(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】車両を操作するための方法、コンピュータプログラム、制御システム、および車両
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20240301BHJP
B60W 40/072 20120101ALI20240301BHJP
B60W 40/109 20120101ALI20240301BHJP
B60W 40/105 20120101ALI20240301BHJP
B60W 40/107 20120101ALI20240301BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/072
B60W40/109
B60W40/105
B60W40/107
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557818
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2022084511
(87)【国際公開番号】W WO2023104764
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132711.3
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】グラツィアーノ、ナルデリ
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BB27
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB06Z
3D241DB09Z
3D241DC43Z
(57)【要約】
車両(1)を操作するための方法であって、前記車両(1)のセンサシステム(3)のセンサデータ(S)を受信するステップ(S1)であって、前記センサデータ(S)は、カーブ(13)を有する道路(14)上を走行する前記車両(1)の現在のステアリング角度(δ)およびステアリング角速度(W)を含むステップ(S1)と、前記車両(1)が所定のタイムスパンT後に到達し得る前方位置(P2)における前記カーブ(13)の前方半径RAを、式:RO=RC-T[(L・w)/(sin2(δ)]により与えられるオドメータベースの前方半径ROに基づいて決定するステップ(S2)であって、式中、Lは前記車両(1)の前輪(17)と後輪(18)との間の距離であり、RCは前記車両(1)の前記現在位置(P1)における前記道路(14)の半径であるステップ(S2)と、決定された前記前方半径RAに基づいて、曲率制御機能を実施するステップ(S6)と、
を備える方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)を操作するための方法であって、
前記車両(1)のセンサシステム(3)のセンサデータ(S)を受信するステップ(S1)であって、前記センサデータ(S)は、カーブ(13)を有する道路(14)上を走行する前記車両(1)の現在のステアリング角度δおよびステアリング角速度Wを含むステップ(S1)と、
前記車両(1)が所定のタイムスパンT後に到達し得る前方位置(P2)における前記カーブ(13)の前方半径R
Aを、式:R
O=R
C-T[(L・w)/(sin
2(δ)]により与えられるオドメータベースの前方半径R
Oに基づいて決定するステップ(S2)であって、式中、δは前記ステアリング角度であり、Wは前記ステアリング角速度であり、Lは前記車両(1)の前輪(17)と後輪(18)との間の距離であり、R
Cは前記車両(1)の前記現在位置(P1)における前記道路(14)の半径であるステップ(S2)と、
決定された前記前方半径R
Aに基づいて、曲率制御機能を実施するステップ(S6)と、
を備える方法。
【請求項2】
前記前方位置(P2)における前記車両(1)の公称速度V
Aが、決定された前記前方半径R
A、および式:V
A=(A
MAX・R
A)
1/2による所定の最大横加速度A
MAXに基づいて決定され(S5)、
前記曲率制御機能は、決定された前記公称速度V
Aに基づいて実施される(S6)、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前方位置(P2)における前記車両(1)の予想加速度(A
A)が、前記車両(1)の現在速度V
C、および前記前方位置(P2)における前記車両(1)の公称速度V
Aに基づいて決定され、
前記道路(14’)の車線マーク(19)の存在が検出され、検出された前記車線マーク(19)のトラック品質が、前記センサデータ(S)に基づいて決定され、
前記前方位置(P2)における前記カーブ(13’)の車線ベースの前方半径R
Lが、検出された前記車線マーク(19)に基づいて決定され(S3)、
決定された前記トラック品質が所定のトラック品質閾値を超え、かつ決定された前記予想加速度が前記車両(1)の制動に対応する場合、前記前方半径R
Aが前記車線ベースの前方半径R
Lおよび前記オドメータベースの前方半径R
Oの最小値に等しくなるように設定される態様において、前記曲率制御機能は、前記オドメータベースの前方半径R
Oおよび前記車線ベースの前方半径R
Lに基づいて実施され(S6)、
決定された前記トラック品質が前記所定のトラック品質閾値を超え、かつ決定された前記予想加速度が前記車両(1)の正の加速度に対応する場合、前記前方半径R
Aが前記車線ベースの前方半径R
Lおよび前記オドメータベースの前方半径R
Oの最大値に等しくなるように設定される態様において、前記曲率制御機能は、前記オドメータベースの前方半径R
