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特表2024-510666DDR遺伝子変異転移性去勢感受性前立腺がんを処置するためのタラゾパリブおよび抗アンドロゲンの組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】DDR遺伝子変異転移性去勢感受性前立腺がんを処置するためのタラゾパリブおよび抗アンドロゲンの組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5025 20060101AFI20240301BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240301BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240301BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/4166 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61K31/5025
A61P35/00
A61P35/04
A61P13/08
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K31/4166
A61K31/4439
A61K31/4164
A61K31/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557691
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 IB2022052536
(87)【国際公開番号】W WO2022200982
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/165,723
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/282,163
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/317,368
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(71)【出願人】
【識別番号】000006677
【氏名又は名称】アステラス製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】アコス ガボー ズィベレ
(72)【発明者】
【氏名】ダナ アン ケネディー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084AA20
4C084AA21
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086CB09
4C086DA12
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療、ならびに関連する医薬組成物、処置方法、および薬学的使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、前記対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、前記方法が、前記対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することを含む方法。
【請求項2】
それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)前記対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)前記対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含む方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異が、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cからなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が処置ナイーブである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩がタラゾパリブトシル酸塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩が、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗アンドロゲンが、
アビラテロン酢酸エステル、
エンザルタミド、
N-デスメチルエンザルタミド、
ダロルタミド、および
アパルタミド、
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗アンドロゲンが、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、1日1回約0.35mgまたは約0.5mgの1日投薬量で投与し、前記エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を、約160mgの1日投薬量で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与し、前記エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を、約160mgの1日投薬量で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与し、前記エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を、約160mgの1日投薬量で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を、約160mgの1日投薬量で投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および前記抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩がそれぞれ、転移性去勢感受性前立腺がんの処置において、合わせて有効である量である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および前記抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を同時に投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
さらなる抗がん薬を投与することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記さらなる抗がん薬が、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、抗増殖薬、およびアンドロゲン除去治療からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アンドロゲン除去治療が、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、黄体形成ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、および両側精巣摘除からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象がヒトである、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA損傷修復(DDR)遺伝子変異転移性去勢感受性前立腺がんを処置するために有用な併用治療に関する。特に、本発明は、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲンまたはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療に関する。本発明はまた、関連する処置方法、医薬組成物、および薬学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺がんは男性において、がんによる死亡の2番目に主要な原因である。局所性疾患の発生は過去数年内では減少し始めているが、転移性前立腺がんと診断される患者の数は増加している。乳がんと同様に、前立腺がんはホルモン駆動型の疾患である。総じてアンドロゲンとして公知であるテストステロンおよび他の男性ホルモンが、正常な前立腺および前立腺がん細胞の両方の増殖における鍵である。アンドロゲンは、アンドロゲン受容体に結合して、それを活性化することにより前立腺がん細胞の増殖を激化させ得る。アンドロゲン受容体(AR)は、前立腺がんの発生および進行を含めて、ある特定のがんの促進において役割を果たすことが公知であるアンドロゲン刺激転写因子である。
【0003】
抗アンドロゲンは、いくつかの異なる機構によりアンドロゲン活性を抑制すると考えられる。転移性去勢抵抗性前立腺がんおよび転移性高リスク去勢感受性前立腺がんを処置するために承認されている抗アンドロゲンの一例は、プレドニゾンとの組合せで承認されているアビラテロン酢酸エステル(Zytiga(商標)として市販)、ステロイド性CY17A1阻害薬である。抗アンドロゲンの具体的なクラスの1つは、アンドロゲン受容体について、内在性リガンドであるアンドロゲンと競合すると考えられる、アンドロゲン受容体アンタゴニストとしても公知のアンドロゲン受容体阻害薬である。アンタゴニストがアンドロゲン受容体に結合するとき、これは、重要なアンドロゲン調節遺伝子の転写を妨害する受容体自体の立体構造変化を誘導し、したがって、テストステロンおよびジヒドロテストステロンなどのアンドロゲン自体の生物学的作用を阻害すると考えられる。エンザルタミド(Xtandi(登録商標)として市販)は、去勢抵抗性前立腺がんおよび転移性去勢感受性前立腺がんを処置するために承認された非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬である。
【0004】
転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)としても公知の転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)は、前立腺領域を超えて身体の別の部分へと転移している進行性前立腺がんである。mCSPCは、de novo(局所性疾患が前処置されずに、転移性疾患を初めに示す患者)で、または局所性疾患の処置後の再発に続いて診断され得る。数十年にわたって、転移性疾患を含む進行性前立腺がんの標準治療は、テストステロンレベルを低下させることを意図する、アンドロゲン除去治療(ADT)としても公知のホルモン治療である。ADTは、mCSPCを処置するための基礎治療であり続けている。ドセタキセル、アビラテロン+プレドニゾン、エンザルタミド、およびアパルタミドを含むいくつかの処置が、ADTと、または身体的去勢、例えば、両側精巣摘除と併せて使用される場合に、臨床的有用性をそれぞれ示している。
【0005】
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、細胞におけるDNA修復の天然に存在するプロセスに関与している。PARP阻害は、合成致死性を誘導することにより、二本鎖DNA修復遺伝子における生殖細胞系変異と関連する腫瘍に対する有効な治療戦略であることが示されている(Sonnenblick,A.ら、Nat Rev Clin Oncol.、2015.12(1)、27~4)。
【0006】
タラゾパリブは、強力な経口利用可能なPARP阻害薬であり、これは、デオキシリボ核酸(DNA)修復を損なう遺伝子変異を持つヒトがん細胞系に対して細胞傷害性であり(合成致死性と称される作用)、DNA上のPARPタンパク質を捕捉することによって、DNA修復、複製、および転写を防げる。
【0007】
「(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン」および「(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-2,7,8,9-テトラヒドロ-3H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3-オン」(「PF-06944076」、「MDV3800」、および「BMN673」とも称される)である化合物のタラゾパリブは、構造
【0008】
【化1】
を有するPARP阻害薬である。
【0009】
タラゾパリブ、およびトシル酸塩を含むその薬学的に許容できる塩は、国際公開WO2010/017055およびWO2012/054698に開示されている。タラゾパリブ、およびトシル酸塩を含むその薬学的に許容できる塩を調製する追加の方法は、国際公開WO2011/097602、WO2015/069851、およびWO2016/019125に記載されている。タラゾパリブ、およびトシル酸塩を含むその薬学的に許容できる塩を使用してがんを処置する追加の方法は、国際公開WO2011/097334およびWO2017/075091に開示されている。
【0010】
タラゾパリブは、単一の薬剤として、DNA修復経路異常を伴う複数の種類の固形腫瘍を有する患者において、有効性、さらには許容できる毒性プロファイルを示している。固形腫瘍種類において、化学治療と組み合わせたタラゾパリブの有効性を裏付けるデータも存在する。
【0011】
タラゾパリブ(TALZENNA(登録商標)として市販)は、転移性HER2陰性乳がんおよびgBRCA1/2変異を有する患者を処置するために承認されている。加えて、TALAPRO-1研究で、タラゾパリブ単剤治療の利点が、DDR欠乏性転移性去勢抵抗性前立腺がんを有するドセタキセル前処置患者において調査中である(de Bono,J.ら、J Clin Oncol.2020、38、5566)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
がんを処置するための改善された治療が依然として必要とされている。mCSPCおよびDDR遺伝子変異を有する患者は予後不良を伴う。去勢抵抗性を発生するまでの期間を延長し、次いで、全生存期間も延長するさらなる治療を開発することも必要とされている。本発明の組合せは、いずれかの治療薬単独での処置よりも改善された治療効果;改善された投薬スケジュールを可能にする可能性;抵抗性機構を克服する可能性および同様のものなどの1つまたは複数の利点を有すると考えられる。本発明のこれらの、および他の利点は、下記から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
下記の本発明の実施形態はそれぞれ、組み合わされる実施形態(複数可)と矛盾しない本明細書に記載の1つまたは複数の本発明の他の実施形態と組み合わせることができる。加えて、本発明を記載する下記の実施形態はそれぞれ、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩をその範囲内に包含する。したがって、「またはその薬学的に許容できる塩」という語句は、本明細書に記載の化合物すべての記載において暗に示されている。
【0014】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、方法が、対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することを含む方法に関する。
【0015】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺癌を処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、X線撮影による無増悪生存期間が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0016】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、全生存期間が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0017】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、去勢抵抗性の出現が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0018】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、前立腺特異的抗原(PSA)進行までの期間が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0019】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含む方法に関する。
【0020】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、X線撮影による無増悪生存期間が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0021】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、全生存期間が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0022】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、去勢抵抗性の出現が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0023】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含み、前立腺特異的抗原(PSA)進行までの期間が、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される、方法に関する。
【0024】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cからなる群から選択される。
【0025】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATM、BRCA1、およびBRCA2からなる群から選択される。
【0026】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATR、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cからなる群から選択される。
