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特表2024-510694車両の電気駆動システムの制御方法、電気駆動システム及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】車両の電気駆動システムの制御方法、電気駆動システム及び車両
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/22 20160101AFI20240304BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240304BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240304BHJP
   B60L 58/25 20190101ALI20240304BHJP
【FI】
H02P21/22
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/25
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539986
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2021124702
(87)【国際公開番号】W WO2022205836
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110351040.0
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】潘▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼宇▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】丘国▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】洪臣
【テーマコード(参考)】
5H125
5H505
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA01
5H125BB03
5H125BC19
5H125CA01
5H125CD09
5H125EE02
5H125EE07
5H125EE09
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD08
5H505EE07
5H505EE41
5H505GG04
5H505HA07
5H505HB02
5H505JJ03
5H505KK06
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL43
(57)【要約】
車両の電気駆動システムの制御方法は、車両の現在の運転動作点に基づいて、電気駆動システムの現在の発熱パワーを取得するステップと、車両に必要な加熱パワー及び現在の発熱パワーに基づいて、電流調整振幅値を決定するステップと、モータの3相電流値及び位置値に基づいて、車両の現在の運転動作点でのモータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得するステップと、所定の変換周波数及び電流調整振幅値で振動させて目標直軸電流値とするように現在の直軸電流値を制御するステップとを含み、それにより、電気駆動システムを発熱させ、かつ動力電池自体を流れる電流を振動させ、動力電池自体の発熱速度を加速させることができるため、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができる。電気駆動システム及び車両も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気駆動システムの制御方法であって、前記電気駆動システムは、モータと、モータコントローラとを含み、
車両の加熱需要信号に応答して、モータ軸端のトルク及び車両の現在の運転動作点を取得するステップと、
前記車両の現在の運転動作点に基づいて、前記電気駆動システムの現在の発熱パワーを取得するステップと、
前記車両に必要な加熱パワー及び前記現在の発熱パワーに基づいて、電流調整振幅値を決定するステップと、
前記モータの3相電流値及び位置値を取得し、前記3相電流値及び前記位置値に基づいて、前記車両の現在の運転動作点での前記モータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得するステップと、
所定の変換周波数及び前記電流調整振幅値で振動させて目標直軸電流値とするように前記現在の直軸電流値を制御するステップと、
前記目標直軸電流値及び前記モータ軸端のトルクに基づいて、目標横軸電流値を取得するステップと、
前記目標直軸電流値と前記目標横軸電流値、及び前記現在の直軸電流値と前記現在の横軸電流値に基づいて、モータ駆動信号を取得するステップと、
前記モータ駆動信号を前記モータコントローラに送信して、前記モータの動作を制御するステップと、
を含む、ことを特徴とする、
車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項2】
所定の変換周波数及び前記電流調整振幅値で振動させて目標直軸電流値とするように前記現在の直軸電流値を制御するステップは、
前記電流調整振幅値に基づいて第1直軸電流値及び第2直軸電流値を取得し、前記目標直軸電流値が現在の直軸電流を基準値とし、前記第1直軸電流値をピークとし、前記第2直軸電流値をボトムとし、所定の変換周波数に従って周期的に変化するステップを含み、
前記第1直軸電流値は、前記現在の直軸電流値と前記電流調整振幅値との合計値であり、
前記第2直軸電流値は、前記現在の直軸電流値と前記電流調整振幅値との差分値である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項3】
前記車両に必要な加熱パワー及び前記現在の発熱パワーに基づいて、電流調整振幅値を決定するステップは、
前記車両に必要な加熱パワーと前記現在の発熱パワーとのパワー差分値を計算するステップと、
前記パワー差分値に基づいて前記電流調整振幅値を取得し、かつ前記パワー差分値が大きいほど、前記電流調整振幅値が大きくなるステップと、
を含む、ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項4】
前記モータコントローラは、パワースイッチングデバイスを含み、
前記目標直軸電流値が限界値よりも大きい場合、前記パワースイッチングデバイスのキャリア周波数は、所定の範囲内でランダムに変動する、ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項5】
前記目標直軸電流値及び前記目標横軸電流値は、下記式を満たし、
=1.5N[(L-L)i+φ]i
ここで、Tは、モータ軸端のトルクであり、Nは、モータロータの磁極対数であり、Lは、直軸インダクタンス値であり、Lは、横軸インダクタンス値であり、iは、目標直軸電流値であり、φは、鎖交磁束値であり、iは、目標横軸電流値である、ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項6】
