(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】マイクロRNA-27b阻害剤
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240301BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20240301BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/712
A61K48/00
A61P25/00
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557673
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022058142
(87)【国際公開番号】W WO2022200633
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523355791
【氏名又は名称】ニューミルナ セラピューティクス エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カウッピネン,マルカス サカリ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,スタイン ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】クリットガード,ヘンリク ヴァルデマー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA06
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA06
(57)【要約】
【課題】
てんかんおよび他の神経傷害が脳損傷の発生を引き起こす可能性が高いプロセスを特異的に標的とする、治療または防止モダリティが必要とされている。
【解決手段】
本発明は、miR-27bの活性を強力に阻害することが可能な、miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。そのような化合物は、神経疾患を含めたCNSまたはPNSの疾患を治療するための医薬品として有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
miR-27bと相補的な、18~19ヌクレオチド長の配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、7~14、例えば10~13の親和性増強性ヌクレオチド類似体を有し、3つを超える連続したDNAヌクレオチドのひと続きを含有しないミックスマーであり、かつ、1~18のホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号3と相補的である、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号4を含む、請求項1または2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
18または19ヌクレオチド長であり、配列番号4を含み、LNA/DNAミックスマーである、請求項1から3までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
18または19ヌクレオチド長であり、配列番号4を含み、前記ミックスマーのヌクレオシドの50~70%がLNAである、例えば52~68%がLNA、例えば少なくとも50%がLNA、例えば少なくとも52%がLNAである、請求項1から4までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
各末端の2つの末端ヌクレオチドがLNAである、請求項1から5までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
LNAが、ベータ-D-オキシLNAであり、LNAシトシンが、5-メチルシトシンである、請求項1から6までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項1から7までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1のうちのいずれか1つである、請求項1から8までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
(配列番号22)5’AGAacTTaiCcACTgtGA3’
(配列番号20)5’AGAacTTagCcACTgtGA3’
(配列番号19)5’CAgaaCTtaGccACtgTGA3’
(配列番号16)5’AGaActTagCcaCTgTGA3’
(配列番号12)5’AGaaCTtAGcCaCtgTGA3’
(配列番号8)5’AGaActTAgcCaCTGtGA3’
のうちのいずれか1つであり、大文字がLNAであり、小文字がDNAであり、大文字のCがLNA5-メチルシトシンを示し、LNAがベータ-D-オキシLNAであり、「i」がイノシンであり、全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項9に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
LNA/DNAミックスマーが、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロおよび立体配置が制限されたヌクレオシド(CRN)のいずれか1つであるヌクレオシドを1つまたは複数をさらに含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
医薬としての使用のための、請求項1から11までのいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
使用が、CNSまたはPNSのmiR-27b関連疾患を治療するためのものである、請求項1から12に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは組成物。
【請求項14】
使用が、神経性障害を治療するためのものである、請求項1から13に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは組成物。
【請求項15】
使用が、てんかんを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、請求項1から14に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトなどの哺乳動物におけるマイクロRNA-27b(miR-27b)の活性を阻害することが可能な新規の化合物および組成物に関する。具体的には、本発明は、てんかんおよび記憶障害を含めたCNS障害の治療に有用な、ヒトにおいてin vivoでmiR-27bの活性をモジュレートすることが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、反復性の自発性発作を特徴とする重篤な慢性神経性障害であり、世界的に約5000万人が影響を受けている。
【0003】
現在利用可能な抗てんかん薬では、一般には患者の3分の2で発作がコントロールされるが、基礎をなす病態生理にはおそらく効果がない。てんかん患者の残りの3分の1は、薬剤抵抗性であるか、または現在利用可能な薬物による重篤な副作用が生じている。
【0004】
薬物治療を受ける選択肢がない患者において発作を回避するための代替法は、ケトン食療法、脳外科手術、迷走神経または頭蓋内刺激である。
【0005】
症候性(後天性)てんかんの発達には、とりわけ、イオンチャネルおよび神経伝達物質受容体の発現の変更、シナプス再構築、炎症、グリオーシスならびにニューロン死が伴うと考えられている。しかし、細胞および分子機構に関する我々の理解は未だ不完全なままである。現在のところ、てんかんが引き起こされる可能性が高い脳損傷後の予防的治療(「抗てんかん」)は存在しない。同様に、てんかん重積状態(SE)に対する、または、脳損傷もしくはてんかんを引き起こす可能性が高い急性神経性傷害、例えば脳卒中、もしくは外傷を治療するための特定の神経保護治療は存在しない。
【0006】
最近のデータから、マイクロRNA(miRNA)がてんかんを含めたいくつかの神経性障害の病態形成に極めて重要であることが示唆されている。miRNAには、遺伝子発現の転写後調節を媒介する短い(約22nt)内在性非コードRNAのクラスが含まれる(Ambros, Nature, 2004 Sep 16; 431 (7006): 350-5;Bartel, 2009 Jan 23; 136 (2): 215-33)。
【0007】
成熟miRNAは、標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)に主に位置する部分的に相補的な標的部位にmiRISC複合体を方向づけることにより、miRISC複合体のガイド分子としての役割を果たし、miRISC複合体が標的部位に方向づけられた結果、標的の翻訳抑制および/またはmRNA分解がもたらされる(van Rooij & Kauppinen EMBO Mol Med, 2014 Jul; 6 (7): 851-64)。miRNA標的認識をガイドする重要な決定因子は、miRNAシード領域(成熟miRNAのヌクレオチド2~7)と、標的mRNA3’UTR内の完全に相補的なシードマッチ部位との塩基対合である(Bartel, 2009 Jan 23; 136 (2): 215-33)。MicroRNA-27b(miR-27b)は、Nrf2/ARE経路の活性を調節することによっていくつかの神経性の状態に関与することが示されている。MiR-27bアンタゴミルにより、ICHにより誘導されるNrf2/ARE経路の活性化が促進され、そうでなければICH後に見られる脂質過酸化、神経炎症、細胞死および神経学的欠損が低減した。PC12細胞では、miR-27b阻害剤により、鉄誘導性酸化ストレス、炎症およびアポトーシスが減弱し、これらの効果はNrf2ノックダウンによって遮断された。これらの結果から、miR-27bの阻害により、ICHにより誘導される脳損傷が緩和することが実証され、これは一部において、miR-27bがNrf2/ARE経路を調節することによって説明することができる。Nrf2/ARE経路の誘導は、てんかんの治療に有益であることが示されている。
【0008】
活性酸素種の産生および酸化ストレスの増大は、とりわけ、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、フリードライヒ運動失調症、多発性硬化症、および脳卒中を含めた多数の神経変性状態の病態形成に関係づけられている。内在性抗酸化物質応答経路は、細胞保護酵素の発現を増大させることによって細胞を酸化ストレスから保護するものであり、転写因子である核因子赤血球系2関連因子2(NRF2)によって調節される。抗酸化物質遺伝子の発現を調節することに加えて、NRF2は、抗炎症効果を発揮し、また、ミトコンドリアの機能と生合成の両方をモジュレートすることも示されている。ミトコンドリア機能不全および神経炎症は多くの神経変性疾患の特色であり、これにより、神経変性疾患を治療するためのNRF2の有望な治療薬標的としての潜在性が強調される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
要約すると、てんかんおよび他の神経傷害が脳損傷の発生を引き起こす可能性が高いプロセスを特異的に標的とし、上記の問題のいくつかを克服する、改善された治療または防止モダリティが依然として必要とされている。
【0010】
