に記載のIII型結晶の製造方法であって、前記製造方法はII型結晶を加熱して前記III型結晶を得るステップを含み、
前記II型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが13.49±0.20°、17.51±0.20°、17.72±0.20°、20.97±0.20°、23.67±0.20°、27.32±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記II型結晶は、化合物Aのトルエン溶媒化合物である、製造方法。
【請求項11】
下記に記載の方法のいずれか1つから選択される、請求項3に記載のVII型結晶の製造方法。
(方法一は、
化合物Aと第1有機溶媒を混合し、全部溶解するまで常温で撹拌し、濾過し、乾燥させて前記VII型結晶を得るステップを含み、
前記第1有機溶媒は、ブタノン、酢酸イソプロピル、エタノール及びn-ブタノールの1つ、2つ又は複数から選択することができ、
方法二は、VI型結晶を加熱して前記VII型結晶を得るステップを含み、
前記VI型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.23±0.20°、5.63±0.20°、6.90±0.20°、13.77±0.20°、18.14±0.20°、25.85±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記VI型結晶は、化合物Aのメタノール/水合物であり、
方法三は、
化合物Aとアルコール系溶媒を混合し、反応系が全部溶解するまで加熱・撹拌し、冷却させ、反応系に有機酸エステルを加え、反応系の前記アルコール系溶媒と前記有機酸エステルの体積比が5%未満となるまで真空濃縮し、更に反応系に前記有機酸エステルを加え、冷却させた後撹拌を続け、濾過し、乾燥させてVII型結晶を得るステップを含み、
好ましくは、前記アルコール系溶媒はエタノール及び/又はn-ブタノールから選択され、
好ましくは、前記有機酸エステルは、酢酸イソプロピル及び/又は酢酸エチルから選択され、
好ましくは、加熱温度は65~80℃であり、
方法四は、I型結晶、III型結晶、VII型結晶とIX型結晶の混合物と第2有機溶媒を混合してスラリー化させ、前記VII型結晶を得るステップを含み、
前記I型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが11.85±0.20°、15.86±0.20°、16.57±0.20°、17.68±0.20°、20.99±0.20°、23.99±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
前記IX型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが8.26±0.20°、9.33±0.20°、11.07±0.20°、16.81±0.20°、20.73±0.20°、21.01±0.20°において特徴的な回折ピークを有し、
好ましくは、前記I型結晶、III型結晶、VII型結晶とIX型結晶の質量比は、(0.9~1.1):(0.9~1.1):1:(0.9~1.1)であり、
好ましくは、前記第2有機溶媒は、ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エタノール及びn-ブタノールの1つ、2つ又は複数から選択され、
好ましくは、前記スラリー化の温度は15~60℃である。)
【請求項12】
前記III型結晶又はVII型結晶を相対湿度75%RH未満の条件に放置し、
好ましくは、前記放置温度は室温~60℃である、請求項2に記載のIII型結晶又は請求項3に記載のVII型結晶の保存方法。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の多形体を含む、医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の多形体、及び任意に存在する薬学的に許容される医薬賦形剤を含む、製剤。
【請求項15】
IRAKによって媒介される疾患又は病症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、請求項1~9のいずれか一項に記載の多形体、又は請求項7に記載の医薬組成物の使用であって、
好ましくは、前記IRAKによって媒介される疾患又は病症は、腫瘍、痛風、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、敗血症、炎症性腸疾患、喘息又はアレルギーなどの疾患から選択される、使用。
【請求項16】
インターロイキン-1受容体関連キナーゼの疾患又は病症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、請求項1~9のいずれか一項に記載の多形体、又は請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月19日に中国国家知識産権局に提出された特許出願番号が202110297078.4であり、発明名称が「化合物の多形体及びその製造方法と使用」である先行出願の優先権を主張する。前記先行出願の全文は、引用により本出願に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、医薬結晶の分野に属し、化合物の多形体及びその製造方法と使用に関し、具体的には、2-((2-(トランス-4-ヒドロキシ-シス-4-メチルシクロヘキシル)-6-メトキシ-2H-インダゾール-5-イル)カルバモイル)-6-メチルピリジン1-オキシドの多形体、及び前記多形体の製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-1受容体関連キナーゼ(IRAK)は、細胞内に存在するセリン/スレオニンプロテインキナーゼのファミリーであり、IRAK1、IRAK2、IRAK-M及びIRAK4の4つのメンバーが存在し、共通の特徴は、MyD88ファミリーアダプタータンパク質と中央に位置するキナーゼドメインとの間の相互作用を媒介する典型的なN-末端アポトーシスドメインを有することであり、その中で、IRAK1及びIRAK4はキナーゼ活性を有する。IRAK4は、Toll様受容体(TLR)/インターロイキン-1受容体(IL-1R)によって媒介される炎症シグナル伝達経路の下流の重要な因子であり、TLRの細胞外部分によって認識される病原体特異的分子(例えば、リポ多糖、ポリペプチド、ウイルスDNAなど)がリガンドと結合した後、細胞内部分はMyD88などを募集して複合体を形成し、IRAK1の自己リン酸化を活性化し、更に下流のセリン/トレオニンキナーゼTAK1を活性化し、NF-κB及びMAPKシグナル経路を活性化し、次いで炎症誘発性サイトカイン、ケモカイン及び破壊酵素を生成し、最終的に自然免疫を媒介す炎症反応を引き起こす。IL-1Rは宿主防御と造血に関与し、自然免疫と獲得免疫を接続する架け橋である。(Flannery, et. al. Biochem. Pharmacol., 2010, 80 (12): 1981-1991)。
【0004】
研究によると、IRAK4依存性TLR/IL-1Rシグナル伝達経路の過剰な活性化は関節リウマチの発症・進行と密接に関連しており、他の多くの研究でも、IRAK4酵素の活性化は腫瘍、痛風、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、敗血症、炎症性腸疾患、喘息及びアレルギーなどの疾患の発症・進行と密接に関連していることが証明された(Chaudhary D, et. al., J. Med. Chem. 2015, 58 (1): 96-110)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Flannery, et. al. Biochem. Pharmacol., 2010, 80 (12): 1981-1991
【非特許文献2】Chaudhary D, et. al., J. Med. Chem. 2015, 58 (1): 96-110
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、出願人が提出した特許出願PCT/CN2020/117093(優先権:CN201910906833.7)には、上記のIRAK媒介性及び/又はインターロイキン1受容体関連疾患の治療薬として有効に使用できる新しい化合物、特に、上記のIRAKによって媒介される疾患及び/又はインターロイキン-1受容体関連疾患を治療及び/又は予防するための薬物が記載されており、これらの化合物の製剤化により適した医薬結晶、特に安定性、吸湿性及び/又は有効性が改善された結晶を開発して、医薬の製造及び使用において良好な効果を得ることは、緊急に解決すべき技術的課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
従来技術に存在する上記の問題を改善するために、本発明は、下記の式で表される化合物Aの2-((2-(トランス-4-ヒドロキシ-シス-4-メチルシクロヘキシル)-6-メトキシ-2H-インダゾール-5-イル)カルバモイル)-6-メチルピリジン1-オキシドの多形体を提供する。
【0008】
【0009】
本発明は化合物AのI型結晶を提供し、前記I型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが11.85±0.20°、15.86±0.20°、16.57±0.20°、17.68±0.20°、20.99±0.20°、23.99±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶は化合物Aの無水物である。
【0011】
好ましくは、前記I型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが6.02±0.20°、11.85±0.20°、15.86±0.20°、16.26±0.20°、16.57±0.20°、17.68±0.20°、20.99±0.20°、23.99±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0012】
好ましくは、前記I型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが6.02±0.20°、11.85±0.20°、15.86±0.20°、16.26±0.20°、16.57±0.20°、17.40±0.20°、17.68±0.20°、18.33±0.20°、20.99±0.20°、23.99±0.20°、27.76±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。好ましくは、前記I型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表1に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0013】