Oおよび前記車線ベースの前方半径R
Lに基づいて実施され(S6)、
決定された前記トラック品質が前記所定のトラック品質閾値以下である場合、前記前方半径R
Aが前記オドメータベースの前方半径R
Oに等しくなるように設定される態様において、前記曲率制御機能は、前記オドメータベースの前方半径R
Oおよび前記車線ベースの前方半径R
Lに基づいて実施される(S6)、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記車線ベースの前方半径R
Lは、式:R
L=1/[(6・a・T)+(2・b)]により決定され、式中、aおよびbは3次多項式の最初の2つの係数であり、Tは前記所定のタイムスパンである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記曲率制御機能を実施するステップ(S6)は、前記車両(1)の加速度(A)および/またはジャーク(J)を、現在位置(P1)における前記車両(1)の現在速度V
C、および前記前方位置(P2)における前記車両(1)の公称速度V
Aに基づいて制御するステップを含む、
請求項1~4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記車両(1)の前記加速度(A)および/または前記ジャーク(J)を制御するステップは、前記加速度(A)および/または前記ジャーク(J)の比例制御および/または微分制御をするステップを含み、前記前方位置(P2)における前記車両(1)の前記公称速度V
Aは、前記比例制御および/または微分制御における設定値(28)であり、前記車両(1)の前記現在速度V
Cは、前記比例制御および/または微分制御のプロセス変数(29)である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記曲率制御機能を実施するステップ(S6)は、負のジャーク(J)の第1時相(T1)、ゼロのジャーク(J)の第2時相(T2)、および正のジャーク(J)の第3時相(T3)を、現在位置(P1)における前記車両(1)の現在速度V
C、および前記前方位置(P2)における前記車両(1)の公称速度V
Aに基づいて決定するステップを含み、前記第1時相(T1)、前記第2時相(T2)、および前記第3時相(T3)は、互いに連続する、
請求項1~6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記曲率制御機能を実施するステップ(S6)は、前記車両(1)の加速度(A)を、所定の加速度閾値(A
th)未満に制御するステップ、および/または前記車両(1)のジャーク(J)を所定のジャーク閾値(J
th)未満に制御するステップを含む、
請求項1~7の一項に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータにより実行されると、前記コンピュータに請求項1~8の一項に記載の方法を実施させる命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項1~8の一項に記載の方法を実施するように構成された、車両(1)用の制御システム(2)。
【請求項11】
請求項10に記載の制御システム(2)を備える車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を操作するための方法、コンピュータプログラム、制御システム、およびこのような制御システムを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の最近の車両には、近年、通常複数のドライバー支援システムが装備されている。その例は、アダプテッド・クルーズ・コントロール(ACC)システム、車線維持支援(LKA)システム、ハイウェイ支援(HWA)システム、渋滞支援(TJA)システム、渋滞パイロット(TJP)システムである。これらのシステムの重要な側面は、曲率制御である。これには、接近するカーブの曲率の予測、およびこれに適合する速度が含まれる。通常、道路の曲率は、車両のカメラが検出した車線マークに基づいて決定される。道路に車線マークが存在しない場合、または車線マークを表示する画像データの品質が低い場合、オドメータ(測距離計)データから決定された最新経路が代わりに使用される。例えば、WO2020/001346A1は、路面画像から路面マーカーが特定されない場合、車両の現在のステアリングホイール角度を取得することを提案している。
【0003】
本発明の1つの目的は、車両を操作するための改良された方法を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
したがって、車両を操作するための方法が提供される、本方法は、
前記車両のセンサシステムのセンサデータを受信するステップであって、前記センサデータは、カーブを有する道路上を走行する前記車両の現在のステアリング角度δおよびステアリング角速度Wを含むステップと、
前記車両が所定のタイムスパンT後に到達し得る前方位置P2における前記カーブの前方半径RAを、式:RO=RC-T[(L・w)/(sin2(δ)]により与えられるオドメータベースの前方半径ROに基づいて決定するステップであって、式中、δは前記ステアリング角度であり、Wは前記ステアリング角速度であり、Lは前記車両の前記前輪と前記後輪との間の距離であり、RCは前記車両の前記現在位置における前記道路の半径であるステップと、
決定された前記前方半径RAに基づいて、曲率制御機能を実施するステップと、
を備える。
【0005】