前記車両に必要な加熱パワーが変化したと決定するステップと、
変化後の前記車両に必要な加熱パワーに基づいて、前記電流調整振幅値を調整するか、又は前記所定の変換周波数を調整するステップと、
を更に含む、ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項7】
前記3相電流値及び前記位置値に基づいて、前記車両の現在の運転動作点での前記モータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得するステップは、
Clark変換により、前記3相電流値を2相静止電流値に変換するステップと、
Park変換により、前記2相静止電流値を2相回転電流値に変換するステップと、
を含み、
前記2相回転電流値は、前記現在の横軸電流値及び前記現在の直軸電流値を含む、ことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項8】
前記目標直軸電流値と前記目標横軸電流値、及び前記現在の直軸電流値と前記現在の横軸電流値に基づいて、モータ駆動信号を取得するステップは、
前記目標直軸電流値と前記現在の直軸電流値とを差分演算して直軸電流差分値を取得し、前記目標横軸電流値と前記現在の横軸電流値とを差分演算して横軸電流差分値を取得するステップと、
前記直軸電流差分値及び前記横軸電流差分値に基づいて、電流閉ループ調整を行うことにより、直軸電圧値及び横軸電圧値を取得するステップと、
TPark変換により、前記直軸電圧値及び前記横軸電圧値を2相静止電圧値に変換するステップと、
前記電気駆動システムのバス電圧値を取得するステップと、
前記バス電圧値及び前記2相静止電圧値に基づいて、パルス幅変調を行うことにより、前記モータ駆動信号を取得するステップと、
を含む、ことを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の電気駆動システムの制御方法。
【請求項9】
モータと、モータコントローラと、電流センサと、位置センサと、プロセッサと、
を含み、
前記電流センサは、前記モータの3相電流値を収集し、
前記位置センサは、前記モータの位置値を収集し、
前記プロセッサは、前記モータコントローラ、前記電流センサ、及び前記位置センサにそれぞれ接続され、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両の電気駆動システムの制御方法を実行する、ことを特徴とする、
電気駆動システム。
【請求項10】
加熱需要システムと、車両コントローラと、請求項9に記載の電気駆動システムと、を含み、
前記車両コントローラは、前記加熱需要システムに加熱需要があると決定した場合、車両の加熱需要信号を送信し、
前記電気駆動システムは、前記車両コントローラに接続され、前記加熱需要システムと熱伝導回路を形成する、ことを特徴とする、
車両。
【請求項11】
前記加熱需要システムは、動力電池を含む、ことを特徴とする、
請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記加熱需要システムは、車両の乗員室及び空調システムを含む、ことを特徴とする、
請求項10又は11に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2021年3月31日に提出された、出願番号が202110351040.0号で、名称が「車両の電気駆動システムの制御方法、電気駆動システム及び車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、車両の技術分野に関し、特に、車両の電気駆動システムの制御方法、電気駆動システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー車両は、寒冷地又は厳寒の動作状況において、車両用動力電池が低温の影響を受けて充放電能力が制限されるため、車両の性能に影響を与える。
【0004】
したがって、関連技術では、モータの余熱を利用して暖房効果を向上させる方法が提供される。当該技術は、電池冷却器によりモータの余熱を利用して、ヒートポンプの暖房性能を向上させ、外付け凝縮器に対して除霜を行うが、当該技術は、モータの余熱の熱量の大きさを制御できず、かつ環境温度が非常に低い場合、モータの余熱の利用効果が低い。
【0005】
関連技術では、車両及びその動力電池の加熱装置と方法が更に提供される。当該技術では、動力電池を加熱する必要がある場合、熱量を発生させるように3相交流モータを制御して、動力電池を流れる冷却液を加熱し、加熱プロセスにおいて、所定の直軸電流及び所定の横軸電流に基づいて3相交流モータの相電流を調整することにより、モータ軸の出力が車両を移動させることができず、モータの出力軸が伝動機構に付勢力を出力するだけで、噛み合い隙間を解消し、車両の振れを防止する。当該技術は、電気駆動システムが発生する熱量を制御することができるが、車両の停止状態でのみ使用可能であり、適用場面が限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、モータの直軸電流値及び交流電流値を調整することにより、電気駆動システムを発熱させ、かつ動力電池の自己発熱速度を加速させるため、上記熱量を車両の熱管理に適用することができ、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができる、車両の電気駆動システムの制御方法、電気駆動システム及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本開示は、車両の電気駆動システムの制御方法を提供し、前記電気駆動システムは、モータと、モータコントローラとを含み、前記方法は、
車両の加熱需要信号に応答して、モータ軸端のトルク及び車両の現在の運転動作点を取得するステップと、
前記車両の現在の運転動作点に基づいて、前記電気駆動システムの現在の発熱パワーを取得するステップと、
車両に必要な加熱パワー及び前記現在の発熱パワーに基づいて、電流調整振幅値を決定するステップと、
前記モータの3相電流値及び位置値を取得し、前記3相電流値及び前記位置値に基づいて、前記車両の現在の運転動作点でのモータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得するステップと、
所定の変換周波数及び電流調整振幅値で振動させて目標直軸電流値とするように現在の直軸電流値を制御するステップと、
前記目標直軸電流値及び前記モータ軸端のトルクに基づいて、目標横軸電流値を取得するステップと、
前記目標直軸電流値と前記目標横軸電流値及び前記現在の直軸電流値と前記現在の横軸電流値に基づいて、モータ駆動信号を取得するステップと、
前記モータ駆動信号を前記モータコントローラに送信して、前記モータの動作を制御するステップと、を含む。
【0008】