【0014】
好ましくは、前記I型結晶は、基本的に
図1に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度190.70℃附近まで加熱すると最初の吸熱ピークが現れることを示している。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶の熱重量分析(TGA)は、140~200℃の範囲で重量が約1.2%減少することを示している。
【0017】
好ましくは、前記I型結晶は、基本的に
図3に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記I型結晶は、20μm以下の粒径を有する。好ましくは、前記I型結晶は、基本的に
図2に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0020】
本発明は更に化合物AのII型結晶を提供し、前記II型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが13.49±0.20°、17.51±0.20°、17.72±0.20°、20.97±0.20°、23.67±0.20°、27.32±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記II型結晶は化合物Aのトルエン溶媒和物である。
【0022】
好ましくは、前記II型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが13.49±0.20°、14.03±0.20°、17.16±0.20°、17.51±0.20°、17.72±0.20°、20.97±0.20°、23.67±0.20°、27.32±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0023】
好ましくは、前記II型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが13.49±0.20°、14.03±0.20°、17.16±0.20°、17.51±0.20°、17.72±0.20°、19.58±0.20°、19.76±0.20°、20.36±0.20°、20.97±0.20°、23.67±0.20°、27.32±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0024】
好ましくは、前記II型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表2に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0025】
【0026】
好ましくは、前記II型結晶は、基本的に
図4に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記II型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度136.92℃の附近まで加熱すると第1の吸熱ピークが現れ、ピーク温度189.27℃の附近まで加熱すると第2の吸熱ピークが現れることを示している。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記II型結晶の熱重量分析(TGA)は、100~160℃の範囲で重量が約9.6%減少することを示している。
【0029】
好ましくは、前記II型結晶は、基本的に
図7に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、前記II型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記II型結晶は、10μm未満の粒径を有する。好ましくは、前記II型結晶は、基本的に
図5に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記II型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0032】
本発明は更に化合物AのIII型結晶を提供し、前記III型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.15±0.20°、15.98±0.20°、16.62±0.20°、17.14±0.20°、24.32±0.20°、26.08±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、III型結晶は化合物Aの無水物である。
【0034】
好ましくは、前記III型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.15±0.20°、15.04±0.20°、15.98±0.20°、16.62±0.20°、17.14±0.20°、21.09±0.20°、24.32±0.20°、26.08±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0035】
好ましくは、前記III型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.15±0.20°、15.04±0.20°、15.98±0.20°、16.62±0.20°、17.14±0.20°、18.74±0.20°、21.09±0.20°、23.51±0.20°、24.32±0.20°、26.08±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
好ましくは、前記III型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表3に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0036】
【0037】
好ましくは、前記III型結晶は、基本的に
図4に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記III型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度188.81℃の附近まで加熱すると第1の吸熱ピークが現れることを示している。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記III型結晶の熱重量分析(TGA)は、180℃の前にはほとんど重量減少を示さない。
【0040】
好ましくは、前記III型結晶は、基本的に
図8に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記III型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記III型結晶の粒径は5μm未満である。好ましくは、前記III型結晶は、基本的に
図6に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記III型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0043】
本発明は更に化合物AのIV型結晶を提供し、前記IV型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.38±0.20°、6.68±0.20°、9.76±0.20°、19.69±0.20°、27.48±0.20°、29.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記IV型結晶は化合物Aの水和物である。好ましくは、前記IV型結晶は化合物Aの一水和物である。好ましくは、前記IV型結晶の含水量は4.2wt%である。
【0045】
好ましくは、前記IV型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.38±0.20°、6.68±0.20°、9.76±0.20°、19.69±0.20°、20.13±0.20°、25.53±0.20°、27.48±0.20°、27.81±0.20°、29.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0046】
好ましくは、前記IV型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表4に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0047】
【0048】
好ましくは、前記IV型結晶は、基本的に
図11に示されるうな粉末X線回折スペクトルを有する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記IV型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度77.01℃の附近まで加熱すると第1の吸熱ピークが現れ、ピーク温度190.76℃の附近まで加熱すると第2の吸熱ピークが現れ、ピーク温度201.77℃の附近まで加熱すると第3の吸熱ピークが現れ、ピーク温度215.93℃の附近まで加熱すると第4の吸熱ピークが現れ、ピーク温度218.05℃の附近まで加熱すると第5の吸熱ピークが現れることを示している。前記結晶形IVは、加熱過程において結晶転移を起こす可能性がある。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記IV型結晶の熱重量分析(TGA)は、室温~150℃の範囲で重量が約16.9%減少することを示している。
【0051】
好ましくは、前記IV型結晶は、基本的に
図13に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、前記IV型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記IV型結晶は、10μm未満の粒径を有する。好ましくは、前記IV型結晶は、基本的に
図12に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記IV型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0054】
本発明は更に化合物AのV型結晶を提供し、前記V型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが7.11±0.20°、9.62±0.20°、14.07±0.20°、19.23±0.20°、21.59±0.20°、25.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記V型結晶は化合物Aのアセトニトリル溶媒和物である。
【0056】