したがって、車両が走行している道路のカーブの曲率の半径RAであって、車両の前方位置における半径RAは、車両のステアリング角度センサのセンサデータに基づいて、特に、車両の測定された現在のステアリング角度およびステアリング角速度に基づいて決定される。このため、車両が走行している道路の曲率は、オドメータデータに基づいて決定される。これにより、曲率をより良好に予測することができる。さらに、車線マークが道路上にない、および/または車線マークが車両のカメラの画像データで検出されない場合にも、道路の曲率を決定することができる。道路の曲率をより良好に予測することで、より良好な車両の曲率制御が可能とされる。特に、カーブに進入する前および/またはカーブに進入する際の高度な制動制御を改善することができるため、車両に乗っている人(乗員)の安全性および快適性が向上する。
【0006】
車両が所定のタイムスパンT後に到達し得る前方位置P2におけるカーブの曲率の前方半径RAを決定することにより、所定のタイムスパンTが経過した時点における車両の走行条件、車両の予想状態および/または公称状態を予測することができる。所定のタイムスパンTは、例えば、0.5~2.5秒の範囲内の任意の値であり得る。特に、所定のタイムスパンTは、例えば、0.5秒、約0.5秒、1秒、約1秒、1.5秒、約1.5秒、2秒、約2秒、2.5秒、または約2.5秒の値を有し得る。
【0007】
ステアリング角度は、例えば、車両のステアリングシャフトの回転角度である。ステアリング角度は、例えば、車両の1つ以上の駆動輪の角度である。ステアリング角速度は、例えば、ステアリング角度の時間に関する1階微分である。
【0008】
オドメータベースの前方半径ROは、例えば、ステアリング角度δおよびステアリング角速度W=dδ/dtに基づいて、以下の関係式により算出される:
RC=L/tan(δ)(直角三角形の三角関係に基づく)、
dRC/dt=L・d/dt[1/tan(δ)]、
dRC/dt=-L・dδ/dt/(sin2(δ)]
R0=RC+dRC/dt、
RO=RC-T[(L・w)/(sin2(δ)] ここで、W=dδ/dt。
【0009】
車両が走行している道路は、例えば1つ以上の車線を含む。車線を限定する車線マーク、すなわちマーク付き車線が存在し得る。別の場合、例えば、1つ以上の車線に対する車線マークが存在せず、マークなし車線となる。車両は、例えば、道路の(例えば、マーク付きまたはマークなし)車線のうちの1つを走行している。道路のカーブは、例えば、車両が走行している(例えば、マーク付きまたはマークなし)車線のカーブである。道路の曲率の半径は、例えば、車両が走行している(例えば、マーク付きまたはマークなし)車線の曲率の半径である。
【0010】
センサシステムは、特に、ステアリング角度センサユニットを含む。ステアリング角度センサユニットは、例えば、巨大磁気抵抗技術(GMR素子)等の磁気抵抗技術に基づいている。ステアリング角度センサは、例えば、車両のステアリングシャフトに固定されている。センサのハブギアホイールは、例えば、シャフトの回転運動を2つの測定ギアホイールに伝達する。各測定ギアホイールに、例えば磁石が装着される。磁石の磁場は、回転運動に応じてその向きを変える。各磁石の下方に、上方の磁石の角度位置を検出するGMRセンサ素子が配置され得る。GMR素子のアナログ値は、例えばデジタル情報に変換される。ステアリング角度センサは、例えば、全ステアリング角度範囲に亘る絶対ステアリング角度値を提供する。
【0011】
車両のセンサシステムは、例えば、1つ以上の環境センサユニット等のさらなるセンサユニットを含む。環境センサユニットは、車両の走行状態および/または車両の環境を検出するように構成される。このようなセンサユニットの例は、周囲の画像を捕捉するためのカメラ装置、レーダデータを取得するためのレーダ装置(radio detection and ranging)、ライダーデータを取得するためのライダー装置(light detection and ranging)である。センサシステムは、超音波センサ、位置センサ、雨センサ、温度センサ、および/または光センサをさらに含み得る。
【0012】
車両のセンサユニットは、センサ信号を例えば運転支援システムまたは駐車支援システムに出力するように各々構成される。運転支援システムまたは駐車支援システムは、例えば検出されたセンサ信号の関数として補助運転または(半)自律運転を実施する。特に、センサユニットは、センサ信号を、曲率制御を検出されたセンサ信号の関数として実施する制御システムおよび/または曲率制御システム/ユニットに出力するように各々構成され得る。
【0013】
方法ステップは、特に、車両の制御システムにより実施される。
【0014】
実施形態によれば、前記前方位置における前記車両の公称速度VAが、決定された前記前方半径RA、および式:VA=(AMAX・RA)1/2による所定の最大横加速度AMAXに基づいて決定される。
【0015】
さらに、前記曲率制御機能は、決定された前記公称速度VAに基づいて実施される。
【0016】
前方位置における公称速度VAを決定された前方半径RAおよび所定の最大横加速度AMAXに基づいて計算することにより、前方位置における車両の速度が計算された公称速度と等しくなる(または、公称速度未満となる)ように、車両の曲率制御を実施することができる。したがって、車両がカーブから逸れる、および/または制動することが回避され得る。
【0017】
最大横加速度AMAXは、例えば、2.5m/s2~3.5m/s2の任意の値を有する。最大横加速度AMAXは、例えば、2.5m/s2、約2.5m/s2、3m/s2、約3m/s2、3.5m/s2、または約3.5m/s2、2m/s2以下、約2m/s2以下、2.5m/s2以下、約2.5m/s2以下、3.5m/s2以下、または約3.5m/s2以下の値を有し得る。最大横加速度AMAXの値は、車両の速度に依存する。
