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特表2024-510655切換式ブレーキシステム、BBWモジュール及び切換式ブレーキシステムのための切換装置
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  • 特表-切換式ブレーキシステム、BBWモジュール及び切換式ブレーキシステムのための切換装置 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】切換式ブレーキシステム、BBWモジュール及び切換式ブレーキシステムのための切換装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/122 20060101AFI20240301BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240301BHJP
   B60T 8/92 20060101ALI20240301BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B60T13/122 A
B60T8/17 B
B60T8/92
B60T13/138 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557434
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 IB2022052310
(87)【国際公開番号】W WO2022195466
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021000006437
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ウルソ,ジャコモ
(72)【発明者】
【氏名】オドーニ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ペセンティ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】アリエンティ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048AA06
3D048BB01
3D048CC05
3D048CC54
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH38
3D048HH50
3D048HH66
3D048HH68
3D048PP03
3D048RR06
3D246AA08
3D246BA02
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB37
3D246LA04Z
3D246LA15Z
3D246LA37B
3D246LA57Z
3D246LA73Z
3D246MA21
3D246MA23
(57)【要約】
切換式ブレーキシステム(1)のための切換装置(16)は、第1の切換位置と第2の切換位置とに切換可能な油圧選択弁(21)と、油圧選択弁(21)を第1の切換位置から第2の切換位置に切換えるための、電気的にトリガ可能な切換作動装置(28)とを備えている。切換装置(16)は、i)流体機械力、弾性力、機械力、永久磁石力からなる群から選択される非電磁的な停止力によって、油圧選択弁(21)を第2の切換位置で停止させる切換保持システム(29)、またはii)増幅システム(30)を有する。増幅システムは、ポテンシャルエネルギの非電気的蓄積器(31)、ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)と油圧選択弁(21)との接続を解除および接続するための切換可能なコネクタ(32)を有する。アクチュエータ(33)が、ポテンシャルエネルギの蓄積器(31)を油圧選択弁(21)に接続するために、切換可能なコネクタ(32)に作動力を加える。作動力は、油圧選択弁(21)を切り換えて第2の切換位置に維持するためにポテンシャルエネルギの蓄積器(31)によって油圧選択弁(21)に加えられる切換力よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気トラクションモータ(2)が、車両の少なくとも1つの車軸(3)に接続され、トラクションモータとして、またエネルギ回収を伴う電磁ブレーキ装置として使用される、特に電動式自動車用のブレーキシステム(1)であって、
(A)ドライバ作動部材(6)によって作動可能なマスタブレーキポンプ(5)と、前記マスタブレーキポンプ(5)を前記ブレーキシステム(1)の少なくとも1つの油圧ブレーキ(8)と連通させる直接油圧ライン(7)と、を備えた直接ブレーキ回路(4)と、
(B)電気的に作動可能な制御ブレーキポンプ(11)と間接油圧ライン(13)を備え、前記制御ブレーキポンプ(11)を前記ブレーキシステム(1)の前記油圧ブレーキ(8)に連通させる間接ブレーキ回路(10)と、
(C)弾性反力部材(15)の弾性バイアスに抗して膨張可能なコンプライアンス容積を内部に画定する油圧コンプライアンス室(14)と、
(D)直接ブレーキ構成と間接ブレーキ構成との間で前記ブレーキシステム(1)を切り替えるように作動可能な少なくとも1つの切換装置(16)であって、
前記直接ブレーキ構成では、前記切換装置(16)は、前記マスタブレーキポンプ(5)を前記油圧ブレーキ(8)と流体連通状態にし、前記制御ブレーキポンプ(11)と前記油圧ブレーキ(8)との間の流体連通を遮断し、
前記間接ブレーキ構成では、前記切換装置(16)は、前記制御ブレーキポンプ(11)を前記油圧ブレーキ(8)と流体連通させ、前記マスタブレーキポンプ(5)と前記油圧ブレーキ(8)との間の流体連通を遮断し、前記マスタブレーキポンプ(5)を前記油圧コンプライアンス室(15)と連通させる、少なくとも1つの切換装置(16)と、
(E)前記制御ブレーキポンプ(11)および前記切換装置(16)と接続された少なくとも1つの電子制御装置(18)とを備えており、
前記切換装置(16)は油圧選択弁(21)を有し、
前記油圧選択弁(21)は、
前記マスタブレーキポンプ(5)と連通する第1の開口部(22)、前記制御ブレーキポンプ(11)と連通する第2の開口部(23)、前記油圧ブレーキ(8)と連通する第3の開口部(24)、および前記油圧コンプライアンス室(14)と連通する第4の開口部(25)と、
選択的連通路(27,27',27'',27''')を形成し、前記マスタシリンダ(5)が前記油圧ブレーキ(8)と連通し且つ前記従動シリンダ(11)が前記油圧コンプライアンス室(15)と連通する前記直接ブレーキ構成に対応する第1の切換位置と、前記制御ブレーキポンプ(11)が前記油圧ブレーキ(8)と連通し且つマスタシリンダ(5)が前記油圧コンプライアンス室(15)と連通する第2の切換位置との間の切換ストロークに沿って、前記第1の開口部(22)及び前記第2の開口部(23)に対して、また、前記第3の開口部(24)及び前記第4の開口部(25)に対してスライドするシャッタ装置(26)と、
前記マスタシリンダ(5)が前記油圧ブレーキ(8)と連通し且つ前記従動シリンダ(11)が前記油圧コンプライアンス室(15)と連通する、前記直接ブレーキ構成に対応する第1の切換位置と、
前記制御ブレーキポンプ(11)が前記油圧ブレーキ(8)と連通し且つ前記マスタシリンダ(5)が前記油圧コンプライアンス室(15)と連通する、前記間接ブレーキ構成に対応する第2の切換位置と、
前記シャッタ装置(26)を前記第1の切換位置から前記第2の切換位置にスライドさせるための、電気的にトリガ可能な切換作動装置(28)を備え、