好ましくは、前記V型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが7.11±0.20°、9.62±0.20°、11.23±0.20°、14.07±0.20°、19.23±0.20°、21.59±0.20°、22.98±0.20°、25.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0057】
好ましくは、前記V型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが7.11±0.20°、9.62±0.20°、11.23±0.20°、14.07±0.20°、19.23±0.20°、21.59±0.20°、22.05±0.20°、22.98±0.20°、25.65±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0058】
好ましくは、前記V型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表5に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0059】
【0060】
好ましくは、前記V型結晶は、基本的に
図14に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、前記V型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度135.05℃の附近まで加熱すると最初の吸熱ピークが現れ、ピーク温度192.24℃の附近まで加熱すると第2の吸熱ピークが現れ、ピーク温度218.33℃の附近まで加熱すると第3の吸熱ピークが現れることを示している。前記V型結晶は、加熱過程において結晶転移を起こす可能性がある。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記V型結晶の熱重量分析(TGA)は、70~150℃の範囲で重量が約6.4%減少することを示している。
【0063】
好ましくは、前記V型結晶は、基本的に
図16に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、前記V型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記V型結晶はの粒径は10μm未満である。好ましくは、前記V型結晶は、基本的に
図15に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、前記V型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0066】
本発明は更に化合物AのIX型結晶を提供し、前記IX型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが8.26±0.20°、9.33±0.20°、11.07±0.20°、16.81±0.20°、20.73±0.20°、21.01±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0067】
好ましくは、前記IX型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが8.26±0.20°、9.33±0.20°、11.07±0.20°、16.81±0.20°、20.73±0.20°、21.01±0.20°、23.27±0.20°、26.87±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0068】
好ましくは、前記IX型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが8.26±0.20°、9.33±0.20°、11.07±0.20°、16.81±0.20°、20.73±0.20°、21.01±0.20°、23.27±0.20°、24.76±0.20°、25.09±0.20°、26.87±0.20°、29.17±0.20°、29.42±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0069】
好ましくは、前記IX型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表6に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0070】
【0071】
好ましくは、前記IX型結晶は、基本的に
図17に示される粉末X線回折スペクトルを有する。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、前記IX型結晶は化合物Aの無水物である。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、前記IX型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度192.04℃の附近まで加熱すると最初の吸熱ピークが現れ、ピーク温度201.20℃の附近まで加熱すると第2の吸熱ピークが現れ、ピーク温度217.55℃の附近まで加熱すると第3の吸熱ピークが現れることを示している。前記結晶形IXは、加熱過程において結晶転移を起こす可能性がある。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、前記IX型結晶の熱重量分析(TGA)は、180℃の前にはほとんど重量減少を示さない。
【0075】
好ましくは、前記IX型結晶は、基本的に
図19に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、前記IX型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記IX型結晶の粒径は5μm未満である。好ましくは、前記IX型結晶は、基本的に
図18に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、前記IX型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0078】
本発明は更に化合物AのVI型結晶を提供し、前記VI型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.23±0.20°、5.63±0.20°、6.90±0.20°、13.77±0.20°、18.14±0.20°、25.85±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。好ましくは、前記VI型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.23±0.20°、5.63±0.20°、6.90±0.20°、13.77±0.20°、16.26±0.20°、18.14±0.20°、18.37±0.20°、25.85±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0079】
好ましくは、前記VI型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが5.23±0.20°、5.63±0.20°、6.90±0.20°、8.08±0.20°、13.77±0.20°、15.78±0.20°、16.26±0.20°、18.14±0.20°、18.37±0.20°、20.87±0.20°、25.40±0.20°、25.85±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0080】
好ましくは、前記VI型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表7に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0081】
【0082】
好ましくは、前記VI型結晶は、基本的に
図20に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、前記VI型結晶は化合物Aのメタノール/水和物である。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、前記VI型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度201.31℃の附近まで加熱すると1つの吸熱ピークが現れることを示している。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、前記VI型結晶の熱重量分析(TGA)は、室温~130℃の範囲で重量が約9.5%減少することを示している。
【0086】
好ましくは、前記VI型結晶は、基本的に
図22に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、前記VI型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記VI型結晶の粒径は5μm未満である。好ましくは、前記VI型結晶は、基本的に
図21に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、前記VI型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0089】
本発明は更に化合物AのVII型結晶を提供し、前記VII型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.94±0.20°、14.41±0.20°、15.64±0.20°、17.25±0.20°、21.75±0.20°、24.23±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、前記VII型結晶は化合物Aの無水物である。
【0091】
好ましくは、前記VII型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.94±0.20°、13.18±0.20°、14.41±0.20°、15.64±0.20°、17.25±0.20°、21.75±0.20°、22.54±0.20°、24.23±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0092】
好ましくは、前記VII型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルが12.94±0.20°、13.18±0.20°、14.41±0.20°、15.64±0.20°、17.25±0.20°、21.11±0.20°、21.75±0.20°、22.54±0.20°、24.23±0.20°、26.62±0.20°、31.64±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0093】