【0027】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATMであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATRであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、BRCA1であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、BRCA2であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、CDK12であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、CHEK2であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、FANCAであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、MLH1であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、MRE11Aであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、NBNであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、PALB2であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、RAD51Cである。
【0028】
本発明の一実施形態では、対象は処置ナイーブである。
【0029】
本発明の一実施形態では、併用治療は、転移性去勢感受性前立腺がんのための第一選択処置である。
【0030】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩は、タラゾパリブトシル酸塩である。
【0031】
本発明の一実施形態では、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩は、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0032】
本発明の一実施形態では、抗アンドロゲンは、
アビラテロン酢酸エステル、
エンザルタミド、
N-デスメチルエンザルタミド、
ダロルタミド、および
アパルタミド
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される。
【0033】
本発明の一実施形態では、抗アンドロゲンは、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0034】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.35mgまたは約0.5mgの1日投薬量で投与し、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0035】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与し、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0036】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与し、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0037】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与する。
【0038】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与する。
【0039】
本発明の一実施形態では、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0040】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩はそれぞれ、転移性去勢感受性前立腺がんの処置において、合わせて有効である量である。
【0041】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を同時に投与する。
【0042】
本発明の一実施形態では、さらなる抗がん薬を投与する。
【0043】
本発明の一実施形態では、さらなる抗がん薬は、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、抗増殖薬、およびアンドロゲン除去治療からなる群から選択される。
【0044】
本発明の一実施形態では、対象はヒトである。
【0045】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、方法が、対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することを含む方法に関する。
【0046】
本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、a)対象からの転移性がんのバイオプシーまたは末梢血試料から、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を検出することと、b)対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することとを含む方法に関する。
【0047】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cからなる群から選択される。
【0048】
本発明の一実施形態では、対象は処置ナイーブである。
【0049】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩はタラゾパリブトシル酸塩である。
【0050】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.35mgまたは約0.5mgの1日投薬量で投与し、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0051】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与し、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0052】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与し、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0053】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与する。
【0054】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与する。
【0055】
本発明の一実施形態では、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を約160mgの1日投薬量で投与する。
【0056】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩はそれぞれ、転移性去勢感受性前立腺がんの処置において、合わせて有効である量である。
【0057】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を同時に投与する。
【0058】
本発明の一実施形態では、さらなる抗がん薬を投与する。
【0059】
本発明の一実施形態では、さらなる抗がん薬は、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬、抗増殖薬、およびアンドロゲン除去治療からなる群から選択される。
【0060】
さらなる抗がん薬を投与し、さらなる抗がん薬が投与され、さらなる抗がん薬がアンドロゲン除去治療である本発明の一実施形態では、アンドロゲン除去治療は、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、黄体形成ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、および両側精巣摘除からなる群から選択される。
【0061】
本発明の一実施形態では、対象はヒトである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の次の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得る。本明細書において使用される専門用語は具体的な実施形態を説明することを目的としたものに過ぎず、限定することを意図したものではないことは理解されるであろう。さらに、本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語は、関連分野において公知のとおりの、その従来の意味を与えられ得ることは理解されるであろう。
【0063】
本明細書で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。例えば、「a(1つの)」置換基には、1個または複数の置換基が含まれる。
【0064】
「約」という用語は、数値で定義されるパラメーター(例えば、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩の用量、抗アンドロゲンの用量、アンドロゲン受容体阻害薬の用量、および同様のもの)を修飾するために使用される場合、パラメーターが、そのパラメーターについての規定の数値を10%上回る、または下回るほど変化し得ることを意味する。例えば、1日1回約1.0mgの用量は、用量が1日1回0.9mgから1日1回1.1mgの間で変動し得ることを意味すると理解されるべきである。
【0065】
本明細書で使用される場合、「抗アンドロゲン」および「抗アンドロゲン(複数)」という用語は、アンドロゲン、例えば、テストステロンおよびジヒドロテストステロン(DHT)および同様のものが身体におけるそれらの生物学的作用を媒介することを防ぐ化合物を意味するために用いられることとなる。抗アンドロゲンは、次のホルモン作用機序、例えば、アンドロゲン受容体(AR)の遮断および/または阻害および/または調節;アンドロゲン産生の阻害;アンドロゲン産生の抑制;ARの分解、核移行の阻害、ARと核DNAとの結合の阻害、ならびに同様のもののうちの1つまたは複数により作用し得る。抗アンドロゲンには、これに限定されないが、ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬(例えば、シプロテロン酢酸エステル、スピロノラクトン、メゲストロール酢酸エステル、クロルマジノン酢酸エステル、オキセンドロン、およびオサテロン酢酸エステル)、非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬(例えば、エンザルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、トピルタミド)、アンドロゲン合成阻害薬、アンドロゲン受容体分解薬および同様のものが含まれる。
【0066】
本明細書で使用される場合の「血管新生」は血管形成を指す。腫瘍血管新生は、腫瘍が成長するために必要とする新たな血管の成長である。このプロセスは、腫瘍による、および腫瘍付近の宿主細胞による化学物質の放出に起因する。
【0067】
「異常な細胞増殖」および「過剰増殖障害」という用語は、本出願において互換的に使用される。
【0068】
本明細書で使用される場合の「異常な細胞増殖」は、別段に示されていない限り、正常な制御機構とは独立している細胞増殖(例えば、接触阻害の喪失)を指す。異常な細胞増殖は、良性(非がん性)であっても、または悪性(がん性)であってもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合の「アポトーシス」は、生体の成長または発生の正常で、かつ制御された部分として起こる細胞死を指す。アポトーシスは、細胞における一連の分子ステップが細胞死をもたらす、細胞死の1種である。アポトーシスは、不必要か、または異常な細胞を取り除くために身体が使用する一方法である。がん細胞では、アポトーシスのプロセスが遮断されていることがある。
【0070】
「がん」、「がん性」、または「悪性」という用語は、典型的には未制御の細胞増殖により特徴づけられる哺乳類における生理学的状態を指すか、またはそれを説明する。本明細書で使用される場合、「がん」は、異常な細胞増殖に起因する任意の悪性および/または侵襲性増殖または腫瘍を指す。本明細書で使用される場合、「がん」は固形腫瘍を指す。「がん」という用語は、これに限定されないが、身体の特異的な部位に由来する原発性がん、始まった場所から身体の他の部分へと転移している転移性がん、寛解後の元の原発性がんからの再発、および後のものとは異なる種類の先行がんの履歴を有する人における新たな原発性がんである二次原発性がんを含む。本発明の目的でのがんの例には、転移性去勢感受性前立腺がんが含まれる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「転移性」という用語は、その用語が前立腺がんなどのがんに関連するとき、骨スキャン陽性(骨疾患について)またはコンピュータ断層撮影法(CT)もしくは磁気共鳴画像法(MRI)スキャンでの転移性病変(軟部組織疾患について)により記録される。
【0072】
本明細書で使用される場合、「転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)」としても公知の「転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)」という用語は、前立腺領域を超えて身体の別の部分に転移している進行性前立腺がんである。mCSPCは、de novo(局所性疾患が前処置されずに、転移性疾患を初めに示す患者)で、または局所性疾患の処置後の再発に続いて診断され得る。mCSPCは、次の1つまたは複数を含み得る:1)de novo mCSPC、2)再発mCSPC、3)高容量疾患、(高容量疾患は、内臓転移または椎体および骨盤より上方の1つ以上を含む4つ以上の骨病変の存在として定義される)、4)低容量疾患、5)BRCA変異状態、ならびに6)非BRCA変異状態。
【0073】
「患者」または「対象」という用語は、ヒトおよび哺乳類獣医学上の患者、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、およびネコを含む、治療が望ましいか、または治験、疫学的研究に参加しているか、または対照として使用されている任意の単一の対象を指す。ある特定の好ましい実施形態では、対象はヒトである。本発明の組合せによる「患者」または「対象」は、1)神経内分泌分化、小細胞または印環細胞型を伴わない、前立腺の組織学的または細胞学的に確認された腺癌、2)小細胞または印環細胞型を伴わない、前立腺の組織学的または細胞学的に確認された腺癌、3)転移性去勢感受性前立腺がん、4)FoundationOne(登録商標)検査またはFoundationOne(登録商標)Liquid CDx検査など、PARP阻害に感作し得るDDR遺伝子を含有する次世代シーケンシング(NGS)バイオマーカー変異パネルにより中心的に評価されるとおりのDNA損傷修復(DDR)不全、5)スクリーニング時に血清中テストステロン≦50ng/dL(≦1.73nmol/L)で、外科的にまたは医学的に去勢されている、6)両側精巣摘除を施されていない患者で、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストまたはアンタゴニストを用いて継続中のアンドロゲン除去治療、7)骨スキャンで記録された骨における、またはCT/MRIスキャンで記録された軟部組織における転移性疾患、および8)Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0または1を有し得る。
【0074】
本明細書で使用される場合の、がんを「処置する」または「処置すること」という用語は、本発明による併用治療を、がんを有するか、またはがんと診断されている対象に投与して、例えば、がん細胞の数の減少、腫瘍サイズの縮小、周辺器官へのがん細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖の速度の低下、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の進行の逆転、緩和、阻害、もしくはその予防などの少なくとも1つのプラスの治療効果を達成することを意味する。「処置すること」をすぐ上で定義したとおり、本明細書で使用される場合の「処置」という用語は、別段に示されていない限り、処置する行動を指す。「処置すること」という用語にはまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置が含まれる。本発明の目的では、有利な、または所望の臨床結果には、これに限定されないが、次のうちの1つまたは複数が含まれる:新生物もしくはがん性細胞の増殖の減少(もしくはその破壊);転移性もしくは新生細胞の阻害;腫瘍のサイズの縮小もしくは減少;がんの寛解;がんから生じる症状の軽減;がんに罹患しているものの生活の質の向上;がんを処置するために必要とされる他の薬物の用量の減少;がんの進行の遅延;がんの治癒;がんの1つもしくは複数の抵抗性機構の克服;および/またはがんを有する患者の生存の延長。がんにおけるプラスの治療効果はいくつかの方法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、J.Nucl.Med.50:1S-10S(200)を参照されたい)。一部の実施形態では、本発明の組合せにより達成される処置は、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、全体奏功(OR)、客観的奏功率(ORR)、無増悪生存(PFS)、X線撮影によるPFS(rPFS)、および全生存期間(OS)のいずれかである。rPFSは、無作為化の日付から、RECIST 1.1により軟部組織において、もしくは治験責任医師によりPCWG3ガイドラインにより骨において(その後に確認して)評価されるとおりのX線撮影による進行の最初の客観的エビデンス、または死亡までの時で、いずれか最初に生じた時までを示す。OSは、ナイーブまたは未処置対象または患者と比較した場合の平均余命の延長を指す。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する奏功は、PR、CR、PFS、ORR、ORまたはOSのいずれかである。軟部組織奏功の期間を含む、本発明の組合せに対する奏功は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors version 1.1(RECIST1.1)奏功基準を使用して評価される。一部の実施形態では、本発明の組合せにより達成される処置は、前立腺特異的抗原(PSA)進行までの期間、細胞傷害性化学治療の開始までの期間、および50%以上のPSA奏功を有する患者の割合により測定される。がん患者を処置するために有効である本発明の組合せでの処置レジメンは、患者の病態、年齢、および体重、ならびに対象において抗がん奏功を誘発する治療の能力などの因子により変動し得る。本発明の態様のいずれかの実施形態は、プラスの治療効果の達成においてあらゆる対象で有効であり得るということはなく、これに限定されないが、Cox対数順位検定、Cochran-Mantel-Haenszel対数順位検定、スチューデントt検定、chi2検定、MannおよびWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstrat検定およびWilcon on検定などの当技術分野で公知の任意の統計検定により決定されるとおりの統計学的に有意な数の対象で有効であり得るはずである。「処置」という用語はまた、試薬、診断薬、結合化合物による、または別の細胞による、例えば細胞のin vitroおよびex vivo処置を包含する。