前記切換装置(16)が、
i) 流体機械力、弾性力、機械力、永久磁石力からなる群から選択される非電磁的な停止力によって、前記シャッタ装置(26)を前記第2の切換位置に停止させる切換保持システム(29)、
または
ii) 非電気的なポテンシャルエネルギ蓄積器(31)と、前記ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)を前記油圧選択弁(21)の前記シャッタ装置(26)から切り離したり前記シャッタ装置(26)に接続したりするための切換可能なコネクタ(32)とを備えた、
増幅システム(30)を有し、
前記切換作動装置(28)のアクチュエータ(33)が、前記ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)を前記シャッタ装置(26)に接続するために前記切換可能なコネクタ(32)に作動力を加え、
前記作動力は、前記シャッタ装置(26)を前記第2の切換位置に移動または維持するために前記ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)によって前記シャッタ装置(26)に加えられる切換力よりも小さい、ブレーキシステム。
【請求項2】
前記切換保持システム(29)は前記増幅システム(30)も形成し、
前記ブレーキシステム(1)への電力供給が完全に停止した場合、前記油圧選択弁(21)は、前記直接ブレーキ構成に対応する前記第1の切換位置に自動的に機械的に移動する、請求項1に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項3】
前記シャッタ装置(26)が、直線的な切換ストロークに沿って直線的に摺動可能で且つ前記第1の切換位置に向かって永久的に弾性的にバイアスされており、
前記切換作動装置(28)が、リニアアクチュエータを含み、それぞれの前記第1の切換位置および/または前記第2の切換位置に向かって前記シャッタ装置(26)に直線的な並進推力を加えるように構成されている、請求項1または2に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項4】
非電気的な前記ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)は、圧縮ガス蓄積器34、弾性ばね(35)、または永久磁石(36)を有し、
対応する前記切換可能なコネクタ(32)は、空圧式セレクタまたはON/OFFバルブ(37)、機械式カップリング/デカップリング機構(38)、磁気式カップリング機構(39)、または永久磁石(36)の変位機構(40)を有する、請求項1-3のいずれか1項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項5】
前記切換装置(16)が、
前記油圧選択弁(21)の前記シャッタ装置(26)に接続された空気圧アクチュエータ(41)と、
圧縮ガス蓄積器(34)と、
前記圧縮ガス蓄積器(34)と前記空気圧アクチュエータ(41)の間に接続された空気圧弁(37)とを有し、
前記空気圧弁(37)が、前記電子制御装置(18)によって制御されて、
前記圧縮ガス蓄積器(34)が空気圧アクチュエータ(41)から切り離され、空気圧アクチュエータ(41)がベント口(42)に接続されている閉位置と、圧縮ガス蓄積器(34)が空気圧アクチュエータ(41)と連通している開位置と、の間を移動可能であり、
前記空気圧弁(37)が前記開位置にあるとき、前記圧縮ガス蓄積器(34)は前記空気圧アクチュエータ(41)にガス圧を加え、前記シャッタ装置(26)を前記第1の切換位置から前記第2の切換位置に移動させて、圧縮ガスの流体圧によって前記シャッタ装置(26)を前記第2の切換位置に押し続けて保持し、
前記空気圧弁(37)が前記閉位置に戻ると、前記戻しばね(45)が前記油圧選択弁(21)の前記シャッタ装置(26)を前記第1の切換位置に押し、それによって残留ガス圧が前記ベントポート(42)を通じて解放され、前記マスタシリンダ(5)が前記油圧ブレーキ(8)に接続され、前記制御ブレーキポンプ(11)が前記油圧コンプライアンス室(14)に接続される、請求項1-4のいずれか1項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項6】
前記空気圧弁(37)は、前記閉位置に向かって永久的に弾性的に付勢されており、その電気的作動によって前記開位置へ移動され、
前記空気圧弁(37)が電気的に作動されない場合、前記空気圧弁(37)は自動的に機械的に前記閉位置に移動し、前記ガス蓄積器(34)を前記空気圧アクチュエータ(41)から切り離し、前記油圧選択弁(21)が自動的に前記直接ブレーキ構成に対応する前記第1の切換位置に移動する、請求項5に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項7】
前記切換装置(16)が、
前記ガス蓄積器(37)に接続されたガス装填ソケット(46)と、
前記ガス蓄積器(37)と連通し、前記電子制御装置(18)および/または車両制御装置(19)と信号接続され、ガス圧信号を供給するように構成されたガス圧センサ(47)と、を備えている、請求項5または6に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項8】
前記油圧ブレーキ(8)と連通し、キャリパ圧力信号を供給するキャリパ圧センサ(49'、49)、および/または、
前記制御ブレーキポンプ(11)と連通し、指令圧力信号を供給するように構成された指令圧力センサ(48)を備え、
前記電子制御装置(18)が、キャリパ圧力信号および/または制御圧力信号に従って、前記切換装置(16)および前記制御ブレーキポンプ(11)を制御する、請求項5から7のいずれか1項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項9】
個々に製造可能であり且つ前記ブレーキシステム(1)に取り付け可能である、請求項1-8のいずれか1項に記載のブレーキシステム(1)のためのBBWモジュール(56、56'、56''、56'''')であって、
前記マスタブレーキポンプ(5)に接続するためのマスタ油圧ポート(50)と、前記油圧ブレーキ(8)に接続するためのブレーキ油圧ポート(51)とを有する、前記直接油圧ライン(7)と、
電気駆動部(12)を有し、また前記油圧リザーバ(20)に接続するための油圧リザーバポート(53)を有する、前記制御ブレーキポンプ(11)と、
前記間接油圧ライン(13)と、
前記油圧コンプライアンス室(14)と、
前記切換装置(16)と、
前記電子制御装置(18)と
前記車両の電子制御ユニット(19)に接続するための少なくとも1つの信号接続インターフェース(54、65、66)と、
電力供給コネクタ(55)と、を備えたBBWモジュール(56、56'、56''、56'''')。
【請求項10】
前記BBWモジュール(56、56'、56''、56''')が、前記マスタブレーキポンプ(5)と、マスタ圧力センサ(17)と、前記マスタ圧力センサ(17)を車両の制御ユニット(19)に信号接続するためのマスタ信号コネクタ(57)と、をさらに含む、請求項9に記載のBBWモジュール(56、56'、56''、56''')。
【請求項11】
請求項9に記載の前記BBWモジュール(56)を備え、
前記マスタブレーキポンプ(5)が、多重出力ピストンシリンダアセンブリ(58)を備えており、