本開示の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法は、目標直軸電流値及びモータ軸端のトルクに基づいて、目標横軸電流値を取得し、即ち、車両の運転状態において、車両のモータ軸端のトルクが変化しないことを保証し、車両の振れによる不快感を回避し、一定の電流調整振幅値及び所定の変換周波数で振動させるように目標直軸電流値を制御することにより、電気駆動システムを発熱させ、かつ動力電池自体を流れる電流を振動させ、動力電池自体の発熱速度を加速させることができるため、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができ、かつ動力電池自体の発熱及び電気駆動システムの熱量を車両の熱管理にも適用することができる。また、当該車両の電気駆動システムの制御方法は、ソフトウェアのみを改良し、ハードウェアアーキテクチャを変更する必要がなく、コストが低く、普及しやすい。
【0009】
第2態様では、本開示に係る電気駆動システムは、モータと、モータコントローラと、電流センサと、位置センサと、プロセッサとを含み、前記電流センサは、前記モータの3相電流値を収集し、前記位置センサは、前記モータの位置値を収集し、前記プロセッサは、前記モータコントローラ、前記電流センサ、及び前記位置センサにそれぞれ接続され、上記いずれか1つの実施例に記載の車両の電気駆動システムの制御方法を実行する。
【0010】
本開示の実施例に係る電気駆動システムは、汎用の電気駆動システムのハードウェアを用いて、プロセッサによって上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を実行し、一定の電流調整振幅値及び所定の変換周波数で振動させるように目標直軸電流値を制御することにより、電気駆動システムを発熱させ、かつ動力電池自体を流れる電流を振動させ、動力電池自体の発熱速度を加速させることができるため、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができ、かつ動力電池自体の発熱及び電気駆動システムの熱量を車両の熱管理にも適用することができる。また、当該車両の電気駆動システムの制御方法は、ソフトウェアのみを改良し、ハードウェアアーキテクチャを変更する必要がなく、コストが低く、普及しやすい。
【0011】
第3態様では、本開示に係る車両は、加熱需要システムと、車両コントローラと、上記実施例に記載の電気駆動システムとを含み、前記車両コントローラは、前記加熱需要システムに加熱需要があると決定した場合、車両の加熱需要信号を送信し、前記電気駆動システムは、前記車両コントローラに接続され、前記加熱需要システムと熱伝導回路を形成する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の実施例に係る車両では、熱伝導回路は、動力電池などの、熱量を必要とする可能性がある車両のモジュールを連通させ、電気駆動システムに対して発熱需要がある場合、車両コントローラは、加熱需要信号を受信して、上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、一定の電流調整振幅値及び所定の変換周波数で振動させるように横軸電流値と直軸電流値を制御し、モータコントローラは、モータの運転を制御し、このように、車両の任意の動作状況においても、電気駆動システムが発生する熱量を動的に調整し、車両の動力電池の温度及び他の車両部品の温度を迅速に昇温させることができる。
【0013】
本開示の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり理解されやすくなる。
【0015】
図1】本開示の一実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。
図2】本開示の一実施例に係る横軸電流と直軸電流の組み合わせの動作軌跡の概略図である。
図3】本開示の一実施例に係る直軸電流値の周期的振動の概略図である。
図4】本開示の他の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。
図5】本開示の更に他の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。
図6】本開示の更に他の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。
図7】本開示の一実施例に係る電気駆動システムのブロック図である。
図8】本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
図9】本開示の一実施例に係るキャリア周波数変化の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は例示的なものであり、以下、本開示の実施例を詳細に説明する。
【0017】
以下、図1図6に示すように、本開示の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を説明する。
【0018】
図1は、本開示の一実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。
【0019】
本開示のいくつかの実施例では、電気駆動システムは、モータと、モータの動作状況を制御するモータコントローラとを含む。例えば、モータコントローラは、モータ駆動信号に基づいてオン又はオフにするようにパワースイッチングデバイスを制御するか、又は、モータの動作パワーを調整して特定のパワーで動作させることにより、電気駆動システムの発熱調整需要を満たすことができる。
【0020】
図1に示すように、当該車両の電気駆動システムの制御方法は、少なくともステップS1~S8を含み、具体的には、以下のとおりである。
【0021】
S1では、車両の加熱需要信号に応答して、モータ軸端のトルク及び車両の現在の運転動作点を取得する。
【0022】
本開示のいくつかの実施例では、例えば、寒冷地又は厳寒の動作状況において、車両用動力電池が低温の影響を受けて充放電能力が制限され、車両用動力電池を加熱する必要があり、車両は、車両の加熱需要信号を電気駆動システムに送信する。また、例えば、車両が運転するとき、車両の他のモジュールに加熱需要がある場合、電気駆動システムの発熱調整機能に入る必要があると決定し、例えば、ユーザが空調システムの暖房操作を行うと決定するか、又は、ユーザが操作して、車両の乗員室のシートを加熱するように制御する場合、車両は、車両の加熱需要信号を電気駆動システムに送信する。
【0023】
電気駆動システムは、車両の加熱需要信号に応答して、モータ軸端のトルクを検出して、車両の現在の運転動作点を決定する。例えば、車両が運転するとき、モータ軸端のトルクが変化せず、モータ軸端のトルクを検出することにより、当該モータ軸端のトルクでの車両の運転エネルギー消費が最適となる現在の運転動作点を決定する。
【0024】
S2では、車両の現在の運転動作点に基づいて、電気駆動システムの現在の発熱パワーを取得する。
【0025】
モータの現在の動作パワーを検出し、モータの現在の動作パワーに基づいて、電気駆動システムの現在の発熱パワーを取得することができる。
【0026】
S3では、車両に必要な加熱パワー及び現在の発熱パワーに基づいて、電流調整振幅値を決定する。
【0027】