【0018】
さらなる実施形態によれば、前記前方位置における前記車両の予想加速度が、前記車両の現在速度VC、および前記前方位置における前記車両の公称速度VAに基づいて決定される。さらに、前記道路の車線マークの存在が検出され、検出された前記車線マークのトラック品質が、前記センサデータに基づいて決定され、前記前方位置における前記カーブの車線ベースの前方半径RLが、検出された前記車線マークに基づいて決定される。さらに、
決定された前記トラック品質が所定のトラック品質閾値を超え、かつ決定された前記予想加速度が前記車両の制動に対応する場合、前記前方半径RAが前記車線ベースの前方半径RLおよび前記オドメータベースの前方半径ROの最小値に等しくなるように設定される態様において、前記曲率制御機能は、前記オドメータベースの前方半径ROおよび前記車線ベースの前方半径RLに基づいて実施され、
決定された前記トラック品質が前記所定のトラック品質閾値を超え、かつ決定された前記予想加速度が前記車両の正の加速度に対応する場合、前記前方半径RAが前記車線ベースの前方半径RLおよび前記オドメータベースの前方半径ROの最大値に等しくなるように設定される態様において、前記曲率制御機能は、前記オドメータベースの前方半径ROおよび前記車線ベースの前方半径RLに基づいて実施され、
決定された前記トラック品質が前記所定のトラック品質閾値以下である場合、前記前方半径RAが前記オドメータベースの前方半径ROに等しくなるように設定される態様において、前記曲率制御機能は、前記オドメータベースの前方半径ROおよび前記車線ベースの前方半径RLに基づいて実施される。
【0019】
したがって、検出された車線マークのトラック品質が悪すぎる(すなわち、所定のトラック品質閾値以下である)場合、車両が走行している道路のカーブの前方半径RAは、オドメータベースの前方半径ROのみに基づいて有利に決定され得る。
【0020】
さらに、検出された車線マークのトラック品質が所望の範囲内にある(すなわち、所定のトラック品質閾値を超える)場合、車両が走行している道路のカーブの前方半径RAは、車両の加速状態(制動または正の加速度)に応じて、車線ベースの前方半径RLまたはオドメータベースの前方半径ROのいずれかに等しくなるように有利に決定され得る。
【0021】
車両の現在速度VCは、現在位置における車両の速度である。
【0022】
車両のセンサシステムは、特に車両の周囲の画像を捕捉するための1つ以上のカメラ装置を含む。さらに、道路の車線マークの有無は、車両の1つ以上のカメラ装置の画像データ(センサデータの一例)に基づいて検出される。カメラ装置は、例えば、車両のフロントガラスに配置されたフロントカメラであって、車両の前方のエリアをモニタリングするように構成されたフロントカメラを含む。しかしながら、1つ以上のカメラ装置は、車両の別の窓にも配置され得る、および/または別のエリア、例えば車両の側方または後方をモニタリングし得る。
【0023】
検出された車線マークのトラック品質を決定するステップは、例えば、検出された車線マークの現在のトラック品質のレベルを決定するステップを含む。検出された車線マークのトラック品質(レベル)は、例えば、1つ以上のカメラ装置が提供する画像データの画像品質に対応する。検出された車線マークのトラック品質のレベル、および/または1つ以上のカメラ装置が提供する画像データの画像品質のレベルは、例えば、1つ以上のカメラ装置により決定され、提供される。所定のトラック品質閾値は、例えば、トラック品質レベルの所定の閾値である。
【0024】
実施形態において、本方法は、決定された車線ベースの前方半径RLの誤差ΔRLを決定するステップを含む。誤差ΔRLは、例えば、検出された車線マークのトラック品質の基準である。さらに、この場合、
決定された誤差ΔRLが所定の閾値未満であり、かつ決定された予想加速度が車両の制動に対応する場合、前方半径RAが車線ベースの前方半径RLおよびオドメータベースの前方半径ROの最小値に等しくなるように設定される態様において、曲率制御機能は、オドメータベースの前方半径ROおよび車線ベースの前方半径RLに基づいて実施され得る、
決定された誤差ΔRLが所定の閾値未満であり、かつ決定された予想加速度が正の加速度に対応する場合、前方半径RAが車線ベースの前方半径RLおよびオドメータベースの前方半径ROの最大値に等しくなるように設定される態様において、曲率制御機能は、オドメータベースの前方半径ROおよび車線ベースの前方半径RLに基づいて実施され得る、
決定された誤差ΔRLが所定の閾値以上である場合、前方半径RAがオドメータベースの前方半径ROに等しくなるように設定される態様において、曲率制御機能は、オドメータベースの前方半径ROおよび車線ベースの前方半径RLに基づいて実施され得る。
【0025】
したがって、決定された車線ベースの前方半径RLの誤差ΔRLが大きすぎる(すなわち、所定の閾値以上である)場合、車両が走行している道路のカーブの前方半径RAは、オドメータベースの前方半径ROのみに基づいて有利に決定され得る。
【0026】
さらに、決定された車線ベースの前方半径RLの誤差ΔRLが所望の範囲内にある(すなわち、所定の閾値未満である)場合、車両が走行している道路のカーブの前方半径RAは、車両の加速状態(制動または正の加速度)に応じて、車線ベースの前方半径RLまたはオドメータベースの前方半径ROのいずれかに等しくなるように有利に決定され得る。
【0027】
さらなる実施形態によれば、前記車線ベースの前方半径RLは、式:RL=1/[(6・a・T)+(2・b)]により決定され、式中、aおよびbは多項式の最初の2つの係数であり、Tは前記所定のタイムスパンである。
【0028】