miR-27b活性の改変が有益である疾患の治療における使用のための、miR-27bを標的とする強力なアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物が市場において必要とされている。本発明は、miR-27bと相補的な、新規の非常に強力なアンチセンスオリゴヌクレオチド、有効投薬量のアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば配列番号5~22のうちのいずれか1つを含む、医薬組成物を含めた組成物、および、miR27bのモジュレーションが有益である疾患を治療するための、そのような組成物の使用を提供する。前記miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、および医薬組成物を含めたそのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物はmiR-27bの強力な阻害剤であり、したがって、in vivoで使用されると、Nrf2/ARE経路のアップレギュレーションを引き起こす。一部の実施形態では、化合物、医薬組成物などの組成物を使用して治療される疾患は、Nrf2/ARE経路のアップレギュレーションが有益である疾患である。一部の実施形態では、治療される疾患は、神経疾患などのCNSの疾患である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ある態様によると、本発明は、18~19核酸塩基長の配列を含む、miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号1)であって、LNA/DNAミックスマーであり、3つを超える連続したDNAヌクレオチドのひと続きを含有せず、1~18のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0012】
別の態様によると、本発明は、有効投薬量の本発明および/または実施形態によるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むmiR-27b阻害組成物に関する。
【0013】
別の態様によると、本発明は、有効投薬量の本発明および/または実施形態によるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0014】
別の態様によると、本発明は、本発明および/または実施形態によるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドが唯一の活性医薬成分である、医薬組成物に関する。
【0015】
別の態様によると、本発明は、医薬としての使用のための、本発明によるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、配列番号5~22のうちのいずれか1つの使用に関する。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号8を含む。
【0017】
別の好ましい実施形態では、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号12を含む。
【0018】
別の好ましい実施形態では、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号16を含む。
【0019】
別の好ましい実施形態では、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号19を含む。
【0020】
別の好ましい実施形態では、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号20を含む。
【0021】
別の好ましい実施形態では、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号22を含む。
【0022】
別の態様によると、本発明は、本発明および/または実施形態によるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明および/または実施形態による組成物を使用することによって本発明および/または実施形態による疾患を治療するための方法に関する。
【0023】
別の態様によると、本発明は、本発明および/または実施形態によるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは本発明および/または実施形態による組成物を使用することによって本発明および/または実施形態による疾患を診断する方法に関する。
【0024】
上述の疾患の多くは十分には治療することができず、かつ/または、現在利用可能な治療は、重篤な副作用を引き起こすものであるので、本発明の化合物の必要性がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態の記載では、明瞭にするために特定の用語法に依拠する。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されるものではなく、特定の用語それぞれが、同様の目的を実現するために同様に機能する全ての技術的等価物を包含することが理解される。
【0026】
「治療有効量」または「有効量」または「有効用量」という用語は、治療剤を必要とする個体に対して所望の治療効果をもたらす治療剤の量を指す。有効量は、治療を受ける個体の健康および身体の状況、治療を受ける個体の分類群、組成物の製剤、投与方法、個体の医学的状態の評定、および他の関連性のある因子に応じて個体の間で変動し得る。
【0027】
「治療」という用語は、所与の疾患を部分的にまたは完全に治癒させる、またはその疾患の1つもしくは複数の症状もしくは特徴を低減させる、本明細書ではアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む治療用医薬のあらゆる投与を指す。
【0028】
「化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明による抗miR-27bオリゴヌクレオチドを含む化合物を指す。一部の実施形態では、化合物は、本発明のオリゴヌクレオチドとは別に他のエレメントを含み得る。そのような他のエレメントは、非限定的な例では、オリゴヌクレオチドとコンジュゲートしたまたは他のやり方で結合させた送達ビヒクルであり得る。
【0029】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸の対応する領域またはセグメントとのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「ミックスマー」であることが好ましい。
【0030】
「ミックスマー」は、LNAおよびDNAヌクレオシドなどのヌクレオシド類似体が混在するアンチセンスオリゴヌクレオチド(LNA/DNAミックスマー)であり、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAseHなどのRNAseを動員し得る複数のヌクレオシドを有する内部領域(例えば、少なくとも6または7つのDNAヌクレオチドの領域など)を含まず、内部領域を構成するヌクレオシドは、外部ウイングを構成するヌクレオシドまたはヌクレオシドとは化学的に別個のものである。
【0031】
「ヌクレオシド類似体」は、例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid. Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213に記載されており、適切かつ好ましいヌクレオシド類似体の例は、これによって参照により組み込まれるWO2007031091に提示されている。
【0032】
「5-メチルシトシン」は、5’位に付着したメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは修飾核酸塩基である。
【0033】
「2’-O-メトキシエチル」(2’-MOEおよび2’-O(CH2)2-OCH3とも称される)は、フラノース環の2’位におけるO-メトキシ-エチル修飾を指す。
【0034】
「2’-MOEヌクレオシド」(2’-O-メトキシエチルヌクレオシドとも称される)は、2’-MOE修飾された糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0035】
「ロックド核酸」または「LNA」は、接近不可能なRNAと称されることも多い、修飾RNA核酸塩基である。LNA核酸塩基のリボース部分が、2’酸素と4’炭素を接続する追加の架橋で修飾されている。LNAオリゴヌクレオチドでは、従来のDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドと比較して、その相補鎖に対する親和性の実質的な増大がもたらされる。一部の態様では、二環式ヌクレオシド類似体はLNAヌクレオチドであり、したがって、これらの用語を互換的に使用することができ、そのような実施形態では、どちらも、リボース糖環のC2’とC4’の間にリンカー基(例えば、架橋など)が存在することを特徴とする。この状況で使用される場合、「LNA単位」、「LNA単量体」、「LNA残基」、「ロックド核酸単位」、「ロックド核酸単量体」または「ロックド核酸残基」という用語は、二環式ヌクレオシド類似体を指す。LNA単位は、とりわけ、WO99/14226、WO00/56746、WO00/56748、WO01/25248、WO02/28875、WO03/006475、WO2015071388、およびWO03/095467に記載されている。
【0036】
「ベータ-D-オキシLNA」は好ましいLNAバリアントである。
【0037】
「二環式核酸」または「BNA」または「BNAヌクレオシド」は、ヌクレオシド糖単位の4’位と2’位の間に2つの炭素原子を接続する架橋を有し、それにより、二環式糖を形成した核酸単量体を意味する。そのような二環式糖の例としては、これだけに限定されないが、A)pt-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA,(B)P-D-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNA,(C)エチレンオキシ(4’-(CH2)2-O-2’)LNA,(D)アミノオキシ(4’-CH2-O-N(R)-2’)LNAおよび(E)オキシアミノ(4’-CH2-N(R)-O-2’)LNAが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、LNAヌクレオチドとして、これだけに限定されないが、糖の4’位と2’位の間に少なくとも1つの架橋を有する化合物であって、架橋のそれぞれが独立に、2’酸素原子と4’炭素原子を接続する-[C(R~)(R2)],,-、-C(R~)=C(R2)-、-C(R~)=N、-C(=NREM)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-O-、-Si(Ri)q-、-S(=O)-および-N(R&)-(式中、xは0、1、または2であり、nは1、2、3、または4であり、各R&およびR2は独立に、H、保護基、ヒドロキシル、C>>C>>アルキル、置換C>>(-CH2-)基である)から独立に選択される連結基を1つまたは2~4つ含み、メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAという用語が使用される、ヌクレオチドが挙げられる。
【0039】
さらに、この位置にエチレン架橋基を有する二環性糖部分の場合では、エチレンオキシ(4’-CH2CH2-O-2’)LNAが使用される。メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)LNAの異性体であるn-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)も本明細書で使用されるLNAの定義の範囲内に包含される。
【0040】
一部の実施形態では、ヌクレオシド単位は、ベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-Loxy-LNA、ベータ-D-アミノ-LNA、アルファ-L-アミノ-LNA、ベータ-D-チオ-LNA、アルファ-L-チオ-LNA、5’-メチル-LNA、ベータ-D-ENAおよびアルファ-L-ENAの一覧から選択されるLNA単位である。