前記多重出力ピストンシリンダアセンブリ(58)が、前記BBWモジュール(56)の前記マスタ油圧ポート(50)に接続可能な第1の油圧ライン(59)を有するとともに、車両の1つまたは複数のさらなる油圧ブレーキ(61)に直接接続された第2の油圧ライン(60)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項12】
請求項9に記載の第1のBBWモジュール(56)と、請求項9に記載の第2のBBWモジュール(56')とを備え、
前記マスタブレーキポンプ(5)が、前記第1のBBWモジュール(56)の前記マスタ油圧ポート(50)に接続可能な第1の油圧ライン(59)と、前記第2のBBWモジュール(56')の前記マスタ油圧ポート(50)に接続可能な第2の油圧ライン(60)と、を有する多重出力ピストンシリンダアセンブリ(58)を備え、
前記第1のBBWモジュールおよび前記第2のBBWモジュール(56、56')の前記ブレーキ油圧ポート(51)は、異なる独立制御可能な油圧ブレーキ(8、8')または油圧ブレーキアセンブリ(8、8')に接続可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項13】
請求項9に記載の第1のBBWモジュール(56)と、請求項9に記載の第2のBBWモジュール(56')とを備え、
前記マスタブレーキポンプ(5)が、前記第1のBBWモジュール(56)の前記マスタ油圧ポート(50)に接続可能な第1の油圧ライン(59)と、前記第2のBBWモジュール(56')の前記マスタ油圧ポート(50)に接続可能な第2の油圧ライン(60)とに分岐された単一の油圧出口(64)を備え、
前記第1のBBWモジュールおよび前記第2のBBWモジュール(56、56')の前記ブレーキ油圧ポート(51)は、2つの異なる独立して制御可能な油圧ブレーキ(8、8')または油圧ブレーキアセンブリ(8、8')に独立して接続可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項14】
請求項9に記載の4つのBBWモジュール(56、56'、56''、56'''')を備え、
前記マスタブレーキポンプ(5)が、2つの別個の油圧出口(64、64')を有するピストンシリンダアセンブリを有し、
前記油圧出口(64、64')のそれぞれが、第1の油圧ライン(59、59')と第2の油圧ライン(60、60')とに分岐しており、
4つの油圧ライン(59、 60、59'、60'')は、4つのBBWモジュール(56、56'、56''、56'''')の前記マスタ油圧ポート(50)に接続可能であり、
4つのBBWモジュール(56、56'、56''、56'''')の前記油圧ブレーキポート(51)は、4つの油圧ブレーキ(8、8'、8''、8'''')または4つの異なる独立して制御可能な油圧ブレーキグループに独立して接続可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(1)。
【請求項15】
個々に、製造可能で且つ前記ブレーキシステム(1)に取り付け可能であり、
前記スイッチングモジュールは前記切換装置(16)を備える、請求項1から8までのいずれか1項に記載のブレーキシステム(1)のためのスイッチングモジュール。
【請求項16】
切換可能なブレーキシステム(1)のための切換装置(16)であって、第1の切換位置と第2の切換位置とに切換可能な油圧選択弁(21)と、前記油圧選択弁(21)を前記第1の切換位置から前記第2の切換位置に切換えるための電気的にトリガ可能な切換作動装置(28)と、を備えた切換装置(16)であって、
(i) 流体機械力、弾性力、機械力、永久磁石力からなる群から選択される非電磁的な停止力によって、前記油圧選択弁(21)を前記第2の切換位置で停止させる切換保持システム(29)、
または
ii) 増幅システム(30):
ポテンシャルエネルギの非電気的蓄積器(31)と、
前記ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)と前記油圧選択弁(21)との接続を解除および接続するための切換可能なコネクタ(32)とを有し、
アクチュエータ(33)が、ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)を前記油圧選択弁(21)に接続するために、前記切換可能なコネクタ(32)に作動力を加え、
前記作動力は、前記油圧選択弁(21)を切り換えて前記第2の切換位置に維持するために前記ポテンシャルエネルギの蓄積器(31)によって前記油圧選択弁(21)に加えられる切換力よりも小さい、切換装置(16)。
【請求項17】
車両の前記電子制御ユニット(19)と前記電子制御装置(18)との間にあって前記電子制御装置(18)の第1の制御信号を送信するための第1の有線接続(65)であって、前記第1の制御信号は前記電子制御装置(18)のプロセッサとソフトウェアに受け入れられて処理される、第1の有線接続(65)と、
車両の前記電子制御ユニット(19)と前記ブレーキシステム(1)との間にあって、電力供給の有効/無効の信号および/またはスイッチング作動装置(28)の有効の信号のための第2の有線接続(66)であって、前記第2の有線接続(66)は、前記第1の有線接続(65)とは別個であり、前記電子制御装置のプロセッサおよびソフトウェア(18)をバイパスする、第2の有線接続(66)とを備える、請求項1から8までの1項に記載のブレーキシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシステムに関し、特に、少なくとも1つの電気トラクションモータが少なくとも1つの車軸に接続され、トラクションモータとして使用されるとともに、運動エネルギを電気エネルギに回収するための電磁ブレーキ装置(ブレーキダイナモ)としても使用される、電動式自動車用のブレーキシステムに関する。本発明はさらに、スイッチング可能なブレーキシステムのための切換装置およびBBW(Brake By Wire)モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
切換可能なブレーキシステムは、以下のものを有する。
【0003】
(A) 運転者の作動部材、特にブレーキペダルまたはブレーキレバーによって作動可能なマスタブレーキポンプ(またはマスタブレーキポンプ-ピストンアセンブリ)と、マスタブレーキポンプをブレーキシステムの少なくとも1つの油圧ブレーキ、例えば車両の車輪または車軸に関連するブレーキと連通させる直接油圧ラインまたは回路とを備えた直接(または手動)ブレーキシステムまたは回路。
【0004】
(B) 電気機械式アクチュエータ、場合によっては減速機、特にスクリューアクチュエータによって作動可能な制御ブレーキポンプ(または制御シリンダ-ピストンアセンブリ)と、制御ブレーキポンプをブレーキシステムの油圧ブレーキと連通させる間接油圧ラインまたは回路とを備えた間接(または制御)ブレーキシステムまたは回路。
【0005】
(C) 油圧コンプライアンス室、言い換えれば、システム吸収シミュレータであって、弾性反力部材、例えば弾性ばねの弾性バイアスに抗して膨張可能なコンプライアンス容積を内部に画定するもの。
【0006】
(D) 制動システムを直接制動構成と間接制動構成との間で切り換える少なくとも1つの電気的に作動可能な切換装置であって、
【0007】
直接ブレーキ構成では、切換装置は、マスタブレーキポンプを油圧ブレーキと流体連通させ、制御ブレーキポンプと油圧ブレーキとの間の流体連通を遮断し、場合によっては、制御ブレーキポンプをコンプライアンス室と連通させ、
【0008】
間接ブレーキ構成では、切換装置は、制御ブレーキポンプを油圧ブレーキと流体連通状態にし、マスタブレーキポンプと油圧ブレーキとの間の流体連通を遮断し、マスタブレーキポンプをコンプライアンス室と連通状態にする。