具体的には、車両コントローラは、車両の各加熱需要システム、例えば、動力電池、乗員室、及びその部品の加熱需要を総合化して車両に必要な加熱パワーを決定し、車両に必要な加熱パワーを電気駆動システムに送信することができる。電気駆動システムの加熱パワーは、モータの動作電流に関連しており、モータの動作電流を調整することにより、異なる加熱パワーを発生させることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、電気駆動システムの現在の発熱パワーが車両に必要な加熱パワーを満たすことができない場合、モータの動作電流を調整する必要があり、電気駆動システムは、車両に必要な加熱パワー及び現在の発熱パワーに基づいて、モータの動作電流を調整する電流調整振幅値を決定する。具体的には、車両に必要な加熱パワーと現在の発熱パワーとのパワー差分値を計算し、パワー差分値に基づいて電流調整振幅値を取得する。現在の発熱パワーの計算は、テーブルをルックアップすることによって取得することができ、当該テーブルは、モータ回転速度と、合成電流ベクトル値と、現在の発熱パワーとの関係であり、合成電流ベクトル値は、現在の直軸電流値と現在の横軸電流値との合成電流値であり、当該テーブルは、事前にベンチ上でキャリブレーションすることにより取得することができる。当該テーブルをモータコントローラに書き込むことにより、現在の直軸電流値、現在の横軸電流値、及びモータ回転速度に基づいて、現在の発熱パワーを取得することができ、各部品の発熱量をそれぞれ計算する必要がなく、計算時間を短縮する。
【0029】
パワー差分値が大きいほど、電流調整振幅値が大きくなり、逆に、電流調整振幅値が小さくなる。
【0030】
車両の異なる運転動作点での電流調整振幅値又は所定の変換周波数は、一致しない可能性があり、所定の変換周波数又は電流調整振幅値を調整することにより、車両の加熱需要に適応することができる。
【0031】
S4では、モータの3相電流値及び位置値を取得し、3相電流値及び位置値に基づいて、車両の現在の運転動作点でのモータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得する。
【0032】
本開示のいくつかの実施例では、位置センサによりモータの位置値、例えば、モータロータのリアルタイム位置及び回転速度などを収集し、電流センサによりモータとモータコントローラとの間でモータの3相電流値を収集し、収集された3相電流値は、3相静止電流値である。
【0033】
座標変換の方式を用いて、モータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得することができる。例えば、座標変換により、3相電流値を2相回転電流値に変換することができ、2相回転電流値は、現在の横軸電流値と現在の直軸電流値を含む。
【0034】
S5では、所定の変換周波数及び電流調整振幅値で振動させて目標直軸電流値とするように現在の直軸電流値を制御する。
【0035】
所定の変換周波数及び電流調整振幅値で振動させて目標直軸電流値とするように現在の直軸電流値を制御するステップは、電流調整振幅値に基づいて第1直軸電流値及び第2直軸電流値を取得し、目標直軸電流値が現在の直軸電流値を基準値とし、第1直軸電流値をピークし、第2直軸電流値をボトムとし、所定の変換周波数に従って周期的に変化するステップを含み、第1直軸電流値は、現在の直軸電流値と電流調整振幅値との合計値であり、第2直軸電流値は、現在の直軸電流値と電流調整振幅値との差分値である。
【0036】
正弦波を例とすると、目標直軸電流値は、現在の直軸電流値を基準値とし、第1直軸電流値をピークとし、第2直軸電流値をボトムとする実効値であり、即ち、目標直軸電流値は、現在の直軸電流値を基準値として所定の変換周波数及び電流調整振幅値で振動させる実効値である。
【0037】
具体的には、図2に示すように、本開示の一実施例による横軸電流と直軸電流の組み合わせの動作軌跡の概略図であり、横軸は、直軸電流値であり、縦軸は、横軸電流値であり、3つの曲線は、いずれも定トルク曲線であり、即ち、同一の曲線における任意の点の横軸電流と直軸電流の組み合わせは、いずれも同じモータ軸端のトルクを出力することができ、異なるトルク曲線は、異なるモータ軸端のトルクを表し、かつトルク曲線がゼロ点に近いほど値が小さくなり、ゼロ点から離れるほど値が大きくなり、即ち、トルク曲線1に対応するモータ軸端のトルクがトルク曲線2に対応するモータ軸端のトルクよりも大きくなり、トルク曲線3に対応するモータ軸端のトルクよりも大きくなる。トルク曲線3におけるA、B、C、D、E点は、それぞれ同一のモータ軸端のトルクでの車両の運転動作点であり、曲線OFは、MTPA(million tons per annum、最大トルク電流比)曲線であり、曲線GHは、MTPV(maximum torque per voltage、最大トルク電圧比)曲線であり、MTPAとMTPVを組み合わせた曲線は、複数の境界条件でキャリブレーションして得られたものであり、具体的なキャリブレーション方法については説明を省略する。関連技術では、OFGHで囲まれた領域内で直軸電流値を制御して調整し、調整範囲が限られている。
【0038】
本開示のいくつかの実施例では、車両は、車両の加熱需要に応じて、電気駆動システムの発熱調整機能に入る必要があると判断し、車両が動作点Aで運転する場合、動作点Aでの直軸電流値を現在の直軸電流値として決定する。取得された電流調整振幅値がΔdで、所定の変換周波数がfであることを例とすると、動作点Aがトルク曲線3に位置すると決定し、動作点Aが位置するトルク曲線3に沿って、電流調整振幅値Δdで左右にスライドし、動作点Aから最上端の動作点Bまで右にスライドし、動作点Bの直軸電流値を第1直軸電流値として決定することができ、動作点Aから最下端の動作点Cまで左にスライドし、動作点Cの直軸電流値を第2直軸電流値として決定することができる。図2では、横軸電流と直軸電流の組み合わせの軌跡は、トルク曲線3における軌跡A→B→A→C→Aであり、目標横軸電流値と目標直軸電流値を周期的に調整し、電流調整の時間変化に伴い、直軸電流値は、正弦波形、方形波形又は他の適用波形などの周期的な振動波形を呈し、波形の振幅値は、電流調整振幅値に関連する。
【0039】
例を挙げて説明すると、図3に示すように、本開示の一実施例に係る直軸電流値の周期的振動の概略図であり、縦軸は、直軸電流値であり、5つの破線は、それぞれ図2における動作点A、B、C、D、Eでの目標直軸電流値に対応する。正弦曲線1は、直軸電流振動曲線Mであり、直軸振動曲線Mにおける所定の変換周波数をfとし、単位はHzであり、電流調整振幅をΔdとし、単位はAである。正弦曲線2は、直軸電流振動曲線Nであり、直軸振動曲線Nにおける所定の変換周波数をfとし、単位はHzであり、電流調整振幅値をΔd1とし、単位はAであり、電流振幅値Δdは、動作点Aから動作点Bまで、又は、動作点Aから動作点Cまでに対応する目標直軸電流の差分値であり、動作点Aから動作点Bまでに対応する目標直軸電流の差分値は、動作点Aから動作点Cまでに対応する目標直軸電流の差分値と一致し、電流調整振幅値Δd1は、動作点Aから動作点Dまで、又は、動作点Aから動作点Eまでに対応する目標直軸電流の差分値であり、動作点Aから動作点Dまでに対応する目標直軸電流の差分値は、動作点Aから動作点Eまでに対応する目標直軸電流の差分値と一致する。
【0040】