多項式は、特に多項式関数である。多項式とは、特に、知覚された車線を数学的に表したものである。多項式は、例えば、3次以上の多項式関数である。例えば、車線ベースの前方半径RLは、3次多項式の最初の2つの係数aおよびbに基づいて決定される。
P(x)=ax3+bx2+cx+d
【0029】
さらに、前方の曲率は、以下のように表すことができる。
CA=(6・a・T)+(2・b)
【0030】
さらにまた、前方半径RLは、以下により与えられる。
RL=1/CA
【0031】
さらなる実施形態によれば、前記曲率制御機能を実施するステップは、前記車両の加速度および/またはジャークを、現在位置における前記車両の現在速度VC、および前記前方位置における前記車両の公称速度VAに基づいて制御するステップを含む。
【0032】
車両の加速度および/またはジャークを制御することにより、特に、現在速度VCから公称速度VAまでの、時間に対する車両の制動プロセス(負の加速度)(制動の時間展開)を制御することができる。したがって、乗員の安全性および快適性が向上し得る。
【0033】
車両のジャークは、特に、車両の加速度の時間に対する変化を表す。車両のジャークは、特に、車両の加速度の時間に関する1階微分であり、車両の速度の時間に関する2階微分である。
【0034】
車両のジャークは、例えば、長手方向ジャークを含む。他の例において、車両のジャークは、例えば、横方向ジャークも含み得る。
【0035】
車両のジャークは、例えば、車両の現在速度VCと前方位置における車両の公称速度VAとの差に基づいて制御される。
【0036】
さらなる実施形態によれば、前記車両の前記加速度および/または前記ジャークを制御するステップは、前記加速度および/または前記ジャークの比例制御および/または微分制御をするステップを含み、前記前方位置における前記車両の前記公称速度VAは、前記比例制御および/または微分制御における設定値であり、前記車両の前記現在速度VCは、前記比例制御および/または微分制御のプロセス変数である。
【0037】
特に、ジャークは、車両の現在速度VCが公称速度VAに近づくように制御される。公称速度VAは、コントローラの設定値、すなわち、前方位置における車両の速度に対する所望の値である。
【0038】
特に、制御システムは、比例コントローラ、微分コントローラ、および/または比例微分コントローラを含む。比例微分コントローラ(PDコントローラ)は、比例コントローラと微分コントローラとを組み合わせたもの、すなわち、比例+微分コントローラである。
【0039】
比例コントローラは、コントローラの出力がコントローラの入力(例えば誤差信号)に比例して変化するタイプのコントローラである。微分コントローラは、コントローラの出力が誤差信号の時間変化率に比例するタイプのコントローラである。誤差信号は、例えば、設定値(ここでは、前方位置における車両の公称速度VA)とプロセス変数の測定値(ここでは、車両の現在速度VC)との間の誤差である。
【0040】
さらなる実施形態によれば、前記曲率制御機能を実施するステップは、負のジャークの第1時相、ゼロのジャークの第2時相、および正のジャークの第3時相を、現在位置における前記車両の現在速度VC、および前記前方位置における前記車両の公称速度VAに基づいて決定するステップを含み、前記第1時相、前記第2時相、および前記第3時相は、互いに連続する。
【0041】
加速度およびジャークの時相を決定することにより、曲率制御機能はより良好に実施され得る。
【0042】
第1時相は、例えば、車両が負の加速度(制動)で道路のカーブに進入する前、および/またはその際の時相である。第2時相は、例えば、一定の加速度でカーブ内を走行する時相である。第3時相は、例えば、依然として負の加速度であるが正のジャークを伴う(以前として制動しているが制動は減少している)時相である。
【0043】
第1時相、第2時相、および第3時相(例えば、第1時相、第2時相、および第3時相の各々の開始時点および終了時点)は、例えば、制御システムの状態機械により決定される。
【0044】
実施形態において、曲率制御機能を実施するステップは、ゼロのジャークおよびゼロの加速度(すなわち一定速度)の第4時相、および/または正のジャークおよび正の加速度の第5時相を決定するステップを含む。第4時相および第5時相は、特に、第4時相が第3時相と連続し、第5時相が第4時相と連続する(または第4時相が存在しない場合には、第3時相と連続する)ように、第1時相~第3時相と連続する。
【0045】
さらなる実施形態によれば、前記曲率制御機能を実施するステップは、前記車両の加速度を、所定の加速度閾値未満に制御するステップ、および/または前記車両のジャークを所定のジャーク閾値未満に制御するステップを含む。
【0046】
したがって、車両は、車両の最大ジャーク(例えば、最大長手方向ジャーク)が制限されるように制御される。したがって、ドライバー(および他の乗員)の安全性および快適性が向上し得る。
【0047】
例えば、車両の長手方向ジャークは、所定の長手方向ジャーク閾値未満になるように制御される。
【0048】
第2態様によれば、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されると、前記コンピュータに上述の方法を実施させる命令を備える。
【0049】
例えばコンピュータプログラム手段であるコンピュータプログラム(コンピュータプログラム製品)は、メモリカード、USBスティック、CD-ROM、DVDとして、またはネットワーク内のサーバからダウンロードされるファイルとして具現化され得る。例えば、このようなファイルは、コンピュータプログラム製品を構成するファイルを無線通信ネットワークから送ることによって提供され得る。
【0050】