【0009】
(E) 切換装置と電気機械式アクチュエータとを制御するために、電気機械式アクチュエータと切換装置とに接続された少なくとも1つの電子制御装置。
【0010】
間接ブレーキ構成において、少なくとも1つの制御ブレーキポンプが車両の少なくとも1つの油圧ブレーキに接続され、マスタブレーキポンプの圧力室がコンプライアンス室に接続されている場合、電子制御装置は、例えば(油圧)消散ブレーキと(電磁)回生ブレーキの所望の比率に基づいて定義された消散ブレーキ目標値または目標強度の関数として油圧ブレーキのブレーキ強度を調整する。実施態様では、散逸制動目標値または目標強度を決定し、それをさらに専用の電子制動制御装置に伝達する車両電子制御装置を設けることができる。
【0011】
コンプライアンス室の弾性反力部材の弾性力は、ブレーキペダルの力に対する反作用を運転者に提供し、運転者が要求する制動強度を示す圧力値をマスタ圧力センサに提供する。
【0012】
直接ブレーキ構成において、マスタブレーキポンプが車両の少なくとも1つの油圧ブレーキに接続され、すべての制御ブレーキポンプが油圧ブレーキから流体的に分離され、場合によってはコンプライアンス室に接続されるとき、ブレーキシステムは専ら(油圧)消散ブレーキを可能にする。
【0013】
現在、回生ブレーキと散逸ブレーキを備えた車両用のこれらの切り替え可能なブレーキシステムは、直接ブレーキ構成と間接ブレーキ構成の切り替えを直接制御するために、少なくとも1つのソレノイドバルブを使用している。制御されたブレーキポンプを油圧ホイールブレーキに接続し続けるために、切換ソレノイドバルブは継続的に電気エネルギを消費するため、システム全体の動作範囲が狭くなる。ソレノイドバルブは、2種類のブレーキの切り替えを可能にする油圧バルブの大きな負荷に直接かつ継続的に作用しなければならないため、バルブのソレノイドは、長時間大きな電磁界を維持できるサイズでなければならない。この結果、高価で重くかさばるソレノイドを備えた大型のソレノイドバルブを使用する必要が生じる。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明の目的は、特に電気的に作動する自動車用のブレーキシステムであって、少なくとも1つの電気トラクションモータが少なくとも1つの車軸に接続され、トラクションモータとしても電磁ブレーキ装置としても使用され、電気エネルギの消費を低減し、その結果、自動車のエネルギ範囲を拡大するような特徴を有するブレーキシステムを利用可能にすることである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、特に切換電磁弁に関して、制動装置構成部品のコストおよび寸法を低減することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、革新的な切換状態保持機能を有する、直接制動構成と間接制動構成との間で切換可能な制動システムを利用可能にすることである。
【0017】
これらの目的は、請求項1による切換可能なブレーキシステムと、請求項9によるBBWモジュールと、請求項15による切換モジュールとによって達成される。
【0018】
従属請求項は、有利で好ましい実施形態に関する。
【0019】
本発明の一態様によれば、切換装置(16)は、第1の切換位置と第2の切換位置とに切換可能な油圧選択弁(21)と、油圧選択弁(21)を第1の切換位置から第2の切換位置に切換えるための、電気的にトリガ可能な切換作動装置(28)とを備えており、切換装置(16)は、以下のいずれかの少なくとも1つを備えている。
i)流体機械力、弾性力、機械力、永久磁石力からなる群から選択される非電磁的な停止力によって、油圧選択弁(21)を第2の切換位置で停止させる切換保持システム(29)。
【0020】
または
ii)- ポテンシャルエネルギの非電気的蓄積器(31)と、
- ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)と油圧選択弁(21)との接続を解除および接続するための切換可能なコネクタ(32)とを有し、
アクチュエータ(33)が、ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)を油圧選択弁(21)に接続するために、切換可能なコネクタ(32)に作動力を加え、前記作動力が、ポテンシャルエネルギ蓄積器(31)によって油圧選択弁(21)に加えられる、それを切り換えて第2の切換位置に維持するための切換力よりも小さい、増幅システム(30)。
【0021】
切換保持システム
【0022】
位置保持システムは、例えば、弾性バイアスシステム、金属バネ、ガスバネ、または機械的スナップアクションシステム、ラチェット歯、永久磁石などで構成することができ、電気エネルギを著しく引き出すことなく、設定された切換位置を長時間維持するように構成される。
【0023】
電気的に作動する作動に加えて、非電磁的なスイッチング保持システムを使用することにより、切換装置は、従来技術のシステムよりも軽量かつ小型にすることができ、電気エネルギの消費が少なく、安価である。
【0024】
さらに、(特に非電磁的な)切換保持システムにより、特別に構成された油圧選択弁、例えば正確に2つの位置を有する弁と組み合わせて、無計画なハイブリッド位置決めやシャッタ装置の誤った位置決めの危険性なしに、正確な切換状態を保証することができ、その結果、ブレーキシステム全体の安全性がより保証される。
【0025】
増幅システム
【0026】
電気的に作動する作動に加え、増幅システムにより、間接的な制動構成で制動システムを維持するために必要な電気エネルギは、直接電磁的に作動して油圧選択弁を維持するよりもはるかに少なくて済む。全体として、切換装置は、先行技術のシステムよりも軽量かつ小型にすることができ、電気エネルギの消費が少なく、安価である。
【0027】
(非電気的な)ポテンシャルエネルギ蓄積器は、例えば、空気圧蓄積器(ガス蓄積器)または弾性ばね、または永久磁石から構成することができる。対応するスイッチングコネクタは、空気圧セレクタまたはオン/オフバルブ、機械的カップリング/デカップリング機構、磁気カップリング機構、または永久磁石の変位機構で構成することができる。
【0028】
特に有利な点として、スイッチング位置保持システムは増幅システムも実施し、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明をより良く理解し、その利点を理解するために、非限定的な例示的実施形態の説明を、図面を参照して以下に提供する。
【0030】
図1A図1Aは、本発明の2つの実施形態による切り替え可能なブレーキシステムの斜視図である。
図1B図1Bは、本発明の2つの実施形態による切り替え可能なブレーキシステムの斜視図である。
【0031】
図2図2は、図1のブレーキシステムを直接ブレーキ構成(運転者が直接ブレーキをかける)で示す。
【0032】
図3図3は、間接ブレーキ構成(電子制御装置によって制御されるブレーキポンプによって間接的に加えられるブレーキ)の図1のブレーキシステムを示す。
【0033】
図4図4は、第1の実施形態による、電気トラクションを有する車両に組み込まれたBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムを図式的に表したものである。
【0034】
図5図5は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
図6図6は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