【0075】
「処置レジメン」、「投薬プロトコル」および「投薬レジメン」という用語は、本発明の組合せにおける各治療薬の用量および投与時期を指すために互換的に使用される。
【0076】
「軽快すること」は、本発明の方法またはレジメンの治療薬を投与していない場合と比較しての1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。「軽快すること」はまた、症状の持続期間の短縮または減少を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、薬物、化合物もしくは医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、疾患、その合併症および疾患の発生中に現れる中間病的表現型の、生化学的、組織学的および/または行動症状を含む、任意の1つもしくは複数の有利な、または所望の症状に影響を及ぼすために十分な量である。治療用途では、「有効量」は、処置される障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度軽減するであろう、投与される化合物の量を指す。がんの処置に関連して、有効量は、(1)腫瘍のサイズを縮小する、(2)腫瘍転位を阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍増殖もしくは腫瘍侵襲性をある程度阻害する(すなわち、ある程度減速させる、好ましくは停止させる)、(4)がんと関連する1つもしくは複数の徴候もしくは症状をある程度軽減する(もしくは、好ましくは、除去する)、(5)疾患を処置するために必要とされる他の薬物の用量を減少させる、ならびに/または(6)別の薬物の効果を強化する、および/もしくは患者の疾患の進行を遅延させる効果を有する量を指す。有効な投薬量を、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効な投薬量は、直接的に、または間接的に予防的または治療的処置を達成するために十分な量である。臨床の状況で理解されるとおり、薬物、化合物または医薬組成物の有効な投薬を、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成してもよいし、または達成しなくてもよい。
【0078】
「タキサン」、「タキサン(複数)」、および「タキサンベースの化学治療」という用語は、これに限定されないが、パクリタキセル、ドセタキセルおよびカバジタキセルを含む化学治療薬のクラスを指すために互換的に使用される。
【0079】
がんを有すると診断されているか、またはその疑いのある対象に適用される場合の「腫瘍」は、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織腫瘤を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を通常は含まない組織の異常な増殖または腫瘤である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は一般的に、固形腫瘍を形成しない(米国国立がん研究所、Dictionary of Cancer Terms)。
【0080】
「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定され得る腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば、対象から除去した後、腫瘍の寸法を測定することにより、例えば、カリパスを使用する、または身体内においてはイメージング技術、例えば、骨スキャン、超音波、CRまたはMRIスキャンを使用するなどの、当技術分野で公知の様々な方法により決定することができる。
【0081】
本明細書で使用される場合の「非標準臨床投薬レジメン」は、臨床状況においてある物質、薬剤、化合物または組成物について典型的に使用される量、用量またはスケジュールとは異なる、その物質、薬剤、化合物または組成物を投与するためのレジメンを指す。「非標準臨床投薬レジメン」は、「非標準臨床用量」または「非標準投薬スケジュール」を含む。
【0082】
本明細書で使用される場合の「低用量レジメン」は、レジメンにおける物質、薬剤、化合物または組成物の1種または複数を、その薬剤について臨床状況において典型的に使用されるよりも、例えば、その薬剤を単一治療(singleton therapy)として投与する場合よりも少ない量または用量で投与する投薬レジメンを指す。
【0083】
抗アンドロゲン
本発明の実施形態は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩に関する。本発明の実施形態はまた、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0084】
一実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体を分解する化合物である。
【0085】
一実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲンの産生を阻害する、および/または抑制する化合物である。
【0086】
一実施形態では、抗アンドロゲンは、1997年2月18日に公開され、その内容が参照により本明細書に援用される米国特許第5,604,213号に開示されているアビラテロン酢酸エステル(Zytiga(商標)として市販)、ステロイド性CY17A1阻害薬などのアビラテロン、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0087】
一実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩である。一実施形態では、抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩である。アンドロゲン受容体阻害薬には、これに限定されないが、非ステロイド性低分子アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩が含まれる。アンドロゲン受容体阻害薬は、当業者に公知の方法により、例えば、Tran C.ら、Science、2009、324、787~790に開示のものなどのin vitroアッセイおよび/または細胞リガンド結合アッセイおよび/または遺伝子発現アッセイを使用して決定することができる。
【0088】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の例には、2006年11月23日にWO2006/124118として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2006/011417に開示のもの、またはその薬学的に許容できる塩が含まれる。本発明のためのアンドロゲン受容体阻害薬として有用なそれに開示の具体的なアンドロゲン受容体阻害薬には、これに限定されないが、
RD7、RD8、RD10、RD35、RD36、RD37、RD57、RD58、RD90、RD91、RD92、RD93、RD94、RD95、RD96、RD97、RD100、RD102、RD119、RD120、RD130、RD131、RD145、RD152、RD153、RD163、RD162、RD162’
、RD162’’ 、RD168、RD169、およびRD170、
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択されるアンドロゲン受容体阻害薬が含まれる。
【0089】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2007年11月8日にWO2007/127010として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2007/007854に開示のもの、またはその薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0090】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2009年4月30日にWO2009/055053として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2008/012149に開示のもの、またはその薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0091】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2007年11月8日にWO2007/126765として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2007/007485に開示のものが含まれる。本発明のためのアンドロゲン受容体阻害薬として有用なそれにおいて開示の具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の例には、これに限定されないが、
A51、およびA52
またはその薬学的に許容できる塩、
からなる群から選択されるアンドロゲン受容体阻害薬が含まれる。
【0092】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2010年10月14日にWO2010/118354として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2010/030581に開示のもの、またはその薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0093】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2011年4月14日にWO2011/044327として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2010/051770に開示のもの、またはその薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0094】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2010年9月2日にWO2010/099238として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/US2010/025283に開示のものが含まれる。本発明のためのアンドロゲン受容体阻害薬として有用なそれにおいて開示の具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の例には、これに限定されないが、
MII
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択されるアンドロゲン受容体阻害薬
が含まれる。
【0095】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、2011年5月5日にWO2011/051540として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる国際特許出願PCT/FI2010/000065に開示のものが含まれる。
【0096】
本発明において有用である具体的なアンドロゲン受容体阻害薬の他の例には、1987年1月13日に公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる米国特許第4,636,505号に開示のものが含まれる。
【0097】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、RD162’;4-[3-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソ-1-イミダゾリジニル]-2-フルオロ-N-メチル-ベンズアミド;または4-{3-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-スルファニリデンイミダゾリジン-1-イル}-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドとしても公知のエンザルタミド:
【0098】
【化2】
またはその薬学的に許容できる塩であり、これは、2006年11月23日にWO2006/124118として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれるPCT/US2006/011417に開示されている。
【0099】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、4-[3-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-5,5-ジメチル-4-オキソ-2-チオキソイミダゾリジン-1-イル]-2-フルオロベンズアミド;またはMIIとしても公知のN-デスメチルエンザルタミド:
【0100】
【化3】
またはその薬学的に許容できる塩であり、これは、2010年9月2日にWO2010/099238として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれるPCT/US2010/025283に開示されている。
【0101】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、ARN-509;または4-{7-[6-シアノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-8-オキソ-6-チオキソ-5,7-ジアザスピロ[3,4]オクタン-5イル}-2-フルオロ-N-メチルベンズアミドとしても公知のアパルタミド:
【0102】
【化4】
またはその薬学的に許容できる塩であり、これは、2007年11月8日にWO2007/126765として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれるPCT/US2007/007485に開示されている。一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、アパルタミド、またはその薬学的に許容できる塩の薬理学的に活性な代謝産物である。
【0103】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、N-[(2S)-1-[3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパン-2-イル]-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミドとしても公知のダロルタミド:
【0104】
【化5】
またはその薬学的に許容できる塩であり、これは、2011年5月5日にWO2011/051540として公開され、その内容が参照により本明細書に含まれるPCT/FI2010/000065に開示されている。
【0105】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、Casodex(商標)として市販されているビカルタミド:
【0106】
【化6】
またはその薬学的に許容できる塩であり、これは、1987年1月13日に公開され、その内容が参照により本明細書に含まれる米国特許第4,636,505号において開示されている。
【0107】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、ニルタミド、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0108】
一実施形態では、本発明において有用なアンドロゲン受容体阻害薬は、フルタミド、またはその薬学的に許容できる塩である。
【0109】
本発明のために有用な好ましいアンドロゲン受容体阻害薬は、
エンザルタミド、
N-デスメチルエンザルタミド、
ダロルタミド、および
アパルタミド、
またはその薬学的に許容できる塩
からなる群から選択される。
【0110】
本発明のために有用な、より好ましいアンドロゲン受容体阻害薬は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩である。より好ましくは、アンドロゲン受容体阻害薬はエンザルタミドである。
【0111】
一実施形態では、抗アンドロゲンをアンドロゲン除去治療と組み合わせて投与する。
【0112】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療は精巣摘除である。
【0113】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療は両側精巣摘除である。
【0114】
一実施形態では、抗アンドロゲンをアンドロゲン除去治療と組み合わせて投与し、そのアンドロゲン除去治療は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびGnRHアンタゴニストからなる群から選択される。
【0115】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド(ロイプロレリンとしても公知、例えば、LupronまたはEligardor Viadurおよび同様のもの);ブセレリン(例えば、Suprefact);ゴナドレリン;ゴセレリン(例えば、Zoladex);ヒストレリン(例えば、Vantas);ナファレリン;トリプトレリン(例えば、Trelstar);デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス(例えば、Plenaxis);セトロレリクス;デガレリクス(例えば、Firmagon);ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス(例えば、Orilissa);レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。
【0116】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はロイプロリドである。
【0117】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はゴセレリンである。
【0118】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はデガレリクスである。