第3態様によれば、車両用の制御システムが提供される。制御システムは、上述の方法を実施するように構成される。
【0051】
第4態様によれば、上述の制御システムを有する車両が提供される。
【0052】
上記または下記のそれぞれのエンティティ、例えば、制御システム、受信ユニット、第1決定ユニット、第2決定ユニット、第3決定ユニット、第4決定ユニット、アービトレーションユニット、曲率制御ユニット、PD制御ユニットは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実現され得る。ハードウェアにおいて実現される場合、前記エンティティは、デバイス、例えばコンピュータとして、またはプロセッサとして、あるいはシステム、例えばコンピュータシステムの一部として具現化され得る。ソフトウェアにおいて実現される場合、前記エンティティは、コンピュータプログラム製品として、関数として、ルーチンとして、アルゴリズムとして、プログラムコードとして、プログラムコードの一部として、または実行可能オブジェクトとして具現化され得る。さらに、上述のエンティティの各々は、中央電子制御ユニット(ECU)等の車両の上位制御システムの一部として設計することもできる。
【0053】
本発明の方法を参照して説明した実施形態および特徴は、本発明のコンピュータプログラム、制御システム、および車両に準用される。
【0054】
本発明のさらに可能な実施態様または代替解決態様は、実施形態に関して上述または後述される特徴の組み合わせ(本明細書で明示的に言及されない)もカバーする。当業者は、本発明の最も基本的な形態に、個別また別個の態様および特徴を追加し得る。
【0055】
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点は、以下の説明および従属請求項から明らかになるであろう。
【0056】
以下の図面を参照しつつ、本発明を好適な実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、実施形態による車両の上面図を示す。
【
図4】
図4は
図2と同様の図であり、道路に車線マークがあることを示す。
【
図5】
図5は、
図4の道路のカーブの決定された車線ベース半径のデータポイントを示す。
【
図6】
図6は、
図2または
図4に示された道路のカーブを走行する際の、
図1の車両の加速度おおよびジャークの時間展開を示す。
【
図8】
図8は、
図1の車両を操作するための方法を説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図面において、同様の参照符号は、特に断りのない限り、同様または機能的に等価な要素を示す。
【0059】
図1は、車両1の概略上面図を示す。車両1は、例えば乗用車である。また、車両1は、バンやトラック等の他の種類の車両であってもよい。車両1は、車両1を制御するための制御システム2を備えている。
【0060】
図1に示すように、車両1は、車両1に配置された複数の環境センサユニット4、5、6、7を含むセンサシステム3を備えている。センサシステム3は、特に、1つ以上のカメラ装置4、例えば1つ以上のフロントカメラ装置を備えている。カメラ装置4は、車両1の周囲8の画像データIを取得し、画像データまたは画像データの画像解析結果を制御システム2に送信するように構成されている。フロントカメラ装置4は、車両1のフロントガラス9に取り付けられている。
【0061】
センサシステム3は、例えば、車両1の周囲8のレーダデータを取得するための1つ以上のレーダ装置5をさらに備えている。センサシステム3は、例えば、車両1の周囲8のライダーデータを取得するための1つ以上のライダー装置6をさらに備え得る。
【0062】
センサシステム3は、車両1のステアリングシャフト11に配置されたステアリング角度センサ10をさらに備えている。ステアリングシャフト11は、車両1のステアリングホイール12に接続している。ステアリング角度センサ10は、車両1のステアリング角度δ(
図3)およびステアリング角速度Wを測定するように構成されている。
【0063】
センサシステム3は、超音波センサ7、1つ以上の雨センサ、および/または1つ以上の光センサ(図示せず)等のさらなるセンサを備え得る。
【0064】
以下に、
図2~
図8を参照しながら、車両1を操作するための方法について説明する。本方法は、特に、車両1がスムースに道路14のカーブ13(
図2)に進入して退出するように、車両1の曲率制御を実施するための方法である。
【0065】
図2は、カーブ13を含む道路14上にある
図1の車両1を示す。車両1は、
図2において、カーブ13に進入する前の第1位置P1(現在位置)にあることが示されている。車両1は、現在位置P1を現在速度V
cにおいて走行している。さらに、車両1は、
図2において、車両1がカーブ13に進入した位置である第2位置P2にあることが破線で示されている。第2位置P2は、車両1の走行方向15に対して、第1位置P1の前方にある。
【0066】
本方法の第1ステップS1において、車両1の制御システム2は、車両1のセンサシステム3(
図1)のセンサデータS(
図7)を受信する。センサデータSは、ステアリング角度センサ10(
図1)のオドメータデータ、具体的には、車両1の現在のステアリング角度δ、および現在のステアリング角速度Wを含んでいる。さらに、センサデータSは、車両1のカメラ装置4(
図1)の画像データIを含んでいる。制御システム2は、例えば、センサデータSをセンサシステム3から受信するための受信ユニット16(
図7)を備えている。
【0067】
本方法の第2ステップS2において、制御システム2は、前方位置P2におけるカーブ13の前方半径R