好ましくは、前記VII型結晶はCu-Kα線を使用し、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルは、表8に示される通りであり、誤差範囲は±0.20°である。
【0094】
【0095】
好ましくは、前記VII型結晶は、基本的に
図23に示されるような粉末X線回折スペクトルを有する。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、前記VII型結晶の示差走査熱量測定(DSC)分析は、ピーク温度201.07℃の附近まで加熱することにより1つの吸熱ピークが現れることを示している。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、前記VII型結晶の熱重量分析(TGA)は、200℃の前にはほとんど重量減少を示さず、例えば、180℃の前にはほとんど重量減少がない。
【0098】
好ましくは、前記VII型結晶は、基本的に
図25に示されるようなDSC-TGAスペクトルを有する。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、前記VII型結晶は不規則な形状の結晶である。好ましくは、前記VII型結晶の粒径は5μm未満である。好ましくは、前記VII型結晶は、基本的に
図24に示されるようなPLMスペクトルを有する。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、前記VII型結晶の純度は95%以上であり、好ましくは、99%以上である。
【0101】
本発明は更に、化合物Aの多形体の製造方法を提供する。
【0102】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶の製造方法は、
【0103】
化合物Aを第1アルコール溶媒及びエーテル溶媒と混合し、完全に溶解するまで加熱・撹拌し、冷却させ、濾過し、乾燥させて前記I型結晶を得るステップを含む。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、前記第1アルコール系溶媒は、エタノール及び/又はイソプロパノールから選択することができ、好ましくはエタノールである。
【0105】
本発明の一実施形態によれば、前記エーテル溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル及び/又はn-ヘプタンから選択することができ、好ましくはメチルtert-ブチルエーテルである。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物A、第1アルコール系溶媒及びエーテル溶媒の質量体積比は、1g:(10~20)mL:(3~8)mLであり、好ましくは1g:(12~18)mL:(4~6)mLであり、例示的には1g:15mL:5mLである。
【0107】
本発明の一実施形態によれば、加熱温度は50~70℃であり、好ましくは55~65℃であり、例示的には50℃である。
【0108】
本発明の一実施形態によれば、前記加熱・撹拌の時間は1~5時間であり、好ましくは2~4時間であり、例示的には3時間である。
【0109】
本発明の一実施形態によれば、0~10℃に冷却させた後に濾過する。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、前記I型結晶の製造方法は、化合物Aをエタノールとメチルtert-ブチルエーテルの混合溶媒に加え、加熱・撹拌し、冷却させた後に濾過し、真空乾燥させてI型結晶を得るステップを含む。
【0111】
前記化合物A、エタノールとメチルtert-ブチルエーテルの質量体積比は、1g:(10~20)mL:(3~8)mLである。
【0112】
本発明は更に、I型結晶のもう一つの製造方法を提供し、当該方法は、前記IV型結晶を加熱して前記I型結晶を得るステップを含む。
【0113】
本発明の一実施形態によれば、IV型結晶の溶媒が完全に除去できる温度まで加熱する。好ましくは、前記IV型結晶の溶媒は水である。好ましくは、100℃まで加熱する。
【0114】
本発明は更に、前記II型結晶の製造方法を提供し、
【0115】
化合物Aをアレーン系溶媒と混合し、溶解するまで室温で撹拌し、濾過して前記II型結晶を得るステップを含む。
【0116】
本発明の一実施形態によれば、前記アレーン系溶媒は、トルエンから選択される。
【0117】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物Aとアレーン系溶媒の質量体積比は、1g:(10~20)mLであり、好ましくは1g:(12~18)mLであり、例示的には1g:15mLである。
【0118】
本発明の一実施形態によれば、前記常温は15~30℃であり、好ましくは20~25℃である。
【0119】
本発明の一実施形態によれば、前記常温撹拌の時間は1~5時間であり、例えば、3時間である。
【0120】
本発明の例示的な実施形態によれば、前記II型結晶の製造方法は、
【0121】
化合物Aをトルエンと混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過して前記II型結晶を得るステップを含む。
【0122】
前記化合物Aとアレーン系溶媒の質量体積比は1g:(10~20)mLである。
【0123】
本発明は更に、前記II型結晶を加熱して前記III型結晶を得るステップを含む、前記III型結晶の製造方法を提供する。
【0124】
本発明の一実施形態によれば、II型結晶のアレーン系溶媒が完全に除去できる温度まで加熱する。例えば、加熱温度は100~160℃である。
【0125】
本発明は更に、前記IV型結晶の製造方法を提供し、
化合物Aと第2アルコール系溶媒を水と混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、乾燥させて前記IV型結晶を得るステップを含む。
【0126】
本発明の一実施形態によれば、前記第2アルコール系溶媒はイソプロパノールから選択される。
【0127】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物A、第2アルコール系溶媒及び水の質量体積比は、1g:(1~10)mL:(1~10)mLであり、好ましくは1g:(3~8)mL:(3~8)mLであり、例示的には1g:5mL:5mLである。
【0128】
本発明の一実施形態によれば、前記常温は15~30℃であり、好ましくは20~25℃である。
【0129】
本発明の一実施形態によれば、前記常温撹拌の時間は1~5時間であり、例えば、3時間である。
【0130】
本発明の例示的な実施形態によれば、前記IV型結晶の製造方法は、
化合物Aとイソプロパノールを水と混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、真空乾燥させて前記IV型結晶を得るステップを含む。
【0131】
前記化合物A、イソプロパノール及び水の質量体積比は1g:5mL:5mLである。
【0132】
本発明は更に、前記V型結晶の製造方法を提供し、
化合物Aとニトリル系溶媒を混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、乾燥させて前記V型結晶を得るステップを含む。
【0133】
本発明の一実施形態によれば、前記ニトリル系溶媒はアセトニトリルから選択される。
【0134】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物Aとニトリル系溶媒の質量体積比は、1g:(5~15)mLであり、好ましくは1g:(8~12)mLであり、例示的には1g:10mLである。
【0135】
本発明の一実施形態によれば、前記常温は15~30℃であり、好ましくは20~25℃である。
【0136】
本発明の一実施形態によれば、前記常温撹拌の時間は1~5時間であり、例えば、3時間である。
【0137】
本発明の一実施形態によれば、前記V型結晶の製造方法は、
化合物Aとアセトニトリルを質量体積比1g:(5~15)mLで混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、真空乾燥させて前記V型結晶を得るステップを含む。
【0138】
本発明は更に、前記VI型結晶の製造方法を提供し、
化合物Aと第3アルコール系溶媒を混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、乾燥させて前記VI型結晶を得るステップを含む。
【0139】
本発明の一実施形態によれば、前記第3アルコール系溶媒はメタノールから選択される。
【0140】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物Aと第3アルコール系溶媒の質量体積比は、1g:(5~15)mLであり、好ましくは1g:(8~12)mLであり、例示的には1g:10mLである。
【0141】
本発明の一実施形態によれば、前記常温は15~30℃であり、好ましくは20~25℃である。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、前記常温撹拌の時間は1~5時間であり、例えば、3時間である。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、前記VI型結晶の製造方法は、
化合物Aとメタノールを質量体積比1g:(5~15)mLで混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、真空乾燥させて前記VI型結晶を得るステップを含む。
【0144】
本発明は更に、前記VII型結晶の製造方法を提供し、
化合物Aと第1有機溶媒を混合し、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、乾燥させて前記VII型結晶を得るステップを含む。
【0145】
本発明の一実施形態によれば、前記第1有機溶媒は、ブタノン、酢酸イソプロピル、エタノール及びn-ブタノールの1つ、2つ又は複数から選択することができ、好ましくはブタノンである。
【0146】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物Aと第1有機溶媒の質量体積比は、1g:(5~15)mLであり、好ましくは1g:(8~12)mLであり、例示的には1g:10mLである。
【0147】
本発明の一実施形態によれば、前記常温は15~30℃であり、好ましくは20~25℃である。
【0148】
本発明の一実施形態によれば、前記常温撹拌の時間は1~5時間であり、例えば、3時間である。
【0149】
本発明の一実施形態によれば、前記VII型結晶の製造方法は、
化合物Aとブタノンを質量体積比1g:(5~15)mLで、全部溶解するまで室温で撹拌し、濾過し、真空乾燥させて前記VII型結晶を得るステップを含む。
【0150】
本発明は更に、前記VII型結晶の他の製造方法を提供し、前記VI型結晶を加熱して前記VII型結晶を得るステップを含む。