【0119】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はレルゴリクスである。
【0120】
一実施形態では、抗アンドロゲンはエンザルタミドであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド;ブセレリン ゴナドレリン;ゴセレリン;ヒストレリン;ナファレリン;トリプトレリン;デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス;セトロレリクス;デガレリクス;ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス;レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。一実施形態では、抗アンドロゲンはエンザルタミドであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド、ゴセレリン、デガレリクスおよびレルゴリクスからなる群から選択される。
【0121】
一実施形態では、抗アンドロゲンはN-デスメチルエンザルタミドであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド;ブセレリン ゴナドレリン;ゴセレリン;ヒストレリン;ナファレリン;トリプトレリン;デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス;セトロレリクス;デガレリクス;ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス;レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。一実施形態では、抗アンドロゲンはN-デスメチルエンザルタミドであり、アンドロゲン除去治療はロイプロリド、ゴセレリン、デガレリクスおよびレルゴリクスからなる群から選択される。
【0122】
一実施形態では、抗アンドロゲンはアパルタミドであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド;ブセレリン ゴナドレリン;ゴセレリン;ヒストレリン;ナファレリン;トリプトレリン;デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス;セトロレリクス;デガレリクス;ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス;レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。一実施形態では、抗アンドロゲンはアパルタミドであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド、ゴセレリン、デガレリクスおよびレルゴリクスからなる群から選択される。
【0123】
一実施形態では、抗アンドロゲンはアビラテロン、好ましくは、アビラテロン酢酸エステルであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド;ブセレリン ゴナドレリン;ゴセレリン;ヒストレリン;ナファレリン;トリプトレリン;デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス;セトロレリクス;デガレリクス;ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス;レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。一実施形態では、抗アンドロゲンは、アビラテロン、好ましくはアビラテロン酢酸エステルであり、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド、ゴセレリン、デガレリクスおよびレルゴリクスからなる群から選択される。
【0124】
別段に示されていない限り、抗アンドロゲンおよびアンドロゲン受容体阻害薬についての本明細書の言及はすべて、その多形体、立体異性体、および同位体標識バージョンを含めて、その塩、溶媒和物、水和物および複合体、ならびにその塩の溶媒和物、水和物および複合体についての言及を含む。
【0125】
治療方法および使用
本発明の方法および併用治療は、がんを処置するために有用である。
【0126】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、方法が、対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することを含む方法に関する。
【0127】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、方法が、対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することを含む方法に関する。
【0128】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置する方法であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、方法が、対象に、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を含む併用治療を投与することを含む方法に関する。
【0129】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用する、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0130】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩をアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用する、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0131】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩をエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用する、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0132】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、抗アンドロゲンをタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用する、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0133】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、アンドロゲン受容体阻害薬をタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用する、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0134】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、エンザルタミドをタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせて使用する、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
【0135】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩の組合せであって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、組合せに関する。
【0136】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩の組合せであって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、組合せに関する。
【0137】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するためのタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩の組合せであって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、組合せに関する。
【0138】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置するための医薬の製造におけるタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩の使用であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、使用に関する。
【0139】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置するための医薬の製造におけるタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩の使用であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、使用に関する。
【0140】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において転移性去勢感受性前立腺がんを処置するための医薬の製造におけるタラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩の使用であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、使用に関する。
【0141】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物を、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用する、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0142】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物を、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用する、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0143】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物を、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用する、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0144】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、抗アンドロゲンを含む医薬組成物を、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用する、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0145】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、アンドロゲン受容体阻害薬を含む医薬組成物を、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用する、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0146】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されており、エンザルタミドを含む医薬組成物を、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物と組み合わせて使用する、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0147】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、医薬組成物に関する。
【0148】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、医薬組成物に関する。
【0149】
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における転移性去勢感受性前立腺がんの処置において使用するための、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、対象が少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている、医薬組成物に関する。
【0150】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、X線撮影による無増悪生存期間は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0151】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、X線撮影による無増悪生存期間は、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0152】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、X線撮影による無増悪生存期間は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0153】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、全生存期間は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0154】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、全生存期間は、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0155】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、全生存期間は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0156】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、去勢抵抗性の出現は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0157】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、去勢抵抗性の出現は、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0158】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、去勢抵抗性の出現は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0159】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、前立腺特異的抗原(PSA)進行までの期間は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0160】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、前立腺特異的抗原(PSA)進行までの期間は、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0161】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、前立腺特異的抗原(PSA)進行までの期間は、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と組み合わせたプラセボと比較して延長される。
【0162】
本発明の方法および使用は、1)転移性去勢感受性前立腺がんについて処置を必要とする、および2)少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異を有すると同定されている対象を対象とする。対象での変異状態は、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cを含む12の遺伝子からなるDDR遺伝子パネルを含むFoundationOne(登録商標)Liquid CDx(Foundation Medicine,Inc.、Cambridge、MA)検査を使用して、PARP阻害に対しておそらく感作する規定のDDR遺伝子における変異の存在について検査することにより決定することができる。DDR遺伝子における改変を同定するためのゲノムスクリーニングを、FoundationOne(登録商標)CDx(Foundation Medicine,Inc.、Cambridge、MA)検査を使用して腫瘍組織で行うこともできる。DDR遺伝子の改変を、任意の好適な検証された次世代シーケンシングアッセイにより行うこともできる。
【0163】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cからなる群から選択される。
【0164】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATM、BRCA1、およびBRCA2からなる群から選択される。
【0165】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異は、ATR、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cからなる群から選択される。