【0041】
「cEt」または「拘束エチル」は、4’炭素と2’炭素を接続する架橋を含む二環性糖部分を意味し、ここで、架橋は、式:4’-CH(CH3)-O-2’を有する。
【0042】
「拘束エチルヌクレオシド」(cEtヌクレオシドとも称される)は、4’-CH(CH3)-O-2’架橋を含む二環性糖部分を含むヌクレオシドを意味する。cEtおよびその特性のいくつかがPallan et al. Chem Commun (Camb). 2012, August 25; 48 (66): 8195-8197に記載されている。
【0043】
「トリシクロ(tc)-DNA」は、DNAおよびRNAに対する結合特性の増強を示す、立体配置が拘束されたDNA類似体のクラスに属する。構造および作製方法はRenneberg et al. Nucleic Acids Res. 2002 Jul 1; 30 (13): 2751-2757に見ることができる。
【0044】
本明細書で言及される「2’-フルオロ」は、糖環の2’位にフルオロ基を含むヌクレオシドである。2’-フッ素化ヌクレオチドは、Peng et al. J Fluor Chem. 2008 September; 129 (9): 743-766に記載されている。
【0045】
本明細書で言及される場合「2’-O-メチル」は、糖環の2’位に-OCH3基を含む糖を含むヌクレオシドである。
【0046】
本明細書で言及される「立体配置が制限されたヌクレオシド(CRN)」およびそれらを合成するための方法は、これにより参照により本明細書に組み込まれるWO2013036868に記載されている。CRNは、糖修飾されたヌクレオシドであり、LNAと同様に、リボースのC2’炭素とC4’炭素が化学架橋によって接続している。しかし、CRNでは、C2’-C4’架橋は、LNA分子よりも炭素1つ長い。CRNではリボースの化学架橋によってリボースが固定位置にロックされ、それにより核酸塩基およびリン酸基の柔軟性が制限される。RNAに基づくまたはDNAに基づくオリゴヌクレオチド内のCRN置換には、ハイブリダイゼーション親和性の増大およびヌクレアーゼ分解に対する抵抗性の増強という利点がある。
【0047】
本明細書で言及される「アンロックド核酸」または「UNA」は、一般には、リボースのC2-C3のC-C結合が除去され、アンロックド「糖」残基が形成されたアンロックド核酸である(これにより参照により本明細書に組み込まれるFluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039、およびSnead et al. Molecular Therapy-Nucleic Acids (2013) 2, e103;を参照されたい)。
【0048】
「標的領域」とは、1つまたは複数のアンチセンス化合物がターゲティングされる標的核酸の一部を意味する。
【0049】
「標的化送達」とは、本明細書で使用される場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、特定の組織もしくは細胞への効率的な送達が容易になるように製剤化されている、または、アンチセンスオリゴヌクレオチドが他のやり方で、例えば、標的化部分を含むように改変されている、もしくは、他のやり方で、特定の標的細胞への取り込みが容易になるように改変されている、送達を意味する。
【0050】
化合物
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、マイクロRNA-27b(miR-27b)を標的とするように設計されたものである。
【0051】
成熟配列5’uucacaguggcuaaguucugc3’(配列番号1)(miRBase acc番号MIMAT0000419)を有するmiR-27bの標的領域に対して特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドが設計されている。
【0052】
上記の「miRBase」への言及はmiRBase release 22.1に従う。
【0053】
「miR-27b関連神経疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患病態がmiR-27b活性のアップレギュレーションに関連付けられる、または疾患の治療のためにmiR-27b活性のダウンレギュレーションが有益になる疾患を意味する。
【0054】
一部の実施形態では、本発明は、5’ucacaguggcuaaguucug3’(配列番号2)の一部または全体を標的とするように設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0055】
一部の実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも5’ucacaguggcuaaguucu3’(配列番号3)を標的とするように設計されたものである。
【0056】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列5’agaacttagccactgtga3’(配列番号4)を含む。
【0057】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18または19ヌクレオチド長であり、配列5’agaacttagccactgtga3’(配列番号4)を含む。
【0058】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18または19ヌクレオチド長であり、配列5’agaacttagccactgtga3’(配列番号4)を含み、ミックスマーである。
【0059】
一部の実施形態では、miR-27bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、18または19ヌクレオチド長であり、配列5’agaacttagccactgtga3’(配列番号4)を含み、LNA/DNAミックスマーである。驚いたことに、LNA/DNAミックスマーであり、18または19ヌクレオチド長であり、配列番号4を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR-27b活性をダウンレギュレートすることに関して特に強力であることが見いだされた。
【0060】
そのようなmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、18または19ヌクレオチド長であり、50~70%のLNAを含むLNA/DNAミックスマーであり、3つを超える連続したDNAヌクレオチドを有さない場合に、それらの標的miR-27bをダウンレギュレートすることに関して優れた効率を示す。
【0061】
一部の実施形態では、本発明は、18~19核酸塩基長の配列からなり、ミックスマーであり、3つを超える連続したDNAヌクレオチドの領域を含まず、7~14の親和性増強性ヌクレオチド類似体を含む、miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、1~18のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、配列番号2~3のいずれかと相補的である、または、配列番号4を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0062】
一部の実施形態では、miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、18または19ヌクレオチド長であり、配列番号4を含み、50~70%のLNA、例えば52~68%のLNA、例えば少なくとも50%のLNA、例えば少なくとも52%のLNAを有するLNA/DNAミックスマーである。
【0063】
一部の実施形態では、上記の実施形態のいずれか1つによるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、各末端に2つの末端LNAヌクレオチドを有する。さらに、好ましい実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドに使用されるLNAは、ベータ-D-オキシLNAである。
【0064】
一部の好ましい実施形態では、全てのLNAシトシンが5-メチルシトシンである、すなわち、配列表において、大文字のC全てがメチルCである。
【0065】
in vivoでの使用に関して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの安定性には1つまたは複数のホスホロチオエート連結が有益である。一部の実施形態では、miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み、例えば、少なくとも1つの結合がホスホロチオエートである、または一部の場合では、オリゴヌクレオチドは完全なホスホロチオエート骨格を有する、すなわち、全てのヌクレオシド間連結がホスホロチオエート連結である。
【0066】
本発明者らは、一連のmiR-27bと相補的な非常に強力なアンチセンスオリゴヌクレオチドを同定した。その全てが、上の実施形態で列挙した特色を有する。これらの化合物は表1に配列番号5~22として列挙されている。これらの化合物の全てが好ましい。一部の実施形態では、配列番号8、12、16、19、20および22のうちのいずれか1つを有する化合物が特に好ましい。
【0067】
表1に、LNA/DNAミックスマーであり、miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドである配列番号5~22を記載する。表1の全ての配列において、大文字のCはメチルC(5-メチルシトシン)である。
【0068】
【0069】
表1において、大文字はLNAを示し、小文字はDNAである。「i」という文字はイノシンである。大文字のCはLNA5-メチルシトシンである。全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0070】
一部の場合では、LNA/DNAミックスマーのDNAヌクレオチドの1つまたは複数を、LNA以外の親和性増強ヌクレオチドを含むように置き換えることにより、化合物に効力または他の特徴が付加される。
【0071】
一部の場合では、本発明のmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のDNAヌクレオチドが、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロおよび立体配置が制限されたヌクレオシド(CRN)のうちのいずれか1つである1つまたは複数のヌクレオシドで置き換えられた、LNA/DNAミックスマーである。
【0072】
組成物および使用
本発明のmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬としての使用のために十分に適する。さらに、本発明のmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むmiR-27阻害組成物が提供される。そのような組成物を、哺乳動物、例えばヒトにおいてNrf-2/ARE経路を誘導するために使用することができる。一部の好ましい実施形態では、医薬としての使用のためのmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、または阻害組成物に含まれるmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号5~22のうちのいずれか1つである。
【0073】