本開示のいくつかの実施例では、車両の加熱需要に応じて、電気駆動システムの発熱調整機能に入る必要があると判断し、車両が動作点Aで運転する場合、動作点Aでの直軸電流値を現在の直軸電流値として決定する。取得された電流調整振幅値がΔdで、所定の変換周波数がfであることを例とすると、動作点Aがトルク曲線3に位置すると決定し、動作点Aが位置するトルク曲線3に沿って、電流調整振幅値Δdで左右にスライドし、動作点Aから最上端の動作点Bまで右にスライドし、動作点Bの直軸電流値を第1直軸電流値として決定することができ、動作点Aから最下端の動作点Cまで左にスライドし、動作点Cの直軸電流値を第2直軸電流値として決定することができる。図2では、横軸電流と直軸電流の組み合わせの軌跡は、トルク曲線3における軌跡A→B→A→C→Aであり、図3では、目標直軸電流値は、直軸電流振動曲線M上で変化し、目標直軸電流値振動の軌跡は、直軸電流振動曲線Mに沿って形成される。
【0041】
図2及び図3に示すように、具体的には、図2では、運転動作点は、動作点Aから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が増大し、目標横軸電流値が増大する方向に向かって、動作点Bに移動する。同期的に、図3では、目標直軸電流値は、A点から直軸電流振動曲線Mに沿ってB点に移動する。このとき、目標直軸電流値が増加し、それに対応して目標横軸電流値も増加し、運転動作点が移動し続け、図2における動作点Bから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が減少し、目標横軸電流値が減少する方向に向かって動作点Aに戻って移動し、図3における目標直軸電流値が直軸電流振動曲線Mに沿ってB点からA1点に移動する。このとき、目標直軸電流値が減少し、それに対応して目標横軸電流値も減少し、運転動作点が移動し続け、図2では、動作点Aから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が減少し、目標横軸電流値が減少する方向に向かって動作点Cに移動し、同期的に、図3では、直軸電流値がA1点から直軸電流振動曲線Mに沿ってC点に移動する。このとき、目標直軸電流値が減少し、それに対応して目標横軸電流値も減少し、運転動作点が移動し続け、図2では、動作点Cから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が増大し、目標横軸電流値が増大する方向に向かって動作点Aに戻って移動し、同期的に、図3では、目標直軸電流値がC点から直軸電流振動曲線Mに沿ってA2点に移動する。このとき、目標直軸電流値が増加し、それに対応して目標横軸電流値も増加し、ここまで、目標直軸電流値の動作点Aでの1つの振動周期が完了する。車両が図2における動作点Aで運転し続ける場合、上記ステップは繰り返して実行される。
【0042】
S6では、目標直軸電流値及びモータ軸端のトルクに基づいて、目標横軸電流値を取得する。
【0043】
本開示のいくつかの実施例では、車両が同一の動作状況で運転する場合、モータ軸端のトルクが変化せず、電気駆動システムの発熱調整機能に入る必要があると決定した場合、目標直軸電流値の変化を調整する必要があり、目標横軸電流値も変化し、車両が正常に走行することを保証するために、目標直軸電流値に対応する目標横軸電流値を取得する必要がある。例えば、固定アルゴリズムを用いて限定することができ、目標直軸電流値に基づいて直接計算して目標横軸電流値を得ることができ、テーブルをルックアップして取得する必要がなく、方法が簡単である。
【0044】
S7では、目標直軸電流値と目標横軸電流値、及び現在の直軸電流値と現在の横軸電流値に基づいて、モータ駆動信号を取得する。目標直軸電流値と現在の直軸電流値、目標横軸電流値と現在の横軸電流値をいくつかの計算などにより処理して、最終的にモータ駆動信号を取得することができる。
【0045】
S8では、モータ駆動信号をモータコントローラに送信して、モータの動作を制御する。モータコントローラは、モータ駆動信号に応答して、オン又はオフにするようにパワースイッチングデバイスを制御することにより、モータの動作を制御して、電気駆動システムの発熱調整需要を満たすことができる。モータコントローラは、更に、モータの動作パワーを調整して、電気駆動システムが発生する熱量を、車両の他のモジュールが使用できるように調整することを実現する。
【0046】
本開示の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法によれば、モータ軸端のトルク、車両の現在の運転動作点、モータの3相電流値及び位置値を取得することにより、目標直軸電流値及び目標横軸電流値を取得し、かつ車両の運転状態において、車両のモータ軸端のトルクが変化しないことを保証し、目標直軸電流値を一定の電流調整振幅値及び所定の変換周波数で振動させるように制御して、動力電池の自己発熱速度を加速させるため、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができ、動力電池の自己発熱及び電気駆動システムの熱量を車両の熱管理にも適用することができる。また、当該車両の電気駆動システムの制御方法は、ソフトウェアのみを改良し、ハードウェアアーキテクチャを変更する必要がなく、コストが低く、普及しやすい。電気駆動システムの熱量は、モータ自体が発生する熱量及びモータコントローラのパワースイッチングデバイスが発生する熱量を含む。
【0047】
本開示のいくつかの実施例では、車両の現在の運転動作状況に基づいて電気駆動システムの現在の発熱パワーを取得することは、現在の車両の異なる回転速度でのモータの合成電流のベクトル変化量に基づいて、テーブルをルックアップして現在の発熱パワーを求めることができる。当該テーブルは、当該電気駆動システムに基づいてベンチ上で事前にキャリブレーションすることによって取得されるため、実際の制御プロセスに必要な計算時間を短縮する。
【0048】
本開示のいくつかの実施例では、モータは、3相永久磁石同期モータを例として、目標直軸電流値及び目標横軸電流値が式(1-1)を満たし、他のタイプのモータは、モータに対応するトルク式を設定することができる。
【0049】
ここで、Tはモータ軸端のトルクであり、単位はNmであり、Nはモータロータの磁極対数であり、Lは直軸インダクタンス値であり、単位はuHであり、Lは横軸インダクタンス値であり、単位はuHであり、iは目標直軸電流値であり、単位はAであり、φは鎖交磁束値であり、単位はVsであり、iは目標横軸電流値であり、単位はAである。
=1.5N[(L-L)i+φ]i 式(1-1)
【0050】
本開示のいくつかの実施例では、電気駆動システムに対して発熱調整需要を行うプロセスにおいて、目標直軸電流値iに対して振動制御を行い、調整される目標直軸電流値iが変化すると、目標横軸電流値iも変化し、車両が正常に走行することを保証するために、目標直軸電流値iに対応する目標横軸電流値iを取得する必要があり、式(1-1)のアルゴリズムを用いて目標横軸電流値iを限定し、テーブルをルックアップすることによって取得する必要がない。車両が同一の動作状況で運転する場合、モータ軸端のトルクTが変化せず、電気駆動システムの発熱調整機能に入る必要があると決定した場合、目標直軸電流値iに基づいて目標横軸電流値iを直接に算出することができ、かつ横軸電流と直軸電流をいずれも一定の所定の変換周波数f及び電流調整振幅値Δdで振動させるように制御することにより、車両の正常な走行を満たすことができる。