【0166】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はATMであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はATRであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はBRCA1であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はBRCA2であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はCDK12であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はCHEK2であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はFANCAであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はMLH1であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はMRE11Aであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はNBNであり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はPALB2であり;少なくとも1つのDNA損傷修復遺伝子変異はRAD51Cである。
【0167】
本発明の一実施形態では、対象は処置ナイーブである。
【0168】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、タラゾパリブはタラゾパリブトシル酸塩である。
【0169】
本発明の方法、使用または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、対象は哺乳類である。
【0170】
本発明の方法または医薬組成物のいずれかの一実施形態では、対象はヒトである。
【0171】
一実施形態では、がんは、転移性ホルモン感受性前立腺がんとしても公知の転移性去勢感受性前立腺がんである。ホルモン感受性前立腺がんは通常、アンドロゲン除去治療にまだ奏功する前立腺の組織学的または細胞学的に確認された腺癌により特徴づけられる。
【0172】
一実施形態では、がんは転移性去勢感受性前立腺がんであり、対象は処置ナイーブである。
【0173】
一実施形態では、がんは転移性去勢感受性前立腺がんであり、対象は、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストまたはLHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、GnRHアンタゴニスト、または両側精巣摘除などのアンドロゲン除去治療での前処置を受けている。一実施形態では、がんは転移性去勢感受性前立腺がんであり、対象は、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストもしくはLHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストもしくはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療での前処置を受けている。一部の実施形態では、GnRHアゴニストは、ロイプロリド、ブセレリン、ナファレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、またはデスロレリンからなる群から選択される。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はロイプロリドである。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療がゴセレリンである。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はデガレリクスである。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はレルゴリクスである。
【0174】
一実施形態では、がんは転移性去勢感受性前立腺がんであり、対象は、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストもしくはLHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストもしくはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療の維持を継続している。一部の実施形態では、GnRHアゴニストは、ロイプロリド、ブセレリン、ナファレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、またはデスロレリンからなる群から選択される。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はロイプロリドである。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はゴセレリンである。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はデガレリクスである。一部の実施形態では、アンドロゲン除去治療はレルゴリクスである。
【0175】
一実施形態では、がんは転移性去勢感受性前立腺がんであり、対象は精巣摘除または両側精巣摘除を先行して施されている。
【0176】
一実施形態では、がんはホルモン感受性前立腺がんであり、対象は、精巣摘除または両側精巣摘除を先行して施されているが、それ以降も、がんが進行している。
【0177】
本発明の一実施形態では、併用治療を、転移性去勢感受性前立腺がんと診断されている対象に投与し、その対象は、腫瘍関連であると医学的に決定される前立腺特異的抗原レベルを有する。
【0178】
剤形およびレジメン
本発明の方法および併用治療の各治療薬は、単独で、または薬務に従って治療薬と、1種または複数の薬学的に許容できる担体、添加剤、または希釈剤とを含む医薬(本明細書において医薬組成物とも称される)で投与することができる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「併用治療」という用語は、単独か、または医薬での、連続的か、同時か、または同期での本発明の併用治療の各治療薬の投与を指す。
【0180】
本明細書で使用される場合、「連続的な」または「連続的に」という用語は、本発明の併用治療の各治療薬の単独か、または医薬での順々の投与を指し、その際、各治療薬を任意の順序で投与することができる。併用治療における治療薬が異なる剤形である、例えば、一方の薬剤が錠剤であり、他方の薬剤が滅菌液体である、および/または異なる投薬スケジュールで投与される、例えば、一方の薬剤が毎日投与され、第2の薬剤が週1回などのより低い頻度で投与される場合に、連続的な投与は特に有用である。
【0181】
本明細書で使用される場合、「同時に」という用語は、本発明の併用治療における各治療薬の単独か、または別々の医薬においてかのいずれかでの投与を指し、その際、第2の治療薬は、第1の治療薬の直後に投与されるが、治療薬は任意の順序で投与され得る。好ましい一実施形態では、治療薬は同時に投与される。
【0182】
本明細書で使用される場合、「同期の」という用語は、本発明の併用治療の各治療薬の同じ医薬での投与を指す。
【0183】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩の投与前に投与する。
【0184】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩の投与前に投与する。
【0185】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩の投与前に投与する。
【0186】
本発明の一実施形態では、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩の投与前に投与する。
【0187】
本発明の一実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩を、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩の投与前に投与する。
【0188】
本発明の一実施形態では、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩の投与前に投与する。
【0189】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と同時に投与する。
【0190】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と同時に投与する。
【0191】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と同時に投与する。
【0192】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と同期で投与する。
【0193】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と同期で投与する。
【0194】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩を、エンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩と同期で投与する。
【0195】
一実施形態では、タラゾパリブはタラゾパリブトシル酸塩である。
【0196】
当業者には理解されるであろうとおり、併用治療は、対象に、それらの処置の様々な段階の間に有用に投与することができる。
【0197】
本発明の一実施形態では、併用治療を、先行して処置されていない、すなわち処置ナイーブである対象に投与する。
【0198】
本発明の一実施形態では、本発明の併用治療は、転移性去勢感受性前立腺がんを呈している対象のための第1の処置選択肢、すなわち、第1選択処置である。
【0199】
本発明の一実施形態では、併用治療を、生物学的治療または化学治療薬での前治療後に持続的奏功を達成し得ていない、すなわち、処置を経験している対象に投与する。
【0200】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、LHRHアゴニストまたはLHRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を先行して投与されている対象に投与する。
【0201】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストもしくはLHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストもしくはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を先行して投与されている対象に投与する。一部の実施形態では、GnRHアゴニストは、ロイプロリド、ブセレリン、ナファレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、またはデスロレリンからなる群から選択される。
【0202】
本発明の一実施形態では、併用治療を、両側精巣摘除を先行して施されている対象に投与する。
【0203】
本発明の一実施形態では、併用治療を、抗アンドロゲンまたはタキサンを先行して投与されている対象に投与する。
【0204】
本発明の一実施形態では、併用治療を、抗アンドロゲンを先行して投与されている対象に投与する。
【0205】
本発明の一実施形態では、併用治療を、アンドロゲン受容体阻害薬を先行して投与されている対象に投与する。
【0206】
本発明の一実施形態では、併用治療を、エンザルタミドを先行して投与されている対象に投与する。
【0207】
本発明の一実施形態では、併用治療を、アビラテロン酢酸エステルを先行して投与されている対象に投与する。
【0208】
本発明の一実施形態では、併用治療を、PARP阻害薬を先行して投与されている対象に投与する。
【0209】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストおよび/もしくはLHRHアンタゴニストおよび/もしくは生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストもしくはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を先行して投与されている;ならびに/または両側精巣摘除を先行して施されている;ならびに/またはエンザルタミドを先行して投与されている;ならびに/またはアビラテロンを先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0210】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、LHRHアゴニストおよび/もしくはLHRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を先行して投与されている;ならびに/または両側精巣摘除を先行して施されている;ならびに/またはエンザルタミドを先行して投与されている;ならびに/またはアビラテロンを先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0211】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストもしくはLHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストもしくはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0212】
本発明の一実施形態では、併用治療を、これに限定されないが、LHRHアゴニストまたはLHRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療を先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0213】
本発明の一実施形態では、併用治療を、両側精巣摘除を先行して施されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0214】
本発明の一実施形態では、併用治療を、アンドロゲン受容体阻害薬を先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0215】
本発明の一実施形態では、併用治療を、エンザルタミドを先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0216】
本発明の一実施形態では、併用治療を、アビラテロン酢酸エステルを先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0217】
本発明の一実施形態では、併用治療を、PARP阻害薬を先行して投与されているが、それ以降も、そのがんが進行している対象に投与する。
【0218】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺がんと診断されている対象であって、腫瘍関連であると医学的に決定される前立腺特異的抗原レベルを有する対象に投与する。
【0219】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺がんと診断されている対象であって、少なくとも2.0ng/mLの前立腺特異的抗原レベルを有する対象に投与する。
【0220】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺がんと診断されている対象であって、少なくとも2.0ng/mLの前立腺特異的抗原レベルを有し、その前立腺特異的抗原レベルが少なくとも1週間離れた少なくとも2つの連続する時機で上昇している対象に投与する。
【0221】
本発明の一実施形態では、併用治療を、前立腺がんと診断されている対象であって、10カ月以内に2倍になっている前立腺特異的抗原レベルを有する対象に投与する。
【0222】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断されている対象であって、そのがんが抗アンドロゲンでの処置に抵抗性を生じている対象に投与する。
【0223】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断されている対象であって、そのがんが抗アンドロゲンでの処置に抵抗性を生じている対象に投与する。
【0224】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断されている対象であって、そのがんがアンドロゲン受容体阻害薬での処置に抵抗性を生じている対象に投与する。
【0225】
本発明の一実施形態では、併用治療を、がんと診断されている対象であって、そのがんがPARP阻害薬での処置に抵抗性を生じている対象に投与する。
【0226】
併用治療を、腫瘍を除去するための外科手術の前に、もしくはその後に投与することができる、および/または放射線治療の前、その間、もしくはその後に使用することができる、および/または化学治療の前、その間、もしくはその後に使用することができる。
【0227】
本発明の化合物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法により影響を受け得る。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または輸液を含む)、局所、および直腸投与が含まれる。
【0228】
投与レジメンを、最適な所望の奏功が得られるように調節することができる。例えば、本発明の併用治療の治療薬を、単一のボーラス剤として、経時的に投与される複数回に分割された用量として投与することができるか、または用量を、治療状況の急迫により示されるとおりに比例して減少させる、または増加させることができる。投与の容易さ、および投薬量の均一性のために、治療薬を投薬単位形態で製剤化することが特に有利であり得る。投薬単位形態は、本明細書で使用される場合、処置される哺乳類対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果が生じるように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)治療薬および達成される特定の治療または予防効果の特有の特徴、ならびに(b)そのような活性化合物を配合して個体の感受性を処置する分野に固有の制約により決定され、それらに直接依存し得る。
【0229】
したがって、当業者は、本明細書において提供される本開示に基づき、用量および投与レジメンが治療分野で周知の方法に従って調節されることを認めるであろう。すなわち、最大許容用量を容易に確立することができ、各薬剤を投与して対象に検出可能な治療効果を与えるための一時的な要求であり得るように、対象に検出可能な治療効果を与える有効量を決定することもできる。したがって、ある特定の用量および投与レジメンを本明細書において例示するが、これらの例は、本発明を実施する際に対象に提供され得る用量および投与レジメンを何ら限定するものではない。
【0230】