本発明のmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび組成物は、例えば、miR-27b活性の改変またはNrf-2/ARE経路の誘導が有益であるmiR-27b関連疾患を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためなど、医学的使用において大きな潜在性を示す。CNSまたはPNSの疾患を含め、そのような疾患がいくつも同定されている。したがって、一部の実施形態では、本発明の抗miR-27bオリゴヌクレオチドは、CNSまたはPNSのmiR-27b関連疾患を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである。
【0074】
一部の実施形態では、そのようなCNSまたはPNS障害として、神経性障害、神経変性障害または神経発達障害が挙げられる。したがって、本発明の抗miR-27b化合物は、一部の実施形態では、神経性障害、神経変性障害、神経発達障害、遺伝障害および/または遺伝性神経発達障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである。
【0075】
Nrf2/Are経路の誘導が、神経性障害、例えば、てんかん、または種々の状態のてんかんの治療に有益であることが示されている。一部の実施形態では、本発明の化合物は、てんかん、例えば、薬剤抵抗性てんかんまたはてんかんの発作またはてんかんの自発性発作または治療法抵抗性発作などの治療、緩和、先制治療または予防における使用のためのものである。一部の実施形態では、てんかんは焦点性てんかんであり、前記焦点性てんかんは、前頭葉、頭頂葉、後頭葉または側頭葉を焦点とするものであることが好ましい。一部の実施形態では、てんかんは全般てんかんであり、前記全般てんかんは、欠神、ミオクロニー発作、強直間代性発作、強直性発作、脱力発作、間代性発作および攣縮の中から選択されることが好ましい。一部の実施形態では、てんかんは、てんかん重積状態である。一部の実施形態では、てんかんは、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症(continuous spike-and-waves during slow sleep)、ドラベ症候群、脳卒中後てんかん、てんかん性脳症、笑いてんかん、欠神、良性新生児発作、ジーボンス症候群、若年ミオクロニーてんかん、ランドウ・クレフナー症候群、レンノックス・ガストー症候群、内側側頭葉てんかん、ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん、大田原症候群、パナイトポーラス症候群、PCDH19症候群、中心側頭棘波をもつ良性小児てんかん、スタージ・ウェーバー症候群、症候性焦点性てんかん、一過性てんかん性健忘およびウエスト症候群の中から選択される。
【0076】
一部の実施形態では、配列番号5~22のいずれかなどの本発明の化合物は、てんかんを、精神障害、認知障害、睡眠障害、心血管障害、呼吸器疾患、炎症性障害、精神障害、不安、疼痛、認知機能障害、うつ病、認知症、頭痛、片頭痛、心疾患、潰瘍、消化性潰瘍、関節炎および骨粗鬆症の中から選択される共存症と共に防止または予防または緩和または治療するためのものである。
【0077】
miR-27b阻害およびNrf2/ARE経路の刺激による神経保護効果のエビデンスが存在し、したがって、有効投薬量の該化合物を含む本化合物および組成物は、海馬損傷などのニューロン損傷の防止または予防または先制治療または緩和または治療における使用のためのものである。
【0078】
一部の実施形態では、本発明の化合物および組成物は、酸化ストレス、炎症および/またはアポトーシスを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである。一部の場合では、化合物および組成物は、脳出血により誘導される脳損傷、虚血性脳卒中、出血性卒中または脳卒中を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するために使用するためのものである。
【0079】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、自己免疫疾患、記憶障害、海馬硬化症、パーキンソン病、脱髄性疾患、多発性硬化症、脊髄損傷、急性脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、進行性球麻痺、進行性筋萎縮症、原発性側索硬化症、運動失調、ベル麻痺、遺伝性神経疾患、シャルコー・マリー・トゥース、頭痛、ホートン頭痛、片頭痛、ピック病、進行性核上性麻痺、多系統変性、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、プリオン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、大脳皮質基底核変性症、失語症、原発性進行性失語症またはその症状もしくは影響の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0080】
Nrf2は、CNSにおいて遍在的に発現され、神経疾患の状態に関連する神経保護プロセスを活性化する。したがって、本発明の化合物は、miR-27bを阻害し、その後、Nrf2をアップレギュレートし、Nrf2/ARE経路を刺激することによって神経保護薬物として作用することが可能である。
【0081】
したがって、一部の実施形態では、本発明の化合物は、認知症、例えば、アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症およびレビー小体認知症の中から選択される認知症の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0082】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、疼痛、例えば、変形性関節症に付随する疼痛の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0083】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、miR-27b活性のモジュレーションが有益である精神疾患、例えば、統合失調症、うつ病、双極性障害、注意欠陥多動性障害、自閉症、不安またはトゥレット症のいずれかの治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0084】
miR-27bは、ある特定のがんの病態、例えば、血管新生プロセスに関与することが示されており、一部の実施形態では、本発明の化合物は、血管新生関連疾患の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0085】
一部の実施形態では、本発明の化合物は、がん、例えば、非限定的な例として、中枢神経系のがん、神経膠腫、皮膚のがん、黒色腫、頭頸部がん、扁平上皮癌、好ましくは舌扁平上皮癌または口腔扁平上皮癌、血液のがん、好ましくは骨髄腫またはリンパ腫、より好ましくはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、甲状腺がん、甲状腺未分化がん、肝がん、肝細胞癌、胃がん、子宮頸がん、子宮体がん、血管腫、肺がん、膵がん、膀胱がん、前立腺がんおよび結腸直腸がん、例えば、結腸直腸がんの遊走および浸潤の群から選択されるがんのうちのいずれか1つの治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。一部の実施形態では、本発明の化合物は、がん転移の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0086】
プラダー・ウィリ症候群およびアンジェルマン症候群および関節炎の状態は、免疫炎症形質を有する。したがって、一部の実施形態では、本発明による化合物は、プラダー・ウィリ症候群またはアンジェルマン症候群、関節炎、変形性関節症の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0087】
miR-27bは、ある特定の心臓の状態において過剰発現され、心不全の発生に関与する。一部の実施形態では、本発明の化合物は、これだけに限定されないが、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、術後心房細動、心不全および慢性心不全、脳内出血により誘導される脳損傷または脳卒中のうちのいずれか1つを含めた心血管障害の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0088】
miR-27b発現は、非アルコール性脂肪性肝疾患の発生を含めた肝臓の状態に関与することが示されている。本発明の化合物は、肝障害の治療、緩和、先制治療または予防における使用のためのものである。一部の実施形態では、肝障害は、非アルコール性脂肪肝、脂肪肝、脂肪肝線維症、肝線維症およびヘパトーマの中から選択される。
【0089】
肺サルコイドーシスは、患者のPBリンパ球においてmiR-27bがアップレギュレートされていることを特徴とする。一部の実施形態では、本発明の化合物は、自己免疫疾患、肉芽腫性疾患、結合組織病またはサルコイドーシス、または肺障害の治療、緩和、好転、先制治療または予防のためのものである。一部の実施形態では、肺障害は、肺サルコイドーシスである。
【0090】
一部の実施形態では、本発明の化合物は、感染症の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。一部の実施形態では、治療、緩和、好転、先制治療または予防的治療される感染症は、敗血症、髄膜炎および脳炎のいずれかである。一部の実施形態では、本発明による化合物は、ヘルペスウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、または単純ヘルペスウイルス感染症のいずれかを含めたウイルス感染症の治療、緩和、好転、先制治療または予防のためのものである。
【0091】
MiR-27bは、血管新生、および加齢黄斑変性症を含めた網膜疾患の発生に関係づけられることが示されている。一部の実施形態では、本発明の化合物は、網膜の障害、例えば、網膜症、糖尿病性網膜症および加齢黄斑変性(AMD)の一覧からのいずれか1つの治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0092】
miR-27bは、インスリン抵抗性の発生およびグルコース代謝に関与し、したがって、糖尿病などの代謝障害に対する治療の標的である。一部の実施形態では、本発明の化合物は、糖尿病または2型糖尿病などの代謝障害の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0093】
miR-27bは、NF1を標的とすることによって神経線維腫症の発生に関与する。一部の実施形態では、本発明の化合物は、1型神経線維腫症を含めた神経線維腫症の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のためのものである。
【0094】
本発明の化合物は、miR-27bの強力な阻害剤であり、有効投薬量で、上記の疾患の治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のための有益な医薬である。一部の場合では、他の活性医薬化合物と組み合わせることにより、より良好な効果、例えば、改善された効果、例えば、相加効果または相乗効果がもたらされる。
【0095】
一部の実施形態では、配列番号5~22のうちのいずれか1つなどの本発明の抗miR-27bオリゴヌクレオチド化合物は、これだけに限定されないが、神経性障害および精神障害を含めた上記の疾患のうちのいずれか1つの治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のために、別の医薬化合物と組み合わせて使用するためのものである。一部の実施形態では、本発明のmiR-134と相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、実施形態に記載の疾患に対する、例えば、神経障害および精神障害を治療するための1種または複数種の他の治療法と組み合わせて使用するためのものである。一部の実施形態では、配列番号5~22のうちのいずれか1つなどの本発明の抗miR-27bオリゴヌクレオチド化合物は、上記の疾患のうちのいずれか1つの治療、緩和、好転、先制治療または予防における使用のために、miR-134阻害剤またはアデノシンキナーゼ阻害剤またはその両方と組み合わせて使用するためのものである。