【0051】
本開示のいくつかの実施例では、図4に示すように、本開示の他の実施例に係るの車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートであり、車両の電気駆動システムの制御方法は、ステップS9及びステップS10を更に含み、具体的には、以下のとおりである。
【0052】
S9では、車両に必要な加熱パワーが変化したと決定する。
【0053】
例えば、車両が一定の時間運転した後、車両用動力電池の温度を調整する必要があり、車両に必要な加熱パワーが変化すると、電気駆動システムの発熱調整機能を適応的に調整する必要があり、又は、車両の他のモジュールの加熱需要が変化すると、車両に必要な加熱パワーに適応するように電気駆動システムの発熱調整機能を調整する必要があり、例えば、ユーザが空調システムの暖房操作を行うと決定するか、又は、ユーザが操作して、車両の乗員室のシートを加熱するように制御する場合、車両は、対応する車両の加熱需要信号を電気駆動システムに送信する。
【0054】
S10では、変化後の車両に必要な加熱パワーに基づいて、電流調整振幅値を調整するか、又は所定の変換周波数を調整する。
【0055】
本開示の実施例では、車両に必要な加熱パワーが変化したと決定した場合、車両に必要な加熱パワー及び現在の発熱パワーに基づいて、電流調整振幅値Δdを決定し、電流調整振幅値Δd又は所定の変換周波数fを調整して車両の加熱パワーの需要を実現する。例えば、電気駆動システムの発熱調整の需要が増大する場合、電流調整振幅値Δdを増大させる必要がある。電気駆動システムの発熱調整の需要が減少する場合、電流調整振幅値Δdを減少させる必要がある。
【0056】
図2及び図3に示すように、車両が動作点Aで運転することを例として、電気駆動システムの発熱需要が増大する場合、電流調整振幅値Δdを増大させるように調整する必要があり、かつ目標横軸電流と目標直軸電流の組み合わせを対応的に調整する。例えば、事前にキャリブレーションするか又は関連アルゴリズムによってリアルタイムに計算することにより、調整後の所定の変換周波数をfとして決定し、単位はHzであり、かつ調整後の電流調整振幅値をΔd1として決定し、単位はAであり、図2では、横軸電流と直軸電流の組み合わせの軌跡は、トルク曲線3における軌跡A→D→A→E→Aであり、図3では、目標直軸電流値が直軸電流振動曲線Mから直軸電流振動曲線Nに切り替えられ、目標直軸電流値振動の軌跡は、直軸電流振動曲線Nに沿って形成される。電流調整振幅値Δd1は、動作点Aから動作点Dまで、又は、動作点A1から動作点Eまでに対応する目標直軸電流の差分値であり、動作点Aから動作点Dまでに対応する目標直軸電流の差分値は、動作点A1から動作点Eまでに対応する目標直軸電流の差分値と一致する。
【0057】
具体的には、図2では、運転動作点は、動作点Aから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が増大し、目標横軸電流値が増大する方向に向かって、動作点Dに移動する。同期的に、図3では、目標直軸電流値は、A点から直軸電流振動曲線Nに沿ってD点に移動する。このとき、目標直軸電流値が増加し、それに対応して目標横軸電流値も増加し、運転動作点が移動し続け、図2における動作点Dから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が減少し、目標横軸電流値が減少する方向に向かって動作点Aに戻って移動し、図3における目標直軸電流値が直軸電流振動曲線Nに沿ってD点からA1点に移動する。このとき、目標直軸電流値が減少し、それに対応して目標横軸電流値も減少し、運転動作点が移動し続け、図2では、動作点Aから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が減少し、目標横軸電流値が減少する方向に向かって動作点Eに移動し、同期的に、図3では、直軸電流値がA1点から直軸電流振動曲線Nに沿ってE点に移動する。このとき、目標直軸電流値が減少し、それに対応して目標横軸電流値も減少し、運転動作点が移動し続け、図2では、動作点Eから、トルク曲線3に沿って、目標直軸電流値が増大し、目標横軸電流値が増大する方向に向かって動作点Aに戻って移動し、同期的に、図3では、目標直軸電流値がE点から直軸電流振動曲線Nに沿ってA2点に移動する。このとき、目標直軸電流値が増加し、それに対応して目標横軸電流値も増加し、ここまで、目標直軸電流値の動作点Aでの1つの振動周期が完了する。車両が図2における動作点Aで運転し続ける場合、上記ステップは繰り返して実行される。
【0058】
本開示のいくつかの実施例では、図5に示すように、本開示の他の実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。上記ステップS4では、3相電流値及び位置値に基づいて、車両の現在の運転動作点でのモータの現在の直軸電流値及び現在の横軸電流値を取得するステップは、ステップS41及びステップS42を含んでもよく、具体的には、以下のとおりである。
【0059】
S41では、Clark変換により、3相電流値を2相静止電流値に変換する。
【0060】
Clark(クラーク)変換は、3相静止変数を2相静止変数に変換するための座標変換方法であり、Clark変換により、3相電流値を2相静止電流値に変換することができる。
【0061】
S42では、Park変換により、2相静止電流値を2相回転電流値に変換し、2相回転電流値は、現在の横軸電流値及び現在の直軸電流値を含む。
【0062】
Park(パーク)変換は、2相静止変数を2相回転変数に変換するための座標変換方法であり、Park変換により、2相静止電流値を2相回転電流値に変換することができ、2相回転電流値は、現在の横軸電流値及び現在の直軸電流値を含む。
【0063】
本開示のいくつかの実施例では、図6に示すように、本開示の更に他実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法のフローチャートである。上記ステップS7では、目標直軸電流値と目標横軸電流値、及び現在の直軸電流値と現在の横軸電流値に基づいてモータ駆動信号を取得するステップは、ステップS71~S75を含んでもよく、具体的には、以下のとおりである。
【0064】
S71では、目標直軸電流値と現在の直軸電流値とを差分演算して、直軸電流差分値を取得し、目標横軸電流値と現在の横軸電流値とを差分演算して横軸電流差分値を取得する。
【0065】
本開示のいくつかの実施例では、目標直軸電流値及び目標横軸電流値が一定の電流調整振幅値又は所定の変換周波数で変化する場合、出力される目標直軸電流値及び目標横軸電流値は、変化した値であり、必要に応じて目標直軸電流値及び目標横軸電流値を収集する時間間隔を設定することにより、システムの効率的な運転を保証し、電気駆動システムの発熱量を動的に調整でき、車両用動力電池の温度及び他の車両の部品を迅速に昇温させることを保証する。
【0066】
S72では、直軸電流差分値及び横軸電流差分値に基づいて、電流閉ループ調整を行うことにより、直軸電圧値及び横軸電圧値を取得する。
【0067】