緩和される状態の種類および重症度と共に投薬量の値は変動し得て、単回または複数の用量を含み得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象について、具体的な投与レジメンを、個々の必要性、および組成物を投与するか、またはその投与を管理する人の専門的判断に従って、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質および処方医の裁量などの因子を考慮して、経時的に調節すべきであることは理解されるべきである。本明細書に記載の投薬量範囲は、例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲および実行を制限することを意図したものではない。例えば、用量を、毒性作用および/または臨床検査値などの臨床作用を含み得る薬物動態または薬力学的パラメーターに基づき調節することができる。したがって、本発明は、当業者により決定されるとおりの患者内用量漸増を包含する。治療薬を投与するための適切な投薬量およびレジメンの決定は、関連分野において周知であり、本明細書に開示の教示をいったん提供されれば、当業者により達成されることが理解されるであろう。
【0231】
一部の実施形態では、併用治療における治療薬の少なくとも1種を、その薬剤が単独治療として同じがんを処置するために使用される場合に典型的に使用されるのと同じ投与レジメン(用量、頻度、および処置期間)を使用して投与する。他の実施形態では、対象は、併用治療における治療薬の少なくとも1種を、同じ薬剤が単独治療として使用される場合よりも少ない全量で、例えば、少ない用量の治療薬、少ない頻度の投与および/または短い投与期間で投与される。
【0232】
タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩の有効な投薬量を1日1回約0.1mg~約2mg、好ましくは1日1回約0.25mg~約1.5mg、より好ましくは1日1回約0.5mg~約1.0mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.1mg、約0.25mg、約0.35mg、約0.5mg、約0.75mgまたは約1.0mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.1mg、約0.25mg、約0.35mg、または約0.5mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.25mg、約0.35mg、または約0.5mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.35mgまたは約0.5mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.5mg、約0.75mgまたは約1.0mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.1mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.25mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.35mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.5mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約0.75mgの1日投薬量で投与する。一実施形態では、タラゾパリブまたはその薬学的に許容できる塩、好ましくは、そのトシル酸塩を1日1回約1.0mgの1日投薬量で投与する。本明細書において提供される投薬量は、タラゾパリブの遊離塩基形態の用量を指すか、または投与されるタラゾパリブ塩形態の遊離塩基当量として算出される。例えば、約0.5mg、約0.75mgまたは約1.0mgなどのタラゾパリブの投薬量または量は、遊離塩基当量を指す。この投与レジメンは、最適な治療反応をもたらすように調節することができる。例えば、用量を、治療状況の急迫により示されるとおりに比例して減少させる、または増加させることもできる。
【0233】
抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩の有効な投薬量は、単一または分割用量で1日当たり体重1kg当たり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.01~約7g/日、好ましくは約0.02~約2.5g/日になるであろう。一部の事例では、上記範囲の下限未満の投薬レベルでも十分すぎることがある一方で、他の症例では、いずれの有害な副作用も惹起することなく、さらに多い用量を使用することができるが、ただし、そのような多い用量は最初は、1日を通じて投与するように複数の小さな用量に分割することを条件とする。
【0234】
アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩の有効な投薬量は、単一または分割用量で1日当たり体重1kg当たり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.01~約7g/日、好ましくは約0.02~約2.5g/日になるであろう。一部の事例では、上記範囲の下限未満の投薬レベルでも十分すぎることがある一方で、他の症例では、いずれの有害な副作用も惹起することなく、さらに多い用量を使用することができるが、ただし、そのような多い用量は最初は、1日を通じて投与するように複数の小さな用量に分割することを条件とする。
【0235】
一実施形態では、アンドロゲン受容体阻害薬はエンザルタミドであり、そのエンザルタミドを、承認されたラベルに従って1日1回160mgの1日用量で投与する。完全な処方情報に従ったエンザルタミドの投薬量調節、例えば、エンザルタミドを強力なCYP2C8阻害薬に付随して投与する場合、エンザルタミドの用量を、完全な処方情報に従って1日1回80mgまでなどに減少させるべきであるか;または別法では、エンザルタミドをCYP3A4誘導因子と付随して投与する場合には、エンザルタミドの用量を完全な処方情報に従って1日240mgまでなどに増加させるべきである。
【0236】
一実施形態では、抗アンドロゲンはアビラテロン酢酸エステルであり、そのアビラテロン酢酸エステルを、承認されたラベルに従って1日1回1000mgの1日用量で、プレドニゾン1日2回5mgと組み合わせて投与する。例えば、アビラテロン酢酸エステルを強力なCYP3A4誘導因子に付随して投与する場合、当業者であればアビラテロン酢酸エステルの投薬量調節を完全な処方情報に従って容易に決定することができ、アビラテロン酢酸エステルの投薬量を例えば、1日2回1000mgまで増加させる必要があることもあり;アビラテロン酢酸エステルをCYP2D6基質に付随して投与する場合、アビラテロン酢酸エステルの投薬量を減少させる必要があることもあり;アビラテロン酢酸エステルを対象、またはベースライン中等度肝機能障害を有する対象に投与すべき場合には、用量を1日1回250mgまでなどに減少させる必要があることもあり;アビラテロン酢酸エステルを対象、または肝毒性を発生させている対象に投与すべき場合には、用量を1日1回750mgまたは500mgまでなどに減少させる必要があることもある。
【0237】
投与もしくは投薬レジメンの繰り返し、または投与もしくは投薬レジメンの調節を、所望の処置を達成する必要に応じて行うことができる。「連続投与スケジュール」は、本明細書で使用される場合、投与の中断を含まない、例えば、無処置日を含まない投与または投与レジメンである。処置サイクル間に投与の中断を含まない21または28日間の処置サイクルの繰り返しが、連続投与スケジュールの一例である。一実施形態では、本発明の組合せの化合物は、連続投与スケジュールで投与することができる。
【0238】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を、がんの処置において、合わせて有効である量で投与する。
【0239】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩を、がんの処置において、合わせて有効である量で投与する。
【0240】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を、がんの処置において、合わせて有効である量で投与する。
【0241】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を非標準投薬レジメンで投与する。
【0242】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩を非標準投薬レジメンで投与する。
【0243】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を非標準投薬レジメンで投与する。
【0244】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩を低用量レジメンで投与する。
【0245】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩を低用量レジメンで投与する。
【0246】
本発明の一実施形態では、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびエンザルタミド、またはその薬学的に許容できる塩を低用量レジメンで投与する。
【0247】
医薬組成物および投与経路
「医薬組成物」は、活性成分としての本明細書に記載の治療薬、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1種または複数と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または添加剤との混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種またはそれ以上の薬学的に許容できる担体および/もしくは添加剤を含む。
【0248】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」は、生体に対して有意な刺激をもたらさず、かつ活性化合物または治療薬の生物学的活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
【0249】
一実施形態では、本発明は、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0250】
一実施形態では、本発明は、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩と、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【0251】
薬学的に許容できる担体は、任意の従来の薬学的担体または添加剤を含み得る。担体および/または添加剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する添加剤の作用、ならびに剤形の性質などの因子に大きく依存することとなる。
【0252】
好適な薬学的担体には、不活性な希釈剤または増量剤、水、および様々な有機溶媒(水和物および溶媒和物など)が含まれる。医薬組成物は、所望の場合には、香味剤、結合剤、添加剤および同様のものなどの追加の成分を含有し得る。したがって、経口投与では、クエン酸などの様々な添加剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸およびある特定の複雑ケイ酸塩などの様々な崩壊剤、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの結合剤を一緒に使用することができる。限定ではないが、添加剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン種、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤が多くの場合に、製錠の目的のために有用である。同様の種類の固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において使用することもできる。したがって、物質の非限定的例には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が望ましい場合、その中の活性化合物を、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または色素および、所望の場合には、乳化剤または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組合せなどの希釈剤と一緒に組み合わせることができる。
【0253】
医薬組成物は、例えば、経口投与では錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤もしくは懸濁剤として、非経口注射では滅菌溶液、懸濁剤もしくは乳剤として、局所投与では軟膏剤もしくはクリーム剤として、または直腸投与では坐剤として適した形態であり得る。
【0254】
例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の活性化合物の溶液または懸濁剤が含まれる。そのような剤形は、所望の場合には、適切に緩衝されていてよい。
【0255】
医薬組成物は、正確な量の単回投与に適した単位剤形であってよい。
【0256】
本発明の併用治療の治療薬を送達するために好適な医薬組成物、およびそれらを調製する方法は、当業者には容易に分かるであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、その開示が全体で、参照により本明細書に援用される「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見出すことができる。
【0257】
本発明の併用治療の治療薬は、経口投与することができる。経口投与は、治療薬が消化管に入るような嚥下を伴ってもよいし、または治療薬が口から直接、血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用してもよい。
【0258】
経口投与に好適な製剤には、錠剤などの固体製剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、チューイング剤、マルチ微粒子およびナノ微粒子、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤(粘膜粘着剤を含む)、卵形剤、噴霧剤ならびに液体製剤が含まれる。
【0259】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質カプセル剤または硬質カプセル剤中の充填剤として使用することもでき、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または好適なオイル、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体の復元により、例えばサシェから調製することもできる。
【0260】
本発明の併用治療の治療薬はまた、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986、LiangおよびChen(2001)に記載されているものなどの急速溶解、急速分解剤形で使用することができる。
【0261】
錠剤剤形では、治療薬は、剤形の1重量%~80重量%、より典型的には剤形の5重量%~60重量%を構成していてよい。活性薬剤に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが包含される。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%~25重量%、好ましくは5重量%~20重量%を構成し得る。
【0262】
結合剤を一般に使用して、錠剤製剤に粘着性を付与する。好適な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物および同様のもの)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有してよい。
【0263】
錠剤はまた、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を任意選択で含んでよい。存在する場合には、界面活性剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~5重量%の量であり、流動促進剤は、典型的には、錠剤の0.2重量%~1重量%の量である。
【0264】
錠剤はまた一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤を含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で存在する。
【0265】
他の従来の成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤、および矯味剤が含まれる。
【0266】
例示的な錠剤は、活性薬剤約80重量%まで、結合剤約10重量%~約90重量%、希釈剤約0重量%~約85重量%、崩壊剤約2重量%~約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%~約10重量%を含有し得る。
【0267】
錠剤ブレンドを、直接か、ローラーにより圧縮して、錠剤を形成することができる。別法では、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿式、乾式、もしくは溶融造粒するか、溶融凝固させるか、または押し出し、その後に錠剤化することができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていてもよいし、もしくはコーティングされていなくてもよく、またはカプセル封入されていてもよい。
【0268】
錠剤の製剤化は、その開示が全体で参照により本明細書に援用される「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、H.LiebermanおよびL.Lachman、Marcel Dekker,N.Y.、N.Y.、1980(ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられている。
【0269】
経口投与するための固体製剤を、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0270】
好適な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液および浸透性コーティングされた粒子などの他の好適な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On-line、25(2)、1-14(2001)において見出すことができる。制御放出を達成するためにチューインガムを使用することは、WO00/35298に記載されている。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に援用される。
【0271】
非経口投与