【0151】
本発明の一実施形態によれば、VI型結晶の溶媒が完全に除去できる温度まで加熱する。好ましくは、前記溶媒は第3アルコール系溶媒と水を含む。例えば、130℃以上の温度に加熱する。
【0152】
本発明は更に、前記VII型結晶のもう一つの製造方法を提供し、
化合物Aと第4アルコール系溶媒を混合し、反応系が全部溶解するまで加熱・撹拌し、冷却させ、反応系に有機酸エステルを加え、反応系の第4アルコール系溶媒と有機酸エステルの体積比が5%未満となるまで 真空濃縮し、更に反応系に酢酸イソプロピルを加え、継続して冷却させた後撹拌し、濾過し、乾燥させて前記VII型結晶を得るステップを含む。
【0153】
本発明の一実施形態によれば、前記第4アルコール系溶媒は、エタノール及び/又はn-ブタノールから選択することができ、好ましくはエタノールである。
【0154】
本発明の一実施形態によれば、前記有機酸エステルは、酢酸イソプロピル及び/又は酢酸エチルから選択することができ、好ましくは酢酸イソプロピルである。
【0155】
本発明の一実施形態によれば、前記化合物Aと第4アルコール系溶媒の質量体積比は、1g:(2~10)mLであり、好ましくは1g:(3~8)mLであり、例示的には1g:5mLである。
【0156】
本発明の一実施形態によれば、加熱温度は65~80℃であり、好ましくは70~75℃である。
【0157】
本発明の一実施形態によれば、前記加熱・撹拌の時間は0.5~3時間であり、好ましくは1時間である。
【0158】
本発明の一実施形態によれば、冷却温度は40~45℃である。
【0159】
本発明の一実施形態によれば、真空濃縮する前に、反応系に有機酸エステルを加え、その体積と化合物Aの質量比が(5~15)mL:1gであるように加え、好ましくは(7~12)mL:1gであり、例示的には10mL:1gである。好ましくは、前記有機酸エステルはバッチで反応系に加え、例えば、少なくとも2バッチで加える。有機酸エステルを複数回加えて、第4アルコール系溶媒を除去する。
【0160】
本発明の一実施形態によれば、補充される有機酸エステルの体積と化合物Aの質量比は(5~15)mL:1gであり、好ましくは(7~12)mL:1gであり、例示的には8mL:1gである。
【0161】
本発明の一実施形態によれば、室温に継続して冷却させる。好ましくは、前記常温は20℃~25℃を指す。
【0162】
本発明の一実施形態によれば、前記冷却後の撹拌時間は1~5時間であり、例えば、3時間である。
【0163】
本発明の例示的な実施形態によれば、前記VII型結晶の製造方法は、
化合物Aとエタノールを混合し、70~75℃に加熱し、反応系が全部溶解するまで撹拌し、40~45℃に冷却させ、次に反応系に酢酸イソプロピルをバッチで加え、反応系におけるエタノールと酢酸イソプロピルの体積比が5%未満になるまで真空濃縮し、更に反応系に酢酸イソプロピルを加え、20~25℃に継続して冷却させた後撹拌し、濾過し、真空乾燥させて前記VII型結晶を得るステップを含む。
【0164】
ここで、化合物Aとエタノールの質量体積比は、1g:(2-10)mLであり、補充される酢酸イソプロピルの体積と化合物Aの質量比は、(5~15)mL:1gである。
【0165】
本発明は更に、前記VII型結晶のもう一つの製造方法を提供し、I型結晶、III型結晶、VII型結晶とIX型結晶の混合物と第2有機溶媒を混合してスラリー化させ、前記VII型結晶を得るステップを含む。
【0166】
好ましくは、前記I型結晶、III型結晶、VII型結晶とIX型結晶の質量比は、(0.9~1.1):(0.9~1.1):1:(0.9~1.1)である。
【0167】
好ましくは、前記第2有機溶媒は、ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エタノール及びn-ブタノールの1つ、2つ又は複数から選択することができ、好ましくはブタノン又は酢酸イソプロピルである。
【0168】
好ましくは、前記混合物と第2有機溶媒の質量体積比は、(15~30)mg:0.5mLであり、例えば、20mg:0.5mL、20mg:0.4mL、20mg:1mLである。
【0169】
好ましくは、前記スラリー化の温度は15~60℃であり、例えば、20~50℃である。
【0170】
本発明はまた、前記III型結晶又はVII型結晶の保存方法を提供し、ここで、前記III型結晶又はVII型結晶を相対湿度75%RH未満の条件に放置し、例えば、70%RH未満である。
【0171】
好ましくは、前記III型結晶又はVII型結晶の保存方法に従って、ここで、保存温度は室温~60℃であってもよく、例えば、40~60℃である。
【0172】
本発明は更に、化合物AのI型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶、VI型結晶、VII型結晶及びIX型結晶の1つ、2つ又は複数、及び任意の薬学的に許容される医薬賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0173】
本発明は更に、化合物AのI型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶、VI型結晶、VII型結晶及びIX型結晶の1つ、2つ又は複数、及び任意の薬学的に許容される医薬賦形剤を含む製剤を提供する。
【0174】
本発明は更に、IRAKによって媒介される疾患又は病症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、上記化合物AのI型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶、VI型結晶、VII型結晶及びIX型結晶、又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0175】
本発明の一実施形態によれば、前記IRAKによって媒介される疾患又は病症は、腫瘍、痛風、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、敗血症、炎症性腸疾患、喘息及びアレルギーなどの疾患から選択される。
【0176】
本発明は更に、インターロイキン-1受容体関連キナーゼの疾患又は病症を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、上記化合物AのI型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶、VI型結晶、VII型結晶及びIX型結晶、又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0177】
本発明は更に、必要とする個体に、治療有効量の上記化合物AのI型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶、VI型結晶、VII型結晶及び/又はIX型結晶、又は前記医薬組成物、又は前記製剤を投与することを含む、IRAKによって媒介される疾患又は病症を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0178】
いくつかの実施形態において、前記IRAKはIRAK4関連キナーゼから選択される。
【0179】
本発明は更に、必要とする個体に、治療有効量の上記化合物AのI型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶、VI型結晶c、VII型結晶及びIX型結晶、又は前記医薬組成物、又は前記製剤を投与することを含む、インターロイキン-1受容体関連疾患を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0180】
本発明の一実施形態によれば、前記インターロイキン-1受容体関連キナーゼの疾患又は病症は、腫瘍、痛風、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、敗血症、炎症性腸疾患、喘息、関節リウマチ、敗血症、自己免疫疾患及びアレルギーなどの疾患から選択される。
【0181】
本発明の方法は、本発明の化合物Aの1つ、2つ又は複数の結晶を単独で投与すること、及び本発明の化合物Aの1つ、2つ又は複数の結晶を1つ、2つ又は複数の他の化学療法剤と組み合わせて投与することを含むことができる。複数の薬物の投与は、同時に又は連続的に実行することができる。
【0182】
(本発明の有益な効果)
【0183】
1)本発明は、化合物Aの多形体及びその製造方法を提供し、前記多形体の製造方法は工程が単純で、実施が容易で、反応条件が穏やかで、製品の収率が高い。更に、複数回精製することなく、操作は安全で環境に優しく、多形体の工業的生産に有益である。
【0184】
2)本発明の製造により得られる多形体は安定で、高温及び低い相対湿度の条件下で安定的に保存できる。例えば、III型結晶及びVII型結晶を60℃(密閉)の条件で7日間放置すると物理的及び化学的性質は安定てあり、40℃/75%RH(開放)条件で7日間放置すると化学的性質は安定てあり、III型結晶とVII型結晶は70%のRH以下で物理的性質(その純度、色、外観など)が安定している。
【0185】
また、本発明の前記結晶は、流動性が良く、粉砕が容易であり、医薬組成物に製造することが容易である。最後に、本発明で製造される多形体は純度が高く、不純物が少ない。
【0186】
(定義及び説明)
【0187】
本発明で使用される様々な用語及び語句は当業者に公知の一般的な意味を有するが、依然として本発明により詳細に説明及び解釈しており、言及された用語及び語句の意味が公知の意味と矛盾する場合、本発明に記載された意味を基準とする。
【0188】
本発明の化合物Aの多形体は、化合物Aの非溶媒化合物(無水物)及び溶媒和物の結晶形態を含む。
【0189】
本発明の化合物Aの多形体の粉末X線回折スペクトルの特徴的な回折ピークは2θ角で表され、「±0.20°」が測定誤差の許容範囲である。
【0190】
本発明の化合物Aの多形体は、アレルギー反応などの他の副作用を生じない限り、他の有効成分と組み合わせて使用することができる。
【0191】
本明細書で使用される用語「組成物」とは、特定の成分のそれぞれを特定の量で含む製品、及び特定の成分のそれぞれの特定の量の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品を含むことを指す。
【0192】
当業者は、既知の医薬担体を使用して、本発明の化合物Aの多形体を適切な医薬組成物に製造することができる。前記医薬組成物は、特別に経口投与用、非経口注射用、又は直腸投与用固体又は液体の形態に製造されることができる。前記医薬組成物は、投与を容易にするための様々な剤形、例えば、経口製剤(錠剤、カプセル、溶液又は懸濁液など)、注射用製剤(注射用溶液又は懸濁液、又は注射可能な乾燥粉末等、注射前に薬物溶媒を加えてすぐに使用することができる)に製造されることができる。
【0193】