【0096】
一部の実施形態では、本発明による化合物を使用する治療法は、哺乳動物、例えばヒトにおけるNrf2/ARE経路を誘導するものである。一部の実施形態では、化合物、使用、治療、緩和、好転、先制治療または予防は、ヒトなどの哺乳動物におけるものである。
【0097】
一部の実施形態では、抗miR-27bオリゴヌクレオチド化合物を唯一の活性医薬成分として含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、抗miR-27b化合物および薬学的に許容される担体を含む。
【0098】
医薬品の投与は、活性成分が標的組織によって有効投薬量で利用可能になるように最適な様式で行うことが重要である。miR-27bは、CNS、PNSおよび末梢器官の疾患についての関連性のある標的である。したがって、抗miR-27b化合物を投与する方法は、治療される疾患に応じて選択されるべきである。以下の実施形態に記載されているものを含め、薬物の投与方法の多くの選択肢が利用可能である。一部の実施形態では、本発明の抗miR-27b化合物を含む組成物、例えば医薬組成物は、皮下投与、静脈内投与、非経口投与、経鼻投与、経肺投与、直腸内投与、膣内投与、子宮内投与、尿道内投与、眼への投与、耳への投与、皮膚投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、硬膜外投与、脳室内投与、脳内投与、くも膜下腔内投与または経口投与または脳または脳脊髄液中への直接投与のいずれか1つによる投与用である、または前記組成物は、インプラントとして投与される。
【0099】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、ポンプとしての投与用であり、前記ポンプがミニ浸透圧ポンプであることが好ましい。
【0100】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、脳室内カテーテルによって容易になる脳室内投与用であり、前記カテーテルはリザーバーに取り付けられていることが好ましく、前記リザーバーはオンマイヤーリザーバーであることが好ましい。
【0101】
本発明による医薬組成物は、有効投薬量で投与するためのものであり、有効投薬量を、前記組成物を1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、60日間、61日間、62日間、63日間、64日間、65日間、66日間、67日間、68日間、69日間、70日間、71日間、71日間、72日間、73日間、74日間、75日間、76日間、77日間、78日間、79日間、80日間、81日間、82日間、83日間、84日間、85日間、86日間、87日間、88日間、89日間、90日間、91日間、92日間、93日間、94日間、95日間、96日間、97日間、98日間、99日間、100日間、101日間、102日間、103日間、104日間、105日間、106日間、107日間、108日間、109日間、110日間、111日間、112日間、113日間、114日間、115日間、116日間、117日間、118日間、119日間または好ましくは120日間の間隔で投与するその後の投与によって維持することができる。
【0102】
一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、1~200日間、10~190日間、20~180日間、30~170日間、40~160日間、50~150日間、60~140日間、70~130日間、80~120日間、90~110日間または好ましくは約100日間の間隔で投与する。
【0103】
miR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記の疾患を治療する方法において有用である。一部の実施形態では、配列番号5~22のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上に列挙されているCNSまたはPNS疾患の治療を含めた、上で列挙されている疾患を治療する方法における使用のためのものである。
【0104】
抗miR-27b化合物は、一部の場合では、上記の疾患の治療、先制治療、好転、緩和または予防における使用のための組成物、医薬組成物に含められ、ここで、治療は、防止的治療、治癒的治療または疾患修飾治療のいずれか1つである。
【0105】
上記の疾患のいくつかでは、疾患にかかっていない人と比較してmiR-27が過剰発現される。そのような場合には、本発明のmiR-27bと相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、疾患を診断する方法における使用のためのものである。
【0106】
投薬量
「有効投薬量」という表現は、所望の効果が実現される薬物の用量を指す。本発明に関しては、所望の効果は、miR-27bの活性の低下である。miR-27bの活性の低下は、例えば、miR-27bもしくはmiR-27b前駆体の分解をもたらすオリゴヌクレオチドを使用する場合にはmiR-27bのレベルを測定することによって測定することができる、または、マイクロRNA-27b標的(例えば、miR-27b結合性部位を含み、発現がmiR-27bによって調節されるmRNA(miR-27b標的mRNA)など)の抑制解除を測定することによって測定することができる。一部の実施形態では、治療の有効性を、Nrf2のアップレギュレーションを測定することによって測定する。したがって、miR-27b阻害を直接的に測定することもでき、miR-27b活性の二次的指標によって間接的に測定することもできる。
【0107】
本発明の化合物は、有効投薬量で使用するためのものであり、組成物は、有効投薬量の本発明の化合物を含む。
【0108】
一部の実施形態では、各投薬時に投与される化合物の投薬量、例えば、単位用量は、0.0001mg/kg~25mg/kgの範囲内に入る。
【0109】
一部の実施形態では、有効用量は、miR-134またはその活性を、継続的な投与間の期間にわたって意義のあるレベルまで、例えば、対象に対して治療的利益になるレベルまで、ダウンレギュレートするために十分な用量である。
【0110】
本発明の医薬組成物は、一部の実施形態では、最初の投薬量増量相をもたらすための投与用に作ることができ、疾患病態に応じて、最初の投薬量増量相の後に、対象における、例えば対象の標的組織における化合物の濃度を維持することを目的として、維持投薬量スキームを続けることができ、それが疾患の治療に有効になる。投薬の効果は、例えば、疾患の状態を示す疾患パラメータを観察することによって測定することもでき、標的組織に応じて、miR-27b標的RNA活性などの種々の組織パラメータ、または、代替例では、血漿中の測定可能な病状依存的パラメータを観察することによっても測定可能であり得る。
【0111】
薬物送達
種々の送達系が公知であり、本発明の治療薬を投与するために使用することができる。投与方法としては、これだけに限定されないが、皮下投与、静脈内投与、非経口投与、経鼻投与、経肺投与、直腸内投与、膣内投与、子宮内投与、尿道内投与、眼への投与、耳への投与、皮膚投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、硬膜外投与、脳室内投与(intraventricular administration)、脳内投与、くも膜下腔内投与または経口投与または脳もしくは脳脊髄液中への直接投与が挙げられる。組成物を、任意の都合のよい経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮もしくは皮膚粘膜組織(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通じた吸収によって投与することができ、また、他の生物活性のある薬剤を伴って、または伴わずに投与することができる。投与は、全身性であっても局所的であってもよい。さらに、本発明の組成物を中枢神経系に脳室内およびくも膜下腔内投与を含めた任意の適切な経路によって投与することが望ましい場合がある。脳室内カテーテル、例えば、オンマイヤーリザーバーなどのリザーバーに取り付けられた脳室内カテーテルにより、脳室内注射を容易にすることができる。例えば、吸入器またはネブライザー、およびエアロゾル化剤を伴う製剤を使用することにより、経肺投与を使用することもできる。治療薬がCNSまたはPNSに送達されることが好ましい。
【0112】
送達手段としては、吸入送達、シリンジまたはミニ浸透圧ポンプによる直接筋肉内への筋肉内送達、シリンジまたはミニ浸透圧ポンプによって腹膜に直接投与する腹腔内投与、シリンジによって皮膚の下に直接投与する皮下投与、注射によってまたは浸透圧ポンプに取り付けられた小さなカテーテルを使用して脳室に直接投与する脳室内投与が挙げられる。さらに、筋肉内または脊髄に直接設置されるインプラントを調製することができる(例えば、小型のシリコンインプラント)。本発明の組成物を治療が必要な領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、限定するものではなく、局部適用によって、注射によって、カテーテルを用いて、坐薬を用いて、またはインプラントを用いて実現することができ、前記インプラントは、シラスティック膜などの膜または線維を含めた、多孔質、非多孔質、またはゼラチン質材料製であってよい。
【0113】
医薬組成物
本発明は、医薬組成物も提供する。そのような組成物は、治療有効量の治療薬、および薬学的に許容される担体を含み得る。「薬学的に許容される」という用語は、規制当局によって承認される通り定義することができる。規制当局は、例えば、欧州医薬品庁(European Medicines Agency)、連邦もしくは州政府であり得る、または動物、特にヒトにおける使用に関して米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に収載されているものであり得る。「治療有効量」という用語は、障害または疾患の発達または発生の臨床的に意義のある阻害、好転または逆転をもたらす治療薬の量と定義することができる。「担体」という用語は、治療薬がそれと共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指し得る。そのような医薬担体は、滅菌された液体、例えば、水、および石油、動物、野菜または合成起源のものを含めた油、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであってよい。医薬組成物を静脈内投与する場合、好ましい担体は水であり得る。生理食塩水溶液ならびにブドウ糖水溶液およびグリセロール水溶液も、特に注射液のための液体担体として使用することができる。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、イネ、穀粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、所望であれば、湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝液も含有してよい。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、ピル、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとってよい。組成物を、従来の結合剤およびトリグリセリドなどの担体を用いて坐薬として製剤化することができる。経口用製剤には、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準の担体を含めることができる。そのような組成物は、治療有効量の治療薬を、好ましくは精製された形態で、患者に適当に投与するための形態をもたらすために適した量の担体と共に含有してよい。製剤を投与形式に合わせることができる。静脈内投与用の組成物は、滅菌等張性水性緩衝液中の溶液であってよい。必要であれば、組成物に、可溶化剤および注射部位の疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔薬を含めることもできる。成分は別々に供給することもでき、混合して単位剤形として、例えば、活性薬剤の数量が示されたアンプルまたはサシェなどの密封容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給することもできる。組成物を注入によって投与する場合、滅菌された医薬品グレードの水または生理食塩水を含有する注入用ボトルに分配することができる。組成物を注射によって投与する場合、成分を投与前に混合することができるように、注射用滅菌水、または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】ホタルルシフェラーゼ(Firefly)に対して正規化したウミシイタケシグナルの抑制レベルを空ベクターに対するパーセントとして示すグラフである。n、N=2~3、4~6、平均値±SEM。最も強力なアンチセンスオリゴヌクレオチドは配列番号8、12、16、19および20である。