図7図7は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
図8図8は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
図9図9は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
図10図10は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
図11図11は、さらなる実施形態による、電気牽引を有する車両に統合された1つまたは複数のBBW(Brake By Wire)モジュールを有する切換可能なブレーキシステムの図式的表現である。
【0035】
図12図12は、図1の細部の拡大図である。
【0036】
図13図13は、さらなる実施形態による切換式ブレーキシステムの切換装置の斜視図である。
図14図14は、さらなる実施形態による切換式ブレーキシステムの切換装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
切換式ブレーキシステム1
【0038】
図には、特に電動式自動車用のブレーキシステム1が示されており、少なくとも1つの電気トラクションモータ2が、車両の少なくとも1つの車軸3に接続され、トラクションモータとして、および電気エネルギに変換された運動エネルギを回収するための電磁ブレーキ装置(ブレーキダイナモ)として使用される。ブレーキシステム1は、以下の構成を有する。
【0039】
(A)運転者作動部材6、特にブレーキペダルまたはブレーキレバーによって作動可能なマスタブレーキポンプ5(またはマスタシリンダ-ピストン組立体)と、マスタブレーキポンプ5をブレーキシステム1の少なくとも1つの油圧ブレーキ8、例えば車両の車輪9または車輪9の車軸3に関連するブレーキ8と連通させる直接油圧ライン7とを備えた直接(または手動)ブレーキ回路4。
【0040】
(B)電気的又は電気機械的アクチュエータ12、場合によっては減速機、特にスクリュー駆動装置によって作動可能な制御ブレーキポンプ11(又は制御シリンダ-ピストンアセンブリ)と、制御ブレーキポンプ11をブレーキシステム1の油圧ブレーキ8と連通させる間接油圧ライン13とを備えた間接(又は制御)ブレーキ回路10。
【0041】
(C)油圧コンプライアンス室14。この室は、弾性反力部材15、例えば弾性ばねの弾性バイアスに抗して膨張可能なコンプライアンス容積を内部に画定する。
【0042】
(D)制動装置1を直接制動構成(図2)と間接制動構成(図3)との間で切り換えるために作動可能な少なくとも1つの切換装置16。
【0043】
直接ブレーキ構成(図2)では、切換装置16は、マスタブレーキポンプ5を油圧ブレーキ8と流体連通させ、制御ブレーキポンプ11と油圧ブレーキ8との間の流体連通を遮断し、場合によっては、制御ブレーキポンプ11を油圧コンプライアンス室14と連通させる。
【0044】
間接ブレーキ構成(図3)では、切換装置16は、制御ブレーキポンプ11を油圧ブレーキ8と連通状態にし、マスタブレーキポンプ5と油圧ブレーキ8との間の油圧連通を遮断し、マスタブレーキポンプ5を油圧コンプライアンス室15と連通状態にする。
【0045】
(E) 電動アクチュエータ12および切換装置16に接続された少なくとも1つの電子制御装置18。
【0046】
マスタブレーキポンプ5と流体連通するマスタ圧力センサ17を設けることができ、これはドライバブレーキ圧信号を提供し、キャリパ圧センサ49'は、1つまたは複数の油圧ブレーキ8と連通し、キャリパ圧力信号を提供する。マスタ圧センサ17は、例えば電子車両制御ユニット19にドライバブレーキ圧信号を供給する。マスタ圧センサ17に追加的または代替的に、マスタペダルストロークセンサが設けられてもよく、このマスタペダルストロークセンサは、例えば同様のペダルストローク信号を電子車両制御ユニット19に供給する。電子車両制御ユニット19は、圧力信号および/またはペダルストローク信号に従って、間接制動用の目標圧力値または強度値を生成する。キャリパ圧センサ49'は、制動システム1が、制動システム1の電子制御装置18に提供される決定された目標値と一致する間接ブレーキ圧を提供することをチェックするために、電子車両制御ユニット19に接続されることができる。キャリパ圧センサ49は、電子制御装置18によるフィードバック制御を実行するために、キャリパ圧力信号をブレーキシステム1の電子制御装置18に供給する。
【0047】
制動システムの電子車両制御ユニット19および電子制御装置18ならびにそれらの機能は、単一の電子制御装置に統合されていてもよいし、相互に信号通信可能に接続された複数の電子制御装置に分散されていてもよい。
【0048】
電子制御装置18は次のものと信号接続されている。
- 少なくともキャリパ圧センサ49、または
- 少なくとも制御圧センサ48、または
- キャリパ圧センサ49と制御圧センサ48の両方、
電子制御装置18は、以下に従って切換装置16を制御する。
- SWイネーブル信号
- HWイネーブル信号、または
- SWおよびHWイネーブル信号、
電子制御装置18は、制御されたブレーキポンプ11の電動アクチュエータ12を、以下に従って制御する。
- キャリパ圧力信号
- 制御圧力信号、または
- キャリパ圧力信号、または制御圧力信号、またはキャリパ圧力信号および制御圧力信号。
【0049】
車両制御装置19から受信した間接ブレーキ用の目標圧力値/目標強度値に従って、制御ブレーキポンプ11の電動アクチュエータ12を制御する。間接制動構成において、少なくとも1つの制御ブレーキポンプ11が車両の少なくとも1つの油圧ブレーキ8に接続され、(マスタブレーキポンプ5の圧力室が)コンプライアンス室14に接続されているとき、電子制御装置18は、油圧ブレーキ8の制動強度を、例えば、所望/目標(油圧)消散制動および(電磁)回生制動の関数として調整する。実際には、車両制御ユニット19は、散逸制動と電磁回生制動との比に応じて間接制動圧/強度目標値を決定し、間接制動圧/強度目標値を電子制御装置18に送信する。
【0050】
この構成では、電子制御装置18に接続された車両電子制御ユニット19は、トラクションモータ2を介した電気エネルギ回生による電磁制動と、油圧ブレーキ8を介した油圧消散制動との両方を制御する。したがって、車両電子制御ユニット19は、必要な消散油圧制動を発生させるために、電子制御装置18を含むBBWモジュール56を制御することができる。
【0051】
コンプライアンス室14の弾性反力部材15の弾性力は、ドライバ作動部材6(ブレーキペダル)上の力に対する反作用をドライバに提供し、ドライバによって要求されるブレーキ強度を示す圧力値をマスタ圧力センサ17に提供する。
【0052】
直接ブレーキ構成において、マスタブレーキポンプ5が車両の少なくとも1つの油圧ブレーキ8に接続され、1つまたはすべての制御ブレーキポンプ11が1つまたは複数の油圧ブレーキ8から流体的に分離され、場合によってはコンプライアンス室14に接続されている場合、ブレーキシステム1は、専ら(油圧)消散ブレーキを可能にする。
【0053】
実施形態によれば、制御可能なマスタシリンダ11の電動アクチュエータ12は、例えばDC電気モータであってもよく、油圧ブレーキ8は、例えば固定キャリパまたはフローティングキャリパを備えた(油圧作動式)ディスクブレーキであってもよく、ブレーキシステム1は、例えばマスタブレーキポンプ5および/または制御ブレーキポンプ11に接続された1つまたは複数の作動油リザーバ20を備えていてもよい。
【0054】