Oを、オドメータデータ(δ、w)に基づいて決定する。前方位置P2は、特に、所定のタイムスパンT(例えば1秒か2秒)後に車両1が到達し得る位置である。制御システム2は、例えば、オドメータベースの前方半径R
Oを決定するための第1決定ユニット20(
図7)を備えている。オドメータベースの前方半径R
Oは、以下の関係式に基づいて決定される。
【0068】
位置P1における車両1の現在の半径R
C(
図3)は、直角三角形の三角関数を用いて以下のように表すことができる。
R
C=L/tan(δ)
ここで、Lは、車両1の前輪17と後輪18との間の距離(
図3)である。
【0069】
さらに、現在の半径Rcの時間に対する1階微分は、以下の式で与えられる。
dRC/dt=L・d/dt[1/tan(δ)]
dRC/dt=-L・dδ/dt/(sin2(δ)]
【0070】
したがって、位置P2におけるカーブ13のオドメータべースの前方半径R
O(
図2)は、以下のように記述できる。
R
0=R
C+dR
C/dt
R
O=R
C-T[(L・w)/(sin
2(δ)] ここで、W=dδ/dt
【0071】
本方法の第3ステップS3において、車両1が走行している道路14’の車線マーク19(
図4)が画像データIにおいて検出されている場合、制御システム2は、前方位置P2におけるカーブ13’の車線ベースの前方半径R
Lを決定する。制御システム2は、例えば、車線ベースの前方半径R
Lを決定するための第2決定ユニット21(
図7)を備えている。
【0072】
さらに、検出された車線マーク19のトラック品質(例えば、トラック品質のレベル)が決定される。トラック品質(例えば、トラック品質レベル)は、特に、カメラ装置4が受信した画像データIの画像品質、および/または画像データIにおける車線マーク19の検出品質に対応する。トラック品質(例えば、トラック品質レベル)は、例えば、カメラ装置4により決定および/または提供される。代替的または追加的に、トラック品質(例えば、トラック品質レベル)は、制御システム2の第2決定ユニット21(
図7)によっても決定され得る。
【0073】
変形例において、車線ベースの前方半径R
Lの誤差ΔR
L(
図5)も、検出された車線マーク19に基づいて決定され得る。誤差ΔR
Lは、特に、検出された車線マーク19のトラック品質の基準(例えば、トラック品質レベルの基準)として使用され得る。
【0074】
車線ベースの前方半径RLは、以下の式により決定される。
RL=1/[(6・a・T)+(2・b)]
ここで、aおよびbは、カーブ13’に対するフィット(例えば、ベストフィット)として推定される3次多項式(P(x)=ax3+bx2+cx+d)の最初の2つの係数である。さらに、Tは、ステップS2の所定のタイムスパンである。
【0075】
本方法の第ステップS4において、制御システム2は、曲率制御機能で使用される前方半径RAを決定する。前方半径RAは、ステップS2で決定されたオドメータベースの前方半径RO、およびステップS3で決定された車線ベースの前方半径RLに基づいて決定される。
【0076】
特に、決定されたオドメータベースの前方半径R
Oと決定された車線ベースの前方半径R
Lとのアービトレーション(すなわち判定)が、検出された車線マーク19の決定されたトラック品質に基づいて(例えば、検出した車線マーク19の決定されたトラック品質レベルに基づいて、および/または車線ベースの前方半径R
Lの決定された誤差ΔR
Lに基づいて)、および、前方位置P2における車両1の予想加速度A
A(
図4)に基づいて実施される。制御システム2は、例えば、オドメータベースの前方半径R
Oおよび車線ベースの前方半径R
Lに基づいて前方半径R
Aを決定するためのアービトレーションユニット22(
図7)を備えている。
【0077】
決定されたトラック品質のレベルが、所定のトラック品質閾値以下である場合、前方半径RAは、オドメータベースの前方半径ROに等しくなるように設定される。
【0078】
決定されたトラック品質のレベルが所定のトラック品質閾値を超え、かつ決定された予想加速度が車両1の制動に対応する場合、前方半径RAは、車線ベースの前方半径RLおよびオドメータベースの前方半径ROの最小値に等しくなるように設定される。
【0079】
トラック品質の決定されたレベルが所定のトラック品質閾値を超えるとともに、決定された予想加速度が正の加速度に対応する場合、前方半径RAは、車線ベースの前方半径RLおよびオドメータベースの前方半径ROの最大値に等しくなるように設定される。
【0080】
変形例において、
図5に示すように、トラック品質を、車線ベースの前方半径R
Lの誤差ΔR
Lの決定に基づいて推定してもよい。
図5は、半径‐位置図における決定された車線ベースの前方半径R
Lのデータポイント23を、決定された誤差ΔR
Lに対応する誤差バー24とともに示す。また、
図5に、車線ベースの前方半径R
Lの誤差ΔR
Lに対する所定の閾値Rthも示す。
図5に示す例において、決定された誤差ΔR
Lは、所定の閾位置Rthよりも小さい。しかしながら、車線マーク19(
図4)の視認性が悪い、および/または画像データIの画像品質が低い場合には、誤差ΔR
Lは、所定の閾値Rthよりも大きいことがある。
【0081】
図5の例において、決定された誤差ΔR
Lが所定の閾値Rth以上である場合、前方半径R
Aは、オドメータベースの前方半径R
Oに等しくなるように設定される。
【0082】
さらに、
図5の例において、決定された誤差ΔR
Lが所定の閾値Rth未満であり、かつ決定された予想加速度が車両1の制動に対応する場合、前方半径R
Aは、車線ベースの前方半径R
Lおよびオドメータベースの前方半径R
Oの最小値に等しくなるように設定される。
【0083】