【
図2】PC-12細胞において測定された5種のmiR-27bアンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応曲線およびIC50値を示すグラフである。用量反応曲線およびIC50値、n、N=1、2、両方の技術的反復実験が示されている、3パラメータ非線形曲線当てはめ。
【
図3】U-87 mg細胞におけるウミシイタケルシフェラーゼ活性の抑制解除によって測定された配列番号8、12、16、19および20のIC50値を示すグラフである。n、N=2、4~6、全ての生物学的反復実験が示されている。最小二乗回帰を使用し、3パラメータ応答に対するlog(阻害剤)を用いてIC50曲線を当てはめ、効力を算出した。
【
図4】抗miR-27bオリゴヌクレオチドをPC-12 Adh細胞にトランスフェクトした後のmiR-27bの直接の標的mRNA(nrf2)および下流の標的mRNA(hmox1、nqo1)の発現の増大を示すグラフである。n、N=3、6;平均値±SEM、全ての技術的反復実験が示されている。qPCR結果の解析を、ΔΔCt法を使用し、スクランブルされたオリゴヌクレオチドに対する正規化を使用して行った。(本実験で使用した配列番号20に定義されるオリゴヌクレオチドを、1つのグアニンに対するイノシン置換を行って配列番号22に対応するようにした。)
【
図5】配列番号20およびイノシン置換された配列番号22の効力を示すグラフである。Aは、0.2nM、1nMおよび5nMの抗miRをPC-12 Adh細胞にトランスフェクトした後のウミシイタケルシフェラーゼ活性の抑制解除。n、N=1、2;平均値±SEM。全ての技術的反復実験が示されている。Bは、配列番号20および配列番号22の用量反応曲線およびIC50値。配列番号22は、配列番号20に対して、1つのグアニンがイノシン置換されているが他の点では同一のものであった。用量反応曲線およびIC50値、n、N=1、3、平均、3パラメータ非線形曲線当てはめ。
【実施例】
【0115】
実施例1:細胞培養
アンチセンスオリゴヌクレオチドのmiRNAに対する効果のin vitroモデリングは、一般に、哺乳動物細胞株において行われる。
【0116】
接着性ラット褐色細胞腫細胞株PC-12 Adh(ECACC番号88022401)をATCCから購入し(ATCC cat番号CRL-1721.1(商標))、Corning(登録商標)CellBIND(登録商標)Surface細胞培養フラスコ(Sigma-Aldrich cat番号CLS3290)中、2.5%熱失活ウシ胎仔血清(Sigma-Aldrich cat番号F4135-500ml)、15%熱失活ウマ血清(Sigma-Aldrich cat番号H1385-500mlおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich cat番号P4333-100ml)を補充したHam’s F-12K(Kaighn’s)培地(ThermoFischer Scientific cat番号21127022)で成長させた。細胞を、加湿5%CO2インキュベーター中、37℃で保持し、週に2回継代した。
【0117】
実施例2:培養した細胞株におけるルシフェラーゼレポーターアッセイ
単純かつ非常に高感度の手法は、ルシフェラーゼなどのレポーター遺伝子の3’UTR内に単一の完全マッチmiRNA結合性部位を有するmiRNAレポータープラスミドの構築を伴うものである。この方法は、培養した細胞において、miRNA阻害を検証するため、また異なる抗miR設計の効力を比較するために広範囲にわたって使用されている。
【0118】
ヒトmiR-27bに対する単一の完全マッチ標的部位に対応するアニーリングされたオリゴヌクレオチドを、デュアルルシフェラーゼpsiCHECK2プラスミド(Promega)のウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子の3’UTR内にクローニングすることにより、miR-27bレポーターを生成した。
【0119】
ルシフェラーゼアッセイに関しては、トランスフェクションの前日に、PC-12 adh細胞を96ウェルCorning(登録商標)CellBIND(登録商標)Surface細胞培養マイクロウェルプレート(Sigma-Aldrich cat番号CLS3330)にウェル当たり細胞25,000個の密度で播種した。リポフェクタミン2000(ThermoFischer Scientific cat番号11668-019)をOpti-MEM(商標)I Reduced Serum Medium、GlutaMAX(商標)supplement(ThermoFischer Scientific cat番号51985026)中、0.5μ/ウェルの最終濃度で使用して細胞へのトランスフェクションを行った。17種のアンチセンスオリゴヌクレオチドのライブラリーに対するスクリーニングを、ルシフェラーゼレポータープラスミドを伴う各抗miR-27bおよびmiR-27b模倣体を最終濃度0.2nM、1nM、5nMで同時トランスフェクトすることにより、ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用して行った。配列がスクランブルされたオリゴヌクレオチド、miRNAマッチ部位を含有しないベクター、およびニセトランスフェクションを対照として含めた。全ての試料について技術的2連で実行した。4時間後、細胞をOpti-MEM(商標)培地で洗浄し、新鮮な完全細胞培養培地をウェルに添加した。
【0120】
トランスフェクションの24時間後、Dual-Glo(登録商標)Luciferase Assay System(Promega cat番号E2920)を使用し、製造者の指示に従ってルシフェラーゼアッセイを行った。試薬をプレート中で30分インキュベートした後、発光量をプレートリーダー(VarioSkan Lux、ThermoFischer Scientific)で決定した。
【0121】
結果を、バックグラウンド発光を差し引き、次いで、ウミシイタケシグナルを構成的なホタルルシフェラーゼシグナルに対して正規化することによって分析した。次いで、2回の技術的2連の平均を空ベクターに対して正規化し、パーセンテージとして表した。結果をGraphPad Prism(バージョン9.0.2、GraphPad Software)で可視化した。
【0122】
17種全てのアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ホタルルシフェラーゼ活性に対して正規化したウミシイタケルシフェラーゼ活性の抑制解除のレベルが
図1に示されている。
【0123】
抗miR-27bアンチセンスオリゴヌクレオチドの完全なライブラリーから、最も強力な5種の抗miR-27b分子をさらなる分析およびIC50決定のために選択した。
【0124】
実施例3:培養した細胞株における抗miR-27bオリゴヌクレオチドのIC50の決定
miR-27bの阻害に関するアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力を決定するために、IC50決定を行った。ルシフェラーゼアッセイを実施例2に記載の通り実施した。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、Xu et al(Oncotarget. 2017 Sep 19; 8 (41): 70669-70684)によるmiR-27bアンタゴミルと比較した。IC50値を決定するために、細胞に、抗miR-27bを80nMから2倍希釈で0.0049nMまでにわたる広範囲の濃度でトランスフェクトした。ウミシイタケルシフェラーゼ活性をホタルルシフェラーゼ活性に対して正規化し、GraphPad Prism(バージョン9.0.2、GraphPad Software)でlog(M)に対してプロットした。用量反応曲線を、3パラメータ非線形当てはめを使用して当てはめ、IC50値をnM単位で算出した。アンタゴミル対照化合物については、選択された濃度にわたって応答が低かったので、IC50値を決定することができなかった。
【0125】
図2は、5種の抗miR-27bオリゴヌクレオチドの用量反応曲線およびIC50値を示す。
【0126】
実施例4:培養したU-87 Mg細胞におけるIC50決定
U-87 Mg細胞におけるIC50曲線を、リポフェクタミン2000の量をウェル当たり0.4μLとし、トランスフェクションを96ウェルCostar黒色プレート(cat番号:3603、Corning World、Corning、NY、USA)で行った以外は上の実施例に記載されているPC-12 Adh細胞の場合と同様に得た。
【0127】
図3は、5種の選択された抗miR-27bオリゴヌクレオチド(配列番号8、12、16、19および20)の用量反応曲線およびIC50値を示す。
【0128】
実施例5は、培養したPC-12 Adh細胞株におけるmiR-27b標的mRNAの抑制解除を示す。
【0129】
miRNAは、それらの標的mRNAのレベルを負に調節するので、抗miRオリゴヌクレオチドによるmiR-27b阻害の機能的影響を、その後に続く標的mRNAのアップレギュレーションによって測定することができる。miR-27bの主な標的は転写因子Nrf2であり、これは、抗酸化物質のアップレギュレーションならびにHmox1およびNqo1などの因子の無毒化に関与する。これらの3種のマーカーのアップレギュレーションにより、単にNrf2レベルに対する機能的影響が示されるだけでなく、Nrf2によって調節される下流の分子経路の活性化も示される。
【0130】