切換装置16は、油圧選択弁21(例えば、リニア四方油圧弁)からなり、次のものを有する。
【0055】
マスタブレーキポンプ5と連通する第1の開口部22;
【0056】
制御ブレーキポンプ11と連通する第2の開口部23;
【0057】
油圧ブレーキ8の(1つまたは複数の)油圧アクチュエータと連通する第3の開口部24;
【0058】
油圧コンプライアンス室14と連通する第4の開口部25;
【0059】
選択的な連通路(例えば4つ)27,27',27'',27'''を形成し、第1の切換位置と第2の切換位置の切換ストロークに沿って、第1開口部22と第2開口部23に対して、また第3開口部24と第4開口部25に対して、摺動するシャッタ装置26;
【0060】
[第1の切換位置は、第1の開口部22が第3の開口部24と連通し、任意に第2の開口部23が第4の開口部25と連通する位置(図2、直接ブレーキ構成に対応)]
【0061】
[第2の切換位置は、第1の開口部22が第4の開口部25と連通し、第2の開口部が第3の開口部24と連通している位置(図3、間接制動構成に対応)]
【0062】
電気的にトリガ可能な、シャッタ装置26を第1の切換位置から第2の切換位置へ、またはその逆にスライドさせる切換作動装置28。
【0063】
一実施形態によれば、油圧選択弁21(より正確には、シャッタ装置26)は、(戻しばね45を介して)第1の切換位置に向けて永久的に弾性的に付勢されており、その作動によって第2の切換位置に移動する。切換作動装置28が電動式でない場合、およびブレーキシステム1への電力供給が完全にない場合、油圧選択弁21のシャッタ装置26は、直接ブレーキ構成に対応する第1の切換位置に自動的に移動する。
【0064】
有利なことに、油圧選択弁21は、通信路が部分的に重なる位置がなく、切換状態の確実性を保証する。あるいは、油圧選択弁21は、連絡通路が部分的に重複する中間的な切換位置のために構成されていてもよい。
【0065】
切換作動装置28は、例えば、電磁アクチュエータ(ソレノイド)、または油圧アクチュエータ、電気モータ、特に電気リニアモータ、または空気圧アクチュエータで構成することができ、電子制御装置18に接続され、電気制御信号を介して電子制御装置18によって制御可能である。
【0066】
切換装置16の構造全体をさらに単純化するために、シャッタ装置26は、直線的な切換ストロークに沿って直線的に摺動可能であり、切換作動装置28は、リニアアクチュエータから構成され、シャッタ装置26に直線的な並進推力を加える。
【0067】
切換保持システム29
【0068】
本発明の一態様によれば、切換装置16は、例えば流体機械力、弾性力、機械力、永久磁石力の群から選択される非電磁的な停止力によって、第1および第2の切換位置の各々においてシャッタ装置26をバイアスおよび/または停止させる切換保持システム29をさらに備える。
【0069】
切換保持システム29は、例えば、弾性バイアスシステム、金属バネ、ガスバネ、または機械的スナップシステム、ラチェット歯、永久磁石等から構成することができ、電気エネルギを著しく引き出すことなく、設定された切換位置を長時間維持するように構成される。
【0070】
電気的に作動可能または電気的にトリガ可能なスイッチング作動システム28に加えて、または電気的にトリガ可能なスイッチング作動システム28と組み合わせて、非電磁的な停止力を有するスイッチング保持システム29のおかげで、切換装置16は、先行技術のシステムよりも軽量かつ小型にすることができ、電気エネルギの消費が少なく、安価である。
【0071】
さらに、特別に構成された油圧選択弁、例えば正確に2つの位置を有する弁と組み合わせた非電磁的な切換保持システム29のおかげで、無計画なハイブリッド位置決めやシャッタ装置26の誤った位置決めの危険性なしに正確な切換状態を保証することができ、その結果、制動システム1全体の安全性をより確実にすることができる。
【0072】
本発明の一態様によれば、切換作動装置28および切換保持システム29は、フェイルセーフモードで構成される。すなわち、制動システム1への電力供給が完全に停止した場合、油圧選択弁21のシャッタ装置26は、直接制動構成に対応する第1の切換位置に自動的に位置決めされる。
【0073】
増幅装置30
【0074】
本発明のさらなる態様によれば、切換保持システム29に加えて、または切換保持システム29の代替として、切換装置16は増幅システム30を含んで構成される。
【0075】
- ポテンシャルエネルギの非電気的蓄積器31、および
【0076】
- ポテンシャルエネルギ蓄積器31を油圧選択弁21のシャッタ装置26から/又はシャッタ装置26に接続解除するための切換可能なコネクタ32。
【0077】
切換作動装置28のアクチュエータ33は、ポテンシャルエネルギ蓄積器31をシャッタ装置26に接続するために、切換可能コネクタ32に作動力を加える。
【0078】
作動力は、シャッタ装置26を第2の切換位置(間接ブレーキ構成に対応する)に移動または維持するためにシャッタ装置26にポテンシャルエネルギ蓄積器31によって加えられる切換力よりも小さい。
【0079】
電気的に作動可能なアクチュエータ33に加えて、増幅システム30によって、ブレーキシステム1を間接ブレーキ構成に維持するために必要な電気エネルギは、油圧選択弁21を直接電磁的に作動させて維持するよりもはるかに少ない。
【0080】
全体として、切換装置16は、従来技術のシステムよりも軽量かつ小型にすることができ、消費する電気エネルギが少なく、安価である。
【0081】
(非電気的な)ポテンシャルエネルギ蓄積器31は、例えば、空気圧蓄積器(ガス蓄積器34(図1図2図3図12))または弾性ばね35(図13)または永久磁石36(図14)で構成することができる。対応するスイッチングコネクタ32は、空気圧セレクタまたはON/OFFバルブ37(図1、2、3、12)、または機械的カップリング/デカップリング機構38(図13)、または磁気カップリング機構39、または永久磁石36の変位機構40(図14)で構成することができる。
【0082】
有利には、切換作動装置28および増幅装置30は、フェイルセーフモードで構成されており、すなわち、制動装置1への電力供給が完全に失われた場合には、ポテンシャルエネルギ蓄積装置31は、直接制動構成に対応する第1の切換位置に自動的に位置決めされる油圧選択弁21のシャッタ装置26から切り離されるか、または分離される。
【0083】
特に有利なことに、切換保持システム29は増幅システム30も実施し、逆もまた同様である。
【0084】
電空切換装置16
【0085】
好ましい実施形態(図1)によれば、切換装置16、より具体的には、切換保持システム29および/または増幅システム30は、以下の構成を備える。
【0086】
油圧選択弁21のシャッタ装置26に接続された空気圧アクチュエータ(例えばシリンダ-ピストン)41;
【0087】
前記ポテンシャルエネルギ蓄積器31として作用する圧縮ガス蓄積器34;
【0088】
圧縮ガス蓄積器34と空気圧アクチュエータ41との間に接続され、前記切換可能コネクタ32として機能する空気圧弁37。
【0089】
空気圧弁37は、ガス蓄積器34と接続されたガス入口43'と、空気圧アクチュエータ41と接続されたガス出口43と、ベントポート42とを有し、電子コントローラ18によって駆動され、例えばソレノイドによって電気的に操作可能であり、閉位置(図2)と開位置(図3)の間で移動可能である。
【0090】
閉位置(図2)(直接ブレーキ構成に対応する)において、ガス入口43'が閉鎖され、圧縮ガス蓄積器34が空気圧アクチュエータ41から切り離され、ガス出口43がベントポート部42と連通する。
【0091】