直軸電流差及び横軸電流差に対して電流閉ループ調整を行う場合、PI(proportional integral controller、比例積分コントローラ)及びフィードフォワードデカップリングによって調整を行うことにより、直軸電圧値及び横軸電圧値を取得することができる。
【0068】
S73では、TPark変換により、直軸電圧値及び横軸電圧値を2相静止電圧値に変換する。
【0069】
TPark(逆パーク)変換は、2相回転変数を2相静止変数に変換するための座標変換方法であり、TPark変換により、2相回転電圧値を2相静止電圧値に変換することができる。
【0070】
S74では、電気駆動システムのバス電圧値を取得し、モータ軸端のトルク、車両の現在の運転動作点、モータの3相電流値及び位置値を取得し、これらのデータを計算する場合、モータコントローラは、システムの電気制御直流端子のバス電圧値を同期的に収集することができる。
【0071】
S75では、バス電圧値及び2相静止電圧値に基づいて、パルス幅変調を行うことによりモータ駆動信号を取得する。
【0072】
本開示の実施例では、バス電圧値及び2相静止電圧値を、パルス幅変調機能を有するモジュールに伝達して処理することにより、モータ駆動信号を取得してモータコントローラに送信し、モータ駆動信号は、スイッチング信号であってもよく、オン又はオフにするようにパワースイッチングデバイスを制御することにより、モータの動作を制御して、電気駆動システムの発熱量を調整し、車両の他の部品に熱エネルギーを提供して、電気駆動システムの発熱調整需要を満たすことができる。
【0073】
いくつかの実施例では、モータコントローラは、パワースイッチングデバイスを含み、目標直軸電流値が限界値よりも大きい場合、パワースイッチングデバイスのキャリア周波数は、所定の範囲内で変動する。
【0074】
本発明者は、直軸電流が限界値よりも大きい場合、ステータとロータとの間の磁力が強く、キャリア周波数が変化しない場合、モータがキャリア周波数f及び整数倍の周波数で集中した高調波電圧及び高調波電流を発生させるため、発生した電磁干渉及び高周波ノイズが加熱需要でより顕著になることを見出した。図9に示すように、理解できるように、パワースイッチングデバイスは、モータ駆動信号に基づいてオン又はオフになり、パワースイッチングデバイスの前回のオンから次回のオンまでの時間は、1つの周期であり、上記キャリア周波数は、該周期の逆数であり、所定の範囲は、90%の現在のキャリア周波数から110の現在のキャリア周波数までの変動である。当該キャリア周波数の制御ポリシーを使用することにより、高調波電圧をより広い範囲の周波数スペクトルに効果的に分散させ、モータの振動及びノイズを低減し、車両のNVH性能を最適化することができる。
【0075】
図7は、本開示の一実施例に係る電気駆動システムのブロック図である。
【0076】
本開示のいくつかの実施例では、図7に示すように、電気駆動システム10は、モータ1と、モータコントローラ2と、電流センサ3と、位置センサ4と、プロセッサ5とを含む。
【0077】
モータ1が動作するとき、車両の動力電池及び他の部品に熱エネルギーを提供することができ、モータコントローラ2は、モータ駆動信号に基づいてモータ1の動作状態を制御することができ、例えば、モータコントローラ2は、オン又はオフにするようにパワースイッチングデバイスを制御することにより、モータの運転を制御することができる。電流センサ3は、モータ1とモータコントローラ2との間に設けられ、モータ1の3相電流値を収集することができる。位置センサ4は、モータ1の位置値を収集し、位置値は、モータのロータのリアルタイム位置及び回転速度などを含んでもよい。
【0078】
プロセッサ5は、モータコントローラ2、電流センサ3及び位置センサ4にそれぞれ接続され、プロセッサ5は、上記いずれか1つの実施例の車両の電気駆動システムの制御方法を実行する。
【0079】
本開示の実施例に係る電気駆動システム10は、汎用の電気駆動システムのハードウェアを用いて、プロセッサ5によって上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を実行し、動力電池自体の発熱速度を加速させることができるため、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができ、かつ動力電池自体が発生する熱量を車両の熱管理にも適用することができる。また、当該車両の電気駆動システムの制御方法は、ソフトウェアのみを改良し、ハードウェアアーキテクチャを変更する必要がなく、コストが低く、普及しやすい。
【0080】
図8は、本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
【0081】
本開示のいくつかの実施例では、図8に示すように、車両01は、加熱需要システム20と、車両コントローラ30と、上記いずれか1つの実施例に係る電気駆動システム10とを含む。
【0082】
車両コントローラ30は、加熱需要システム20に加熱需要があると決定した場合、車両の加熱需要信号を送信する。加熱需要システムは、車両における様々なモジュール又は部品、例えば、新エネルギー自動車における動力電池、車両の乗員室及び空調システムなどを含んでもよい。温度センサにより、現在の環境温度及び/又は加熱需要システム20におけるモジュール又は部品の温度を収集し、当該モジュール又は部品を加熱する必要があると判定すると、加熱需要信号を送信することができる。或いは、ユーザは、表示画面、ボタンなどのヒューマンマシンインタラクションデバイスを操作することにより、加熱需要信号を送信する。
【0083】
電気駆動システム10は、車両コントローラ30に接続され、電気駆動システム10と加熱需要システム20は、熱伝導回路を形成する。電気駆動システム10が発生する熱量は、熱伝導回路を介して、必要に応じて又は同時に、車両の他のモジュール又は車両用動力電池に与えられる。熱伝導回路の構造は、ここで限定されず、かつ具体的な熱伝導の流れ方向は、車両の各モジュールの実際の状況に応じて判断することができる。
【0084】
本開示の実施例に係る車両01によれば、熱伝導回路は、動力電池などの、熱量を必要とする可能性がある車両01のモジュールを連通させ、電気駆動システム10に対して発熱需要があることを出すと、車両コントローラ30は、加熱需要信号を受信し、上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、横軸電流値と直軸電流値を一定の電流調整振幅値及び所定の変換周波数で振動させるように制御し、モータコントローラ2は、モータ1の運転を制御し、このように、車両01の任意の動作状況においても、電気駆動システム10が発生する熱量を動的に調整し、車両10の動力電池の温度及び他の車両の部品の温度を迅速に昇温させることができる。
【0085】
本開示のいくつかの実施例では、加熱需要システム20は、動力電池を含む。例えば、新エネルギー車両が寒冷地又は厳寒の動作状況において、車両01及び動力電池を加熱する必要がある場合、車両01は、電気駆動システム10の発熱調整需要に入り、上記いずれか1つの実施例の車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、電気駆動システム10の発熱を制御し、熱量が熱伝導回路を介して動力電池に伝達され、動力電池自体の発熱速度を向上させるとともに、モータ軸端のトルク出力に影響を与えず、低温が動力電池の充放電能力に影響を与え、更に車両の性能に影響を与えることを回避する。