本明細書で使用される用語「治療及び/又は予防的有効量」とは、研究者、獣医師、医師又は他の人が求める、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する薬物又は医薬製剤の量である。
【0194】
上記治療及び/又は予防目的に使用される場合、本発明の化合物Aの多形体及び医薬組成物の1日の総投与量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されなければならない。いかなる特定の患者についても、特定の治療上有効な用量レベルは、治療される疾患と疾患の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別と食事、使用される特定の化合物の投与時間、投与経路と排泄率、治療期間、使用される特定の化合物を組み合わせて使用する又は同時に使用される薬物、及び医療分野で公知な類似の要因を含む様々な要因によって決定される。例えば、所望の治療効果を得るのに必要なレベル以下の化合物の投与量から開始し、所望の効果が得られるまで徐々に投与量を増加させるのが当技術分野における慣行である。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【
図2】I型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:20μm)。
【
図3】I型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図4】II型結晶及びIII型結晶のXRPDスペクトルである。
【
図5】II型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:10μm)。
【
図6】III型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:2.5μm)。
【
図7】II型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図8】III型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図10】III型結晶のDVS試験前後のXRPD比較スペクトルである。
【
図12】IV型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:10μm)。
【
図13】IV型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図15】V型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:10μm)。
【
図16】V型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図18】IX型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:5μm)。
【
図19】IX型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図21】VI型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:2.5μm)。
【
図22】VI型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図23】VII型結晶のXRPDスペクトルである。
【
図24】VII型結晶のPLMスペクトルである(スケールバー:5μm)。
【
図25】VII型結晶のDSC-TGAスペクトルである。
【
図27】VII型結晶のDVS試験前後のXRPD比較スペクトルである。
【
図28】安定性試料のXRPD重畳スペクトルである。
【
図29】湿度影響試験におけるIII型結晶試料のXRPD重畳スペクトルである。
【
図30】湿度影響試験におけるVII型結晶試料のXRPD重畳スペクトルである。
【
図31】湿度影響試験におけるDVS動的曲線図である。
【
図32】湿度試験におけるIII型結晶試料の乾燥後のXRPD重畳スペクトルである。
【
図33】湿度試験におけるVII型結晶試料の乾燥後のXRPD重畳スペクトルである。
【
図35】溶解度試験後の試料のXRPD重畳スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0196】
以下では、具体的な実施形態と組み合わせて、本発明の技術的解決策を更に詳細に説明する。下記の実施例は、例示として本発明を説明することを意図したものであり、本発明の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は全て本発明の範囲に属する。
【0197】
別途に説明しない限り、下記の実施例で使用される原料と試薬は、いずれも市販されているか、又は公知の方法で製造することができる。
【0198】
化合物Aの合成
【0199】
【0200】
(1)化合物3の合成
15℃で順次に化合物1(50g)のジクロロメタン溶液(500mL)にDMAP(42.5g)、化合物2(63.4g)、及びトリエチルアミン(63.9g)を加え、25℃で18時間撹拌して反応させた。反応溶液にジクロロメタン(200mL)を加え、水(300mL×2)で洗浄し、1Mの希塩酸(300mL×3)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して黄色固体98gを得、収率:99%(即ち化合物3)であった。
【0201】
(2)化合物4の合成
15℃で化合物3(50g)のテトラヒドロフラン溶液(300mL)に1Mの希塩酸(300mL)を加え、25℃で20時間撹拌して反応させた。0℃に冷却させた。1Mの水酸化ナトリウム水溶液でpH=9に調節した。酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。抽出液を飽和塩化ナトリウム溶液(300mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過した。減圧濃縮して、残留物を石油エーテル(150mL)でスラリー化させて白色固体39gを得、収率:91%(即化合物4)であった。
【0202】
(3)化合物5&6の合成
-40℃で臭化メチルマグネシウム(85.8mL)のテトラヒドロフラン溶液(500mL)に化合物4(34.5g)のテトラヒドロフラン溶液(200mL)を滴下し、-40℃で4時間撹拌して反応させ、飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)で反応をクエンチングさせ、酢酸エチル(500mL×3)で抽出し、抽出液を飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で精製して無色の油状化合物5(4.3g、10%)、無色の油状物化合物6(7.0g、17%)の混合物12gを得た。
【0203】
化合物5
1H NMR (400 MHz, CDCl3): ? 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.52-4.41 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 1.95-1.80 (m, 2H), 1.77-1.61 (m, 4H), 1.46-1.35 (m, 2H), 1.19 (s, 3H)。
【0204】
化合物6
1H NMR (400 MHz, CDCl3): ? 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.74-4.64 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 1.92-1.79 (m, 2H), 1.77-1.62 (m, 4H), 1.49-1.38 (m, 2H),1.23 (s, 3H)。
【0205】
(4)化合物8の合成
-15℃で化合物7(2.0g)の濃硫酸(12mL、98%)溶液に硝酸(1.6mL、70%)の濃硫酸(1.6mL、98%)混合溶液を滴下した。滴下完了後反応系を混合し、-15℃で2時間撹拌し、反応溶液を氷水にゆっくりと注いで5分間撹拌し、吸引濾過し、水で洗浄し、固体を集め、減圧乾燥させて黄色固体2.5gを得、収率:97%(即ち化合物8)であった。
【0206】
(5)化合物9の合成
室温で化合物8(2.0g)のDMF(20mL)溶液にヒドラジン水和物(2.4mL、98%)を加え、添加完了後反応系を混合し、120℃に加熱して16時間撹拌し、室温に冷却させ、反応系を混合して氷水にゆっくりと注いで撹拌し、吸引濾過し、水で固体を洗浄し、固体を集め減圧濃縮して黄色固体1.3gを得、収率:67%(即ち化合物9)であった。
【0207】
(6)化合物10の合成
15℃で化合物9(12.4g)及びパラジウム炭素(7g、10%)を400mLの酢酸エチルに順次に加えた。添加完了後、反応系を混合し、15℃で、水素ガスの保護下で18時間撹拌し、反応溶液のパラジウム炭素を濾過して除去した後、濾液を濃縮乾燥させて白色の固体生成物10.4gを得、収率:99%(即ち化合物10)であった。
【0208】
(7)化合物12の合成
25℃でEDCI.HCl(2.6g)を化合物10(1.5g)及び化合物11(1.4g)のPy(15mL)溶液に加え、反応溶液を25℃で16時間撹拌した。反応溶液を濃縮乾燥させ、残留物をMeOH/H2O=20mL/20mLでスラリー化させて黄色固体製品1.3gを得、収率:48%(即ち化合物12)であった。
【0209】
【0210】
25℃で炭酸セシウム(985mg)を化合物12(300mg)及び化合物5(344mg)の5mLのDMF溶液に加え、反応溶液を90℃で16時間撹拌した。反応溶液を30mLの水に加え、酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機相を減圧濃縮し、残余物を高速液体クロマトグラフィー(CH3CN:H2O(0.1%のNH4HCO3)=15~45%、UV:214nm、Flowrate:15ml/min)で精製して黄色固体70mgを得、収率:17%(即ち化合物A)であった。
【0211】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): ? 14.16 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.32-8.30 (m, 1H), 7.77 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.58 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 4.45 (s, 1H), 4.43-4.40 (m, 1H), 3.95 (s, 3H), 2.53 (s, 3H), 2.09-2.00 (m, 4H), 1.68-1.58 (m, 4H), 1.22 (s, 3H). LCMS: Rt = 3.646 min, [M+H]+ = 411.1.