開位置(図3)(間接ブレーキ構成に対応)において、ガス入口43'がガス出口43と連通し、圧縮ガス蓄積器34が空気圧アクチュエータ41と連通する。
【0092】
空気圧弁37が開位置に立つと、圧縮ガス蓄積器34は空気圧アクチュエータ41にガス圧を加え、シャッタ装置26を第1の切換位置から第2の切換位置(図3)へ移動させ、圧縮ガスの流体静圧によってシャッタ装置26を第2の切換位置へ、および第2の切換位置に押し続けて維持する。
【0093】
圧縮ガスの圧力によって発生するスイッチング力は、空気圧弁37の作動力(ソレノイドによって加えられる)に比べて大きく、したがって増幅される。さらに、このスイッチング力は、圧縮ガスの流体圧によって時間と共に維持され、それ自体、電力消費を必要としない。
【0094】
空気圧弁37が積極的に開位置に維持される場合、この目的のために必要な電気エネルギは、先行技術の油圧電磁弁の電気供給に必要な電気エネルギよりもやはりはるかに少ない。
【0095】
空気圧弁37が開位置から閉位置に戻ると、戻しばね45が油圧選択弁21のシャッタ装置26を第1の切換位置に押し、空気圧弁37のベントポート42を介して残留ガス圧を解放し、マスタブレーキポンプ5を油圧ブレーキ8に接続し、制御ブレーキポンプ11をコンプライアンス室14に接続する(直接ブレーキ構成、図2)。
【0096】
一実施形態によれば、空気圧弁37は、(リターンスプリング44を介して)閉位置に向かって永久的に弾性的に付勢されており、電気的な作動によって開位置へ移動する。空気圧弁37が電動式でない場合、およびブレーキシステム1の電力が完全にない場合、空気圧弁37は自動的に閉位置に移動し、その結果、ガス蓄積器34はガス蓄積器41から切り離され、油圧選択弁21のシャッタ装置26は、直接ブレーキ構成に対応する第1の切換位置に自動的に移動する。
【0097】
切換装置16は、ガス蓄積器34に接続されたガス装填ソケット46(弁付き)と、ガス蓄積器34と連通し、電子制御装置18(および/または車両制御装置19)と信号接続され、ガス圧信号を供給するように構成されたガス圧センサ47とをさらに備えることができる。
【0098】
電子制御装置18
【0099】
ブレーキシステム1は、制御ブレーキ・ポンプ11と連通し、電子制御装置18と信号接続され、制御油圧信号を供給するように構成された制御圧センサ48をさらに備える。
【0100】
制動システム1はさらに、油圧ブレーキ8アクチュエータと連通し、電子制御装置18と信号接続され、キャリパ油圧信号を供給するように構成されたキャリパ圧センサ49を備える。
【0101】
電子制御装置18(および/または電子制御装置18に接続された車両電子制御ユニット19)は、マスタ圧センサ17、制御圧センサ48、キャリパ圧センサ49'またはさらなるキャリパ圧センサ49、および任意選択でガス圧センサ46によって提供される圧力信号に従って、切換作動装置28および(制御ブレーキポンプ11の電気的作動を)制御する。
【0102】
有利な実施形態によれば、車両電子制御ユニット19は、BBWモジュール56の電子制御装置18に、マスタ圧力センサ17によって供給される圧力信号に従って間接制動目標値を供給し、電子制御装置18は、間接制動目標値およびキャリパ圧センサ49および/またはさらに制御された圧力センサ48によって供給される圧力信号に従って、制御されたブレーキポンプ11を(電気的に作動させるように)制御する。
【0103】
換言すれば、電子制御装置18は、(圧力センサ17または同様のペダルストローク信号(ドライバ要求)からの)ドライバブレーキ圧信号に基づいて間接ブレーキ圧/強度の目標値を決定する車両制御ユニット19から受信した間接ブレーキ圧/強度の目標値に従って、スイッチ作動システム28および(制御されたブレーキマスタシリンダ11の電気的作動を)制御する。車両制御ユニット19は、ブレーキシステム1監視のために、圧力センサ49から供給されるキャリパ圧力信号を受信して処理する。
【0104】
安全管理
【0105】
実施形態によれば、車両の電子制御ユニット19と電子制御装置18(またはより一般的には、以下でさらに詳細に説明されるBBWモジュール56)との間には、電子制御装置18(またはより一般的には、BBWモジュール56)の制御信号の伝送のため、または安全管理のため、すなわち電源の有効化/無効化のための信号および/またはスイッチング作動システム28、より正確には空気圧弁37の有効化のための信号の伝送のための、例えばCANBUSを介した固有の有線接続が行われる。
【0106】
この場合、BBWモジュール56の制御信号と、電源の有効化/無効化のための信号および/またはスイッチング作動システム28の有効化のための信号の両方が、同じ有線接続によって送信され、電子制御装置18の同じプロセッサおよびソフトウェアによって受信および処理される。従って、電子制御装置18のプロセッサ及びソフトウェアが故障した場合、車両電子制御ユニット19は、BBWモジュール56を無効にする方法を持たない。
【0107】
安全管理とBBWモジュール56の制御プロセスとの間の独立性をより確実にするために、ブレーキシステム(1)に以下を備えることが可能であり、有利である。
- 電子制御装置18の第1の制御信号を送信するための、車両の電子制御装置19と電子制御装置18との間の、例えばCANBUSを介した第1の有線接続65;
- 電力供給の有効/無効の信号および/またはスイッチング作動装置28の有効の信号のための、車両の電子制御ユニット19とブレーキシステム1との間の第2の有線接続66であって、第2の有線接続66は、第1の有線接続65とは別個であり、前記電子制御装置18のプロセッサおよびソフトウェアをバイパスする、第2の有線接続66。
【0108】
電子制御装置18のプロセッサ及びソフトウェアが誤動作した場合、車両制御ユニット19は、例えば、電力供給を「オン」及び「オフ」にすることができる独立したデジタルイネーブル信号によって、BBWモジュール56を無効にすることができる。
【0109】
あるいは、安全管理とBBWモジュール56の制御プロセスとの間の独立性をより確実にするために、ブレーキシステム(1)に以下を装備することが可能であり、有利である。
電子制御装置18の第1の制御信号を送信するための、車両の電子制御装置19と電子制御装置18との間の、例えばCANBUSを介した第1の有線接続65。
スイッチング作動装置28の電力の有効化/無効化供給信号および/または有効化信号を送信するための、車両の電子制御ユニット19と電子制御装置18との間の、例えば再びCANBUSを介した第2の有線接続66であって、第2の有線接続66は、第1の有線接続65とは別個であり、間接制動回路(10)のアクチュエータ11、28、33を制御するために使用される電子制御装置18のプロセッサおよびソフトウェアを、例えば別個のプロセッサを使用してバイパスする、第2の有線接続66。
【0110】
間接制動回路(10)のアクチュエータ11、28、33を制御するために使用される電子制御装置18のプロセッサおよびソフトウェアに故障が発生した場合、車両制御ユニット19は、例えば、専用ライン66および専用プロセッサを介して、電力供給を「オン」および「オフ」にすることができる独立したイネーブル信号によって、BBWモジュール56を無効にすることができる。
【0111】
スイッチング機能およびスイッチング保存機能がBBWモジュール56の外部に配置されている場合、例えば図6に関連して示され説明された実施形態のように、車両電子制御ユニット19がスイッチング作動システム28に直接電源を供給することで十分であり得る。
【0112】
説明の経済性のために、また例として、図1B図4図6のみには前述の第2の有線接続部66も示しているが、説明した実施形態の全ては、単一の有線接続部65のみで、または第1の有線接続部65と第2の有線接続部66とを用いて実施することができる。