PC-12 Adh細胞へのトランスフェクションを、上記の実施例に記載されている通りであるが、細胞を12ウェルCellBindプレート(cat番号:CLS3336、Corning World、Corning、NY、USA)にウェル当たり細胞3×105個の密度で播種したこと、ウェル当たり6μLのリポフェクタミン2000を使用したこと、ルシフェラーゼレポーターを使用しなかったことを例外として行った。直接顕微鏡によって検査することによってトランスフェクション効率を確認するために、FAM標識されたオリゴヌクレオチドを別のウェルにトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、miRNeasy mini kit(cat番号:217004、Qiagen、Hilden、Germany)を使用し、製造者の指示に従ってRNA抽出を行った。さらなる分析を行うまでRNAを-80℃で保管した。Superscript IV逆転写酵素(cat番号:18090010、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA、USA)を使用し、製造者の指示に従って逆転写を行った。これには、ezDNase(商標)(cat番号:11766051、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA、USA)によるgDNAの除去、およびランダムな六量体プライマー(cat番号:SO142、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA、USA)の使用が含まれた。qPCRを、QuantStudio 6 Flex(Applied Biosystems、Waltham、MA、USA)で、Integrated DNA Technologies(Newark、NJ、USA)によって合成されたTaqManアッセイ(表2)およびTaqMan(商標)Universal Master Mix II、UNGなし(cat番号:4440040、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA、USA)を使用し、製造者の指示に従って行った。全てのqPCRアッセイを、エクソンにまたがる(exon-spanning)ように設計し、blastによってプライマーの特異性を確認し、プライマーの効率を5倍希釈系列を使用して決定した。Hprt1をハウスキーピング遺伝子として使用した。全てのqPCR結果をΔΔCt法(Livak KJ, Schmittgen TD. Analysis of Relative Gene Expression Data Using Real-Time Quantitative PCR and the 2-ΔΔCT Method. Methods. 2001;25(4):402-408)を使用し、スクランブルされたオリゴヌクレオチドを正規化のために使用して解析した。
【0131】
【0132】
図4の棒グラフは、抗miR(配列番号8、12、16、19および20)のmiR-27b標的遺伝子抑制解除(Nrf2、Hmox1およびNqo1)に対する効果を示す。本実験で使用した配列番号20として定義されるオリゴヌクレオチドを、1つのグアニンに対するイノシン置換を行って配列番号22に対応するようにした。
【0133】
実施例6は、配列番号20および配列番号22の効力の評定を示す
トランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイを、細胞を、コラーゲン(Sigma-Aldrich cat番号C8919)で前処理した透明底の白色96ウェルプレート(cat番号3610、Corning)に播種したこと、IC50実験について3回の技術的反復実験を使用したこと、およびバックグラウンド除去を行わなかったこと以外は実施例2および3に記載の通り行った。用量応答実験およびIC50実験の結果がそれぞれ
図5AおよびBに示されている。
【0134】
実施形態
1)18~19ヌクレオチド長の配列を含む、miR-27b(配列番号1または2)と相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、7~14、例えば10~13の親和性増強性ヌクレオチド類似体を有し、3つを超える連続したDNAヌクレオチドのひと続きを含有しないミックスマーであり、かつ、1~18のホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。
【0135】
2)配列番号3と相補的である、実施形態1によるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0136】
3)配列番号4を含む、実施形態1または2によるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0137】
4)18または19ヌクレオチド長であり、配列番号4を含み、LNA/DNAミックスマーである、実施形態1から3までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0138】
5)18または19ヌクレオチド長であり、配列番号4を含み、50~70%のLNA、例えば52~68%のLNA、例えば少なくとも50%のLNA、例えば少なくとも52%のLNAを有するLNA/DNAミックスマーである、実施形態1から4までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0139】
6)各末端の2つの末端ヌクレオチドがLNAである、実施形態1から5までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0140】
7)LNAがベータ-D-オキシLNAである、実施形態1から6までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0141】
8)全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、実施形態1から7までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0142】
9)配列番号5~22のいずれか1つである、実施形態1から8までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0143】
10)全てのLNAがベータ-D-オキシLNAであり、全てのLNAシトシンが5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である、実施形態9によるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0144】
11)LNA/DNAミックスマーが、トリシクロ-DNA、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’メトキシエチル(2’MOE)、2’環状エチル(cET)、UNA、2’フルオロおよび立体配置が制限されたヌクレオシド(CRN)のいずれか1つであるヌクレオシドを1つまたは複数さらに含む、実施形態1から10までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0145】
12)医薬としての使用のための、実施形態1から11までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0146】
13)実施形態1から12までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むmiR-27b阻害組成物。
【0147】
14)哺乳動物、例えばヒトにおけるNrf-2/ARE経路の誘導における使用のための、実施形態13による組成物。
【0148】
15)アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号5~22のいずれか1つである、実施形態12による医薬としての使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、または実施形態13または14による組成物。
【0149】
16)使用が、miR-27b活性の改変、またはNrf-2/ARE経路の誘導が有益であるmiR-27b関連疾患を治療する、緩和させる、先制治療する、または予防するためのものである、実施形態12、13、14または15のいずれかによる使用または組成物。
【0150】
17)使用が、CNSまたはPNSのmiR-27b関連疾患を治療する、緩和させる、先制治療する、または予防するためのものである、実施形態12、13、14、15または16による使用または組成物。
【0151】
18)神経性障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態17による使用。
【0152】
19)神経変性障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態18による使用。
【0153】
20)神経発達障害、遺伝障害、および/または遺伝性神経発達障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態19による使用。
【0154】
21)てんかんを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12から19までのいずれか1つによる使用。
【0155】
22)薬剤抵抗性てんかんを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態21による使用。
【0156】
23)てんかんの発作を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態21または22による使用。
【0157】
24)てんかんの自発性発作を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態21から23までによる使用。
【0158】
25)治療法抵抗性発作を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態21から24までによる使用。
【0159】
26)前記てんかんが、焦点性てんかんであり、前記焦点性てんかんが、前頭葉、頭頂葉、後頭葉または側頭葉を焦点とするものであることが好ましい、実施形態21から25までによる使用。
【0160】
27)前記てんかんが、全般てんかんであり、前記全般てんかんが、欠神、ミオクロニー発作、強直間代性発作、強直性発作、脱力発作、間代性発作および攣縮の中から選択されることが好ましい、実施形態21から25までによる使用。
【0161】
28)前記てんかんが、てんかん重積状態である、実施形態21から27までによる使用。
【0162】
29)前記てんかんが、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症(continuous spike-and-waves during slow sleep)、ドラベ症候群、脳卒中後てんかん、てんかん性脳症、笑いてんかん、欠神、良性新生児発作、ジーボンス症候群、若年ミオクロニーてんかん、ランドウ・クレフナー症候群、レンノックス・ガストー症候群、内側側頭葉てんかん、ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん、大田原症候群、パナイトポーラス症候群、PCDH19症候群、中心側頭棘波をもつ良性小児てんかん、スタージ・ウェーバー症候群、症候性焦点性てんかん、一過性てんかん性健忘およびウエスト症候群の中から選択される、実施形態21から28までによる使用。
【0163】
30)前記てんかんが、精神障害、認知障害、睡眠障害、心血管障害、呼吸器疾患、炎症性障害、精神障害、不安、疼痛、認知機能障害、うつ病、認知症、頭痛、片頭痛、心疾患、潰瘍、消化性潰瘍、関節炎および骨粗鬆症の中から選択される共存症と共に存在する、実施形態21から29までによる使用。
【0164】
31)ニューロン損傷を防止もしくは予防する、または緩和させるまたは治療するためのものである、実施形態16から29までによる使用。
【0165】
32)海馬損傷を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態31による使用。
【0166】
33)酸化ストレス、炎症および/またはアポトーシスを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態17による使用。
【0167】
34)脳出血により誘導される脳損傷、虚血性脳卒中、出血性卒中または脳卒中を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態17による使用。
【0168】