【0212】
(9)化合物11の合成
25℃でm-CPBA(25g)を化合物13(10g)の200mLのDCM溶液に加え、反応溶液を25℃で16時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液を15.6gの亜硫酸ナトリウムで調製した飽和溶液でクエンチングさせ、混合溶液を2時間撹拌し、抽出し、水相を希塩酸でpH<7に調節し、DCM(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて濃縮し、残余物を300mLのEAでスラリー化させて白色固体10.1gを得、収率:90%(即ち化合物11)であった。
【0213】
下記の実施例において、XRPDの試験機器はPIXceI1D検出器であり、試験条件は、Nalytical EMPYREANであり、
【0214】
DVSの試験機器は動的水蒸気吸着装置(Vsorp-Enhanced、proUmid)であり、試験条件は、十分な量の試料をVsorp-Enhanced機器に加え、動的水蒸気吸着をシミュレーションし、また25℃での異なる湿度平衡における重量の変化を記録し、DVS試験済みの試料に対してXRPD試験を実行した。
【0215】
実施例1
【0216】
I型結晶の製造方法:
化合物A(1g)をエタノール/メチルtert-ブチルエーテル(15mL/5mL)に加え、60℃に加熱して3時間撹拌し、0~10℃に冷却させて濾過し、ケーキを真空乾燥させた後I型結晶(0.85g)を得、I型結晶の純度は99%以上であった。
【0217】
I型結晶はXRPD、PLM、DSC及びTGAによって特徴評価を実行した。I型結晶は無水物であった。XRPD特性ピークの位置と強度は表1に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図1に示される通りである。PLM図面は、試料が20μm以下の不規則な結晶であることを示している(
図2)。TGA試験は試料が140~200℃の間で重量が1.2%減少することを示し(
図3)、NMR試験で試料に0.9%のエタノールと0.3%のメチルtert-ブチルエーテルが残留していたことに対応している。DSC試験は、試料に1つのみの吸熱ピーク(
図3)があることを示し、初期温度は191℃であった。
【0218】
I型結晶のXRPDスペクトルは、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルにおける、2θ値は下記の表1に示される通りである。
【0219】
【0220】
II型結晶及びIII型結晶の製造方法:
化合物A(1g)をトルエン(15mL)に加え、20~25℃で3時間撹拌し、濾過し、ケーキはII型結晶であり、II型結晶の純度は99%以上であった。
【0221】
得られたII型結晶を真空50~60℃で乾燥させ、乾燥させた後III型結晶(0.90g)を得、III型結晶の純度は99%以上であった。
【0222】
II型結晶はXRPD、PLM、DSC及びTGAによって特徴評価を実行した。XRPD特性ピークの位置と強度は表2に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図4に示される通りである。PLM図(
図5)は、当該試料が不規則な結晶であり、粒径<10μmであり、結晶化度が比較的に高いことを示した。TGA試験は試料が100~160℃の間で重量が9.6%減少することを示し(
図7)、NMR試験で示された試料に9.5%トルエンが残留していたことに対応している。従って、II型結晶はトルエン溶媒化合物であった。DSCは、II型結晶がピーク温度136.92℃の附近まで加熱すると最初の吸熱ピークが現れ、ピーク温度附近まで加熱すると第2の吸熱ピークが現れることを示している。脱溶媒後、II型結晶はIII型結晶に変化した。
【0223】
III型結晶はXRPD、PLM、DSC、TGA及びDVSによって特徴評価を実行した。XRPD特性ピークの位置と強度は表3に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図4に示される通りである。PLM図(
図6)は、当該試料が不規則な結晶であることを示し、粒径<5μmである。結晶化度は比較的に高い。TGAは試料が180℃前に重量減少がほとんど(
図8)ないことを示した。DSCスペクトルは、試料の初期融点が約187℃(
図8)であることを示した。DVSの結果(
図9)は、試料が0~80%RH範囲内で吸湿性がわずか0.22%であり、やや吸湿性があることを示したが、DVS試験後は、III型結晶がIII型結晶及びIV型結晶の混合結晶に変化した(
図10)。
【0224】
II型結晶及びIII型結晶のXRPDスペクトルは、その2θで表される粉末X線回折スペクトルにおける、2θ値がそれぞれ表2、表3に示される通りである。
【0225】
【0226】
【0227】
実施例3
【0228】
IV型結晶の製造方法:
化合物A(1g)をイソプロパノール/水(5mL/5mL)に加え、20~25℃で3時間撹拌し、濾過し、ケーキを真空で乾燥させた後IV型結晶(0.90g)を得、IV型結晶の純度は99%以上であった。
【0229】
IV型結晶を100℃に加熱して完全に脱水させた後、IV型結晶はI型結晶に変化した。
【0230】
IV型結晶はXRPD、PLM、DSC及びTGAによって特徴評価を実行し、XRPD特徴ピークの位置と強度は表4で示される通りであり、XRPDスペクトルは
図11に示される通りである。PLM図(
図12)は、当該試料が不規則な結晶であり、粒径<10μmであり、結晶化度が比較的に高いことを示した。DSCスペクトルには複数の吸熱ピーク(
図13)があり、試料が加熱過程において結晶転移を起こす可能性があることを示している。TGAは、試料が室温~150℃の間で重量が16.9%減少することを示し(
図13)、含水率は4.2wt%であり、IV型結晶は化合物Aの一水合物であった。完全に脱水した後、IV型結晶はI型結晶に変化した(
図11)。
【0231】
IV型結晶のXRPDスペクトルは、その2θ角で表される粉末X線回折スペクトルにおける、2θ値は下記の表4に示される通りである。
【0232】
【0233】
実施例4
【0234】
V型結晶及びIX型結晶の製造方法:
化合物A(1g)をアセトニトリル(10mL)に加え、20~25℃で3時間撹拌し、濾過し、ケーキを真空で乾燥させた後V型結晶(0.90g)を得、V型結晶の純度は99%以上であった。
【0235】
IV型結晶は、150℃に加熱した後、V型結晶はIX型結晶に変化し、IX型結晶の純度は99%以上であった。
【0236】
V型結晶はXRPD、PLM、DSC及びTGAによって特徴評価を実行し、XRPD特徴ピークの位置と強度は表5に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図14に示される通りである。PLM図(
図15)は、当該試料が不規則な結晶であり、粒径<10μmであり、結晶化度が比較的に高いことを示した。DSC(
図16)は、試料が完全に脱溶媒後、(ピーク温度135.05℃の附近で最初の吸熱ピークが現れる)、2つの吸熱ピーク(ピーク温度192.24℃の附近まで加熱すると第2の吸熱ピークが現れ、ピーク温度218.33℃の附近まで加熱すると第3の吸熱ピークが現れる)を有し、加熱過程において結晶転移を起こす可能性があることを示している。TGA(
図16)試験は試料が70~150℃の間で重量が6.4%減少することを示し、NMR試験で示された試料に5.1%のアセトニトリルが残留していたことに対応している。従って、V型結晶はアセトニトリル溶媒化合物であった。完全に脱溶媒した後、V型結晶はIX型結晶(
図14と
図17)に変化した。
【0237】
IX型結晶はXRPD、PLM、DSC及びTGAによって特徴評価を実行し、XRPD特徴ピークの位置と強度は表6に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図17に示される通りである。PLM図(