【0113】
BBW(Brake By Wire)モジュール56
【0114】
実施形態(図1図4)によれば、
【0115】
直接油圧ライン7(マスタブレーキポンプ5に接続するためのマスタ油圧ポート50と、油圧ブレーキ8に接続するためのブレーキ油圧ポート51とを備えている。)、
【0116】
制御ブレーキポンプ11(電動アクチュエータ12と、場合によっては減速機52と、油圧リザーバ20に接続するための油圧リザーバポート53を備えている。)、
【0117】
間接油圧ライン13、
【0118】
油圧コンプライアンス室14、
【0119】
切換装置 16、
【0120】
電子制御装置18、
【0121】
車両電子制御装置19と接続するための1つまたは複数の信号インターフェースシステム54、65、66[(無線または有線、例えばCANBUS通信インターフェース)、および電源コネクタ55、
【0122】
が、別個に製造販売され車両に取り付けられる単一のBBW(Brake By Wire)56モジュールに統合される。この場合、車両制御ユニット19は、車両の前輪および/または後輪の電磁制動のために、1つまたは複数のトラクションモータ2と信号接続され、制御され、マスタ圧力センサ17および/またはマスタペダルストロークセンサと信号接続され、1つまたは複数の油圧ブレーキ8による(油圧)消散制動を制御するために、電子制御装置18と信号接続される。
【0123】
さらなる実施形態(図5)によれば、BBWモジュール56はさらに、マスタブレーキポンプ5と、任意選択でマスタ圧力センサ17またはマスタペダルストロークセンサと、任意選択でマスタ圧力センサ17と車両制御ユニット19との信号接続のためのマスタ信号コネクタ57とを含む。
【0124】
また、この場合、車両制御ユニット19は、車両の前輪および/または後輪の電磁制動のために、1つまたは複数のトラクションモータ2と信号接続され、これを制御し、1つまたは複数の油圧ブレーキ8による(油圧)消散制動を制御するために、マスタ圧センサ17および電子制御装置18と信号接続される。
【0125】
さらなる実施形態(図6)によれば、BBWモジュール56は、電動アクチュエータ12と、場合によっては減速機52と、油圧リザーバ20と接続するための油圧リザーバポート53とを備えた制御ブレーキポンプ11と、油圧リザーバ20と接続するための信号接続インターフェース54、65(無線または有線、例えばCANBUS通信インターフェース)を備えた電子コントローラ18とを含む。CANBUS通信インターフェース)を有する電子制御装置18と、車両の電子制御装置19と接続するための電源コネクタ55と、場合によっては電力の有効化/無効化信号のための第2の独立した有線接続部66とを備え、切換装置16全体およびマスタブレーキポンプ5も、BBWモジュール56の外部にモジュール/Sとして配置される。
【0126】
さらなる実施形態(図7)によれば、BBWモジュール56は、図4を参照して説明したように構成されているが、マスタブレーキポンプ5は、複数の出口58、特に第1の出口油圧ライン59および第2の出口油圧ライン60を備えたピストン-シリンダアセンブリ、例えば、2つ以上の油圧出口を備えた単一のピストン-シリンダポンプ、2つのシリンダ-ピストンアセンブリ(タンデム)を備えた単一のポンプ、ロッカーアームによって接続された2つのピストン-シリンダポンプから構成されている。第1の油圧ライン59は、BBWモジュール56のマスタ油圧ポート50に接続可能であり、第2の油圧ライン60は、車両の1つまたは複数のさらなる油圧ブレーキ61に接続可能または直接接続されており、これにより、例えば、車両の第1の車輪群または第1の車軸62を直接油圧制動のみとし、車両の第2の車輪群または第2の車軸63を切り替え可能な直接または間接油圧制動とすることが可能である。
【0127】
さらなる実施形態(図8)によれば、車両は、図4を参照して説明したように構成された前記別個のBBWモジュール56、56'のうちの2つを有する。マスタブレーキポンプ5は、第1のBBWモジュール56のマスタ油圧ポート50に接続可能な第1の油圧ライン59を有し且つ第2のBBWモジュール56'のマスタ油圧ポート50に接続可能な第2の油圧ライン60を有する、複数の出口を有するピストン-シリンダアセンブリ58を有する(例えば、 前項で説明したように構成される。)。
【0128】
さらなる実施形態(図9、10)によれば、車両は、図4を参照して説明したように構成された前記別個のBBWモジュール56、56'のうちの2つを備える。マスタブレーキポンプ5は、第1のBBWモジュール56のマスタ油圧ポート50に接続可能な第1の油圧ライン59において分岐され、第2のBBWモジュール56'のマスタ油圧ポート50に接続可能な第2の油圧ライン60を有する単一の油圧出口64を備える。そして、第1および第2のBBWモジュール56、56'の油圧ブレーキポート51は、2つの異なる油圧ブレーキ8、8'または油圧ブレーキ8、8'のグループ、例えば、例えば、同じ車軸の第1の車輪グループまたは第2の車輪に関連付けられ2つの異なる油圧ブレーキ8、8'に独立して接続され、切り替え可能な直接または間接油圧ブレーキで独立して制御可能である。
【0129】
さらなる実施形態(図11)によれば、車両は、図4を参照して説明したように構成された4つの前記別個のBBWモジュール56、56'、56''、56'''を備える。マスタブレーキポンプ5は、2つの別個の油圧アウトレット64、64'を有する複数のアウトレット58(例えば、 前項で説明したように構成されている)を有する。それらは、それぞれが第1の油圧ライン(59、59')と第2の油圧ライン(60、60')とに分岐している。4つの油圧ライン(59、60、59'、60')は、4つのBBWモジュール(56、 56'、56''、56'''')のマスタ油圧ポート(50)に接続可能である。4つのBBWモジュール(56、56'、56''、56''')の油圧ブレーキポート(51)は、4つの油圧ブレーキ(8、8'、8''、8''')または4つの異なる独立して制御可能な油圧ブレーキグループに独立して接続可能である。
【0130】
車両制御ユニット19は、車両の1つの車軸または両方の車軸のみのための電磁ブレーキ(エネルギ回収付き)として単一のトラクションモータ2を制御することができ、または車両の1つの車軸または両方の車軸のみのための別個の電磁ブレーキ(エネルギ回収付き)として2つの別個のトラクションモータ2、2'を制御することができる(図9図10図11)。
【0131】
ブレーキシステム1の作動例によれば、ブレーキシステム1の電子制御装置18によって、および/または車両制御ユニット19によって検出された、間接ブレーキ回路10の異常な電力供給または異常な作動が発生した場合、ブレーキシステム1は直接ブレーキ構成に切り替わり、油圧選択弁21が機械的に第1の切換位置に維持され、それによってマスタブレーキポンプ5が油圧ブレーキキャリパ8に油圧接続され、制御ブレーキ・ポンプ11が油圧コンプライアンス・チャンバ14に油圧接続される。
【0132】
ブレーキシステム1の電子制御装置18および/または車両制御ユニット19によって検出された間接ブレーキ回路10の動作に異常がない場合、ブレーキシステム1は間接ブレーキ構成に切り替わり、油圧選択弁21は空気圧で第2の切換位置に押し込まれ、それによって制御ブレーキポンプ11を油圧ブレーキキャリパ8に、マスタブレーキポンプ5を油圧コンプライアンス室14に油圧接続する。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】