【0086】
本開示のいくつかの実施例では、加熱需要システム20は、車両の乗員室及び空調システムを含む。例えば、ユーザが車両の乗員室のシートを加熱する必要があり、又は、ユーザが空調システムを用いて車両を加熱する必要がある場合、車両01は、電気駆動システム10の発熱調整需要に入り、上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、電気駆動システム10の発熱を制御し、車両の正常走行を満たす前提下で、電気駆動システム10の発熱量を動的に調整可能であり、熱伝導回路を介して、車両加熱需要システム20を迅速に昇温させることにより、ユーザの需要を満たす。
【0087】
本願の実施例に係る車両01の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0088】
本明細書の説明では、参照用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの説明は、当該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料又は特点が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。
【0089】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0090】
01 車両
20 加熱需要システム
30 車両コントローラ
10 電気駆動システム
1 モータ
2 モータコントローラ
3 電流センサ
4 位置センサ
5 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示は、モータの直軸電流値及び横軸電流値を調整することにより、電気駆動システムを発熱させ、かつ動力電池の自己発熱速度を加速させるため、上記熱量を車両の熱管理に適用することができ、当該車両の電気駆動システムを寒冷地に適用することができる、車両の電気駆動システムの制御方法、電気駆動システム及び車両を提供する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。図面を参照して説明される実施例は例示的なものである
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
具体的には、図2に示すように、本開示の一実施例による横軸電流と直軸電流の組み合わせの動作軌跡の概略図であり、横軸は、直軸電流値であり、縦軸は、横軸電流値であり、3つの曲線は、いずれも定トルク曲線であり、即ち、同一の曲線における任意の点の横軸電流と直軸電流の組み合わせは、いずれも同じモータ軸端のトルクを出力することができ、異なるトルク曲線は、異なるモータ軸端のトルクを表し、かつトルク曲線がゼロ点に近いほど値が小さくなり、ゼロ点から離れるほど値が大きくなり、即ち、トルク曲線1に対応するモータ軸端のトルクがトルク曲線2に対応するモータ軸端のトルクよりも大きくなり、トルク曲線3に対応するモータ軸端のトルクよりも大きくなる。トルク曲線3におけるA、B、C、D、E点は、それぞれ同一のモータ軸端のトルクでの車両の運転動作点であり、曲線OFは、MTPA(Maximum Torque Per Ampere、最大トルク電流比)曲線であり、曲線GHは、MTPV(maximum torque per voltage、最大トルク電圧比)曲線であり、MTPAとMTPVを組み合わせた曲線は、複数の境界条件でキャリブレーションして得られたものであり、具体的なキャリブレーション方法については説明を省略する。関連技術では、OFGHで囲まれた領域内で直軸電流値を制御して調整し、調整範囲が限られている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
本発明者は、直軸電流が限界値よりも大きい場合、ステータとロータとの間の磁力が強く、キャリア周波数が変化しない場合、モータがキャリア周波数f及び整数倍の周波数で集中した高調波電圧及び高調波電流を発生させるため、発生した電磁干渉及び高周波ノイズが加熱需要でより顕著になることを見出した。図9に示すように、理解できるように、パワースイッチングデバイスは、モータ駆動信号に基づいてオン又はオフになり、パワースイッチングデバイスの前回のオンから次回のオンまでの時間は、1つの周期であり、上記キャリア周波数は、該周期の逆数であり、所定の範囲は、90%の現在のキャリア周波数から110の現在のキャリア周波数までの変動である。当該キャリア周波数の制御ポリシーを使用することにより、高調波電圧をより広い範囲の周波数スペクトルに効果的に分散させ、モータの振動及びノイズを低減し、車両のNVH性能を最適化することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
本開示の実施例に係る車両01によれば、熱伝導回路は、動力電池などの、熱量を必要とする可能性がある車両01のモジュールを連通させ、電気駆動システム10に対して発熱需要があることを出すと、車両コントローラ30は、加熱需要信号を受信し、上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、横軸電流値と直軸電流値を一定の電流調整振幅値及び所定の変換周波数で振動させるように制御し、モータコントローラ2は、モータ1の運転を制御し、このように、車両01の任意の動作状況においても、電気駆動システム10が発生する熱量を動的に調整し、車両01の動力電池の温度及び他の車両の部品の温度を迅速に昇温させることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
本開示のいくつかの実施例では、加熱需要システム20は、動力電池を含む。例えば、新エネルギー車両が寒冷地又は厳寒の動作状況において、車両01及び動力電池を加熱する必要がある場合、車両01は、電気駆動システム10の発熱調整機能に入り、上記いずれか1つの実施例の車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、電気駆動システム10の発熱を制御し、熱量が熱伝導回路を介して動力電池に伝達され、動力電池自体の発熱速度を向上させるとともに、モータ軸端のトルク出力に影響を与えず、低温が動力電池の充放電能力に影響を与え、更に車両の性能に影響を与えることを回避する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
本開示のいくつかの実施例では、加熱需要システム20は、車両の乗員室及び空調システムを含む。例えば、ユーザが車両の乗員室のシートを加熱する必要があり、又は、ユーザが空調システムを用いて車両を加熱する必要がある場合、車両01は、電気駆動システム10の発熱調整機能に入り、上記いずれか1つの実施例に係る車両の電気駆動システムの制御方法を用いることにより、電気駆動システム10の発熱を制御し、車両の正常走行を満たす前提下で、電気駆動システム10の発熱量を動的に調整可能であり、熱伝導回路を介して、車両加熱需要システム20を迅速に昇温させることにより、ユーザの需要を満たす。
【国際調査報告】