35)自己免疫疾患、記憶障害、海馬硬化症、パーキンソン病、脱髄性疾患、多発性硬化症、脊髄損傷、急性脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、進行性球麻痺、進行性筋萎縮症、原発性側索硬化症、運動失調、ベル麻痺、遺伝性神経疾患、シャルコー・マリー・トゥース、頭痛、ホートン頭痛、片頭痛、ピック病、進行性核上性麻痺、多系統変性、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、プリオン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、大脳皮質基底核変性症、失語症、原発性進行性失語症またはその症状もしくは影響を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態17から20までによる使用。
【0169】
36)認知症を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態17から19または35までによる使用。
【0170】
37)前記認知症が、アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症およびレビー小体認知症の中から選択される、実施形態36による使用。
【0171】
38)疼痛、例えば、変形性関節症に付随する疼痛を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または実施形態14から19までのいずれかによる使用。
【0172】
39)miR-27bのモジュレーションが有益である精神疾患を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12から19までのいずれかによる使用。
【0173】
40)統合失調症、うつ病、双極性障害、注意欠陥多動性障害、自閉症、不安またはトゥレット症を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態39による使用。
【0174】
41)血管新生関連疾患を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12から16までによる使用。
【0175】
42)がんを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12から16までまたは41のいずれか1つによる使用。
【0176】
43)前記がんが、神経系のがん、好ましくは神経膠腫である、実施形態42による使用。
【0177】
44)前記がんが、皮膚のがん、好ましくは黒色腫である、実施形態42による使用。
【0178】
45)前記がんが、頭頸部がんである、実施形態42による使用。
【0179】
46)前記がんが、扁平上皮癌、好ましくは舌扁平上皮癌または口腔扁平上皮癌である、実施形態42による使用。
【0180】
47)前記がんが、血液のがん、好ましくは骨髄腫またはリンパ腫、より好ましくはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫である、実施形態42による使用。
【0181】
48)前記がんが、乳がん、好ましくはトリプルネガティブ乳がんである、実施形態42による使用。
【0182】
49)前記がんが、甲状腺がん、好ましくは甲状腺未分化がんである、実施形態42による使用。
【0183】
50)前記がんが、肝がん、好ましくは肝細胞癌である、実施形態42による使用。
【0184】
51)前記がんが、胃がん、子宮頸がん、子宮体がん、血管腫、肺がん、膵がん、膀胱がん、前立腺がんおよび結腸直腸がん、例えば、結腸直腸がんの遊走および浸潤の群から選択される、実施形態42による使用。
【0185】
52)前記がんが、がん転移である、実施形態42から51までによる使用。
【0186】
53)アンチセンスオリゴヌクレオチドが、プラダー・ウィリ症候群またはアンジェルマン症候群の治療における使用のためのものである、実施形態12から16までまたは20のいずれか1つによる使用。
【0187】
54)関節炎を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から16までのいずれか1つによる使用。
【0188】
55)前記関節炎が、変形性関節症である、実施形態54による使用。
【0189】
56)心血管障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から17までのいずれか1つによる使用。
【0190】
57)前記心血管障害が、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、術後心房細動、心不全および慢性心不全、脳内出血により誘導される脳損傷または脳卒中の中から選択される、実施形態56による使用。
【0191】
58)肝障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から16までのいずれか1つによる使用。
【0192】
59)前記肝障害が、非アルコール性脂肪肝、脂肪肝、脂肪肝線維症、肝線維症およびヘパトーマの中から選択される、実施形態58による使用。
【0193】
60)肺サルコイドーシスなどの肺障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から16までのいずれか1つによる使用。
【0194】
61)自己免疫疾患、肉芽腫性疾患、結合組織病またはサルコイドーシスを治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から16までのいずれか1つによる使用。
【0195】
62)感染症を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から17までのいずれか1つによる使用。
【0196】
63)前記感染症が、敗血症、髄膜炎および脳炎の中から選択される、実施形態62による使用。
【0197】
64)前記感染症が、ヘルペスウイルス感染症である、実施形態62による使用。
【0198】
65)前記感染症が、ヒトパピローマウイルス感染症である、実施形態62による使用。
【0199】
66)前記ヘルペスウイルス感染症が、単純ヘルペスウイルス感染症およびサイトメガロウイルス感染症の間で選択される、実施形態64による使用。
【0200】
67)網膜の障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から17までのいずれか1つまたは41による使用。
【0201】
68)前記網膜の障害が、網膜症、糖尿病性網膜症および加齢黄斑変性(AMD)の中から選択される、実施形態67による使用。
【0202】
69)代謝障害を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から16までのいずれか1つによる使用。
【0203】
70)前記代謝障害が、糖尿病、好ましくは2型糖尿病である、実施形態69による使用。
【0204】
71)遺伝障害、好ましくは神経線維腫症を治療する、緩和させる、先制治療するまたは予防するためのものである、実施形態12または14から17までのいずれか1つによる使用。
【0205】
72)アンチセンスオリゴヌクレオチドを別の治療法と組み合わせて使用する、実施形態12から71までのいずれか1つによる使用。
【0206】
73)前記他の治療法が、抗miR-134アンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態72による使用。
【0207】
74)前記他の治療法が、アデノシンキナーゼ阻害剤である、実施形態72による使用。
【0208】
75)前記他の治療法が、哺乳動物、例えばヒトにおいてNrf-2/ARE経路を誘導するものである、実施形態72による使用。
【0209】
76)前記治療法が、抗miR-134アンチセンスオリゴヌクレオチド、アデノシンキナーゼ阻害剤およびNrf-2/ARE経路を誘導する治療法のうちの1つまたは複数である、実施形態72による使用。
【0210】
77)本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、唯一の活性医薬成分である、実施形態12から71までのいずれか1つによる使用。
【0211】
78)実施形態1から12までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0212】
79)実施形態1から12までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記抗miR27bオリゴヌクレオチドが唯一の活性医薬成分である、医薬組成物。
【0213】
80)実施形態12から77までのいずれか1つによる使用のためのものである、実施形態78から80までのいずれか1つによる医薬組成物。
【0214】
81)皮下投与、静脈内投与、非経口投与、経鼻投与、経肺投与、直腸内投与、膣内投与、子宮内投与、尿道内投与、眼への投与、耳への投与、皮膚投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、硬膜外投与、脳室内投与(intraventricular administration)、脳内投与、くも膜下腔内投与もしくは経口投与による投与用、もしくは脳もしくは脳脊髄液中への直接投与用である、または、インプラントとして投与される、実施形態78から80までによる医薬組成物。
【0215】
82)前記組成物が、ポンプにより投与され、前記ポンプが、ミニ浸透圧ポンプであることが好ましい、実施形態78から81までによる医薬組成物。
【0216】
83)脳室内カテーテルによって容易になる脳室内投与用であり、前記カテーテルがリザーバーに取り付けられていることが好ましく、前記リザーバーがオンマイヤーリザーバーであることが好ましい、実施形態78から82までによる医薬組成物。
【0217】
84)1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、60日間、61日間、62日間、63日間、64日間、65日間、66日間、67日間、68日間、69日間、70日間、71日間、71日間、72日間、73日間、74日間、75日間、76日間、77日間、78日間、79日間、80日間、81日間、82日間、83日間、84日間、85日間、86日間、87日間、88日間、89日間、90日間、91日間、92日間、93日間、94日間、95日間、96日間、97日間、98日間、99日間、100日間、101日間、102日間、103日間、104日間、105日間、106日間、107日間、108日間、109日間、110日間、111日間、112日間、113日間、114日間、115日間、116日間、117日間、118日間、119日間または好ましくは120日間の間隔で投与される、実施形態81から83までによる医薬組成物。
【0218】
85)1~200日間、10~190日間、20~180日間、30~170日間、40~160日間、50~150日間、60~140日間、70~130日間、80~120日間、90~110日間または好ましくは約100日間の間隔で投与される、実施形態81から83までによる医薬組成物。
【0219】
86)実施形態12から77までのいずれか1つによる疾患を治療する方法における使用のための、実施形態1から12までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは実施形態13による組成物。
【0220】
87)実施形態1から12までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは実施形態13または14による組成物を使用することによって実施形態12から77までのいずれか1つによる疾患を治療するための方法。
【0221】
88)治療が、防止的治療、治癒的治療または疾患修飾治療のいずれか1つである、実施形態12から77までのいずれか1つによる使用、または実施形態78から85までのいずれか1つによる医薬組成物、または実施形態86または87による方法。
【0222】
89)実施形態1から12までのいずれか1つによるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは実施形態13による組成物を使用することによって実施形態12から77までのいずれか1つによる疾患を診断する方法。
【配列表】
【国際調査報告】