本発明の併用治療の治療薬を、血流、筋肉、または内臓に直接投与してもよい。非経口投与に好適な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿管内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与に好適なデバイスには、針(微細針を包含する)注射器、無針注射器、および点滴技術が含まれる。
【0272】
非経口製剤は典型的には、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくは3~9のpHに)などの添加剤を含有してよい水溶液であるが、いくつかの用途では、これらをより好適に、滅菌非水溶液として、または発熱物質不含の滅菌水などの好適なビヒクルと共に使用される乾燥形態として製剤化することができる。
【0273】
例えば、凍結乾燥による滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術を使用して容易に達成することができる。
【0274】
非経口溶液の調製において使用される治療薬の溶解性は潜在的に、溶解性増強剤の導入などの適切な製剤技術を使用することにより増大させることができる。
【0275】
非経口投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。したがって本発明の併用治療の治療薬を潜在的に、活性化合物の調節放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、またはチキソトロピー液として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物コーティングされたステントおよびPGLA微小球が含まれる。
【0276】
本発明の併用治療の治療薬は潜在的に、皮膚または粘膜に局所で、すなわち、皮膚に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚貼付剤、ウェハ剤、インプラント剤、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルション剤が含まれる。リポソームを使用することもできる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。透過促進剤を導入することもできる。例えば、J.Pharm.Sci、88(10)、955~958、FinninおよびMorgan(1999年10月)を参照されたい。局所投与の他の手段には、電気穿孔法、イオン泳動法、音波泳動法、ソノフォレーシス、および微細針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。これらの参照文献の開示は、全体が参照により本明細書に援用される。
【0277】
局所投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0278】
本発明の併用治療の治療薬は潜在的に、鼻腔内で、または吸入により、典型的には乾燥粉末の形態(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドで、または混合成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合して)で、乾燥粉末吸入器から、またはエアロゾル噴霧剤として、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電磁流体力学を用いて微細な霧を生成する噴霧器)、またはネブライザから、1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、もしくは使用せずに投与することもできる。鼻腔内での使用では、散剤は、生体用粘着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0279】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザは、例えば、エタノール、エタノール水溶液、または活性物質の分散、可溶化、もしくはその放出の延長に好適な代替薬剤、溶媒としての噴射剤、およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の化合物の溶液または懸濁剤を含有してよい。
【0280】
乾燥粉末または懸濁剤製剤で使用する前に、化合物を、吸入による送達に好適なサイズ(典型的には5ミクロン未満)まで超微粉砕することができる。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための臨界流体加工、高圧均一化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により達成することができる。
【0281】
吸入器または注入器で使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジを、治療薬、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤、およびl-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水であってもよいし、または一水和物の形態であってもよいが、後者が好ましい。他の好適な添加剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0282】
電磁流体力学を用いて微細な霧を生成する噴霧器で使用するために好適な溶液製剤は、動作1回当たり治療薬1μg~20mgを含有してよく、その動作体積は、1μL~100μLまで変動してよい。典型的な製剤は、治療薬、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0283】
メントールおよびレボメントールなどの好適な香味剤、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を意図されている製剤に加えることができる。
【0284】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、例えば、ポリ(DL-乳酸-コグリコール酸(PGLA))を使用して、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0285】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投薬単位は、計測量を送達するバルブにより決定される。本発明による単位は典型的には、所望の量の治療薬を含有する計測用量または「パフ」を投与するように設計される。全一日用量を単回用量で、またはより通常は、一日を通して分割用量として投与することができる。
【0286】
本発明の併用治療の治療薬は潜在的に、例えば、坐剤、膣坐剤、または浣腸剤の形態で直腸または膣投与することができる。カカオバターが慣用的な坐剤基剤であるが、様々な代替物を適宜使用することができる。
【0287】
直腸/膣投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0288】
本発明の併用治療の治療薬は潜在的に、典型的には等張性pH調節滅菌生理食塩水中の超微粉砕された懸濁剤または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に好適な他の製剤には、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、ウェハ、レンズ、ならびに微粒子またはニオソームもしくはリポソームなどの小胞系が含まれ得る。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランゴムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に導入することができる。そのような製剤をイオン泳動法により送達することもできる。
【0289】
一実施形態では、本発明の併用治療のために有用な医薬組成物は、単一の治療薬のみ、例えば、タラゾパリブ、もしくはその薬学的に許容できる塩;または抗アンドロゲン、もしくはその薬学的に許容できる塩;またはアンドロゲン受容体阻害薬、もしくはその薬学的に許容できる塩のいずれかを含む。
【0290】
別の実施形態では、本発明の併用治療のために有用な医薬組成物は、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、および抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩の両方を含む。
【0291】
別の実施形態では、本発明の併用治療のために有用な医薬組成物は、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩、およびアンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩の両方を含む。
【0292】
キット
本発明の併用治療の治療薬を組成物の同時投与に好適なキットの形態で好都合に組み合わせることができる。
【0293】
一態様では、本発明は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含むキットに関し、その際、第1の容器は、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;第2の容器は、抗アンドロゲン、またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;添付文書は、医薬を使用してがんについて対象を処置するための指示書を含む。
【0294】
一態様では、本発明は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含むキットに関し、その際、第1の容器は、タラゾパリブ、またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み、第2の容器は、アンドロゲン受容体阻害薬、またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つの用量を含み;添付文書は、医薬を使用してがんについて対象を処置するための指示書を含む。
【0295】
一実施形態では、本発明のキットは、活性薬剤の一方または両方を医薬組成物の形態で含んでよく、その医薬組成物は、活性薬剤、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを含む。キットは、前記組成物を別々に保持するための、容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの手段を含んでよい。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤および同様のものの包装のために使用される熟知されているブリスターパックである。
【0296】
キットは、異なる剤形、例えば、経口および非経口剤形を投与するために、異なる投薬間隔で別々の組成物を投与するために、または別々の組成物を相互に用量決定するために特に好適であり得る。服薬遵守を助けるために、キットは典型的には、投与指示書を含み、メモリーエイドを装備していてよい。キットはさらに、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジ、ならびに同様のものなどの医薬品の投与において有用であり得る他の材料を含んでよい。
【0297】
さらなる治療薬
さらなる態様では、本発明の方法および併用治療は加えて、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬および抗増殖薬などのさらなる抗がん薬を投与することを含んでよく、その量は、前記がんの処置において、合わせて有効である。一部のそのような実施形態では、抗腫瘍薬は、有糸分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、インターカレーティング抗生物質、成長因子阻害薬、放射線、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生体応答修飾物質、抗体、細胞傷害薬、抗ホルモン、アンドロゲン除去治療および抗アンドロゲンからなる群から選択される。
【0298】
本発明の方法および併用治療の一実施形態では、レジメンはさらなる活性薬剤を含み、さらなる活性薬剤は、これに限定されないが、ロイプロリド、ブセレリン、ナファレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、レルゴリクス、デガレリクス、またはデスロレリン、および同様のものを含む黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、LHRHアンタゴニスト、または生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストもしくはGnRHアンタゴニストなどのアンドロゲン除去治療である。
【0299】
本発明の方法および併用治療の一実施形態では、レジメンはさらなる活性薬剤を含み、さらなる活性薬剤は、LHRHアゴニストおよび同様のものなどのアンドロゲン除去治療である。
【0300】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はLHRHアゴニストである。
【0301】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はLHRHアンタゴニストである。
【0302】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はGnRHアゴニストである。
【0303】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はGnRHアンタゴニストである。
【0304】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド(ロイプロレリンとしても公知、例えば、LupronまたはEligardor Viadurおよび同様のもの);ブセレリン(例えば、Suprefact);ゴナドレリン;ゴセレリン(例えば、Zoladex);ヒストレリン(例えば、Vantas);ナファレリン;トリプトレリン(例えば、Trelstar);デスロレリン;フェルチレリン;アバレリクス(例えば、Plenaxis);セトロレリクス;デガレリクス(例えば、Firmagon);ガニレリクス;オザレリクス;エラゴリクス(例えば、Orilissa);レルゴリクス;およびリンザゴリクスからなる群から選択される。
【0305】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療は、ロイプロリド、ゴセレリン、デガラリクス(degaralix)およびレルゴリクスからなる群から選択される。
【0306】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はロイプロリドである。一部の実施形態では、ロイプロリドを1カ月ごとに約7.5mg、または3カ月ごとに約22.5mg、または4カ月ごとに約30mgの用量で筋肉内投与する。
【0307】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はロイプロリドである。一部の実施形態では、ロイプロリドを1カ月ごとに約7.5mg、または3カ月ごとに約22.5mg、または4カ月ごとに約30mg、または6カ月ごとに約45mg、または12カ月ごとに約65mgの用量で皮下投与する。
【0308】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はゴセレリンである。一部の実施形態では、ゴセレリンを1カ月ごとに約3.6mg、または3カ月ごとに約10.8mgの用量で皮下投与する。
【0309】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はデガレリクスである。一部の実施形態では、デガレリクスを約240mgの当初用量で筋肉内投与し、その当初用量を複数のより小さい用量、例えば、約120mgの2用量に、続いて、1カ月ごとに約80mgの維持用量に任意選択で分割することができる。
【0310】
一実施形態では、アンドロゲン除去治療はレルゴリクスである。一部の実施形態では、レルゴリクスを約360mgの当初用量で経口投与し、その当初用量を複数のより小さい用量、例えば、約120mgの3用量に、続いて、約120mgの1日維持用量に任意選択で分割することができる。
【0311】
本発明の方法および併用治療の一実施形態では、レジメンはさらなる活性薬剤を含み、さらなる活性薬剤はエトポシドである。一部の実施形態では、エトポシドを、承認されたラベルに従って、例えば、1から5日目に1日1回50~100mg/m;または1、3および5日目に1日1回5~100mg/mの用量で静脈内投与する。一例では、エトポシドを各21日サイクルの1、2および3日目に80~120mg/mの用量で、1、2、3、4、5または6サイクルで投与することができる。
【0312】
下の実施例を通じておよび下の実施例中で、次の略語を使用する:「ANC」は好中球絶対数を意味し;「AST」はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを意味し;「ALT」はアラニンアミノトランスフェラーゼを意味し;「BPI-SF」は簡易疼痛質問表(Brief Pain Inventory Short Form)を意味し;「CTCAE」は有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)を意味し;「eGFR」は推定糸球体濾過率を意味し;EORTC QLQ-PR25」は欧州癌研究機関疾患特異的排尿症状質問票(European Organisation for Research and Treatment of Cancer disease-specific urinary symptoms questionnaire)を意味し;「EORTC QLQ-C30」は欧州癌研究機関癌特異的全身健康質問票(European Organisation for Research and Treatment of Cancer cancer-specific global health questionnaire)を意味し;「MDRD」は腎疾患における食事の修正を意味し;「NCI」は米国国立癌研究所を意味し;「PCWG3」は前立腺癌ワーキンググループ(Prostate Cancer Working Group)を意味し;「ULN」は正常上限を意味する。
【実施例
【0313】
(実施例1)
DDR遺伝子変異転移性去勢感受性前立腺がんを有する男性における、エンザルタミドを伴うプラセボに対する、エンザルタミドを伴うタラゾパリブの第3相、無作為化、二重盲検試験
【0314】
理論的根拠および目標
この臨床試験の目的は、DDR欠損mCSPCを有する対象において、エンザルタミドと組み合わせたプラセボと比較して、エンザルタミドと組み合わせたタラゾパリブの安全性および有効性を評価することである。
【0315】
主要目的:
・ DDR欠損を持つmCSPCを有する対象において、治験責任医師評価によるX線撮影による無増悪生存期間(rPFS)の延長について、エンザルタミドと組み合わせたタラゾパリブが、エンザルタミドと組み合わせたプラセボよりも優れていることを実証すること。