さらに、決定された誤差ΔRLが所定の閾値Rth未満であり、かつ決定された予想加速度が正の加速度に対応する場合、前方半径RAは、車線ベースの前方半径RLおよびオドメータベースの前方半径ROの最大値に等しくなるように設定される。
【0084】
本方法の第5ステップS5において、制御システム2は、前方位置P2における公称速度V
A(
図2)を、決定された前方半径R
Aおよび所定の最大横加速度A
MAXに基づいて、以下の式により決定する。
V
A=(A
MAX・R
A)
1/2
【0085】
制御システム2は、例えば、公称速度V
Aを決定するための第3決定ユニット25(
図7)を備えている。
【0086】
本方法の第6ステップS6において、制御システム2は、前方位置P2におけるカーブ13、13’の決定された前方半径RAに対応する決定された公称速度VAに基づいて、曲率制御機能を実施する。
【0087】
制御システム2は、例えば、曲率制御機能を実施するための曲率制御ユニット26(
図7)を備えている。特に、車両1の現在速度V
C(
図2)が車両1の公称速度V
Aに向かって適切な態様で変化するように、車両1の加速度A(t)およびジャークJ(t)(
図6)が制御される。
【0088】
曲率制御ユニット26は、比例微分制御ユニット27(PD制御ユニット27)を備えている。前方位置P2における車両1の公称速度VAは、PD制御ユニット27の設定値28である。さらに、車両1の現在速度VCは、PD制御ユニット27のプロセス変数29である。PD制御ユニット27は、特に、現在速度VCと公称速度VAとの差に基づいた制御を実施する。
【0089】
曲率制御ユニット26は、加速度A(t)およびジャークJ(t)(
図6)の時相T1、T2、T3、T4およびT5を決定するための第4決定ユニット28をさらに備えている。第4決定ユニット28は、例えば、時相T1、T2、T3、T4およびT5を決定するための状態機械または他の論理ユニットを含んでいる。
【0090】
図6は、上段に、カーブ13(
図2)を走行して通過する車両1の加速度A(t)の時間展開を示す。さらに、
図6の下段に、車両1のジャークJ(t)の時間展開を示す。ジャークJ(t)は、加速度A(t)の時間に関する1階微分である。すなわち、ジャークは、加速度A(t)の時間的な変化を示している。
【0091】
図6に示すように、負の加速度(制動)および負のジャーク(増加する制動)の第1時相T1が決定される。第1時相T1は、例えば、車両1がカーブ13(
図2)に進入する状態および/または進入する前の状態に対応する。さらに、一定の負の加速度(一定の制動)およびゼロのジャークの第2時相T2が決定される。第2時相T2は、例えば、車両1がカーブ13内を走行している状態に対応する。さらに、負の加速度(依然として制動)であるが正のジャーク(減少する制動)の第3時相T3が決定される。第3時相T3は、例えば、カーブ13内において、現在速度V
Cが公称速度V
Aに近づきつつある(備えつつある)走行の時相である。また、ゼロのジャークおよびゼロの加速度(すなわち一定速度)の第4時相T4が決定される。第3および第4時相T3、T4は、「リリースおよび等速時相」と称され得る。さらに、正のジャークおよび正の加速度の第5時相T5が決定される。
図5に示すように、時相T1、T2、T3、T4およびT5は、互いに連続している。
【0092】
曲率制御ユニット26は、車両1の加速度Aおよび/またはジャークJ(
図6)を制限するための制限ユニット29(
図7)をさらに備えている。特に、曲率制御機能は、車両1の加速度A(例えば、加速度Aの絶対値)が、所定の加速度閾値A
th未満であるように実施される。さらに、曲率制御機能は、車両1のジャークJ(例えば、ジャークの絶対値)が、所定のジャーク閾値J
th未満であるように実施される。
【0093】
したがって、車両1が走行している道路14のカーブ13の曲率の前方半径R
A(
図2)が、オドメータデータ(δ、w、
図3)に基づいて、そして、車線マークが19検出されている場合は、車線マーク19(
図4)の曲率に基づいて予測される。前方半径R
Aに基づいて、前方位置P2における所望の速度としての公称速度V
Aが計算される。さらに、公称速度V
Aを実現する過程で、制動および正の加速度ならびにジャークが車両1のドライバーおよび他の乗員の安全性と快適性を確保する値に収まるように(
図6)、曲率制御(
図7)が実施される。
【0094】
本発明を好ましい実施形態にしたがって説明したが、すべての実施形態において変更が可能であることが当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0095】
1 車両
2 制御システム
3 センサシステム
4 センサユニット
5 センサユニット
6 センサユニット
7 センサユニット
8 周囲
9 フロントガラス
10 ステアリング角度センサ
11 ステアリングシャフト
12 ステアリングホイール
13、13’ カーブ
14、14’ 道路
15 走行方向
16 受信ユニット
17 輪
18 輪
19 車線マーク
20 決定ユニット
21 決定ユニット
22 アービトレーションユニット
23 データポイント
24 誤差バー
25 決定ユニット
26 曲率制御ユニット
27 PD制御ユニット
28 設定値
29 プロセス変数
δ ステアリング角度
ΔRL 誤差
A 加速度
AA 加速度
Ath 加速度閾値
J ジャーク
Jth ジャーク閾値
L 距離
P1 現在位置
P2 前方位置
RA 半径
RC 半径
RL 半径
RO 半径
Rth 半径閾値
S1~S6 方法ステップ
T1 時相
T2 時相
T3 時相
T4 時相
T5 時相
VA 速度
VC 速度
W ステアリング角速度
【国際調査報告】