図18)は、当該試料が不規則な結晶であり、粒径<5μmであることを示した。結晶化度は比較的に高い。DSCは、複数の吸熱ピークを有し、ピーク温度192.04℃の附近まで加熱すると最初の吸熱ピークが現れ、ピーク温度201.20℃の附近まで加熱するとに第2の吸熱ピークが現れ、ピーク温度217.55℃の附近まで加熱すると第3の吸熱ピークが現れ、試料は加熱過程において結晶転移を起こす可能性があり(
図19)、試料が加熱過程において結晶転移を起こす可能性があることを示している。TGAは試料が180℃前に重量減少がほとんど(
図19)見られなかったことを示す。
【0238】
V型結晶及びIX型結晶のXRPDスペクトルは、その2θで表される粉末X線回折スペクトルにおける、2θ値は下記の表5と表6に示される通りである。
【0239】
【0240】
【0241】
実施例5
【0242】
VI型結晶の製造方法:
化合物A(1g)をメタノール(10mL)に加え、20~25℃で3時間撹拌し、濾過し、ケーキを真空で乾燥させた後VI型結晶(0.80g)を得、VI型結晶の純度は99%以上であった。
【0243】
VI型結晶はXRPD、PLM、DSC及びTGAによって特徴評価を実行し、XRPD特徴ピークの位置と強度は表7に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図20に示される通りである。PLM図(
図21)は、当該試料が不規則な結晶であり、粒径<5μmであることを示している。結晶化度は比較的に高い。DSC(
図22)は、試料が完全に脱溶媒した後、1つの吸熱ピークがあって、試料を融解させ、開始温度は200℃であり、エンタルピー値は30J/gであった。TGA(
図22)は、試料が室温~130℃で重量が9.5%減少することを示し、DSCの広い吸熱ピークに対応し、試料を脱水又は脱溶媒し、40~50℃で溶媒及び水を除去した後、VI型結晶はVII型結晶(
図20)に変化した。
【0244】
VI型結晶のXRPDスペクトルは、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルにおける、2θ値は下記の表7に示される通りである。
【0245】
【0246】
実施例6
【0247】
VI型結晶の製造方法:
化合物A(1g)をブタノン(10mL)に加え、20~25℃で3時間撹拌し、濾過し、ケーキを真空で乾燥させた後VI型結晶(0.85g)を得、VI型結晶の純度は99%以上であった。
【0248】
VI型結晶のXRPDスペクトルは、
図20に示される通りである。
【0249】
実施例7
【0250】
VII型結晶の製造方法:
化合物A(1.5kg)をエタノール(7.5L)に加え、70~75℃で1時間撹拌し、反応系は透明であり、40~45℃に冷却させ、酢酸イソプロピル(15L)をバッチで加え、次に、真空濃縮し、エタノールを除去し、酢酸イソプロピルを複数回加えて、反応系のエタノールと酢酸イソプロピルの体積比が5%未満になるようにさせ、酢酸イソプロピルを加えて反応系の総体積を12Lに維持させ、20~25℃に冷却させ、3時間撹拌し、濾過し、ケーキを真空で乾燥させた後VII型結晶(1.4kg)を得、VII型結晶の純度は99%以上であった。
【0251】
VII型結晶はXRPD、PLM、DSC、TGA及びDVSによって特徴評価を実行し、XRPD特徴ピークの位置と強度は表8に示される通りであり、XRPDスペクトルは
図23に示される通りである。PLM図(
図24)は、当該試料が不規則な結晶であり、粒径<5μmであることを示した。結晶化度は比較的に高い。DSC(
図25)は、1つの吸熱ピークがあり、試料を融解させ、開始温度は200℃であり、エンタルピー値は102J/gであることを示した。TGA(
図25)では、試料が200℃前に重量減少がほとんど見られなかったことを示している。DVS(
図26)の結果では、0~80%RH範囲でわずか0.29%の吸湿のみを示し、やや吸湿性があり、DVS試験前後に結晶が変化しないことを示した(
図27)。
【0252】
VII型結晶のXRPDスペクトルは、2θ角で表される粉末X線回折スペクトルにおける、2θ値は下記の表8に示される通りである。
【0253】
【0254】
実施例8
【0255】
競争スラリー化実験
所定量のI型結晶、III型結晶、VII型結晶とIX型結晶を取り、ブタノン及び酢酸イソプロピルでそれぞれ競争スラリー化実験を実行し、スラリー化実験の結果は表9に示される通りであり、結果は複数のスラリー化結果からいずれもVII型結晶を得ることができることを示した。
【0256】
【0257】
III型結晶及びVII型結晶の安定性研究
III型結晶及びVII型結晶にそれぞれ、60℃の密閉と40℃/75%RH開放の7日の固体安定性と化学安定性実験を実行した。結果では、III型結晶とVII型結晶は60℃(密閉)の条件で7日間放置すると物理・化学的性質が安定であり、且つ40℃/75%RH(開放)の条件で7日間放置すると化学的性質が安定していることを示した。しかし、40℃/75%RH(開放)の条件で7日間放置すると、いずれも少量の水合物IV型結晶を生成した。その中で、III型結晶におけるIV型結晶の生成量はVII型結晶におけるIV型結晶の生成量より多かった。実験結果は表10及び
図28に示される通りである。
【0258】
【0259】
III型結晶及びVII型結晶に対する湿度影響試験
安定性実験の結果からIII型結晶及びVII型結晶は、40℃/75%RH(開放)の条件で7日間放置すると、いずれも少量の水合物IV型結晶を生成することがわかった。従って、更に40℃でそれに対する湿度影響研究を実行した。
【0260】
すべての実験結果は表11と
図29~33に示される通りである。III型結晶(
図29)及びVII型結晶(
図30)は70%RHで23時間放置すると、物理性質が安定であり、80%と90%RHで23時間放置すると、いずれも少量の水合物IV型結晶が生成し、40℃の真空で一晩乾燥させた後その水合物IV型結晶は、水合物XV型結晶に変化するが、80℃の真空で3日間乾燥させることで当該水合物IV型結晶を完全に除去することができた(
図32、
図33)。
【0261】
湿度試験結果は、III型結晶及びVII型結晶は70%RH以下で物理的性質が安定であるが、70%RH以上では少量の水合物IV型結晶を生成し、且つ当該水合物は80℃で真空乾燥させることにより除去することができることを示している。
【0262】
【0263】
溶解度試験
III型結晶及びVII型結晶の溶解度は、いずれも生物学的媒体のpH値の低下に連れ、溶解度が増加した。2つの結晶はすべてSGFで溶解度が最大であり(0.323mg/mL VS 0.183mg/mL@0.5h)、FaSSIFで溶解度が最小であった(0.034mg/mL VS 0.025mg/mL@0.5h)。3つの生物学的媒体において、III型結晶の0.5hでの溶解度はVII型結晶の1.5倍であった。2つの結晶は溶解度の試験過程において、撹拌時間の延長に連れ、所定の分解が見られた。すべての実験結果は表12と
図34~35に示される通りである。III型結晶及びVII型結晶は、3つの生物学的媒体でいずれも結晶の変化が見られた。FaSSIFとSGFでIII型結晶はいずれもIV型結晶に変化し、FeSSIFではIII型結晶は、IV型結晶とXIII型結晶の混合結晶に変化した。FaSSIFとFeSSIFでは、VII型結晶はいずれもIV型結晶に変化し、SGFでは、VII型結晶はIV型結晶とXV型結晶の混合結晶に変化した。3つの生物的媒体において、III型結晶とVII型結晶のHPLC純度は、いずれも所定に低下した(生物学的媒体に入れる前のHPLCの純度は100%とした)。従って、当該化合物は生物学的媒体において不安定である(表13)。
【0264】
【0265】
【0266】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原理の範囲内で行われる任意の修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】