【0316】
副次的目的:
・ DDR欠損を持つmCSPCを有する対象において、OSの延長について、エンザルタミドと組み合わせたタラゾパリブが、エンザルタミドと組み合わせたプラセボよりも優れていることを実証すること。
・ DDR欠損を持つmCSPCを有する対象において、下記に関して、抗腫瘍活性を評価すること:
・ 測定可能な軟部組織疾患における客観的奏功率、
・ 測定可能な軟部組織疾患における奏功期間、
・ PSA奏功、
・ PSA進行までの期間、
・ 抗新生物治療の開始までの期間、
・ 第1の症候性骨関連事象までの期間、
・ 前立腺がん疼痛のためのオピエートの使用。
・ 組合せで投与されるタラゾパリブおよびエンザルタミドの安全性を評価すること。
・ 組合せで投与された場合のタラゾパリブおよびエンザルタミド(およびそのN-デスメチル代謝産物)の薬物動態(PK)を評価すること。
・ DDR欠損を持つmCSPCを有する対象において、各処置アームにおける下記の対象報告アウトカムを評価すること:
・ 疼痛症状、
・ がん特異的全身健康状態/生活の質(QoL)、機能性、および症状アウトカム、
・ 全身健康状態。
・ 循環中腫瘍デオキシリボ核酸(ctDNA)量とアウトカムとの間の関係を評価すること。
【0317】
方法
治験設計:
これは、mCSPCを有する対象において、エンザルタミドと組み合わせたプラセボに対して、エンザルタミドと組み合わせたタラゾパリブの安全性および有効性を評価する無作為化、二重盲検、およびプラセボ対照、第3相試験である。
【0318】
プレスクリーニング中および無作為化前の末梢血試料のゲノムスクリーニングが適格性のために必要とされる。ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CDK12、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cを含む12の遺伝子からなるDDR遺伝子パネルを含むFoundationOne(登録商標)Liquid CDx検査を使用して、PARP阻害に対して感作する可能性がある規定のDDR遺伝子における変異の存在について検査することにより、対象での変異状態を決定することとする。Historical FoundationOne(登録商標)Liquid CDx結果は、血液試料の代替として考慮することができ、FoundationOne(登録商標)検査を使用して行われた腫瘍組織の先行(すなわち、履歴)またはde novo検査結果を考慮することができる。
【0319】
処置:
試験は5つの期間を含む:プレスクリーニング、スクリーニング、二重盲検処置、安全性フォローアップ、および長期フォローアップ。
【0320】
適格な対象を、下記のとおり2つの処置群のいずれかに無作為に割付ける:
・ エンザルタミドと組み合わせたタラゾパリブ。
・ エンザルタミドと組み合わせたタラゾパリブカプセル剤と外観が同一のプラセボカプセル剤。
【0321】
タラゾパリブまたはプラセボへの無作為化(1:1)を次の層別因子に基づき進めることとする:
・ de novo mCSPC 対 再発mCSPC。
・ 高容量疾患 対 低容量疾患。
・ 高容量疾患は、内臓転移または椎体および骨盤より上方の1つ以上を含む4つ以上の骨病変の存在として定義される。
・ BRCA 対 非BRCA変異状態。
【0322】
タラゾパリブまたは同一のプラセボ処置を盲検とする。エンザルタミドは1日1回160mgの用量で非盲検とする。エンザルタミドと組み合わせて与えられるタラゾパリブの用量は1日1回0.5mgである。スクリーニング時に中等度の腎機能障害(MDRD式によるとeGFR30~59mL/分/1.73m)を有する対象を登録することができ、タラゾパリブ用量は1日1回0.35mgである。
【0323】
対象はすべての試験介入を毎日(ほぼ同時刻に)摂取し、恒久的休止基準を満たすまで評価を受ける。用量の変更は許容される。
【0324】
すべての対象について、X線撮影による進行が治験責任医師により決定されるか(治験責任医師の意見において、この時点で対象が利益を得ていない限り)、恒久的試験介入中止をもたらす有害事象(AE)、試験介入を中止するとの対象の決定、または死亡まで、試験介入(エンザルタミドを含む)を継続すべきである。
【0325】
選択基準:
1. スクリーニング時に少なくとも18歳の男性対象(日本では20歳、韓国では19歳)。
2. 小細胞または印環細胞型を有しない、前立腺の組織学的または細胞学的に確認された腺癌。別法では、神経内分泌分化、小細胞または印環細胞型を有しない、前立腺の組織学的または細胞学的に確認された腺癌。対象が先行する組織学的診断を有しない場合、ベースライン時のde novoバイオプシーを使用して、診断を確定する必要があり、バイオマーカー解析を裏付けるために使用してもよい。
3. FoundationOne(登録商標)Liquid CDxまたはFoundationOne(登録商標)CDxを使用しての、血液(リキッドバイオプシー)および/またはde novoもしくは保管用腫瘍組織の前向きまたは履歴解析(治験依頼者の事前承認あり)によるDDR遺伝子変異状態の確認。
4. 選択基準3の一部として既に提供されていない場合、遡及的分子プロファイリング解析のために利用可能な腫瘍組織(de novoまたは保管用)を提供する意思。
5. 各国規制または倫理委員会の決定により禁止されていない限り、腫瘍組織および血液(リキッドバイオプシー)で検査されたのと同一のDDR遺伝子またはそのサブセットについての遡及的シーケンシングのため、および腫瘍の変異の同定において生殖細胞系対照として役立てるための唾液試料の収集に対する同意。
6. スクリーニング時に50ng/dL以下(1.73nmol/L以下)の血清中テストステロンで、外科的または医学的に去勢されていること。両側精巣摘除を施されていない対象でのGnRHアゴニストまたはアンタゴニストでの継続中のADTは、無作為化の少なくとも4週間前には開始されている必要があり、試験を通じて継続される必要がある。別法では、スクリーニング時に50ng/dL以下(1.73nmol/L以下)の血清中テストステロンを伴う外科的または医学的去勢は選択基準ではなく;両側精巣摘除を施されていない対象でのGnRHアゴニストまたはアンタゴニストでの継続中のADTは、無作為化前に開始されている必要があり、かつ試験を通じて継続される必要がある。
7. 骨スキャン陽性(骨疾患について)またはCTもしくはMRIスキャンでの転移性病変(軟部組織について)により記録される転移性前立腺がん。その疾患転移が局所骨盤リンパ節に限定されている対象は適格ではない。注:ベースライン時のスーパースキャンの所見は除外される。
8. mCSPCについての前ドセタキセル治療(6サイクルまで)は許容される(無作為化の2週間前に完了していることが必要であり、処置による毒性はすべて解消されている)。別法では、mCSPCについての前ドセタキセル治療(6サイクルまで)は許容されない。
9. エストロゲン、シプロテロン酢酸塩、または第一世代抗アンドロゲンでの処置は無作為化まで許容される。
10. mCSPCについて許容される他の前治療;無作為化の前に、必要とされる場合には、6カ月以下のADTおよび3カ月以下の、mCSPCにおいて承認されたNHT(すなわち、アビラテロン+プレドニゾン、アパルタミド、またはエンザルタミド)。別法では、mCSPCについて許容される他の前治療;無作為化の前に、必要とされる場合には、mCSPCにおいて承認されたNHT(すなわち、アビラテロン+プレドニゾン、アパルタミド、またはエンザルタミド)を伴うか、または伴わない3カ月以下のADT(化学的または外科的)と、1日目より前に疾患進行のX線撮影によるエビデンスまたはPSAレベルの上昇がないこと。注:転移性去勢感受性前立腺がんの原発腫瘍に対する根治を目的とした前立腺全摘除または根治的放射線治療は許容されない。
11. 対象は、前立腺がんに続発する症候性コントロールのための緩和的放射線治療または外科手術を受けていてもよいが、無作為化の少なくとも2週間前に完了していなければならない。
12. ECOGパフォーマンスステータス0または1。
13. 1日目の第1の試験治療前28日以内に、下記により定義される十分な臓器機能:
・ ANCが1500/μL以上、血小板が100,000/μL以上、またはヘモグロビンが9g/dL以上(スクリーニング時の血液臨床検査を受ける前14日以内に、成長因子または輸血を受けていてはならない)
・ 血清総ビリルビンがULNの1.5倍未満(ジルベール症候群と記録された対象または間接ビリルビン濃度により上昇の原因が肝外性であることが示唆される対象ではULNの3倍未満)。
・ ASTまたはALTがULNの2.5倍未満(肝機能異常が肝転移に起因する場合、ULNの5倍未満)。
・ アルブミンが2.8g/dL超。
・ MDRD式でeGFRが30mL/分/1.73m2以上。
14. 治験責任医師の意見において射精可能である性交渉のある対象は、治験薬の初回投与から治験薬の最終投与後4カ月(またはタラゾパリブ/プラセボをエンザルタミドの1カ月超前に中止した場合、エンザルタミドの最終投与後3カ月)まで、パートナー(女性または男性)と性交渉を行う場合、コンドームを使用することに同意しなければならない。また、妊娠可能な女性パートナーは、治験薬の初回投与から治験薬の最終投与後4カ月まで、効果の高い追加の避妊法を使用することに同意しなければならない。
15. 治験薬の初回投与から治験薬の最終投与後4カ月(またはタラゾパリブ/プラセボをエンザルタミドの1カ月超前に中止した場合、エンザルタミドの最終投与後3カ月)まで、精子を提供しないことに同意しなければならない。
16. 電子日誌の管理能力を含めて、予定されているすべての来院、処置計画、臨床検査、生活習慣に関する注意事項、およびその他の治験手順を遵守する意思および能力を有している対象。患者が特定の質問票に使用されている言語を理解しない、および/または単独で特定の質問票を完了できない場合、PRO評価を完了する必要はない。
17. 同意説明文書に署名できること。
【0326】
除外基準:
1. 治験に参加する対象の可能性に干渉し、治験参加もしくは治験薬投与と関連してリスクが上昇し得る、または治験結果の解釈に干渉し得る、かつ治験責任医師の判断において、対象を治験への参加を不適切なものとする他の急性もしくは慢性の医学的状態(併発疾患、慢性安定期のHIV、HBV、もしくはHCV感染症を含む感染症、または併存疾患)または最近(過去1年以内)もしくは現時点での自殺念慮/自殺行動を含む精神的状態または臨床検査値異常。HIV/HBV/HCV検査は各国保健当局により求められない限り不要である。
2. 無作為化の12カ月以内の意識消失もしくは一過性虚血発作のあらゆる履歴を含む、発作または発作(例えば、先行する皮質卒中、重大な脳損傷)に罹患しやすいあらゆる状態(治験責任医師の判断により)の履歴。
3. 無作為化前2週間以内の大手術(治験責任医師の定義による)。
4. 脳転移または活動性軟膜疾患が既知であるか、または疑われる。
5. 症候性または切迫性の脊髄圧迫または馬尾症候群。
6. 骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、または先行する悪性病変のあらゆる履歴、ただし、以下を除く:
・ 上皮内癌または非黒色腫皮膚がん。
・ 無作為化の3年以上前に診断され、処置されており、その後の再発のエビデンスのないがん。
・ 治験責任医師および治験依頼者の意見において再発の可能性がほとんどない、無作為化前3年未満に米国癌合同委員会(American Joint Committee on Cancer)によるステージ0またはステージ1のがん。
7. 治験責任医師の意見において、吸収に影響を及ぼすあらゆる臨床的に重大な胃腸障害。
8. 以下のいずれかを含む臨床的に重大な心血管疾患:
・ 無作為化前6カ月以内の心筋梗塞または症候性心筋虚血。
・ ニューヨーク心臓協会(NYHA)によるクラスIIIまたはIVの鬱血性心不全。
・ スクリーニング前1年以内の臨床的に重大な心室性不整脈(例えば、持続性心室性頻脈、心室細動、トルサード・ド・ポアント)の履歴。
・ 永久ペースメーカーを留置していない限り、Mobitz II型第二度または第三度心ブロックの履歴。
・ スクリーニング時の収縮期血圧86mmHg未満により示されるような低血圧。
・ スクリーニング時の心電図検査で心拍数45拍/分未満により示されるような徐脈。
・ スクリーニング時の収縮期血圧170mmHg超または拡張期血圧105mmHg超により示されるようなコントロール不良な高血圧。しかしながら、血圧の十分な管理が達成された後に、対象は再スクリーニングされ得る。
9. ウイルス検査により検出されるか、または臨床診断(治験責任医師の評価による)に基づく活動性COVID-19感染。活動性COVID-19感染は検出されていないが、抗体検査陽性で、過去の感染を示す無症候性対象は許容される。
10. 術後・術前補助療法における先行ADT。その際、ADTの完了は、無作為化の12カ月より前であり、ADTの合計期間は36カ月を超えない。
11. 前立腺がんの処置を目的として、無作為化前4週間以内にプレドニゾン10mg/日の当量を超える全身グルココルチコイドでの処置を受けた対象。
12. 前立腺がん以外の適応症を除き、無作為化前5年以内にDNA損傷細胞傷害性化学治療(すなわち、プラチナベースの治療)での任意の前処置。
13. PARP阻害薬での前処置、またはエンザルタミド、エンザルタミドカプセル添加剤のいずれか、もしくはいずれかのタラゾパリブ/プラセボカプセル添加剤に対する過敏症が既知もしくはその可能性がある。
14. ドセタキセルでのmCSPCの前処置。別法では、ドセタキセルでのmCSPCの前処置は除外基準ではない。
15. 選択基準10に記載の場合を除いて、NHTでの何らかの状況における前処置。別法では、NHTでの何らかの状況における前処置。ただし、無作為化前に必要とされるならば、mCSPCにおいて承認されたNHT(すなわち、アビラテロン+プレドニゾン、アパルタミド、またはエンザルタミド)を用いる、または用いない3カ月以内のADT(化学的または外科的)は除く。
16. 無作為化前7日以内の強力なP-糖タンパク質(P-gp)阻害薬の現行使用。
17. 無作為化前4週間以内の何らかの治験薬介入での処置。例外:緊急使用許可(またはそれに相当するもの)の下で承認されたCOVID-19ワクチンは投与することができ、ウォッシュアウト期間は不要である。
18. 対象の安全性または治験結果の解釈に影響を及ぼし得る臨床的に関連する異常を示すベースライン時の12リード心電図(ECG)(例えば、QTcF間隔が470msec超、完全LBBB、急性もしくは発症時期不明の心筋梗塞の徴候、心筋虚血を示唆するST-T間隔の変化、2度もしくは3度のAVブロック、または重篤な徐脈性不整脈もしくは頻脈性不整脈)。ベースライン時の未補正のQT間隔が470msec超である場合、この間隔を、Fridericia法を用いて心拍数で補正すべきであり、得られたQTcFを用いて判断および報告すべきである。QTcが470msecを超えるか、またはQRSが120msecを超える場合、ECGをさらに2回繰り返すべきであり、3つのQTcまたはQRS値の平均を使用して、対象の適格性を判断すべきである。コンピュータで解釈されたECGは、対象を除外する前に、ECGの読影経験がある医師により確認されるべきである。
19. 本治験の実施に直接関わっている治験実施医療機関のスタッフまたは治験依頼者の社員、別段に治験責任医師の指揮監督下にある治験実施医療機関のスタッフ、およびそれら各自の親類縁者。
【0327】
主要エンドポイント:
・ DDR欠損を持つmCSPCを有する対象におけるRECIST 1.1(軟部組織疾患)およびPCWG3(骨疾患)による治験責任医師評価によるX線撮影による無増悪生存期間(rPFS)。rPFSは、無作為化の日から、X線撮影による進行の客観的エビデンスの初日、または死亡のいずれか先に生じた時点までの期間と定義される。
【0328】
副次的エンドポイント:
・ DDR欠損を持つmCSPCを有する対象における全生存期間(OS)(アルファ保護)。OSは、無作為化の日から、何らかの原因による死亡日までの期間と定義される。
・ 測定可能な軟部組織疾患における客観的奏功率:ベースライン時に測定可能な軟部組織疾患を有し、RECIST 1.1により客観的奏功を有する対象の割合。
・ 測定可能な軟部組織疾患の奏功期間:RECIST 1.1によるベースライン時に測定可能な軟部組織疾患を有する患者における奏功期間
・ 前立腺特異的抗原(PSA)奏功:ベースライン時に検出可能なPSA値を有する対象における、50%以上のPSA奏功率を有する対象の割合。
・ ベースラインからPSA進行までの期間と定義される、PSA進行までの期間。
・ 無作為化から抗新生物治療の開始までの期間と定義される、抗新生物治療開始までの期間。
・ 無作為化から、最初の症候性骨関連事象(症候性の骨折、脊髄圧迫、骨に対する外科手術または放射線のいずれか早いもの)までの期間と定義される、最初の症候性骨関連事象までの期間。
・ 無作為化から前立腺がん疼痛のためのオピエートの使用までの期間と定義される、前立腺がん疼痛に対するオピエートの使用までの期間。
・ 種類、重症度(NCI CTCAE version 4.03によるグレード分類)、時期、重大性、および治験介入との関連により特徴づけられるAEの発生率。
・ エンザルタミドおよびその代謝産物の薬物動態の評価:タラゾパリブ、エンザルタミドおよびそのN-デスメチル代謝産物の血漿中濃度。
・ 疼痛症状の患者報告アウトカム - ベースラインからの変化:簡易疼痛質問表(BPI-SF)による対象報告の疼痛症状のベースラインからの変化。
・ がん特異的な全身健康状態の患者報告アウトカム - ベースラインからの変化:EQ-5D-5Lによる対象報告の全身健康状態のベースラインからの変化。
・ がん特異的な全身健康状態/QoLの患者報告アウトカム - ベースラインからの変化:QLQ-C30による対象報告がん特異的全身健康状態/QoL、機能性、および症状におけるベースラインからの変化。
・ 疼痛症状の患者報告アウトカム - BPI-SFによる対象報告疼痛症状の悪化までの期間として定義される、悪化までの期間。
・ がん特異的全身健康状態/QoLの患者報告アウトカム - 明らかな悪化までの期間:EORTC QLQ-C30による対象報告の全身健康状態/QoLの明らかな悪化までの期間。
・ がん特異的症状の患者報告アウトカム - 明らかな悪化までの期間:EORTC QLQ-PR25による対象報告疾患特異的尿路症状の明らかな悪化までの期間。
・ 患者報告アウトカム:がん特異的機能性、および症状 - ベースラインからの変化、PGI-Sのベースラインからの変化。
・ ctDNA量とアウトカムとの間の関係:FoundationOne(登録商標)リキッドまたは別の好適な検証されたアッセイを使用して評価される、ベースラインおよび治験時のctDNA量。
【0329】
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。上述の発明を多少詳細に、実例および実施例で記載してきたが、本発明の教示を考慮することで、添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、それらに対して一定の変化および変更を行うことができることは当業者には容易に分かるであろう。
【国際調査報告】